【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年1月22日、http://www.taisenk.co.jp/monorail_koudai.htmlのアドレスのウエブサイトにて公開
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特に、山間部を走行するモノレールでは、上ったり下ったりと、上り勾配や下り勾配が連続するため、レールの勾配の角度をより容易に調整することができる斜路構台が望まれている。そこで、本発明者は、レールや床材等の勾配の角度調整がさらに容易になる斜路構台について鋭意検討を重ねた。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、モノレールのレールや床材等、勾配をもつ斜路の勾配の角度調整が容易になる斜路構台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決する本発明の斜路構台は、進行方向に勾配をもつ斜路を形成する斜路構台において、
前記進行方向と、該進行方向に直交する幅方向とに間隔をあけて
、該進行方向において傾斜した傾斜面に立設された複数の支柱と、該進行方向に隣り合う該支柱間に架け渡されて該支柱どうしを連結する連結部材と、該幅方向に隣り合う該支柱間に架け渡されて該支柱どうしを連結する水平材と、該支柱の上端部に支持され前記斜路を構成する通路部材と、を備え、
前記複数の支柱それぞれは、被係合部が、上下方向に一定の間隔をあけて複数設けられたものであり、
前記連結部材は、
長さ調整可能であって回動軸を中心に回動自在に設けられた一対の係合部を両端にそれぞれ有し、該係合部が前記被係合部に係合されることで前記斜路における勾配の角度と略同じ角度で傾斜したものであ
って、係合する該被係合部を上下に変更することで同じ傾斜角度で高さ位置を変更可能なものであり、
前記水平材は、水平方向に延在した姿勢で設置されたものであることを特徴とする。
【0008】
ここで、前記通路部材は、モノレールのレール部材であってもよいし、車輌や重機等が通過する床材や大引、根太等からなる床部材であってもよい。また、勾配は、上り勾配と下り勾配の両者を含み、前記斜路における勾配の角度と略同じ角度とは、該勾配の角度と同一の角度、および該勾配の角度との差が5度以内の角度をいう。すなわち、前記連結部材は、前記斜路における勾配に沿って傾斜したものである。さらに、前記連結部材は、一対の前記支柱間において、上下方向に間隔をあけて複数設けられたものであってもよく、これら複数の該連結部材は、同じ角度で傾斜したものであってもよい
。さらに、進行方向が水平な通路を形成する水平路構台と組合せてもよい
。
【0009】
特許文献2記載の斜路構台のように、横架材と筋交いとによって勾配の角度調整を行う態様に比べ、本発明の斜路構台によれば、前記斜路における勾配の角度と略同じ角度で傾斜した前記連結部材を採用し、該連結部材によって前記支柱どうしを連結すればよいため、前記斜路の勾配の角度調整が容易になる。
【0010】
また、本発明の斜路構台において、
前記連結部材と同一構成のものであって前記進行方向に隣り合う前記支柱間に架け渡されて該支柱どうしを連結する補強連結部材を備え、
前記補強連結部材は、前記連結部材とは反対側に傾斜したものであり、
前記連結部材の傾斜方向を反対にして前記補強連結部材とすることができるとともに、前記補強連結部材の傾斜方向を反対にして前記連結部材とすることができるものであることが好ましい。
【0011】
具体的には、前記斜路が上り勾配の場合には、前記連結部材は、該斜路の上り勾配に沿って進行方向の前方に向かうにつれて上がる方向に傾斜する一方、前記補強連結部材は、進行方向の前方に向かうにつれて下がる方向に傾斜する。これにより、前記連結部材と前記補強連結部材とは、進行方向の後方側に横を向いたハの字状になる。また、前記斜路が下り勾配の場合には、前記連結部材は、該斜路の下り勾配に沿って進行方向の前方に向かうにつれて下がる方向に傾斜する一方、前記補強連結部材は、進行方向の前方に向かうにつれて上がる方向に傾斜する。これにより、前記連結部材と前記補強連結部材とは、進行方向の前方側に横を向いたハの字状になる。これらの結果、前記支柱どうしを前記連結部材と前記補強連結部材とによって連結した構成体の耐力と、該支柱の許容支持力を向上させることができる。
【0013】
さらに、本発明の傾斜構台において、
前記補強連結部材は、水平を対称の軸として前記斜路と略線対称に傾斜したものである態様が好ましい。
【0016】
またさらに、本発明の傾斜構台において、
上下に配置された一対の前記連結部材と、該一対の連結部材の間に配置された前記補強連結部材とを備え、
上の前記連結部材と前記補強連結部材とは、前記進行方向の後方側又は前方側に横を向いたハの字状になり、下の前記連結部材と前記補強連結部材とは、該上の連結部材と該補強連結部材とは反対側を向いたハの字状になるものであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、モノレールのレールや床材等、勾配をもつ斜路の勾配の角度調整が容易になる斜路構台を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本実施形態では、モノレール用のレールを備えた斜路構台に適用する態様を例にあげて説明する。
【0021】
図1は、本発明の斜路構台をモノレール用のレールを備えた斜路構台10に適用した態様を示す図である。この
図1では、左から右に向かう方向が進行方向になる。また、本実施形態では、斜路構台10の左側(進行方向の手前側)に、水平路Wを形成する水平路構台11が接続されている。モノレールMは、水平路構台11のレール部材2における水平なレールを通過し、斜路構台10のレール部材2における上り勾配のレールを上っていく。
図1に示す斜路構台10において、レール部材2によって構成される斜路Sは、最も勾配の角度が小さい第1斜路S1(約15度)、第1斜路S1よりも勾配の角度が大きい第2斜路S2(約30度)、第2斜路S2よりも勾配の角度が大きい第3斜路S3(約45度)が、水平路Wに連続して進行方向に記載順に設けられている。なお、以下の説明では、進行方向と直交する方向(
図1における紙面と直交する方向)を幅方向と称することがある。
【0022】
水平路構台11は、進行方向に間隔をあけて立設した複数の支柱3と、進行方向に隣り合う支柱3間に架け渡されて支柱3どうしを連結する水平連結部材6とを有している。また、斜路構台10は、進行方向に間隔をあけて立設した複数の支柱3と、進行方向に隣り合う支柱3間に架け渡されて支柱3どうしを連結する連結部材4とを有している。連結部材4は、一対の支柱3間において、上下方向に間隔をあけて複数設けられている。詳しくは後述するが、これら連結部材4は、斜路Sにおける勾配の角度と略同じ角度で傾斜したものである。さらに、斜路構台10における第1斜路S1部分には、進行方向に隣り合う支柱3間に架け渡されて支柱3どうしを連結するものであって、連結部材4とは反対側に傾斜した補強連結部材5が設けられている。すなわち、連結部材4は、斜路Sの上り勾配に沿って進行方向の前方に向かうにつれて上がる方向に傾斜する一方、補強連結部材5は、進行方向の前方に向かうにつれて下がる方向に傾斜している。
【0023】
図2(a)は、
図1に示す水平路構台11の幅方向に断面した図であり、
図2(b)は、
図1に示す斜路構台10における第1斜路S1部分の幅方向に断面した図であり、
図2(c)は、
図1に示す斜路構台10における第2斜路S2部分の幅方向に断面した図であり、
図2(d)は、
図1に示す斜路構台10における第3斜路S3部分の幅方向に断面した図である。
【0024】
図2(a)に示すように、水平路構台11は、幅方向に間隔をあけて立設された支柱3と、幅方向に隣り合う支柱3間に架け渡されて支柱3どうしを連結する水平材7と、支柱3の上端部分に設けられた受材9と、受材9に支持されたレール部材2とを有している。
【0025】
図2(b)〜同図(d)に示すように、斜路構台10も、幅方向に間隔をあけて立設された支柱3と、幅方向に隣り合う支柱3間に架け渡されて支柱3どうしを連結する水平材7と、支柱3の上端部分に設けられた受材9と、受材9に支持されたレール部材2とを有している。さらに、斜路構台10は、水平材7間に架け渡されて水平材7どうしを連結する第1筋交い81と、水平材7と支柱3とに架け渡されて水平材7と支柱3とを連結する第2筋交い82を備えている。
【0027】
図3(a)は、
図1及び
図2に示す支柱3の正面図であり、
図3(b)は、同図(a)に示す支柱3の拡大平面図である。
【0028】
図3(a)に示すように、本実施形態の斜路構台10および水平路構台11では、長さの異なる支柱3を用いており、これら支柱3を単独で使用したり、あるいは連結して使用したりすることで支柱3の高さを調整している。なお、支柱3の細かい高さ調整は、ジャッキJ(
図7)によって行う。
【0029】
支柱3は、パイプ状の支柱本体31と、支柱本体31の上端部分に設けられ支柱本体31よりも小径な接続部32と、支柱本体31から、平面視において十字状に設けられた4つ1組の被係合部33が設けられている。接続部32は、受材9(
図2参照)や、他の支柱3の下端部分が接続する部分である。
図3(b)に示すように、被係合部33は、平面視コ字状に屈曲されて、平面視90度間隔で支柱本体31に固着されたものであり、詳しくは
図4を用いて後述する連結部材4の係合部432が横方向から係合し、楔Lが上方から嵌め込まれて固定される。
図3(a)における最も短い支柱3(左端の支柱3)を除き、支柱3には、4つ1組の被係合部33が、上下方向に一定の間隔をあけて複数組設けられている。
【0030】
図4は、
図1に示す連結部材4を拡大して示す図である。なお、本実施形態では、補強連結部材5も水平連結部材6も同じ構成であり、連結部材4を例に挙げて説明する。なお、連結部材4と構成の異なる補強連結部材5や水平連結部材6を採用しても良いが、同じ部材を用いることで部材の共通化を図ることができる。
【0031】
連結部材4は、第1パイプ41と、この第1パイプ41の内径より僅かに外径の小さい第2パイプ42を有し、第1パイプ41の一端側(図では右側)から、第2パイプ42の他端側(図では左側)がスライド自在に差し込まれている。第1パイプ41の一端側部分には互いに対向した状態の一対の第1挿入孔41aが設けられている。なお、
図4では、反対側の第1挿入孔41aは隠れている。第2パイプ42には、互いに対向した状態の一対の第2挿入孔42aが、第2パイプ42の長手方向に複数組設けられている。そして、第1挿入孔41aと、複数組の第2挿入孔42aから選択された一組の第2挿入孔42a(
図4では右から2つ目)とに不図示のピンが挿入され、連結部材4の長さが固定されている
。
【0032】
第1パイプ41の他端側と第2パイプ42の一端側には、それぞれ係合金具43が設けられている。係合金具43は、第1パイプ41の他端側又は第2パイプ42の一端側を挟み込むクレビス431と側面視コ字状の係合部432を有しており、クレビス431を貫通する回動軸44によって、第1パイプ41の他端側と第2パイプ42の一端側にそれぞれ回動自在に設けられている。すなわち、連結部材4は、回動軸44を中心に回動自在(
図4における円弧状の両矢印参照)に設けられた一対の係合部432を両端にそれぞれ有するものである。係合部432の上片と下片それぞれには、上下方向に貫通する挿入孔432aが形成されている。前述したように、係合部432は、支柱3の被係合部33に横方向から係合し、係合部432の挿入孔432aと支柱3の被係合部33とに楔Lが嵌め込まれて固定される。これにより、支柱3どうしが連結部材4によって連結される。ここで、係合部432は、回動軸44を中心に回動自在に設けられているため、
図1に示す、第1斜路S1〜第3斜路S3のように、勾配の角度の微妙な調整に対応することができる。
【0033】
図5は、
図2に示す水平材7を拡大して示す図である。
【0034】
図5に示すように、水平材7は、パイプ状の水平材本体71と、この水平材本体71の両端部にそれぞれ固定された側面視コ字状の水平材係合部72とを有している。水平材本体71には、その両端側部分それぞれに複数(本実施形態では2つずつ)の取付孔71aが形成されている。水平材係合部72は、上下方向に楔Lが挿入可能に構成されている。
図2に示すように、水平材係合部72は、支柱3の被係合部33に横方向から係合し、水平材係合部72と支柱3の被係合部33とに楔Lが嵌め込まれることで、支柱3どうしが、水平方向に延在した姿勢の水平材7によって連結される。すなわち、
図2に示すように、水平材7は、水平方向に延在した姿勢で設置されたものである。なお、水平材7は、水平材本体71の長さが異なる複数種のものを用意することもできる。
【0035】
図6は、
図2に示す、第1筋交い81と第2筋交い82とを拡大して示す図である。
【0036】
図6に示すように、第1筋交い81は、長尺状の第1筋交い本体811と、この第1筋交い本体811の両端にそれぞれ設けられ、第1クレビス挿入孔812aが形成された第1取付クレビス812とを有している。第1筋交い81の第1クレビス挿入孔812aと、水平材7の取付孔71aとに不図示のピンが挿入されることで、
図2に示すように、第1筋交い81が水平材7間に架け渡されて水平材7どうしが第1筋交い81によって連結される。
【0037】
第2筋交い82は、長尺状の第2筋交い本体821と、この第2筋交い本体821の一端側に設けられ、第2クレビス挿入孔822aが形成された第2取付クレビス822と、第2筋交い本体821の他端側に固定され、平面視コ字状であって楔Lが挿入可能な筋交い係合部823とを有している。第2筋交い82の第2クレビス挿入孔822aと、水平材7の取付孔71aとに不図示のピンが挿入されるとともに、筋交い係合部823が、支柱3の被係合部33に横方向から係合し、筋交い係合部823と支柱3の被係合部33とに楔Lが嵌め込まれる。これにより、
図2に示すように、第2筋交い82によって、水平材7と支柱3とが連結される。
【0038】
図7は、
図1において二点鎖線の楕円で囲んだ部分を拡大して示す図である。すなわち、
図7では、第1斜路S1の一部を拡大して示している。
【0039】
図7に示すように、支柱3どうしは、3つの連結部材4によって連結されている。これら連結部材4の傾斜角度α’(例えば18度程度)は同じに設定され、また、斜路の勾配の角度(斜路を構成するレール部材の傾斜角度)α(例えば15度)と略同じに設定されている。なお、斜路の勾配の角度αと連結部材4の傾斜角度α’は、支柱3の下端に設けられたジャッキJを操作することで微妙な調整が可能である。
【0040】
また、上段の連結部材4の下方には、補強連結部材5が配置されている。この補強連結部材5は、連結部材4とは反対側に傾斜している。具体的には、連結部材4は、斜路Sの上り勾配に沿って進行方向の前方に向かうにつれて上がる方向に傾斜する一方、補強連結部材5は、進行方向の前方に向かうにつれて下がる方向に傾斜している。これにより、上段の連結部材4と補強連結部材5とは、左横を向いたハの字状になり、中段の連結部材4と補強連結部材5とは、右横を向いたハの字状になる。これにより、支柱3どうしを連結部材4と補強連結部材5とによって連結した構成体の耐力と、支柱3の許容支持力を向上させることができる。特に、第1斜路S1(
図1参照)は、上り勾配が始まる、斜路における勾配の最も低い部分になり、斜路構台10の荷重が集中しやすい。このため、補強連結部材5を設けることで、荷重が集中しやすい部分を効果的に補強している。なお、
図1における第2斜路S2のように、設置面とレール部材2との高低差が確保できる場合には、必要に応じて補強連結部材5を設けてもよい。
【0041】
なお、
図7において一点鎖線で示すように、中段の連結部材4を一段下の被係合部33に係合させ、その上に補強連結部材5を配置する等、本実施形態では、連結部材4と補強連結部材5との組合せの自由度が非常に高い。これは、前述した特許文献2記載の斜路構台では必須となる筋交いが、本発明では不要になることが要因の一つである。このように、本発明では、進行方向に間隔をあけて立設された支柱3間において筋交いが不要となるため、斜路の勾配の角度調整を非常に容易に行うことができる。
【0042】
また、支柱3どうしの進行方向の間隔INは、支柱3どうしを連結した連結部材4における回動軸44間の距離Dが一定(例えば1m)になるように設定されている。このため、
図1に示すように、第1斜路S1〜第3斜路S3において、勾配の角度が大きくなるほど、支柱3どうしの進行方向の間隔INが狭くなるように支柱3の位置が設定される。
【0043】
本発明によれば、勾配をもつ斜路の勾配の角度調整が容易になる斜路構台を提供することができる。
【0044】
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。例えば、前述の実施形態では、モノレール用のレールを備えた斜路構台10に適用した態様を例にあげて説明したが、本発明の斜路構台は、車輌や重機等が通過する床材を備えた斜路構台に適用することも可能である。具体的には、受材9(
図2参照)に大引を架け渡し、この大引に架け渡した根太上に床材を設置すればよい。また、前述の実施形態では、上り勾配の態様を例にあげて説明したが、下り勾配の斜路にももちろん適用可能である。例えば、下り勾配の斜路では、
図1の構成を左右対称に構成すればよい。具体的には、連結部材4は、斜路Sの下り勾配に沿って進行方向の前方に向かうにつれて下がる方向に傾斜する一方、補強連結部材5は、進行方向の前方に向かうにつれて上がる方向に傾斜するように構成すればよい。