(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の記載及び図面は、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、以下の各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0019】
<実施の形態>
<実施の形態の構成>
本実施の形態の構成を説明する前に、本実施の形態の第1及び第2の課題について説明する。以下では、無線LAN通信装置が無線LANアクセスポイントである場合の例について説明する。
【0020】
まず、
図1及び
図2を参照して、本実施の形態の第1の課題について説明する。
図1及び
図2に示される無線LANシステムは、関連技術に係る無線LANアクセスポイント900と、無線LAN端末200A,200Bと、を備えている。なお、以下では、どの無線LAN端末200A,200Bであるか特定しない場合は無線LAN端末200と称する。また、
図1及び
図2は、2つの無線LAN端末200A,200Bを図示しているが、無線LAN端末200の数は2つに限定されず、1つ以上であれば良い。
【0021】
無線LANアクセスポイント900は、周波数帯域W52/W53/W56をすべて使用可能なアクセスポイントである。
無線LAN端末200Bも同様に、周波数帯域W52/W53/W56をすべて使用可能な端末である。一方、無線LAN端末200Aは、周波数帯域W52のみを使用可能な端末である。
【0022】
図1では、無線LANアクセスポイント900は、使用可能な周波数帯域の中からW52を選択し使用している。この場合、無線LAN端末200A及び無線LAN端末200Bはどちらも、W52を使用できるため、W52の周波数を使用したWPS方式(WPS−PBC方式を含む)を利用することで無線通信を行うための初期設定を行うこと、すなわち、W52で無線LANアクセスポイント900と接続することが可能である。
【0023】
一方、
図2では、無線LANアクセスポイント900は、W56を選択し使用している。この場合、無線LAN端末200Bは、W56を使用できるため、W56の周波数を使用したWPS方式を利用することで無線LANアクセスポイント900と接続することが可能である。しかし、無線LAN端末200Aは、W56を使用できないため、WPS方式を利用しても、無線LANアクセスポイント900と接続することができない。そのため、WPS方式を利用しても、無線LANアクセスポイント900と接続することができるのは無線LAN端末200Bのみとなる。
【0024】
しかし、ユーザからは、無線LANアクセスポイント900及び無線LAN端末200Aはどちらも5GHz帯を使用できるように見えるため、両者が接続できない原因を特定しにくいという課題(第1の課題)がある。
【0025】
続いて、
図3を参照して、本実施の形態の第2の課題について説明する。
図3に示される無線LANシステムは、システム構成自体は
図1及び
図2と同様である。
【0026】
図3の(a)では、無線LANアクセスポイント900は、W52を選択し使用している。無線LAN端末200A及び無線LAN端末200Bはどちらも、W52を使用できるため、W52で無線LANアクセスポイント900と接続し、無線通信を行っている。
【0027】
この状態で、
図3の(b)のように、ユーザが無線LANアクセスポイント900の使用周波数帯域をW52からW56に設定変更したとする。この場合、無線LAN端末200Bは、W56を使用できるため、無線LANアクセスポイント900との接続状態を維持し、無線通信を継続することが可能である。しかし、無線LAN端末200Aは、W56を使用できないため、無線LANアクセスポイント900との接続が遮断され、無線通信ができない状態となってしまうという課題(第2の課題)がある。
【0028】
なお、
図3は、無線LANアクセスポイント900の使用周波数帯域を、W52からW56に設定変更した場合の例であるが、W52からW53に設定変更した場合も、
図3と同様な事象となるため、説明は省略する。
【0029】
本実施の形態に係る無線LANシステムは、上記の課題を解決するために、
図1〜
図3に示される無線LANアクセスポイント900を、無線LANアクセスポイント100に置き換えた構成となる。
【0030】
以下、
図4を参照して、本実施の形態に係る無線LANアクセスポイント100の構成について説明する。
図4に示されるように、本実施の形態に係る無線LANアクセスポイント100は、無線LANインターフェース101と、制御部102と、ユーザインターフェース103と、記憶部104と、を含む。
【0031】
無線LANインターフェース101は、無線LANの物理的な無線通信を行う。無線LANインターフェース101は、周波数帯域W52/W53/W56が使用可能であり、制御部102によって制御された周波数帯域を使用して、物理的な無線通信を行うことができる。
【0032】
ユーザインターフェース103は、無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域の設定をユーザが変更するため機能や、無線LANアクセスポイント100に接続できない無線LAN端末200が発見された場合に、その旨をユーザに通知するための機能、ユーザがWPSボタンを押下する機能又はユーザがWPSボタンの押下に相当する操作を行う機能等を有している。
【0033】
記憶部104は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等のメモリによって実現される。例えば、記憶部104は、設定テーブル、接続可否テーブル等を記憶する。設定テーブルは、無線LANアクセスポイント100の各種の設定情報を登録したテーブルであり、例えば、設定情報は、ユーザに設定された無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域を示す情報を含む。接続可否テーブルは、無線LANアクセスポイント100に接続されている無線LAN端末200を識別する固有識別情報(例えば、MACアドレス)と、その無線LAN端末200が無線LANアクセスポイント100に接続可能な周波数帯域及び接続不可能な周波数帯域を示す接続可否情報と、を紐付けて登録したテーブルである。なお、記憶部104の各テーブルへの情報の登録は、制御部102を介して行われる。
【0034】
制御部102は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサによって実現される。また、制御部102は、本明細書で説明する処理のうちの任意の処理を、プログラムを実行することにより、実現することも可能である。この場合、プログラムは、記憶部104に記憶され、制御部102は、記憶部104に記憶されたプログラムを読み出し実行する。
【0035】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、CD−R(CD-Recordable)、CD−R/W(CD-ReWritable)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されても良い。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0036】
<実施の形態の動作>
以下、
図5及び
図6を参照して、本実施の形態に係る無線LANシステムにおいて、無線LANアクセスポイント100と無線LAN端末200とをWPS方式により接続する場合の動作について説明する。
【0037】
まず、
図5を参照して、無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域がユーザによりW52に設定されている状態において、無線LANアクセスポイント100と無線LAN端末200AとをWPS−PBC方式により接続する場合の動作について説明する。無線LAN端末200Aは、W52のみが使用可能な端末であるとする。
【0038】
図5に示されるように、ここでは、無線LANアクセスポイント100の記憶部104の設定テーブルには、ユーザが無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域として設定したW52が登録されており、無線LANアクセスポイント100の制御部102は、無線LANアクセスポイント100の無線LANインターフェース101の使用周波数帯域をW52に制御している(状態S101)。
【0039】
まず、ユーザは、無線LANアクセスポイント100にWPSを開始させるために無線LANアクセスポイント100のWPSスイッチを押下する(ステップS102)。すると、無線LANアクセスポイント100の制御部102は、WPSを開始する(ステップS103)。具体的には、制御部102は、WPS接続要求の受信待ち状態に遷移する。
【0040】
同様に、ユーザは、無線LAN端末200AにもWPSを開始させるために無線LAN端末200AのWPSスイッチを押下する(ステップS104)。すると、無線LAN端末200Aも、WPSを開始する(ステップS105)。具体的には、無線LAN端末200Aは、WPS接続要求を送信する(ステップS106)。無線LAN端末200Aは、W52のみを使用できるため、W52でWPS接続要求を送信する。
【0041】
このとき、無線LANアクセスポイント100の無線LANインターフェース101は、使用周波数帯域がW52に制御されているため、無線LAN端末200AからのWPS接続要求を受信可能である。そのため、無線LANアクセスポイント100の制御部102は、無線LANインターフェース101にてWPS接続要求を受信すると、無線LANインターフェース101を制御して、無線LAN端末200Aに対し、W52でWPS接続応答を返信する(ステップS107)。
【0042】
無線LAN端末200Aが無線LANアクセスポイント100からのWPS接続応答を正常に受信すると、無線LANアクセスポイント100と無線LAN端末200AとのW52での接続が確立される(ステップS108)。
【0043】
次に、
図6を参照して、無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域がユーザによりW56に設定されている状態において、無線LANアクセスポイント100と無線LAN端末200AとをWPS−PBC方式により接続する場合の動作について説明する。無線LAN端末200Aは、W52のみが使用可能な端末であるとする。
【0044】
図6に示されるように、ここでは、無線LANアクセスポイント100の記憶部104の設定テーブルには、ユーザが無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域として設定したW56が登録されており、無線LANアクセスポイント100の制御部102は、無線LANアクセスポイント100の無線LANインターフェース101の使用周波数帯域をW56に制御している(状態S201)。
【0045】
まず、ユーザは、無線LANアクセスポイント100のWPSスイッチを押下する(ステップS202)。すると、無線LANアクセスポイント100の制御部102は、WPSを開始する(ステップS203)。具体的には、制御部102は、WPS接続要求の受信待ち状態に遷移する。
【0046】
同様に、ユーザは、無線LAN端末200AのWPSスイッチを押下する(ステップS204)。すると、無線LAN端末200Aも、WPSを開始する(ステップS205)。具体的には、無線LAN端末200は、WPS接続要求を送信する(ステップS206)。無線LAN端末200Aは、W52のみを使用できるため、W52でWPS接続要求を送信する。
【0047】
しかし、このとき、無線LANアクセスポイント100の無線LANインターフェース101は、使用周波数帯域がW56に制御されており、無線LAN端末200Aとは使用周波数帯域が異なるため、無線LAN端末200からのWPS接続要求を受信することができない(ステップS207)。
【0048】
そのため、無線LANアクセスポイント100の制御部102は、WPS接続要求の受信待ち状態に遷移してから一定時間(例えば、T1)内に、無線LANインターフェース101にてWPS接続要求が受信できない場合、無線LANインターフェース101の使用周波数帯域をW56からW52に変更し(ステップS208)、WPS接続要求の受信待ち状態に再度遷移する。
【0049】
無線LAN端末200Aは、WPS接続要求の送信を開始してから一定時間(例えば、T2。T2>T1)内は、定期的にWPS接続要求を送信し続けている(ステップS209)。そのため、無線LANアクセスポイント100の無線LANインターフェース101は、W52で無線LAN端末200AからのWPS接続要求を受信できる(ステップS210)。
【0050】
無線LANアクセスポイント100の制御部102は、WPS接続要求の受信待ち状態に再度遷移してから一定時間(例えば、T3。T3=T1でも良い)内に、無線LANインターフェース101にてWPS接続要求を受信すると、無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域の設定をW52に変更することを要求する設定変更要求をユーザに通知する(ステップS211)。このときの通知方法としては、例えば、ユーザインターフェース103を制御して、設定変更要求に係るメッセージを、LED(Light Emitting Diode)、LCD(Liquid Crystal Display)に表示する方法などがある。
【0051】
その後、無線LANアクセスポイント100の制御部102は、元のW56を使用するため、無線LANインターフェース101の使用周波数帯域をW52からW56に変更する(ステップS212)。
【0052】
上記のシーケンスにより、ユーザは、無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域の設定をW52に変更することを要求する設定変更要求が通知される。そのため、ユーザは、W52で無線LANアクセスポイント100と無線LAN端末200Aとを接続する必要があることを認識できる。これを受けて、ユーザが、無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域の設定をW52に変更すると、無線LANアクセスポイント100の制御部102は、無線LANアクセスポイント100の記憶部104の設定テーブルに使用周波数帯域として登録されているW56をW52に変更する。
【0053】
次に、
図7を参照して、本実施の形態に係る無線LANシステムにおいて、W52で無線LANアクセスポイント100と既に接続されている無線LAN端末200A,200Bの固有識別情報と、無線LAN端末200A,200BのW52/W53/W56での接続可否情報と、を接続可否テーブルに登録する場合の動作例について説明する。無線LAN端末200Aは、W52のみが使用可能な端末であり、無線LAN端末200Bは、W52/W53/W56が使用可能な端末であるとする。
【0054】
図7に示されるように、無線LANアクセスポイント100と無線LAN端末200A,200Bとは既にW52で接続されている状態である(状態S301)。そのため、無線LANアクセスポイント100の制御部102は、無線LANアクセスポイント100の無線LANインターフェース101の使用周波数帯域をW52に制御している。
【0055】
無線LANアクセスポイント100の制御部102は、無線LANインターフェース101を制御して、W52でビーコンを送信し(ステップS302)、ビーコンに対するプローブリクエストの受信待ち状態に遷移する。
【0056】
無線LAN端末200A,200Bはどちらも、W52を使用できるため、このビーコンを受信することができる。そのため、無線LAN端末200A,200Bは、このビーコンを受信すると、プローブリクエストを無線LANアクセスポイント100に返信する(ステップS303,S404)。
【0057】
無線LANアクセスポイント100の制御部102は、プローブリクエストの受信待ち状態に遷移してから一定時間(例えば、T4。T4=T1でも良い)内に、無線LANインターフェース101にてプローブリクエストを受信すると、このプローブリクエストから、無線LAN端末200A,200Bの固有識別情報を取得可能である。制御部102は、無線LANインターフェース101にてプローブリクエストを受信できた無線LAN端末200A,200BはW52で接続可能と判断し、W52で接続可能である旨の接続可否情報を、上記で取得した固有識別情報に紐付けて、記憶部104の接続可否テーブルに登録する(ステップS305)。
【0058】
その後、無線LANアクセスポイント100の制御部102は、ユーザの通信使用頻度が少ない時間帯等において、定期的に、無線LANインターフェース101の使用周波数帯域を自動的に変更する。ここでは、まず、制御部102は、無線LANインターフェース101の使用周波数帯域をW52からW56に変更する(ステップS306)。そして、制御部102は、ステップS302と同様に、無線LANインターフェース101を制御して、W56でビーコンを送信し(ステップS307)、ビーコンに対するプローブリクエストの受信待ち状態に再度遷移する。
【0059】
ここで、無線LAN端末200Aは、W56を使用できないため、このビーコンを受信することができず、無線LANアクセスポイント100に対してプローブリクエストを返信することができない(ステップS308)。一方、無線LAN端末200Bは、W56を使用できるため、無線LANアクセスポイント100に対してプローブリクエストを返信する(ステップS309)。
【0060】
無線LANアクセスポイント100の制御部102は、プローブリクエストの受信待ち状態に遷移してから一定時間(例えば、T5。T5=T4でも良い)内に、無線LANインターフェース101にてプローブリクエストを受信できた無線LAN端末200Bについては、W56で接続可能である旨の接続可否情報を、固有識別情報に紐付けて、記憶部104の接続可否テーブルに登録する。一方、制御部102は、無線LANインターフェース101にてプローブリクエストが受信できなかった無線LAN端末200Aについては、W56で接続不可である旨の接続可否情報を、固有識別情報に紐付けて、記憶部104の接続可否テーブルに登録する(ステップS310)。
【0061】
上記のシーケンスにより、無線LANアクセスポイント100は、W52で接続されている無線LAN端末200A,200Bが、W56で接続可能であるか否かを知ることができる。
【0062】
なお、
図7は、W52で無線LANアクセスポイント100と既に接続されている無線LAN端末200A,200Bについて、W56での接続可否情報を接続可否テーブルに登録する場合の例である。W53での接続可否情報を接続可否テーブルに登録する場合は、次の定期的なタイミングで、
図7のステップS306〜S310と同様なシーケンスを行えば良いため、説明は省略する。
W53/W56の双方について、
図7のステップS306〜S310のシーケンスが完了すると、例えば、
図8に示されるような接続可否テーブルが作成される。
【0063】
ユーザが無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域の設定を手動で変更する場合、無線LANアクセスポイント100の制御部102は、上記の接続可否テーブルを参照し、無線LANアクセスポイント100に接続されている無線LAN端末200の中に、無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域を変更すると、無線LANアクセスポイント100に接続できなくなる無線LAN端末200が存在するか否かを判断する。制御部102は、そのような無線LAN端末200が存在する場合、その旨をユーザに通知する。このときの通知方法としては、例えば、ユーザインターフェース103を制御して、Web GUI(Graphical User Interface)画面に、無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域の変更により無線LANアクセスポイント100に接続できなくなる無線LAN端末200が存在する旨のメッセージを表示する方法などがある。
【0064】
そのため、無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域を変更すると、無線LANアクセスポイント100に接続できなくなる無線LAN端末200が存在する場合、その旨をユーザに通知して注意喚起を行うことができる。これにより、無線LANアクセスポイント100と接続されていた無線LAN端末200が、意図せずに無線LANアクセスポイント100との接続が遮断されてしまうという事象を回避できる。
【0065】
<実施の形態の効果>
上述したように本実施の形態によれば、無線LANアクセスポイント100は、無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域をユーザに設定された使用周波数帯域に制御している状態で、WPSスイッチが押下され、その後に、無線LAN端末200からWPS接続要求を受信できなかった場合は、無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域を変更する。無線LANアクセスポイント100は、無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域の変更により無線LAN端末200からWPS接続要求を受信できた場合は、無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域の設定変更を要求する設定変更要求をユーザに通知する。これにより、無線LANアクセスポイント100と無線LAN端末200とが接続できない場合でも、ユーザは、両者が接続できない原因を特定し易くなる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、無線LANアクセスポイント100は、定期的に、無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域を変更して無線LAN端末200にビーコンを送信し、その後に、無線LAN端末200からプローブリクエストを受信できたか否かで、無線LANアクセスポイント100の変更後の使用周波数帯域での無線LAN端末200の接続可否を判断し、無線LAN端末200の接続可否情報を、無線LAN端末200の固有識別情報と紐付けして、接続可否テーブルに登録しておく。そして、ユーザが無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域の設定変更をする際に、無線LANアクセスポイント100は、接続可否テーブルを参照し、無線LANアクセスポイント100に接続されている無線LAN端末200の中に、無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域の変更により接続不可能になる無線LAN端末200が存在する場合、その旨をユーザに通知する。これにより、無線LANアクセスポイント100と接続されていた無線LAN端末200が、意図せずに無線LANアクセスポイント100との接続が遮断されてしまうという事象を回避できる。
【0067】
<他の実施の形態>
図6の例では、無線LANアクセスポイント100は、無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域が、ユーザにW56により設定されている状態で、無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域をW52に変更して、W52を使用している無線LAN端末200Aを発見している。このとき、
図6の例では、無線LANアクセスポイント100は、無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域のW52への設定変更要求をユーザに通知し、無線LANアクセスポイント100使用周波数帯域をW56に戻していたが、これには限定されない。無線LANアクセスポイント100は、ユーザに設定変更要求を通知すると共に、無線LANアクセスポイント100使用周波数帯域をW56には戻さず、W52のままとしても良い。
【0068】
また、
図6の例では、無線LANアクセスポイント100は、無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域が、ユーザによりW56に設定されている状態であったため、W56でWPSを実行していたが、これには限定されない。無線LANアクセスポイント100は、無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域が、ユーザによりW53又はW56に設定されている状態であっても、WPSを実行する場合は、必ずW52で実行することとしても良い。この場合、無線LANアクセスポイント100は、無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域をW56に戻した後に、無線LAN端末200Aとの接続が遮断されることになるため、その時点で、無線LAN端末200Aとの接続が遮断された旨をユーザに通知すれば良い。
【0069】
また、
図6の例では、無線LANアクセスポイント100は、W52を使用している無線LAN端末200Aを発見し、無線LANアクセスポイント100の使用周波数帯域のW52への設定変更要求をユーザに通知していたが、無線LAN端末200Aに対しても、W56では無線LANアクセスポイント100に接続できない旨を通知しても良い。無線LAN端末200は、WPSスイッチがない場合、専用のアプリケーションが用意されることが多い。そのため、無線LANアクセスポイント100は、上記の無線LAN端末200Aへの通知を、専用のアプリケーションを利用して行っても良い。
【0070】
<実施の形態の概念>
続いて、
図9を参照して、上述の実施の形態を概念的に示した無線LANシステムの構成について説明する。
【0071】
図9に示される無線LANシステムは、無線LAN通信装置300と、無線LAN端末400A,400Bと、を備えている。なお、以下では、どの無線LAN端末400A,400Bであるか特定しない場合は無線LAN端末400と称する。また、
図9は、2つの無線LAN端末400A,400Bを図示しているが、無線LAN端末400の数は2つに限定されず、1つ以上であれば良い。
【0072】
無線LAN通信装置300と無線LAN端末400とは、ネゴシエーションにより相互に接続可能である。例えば、ネゴシエーションは、WPSである。無線LAN通信装置300は、上述した無線LANアクセスポイント100に対応し、無線LAN端末400A,400Bは、上述した無線LAN端末200A,200Bに対応する。
無線LAN通信装置300は、通信部301、制御部302、及びユーザインターフェース303を備えている。
【0073】
通信部301は、上述した無線LANインターフェース101に対応し、ユーザインターフェース303は、上述したユーザインターフェース103に対応する。また、制御部302は、上述した制御部102に対応し、通信部301及びユーザインターフェース303を制御する。
【0074】
制御部302は、通信部301が使用している使用周波数帯域が特定の使用周波数帯域に制限されている状態で、無線LAN通信装置300の接続用スイッチが押下された後、通信部301にて無線LAN端末400から接続要求を受信できなかった場合は、通信部301が使用している使用周波数帯域を変更する。例えば、特定の使用周波数帯域は、ユーザに設定された使用周波数帯域である。また、例えば、接続用スイッチは、WPSスイッチであり、接続要求は、WPS接続要求である。
【0075】
制御部302は、通信部301が使用している使用周波数帯域を変更した後、通信部301にて無線LAN端末400から接続要求を受信できた場合は、ユーザインターフェース303を制御して、通信部301が使用している特定の使用周波数帯域の設定変更を要求する設定変更要求をユーザに通知する。
【0076】
なお、制御部302は、無線LAN通信装置300の接続用スイッチが押下された後、通信部301にて無線LAN端末400から接続要求を受信できた場合は、通信部301を制御して、無線LAN端末400に対し、接続応答を送信し、無線LAN端末400との接続を確立する。例えば、接続応答は、WPS接続応答である。
【0077】
また、制御部302は、通信部301が使用している使用周波数帯域が特定の使用周波数帯域に制限されている状態で、通信部301を制御して、無線LAN端末400にビーコンを送信する。
【0078】
制御部302は、無線LAN端末400にビーコンを送信した後、通信部301にて無線LAN端末400からプローブリクエストを受信できた場合は、特定の使用周波数帯域で無線LAN端末400が無線LAN通信装置300に接続可能であると判断し、通信部301にて無線LAN端末400からプローブリクエストを受信できなかった場合は、特定の使用周波数帯域で無線LAN端末400が無線LAN通信装置300に接続不可能であると判断する。
【0079】
そして、制御部302は、特定の使用周波数帯域での無線LAN端末400の無線LAN通信装置300への接続可否を示す接続可否情報を、無線LAN端末400の固有識別情報と紐付けして、テーブルに登録する。
【0080】
また、制御部302は、定期的に、通信部301が使用している使用周波数帯域を変更し、通信部301を制御して、無線LAN端末400にビーコンを送信する。
【0081】
制御部302は、無線LAN端末400にビーコンを送信した後、通信部301にて無線LAN端末400からプローブリクエストを受信できた場合は、変更後の使用周波数帯域で無線LAN端末400が無線LAN通信装置300に接続可能であると判断し、通信部301にて無線LAN端末400からプローブリクエストを受信できなかった場合は、変更後の使用周波数帯域で無線LAN端末400が無線LAN通信装置300に接続不可能であると判断する。
【0082】
そして、制御部302は、変更後の使用周波数帯域での無線LAN端末400の無線LAN通信装置300への接続可否を示す接続可否情報を、無線LAN端末400の固有識別情報と紐付けして、テーブルに登録する。
【0083】
また、制御部302は、ユーザが通信部301が使用している特定の使用周波数帯域の設定変更をする際に、テーブルを参照し、無線LAN通信装置300に接続されている無線LAN端末400の中に、通信部301が使用している使用周波数帯域の設定変更により無線LAN通信装置300に接続不可能になる無線LAN端末400が存在する場合、ユーザインターフェース303を制御して、その旨をユーザに通知する。
【0084】
以上、実施の形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上記の実施の形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0085】
例えば、上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
無線LAN通信装置と、
ネゴシエーションにより前記無線LAN通信装置に接続可能な無線LAN端末と、を備え、
前記無線LAN通信装置は、
前記無線LAN通信装置が使用している周波数帯域が特定の周波数帯域に制限されている状態で、前記無線LAN通信装置の接続用スイッチが押下された後、前記無線LAN端末から接続要求を受信できなかった場合は、前記無線LAN通信装置が使用している周波数帯域を変更し、
前記無線LAN通信装置が使用している周波数帯域を変更した後、前記無線LAN端末から前記接続要求を受信できた場合は、前記無線LAN通信装置が使用している前記特定の周波数帯域の設定変更を要求する設定変更要求をユーザに通知する、
無線LANシステム。
(付記2)
前記無線LAN通信装置は、
前記無線LAN通信装置が使用している周波数帯域が前記特定の周波数帯域に制限されている状態で、前記無線LAN通信装置の接続用スイッチが押下された後、前記無線LAN端末から前記接続要求を受信できた場合は、前記無線LAN端末に対し、接続応答を送信し、前記無線LAN端末との接続を確立する、
付記1に記載の無線LANシステム。
(付記3)
前記無線LAN通信装置は、
前記無線LAN通信装置が使用している周波数帯域が前記特定の周波数帯域に制限されている状態で、前記無線LAN端末にビーコンを送信し、前記無線LAN端末にビーコンを送信した後、前記無線LAN端末からプローブリクエストを受信できた場合は、前記特定の周波数帯域で前記無線LAN端末が前記無線LAN通信装置に接続可能であると判断し、前記無線LAN端末からプローブリクエストを受信できなかった場合は、前記特定の周波数帯域で前記無線LAN端末が前記無線LAN通信装置に接続不可能であると判断し、
前記特定の周波数帯域での前記無線LAN端末の前記無線LAN通信装置への接続可否を示す接続可否情報を、前記無線LAN端末の固有識別情報と紐付けして、テーブルに登録する、
付記1又は2に記載の無線LANシステム。
(付記4)
前記無線LAN通信装置は、
定期的に、前記無線LAN通信装置が使用している周波数帯域を変更して前記無線LAN端末にビーコンを送信し、
前記無線LAN端末にビーコンを送信した後、前記無線LAN端末からプローブリクエストを受信できた場合は、変更後の周波数帯域で前記無線LAN端末が前記無線LAN通信装置に接続可能であると判断し、前記無線LAN端末からプローブリクエストを受信できなかった場合は、変更後の周波数帯域で前記無線LAN端末が前記無線LAN通信装置に接続不可能であると判断し、
変更後の周波数帯域での前記無線LAN端末の前記無線LAN通信装置への接続可否を示す接続可否情報を、前記無線LAN端末の固有識別情報と紐付けして、前記テーブルに登録する、
付記3に記載の無線LANシステム。
(付記5)
前記無線LAN通信装置は、
ユーザが前記無線LAN通信装置が使用している前記特定の周波数帯域の設定変更をする際に、前記テーブルを参照し、前記無線LAN通信装置に接続されている前記無線LAN端末の中に、前記無線LAN通信装置が使用している周波数帯域の設定変更により前記無線LAN通信装置に接続不可能になる前記無線LAN端末が存在する場合、その旨をユーザに通知する、
付記4に記載の無線LANシステム。
(付記6)
ネゴシエーションにより無線LAN端末に接続可能な無線LAN通信装置であって、
前記無線LAN端末と無線通信を行う通信部と、
ユーザインターフェースと、
前記通信部及び前記ユーザインターフェースを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記通信部が使用している周波数帯域が特定の周波数帯域に制限されている状態で、前記無線LAN通信装置の接続用スイッチが押下された後、前記通信部にて前記無線LAN端末から接続要求を受信できなかった場合は、前記通信部が使用している周波数帯域を変更し、
前記通信部が使用している周波数帯域を変更した後、前記通信部にて前記無線LAN端末から前記接続要求を受信できた場合は、前記ユーザインターフェースを制御して、前記通信部が使用している前記特定の周波数帯域の設定変更を要求する設定変更要求をユーザに通知する、
無線LAN通信装置。
(付記7)
前記制御部は、
前記通信部が使用している周波数帯域が前記特定の周波数帯域に制限されている状態で、前記無線LAN通信装置の接続用スイッチが押下された後、前記通信部にて前記無線LAN端末から前記接続要求を受信できた場合は、前記通信部を制御して、前記無線LAN端末に対し、接続応答を送信し、前記無線LAN端末との接続を確立する、
付記6に記載の無線LAN通信装置。
(付記8)
前記制御部は、
前記通信部が使用している周波数帯域が前記特定の周波数帯域に制限されている状態で、前記通信部を制御して、前記無線LAN端末にビーコンを送信し、
前記無線LAN端末にビーコンを送信した後、前記通信部にて前記無線LAN端末からプローブリクエストを受信できた場合は、前記特定の周波数帯域で前記無線LAN端末が前記無線LAN通信装置に接続可能であると判断し、前記通信部にて前記無線LAN端末からプローブリクエストを受信できなかった場合は、前記特定の周波数帯域で前記無線LAN端末が前記無線LAN通信装置に接続不可能であると判断し、
前記特定の周波数帯域での前記無線LAN端末の前記無線LAN通信装置への接続可否を示す接続可否情報を、前記無線LAN端末の固有識別情報と紐付けして、テーブルに登録する、
付記6又は7に記載の無線LAN通信装置。
(付記9)
前記制御部は、
定期的に、前記通信部が使用している周波数帯域を変更し、前記通信部を制御して、前記無線LAN端末にビーコンを送信し、
前記無線LAN端末にビーコンを送信した後、前記通信部にて前記無線LAN端末からプローブリクエストを受信できた場合は、変更後の周波数帯域で前記無線LAN端末が前記無線LAN通信装置に接続可能であると判断し、前記通信部にて前記無線LAN端末からプローブリクエストを受信できなかった場合は、変更後の周波数帯域で前記無線LAN端末が前記無線LAN通信装置に接続不可能であると判断し、
変更後の周波数帯域での前記無線LAN端末の前記無線LAN通信装置への接続可否を示す接続可否情報を、前記無線LAN端末の固有識別情報と紐付けして、前記テーブルに登録する、
付記8に記載の無線LAN通信装置。
(付記10)
前記制御部は、
ユーザが前記通信部が使用している前記特定の周波数帯域の設定変更をする際に、前記テーブルを参照し、前記無線LAN通信装置に接続されている前記無線LAN端末の中に、前記通信部が使用している周波数帯域の設定変更により前記無線LAN通信装置に接続不可能になる前記無線LAN端末が存在する場合、前記ユーザインターフェースを制御して、その旨をユーザに通知する、
付記9に記載の無線LAN通信装置。
(付記11)
ネゴシエーションにより無線LAN端末に接続可能な無線LAN通信装置による無線LAN通信方法であって、
前記無線LAN通信装置が使用している周波数帯域が特定の周波数帯域に制限されている状態で、前記無線LAN通信装置の接続用スイッチが押下された後、前記無線LAN端末から接続要求を受信できなかった場合は、前記無線LAN通信装置が使用している周波数帯域を変更するステップと、
前記無線LAN通信装置が使用している周波数帯域を変更した後、前記無線LAN端末から前記接続要求を受信できた場合は、前記無線LAN通信装置が使用している前記特定の周波数帯域の設定変更を要求する設定変更要求をユーザに通知するステップと、
を含む、無線LAN通信方法。
(付記12)
ネゴシエーションにより無線LAN端末に接続可能な無線LAN通信装置に、
前記無線LAN通信装置が使用している周波数帯域が特定の周波数帯域に制限されている状態で、前記無線LAN通信装置の接続用スイッチが押下された後、前記無線LAN端末から接続要求を受信できなかった場合は、前記無線LAN通信装置が使用している周波数帯域を変更するする手順と、
前記無線LAN通信装置が使用している周波数帯域を変更した後、前記無線LAN端末から前記接続要求を受信できた場合は、前記無線LAN通信装置が使用している前記特定の周波数帯域の設定変更を要求する設定変更要求をユーザに通知する手順と、
を実行させるためのプログラム。