【実施例】
【0084】
以下の実施例は、本発明をさらに例示するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0085】
本発明の第1の実施形態例では、投与形態は、多孔質ポリマー組成物がAPIロード領域のコアの周囲のシェルを形成するようにAPIロード領域をカプセル化している多孔質ポリマー組成物を含む。この第1の実施形態例は、タマネギのように同心円状に層をなしていてもよい。
【0086】
本発明の第2の実施形態例では、投与形態は、いずれも多孔質ポリマー組成物を含んでなる第1と第2の層、およびAPIロード領域を含んでなる第3の中間層を含む。この第2の実施形態例はサンドイッチのように層をなしていてもよい。
【0087】
本発明の投与形態の例では、製剤F1〜F15は、3つの圧縮層から構成されているが、タマネギ様の構成を有した。製剤F1〜F15において第1の底層と第2の最上層は第3の中間層(APIロード領域)よりも広い面積を有しうる。製剤F1〜F13をコーティングし、コートされた製剤CF1〜CF13を形成した。
【0088】
材料
メントール(2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサノール、純度99%、分子量=156.27g/mol)、セトマクロゴール1000、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)(POLYOX(商標)、WSR-303)、Zein(トウモロコシ由来)、ウシ血清アルブミン(BSA)(活性医薬成分(API)の非限定的な例)(96%以上、アガロースゲル電気泳動)、ポリオキシエチレン40ステアレート(Myrj(登録商標)52)および添加剤、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース(CMC)、ステアリン酸マグネシウム、プロピレングリコール、メチルパラベンおよびスクロースは、Sigma-Aldrich Corp.(St. Louis、MO、USA)から購入した。炭酸ナトリウム(NaCO
3)は、Associated Chemical Enterprises(ACE)(Pty)Ltd.(ヨハネスブルグ、ハウテン州、南アフリカ)から購入した。シトラスペクチン(ポリ−D−ガラクツロン酸メチルエステル)、クエン酸(≧99.5%)および無水オルトリン酸水素カリウム(K
2HPO
4; MW = 174.18 g/mol)はMerck Chemicals(Pty)Ltd(モッダーフォンテイン、ハウテン州、南アフリカ)から購入した。他の試薬はすべて分析等級であり、そのまま使用した。
【0089】
凍結乾燥された熱応答性共融組成物の合成
熱応答性共融組成物を配合粉末として処方した。凍結乾燥された熱応答性配合共融粉末は、共融解法を用いて合成した。
メントールおよびセトマクロゴール1000を、3:1の質量比で共融溶融物の形成のための共融成分として用いた。最初に、メントールを、較正された加熱されたマグネチックスターラーで40±0.5℃の温度に融解した。液体の溶融物が得られるとすぐに、セトマクロゴール1000を溶融したメントールに添加した。セトマクロゴール1000の固体塊が溶融し、溶融メントール内に均一に分布したら、共融溶融物に5%(w/w)濃度の凍結保護剤スクロースを等量加えた。
均一に分布したら、共融溶融物を加熱したマグネチックスターラーから取り出し、300rpmで一定の撹拌下で30分間冷却した。得られた共融溶融物を−80℃の冷凍庫に24時間入れた。その後、凍結した共融解物を48時間凍結乾燥し(Labconco Freeze-Dry Systems, Labconco Corp., Kansas City, MO、USA)、凍結乾燥された配合共融粉末を形成した。典型的には、製剤からメントールを昇華させる方法として凍結乾燥を使用するが、凍結乾燥の工程中にメントールを凍結および乾燥ストレスから保護するために共融溶融物に添加した凍結保護剤の割合を高くした。
【0090】
APIロード領域の調製
凍結乾燥された配合共融粉末組成物を、架橋剤とともに、Minitab(登録商標)V15統計ソフトウエア(Minitab(登録商標)Inc、PA、USA)を使用して、Table 1に示すように、3因子Box-Behnken実験デザインから生成された重量濃度に従って秤量した。得られたBox-Behnken実験デザインは、架橋剤濃度、共融粉末溶融組成物の量、ならびに表面浸食剤の濃度などの様々な処理パラメータによって影響される応答表面法に基づいた(Aslan and Cebeci, 2007)。配合共融粉末組成物、架橋剤(炭酸ナトリウムおよび無水オルトリン酸水素カリウム)および20mgのBSA(APIの例)を量り、混合し、直径5mmのパンチ及びダイスを装着したCarver錠剤成形機(Wabash, Indiana, USA)を使用して、5トンの圧力で直接圧縮し、本発明の投与形態のAPIロード領域を生成した。
【0091】
多孔質ポリマー組成物の調製
以下の本発明の実施形態の例では、投与形態は、いずれも多孔質ポリマー組成物を含んでなる第1と第2の層、およびAPIロード領域を含んでなる第3の中間層を含んでなり得る。この実施形態の例はサンドイッチのように層をなしていてもよい。より具体的には、第1の底層と第2の最上層はいずれも同一の化学組成を含んでなる。
【0092】
本発明のさらなる実施形態の例では、APIロード領域は、多孔質ポリマー組成物で取り囲まれており、外層がAPIロード領域を包むシェルとなり、タマネギ様の構成を有する錠剤を形成している。
【0093】
サンドイッチ様の構成のこの例では、多孔質ポリマー組成物の底層および最上層の両方を、100mgのPEO、12mgのカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、1mgのステアリン酸マグネシウムおよび異なる重量濃度のペクチンを含む、別々の2組の混合粉末をTable 1に示すとおり量り、混合することによって調製した。
【0094】
さらにコーティングし、粘膜接着性を試験した製剤では、Table 1およびTable 2の組み合わせに従って被覆製剤F1〜F13を製剤化した。換言すれば、コーティングされた製剤CF1〜CF13はそれぞれ、pH調節剤(本明細書ではクエン酸が例示される)を、APIロード領域を取り囲む多孔質ポリマー組成物の一部として含有した。
【表1】
【0095】
本発明の3層サンドイッチ様錠剤投与形態の調製
3層サンドイッチ様錠剤の本発明の経口投与形態を製造するため、第1の底層のための混合粉末を、直径10mmのパンチ及びダイスを装着したCarver錠剤成形機(Wabash, Indiana, USA)を使用して、2トンの圧力で直接圧縮し、平らに軽く圧縮された層を生成した。次いで、この軽く圧縮された第1の底層の上にAPIロード領域(第3の中間層)を乗せ、ピンセットを用いて中央に配置した。この第3の中間層の上に錠剤の第2の最上層のための混合粉末を加え、平らにした。次いで、パンチを挿入し、錠剤を、表面が平らなパンチ及びダイス(直径10mm)を装着したCarver錠剤成形機(Wabash, Indiana, USA)を使用し、5トンの圧力で圧縮し、共融領域のコアを有する単一の錠剤を生成した。処理による誤差を最小限にするため、全ての錠剤を同一の条件下で製造した。
【0096】
製剤F1〜F15において、投与形態は3つの圧縮層から構成されているにもかかわらず、タマネギ様の構成を有する。製剤F1〜F15では、第1の底層および第2の最上層は、第3の中間層(APIロード領域)に対してより大きな面積を有し得る。
【0097】
典型的には、底層、中間層および最上層は円形であり、最上層および底層は、中間層と比較してより大きな直径を有する。最上層および底層が同一の化学組成を含んでなる場合、錠剤成形機を用いた圧縮により、外層によってAPIロードコア領域を有する錠剤が取り囲まれており、外層が均一な多孔質ポリマー組成物のシェルである錠剤が生じる。
【0098】
投与形態を包みこむコーティングの調製
Table 1の製剤F1〜F13を加工して、Table 2のとおり、多孔質ポリマー組成物がpH調製剤(クエン酸が例示される)をさらに含む、コーティングされた製剤CF1〜CF13を調製した。次いで、これらの製剤をTable 2および以下のとおりコーティングした。
【0099】
コーティングは、プロラミンベースのポリマーであるゼインを、マグネティックスターラーで300rpmにて一定に攪拌しながら、均一な溶液が形成されるまで70%エタノール−水(Et−H
2O)溶液に溶解することにより調製した。ゼイン溶液はTable 2に示された重量濃度に従って調製した。プロピレングリコール(20%v/v)およびメチルパラベン(0.2%w/v)をゼイン溶液に添加して、それぞれ可塑剤および防腐剤として機能させた。均一なゼイン溶液が形成されたら、ステアリン酸ポリオキシル40(Myrj(登録商標))(CYP3AおよびP-gp排出ポンプコインヒビターの例として)を5mg/mlの濃度で添加した。溶解したら、3層のサンドイッチ様投与形態の製剤F1〜F13をこの溶液に浸漬被覆し、コーティングされた製剤CF1〜CF13を形成するため、実験用フュームフード下で24時間乾燥させた。
【表2】
【0100】
配合共融粉末組成物の熱力学的挙動の包括的評価
熱分析を用いて、溶融、ガラス転移、相変化およびネイティブな共融成分および配合共融粉末の融解熱などの関係する変化を特徴付けて比較した。共融成分(メントールおよびセトマクロゴール)の温度変調示差走査熱量測定(TMDSC)サーモグラムを
図2(a〜b)に示す。
【0101】
メントールは40.44℃ではっきりとした溶融ピーク(T
p)を示し、これは共融成分の融点(T
m)に対応した。そのT
mでメントールを固体から液体に変えるのに必要な単位質量あたりの熱を73.55Jg
-1として定量した。メントールサーモグラムにおいてみとめられるベースラインからの最初の吸熱シフトは、28.45℃のガラス転移温度(T
g)を示し、これは材料の軟化およびメントール内の非晶質領域の融解を表す(Widmann et al., 2000)。メントールの加熱を続けると、205.97℃の吸熱沸点(Tb)ピークによって確認された、明らかな重量損失を伴う遷移が生じた(Gabbott, 2008; Widmann et al, 2000)。
【0102】
共融成分のセトマクロゴールの融点は、51.67℃のT
pおよび154.50Jg
-1の融解熱(ΔH
m)によって定義された。さらに、セトマクロゴールは46.07℃(T
o)で溶融が始まり、36.45℃(T
gを示す)でメントールに匹敵する吸熱ピークを示した。
【0103】
配合共融粉末と比較した、ネイティブな共融成分のTMDSCサーモグラムの評価では、吸熱ピークは同様で、融点の低下が測定された(
図2c)。共融粉末溶融物は、33℃でT
gを示し、偶然にも33.62℃で観察されたT
oに対応した。これは、より粘稠で液状の状態への配合共融粉末組成物の非晶質領域の変化を示した(Widmann et al., 2000)。配合共融粉末組成物は、Tpが37.30℃(ほぼ体温)のより低い温度にシフトし、ΔH
mが9.56Jg
-1であり、メントールまたはセトマクロゴールのいずれのT
gおよびΔH
mよりもかなり低かった。このことは、その配合共融粉末組成物をその融点で液体に変換するのに必要なエネルギーがより少ないことを示した(Gabbott, 2008)。配合共融粉末組成物のTbは、188.01℃のメントールのTbよりも典型的に低く、より低い溶融温度と一致した。210℃〜230℃の間にみられるピークは、昇華プロセス中のるつぼパンホールの開閉に起因する人為的結果であった(Gabbott, 2008)。
【0104】
さらに、TMDSCサーモグラムから得られた共融成分および配合共融粉末組成物の融点に基づいて、二元系状態図を構築した(
図3)。典型的に共融系内では、共融温度(Te)は、純粋な成分AおよびBの融点であるTm
AおよびTm
Bよりも低い(Koningsveld et al., 2001)。メントール−セトマクロゴール配合共融粉末組成物中に液相が存在する最も低い温度は、37.30℃(いずれの成分よりも低いTm)であり、70%メントールと30%セトマクロゴールの共融組成物との混合物中に存在した。状態図上のこの点は、3つの相(液体、固体のメントールおよび固体のセトマクロゴール)が共存する共融点として示された(Martin, 1993)。重要と認められたさらなるマーカーは、液相−固相から液相全体を分離した液相線、完全な固相を液体−固相から分離した固相線およびAおよびBの完全な溶融物および結晶をそれぞれ示す液体および固体のマーカーであった。
【0105】
温度の関数としての共融成分および配合共融粉末組成物の質量の変化を、得られた熱重量データから分析した(
図4)。結果は、121.28℃に加熱すると試料重量が急激に減少し、199.39℃で残ったサンプルは1.505%にすぎず、メントールの重量損失がはっきりと示された。メントールについて得られたこれらの結果は、205.97℃でのメントールの沸騰とその後の蒸発を示し、サンプル重量の損失を生じたTMDSCデータと同義であった。メントールは、気体反応生成物の形成による典型的な熱分解を示した(Widmann et al., 2001)。セトマクロゴールは、235.73℃で同様の一段階熱分解を示し、398.01℃でほぼ完全な重量損失を示した。対照的に、共融粉末ブレンド組成物は、メントールおよびセトマクロゴールに特徴的な顕著な温度で多段階分解を示した。それぞれの段階的な温度上昇は20〜25%の重量損失を示し、最後の段階では35%の有意な重量損失を示し、9.651%のサンプルしか残らなかった。完全な熱分析は、配合共融粉末組成物の良好な製剤をサポートする関連する情報を決定する上で不可欠であった。この結果は、共融混合物の典型的な特徴である配合共融粉末組成物の融点の低下を間違いなく示した(Sharma et al., 2012)。この結果はさらに、粉末溶融組成物の共融点を明確に示した二元系状態図の形成によってさらに強調された。最後に、熱重量分析により、生成されたTMDSC結果を支持する貴重な分解データが得られた。
【0106】
フーリエ変換赤外分光法(FTIR)による、本発明の製剤F1〜F15による投与形態の化学構造分析
すべてのFTIRサンプルをTable 1に従って調製したが、多孔質ポリマー組成物(またはシェル)からペクチンを抜いた。これは、多孔質ポリマー組成物(またはシェル)のPEOと架橋剤との間で in situ の架橋形成が達成されたことを証明する新しいピークおよびスペクトルの変化の認識を妨げる可能性のあるバックグラウンドピークを排除するために行った。
in vitro 架橋(IVC)製剤(PEO 1%;炭酸ナトリウム50mg;オルトリン酸水素二カリウム50mg)と比較して、ネイティブな化合物PEO、架橋剤(炭酸ナトリウムおよびオルトリン酸水素二カリウム)および配合共融粉末組成物の化学構造における観察された変化、および種々の架橋剤濃度を含有するシュミレートされた in situ 架橋製剤を、ATR-FTIR分割スペクトルにおいて波長に対する透過率(%)の関数として示す(
図5a〜b)。
in vitro 架橋(IVC)製剤を以下のとおりに調製した:1%のPEOを蒸留水に一定の磁気攪拌(300rpm)下でPEOがすべて溶解して溶液が形成されるまで溶解させた。その後、50mgの炭酸ナトリウムおよび50mgのオルトリン酸水素二カリウム無水物を添加し、さらに攪拌して架橋を生じさせた。次いで、この液体混合物をFTIRで試験した。
in situ 架橋製剤はすべてペクチンを欠いていた(上記のTable 1に記載された情報とは対照的に)。これらの種々の濃度の架橋剤を示す全ての製剤が同じ透過率スペクトルを示すので、in situ 架橋製剤のスペクトルは、架橋剤濃度(15%W/W、20%W/Wおよび25%W/W)として表される。
【0107】
シミュレートされた in situ 架橋サンプルは、代表的な架橋剤濃度(15%W/W、20%W/Wおよび25%W/W)(ペクチンを含まない)で調製した製剤を、50mLのシミュレートされたヒト腸液(SHIF)pH6.8中に±5時間浸漬して in situ架橋形成のプロセスを可能にすることにより調製した。その後、サンプルをSHIFTから取り出し、48時間凍結乾燥させた。得られた凍結乾燥したin situ製剤を粉末化し、ダイヤモンド結晶に置きFTIRで分析した。
【0108】
15%W/W、20%W/Wおよび25%W/W(ペクチンを含まない)の in situ 架橋サンプル濃度は、強度が減少及び増大するその全ての成分についての特徴的なバンドと、化学架橋剤(炭酸ナトリウムおよびオルトリン酸水素二カリウム)の存在によって開始される in situ 架橋形成による新しいバンドの出現を示した。
【0109】
in vitro 架橋製剤(IVC)および15%W/W、20%W/Wおよび25%W/Wの濃度(ペクチンを含まない)の in situ 架橋製剤の総括的な結合の表示を、
図5bに示した特徴的なピークについてTable 3に示す。 in vitro 架橋(IVC)製剤は、15%W/W、20%W/Wおよび25%W/W(ペクチンを含まない)の濃度の in situ 架橋製剤のピークと類似のピークを示し、 in situ のPEOの分子内および分子間の架橋形成を示した。
【0110】
さらに、15%W/W、20%W/Wおよび25%W/W(ペクチンを含まない)の濃度の in situ 架橋製剤は、製剤中のメントールの存在を示す、3248cm
-1の低い強度の幅広いピークを示した(Coates, 2000)。
【表3】
in vitro 架橋製剤(IVC)および濃度15%w/w、20%w/w、および25%w/w(ペクチンを含まない)の in situ 架橋製剤についての分割透過率スペクトルにおいて、Table 3に示される、PEOに特徴的ないくつかの結合(>CH
2、>CH-、CO、CH)が認められた。
【0111】
ポリマーまたは架橋剤からは特徴的ではない新しいピークが、製剤スペクトルにおいて観察された。このピークは、水素が結合したカルボン酸の特徴であるC=Oの伸縮振動を表し、PEO、炭酸ナトリウムおよび水素二カリウム間の架橋ネットワーク形成を示している。濃度20%のin situ 架橋製剤は、新しいピークについて最も低い透過率(75.05%)を示し、増大した強度と強い結合形成を示唆した。炭酸イオンの面内および面外の屈曲は、すべての製剤について1428-1466cm
-1の周波数の範囲で観察された(Coates, 2000; Sreedhar et al., 2012)。このバンドは特徴的に広く、炭酸ナトリウムの強度に匹敵し、結果として in vitro 架橋(IVC)製剤および濃度20%および25%のin situ 架橋製剤について、PEOの狭い低強度のピークが矮小化した。in vitro 架橋(IVC)製剤および濃度20%および25%の in situ 架橋製剤について、1413cm
-1でのPEOの天然ピークの消失は、高分子相互作用に起因し、特徴的な炭酸ナトリウムピークの形成を実証した。
【0112】
さらに、炭酸イオンの屈曲は、in vitro 架橋(IVC)製剤および濃度20重量% および25重量%のin situ 架橋製剤について、879-880cm
-1および670-701cm
-1の間のスペクトルの下端の新しいバンドによって特徴付けられた(Coates, 2000;Sreedhar et al., 2012)。典型的には、得られた結果で証明されたように、炭酸イオンの第1の吸収はブロード且つ高強度であり、第2の吸収はナローで強度は弱〜中程度である(Coates, 2000)。架橋プロセスにおけるオルトリン酸水素二カリウムの影響は、Table 3で特徴付けられる、重複する有機(P=Oコンジュゲーション)および脂肪族(P-O-Cコンジュゲーション)リン酸の伸張振動によって証明された。
【0113】
ATR-FTIR分子および振動の変化からの証拠となる結果から、in vitro 架橋(IVC)製剤との比較によってさらに裏付けられた、調製されたin situ架橋製剤内のin situ架橋が確認された。
【0114】
100mgの架橋剤を含有する in vitro 架橋(IVC)製剤は、100mgの架橋剤を同様に含む濃度20重量%(ペクチンを含まない)のin situ架橋製剤と同一の透過率ピークを示した。
【0115】
濃度15重量%のin situ架橋製剤は、濃度20重量%および25重量%のin situ架橋製剤で観察されたいくつかのピークの強度が低く、他のピークが存在しないことによって示されるように、より低い架橋能力を示した。
【0116】
対照的に、濃度25重量%のin situ製剤は、いくつかのピークについて高い強度を示したが、濃度20重量%のin situ 架橋製剤と比較して、新しいバンドについて中程度の強度が観察された。
【0117】
その結果、濃度20重量%のin situ 架橋製剤は、新しいバンドについて、改良されたコンジュゲーションと優れた架橋能力を示す高い強度を示したので、最適な架橋濃度と考えられた。
【0118】
製剤F1〜F15による投与形態の物理的挙動の定量化
本発明の投与形態(Table 1)の製剤F1〜F15およびペクチンを含む製剤を、マトリックス硬度に関して特徴づけた。製剤を錠剤化し、分析前に液体培地には入れなかったが、それだけではin situ架橋形成を可能にするには不十分なコアの溶融を開始するため37℃に加熱した。
【0119】
製剤の物理機械的挙動を、適用した圧縮力および浸透力に応答した、マトリックス硬度(MH)、マトリックス弾性(MR)および破砕エネルギー(DE)に関して特徴づけた。MH、MRおよびDEは、表面およびコアタブレットのテキスチャープロファイリングで得られた力−時間および力−距離プロファイルから定量化した。表面およびコアタブレットのテキスチャープロファイリングの典型的な力−時間および力−距離プロファイルを
図6a〜bに示す。MHの計算のための力は、力−距離プロファイルの上向き勾配の、第1の破砕点までの(アンカー1と2の間)急峻さから決定した。緩い傾きは、接着力および凝集力に対する抵抗が低く、したがってマトリックス強度が低いことを示す(Pillay and Fassihi, 1999)。結果として、より急な勾配は、変形に対する抵抗性の増大、したがってより硬いマトリックスを示す(Pillay and Fassihi, 1999)。
【0120】
MHは、錠剤マトリックスの薬物放出、膨潤、浸食および安定性に影響を及ぼす重要なテクスチャパラメータである。製剤の表面硬度を計算し、その結果を
図7aに要約する。共融粉末溶融組成物の最低濃度および架橋剤およびペクチンの最大濃度(Table 1による)に対応する製剤F9は、227.76N.mm
2の最大の硬度の値を示した。高い架橋濃度を有する低い濃度の配合共融粉末組成物は、幾分硬いコア共融タブレットを生じる。さらに、錠剤の外殻内に含まれるペクチンは、その良好な圧縮性および流動性のためにある程度の構造的硬さをもたらし、したがって、より大きな硬度の値が得られる。高濃度の配合共融粉末を含有する製剤(F10、F12、F13およびF14)は、より低い硬度の値を示し、変形に対して低い抵抗を有する比較的柔らかいマトリックスを示した。
【0121】
コアマトリックスの硬度は、錠剤の全厚を貫通するニードルプローブを用いて測定した。コアマトリックスの硬度の測定値は、体温を模擬するために37℃に設定した温度制御キャビネットで測定したため、
図2のTMDSC結果によって強調されるように、コア共融粉末の予測し得る溶融が避けられなかった。コア共融領域の溶融は、
図7aの要約された結果によって証明されるように、製剤F1〜F15について軟質コアマトリックスを生じた。F1〜F15は、製剤F1〜F15の表面マトリックスと比較して、コアマトリックスについて有意に低い硬度値を示した。製剤F1〜F15の全厚を貫通するための典型的な力−距離プロファイルは、
図5bに示されており、低い勾配は非常に低い変形抵抗性を示した。
【0122】
力−距離プロファイル(
図6b)の上向き勾配における最初の中段は、力が減少した第1の破砕点(fracture point)を示した(Pillay and Danckwerts、2002)。破砕エネルギーまたはDEは、その後の力の減少を生じる、マトリックスの破裂(rupture)を引き起こすのに必要なエネルギーの量である。すべての製剤について、値は、0.0005〜0.006Jの範囲であった。これらの低い反発性の値は、コア共融領域を破砕するのに必要なエネルギーが少ないことを示し、力の減少が明らかであった。しかしながら、力をさらに加えると、ニードルプローブが錠剤の全厚さを貫通し、外側のポリマーシェルの破壊されていない底層と接触したので、
図6bに示すように、力のピークは第1の傾きの力の値よりも有意に高った(Pillay and Danckwerts, 2002)。
【0123】
製剤F1〜F15が圧縮力を受けて元の状態に戻る能力をMRとして計算した(Pillay and Fassihi, 1999)。
図7bは、40%の一定の歪みを受けたF1〜F15のMRを示す。F7は復元力が最も高く(60.54%)、F10が最も復元力が低かった(39.27%)。これらの値はそれぞれ、共融粉末融解物の低い濃度および高い濃度に対応していた。これは、高濃度の共融粉末溶融物では、より軟質のマトリックスに起因する製剤の柔軟性が減少することを示した。しかしながら、これはすべての製剤の場合に当てはまらず、結果は中央値50%あたりの比較的良好な復元値を示した。
【0124】
典型的には、錠剤のキャラクタリゼーションにおいて、マトリックス硬度および復元性において高い値が最適と考えられる。とはいえ、製剤F1〜F15について得られた結果は、製剤の目的を反映しており、理想的と考えられる。37℃でコア共融領域のより軟らかいマトリックスは、in situ架橋を促進するための最終目標であった(
図5b)。表面マトリックス硬度および復元性は、適切な構造的完全性をもたらすには許容できる範囲であった。とはいえ、得られた結果は、凝集力および付着力に対する改善された耐性を有する、構造的な柔軟性、改善された硬度、およびより高い破砕エネルギーをもたらす in situ 架橋のプロセスを反映していない。
【0125】
定性的および定量的評価による配合共融粉末組成物の結晶性分析
共融混合物のスペクトルを、共融成分のメントールおよびセトマクロゴールのXRDスペクトルと比較した(
図8)。典型的には、結晶性の成分は、秩序のある(ordered)規則的な(regular)原子配列から生じるXRDスペクトル上の鋭く狭いピークとして現れる。対照的に、アモルファス部分は、原子のランダムで不規則な配置を反映する平坦で広いピークとして現れる。これによれば、共融成分(メントールおよびセトマクロゴール)は、高強度の鋭く狭いピークを示すので、結晶性であると考えられた。対照的に、配合共融粉末は、アモルファス材料の存在を示す広い、低強度のピークを示した。配合共融粉末におけるこれらの違いは、非晶質成分をもたらす製剤中のメントール濃度の増加に起因するものであった。共融混合物の形成は、典型的には、結晶度の低下と、混合物の融点未満のすべての温度でより高い水親和性と改善された溶解度を有する、よりアモルファスな物質の存在をもたらす(Lui et al., 2006; Qui et al., 2009)。熱分析の結果はさらに、共融粉末溶融物について、配合共融粉末内のアモルファス含有量の増加に応答した融点の低下、その後の低下した結晶化度および確認された共融系の存在として得られたXRDデータを支持した。
【0126】
製剤F1〜F15による投与形態の膨潤および浸食挙動の評価
重量の変化を所定の期間にわたってモニターすることにより、製剤F1〜F15(Table 1)(およびペクチンを含む)の膨潤および浸食を分析した。すべての製剤は、
図9(a〜c)で得られた膨潤プロファイルによって示されるように、24時間にわたって膨潤の増加を示した。外側のポリマーシェル内に含有されるポリマー材料PEOの多孔性は、製剤F1〜F15について観察された、高度の水取り込みに寄与する主要な要因であった。PEOは、錠剤が溶解媒体と接触したときに水の摂取を促進する細孔を製剤F1〜F15内に生成し、最終的に、観察される膨潤の速度および程度に影響を及ぼす(AhujaおよびPatak、2009; Vlachou et al., 2001)。F1〜F15は、最初の高度な水取り込みで24時間で元の質量の±1000%まで膨潤し、膨潤挙動は150〜250%であった。
【0127】
膨潤挙動の別の主要な決定要因は、生じた架橋の程度である(Kim et al., 2009)。 より高い程度の架橋は、得られた結果によって証明されるように、全体の膨潤能力を低下させる。F7は最も高い膨潤率(1354%)を示し、それに対応して、最も低い架橋剤の濃度(15%)を含有した。同様に、より高い架橋剤濃度(25%)のF8は最も低い膨潤率(1053.93)を示した。これらの結果は、膨潤挙動が、製剤中に含まれる架橋剤の濃度に直接比例することを示した。他の全ての製剤は、製剤中に含まれる架橋剤の濃度に応じて同様の結果を示した。
【0128】
錠剤の浸食挙動は、各製剤F1〜F15中に存在する表面浸食剤の濃度の違いによって影響を受けた。これは、33.96%の低い浸食率を示したF13に含まれる65mgのペクチンと比較して、80mgのペクチンを含有するF1が明らかに高い浸食率(53.97%)を有することを示す、
図9dで得られた結果から明らかである。全体として、すべての製剤について24時間後の錠剤の浸食について計算された結果は、相対的に制御された表面浸食を示す50%の中央値あたりに集中した。錠剤は24時間後も特徴的な形状を維持し、結果として提案された目的を達成した。膨潤および浸食の挙動は、空隙率および架橋能力に影響され、制御された放出系における溶解および薬剤放出速度に影響を与えた(Vlachou et al., 2009)。
【0129】
共融粉末溶融組成物の表面形態の分析
配合共融粉末およびネイティブな共融成分であるメントールおよびセトマクロゴールの形態学的特徴を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて分析した。共融組成物の前後で得られた画像を
図10(a〜c)に示す。共融形成前の共融試薬のSEM画像は、
図10(a〜b)に示すように、大きく、不規則で鋭い結晶形態を示した。しかし、共融組成物の形成後の共融粉末溶融物の分析では、形態学的構造の明確な変化が認められた。この粒子は、共融成分のごつごつした表面の構造と比較して、形状において、ほぼ球状で滑らかなエッジ表面とより一致しているように思われた(
図10c)。共融粉末溶融組成物の均質性は、単一の薬物結晶を単離することが困難な画像に反映された。得られたSEM画像において、結晶性(共融形成前)からアモルファス(共融形成後)への形態学的構造の変化が示された。得られた画像は、共融混合物の形成に特徴的であり、結晶からアモルファスへの相変化を示したXRD(
図8)について得られた結果を偶然反映している。
【0130】
デザイン製剤のin vitro活性医薬成分(API)の放出分析
製剤F1〜F15(Table 1)の投与形態からのBSA(APIの一例)のAPI(薬物)放出パターンを得るために、シミュレートされたヒト腸液SHIF(pH6.8)中で溶解実験を行った。これらの製剤は、ペクチンをTable 1に記載したとおり含み、溶解実験の間に in situ で架橋を形成した。
【0131】
図11(a〜c)に示すように、得られた放出データを、時間に対する放出分率(fractional release)の関数としてプロットした。観察されたAPI(薬物)放出パターンのわずかな変動に影響を与える、架橋剤、共融粉末溶融組成物および表面浸食剤濃度が異なるすべての製剤は、24時間の試験期間にわたって同様の放出パターンを示した。それにもかかわらず、すべての製剤は、24時間の試験期間にわたって制御された放出を示した。API(薬物)放出プロファイルは、1時間後に最初のバースト放出を示し、約0.128の放出分率を示した。これは、
図9に示す膨潤プロファイルに示されるように、1時間後のすべての製剤の初期の高い膨潤能力を反映していた。その後2時間は、膨潤能力のわずかな変化のみに対応するBSAの遅い放出を示した。これは、水の取り込みおよび膨潤能力を低下させ、続いてAPI(薬物)の放出を制御する、in situ で架橋した界面の形成に起因した。3時間後のAPI(薬物)放出パターンは、24時間まで徐放およびバースト放出の相を示した。これは、架橋能力と共に観察された膨潤の増加と表面浸食に起因するものであった。共融粉末溶融組成物の増大した膨潤は、ゆっくりとした表面浸食およびアモルファスの性質と共に、増大した溶解と±0.8まで放出分率をもたらす、マトリックスネットワークからの薬物の拡散を生じた。
【0132】
共融粉末溶融組成物およびそのナノメートル範囲(142.1nm)までの粒子サイズの減少は、表面積の増大に起因する増大した溶解を促進した。さらに、製剤F1〜F15からのAPI(薬物)放出速度を表すために平均溶解時間(MDT)を用い、放出速度を制御する in situ 架橋形成の能力についての補足的証拠が提供された(Roni et al, 2009; Wadher et al., 2011)。20重量%の架橋剤を含む製剤は、15重量%の架橋剤を含有する製剤について得られたMDT
50よりも高い、5.2〜6.5の範囲のMDT
50を示した。これは、架橋剤濃度の増大によりもたらされる、より高い架橋形成能力が薬物放出の制御に役立ち、より遅い放出プロフィールを示したことを示した。最終的に、MDTは溶解プロセスの速度の指標となった(Sathish and Syed, 2013)。さらに、ポリマー材料の多孔性は、製剤F1〜F15からの薬物放出速度に影響を与えたかもしれない。しかしながら、これはAPI(薬物)放出プロファイルにおいて顕著には明らかではなかったが、膨潤挙動に対するその効果に反映された。得られた結果に基づいて、API(薬物)放出は、膨潤および浸食挙動、架橋濃度および共融粉末溶融組成物のアモルファス性の影響を受けることが示された。
【0133】
デザイン製剤のタンパク質放出プロファイルの数学的モデリング
タンパク質放出プロファイルを種々の動力学的アルゴリズムに適合させ、得られたデータをTable 4に示す。観察されたタンパク質放出データのベストフィットモデルは、回帰係数の動力学的モデリングおよびその数字1への近接性に基づく。製剤間で1に最も近い値を示すモデルは、タンパク質放出メカニズムを説明する上でそのモデルの適切性を実証する。
【0134】
ゼロ次および一次モデルは、タンパク質放出が、それぞれ、タンパク質濃度に依存しないおよび依存する系に基づく(Singhvi and Singh, 2011)。使用したゼロ次および一次モデルは、方程式1および2に示される(Siepmann and Siepmann, 2008)。
Q=K
0t (1)
ここで、Qは、放出されたタンパク質の累積量であり;K
0はゼロ次の定数であり;tは時間である。回帰係数は、 in vitro のタンパク質放出データに基づいて、ゼロ次モデルについて時間に対して累積タンパク質放出(%)のグラフをプロットすることにより求めた。
lnQ
t=lnQ
0K
0t (2)
ここで、Q
tは、放出されたタンパク質の累積量であり;Q
0は溶解媒体中のタンパク質の初期量(通常はゼロ)であり;K
0は一次の定数であり;tは時間である。回帰係数は、 in vitro のタンパク質放出から得られたデータに基づいて、一次モデルについて時間に対して累積放出の対数のグラフをプロットすることにより求めた。
【0135】
共融錠剤F1〜F15について得られた薬物放出プロファイルは、Table 4に示すように一次放出動力学モデルに適合しなかったので、放出は濃度依存的ではないことが示された。制御された放出多層錠剤システムは、典型的には、経時的にタンパク質の一定放出を伴って、ゼロ次またはほぼゼロ次の放出を示す(Yadhav et al., 2013)。共融錠剤は、タンパク質の遅い放出とバースト放出を交互に繰り返すことでほぼ段階的な放出を示したので(
図11a〜c)、回帰係数は0.8041と0.9356の間のほぼゼロ次放出を示した。さらに、タンパク質放出データをHiguichiおよびKorsmeyer-Peppas動力学的モデリングの方程式に適合させて、すべての共融錠剤F1〜F15についての全体的なベストフィットモデルを得た(Yadhav et al., 2013)。
【0136】
Higuichiモデルは、Fickian拡散に基づく時間依存プロセスの平方根の関数としてマトリックスからのタンパク質の放出を記述し、方程式3(Merchant et al., 2006)によって表される。
Q=K
Ht
1/2 (3)
ここで、Qは、放出されたタンパク質の累積量であり;K
Hは、Higuichi溶解定数であり;tは時間である。タンパク質放出データの平方根に対する放出された累積パーセントのプロットで、Higuichiモデルの回帰係数を求めた。高分子系からのタンパク質放出機構を記述するために、Korsmeyer-Peppasモデリング方程式(方程式4)を用いた。
Q
t/Q
∞=K
tn (4)
ここで、ここで、Q
t/Q
∞は時間t当たりに放出されるタンパク質の累積量であり、Kは速度定数であり、nは放出指数である。回帰係数は、累積放出の対数(タンパク質放出データの最初の60%)対タンパク質放出データの時間の対数のグラフをプロットすることによって得られた。
【0137】
共融錠剤F1〜F15について得られたタンパク質放出プロファイルは、Table 4に示すように一次放出動力学モデルに適合しておらず、従って放出は濃度依存性ではないことが示された。回帰係数に基づいて、Higuichiモデルは、大部分の製剤について、タンパク質放出メカニズムがFickian拡散に基づくことを示す0.9007と0.975との間のR
2値を有する最も良好な直線性を示した。Korsmeyer-Peppasモデルはいくつかの製剤についてベストフィットを示したが、冪乗則には、正確なタンパク質放出メカニズムの洞察に制限があるため、限界が存在する(Merchant et al., 2006)。したがって、タンパク質放出動力学は、得られたほぼゼロ次のタンパク質放出でHiguichiモデルと最もよく対応した。
【表4】
【0138】
ラージホワイトピッグ腸組織モデルでのex vivo浸透の分析
メントールは、経口および局所投薬形態において香味料や芳香増強剤として広く使用されているが、経皮や経頬粘膜の薬物送達のための浸透増強剤としての適用性が広く報告されている(Kommuru et al., 1998; Shen et al., 2011; Shojaei et al., 1999; Williams and Barry, 1991)。透過試験から得られた薬物の流動の結果を
図12に示す。試験した製剤は、Table 1の通りであり、12重量%、18重量%および24重量%の(配合共融粉末)EPB組成物を含有するものを、EPBを含まない錠剤と比較した。
【0139】
結果は、0.0576〜0.0714mg.cm
-2h
-1の薬物流動を示したEPMを含有する製剤に比べ、EPMを含まない製剤は0.0281mg.cm
-2 h
-1の最大API(薬物)流動を示し、EPMを含有する製剤の透過性の増加を示した。さらに、メントールの浸透増強効果は、ばらつきはわずかで同様の薬物流動結果を示したので、 in situ で架橋形成した製剤中に含まれるEPMの濃度には依存しないことが認められた。全体として、この結果は、EPMの一部としてin situで架橋形成した製剤中に含まれるメントールが、BSA(例示的API)の腸組織モデルの透過を促進することを証明した。組織が試験を通して完全状態を維持することを確実にするために、浸透試験の前後で腸組織間の経上皮電位差を測定した。結果(透過前:118.1mV、透過後:116.1mV)は、電位差にわずかな差しか示さず、組織の生命力が維持されていることが示された(Antunes et al., 2013)。
【0140】
製剤F1〜F15による制約付最適化および応答面解析
製剤をBox-Behnken設計モデルを用いた統計的最適化を用いて最適化した。設計プログラムは各製剤の結果からの応答を生成し、所望のMDT、膨潤および浸食効率を達成することが可能な必要な、配合共融粉末、架橋剤(NaCO
3およびK
2HPO
4)およびペクチンの理想的な組合せを確認した。
図13のプロットに示すように、Minitab(登録商標)V15統計ソフトウェアを使用して最適な応答を生成した。統計的設計の予測によれば、望ましいMDT、膨潤および浸食を可能にする最適な錠剤は、23.093重量%の架橋剤(NaCO
3およびK
2HPO
4)、12重量%の共融混合粉末および65.313mgのペクチンを含む。応答表面分析プロットは、Minitab(登録商標)V15統計ソフトウェアを使用して得た。プロットは、実験設計変数と達成された応答との間の機能的関連性を表していた。
【0141】
最適な製剤からのin vitroタンパク質放出
最適な製剤からのBSA(APIの例)のタンパク質放出パターンを得るために、SHIF(pH6.8)中で in vitro 放出実験を行った。放出プロファイルは、1時間後のBSAの初期バースト放出(0.208)を示す。次の2時間では、水の取り込みおよび膨潤能力が低下しタンパク質の放出が制御される、in situ での架橋界面の形成に起因するBSAのより遅い放出を示した。3時間以降のタンパク質放出パターンは、
図14に示すように、24時間までバースト放出と遅い放出の相を示した。これは、膨潤、表面浸食およびin situ架橋形成の複合的な効果に起因した。
【0142】
最適な製剤の磁気共鳴イメージング
SHIF(pH6.8)中での磁気共鳴イメージング(MRI)を行い、in vivo での投与形態のなりゆきをモニターし、in vitroでのふるまいと相関させた。
図15に示すように、錠剤への流体進入の動態を観察した。図に示すように、錠剤の表面上の白色領域の強度によって示される多孔質ポリマー組成物の膨潤の漸増が示された(Dvinskikh et al., 2009; Mikac et al., 2010)。多孔質ポリマー組成物の多孔性は、錠剤への流体の進入およびその後の膨潤に影響を及ぼす。暗い領域は、錠剤のコア共融領域を示し、非水和状態のままであり、それにより、組み込まれたタンパク質の保護をもたらす(Mikac et al., 2010)。1時間後、多孔質ポリマー組成物の白色陰影領域とより暗いコア領域との間の灰色領域の出現は、コア領域の水和および組み込まれたタンパク質の徐放を示した。24時間までの錠剤のMRI画像は、コア領域の継続的な水和および多孔質ポリマー組成物の膨潤を示す。さらに、錠剤の表面上の浸食面は、6時間後に顕著になり、錠剤を取り囲む白色の影のある領域によって示される。観察されたこれらの水和への移行は、錠剤の膨潤、浸食および放出挙動をさらに強化する働きをした。
【0143】
コーティングされた製剤CF1〜CF13のコーティングの粘膜付着特性
Table 2のとおり、全ての面心中央複合計画(FCCCD)製剤について粘膜付着実験を行い、コーティングの粘膜付着の量に対する可変濃度の変化の影響を測定し、腸の表面ライニングに付着させ、API(好ましくはタンパク質/ペプチド)の保持時間を増加させ、小腸の粘膜ライニングを介する吸収を高める、コーティングの能力についてスクリーニングした。インキュベーション前およびインキュベーション後のムチン溶液の濃度の差は、粘膜付着性コーティングと架橋した量の指標であり、粒子とムチンとの間の相互作用を示している(Ping et al., 1998)。
図16は、全13製剤についての粘膜付着の結果をまとめたものであり、粘液溶液に対する製剤の平均架橋値の百分率として表す。製剤は、20.2%〜35.2%の範囲の架橋値を示した。結果から、ポリマー−ムチン相互作用の増加を可能にするポリマー(ゼイン)濃度の増加に従う粘膜付着率(%)の比例的な変化が強く示された。すべての製剤は許容される粘膜付着特性を示し、小腸内の滞留時間を増加させるように理想的に機能し、それによって粘膜表面を通した吸収が促進される。
【0144】
多孔質ポリマー組成物に対するpH調整剤
微小環境のpHに対するクエン酸の効果は、Table 2のpH調整剤濃度を含有する全てのコーティング製剤CF1〜CF13をSHIF(pH6.8)中に6時間浸漬し、錠剤マトリックスへの貫通が可能なpHガラス微小電極を用いて、pHを試験することにより決定した(Aditya et al., 2006)。すべての製剤を分析し、結果はマクロ環境と微小環境の間で有意差を示した。マクロ環境ではpHが6.8のままであったが、すべての製剤の微小環境は3.2〜4.5の範囲のpH値まで低下した。より高い濃度では低下したpH値を示すことが観察された(
図17)。これらの結果は、微小環境のpHの一時的な低下が、タンパク質/ペプチド吸収の部位での酵素活性にとって最適な環境を低下させるために重要であるため、好ましいものであった。
【0145】
本発明のさらなる実施形態例において、多孔質ポリマー組成物は、TMC-PEGDMA-MAAコポリマー粒子である
トリメチルキトサン−ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート−メタクリル酸(TMC-PEGDMA-MAA)コポリマー微粒子を首尾よく調製し、胃環境においてAPIロード領域を保護することによって、APIロード領域保護におけるその効力を測定した。本発明において使用される場合、TMC-PEGDMA-MAAは、APIロード領域を少なくとも部分的に取り囲み、多孔質ポリマー組成物に適した候補となる多孔質である。増加するpH条件へのTMC-PEGDMA-MAAの暴露は、粒子の膨潤をもたらし、その結果、投与形態からのAPIの放出速度の増加をもたらす。減少するpH条件へのTMC-PEGDMA-MAAの曝露は、粒子の収縮および/または凝集をもたらし(または粒子が互いに塊を生じる)、その結果、投与形態からのAPIの放出速度が低下する。結果として、投与形態が胃(pHが低い)にあるとき、TMC-PEGDMA-MAA粒子は、収縮および/または凝集、および/または互いに塊となってAPI(GIT感受性タンパク質および/またはペプチドなど)の放出を妨げ、投与形態が腸内にあるとき(pHが胃に対してより高い場合)、TMC-PEGDMA-MAA粒子は、腸の標的部位で膨潤しAPIの放出速度の増加を促進する。
【0146】
TMC-PEGDMA-MAAコポリマー粒子を製剤化するための材料
キトサン(CHT)(媒体 M
w=450kDa)、PEG(M
w=4000g/mol)、MAA、ヨウ化メチル、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)、スルホン酸およびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)は、Sigma-Aldrich(セントルイス、ミズーリ州)から購入した。N−メチル−2−ピロリドンは、Merck(Pty)Ltd.(Estate South、Modderfontein、Gauteng、南アフリカ)から試薬グレードで調達し、さらに精製することなく使用した。他のすべての試薬は分析等級であり、入手したものをそのまま使用した。
【0147】
高度な経口タンパク質送達におけるTMC-PEGDMA-MAAコポリマー粒子
TMC-PEGDMA-MAAコポリマー粒子の製造は、1)2種類の極度の粘膜接着性ポリマー(TMCおよびポリMAA)と、2)合成(ポリ−MAA)および天然(TMC)ポリマー;及び3)2種類のpH応答性ポリマー(ポリ−MAAおよびTMC)の間を連結し、−COOH部分の存在によりAPIロード領域(タンパク質および/またはペプチドを含む)をカプセル化することができ;タンパク質および/またはペプチドを過酷な胃環境から保護することができ;長時間にわたり腸壁のすぐ近くで微粒子系を保持することができる、半合成粘膜接着性pH応答性コンジュゲート高分子系を形成する、フリーラジカル重合および架橋法によるものである。
【0148】
さらに、TMC-PEGDMA-MAAポリマー構造は、スリー・イン・ワン(three-in-one)マトリックスタイプ:1)1つのポリマーが別のポリマーの存在下で架橋されるTMCおよびPEGDMA架橋MAAからなる半相互貫入ポリマーネットワーク;2)PEGDMA架橋MAAの-COOH官能基とTMCの-NH
3+官能基との間に形成された高分子電解質複合体;および3)TMC-PEGDMA-MAAを形成するTMCにコンジュゲートしたPEGDMA架橋MAA、として特徴付けられる。
【0149】
さらに、TMC骨格上の高弾性アクリレートポリマー(PEGDA架橋MAA)は、大量のペプチドを封じ込めることが可能な長い側鎖分子コンフォメーションを提供した。
【0150】
この封じ込めは、鎖間および鎖内架橋ネットワークを提供する長鎖架橋剤(PEGDA)の使用によってさらに増大した。「繋留された」腸粘膜におけるこのコンジュゲートポリマーの保持は、1)PEGDA架橋MAA側鎖の粘液ライニングへの封じ込め、および2)カチオン性ポリクオタニウムキトサン骨格によって提供される帯電した静電相互作用の2つの異なるメカニズムによって媒介された。
【0151】
さらに、高分子量のTMCとPEGDA架橋MAAによって提供されるユニークな機械的特性は、独特の硬〜軟膨潤ヒドロゲル構造を介して腸内の延長された保持を補助した。種々のキトサン誘導体(分子量の点で)および架橋剤ならびに種々の鎖長を有するモノマーに適合するコンジュゲートした系の能力は、タンパク質およびペプチド放出の程度および速度に必要とされる適応性を提供し得る。
【0152】
TMC-PEGDMA-MAAコポリマー粒子の調製
フリーラジカル懸濁重合法により、pH感受性コポリマー粒子を調製した。PEGDMAとMAAを1:2のモル供給比とし、TMCと架橋剤PEGDAの比率を、Box-Behnkenデザイン試験での定量で、モノマー濃度に対しそれぞれ0.5g/100mLおよび3%w/wに最適化した。フリーラジカル開始剤AIBNを、モノマー濃度に対し0.6%w/wで使用し、75℃の一定温度で、不活性条件下400rpmにて6時間行った。次いで、得られたコポリマー微粒子を水で繰り返し洗浄し、凍結乾燥した。APIロード領域をカプセル化できることとは別に、本発明の特定の実施形態において、TMC-PEGDMA-MAA自体にAPIをロードしてもよい。
【0153】
コポリマーTMC-PEGDMA-MAAの化学的機能および強度回折分析
モノマーおよびコポリマー微粒子系についてNMR分析を行った。25ppmおよび175ppmでのピークは、TMC中のアセチル官能基の存在を示す。キトサンはTMCの合成の前駆体であるので、キトサン(CHT)において同様のピークが観察された。55ppmで表されるピークは、トリメチル化シグナルの出現としてN(CH
3)
3へのNH
2の四級化の特徴である。C6とC2の信号はわずかにダウンフィールドにあり、炭素の構造的配置の変化を示している。架橋したコポリマー微粒子を見ると、スペクトル中にさらなるCO、CH
3結合が存在し、これはPEGDMAへの架橋の存在を示している。MAAのピークは48ppmの領域のスペクトルにおいても明らかであり、架橋されたコポリマー系におけるOCH
3官能基を示している。したがって、55ppmのピークはアミン部分のトリメチル化を示す。このピークはCHTのスペクトルでは観察されない。CHTのスペクトルについて、我々はCH
2-NH
2およびCH
2-OH(アルコールおよびアミンに結合したプロトンのみ)の二重の特徴を観察する。C=Oに割り当てることができる185ppmの領域に広範なシグナルのセットがあり、架橋したPEGDMA-MAAを示している。TMCおよびPEGDMA上の官能基は、性質が類似している、すなわちCH
3、CH
2、CHおよびC-Oを有する。C=Oを除いて、これらの炭素シグナルを観測したが、TMCまたはPEGDMAに直接割り当てることは容易ではなかったが、
図18で観察されるように、大部分のピークは、炭素のハイブリダイゼーションのためにそれぞれ同じ化学シフトで集合的に現れ、構造の完全性が維持されたことを確認する異なった炭素シグナルが観察される。
図19は、配置された構造コンフォメーションを有する提案されたコポリマーのメカニズムを示す。TMC-PEGDMA-MAAの粉末XRD回折図においても、結晶化度がTMCおよびPEGDMAよりも大きいことが判明した。これは、TMC-PEGDMA-MAAの固体スペクトルにおいて、恐らく化学的等価性につながるより小さな構造的な立体配座に起因する、化学的に等価なシグナルの発生がより多くなり、ひいてはシグナルがより多くなるという事実を説明することができる。これは制御された薬物放出につながるので、最適化されたコポリマーの合理的な設計における望ましい目的である。
【0154】
TMC-PEGDMA-MAAコポリマー粒子の粘弾性分析
コポリマー粒子の粘弾性は、それぞれ胃および腸のpHの媒体中で測定し、pHの変化による粒子の特徴的な応答の程度を評価した。G’は粒子に貯蔵された変形エネルギーの尺度であり、粒子の弾性的な固相特性を示し、一方、G”は、適用された歪みの適用中に粒子において使用され失われた粘性挙動および変形エネルギーの尺度である。
図20aで観察されるように、胃の媒体中の粒子は、G’がG”を支配するので、大きな弾性特性を有する特有の固相特性を示す。周波数が実質的に高いグラフの終わりに向かって、粘性挙動は粒子の弾性特性を上回り、大きなひずみが加えられたより大きな流れ特性を示す。
図20bは、腸内の媒体中の粒子を示し、ひずみを加えている間に固体および粘性の特性の動的なシフト相を示し、初期段階では粒子が弾性挙動よりも大きな粘性挙動を示す。しかしながら、粘性の性質は、粒子の固相特性よりも依然として著しく低く、ひずみが増加するにつれて粒子がより大きな弾性を示す。
【0155】
降伏応力(T)は、時間に依存して変形または流動を引き起こすのに必要な最小力の尺度である。降伏応力の下では、生じる変形の程度は直線的で、せん断応力が増加し、したがって試料は固相挙動として分類される。このクリティカルな降伏値を超えると、試料は変形と流動を示し、より大きな液相特性を示す(Herh et al., 1998)。行った試験は、非破壊的に正弦波のせん断ひずみを生成する一定の周波数正弦波時間ベースでコーンを振動させる。
【0156】
TMC-PEGDMA-MAAコポリマー粒子のバイオセーフティー特性を証明するための組織病理学的組織評価
ウサギからの組織サンプルを、GIT組織に対する微粒子の効果について評価した。本試験におけるすべてのウサギの組織学的所見は正常であった。
図21はGIT腸サンプルを表し、正常な粘膜陰窩および粘膜固有層のリンパ球細胞の軽度の集団を示し、正常な腸粘膜が確認される。
【0157】
TMC-PEGDMA-MAAコポリマー粒子のマトリックス硬度およびマトリックス弾性の評価
錠剤形態のコポリマー粒子を、マトリックス硬度(MH)およびマトリックス弾性(MR)の特性について評価した。MHは、力−距離比Fd = 0.011およびグラジエントネットFd = 95.37であり、これは、粒子間の結合が著しく強く、したがって、完全なミニ錠剤構造が維持されると解釈される。
【0158】
MRの力−時間プロファイル、即ち力を解放する前のベースラインからピークまでの曲線下面積(AUC)(AUC1-2)に対する、力を解放した後のピークからベースラインまでのAUC(AUC2-3)の比は、22.27%であり、乾燥した固体の圧縮状態で、室温で錠剤の堅固な最小限の弾性特性を示した。コポリマー粒子のMHの物理的特性を評価して、錠剤に1mmの窪みを与えるのに必要とされる力の強度を決定した。曲線の勾配は錠剤の柔軟性を表し、AUCは錠剤の変形エネルギーの量を表す。その物理的機械的特性の観点からの錠剤の安定性は、錠剤が粉末形態に解離するのに要する時間に比例する量の薬物放出をもたらす、適切な薬物放出動態を維持するために不可欠である(Ellison et al., 2008)。MHは0.011N/mmの有意な値を示し、製造および包装中に受ける機械的なプロトコルのために錠剤化システムには不可欠である、有意に強いマトリックス系としてのコポリマー錠剤を示している。
【0159】
MRは、ある物質の、弾性的に変形するが、力が除去されると元の状態に戻る能力である。微粒子の顆粒間の境界表面は、錠剤を圧縮する過程で減少するマトリックス構造内の空隙が最小限であるので、多くのポリマーは高い弾力性を持たない。境界表面が崩壊して弾性変形が塑性変形、すなわち錠剤の永久的な形状/構造の変化、に置き換わるまでは、空隙容積が大きいほど、圧縮後ある程度まで元の形態に戻る錠剤の能力は高い。コポリマー粒子において、境界の粒子表面の数(物理的相互作用)または境界の粒子表面のより高い強度(化学的相互作用)が増加するにつれて、与えた圧縮によって、分子間結合の伸縮性(strech)と錠剤の弾性が正比例の関係になる構造内の弾性変形は生じない(van der Voort Maarschalk et al., 1996)。
【0160】
22.27%のMRは、錠剤が、コポリマー粒子を圧縮するのに用いた最小量の力が0.6MPaであるにもかかわらず、粒子間の最小量の空間で強力な粒子結合を表す、小さな弾性を有することを示した。これはまた、錠剤の包装時に考慮すべき重要な側面であるとともに、所望の薬物放出のための嚥下と遅延放出の崩壊パラメータに耐える力の、より生理的なパラメータである。
【0161】
得られた結果は、TMC-PEGDMA-MAAコポリマー粒子は、摂取されると、胃と腸の条件下では異なる挙動を示し、それにより、胃においては、その固体状態での弾性に起因して、塊になる性質を示しタンパク質ロード領域を保存して最大の保護を可能にし、腸内に入る際には、より粘性の性質を示し、APIロード領域からAPIを放出するように膨潤するという、経口薬物送達に優れた機械的性質を有するという十分な証拠を示している。
【0162】
TMC-PEGDMA-MAAコポリマー粒子のこの特有の特性は、TMC-PEGDMA-MAAコポリマー粒子を、本明細書に記載した本発明の多孔質ポリマー組成物の適した選択肢にしている。
【0163】
結論
製剤F1〜F15を有する投与形態は、配合共融粉末組成物、架橋剤、およびAPI(実施例ではBSA)が組み込まれたAPIロード領域を含む。投与形態は、APIロード領域を実質的に取り囲む多孔質ポリマー組成物をさらに含む。典型的には、投与形態はさらに、コーティング製剤CF1〜CF13において例示されるような、コーティングを含む。本投与形態は、GIT感受性API、特に治療用タンパク質および/またはペプチドのための高度な経口送達システムを創出する目的で開発された。
【0164】
タンパク質および/またはペプチドのようなGIT感受性APIは、典型的には、非経口投与経路を介した送達のために製剤化されるが、非侵襲的経口経路は依然として容認性および利便性が高く、最適な患者コンプライアンスを有すると考えられる。したがって、錠剤の投与形態の設計によって障壁を克服し、タンパク質および/またはペプチドのようなGIT感受性APIの経口送達を成功させることが重要であった。物理化学的および物理的機械的な特性試験によって、融点の低下、結晶化度の低下、およびSEM画像のアモルファス構造へのシフトによって証明されるように、共融形成が確認された。FTIRの結果では、バンドの出現および消失がin situ 架橋形成のプロセスに起因し、製剤が全ての成分に固有のバンドを示したことが明らかとなった。
【0165】
物理機械的プロファイリングは、コア共融領域の溶融に起因して、錠剤のコアへの貫通時に硬度の低下を示した。 in vitro API(薬物)放出挙動は、系の膨潤および浸食プロファイル、ならびに架橋能力および配合共融粉末組成物のアモルファス性の影響を受けた。配合共融粉末組成物のアモルファスへの変化は、API(薬物)候補の吸収、分布、代謝および排除(ADME)プロファイルに影響を及ぼす重要なツールである。メントールの透過増強効果は、対照製剤(0.0281mg.cm
-2h
-1)と比較して、増大した薬物流動値(0.0576-0.0714mg.cm
-2h
-1)によって明らかであった。さらに、微小環境pH分析は、酵素活性の最適な活性を理想的に低下させることができるpHの有意な低下をもたらした。したがって、実施された物理化学的および物理的な特徴付けは、デバイスの生体内性能を予測するための in vitro の特性を描写し、タンパク質およびペプチドのような数多くのGIT感受性APIの経口送達を改善する際の設計の適用可能性を実証するために不可欠であると結論付けることができる。出願人は、本発明が、先行技術において知られている欠点の少なくとも1つを少なくとも改善すると考える。
【0166】
本発明をその特定の実施形態および/または実施例に関して詳細に説明してきたが、当業者であれば、それらを理解すれば、これら実施形態の変形および均等物を容易に想起することができる。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれと等価なものとして評価されるべきである。
【0167】
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