(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態について添付図面をもとに説明する。本格子付きパネル1は、たとえば
図7に示すようなドア5として用いられるパネルである。このドア5は枠部7内の開口に配され、縦横の框10と、框10内に配設された鏡板15と、その表裏板面に配設された格子3とを備えて構成されている。まず、以下の実施形態に係る格子付きパネル1の基本構成について説明する。
【0011】
本格子付きパネル1は、鏡板15と、鏡板15の周囲を囲む框10と、鏡板15の表面に沿って取り付けられる格子子状材Kとを備えた格子付きパネルである。格子子状材Kは、リップ部23、33間に長手方向に沿う開口部24、34が形成されたリップ溝形材とされる。格子子状材K(以下では縦格子材20)の溝内部にはブロック材40が収容される。また、ブロック材40は開口部24より露出する凸部41を備えている。リップ部23の外面と凸部41の外面とが略面一とされ、すくなくとも凸部41の外面が鏡板15の表面に接着されて、格子子状材Kが鏡板15に固定される構成とされている。
【0012】
ついで、詳細について説明する。なお本実施形態のものでは、鏡板15として透光板15が用いてあるがこれには限定されず、種々の羽目板、建具板、障子などが適用され得る。
【0013】
格子付きパネル1の格子3は、
図1(a)(b)および
図7に示すように、1本の縦格子材20と、3本の横格子材30とを有してなる複数の格子子状材Kを組み合わせ、さらにブロック材40、端部キャップ60(結合部材)を含んで構成されている。図例のものは、縦格子材20が横格子材30の上(表面側)に配される縦勝ち仕様の格子3とされる。
【0014】
格子子状材Kは、金属製、特に軽量で強度にすぐれたアルミニウム製とすることが望ましい。格子子状材Kを金属製とすることで、薄いながらも強度の高い格子3を形成することができる。また、温湿度の影響も受けにくくでき、寸法安定性にもすぐれたものとすることができる。もちろん、格子子状材Kの材質としては樹脂製や木製、もしくはこれらの複合材料でもよい。また、この格子子状材Kの表面には框10と同様の、たとえば木目調の化粧シートを貼着することが望ましい。
【0015】
また、端部キャップ60およびブロック材40は合成樹脂材で形成されることが望ましい。端部キャップ60は、すくなくとも表面に露出する部分を格子子状材Kや框10と同様の色調や模様に着色されていることが望ましい。
【0016】
縦格子材20は、
図1および
図2(a)に示すように、本板部21と側板部22とリップ部23とよりなり、リップ部23間に長手方向に沿った開口部24を有し、さらに長手方向の端部には端部開口26を有している。この端部開口26には着脱自在に端部キャップ60が取り付けられる。縦格子材20の本板部21の内面には、幅方向の中央に、長手方向に沿うように、収容されたブロック材40と相互係合するための係合溝29が形成されている。
【0017】
また縦格子材20は、横格子材30を交差取り付けするために、
図1(a)に示すように、交差箇所に、両側の側板部22とリップ部23とが切り欠かれた切り欠き部28が形成されている。これらの格子子状材Kは、
図1(b)に示すようにクロス状に組み合わされる。
【0018】
一方、横格子材30は、
図1および
図2(b)に示すように、本板部31と側板部32とリップ部33とよりなり、リップ部33間に長手方向に沿った開口部34を有し、長手方向の端部には端部開口36を有している。この端部開口36には着脱自在に端部キャップ60が取り付けられる。また
図1に示すように、横格子材30の側板部32の長手方向の中央には、縦格子材20と交差取り付けするための係合部(孔状の凹部38)が形成されている。なお、横格子材30は縦格子材20が被せられるため、縦格子材20よりも嵩(全体の厚み)が小さい。
【0019】
また、これらの格子子状材Kの外面には意匠性を高めるために、
図4(e)(f)に示すように線模様27、37が施されたものとしてもよいが、
図1(a)(b)においては、図示を省略している。
【0020】
図1に示すように、縦格子材20の溝内空間25には複数のブロック材40が収容されている。図例のものは、端部側に1つずつ、切り欠き部28間に2つずつ、計6つのブロック材40が収容されている。なお、横格子材30にも、たとえば格子材ごとに2箇所ずつブロック材40が収容されていてもよい(
図1(a)において2点鎖線で図示)。
【0021】
このブロック材40は、縦格子材20の溝内空間25に収容され得るように、おおむね直方体の外形をなしている。より具体的には
図2(c)〜(e)に示すように、厚さ方向の一方の面に、幅方向の略中央に長手方向に沿った凸部41が形成され、それとは反対側の面に2本の係合突条42が形成されている。また、長手方向の一方の端面には突起43(係合部)が形成してある。なお、本ブロック材40は肉抜き形成されている。
【0022】
このブロック材40は、縦格子材20の溝内空間25に、その長手方向を縦格子材20の長手方向に合わせるように収容される構成とされている。ブロック材40が収容された状態では、
図2(f)に示すようにブロック材40の凸部41がリップ部23間の開口部24に配され、かつ、係合突条42が縦格子材20の係合溝29に係合している。この収容状態では、凸部41の外面がリップ部23よりも突出することがなく、リップ部23と凸部41との連続外面50が略面一(略同一高さ)となっている。そして、すくなくとも凸部41の外面に両面テープ51が貼り付けられて透光板15に固着される固着構造とされている。
【0023】
このように、ブロック材40は凸部41のみが開口部24より露出するが突出はしていないため、縦格子材20の側板22側には露出せず、透光板15に固着した後は、ブロック材のどの部位も外部に露出することがない。したがって、透光板15に取り付けた状態ではすっきりとした外観となり、きわめて見栄えがよい。また、ブロック材40の全体が縦格子材20に収容される構成であるため、凸部41の外面が透光板15に接着されさえすれば縦格子材20の厚みをどのような寸法にしてもよく、そのため格子3を薄型に形成することができる。
【0024】
ブロック材40は、
図3(a)に示すように、長手方向の一方の端面が切り欠き部28に近接するように配される。なお、
図3(a)中の2点鎖線は両面テープ51が貼り付けられる部位である。図例のように、凸部41の外面のみを接着対象とした場合、ブロック材40にあらかじめ両面テープ51を取り付けておけばよく、組み立て作業を効率化できる。また、透光板15への貼り付けの際に、ブロック材40の縦格子材20の長手方向に対する配設位置を確定させておくために、リップ部23に跨るように両面テープ51を貼り付けてもよい。なお、両面テープ51に代えて接着剤を用いてもよい。
【0025】
ブロック材40は、縦格子材20の端部開口26より挿入、装着されて、溝内空間25において、係合突条42が係合溝29に係合するため、その係合溝29に沿ってスライド移動され得るようになっている。
【0026】
このように、凸部41が開口部24に装着され、かつ係合突条42と係合溝29とが係合することで、縦格子材20の短手方向において位置決めされる。そのため、溝内空間25とブロック材40との間でずれが生じる程度の寸法差がある場合でも、位置ずれは起きにくい。したがって、ブロック材40は溝内空間25でスムーズなスライド移動ができ、ブロック材40を迅速に適切な位置に配することができる。なお、ブロック材40を位置固定させるために、ブロック材40が溝内面に圧接される程度の寸法関係とすることが望ましい。
【0027】
また、横格子材30にブロック材40を収容させる場合(
図1(a)参照)には、横格子材30の厚みに合わせて、縦格子材20用のブロック材40よりも厚みの薄いものを用いればよい。
【0028】
また、
図3(b)に示すように、縦格子材20、横格子材30間で、係合部(ブロック材40の突起43、横格子材30の凹部38)どうしが係合することで横格子材30の適切な位置に縦格子材20が取り付けできるようになっている。係合部43、38どうしが係合された状態で両面テープ51を貼り付ければよい。なお、突起43は、ブロック材40を縦格子材20においていずれの向きにも配設できるように、
図3(a)に2点鎖線で示したように他方の端面にも設けるようにしてもよい。
【0029】
ついで、格子子状材Kの端部に装着される結合部材の一例である端部キャップ60について、
図4にもとづいて説明する。本図は縦格子材20、横格子材30の共通図として示したが、それぞれに合致するように当然に厚みは相互に異なる。
【0030】
端部キャップ60は、
図4(a)〜(c)に示すように、格子子状材Kの端部開口26、36(
図2参照)に差し込まれる差込部61と、差込部61とは反対側に突出するように設けられた爪部64とを有している。本実施形態の端部キャップ60は板状の本体部62を有しており、その本体部60の一方の板面に差込部61が突出形成され、他方の板面に爪部64が突出形成されている。
【0031】
差込部61は、本板部61aと側板部61bとリップ部61cと起立部61eと圧接部61fとよりなり、本体部62の板面より突出するように形成されている。この差込部61が縦格子材20の内部に端部開口26、36(
図2参照)より差し込まれる部位とされ、差込部61の内部には格子子状材Kの溝内空間25、35(
図2参照)に連通する内部空間61dを有している。
【0032】
差込部61の起立部61eは、
図4(d)に示すように、格子子状材K(図例では縦格子材20)のリップ部23間に、リップ部23の対向縁に接するように配される。また、
図4(a)(b)に示すように、側板部61bの外面には装着ガイド面を有した圧接部61fが形成されている。これら起立部61e、圧接部61fにより、端部キャップ60は格子子状材Kの端部にしっかりと嵌合する。
【0033】
本体部62は、この内部空間61dを塞ぐ部位であり、その板面外形は、格子子状材Kの長手方向の端面(板厚を含む端部開口26、36)と略同一寸法、形状とされる。つまり本体部62は、
図4(b)に示すように、差込部61に対して鍔状に外方に広がった形状とされる。また本体部62の板厚側の側面の形状は、
図4(c)に示すように、板厚が徐々に小さくなる断面楔形状とされている。この薄板側が透光板15の板面に配される部位とされる。
【0034】
本体部62の板面には、短手方向(透光板15の板厚方向)の薄板側寄りに2本の切り溝62aが形成され、その間にばね作用を有した板ばね部63が形成されている。爪部64は、この板ばね部63の先端部より折曲延出され、板ばね部63とともに全体としてL字形状をなしている。爪部64を差込部61側に向けて押圧すれば、L字体はばね作用により内部空間61d側に没入する動作をなし、押圧をやめれば元の状態に弾性復帰する。また、爪部64の先端の下面(透光板15を向く面)に装着用のガイド面64aが形成され、先端が尖鋭形状をなしている。
【0035】
この端部キャップ60は、格子子状材Kに取り付けられると、
図4(e)(f)に示すように、格子子状材Kの外面と略面一となり、見栄えにおいて一体感が創出される。また、本体部62の厚板側の端面および両方の側面には線模様62bが施され、格子子状材Kにも長手方向に沿った線模様27、37が施されており、
図4(e)(f)に示すように、相互の線模様27、37,62bがつながり、それによっても格子子状材K、端部キャップ60間の一体感が向上する。
【0036】
格子子状材Kは、両方の端部開口26、36(
図2参照)に端部キャップ60が取り付けられた状態で、框10に取り付けされ、すべての格子子状材Kについて取り付けされることで
図7に示すような格子3が形成される。この格子子状材Kの取り付けについて
図5を参照しながら説明する。
【0037】
格子子状材Kは、透光板15に対して略平行に保持しながら両端部を同時に取り付けるようにしてもよいし、片方ずつ取り付けるようにしてもよい。
図5(a)(b)は、両端部を同時に取り付ける場合の取り付け態様、または、片方ずつ取り付ける場合の後で取り付ける端部の取り付け態様についての手順を示した図である。なお、端部を片方ずつ取り付ける場合の後で取り付ける端部については、格子子状材Kを撓ませながら取り付ければよい。
【0038】
格子子状材Kの取り付けに際して、
図5に示すように、あらかじめ透光板15はその両方の端部が框10の内側面に形成された凹溝11にパッキン12を介して嵌め込まれている。透光板15の両面側において、凹溝11の内面と透光板15との間に隙間17が形成されている。この隙間17の厚みは爪部64の厚みと略同一であることが望ましい。
【0039】
格子子状材Kの端部と框10の内側面との位置合わせをして、略平行状態を保ちながら押し付けるように透光板15に近づけていくと、端部キャップ60の爪部64が内側面に当たり内部空間61d側に没入していく(
図5(a)参照)。格子子状材Kを透光板15に接触するまで近接させると、爪部64が隙間17の位置に到達するため、没入していた爪部64が弾性復帰して隙間17に挿入される(
図5(b)参照)。
【0040】
爪部64の先端にはガイド面64aが形成されているため、そのガイド面64aが框10の外側角部13にあたるような操作をすれば格子材をスムーズに装着することができる。図例のもののように、框10に面取り部があれば、その面にガイド面64aを滑らすようにして押し付け操作をすればよい。また、本体部61aが先細りの楔形状となっているため、格子子状材Kの両端部の端部キャップ60を同時に装着する場合に取り付けがしやすくなる。また、本体部62は外面側が厚く、透光板15側が薄く形成されているため、外面側では端部キャップ60と框10との間に隙間が生じにくく、外観が悪くなることを防止できる。
【0041】
縦格子材20、横格子材30のいずれについても、上記の操作をすればよい。格子子状材Kを透光板15に平行にした状態で押し付け操作をすれば両端部の爪部64を同時に隙間17に挿入できる。また、縦格子材20、横格子材30を格子3として一体に形成した状態(
図2(a)参照)でも装着操作を実施することが可能である。したがって、効率的な格子3の取り付けが実施できる。
【0042】
また、端部キャップ60はスプリングなどの他の部材を有さず、かつ端部キャップ60を受ける框10も特殊な構造としなくてもよいため、格子付きパネル1を簡易に低コストで構成することができる。
【0043】
こうして、格子子状材Kの中央部および端部を含む全長について、透光板15や框10からの外れや浮き上がりを防止することができる。なお、格子3は縦格子材20の両面テープ51で透光板15に固着されるから、透光板15の板面上でのずれが発生するおそれはない。そのため、爪部64は隙間17に対して遊挿される程度であってもよい。そのような爪部64でも框10に対して引っ掛かっているため、格子子状材Kの端部の浮き上がりを防止することができる。
【0044】
また、端部キャップ60はスプリングなどの他の部材を有さず、かつ端部キャップ60を受ける框10も特殊な構造としなくてもよいため、格子付きパネル1を簡易に低コストで構成することができる。また、端部キャップ60には他の部材が含まれないため、薄型の格子子状材Kに合わせて薄型化が容易である。
【0045】
上述したように、また
図5(b)にも示してあるように、ブロック材40は縦格子材20の溝内部に収容されているため、ブロック材40の露出がなくすっきりとした外観となり得る。格子子状材K、ブロック材40をともに薄くすれば薄型の格子3を形成することもできる。
【0046】
つぎに端部キャップ60の別例について、
図6を参照しながら説明する。
【0047】
この端部キャップ60は、差込部61(本板部61a、側板部61b、リップ部61c、起立部61e、圧接部61f)、板ばね部63および爪部64については
図4のものと略同形状であり、同様に作用するが、本体部62の形状は
図4のものとは異なる。
【0048】
この本体部62は、鍔状の周縁部より差込部61の突出方向に突出した被せ部65をさらに有している。差込部61と被せ部65との間には所定の寸法の隙間66が形成されている。この端部キャップ60の差込部61を格子子状材Kの端部開口26、36(
図2参照)に挿入すれば、
図6(d)に示すように、被せ部65と差込部61との隙間66に格子子状材Kの端部が入り込む。
【0049】
ようするに、端部キャップ60を格子子状材Kに嵌め入れることで、同時に格子子状材Kの端部が端部キャップ60側にも嵌め入れられて、相互の嵌合関係が形成される。よって相互の連結関係は強固となる。なお、端部キャップ60が格子子状材Kに装着されると、
図6(e)(f)に示すように、格子子状材Kの外面よりも被せ部65が突出した状態となる。
【0050】
以上の実施形態では、結合部材として格子子状材Kの端部開口26、36を塞ぐ端部キャップ60を例示したが、これには限定されない。端部開口26、36が開口したままで、框10の凹溝11にできた隙間17に爪部64が挿入係止するようなものであってもよい。また、端部キャップ60などの結合部材を用いずに、ブロック材40による接着だけで透光板15上に格子3が形成、固定されるものとしてもよい。
【0051】
以上を要約すれば、本格子付きパネル1はつぎのようなものとされる。すなわち、格子付きパネル1は鏡板15と、鏡板15の周囲を囲む框10と、鏡板15の表面に沿って取り付けられる格子子状材Kとを備えている。この鏡板15は、その周縁端部が框10の内周面に形成された凹溝11に嵌め込まれるものである。格子子状材Kは、その端部に結合部材60が取着される。この結合部材60は、爪部64を有し、その爪部64が、凹溝11に嵌め込まれた鏡板15の周縁端部と凹溝11の内側面との間の隙間17に挿入係止されて、取り付けられる。
【0052】
ようするに、結合部材60は、爪部64で框10に対し挿入係止されるものであればよく、格子子状材Kの端部にはどのような手段で取着されるものであってもよい。つまり、
図4や
図6に例示したような、差込部61を格子子状材Kに対し内嵌めするものでなくてもよい。たとえば外嵌めにて取着するものでもよいし、他の取着手段のものであってもよい。
【0053】
以上には、格子付きパネル1として縦勝ち仕様のものを例示したが、横格子材30が縦格子材20の上(表面側)に配される横勝ち仕様のものにも適用され得る。その場合には当然に、ブロック材40が横格子材30の溝内部に収容されることが望ましく、もちろん両格子材に収容される構成であってもよい。
【0054】
また、ブロック材40が両方の格子子状材Kの溝内部に配される場合は当然に、縦横いずれのブロック材40についても透光板15に両面テープ51で固着されることが望ましい。
【0055】
また以上には、格子付きパネル1として、透光板(鏡板)15の四周を囲む四方框の例を示したが、これには限られず、二方框や三方框のものでもよい。