特許第6978059号(P6978059)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6978059ペプチドおよび/またはタンパク質の送達のための経口医薬投与形態
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6978059
(24)【登録日】2021年11月15日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】ペプチドおよび/またはタンパク質の送達のための経口医薬投与形態
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/30 20060101AFI20211125BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20211125BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20211125BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20211125BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20211125BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20211125BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20211125BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20211125BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20211125BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20211125BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20211125BHJP
   A61K 38/00 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   A61K9/30
   A61K9/19
   A61K47/10
   A61K47/02
   A61K47/32
   A61K47/36
   A61K47/38
   A61K47/34
   A61K47/42
   A61K47/12
   A61K47/26
   A61K38/00
   A61P43/00 111
【請求項の数】19
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2017-567183(P2017-567183)
(86)(22)【出願日】2016年6月27日
(65)【公表番号】特表2018-518520(P2018-518520A)
(43)【公表日】2018年7月12日
(86)【国際出願番号】IB2016053825
(87)【国際公開番号】WO2016207871
(87)【国際公開日】20161229
【審査請求日】2019年6月26日
(31)【優先権主張番号】1511284.0
(32)【優先日】2015年6月26日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】507198875
【氏名又は名称】ユニバーシティ・オブ・ジ・ウィトウォーターズランド・ヨハネスブルク
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF THE WITWATERSRAND, JOHANNESBURG
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ビネス・ピライ
(72)【発明者】
【氏名】リザ・クレール・デュ・トワ
(72)【発明者】
【氏名】ヤーヤ・エソップ・チューナラ
(72)【発明者】
【氏名】ビビ・エフ・チューナラ
(72)【発明者】
【氏名】プラディープ・クマール
(72)【発明者】
【氏名】ピエール・パバン・デマルコ・コンディア
【審査官】 山村 祥子
(56)【参考文献】
【文献】 特表平11−510506(JP,A)
【文献】 特表2011−524890(JP,A)
【文献】 特表2015−512924(JP,A)
【文献】 特表2010−526875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00
A61K 47/00
A61K 38/00
A61K 45/00
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトまたは動物の体の胃腸管(GIT)の腸への医薬活性成分の部位特異的送達のための経口ポリマー医薬製剤であって、
室温または室温付近で固体であり、且つ体温または体温付近で流体である熱応答性共融組成物であって、該共融組成物は架橋剤および活性医薬成分(API)と混合されてAPIロード領域を形成しており、室温が体温よりも低い、熱応答性共融組成物;および
製剤がヒトまたは動物の体の胃にあるときにAPIを保護するための、APIロード領域の少なくとも一部の周囲を取り囲む多孔質ポリマー組成物であって、水が浸入して架橋剤と接触することが可能で、それにより架橋剤が多孔質ポリマー組成物の架橋を引き起こすことを促進し、架橋された多孔質ポリマー組成物が、腸において流体の熱応答性共融組成物の流出を介してAPIの制御された放出を可能にする、多孔質ポリマー組成物
を含んでなり、
該熱応答性共融組成物がメントールおよびセトマクロゴールを含有する、経口ポリマー医薬製剤
【請求項2】
架橋剤が、以下の群:塩、金属塩および電解質の少なくとも1つである、請求項1記載の経口ポリマー医薬製剤
【請求項3】
塩が、ホフマイスター系列の塩の少なくとも1つである、請求項2記載の経口ポリマー医薬製剤
【請求項4】
架橋剤が炭酸ナトリウム(NaCO3)およびリン酸水素二カリウム無水物(K2HPO4)である、請求項2記載の経口ポリマー医薬製剤
【請求項5】
APIが以下の群:アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、環状ペプチド、タンパク質および/または前記のいずれか1つまたはそれ以上を含む生体分子の少なくとも1つである、請求項1〜4のいずれかに記載の経口ポリマー医薬製剤
【請求項6】
APIが以下の群:エンフビルチド;オクトレオチド;シクロスポリン;インスリン;グルカゴン;グルカゴン様ペプチド−1(GLP-1);ポリミキシンおよびコリスチン等のペプチド抗体;ウシ血清アルブミン(BSA)、フェロジピンおよびニモジピン;インターフェロンβ;サケカルシトニン;ウナギカルシトニン;鶏カルシトニン;ラットカルシトニン;ヒトカルシトニン;ブタカルシトニンまたはカルシトニンの任意の遺伝子変異体;副甲状腺ホルモン;副甲状腺ホルモンアナログPTH 1-31NH2;副甲状腺ホルモンアナログPTH 1-34NH2;インスリンの任意の遺伝子変異体;バソプレシン;デスモプレシン;ブセレリン;黄体形成ホルモン放出因子;エリスロポエチン;組織プラスミノーゲンアクチベータ;ヒト成長因子;副腎皮質刺激ホルモン;インターロイキン;エンセファリン;エタネルセプト;アダリムマブ;リツキシマブ;インフリキシマブ;アバタセプト;トラズツマブ;フェグリマイシン;ヘパリン;およびワクチンの少なくとも1つである、請求項1〜5のいずれかに記載の経口ポリマー医薬製剤
【請求項7】
多孔質ポリマー組成物が、以下の群:ポリエチレンオキシド(PEO)、ペクチン、CHT-PEGDMA-MAA(キトサン-ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート−メタクリル酸)コポリマー粒子、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(PEGDMA)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ジェランガム、ゼラチン、ポリ(メタクリル酸−コ−エチルエタクリレート)、キトサン、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)、キサンタンガム、ポロキサマー407、ポリ(アクリル酸)(PAA)、アルギン酸塩、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリホスファゼン、ポリ(d,l−乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)およびポリ(ビニルアルコール)(PVA)の少なくとも1つを含んでなる、請求項1〜6のいずれかに記載の経口ポリマー医薬製剤
【請求項8】
多孔質ポリマー組成物がさらにpH調整剤を含んでなる、請求項1〜7のいずれかに記載の経口ポリマー医薬製剤
【請求項9】
pH調整剤が以下の群:クエン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸およびアスコルビン酸の少なくとも1つである、請求項8記載の経口ポリマー医薬製剤
【請求項10】
多孔質ポリマー組成物がさらに少なくとも1つの添加物を含有する、請求項1〜9のいずれかに記載の経口ポリマー医薬製剤
【請求項11】
少なくとも1つの添加物が、以下の群:
カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、ステアリン酸マグネシウムおよびスクロース、ラクトース、デキストリン、微結晶セルロース、デンプン、プレゼラチン化デンプン、リン酸カルシウム、セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、アラビアガム、モノステアリン酸グリセリン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロース、トラガカントガム、グアーガム、グリセリン、プロピレングリコールおよびポリビニルピロリドン(PVP)の少なくとも1つである、請求項10記載の経口ポリマー医薬製剤
【請求項12】
APIロード領域がヒトまたは動物の体の腸から血流中へのAPIの吸収を促進するための浸透促進剤をさらに含んでなる、請求項1〜11のいずれかに記載の経口ポリマー医薬製剤
【請求項13】
APIロード領域を凍結乾燥して凍結乾燥されたAPIロード領域を形成する、請求項1〜12のいずれかに記載の経口ポリマー医薬製剤
【請求項14】
凍結乾燥されたAPIロード領域が、凍結保護剤、好ましくは該凍結保護剤がスクロース、グルコース、マンニトール、フルクトース、トレハロース、デキストロース、ラクトース、グリセリン、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトアミドまたはホルムアミドである、請求項13記載の経口ポリマー医薬製剤
【請求項15】
多孔質ポリマー組成物がAPIロード領域のコアの周りにシェルを形成するようにAPIロード領域をカプセル化している、請求項1〜14のいずれかに記載の経口ポリマー医薬製剤
【請求項16】
製剤が、いずれも多孔質ポリマー組成物を含んでなる第1および第2の層およびAPIロード領域を含んでなる第3の中間層を含んでなる、請求項1〜15のいずれかに記載の経口ポリマー医薬製剤
【請求項17】
製剤がさらにその周囲にコーティングを含んでなる、請求項1〜16のいずれかに記載の経口ポリマー医薬製剤
【請求項18】
コーティングが、シトクロムP450 3A4(CYP3A4)および/または P糖タンパク質(P-gp)排出ポンプコインヒビターを含有する、請求項17記載の経口ポリマー医薬製剤
【請求項19】
請求項1記載の経口ポリマー医薬製剤の製造方法であって、以下の工程:
室温または室温付近で固体であり、且つ体温または体温付近で流体であって、室温が体温よりも低い、熱応答性共融組成物を形成する;
APIおよび架橋剤を該共融組成物と混合してAPIロード領域を形成する;
多孔質ポリマー組成物を形成する;および
APIロード領域の少なくとも一部を多孔質ポリマー組成物で取り囲む、
を含んでなり、
該熱応答性共融組成物がメントールおよびセトマクロゴールを含有する、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、ヒトまたは動物の体における標的部位への活性医薬成分(API)の部位特異的送達のための経口医薬投与形態に関し、好ましくは、本開示は、特に、ヒトまたは動物の体の腸へのタンパク質および/または ペプチドの部位特異的送達のための医薬投与形態に関する。
【背景技術】
【0002】
薬物、特に錠剤、の経口送達は、最も一般的で広く使用されている薬物投与経路の1つであると考えられており、市場におけるすべての投与形態の約50%を占める(Oh et al., 2012)。経口錠剤は、良好な物理的および化学的安定性、高いレベルの患者認容性および正確な投薬の容易さを提供する、安全かつ費用効果の高い薬物送達システムである(Al-Hilal et al., 2012)。その多くの利点にもかかわらず、経口薬物送達は、特にタンパク質および/またはペプチドのような胃に感受性のバイオ薬物分子の送達に関して、胃腸管(GIT)内での酵素分解、低い膜透過性および全身循環への限定された吸収の問題を考えたときに課題がある(Marques et al., 2011)。タンパク質および/またはペプチドの分解は、特に胃で明らかである。バイオ薬物分子は、バイオテクノロジーを用いて製造されるタンパク質やペプチドなどのバイオ医薬品であるという点で、従来の医薬品とは異なる(Schellack,2010)。それらの複雑さおよび不安定性のために、経口投与経路によってGITにおけるその分解をもたらし得るため、バイオ薬物分子は主として静脈内、皮下または筋肉内に投与される(O'Connor, 2009)。患者のコンプライアンスは、副作用に影響を及ぼし、治療中に経験される多くの要因に起因する、非経口療法における別の障害である。筋肉内注射による皮下適用は、一般に、疼痛、アレルギー反応、低い患者コンプライアンスおよび感染の機会の増加を含む、複数の問題に関連する。
【0003】
治療用タンパク質および/またはペプチドは、それらが複数の疾患状態のために選択される分子であることを可能にするバイオテクノロジーの進歩によって、注目されている(Chin et al., 2012; Park et al., 2011)。タンパク質およびペプチドの高い特異性および活性は、臨床現場における標的化された送達を可能にしている(Brayden and O’Mahony, 1998; Chin et al., 2012; Park et al., 2011)。最近の2013年のPharmaceutical Research and Manufacturers of America (PhRMA)では、100を超える疾患を標的とする、900種を超える開発中のタンパク質およびペプチドベースの医薬品が「開発中のバイオ医薬」として報告されており、そのうち353件が癌および関連疾患、187件が感染性疾患、69件が自己免疫疾患、59件が心血管疾患を対象としている。このことにより、経口経路を介するタンパク質および/またはペプチドの送達の効果的で単純な経路を達成することへの需要と関心が非常に高まっている。
【0004】
タンパク質は、GITの様々な領域に存在するタンパク質分解酵素に対する高い感受性を有する(Zhou、1994)。胃液の酸性の性質は、それまでタンパク質分子が一緒に保持していた内部反発または引力の喪失を引き起こす類似の電荷の獲得によるタンパク質分子の変性および分解をもたらす(Cantor, 1994)。さらに、酵素活性は、タンパク質およびペプチドのアミノ酸および小さな吸収性オリゴペプチドへの加水分解的、不可逆的切断を助長する(Fei et al., 1994; Zhou, 1994)。また、胃におけるタンパク質の化学的消化はペプシンによって誘発され、小さな表面積および上皮の非吸収性の性質のために吸収が最小限である(Lee, 2002)。大部分の吸収は小腸内で起こるが、トリプシン、キモトリプシン、エキソペプチダーゼおよびエンドペプチダーゼなどの膵臓および刷子縁の酵素は、タンパク質およびペプチドの非必須アミノ酸への分解に寄与する(Lee, 2002; Zhou, 1994)。さらに、シトクロムP450は、薬物物質の代謝、およびp-糖タンパク質が介在する薬物分子の細胞内から腸管腔内への流出を促進し、タンパク質およびペプチドの低い吸収性および低い経口バイオアベイラビリティーの原因である(Liu et al., 2009)。
【0005】
タンパク質およびペプチドのための経口送達システムの開発に向けて重要な進歩があったが、この分野は、経口送達を成功させるための物理的および化学的障害として作用するGIT障壁によって制限される(Camenich et al., 1998; Donovan et al., 1990; Park et al., 2011)。タンパク質およびペプチドの経口送達における合併症を標的とする医薬技術およびアプローチは、場合によっては有用であるにもかかわらず、最適送達を可能にする制限を有する(Park et al., 2011)。したがって、保護および吸収の増加によるタンパク質およびペプチドの経口送達の成功への進歩が活発な研究分野として残っている。
【0006】
多くの場合、医薬投与形態は、GITの異なる部分で様々なpHに負に反応し、および/または投薬形態および/または活性薬物が想定されるように機能するのを妨げる望ましくない副反応を引き起こす体温に曝される。例えば、そのような副作用は、活性医薬成分(API)に悪影響を与える可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
GIT内、典型的には腸内、の特定の標的部位にGIT感受性APIを送達するのに有効な医薬投薬形態が必要とされている。
【0008】
特に、以下の少なくとも1つ:タンパク質および/またはペプチド活性の分解を伴わずに胃を通過することができること、前記タンパク質および/またはペプチドをGIT内の特定の部位に送達すること;特定部位における血流への前記タンパク質および/またはペプチドの吸収を促進すること;望ましくない副作用を受けないこと;および特定の部位で前記タンパク質および/またはペプチドを制御された様式で送達することができること、によりタンパク質および/またはペプチドの送達に有効な医薬投与形態が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、ヒトまたは動物の体の胃腸管(GIT)の腸への医薬活性成分(API)の部位特異的送達のための経口ポリマー医薬投与形態であって、
室温または室温付近で固体であり、且つ体温または体温付近で流体である熱応答性共融組成物であって、該共融組成物は架橋剤および活性医薬成分(API)と混合されてAPIロード領域を形成しており、室温が体温よりも低い、熱応答性共融組成物;および
投与形態がヒトまたは動物の体の胃にあるときにAPIを保護するための、APIロード領域の少なくとも一部の周囲を取り囲む多孔質ポリマー組成物であって、水が浸入して架橋剤と接触することを可能にし、それにより架橋剤が多孔質ポリマー組成物の架橋を引き起こすことを促進し、架橋された多孔質ポリマー組成物が、腸において流体の熱応答性共融組成物の流出を介してAPIの制御された放出を可能にする、多孔質ポリマー組成物
を含んでなる経口ポリマー医薬投与形態が提供される。
【0010】
「流体」なる語は、本発明を説明するとき、固体または剛体ではなく、固定された形状を持たず、外圧によって容易に形状が変わるものと理解される。室温なる語は、約15℃〜約30℃の範囲の任意の温度、好ましくは約18℃〜約26℃の範囲の任意の温度であると理解される。体温なる語は、約35℃〜約42℃の範囲の任意の温度、好ましくは約36℃〜約38℃の範囲の任意の温度、さらに好ましくは約37℃であると理解される。
【0011】
多孔質ポリマー組成物の架橋形成は、多孔質ポリマー組成物のAPIロード領域に実質的に近位の領域内で起こり、使用時に in situ で架橋された領域が実質的にAPIロード領域の近位に形成される。
【0012】
熱応答性共融組成物は、メントールおよびセトマクロゴールを含んでいてもよい。
【0013】
架橋剤は、以下の群:塩、金属塩および電解質の少なくとも1つであり得るが、これらに限定されない。塩は、ホフマイスター系列の塩の少なくとも1つであってよい。本発明の好ましい実施形態において、架橋剤は、炭酸ナトリウム(NaCO3)およびオルトリン酸水素二カリウム無水物(K2HPO4)であり得る。
【0014】
APIは、GITの一部の好ましくないpH条件のために、GITにおいて不安定なAPIであり得る。APIは、GITの一部で好ましくない反応を受けたり、分解するAPIであり得る。APIは温度の影響を受けやすく体温付近で分解するAPIであり得る。APIは、GITの一部ではほとんど吸収されないAPIであり得る。APIは、GITに影響を受けやすいAPIであり得る。
【0015】
APIは、以下の群:アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、環状ペプチド、タンパク質および/または前記のいずれか1つまたはそれ以上を含む生体分子の少なくとも1つであってよい。APIはカルシウムチャンネルブロッカーまたは抗血液凝血剤であってもよい。
【0016】
APIは、以下の群:エンフビルチド;オクトレオチド;シクロスポリン;インスリン;グルカゴン;グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1);ポリミキシンおよびコリスチン等のペプチド抗体;ウシ血清アルブミン(BSA)、フェロジピンおよびニモジピン;インターフェロンβ;サケカルシトニン;ウナギカルシトニン;鶏カルシトニン;ラットカルシトニン;ヒトカルシトニン;ブタカルシトニンまたはカルシトニンの任意の遺伝子変異体;副甲状腺ホルモン;副甲状腺ホルモンアナログPTH 1-31NH2;副甲状腺ホルモンアナログPTH 1-34NH2;インスリンの任意の遺伝子変異体;バソプレシン;デスモプレシン;ブセレリン;黄体形成ホルモン放出因子;エリスロポエチン;組織プラスミノーゲンアクチベータ;ヒト成長因子;副腎皮質刺激ホルモン;種々のインターロイキン;エンセファリン;エタネルセプト;アダリムマブ;リツキシマブ;インフリキシマブ;アバタセプト;トラズツマブ;フェグリマイシン;ヘパリン;および全ての既知のワクチンの少なくとも1つであってよいが、これらに限定されない。
【0017】
多孔質ポリマー組成物は、以下の群:ポリエチレンオキシド(PEO)、ペクチン、CHT-PEGDMA-MAA(キトサン-ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート−メタクリル酸)コポリマー粒子、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(PEGDMA)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ジェランガム、ゼラチン、ポリ(メタクリル酸−コ−エチルエタクリレート)(Eudragit)、キトサン、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)、キサンタンガム、ポロキサマー407、ポリ(アクリル酸)(PAA)、アルギン酸塩、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリホスファゼン、ポリ(d,l−乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)およびポリ(ビニルアルコール)(PVA)の少なくとも1つであってよいが、これらに限定されない。
【0018】
多孔質ポリマー組成物はさらに少なくとも1つの添加物を含有してもよい。この少なくとも1つの添加物は、以下の群:
カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、ステアリン酸マグネシウムおよびスクロース、ラクトース、デキストリン、微結晶セルロース、デンプン、プレゼラチン化デンプン、リン酸カルシウム、セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、アラビアガム、モノステアリン酸グリセリン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロース、トラガカントガム、グアーガム、グリセリン、プロピレングリコールおよびポリビニルピロリドン(PVP)の少なくとも1つであってよいが、これらに限定されない。
【0019】
多孔質ポリマー組成物はさらにpH調整剤を含んでいてもよい。pH調整剤は、以下の群:クエン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸およびアスコルビン酸の少なくとも1つであってよいが、これらに限定されない。pH調整剤の使用は、微小環境でのpHを低下させ、APIを損傷および/または分解し得る酵素活性にとって最適な環境が変わる。微小環境でのpHの低下は一過性のものである。
【0020】
APIロード領域は、ヒトまたは動物の体の腸から血流中へのAPIの吸収を促進するための浸透促進剤を含んでいてもよい。浸透促進剤は、以下の群:
メントール、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、ノニルフェノキシポリオキシエチレン、グリコール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウム、オレイン酸、カプリル酸、ラウリン酸、カプリン酸ナトリウム、アシルカルニチン、アシルコリン、カプリル酸ナトリウム、サリチル酸塩、シネオールN−スルファノ−N,O−カルボキシメチルキトサン、N−トリメチル化塩化物(TMC)、キトサングルタメート、閉鎖帯トキシン(Zot)、およびポリカルボフィル−システインコンジュゲート(PCP−Cys)の少なくとも1つであってよいが、これらに限定されない。
【0021】
熱応答性共融組成物は、架橋剤とAPIを混合してAPIロード領域を形成する前に凍結乾燥してもよい。
【0022】
凍結乾燥された熱応答性共融組成物は凍結保護剤を含み得る。凍結保護剤は、スクロース、グルコース、マンニトール、フルクトース、トレハロース、デキストロース、ラクトース、グリセリン、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトアミドまたはホルムアミドであってよい。
【0023】
経口ポリマー医薬投与形態はさらに、その周囲にコーティングを含んでいてもよい。
コーティングはAPIロード領域および/または多孔質ポリマー組成物を包み込むことができる。コーティングは、GITの胃においてAPIを分解および/または損傷から保護することができる。コーティングは、使用時に、投与形態の腸への粘膜付着を促進し得る。
【0024】
コーティングは、以下の群:プロラミン(ゼインおよび/またはグリアジン等)、Eudragit L100、Eudragit S100、シェラック、エチルセルロースおよび酢酸フタル酸セルロース(CAP)の少なくとも1つを含んでいてもよいが、これらに限定されない。
【0025】
コーティングはさらに、可塑剤および/または保存剤を含んでいてもよい。
【0026】
コーティングはさらに、使用時に、APIの代謝を低減し、膜を介する流出を抑制するために、シトクロムP450 3A4(CYP3A4)および/またはP糖タンパク質(P−gp)排出ポンプコインヒビターを含んでいてもよい。コインヒビターは、以下の群:
ステアリン酸ポリオキシル40(Myrj(登録商標) 52)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル (Brij(登録商標) 30)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポロキサマーおよびD−α−トコフェリル ポリ(エチレングリコール)サクシネート 1000の少なくとも1つであってよいが、これらに限定されない。
【0027】
コーティングはさらに少なくとも1つの第2の添加物を含んでいてもよい。少なくとも1つの第2の添加物は、以下の群:グリセロール(GLY)、トリエチレングリコール(TEG)、酒石酸ジブチル(DBT)、ポリエチレングリコール 300(PEG)、オレイン酸、レブリン酸、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、ソルビン酸、四級アンモニウム塩、フェノールおよびクレゾールのいずれかであってよいが、これらに限定されない。
【0028】
本発明の第1の実施形態例では、投与形態は、多孔質ポリマー組成物がAPIロード領域のコアの周囲にシェルを形成するようにAPIロード領域をカプセル化している多孔質ポリマー組成物を含み得る。この第1の実施形態例は、タマネギのように同心円状に層をなしていてもよい。この第1の実施形態例は、コーティングによってカプセル化されていてもよい。
【0029】
本発明の第2の実施形態例では、投与形態は、いずれも多孔質ポリマー組成物を含んでなる第1および第2の層、ならびにAPIロード領域を含んでなる第3の中間層を含んでいてもよい。この第2の実施形態例は、サンドイッチ状に層をなしていてもよい。この第2の実施形態例は、コーティングによってカプセル化されていてもよい。
【0030】
本発明の第2の態様によれば、ヒトまたは動物の体の胃腸管(GIT)の腸への医薬活性成分の部位特異的送達のための経口ポリマー医薬投与形態の製造方法であって、以下の工程:
室温または室温付近で固体であり、且つ体温または体温付近で流体であって、室温が体温よりも低い、熱応答性共融組成物を形成する;
APIおよび架橋剤を該共融組成物と混合してAPIロード領域を形成する;
多孔質ポリマー組成物を形成する;および
APIロード領域の少なくとも一部を多孔質ポリマー組成物で取り囲む、
を含んでなる製造方法が提供される。
【0031】
共融組成物を形成する工程は、共溶融法を含み得る。共溶融法は、メントールを溶融した後、溶融したメントールにセトマクロゴールを添加することを含み得る。
【0032】
共融組成物を形成する工程は、凍結保護剤の添加を含み得る。
【0033】
この方法はさらに、APIロード領域を形成する工程の前に共融組成物を凍結乾燥する工程を含んでいてもよい。
【0034】
多孔質ポリマー組成物を形成する工程は、少なくとも2つのポリマーを共に配合および/または混合および/または反応させることを含み得る。
【0035】
APIロード領域の少なくとも一部を取り囲む工程は、多孔質ポリマー組成物の第1の層に、APIロード領域の第2の層を重ね、さらに該第2の層に多孔質ポリマー組成物の第3の層を重ね、この3つの層を錠剤に圧縮することを含み得る。この錠剤は、本発明の第1の態様の経口医薬投与形態であり得る。
【0036】
APIロード領域の少なくとも一部を取り囲む工程は、錠剤成形機の使用を含み得る。
【0037】
本方法はさらに、投与形態をコーティングで包むさらなる工程を含み得る。
【0038】
図面および/または実施例を参照して、本明細書に実質的に記載、説明および/または例示した経口ポリマー医薬投与形態および経口ポリマー医薬投与形態の製造方法について開示する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
以下、本開示の実施形態を、単なる例示として、そして添付する以下の図面を参照して、記載する。
図1】本発明の第1の態様に従う経口投与形態の模式図である。(a) 使用前、(b) in situ;(c) 多孔質ポリマー組成物がpH調整剤を含む;(d) 第1のコーティングが多孔質ポリマー組成物を取り囲んでおり、コーティングがCYP3AおよびP-gp 排出ポンプインヒビターを含む。
図2a】ネイティブな共融成分メントールのTMDSCサーモグラムを示す。
図2b】ネイティブな共融成分 セトマクロゴールのTMDSCサーモグラムを示す。
図2c】配合共融粉末(メントール:セトマクロゴール(3:1)(熱応答性共融組成物))のTMDSCサーモグラムを示す。
図3】共融成分A(メントール)およびB(セトマクロゴール)を70%:30%の組成で含有する配合物の共融点を示す、共融粉末溶融物(熱応答性共融組成物)の二元系状態図を示す。
図4】共融成分:メントール、セトマクロゴールおよび配合共融粉末(メントール:セトマクロゴール(3:1)(熱応答性共融組成物))の主要な熱分解事象を示すTGAプロファイルを示す。
図5】ATR-FTIR透過スペクトルを示す。a)ネイティブな化合物PEO、架橋剤(炭酸ナトリウム[NaCO3]およびオルトリン酸水素二カリウム [K2HPO4])および配合共融粉末(熱応答性共融組成物)のスプリットスペクトル;およびb)in vitro 架橋(IVC)製剤(PEO 1%;50mg 炭酸ナトリウム[NaCO3];50mg オルトリン酸水素二カリウム [K2HPO4])およびそれぞれ架橋剤濃度75mg, 100mgおよび125mg(15% w/w、20% w/wおよび25% w/wの架橋剤濃度に相当)を含有するin situ 架橋製剤F4、F6およびF8(ペクチンなし)のスプリットスペクトル。a)において四角で囲んだ部分は、IVC製剤および共融錠剤の20% w/wおよび25% w/wの製剤濃度で観察された特徴的な炭酸ナトリウムピークを示す。b)において四角で囲んだ部分は新たなバンドの形成を示す。
図6a】a)圧縮力から作成された典型的な力−時間(force-time)および力−距離(force-distance)プロファイルを示す。
図6b】b)浸透力から作成された典型的な力−時間(force-time)および力−距離(force-distance)プロファイルを示す。
図7】本発明の投与形態のテクスチャ解析結果のグラフを示す。a)表面およびコアマトリックスの硬さ(N.mm2)、およびb)マトリックスの弾性(%);
図8】回折角2θ(deg)に対する反射強度(cps)の関数としての、粉末XRDスペクトルを示す。a)共融成分セトマクロゴール、b)共融成分メントールおよびc)配合共融粉末(メントール:セトマクロゴール/3:1)(熱応答性共融組成物)。
図9a】(a)F1〜F5についての24時間の膨潤率(%)を示すプロファイルを示す。
図9b】(b)F6〜F10についての24時間の膨潤率(%)を示すプロファイルを示す。
図9c】(c)F11〜F15についての24時間の膨潤率(%)を示すプロファイルを示す。
図9d】d)24時間後の錠剤乾燥重量の関数としての製剤F1〜F15の浸食率(%)を示すプロファイルを示す。
図10】走査電子顕微鏡写真(SEM)(倍率 ±2700x)を示す。a)共融形成前のセトマクロゴール、b)共融形成前のメントールおよびc)共融組成物(メントール:セトマクロゴール/3:1)の配合共融粉末(熱応答性共融組成物)
図11a】本発明の投与形態からのBSA(APIの例)の放出分率を示す。a)製剤1〜5
図11b】本発明の投与形態からのBSA(APIの例)の放出分率を示す。b)製剤6〜10
図11c】本発明の投与形態からのBSA(APIの例)の放出分率を示す。c)製剤11〜15
図12】配合共融粉末(EPB)(熱応答性共融組成物)不含錠剤、EPM-60mg (EPB - 12% w/w)、EPM-90mg (EPB - 18% w/w)およびEPM-120mg (EPB 24% w/w)を含んでなるBSAロード錠剤のex vivoでの浸透プロファイルを示す。
図13】投与形態の統計的最適化を示す。(a)所望の標的化された応答を有する投薬形態を製造するための変数を示す望ましさのプロット、および変数の(b)膨潤率、(c)浸食率および(d)平均溶解時間に対する効果を示す応答面プロット
図14】最適な製剤からのBSA(APIの例)の放出分率を示す。
図15】24時間にわたるSHIF(pH6.8)中の最適化された製剤の磁気共鳴イメージング(MRI)を示す。
図16】第1のコーティングの平均粘膜付着率(%)を示す。
図17】種々濃度のpH調整剤を含有する製薬間の微小環境pHの変化を示す。
図1813C固相NMRスペクトルを示す。a)キトサン、b)TMC、c)MAA、およびd)TMC-PEGDMA-MAA(第2のコーティング)スピニングサイドバンドCOピーク
図19】(a)PEGDMA、(b)PMAA、(c)TMC、(d)TMC-PEGDMA-MAAの結晶性の強度を表す回折図を示す。
図20】a)胃液媒体およびb)腸液媒体における、定ひずみ0.1%を用いた、貯蔵弾性率(G ')および損失弾性率(G ")を表す振動曲線(oscillation curve)を示す。
図21】実験用経口微粒子でのウサギの組織サンプルの組織学的評価。a)腸粘膜陰窩が正常な腸粘膜を確認する(倍率10倍)、b)正常な上皮を示す腸粘膜(倍率10倍)。
【発明を実施するための形態】
【0040】
発明の詳細な記載
本発明の具体的な、但し非限定的な、実施形態を記載する。
【0041】
本発明の第1の態様によれば、ヒトまたは動物の体の胃腸管(GIT)の腸への活性医薬成分(API)の部位特異的送達のための経口ポリマー医薬投与形態が提供される。
【0042】
本発明の投与形態は、熱応答性共融組成物を含んでなる。熱応答性共融組成物は、室温または室温付近で固体であり、体温または体温付近で流体であり、室温は体温よりも低い。典型的には、共融組成物を架橋剤および活性医薬成分(API)と混合してAPIロード領域を形成する。
【0043】
APIは、GITの一部での好ましくないpH条件よって、GITにおいて不安定なAPIであり得る。APIは、好ましくない反応を受けるAPIであり得、および/またはGITの一部で分解するAPIであり得る。APIは、温度に対し感受性であり、おおおよそ体温で分解するAPIであり得る。APIは、GITの一部ではほとんど吸収されないAPIであり得る。APIは、GITに感受性のAPIであり得、少なくとも部分的に分解する、および/または少なくとも部分的に構造的に損なわれる、および/またはGIT(特にGITの胃の領域)を通ることで少なくとも部分的に非活性になるAPIであり得ると理解される。
【0044】
APIは、アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、環状ペプチド、タンパク質および/または前記のいずれか1つまたはそれ以上を含む生体分子であり得る。APIはカルシウムチャンネルブロッカーまたは抗血液凝固剤であり得る。本発明の好ましい実施形態では、APIは、典型的には、腸で吸収される前に胃で分解するタンパク質および/またはペプチドである。
【0045】
本発明の投与形態はさらに、多孔質ポリマー組成物を含んでなる。典型的には、多孔質ポリマー組成物は、APIロード領域を少なくとも部分的に取り囲んでいる。多孔質ポリマー組成物によって少なくとも部分的に取り囲まれたAPIロード領域は、投与形態がヒトまたは動物の体の胃に存在するときに、APIを保護する。使用時に、多孔質ポリマー組成物は、水が浸入して架橋剤と接触することを可能にし、それにより架橋剤が多孔質ポリマー組成物の架橋を引き起こすことを促進する。架橋された多孔質ポリマー組成物は、腸において流体の熱応答性共融組成物の流出を介してAPIの制御された流出を可能にする。
【0046】
多孔質ポリマー組成物の架橋は、典型的には、多孔質ポリマー組成物のAPIロード領域に実質的に近い領域で起こり、使用時に in situ の架橋領域が、APIロード領域に実質的に近い領域で形成される。
【0047】
本発明の第1の態様の投与形態は、多孔質ポリマー組成物の is situ 架橋をもたらす。
【0048】
ヒトおよび/または動物が経口で投与形態を摂取する前は、共融組成物は固体である。投与形態がヒトまたは動物の口に入り、そして胃に入った後、共融組成物の温度は実質的に体温まで上昇し、そこで共融組成物は流体になり、および/または共融組成物は柔らかくなり、および/または溶融し、および/または部分的に液体となる。本特許明細書の文脈において、用語「流体」は、本発明を説明するとき、固体または剛体ではなく、固定した形状を有さず、外圧によって容易に形状が変化するものと理解される。室温は、約15℃〜約30℃の範囲の任意の温度、好ましくは約18℃〜約26℃の範囲の任意の温度であると理解される。体温なる用語は、約35℃〜約42℃の範囲の任意の温度、好ましくは約36℃〜約38℃の範囲の任意の温度、さらに好ましくは約37℃であると理解される。
【0049】
一般的に、共融混合物は、液体の状態では完全に混和性であるが固体の状態では非常に制限された2種類の結晶成分の物理的な混合物である。共融の融点は、混合物に含まれる成分のいずれの融点よりも低い(Arnikar et al., 1992;Sharma et al., 2012)。
【0050】
熱応答性共融組成物は、メントールおよびセトマクロゴールを含んでなる。驚くことに、共融組成物は室温または室温付近で固体であり、体温または体温付近で流体であり、室温は体温よりも低い。
【0051】
架橋剤は、以下の群:塩、金属塩および電解質の少なくとも1つであり得るが、これらに限定されない。塩は、ホフマイスター系列の塩の少なくとも1つであり得る。本発明の好ましい実施形態では、架橋剤は炭酸ナトリウム(NaCO3)およびオルトリン酸水素二カリウム無水物(K2HPO4)であり得る。
【0052】
APIは、以下の群:エンフビルチド;オクトレオチド;シクロスポリン;インスリン;グルカゴン;グルカゴン様ペプチド−1(GLP-1);ポリミキシンおよびコリスチン等のペプチド抗体;ウシ血清アルブミン(BSA);フェロジピンおよびニモジピン;インターフェロンβ;サケカルシトニン;ウナギカルシトニン;鶏カルシトニン;ラットカルシトニン;ヒトカルシトニン;ブタカルシトニンまたはカルシトニンの任意の遺伝子変異体;副甲状腺ホルモン;副甲状腺ホルモンアナログPTH 1-31NH2;副甲状腺ホルモンアナログPTH 1-34NH2;インスリンの任意の遺伝子変異体;バソプレシン;デスモプレシン;ブセレリン;黄体形成ホルモン放出因子;エリスロポエチン;組織プラスミノーゲンアクチベータ;ヒト成長因子;副腎皮質刺激ホルモン;様々なインターロイキン;エンセファリン;エタネルセプト;アダリムマブ;リツキシマブ;インフリキシマブ;アバタセプト;トラズツマブ;フェグリマイシン;ヘパリン;並びに既知のワクチンの少なくとも1つであり得るが、これらに限定されない。
【0053】
多孔質ポリマー組成物は、以下の群:ポリエチレンオキシド(PEO)、ペクチン、CHT-PEGDMA-MAA(キトサン-ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート−メタクリル酸)コポリマー粒子、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(PEGDMA)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ジェランガム、ゼラチン、ポリ(メタクリル酸−コ−エチルエタクリレート)(Eudragit)、キトサン、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)、キサンタンガム、ポロキサマー407、ポリ(アクリル酸)(PAA)、アルギン酸塩、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリホスファゼン、ポリ(d,l-乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)およびポリ(ビニルアルコール)(PVA)の少なくとも1つであり得るが、これらに限定されない。
【0054】
多孔質ポリマー組成物は、好ましくはさらに少なくとも1つの添加物を含む。少なくとも1つの添加物は、以下の群:カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、ステアリン酸マグネシウムおよびスクロース、ラクトース、デキストリン、微結晶セルロース、デンプン、プレゼラチン化デンプン、リン酸カルシウム、セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、アラビアガム、モノステアリン酸グリセリン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロース、トラガカントガム、グアーガム、グリセリン、プロピレングリコールおよびポリビニルピロリドン(PVP)の少なくとも1つであり得るが、これらに限定されない。
【0055】
多孔質ポリマー組成物はさらにpH調整剤を含んでもよい。pH調整剤は、以下の群:フマル酸, コハク酸, 酒石酸, リンゴ酸およびアスコルビン酸の少なくとも1つであり得るが、これらに限定されない。使用時、pH調整剤は、微小環境でのpHを低下させ、腸でAPIを損傷および/または分解し得る酵素活性にとって最適な環境を変える。微小環境でのpHの低下は一過性のものである。言い換えれば、投与形態が腸に到達すると、pH調整剤が作用して投与形態の周囲の微小環境のpHを低下させ、APIを損傷および/または変性させ得る腸内酵素の作用を妨げる。
【0056】
APIロード領域はさらにヒトまたは動物の体の腸から血流中へのAPIの吸収を促進するための浸透促進剤を含みうる。浸透促進剤は、以下の群:メントール、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、ノニルフェノキシポリオキシエチレン、グリコール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウム、オレイン酸、カプリル酸、ラウリン酸、カプリン酸ナトリウム、アシルカルニチン、アシルコリン、カプリル酸ナトリウム、サリチル酸塩、シネオール N−スルファノ−N,O−カルボキシメチルキトサン、N−トリメチル化塩化物(TMC)、キトサン グルタメート、閉鎖帯トキシン(Zot)、およびポリカルボフィル−システインコンジュゲート(PCP-Cys)の少なくとも1つであってよいが、これらに限定されない。
【0057】
出願人は、共融組成物のメントールが使用時に浸透促進剤として機能することを見出した。使用時に、API領域の腸への出口がメントールを腸壁組織と接触させ、そこで浸透促進剤として作用して、腸の壁から血流中へのAPIの移行が促進される。
【0058】
共融組成物は、典型的には、架橋剤とAPIを混合してAPIロード領域を形成する前に凍結乾燥し、凍結乾燥された共融組成物を形成する。凍結乾燥の間にメントールが昇華し組成物から除去されることが知られているので、組成物中にメントールを保持したい場合において凍結乾燥は不利であることが知られている。
【0059】
凍結乾燥された熱応答性共融組成物は、典型的には、メントールの昇華を妨げるため、スクロース等の凍結保護剤を含む。
【0060】
出願人は、メントールおよびセトマクロゴールを含有する共融組成物が室温または室温付近で固体であり、かつ体温または体温付近で流体であることを見出した。したがって、凍結乾燥後、メントールが共融組成物中に保持されていることが重要である。さらに、投与形態の使用時にメントールが浸透促進剤として作用するためには、APIロード領域の一部としてメントールが保持されていることが重要である。
【0061】
経口ポリマー医薬投与形態はさらにその周囲にコーティングを含み得る。コーティングはGITの胃においてAPIを分解および/または損傷から保護し得る。コーティングは、使用時に投与形態の腸への粘膜付着を増強し得る。腸への付着は腸でのAPIの放出を促進し、ひいてはAPIの吸収を促進する。
【0062】
コーティングは、以下の群:プロラミン(ゼインおよび/またはグリアジン等)、Eudragit L100、Eudragit S100、シェラック、エチルセルロースおよび酢酸フタル酸セルロース(CAP)の少なくとも1つを含んでいてもよいが、これらに限定されない。
【0063】
コーティングはさらに、可塑剤および/または保存剤を含んでいてもよい。
【0064】
コーティングはさらに、使用時に、APIの代謝を低減し、膜を介する排出を抑制するために、シトクロムP450 3A4 (CYP3A4)および/またはP糖タンパク質(P-gp)排出ポンプコインヒビターを含んでいてもよい。コインヒビターは、以下の群:
ステアリン酸ポリオキシル40(Myrj(登録商標) 52)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル (Brij(登録商標) 30)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポロキサマーおよびD−α−トコフェリル ポリ(エチレングリコール)サクシネート 1000の少なくとも1つであってよいが、これらに限定されない。
【0065】
コーティングはさらに少なくとも1つの第2の添加物を含んでいてもよい。少なくとも1つの第2の添加物は、以下の群:グリセロール(GLY)、トリエチレングリコール (TEG)、酒石酸ジブチル(DBT)、ポリエチレングリコール 300(PEG)、オレイン酸、レブリン酸、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、ソルビン酸、四級アンモニウム塩、フェノールおよびクレゾールのいずれかであってよいが、これらに限定されない。
【0066】
本発明の第1の実施形態例では、投与形態は、多孔質ポリマー組成物がAPIロード領域のコアの周囲のシェルを形成するようにAPIロード領域をカプセル化している多孔質ポリマー組成物を含み得る。この第1の実施形態例は、タマネギのように同心円状に層をなしていてもよい。この第1の実施形態例は、コーティングによってカプセル化されていてもよい。
【0067】
典型的には、APIロード領域は、共融組成物(本明細書中、メントールおよびセトマクロゴールが例示される)、API(本明細書中、ウシ血清アルブミン(BSA)と称されるタンパク質が例示される)および架橋剤(本明細書中、炭酸ナトリウムおよびオルトリン酸水素二カリウムが例示される)を含んでなる。使用時に、共融組成物は、架橋剤およびAPIのための担体として作用する。37℃(体温付近)では、多孔質ポリマーアウターシェルから流体が流入するとともに、共融組成物が溶融し、APIロード領域内に含まれる架橋剤により開始されるアウターポリマーシェル(本明細書において特に例示されるPEO)の架橋が可能になる。これにより、取り込まれたAPIと共融組成物を含有するAPIロード領域のすぐ周りを取り囲む(即ち、in situで架橋した領域がAPIロード領域に近接している)in situ で架橋した領域(本明細書では in situで架橋した「インターフェース」ともいう)が生成される。このように、共融組成物は最初に架橋の開始を助け;その後APIロード領域から外へ拡散しながら多孔質ポリマー組成物のアウターシェルを介して腸へAPIを運ぶのを助ける。共融組成物はまた、メントールの存在によって腸の壁をAPIが浸透するのを増強するのを支援する。コーティング(本明細書中、ゼインが含まれることが例示される)は、投与形態が胃を通過する際に損傷から保護し、また腸の壁への付着を促進しAPIの放出と腸の標的部位での吸収を促進する。
【0068】
本発明の第2の実施形態例では、投与形態は、いずれも多孔質ポリマー組成物を含んでなる第1と第2の層、およびAPIロード領域を含んでなる第3の中間層を含んでなり得る。この第2の実施形態例はサンドイッチのように層をなしていてもよい。この第2の実施形態例はコーティングで包まれていてもよい。
【0069】
本発明の第2の態様によれば、ヒトまたは動物の体の胃腸管(GIT)の腸への医薬活性成分の部位特異的送達のための経口ポリマー医薬投与形態の製造方法が提供される。この方法は、以下の工程:
(a)室温または室温付近で固体であり、且つ体温または体温付近で流体であって、室温が体温よりも低い、熱応答性共融組成物を形成する;
(b)APIおよび架橋剤を該共融組成物と混合してAPIロード領域を形成する;
(c)多孔質ポリマー組成物を形成する;および
(d)APIロード領域の少なくとも一部を多孔質ポリマー組成物で取り囲む
を含んでなる。
【0070】
工程(a)は一般に共溶融法を含んでなる。共溶融法は、メントールを溶融した後、溶融したメントールにセトマクロゴールを添加することを含む。
【0071】
工程(a)は一般に凍結保護剤の添加を含む。凍結保護剤はスクロースであってよい。
【0072】
工程(a)は一般に工程(b)に進む前に共融組成物の凍結乾燥を含む。
【0073】
工程(c)は一般に、少なくとも2つのポリマーを共に配合および/または混合および/または反応させることを含む。
【0074】
工程(d)は一般に、多孔質ポリマー組成物の第1の層の上に、APIロード領域の第2の層を重ね、さらに該第2の層の上に多孔質ポリマー組成物の第3の層を重ね、この3つの層を錠剤に圧縮することを含む。錠剤は、本発明の第1の態様の経口医薬投与形態であってよい。
【0075】
工程(d)は、典型的には、以下にさらに詳細に記載する錠剤成形機の使用を含む。
【0076】
本方法は、更なる工程、即ち、投与形態をコーティングで包み込む工程(e)をさらに含んでもよい。
【0077】
図面および/または実施例を参照して、本明細書に実質的に記載、説明および/または例示した経口ポリマー医薬投与形態および経口ポリマー医薬投与形態の製造方法が提供される。
【0078】
出願人は、本発明の第1の態様の投与形態が、経口バイオアベイラビリティーが低い薬物(経口バイオアベイラビリティ<30%)の課題のいくつかを克服するための有用な介入を提供し得ると考える。そのような薬物またはAPIとしては、例えば、高血圧および狭心症の治療に使用されるカルシウムチャネルブロッカー(例えば、フェロジピンおよびニモジピン)が挙げられる(CadarioおよびLeathem, 2003)。より一般的には、本発明の投与形態は、典型的には胃で変性するAPIを保護し、APIの吸収のために腸への部位特異的送達を促進にする。特に、出願人は、本発明が、タンパク質および/またはペプチドAPIの腸への部位特異的送達に非常に適していると考える。
【0079】
図1は、本発明の第1の態様の経口ポリマー医薬投与形態10の使用中の好ましい実施形態の概略図を示す。図1aは、使用前の投与形態10を示す。この好ましい実施形態では、投与形態10はタマネギのように層をなしている。投薬形態10は、室温または室温付近で固体であって、体温または体温付近で流体(室温は体温より低い)の熱応答性共融組成物を含んでなり、共融組成物は架橋剤と活性医薬成分(API)が一緒に混合され、APIロード領域12を形成している。APIロード領域12は、コアとも呼ばれる。
【0080】
投薬形態はさらに、投薬形態がヒトまたは動物の体の胃にあるときにAPIを保護するためにAPIロード領域12をカプセル化する多孔質ポリマー組成物14を含んでなる。多孔質ポリマー組成物14は、シェルとも呼ばれる。
【0081】
使用時には、図1bに示すように、体温または体温付近で、多孔質ポリマー組成物14は水の浸入を可能にし(図1の矢印で示す)、共融組成物は溶融して水と架橋剤との接触を促進して、多孔質ポリマー組成物の、APIロード領域に実質的に近いAPIロード領域を取り囲む領域で多孔質ポリマー組成物の架橋を引き起こし、使用時に、in situの架橋領域16が形成される。この in situ の架橋領域16はAPIロード領域12に実質的に近接している。したがって、共融組成物は最初に架橋の開始を助け;その後APIロード領域から外へ拡散しながら多孔質ポリマー組成物のアウターシェルを介して腸へAPIを運ぶのを助ける。
【0082】
典型的には、APIロード領域12をカプセル化する多孔質ポリマー組成物14の一部は胃液によって胃で浸食される。しかし、多孔質ポリマー組成物14は、APIを胃での分解から保護する。さらに、APIロード領域12に実質的に近接する in situ で架橋された領域16を形成するための、多孔質ポリマー組成物14の in situ の架橋は、胃におけるAPIの放出を制限し、腸内のAPI(標的部位)の放出を促進するように、APIの制御された放出を提供する。
【0083】
図1(c)は、多孔質ポリマー組成物に含まれるpH調整剤18を示す。図1(d)は、多孔質ポリマー組成物を包み、その中にCYP3AおよびP-gp排出ポンプインヒビター22を含むコーティング20を示す。
【実施例】
【0084】
以下の実施例は、本発明をさらに例示するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0085】
本発明の第1の実施形態例では、投与形態は、多孔質ポリマー組成物がAPIロード領域のコアの周囲のシェルを形成するようにAPIロード領域をカプセル化している多孔質ポリマー組成物を含む。この第1の実施形態例は、タマネギのように同心円状に層をなしていてもよい。
【0086】
本発明の第2の実施形態例では、投与形態は、いずれも多孔質ポリマー組成物を含んでなる第1と第2の層、およびAPIロード領域を含んでなる第3の中間層を含む。この第2の実施形態例はサンドイッチのように層をなしていてもよい。
【0087】
本発明の投与形態の例では、製剤F1〜F15は、3つの圧縮層から構成されているが、タマネギ様の構成を有した。製剤F1〜F15において第1の底層と第2の最上層は第3の中間層(APIロード領域)よりも広い面積を有しうる。製剤F1〜F13をコーティングし、コートされた製剤CF1〜CF13を形成した。
【0088】
材料
メントール(2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサノール、純度99%、分子量=156.27g/mol)、セトマクロゴール1000、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)(POLYOX(商標)、WSR-303)、Zein(トウモロコシ由来)、ウシ血清アルブミン(BSA)(活性医薬成分(API)の非限定的な例)(96%以上、アガロースゲル電気泳動)、ポリオキシエチレン40ステアレート(Myrj(登録商標)52)および添加剤、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース(CMC)、ステアリン酸マグネシウム、プロピレングリコール、メチルパラベンおよびスクロースは、Sigma-Aldrich Corp.(St. Louis、MO、USA)から購入した。炭酸ナトリウム(NaCO3)は、Associated Chemical Enterprises(ACE)(Pty)Ltd.(ヨハネスブルグ、ハウテン州、南アフリカ)から購入した。シトラスペクチン(ポリ−D−ガラクツロン酸メチルエステル)、クエン酸(≧99.5%)および無水オルトリン酸水素カリウム(K2HPO4; MW = 174.18 g/mol)はMerck Chemicals(Pty)Ltd(モッダーフォンテイン、ハウテン州、南アフリカ)から購入した。他の試薬はすべて分析等級であり、そのまま使用した。
【0089】
凍結乾燥された熱応答性共融組成物の合成
熱応答性共融組成物を配合粉末として処方した。凍結乾燥された熱応答性配合共融粉末は、共融解法を用いて合成した。
メントールおよびセトマクロゴール1000を、3:1の質量比で共融溶融物の形成のための共融成分として用いた。最初に、メントールを、較正された加熱されたマグネチックスターラーで40±0.5℃の温度に融解した。液体の溶融物が得られるとすぐに、セトマクロゴール1000を溶融したメントールに添加した。セトマクロゴール1000の固体塊が溶融し、溶融メントール内に均一に分布したら、共融溶融物に5%(w/w)濃度の凍結保護剤スクロースを等量加えた。
均一に分布したら、共融溶融物を加熱したマグネチックスターラーから取り出し、300rpmで一定の撹拌下で30分間冷却した。得られた共融溶融物を−80℃の冷凍庫に24時間入れた。その後、凍結した共融解物を48時間凍結乾燥し(Labconco Freeze-Dry Systems, Labconco Corp., Kansas City, MO、USA)、凍結乾燥された配合共融粉末を形成した。典型的には、製剤からメントールを昇華させる方法として凍結乾燥を使用するが、凍結乾燥の工程中にメントールを凍結および乾燥ストレスから保護するために共融溶融物に添加した凍結保護剤の割合を高くした。
【0090】
APIロード領域の調製
凍結乾燥された配合共融粉末組成物を、架橋剤とともに、Minitab(登録商標)V15統計ソフトウエア(Minitab(登録商標)Inc、PA、USA)を使用して、Table 1に示すように、3因子Box-Behnken実験デザインから生成された重量濃度に従って秤量した。得られたBox-Behnken実験デザインは、架橋剤濃度、共融粉末溶融組成物の量、ならびに表面浸食剤の濃度などの様々な処理パラメータによって影響される応答表面法に基づいた(Aslan and Cebeci, 2007)。配合共融粉末組成物、架橋剤(炭酸ナトリウムおよび無水オルトリン酸水素カリウム)および20mgのBSA(APIの例)を量り、混合し、直径5mmのパンチ及びダイスを装着したCarver錠剤成形機(Wabash, Indiana, USA)を使用して、5トンの圧力で直接圧縮し、本発明の投与形態のAPIロード領域を生成した。
【0091】
多孔質ポリマー組成物の調製
以下の本発明の実施形態の例では、投与形態は、いずれも多孔質ポリマー組成物を含んでなる第1と第2の層、およびAPIロード領域を含んでなる第3の中間層を含んでなり得る。この実施形態の例はサンドイッチのように層をなしていてもよい。より具体的には、第1の底層と第2の最上層はいずれも同一の化学組成を含んでなる。
【0092】
本発明のさらなる実施形態の例では、APIロード領域は、多孔質ポリマー組成物で取り囲まれており、外層がAPIロード領域を包むシェルとなり、タマネギ様の構成を有する錠剤を形成している。
【0093】
サンドイッチ様の構成のこの例では、多孔質ポリマー組成物の底層および最上層の両方を、100mgのPEO、12mgのカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、1mgのステアリン酸マグネシウムおよび異なる重量濃度のペクチンを含む、別々の2組の混合粉末をTable 1に示すとおり量り、混合することによって調製した。
【0094】
さらにコーティングし、粘膜接着性を試験した製剤では、Table 1およびTable 2の組み合わせに従って被覆製剤F1〜F13を製剤化した。換言すれば、コーティングされた製剤CF1〜CF13はそれぞれ、pH調節剤(本明細書ではクエン酸が例示される)を、APIロード領域を取り囲む多孔質ポリマー組成物の一部として含有した。






【表1】
【0095】
本発明の3層サンドイッチ様錠剤投与形態の調製
3層サンドイッチ様錠剤の本発明の経口投与形態を製造するため、第1の底層のための混合粉末を、直径10mmのパンチ及びダイスを装着したCarver錠剤成形機(Wabash, Indiana, USA)を使用して、2トンの圧力で直接圧縮し、平らに軽く圧縮された層を生成した。次いで、この軽く圧縮された第1の底層の上にAPIロード領域(第3の中間層)を乗せ、ピンセットを用いて中央に配置した。この第3の中間層の上に錠剤の第2の最上層のための混合粉末を加え、平らにした。次いで、パンチを挿入し、錠剤を、表面が平らなパンチ及びダイス(直径10mm)を装着したCarver錠剤成形機(Wabash, Indiana, USA)を使用し、5トンの圧力で圧縮し、共融領域のコアを有する単一の錠剤を生成した。処理による誤差を最小限にするため、全ての錠剤を同一の条件下で製造した。
【0096】
製剤F1〜F15において、投与形態は3つの圧縮層から構成されているにもかかわらず、タマネギ様の構成を有する。製剤F1〜F15では、第1の底層および第2の最上層は、第3の中間層(APIロード領域)に対してより大きな面積を有し得る。
【0097】
典型的には、底層、中間層および最上層は円形であり、最上層および底層は、中間層と比較してより大きな直径を有する。最上層および底層が同一の化学組成を含んでなる場合、錠剤成形機を用いた圧縮により、外層によってAPIロードコア領域を有する錠剤が取り囲まれており、外層が均一な多孔質ポリマー組成物のシェルである錠剤が生じる。
【0098】
投与形態を包みこむコーティングの調製
Table 1の製剤F1〜F13を加工して、Table 2のとおり、多孔質ポリマー組成物がpH調製剤(クエン酸が例示される)をさらに含む、コーティングされた製剤CF1〜CF13を調製した。次いで、これらの製剤をTable 2および以下のとおりコーティングした。
【0099】
コーティングは、プロラミンベースのポリマーであるゼインを、マグネティックスターラーで300rpmにて一定に攪拌しながら、均一な溶液が形成されるまで70%エタノール−水(Et−HO)溶液に溶解することにより調製した。ゼイン溶液はTable 2に示された重量濃度に従って調製した。プロピレングリコール(20%v/v)およびメチルパラベン(0.2%w/v)をゼイン溶液に添加して、それぞれ可塑剤および防腐剤として機能させた。均一なゼイン溶液が形成されたら、ステアリン酸ポリオキシル40(Myrj(登録商標))(CYP3AおよびP-gp排出ポンプコインヒビターの例として)を5mg/mlの濃度で添加した。溶解したら、3層のサンドイッチ様投与形態の製剤F1〜F13をこの溶液に浸漬被覆し、コーティングされた製剤CF1〜CF13を形成するため、実験用フュームフード下で24時間乾燥させた。
【表2】
【0100】
配合共融粉末組成物の熱力学的挙動の包括的評価
熱分析を用いて、溶融、ガラス転移、相変化およびネイティブな共融成分および配合共融粉末の融解熱などの関係する変化を特徴付けて比較した。共融成分(メントールおよびセトマクロゴール)の温度変調示差走査熱量測定(TMDSC)サーモグラムを図2(a〜b)に示す。
【0101】
メントールは40.44℃ではっきりとした溶融ピーク(T)を示し、これは共融成分の融点(T)に対応した。そのTでメントールを固体から液体に変えるのに必要な単位質量あたりの熱を73.55Jg-1として定量した。メントールサーモグラムにおいてみとめられるベースラインからの最初の吸熱シフトは、28.45℃のガラス転移温度(Tg)を示し、これは材料の軟化およびメントール内の非晶質領域の融解を表す(Widmann et al., 2000)。メントールの加熱を続けると、205.97℃の吸熱沸点(Tb)ピークによって確認された、明らかな重量損失を伴う遷移が生じた(Gabbott, 2008; Widmann et al, 2000)。
【0102】
共融成分のセトマクロゴールの融点は、51.67℃のTおよび154.50Jg-1の融解熱(ΔHm)によって定義された。さらに、セトマクロゴールは46.07℃(T)で溶融が始まり、36.45℃(Tを示す)でメントールに匹敵する吸熱ピークを示した。
【0103】
配合共融粉末と比較した、ネイティブな共融成分のTMDSCサーモグラムの評価では、吸熱ピークは同様で、融点の低下が測定された(図2c)。共融粉末溶融物は、33℃でTを示し、偶然にも33.62℃で観察されたTに対応した。これは、より粘稠で液状の状態への配合共融粉末組成物の非晶質領域の変化を示した(Widmann et al., 2000)。配合共融粉末組成物は、Tpが37.30℃(ほぼ体温)のより低い温度にシフトし、ΔHmが9.56Jg-1であり、メントールまたはセトマクロゴールのいずれのTおよびΔHmよりもかなり低かった。このことは、その配合共融粉末組成物をその融点で液体に変換するのに必要なエネルギーがより少ないことを示した(Gabbott, 2008)。配合共融粉末組成物のTbは、188.01℃のメントールのTbよりも典型的に低く、より低い溶融温度と一致した。210℃〜230℃の間にみられるピークは、昇華プロセス中のるつぼパンホールの開閉に起因する人為的結果であった(Gabbott, 2008)。
【0104】
さらに、TMDSCサーモグラムから得られた共融成分および配合共融粉末組成物の融点に基づいて、二元系状態図を構築した(図3)。典型的に共融系内では、共融温度(Te)は、純粋な成分AおよびBの融点であるTmAおよびTmBよりも低い(Koningsveld et al., 2001)。メントール−セトマクロゴール配合共融粉末組成物中に液相が存在する最も低い温度は、37.30℃(いずれの成分よりも低いTm)であり、70%メントールと30%セトマクロゴールの共融組成物との混合物中に存在した。状態図上のこの点は、3つの相(液体、固体のメントールおよび固体のセトマクロゴール)が共存する共融点として示された(Martin, 1993)。重要と認められたさらなるマーカーは、液相−固相から液相全体を分離した液相線、完全な固相を液体−固相から分離した固相線およびAおよびBの完全な溶融物および結晶をそれぞれ示す液体および固体のマーカーであった。
【0105】
温度の関数としての共融成分および配合共融粉末組成物の質量の変化を、得られた熱重量データから分析した(図4)。結果は、121.28℃に加熱すると試料重量が急激に減少し、199.39℃で残ったサンプルは1.505%にすぎず、メントールの重量損失がはっきりと示された。メントールについて得られたこれらの結果は、205.97℃でのメントールの沸騰とその後の蒸発を示し、サンプル重量の損失を生じたTMDSCデータと同義であった。メントールは、気体反応生成物の形成による典型的な熱分解を示した(Widmann et al., 2001)。セトマクロゴールは、235.73℃で同様の一段階熱分解を示し、398.01℃でほぼ完全な重量損失を示した。対照的に、共融粉末ブレンド組成物は、メントールおよびセトマクロゴールに特徴的な顕著な温度で多段階分解を示した。それぞれの段階的な温度上昇は20〜25%の重量損失を示し、最後の段階では35%の有意な重量損失を示し、9.651%のサンプルしか残らなかった。完全な熱分析は、配合共融粉末組成物の良好な製剤をサポートする関連する情報を決定する上で不可欠であった。この結果は、共融混合物の典型的な特徴である配合共融粉末組成物の融点の低下を間違いなく示した(Sharma et al., 2012)。この結果はさらに、粉末溶融組成物の共融点を明確に示した二元系状態図の形成によってさらに強調された。最後に、熱重量分析により、生成されたTMDSC結果を支持する貴重な分解データが得られた。
【0106】
フーリエ変換赤外分光法(FTIR)による、本発明の製剤F1〜F15による投与形態の化学構造分析
すべてのFTIRサンプルをTable 1に従って調製したが、多孔質ポリマー組成物(またはシェル)からペクチンを抜いた。これは、多孔質ポリマー組成物(またはシェル)のPEOと架橋剤との間で in situ の架橋形成が達成されたことを証明する新しいピークおよびスペクトルの変化の認識を妨げる可能性のあるバックグラウンドピークを排除するために行った。
in vitro 架橋(IVC)製剤(PEO 1%;炭酸ナトリウム50mg;オルトリン酸水素二カリウム50mg)と比較して、ネイティブな化合物PEO、架橋剤(炭酸ナトリウムおよびオルトリン酸水素二カリウム)および配合共融粉末組成物の化学構造における観察された変化、および種々の架橋剤濃度を含有するシュミレートされた in situ 架橋製剤を、ATR-FTIR分割スペクトルにおいて波長に対する透過率(%)の関数として示す(図5a〜b)。
in vitro 架橋(IVC)製剤を以下のとおりに調製した:1%のPEOを蒸留水に一定の磁気攪拌(300rpm)下でPEOがすべて溶解して溶液が形成されるまで溶解させた。その後、50mgの炭酸ナトリウムおよび50mgのオルトリン酸水素二カリウム無水物を添加し、さらに攪拌して架橋を生じさせた。次いで、この液体混合物をFTIRで試験した。
in situ 架橋製剤はすべてペクチンを欠いていた(上記のTable 1に記載された情報とは対照的に)。これらの種々の濃度の架橋剤を示す全ての製剤が同じ透過率スペクトルを示すので、in situ 架橋製剤のスペクトルは、架橋剤濃度(15%W/W、20%W/Wおよび25%W/W)として表される。
【0107】
シミュレートされた in situ 架橋サンプルは、代表的な架橋剤濃度(15%W/W、20%W/Wおよび25%W/W)(ペクチンを含まない)で調製した製剤を、50mLのシミュレートされたヒト腸液(SHIF)pH6.8中に±5時間浸漬して in situ架橋形成のプロセスを可能にすることにより調製した。その後、サンプルをSHIFTから取り出し、48時間凍結乾燥させた。得られた凍結乾燥したin situ製剤を粉末化し、ダイヤモンド結晶に置きFTIRで分析した。
【0108】
15%W/W、20%W/Wおよび25%W/W(ペクチンを含まない)の in situ 架橋サンプル濃度は、強度が減少及び増大するその全ての成分についての特徴的なバンドと、化学架橋剤(炭酸ナトリウムおよびオルトリン酸水素二カリウム)の存在によって開始される in situ 架橋形成による新しいバンドの出現を示した。
【0109】
in vitro 架橋製剤(IVC)および15%W/W、20%W/Wおよび25%W/Wの濃度(ペクチンを含まない)の in situ 架橋製剤の総括的な結合の表示を、図5bに示した特徴的なピークについてTable 3に示す。 in vitro 架橋(IVC)製剤は、15%W/W、20%W/Wおよび25%W/W(ペクチンを含まない)の濃度の in situ 架橋製剤のピークと類似のピークを示し、 in situ のPEOの分子内および分子間の架橋形成を示した。
【0110】
さらに、15%W/W、20%W/Wおよび25%W/W(ペクチンを含まない)の濃度の in situ 架橋製剤は、製剤中のメントールの存在を示す、3248cm-1の低い強度の幅広いピークを示した(Coates, 2000)。










【表3】

in vitro 架橋製剤(IVC)および濃度15%w/w、20%w/w、および25%w/w(ペクチンを含まない)の in situ 架橋製剤についての分割透過率スペクトルにおいて、Table 3に示される、PEOに特徴的ないくつかの結合(>CH2、>CH-、CO、CH)が認められた。
【0111】
ポリマーまたは架橋剤からは特徴的ではない新しいピークが、製剤スペクトルにおいて観察された。このピークは、水素が結合したカルボン酸の特徴であるC=Oの伸縮振動を表し、PEO、炭酸ナトリウムおよび水素二カリウム間の架橋ネットワーク形成を示している。濃度20%のin situ 架橋製剤は、新しいピークについて最も低い透過率(75.05%)を示し、増大した強度と強い結合形成を示唆した。炭酸イオンの面内および面外の屈曲は、すべての製剤について1428-1466cm-1の周波数の範囲で観察された(Coates, 2000; Sreedhar et al., 2012)。このバンドは特徴的に広く、炭酸ナトリウムの強度に匹敵し、結果として in vitro 架橋(IVC)製剤および濃度20%および25%のin situ 架橋製剤について、PEOの狭い低強度のピークが矮小化した。in vitro 架橋(IVC)製剤および濃度20%および25%の in situ 架橋製剤について、1413cm-1でのPEOの天然ピークの消失は、高分子相互作用に起因し、特徴的な炭酸ナトリウムピークの形成を実証した。
【0112】
さらに、炭酸イオンの屈曲は、in vitro 架橋(IVC)製剤および濃度20重量% および25重量%のin situ 架橋製剤について、879-880cm-1および670-701cm-1の間のスペクトルの下端の新しいバンドによって特徴付けられた(Coates, 2000;Sreedhar et al., 2012)。典型的には、得られた結果で証明されたように、炭酸イオンの第1の吸収はブロード且つ高強度であり、第2の吸収はナローで強度は弱〜中程度である(Coates, 2000)。架橋プロセスにおけるオルトリン酸水素二カリウムの影響は、Table 3で特徴付けられる、重複する有機(P=Oコンジュゲーション)および脂肪族(P-O-Cコンジュゲーション)リン酸の伸張振動によって証明された。
【0113】
ATR-FTIR分子および振動の変化からの証拠となる結果から、in vitro 架橋(IVC)製剤との比較によってさらに裏付けられた、調製されたin situ架橋製剤内のin situ架橋が確認された。
【0114】
100mgの架橋剤を含有する in vitro 架橋(IVC)製剤は、100mgの架橋剤を同様に含む濃度20重量%(ペクチンを含まない)のin situ架橋製剤と同一の透過率ピークを示した。
【0115】
濃度15重量%のin situ架橋製剤は、濃度20重量%および25重量%のin situ架橋製剤で観察されたいくつかのピークの強度が低く、他のピークが存在しないことによって示されるように、より低い架橋能力を示した。
【0116】
対照的に、濃度25重量%のin situ製剤は、いくつかのピークについて高い強度を示したが、濃度20重量%のin situ 架橋製剤と比較して、新しいバンドについて中程度の強度が観察された。
【0117】
その結果、濃度20重量%のin situ 架橋製剤は、新しいバンドについて、改良されたコンジュゲーションと優れた架橋能力を示す高い強度を示したので、最適な架橋濃度と考えられた。
【0118】
製剤F1〜F15による投与形態の物理的挙動の定量化
本発明の投与形態(Table 1)の製剤F1〜F15およびペクチンを含む製剤を、マトリックス硬度に関して特徴づけた。製剤を錠剤化し、分析前に液体培地には入れなかったが、それだけではin situ架橋形成を可能にするには不十分なコアの溶融を開始するため37℃に加熱した。
【0119】
製剤の物理機械的挙動を、適用した圧縮力および浸透力に応答した、マトリックス硬度(MH)、マトリックス弾性(MR)および破砕エネルギー(DE)に関して特徴づけた。MH、MRおよびDEは、表面およびコアタブレットのテキスチャープロファイリングで得られた力−時間および力−距離プロファイルから定量化した。表面およびコアタブレットのテキスチャープロファイリングの典型的な力−時間および力−距離プロファイルを図6a〜bに示す。MHの計算のための力は、力−距離プロファイルの上向き勾配の、第1の破砕点までの(アンカー1と2の間)急峻さから決定した。緩い傾きは、接着力および凝集力に対する抵抗が低く、したがってマトリックス強度が低いことを示す(Pillay and Fassihi, 1999)。結果として、より急な勾配は、変形に対する抵抗性の増大、したがってより硬いマトリックスを示す(Pillay and Fassihi, 1999)。
【0120】
MHは、錠剤マトリックスの薬物放出、膨潤、浸食および安定性に影響を及ぼす重要なテクスチャパラメータである。製剤の表面硬度を計算し、その結果を図7aに要約する。共融粉末溶融組成物の最低濃度および架橋剤およびペクチンの最大濃度(Table 1による)に対応する製剤F9は、227.76N.mm2の最大の硬度の値を示した。高い架橋濃度を有する低い濃度の配合共融粉末組成物は、幾分硬いコア共融タブレットを生じる。さらに、錠剤の外殻内に含まれるペクチンは、その良好な圧縮性および流動性のためにある程度の構造的硬さをもたらし、したがって、より大きな硬度の値が得られる。高濃度の配合共融粉末を含有する製剤(F10、F12、F13およびF14)は、より低い硬度の値を示し、変形に対して低い抵抗を有する比較的柔らかいマトリックスを示した。
【0121】
コアマトリックスの硬度は、錠剤の全厚を貫通するニードルプローブを用いて測定した。コアマトリックスの硬度の測定値は、体温を模擬するために37℃に設定した温度制御キャビネットで測定したため、図2のTMDSC結果によって強調されるように、コア共融粉末の予測し得る溶融が避けられなかった。コア共融領域の溶融は、図7aの要約された結果によって証明されるように、製剤F1〜F15について軟質コアマトリックスを生じた。F1〜F15は、製剤F1〜F15の表面マトリックスと比較して、コアマトリックスについて有意に低い硬度値を示した。製剤F1〜F15の全厚を貫通するための典型的な力−距離プロファイルは、図5bに示されており、低い勾配は非常に低い変形抵抗性を示した。
【0122】
力−距離プロファイル(図6b)の上向き勾配における最初の中段は、力が減少した第1の破砕点(fracture point)を示した(Pillay and Danckwerts、2002)。破砕エネルギーまたはDEは、その後の力の減少を生じる、マトリックスの破裂(rupture)を引き起こすのに必要なエネルギーの量である。すべての製剤について、値は、0.0005〜0.006Jの範囲であった。これらの低い反発性の値は、コア共融領域を破砕するのに必要なエネルギーが少ないことを示し、力の減少が明らかであった。しかしながら、力をさらに加えると、ニードルプローブが錠剤の全厚さを貫通し、外側のポリマーシェルの破壊されていない底層と接触したので、図6bに示すように、力のピークは第1の傾きの力の値よりも有意に高った(Pillay and Danckwerts, 2002)。
【0123】
製剤F1〜F15が圧縮力を受けて元の状態に戻る能力をMRとして計算した(Pillay and Fassihi, 1999)。図7bは、40%の一定の歪みを受けたF1〜F15のMRを示す。F7は復元力が最も高く(60.54%)、F10が最も復元力が低かった(39.27%)。これらの値はそれぞれ、共融粉末融解物の低い濃度および高い濃度に対応していた。これは、高濃度の共融粉末溶融物では、より軟質のマトリックスに起因する製剤の柔軟性が減少することを示した。しかしながら、これはすべての製剤の場合に当てはまらず、結果は中央値50%あたりの比較的良好な復元値を示した。
【0124】
典型的には、錠剤のキャラクタリゼーションにおいて、マトリックス硬度および復元性において高い値が最適と考えられる。とはいえ、製剤F1〜F15について得られた結果は、製剤の目的を反映しており、理想的と考えられる。37℃でコア共融領域のより軟らかいマトリックスは、in situ架橋を促進するための最終目標であった(図5b)。表面マトリックス硬度および復元性は、適切な構造的完全性をもたらすには許容できる範囲であった。とはいえ、得られた結果は、凝集力および付着力に対する改善された耐性を有する、構造的な柔軟性、改善された硬度、およびより高い破砕エネルギーをもたらす in situ 架橋のプロセスを反映していない。
【0125】
定性的および定量的評価による配合共融粉末組成物の結晶性分析
共融混合物のスペクトルを、共融成分のメントールおよびセトマクロゴールのXRDスペクトルと比較した(図8)。典型的には、結晶性の成分は、秩序のある(ordered)規則的な(regular)原子配列から生じるXRDスペクトル上の鋭く狭いピークとして現れる。対照的に、アモルファス部分は、原子のランダムで不規則な配置を反映する平坦で広いピークとして現れる。これによれば、共融成分(メントールおよびセトマクロゴール)は、高強度の鋭く狭いピークを示すので、結晶性であると考えられた。対照的に、配合共融粉末は、アモルファス材料の存在を示す広い、低強度のピークを示した。配合共融粉末におけるこれらの違いは、非晶質成分をもたらす製剤中のメントール濃度の増加に起因するものであった。共融混合物の形成は、典型的には、結晶度の低下と、混合物の融点未満のすべての温度でより高い水親和性と改善された溶解度を有する、よりアモルファスな物質の存在をもたらす(Lui et al., 2006; Qui et al., 2009)。熱分析の結果はさらに、共融粉末溶融物について、配合共融粉末内のアモルファス含有量の増加に応答した融点の低下、その後の低下した結晶化度および確認された共融系の存在として得られたXRDデータを支持した。
【0126】
製剤F1〜F15による投与形態の膨潤および浸食挙動の評価
重量の変化を所定の期間にわたってモニターすることにより、製剤F1〜F15(Table 1)(およびペクチンを含む)の膨潤および浸食を分析した。すべての製剤は、図9(a〜c)で得られた膨潤プロファイルによって示されるように、24時間にわたって膨潤の増加を示した。外側のポリマーシェル内に含有されるポリマー材料PEOの多孔性は、製剤F1〜F15について観察された、高度の水取り込みに寄与する主要な要因であった。PEOは、錠剤が溶解媒体と接触したときに水の摂取を促進する細孔を製剤F1〜F15内に生成し、最終的に、観察される膨潤の速度および程度に影響を及ぼす(AhujaおよびPatak、2009; Vlachou et al., 2001)。F1〜F15は、最初の高度な水取り込みで24時間で元の質量の±1000%まで膨潤し、膨潤挙動は150〜250%であった。
【0127】
膨潤挙動の別の主要な決定要因は、生じた架橋の程度である(Kim et al., 2009)。 より高い程度の架橋は、得られた結果によって証明されるように、全体の膨潤能力を低下させる。F7は最も高い膨潤率(1354%)を示し、それに対応して、最も低い架橋剤の濃度(15%)を含有した。同様に、より高い架橋剤濃度(25%)のF8は最も低い膨潤率(1053.93)を示した。これらの結果は、膨潤挙動が、製剤中に含まれる架橋剤の濃度に直接比例することを示した。他の全ての製剤は、製剤中に含まれる架橋剤の濃度に応じて同様の結果を示した。
【0128】
錠剤の浸食挙動は、各製剤F1〜F15中に存在する表面浸食剤の濃度の違いによって影響を受けた。これは、33.96%の低い浸食率を示したF13に含まれる65mgのペクチンと比較して、80mgのペクチンを含有するF1が明らかに高い浸食率(53.97%)を有することを示す、図9dで得られた結果から明らかである。全体として、すべての製剤について24時間後の錠剤の浸食について計算された結果は、相対的に制御された表面浸食を示す50%の中央値あたりに集中した。錠剤は24時間後も特徴的な形状を維持し、結果として提案された目的を達成した。膨潤および浸食の挙動は、空隙率および架橋能力に影響され、制御された放出系における溶解および薬剤放出速度に影響を与えた(Vlachou et al., 2009)。
【0129】
共融粉末溶融組成物の表面形態の分析
配合共融粉末およびネイティブな共融成分であるメントールおよびセトマクロゴールの形態学的特徴を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて分析した。共融組成物の前後で得られた画像を図10(a〜c)に示す。共融形成前の共融試薬のSEM画像は、図10(a〜b)に示すように、大きく、不規則で鋭い結晶形態を示した。しかし、共融組成物の形成後の共融粉末溶融物の分析では、形態学的構造の明確な変化が認められた。この粒子は、共融成分のごつごつした表面の構造と比較して、形状において、ほぼ球状で滑らかなエッジ表面とより一致しているように思われた(図10c)。共融粉末溶融組成物の均質性は、単一の薬物結晶を単離することが困難な画像に反映された。得られたSEM画像において、結晶性(共融形成前)からアモルファス(共融形成後)への形態学的構造の変化が示された。得られた画像は、共融混合物の形成に特徴的であり、結晶からアモルファスへの相変化を示したXRD(図8)について得られた結果を偶然反映している。
【0130】
デザイン製剤のin vitro活性医薬成分(API)の放出分析
製剤F1〜F15(Table 1)の投与形態からのBSA(APIの一例)のAPI(薬物)放出パターンを得るために、シミュレートされたヒト腸液SHIF(pH6.8)中で溶解実験を行った。これらの製剤は、ペクチンをTable 1に記載したとおり含み、溶解実験の間に in situ で架橋を形成した。
【0131】
図11(a〜c)に示すように、得られた放出データを、時間に対する放出分率(fractional release)の関数としてプロットした。観察されたAPI(薬物)放出パターンのわずかな変動に影響を与える、架橋剤、共融粉末溶融組成物および表面浸食剤濃度が異なるすべての製剤は、24時間の試験期間にわたって同様の放出パターンを示した。それにもかかわらず、すべての製剤は、24時間の試験期間にわたって制御された放出を示した。API(薬物)放出プロファイルは、1時間後に最初のバースト放出を示し、約0.128の放出分率を示した。これは、図9に示す膨潤プロファイルに示されるように、1時間後のすべての製剤の初期の高い膨潤能力を反映していた。その後2時間は、膨潤能力のわずかな変化のみに対応するBSAの遅い放出を示した。これは、水の取り込みおよび膨潤能力を低下させ、続いてAPI(薬物)の放出を制御する、in situ で架橋した界面の形成に起因した。3時間後のAPI(薬物)放出パターンは、24時間まで徐放およびバースト放出の相を示した。これは、架橋能力と共に観察された膨潤の増加と表面浸食に起因するものであった。共融粉末溶融組成物の増大した膨潤は、ゆっくりとした表面浸食およびアモルファスの性質と共に、増大した溶解と±0.8まで放出分率をもたらす、マトリックスネットワークからの薬物の拡散を生じた。
【0132】
共融粉末溶融組成物およびそのナノメートル範囲(142.1nm)までの粒子サイズの減少は、表面積の増大に起因する増大した溶解を促進した。さらに、製剤F1〜F15からのAPI(薬物)放出速度を表すために平均溶解時間(MDT)を用い、放出速度を制御する in situ 架橋形成の能力についての補足的証拠が提供された(Roni et al, 2009; Wadher et al., 2011)。20重量%の架橋剤を含む製剤は、15重量%の架橋剤を含有する製剤について得られたMDT50よりも高い、5.2〜6.5の範囲のMDT50を示した。これは、架橋剤濃度の増大によりもたらされる、より高い架橋形成能力が薬物放出の制御に役立ち、より遅い放出プロフィールを示したことを示した。最終的に、MDTは溶解プロセスの速度の指標となった(Sathish and Syed, 2013)。さらに、ポリマー材料の多孔性は、製剤F1〜F15からの薬物放出速度に影響を与えたかもしれない。しかしながら、これはAPI(薬物)放出プロファイルにおいて顕著には明らかではなかったが、膨潤挙動に対するその効果に反映された。得られた結果に基づいて、API(薬物)放出は、膨潤および浸食挙動、架橋濃度および共融粉末溶融組成物のアモルファス性の影響を受けることが示された。
【0133】
デザイン製剤のタンパク質放出プロファイルの数学的モデリング
タンパク質放出プロファイルを種々の動力学的アルゴリズムに適合させ、得られたデータをTable 4に示す。観察されたタンパク質放出データのベストフィットモデルは、回帰係数の動力学的モデリングおよびその数字1への近接性に基づく。製剤間で1に最も近い値を示すモデルは、タンパク質放出メカニズムを説明する上でそのモデルの適切性を実証する。
【0134】
ゼロ次および一次モデルは、タンパク質放出が、それぞれ、タンパク質濃度に依存しないおよび依存する系に基づく(Singhvi and Singh, 2011)。使用したゼロ次および一次モデルは、方程式1および2に示される(Siepmann and Siepmann, 2008)。
Q=Kt (1)
ここで、Qは、放出されたタンパク質の累積量であり;Kはゼロ次の定数であり;tは時間である。回帰係数は、 in vitro のタンパク質放出データに基づいて、ゼロ次モデルについて時間に対して累積タンパク質放出(%)のグラフをプロットすることにより求めた。
lnQ=lnQt (2)
ここで、Qは、放出されたタンパク質の累積量であり;Qは溶解媒体中のタンパク質の初期量(通常はゼロ)であり;Kは一次の定数であり;tは時間である。回帰係数は、 in vitro のタンパク質放出から得られたデータに基づいて、一次モデルについて時間に対して累積放出の対数のグラフをプロットすることにより求めた。
【0135】
共融錠剤F1〜F15について得られた薬物放出プロファイルは、Table 4に示すように一次放出動力学モデルに適合しなかったので、放出は濃度依存的ではないことが示された。制御された放出多層錠剤システムは、典型的には、経時的にタンパク質の一定放出を伴って、ゼロ次またはほぼゼロ次の放出を示す(Yadhav et al., 2013)。共融錠剤は、タンパク質の遅い放出とバースト放出を交互に繰り返すことでほぼ段階的な放出を示したので(図11a〜c)、回帰係数は0.8041と0.9356の間のほぼゼロ次放出を示した。さらに、タンパク質放出データをHiguichiおよびKorsmeyer-Peppas動力学的モデリングの方程式に適合させて、すべての共融錠剤F1〜F15についての全体的なベストフィットモデルを得た(Yadhav et al., 2013)。
【0136】
Higuichiモデルは、Fickian拡散に基づく時間依存プロセスの平方根の関数としてマトリックスからのタンパク質の放出を記述し、方程式3(Merchant et al., 2006)によって表される。
Q=K1/2 (3)
ここで、Qは、放出されたタンパク質の累積量であり;Kは、Higuichi溶解定数であり;tは時間である。タンパク質放出データの平方根に対する放出された累積パーセントのプロットで、Higuichiモデルの回帰係数を求めた。高分子系からのタンパク質放出機構を記述するために、Korsmeyer-Peppasモデリング方程式(方程式4)を用いた。
/Q=K (4)
ここで、ここで、Q/Qは時間t当たりに放出されるタンパク質の累積量であり、Kは速度定数であり、nは放出指数である。回帰係数は、累積放出の対数(タンパク質放出データの最初の60%)対タンパク質放出データの時間の対数のグラフをプロットすることによって得られた。
【0137】
共融錠剤F1〜F15について得られたタンパク質放出プロファイルは、Table 4に示すように一次放出動力学モデルに適合しておらず、従って放出は濃度依存性ではないことが示された。回帰係数に基づいて、Higuichiモデルは、大部分の製剤について、タンパク質放出メカニズムがFickian拡散に基づくことを示す0.9007と0.975との間のR値を有する最も良好な直線性を示した。Korsmeyer-Peppasモデルはいくつかの製剤についてベストフィットを示したが、冪乗則には、正確なタンパク質放出メカニズムの洞察に制限があるため、限界が存在する(Merchant et al., 2006)。したがって、タンパク質放出動力学は、得られたほぼゼロ次のタンパク質放出でHiguichiモデルと最もよく対応した。












































【表4】
【0138】
ラージホワイトピッグ腸組織モデルでのex vivo浸透の分析
メントールは、経口および局所投薬形態において香味料や芳香増強剤として広く使用されているが、経皮や経頬粘膜の薬物送達のための浸透増強剤としての適用性が広く報告されている(Kommuru et al., 1998; Shen et al., 2011; Shojaei et al., 1999; Williams and Barry, 1991)。透過試験から得られた薬物の流動の結果を図12に示す。試験した製剤は、Table 1の通りであり、12重量%、18重量%および24重量%の(配合共融粉末)EPB組成物を含有するものを、EPBを含まない錠剤と比較した。
【0139】
結果は、0.0576〜0.0714mg.cm-2h-1の薬物流動を示したEPMを含有する製剤に比べ、EPMを含まない製剤は0.0281mg.cm-2 h-1の最大API(薬物)流動を示し、EPMを含有する製剤の透過性の増加を示した。さらに、メントールの浸透増強効果は、ばらつきはわずかで同様の薬物流動結果を示したので、 in situ で架橋形成した製剤中に含まれるEPMの濃度には依存しないことが認められた。全体として、この結果は、EPMの一部としてin situで架橋形成した製剤中に含まれるメントールが、BSA(例示的API)の腸組織モデルの透過を促進することを証明した。組織が試験を通して完全状態を維持することを確実にするために、浸透試験の前後で腸組織間の経上皮電位差を測定した。結果(透過前:118.1mV、透過後:116.1mV)は、電位差にわずかな差しか示さず、組織の生命力が維持されていることが示された(Antunes et al., 2013)。
【0140】
製剤F1〜F15による制約付最適化および応答面解析
製剤をBox-Behnken設計モデルを用いた統計的最適化を用いて最適化した。設計プログラムは各製剤の結果からの応答を生成し、所望のMDT、膨潤および浸食効率を達成することが可能な必要な、配合共融粉末、架橋剤(NaCO3およびK2HPO4)およびペクチンの理想的な組合せを確認した。図13のプロットに示すように、Minitab(登録商標)V15統計ソフトウェアを使用して最適な応答を生成した。統計的設計の予測によれば、望ましいMDT、膨潤および浸食を可能にする最適な錠剤は、23.093重量%の架橋剤(NaCO3およびK2HPO4)、12重量%の共融混合粉末および65.313mgのペクチンを含む。応答表面分析プロットは、Minitab(登録商標)V15統計ソフトウェアを使用して得た。プロットは、実験設計変数と達成された応答との間の機能的関連性を表していた。
【0141】
最適な製剤からのin vitroタンパク質放出
最適な製剤からのBSA(APIの例)のタンパク質放出パターンを得るために、SHIF(pH6.8)中で in vitro 放出実験を行った。放出プロファイルは、1時間後のBSAの初期バースト放出(0.208)を示す。次の2時間では、水の取り込みおよび膨潤能力が低下しタンパク質の放出が制御される、in situ での架橋界面の形成に起因するBSAのより遅い放出を示した。3時間以降のタンパク質放出パターンは、図14に示すように、24時間までバースト放出と遅い放出の相を示した。これは、膨潤、表面浸食およびin situ架橋形成の複合的な効果に起因した。
【0142】
最適な製剤の磁気共鳴イメージング
SHIF(pH6.8)中での磁気共鳴イメージング(MRI)を行い、in vivo での投与形態のなりゆきをモニターし、in vitroでのふるまいと相関させた。図15に示すように、錠剤への流体進入の動態を観察した。図に示すように、錠剤の表面上の白色領域の強度によって示される多孔質ポリマー組成物の膨潤の漸増が示された(Dvinskikh et al., 2009; Mikac et al., 2010)。多孔質ポリマー組成物の多孔性は、錠剤への流体の進入およびその後の膨潤に影響を及ぼす。暗い領域は、錠剤のコア共融領域を示し、非水和状態のままであり、それにより、組み込まれたタンパク質の保護をもたらす(Mikac et al., 2010)。1時間後、多孔質ポリマー組成物の白色陰影領域とより暗いコア領域との間の灰色領域の出現は、コア領域の水和および組み込まれたタンパク質の徐放を示した。24時間までの錠剤のMRI画像は、コア領域の継続的な水和および多孔質ポリマー組成物の膨潤を示す。さらに、錠剤の表面上の浸食面は、6時間後に顕著になり、錠剤を取り囲む白色の影のある領域によって示される。観察されたこれらの水和への移行は、錠剤の膨潤、浸食および放出挙動をさらに強化する働きをした。
【0143】
コーティングされた製剤CF1〜CF13のコーティングの粘膜付着特性
Table 2のとおり、全ての面心中央複合計画(FCCCD)製剤について粘膜付着実験を行い、コーティングの粘膜付着の量に対する可変濃度の変化の影響を測定し、腸の表面ライニングに付着させ、API(好ましくはタンパク質/ペプチド)の保持時間を増加させ、小腸の粘膜ライニングを介する吸収を高める、コーティングの能力についてスクリーニングした。インキュベーション前およびインキュベーション後のムチン溶液の濃度の差は、粘膜付着性コーティングと架橋した量の指標であり、粒子とムチンとの間の相互作用を示している(Ping et al., 1998)。図16は、全13製剤についての粘膜付着の結果をまとめたものであり、粘液溶液に対する製剤の平均架橋値の百分率として表す。製剤は、20.2%〜35.2%の範囲の架橋値を示した。結果から、ポリマー−ムチン相互作用の増加を可能にするポリマー(ゼイン)濃度の増加に従う粘膜付着率(%)の比例的な変化が強く示された。すべての製剤は許容される粘膜付着特性を示し、小腸内の滞留時間を増加させるように理想的に機能し、それによって粘膜表面を通した吸収が促進される。
【0144】
多孔質ポリマー組成物に対するpH調整剤
微小環境のpHに対するクエン酸の効果は、Table 2のpH調整剤濃度を含有する全てのコーティング製剤CF1〜CF13をSHIF(pH6.8)中に6時間浸漬し、錠剤マトリックスへの貫通が可能なpHガラス微小電極を用いて、pHを試験することにより決定した(Aditya et al., 2006)。すべての製剤を分析し、結果はマクロ環境と微小環境の間で有意差を示した。マクロ環境ではpHが6.8のままであったが、すべての製剤の微小環境は3.2〜4.5の範囲のpH値まで低下した。より高い濃度では低下したpH値を示すことが観察された(図17)。これらの結果は、微小環境のpHの一時的な低下が、タンパク質/ペプチド吸収の部位での酵素活性にとって最適な環境を低下させるために重要であるため、好ましいものであった。
【0145】
本発明のさらなる実施形態例において、多孔質ポリマー組成物は、TMC-PEGDMA-MAAコポリマー粒子である
トリメチルキトサン−ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート−メタクリル酸(TMC-PEGDMA-MAA)コポリマー微粒子を首尾よく調製し、胃環境においてAPIロード領域を保護することによって、APIロード領域保護におけるその効力を測定した。本発明において使用される場合、TMC-PEGDMA-MAAは、APIロード領域を少なくとも部分的に取り囲み、多孔質ポリマー組成物に適した候補となる多孔質である。増加するpH条件へのTMC-PEGDMA-MAAの暴露は、粒子の膨潤をもたらし、その結果、投与形態からのAPIの放出速度の増加をもたらす。減少するpH条件へのTMC-PEGDMA-MAAの曝露は、粒子の収縮および/または凝集をもたらし(または粒子が互いに塊を生じる)、その結果、投与形態からのAPIの放出速度が低下する。結果として、投与形態が胃(pHが低い)にあるとき、TMC-PEGDMA-MAA粒子は、収縮および/または凝集、および/または互いに塊となってAPI(GIT感受性タンパク質および/またはペプチドなど)の放出を妨げ、投与形態が腸内にあるとき(pHが胃に対してより高い場合)、TMC-PEGDMA-MAA粒子は、腸の標的部位で膨潤しAPIの放出速度の増加を促進する。
【0146】
TMC-PEGDMA-MAAコポリマー粒子を製剤化するための材料
キトサン(CHT)(媒体 Mw=450kDa)、PEG(Mw=4000g/mol)、MAA、ヨウ化メチル、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)、スルホン酸およびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)は、Sigma-Aldrich(セントルイス、ミズーリ州)から購入した。N−メチル−2−ピロリドンは、Merck(Pty)Ltd.(Estate South、Modderfontein、Gauteng、南アフリカ)から試薬グレードで調達し、さらに精製することなく使用した。他のすべての試薬は分析等級であり、入手したものをそのまま使用した。
【0147】
高度な経口タンパク質送達におけるTMC-PEGDMA-MAAコポリマー粒子
TMC-PEGDMA-MAAコポリマー粒子の製造は、1)2種類の極度の粘膜接着性ポリマー(TMCおよびポリMAA)と、2)合成(ポリ−MAA)および天然(TMC)ポリマー;及び3)2種類のpH応答性ポリマー(ポリ−MAAおよびTMC)の間を連結し、−COOH部分の存在によりAPIロード領域(タンパク質および/またはペプチドを含む)をカプセル化することができ;タンパク質および/またはペプチドを過酷な胃環境から保護することができ;長時間にわたり腸壁のすぐ近くで微粒子系を保持することができる、半合成粘膜接着性pH応答性コンジュゲート高分子系を形成する、フリーラジカル重合および架橋法によるものである。
【0148】
さらに、TMC-PEGDMA-MAAポリマー構造は、スリー・イン・ワン(three-in-one)マトリックスタイプ:1)1つのポリマーが別のポリマーの存在下で架橋されるTMCおよびPEGDMA架橋MAAからなる半相互貫入ポリマーネットワーク;2)PEGDMA架橋MAAの-COOH官能基とTMCの-NH3+官能基との間に形成された高分子電解質複合体;および3)TMC-PEGDMA-MAAを形成するTMCにコンジュゲートしたPEGDMA架橋MAA、として特徴付けられる。
【0149】
さらに、TMC骨格上の高弾性アクリレートポリマー(PEGDA架橋MAA)は、大量のペプチドを封じ込めることが可能な長い側鎖分子コンフォメーションを提供した。
【0150】
この封じ込めは、鎖間および鎖内架橋ネットワークを提供する長鎖架橋剤(PEGDA)の使用によってさらに増大した。「繋留された」腸粘膜におけるこのコンジュゲートポリマーの保持は、1)PEGDA架橋MAA側鎖の粘液ライニングへの封じ込め、および2)カチオン性ポリクオタニウムキトサン骨格によって提供される帯電した静電相互作用の2つの異なるメカニズムによって媒介された。
【0151】
さらに、高分子量のTMCとPEGDA架橋MAAによって提供されるユニークな機械的特性は、独特の硬〜軟膨潤ヒドロゲル構造を介して腸内の延長された保持を補助した。種々のキトサン誘導体(分子量の点で)および架橋剤ならびに種々の鎖長を有するモノマーに適合するコンジュゲートした系の能力は、タンパク質およびペプチド放出の程度および速度に必要とされる適応性を提供し得る。
【0152】
TMC-PEGDMA-MAAコポリマー粒子の調製
フリーラジカル懸濁重合法により、pH感受性コポリマー粒子を調製した。PEGDMAとMAAを1:2のモル供給比とし、TMCと架橋剤PEGDAの比率を、Box-Behnkenデザイン試験での定量で、モノマー濃度に対しそれぞれ0.5g/100mLおよび3%w/wに最適化した。フリーラジカル開始剤AIBNを、モノマー濃度に対し0.6%w/wで使用し、75℃の一定温度で、不活性条件下400rpmにて6時間行った。次いで、得られたコポリマー微粒子を水で繰り返し洗浄し、凍結乾燥した。APIロード領域をカプセル化できることとは別に、本発明の特定の実施形態において、TMC-PEGDMA-MAA自体にAPIをロードしてもよい。
【0153】
コポリマーTMC-PEGDMA-MAAの化学的機能および強度回折分析
モノマーおよびコポリマー微粒子系についてNMR分析を行った。25ppmおよび175ppmでのピークは、TMC中のアセチル官能基の存在を示す。キトサンはTMCの合成の前駆体であるので、キトサン(CHT)において同様のピークが観察された。55ppmで表されるピークは、トリメチル化シグナルの出現としてN(CH33へのNH2の四級化の特徴である。C6とC2の信号はわずかにダウンフィールドにあり、炭素の構造的配置の変化を示している。架橋したコポリマー微粒子を見ると、スペクトル中にさらなるCO、CH3結合が存在し、これはPEGDMAへの架橋の存在を示している。MAAのピークは48ppmの領域のスペクトルにおいても明らかであり、架橋されたコポリマー系におけるOCH3官能基を示している。したがって、55ppmのピークはアミン部分のトリメチル化を示す。このピークはCHTのスペクトルでは観察されない。CHTのスペクトルについて、我々はCH2-NH2およびCH2-OH(アルコールおよびアミンに結合したプロトンのみ)の二重の特徴を観察する。C=Oに割り当てることができる185ppmの領域に広範なシグナルのセットがあり、架橋したPEGDMA-MAAを示している。TMCおよびPEGDMA上の官能基は、性質が類似している、すなわちCH3、CH2、CHおよびC-Oを有する。C=Oを除いて、これらの炭素シグナルを観測したが、TMCまたはPEGDMAに直接割り当てることは容易ではなかったが、図18で観察されるように、大部分のピークは、炭素のハイブリダイゼーションのためにそれぞれ同じ化学シフトで集合的に現れ、構造の完全性が維持されたことを確認する異なった炭素シグナルが観察される。図19は、配置された構造コンフォメーションを有する提案されたコポリマーのメカニズムを示す。TMC-PEGDMA-MAAの粉末XRD回折図においても、結晶化度がTMCおよびPEGDMAよりも大きいことが判明した。これは、TMC-PEGDMA-MAAの固体スペクトルにおいて、恐らく化学的等価性につながるより小さな構造的な立体配座に起因する、化学的に等価なシグナルの発生がより多くなり、ひいてはシグナルがより多くなるという事実を説明することができる。これは制御された薬物放出につながるので、最適化されたコポリマーの合理的な設計における望ましい目的である。
【0154】
TMC-PEGDMA-MAAコポリマー粒子の粘弾性分析
コポリマー粒子の粘弾性は、それぞれ胃および腸のpHの媒体中で測定し、pHの変化による粒子の特徴的な応答の程度を評価した。G’は粒子に貯蔵された変形エネルギーの尺度であり、粒子の弾性的な固相特性を示し、一方、G”は、適用された歪みの適用中に粒子において使用され失われた粘性挙動および変形エネルギーの尺度である。図20aで観察されるように、胃の媒体中の粒子は、G’がG”を支配するので、大きな弾性特性を有する特有の固相特性を示す。周波数が実質的に高いグラフの終わりに向かって、粘性挙動は粒子の弾性特性を上回り、大きなひずみが加えられたより大きな流れ特性を示す。図20bは、腸内の媒体中の粒子を示し、ひずみを加えている間に固体および粘性の特性の動的なシフト相を示し、初期段階では粒子が弾性挙動よりも大きな粘性挙動を示す。しかしながら、粘性の性質は、粒子の固相特性よりも依然として著しく低く、ひずみが増加するにつれて粒子がより大きな弾性を示す。
【0155】
降伏応力(T)は、時間に依存して変形または流動を引き起こすのに必要な最小力の尺度である。降伏応力の下では、生じる変形の程度は直線的で、せん断応力が増加し、したがって試料は固相挙動として分類される。このクリティカルな降伏値を超えると、試料は変形と流動を示し、より大きな液相特性を示す(Herh et al., 1998)。行った試験は、非破壊的に正弦波のせん断ひずみを生成する一定の周波数正弦波時間ベースでコーンを振動させる。
【0156】
TMC-PEGDMA-MAAコポリマー粒子のバイオセーフティー特性を証明するための組織病理学的組織評価
ウサギからの組織サンプルを、GIT組織に対する微粒子の効果について評価した。本試験におけるすべてのウサギの組織学的所見は正常であった。図21はGIT腸サンプルを表し、正常な粘膜陰窩および粘膜固有層のリンパ球細胞の軽度の集団を示し、正常な腸粘膜が確認される。
【0157】
TMC-PEGDMA-MAAコポリマー粒子のマトリックス硬度およびマトリックス弾性の評価
錠剤形態のコポリマー粒子を、マトリックス硬度(MH)およびマトリックス弾性(MR)の特性について評価した。MHは、力−距離比Fd = 0.011およびグラジエントネットFd = 95.37であり、これは、粒子間の結合が著しく強く、したがって、完全なミニ錠剤構造が維持されると解釈される。
【0158】
MRの力−時間プロファイル、即ち力を解放する前のベースラインからピークまでの曲線下面積(AUC)(AUC1-2)に対する、力を解放した後のピークからベースラインまでのAUC(AUC2-3)の比は、22.27%であり、乾燥した固体の圧縮状態で、室温で錠剤の堅固な最小限の弾性特性を示した。コポリマー粒子のMHの物理的特性を評価して、錠剤に1mmの窪みを与えるのに必要とされる力の強度を決定した。曲線の勾配は錠剤の柔軟性を表し、AUCは錠剤の変形エネルギーの量を表す。その物理的機械的特性の観点からの錠剤の安定性は、錠剤が粉末形態に解離するのに要する時間に比例する量の薬物放出をもたらす、適切な薬物放出動態を維持するために不可欠である(Ellison et al., 2008)。MHは0.011N/mmの有意な値を示し、製造および包装中に受ける機械的なプロトコルのために錠剤化システムには不可欠である、有意に強いマトリックス系としてのコポリマー錠剤を示している。
【0159】
MRは、ある物質の、弾性的に変形するが、力が除去されると元の状態に戻る能力である。微粒子の顆粒間の境界表面は、錠剤を圧縮する過程で減少するマトリックス構造内の空隙が最小限であるので、多くのポリマーは高い弾力性を持たない。境界表面が崩壊して弾性変形が塑性変形、すなわち錠剤の永久的な形状/構造の変化、に置き換わるまでは、空隙容積が大きいほど、圧縮後ある程度まで元の形態に戻る錠剤の能力は高い。コポリマー粒子において、境界の粒子表面の数(物理的相互作用)または境界の粒子表面のより高い強度(化学的相互作用)が増加するにつれて、与えた圧縮によって、分子間結合の伸縮性(strech)と錠剤の弾性が正比例の関係になる構造内の弾性変形は生じない(van der Voort Maarschalk et al., 1996)。
【0160】
22.27%のMRは、錠剤が、コポリマー粒子を圧縮するのに用いた最小量の力が0.6MPaであるにもかかわらず、粒子間の最小量の空間で強力な粒子結合を表す、小さな弾性を有することを示した。これはまた、錠剤の包装時に考慮すべき重要な側面であるとともに、所望の薬物放出のための嚥下と遅延放出の崩壊パラメータに耐える力の、より生理的なパラメータである。
【0161】
得られた結果は、TMC-PEGDMA-MAAコポリマー粒子は、摂取されると、胃と腸の条件下では異なる挙動を示し、それにより、胃においては、その固体状態での弾性に起因して、塊になる性質を示しタンパク質ロード領域を保存して最大の保護を可能にし、腸内に入る際には、より粘性の性質を示し、APIロード領域からAPIを放出するように膨潤するという、経口薬物送達に優れた機械的性質を有するという十分な証拠を示している。
【0162】
TMC-PEGDMA-MAAコポリマー粒子のこの特有の特性は、TMC-PEGDMA-MAAコポリマー粒子を、本明細書に記載した本発明の多孔質ポリマー組成物の適した選択肢にしている。
【0163】
結論
製剤F1〜F15を有する投与形態は、配合共融粉末組成物、架橋剤、およびAPI(実施例ではBSA)が組み込まれたAPIロード領域を含む。投与形態は、APIロード領域を実質的に取り囲む多孔質ポリマー組成物をさらに含む。典型的には、投与形態はさらに、コーティング製剤CF1〜CF13において例示されるような、コーティングを含む。本投与形態は、GIT感受性API、特に治療用タンパク質および/またはペプチドのための高度な経口送達システムを創出する目的で開発された。
【0164】
タンパク質および/またはペプチドのようなGIT感受性APIは、典型的には、非経口投与経路を介した送達のために製剤化されるが、非侵襲的経口経路は依然として容認性および利便性が高く、最適な患者コンプライアンスを有すると考えられる。したがって、錠剤の投与形態の設計によって障壁を克服し、タンパク質および/またはペプチドのようなGIT感受性APIの経口送達を成功させることが重要であった。物理化学的および物理的機械的な特性試験によって、融点の低下、結晶化度の低下、およびSEM画像のアモルファス構造へのシフトによって証明されるように、共融形成が確認された。FTIRの結果では、バンドの出現および消失がin situ 架橋形成のプロセスに起因し、製剤が全ての成分に固有のバンドを示したことが明らかとなった。
【0165】
物理機械的プロファイリングは、コア共融領域の溶融に起因して、錠剤のコアへの貫通時に硬度の低下を示した。 in vitro API(薬物)放出挙動は、系の膨潤および浸食プロファイル、ならびに架橋能力および配合共融粉末組成物のアモルファス性の影響を受けた。配合共融粉末組成物のアモルファスへの変化は、API(薬物)候補の吸収、分布、代謝および排除(ADME)プロファイルに影響を及ぼす重要なツールである。メントールの透過増強効果は、対照製剤(0.0281mg.cm-2h-1)と比較して、増大した薬物流動値(0.0576-0.0714mg.cm-2h-1)によって明らかであった。さらに、微小環境pH分析は、酵素活性の最適な活性を理想的に低下させることができるpHの有意な低下をもたらした。したがって、実施された物理化学的および物理的な特徴付けは、デバイスの生体内性能を予測するための in vitro の特性を描写し、タンパク質およびペプチドのような数多くのGIT感受性APIの経口送達を改善する際の設計の適用可能性を実証するために不可欠であると結論付けることができる。出願人は、本発明が、先行技術において知られている欠点の少なくとも1つを少なくとも改善すると考える。
【0166】
本発明をその特定の実施形態および/または実施例に関して詳細に説明してきたが、当業者であれば、それらを理解すれば、これら実施形態の変形および均等物を容易に想起することができる。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれと等価なものとして評価されるべきである。
【0167】
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