(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記芯材のうち前記保持部の前記先端面に対向する対向面には前記流体管の管軸芯に沿う方向での両端位置に前記管軸芯に直交する姿勢で、前記先端面に向けて立ち上がる第1規制壁が形成されている請求項1に記載の仕切弁。
前記シール部材の前記外面から前記芯材の対向面までの第1距離より、前記保持部の前記先端面から前記芯材の対向面までの第2距離が大きく設定されている請求項1又は2に記載の仕切弁。
前記保持部の前記先端面には、前記流体管の管軸芯に沿う方向での両端位置に前記管軸芯に直交する姿勢で、前記芯材に向けて立ち上がる第2規制壁が形成されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の仕切弁。
前記シール部材のうち、前記流体管の管軸芯に沿う方向視で前記保持部の前記先端面と前記芯材との間の外面には、前記流体管の径方向に長い溝状のスリットが形成されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の仕切弁。
前記第2規制壁は、前記シール部材が前記流体管の内壁に密着して前記流体管での流体の流れを遮断したとき、前記流体管の管軸芯に沿う方向視で前記芯材の少なくとも一部が重複するように形成されている請求項5に記載の仕切弁。
前記保持部のうち、基端側で一対の前記第2規制壁の間の部位には、前記シール部材の前記挿入方向と反対方向への移動を規制する規制凸部が形成されている請求項5又は7に記載の仕切弁。
【背景技術】
【0002】
上記構成の仕切弁として特許文献1には、流体管(文献では管)に形成した貫通孔(文献では孔)から弁体を挿入し、この弁体の外周に形成されたシール部材(文献では弾性シール)を貫通孔の周縁と、流体管の内壁と密着させる技術が示されている。
【0003】
この特許文献1の仕切弁では、弁体のシール部材が貫通孔の周縁に密接すると共に、流体管の内壁に密接することにより、流路を遮断し流体の管外への漏れ出しを阻止する。
【0004】
また、特許文献2には、管周壁に形成された貫通孔から管内に挿入されるシール部材(文献では弾性シール部材)と、このシール部材に押圧する押圧部材とを備え、押圧部材の挿入方向への移動に伴い、挿入方向に交差する方向に力を作用させてシール部材を管(水道管)の管内壁に圧接させる技術が示されている。
【0005】
この特許文献2の仕切弁では、シール部材の内部に可動片を備えており、押圧部材の移動に伴い可動片を挿入方向に交差する径方向に変位させる力を得るために押圧部材の傾斜面に対し可動片の傾斜面を接触させた構成を備えている。
【0006】
また、特許文献3には、弁体芯金具にシール部材(文献では弾性シール部材)を被覆しており、弁体芯金具を管内に挿入した場合にシール部材が管の軸芯方向への張り出しを防止するガイド部を備えた技術が示されている。
【0007】
この特許文献3の仕切弁では、挿入方向への変位によりシール部材を管内壁に圧接した場合に、シール部材が管の軸芯方向へ張り出す不都合をガイド部が抑制し、管内壁に圧接させる方向への弾性変形を可能にしている。
【0008】
更に、特許文献4には、仕切り用弁体を流体管に形成された貫通孔から挿入し、仕切り用弁体のシール部材(文献では弾性シール材)を流体管の内壁に接触させると共に、弁棒に備えた可動押圧部材の収縮作動によりシール部材を挿入方向と直交する方向に弾性変形させる技術が示されている。
【0009】
この特許文献4の仕切弁では、出退移動自在な弁棒の先端に、出退方向に変位自在に可動押圧部材を備え、弁棒と可動押圧部材とに亘りシール部材を備えて仕切り用弁体が構成されている。可動押圧部材の突出端には頭部を備えており、シール部材が圧縮される際に可動押圧部材が収縮することにより、頭部でシール部材を挿入方向と直交する方向に膨出弾性変形させ、シール部材を管内壁に圧接させるように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1〜4に記載の何れの技術でも、例えば、水道管において任意の位置で水を遮断する場合でも上流側で水の流れを遮断する操作を行うことなく、その任意の位置で水道管の水の流れを遮断できるものである。
【0012】
また、仕切弁により水道管の水の流れを遮断するためには、シール部材を管の内周に隙間なく密着させることが重要であり、この密着を実現するために特許文献2〜4に記載の技術の利用が考えられる。
【0013】
しかしながら、特許文献2に示される技術ではシール部材の挿入方向への力を、この挿入方向と直交する径方向に分力するための構成を必要とするため部品点数が増大するものである。
【0014】
また、特許文献3に示される技術では、シール部材が挿入方向に圧力が作用した場合に、シール部材のうち挿入方向で管内壁に接触する部位が最も大きく弾性変形し、この部位から挿入方向に沿って管内壁から離間する距離が拡大するほど弾性変形量が低減するため、ガイド部を形成しても大きい効果が得られないことも考えられる。
【0015】
更に、特許文献4に示される技術では、弁体の挿入方向と直交する方向にシール部材を積極的に弾性変形させることで、挿入方向と直交する方向の管内壁に対するシール部材の密着性を向上させるものである。しかしながら、この構成では、流体管の管軸芯に沿う方向にもシール部材が変形することから流体管の内壁にシール部材を密着させるために必要とするシール部材の量が増大し、密着のための操作に必要とする力の増大を招くものであった。
【0016】
特に、この特許文献4に記載の構成では、弁棒に対して可動押圧部材を相対移動自在に支持するため、所定の精度が要求され、構成の複雑化を招くものでもあった。
【0017】
尚、鋳鉄製の水道管を例に挙げると、従来からの水道管では外径と管厚(肉厚)の比率が決まっていたため、外径に対応した直径の貫通孔を形成し、これに対応した仕切弁を選択することにより、水の流れを遮断できるものであった。
【0018】
しかしながら、近年、管厚(肉厚)が薄い水道管も開発されており、このように薄肉の水道管では、従来のように外径に対応した貫通孔を形成し、これに対応した仕切弁を用いてもシール部材の変形が不足するため、弁体を挿入する力を増大させてもシール部材と水道管の内壁との間に間隙が形成され、水の遮断を行えないこともあった。
【0019】
このような理由から、シール部材を流体管の内壁に密着させる力を増大させることなく、挿入方向と直交する方向の内壁に対してもシール部材を良好に密着させることが可能な仕切弁を簡便な構成で提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の特徴は、流体管に形成された貫通孔から前記流体管の径方向に沿う挿入方向への作動により前記流体管の内部に挿入される弁体と、
前記弁体を前記挿入方向に作動させる作動機構とを備え、
前記弁体が、弁本体と、当該弁本体のうち前記挿入方向に延出する保持部を覆う領域に設けられた弾性変形可能なシール部材とを備えており、前記作動機構により前記弁体が前記挿入方向に作動した際に前記シール部材が前記流体管の内壁に接触し弾性変形することにより、前記シール部材が前記流体管の内壁に密着して前記流体管での流体の流れを遮断するように構成され、
前記シール部材のうち前記挿入方向の外面と、前記保持部の延出方向の先端面との間に前記シール部材より硬質で前記保持部と別体の芯材が埋設されている点にある。
【0021】
この特徴構成によると、作動機構により弁本体を流体管の貫通孔から管内に挿入し、シール部材のうち、挿入方向の外面が流体管の内壁に接触した場合には、保持部の先端面からシール部材に作用する圧力が芯材に伝えられ、この芯材から外面側のシール部材に圧力を分散して伝えるため、外面側のシール部材が局部的に大きく変形する現象を抑制した状態での密着を可能にする。また、この弾性変形時には、弾性変形に伴い芯材が保持部の先端面に近接する方向に変位するため、この変位に伴い、保持部の先端面と芯材との間のシール部材を圧縮し、このように圧縮されたシール部材を挿入方向に対して直交する径方向に変位させ、流体管の内壁に密着させることを可能にする。
【0022】
つまり、この特徴構成では、シール部材の内部に芯材を埋設したことによりシール部材の一部だけが流体管の内壁に局部的に強く圧接する不都合を解消しており、大きい荷重を作用させなくとも挿入方向と直交する径方向にシール部材の一部を変位させ、挿入方向と直交する領域においてもシール部材を流体管の内壁に密着させることが可能となる。
その結果、シール部材を流体管の内壁に密着させる力を増大させることなく、挿入方向と直交する方向の内壁に対してもシール部材を良好に密着させることが可能な仕切弁が簡便な構成で提供された。
【0023】
他の構成として、前記芯材のうち前記保持部の前記先端面に対向する対向面には前記流体管の管軸芯に沿う方向での両端位置に前記管軸芯に直交する姿勢で、前記先端面に向けて立ち上がる第1規制壁が形成されても良い。
【0024】
これによると、シール部材のうち挿入方向の外面が流体管の内壁に接触した状態で圧力が作用した場合には、保持部の先端面と芯材との間のシール部材が圧縮され、この圧縮に伴いシール部材が挿入方向と直交する方向に変位する。このような変形時には第1規制部材が、管軸芯に沿う方向へのシール部材のはみ出しを抑制しながら挿入方向と直交し、且つ、管軸芯に直交する方向にシール部材を案内するため、挿入方向に対して直交する径方向にシール部材を変形させて流体管の内壁に密着させることが可能となる。
【0025】
他の構成として、前記シール部材の前記外面から前記芯材の対向面までの第1距離より、前記保持部の前記先端面から前記芯材の対向面までの第2距離が大きく設定されても良い。
【0026】
これによると、保持部の先端面と芯材との間のシール部材の体積が、芯材からシール部材の外面までの領域のシール部材の体積より大きいため、シール部材に挿入方向に圧力が作用した場合には、挿入方向と直交する方向へのシール部材の変形量を大きくして流体管の内壁との確実な密着を可能にする。
【0027】
他の構成として、前記保持部の前記先端面が、前記挿入方向に直交する平坦面に形成されても良い。
【0028】
これによると、弁本体が挿入方向に作動した場合には保持部の先端面に形成された平坦面に沿ってシール部材が変形するので、先端面より挿入方向上手側にシール部材がはみ出しにくい。よって、保持部の先端面と、芯材との間でシール部材を適正に圧縮する形態となり、この圧縮時に保持部の先端面からシール部材に対して大きい圧縮力を作用させ、挿入方向に対して直交する径方向に向かう変形を効果的に生じさせることが可能となる。
【0029】
他の構成として、前記保持部の前記先端面には、前記流体管の管軸芯に沿う方向での両端位置に前記管軸芯に直交する姿勢で、前記芯材に向けて立ち上がる第2規制壁が形成されても良い。
【0030】
これによると、シール部材のうち挿入方向の外面が流体管の内壁に接触した状態で圧力が作用した場合には、保持部の先端面と芯材との間のシール部材が圧縮され、この圧縮に伴いシール部材が挿入方向と直交する方向に変位する。このような変形時には第2規制部材が管軸芯に沿う方向へのシール部材のはみ出しを抑制しながら、挿入方向と直交し、且つ、管軸芯に直交する方向にシール部材を案内するため、挿入方向に対して直交する径方向にシール部材を変形させて流体管の内壁に密着させることが可能となる。
【0031】
他の構成として、前記シール部材のうち、前記流体管の管軸芯に沿う方向視で前記保持部の前記先端面と前記芯材との間の外面には、前記流体管の径方向に長い溝状のスリットが形成されても良い。
【0032】
これによると、シール部材に対して挿入方向に圧力が作用した場合には、保持部の先端面と芯材との間のシール部材が圧縮され、この部位のシール部材が管軸芯方向に膨れるように弾性変形する現象を招く。この弾性変形時にスリットの隙間が拡大することにより作動機構を作動させる駆動力の軽減が可能となる。
【0033】
他の構成として、前記第2規制壁は、前記シール部材が前記流体管の内壁に密着して前記流体管での流体の流れを遮断したとき、前記流体管の管軸芯に沿う方向視で前記芯材の少なくとも一部が重複するように形成されていても良い。
【0034】
これによると、管軸芯方向に沿う流体圧により、シール部材および芯材に対して管軸芯方向に沿って移動する力が作用した場合でも、芯材の移動が第2規制壁によって阻止される。その結果、保持部の先端面と芯材との間にあるシール部材の管軸芯に沿う方向へのはみ出しが抑制される。よって、弁本体を挿入方向に作動させることで、挿入方向に対して直交する径方向にシール部材を変形させて流体管の内壁に密着した状態を維持することが可能となる。
【0035】
他の構成として、前記保持部のうち、基端側で一対の前記第2規制壁の間の部位には、前記シール部材の前記挿入方向と反対方向への移動を規制する規制凸部が形成されていても良い。
【0036】
これによると、弁本体を挿入方向に作動させることで、保持部の挿入方向と反対側へのシール部材のはみ出しが規制凸部によって抑制される。その結果、弁本体を挿入方向に作動させることで、挿入方向に対して直交する径方向に変形するシール部材の変形量を十分に確保することができる。しかも、シール部材が挿入方向と反対方向にはみ出し難いので、弁本体を挿入方向に作動させることによってシール部材が流体管の貫通孔に当接して破損するといった不都合を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔基本構成〕
図1、
図2に示すように、流体管の一例としての水道管1に形成された貫通孔1aから弁体Vを挿入することにより、既設の水道管1において上流側の弁等の操作により水の流れを遮断することなく、
図3に示す如く弁体Vのシール部材30を水道管1の内壁1sに密着させる形態で水(流体)の流れを遮断する仕切弁Aが構成されている。
【0039】
この仕切弁Aは、所定の工法により水道管1に貫通孔1aを形成する必要があるものの、ケース10に収容した弁体Vを水道管1の管軸芯Xに直交するシフト軸芯Y(水道管1の径方向)に沿う挿入方向Fに挿入することにより、弁体Vのシール部材30を挿入方向Fと、この挿入方向Fに直交する案内方向Gとに弾性変形させ、このシール部材30を水道管1の内壁1sに密着させて水の流れを遮断するように構成されたものである。
【0040】
また、この仕切弁Aでは、水道管1での水の流れを遮断した際には、弁体Vのシール部材30が貫通孔1aの部位に密着して貫通孔1aから外方への水の流出を阻止するようにも構成されている。このように水を遮断する際のシール部材30の弾性変形の様子は後述する。
【0041】
〔仕切弁〕
図1、
図2に示すように、仕切弁Aは、水道管1の貫通孔1aに連通する内部空間を形成する密封構造のケース10と、ケース10の内部空間に収容される弁体Vと、この弁体Vをシフト軸芯Yに沿って作動させる作動機構40とを備えている。
【0042】
ケース10は、水道管1の貫通孔1aを覆う位置に配置される半円筒状の基端部11と、基端部11に一体形成された筒状部12と、筒状部12に連結する有蓋筒状の機構支持部13とを備えており、筒状部12が水道管1のうち貫通孔1aと反対側に配置される半円筒状のホルダ14により水道管1に保持される。
【0043】
つまり、基端部11に一体形成された基端側突出片11aと、ホルダ14に形成されたホルダ側突出片14aとを締結ボルト15で締結することにより、基端部11とホルダ14とが水道管1を抱き込む状態で連結状態に達する。
【0044】
このケース10では、基端部11とホルダ14との内周で水道管1の外周に密接する部位に第1パッキン16を備え、基端部11とホルダ14との境界部位に第2パッキン19を備えている。基端部11及びホルダ14の端部には、ケース10の姿勢を決める調節ボルト17が螺合している。
【0045】
また、筒状部12の開口部分に形成した第1フランジ12aに対し、機構支持部13に形成した第2フランジ部13aを連結ボルト18で連結することにより、筒状部12と機構支持部13とを連結する。
【0046】
尚、水道管1に貫通孔1aを形成する場合には、ホルダ14に対して穿孔装置(不図示)を装着し、この穿孔装置のカッターで水道管1に貫通孔1aを形成する。この貫通孔1aは円形のものを想定しており、貫通孔1aが形成された後には、水道管1のうち穿孔により切り取られた外壁部や切粉等を除去する。この後に、ホルダ14に対し穿孔装置に代えてケース10を装着することになる。
【0047】
〔仕切弁:弁体〕
弁体Vは、鉄材やステンレス材等の金属材で成る弁本体20と、柔軟に変形するゴムや樹脂等の弾性材で成るシール部材30とを備えて構成されている。
【0048】
図1〜
図5に示すように、弁本体20は、ブロック状部21と、ブロック状部21の外面においてシフト軸芯Yに沿う姿勢で外方に張り出すプレート状に形成された一対の係合片22と、このブロック状部21の外面を取り囲む領域に形成された鍔状部23とを備えている。更に、この弁本体20は、鍔状部23からシフト軸芯Yに沿って延びる部位に角棒状の保持部24が一体形成されている。
【0049】
保持部24の延出方向の端部位置には、シフト軸芯Yに対して直交する姿勢の平坦面である先端面24sが形成されている。更に、この保持部24の延出方向の端部位置において管軸芯Xに沿う方向での両端部には、この保持部24の延出方向に突出し、管軸芯Xに直交する姿勢となる主規制壁25(第2規制壁の一例)が互いに平行姿勢で形成されている。また、主規制壁25は、先端面24sにおいて管軸芯Xに沿う方向での両端に配置され、この主規制壁25は、先端面24sの部位から保持部24の側面に亘る領域に形成されている。
【0050】
弁本体20には、ブロック状部21から保持部24に亘りシフト軸芯Yと同軸芯上に孔部が形成され、ブロック状部21には孔部と同軸芯でナット42が回転不能に備えられている。
【0051】
シール部材30は、弁本体20の保持部24を覆う位置に備えられるものであり、挿入方向Fでの突出端(挿入方向Fの下手側)に水道管1の半径と略等しい半径の第1接触面31が形成され、これに連なる側面に第2接触面32が形成されている。
【0052】
また、シール部材30は、第1接触面31から第2接触面32に亘る領域の厚みが略一定で形成され、この厚み方向が管軸芯Xに沿う方向となる。更に、鍔状部23に沿う領域には前述した設定厚より厚い封止部33が形成されている。
【0053】
更に、
図1、
図2に示すようにシール部材30のうち、第1接触面31と保持部24の先端面24sとの間に芯材36が埋設されている。芯材36は、保持部24とは別体として形成され、鉄材やステンレス材等のシール部材30より硬質の材料が使用されている。芯材36の挿入方向Fの先端側には第1接触面31に沿うように緩やかに湾曲する形状の外壁面36a(対向面の一例)が形成され、この反対側には僅かに窪む内壁面36bが形成されている。
【0054】
また、芯材36のうち、保持部24の先端面24sと対向する部位で、管軸芯Xに沿う方向での両端位置に管軸芯Xに直交する姿勢で、先端面24sに向けて立ち上がる姿勢の副規制壁37(第1規制壁の一例)が互いに平行となる姿勢で形成されている。
【0055】
特に、シール部材30のうち挿入方向Fの外面(第1接触面31)から芯材36の外壁面36aまでの第1距離D1より、保持部24の先端面24sから芯材36の内壁面36bまでの第2距離D2が大きく設定されている(
図1を参照)。
【0056】
シール部材30は芯材36をインサートする形態で金型により成形される。従って、成形時に金型の内部で芯材36の位置を決めるピン等が挿通するために芯材36に位置決め孔36cが形成され、シール部材30の先端には孔部30aが形成されている。尚、シール部材30の先端に孔部30aが形成されることにより、弁体Vを水道管1に挿入した場合に、水道管1の内壁1sに錆等の粒子が存在しても孔部30aに入り込むことが可能であり、良好な止水を可能にする。
【0057】
図4、
図5に示すように、シール部材30のうち、管軸芯Xに沿う方向視で保持部24の先端面24sと芯材36との中間位置で、外面に径方向に長い溝状となるスリット34が形成されている。
【0058】
図1、
図2に示すように、シール部材30は、保持部24のうち管軸芯Xに直交する直交壁面24aの外面、及び、芯材36の全周に接着されるが、管軸芯Xと平行する平行壁面24bの一部、先端面24s、及び、一対の主規制壁25の内面(互いに向かい合う面)には接着されない。
【0059】
〔仕切弁:作動機構〕
図1、
図2に示すように、作動機構40は機構支持部13の端部壁13Wに一端が貫通する状態で回転自在、且つ、ネジ軸芯方向に移動不能に支持されたネジ軸41と、前述したように弁本体20に備えられたナット42と、機構支持部13の内面において弁本体20の係合片22を案内する壁状のガイド部43とを備えている。
【0060】
ネジ軸41のうち、機構支持部13の外部に露出する部位にはネジ軸41を回転操作する操作部41aが形成されている。また、このネジ軸41に弁本体20のナット42が螺合する関係で配置される。
【0061】
〔作動形態〕
図1、
図2には弁体Vを貫通孔1aに挿入する以前の位置関係を示しており、この状態からネジ軸41を回転操作して弁体Vを挿入方向Fに作動させ貫通孔1aから挿入することにより、
図3に示す如くシール部材30の第1接触面31が水道管1の内壁1sに接触する。
【0062】
この接触状態でネジ軸41を更に操作することにより、シール部材30が挿入方向F(シフト軸芯Yに沿う方向)に沿って圧縮され、芯材36の挿入方向Fの外壁面36aが水道管1の内壁1sに沿う形状であるため、この芯材36と水道管1の内壁1sとの間のシール部材30に平均的に圧力を作用させ、第1距離D1が僅かに縮小するものの、局部的に大きく弾性変形する現象が抑制される。
【0063】
この圧縮時には、芯材36が保持部24の先端面24sに接近する方向に変位するため、第2距離D2が第1距離D1より大きく縮小する。これにより保持部24の先端面24sと芯材36との間のシール部材30に圧縮力が作用し、シール部材30は挿入方向Fと直交する方向に膨らむ形態で弾性変形しようとする。
【0064】
このように弾性変形しようとする状況において、一対の主規制壁25と一対の副規制壁37とが管軸芯Xに沿う方向へのシール部材30の弾性変形を抑制するため、シール部材30を、挿入方向Fと直交する案内方向Gに優先的に弾性変形させ、シール部材30の第2接触面32を水道管1の内壁1sに接触させて水の流れを確実に遮断する。
【0065】
また、シール部材30が挿入方向Fと管軸芯Xとに直交する案内方向Gに弾性変形する際には、保持部24の平行壁面24bのうち中間部分より先端側、先端面24s、一対の主規制壁25の内面(互いに向かい合う面)に対してシール部材30が接着していないため、挿入方向Fと管軸芯Xとに直交する方向への弾性変形を容易に行わせ、圧縮操作のための操作力の軽減を可能にしている。
【0066】
更に、シール部材30にはスリット34が形成されているため、保持部24の先端面24sと芯材36の内壁面36bとに挟まれたシール部材30が圧縮され、その一部が管軸芯Xに沿う方向に膨らむように弾性変形する場合に、このスリット34の溝幅を拡大させることにより、シール部材30の弾性変形を容易にし、圧縮操作のための操作力の軽減を可能にしている。
【0067】
〔実施形態の作用・効果〕
このように、仕切弁Aを構成するシール部材30に芯材36を埋め込み、保持部24の先端面24sの姿勢を設定し、芯材36と弁本体20の保持部24との相対的な位置関係と、相対的な距離との設定により、挿入方向Fに沿って圧力が作用した場合には、保持部24の先端面24sと芯材36の内壁面36bとの間のシール部材30に強い圧力を作用させ、この部位のシール部材30に対して軽負荷での圧縮力の作用を可能にしている。
【0068】
また、保持部24の先端面24sの部位に一対の主規制壁25を形成し、芯材36に一対の副規制壁37を形成している。この構成により、保持部24の先端面24sと芯材36の間に圧力が作用した場合に、この圧力によるシール部材30の弾性変形の方向を、管軸芯Xに直交し、且つ、挿入方向Fに直交する案内方向Gに向かわせ、シール部材30のうち第2接触面32も水道管1の内壁1sに密接させて水の流れの完全な遮断を実現している。
【0069】
更に、保持部24のうち水道管1の内壁1sに対向する位置となる平行壁面24bのうち中間部分より先端側、先端面24s、一対の主規制壁25の内面に対してシール部材30を接着しておらず、シール部材30の表面にスリット34を形成することにより、圧縮力が作用した場合のシール部材30の弾性変形を容易にしてネジ軸41を操作する際の負荷の軽減を実現している。
【0070】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
【0071】
(a)仕切弁Aを、水道管1に限らずガス管や、水やガス以外の流体が流れる流体管において流体の流れを遮断するように用いる。
【0072】
(b)主規制壁25(第2規制壁)と副規制壁37(第1規制壁)との数は3つ以上でも良く、これらを省略しても良い。
【0073】
(c)保持部24の先端面24sを曲率が、水道管1(流体管)の曲率に対して小さい面(曲率半径が大きい面)として形成する。つまり、保持部24の先端面24sを僅かに突出する面や僅かに窪む面として形成することも可能である。
【0074】
(d)スリット34の形状や深さは任意に設定することが可能であり、このスリット34を省略しても良い。
【0075】
(e)上述した弁体Vに代えて、
図6〜
図9に示すような弁体VAで構成しても良い。弁体VAは、鉄材やステンレス材等の金属材で成る弁本体20Aと、柔軟に変形するゴムや樹脂等の弾性材で成るシール部材30Aとを備えて構成されている。
【0076】
図6〜
図8に示すように、弁本体20Aは、円筒状のブロック状部21Aと、ブロック状部21Aの外面においてシフト軸芯Yに沿う姿勢で外方に張り出すプレート状に形成された一対の係合片22Aと、このブロック状部21Aの端部で周方向に沿って形成された鍔状部23Aとを備えている。更に、この弁本体20Aは、鍔状部23Aからシフト軸芯Yに沿って延びる部位に角筒状の保持部24Aが一体形成されている。
【0077】
図6〜
図9に示すように、芯材36Aは、保持部24Aとは別体として形成され、鉄材やステンレス材等のシール部材30Aより硬質の材料が使用されている。芯材36Aの挿入方向Fの先端側には第1接触面31Aに沿うように緩やかに湾曲する形状の外壁面36Aaが形成され、この反対側には湾曲面から膨らんだ内壁面36Abが形成されている。本実施形態における芯材36Aは、上述した芯材36における副規制壁37を備えていないが、副規制壁37を備える構成であってもよい。
【0078】
保持部24Aの管軸芯Xに沿う方向での両端部には、この保持部24の延出方向に突出し、管軸芯Xに直交する姿勢となる主規制壁25A(第2規制壁の一例)が互いに平行姿勢で形成されている。
図9に示すように、本実施形態における主規制壁25Aは、シール部材30Aが水道管1の内壁1sに密着して水道管1での水の流れを遮断したとき、水道管1の管軸芯Xに沿う方向視で、芯材36Aの少なくとも一部が重複するように形成されている。つまり、主規制壁25Aにおける保持部24Aの先端面24Asからの突出量D3は、弁体VAが水道管1に挿入されてシール部材30Aが最も圧縮したときにおける保持部24Aの先端面24Asから芯材36Aの内壁面36Abまでの第2距離D2よりも大きく構成されている(
図9参照)。なお、本実施形態では、弁体VAが水道管1に挿入される前(シール部材30Aが圧縮する前)においては、主規制壁25Aにおける保持部24Aの先端面24Asからの突出量D3は、保持部24Aの先端面24Asから芯材36Aの内壁面36Abまでの第2距離D2よりも小さく構成されている(
図7参照)。これに代えて、主規制壁25Aにおける保持部24Aの先端面24Asからの突出量D3を、シール部材30Aが圧縮する前における保持部24Aの先端面24Asから芯材36Aの内壁面36Abまでの第2距離D2よりも大きく構成してもよい。
【0079】
上述した実施形態と同様に、保持部24のうち一対の主規制壁25Aに挟まれる側面および先端面24s、一対の主規制壁25の内面(互いに向かい合う面)に対してシール部材30が接着されていない。
【0080】
本実施形態では、管軸芯X方向に沿う流体圧により、シール部材30Aおよび芯材36Aに対して管軸芯X方向に沿って移動する力が作用した場合でも、芯材36Aの移動が主規制壁25Aによって阻止される。その結果、保持部24Aの先端面24Asと芯材36Aとの間にあるシール部材30Aの管軸芯Xに沿う方向へのはみ出しが抑制される。よって、弁本体20Aを挿入方向Fに作動させることで、挿入方向Fに対して直交する案内方向Gにシール部材30Aを変形させて水道管1の内壁1sに密着させた状態を維持することが可能となる。
【0081】
また、本実施形態のおける主規制壁25Aは、保持部24の延出方向に突出するのに加えて、保持部24から、挿入方向Fと管軸芯Xとに直交する案内方向Gにも突出している。これによって、保持部24Aの先端面24Asと芯材36Aとの間にあるシール部材30Aの管軸芯Xに沿う方向へのはみ出しをさらに抑制することができる。
【0082】
また、本実施形態における弁体VAにおける保持部24Aのうち、挿入方向Fの後側となる基端側で一対の主規制壁25Aの間の部位には、シール部材30Aの挿入方向Fと反対方向への移動を規制する規制凸部38が外側に突出形成されている。この規制凸部38は、シール部材30Aが水道管1の内壁1sに密着して水道管1での水の流れを遮断したとき、水道管1の貫通孔1a近傍(水道管1の径方向において貫通孔1aに対応する箇所)に位置するように設定されている(
図9参照)。
【0083】
弁本体20Aを挿入方向Fに作動させることで、保持部24Aの挿入方向Fと反対方向へのシール部材30Aのはみ出しが規制凸部38によって抑制される。その結果、弁本体20Aを挿入方向Fに作動させることで、挿入方向Fに対して直交する案内方向Gに変形するシール部材30Aの変形量を十分に確保することができる。しかも、シール部材30Aが挿入方向Fと反対方向にはみ出し難いので、弁本体20Aを挿入方向Fに作動させることによってシール部材30Aが水道管1の貫通孔1aに当接して破損するといった不都合を防止することができる。その他の構成および作用効果は、上述した実施形態と同様であるので詳細な説明を省略する。