(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1以上の眼科的に許容可能な担体、添加剤、及び/又は希釈剤は、約0.5〜3重量%のグリセリン、約0.1〜1重量%の塩化ナトリウム、約0.001〜0.1重量%のエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、及び約0.001〜0.05重量%の塩化ベンザルコニウムの1種以上を含む、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
前記エタボン酸ロテプレドノールの1つ以上の滅菌生成分解物を更に含み、各滅菌生成分解物の濃度は、前記エタボン酸ロテプレドノールの重量に対して、約3重量%以下、又は約1重量%以下である、
ことを特徴とする請求項1〜20のいずれか1項に記載の医薬組成物。
前記滅菌生成分解物は、前記エタボン酸ロテプレドノールの重量に対して約0.5重量%以下の量で17α-[(エトキシカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−3−オキソアンドロスタ−4−エン−17−カルボン酸クロロメチルエステル(テトラデカ)を含む、
ことを特徴とする請求項22に記載の医薬組成物。
前記滅菌生成分解物は、ガンマ線照射4週間後の前記エタボン酸ロテプレドノールの重量に対して約0.5重量%以下の量で17α-[(エトキシカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−3−オキソアンドロスタ−4−エン−17−カルボン酸クロロメチルエステル(テトラデカ)を含む、
ことを特徴とする請求項23に記載の医薬組成物。
約200nmから約500nmの範囲の大きさの被覆されたエタボン酸ロテプレドノールナノ粒子を含むナノ懸濁液を製造するために、粉砕媒体の存在下で、粗い又は微粉化した結晶の形態の約2〜20重量%のエタボン酸ロテプレドノール、約0.2〜20重量%のポロキサマー407、約0.5〜3重量%のグリセリン、約0.1〜1重量%の塩化ナトリウム、及び約0.001〜0.1重量%のEDTAを含む粗い水性懸濁液を粉砕することと、
前記粉砕媒体から被覆されたエタボン酸ロテプレドノールナノ粒子の前記ナノ懸濁液を分離することと、
を含み、
前記大きさは、動的光散乱法によるZ−平均直径として測定される、
ことを特徴とする請求項1〜24のいずれか1項に記載の医薬組成物を製造する方法。
被覆されたエタボン酸ロテプレドノールナノ粒子の前記ナノ懸濁液を、希釈された前記ナノ懸濁液におけるエタボン酸ロテプレドノールの濃度が全体の0.25重量%となるように希釈剤と混合することを更に含み、
前記希釈剤は、約0.5〜3重量%のグリセリン、約0.1〜1重量%の塩化ナトリウム、並びに約0.001〜0.1重量%のエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを含み、任意に、約0.001〜0.05重量%の塩化ベンザルコニウムを更に含む、
ことを特徴とする請求項25に記載の方法。
有効量の前記医薬組成物を患者の眼に投与することにより、患者の眼における、炎症、疼痛、黄斑変性、黄斑浮腫、ブドウ膜炎、ドライアイ、眼瞼炎、嚢胞様黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症、後部ブドウ膜炎、又は糖尿病性黄斑浮腫の治療において使用される、
ことを特徴とする請求項1〜24のいずれか1項に記載の医薬組成物。
患者の眼における、炎症、疼痛、黄斑変性、黄斑浮腫、ブドウ膜炎、ドライアイ、眼瞼炎、嚢胞様黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症、後部ブドウ膜炎、又は糖尿病性黄斑浮腫の治療のための薬剤の製造において使用される、
ことを特徴とする請求項1〜24のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0032】
粘液中の粒子の輸送を助ける粒子、組成物及び方法を提供する。この粒子、組成物及び方法は、いくつかの事例において、眼科的及び/又はその他の応用に用いることができる。いくつかの実施形態において、この組成物及び方法は、水溶性に乏しい医薬品の粒子などの粒子の表面の被覆を修飾することを伴っている。そのような組成物及び方法は、身体の粘膜障壁を通じた医薬品の粒子の効果的な輸送を、薬物の送達、造影及び診断への応用を含む幅広い応用において実現するために用いることができる。ある実施形態において、このような粒子を含む医薬組成物は、眼科的応用によく適しており、眼の前部、眼の中央部及び/又は眼の後部への医薬品の送達に用いられてもよい。
【0033】
粘膜障壁を通じて効果的に輸送する粒子を、ここでは粘液浸透粒子(MPP)と呼び得る。このような粒子は、従来の粒子又は非MPPすなわち表面改変剤を含まない粒子に比べて、粒子の粘液への粘着を軽減し、又は、粘膜障壁を通じた粒子の輸送を増大させる、1以上の表面改変剤により修飾された表面を含んでいてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、粒子は、眼の疾患ないし状態を治療するためのエタボン酸ロテプレドノ−ルなどの副腎皮質ステロイドから構成されている。副腎皮質ステロイドは、たとえば、粒子のコア内に存在していてもよい。粒子は、この粒子の表面を修飾して粒子の粘液への粘着を軽減し、及び/又はこの粒子の生理的な粘液を通じた浸透を促進する、表面改変剤を含む。このような粒子を含む組成物はまた、眼に局部的に投与され得る組成物を含むものでもある。本明細書に記載の組成物は、眼の組織の粘液層をより迅速に透過し、粘液への粘着及び/又は粘液の急速な排出を避けもしくは最小化するので、このような組成物は、Lotemax(登録商標)又はAlrex(登録商標)のような市販の製剤に対する優位性を有する。それゆえ、この組成物はより効果的に送達されることができ、標的の組織により長期間留まることができる。結果として、本明細書に記載の組成物は、市販の製剤より低用量及び/又は低頻度の投与で同等又はより優れた暴露を実現することができる。さらに、組成物の投薬が比較的低用量及び/又は低頻度となる結果、副作用の回数又は程度の低減、より望ましい毒性プロファイル及び/又は服薬遵守の改善を得ることができる。その他の特長は以下に述べる。
【0035】
いくつかの実施形態において、この粒子は、眼の疾患ないし状態を治療するための、1以上のソラフェニブ、リニファニブ、MGCD−265、パゾパニブ、セディラニブ、アキシチニブ又はこれらの組み合わせなどの受容体型チロシンキナーゼ阻害物質(RTKi)から構成される。1以上のRTKiは、たとえば、粒子のコア内に存在していてもよい。このような粒子を含む組成物はまた、眼に局部的に投与され得る組成物を含むものでもある。本明細書に記載の理由により、このような組成物は、従来の製剤のうちあるもの(たとえば、各RTKiの水性懸濁液)に対する優位性を有することができる。
【0036】
いくつかの実施形態において、この粒子は、ブロムフェナクの二価の金属塩(たとえば、ブロムフェナクカルシウムのような、ブロムフェナクの二価の金属塩)、ジクロフェナク(たとえば、ジクロフェナクのアルカリ土類金属塩のような、ジクロフェナク遊離酸又はその二価もしくは三価の金属塩)、又はケトロラク(たとえば、ケトロラクのアルカリ土類金属塩のような、ケトロラク遊離酸又はその二価もしくは三価の金属塩)などの、眼の疾患ないし状態を治療するための非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)から構成される。NSAIDは、たとえば、粒子のコア内に存在していてもよい。このような粒子を含む組成物はまた、眼に局部的に投与され得る組成物を含むものでもある。本明細書に記載の理由により、このような組成物は、従来の製剤のうちあるもの(たとえば、ブロムフェナクナトリウムの水溶液)に対する優位性を有することができる。
【0037】
以下詳述するように、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の粒子、組成物及び/又は製剤は、網膜、網膜黄斑、脈絡膜、強膜及び/又はブドウ膜など眼の後部の疾患又は状態、及び/又は、角膜、結膜(眼瞼及び眼球を含む)、虹彩ならびに毛様体など眼の前部及び/又は中央の疾患及び状態の診断、予防、治療又は管理に用いられてよい。いくつかの実施形態において、粒子、組成物及び/又は製剤は、眼に局部的に投与するよう設計されている。他の実施形態において、粒子、組成物及び/又は製剤は、眼に直接注入して投与するよう設計されている。
【0038】
角膜及び強膜(滴下注入にさらされる組織)の浸透性が限定されていること、また、眼の自然な排出機構のため、薬物を眼に局部的に送達することは困難を伴う。従来の眼科的溶液のような薬物の溶液は、一般的には、排水及び流涙により眼の表面から極めて急速に洗い流される。そして、従来の眼科的懸濁液のような薬物の粒子もまた、一般的には、急速に排出される眼の粘液層に捕捉されるため、急速に排出される。それゆえ、眼の前部の状態を治療するために現在使用されている従来の眼科的溶液及び懸濁液は、効能を実現して持続させるため、一般的に高用量かつ高頻度で投与されている。このような頻度の高い高用量の投薬は、服薬遵守を低下させ、局所的副作用の危険を増大させる。眼の後部への薬物の局部的送達は、局部的な滴下注入での直接的暴露ができず、また眼のこの部分に伴う解剖学的及び生理学的な障壁があるため、より困難を伴う。従って、従来の局部的な眼科的溶液又は懸濁液として薬物を投与した場合、眼の後部に届く薬物は(もし存在したとしても)ほとんどない。それゆえ、眼の後部の状態に対しては現在、硝子体内又は眼窩周囲への注入のような、侵襲的な送達技法が用いられている。
【0039】
いくつかの例において、本明細書に記載の粘液浸透粒子、組成物及び/又は製剤は、粘液層への粘着を避けることができ、及び/又は眼の表面により均等に広がることができ、これにより眼の自然な排出機構を回避して眼の表面への滞留を長くすることができるので、眼の前部への送達に関する問題(たとえば、投薬の頻度)及び眼の後部への送達に関する問題(たとえば、十分な送達)に対処することができる。後に詳述するように、いくつかの実施形態において粒子は、生理的粘液に効果的に浸透して、その下方にある組織に対する直接の、薬剤の持続的な放出を促進してもよい。
【0040】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の粒子は、コア−殻タイプの構成を有している。コアは、固形の医薬品又は比較的水溶性の低いその塩、高分子担体、脂質及び/又は蛋白質など、任意の適切な材質により構成されてもよい。コアはまた、いくつかの実施形態においてはゲルは又は液体から構成されていてもよい。コアは、粘液中の粒子の移動度を促進する表面改変剤により構成される被覆剤又は殻で被覆されていてもよい。後に詳述するように、いくつかの実施形態において、表面改変剤は、骨格にペンダント水酸基を有するポリマー(たとえば、合成又は天然のポリマー)から構成されていてもよい。ポリマーの分子量及び/又は加水分解度は、粘液中の輸送を増大するなど、粒子に一定の輸送特性を付与するように選択されていてもよい。ある実施形態において、表面改変剤は、親水性ブロック−疎水性ブロック−親水性ブロック構造から構成されるトリブロックコポリマーにより構成されていてもよい。ブロックの各々の分子量は、粘液中の輸送を増大するなど、粒子に一定の輸送特性を付与するように選択されていてもよい。
【0041】
粒子の非限定的な例を示す。
図1の実施例に示すように、粒子10は、コア16(粒子の形を取っていてもよく、本明細書においてコア粒子と呼ぶ)及びコアを囲む被覆剤20を含む。一連の実施形態において、コアの実質的部分は、有益な及び/又は治療上の効果を導く1以上の固形の医薬品により形成されている(たとえば、薬物、治療薬、診断用薬、造影用薬)。コアは、たとえば、医療物質のナノ結晶(すなわち、ナノ結晶粒子)であってもよい。他の実施形態において、コアは、コアに封入され又はその他の対応付けがなされた1以上の医薬品を選択的に伴った高分子担体を含んでいてもよい。さらに他の場合において、コアは、脂質、蛋白質、ゲル、液体及び/又は患者への送達に適した他の材質を含んでいてもよい。コアは、1以上の表面改変剤が結合し得る表面24を含む。たとえば、いくつかの場合において、コア16は被覆剤20に囲まれており、被覆剤20は内表28及び外表32を含む。被覆剤は、少なくとも部分的には、ポリマー(たとえば、ブロックコポリマー及び/又はペンダント水酸基を有するポリマー)などの1以上の表面改変剤34により形成されていてもよく、これがコアの表面24に対応付けられていてもよい。表面改変剤34は、たとえば、コア粒子に共有結合し、コア粒子に非共有結合し、コアに吸着し、コアにイオン相互作用を介して結合し、疎水性及び/もしくは親水性の相互作用により、静電相互作用により、ファンデルワールス相互作用により、又はこれらの組み合わせにより、コア粒子に対応付けられていてもよい。一連の実施形態において、表面改変剤又はその一部は、粘膜障壁(たとえば、粘液又は粘膜)を通じた粒子の輸送を促進するように選択される。本明細書に記載のある実施形態において、1以上の表面改変剤34は、粒子の被覆剤において特定の構造をとって配置されている。たとえば、表面改変剤が、親水性ブロック−疎水性ブロック−親水性ブロック構造を有するトリブロックコポリマーのようなトリブロックコポリマーであるいくつかの実施形態において、疎水性ブロックはコアの表面の方向に向かって配置されていてもよく、親水性ブロックはのコアの表面から離れて(たとえば、粒子の外側の方向に向かって)配置されていてもよい。後述するように、親水性ブロックは、粘膜障壁を通じた粒子の輸送を促進する特性を有していてもよい。
【0042】
粒子10は、選択的に、粒子に選択的に特異性を付与し得る標的部位、蛋白質、核酸及び生物活性剤のような1以上の成分40を含んでいてもよい。たとえば、標的の薬剤又は分子(たとえば、蛋白質、核酸、核酸類似物、炭水化物又は小さな分子)は、もし存在するならば、患者の身体内の特定の位置へと粒子を導くのを助けてもよい。この位置は、たとえば、組織、特定の細胞の種類又は細胞内区画であってもよい。1以上の成分40は、もし存在するならば、コア、被覆剤又はその両方に対応付けられていてもよく、たとえば、これらはコアの表面24、被覆剤の内表28、被覆剤の外表32に対応付けられ、及び/又は被覆剤に埋め込まれていてもよい。1以上の成分40は、共有結合、吸着によって対応付けられていてもよく、又はイオン相互作用、疎水性及び/もしくは親水性相互作用、静電相互作用、ファンデルワールス相互作用又はこれらの組み合わせにより付着してもよい。いくつかの実施形態において、成分は、当業者により知られた方法を用いて被覆された粒子の表面改変剤のうち1つ以上に、(たとえば、共有結合により)付着していてもよい。
【0043】
図1に示し又はここに説明したもの以外の成分及び構成も粒子及び組成物に適し得ること、並びに、いくつかの実施形態において必ずしも
図1に示した成分のすべてが存在するわけではないことに留意されたい。
【0044】
一連の実施形態において、粒子10は、患者に対し導入されたとき、粘液、細胞、組織、器官、粒子、流体(たとえば、血液)、これらの一部、及びこれらの組み合わせなどの、患者中の1以上の構成要素と相互作用をなしてもよい。いくつかの実施形態において、粒子10の被覆剤は、望ましい相互作用(たとえば、輸送、結合、吸着)を起こし得る表面改変剤又は他の構成要素を含むように設計され得る。たとえば、被覆剤は、患者中の特定の相互作用を促進又は低減する一定の親水性、疎水性、表面改変、官能基、結合の特異性及び/もしくは濃度を有する表面改変剤又はその他の成分を含んでもよい。ひとつの具体的な例は、粘液中での粒子の移動度を高めるため、粒子と患者の粘液との間の物理的及び/又は化学的相互作用を低減する1以上の表面改変剤の親水性、疎水性、表面電荷、官能基、結合の特異性及び/もしくは濃度を選択することを含む。他の例は以下で詳述する。
【0045】
いくつかの実施形態において、いったん粒子が患者の粘膜障壁(たとえば、粘液又は粘膜)を横断して正常に輸送されると、患者内の粒子との間でさらに相互作用が起きてもよい。いくつかの例において、相互作用は、被覆剤及び/又はコアを通じて起きてもよく、また、たとえば、患者の1以上の構成部分から粒子10への、及び/又は粒子10から患者の1以上の構成部分への、物質(たとえば、医薬品、治療薬、蛋白質、ペプチド、ポリペプチド、核酸、栄養素など)の交換に関するものでもよい。たとえば、コアが医薬品により形成又は構成されているいくつかの実施形態において、粒子からの医薬品の崩壊、放出及び/又は輸送が、患者に対する有益な及び/又は治療上の効果を導き得る。このように、本明細書に記載の粒子は、疾患又は身体の状態の診断、予防、治療又は管理に用いることができる。
【0046】
本明細書に記載の粒子の用法の具体的な例を、患者の粘膜障壁(たとえば、粘液又は粘膜)への投与に適した文脈で以下に示す。ここに示す実施形態の多くはこの文脈、及び粘膜障壁を横断する物質輸送に関する疾患及び状態に有益な文脈で説明しているものの、当然ながら、本発明はそのようなものに限られず、ここに示す粒子、組成物、キット及び方法は、その他の疾患又は身体の状態の予防、治療又は管理に用いられてもよい。
【0047】
粘液は、目、鼻、肺、消化管及び女性の生殖器系を含む身体の様々な入口で、病原体、毒素及び壊死組織片に対して防御する、粘着性のある粘弾性のゲルである。多くの合成ナノ粒子は、強い粘膜粘着性を有し、急速に排出される周辺の粘液層に効果的に捕捉されることとなって、粘膜を通じた供給及びその下方にある組織への透過を、広範に制約する。これらの捕捉された粒子の滞留時間は、周辺の粘液層の代謝回転の速度により限定され、これは器官に依って数秒から数時間の幅を有する。医薬品(たとえば、治療用、診断用及び/又は造影用の薬剤)を含む粒子の、粘膜を経由した効果的な供給を確保するため、このような粒子は、粘液の粘着を避けながら速やかに粘膜障壁を通じて拡散できなければならない。後述するように、眼の粘液中の粒子の供給には特有の課題がある。
【0048】
高分子ナノ粒子の表面を粘液浸透性の被覆剤で修飾することにより、粘液への粘着が最小化され、そのため粘膜障壁を横断した粒子の迅速な透過が可能になることが近時示されている。これらの改善にもかかわらず、粘液への粒子の透過を促進することが示された表面被覆剤は、数えるほどしかない。このため、医薬品を送達するための粘液浸透粒子に関する組成物及び方法の改善が有益である。
【0049】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物及び方法は、ポリマー担体のない、又はポリマー担体を最小限に使用した粘膜透過粒子を含む。ポリマー系の粘膜透過粒子は、いくつかの実施形態において、1つ以上の固有の限界を有することがある。特に、薬剤輸送の利用の観点から、これらの限界は、以下の1つ以上を含むことがある。A)低い薬剤カプセル化効率と低い薬剤負荷:製造工程中に粒子中にカプセル化されるのは用いた薬剤の全量の一般に10%未満であるので、ポリマー粒子内への薬剤のカプセル化は、しばしば非効率的である。加えて、50%を超える薬剤負荷が滅多に達成されない。B)使用の利便性:薬剤が負荷されたポリマー粒子系の製剤は、一般に、典型的には早期の薬剤の放出を避けるため、乾燥粉末として保管される必要があり、それゆえ使用時点での再構成又は洗練された薬品注入装置のいずれかが必要である。C)生体適合性:反復投与後にゆっくりと分解するポリマー担体の蓄積と、長期間に渡るそれらの毒性とは、ポリマー担体への主要な懸念を示す。D)化学的及び物理的安定性:ポリマーの分解は、カプセル化された薬剤の安定性を損なうことがある。多くのカプセル化の工程において、薬剤は、薬剤は、溶液相から、新たに現れる固体相の物理的形状(つまり、アモルファス、対結晶、対結晶性多形)という点で十分コントロールされない固体相へと転位を経る。これは、物理的及び化学的な安定性と放出反応速度とを含む医薬組成物の性能の複数の観点にとって懸念である。E)製造の複雑性:薬剤負荷ポリマーMPPの製造、特に拡張性は、複数のステップと相当な量の有毒な有機溶剤とを含む、非常に複雑な工程である。
【0050】
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、粘膜バリアを通過する輸送性が向上された粒子を作成するための組成物及び方法を含む、粒子を形成する組成物及び方法は、上述した1つ、又はそれ以上、又は全て懸念に向けられる。特に、いくつかの実施形態において、組成物及び方法は、ポリマー担体へのカプセル化を含まない、又はポリマー担体の最小限の使用を含む。有利なことに、医薬品(例えば、薬剤、イメージング剤又は診断薬)のポリマー担体へカプセル化する必要性を避ける又は最小化させることにより、薬剤負荷、使用の利便性、生体適合性、安定性、及び/又は製造の複雑性に対するポリマーMMPの特定の限界に対処することができる。本明細書に記載の方法及び組成物は、粘膜透過粒子技術の臨床的な発展を促進させることができる。
【0051】
しかしながら、他の実施形態において、医薬品はカプセル化又は他の方法によってポリマー担体と関連づけられることがある点が、理解されるべきである。このように、本明細書にある説明は、この点について限定されない。例えば、ポリマー担体を含む特定の粘膜透過粒子の上記の欠点に関わらず、ある実施形態では、そのような粒子が好適なことがある。例えば、調整された放出目的のため、及び/又は粒子を形成することが困難な特定の医薬品をカプセル化するためには、ポリマー担体を使用することが好適なことがある。このように、本明細書に記載のいくつかの実施形態において、ポリマー担体を含む粒子を説明する。
【0052】
以下により詳細に説明するように、いくつかの実施形態において、組成物及び方法は、粘液内の粒子の輸送を補助するPVAの使用を含む。組成物及び方法は、例えば、特定のPVAの存在下の乳化処理によって粘膜透過粒子(MPP)を形成することを含み得る。ある実施形態において、組成物及び方法は、特定のPVAで非共有結合的に被覆することによって、既成の粒子からMPPを形成することを含む。他の実施形態において、組成物及び方法は、ポリマー担体を用いずに、又はポリマー担体を最小限使用して、特定のPVAの存在下でMPPを形成することを含む。しかし、当然のことながら、他の実施形態において、ポリマー担体を使用可能である。
【0053】
PVAは、水溶性非イオン合成ポリマーである。その界面活性特性により、PVAは、乳化液の安定剤として、また特に乳化技術により幅広い種類の化合物のカプセル化を可能とするため、食品及び製薬産業で幅広く使用されている。PVAは、食品薬剤局の「一般に安全と認められる」又は「GRAS」のステータスを有しており、耳内、筋肉内、眼内、硝子体内、イオン導入、眼、経口、局所及び経皮薬剤製品、及び/又は薬剤送達システムで使用されている。
【0054】
特定の従来の研究では、多くはPVAを、粒子形成工程でPVAを取りいれると、強い粘膜付着性の粒子につながることを示唆する粘膜付着性ポリマーと説明してきた。驚くべきことに、そしてPVAが粘膜付着性ポリマーであるという確立された見解に反して、発明者は、特定のPVAグレードを使用する組成物及び方法は、実際に粘液において粒子の輸送を補助し、本発明の特定の利用においては粘膜付着性ではない、ということを本発明の枠の中で発見した。特に、以前は知られていなかったPVAの加水分解度及び/又は分子量を適合させることによって、粘膜透過粒子を作ることができる。この発見は、技術の蓄積とMPPの製造に適用できる材料とを著しく拡げる。
【0055】
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、粘膜バリアを通過する輸送特性が向上された粒子を形成するための特定の組成物及び方法を含む、粒子を形成する組成物及び方法は、上記の懸念の1つ、又は複数、又は全てに対処する。
【0056】
ここでの説明のいくつかは被覆剤にPVAを使用することに関連するが、他の実施形態において、PVAは使用されない又は、他のポリマーとともに使用されることが理解されるべきである。例えば、いくつかの実施形態において、PEG、Pluronics(登録商標)、及び/又は他の界面活性剤(例えば、ポリソルベート(例えば、Tween 80(登録商標)))が、本明細書に記載の組成物及び方法に含まれてもよい(PVAに代えて、又は加えて)。他の実施形態では、本明細書により詳細に記載されているような他のポリマーを、本明細書に記載の被覆剤に使用してもよい。
【0057】
以下に詳細に説明するように、いくつかの実施形態において、組成物及び方法は、粘膜中で粒子の輸送を補助するポロキサマーの使用を含む。ポロキサマーは、一般的に、2つの親水性ブロック(例えば、ポリ(エチレン)ブロック)が両側に配置された中心疎水性ブロック(例えば、ポリ()ブロック)を備える非イオントリブロックコポリマーである。ポロキサマーは、Pluronic(登録商標)という商品名を有し、以下にその例を示す。
【0058】
以下に詳細に説明するように、ある実施形態において、組成物及び方法は、粘膜中の粒子輸送を補うポリソルベートの使用を含む。ポリソルベートは、一般的には、脂肪酸でエステル化されたPEG化ソルビタン(ソルビトールの誘導体)から誘導される。ポリソルベートの一般的な商品名は、Tween(登録商標)、Alkest(登録商標)、Canarcel(登録商標)を含む。ポリソルベートの例は、モノオキシエチレンソルビタンモノオレート(例えば、Tween 80(登録商標))、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(例えば、Tween 60(登録商標))、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(例えば、Tween 40(登録商標))、及びポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(例えば、Tween 20(登録商標))を含む。
【0059】
コア粒子
図1に関して上述したように、粒子10は、コア16を含んでよい。コアは、有機材料、無機材料、ポリマー、脂質、タンパク質、又はそれらの組み合わせのような、任意の好適な材料から形成されてよい。実施形態のある組み合わせにおいて、コアは、固体を含む。固体は、例えば、結晶質又はアモルファス体の医薬品(例えば、治療薬、診断薬及び/又はイメージング剤)のような、例えば結晶質又はアモルファス体、又はそれらの塩であってもよい。他の実施形態において、コアは、ゲル又は液体(例えば、水中油、又は油中水エマルション)を備えてもよい。いくつかの実施形態において、複数の医薬品がコア中に存在してもよい。医薬品の特定の例は、より詳細に以下に提供される。
【0060】
医薬品は、例えば、コアの少なくとも約0.01重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、又は少なくとも約99重量%の任意の好適な量で、コア中に存在してもよい。1つの実施形態では、コアは、100重量%の医薬品から形成される。いくつかの場合では、医薬品は、約100重量%以下、約90重量%以下、約80重量%以下、約70重量%以下、約60重量%以下、約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下、約20重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、約2重量%以下、又は約1重量%以下でコア中に存在してもよい。上述した範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約80重量%及び約100重量%以下の量で存在する)。他の範囲も可能である。
【0061】
コア粒子が比較的高い量の医薬品を含む(例えば、コア粒子の少なくとも約50重量%)実施形態において、コア粒子は、カプセル化剤によってポリマー担体中に形成された粒子と比較して、通常、医薬品負荷が増加される。より高い薬剤負荷は、ポリマー担体を含む粒子の使用と比較し、所望の効果を得るのに必要な粒子の数がより少ないことを意味するため、これは、薬剤輸送の適用にとって有利である。
【0062】
本明細書に記載のように、比較的高い量のポリマー又は他の材料がコアを形成する他の実施形態では、より少ない量の医薬品がコア中に存在し得る。
【0063】
コアは、様々な水溶解度(換言すれば、任意に1つ以上の緩衝剤を備える水への溶解度)及び/又は固体材料が表面改変剤で被覆されている様々な溶液への溶解度を備える固体材料から形成されてもよい。例えば、固体材料は、25℃において、約5mg/mL以下、約2mg/mL以下、約1mg/mL以下、約0.5mg/mL以下、約0.1mg/mL以下、約0.05mg/mL以下、約0.01mg/mL以下、約0.005mg/mL以下、約0.001mg/mL以下、約1μg/mL以下、約0.1μg/mL以下、約0.01μg/mL以下、約1ng/mL以下、約0.1ng/mL以下、又は約0.01ng/mL以下の水溶解度(又は被覆剤溶液への溶解度)を備えてもよい。いくつかの実施形態において、固体材料は、少なくとも約1pg/mL、少なくとも約10pg/mL、少なくとも約0.1ng/mL、少なくとも約1ng/mL、少なくとも約10ng/mL、少なくとも約0.1μg/mL、少なくとも約1μg/mL、少なくとも約5μg/mL、少なくとも約0.01mg/mL、少なくとも約0.05mg/mL、少なくとも約0.1mg/mL、少なくとも約0.5mg/mL、少なくとも約1.0mg/mL、少なくとも約2mg/mLの水溶解度(又は被覆剤溶液への溶解度)を備えてもよい。上記の範囲の組み合わせ(例えば、少なくとも約10pg/mL及び約1mg/mL以下の水溶解度又は被覆剤溶液への溶解度)が可能である。他の範囲も可能である。固体材料は、pH範囲(例えば、pH1からpH14)を通じた任意の点で、これらの又は他の範囲の溶解度を備えてもよい。
【0064】
いくつかの実施形態において、コアは、米国薬局方協会によって分類されている溶解度の範囲の1つに入る材料から形成されてもよい。例えば、非常によく溶ける:>1,000mg/mL、よく溶ける:100−1,000mg/mL、溶ける:mg/mL、わずかに溶ける:33−100mg/mL、ごくわずかに溶ける:1−10mg/mL、非常にわずかに溶ける:0.1−1mg/mL、及びほとんど溶けない:<0.1mg/mL。
【0065】
コアは疎水性又は親水性であるが、本明細書に記載の多くの実施形態において、コアは実質的に疎水性である。「疎水性」及び「親水性」は、当該技術における通常の意味を示し、当業者によって理解されるように、明細書中の多くの例において、相対的な用語である。材料の比較的疎水性及び親水性は、例えば、接触角ゴニオメーターのような器具とコア材料が充填された粉末とを用いて測定される、物質の平面上の水滴の接触角を測定することによって決定され得る。
【0066】
いくつかの実施形態において、材料(例えば、粒子コアを形成する材料)は、少なくとも約20度、少なくとも約30度、少なくとも約40度、少なくとも約50度、少なくとも約60度、少なくとも約70度、少なくとも約80度、少なくとも約90度、少なくとも約100度、少なくとも約110度、少なくとも約120度、又は少なくとも約130度の接触角を有する。いくつかの実施形態において、材料は、約160度以下、約150度以下、約140度以下、約130度以下、約120度以下、約110度以下、約100度以下、約90度以下、約80度以下、又は約70度以下の接触角を有する。上記の範囲の組み合わせ(例えば、少なくとも約30度及び約120度以下の接触角)も可能である。他の範囲も可能である。
【0067】
接触角の測定は、様々な技術を用いてなされることができ、ここでは、コアの形成に用いられる開始物質のペレットと一滴の水との間の静的接触角について言及する。コアの形成に用いる材料は、微粉末として入手した、又はそうでなければ乳鉢及び乳棒を用いて微粉末へと粉砕した。測定を行う表面を形成するため、International Crystal Labs.の7mmペレットダイを使用し、粉末を充填した。材料をダイへ入れ、手によって圧力をかけて粉末をペレットへと詰め、ペレットプレス機又は高圧は用いなかった。次に、ペレットの上面及び底面(水が加えられる面及びそれぞれ対向する平行な面として定義される)が何れの面とも接触しないように、ペレットを試験のため吊した。これは、ダイセットのカラーから完全にペレットを除去せずに行った。それゆえ、ペレットは側面でカラーに接触し、上面又は底面では接触しない。接触角の測定のため、30秒以上の安定した接触角を有する水滴が得られるまで、水をペレットの表面に加えた。水滴の添加に使用されるピペット又はシリンジの先端を沈める又は接触させることにより、水は水滴へと加えられる。安定した水滴が得られたら、画像を撮影し、接触角を標準的な手法で測定した。
【0068】
無機材料を備えるコア(例えば、イメージング剤として使用される)の実施形態において、無機材料は、例えば、金属(例えば、銀、金、白金、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、及び他の遷移金属)、半導体(例えば、シリコン、シリコン化合物及び合金、セレン化カドミウム、硫化カドミウム、インジウム砒素、及びインジウムリン)、又は絶縁体(例えば、シリコン酸化物のようなセラミック)を含んでもよい。無機材料は、コア中に任意の好適な量、例えば、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約99重量%で存在してよい。1つの実施形態において、コアは、100重量%の無機材料から形成される。いくつかの場合では、無機材料は、コア中に約100重量%以下、約90重量%以下、約80重量%以下、約70重量%以下、約60重量%以下、約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下、約20重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、約2重量%以下、又は約1重量%以下で存在してもよい。上述した範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約1重量%及び約20重量%以下で存在する)。他の範囲も可能である。
【0069】
コアは、いくつかの場合、量子ドット、カーボンナノチューブ、カーボンナノワイヤ、又はカーボンナノロッドの形状であってもよい。いくつかの場合では、コアは、生物由来ではない材料から形成される又は、生物由来ではない材料を含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、コアは、合成ポリマー及び/又は天然ポリマーのような1つ以上の有機材料を含む。合成ポリマーの例は、ポリメタクリレートのような非分解性ポリマーと、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、及びそれらのコポリマーのような分解性ポリマーとを含む。天然ポリマーの例は、ヒアルロン酸、キトサン及びコラーゲンを含む。コア部分にとって好適なポリマーの他の例は、以下に説明するように、粒子上に被覆を形成するのに好適なそれらを含む。いくつかの場合において、コア中に存在する1つ以上のポリマーは、1つ以上の医薬品をカプセル化する、又は吸着するために使用されてもよい。
【0071】
ある実施形態において、コアは、脂質及び/又はタンパク質を備える医薬品を含んでもよい。他の材料も可能である。
【0072】
ポリマーがコア中に存在する場合、ポリマーは、コア中に任意の好適な量、例えば約100重量%以下、約90重量%以下、約80重量%以下、約70重量%以下、約60重量%以下、約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下、約20重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、約2重量%以下、又は約1重量%以下で存在してよい。いくつかの場合において、ポリマーは、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約90重量%、又は少なくとも約99重量%の量で存在してもよい。上述した範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約1重量%及び約20重量%以下の量で存在する)。他の範囲も可能である。1組の実施形態において、形成されているコアは、実質的にポリマー成分を含まない。
【0073】
本明細書に記載の粒子のコアは、1つ以上のポリマーの混合物を含んでもよい。いくつかの実施形態において、コア又はコアの少なくとも一部は、第1のポリマー及び第2のポリマーの混合物を含む。ある実施形態において、第1のポリマーは、本明細書に記載のポリマーである。ある実施形態において、第1のポリマーは比較的疎水性のポリマー(例えば、第2のポリマーよりも高い疎水性のポリマー)である。ある実施形態において、第1のポリマーは、ポリアルキルエーテルではない。ある実施形態において、第1のポリマーは、ポリラクチド(PLA)、例えば、100DL7A MW108Kである。ある実施形態において、第1のポリマーは、ポリラクチド−コ−グリコリド(PLGA)、例えば、PLGA1A MW4Kである。しかしながら、他の実施形態において、第1のポリマーは比較的親水性のポリマー(例えば、第2のポリマーよりも高い親水性のポリマー)であってもよい。
【0074】
ある実施形態において、第2のポリマーは、本明細書に記載のブロックコポリマー(例えば、ダイブロックコポリマー又はトリブロックコポリマー)である。ある実施形態において、第2のポリマーは、比較的親水性ブロック(例えば、ポリアルキルエーテルブロック)と比較的疎水性ブロック(例えば、非(ポリアルキルエーテル)ブロック)とを含むダイブロックコポリマーである。ある実施形態において、第2のポリマーのポリアルキルエーテルブロックは、PEG(例えば、PEG2K又はPEG5K)である。ある実施形態において、第2のポリマーの非(ポリアルキルエーテル)ブロックは、PLA(例えば、100DL9K、100DL30、又は100DL95)である。ある実施形態において、第2のポリマーの非(ポリアルキルエーテル)ブロックは、PLGA(例えば、8515PLGA54K、7525PLGA15K又は5050PLGA18K)である。ある実施形態において、第2のポリマーは、100DL9K−コ−PEG2Kである。ある実施形態において、第2のポリマーは、8515PLGA54K−コ−PEG2Kである。
【0075】
「第1」及び「第2」のポリマーを説明しているが、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の粒子又はコアは、そのようなポリマーの1つのみを含んでもよいことが理解されるべきである。加えて、第1及び第2のポリマーの特定の例を提供しているが、ここで挙げられている他のポリマーを、第1又は第2のポリマーとして用いることができることが理解されるべきである。
【0076】
第1のポリマーと第2のポリマーの比較的疎水性ブロックとは、同じ又は異なるポリマーであってもよい。いくつかの場合において、第2のポリマーの比較的親水性ブロックは、第1及び第2のポリマーを含むコアの表面に又は表面上に、主に存在する。例えば、第2のポリマーの比較的親水性ブロックは、ここで説明するような表面改変剤として作用し得る。いくつかの場合において、第2のポリマーの比較的疎水性ブロック及び第1のポリマーは、第1の及び第2のポリマーを含むコアの表面の内側に、主に存在する。更なる詳細は、実施例19に挙げられている。
【0077】
第2のポリマーの比較的親水性ブロック(例えば、PEGブロックのようなポリアルキルエーテルブロック)は、任意の好適な分子量を有してもよい。ある実施形態において、第2のポリマーの比較的親水性ブロックの分子量は、少なくとも約0.1kDa、少なくとも約0.2kDa、少なくとも約0.5kDa、少なくとも約1kDa、少なくとも約1.5kDa、少なくとも約2kDa、少なくとも約2.5kDa、少なくとも約3kDa、少なくとも約4kDa、少なくとも5kDa、少なくとも約6kDa、少なくとも約8kDa、少なくとも約10kDa、少なくとも約20kDa、少なくとも約50kDa、少なくとも約100kDa、又は少なくとも約300kDaである。ある実施形態において、第2のポリマーの比較的親水性ブロックの分子量は、約300kDa以下、約100kDa以下、約50kDa以下、約20kDa以下、約10kDa以下、約8kDa以下、約6kDa以下、約5kDa以下、約4kDa以下、約3kDa以下、約2.5kDa以下、約2kDa以下、約1.5kDa以下、約1kDa以下、約0.5kDa以下、約0.2kDa以下、又は約0.1kDa以下である。上述した範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約0.5kDa及び10kDa以下)。他の範囲も可能である。ある実施形態において、第2のポリマーの比較的親水性ブロックの分子量は、約2kDaである。ある実施形態において、第2のポリマーの比較的親水性ブロックの分子量は、約5kDaである。
【0078】
第2のポリマーの比較的疎水性ブロック(例えば、PLGA又はPLAのような、非(ポリアルキルエーテル)ブロック)は、任意の好適な分子量を有してもよい。ある実施形態において、第2のポリマーの比較的疎水性ブロックは、比較的短い分子長及び/又は低い分子量である。ある実施形態において、第2のポリマーの比較的疎水性ブロックの分子量は、約300kDa以下、約100kDa以下、約80kDa以下、約60kDa以下、約54kDa以下、約50kDa以下、約40kDa以下、約30kDa以下、約20kDa以下、約15kDa以下、約10kDa以下、約5kDa以下、約2kDa以下、又は約1kDa以下である。ある実施形態において、第2のポリマーのPLGA又はPLAブロックの分子量は、少なくとも約0.1kDa、少なくとも約0.3kDa、少なくとも約1kDa、少なくとも約2kDa、少なくとも約4kDa、少なくとも約6kDa、少なくとも約7kDa、少なくとも約8kDa、少なくとも約9kDa、少なくとも約10kDa、少なくとも約12kDa、少なくとも約15kDa、少なくとも約20kDa、少なくとも約30kDa、少なくとも約50kDa、又は少なくとも約100kDaである。上述した範囲の組み合わせも可能である(例えば、約20kDa以下及び少なくとも1kDa)。他の範囲も可能である。ある実施形態において、第2のポリマーの比較的疎水性ブロックの分子量は、約9kDaである。
【0079】
第2のポリマーの比較的親水性ブロック(例えば、PEGブロックのようなポリアルキルエーテルブロック)は、本明細書に記載のコアの表面に又は表面上に、任意の好適な量又は密度で存在してもよい。ある実施形態において、第2のポリマーのPEGブロックは、コアの表面積nm
2あたり、少なくとも約0.001、少なくとも約0.003、少なくとも約0.03、少なくとも約0.1、少なくとも約0.15、少なくとも約0.18、少なくとも約0.2、少なくとも約0.3、少なくとも約0.5、少なくとも約1、少なくとも約3、少なくとも約30、又は少なくとも約100のPEG鎖で、コアの表面に又は表面上に存在する。ある実施形態において、第2のポリマーのPEGブロックは、コアの表面積nm
2あたり、約100以下、約30以下、約10以下、約3以下、約1以下、約0.5以下、約0.3以下、約0.2以下、約0.18以下、約0.15以下、約0.1以下、約0.03以下、約0.01以下、約0.003以下、又は約0.001以下のPEG鎖で、コアの表面に又は表面上に存在する。上述した範囲の組み合わせも可能である(例えば、コアの表面積nm
2あたり少なくとも0.03及び約1以下のPEG鎖)。他の範囲も可能である。ある実施形態において、第2のポリマーのPEGブロックは、コアの表面積nm
2あたり少なくとも約0.18のPEG鎖で、コアの表面に又は表面上に存在する。
【0080】
第2のポリマーの比較的親水性ブロック(例えば、PEGブロックのようなポリアルキルエーテルブロック)は、本明細書に記載の粒子又はコア中に、任意の好適な量で存在してもよい。ある実施形態において、第2のポリマーの比較的親水性ブロックは、コア中に、粒子又はコアの約90重量%以下、約80重量%以下、約70重量%以下、約60重量%以下、約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下、約20重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、約0.2重量%以下、約0.1重量%以下、約、0.05重量%以下、約0.02重量%以下、又は約0.01重量%以下で存在する。ある実施形態において、第2のポリマーの比較的親水性ブロックは、コア中に、粒子又はコアの少なくとも約0.01重量%、少なくとも約0.02重量%、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.2重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約4重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、又は少なくとも約90重量%で存在する。上述した範囲の組み合わせも可能である(例えば、粒子又はコアの約10重量%以下及び少なくとも約0.5重量%)。他の範囲も可能である。ある実施形態において、第2のポリマーの比較的親水性ブロックは、粒子又はコアの約3重量%以下で存在する。
【0081】
第2のポリマーの比較的親水性ブロック(例えば、PEGブロックのようなポリアルキルエーテルブロック)及び比較的疎水性ブロック(例えば、PLGA又はPLAブロックのような非(ポリアルキルエーテル)ブロック)は、コア中に任意の好適な比で存在してもよい。ある実施形態において、比較的親水性ブロックの第2のポリマーの比較的疎水性ブロックに対する比(比較的親水性ブロック:比較的疎水性ブロック)は、少なくとも約1:99、少なくとも約10:90、少なくとも約20:80、少なくとも約30:70、少なくとも約40:60、少なくとも約50:50、少なくとも約60:40、少なくとも約70:30、少なくとも約80:20、少なくとも約90:10、又は少なくとも約99:1(重量/重量)である。ある実施形態において、比較的親水性ブロックの第2のポリマーの比較的疎水性ブロックに対する比(比較的親水性ブロック:比較的疎水性ブロック)は、約99:1以下、約90:10以下、約80:20以下、約70:30以下、約60:40以下、約50:50以下、約40:60以下、約30:70以下、約20:80以下、約10:90以下、又は約1:99(重量/重量)以下である。上述した範囲の組み合わせも可能である(例えば、約70:30より多く、約90:10(重量/重量)以下)。他の範囲も可能である。ある実施形態において、比較的親水性ブロックの比較的疎水性ブロックに対する比は、約20:80(重量/重量)である。
【0082】
第1のポリマー(例えば、PLA又はPLGA)及び第2のポリマー(例えば、PLA−コ−PEG、又はPLGA−コ−PEG)は、粒子又はコア中に任意の好適な比で存在してもよい。ある実施形態において、粒子又はコア中における第1のポリマーの第2のポリマーに対する比(第1のポリマー:第2のポリマー)は、少なくとも約1:99、少なくとも約10:90、少なくとも約20:80、少なくとも約30:70、少なくとも約40:60、少なくとも約50:50、少なくとも約60:40、少なくとも約65:35、少なくとも約70:30、少なくとも約75:25、少なくとも約80:20、少なくとも約85:15、少なくとも約90:10、少なくとも約95:5、又は少なくとも約99:1(重量/重量)である。ある実施形態において、粒子又はコア中における第1のポリマーの第2のポリマーに対する比(第1のポリマー:第2のポリマー)は、約99:1以下、約95:5以下、約90:10以下、約85:15以下、約80:20以下、約75:25以下、約70:30以下、約65:35以下、約60:40以下、約50:50以下、約40:60以下、約30:70以下、約20:80以下、約10:90以下、又は約1:99(重量/重量)以下である。上述した範囲の組み合わせも可能である(例えば、約70:30より多く、約90:10(重量/重量)以下)。他の範囲も可能である。ある実施形態において、粒子又はコア中において、第1のポリマーの第2のポリマーに対する比は、約70:30(重量/重量)である。ある実施形態において、粒子又はコア中において、第1のポリマー第2のポリマーに対するの比は、約80:20(重量/重量)である。
【0083】
本明細書に記載の第1のポリマーと第2のポリマーの混合物を含む粒子又はコアは、本明細書に記載の被覆剤を更に含んでもよい。被覆剤は、粒子の表面又は表面上(例えば、第1のポリマー及び/又は第2のポリマーの表面)に存在してもよい。いくつかの実施形態において、被覆剤は、親水性材料を含む。被覆剤は、ポリマー及び/又は界面活性剤(例えば、PVA、ポロキサマー、ポリソルベート(例えば、Tween 80(登録商標)))のような、本明細書に記載の1つ以上の表面改変剤を含んでもよい。
【0084】
コアは、任意の好適な形状及び/又はサイズであってもよい。例えば、コアは実質的に球形、非球形、楕円形、ロッド形、ピラミッド、立方体状、ディスク形、ワイヤ状、又は非定型的な形状であってもよい。コアは、例えば、約10μm以下、約5μm以下、約1μm以下、約800nm以下、約700nm以下、約500nm以下、約400nm以下、約300nm以下、約200nm以下、約100nm以下、約75nm以下、約50nm以下、約40nm以下、約35nm以下、約30nm以下、約25nm以下、約20nm以下、約15nm以下、又は約5nm以下の最大又は最小の断面寸法を備えてもよい。いくつかの場合において、コアは、例えば、少なくとも約5nm、少なくとも約20nm、少なくとも約50nm、少なくとも約100nm、少なくとも約200nm、少なくとも約300nm、少なくとも約400nm、少なくとも約500nm、少なくとも約1μm、又は少なくとも約5μmの最大又は最小の断面寸法を備えてもよい。上述した範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約50nm及び500nm以下の最大又は最小断面寸法)。他の範囲も可能である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の工程で形成されたコアのサイズは、ガウス型分布を有する。他が示されているのでない限り、ここでの粒子/コアのサイズの測定は、最小断面寸法を示す。
【0085】
粒子サイズ(例えば、最小又は最大断面寸法)を決定するための技術は、当業者によく知られている。好適な技術の例は、(DLS)、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、電気抵抗カウント(electroresistance counting)法及びレーザー回折法を含む。他の好適な技術は、当業者に知られている。粒子のサイズを決定するための多くの方法が知られているが、本明細書に記載のサイズ(例えば、平均粒子サイズ、及び厚さ)は、動的光散乱法によって測定されたものを指す。
【0086】
コア粒子及び被覆粒子の形成方法
本明細書に記載のコア粒子は、任意の好適な方法で形成されてもよい。好適な方法は、例えば、いわゆるトップダウン技術、換言すれば、比較的大きな粒子をより小さい粒子へとサイズダウンさせる(例えば、粉砕又は均質化)ことに基づく技術、又はいわゆるボトムアップ技術、換言すれば、小さな粒子又は個々の分子から成長させる(例えば、沈殿又は液体への噴霧凍結)ことに基づく技術を含んでもよい。
【0087】
いくつかの実施形態において、コア粒子は被覆剤で被覆されてもよい。例えば、コア粒子は、第1のステップで提供又は形成され、そして被覆粒子を形成する第2のステップで、粒子が被覆されてもよい。他の実施形態では、コア粒子は、実質的に同時に(例えば、単一のステップで)形成及び被覆されてもよい。これらの例及び他の方法は、以下に挙げられている。
【0088】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の被覆粒子は、製剤工程、粉砕(milling)工程及び/又は希釈工程を含む方法によって形成される。ある実施形態において、粒子を形成する方法は、ミリング工程を含み、任意に製剤工程及び/又は希釈工程を伴う。コア材料と1つ以上の表面改変剤と、それぞれ本明細書に記載の溶剤、等張化剤、キレート剤、塩、抗菌剤及び/又は緩衝剤(例えば、クエン酸ナトリウム及びクエン酸緩衝液)のような他の成分と、を含む懸濁液又は溶液を形成するために、製剤工程を用いてもよい。製剤工程は、製剤容器を使用して実施されてもよい。コア材料及び他の成分は、同時に又は異時に、容器内へ加えられてもよい。コア材料及び/又は1つ以上の他の成分の混合物は、容器内で成分を懸濁化及び/又は溶解を促進させるため、混ぜられ及び/又は振り混ぜられ、又はそうでない場合は、撹拌されてもよい。コア材料、他の成分及び/又は混合物を含む流体の温度及び/又は圧力も、懸濁化及び/又は溶解工程を促進させるため、独立して増加又は減少させてもよい。いくつかの実施形態において、コア材料及び他の成分は、不活性雰囲気(例えば、窒素又はアルゴン)下で及び/又は遮光下で、本明細書に記載のように製剤容器内で処理される。製剤容器から得られた懸濁液又は溶液は、続いて、その後に希釈工程が続くことがある粉砕工程を受ける。
【0089】
固体材料を備えるコアを含むいくつかの実施形態において、粉砕工程は、マイクロメートルからナノメートルサイズの範囲の粒子を形成するため、固体材料のサイズの減少のために使用してもよい。粉砕工程は、ミル又は他の好適な装置を用いて行われてもよい。ジェットミル、凍結粉砕、ボールミル、媒体ミル、超音波処理及び均質化のような、乾式及び湿式粉砕工程が知られており、本明細書に記載の方法で使用することができる。一般的に、湿式粉砕工程では、コアとして使用される材料の懸濁液を、賦形剤と共に又は賦形剤なしで、撹拌して粒子のサイズを減少させる。乾式粉砕は、コアとして使用する材料を、賦形剤と共に又は賦形剤なしで粉砕媒体と混合させ、粒子のサイズを減少させる工程である。凍結粉砕工程では、コアとして使用される材料の懸濁液を、冷却温度下で、賦形剤と共に又は賦形剤なしで粉砕媒体と混合させる。
【0090】
粉砕工程又はコア材料のサイズを低減する他の好適な工程の後、希釈工程が懸濁液から被覆粒子を形成する及び/又は調整するため、希釈工程を用いてもよい。被覆粒子は、コア材料と、1つ以上の表面改質剤と、溶媒、等張化剤、キレート剤、塩、抗菌剤及び/又は緩衝剤(例えば、クエン酸ナトリウム及びクエン酸緩衝液)のような他の成分と、を備えてもよい。粉砕ステップを通して被覆された溶液又は懸濁液を、付加的な表面改質剤及び/又は他の成分を用いて又は用いずに、希釈させることで、目標投与濃度(target dosing)を達成するために、希釈工程を使用してもよい。ある実施形態において、希釈工程は、本明細書に記載のような粒子の表面から、第2の表面改質剤で第1の表面改変剤を変えるために使用してもよい。
【0091】
希釈工程は、製造容器又は任意の他の装置を用いて実施されてもよい。ある実施形態において、懸濁液は、製造容器内で希釈される、換言すれば混合される、そうでなければ希釈剤で処理される。希釈剤は、本明細書に記載のように、溶媒、表面改変剤、等張化剤、キレート剤、塩、又は抗菌剤、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。懸濁液及び希釈剤は、同時に又は異時に製造容器内に加えられてもよい。ある実施形態において、粉砕媒体を含む粉砕工程から懸濁液が得られる場合、懸濁液が製造容器中に加えられる前に、粉砕媒体を懸濁液から分離してもよい。本明細書に記載の被覆粒子を形成するため、懸濁液、希釈剤、又は懸濁液と希釈剤との混合物は、かき混ぜられ及び/又は振り混ぜられ、そうでなければ撹拌される。被覆粒子を形成するため、懸濁液、希釈剤、又は懸濁液と希釈剤との混合物の温度及び/又は圧力も、独立して増加又は減少させてもよい。いくつかの実施形態において、懸濁液及び希釈剤は、不活性雰囲気下で及び/又は遮光下で、製造容器内で処理される。
【0092】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のコア粒子は、固体材料(例えば、医薬品)を、1つ以上の表面改変剤の存在下で粉砕することによって製造されてもよい。固体材料の小さな粒子は、液体溶液内で集合又は凝集しないよう粒子の懸濁を安定させるため、いくつかの実施形態において安定剤として機能することがある1つ以上の表面改変剤を必要とすることがある。いくつかのそのような実施形態では、安定剤は、表面改変剤として働くことがあり、粒子上の被覆を形成する。
【0093】
ここで説明するように、いくつかの実施形態において、コア粒子を形成する方法は、粉砕と粒子上へのコーティングの形成とに好適な表面改変剤を選択することと、粘膜透過性を付与することと、を含む。例えば、以下により詳細に説明するように、特定のPluronic(登録商標)ポリマーの存在下でピレンを粉砕して製造されたモデル化合物のピレンの200−500nmナノ粒子は、十分に確立されたPEG化ポリマーMPPと同じ速さで生理粘液サンプルを透過可能な粒子という結果となることが実証されている。興味深いことに、以下により詳細に説明するように、Pluronic(登録商標)のサブセットのみが、粒子に粘膜透過性を付与し、ミリングと粒子上へのコーティングの形成との両方に好適であるという基準に適合する、ということが観察された。
【0094】
湿式粉砕工程において、粉砕は、1つ以上の表面改変剤、研磨媒体、粉砕される固体(例えば、固体医薬品)及び溶剤を含む分散系(例えば、水分散系)において実施され得る。任意の好適な量の表面改変剤が、溶媒に含まれうる。いくつかの実施形態において、表面改変剤は、溶媒中に、溶媒の少なくとも約0.001%(重量%又は体積に対する重量%(重量:体積))、少なくとも約0.01%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約12%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約40%、少なくとも約60%、又は少なくとも約80%の量で存在する。いくつかの場合において、表面改変剤は、溶媒中に、約100%の量で存在する(例えば、表面改変剤が溶媒であるという例において)。他の実施形態では、表面改変剤は溶媒中に、溶媒の約100%以下、約80%以下、約60%以下、約40%以下、約20%以下、約15%以下、約12%以下、約10%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、又は約1%以下の量で存在してもよい。上述した範囲の組み合わせも可能である(例えば、溶媒の約5%以下及び少なくとも約1%の量)。他の範囲も可能である。ある実施形態において、表面改変剤は、溶媒の約0.01−2%の量で溶媒中に存在する。ある実施形態において、表面改変剤は、溶媒の約0.2−20%の量で溶媒中に存在する。ある実施形態において、表面改変剤は、溶媒の約0.1%の量で溶媒中に存在する。ある実施形態において、表面改変剤は、溶媒の約0.4%の量で溶媒中に存在する。ある実施形態において、表面改変剤は、溶媒の約1%の量で溶媒中に存在する。ある実施形態において、表面改変剤は、溶媒の約2%の量で溶媒中に存在する。ある実施形態において、表面改変剤は、溶媒の約5%の量で溶媒中に存在する。ある実施形態において、表面改変剤は、溶媒の約10%の量で溶媒中に存在する。
【0095】
選択された特定の範囲は、粘膜を透過する粒子の性能、例えば、粒子表面上の表面改変剤の被覆の安定性、粒子上の表面改変剤の被覆の平均厚み、粒子上の表面改変剤の指向性、粒子上の表面改変剤の密度、表面改変剤:薬剤比、薬剤濃度、形成された粒子のサイズと分散性と多分散性、及び形成された粒子の形態といった性能に作用する要素に影響を与えることがある。
【0096】
医薬品(又はその塩)は、溶剤中に任意の好適な量で存在してもよい。いくつかの実施形態において、医薬品(又はその塩)は、溶剤の少なくとも約0.001%(重量%又は体積に対する重量%(重量:体積))、少なくとも約0.01%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約12%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約60%、又は少なくとも約80%の量で存在する。いくつかの場合において、医薬品(又はその塩)は、溶剤の約100%以下、約90%以下、約80%以下、約60%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、約15%以下、約12%以下、約10%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、又は約1%以下の量で溶剤中に存在してもよい。上述した範囲の組み合わせも可能である(例えば、溶剤の約20%以下及び少なくとも約1%の量)いくつかの実施形態において、医薬品は上述した範囲で存在するが、重量:体積である。
【0097】
溶剤中の表面改変剤の医薬品(又はその塩)に対する比も、変更可能である。いくつかの実施形態において、表面改変剤の医薬品(又はその塩)に対する比(表面改変剤:医薬品)は、少なくとも0.001:1(重量比、モル比、又は重量:体積比)、少なくとも0.01:1、少なくとも0.01:1、少なくとも1:1、少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも5:1、少なくとも10:1、少なくとも25:1、少なくとも50:1、少なくとも100:1、又は少なくとも500:1であってもよい。いくつかの場合において、表面改変剤の医薬品(又はその塩)に対する比(表面改変剤:医薬品)は、1000:1(重量比又はモル比)以下、500:1以下、100:1以下、75:1以下、50:1以下、25:1以下、10:1以下、5:1以下、3:1以下、2:1以下、1:1以下、又は0.1:1以下であってもよい。上述した範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも5:1及び50:1以下の比)。他の範囲も可能である。
【0098】
被覆剤の使用に適し得る表面改変剤は、例えば、ポリマーと界面活性剤とを含む。表面改変剤として被覆剤への使用に好適なポリマーの非限定的な例は、以下により詳細を説明するように、ポリ(ビニルアルコール)及びPluronic(登録商標)を含む。表面改変剤として被覆剤としての使用に好適な界面活性剤の非限定的な例は、L−α−ホスファチジルコリン(PC)、1,2−ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、オレイン酸、トリオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween)、ポリソルベート(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)(例えば、Tween 80(登録商標))、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(例えば、Tween 60(登録商標)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(例えば、Tween 40(登録商標))、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(例えば、Tween 20(登録商標))、天然レシチン、オレイルポリオキシエチレンエーテル、ステアリルポリオキシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシレンアルキルエーテル、オキシエチレン及びオキシプロピレンのブロックコポリマー、ポリオキシエチレンステレート、ポリオキシエチレンヒマシ油及びその誘導体、ビタミン−PEG及びその誘導体、合成レシチン、ジエチレングリコールジオレエート、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、グリセリルモノオレエート、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノリシノレエート、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、セチルピリジニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、オリーブ油、モノラウリン酸グリセリル、トウモロコシ油、綿実油、及びヒマワリ種子油を含む。上記の化合物の誘導体も可能である。上記の化合物と本明細書に記載の他の化合物との組み合わせも、本発明の粒子の表面改変剤として使用可能である。本明細書に記載のように、いくつかの実施形態において、表面改変剤は、安定剤、界面活性剤及び/又は乳化剤として働き得る。いくつかの実施形態において、表面改変剤は粘液中の粒子輸送を補助し得る。
【0099】
いくつかの実施形態において、粉砕に使用される安定剤は粒子表面上の被覆を形成し、被覆は粘膜透過性を粒子に付与するが、他の実施形態では、粒子を形成した後に、安定剤を1つ以上の表面改変剤と交換してもよい。例えば、方法の1つの組み合わせにおいて、第1の安定剤/表面改変剤は、粉砕工程に使用されてもよく、及び、コア粒子の表面を覆ってもよい、そして、第1の安定剤/表面改変剤の全部又は一部は、コア粒子の表面の全部又は一部を覆う第2の安定剤/表面改変剤と交換されてもよい。いくつかの場合において、第2の安定剤/表面改変剤は、第1の安定剤/表面改変剤よりも更に粘膜透過性を粒子に付与することができる。いくつかの実施形態において、複数の表面改変剤を含む被覆を有するコア粒子が形成され得る。
【0100】
任意の好適な粉砕媒体を粉砕に使用することができる。いくつかの実施形態において、セラミック及び/又はポリマー材料及び/又は金属を使用できる。好適な材料の例は、酸化ジルコニウム、シリコンカーバイド、酸化シリコン、窒化シリコン、ケイ酸ジルコニウム、酸化イットリウム、ガラス、アルミナ、アルファ−アルミナ、酸化アルミニウム、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリル酸)、チタン、鋼鉄を含む。粉砕媒体は、任意のサイズを有してもよい。例えば、粉砕媒体は、少なくとも約0.1mm、少なくとも約0.2mm、少なくとも約0.5mm、少なくとも約0.8mm、少なくとも約1mm、少なくとも約2mm、又は少なくとも約5mmの平均直径を有してもよい。いくつかの場合において、粉砕媒体は、約5mm以下、約2mm以下、約1mm以下、約0.8mm以下、約0.5mm以下、又は約0.2mm以下の平均直径を有してもよい。上述した範囲の組み合わせも可能である(例えば、約0.5ミリメートル及び約1mm以下の平均直径)。他の範囲も可能である。
【0101】
任意の好適な溶媒を粉砕に使用してもよい。溶媒の選択は、他の要因の中でも特に、粉砕される固体材料(例えば、医薬品)、使用される安定剤/表面改変剤の特定の型(例えば、粒子に粘膜透過性を付与するもの)、使用される粉砕材料のような要因に依存してもよい。好適な溶媒は、実質的に固体材料又は粉砕材料を溶解しないが、安定剤/表面改変剤を好適な程度溶解するものであってよい。溶媒の非限定的な例は、水、緩衝溶液、他の水性溶液、アルコール(例えば、エタノール、メタノール、ブタノール)及びそれらの混合物であって、医薬品添加剤、ポリマー、薬剤、塩、防腐剤、粘度調整剤、緩衝剤、張性調整剤、味マスキング剤、酸化防止剤、pH調整剤、及び他の医薬品添加剤のような他の成分を任意に含み得るものを含んでもよい。他の実施形態において、有機溶剤を使用することができる。医薬品は、これらの又は他の溶剤中に、水溶解性又は被覆剤溶液への溶解性について上述した範囲の1つ又は複数の溶解性のような、任意の好適な溶解性を備える。
【0102】
1つの観点において、本発明は、界面活性剤、又は表面改変剤、等張化剤、塩、緩衝剤、キレート剤、保存剤、希釈剤及び/又は溶剤のような他の成分の存在下で医薬品を含むコアを用いた粘膜透過性粒子(MPP)を形成する方法を提供する。
【0103】
他の実施形態において、本発明は、界面活性剤、又は表面改変剤、等張化剤、塩、緩衝剤、キレート剤、保存剤、希釈剤及び/又は溶剤のような粉砕媒体を含む他の成分の存在下にエタボン酸ロテプレドノールを含むコアを用いたMPPを形成する方法を提供する。
【0104】
医薬品粘膜透過性粒子を形成する方法は、粉砕ステップを備え、任意に希釈ステップを備える。粉砕ステップにおいて、約2−30%の医薬品を含む粗水懸濁液を、粉砕媒体の存在下で粉砕し、約200−500nmの範囲の粒子サイズの医薬品のナノ懸濁液を製造する。他の観点において、粒子サイズの範囲は約200−300nmである。続く希釈ステップにおいて、粉砕媒体から分離されて得られたナノ結晶懸濁液は、ミリングステップで使用されたものと同じ成分である、又は界面活性剤又は表面改変剤、等張化剤、塩、緩衝剤、キレート剤、保存剤、希釈剤、及び/又は溶剤のような他の成分の組み合わせであることができるミリング後希釈剤と、製造容器内で混合される。
【0105】
1つの実施形態において、方法は、Pluronic又はポロキサマー(例えば、ポロキサマー407、ポロキサマー338)、グリセリン、塩化ナトリウム、エデト酸二ナトリウム(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(Na
2EDTA)又はEDTA)及び任意にクエン酸三ナトリウム、クエン酸及び/又は塩化ベンザルコニウムを含む粉砕媒体の存在下で、エタボン酸ロテプレドノールを粉砕することを含む。
【0106】
他の実施形態において、コア粒子は、乳化技術(乳化作用)によって形成されてもよい。一般に、乳化技術は、コアとして使用する材料を溶剤中に溶解させ、又は分散させることを含むことができ、次にこの溶液又は分散液を非混和性溶媒中で乳化し、それにより、材料を含む複数の粒子を形成する。好適な乳化技術は、例えば蒸発又は抽出によって、続いて溶媒除去を行う又は行わない、水中油エマルジョン、油中水エマルジョン、水油水エマルジョン、油水油エマルジョン、水中油中固体エマルジョン、及び油中水中固体エマルジョン等の形成を含んでもよい。乳化技術は、多目的であり、比較的高い水溶解性を有する医薬組成物と同様に比較的低い水溶解性を備える医薬品を含むコア粒子を製造するのに有用であり得る。
【0107】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のコア粒子は、1つ以上の表面改変剤の存在下で乳化作用によって製造されてもよい。いくつかのそのような実施形態において、安定剤は、粒子上に被覆を形成する表面改変剤として働き得る(換言すれば、乳化及び被覆ステップが、実質的に同時に実施されてもよい)。
【0108】
いくつかの実施形態において、乳化作用によってコア粒子を形成する方法は、乳化作用にとって、及び粒子上にコーティングを形成し、粒子に粘膜透過性を付与するにとっての両方に好適な安定剤を選択することを含む。例えば、以下により詳細に説明するように、特定のPVAポリマーの存在下で乳化作用によって製造されたモデルポリマーPLAの200−500nmナノ粒子は、十分に確立されたPEG化ポリマーMPPと同じ速さで生理粘液サンプルを透過可能な粒子という結果であったことが実証されている。興味深いことに、より詳細に以下に説明するように、実験されたPVAポリマーのサブセットのみが、乳化作用と粒子に粘膜透過性を付与する粒子上に被覆を形成することとの両方によって好適であるという基準に適することが観察された。
【0109】
他の実施形態において、粒子は、第1に乳化技術を使用して形成され、続いて粒子を表面改変剤で被覆する。
【0110】
任意の好適な溶媒及び溶媒の組み合わせを、乳化に使用することができる。油相として機能しうる溶媒のいくつかの例は、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、エチルエーテル、石油エーテル(ヘキサン、ヘプタン)のような有機溶媒、及びピーナッツオイル、綿実油、ベニバナ油、胡麻油、オリーブオイル、トウモロコシ油、大豆油、及びシリコーンオイルのようなオイルである。水相として機能しうる溶媒のいくつかの例は、水及び水性緩衝液である。他の溶媒も可能である。
【0111】
他の実施形態において、コア粒子は、沈殿技術によって形成されてもよい。沈殿技術(例えば、ミクロ沈殿技術、ナノ沈殿技術、結晶化技術、制御結晶化技術)は、コアとして使用される材料(例えば、医薬品)と溶媒とを含み、材料が溶媒中に実質的に溶解している第1溶液の形成を含んでもよい。溶液は、材料が実質的に溶解しない(換言するなら、非溶媒(anti-solvent))他の溶媒を備える第2の溶液へ加えられてもよく、それにより材料を含む複数の粒子を形成する。いくつかの場合において、1つ以上の表面改変剤、界面活性剤、材料及び/又は生物活性剤が、第1及び/又は第2の溶液中に存在してもよい。被覆は、コア(例えば、沈殿工程及び被覆工程は実質的に同時に実施されてもよい)を沈殿させる工程中に形成されてもよい。他の実施形態において、粒子は第1に沈殿技術を用いて形成されてもよく、続いて表面改変剤で粒子を被覆する。
【0112】
いくつかの実施形態において、医薬品を備える又は備えないポリマーコア粒子を形成するため沈殿技術を使用してもよい。一般的に、沈殿技術は、コアとして使用されるポリマーを溶媒(医薬品が存在する又は存在しない)に溶解させることを含み、そして溶液は、コア粒子を形成するため、混和性の非溶媒(賦形剤を備える又は備えない)へと添加される。いくつかの実施形態において、この技術は、例えば、水性溶液にごくわずかに溶解する(1−10mg/L)、とてもわずかに溶解する(0.1−1mg/mL)、又はほとんど溶解しない(<0.1mg/mL)医薬品(例えば、比較的低い水溶解性の薬剤)を含むポリマーコア粒子を製造するために有用である。
【0113】
任意の好適な溶媒を沈殿に使用することが出来る。いくつかの実施形態において、沈殿のために好適な溶剤は、例えばアセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、テトラヒドロフランを含んでもよい。他の有機溶剤及び非有機溶剤も使用可能である。
【0114】
粉砕に使用されうる本明細書で記載の溶剤を含む、沈殿にとって任意の好適な非溶媒を使用することができる。実施形態のある組み合わせにおいて、水性溶媒が使用され(例えば、水、緩衝溶液、他の水性溶液、及びエタノール、メタノール、ブタノールのようなアルコール)、そして、それらの混合物は、任意に医薬賦形剤、ポリマー、及び医薬組成物のような他の成分を含んでもよい。
【0115】
乳化及び沈殿のための表面改変剤は、ポリマー又は界面活性剤であってもよく、粉砕に使用できる本明細書に記載の表面改変剤を含む。
【0116】
乳化又は沈殿によってコアの全体又は一部を好適に形成するのに好適なポリマーは、ポリアミン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカルバメート、ポリ尿素、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリアセチレン、ポリエチレン、ポリエチレンイミン、ポリイソシアネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアリレート、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、及び多糖類を含んでもよい。特定のポリマーの非限定的な例は、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、エチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)、ポリ(L−乳酸−コ−グリコール酸)(PLLGA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PDLA)、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−カプロラクトン−コ−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−PEO−コ−D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−PPO−コ−D,L−ラクチド)、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリウレタン、ポリ−L−リジン(PLL)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ−L−グルタミン酸、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリ(エステルアミド)、ポリアミド、ポリ(エステルエーテル)、ポリカーボネート、ポリエチレン及びポリプロピレンのようなポリアルキレン、ポリ(エチレングリコール)(PEG)のようなポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド(PEO)、ポリ(エチレンテレフタレート)のようなポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルエーテル、ポリ(酢酸ビニル)のようなポリビニルエステル、ポリ(塩化ビニル)(PVC)のようなポリビニルハロゲン化物、ポリビニルピロリドン、ポリシロキサン、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン、アルキルセルロースのような誘導体化セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、((メタ)アクリル酸メチル)(PMMA)、(エチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ヘキシル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソデシル(メタ)アクリレート)、ポリ(ラウリル(メタ)アクリレート)、ポリ(フェニル(メタ)アクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)(併せて本明細書では「ポリアクリル酸」と呼ぶ)、及びコポリマー及びこれらの混合物のようなアクリル酸ポリマー、ポリジオキサノン及びそのコポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリプロピレンフマレート)、ポリオキシメチレン、ポロキサマー、ポリ(オルト)エステル、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド - コ - カプロラクトン)、及びトリメチレンカーボネート、ポリビニルピロリドン、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、コラーゲン、DNA、RNA、カルボキシメチルセルロース、キトサン、デキストラン、を含む。
【0117】
コアの全部又は一部を形成するのに好適なポリマー及び/又は表面改変剤は、ポリ(エチレングリコール)−ビタミンE複合体(以下、「PEG−VitE複合体」)も含んでよい。PEG−VitE複合体を含む粒子、組成物及び/又は製剤、及びPEG−VitE複合体を含む粒子、組成物及び/又は製剤の製造及び使用方法は、PCT国際出願公開公報WO2012/061703号により詳細に提供されており、全ての目的のため、引用によってその全体を取り込むものとする。いくつかの場合において、PEG−VitE複合体のPEG部分の分子量は、約2kDaより大きい。PEG−VitE複合体のPEG部分の分子量は、本明細書に記載のように、形成を補助する及び/又は粘膜バリアを通過するように選択されてもよい。いくつかの実施形態において、約2kDaを超える分子量を有するPEG部分を備えるPEG−VitE複合体は、約2kDaより少ない分子量を有するPEG部分を備えるPEG−VitE複合体と比較して、粘膜バリアを通じて粒子をより浸透させることができる。加えて、ある実施形態において、より大きな分子量のPEG部分は、薬剤のカプセル化を促進させることができる。界面活性剤としての働くため及び粘膜付着性を低減させるために組み合わせられた性能は、薬剤のカプセル化に使用される他の一般的な界面活性剤と比較して、重要な利益をもたらす。いくつかの場合において、PEG−VitE複合体のPEG部分の分子量は、約2kDaから約8kDaの間、又は約3kDaから約7kDaの間、又は約4kDaから約6kDaの間、又は約4.5kDaから約6.5kDaの間、又は約5kDaである。
【0118】
いくつかの実施形態において、沈殿技術は、主に医薬品(例えば、ナノ結晶)から構成される粒子を形成するために使用してもよい。一般に、そのような沈殿法は、コアとして使用される医薬品を溶媒に溶解させることを含み、そして溶媒は、コア粒子を形成するため、賦形剤を備える又は備えない混和性の非溶媒へと添加される。いくつかの実施形態において、この技術は、例えば、水性溶液にごくわずかに溶解する(1−10mg/L)、とてもわずかに溶解する(0.1−1mg/mL)、又はほとんど溶解しない(<0.1mg/mL)医薬品(例えば、比較的低い水溶解性の薬剤)の粒子を製造するのに有用であり得る。
【0119】
いくつかの実施形態において、塩(又は錯体)形成による沈殿を、医薬組成物の塩の粒子(例えば、ナノ結晶)を形成するために使用してもよい。一般に、塩形成による沈殿は、コアとして使用する材料を賦形剤を備える又は備えない溶媒に溶解させることを含み、次いで、対イオン又は錯化剤を添加し、コア粒子を形成するため医薬品を備える非溶解性の塩又は錯体を形成する。この技術は、水性溶液に溶解する医薬品(例えば、比較的高い水溶解性を備える薬剤)の粒子を製造するのに有用であり得る。いくつかの実施形態において、1つ以上の荷電又はイオン化可能な基を備える医薬品が、塩錯体を形成するために対イオン(例えば、カチオン又はアニオン)と相互作用することができる。
【0120】
金属を含む(例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属)様々な対イオンを塩錯体を形成するために使用できる。カチオン対イオンの非限定的な例は、亜鉛、カルシウム、アルミニウム、亜鉛、バリウム及びマグネシウムを含む。アニオン対イオンの非限定的な例は、リン酸塩、炭酸塩及び脂肪酸を含む。対イオンは、例えば、一価、二価、又は三価であってもよい。他の対イオンは、当分野で知られており、本明細書に記載の実施形態で使用可能である。他のイオン性及び非イオン性錯化剤も可能である。
【0121】
様々な異なる酸を、沈殿工程で使用してもよい。いくつかの実施形態において、好適な酸は、デカン酸、ヘキサン酸、粘液酸、オクタン酸を含んでもよい。他の実施形態において、好適な酸は、酢酸、アジピン酸、L−アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、カプリン酸(デカン酸)、炭酸、クエン酸、フマル酸、ガラクタル酸、D−グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、D−グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、塩酸、DL−乳酸、ラウリン酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、パルミチン酸、リン酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、(+)−L−酒石酸、またはチオシアン酸を含んでもよい。他の実施形態において、好適な酸は、アルギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、(+)−ショウノウ酸、カプリル酸(オクタン酸)、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−、ゲンチシン酸、グルタル酸、2−オキソ−、イソ酪酸、ラクトビオン酸、マロン酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、2−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ、ニコチン酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パモ酸(エンボン酸)、プロピオン酸、(−)−L−ピログルタミン酸、又はp−トルエンスルホン酸を含んでもよい。更に他の実施形態では、適切な酸は、酢酸、2,2−ジクロロ安息香酸、4−アセトアミド−、(+)−カンファー−10−スルホン酸、カプロン酸(ヘキサン酸)、桂皮酸、ギ酸、臭化水素酸、DL−マンデル酸、硝酸、サリチル酸、サリチル酸、4−アミノ−、又はウンデシレン酸(ウンデカ−10−エン酸)を含んでもよい。そのような酸の1つ以上の混合物も使用可能である。
【0122】
様々な異なる基剤を、沈殿工程で使用してもよい。いくつかの実施形態において、好適な基剤は、アンモニア、L−アルギニン、水酸化カルシウム、コリン、グルタミン、N−メチル、リシン、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、又は水酸化ナトリウムを含む。他の実施形態において、好適な基剤は、ベネタミン、ベンザチン、ベタイン、デアノール、ジエチルアミン、エタノール、2−(ジエチルアミノ)−、ヒドラバミン、モルホリン、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−、又はトロメタミンを含んでもよい。他の実施形態において、好適な基剤は、ジエタノールアミン(2,2’−イミノビス(エタノール))、エタノールアミン(2−アミノエタノール)、エチレンジアミン、1H−イミダゾール、ピペラジン、トリエタノールアミン(2,2’,2’’−ニトリロトリス(エタノール))、又は亜鉛水酸化物を含んでもよい。そのような1つ以上の基剤の混合物も使用することができる。
【0123】
粉砕に使用することができる本明細書に記載の溶剤を含む、任意の好適な溶剤を塩形成による沈殿に使用することができる。実施形態の1つの組み合わせにおいて、水性溶液(例えば、水、緩衝溶液、他の水性溶液、アルコール(例えば、エタノール、メタノール、ブタノール))が用いられ、それらの混合物は、医薬賦形剤、ポリマー及び医薬品のような他の成分を任意に含んでもよい。
【0124】
沈殿工程において、塩は、非塩状の医薬組成物と比較して低い水溶解性(又は、塩を含む溶剤への溶解性)を備えてもよい。塩の水溶解性(又は、溶剤への溶解性)は、25℃において、約5mg/mL以下、約2mg/mL以下、約1mg/mL以下、約0.5mg/mL以下、約0.1mg/mL以下、約0.05mg/mL以下、約0.01mg/mL以下、約1μg/mL以下、約0.1μg/mL以下、約0.01μg/mL以下、約1ng/mL以下、約0.1ng/mL以下、又は約0.01ng/mL以下であってもよい。いくつかの実施形態において、塩は、少なくとも約1pg/mL、少なくとも約10pg/mL、少なくとも約0.1ng/mL、少なくとも約1ng/mL、少なくとも約10ng/mL、少なくとも約0.1μg/mL、少なくとも約1μg/mL、少なくとも約5μg/mL、少なくとも約0.01mg/mL、少なくとも約0.05mg/mL、少なくとも約0.1mg/mL、少なくとも約0.5mg/mL、少なくとも約1.0mg/mL、少なくとも約2mg/mLの水溶解性(又は、溶剤への溶解性)を備えてもよい。上述した範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約0.001mg/mL及び約1mg/mL以下の水溶解性(又は、溶剤への溶解性))。他の範囲も可能である。塩は、pH範囲(例えば、pH1からpH14)を通じた任意の点において、これらの又は他の範囲の水溶解性を備えてもよい。
【0125】
いくつかの実施形態において、沈殿に使用される溶剤は、本明細書に記載の1つ以上の表面改変剤を含み、1つ以上の表面改変剤の被覆は、溶液から沈殿する時に、粒子の周囲に形成されてもよい。表面改変剤は、水性溶液中に少なくとも約0.001%(重量/体積)、少なくとも約0.005%(重量/体積)、少なくとも約0.01%(重量/体積)、少なくとも約0.05%(重量/体積)、少なくとも約0.1%(重量/体積)、少なくとも約0.5%(重量/体積)、少なくとも約1%(重量/体積)、又は少なくとも約5%(重量/体積)のように、任意の好適な濃度で溶液中に存在してもよい。いくつかの例において、表面改変剤は、約5%(重量/体積)以下、約1%(重量/体積)以下、約0.5%(重量/体積)以下、約0.1%(重量/体積)以下、約0.05%(重量/体積)以下、約0.01%(重量/体積)以下、又は約0.005%(重量/体積)以下の濃度で溶剤中に存在する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約0.01(重量/体積)及び約1%(重量/体積)以下の濃度)。他の範囲も可能である。
【0126】
コア粒子を形成する別の例示的な方法は、凍結乾燥技術を含む。この技術では、薬剤またはその塩は、必要に応じて、任意に表面改変剤を含む、水溶液に溶解され得る。対イオンを水溶液に添加してもよく、溶液を直ちに急速冷凍し凍結乾燥してもよい。乾燥粉末は、所望の濃度で、適切な溶媒(例えば、水といった水溶液)において再構成され得る。
【0127】
対イオンは、任意の適切な範囲において、凍結乾燥のための溶媒に添加され得る。いくつかの場合において、薬剤(例えば、塩)の対イオンの比率は、少なくとも0.1:1(重量比又はモル比)、少なくとも1:1、少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも5:1、少なくとも10:1、少なくとも25:1、少なくとも50:1、または少なくとも100:1であり得る。いくつかの場合において、薬剤(例えば、塩)の対イオンの比率は、100:1(重量比又はモル比)以下、75:1以下、50:1以下、25:1以下、10:1以下、5:1以下、3:1以下、2:1以下、1:1以下、または0.1:1以下であり得る。上記に参照される範囲の組み合わせが可能である(例えば、少なくとも5:1および50:1以下の比率)。他の範囲もまた可能である。
【0128】
表面改変剤が、凍結乾燥前に溶媒中に存在する場合、それは、水溶液中、少なくとも約0.001%(w/v)、少なくとも約0.005%(w/v)、少なくとも約0.01重量%(w/v)、少なくとも約0.05%(w/v)、少なくとも約0.1%(w/v)、少なくとも約0.5%(w/v)、少なくとも約1%(w/v)、または少なくとも約5%(w/v)といった任意の適切な濃度で存在し得る。いくつかの例において、表面改変剤は、約5%(w/v)以下、約1%(w/v)以下、約0.5%(w/v)以下、約0.1%(w/v)以下、約0.05%(w/v)以下、約0.01%(w/v)以下、または約0.005%(w/v)以下の濃度で溶媒中に存在し得る。上記に参照される範囲の組み合わせが可能である(例えば、少なくとも約0.01重量%(w/v)および約1%(w/v)以下の濃度)。他の範囲もまた可能である。
【0129】
溶媒中に存在する表面改変剤の濃度は、使用される特定の表面改変剤に応じて、臨界ミセル濃度(CMC)を超える濃度またはそれ未満であってもよい。他の実施形態では、安定した粒子は、薬剤を含有する溶液に、過剰の対イオンを添加することによって形成され得る。沈殿物は、遠心分離といった様々な方法によって洗浄され得る。得られたスラリーは、超音波処理され得る。1以上の表面改変剤を、得られた粒子を安定化させるために添加してもよい。
【0130】
コア粒子を形成する他の方法もまた可能である。コア粒子を形成するための技術は、例えば、コアセルベーション相分離、融解分散、界面堆積、in situ重合、巨大分子の自己組織化(例えば、高分子電解質複合体または高分子電解質−界面活性剤複合体の形成)、噴霧乾燥および噴霧凝結、エレクトロスプレー、エアサスペンション被覆、パンおよびスプレー被覆、凍結乾燥、空気乾燥、真空乾燥、流動床乾燥、沈殿(例えば、ナノ沈殿、微小沈殿)、臨界流体抽出、ならびにリソグラフィ法(例えば、ソフトリソグラフィー、ステップアンドフラッシュインプリントリソグラフィ、干渉リソグラフィ、フォトリソグラフィ)を含み得る。
【0131】
本明細書に記載の方法と他の方法との組合せもまた可能である。例えば、いくつかの実施形態では、薬剤のコアは、沈殿により最初に形成され、その後、コアの大きさは、粉砕処理によってさらに低減される。
【0132】
薬剤の粒子の形成に続いて、粒子は、粒子に関連し得、及び/又は被覆し得る(第二の)表面改変剤を含む溶液に任意にさらされ得る。薬剤がすでに第一の表面改変剤の被覆を含む実施形態では、第二の表面改変剤のすべて又は一部は、粒子表面のすべてまたは一部を被覆する第二の安定化剤/表面改変剤と置換され得る。いくつかの場合において、第二の表面改変剤は、第一の表面改変剤よりも粒子の粘液浸透性を高め得る。他の実施形態では、複数の表面改変剤を含む被覆を有する粒子が形成されてもよい(例えば、単層又は複数層)。他の実施形態では、複数の被覆(例えば、各被覆は任意に、異なる表面改変剤を含む)を有する粒子が形成され得る。いくつかの場合において、被覆は、表面改変剤の単層の形態である。他の構成もまた可能である。
【0133】
本明細書に記載される方法のいずれにおいても、粒子は、少なくとも約1分、少なくとも約2分、少なくとも約5分間、少なくとも約10分、少なくとも約15分、少なくとも約20分間、少なくとも約30分、少なくとも約60分、またはそれ以上の時間、粒子を表面改変剤とともに溶液中でインキュベートすることによって、表面改変剤で被覆され得る。いくつかのケースでは、インキュベーションは、約10時間以下、約5時間以下、または約60分以下の時間で行われ得る。上記に参照される範囲の組み合わせが可能である(例えば、約60分以下および少なくとも約2分のインキュベーション時間)。
【0134】
(粒子被覆)
図1に図示される実施形態において示されるように、コア16は、1またはそれ以上の表面改変剤を含む被覆20によって取り囲まれ得る。いくつかの実施形態では、被覆は、コアの表面上に配置された1以上の表面改変剤または他の分子で形成される。被覆の特定の化学構造および/または成分ならびに表面改変剤は、粘膜障壁を通過する輸送の増強といった、粒子に特定の機能を付与するように選択され得る。
【0135】
コアを取り囲む被覆は完全にコアを取り囲む必要がないということは、このような実施形態が可能であるが、理解されるべきである。例えば、被覆は、コアの表面積の少なくとも約10%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約99%を取り囲み得る。いくつかの場合において、被覆は、実質的にコアを取り囲む。他の場合では、被覆は、完全にコアを取り囲む。他の実施形態では、被覆は、コアの表面積の約100%以下、約90%以下、約80%以下、約70%以下、約60%以下または約50%以下を取り囲み得る。上記に参照される範囲の組み合わせが可能である(例えば、コアの表面積の80%を超えて100%未満を取り囲む)。
【0136】
被覆の成分は、いくつかの場合では、コアの表面全体に均一に分布され得、他の場合では、不均一に分布され得る。例えば、被覆は、場合によっては、材料が含まない部分(例えば、穴)を含み得る。所望の場合、被覆は、特定の分子および成分の被覆へのまたは被覆からの浸透及び/又は輸送を可能にするようにデザインされてもよいが、他の分子および成分の被覆へのまたは被覆からの浸透及び/又は輸送を防止してもよい。特定の分子の被覆を通過する浸透および/または輸送能力は、例えば、被覆を形成する表面改変剤の充填密度、ならびに被覆を形成する成分の物理的および化学的性質に依存し得る。本明細書で説明されるように、いくつかの実施形態において、被覆は、材料の一つの層(例えば、単層)、または多層を含み得る。単一の種類の表面改変剤または複数の種類の表面改変剤が存在し得る。
【0137】
粒子の被覆は、任意の適切な厚さを有し得る。例えば、被覆は、少なくとも約1nm、少なくとも約5nm、少なくとも約10nm、少なくとも約30nm、少なくとも約50nm、少なくとも約100nm、少なくとも約200nm、少なくとも約500nm、少なくとも約1μm、又は少なくとも約5μmの平均厚さを有していてもよい。いくつかの場合において、被覆の平均厚さは、約5μm以下、約1μm以下、約500nm以下、約200nm以下、約100nm以下、約50nm以下、約30nm以下、約10nm以下または約5nm以下である。上記に参照される範囲の組み合わせが可能である(例えば、少なくとも約1nmおよび約100nm以下の平均厚さ)他の範囲もまた、可能である。複数の被覆を有する粒子に対して、各被覆層は、上記の厚さのいずれかを有してもよい。
【0138】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された組成物および方法は、コア表面への表面改変部分の共有結合を必要とせずに、親水性の表面改変部分による粒子の被覆を可能にし得る。いくつかのこのような実施形態では、疎水性表面を有するコアは、本明細書に記載のポリマーで被覆され得、それによって、実質的にコア自体の特性を変更することなく、コア表面上に存在する複数の表面改変部分を生じさせる。例えば、表面改変剤は、コア粒子の外表面に吸着され得る。しかしながら、他の実施形態において、表面改変剤は、コア粒子に共有結合されている。
【0139】
表面改変剤がコアの表面に吸着された特定の実施形態において、表面改変剤は、例えば、溶液中で表面改変剤の他の分子と、任意に他の成分(例えば、組成物/製剤)と平衡状態であってもよい。いくつかのケースでは、吸着された表面改変剤は、本明細書に記載の濃度で、コアの表面上に存在してもよい。表面改変剤が溶液中の他の成分と平衡状態にある場合、濃度は平均濃度であってもよい。
【0140】
本明細書に記載の粒子の被覆および/または表面改変剤は、疎水性材料、親水性材料、および/または両親媒性材料といった任意の適切な材料を含み得る。いくつかの実施形態では、被覆は、ポリマーを含む。特定の実施形態では、ポリマーは、合成ポリマー(天然には産生されないポリマー)である。他の実施形態では、ポリマーは、天然高分子(例えば、タンパク質、多糖類、ゴム)である。特定の実施形態では、ポリマーは、界面活性ポリマーである。特定の実施形態では、ポリマーは、非イオン性ポリマーである。特定の実施形態では、ポリマーは、直鎖状の、合成非イオン性ポリマーである。特定の実施形態では、ポリマーは、非イオン性ブロック共重合体である。いくつかの実施形態では、ポリマーは、共重合体であってもよく、この場合、例えば、1つの繰り返し単位が相対的疎水性であり、他の繰り返し単位が相対的親水性である。共重合体は、例えば、ジブロック、トリブロック、交互、またはランダム共重合体であってもよい。ポリマーは、荷電または非荷電であってもよい。
【0141】
いくつかの実施形態では、被覆は、ポリマーの主鎖上のペンダントヒドロキシル基を有する合成ポリマーを含む。例えば、特定の実施形態において、ポリマーは、ポリ(ビニルアルコール)、部分的に加水分解されたポリ(酢酸ビニル)又はビニルアルコールと酢酸ビニルとの共重合体を含み得る。特定の実施形態では、ポリマーの主鎖上のペンダントヒドロキシル基を有する合成ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)−ポリ(酢酸ビニル)−ポリ(ビニルアルコール)共重合体、ポリ(エチレングリコール)−ポリ(ビニルアルコール)共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(ビニルアルコール)共重合体およびポリ(ビニルアルコール)−ポリ(アクリルアミド)共重合体を含み得る。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、ポリマーの主鎖上のペンダントヒドロキシル基を有する合成ポリマーを含む被覆を含む粒子は、粒子表面上の複数のヒドロキシル基の露呈に少なくとも部分的に起因して、コントロール粒子と比較して、低減された粘膜付着性を有し得る。低減された粘膜付着性に対する1つの可能なメカニズムは、ヒドロキシル基が、粒子/粘液環境において水および他の分子を要求することによって、粒子の微小環境を変化させることである。追加または代替の可能性のあるメカニズムは、ヒドロキシル基がムチン繊維の接着領域を保護し、それによって粒子の付着を低減させ、粒子輸送を高速化させることである。
【0142】
さらに、ポリマーの主鎖上のペンダントヒドロキシル基を有する合成ポリマーで被覆された粒子の、粘液浸透能力はまた、少なくとも部分的には、ポリマーの加水分解の程度に依存し得る。いくつかの実施形態において、ポリマーの疎水性部分(例えば、加水分解されないポリマーの部分)は、ポリマーがコア表面に付着する(例えば、コア表面が疎水性の場合)ことを可能にすることができ、その結果、コアとポリマーとの間の強力な関連性を可能にし得る。驚くべきことに、表面改変剤PVAを含むいくつかの実施形態では、加水分解の程度が強すぎると、PVAとコアとの間で十分な接着がなされず(例えば、疎水性コアの場合)、その結果、このようなポリマーで被覆された粒子は一般的に、低減された粘膜接着性を十分に示さないことが見出されてきた。いくつかの実施形態では、加水分解の程度が低すぎると、粒子の微小環境を変化させる、および/またはムチン繊維の接着領域を保護するために利用可能な、より少ない量ヒドロキシル基におそらくは起因して、粘液中での粒子の輸送が増強されない。
【0143】
ポリマーの主鎖上のペンダントヒドロキシル基を有する合成ポリマーは、加水分解の任意の適切な程度を有していてもよい(そして、その結果、ヒドロキシル基の量を変化させる)。加水分解の適切なレベルは、ポリマーの分子量、コアの組成、コアの疎水性等といった追加の因子に依存し得る。いくつかの実施形態において、合成ポリマー(例えば、PVAもしくは部分的に加水分解されたポリ(酢酸ビニル)またはビニルアルコールおよび酢酸ビニルの共重合体)は、少なくとも約30%が加水分解され、少なくとも約35%が加水分解され、少なくとも約40%が加水分解され、少なくとも約45%が加水分解され、少なくとも約50%が加水分解され、少なくとも約55%が加水分解され、少なくとも約60%が加水分解され、少なくとも約65%が加水分解され、少なくとも約70%が加水分解され、少なくとも約75%が加水分解され、少なくとも約80%が加水分解され、少なくとも約85%が加水分解され、少なくとも約87%が加水分解され、少なくとも約90%が加水分解され、少なくとも約95%が加水分解され、または少なくとも約98%が加水分解され得る。いくつかの実施形態において、合成ポリマーは、約100%以下加水分解され、約98%以下加水分解され、約97%以下加水分解され、約96%以下加水分解され、約95%以下加水分解され、約94%以下加水分解され、約93%以下加水分解され、約92%以下加水分解され、約91%以下加水分解され、約90%以下加水分解され、約87%以下加水分解され、約85%以下加水分解され、約80%以下加水分解され、約75%以下加水分解され、約70%以下加水分解され、または約60%以下加水分解され得る。上記に参照される範囲の組み合わせが可能である(例えば、少なくとも約80%加水分解され、及び約95%以下加水分解されたポリマー)。他の範囲もまた、可能である。
【0144】
本明細書に記載の合成ポリマー(ポリマーの主鎖上のペンダントヒドロキシル基を有するもの)の分子量は、コアの粘膜付着を低減させ、コアとのポリマーの十分な関連性を確保するように選択され得る。特定の実施形態では、合成ポリマーの分子量は、少なくとも約1kDa、少なくとも約2kDa、少なくとも約5kDa、少なくとも約8kDa、少なくとも約9kDa、少なくとも約10kDa、少なくとも約12kDa、少なくとも約15kDa、少なくとも約20kDa、少なくとも約25kDa、少なくとも約30kDa、少なくとも約40kDa、少なくとも約50kDa、少なくとも約60kDa、少なくとも約70kDa、少なくとも約80kDa、少なくとも約90kDa、少なくとも約100kDa、少なくとも約110kDa、少なくとも約120kDa、少なくとも約130kDa、少なくとも約140kDa、少なくとも約150kDa、少なくとも約200kDa、少なくとも約500kDa、または少なくとも約1000kDaである。いくつかの実施形態では、合成ポリマーの分子量は、約1000kDa以下、約500kDa以下、約200kDa以下、約180kDa以下、約150kDa以下、約130kDa以下、約120kDa以下、約100kDa以下、約85kDa以下、約70kDa以下、約65kDa以下、約60kDa以下、約50kDa以下、約40Da以下、約30kDa以下、約20kDa以下、約15kDa以下、または約10kDa以下である。上記に参照される範囲の組み合わせが可能である(例えば、少なくとも約10kDaおよび約30kDa以下の分子量)。上記の分子量の範囲は、適切なポリマーを形成する上記の加水分解の範囲と組み合わせられ得る。
【0145】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の合成ポリマーは、PVAであるか、または、PVAを含む。PVAは、界面活性特性を有する非イオン性ポリマーである。それは、典型的には、ポリ(酢酸ビニル)の加水分解により生成された合成ポリマーである。部分的に加水分解されたPVAは、2種類の繰り返し単位、ビニルアルコール単位および残留酢酸ビニル単位で構成されている。ビニルアルコール単位は、相対的親水性である。酢酸ビニル単位は、相対的疎水性である。いくつかの例では、ビニルアルコール単位と酢酸ビニル単位との配列分布は、ブロック状である。例えば、一連のビニルアルコール単位に続いて、一連の酢酸ビニル単位があってもよく、ブロック状に分布された単位を有する、混合ブロック共重合体型の構成を有するポリマーを形成するようにより多くのビニルアルコール単位があってもよい。特定の実施形態において、繰り返し単位は、共重合体、例えば、ジブロック、トリブロック、交互、またはランダム共重合体を形成する。PVA以外のポリマーは、これらの構成の親水性単位及び疎水性単位を有してもよい。
【0146】
いくつかの態様において、本明細書に記載された合成ポリマーの親水性単位は、粒子の外表面に実質的に存在してもよい。例えば、親水性単位は、被覆の外表面の大部分を形成してもよいし、粒子を含有する水溶液中での粒子の安定化を助けてもよい。疎水性単位は、例えば、コアへの被覆の付着を促進するように、被覆の内部及び/又はコア粒子の表面に実質的に存在し得る。
【0147】
合成ポリマーの相対的親水性単位および相対的疎水性単位のモル分率は、それぞれ、コアの粘膜付着を低減させ、コアとのポリマーの十分な関連性を確保するように、選択されてもよい。本明細書に記載されるように、ポリマーの疎水性単位のモル分率は、コアとのポリマーの適切な会合が生じるように選択され得、それにより、ポリマーがコアに接着したままとする可能性を増加させることができる。合成ポリマーの相対的親水性単位の相対的疎水性単位に対するモル分率は、例えば、少なくとも0.5:1、少なくとも1:1、少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも5:1、少なくとも7:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも30:1、少なくとも40:1、少なくとも50:1、少なくとも75:1、または少なくとも100:1であり得る。いくつかの実施形態では、合成ポリマーの相対的親水性単位の相対的疎水性単位に対するモル分率は、例えば、100:1以下、75:1以下、50:1以下、40:1以下、30:1以下、25:1以下、20:1以下、15:1以下、10:1以下、7:1以下、5:1以下、3:1以下、2:1以下、または1:1以下であり得る。上記に参照される範囲の組み合わせが可能である(例えば、少なくとも1:1、及び50:1以下の比率)。他の範囲もまた、可能である。
【0148】
PVAポリマーの分子量はまた、ポリマーの有効性を高めるように調製されて、粒子に粘液浸透性を与え得る。種々の分子量および加水分解の程度を有するPVAポリマーの例は、表1に示される。
【0149】
表1:PVAのグレード。分子量(MW)および加水分解の程度の値が、製造により提供される。
【表1】
【0150】
特定の実施形態において、合成ポリマーは、式:
【化1】
により表され、nは包括的に、0〜22730の整数であり、mは包括的に、0〜11630の整数である。特定の実施形態では、nは包括的に、25〜20600の整数である。いくつかの実施形態では、mは包括的に、5〜1100の整数である。特定の実施形態では、mは包括的に、0〜400または1〜400の整数である。nおよびmは、ブロックの長さよりも、それぞれ、ポリマーにおけるビニルアルコール及び酢酸ビニルの繰り返し単位の総含有量を表すことに留意すべきである。
【0151】
nの値は、変わり得る。特定の実施形態では、nは、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも500、少なくとも800、少なくとも1000、少なくとも1200、少なくとも1500、少なくとも1800、少なくとも2000、少なくとも2200、少なくとも2400、少なくとも2600、少なくとも3000、少なくとも5000、少なくとも10000、少なくとも15000、少なくとも20000、または少なくとも25000である。いくつかの例では、nは、30000以下、25000以下、20000以下、25000以下、20000以下、15000以下、10000以下、5000以下、3000以下、2800以下、2400以下、2000以下、1800以下、1500以下、1200以下、1000以下、800以下、500以下、300以下、200以下、100以下、または50以下である。上記に参照される範囲の組み合わせが可能である(例えば、nは、少なくとも50および2000以下)。他の範囲もまた、可能である。
【0152】
同様に、mの値も変わり得る。例えば、特定の実施形態において、mは、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも50、少なくとも70、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも800、少なくとも1000、少なくとも1200、少なくとも1500、少なくとも1800、少なくとも2000、少なくとも2200、少なくとも2400、少なくとも2600、少なくとも3000、少なくとも5000、少なくとも10000、または少なくとも15000である。いくつかの例では、mは、15000以下、10000以下、5000以下、3000以下、2800以下、2400以下、2000以下、1800以下、1500以下、1200以下、1000以下、800以下、500以下、400以下、350以下、300以下、250以下、200以下、150以下、100以下、70以下、50以下、30以下、20以下、または10以下である。上記に参照される範囲の組み合わせが可能である(例えば、mは、少なくとも5および200以下)。他の範囲もまた、可能である。
【0153】
いくつかの態様において、本明細書に記載された粒子は、相対的親水性ブロックおよび相対的疎水性ブロックを有するブロック共重合体を含む被覆を含む。いくつかの場合において、親水性ブロックは、粒子の外表面に実質的に存在し得る。例えば、親水性ブロックは、被覆の外表面の大部分を形成し得、粒子を含有する水溶液中の粒子の安定化を助け得る。疎水性ブロックは、例えば、コアへの被覆の付着を促進するように、被覆の内部及び/又はコア粒子の表面で実質的に存在し得る。いくつかの例では、被覆は、トリブロック共重合体を含む表面改変剤を含み、それにおいて、トリブロック共重合体は、親水性ブロック−疎水性ブロック−親水性ブロックの構成を含む。親水性ブロック−疎水性ブロックの構成を有するジブロック共重合体もまた可能である。被覆として使用するのに適した他のポリマーとのブロック共重合体の組み合わせもまた、可能である。非線形ブロック構成はまた、くし、ブラシ、又は星型共重合体といったものとすることも可能である。いくつかの実施形態では、相対的親水性ブロックは、ポリマーの主鎖上のペンダントヒドロキシル基を有する合成ポリマー(例えば、PVA)を含む。
【0154】
ブロック共重合体の親水性ブロックおよび疎水性ブロックの分子量は、それぞれ、コアの粘膜付着を減少させるように、およびコアとのブロック共重合体の十分な関連性を確保するように、選択されてもよい。ブロック共重合体の疎水性ブロックの分子量は、コアとのブロック共重合体の適切な関連性が生じるように選択され得、それによって、ブロック共重合体がコアに付着したままとなる可能性を増加させ得る。
【0155】
特定の実施形態では、相対的疎水性ブロックまたはブロック共重合体の繰り返し単位の(1または2以上の)合計分子量は、少なくとも約0.5kDa、少なくとも約1kDa、少なくとも約2kDa、少なくとも約3kDa、少なくとも約4kDa、少なくとも約5kDa、少なくとも約6kDa、少なくとも約10kDa、少なくとも約12kDa、少なくとも約15kDa、少なくとも約20kDa、少なくとも約50kDa、少なくとも約60kDa、少なくとも約70kDa、少なくとも約80kDa、少なくとも約90kDa、少なくとも約100kDa、少なくとも約110キロkDa、少なくとも約120kDa、少なくとも約130kDa、少なくとも約140kDa、少なくとも約150kDa、少なくとも約200kDa、少なくとも約500kDa、または少なくとも約1000kDaである。いくつかの実施形態では、相対的疎水性ブロックまたはブロック共重合体の繰り返し単位の(1または2以上の)合計分子量は、約1000kDa以下、約500kDa以下、約200kDa以下、約150kDa以下、約140kDa以下、約130kDa以下、約120kDa以下、約110kDa以下、約100kDa以下、約90kDa以下、約80kDa以下、約50kDa以下、約20kDa以下、約15kDa以下、約13kDa以下、約12kDa以下、約10kDa以下、約8kDa以下、または約6kDa以下である。上記に参照される範囲の組み合わせが可能である(例えば、少なくとも約3kDaおよび約15kDa以下)。他の範囲もまた、可能である。
【0156】
いくつかの実施形態では、組み合わされた(1または2以上の)相対的親水性ブロックまたはブロック共重合体の繰り返し単位は、ブロック共重合体の、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約55重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約65重量%、または少なくとも約70重量%を構成する。いくつかの実施形態では、組み合わされた(1または2以上の)相対的親水性ブロックまたはブロック共重合体の繰り返し単位は、ブロック共重合体の、約90重量%以下、約80重量%以下、約60重量%以下、約50重量%以下、または約約40重量%以下を構成する。上記に参照される範囲の組み合わせが可能である(例えば、少なくとも約30重量%および約80重量%以下)。他の範囲もまた、可能である。
【0157】
いくつかの実施形態では、組み合わされた(1または2以上の)相対的親水性ブロックまたはブロック共重合体の繰り返し単位の合成分子量は、少なくとも約0.5kD、少なくとも約1kD、少なくとも約2kD、少なくとも約3kD、少なくとも約4kD、少なくとも約5kD、少なくとも約6kD、少なくとも約10kD、少なくとも約12kD、少なくとも約15kD、少なくとも約20kDa、少なくとも約50kDa、少なくとも約60kD、少なくとも約70kD、少なくとも約80kD、少なくとも約90kD、少なくとも約100kD、少なくとも約110kD、少なくとも約120kD、少なくとも約130kD、少なくとも約140kD、少なくとも約150kD、少なくとも約200kD、少なくとも約500kD、または少なくとも約1000kDであり得る。特定の実施形態では、組み合わされた(1または2以上の)相対的親水性ブロックまたはブロック共重合体の繰り返し単位の合成分子量は、約1000kD以下、約500kD以下、約200kD以下、約150kD以下、約140kD以下、約130kD以下、約120kD以下、約110kD以下、約100kD以下、約90kD以下、約80kD以下、約50kD以下、約20kDa以下、約15kD以下、約13kD以下、約12kD以下、約10kD以下、約8kD以下、約6kD以下、約5kD以下、約3kD以下、約2kD以下、または約1kD以下であり得る。上記に参照される範囲の組み合わせが可能である(例えば、少なくとも約0.5kDおよび約3kD以下)。他の範囲もまた、可能である。2つの親水性ブロックが疎水性ブロックに隣接した実施形態では、2つの親水性ブロックの分子量は、実質的に同じであっても異なっていてもよい。
【0158】
特定の実施形態において、表面改変剤のポリマーは、ポリエーテル部分を含む。特定の実施形態において、ポリマーは、ポリアルキルエーテル部分を含む。特定の実施形態では、ポリマーは、ポリエチレングリコール尾部を含む。特定の実施形態では、ポリマーは、ポリプロピレングリコール中央部分を含む。特定の実施形態では、ポリマーは、中心部分としてポリブチレングリコールを含む。特定の実施形態では、ポリマーは、中心部分としてポリペンチレングリコールを含む。特定の実施形態では、ポリマーは、中心部分としてポリヘキシレングリコールを含む。特定の実施形態では、ポリマーは、本明細書に記載のポリマーの一つのジブロック共重合体である。特定の実施形態では、ポリマーは、本明細書に記載のポリマーの一つのトリブロック共重合体である。本明細書中に開示されるように、PEGの任意の列挙は、ポリエチレンオキシド(PEO)で置換されてもよく、PEOの任意の列挙は、PEGで置換されてもよい。いくつかの実施形態では、ジブロックまたはトリブロック共重合体は、(本明細書に記載されるように、加水分解の程度を変化させ、分子量を変化させた)1つ以上のブロックとしてポリマー(例えば、PVA)の骨格上にペンダントヒドロキシル基を有する合成ポリマーを含む。合成ポリマーブロックは、ブロック共重合体の中央部分または端部を形成してもよい。
【0159】
特定の実施形態では、ポリマーは、ポリアルキルエーテル(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール)および別のポリマー(例えば、ポリマー(例えば、PVA)の主鎖上にペンダントヒドロキシル基を有する合成ポリマー)のトリブロック共重合体である。特定の実施形態において、ポリマーは、ポリアルキルエーテルおよび他のポリエーテルのトリブロック共重合体である。特定の実施形態では、ポリマーは、ポリエチレングリコール及び他のポリアルキルエーテルのトリブロック共重合体である。特定の実施形態では、ポリマーは、ポリプロピレングリコールおよび他のポリアルキルエーテルのトリブロック共重合体である。特定の実施形態では、ポリマーは、ポリアルキルエーテルの少なくとも1つの単位を有するトリブロック共重合体である。特定の実施形態では、ポリマーは、2つの異なるポリアルキルエーテルのトリブロック共重合体である。特定の実施形態において、ポリマーは、ポリエチレングリコール単位を含むトリブロック共重合体である。特定の実施形態では、ポリマーは、ポリプロピレングリコール単位を含むトリブロック共重合体である。特定の実施形態では、ポリマーは、より高い親水性の単位により隣接されたより高い疎水性の単位のトリブロック共重合体である。特定の実施形態では、親水性単位は、ポリマーと同じタイプである。いくつかの実施形態では、親水性単位は、ポリマー(例えば、PVA)の主鎖上にペンダントヒドロキシル基を有する合成ポリマーを含む。特定の実施形態では、ポリマーは、2つ以上の親水性単位により隣接されたポリプロピレングリコール単位を含む。特定の実施形態において、ポリマーは、より高い疎水性の単位に隣接する2つのポリエチレングリコール単位を含む。特定の実施形態では、ポリマーは、2つのポリエチレングリコール単位によって隣接されたポリプロピレングリコール単位を有するトリブロック共重合体である。中央ブロックに隣接する2つのブロックの分子量は、実質的に同じであっても異なっていてもよい。
【0160】
特定の実施形態では、ポリマーは、以下の式である。
【化2】
nは包括的に、2〜1140の整数であり、mは包括的に、2〜1730の整数である。特定の実施形態では、nは包括的に、10〜170の整数である。特定の実施形態では、mは包括的に、5〜70の整数である。特定の実施形態において、nは、少なくとも2倍のm、3倍のm、または4倍のmである。
【0161】
特定の実施態様において、被覆は、単独で、またはポリマー(例えば、PVA)の主鎖上にペンダントヒドロキシル基を有する合成ポリマーといった他のポリマーとの組み合わせで被覆において存在する、(ポリ(エチレングリコール))−(ポリ(プロピレンオキシド))−(ポリ(エチレングリコール))トリブロック共重合体(以下、「PEG−PPO−PEGトリブロック共重合体」と称する)を含む表面改変剤を含む。本明細書に記載されるように、PEGブロックは、いくつかの実施形態において、PEOブロックと交換され得る。PEG−PPO−PEGトリブロック共重合体のPEG(またはPEO)及びPPOセグメントの分子量は、本明細書に記載されるように、粒子の粘膜付着を低減するように選択され得る。特定の理論に束縛されるものではないが、PEG−PPO−PEGトリブロック共重合体を含む被覆を有する粒子は、コントロール粒子と比較して、粘膜付着を減少させ得、それは、少なくとも部分的には、粒子表面上における複数のPEG(またはPEO)セグメントの露出に起因する。PPOセグメントは、コア表面に接着され得(例えば、コア表面が疎水性の場合)、その結果、コアとトリブロック共重合体との間の強い関連性を可能にする。いくつかの場合において、PEG−PPO−PEGトリブロック共重合体は、非共有結合性の相互作用を介してコアに関連付けられている。比較の目的で、コントロール粒子は、例えば、当該被覆された粒子と同様の大きさの、カルボキシレート修飾ポリスチレン粒子であり得る。
【0162】
特定の実施形態では、表面改変剤は、商品名Pluronicを有する、ポロキサマーを含むポリマーを含む。本明細書に記載された実施形態において有用であり得るPluronic(商標)ポリマーは、これらに限定されないが、F127、F38、F108、F68、F77、F87、F88、F98、L101、L121、L31、L35、L43、L44、L61、 L62、L64、L81、L92、N3、P103、P104、P105、P123、P65、P84、およびP85を含む。
【0163】
特定のPluronic(商標)の分子量の例を、表2に示す。
【0164】
表2:Pluronic(商標)分子の分子量
【表2】
【0165】
本明細書に記載の特定の実施形態において、他の範囲が可能であり、有用であり得るが、いくつかの実施形態では、PEG−PPO−PEGトリブロック共重合体の疎水性ブロックは上述の分子量の一つを有し(例えば、少なくとも約3kDaまたは約15kDa以下)、組み合わされた親水性ブロックは、少なくとも上述した範囲の一つに対する重量の比率を有する(例えば、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約50重量%もしくは少なくとも約70%未満、または約80重量%以下)。これらの基準内に入る特定のPluronic(商標)ポリマーは、例えば、F127、F108、P105およびP103を含む。驚くべきことに、実施例においてより詳細に記載されるように、これらの特定のPluronic(商標)ポリマーは、試験された、この基準の範囲内になかった他の他のPluronic(商標)ポリマーよりも、特定の粒子に、粘液浸透性をもたらしたことが見出された。さらに、(いくつかの特定の粒子コアに対して)粒子に粘液浸透性をもたらさなかった他の薬剤は、ポリビニルピロリドン(PVP/コリドン)、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト−共重合体(コリコートIR)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトセル)といった特定のポリマー;ソルトールHS15、Triton X100、チロキサポール、クレモフォールRH40;Span20、Span80、オクチルグルコシド、セチトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)といった小分子を含んでいた。
【0166】
粒子またはコアに粘液浸透性を与える表面改変剤の能力は、少なくとも部分的には、特定のコア/表面改変剤の組み合わせに依存し、それは、コアに接着する表面改変剤の能力および/またはコア/粒子表面上の表面改変剤の濃度を含むことが理解されるべきである。このように、いくつかの実施形態では、特定の表面改変剤は、粒子またはコアのいずれかのタイプの移動度を高め得るが、他のタイプの粒子またはコアの移動性を増強しなくてもよい。
【0167】
本明細書中に記載の多くは、親水性ブロック−疎水性ブロック−親水性ブロックの構成(例えば、PEG−PPO−PEGトリブロック共重合体)を含む被覆またはペンダントヒドロキシル基を有する合成ポリマーを含む被覆を含むことができるが、被覆はこれらの構成および材料に限定されず、他の構成および材料が可能であると理解されるべきである。
【0168】
さらに、本明細書に記載の実施形態の多くは、単一の被覆を含むが、他の実施形態において、粒子は、複数の被覆(例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の被覆)を含み得、それぞれの被覆は、粘液浸透性材料で形成される必要はなく、それを含む必要はない。いくつかのケースでは、中間被覆(すなわち、コア表面と外側被覆との間の被覆)は、コア表面への外側被覆の付着を促進するポリマーを含むことができる。多くの実施形態では、粒子の外側被覆は、粘液を通る粒子の輸送を促進する材料を含有するポリマーを含む。
【0169】
例えば、被覆(例えば、内側被覆、中間被覆、および/または外側被覆)は、任意の適切なポリマーを含み得る。いくつかの場合において、ポリマーは、生体適合性および/または生分解性であり得る。いくつかの場合において、ポリマー材料は、複数のタイプのポリマー(例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上のポリマー)を含んでいてもよい。いくつかの場合において、ポリマーは、本明細書に記載されるような、ランダム共重合体またはブロック共重合体(例えば、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体)であり得る。
【0170】
適切なポリマーの非限定的な例は、ポリアミン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカルバメート、ポリ尿素、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリアセチレン、ポリエチレン、ポリエチレンイミン、ポリイソシアネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、及びポリアリーレートを含み得る。具体的なポリマーの非限定的な例は、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、エチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)、ポリ(L−乳酸−コ−グリコール酸)(PLLGA)、ポリ(D、L−ラクチド)(PDLA)、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(D、L−ラクチド−コ−カプロラクトン−コ−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−PEO−コ−D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−PPO−コ−D,L−ラクチド)、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリウレタン、ポリ−L−リジン(PLL)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ−L−グルタミン酸、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリ(エステルアミド)、ポリアミド、ポリ(エステルエーテル)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリアルキレン、ポリアルキレングリコール(エチレングリコール)(PEG)、ポリアルキレンオキシド(PEO)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルエーテル、ポリ(酢酸ビニル)などのポリビニルエステル、ポリ(塩化ビニル)、ポリビニルハロゲン化物、ポリアルキレンテレフタレート(PVC)、ポリビニルピロリドン、ポリシロキサン、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸ポリマー、例えばポリ(メチルとして誘導体化セルロース(メタ)アクリレート)(PMMA)、ポリ(エチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ヘキシル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソデシル(メタ)アクリレート)、ポリ(ラウリル(メタ)アクリレート)、ポリ(フェニル(メタ)アクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)(あわせて本明細書において「ポリアクリル酸」と称される)、それらの共重合体および混合物、ポリジオキサノンおよびそのコポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリプロピレンフマレート、ポリオキシメチレン、ポロキサマー、ポリ(オルト)エステル、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)ならびにトリメチレンカーボネート、ポリビニルピロリドンを含む。
【0171】
ポリマーの分子量は、変わり得る。いくつかの実施形態では、分子量は、少なくとも約0.5kDa、少なくとも約1kDa、少なくとも約2kDa、少なくとも約3kDa、少なくとも約4kDa、少なくとも約5kDa、少なくとも約6kDa、少なくとも約8kDa、少なくとも約10kDa、少なくとも約12kDa、少なくとも約15kDa、少なくとも約20kDa、少なくとも約30kDa、少なくとも約40kDaまたは少なくとも約50kDaであり得る。いくつかの実施形態において、分子量は、約50kDa以下、約40kDa以下、約30kDa以下、約20kDa以下、約12kDa以下、約10kDa以下、約8kDa以下、約6kDa以下、約5kDa以下、または約4kDa以下であり得る。上記に参照される範囲の組み合わせが可能である(例えば、少なくとも約2kDaおよび約15kDa以下)。他の範囲もまた、可能である。分子量は、光散乱およびゲル浸透クロマトグラフィーといった任意の公知の技術を用いて決定され得る。他の方法は当技術分野で知られている。
【0172】
特定の実施形態において、ポリマーは、生体適合性であり、すなわち、ポリマーは、生体内に挿入または注射された場合、典型的には有害反応を誘導しない。例えば、それは、T細胞媒介応答を介した、免疫系による有意な炎症および/またはポリマーの急性拒絶反応を含まない。「生体適合性」が相対的な用語であり、ある程度の免疫応答が生体組織と高度に適合性を有するポリマーに対してさえ予想されるということがもちろん認識されるだろう。しかし、本明細書で使用されるように、「生体適合性」は、免疫系の少なくとも一部による材料の急性拒絶反応を指し、すなわち、対象に移植された非生体適合性材料は、免疫系による材料の拒絶が適切に制御され得ないほど重篤な対象における免疫応答を引き起こし、しばしば材料が対象から除去されなければならないような程度のものである。生体適合性を決定するための一つの簡単な試験は、in vitroで細胞にポリマーをさらすことである。生体適合性ポリマーは、典型的には、中程度の濃度において、例えば、約50マイクログラム/10
6細胞の濃度において、有意な細胞死を引き起こさないポリマーである。例えば、生体適合性ポリマーは、線維芽細胞または上皮細胞といった細胞に暴露されたとき、貪食され又は他のそのような細胞によって取り込まれても、約20%未満の細胞死を引き起こし得る。いくつかの実施形態では、in vitroの細胞の添加が20%以下の細胞死をもたらし、in vivoでの投与が望ましくない炎症または他のこのような副作用を誘発しない場合、物質は、「生体適合性」である。
【0173】
特定の態様では、生体適合性ポリマーは、体内又は細胞に導入された場合といった生理的な環境の中で、生分解性であってもよく、すなわち、ポリマーは、化学的および/または生物学的に(例えば、細胞機構によって、または加水分解により)分解され得る。例えば、ポリマーは、(例えば、対象内で)水への暴露時に自然に加水分解されるものであってもよく、および/またはポリマーは、(例えば、約37℃の温度の)熱への暴露時に分解し得る。ポリマーの分解は、使用されるポリマーまたはコポリマーに依存して、変化する速度で発生し得る。例えば、ポリマーの半減期(ポリマーの50%が、モノマーおよび/またはその他の非ポリマー成分に分解される時間)は、ポリマーに応じて、数日、数週間、数ヵ月、または数年のオーダーであってもよい。ポリマーは、例えば、(例えば、比較的低いpHを有する)リゾチームへの暴露を通じて、いくつかの場合において、例えば、酵素活性または細胞機構によって、生物学的に分解され得る。いくつかの例では、ポリマーは、細胞への顕著な毒性効果なし(すなわち、成分がin vitroで細胞に添加される場合、約20%よりも少ない細胞が殺される)で細胞が再利用または処分することのできる、モノマーおよび/または他の非ポリマー成分に分解され得る。例えば、ポリラクチドは、乳酸を形成するために加水分解されてもよく、ポリグリコリドは、グリコール酸等を形成するために加水分解されてもよい。
【0174】
生分解性ポリマーの例は、これらに限定されることなく、ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(エチレングリコール)トリブロック共重合体、ポリ(ラクチド)(又はポリ(乳酸))、ポリ(グリコリド)(またはポリ(グリコール酸))、ポリ(オルトエステル)、ポリ(カプロラクトン)、ポリリジン、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ウレタン)、ポリ(無水物)、ポリ(エステル)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ウレタン)、ポリ(βアミノエステル)など、およびこれらおよび/または他のポリマーのコポリマーまたは誘導体、例えば、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)を含む。
【0175】
特定の実施形態では、ポリマーは、所望の用途で許容される期間内に生分解され得る。このようなin vivoでの治療といった特定の実施形態では、このような分解は、25〜37℃の温度を有するpH6とpH8との間の生理学的溶液への曝露において、通常、約5年、1年、6ヶ月、3ヶ月、1ヶ月、15日、5日、3日、あるいは1日またはそれ未満(例えば、1−4時間、4−8時間、4−24時間、1−24時間)より少ない期間内に発生し得る。他の実施形態では、ポリマーは、所望の用途に応じて、約1時間と数週間との間の期間で分解する。
【0176】
本明細書に記載された被覆及び粒子はポリマーを含むことができるが、いくつかの実施形態において、本明細書に記載された粒子は、ポリマーではなく(例えば、非ポリマー)、医薬品ではない疎水性材料を含む。例えば、粒子の全てまたは一部は、いくつかの実施形態では不動態化層で被覆され得る。非ポリマー材料の非限定的な例は、ある種の金属、ワックスおよび有機材料(例えば、有機シラン、ペルフルオロ化またはフッ素化有機材料)を含むことができる。
【0177】
低減された粘膜付着性を有する粒子
本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態において、方法は、粘膜付着性が低減されることが所望される粒子といった物質を同定することを含む。粘液を介した増加した拡散性を必要とする材料は、例えば、疎水性であり得、多くの水素結合ドナーまたはアクセプターを有し得、および/または高度に荷電されてもよい。いくつかの場合において、材料は、結晶性または非晶質性の固体材料を含むことができる。コアとして機能し得る材料は、本明細書に記載の適切なポリマーで被覆され得、それによって表面上の複数の表面改変部分を有する粒子を形成し、低減された粘膜付着性がもたらされる。低減された粘膜付着性を有する本明細書に記載された粒子は代替的に、粘液において可動の、または粘液浸透性を有する(すなわち、粘液浸透粒子)である、粘液を介した増加した輸送性を有することを特徴とされ得、それは、粒子は(ネガティブ)コントロール粒子より速く粘液を通って輸送されることを意味する。(ネガティブ)コントロール粒子は、200nmのカルボキシル化ポリスチレン粒子といった、粘膜付着性であることが知られている粒子、例えば、本明細書に記載の被覆で被覆されていない未修飾粒子またはコアであってもよい。
【0178】
特定の実施形態において、本明細書の方法は、例えば、対象の粘液または粘膜表面への送達(例えば、局所送達)に適合された製剤で、修飾された物質の医薬組成物または製剤を調製することを含む。表面改変部分を有する薬学的組成物は、対象の粘膜表面に送達され得、対象における粘膜関門を通過し得、ならびに/または、例えば、低減された粘膜付着性に起因して、粘膜表面における粒子の延長された保持および/もしくは増大された均一な分布がもたらされ得る。本技術分野における当業者に知られているように、粘液は、多くの異物を捕捉する粘弾性かつ接着性の物質である。捕捉された粒子は、下層の上皮に到達することができず、および/または粘液クリアランス機構によって迅速に除去される。下層の上皮に到達する粒子に対して、および/または粘膜組織において延長された保持性を有する粒子に対して、粒子は、粘液分泌をただちに浸透し、および/または粘液クリアランス機構を回避しなければならない。粒子が粘液に実質的に付着していない場合は、粒子は、ムチン繊維間の間質液中に拡散し、下層の上皮に到達し、および/または粘液クリアランス機構によって除去され得ない。したがって、粒子の粘膜付着性を低減する材料での粘膜付着性材料(例えば、疎水性である医薬物質)の修飾は、下層の上皮への粒子の効率的な送達および/または粘膜表面での延長された保持を可能にし得る
【0179】
さらに、いくつかの実施形態では、低減された粘膜付着性を有する本明細書に記載された粒子は、組織表面での粒子の良好な分散を促進し、および/またはより粘膜付着性である粒子に比べて、組織表面に長時間存在する。例えば、いくつかの場合において、胃腸管などの管腔空間は、粘液で被覆された表面によって囲まれている。このような空間に送達された粘膜付着性粒子は、典型的には、身体の自然なクリアランス機構によって管腔空間からおよび粘液で被覆された表面から除去される。低減された粘膜付着性を有する本明細書に記載された粒子は、粘膜接着性粒子に比べて比較的長い期間、管腔空間に残り得る。この長時間の存在は、粒子のクリアランスを予防または減少させ得、および/または組織表面上の粒子のより良好な分布を可能にし得る。長時間の存在はまた、管腔空間を介して粒子輸送に影響を与え得、例えば、粒子は、粘液層に分布し得、下層の上皮に到達し得る。
【0180】
特定の実施形態では、本明細書に記載のポリマーで被覆された材料(例えば、コア)は、対象における粘液または粘膜関門を通過し、および/または長期間の保持を示し、および/または粘膜表面での粒子の均一な分布を増大させ得、例えば、このような物質は、(ネガティブ)コントロール粒子と比較して、対象の身体からよりゆっくりと(例えば、少なくとも2倍、5倍、10倍、又は少なくとも20倍、よりゆっくりと)除去される。(ネガティブ)コントロール粒子は、粘膜付着性であることが知られている粒子、例えば、200nmのカルボキシル化ポリスチレン粒子といった、本明細書に記載の被覆で被覆されていない未修飾粒子またはコアであってもよい。
【0181】
特定の態様では、本明細書に記載の粒子は、以下に定義される、特定の相対速度、<V
mean>を有する。
【数1】
【0182】
ここで、<V
mean>は、集合平均軌道−平均速度であり、V
meanは、その軌道にわたって平均化された個々の粒子の速度であり、サンプルは、目的の粒子であり、ネガティブコントロールは、200nmのカルボキシル化ポリスチレン粒子であり、ポジティブコントロールは、2kDa−5kDaのPEGで密にPEG化された200nmのポリスチレン粒子である。
【0183】
相対速度は、複数の粒子追跡法によって測定され得る。例えば、CCDカメラを備えた蛍光顕微鏡は、各タイプの粒子:サンプル、ネガティブコントロールおよびポジティブコントロールに対する各サンプル内の複数の領域からの100倍の倍率下での66.7ms(15フレーム/秒)の時間分解能での15秒の動画をキャプチャするために使用され得る。サンプル、ネガティブコントロールおよびポジティブコントロールは、追跡を観察するための蛍光粒子であってもよい。代替的な非蛍光粒子は、蛍光分子、蛍光的にタグ付けされた表面剤または蛍光的にタグ付けされたポリマーで被覆され得る。高度な画像処理ソフトウェア(例えば、Image ProまたはMetaMorph)は、少なくとも3.335秒(50フレーム)の時間スケールにわたる複数の粒子の個々の軌道を測定するために使用され得る。
【0184】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の粒子は、粘液において、約0.3以上、約0.4以上、約0.5以上、約0.6以上、約0.7以上、約0.8以上、約0.9以上、約1.0以上、約1.1以上、約1.2以上、約1.3以上、約1.4以上、約1.5以上、約1.6以上、約1.7以上、約1.8以上、約1.9以上または約2.0以上の相対速度を有する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の粒子は、粘液において、約10.0以下、約8.0以下、約6.0以下、約4.0以下、約3.0以下、約2.0以下、約1.9以下、約1.8以下、約1.7以下、約1.6以下、約1.5以下、約1.4以下、約1.3以下、約1.2以下、約1.1以下、約1.0以下、約0.9以下、約0.8以下、または約0.7以下の相対速度を有する。上記範囲の組合せ(例えば、約0.5以上かつ約6.0以下の相対速度)が可能である。他の範囲もまた可能である。粘液は、例えば、ヒトの頸膣粘液であってもよい。
【0185】
特定の実施形態では、本明細書に記載の粒子は、コントロール粒子または対応する粒子(例えば、修飾されていないおよび/または本明細書中に記載の被覆で被覆されていない対応する粒子)よりも大きな速度または拡散率で粘液または粘膜障壁を通って拡散し得る。いくつかの場合において、本明細書に記載の粒子は、コントロール粒子または対応する粒子よりも、少なくとも約10倍、20倍、30倍、50倍、100倍、200倍、500倍、1000倍またはそれ以上高い拡散の速度で粘液または粘膜関門を通過し得る。いくつかの場合において、本明細書に記載の粒子は、コントロール粒子または対応する粒子よりも、10000倍以下高い、約5000倍以下高い、約2000以下高い、約1000倍以下高い、約500倍以下高い、約200以下高い、約100倍以下高い、約50以下高い、約30倍以下高い、約20倍以下高いまたは約10倍以下高い拡散の速度で粘液または粘膜障壁を通って拡散し得る。上記範囲の組合せ(例えば、コントロール粒子または対応する粒子よりも、少なくとも約10倍または約100倍以上高い)が可能である。他の範囲もまた可能である。
【0186】
本明細書中に記載された比較の目的で、対応する粒子は、試験粒子とほぼ同じ大きさ、形状、および/または密度であるが、試験粒子を粘液において可動にする被覆を欠いていてもよい。いくつかのケースでは、測定は、約1秒、または約0.5秒、または約2秒、または約5秒、または約10秒の時間スケールに基づく。本技術分野における当業者は、幾何平均二乗変位及び拡散の速度を決定する方法を知っているであろう。
【0187】
また、本明細書に記載の粒子は、対応する粒子またはコントロール粒子よりも、少なくとも約10倍、20倍、30倍、50倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、2000倍、5000倍、10000倍またはそれ以上高い、幾何平均二乗変位を有する粘液または粘膜障壁を通過し得る。いくつかの場合において、本明細書に記載の粒子は、約10000倍以下高い、約5000倍以下高い、約2000倍以下高い、約1000倍以下高い、約500倍以下高い、約200倍以下高い、約100倍以下高い、約50倍以下高い、約30倍以下高い、約20倍以下高いまたは約10倍以下高い幾何平均二乗変位を有する粘液または粘膜障壁を通過し得る。上記範囲の組合せ(例えば、コントロール粒子または対応する粒子よりも、少なくとも約10倍かつ約1000倍以下高い)が可能である。他の範囲もまた可能である。
【0188】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の粒子は、粒子が水を介して拡散することができる速度または拡散率に近接する速度で粘膜障壁を通って拡散する。いくつかの場合において、本明細書に記載の粒子は、粒子が同一条件下で水を介して拡散する拡散率の約1/100以下、約1/200以下、約1/300以下、約1/400以下、約1/500以下、約1/600以下、約1/700以下、約1/800以下、約1/900以下、約1/1000以下、約1/2000以下、約1/5000以下、約1/10,000以下である速度または拡散率で粘膜関門を通過し得る。いくつかの場合において、本明細書に記載の粒子は、粒子が同一条件下で水を介して拡散する拡散率の約1/10,000以上、約1/5000以上、約1/2000以上、約1/1000以上、約1/900以上、約1/800以上、約1/700以上、約1/600以上、約1/500以上、約1/400以上、約1/300以上、約1/200以上または約1/100以上である速度または拡散率で粘膜関門を通過し得る。上記範囲の組合せ(例えば、粒子が同一条件下で水を介して拡散する拡散率の約1/5000以上かつ1/500未満)が可能である。他の範囲もまた可能である。測定値は、約1秒、または約0.5秒、または約2秒、または約5秒、または約10秒の時間スケールに基づき得る。
【0189】
特定の実施形態では、本明細書に記載の粒子は、粒子が水を介して拡散する拡散率の約1/500未満である拡散率でヒト頸膣粘液を通って拡散し得る。いくつかのケースでは、測定値は、約1秒、または約0.5秒、または約2秒、または約5秒、または約10秒の時間スケールに基づく。
【0190】
特定の実施形態において、本発明は、特定の絶対拡散率で、ヒト頸膣粘液といった粘液を通って移動する粒子を提供する。例えば、本明細書に記載の粒子は、少なくとも約1×10
−4μm/秒、約2×10
−4μm/秒、約5×10
−4μm/秒、約1×10
−3μm/秒、約2×10
−3μm/秒、約5×10
−3μm/秒、約1×10
−2μm/秒、約2×10
−2μm/秒、約4×10
−2μm/秒、約5×10
−2μm/秒、約6×10
−2μm/秒、約8×10
−2μm/秒、約1×10
−1μm/秒、約2×10
−1μm/秒、約5×10
−1μm/秒、1μm/秒または2μm/秒の拡散率で移動し得る。いくつかのケースでは、粒子は、2μm/秒以下、1μm/秒以下、約5×10
−1μm/秒以下、2×10
−1μm/秒以下、1×10
−1μm/秒以下、8×10
−2μm/秒以下、6×10
−2μm/秒以下、5×10
−2μm/秒以下、4×10
−2μm/秒以下、2×10
−2μm/秒以下、1×10
−2μm/秒以下、5×10
−3μm/秒以下、2×10
−3μm/秒以下、1×10
−3μm/秒以下、5×10
−4μm/秒以下、2×10
−4μm/秒以下または1×10
−4μm/秒以下の拡散率で移動し得る。上記範囲の組合せ(例えば、2×10
−4μm/秒以上かつ1×10
−1μm/秒以下)が可能である。他の範囲もまた可能である。いくつかのケースでは、測定値は、約1秒、または約0.5秒、または約2秒、または約5秒、または約10秒の時間スケールに基づく。
【0191】
移動度(例えば、相対速度、拡散率)の多くは、ヒト頸膣粘液で測定され得るが、それらは同様に、他のタイプの粘液で測定され得ることが理解されるべきである。
【0192】
特定の実施形態において、本明細書中に記載の粒子は、所定の密度で表面改変部分を含む。表面改変部分は、例えば、粒子を含有する溶媒に曝露される表面改変剤の一部であってもよい。例として、加水分解されたPVAの単位/ブロックは、表面改変剤PVAの表面改変部分であってもよい。別の例では、PEGセグメントは、表面改変剤PEG−PPO−PEGの表面改変部分であってもよい。いくつかの場合において、表面改変部分および/または表面改変剤は、nm
2当たり少なくとも約0.001単位または分子、少なくとも約0.002、少なくとも約0.005、少なくとも約0.01、少なくとも約0.02、少なくとも約0.05、少なくとも約0.1、少なくとも約0.2、少なくとも約0.5、少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約50、nm
2当たり少なくとも約100単位または分子の密度で存在する。いくつかの場合において、表面改変部分および/または表面改変剤は、nm
2当たり少なくとも約100以下の単位または分子、約50以下、約20以下、約10以下、約5以下、約2以下、約1以下、約0.5以下、約0.2以下、約0.1以下、約0.05以下、約0.02以下またはnm
2当たり少なくとも約0.01以下の単位または分子の密度で存在する。上記範囲の組合せ(例えば、nm
2当たり少なくとも約0.01または約1以下の単位または分子)が可能である。他の範囲もまた可能である。いくつかの実施形態では、上述した密度の値は、表面改変剤が溶液中の他の成分と平衡状態にあるように、平均密度であってもよい。
【0193】
本技術分野における当業者は、表面改変部分の平均密度を推定する方法を知っているであろう(例えば、S.J.Budijono et al.,Colloids and Surfaces A:Physicochem.Eng.Aspects 360(2010)105−110およびJoshi, et al.,Anal.Chim.Acta 104(1979)153−160を参照、参照により本明細書に取り込まれる)。例えば、本明細書に記載されるように、表面改変部分の平均濃度は、HPLC定量及びDLS分析を用いて決定され得る。面密度の決定が興味深い粒子の懸濁液はまず、DLSを用いて測定され、小体積は、適当な濃度(例えば〜約100μg/mL)に希釈され、およびz平均直径は、粒子サイズの代表的な測定値として採用される。残りの懸濁液はその後、2つのアリコートに分割される。HPLCを使用して、第一のアリコートは、コア材料の合計濃度のためにおよび表面改変部分の総濃度のためにアッセイされる。再度HPLCを使用して、第二のアリコートは、遊離または非結合表面改変部分の濃度のためにアッセイされる。第二のアリコートから遊離または非結合表面改変部分のみを得るために、粒子および任意の結合表面改変部分は、超遠心分離によって除去される。表面改変部分の総濃度から非結合表面改変部分の濃度を差し引くことによって、結合表面改変部分の濃度が決定され得る。コア材料の総濃度はまた、第一のアリコートから決定されたため、コア材料と表面改変部分との間の質量比が決定され得る。表面改変部分の分子量を使用して、コア材料の質量に対する表面改変部分の数が算出され得る。この数を表面密度測定値とするために、コア材料の質量当たりの表面積を計算する必要がある。粒子の容積は、コア材料の質量当たりの表面積の計算を可能にするDLSから得られた直径を有する球のものと近似される。このように、表面積あたりの表面改変部分の数が決定され得る。
【0194】
特定の実施形態では、本明細書に記載された粒子は、粒子のゼータ電位に影響を与える表面改変部分および/または医薬品を含む。被覆された粒子のゼータ電位は、例えば、少なくとも約−100mV、少なくとも約−75mV、少なくとも約−50mV、少なくとも約−40mV、少なくとも約−30mV、少なくとも約−20mV、少なくとも−10mV、少なくとも約−5mV、少なくとも約5mV、少なくとも約10mV、少なくとも約20mV、少なくとも約30mV、少なくとも約40mV、少なくとも約50mV、少なくとも約75mVまたは少なくとも約100mVであり得る。上記参照範囲の組み合わせが可能である(例えば、少なくとも約−50mVかつ約50mV以下のゼータ電位、)。他の範囲もまた可能である。
【0195】
本明細書に記載の被覆された粒子は、任意の適切な形状および/またはサイズを有し得る。いくつかの実施形態では、被覆された粒子は、コアの形状と実質的に同様の形状を有する。いくつかの場合において、本明細書に記載の被覆された粒子はナノ粒子であってもよく、すなわち、粒子は、約1マイクロメートル未満の特徴的な寸法を有し、粒子の特徴的な寸法は、粒子と同じ体積を有する完全な球の直径である。他の実施形態では、より大きいサイズが可能である(例えば、約1−10ミクロン)。複数の粒子はまた、いくつかの実施形態では、平均サイズ(例えば、平均最大断面寸法、または複数の粒子の平均最小断面寸法)によって特徴付けられ得る。複数の粒子は、例えば、約10μm以下、約5μm以下、約1μm以下、約800nm以下、約700nm以下、約500nm以下、約400nm以下、約300nm以下、約200nm以下、約100nm以下、約75nm以下、約50nm以下、約40nm以下、約35nm以下、約30nm以下、約25nm以下、約20nm以下、約15nm以下または約5nm以下の平均サイズを有し得る。いくつかの場合において、複数の粒子は、少なくとも約5μm、少なくとも約20μm、少なくとも約50μm、少なくとも約100μm、少なくとも約200μm、少なくとも約300μm、少なくとも約400μm、少なくとも約500μm、少なくとも約1μm、少なくとも約5μmの平均サイズを有し得る。上記参照範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約50nmかつ約500nm以下の平均サイズ)。一実施形態では、複数の粒子は、約100nmと500nmとの間、200nmと500nmとの間、200nmと400nmとの間、または200nmと300nmとの間の平均サイズを有する。他の範囲もまた可能である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法により形成されたコアのサイズは、ガウス型分布を有する。
【0196】
医薬品
いくつかの実施形態において、被覆された粒子は、少なくとも1つの医薬品を含む。医薬品は、本発明のコアにおいて存在し得、および/または粒子の被覆において存在し得る(例えば、コアおよび/または被覆全体に分散される)。いくつかの場合において、医薬品は、粒子の表面上(例えば、被覆の外表面上、被覆の内側面、コアの表面上)に配置され得る。医薬品は、一般的に知られている技術(例えば、被覆、吸着、共有結合、カプセル化、または他のプロセスによって)を使用して、粒子内に含まれ、および/または粒子の一部に配置され得る。いくつかの場合において、医薬品は、粒子の被覆前または被覆中、粒子のコア中に存在してもよい。いくつかの場合において、医薬品は、本明細書に記載されるように、粒子のコアの形成中に存在する。
【0197】
医薬品の非限定的な例は、造影剤、診断薬、治療薬、検出可能な標識を有する医薬品、核酸、核酸アナログ、低分子、ペプチド模倣物、タンパク質、ペプチド、脂質、ワクチン、ウイルスベクター、ウイルスおよび界面活性剤を含む。
【0198】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の粒子中に含まれる医薬品は、標的とされる粘膜組織において治療、診断またはイメージング効果を有する。粘膜組織の非限定的な例は、経口(例えば、口腔および食道膜および扁桃表面を含む)、眼、胃腸管(例えば、胃、小腸、大腸、結腸、直腸を含む)、鼻、呼吸器(例えば、鼻腔、咽頭、気管、気管支膜を含む)および生殖器(例えば、膣、子宮頸部および尿道膜)組織を含む。
【0199】
任意の適切な数の医薬品は、本明細書に記載の粒子において存在し得る。例えば、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又はそれ以上が、しかし一般に10未満の医薬品が、本明細書に記載の粒子において存在し得る。
【0200】
粘膜付着性である複数の薬剤が当該技術分野で知られており、本明細書に記載の粒子における医薬品として使用され得る(例えば、Khanvilkar K,Donovan MD,Flanagan DR, Drug transfer through mucus,Advanced Drug Delivery Reviews 48(2001)173−193;Bhat PG,Flanagan DR,Donovan MD. Drug diffusion through cystic fibrotic mucus:steady−state permeation,rheologic properties,and glycoprotein morphology,J Pharm Sci,1996 Jun;85(6):624−30を参照)。医薬品のさらなる非限定的な例は、イメージングおよび診断薬(放射線不透過性物質、標識抗体、標識された核酸プローブ、着色または蛍光色素といった色素など)ならびにアジュバント(放射線増感剤、トランスフェクション促進剤、走化性物質および化学誘引物質、細胞接着及び/又は細胞移動を調節するペプチド、細胞透過化剤、ワクチン増強剤、多剤耐性および/または排出ポンプの阻害剤など)を含む。
【0201】
追加できる医薬品の非限定的例として、パゾパニブ、ソラフェニブ、ラパティニブ、フルオシノロンアセトニド、セマキサニブ、アキシチニブ、チボザニブ、セジラニブ、リニファニブ、レゴラフェニブ、テラチニブ、バタラニブ、MGCD−265、OSI−930、KRN−633、ビマトプロスト、ラタノプロスト、イラボプロスト、アロキシピリン、オーラノフィン、アザプロパゾン、ベノリラート、ジフルニサル、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェンカルシウム、フルルビプロフェン、フロセミド、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、エタボン酸ロテプレドノール、ブロムフェナクベリリウム、ブロムフェナクマグネシウム、ブロムフェナクカルシウム、ブロムフェナクストロンチウム、ブロムフェナクバリウム、ブロムフェナク亜鉛、ブロムフェナク銅(II)、ジクロフェナク遊離酸、ジクロフェナクベリリウム、ジクロフェナクマグネシウム、ジクロフェナクカルシウム、ジクロフェナクストロンチウム、ジクロフェナクバリウム、ジクロフェナク亜鉛、ジクロフェナク銅(II)、ケトロラク遊離酸、ケトロラクベリリウム、ケトロラクマグネシウム、ケトロラクカルシウム、ケトロラクストロンチウム、ケトロラクバリウム、ケトロラク亜鉛、ケトロラク銅(II)、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、アルベンダゾール、ベフェニウムヒドロキシナフトエート、カンベンダゾール、ジクロロフェン、イベルメクチン、メベンダゾール、オキサムニキン、オクスフェンダゾール、オキサンテルエンボネート、プラジカンテル、ピランテルエンボネート、チアベンダゾール、アミオダロンHCl、ジソピラミド、酢酸フレカイニド、硫酸キニジンがある。抗菌剤:ベネタミンペニシリン、シノキサシン、シプロフロキサシンHCl、クラリスロマイシン、クロファジミン、クロキサシリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、エチオナミド、イミペネム、ナリジクス酸、ニトロフラントイン、リファンピシン、スピラマイシン、スルファベンズアミド、スルファドキシン、スルファメラジン、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファフラゾール、スルファメトキサゾール、スルファピリジン、テトラサイクリン、トリメトプリム、ジクマロール、ジピリダモール、ニクマロン、フェニンジオン、アモキサピン、マプロチリンHCl、ミアンセリンHCL、ノルトリプチリンHCl、トラゾドンHCL、トリミプラミンマレート、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、グリベンクラミド、グリクラジド、グリピジド、トラザミド、トルブタミド、ベクラミド、カルバマゼピン、クロマゼパム、エトイン、メトイン、メトスクシミド、メチルフェノバルビトン、オキスカルバゼピン、パラメタジオン、フェナセミド、フェノバルビトン、フェニトイン、フェンスクシミド、プリミドン、スルチアメ、バルプロン酸、アンホテリシン、ブトコナゾールニトラート、クロトリマゾール、エコナゾールニトラート、フルコナゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナタマイシン、ナイスタチン、スルコナゾールニトラート、テルビナフィンHCl、テルコナゾール、チオコナゾール、ウンデセン酸、アロプリノール、プロベネシド、スルフィンピラゾン、アムロジピン、ベニジピン、ダロジピン、ジルチアゼムHCl、ジアゾキシド、フェロジピン、グアナベンズ酢酸塩、イスラジピン、ミノキシジル、ニカルジビンHCl、ニフェジピン、ニモジピン、フェノキシベンザミンHCl、プラゾシンHCL、レセルピン、テラゾシンHCL、アモジアキン、クロロキン、クロルプログアニルHCl、ハロファントリンHCl、メフロキンHCl、ログアニルHCl、ピリメタミン、硫酸キニーネ、メシル酸ジヒドロエルゴタミン、酒石酸エルゴタミン、マレイン酸メチセルギド、マレイン酸ピゾチフェン、コハク酸スマトリプタン、アトロピン、ベンズヘキソールHCl、ビペリデン、エトプロパジンHCl、ヒヨスチアミン、臭化メペンゾラート、オキシフェンサイクリミンHCl、トロピカミド、アミノグルテチミド、アムサクリン、アザチオプリン、ブスルファン、クロラムブシル、シクロスポリン、ダカルバジン、エストラムスチン、エトポシド、ロムスチン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、プロカルバジンHCl、クエン酸タモキシフェン、テストラクトン、ベンズニダゾール、クリオキノール、デコキネート、ジヨードヒドロキシキノリン、ジロキサニドフロエート、ジニトルミド、フラゾリドン、メトロニダゾール、ニモラゾール、ニトロフラゾン、オルニダゾール、チニダゾール、カルビマゾール、プロピルチオウラシル、アルプラゾラム、アミロバルビトン、バルビトン、ベンタゼパム、ブロマゼパム、ブロムペリドール、ブロチゾラム、ブトバルビトン、カルブロマール、クロルジアゼポキシド、クロルメチアゾール、クロルプロマジン、クロバザム、クロチアゼパム、クロザピン、ジアゼパム、ドロペリドール、エチナメート、イルナニソン、フルニトラゼパム、フルオプロマジン、フルペンチキソールデカノエート、フルフェナジンデカノエート、フルラゼパム、ハロペリドール、ロラゼパム、ロルメタゼパム、メダゼパム、メプロバメート、メタカロン、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、ペントバルビトン、フェノチアジンピモジド、プロクロルペラジン、スルピリド、テマゼパム、チオリダジン、トリアゾラム、ゾピクロン、アセブトロール、アルプレノロール、アテノロール、ラベタロール、メトプロロール、ナドロール、オクスプレノロール、ピンドロール、プロプラノロール、アムリノン、ジギトキシン、ジゴキシン、エノキシモン、ラナトシドC、メジゴキシン、ベクロメタゾン、ベタメサゾン、ブデソニド、酢酸コーチゾン、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、酢酸フルドロコーチゾン、フルニソリド、フルコルトロン、フルチカゾンプロピオネート、ハイドロコーチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、アセタゾラミド、アミロライド、ベンドロフルアジド、ブメタニド、クロロチアジド、クロルタリドン、エタクリン酸、フルセミド、メトラゾン、スピロノラクトン、トリアムテレン、ブロモクリプチンメシラート、リスライドマレート、ビサコジル、シメチジン、シサプリド、ジフェノキシレートHC1、ドンペリドン、ファモチジン、ロペラミド、メサラジン、ニザチジン、オメプラゾール、オンダンセトロンHCL、ラニチジンHC1、スルファサラジン、アクリバスチン、アステミゾール、シンナリジン、サイクリジン、シプロヘプタジンHC1、ジメンヒドリナート、フルナリジンHC1、ロラタジン、メクロジンHC1、オキサトミド、テルフェナジン、ベザフィブラート、クロフィブラート、フェノフィブラート、ゲンフィブロジル、プロブコール、アミルニトラート、グリセリルトリニトラート、イソソルビドジニトラート、イソソルビドモノニトラート、ペンタエリスリトールテトラニトラート、ベータカロテン、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、コデイン、デキストロプロピオキシフェン、ジアモルフィン、ジヒドロコデイン、メプタジノール、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、ペンタゾシン、クロミフェンシトラート、ダナゾール、エチニルエストラジオール、メドロキシプロゲステロンアセタート、メストラノール、メチルテストステロン、ノルエチステロン、ノルゲストレル、エストラジオール、結合型エストロジェン、プロゲステロン、スタノゾロール、スチルベストロール、テストステロン、チボロン、アンフェタミン、デキサアンフェタミン、デキサフェンフルラミン、フェンフルラミン、およびマジンドール。
【0202】
用途および医薬組成物
本明細書記載の粒子は、任意の適切な用途で使用することができる。ある場合に、この粒子は医薬組成物の一部であり(例えば、本明細書に記載されるように)、例えば粘液や粘膜面へまたはこれらを介して医薬品(例えば、薬剤、治療薬、診断用薬、造影剤)を送達するために使用される。医薬組成物は、少なくとも本明細書記載の粒子および1以上の薬学的に許容可能な添加物または担体を含むことができる。この組成物は、治療、予防、及び/又は被験者の診断に使用でき、その方法は被験者に当該医薬組成物を投与することを含む。本明細書記載の物および方法で治療される患者または被験者は、霊長類、哺乳類、脊椎動物などの、ヒトまたは非ヒト動物のいずれかを意味する。
【0203】
被験者を治療する方法は、病気、疾患、またはこの病気や疾患に掛ったかもしれず、及び/又はまだそうであると診断されていない被験者に生じる体調を予防すること;この病気、疾患または体調を抑制し、例えばその進行を遅延させること;およびこの病気、疾患または体調を軽減し、例えばこの病気、疾患、及び/又は体調を退行させることを含む。病気や体調の治療には、特定の病気または体調の少なくとも1の症状の改善があり、根本的な病態生理に影響を与えない場合でもあってもよい(例えば、疼痛の原因を治療しない鎮痛薬の投与による被験者の疼痛の治療)。
【0204】
いくつかの実施態様において、本明細書記載の医薬組成物は、被験者の粘膜面に送達されおよび被験者の粘膜関門(例えば、粘液)を通過し、及び/又は保持時間の延長及び/又は、例えば粘膜接着の低減によって粘膜面への粒子の均一分布の増加を示す。粘膜組織の非限定的例として、口(例えば、口腔および食道膜および扁桃表面を含む)、眼、胃腸(例えば、胃、小腸、大腸、結腸、直腸を含む)、鼻、呼吸器(例えば、鼻、咽頭、気管および気管支膜を含む)、生殖器(例えば、膣、頸部および尿道膜を含む)がある。
【0205】
本明細書記載の医薬組成物およびこの製品と本明細書記載の方法の使用は、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を含むことができる。薬学的に許容可能な賦形剤または薬学的に許容可能な担体には、無毒性、不活固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、封入材料、または適切な製剤補助剤がある。薬学的に許容可能な担体として使用できるものには、ラクトース、グルコース、スクロースなどの糖類;コーンスターチ、馬鈴薯デンプンなどのスターチ類;セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよびアセチルセルロースなどのセルロース誘導体;トラガカント粉末;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび座薬ワックスなどの賦形剤;ピーナツ油、綿実油などのオイル類;サフラワーオイル;ゴマ油;オリーブ油;コーン油および大豆油;プロピレングリコールなどのグリコール類;オレイン酸エチルやラウリン酸エチルなどのエステル類;寒天;Tween80などの界面活性剤;水酸化マグネシウムや水酸化マグネシウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;およびリン酸緩衝液、並びにラウリル硫酸ナトリウムやステアリン酸マグネシウムなどの非毒性の互換可能な滑沢剤があり、並びに着色剤、離形剤、塗工剤、甘味剤、矯味、調香剤、保存剤および抗酸化剤は、製剤者の判断に従って本組成物に存在してもよい。当業者によって理解されるように、賦形剤は以下に記載される投与ルート、送達される医薬品、医薬送達の時間的経過等に基づいて選択される。
【0206】
本明細書記載の粒子を含む医薬組成物は、被験者に当該分野で公知のいかなるルートで投与されてもよい。これらには、これに限定されるものでないが、経口、舌下、経鼻、皮内、皮下、筋肉内、直腸内、膣内、静脈内、動脈内、嚢内、腹腔内、硝子体内、眼周囲、局所(散剤、クリーム、軟膏、または点眼薬)、口腔および吸入投与がある。いくつかの実施態様において、本明細書記載の組成物は、非経口的に、注射(静注、筋中、または皮下注)、点眼製剤または坐剤として投与されてもよい。当業者によって理解されるように、投与経路および生物学的効果が得られる効果的な投与量は、投与された薬剤、標的臓器、投与製剤、投与の時間的経過、疾患、使用の目的等によって定められる。
【0207】
例として、この粒子は経鼻スプレーとして調製された医薬組成物に含まれ、この医薬組成物は鼻粘膜層を経て送達される。別の例として、この粒子は吸入剤として調製された医薬組成物に含まれ、この医薬組成物は肺粘膜層を経て送達される。別の例として、組成物が経口投与される場合、錠剤、カプセル、顆粒、散剤、シロップ剤に調製されてもよい。同様に、この粒子は、目、胃腸、経鼻、吸入、直腸、尿道及び/又は膣組織を経て送達される医薬組成物に含まれるものであってもよい。
【0208】
眼の粘膜組織経由の用途として、主題の組成物は点眼液または眼軟膏剤として調製される。これらの製剤は通常の方法で調製され、所望される場合、当該組成物は、緩衝またはpH調整剤、浸透圧調整剤、粘度改良剤、懸濁安定剤、保存剤、および他の薬学的賦形剤等の公知の添加剤と混合されてもよい。加えて、ある実施態様において、本明細書記載の主題の組成物は、透析され、またはスプレードライなどの別の適切な乾燥技術を受けてもよい。
【0209】
いくつかの実施態様において、吸入またはエアゾール製剤で投与される本明細書記載の粒子は、補助剤、診断薬、造影剤などの1以上の医薬品、または吸入療法で有用な治療剤を含む。この粒子薬剤の粒子サイズは、エアゾール製剤の投与によって肺に実質的に全薬剤が吸入されるものでなければならず、例えば20ミクロン未満であり、約1から約10ミクロンの範囲、例えば約1から約5ミクロンであり、他の範囲も可能である。この薬剤の粒子サイズは、製粉やマイクロ化などの従来の方法で減じることができる。別法として、この粒子薬剤は、懸濁液の噴霧を介して肺へ投与することができる。最終エアゾール製剤は、製剤の総重量に対して薬剤を、例えば、0.005−90%w/w、0.005−50%、0.005−10%、0.005−5%w/w、または0.01−1.0%w/wの間で含むことができる。他の範囲であってもよい。
【0210】
好ましくは、決して要求されるものでないが、本明細書記載の製剤は、成層圏のオゾン分解を引き起こす成分を含まない。特に、いくつかの実施態様において、噴射剤はCCl
3F、CCl
2F
2、およびCF
3CCl
3などのクロロフルオロカーボン類を含まない。
【0211】
エアゾールは、噴射剤を含むことができる。この噴射剤は、噴射剤より高沸点及び/又は高極性の補助剤を追加的に含んでもよい。使用される極性補助剤には、エタノール、イソプロパノールおよびプロピレングリコールなどの脂肪族アルコール類やポリオール類(例えば、炭素数2〜6)があり、好ましくはエタノールである。一般に、少量の極性補助剤(例えば、0.05−3.0%w/w)は、分散液の安定性改良に要求され、5%w/wを超える量の使用は医薬を溶解する傾向がある。本明細書記載の実施態様の製剤は、1%w/w未満、例えば0.1%w/wの極性補助剤を含んでもよい。しかしながら、本明細書記載の製剤は、実質的に極性補助剤、特にエタノールを含まなくてもよい。適切な揮発性補助剤は、プロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタンおよびイソペンタンなどの飽和炭化水素、およびジメチルエーテルなどのアルキルエーテルである。一般に、噴射剤の50%w/wまで揮発性補助剤を含むことができ、例えば、揮発性の炭素数1〜6の飽和炭化水素を30%w/w含んでもよい。更に、本発明のエアゾール製剤は、1以上の界面活性剤を含んでいてもよい。この界面活性剤は、吸入投与において生理学的に許容可能なものである。この分野の界面活性剤には、L−α−ホフファチジルコリン(PC)、1,2−ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、オレイン酸、トリオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノオレイン酸ソルビタン、天然レシチン、オレイルポリオキシエチレンエーテル、ステアリルポリオキシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック共重合体、合成レシチン、ジオレイン酸ジエチレングリコール、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、モノオレイン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセロール、モノリシノール酸グリセロール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、プロピレングリコール400、セチル塩化ピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、オリーブ油、モノラルリン酸グリセロール、コーン油、綿実油、およびヒマワリ油がある。
【0212】
本明細書記載の製剤は、例えば超音波処理により、好適な容器に入れた噴射剤及び/又は補助噴射剤にこの粒子を分散させて調製することができる。この粒子は補助噴射剤中で懸濁され、および適切な容器に充填される。容器のバルブを所定の位置に密封し、噴射剤を加圧充填によってバルブを介して通常の方法で導入する。この粒子は液化した噴射剤中に懸濁または分散され、計量弁付きの容器内に密封され、および作動装置に装着される。このような定量吸入器は公知である。計量弁は、10から500μL、好ましくは25から150μLを定量するものである。ある実施態様において、散布は、粒子(乾燥粉末のまま)用の吸入具(例えば、スピンヘラー)を用いて行うことができる。他の実施態様において、ナノスフェアーは水性流体中に懸濁され、および、肺にエアゾール投与される微細液滴内に霧状化されてもよい。
【0213】
超音波噴霧器は、粒子を分解する薬剤のせん断が最小であるために使用される。通常、水性エアゾールは、粒子の水性溶液または懸濁液と通常の薬学的に許容可能な担体および安定剤との形成によって調製される。担体および安定剤はその組成物に応じて異なり、一般には非イオン界面活性剤(Tween類、Pluronic(登録商標)、またはポリエチレングリコール)、アルブミンなどの無害なタンパク質、ソルビタンエステル、オレイン酸、レシチン、グリシンなどのアミノ酸、緩衝剤、塩類、糖類または糖アルコール類である。エアゾールは、一般に等張液で調製される。
【0214】
経口投与用の液剤形態は、薬学的に許容可能な乳剤、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ、エリキシル類を含む。液剤形態は、活性成分(いわゆる、マイクロ粒子、ナノ粒子、リポソーム、ミセル、ポリヌクレオチド/脂肪複合体)に加えて、当該分野で一般的に使用される不活性な希釈剤、例えば水または他の溶媒、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、オイル類(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよび大豆油の脂肪酸エステル、およびこれらの混合物などの溶解剤や乳化剤を含むことができる。不活性な希釈剤に加えて、経口用組成物は、湿性剤、乳化および懸濁剤、甘味料、矯味および矯臭剤などの補助剤を含むことができる。
【0215】
注射用製剤、例えば水性または油性懸濁の滅菌注射剤は、適切な分散または湿性剤、および懸濁剤を用いて公知の方法で調製することができる。滅菌注射用製剤は、無毒かつ非経口的に許容可能な希釈剤または溶剤による滅菌注射用溶液、懸濁液または乳液であり、例えば1,3−ブタンジオールの溶液である。使用可能な許容される媒体および溶媒には、水、リンゲル液、U.S.Pおよび等張塩化ナトリウム液がある。加えて、滅菌、不揮発性油は、通常、溶媒、懸濁媒体として使用される。この目的のため任意の無刺激の不揮発性油は、合成モノまたはジグリセリド類を含み、使用される。加えて、オレイン酸などの脂肪酸が注射剤の調製に使用される。ある実施態様において、粒子は、1%(w/v)のカルボキシメチルセルロースナトリウムと0.1%(v/v)のTween80を含む担体流体中で懸濁される。
【0216】
注射用製剤は、例えば微生物保持フィルターでろ過し、または使用前に滅菌水や他の滅菌注射用媒体に溶解または分散される滅菌固形組成物の形態に滅菌剤を取り込むことで滅菌される。
【0217】
直腸または膣投与用組成物は、粒子を、ココアバター、プロピレングリコールまたは、大気温度で固形であるが体温で液体となり直腸や膣で溶解しこの粒子を放出する坐剤用ワックスなどの好適な非刺激性の賦形剤や担体と混合して調製される坐剤類であってもよい。
【0218】
経口投与用の固形剤形は、カプセル、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤である。このような固形剤形において、粒子は少なくとも不活性な薬学的に許容可能な賦形剤または担体、例えばクエン酸ナトリウムまたはリン酸ジカルシウムなど、及び/又はa)充填剤または増量剤、例えばスターチ、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸など、b)バインダー、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゲラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアカシアなど、c)保湿剤、例えばグリセロールなど、d)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、馬鈴薯またはタピオカデンプン、アルギン酸、ケイ酸塩および炭酸ナトリウムなど、e)溶液遅延剤、例えばパラフィンなど、f)吸収促進剤、例えば第4級アンモニウム化合物など、g)湿性剤、例えば、セチルアルコールやモノステアリン酸グリセロールなど、h)吸収剤、例えばカオリンやベントナイトなど、およびi)滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物などと混合される。カプセル、錠剤、および丸剤の場合、製剤は緩衝剤を含んでいてもよい。
【0219】
類似のタイプの固形組成物は、ラクトース又は乳糖並びに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を用い、軟及び硬質充填ゼラチンカプセル剤の充填剤として使用されてもよい。
【0220】
錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤および顆粒などの固形剤形は、腸溶コーティングなどのコーティングやシェラック加工、および製剤の分野で公知の他のコーティングで調製することができる。これらの組成物は任意に不透明化剤(乳白剤)を含んでもよいし、また活性成分(単数又は複数)を単に又は優先的に胃腸管の特定部分に、任意に遅延型様式で放出する組成物であってもよい。使用できる包埋組成物として、ポリマー物質やワックスがある。
【0221】
類似のタイプの固形組成物は、ラクトース又は乳糖並びに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を用い、軟及び硬質充填ゼラチンカプセルの充填剤として使用されてもよい。
【0222】
本発明の医薬組成物の局所または経皮投与用の剤形として、軟膏剤、ペースト、クリーム、ゲル、散剤、溶液剤、スプレー剤、吸入剤および貼付剤がある。この粒子は、薬学的に許容可能な担体および必要とされる保存剤または緩衝剤と無菌条件下に、必要に応じて混合される。眼科用製剤、点耳薬、および点眼薬も、本発明の範囲である。
【0223】
軟膏、ペースト、クリーム、およびゲルは、本明細書記載の粒子に加え、動物脂、植物油、オイル、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、亜鉛酸化物、またはそれらの混合物などの賦形剤を含んでもよい。
【0224】
散剤およびスプレー剤は、本明細書記載の粒子に加え、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、カルシウムシリケート、ポリアミド粉末、またはこれら物質の混合物などの賦形剤を含んでもよい。スプレー剤はさらに、クロロフルオロヒドロキシカーボンなどの通常の噴射剤を含むことができる。
【0225】
経皮パッチ剤は、身体へ化合物を制御的に送達するというさらなる利点を有する。このような剤形は、適切な媒体にこのマイクロ粒子またはナノ粒子を溶解または分散して製造することができる。吸収増強剤は、皮膚を横切る化合物の流動を増大させるために使用することができる。このような流動速度は、速度制御膜を備えるか又はポリマーマトリクスもしくはゲル中にこの粒子を分散するかのいずれかによって制御できる。
【0226】
医薬品を含む本明細書記載の粒子は、診断、予防、または治療的処置の一部として、取り込まれた医薬品の治療的有効量を被験者に送達するために十分な量で送達されるべき被験者に投与される。一般的に、医薬品または成分の有効量は、所望の生物学的応答を誘発する必要量である。粒子中の医薬品の所望の濃度は、多くの要素に依存し、これに限定されるものではないが、吸収、不活性化、および薬剤の排泄速度、並びに対象組成物からの化合物の送達速度、所望の生物学的エンドポイント、送達される薬剤、標的組織等がある。投与量は、緩和すべき状態の重症度によって変化することに留意すべきである。さらに、任意の特定の被験者に関し、特別な投与計画は、個々の必要性および投薬人または組成物の投与を監督する人の専門的判断に従って経時的に調整されるべきである。一般に、投与は、当業者に公知の技術を用いて決定される。
【0227】
被験者に投与される医薬品の濃度及び/又は量は、当業者が容易に決定することができる。既知の方法は、局所組織濃度、粒子からの拡散速度および治療製剤の投与前後の局所血流の分析に利用できる。
【0228】
本明細書記載の組成物及び/又は製剤は、任意の適切な浸透圧を有してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書記載の組成物及び/又は製剤は、少なくとも約0ミリオスモル毎リットル、少なくとも約5ミリオスモル毎リットル、少なくとも約25ミリオスモル毎リットル、少なくとも約50ミリオスモル毎リットル、少なくとも約75ミリオスモル毎リットル、少なくとも約100ミリオスモル毎リットル、少なくとも約150ミリオスモル毎リットル、少なくとも約200ミリオスモル毎リットル、少なくとも約250ミリオスモル毎リットル、または少なくとも約310ミリオスモル毎リットルの浸透圧を有してもよい。ある実施形態において、本明細書記載の組成物及び/又は製剤は、少なくとも約310ミリオスモル毎リットル以下、約250ミリオスモル毎リットル以下、約200ミリオスモル毎リットル以下、約150ミリオスモル毎リットル以下、約100ミリオスモル毎リットル以下、約75ミリオスモル以下/L、約50ミリオスモル以下/L、以下、約25ミリオスモル毎リットル、または約5ミリオスモル毎リットル以下の浸透圧を有してもよい。上記参照範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約0ミリオスモル毎リットルの浸透圧、および約50ミリオスモル毎リットル以下)。他の範囲であってもよい。組成物及び/又は製剤の浸透圧は、例えば、組成物及び/又は製剤の溶媒中に存在する塩の濃度を変えることで変化させることができる。
【0229】
1組の実施形態において、組成物及び/又は製剤はコア材料を含み、エタボン酸ロテプレドノール、ソラフェニブ、リニファニブ、MGCD−265、パゾパニブ、セジラニブ、アキシチニブ、ブロムフェナクカルシウム、ジクロフェナク(例えば、ジクロフェナク遊離酸、またはそれらの二価または三価金属塩)、ケトロラク(例えば、ケトロラク遊離酸、またはそれらの二価または三価金属塩)などの薬剤、または本明細書記載の他の適切な薬剤を含む。いくつかの実施形態において、組成物及び/又は製剤中に存在する1以上の表面改変剤(例えば、Pluronic(登録商標)F127)の重量に対する薬剤の重量比は、約1:100以上であり、約1:30以上、約1:10以上、約1:3以上、約1:1以上、約3:1以上、約10:1以上、約30:1以上、約100:1以上である。いくつかの実施形態では、組成物中及び/又は製剤中に存在する1以上の表面改変剤の重量に対する薬剤の重量比は、約100:1以下、約30:1以下、約10:1以下、約3:1以下、約1:1以下、約1:3以下、約1:10以下、約1:30以下、約1:100以下である。上記範囲の組合せが可能である(例えば、約1:1以上および約10:1以下)。他の範囲であってもよい。ある実施形態では、比率は約1:1である。ある実施形態においては、比率は約2:1である。ある実施形態では、比率は約10:1である。
【0230】
いくつかの実施形態では、組成物及び/又は製剤は、本明細書記載の製剤工程及び/又は希釈工程の間、上記した1以上の表面改変剤の重量に対する薬物の重量比の範囲を含むことができる。ある実施形態では、組成物及び/又は製剤は、最終生成物に、前記1以上の表面改変剤の重量に対する薬物の重量比の範囲を含むことができる。
【0231】
医薬品は、任意の適切な量で組成物及び/又は製剤中に存在してもよく、例えば、組成物及び/又は製剤の少なくとも約0.01重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%である。いくつかの場合に、医薬品は組成物及び/又は製剤中に、約30重量%以下、約20重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、約2重量%以下、または約1重量%以下で含まれてもよい。上記参照範囲の組合せも可能である(例えば、少なくとも約0.1重量%および約10重量%以下の量で存在)。他の範囲であってもよい。ある実施形態では、医薬品は組成物及び/又は製剤の約0.1−2重量%である。ある実施形態では、医薬品は組成物及び/又は製剤の約2−20重量%である。ある実施形態では、医薬品は組成物及び/又は製剤の約0.2重量%である。ある実施形態では、医薬品は組成物及び/又は製剤の約0.4重量%である。ある実施形態では、医薬品は組成物及び/又は製剤の約1重量%である。ある実施形態では、医薬品は組成物及び/又は製剤の約2重量%である。ある実施形態では、医薬品は組成物及び/又は製剤の約5重量%である。ある実施形態では、医薬品は組成物及び/又は製剤の約10重量%である。
【0232】
1組の実施形態において、組成物及び/又は製剤は、1以上のキレート剤を含む。本明細書で使用されるキレート剤は、金属イオンと反応し、1以上の結合を介して複合体を形成しうる化合物を意味する。1以上の結合は、典型的にはイオンまたは配位結合である。キレート剤は、無機または有機の化合物であってもよい。ある化学反応(例えば、酸化反応)を触媒しうる金属イオンは、キレート化合物に結合して複合体を形成する際に、触媒活性を消失する場合がある。それゆえキレート剤は、金属イオンと結合するときに保存特性を示すことができる。保存特性を有する適切なキレート剤として、ホスホン酸類、アミノカルボン酸類、ヒドロキシカルボン酸類、ポリアミン類、アミノアルコール類、および高分子キレート剤を使用することができる。キレート剤の具体例として、これに限定されるものではないが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、テトラホウ酸塩、トリエチルアミンジアミン、これらの塩および誘導体がある。ある実施形態において、キレート剤はEDTAである。ある実施形態において、キレート剤は、EDTAの塩である。ある実施形態において、キレート剤は、EDTA二ナトリウムである。
【0233】
キレート剤は、本明細書記載のコーティングされた粒子を含む組成物及び/又は製剤に適切な濃度で存在する。ある実施形態では、キレート剤の濃度は約0.0003重量%以上、約0.001重量%以上、約0.003重量%以上、約0.01重量%以上、約0.03重量%以上、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.3重量%以上、約1重量%以上、約3重量%以上である。ある実施態様では、キレート剤の濃度は約3重量%以下、約1重量%以下、約0.3重量%以下、約0.1重量%以下、約0.05重量%以下、約0.03重量%以下、約0.01重量%以下、約0.003重量%以下、約0.001重量%以下、約0.0003重量%以下である。上記範囲の組合せが可能である(例えば、約0.01重量%以上および約0.3重量%以下の濃度)。他の範囲であってもよい。ある実施形態では、キレート剤の濃度は約0.001−0.1重量%である。ある実施形態では、キレート剤の濃度は約0.005重量%である。ある実施形態では、キレート剤の濃度は約0.01重量%である。ある実施形態では、キレート剤の濃度は約0.05重量%である。ある実施形態では、キレート剤の濃度は約0.1重量%である。
【0234】
いくつかの実施形態において、キレート剤は本明細書記載の製剤工程及び/又は希釈工程の間、上記範囲の1以上で組成物及び/又は製剤に存在してもよい。ある実施形態において、キレート剤は最終生成物中に上記範囲の1以上で組成物及び/又は製剤中に存在してもよい。
【0235】
いくつかの実施形態において、抗菌剤は本明細書記載のコーティングされた粒子を含む組成物及び/又は製剤に含まれてもよい。本明細書で使用される抗菌剤は、細菌、微生物(microbes)、真菌、ウイルス、胞子、酵母、カビ、及び一般に感染症に関連するその他の微生物(microorganisms)を阻害し、予防し、またはこれら微生物に対する保護に効果的な生物活性剤を意味する。抗菌剤の例としてセファロスポリン類、クリンダマイシン、クロラムフェニコール、カルバペネム類、ミノサイクリン類、リファンピン、ペニシリン類、モノバクタム類、キノロン類、テトラサイクリン、マクロライド類、サルファ抗生物質類、トリメトプリン、フシジン酸、アミノグリコシド類、アンホテリシンB、アゾール類、フルシトシン、シロフンギン、殺菌性ニトロフラン化合物、金属銀または約2.5重量%の銅を含む銀合金のナノ粒子、クエン酸銀、酢酸銀、安息香酸銀、ビスマスピリチオン、亜鉛ピリチオン、亜鉛過炭酸塩類、亜鉛過ホウ酸塩類、ビスマス塩類、パラベン類(例えば、メチル−、エチル−、プロピル−、ブチル−、およびオクチル−安息香酸エステル)、クエン酸、塩化ベンザルコニウム(BAG)、リファマイシン、及び過炭酸ナトリウムがある。
【0236】
抗菌剤は、本明細書記載のコーティングされた粒子を含む組成物及び/又は製剤の中に適当な濃度で存在することができる。ある実施形態では、抗菌剤の濃度は約0.0003重量%以上、約0.001重量%以上、約0.003重量%以上、約0.01重量%以上、約0.03重量%以上、約0.1重量%以上、約0.3重量%以上、約1重量%以上、約3重量%以上である。ある実施形態では、抗菌剤の濃度は約3重量%以下、約1重量%以下、約0.3重量%以下、約0.1重量%以下、約0.03重量%以下、約0.01重量%以下、約0.003重量%以下、約0.001重量%以下、または約0.0003重量%以下である。上記範囲の組合せが可能である(例えば、約0.001重量%以上、および約0.1重量%以下の濃度)。他の範囲であってもよい。ある実施形態では、抗菌剤の濃度は約0.001−0.05重量%である。ある実施形態では、抗菌剤の濃度は約0.002重量%である。ある実施形態では、抗菌剤の濃度は約0.005重量%である。ある実施形態では、抗菌剤の濃度は約0.01重量%である。ある実施形態では、抗菌剤の濃度は約0.02重量%である。ある実施形態では、抗菌剤の濃度は約0.05重量%である。
【0237】
いくつかの実施形態において、抗菌剤は本明細書記載の製剤工程及び/又は希釈工程の間、上記範囲の1以上の範囲で組成物及び/又は製剤中に存在してもよい。ある実施形態において抗菌剤は、最終生成物中に上記範囲の1以上で組成物及び/又は製剤に存在してもよい。
【0238】
いくつかの実施形態において、等張化剤は本明細書記載のコーティングされた粒子を含む組成物及び/又は製剤に含まれてもよい。本明細書で使用される等張化剤とは、所望の浸透圧の範囲に製剤の組成を調整するために使用される化合物または物質を意味する。ある実施形態では、所望の浸透圧範囲は血液と等張である。ある実施形態では、所望の浸透圧値は低張性である。ある実施形態では、所望の浸透圧範囲は高張性である。等張化剤の例として、グリセリン、ラクトース、マンニトール、デキストロース、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、ソルビトール、クエン酸緩衝液(SSC)などがある。ある実施形態では、1以上の等張化剤の組み合わせを使用することができる。ある実施形態では、等張化剤はグリセリンである。ある実施形態では、等張化剤は塩化ナトリウムである。
【0239】
等張化剤(本明細書に記載の)は、本明細書記載のコーティングされた粒子を含む組成物及び/又は製剤に適切な濃度で存在してもよい。ある実施形態では、等張化剤の濃度は約0.003重量%以上、約0.01重量%以上、約0.03重量%以上、約0.1重量%以上、約0.3重量%以上、約1重量%以上、約3重量%以上、約10重量%以上、約20重量%以上、または約30重量%以上である。ある実施形態では、等張化剤の濃度は約30重量%以下、約10重量%以下、約3重量%以下、約1重量%以下、約0.3重量%以下、約0.1重量%以下、約0.03重量%以下、約0.01重量%以下、または約0.003重量%以下である。上記範囲の組合せが可能である(例えば、約0.1重量%以上、および約10重量%以下の濃度)。他の範囲であってもよい。ある実施形態では、等張化剤の濃度は約0.1−1重量%である。ある実施形態では、等張化剤の濃度は約0.5−3重量%である。ある実施形態では、等張化剤の濃度は約0.25重量%である。ある実施形態では、等張化剤の濃度は約0.45重量%である。ある実施形態では、等張化剤の濃度は約0.9重量%である。ある実施形態では、等張化剤の濃度は約1.2重量%である。ある実施形態では、等張化剤の濃度は約2.4重量%である。ある実施形態では、等張化剤の濃度は約5重量%である。ある実施形態では、等張化剤は約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、または約1.0重量%のグリセリンを含む。
【0240】
いくつかの実施形態では、等張化剤は本明細書記載の製剤工程及び/又は希釈工程で上記範囲の1以上で組成物及び/又は製剤中に存在してもよい。ある実施形態では、等張化剤は最終製品中に上記範囲の1以上の範囲で組成物及び/又は製剤中に存在してもよい。
【0241】
いくつかの実施形態では、本明細書記載の組成物及び/又は製剤は少なくとも約0ミリオスモル毎リットル、少なくとも約5ミリオスモル毎リットル、少なくとも約25ミリオスモル毎リットル、少なくとも約50ミリオスモル毎リットル、少なくとも約75ミリオスモル毎リットル、少なくとも約100ミリオスモル毎リットル、少なくとも約150ミリオスモル毎リットル、少なくとも約200ミリオスモル毎リットル、少なくとも約250ミリオスモル毎リットル、少なくとも、少なくとも約310ミリオスモル毎リットル、または約450ミリオスモル毎リットルの浸透圧を有していてもよい。ある実施形態では、本明細書記載の組成物及び/又は製剤は約450ミリオスモル毎リットル以下、約310ミリオスモル毎リットル以下、約250ミリオスモル毎リットル以下、約200ミリオスモル毎リットル以下、約150ミリオスモル毎リットル以下、約100ミリオスモル毎リットル以下、約75ミリオスモル毎リットル以下、約50ミリオスモル毎リットル以下、約25ミリオスモル毎リットル以下、約5ミリオスモル毎リットル以下の浸透圧を有していてもよい。上記参照範囲の組み合わせも可能である(例えば、浸透圧、少なくとも約0ミリオスモル毎リットルおよび約50ミリオスモル毎リットル以下)。他の範囲であってもよい。
【0242】
粒子を含む製剤のイオン強度が粒子の多分散性に影響を与えることは当技術分野で知られている。多分散性は製剤に含まれる粒子のサイズの不均一性の尺度である。粒子サイズの不均一性は個々の粒子サイズの相違及び/又は製剤中の凝集の存在に起因する。粒子を含む製剤は粒子が同じ大きさ、形状、及び/又は質量を有する場合、実質的に均質または「単分散」と考えられる。大きさ、形状、及び/又は質量が異なる粒子を含む製剤は不均一または「多分散」とみなされる。
【0243】
粒子を含む製剤のイオン強度は粒子のコロイド安定性に影響を及ぼす。例えば、比較的高いイオン強度は製剤粒子が凝集する原因となり、それゆえ製剤を不安定にする場合がある。いくつかの実施形態では、粒子を含む製剤は反発粒子間力により安定化される。例えば、粒子は、電気的または静電的に帯電されてもよい。二つの荷電粒子は相互に反発し、衝突および凝集を防止する。反発粒子間力が弱まり、または引き付けあうようになると、粒子は凝集を開始する。例えば、製剤のイオン強度があるレベルに増加されると、粒子の電荷(例えば、負電荷)が製剤中に存在する反対に荷電したイオン(例えば溶液中のNa+イオン)によって中和される。その結果、粒子は衝突しおよび相互に結合してより大きなサイズの凝集体(例えば、クラスタまたはフロック)を形成する。形成された粒子の凝集体は大きさが異なり、これにより製剤の多分散性が増す。例えば、類似するサイズの粒子を含む製剤は、製剤のイオン強度があるレベルを超えて増加すると様々なサイズ(例えば、凝集による)の粒子を含む組成物となる場合がある。凝集の過程で、凝集体はサイズが大きくなり、最終的に容器の底に沈殿し、製剤はコロイド的に不安定と考えられる。一度製剤中で粒子が凝集すると、この凝集体を個々の粒子に破壊することは通常困難である。
【0244】
本明細書記載のある製剤は、とりわけ、ある濃度で製剤中に含まれる1以上のイオン等張化剤(例えば、NaClなどの塩)の存在が、実際に製剤中に存在するこの粒子の凝集の程度を低減しまたは維持し、及び/又は有意に凝集を増加させないという予想外の特性を示す。例えば、実施例14を参照されたい。ある実施形態では、製剤の多分散性の低下は比較的一定であって、製剤へ1以上のイオン性等張化剤をかなりの量で添加しても変化しない。
【0245】
例えば、いくつかの実施形態では、組成物及び/又は製剤の多分散性は、追加されたイオン強度の存在によって、及び/又は組成物及び/又は製剤の追加されたイオン強度が比較的一定に維持されまたは増加した場合(例えば、製剤工程及び/又は希釈工程の間)には、比較的一定に維持される。ある実施形態において、イオン強度が少なくとも50%増加すると、多分散性が約200%以下、約150%以下、約100%以下、約75%以下、約50%以下、約30%以下、約20%以下、約10%以下、約3%以下、約1%以下まで増加する。ある実施形態では、イオン強度が少なくとも50%まで増加すると、多分散性は、約1%以上、約10%以上、約30%以上、約100%以上まで増加する。上記範囲の組合せが可能である(例えば、多分散性の増加が50%以下、および1%以上)。他の範囲であってもよい。
【0246】
本明細書記載の製剤のイオン強度は、1以上のイオン性等張化剤(例えば、NaClなどの塩)を添加するなどの種々の方法により調整(例えば、増加)することができる。ある実施形態において、本明細書記載の製剤のイオン強度は、約0.0005M以上、約0.001M以上、約0.003M以上、約0.01M以上、約0.03M以上、約0.1M以上、約0.3M以上、約1M以上、約3M以上、約10M以上である。ある実施形態において、本明細書記載の製剤のイオン強度は、約10M以下、約3M以下、約1M以下、約0.3M以下、約0.1M以下、約0.03M以下、約0.01M以下、約0.003M以下、約0.001M以下、約0.0005M以下である。上記範囲の組合せが可能である(例えば、約0.01M以上および約1M以下の強度)。他の範囲であってもよい。ある実施形態において、本明細書記載の製剤のイオン強度は、約0.1Mである。ある実施形態において、本明細書記載の製剤のイオン強度は約0.15Mである。ある実施形態において、本明細書記載の製剤のイオン強度は、約0.3Mである。
【0247】
ある実施形態では、製剤の多分散性は、製剤への1以上のイオン性等張化剤の添加によって変化しない。ある実施形態では、多分散性は、製剤への1以上のイオン性等張化剤の添加により有意に増加しない。ある実施形態では、多分散性は、製剤への1以上のイオン性等張化剤の添加で、ここに記載の水準まで増加する。
【0248】
本明細書記載の製剤の多分散性は、多分散指数(PDI)によって測定されてもよい。PDIは、粒度サイズの分布の幅を説明するために使用され、しばしば自己相関関数強度を測定した動的光散乱法(DLS)のキュムラント解析によって算出される。これらのパラメータの算出は、規格ISO13321:1996EおよびISO22412:2008に定義されている。PDIは無次元であり、DLSによって測定した場合、0.05よりも小さいと高次単分散サンプルであり、一方、値が0.7以上では、非常に広いサイズ分布を示す。ある実施形態において、本明細書記載の製剤及び/又は組成物のPDIは、約1以下、約0.9以下、約0.8以下、約0.7以下、約0.6以下、約0.5以下、約0.4以下、約0.3以下、約0.2以下、約0.15以下、約0.1以下、約0.05以、約0.01以下、または約0.005以下である。ある実施形態において、本明細書記載の製剤及び/又は組成物のPDIは、約0.005以上、約0.01以上、約0.05以上、約0.1以上、約0.15以上、約0.2以上、約0.3以上、約0.4以上、約0.5以上、約0.6以上、約0.7以上、約0.8以上、約0.9以上、または約1以上である。上記範囲の組合せが可能である(例えば、PDIが、約0.1以上および約0.5以下)。他の範囲であってもよい。ある実施形態では、製剤のPDIは約0.1である。ある実施形態では、製剤のPDIは約0.15である。ある実施形態では製剤のPDIは約0.2である。
【0249】
ある実施形態において、本明細書記載の組成物及び/又は製剤は、高分散性で、凝集体を形成する傾向がない。この粒子が凝集体を形成する場合でも、凝集体は組成物及び/又は製剤をしっかり撹拌することなく、容易に個々の粒子に分解される。
【0250】
一般に、製剤は、被験者への投与前または投与時に、無菌であることが要求される。無菌製剤は、本質的に、細菌、微生物、真菌、ウイルス、胞子、酵母、カビ、などの病原性微生物、及び一般に感染症に関連する他のものを含まない。いくつかの実施形態では、本明細書記載のコーティングされた粒子を含む組成物及び/又は製剤は、無菌処理及び/又は他の滅菌処理を施されてもよい。無菌処理は、一般には、熱、ガンマ線放射、エチレンオキシドまたは濾過による製剤成分、最終製剤、及び/又は薬剤製品の容器の滅菌と、無菌環境との組み合わせを含む。ある場合には、無菌処理が好ましい。他の実施態様では、最終滅菌が好ましい。
【0251】
他の滅菌方法としては、放射滅菌(例えば、ガンマ線、電子、またはX線放射)、加熱滅菌、滅菌濾過、およびエチレンオキシド滅菌がある。本明細書において、「放射」および「照射」の用語は、交換可能に使用される。他の滅菌方法と異なり、温度、圧力、真空または湿度を制御する必要がなく、放射滅菌は高い貫通性と即効性があり有利である。ある実施形態では、本明細書記載のコーティングされた粒子を滅菌するために使用される放射線はガンマ線である。ガンマ線は、コーティングされた粒子内外の微生物の大半または実質的に全てを死滅させるのに十分な量で放射される。本明細書記載のコーティングされた粒子の温度と放射率とは、ガンマ放射期間中、比較的に一定である。ガンマ線照射は、任意の適切な温度で行うことができる(例えば、周囲温度約40℃、約30から約50℃の間)。他に記載のない限り、本明細書記載のガンマ線照射の測定は、約40℃で実施したものとする。
【0252】
滅菌処理が使用される実施形態において、この工程は、(1)本明細書記載のコーティングされた粒子の粒径が著しく変化しない、(2)本明細書記載の活性成分(薬剤など)の品位が著しく変化しない、および、(3)工程中または次工程で許容できない濃度の不純物を発生しないことが望まれる。ある実施形態で、この工程中または次工程で生成した不純物は、本明細書記載のコーティングされた粒子の活性成分の分解物である。例えば、活性成分がエタボン酸ロテプレドノール(LE)である場合、LEの分解物には、
図22に示すように11β,17α−ジヒドロキシ−3−オクソアンドロスタ−1,4−ジエン−17−カルボン酸(PJ−90)、17α−[(エトキシカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−3−オクソアンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボン酸(PJ−91)、17α−[(エトキシカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−3−オクソアンドロスタ−4−エン−17−カルボン酸クロロメチルエステル(テトラデカ)、及び/又は17α−[(エトキシカルボニル)オキシ]−3,11−ジオクソアンドロスタ−1,4−ジエン−17−カルボン酸クロロメチルエステル(11−ケト)がある。
【0253】
ある実施形態において、本明細書記載の製剤及び/又は組成物の滅菌に使用される工程は、製剤中に少なくとも約10重量%以下(分解されていない薬物の重量に対して)、約3重量%以下、約2重量%以下、約1.5重量%以下、約1重量%以下、約0.9重量%以下、約0.8重量%以下、約0.7重量%以下、約0.6重量%以下、約0.5重量%以下、約0.4重量%以下、約0.3重量%以下、約0.2重量%以下、約0.15重量%以下、約0.1重量%以下、約0.03重量%以下、約0.01重量%以下、約0.003重量%以下、約0.001重量%以下の、1以上の分解物の存在をもたらす。いくつかの実施形態では、滅菌工程により、製剤中の分解物は、約0.001重量%以上、約0.003重量%以上、約0.01重量%以上、約0.03重量%以上、約0.1重量%以上、約0.3重量%以上、約1重量%以上、約3重量%以上、約10重量%以上となる。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、約1重量%以下、および約0.01重量%以上)。他の範囲であってもよい。
【0254】
いくつかの実施形態では、ガンマ線照射を受けた組成物及び/又は製剤は、上記範囲の1以上の濃度の分解物を含む。1組の実施形態において、薬物はエタボン酸ロテプレドノールであり、分解はPJ−90、PJ−91、テトラデカ、及び/又は11−ケトである。ある実施形態では、1以上又はそれぞれの分解物は、組成物及び/又は製剤中に上記範囲の1以上で存在する(例えば、約1重量%以下、約0.9重量%以下、約0.8重量%以下、約0.7重量%以下、約0.6重量%以下、約0.5重量%以下、約0.4重量%以下、約0.3重量%以下、約0.2重量%以下、約0.1重量%以下)。他の範囲であってもよい。
【0255】
いくつかの実施形態において、1以上の添加剤が組成物及び/又は製剤中に含まれ、1以上の分解物の量を相対的に低減するのを助ける。例えば、実施例13に記載したように、エタボン酸ロテプレドノール製剤におけるグリセリンの存在は、製剤をガンマ線照射で滅菌した後に、グリセリンを含まない場合と比較してテトラデカ分解物量を相対的に低減させた。
【0256】
滅菌処理でガンマ線照射が使用される場合、使用されるガンマ放射の累積量は変化してもよい。ある実施形態では、ガンマ放射の累積量は約0.1kGy以上、約0.3kGy以上、約1kGy以上、約3kGy以上、約10kGy以上、約30kGy以上、約100kGy以上、約300kGy以上である。ある実施形態では、ガンマ放射の累積量は、約0.1kGy以下、約0.3kGy以下、約1kGy以下、約3kGy以下、約10kGy以下、約30kGy以下、約100kGy以下、約300kGy以下である。上記範囲の組合せであってもよい(例えば、約1kGy以上で、約30kGy以下)。他の範囲であってもよい。ある実施形態では、所望の累積放射量とするために複数回の放射線投与を行ってもよい。本明細書記載の組成物及び/又は製剤は、任意の適切なpH値を有することができる。特に断らない限り、「pH」は、周囲温度(例えば、約20℃、約23℃、または約25℃)で測定したpHを意味する。この組成物及び/又は製剤は、例えば、酸性pH、中性pHまたは塩基性pHを有し、例えば、この組成物及び/又は製剤が送達される生体内の場所に依存する。ある実施形態では、この組成物及び/又は製剤は、生理学的pHを有する。ある実施形態では、この組成物及び/又は製剤のpH値は、少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約6.2、少なくとも約6.4、少なくとも約6.6、少なくとも約6.8、少なくとも約7、少なくとも約7.2、少なくとも約7.4、少なくとも約7.6、少なくとも約7.8、少なくとも約8、少なくとも約8.2、少なくとも約8.4、少なくとも約8.6、少なくとも約8.8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、または少なくとも約12である。ある実施形態では、この組成物及び/又は製剤のpH値は、約12以下、約11以下、約10以下、約9以下、約8.8以下、約8.6以下、約8.4以下、約8.2以下、約8以下、約7.8以下、約7.6以下、約7.4以下、約7.2以下、約7以下、約6.8以下、約6.6以下、約6.4以下、約6.2以下、約6以下、約5以下、約4以下、約3以下、約2以下、約1以下である。上記範囲の組合せが可能である(例えば、pHが少なくとも約5および約8.2以下)。他の範囲であってもよい。ある実施形態において、本明細書記載の組成物及び/又は製剤のpH値は、少なくとも約5および約8以下である。
【0257】
方法、眼症状の治療用の組成物および製剤
哺乳動物の眼は、強膜(眼の外側の強靭な白い部分)を含む外側カバーと角膜(瞳孔および虹彩を覆う透明な外側部分)とを含む複合臓器である。
図15Aに、眼の典型的な概略図を示す。前方から後方への断面である
図15Aに示すように、眼100は、これに限定されないが、角膜105、虹彩110(外周光に反応して開閉できるカーテン用機構)、結膜115(希な層状円柱上皮で構成され、強膜をカバーし、および瞼の内側を裏打ちする)、涙液層120(油層、水層および粘液層を含む(粘液層(単数および複数)は涙液膜のアンカーとして機能し、目への付着を助ける等の機能を有する))、角膜上皮125(角膜を保護するバリアとして機能し、涙液からの流体の自由な流れに抵抗し、および微生物の侵入を防止する、角膜の前面を被覆する細胞の複数層)、前房130(水や房水135と称される透明な液体で満たされ、角膜正面と虹彩によって区切られた中空機構)、レンズ140(透明で両凸構造であり、角膜と共に、屈折光を網膜に集中させる)、毛様体145(毛様体筋と毛様体突起で構成される周組織)、毛様体小帯146(レンズと毛様体を接続する線維性糸状体環)、後眼房148(虹彩正面、毛様体小帯、および毛様体背面によって囲まれた狭い空間であり、房水を含む)、網膜150、黄斑155、強膜160、視神経165(脳神経としても知られ、網膜から脳への視覚情報を送信している)、脈絡膜170、および硝子体腔175(硝子体液180と称される粘性流体で満たされている)を有する。硝子体腔は、眼の内容積の約2/3を占め、前房及び後眼房は、眼の内部容量の約1/3を占める。
【0258】
図15Bに示すように、眼には、眼球結膜116(眼球を被覆し強膜の上部にあり、強膜下層としっかりと結合し、および眼球運動で動く)、眼瞼結膜117(まぶたの内側を覆う)、円蓋結膜118(眼球結膜と眼瞼結膜との間の接合部を形成する緩んで柔軟な組織であり、瞼と眼球の自由な動きを可能とする)、および角膜に存在する多くの粘液層がある。これらの粘液層は、局所的に投薬された医薬が接触する完全な表面を形成する。したがって、局所投与された薬物は、一般に、様々の眼組織の下に到達するためにこれらの粘液層を貫通しなければならない。
【0259】
図15Aに示すように、括弧190で示される眼の正面、前方または前部は、一般的に、水晶体嚢144(透明で、弾性があり一定の張力でレンズを保持する膜状構造)の後壁142または毛様体筋の前方に配置された組織や流体を含む。眼の前部は、例えば、結膜、角膜、虹彩、涙液膜、前房、後房、レンズ及び水晶体嚢、並びに血管、リンパ管および血管新生、維持または前眼領域または部位を刺激する神経を含む。
【0260】
図15Aに示すように、括弧195によって示される眼の背面、後方また後部は、一般的に、レンズカプセルまたは毛様体筋の後壁の後方に配置された組織や流体を含む。眼の奥には、例えば、脈絡膜、強膜(水晶体嚢の後壁を経た平面の後方に位置する)、硝子体液、硝子体腔、網膜、黄斑、視神経、および血管、および血管新生または後眼領域または部位を神経支配する神経を含む。
【0261】
以下に、より詳細に記載されるように、実施形態において、本明細書記載の粒子、組成物及び/又は製剤は、診断、予防、治療または、例えば網膜、黄斑、脈絡膜、強膜及び/又はブドウ膜などの眼の後部の疾患または状態を管理するために使用することができる。
【0262】
網膜は、10層の、眼の繊細な神経組織であり、外部オブジェクトの画像を受信し、および脳に視神経を介して視覚的刺激を伝達する視神経と連続する。網膜は、柔らかく半透明でロドプシンを含む。これは外側の着色層と9層の網膜本体とからなる。この9層は最内層から開始し、内境界膜、視神経線維層、神経節細胞層、内網状層、内顆粒層、外網状層、外核層、外境界膜および杆錐状体層である。網膜の外表面は、脈絡膜に接触し;内表面は硝子体に接触している。網膜は、毛様体までの近傍に広がる前方の薄い部分と、焦点が最良な後面の外部中心の小さいスポットを除く、厚い後方部位とを有する。光受容体は、毛様体のギザギザの鋸状縁の前方で終わるが、網膜の膜は毛様体突起と虹彩の背面まで延びている。直射日光にさらされると、網膜は白濁し不透明になる。
【0263】
黄斑または黄色黄斑は、ヒトの眼の網膜の中心部近傍にある卵型の高度に黄色に着色されたスポットである。直径約5mmで、しばしば組織学的に神経節細胞の2以上の層を有するものと定義される。その中心付近に中心窩、眼の錐体細胞の最大濃度を含み、中央の高解像度ビジョンに関与する小穴がある。黄斑は、また傍中心窩と周中心窩とを含む。黄斑は黄色であり、眼に侵入する過剰な青と紫外光とを吸収し、網膜のこの領域の天然の日焼け防止(サングラスに類似)として機能する。黄色は、食事由来の、黄色キサントフィルカロテノイドである、ルテインとゼアキサンチンによってもたらされる。ゼアキサンチンは黄斑で優位を占め、ルテインは網膜の他の場所で優位を占める。カロテノイド類が、黄斑変性症のあるタイプから着色領域を保護するという証拠がある。黄斑内の構造体は、高い視力用に特化されている。黄斑には、錐体(高視力の光受容体)を高密度に含む中心窩および小窩がある。
【0264】
脈絡膜(choroidea)または脈絡膜(choroid coat)として知られている脈絡膜(choroid)は眼の血管層であり、結合組織を含み、網膜と強膜の間にある。ヒト脈絡膜は、眼の最後端部で最も厚く(0.2mm)、離れた部分では0.1ミリメートルである。脈絡膜は、網膜の外層に酸素や栄養を供給する。脈絡膜は、毛様体、虹彩と共にブドウ膜を形成する。
【0265】
強膜は、眼球の後部6分の5を被覆する強靭な非弾性で不透明な膜を意味する。これは眼球の大きさと形を保持し、眼球を動かす筋肉に付着している。後方に視神経が貫通し、透明な角膜と共に、最外側の3つの眼球膜を構成する。
【0266】
ブドウ膜は、強膜の下の線維膜を意味し、虹彩、毛様体および脈絡膜を含む。
【0267】
眼科治療は、点眼剤などの組成物を、眼の外面に局所的に投与して実施することができる。点眼剤投与は、その利便性、非侵襲性、局所作用および相対的な被験者の快適性のために、眼への薬物送達の最も望ましい経路である。しかしながら、眼に局所投与された溶液(例えば、点眼液)は、排水および流涙によって眼表面から速やかに消失する。眼に局所投与された粒子(例えば、眼科用懸濁液)は、眼の粘液層や涙液膜に一般に捕捉される。眼の自然なクリアランス機構は、層に捕捉されたこれらを除去し、したがって、この層に捕捉された薬もまた急速に消失される。結果として、眼を所望の薬剤レベルに達成することは、特に眼の後部位、例えば後部強膜、ブドウ膜(眼の血管中間層にあり、虹彩、毛様体および脈絡膜を構成する)、硝子体、脈絡膜、網膜、および視神経乳頭(ONH)において、または角膜の内側部分でさえ、局所投与経路によってはしばしば困難である。
【0268】
例えば、角膜や結膜は、3−40μmの粘液層で被覆されている。
図15Cに示すように、外層は、分泌された粘液310(粘液の代謝回転と瞬きにより急速に消失される)を含み、主な役割は、眼の水層305からアレルゲン、病原体および破片(薬物粒子を含む)を捕捉しおよび除去することにある。内側層(厚さ最大500nm)は、上皮315に係留する粘液(細胞外高分子物質)で形成され、研磨ストレスから下部組織を保護し、急速に除去されない。理論に束縛されるものではないが、従来の粒子(CP、例えば非MPP)は、外側粘液層に捕捉され、眼表面から容易に除去されると考えられる。このように従来の粒子は、粒子中の薬剤が眼の他の部分に搬送される前に消失される(例えば、拡散または他の機構によって)。これに対し、本明細書記載の粒子(例えば、MPP)は、分泌された粘液への接着を回避し、周辺の粘液層を貫通し、ゆっくり代謝する細胞外高分子物質に到達し、これにより粒子の保持を長引かせ薬物放出を維持する(
図15C)。これは、本明細書記載の粒子は、外側粘液に捕捉されたCPより効率的に、薬物を組織の下部(角膜、結膜等)に送達しうることを示唆する。さらに、本明細書記載の製剤は、本明細書記載のコーティングがない従来の製剤が粘液における固定化によって均等に分散しないところでも、眼の全表面に亘り粒子及び/又は医薬品の均一な被覆層を形成することができる。したがって、本明細書記載の製剤はより均一な被覆により有効性を高めることができる。これは、濃度の高い順に、粘液の貫通を増強する。
【0269】
更に、局所投与用の本明細書記載の粒子の使用は、注入方法、局所ゲルや挿入物の使用などの眼への送達の様式に関連するいくつかの課題を示す。注入方法は、眼の後方部分に薬物を送達するために有効であるが、侵襲的であり望ましくない。他の送達方法、例えば、眼への薬物の送達を助ける局所用ゲル及び/又は種々の挿入物などは、患者の快適性の観点から望ましくない。
【0270】
眼への局所投与に関連する他の課題がある。眼内への医薬品の吸収は、目の適切な機能を確保する保護機構によって、および、他の付随する要因、例えば、点滴液の排水;流涙および涙液の代謝回転;代謝;涙液の蒸発;非生産的吸収/吸着;限界角膜領域および貧角膜透過性;および涙腺タンパク質による結合によって、厳格に制限される。したがって、眼表面に高濃度の医薬品を投与でき長期間に亘り高濃度を維持できる点眼剤が望まれる。
【0271】
眼内の流体容量が7から10マイクロリットルの正常な涙液量を超えた場合、例えば、投与された薬剤は鼻涙システムを介して鼻咽頭および胃腸管へ排水される。故に、点眼薬(1から2滴、50−100マイクロリットルに相当)の一部であって瞼裂からこぼれて除去されない分は迅速に排出され、薬剤と吸収表面(角膜と強膜)との接触時間は、例えば、最大2分に低減する。
【0272】
流涙および生理的涙の代謝回転(例えば、通常の条件下のヒトで、毎分16%)は、穏やかな刺激溶液の点眼によってさえ刺激および増加される。最終的な正味は、適用される薬の希釈化および医薬品損失の加速度にある
【0273】
局所投与された薬物装荷マイクロ及びナノ粒子は、ゲル、軟膏および挿入物などの他の徐放製剤に関連する不快感を引き起こすことなく、眼内保持を延長し薬剤の局所的な生物学的利用能を増加させる可能性を有する。しかし、このような粒子の大きな障壁は、眼表面の粘液層である(例えば、眼瞼結膜、眼球結膜、および角膜;
図15B)。粘液の本来の役割は破片やアレルゲンを消失することであり、薬物装荷ナノ粒子を含む事実上全ての異物を効果的に捕捉し、眼表面から迅速に除去する。眼表面での薬物の保持を延長し、下部組織近傍に薬物を送達するために、薬剤担体/粒子は、迅速浄化粘液への付着を回避することが必要である。したがって、粘液への接着を回避しまたは低減された薬剤担体/粒子が望まれる。
【0274】
有効量の医薬品を眼に送達するために、服用量及び/又は服用頻度を多くしてもよい。しかし、医薬品の服用量を多くすると、局所的及び全身的な副作用のリスクが高まる。さらに、頻繁な投与は、患者にとって不便であり、コンプライアンス不良になりがちなので、望ましくない。そこで、服用量及び/又は服用頻度を多くする必要なく眼内での医薬品の有効濃度を達成できるため、本明細書に記載のもの等の適切な製剤を使用することで医薬品の粘液浸透性を改善することが有利となる。
【0275】
さらに、理論に拘束されることを望むわけではないものの、局所投与医薬品は、以下の3つの主要経路の1つ以上を介して、眼底に輸送され得る。1)経角膜経硝子体拡散後、硝子体へと進入し、続いて、眼組織へと移行する経路(
図16、経路205)、2)ブドウ膜強膜流出路(即ち、経角膜拡散後、前房を浸透し、そして、房水を介してブドウ膜強膜組織へ後部組織を向けて排水される経路)(
図16、経路210)、3)眼周囲経路(即ち、結膜を透過し、テノンの眼周囲液にアクセスし、強膜周囲に拡散し、続いて、強膜、脈絡膜、及び網膜に渡って拡散する経路)(
図16、経路215)(Uday B.Kompella及びHenry F.Edelhauser著、『Drug Product Development for the Back of the Eye』、第1版、シュプリンガー、2011年刊)。解剖学的膜障壁(即ち、角膜、結膜、及び強膜)及び涙液排液のため、局所薬剤投与後に眼の後部で治療薬剤濃度を得ることは極めて困難であり得る。眼の後部に付随する解剖学的及び生理学的障壁のため、眼の後部への到達はなおさら困難である。こうした障壁を非侵襲的方法で改変することはできないため、眼での生体利用可能性を増加させ、眼への局所投与の他の課題を解決する眼科用組成物及び製剤の改善が有効であった。
【0276】
こうした製剤の開発が急務であることは、視力障害や失明の主要原因が後眼部関連疾患であるという事実からも窺い知ることができる。こうした疾患としては、これらに制限されるものではないが、加齢性黄斑変性症(AMD)などの加齢性眼変性疾患、増殖性硝子体網膜症(PVR)、網膜眼疾患、網膜損傷、黄斑浮腫(例えば、類嚢胞黄斑浮腫(CME)又は糖尿病黄斑浮腫(DME))、及び眼内炎を挙げることができる。房水の流れ(そして眼圧(IOP))に影響する前房の疾患であると考えられることの多い緑内障も、また、後部要素を含んでいる。実際、ある種の緑内障は、高IOPを伴わず、主に網膜変性のみを伴う。
【0277】
ある実施形態では、上述の疾患及び他の疾患は、本明細書に記載の粘液浸透性粒子、組成物、及び製剤を用いて、治療、診断、予防、又は管理され得る。例えば、抗AMD薬を眼底に効率的に送達し、硝子体内注射などの侵襲的手術を患者に施すことなくAMDを治療するために、粘液浸透性粒子を含有した点眼薬を局所投与することができる。また、例えば、服用頻度を減らして眼の炎症を治療するため、抗炎症薬(例えば、副腎皮質ステロイド又はNSIAD)を載せた粘液浸透性粒子を含有する点眼薬を局所投与することもできる。
【0278】
本明細書に記載の粒子、組成物、及び方法は、少なくとも部分的には、該粒子の粘液浸透特性によって、前眼部及び/又は後部への医薬品の送達に付随する本明細書に記載の課題を解決し得る。理論に拘束されることを望むわけではないものの、粘液通貨特性を有する本明細書に記載の粒子は、眼を覆う粘液への接着を回避し、効率的に該粘液を浸透することができると考えられる。眼組織(例えば、眼瞼結膜、眼球結膜、角膜、又は涙液層)の粘液層を粒子が浸透する際、粒子は身体の天然のクリアランス機構による急速なクリアランスを回避し、前眼部に長期間留まる。そして、粒子及び/又は医薬品が、例えば、
図16に記載の機序の1つにより、眼底に向けて輸送される際に、粒子は、溶解し得、及び/又は、医薬品を放出し得る。一方、粘液浸透性でない粒子や薬剤は、粘液に付着し得、投与後短時間で前眼部での粒子又は薬剤の残存量が不十分になってしまうほど急速に、身体の天然のクリアランス機構によりクリアランスされかねない。そのため、眼底へ(例えば、拡散や他の機構により)輸送することのできる粒子や薬剤の量は比較的少なくなり得る。例えば、実施例3及び8で詳細に記載するように、粘液を効率的に浸透しない医薬品であるエタボン酸ロテプレドノール(LE)の粒子を含む市販の眼科用懸濁液剤Lotemax(登録商標)をPluronic(登録商標)F127の被膜を有するLE粒子と比較した。この薬剤は、一般的に、前眼部の組織の炎症を治療するために使用される。驚くべきことに、医薬品LEの粒子をPluronic(登録商標)F127の被膜で被覆すると、Tween80(登録商標)又はある種のPVAにより粘液浸透性が付与され、実施例3及び34に記載したように、前眼部の眼表面(例えば、角膜、虹彩/毛様体、房水)への送達が顕著に増幅されるのみならず、実施例8に記載したように、眼の中央部及び眼底(例えば、網膜、脈絡膜、及び強膜)への輸送も増幅される。こうした結果は、特に、従来、点眼薬として局所的に投与した場合に眼底までLEが浸透するとは明らかにされてこなかったため、予想外であった。さらに、これまでの多くの報告で、ナノサイズ薬剤粒子は、それらを含有する溶液での溶解性が高く、徐放が不可能な従来の溶液と同様の振る舞いを示すと考えられており、従来の知見では、Pluronic(登録商標)F127で覆ったLE粒子は流涙により眼表面からすぐに洗い流されるものと示唆されていた。本明細書の記載の多くは、眼の後部又は眼底の組織の治療、診断、予防、又は管理について言及しているが、本明細書に記載の方法、組成物、及び製剤は、これに限定されるものではなく、眼の他の部分にも有効であり得ることを理解されたい。
【0279】
一態様では、本発明は、エタボン酸ロテプレドノールを含む粒子核と、該粒子核を囲むポロキサマー407(Pluronic F127)を含む被膜と、グリセリン、塩化ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、クエン酸、及び塩化ベンザルコニウムを含む医薬的に許容可能な賦形剤とを含む複数の被覆粒子を含む、対象の眼に投与するための製剤又は医薬組成物を提供する。本製剤又は医薬組成物は、さらに、クエン酸三ナトリウム、クエン酸、又はこれらの組み合わせである緩衝剤を1種以上含んでもよい。
【0280】
一態様では、本発明は、エタボン酸ロテプレドノールを0.25%(w/v)、ポロキサマー407を0.125%(w/v)、及びグリセリンを0.6%(w/v)含む、エタボン酸ロテプレドノール製剤又は医薬組成物を提供する。また、本製剤は、塩化ナトリウム、クエン酸三ナトリウム二水和物、エデト酸二ナトリウム二水和物、クエン酸、及び塩化ベンザルコニウムを含んでもよい。本製剤又は医薬組成物は、さらに、精製水を含んでもよい。一実施形態では、本製剤又は医薬組成物は懸濁液剤である。
【0281】
別態様では、本発明は、エタボン酸ロテプレドノールを1.0%(w/v)、ポロキサマー407を0.5%(w/v)、及びグリセリンを0.6%(w/v)含む、エタボン酸ロテプレドノール製剤又は医薬組成物を提供する。また、本製剤は、塩化ナトリウム、クエン酸三ナトリウム二水和物、エデト酸二ナトリウム二水和物、クエン酸、及び塩化ベンザルコニウムを含んでもよい。本製剤又は医薬組成物は、さらに、精製水を含んでもよい。一実施形態では、本製剤又は医薬組成物は懸濁液剤である。
【0282】
さらに、実施例21及び29−33には、RTK阻害薬(例えば、ソラフェニブ、リニファニブ、MGCD−265、パゾパニブ、セジラニブ、及びアキシチニブ)を含む粒子及び組成物が記載されており、これらは眼底でのRTK阻害薬暴露量の増幅を示した。
【0283】
本明細書に記載の方法、組成物、及び製剤により標的とされ得る又は治療され得る眼の部分について詳細に説明する。
【0284】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法、粒子、組成物、及び/又は製剤は、対象の結膜を標的とし及び/又は治療するために使用され得る。結膜は、瞼の内面及び強膜の前部を覆う粘膜を指す。眼瞼結膜は、瞼の内面の内面を覆うものであり、厚く、不透明で、血管が多い。眼球結膜は、緩く結合され、薄く、透明で、強膜又は眼の前部三分の一を覆う。
【0285】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法、粒子、組成物、及び/又は製剤は、対象の角膜の全部又は一部を標的とし及び/又は治療するために使用され得る。角膜は、凸状で透明な眼の前部を指し、眼球の最外部の被膜の六分の一を占める。角膜は、光がそれを通過しレンズに届くことを許容する。角膜は、結膜上皮に続く角膜上皮、外境界膜(ボーマン膜)、固有質、内境界膜(デスメ膜)、及び(角化)前房上皮の五層からなる繊維構造である。角膜は、緻密で、厚さ方向に均一であり、血管がなく、眼の最外部の被膜の残りの六分の五を形成する強膜を越えてドームの様に突き出している。角膜曲率の程度は、個人毎に異なり、また、同じ人でも年齢によって異なるが、高齢よりも若年の方が曲率がはっきりしている。
【0286】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法、粒子、組成物、及び/又は製剤は、対象の、網膜、脈絡膜、及び/又は強膜などの眼の後部又は眼底内の部分を標的とし及び/又は治療するために使用され得る。眼底には、眼の内側から始めて裏側に向けて、神経を含む網膜、血液供給を担う脈絡膜、及び白目を構成する強膜の3つの主要層がある。
【0287】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法、粒子、組成物、及び/又は製剤は、眼疾患、即ち、若しくは眼の部分若しくは領域の1つ以上に影響する若しくは関連する疾病、病気、又は疾患を治療、診断、予防、又は管理するために使用され得る。広く言えば、眼は、眼球と、眼球を構成する組織及び体液と、眼周囲筋(斜筋や直筋など)と、眼球内の又は隣接する視神経の一部とを含む。
【0288】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法、粒子、組成物、及び/又は製剤は、対象の前眼部の眼疾患を治療、診断、予防、又は管理するために使用され得る。本明細書では、通常、前眼部(又は眼の前部又は眼前部)の眼疾患は、前眼部の組織若しくは体液に影響又は関連する疾病、病気、又は疾患のことである。前眼部の眼疾患としては、例えば、術後炎症、ブドウ膜炎、感染症、無水晶体、偽水晶体、乱視、眼瞼痙攣、眼瞼炎、白内障、結膜疾患、結膜炎、角膜疾患、角膜潰瘍、ドライアイシンドローム、眼瞼疾患、涙器疾患、涙道閉塞症、近視、老視、瞳孔障害、角膜血管新生、屈折障害、及び斜視などの、疾病、病気、又は疾患が挙げられる。緑内障治療の臨床目標は眼の前房での房水の過剰な圧力を減らすこと(即ち、眼圧を下げること)であり得るので、緑内障は、いくつかの実施形態では、前眼部の眼疾患であると考えることができる。
【0289】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法、粒子、組成物、及び/又は製剤は、対象の眼底の眼疾患を治療、診断、予防、又は管理するために使用され得る。本明細書では、通常、眼底又は後部の眼疾患は、眼底の組織若しくは体液に主に影響又は関連する疾病、病気、又は疾患のことである。眼底の眼疾患としては、眼球内黒色腫、急性黄斑神経網膜症、ベーチェット病、脈絡膜血管新生、ブドウ膜炎、糖尿病ブドウ膜炎、ヒストプラスマ症、感染症(真菌性又はウィルス性感染症など)、黄斑変性症(急性黄斑変性症、非滲出型加齢性黄斑変性症、及び滲出型加齢性黄斑変性症など)、浮腫(例えば、類嚢胞黄斑浮腫(CME)及び糖尿病黄斑浮腫(DME)といった黄斑浮腫など)、多巣性脈絡膜炎、眼の後部に影響を与える眼外傷、眼腫瘍、網膜障害(中央網膜静脈閉塞、(増殖性糖尿病網膜症をはじめとする)糖尿病網膜症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、網膜動脈閉塞症、網膜剥離、ブドウ膜炎網膜疾患など)、交感性眼炎、フォークト・小柳・原田(VKH)症候群、ブドウ膜浸出、眼レーザー治療により惹起された又は影響を受けた眼後部疾患、光線力学療法により惹起された又は影響を受けた眼後部疾患、放射線網膜症、網膜前膜症、網膜静脈分枝閉塞症、前部虚血性視神経症、非網膜症型糖尿病網膜機能障害、網膜色素変性症、網膜芽腫、及び緑内障などの、疾病、病気、又は疾患を挙げることができる。網膜細胞又は視神経細胞への損傷又はその喪失による視覚喪失の予防又は視覚喪失の発生の減少が治療目標であるため、緑内障は、いくつかの実施形態では、眼底の眼疾患であると考えることができる。
【0290】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法、粒子、組成物、及び/又は製剤は、対象のドライアイを治療、診断、予防、又は管理するために使用され得る。一実施形態では、エタボン酸ロテプレドノールを含む本明細書に記載の方法、粒子、組成物、及び/又は製剤が、対象のドライアイを治療、診断、予防、又は管理するために使用され得る。ドライアイは、眼の潤滑及び栄養のための涙が不十分となる疾患である。涙は、眼の前面の健康状態を維持し、視覚を澄んだものにするために必要である。ドライアイの人々は、十分な量の涙を生産できないか、あるいは、涙の質が悪い。ドライアイは、特に高齢者では、よくみられる、しばしば、慢性的な問題である。瞬きをするたびに、網膜と呼ばれる眼の表面に涙は広がる。涙は、潤滑をもたらし、眼の感染症のリスクを減らし、眼の異物を洗い流し、そして、眼の表面を滑らかできれいに維持する。眼の過剰な涙は瞼の内側の隅にある小さな排液管に流れ込む。この排液管は鼻の後部に流れ出ている。涙は、瞼の中又は周囲のいくつかの腺(例えば、涙腺)によりつくられる。涙の産生は、加齢やさまざまな医学的条件又は薬の副作用により減少する傾向にある。また、風や乾燥気候などの環境条件も、涙の蒸発を増やすため、涙の量に影響を与え得る。涙の普段の産生量が減ったり、眼からの涙の蒸発が早過ぎたりすると、ドライアイの症状が発現し得る。
【0291】
ドライアイの最も一般的な形態は、涙の水層の量が不十分であることによるものである。乾性角結膜炎(KCS)と呼ばれるこの疾患は、ドライアイシンドロームとしても知られている。
【0292】
ドライアイの治療は、乾燥やそれに関連する不快感を減らし、眼の健康を保つため、普段の眼の涙の量を回復又は維持することを目標とする。この目標は、涙腺での涙の産生の増加、結膜のムチンの産生の調節、眼の組織の炎症の抑制などの異なる経路を介して達成することができる。例えば、Restasis(登録商標)(0.05%シクロスポリン)は、結膜と涙腺のT細胞の活性を下げる免疫抑制剤である。ドライアイの新規治療法の開発には、基礎疾患や原因の同定、結果を見るまでの時間の長さ(3−6ヶ月)、また、ドライアイ人口の10−15%にしか治療が効かない可能性があるという事実など、さまざまな課題がある。また、薬剤送達も課題となり得る。ドライアイの治療の標的である眼の組織は前眼部であるものの、局所的に投与された医薬品の一部は結膜、涙液層、及び角膜の粘液により動けなくなる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の粒子、製剤、及び組成物は、こうした課題を、医薬品の適切な組織への効率的送達の促進、眼表面でのより均一及び/若しくは広範な粒子の被覆の促進、並びに/又は、粒子/医薬品のクリアランスの回避及び/若しくは抑制により解決できる。
【0293】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法、粒子、組成物、及び/又は製剤は、対象の眼の炎症を治療、診断、予防、又は管理するために使用され得る。炎症は種々の眼の障害と関連している。また、炎症は、白内障の手術をはじめとする眼の外科的な手術の多くにより生じ得る。抗炎症剤として副腎皮質ステロイドがしばしば用いられるが、しかし、治療のために頻繁な服用が必要となる。
【0294】
術後炎症の予防のため、ステロイド又はNSAID(非ステロイド系抗炎症剤)が予防的に与えられることもある。現在の術後炎症治療としては、ステロイド(例えば、Lotemax(登録商標)(0.5%エタボン酸ロテプレドノール)、Durezol(登録商標)(0.05%ジフルプレドナート)、Pred Mild(登録商標)(0.12%酢酸プレドニゾロン)、Omnipred(登録商標)(1%酢酸プレドニゾロン))、NSAID(例えば、Bromday(登録商標)(0.09%ブロムフェナク)、 Nevanac(登録商標)(0.1%ネパフェナク)、 Acular LS(登録商標)(0.4%ケトロラックトロメタミン)、 Acuvail(登録商標)(0.45%ケトロラックトロメタミン))、 Toradol(登録商標)(ケトロラックトロメタミン)、 Sprix(登録商標)(ケトロラックトロメタミン)、 Voltaren(登録商標)(0.1%ジクロフェナク)、 Aclonac(登録商標)(ジクロフェナク)、及びCataflam(登録商標)(ジクロフェナク)が挙げられる。点眼薬が眼の表面から急速にクリアランスされ、現在市販されているステロイド又はNSAID点眼薬の多くが治療効果をあげそれを維持するために1日に複数回投与せねばならないため、術後炎症の治療にあたり最大の課題の一つはコンプライアンスである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び/又は製剤は、これらステロイド医薬品の1種以上を含んでもよい。例えば、実施例でより詳細に記載するように、Lotemax(登録商標)の成分であるエタボン酸ロテプレドノールを本明細書に記載のポリマー被膜を含むものとした粒子は、ニュージーランドシロウサギのさまざまな眼の組織で、適切なポリマー被覆を含まない等価量の市販製剤と比べて、著しく高い薬物レベルを示した。このデータは、被覆粒子を市販製剤と比べて少ない回数投与しても、治療効果をあげそれを維持することができることを示唆している。
【0295】
局所NSAID製剤(例えば、Bromday(登録商標)(0.09%ブロムフェナク))が数多く市販されている。表17は、こうした製剤、その対応するトレードネーム、医薬品有効成分(API)、服用濃度、及び服用頻度のリストである。これらの製剤の大部分(即ち、Bromday(登録商標)、Flurbiprofen(登録商標)、Acular(登録商標)、及びVoltaren(登録商標))は、有効成分が完全に溶け込んでいる溶液として提供されている。
【0296】
ブロムフェナクは、ラクタム形成を経て、溶液中で、特に、中性pH未満で、分解を受けやすいことが判明した。表18のデータは、ブロムフェナクナトリウムを含有する水溶液のpHを(例えば、pH7.8から5.8に)下げると、より多くのブロムフェナクの分解物が観察されたことを示す。
【0297】
ブロムフェナクの局所送達を促進し、これにより、安全性を高めるため服用量を少なくできるように、又は、眼の中央部及び眼底の疾患の治療を促進できるようにするためには、ブロムフェナクを、ブロムフェナク核を含むMPPの懸濁液剤として製剤化することが望ましいかもしれない。さらに、ブロムフェナクをMPPの懸濁液剤として製剤化することにより、分解物の濃度を(例えば、ブロムフェナクの水溶液と比較して)実質的に増やすことなく、製剤中のブロムフェナクの濃度を増やすことができる。しかし、相対的に水溶性が高いため、ブロムフェナクナトリウムを固体又は結晶の粒子として製剤化することは難しい。いくつかの実施形態では(例えば、水性Pluronic(登録商標)F127の存在下ではブロムフェナクFAが著しく分解するため)、ブロムフェナク遊離酸(ブロムフェナクFA)から常温保存可能なMPP懸濁液製剤を開発することも難しい可能性がある。
【表3】
【表4】
【0299】
本明細書に記載したように、眼への局所投与に適したpHで安定なNSAID(例えば、ブロムフェナク、ジクロフェナク、ケトロラク、又はこれらの塩)を含む組成物の開発が望まれる。いくつかの実施形態では、こうした組成物は、粘液を効率的に浸透するブロムフェナク、ジクロフェナク、ケトロラク、又はこれらの塩の固体又は結晶の粒子を含む。粒子は、粒子の粘膜接着性を減らすことのできる本明細書に記載の1種以上の表面改変剤(例えば、ポロキサマー、ポリソルベート(例えば、Tween80(登録商標)、PVA)を含んでもよい。
【0300】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び/又は製剤は、ブロムフェナクの二価金属塩などのブロムフェナクの二価金属塩を含む。例えば、ブロムフェナクの二価金属塩は、比較的水不溶性であってもよく、例えば、ブロムフェナクベリリウム、ブロムフェナクマグネシウム、ブロムフェナクカルシウム、ブロムフェナクストロンチウム、ブロムフェナクバリウム、ブロムフェナク亜鉛、又はブロムフェナク銅(II)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ブロムフェナク二価金属塩を含む粒子は、本明細書に記載の範囲の水溶解度(例えば、約0.001mg/mL以上で約1mg/mL以下の水溶解度)を有し得る。
【0301】
ある実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び/又は製剤は、ジクロフェナクFAを含む。ある実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び/又は製剤は、ジクロフェナクのアルカリ土類金属塩などのジクロフェナクの金属塩を含む。ある実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び/又は製剤は、ケトロラクFAを含む。ある実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び/又は製剤は、ケトロラクのアルカリ土類金属塩などのケトロラクの金属塩を含む。また、こうした化合物の三価金属塩も可能である。
【0302】
本明細書に記載のブロムフェナクの二価金属塩(例えば、ブロムフェナクカルシウム)は、ブロムフェナクナトリウム及び/又は他のブロムフェナクの一価塩よりも、水溶性が低く、疎水性が高い。例えば、25℃でのブロムフェナクカルシウムの水溶解度は約0.15mg/mLである。水溶性と親水性がより高いブロムフェナクナトリウムと比較すると、ブロムフェナクの二価金属塩は本明細書に記載の方法(例えば、ミル加工及び/又は沈殿)を用いたMPPへの加工により適している可能性がある。ブロムフェナクの二価金属塩は、MPP中に主に固体(例えば、結晶)形態で存在しているため、より分解し辛い傾向があり、より化学的に安定である可能性がある。さらに、ブロムフェナク二価金属塩のMPPを含む組成物及び/又は製剤中で比較的高濃度のブロムフェナク二価金属塩が、ブロムフェナクの二価金属塩の水溶解度及び/又はその分解物の形成による制限を受けない。そのため、ブロムフェナクの二価金属塩を含む本明細書に記載の粒子、組成物、及び/又は製剤は、水溶液に溶ける遊離酸の形態と比較して、組成物又は製剤中でブロムフェナクをより高濃度にすることを可能し得る。いくつかの実施形態では、こうした粒子、組成物、及び/又は製剤は、眼への投与後の眼組織でのブロムフェナクを高濃度にすることを可能にする。
【0303】
ブロムフェナクカルシウムと遊離酸形態のブロムフェナクに関するここでの議論と同様の理由で、より水溶性で親水性のジクロフェナクFA及びその金属塩(例えば、二価又は三価金属塩)は、ジクロフェナクナトリウム及び/又は他のジクロフェナクの一価塩と比較して、粘液浸透性の粒子、組成物、及び/又は製剤への加工により適している可能性がある。同様に、ケトロラクトロメタミン及び/又は他のケトロラクの一価塩より水溶性及び親水性が低いケトロラクFA及びその金属塩(例えば、二価又は三価金属塩)は、粘液浸透性の粒子、組成物、及び/又は製剤へと加工できる。さらに、ジクロフェナクFA若しくはケトロラクFA又はこれらの二価若しくは三価金属塩はその水溶解度に制限されるわけではないので、これらの化合物は、それぞれ、ジクロフェナクナトリウム又はケトロラクトロメタミンの水性製剤と比較して、本明細書に記載の粒子、組成物、及び/又は製剤中により高濃度で存在し得る。
【0304】
ある実施形態では、本明細書に記載の医薬品(例えば、NSAID(ブロムフェナクの二価金属塩(例えば、ブロムフェナクカルシウム)、ジクロフェナクFA、ジクロフェナク金属塩(例えば、二価又は三価金属塩)、ケトロラクFA、又はケトロラク金属塩(例えば、二価又は三価金属塩)など)、受容体チロシンキナーゼ(RTK)阻害薬(ソラフェニブ、リニファニブ、MGCD−265、パゾパニブ、セジラニブ、及びアキシチニブなど)、副腎皮質ステロイド(LEなど))は、本明細書に記載の組成物及び/又は製剤中に、少なくとも約0.001%(w/v)、少なくとも約0.003%(w/v)、少なくとも約0.01%(w/v)、少なくとも約0.02%(w/v)、少なくとも約0.05%(w/v)、少なくとも約0.1%(w/v)、少なくとも約0.2%(w/v)、少なくとも約0.3%(w/v)、少なくとも約0.4%(w/v)、少なくとも約0.5%(w/v)、少なくとも約0.6%(w/v)、少なくとも約0.8%(w/v)、少なくとも約1%(w/v)、少なくとも約1.5%(w/v)、少なくとも約2%(w/v)、少なくとも約3%(w/v)、少なくとも約4(w/v)%、少なくとも約5%(w/v)、少なくとも約6%(w/v)、少なくとも約8%(w/v)、少なくとも約10%(w/v)、少なくとも約20%(w/v)、少なくとも約30%(w/v)、少なくとも約40%(w/v)、又は少なくとも約50%(w/v)存在する。ある実施形態では、医薬品は、本明細書に記載の組成物及び/又は製剤中に、約50%(w/v)以下、約40%(w/v)以下、約30%(w/v)以下、約20%(w/v)以下、約10%(w/v)以下、約8%(w/v)以下、約6%(w/v)以下、約5%(w/v)以下、約4%(w/v)以下、約3%(w/v)以下、約2%(w/v)以下、約1.5%(w/v)以下、約1%(w/v)以下、約0.8%(w/v)以下、約0.6%(w/v)以下、約0.5%(w/v)以下、約0.4%(w/v)以下、約0.3%(w/v)以下、約0.2%(w/v)以下、約0.1%(w/v)以下、約0.05%(w/v)以下、約0.02%(w/v)以下、約0.01%(w/v)以下、約0.003%(w/v)以下、又は約0.001%(w/v)以下で存在する。上記の範囲を組み合わせることも可能である(例えば、0.5%(w/v)以上で5%(w/v)以下など)。他の範囲も可能である。
【0305】
ある実施形態では、ブロムフェナクの二価金属塩(例えば、ブロムフェナクカルシウム)は、本明細書に記載の組成物及び/又は製剤中に、約0.09%(w/v)以上で存在する。ある実施形態では、ブロムフェナクの二価金属塩(例えば、ブロムフェナクカルシウム)は、本明細書に記載の組成物及び/又は製剤中に、約0.5%(w/v)以上で存在する。ある実施形態では、ジクロフェナクFA、ケトロラクFA、又はこれらの金属塩(例えば、二価又は三価金属塩)は、本明細書に記載の組成物及び/又は製剤中に、約0.09%(w/v)以上で存在する。
【0306】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のブロムフェナクの二価金属塩又は他の医薬品のMPPを含む組成物及び/又は製剤は、眼に刺激を与えないpH(やや塩基性のpH(例えば、pH8)、生理学的pH(即ち、約pH7.4)、実質的に中性のpH(例えば、約pH7)、やや酸性のpH(例えば、約pH5−6)、又はこれらからなる範囲(例えば、約pH5−7又は6−7)など)を有してもよい。こうしたpHで、MPP、組成物、及び/又は製剤は、化学的及びコロイド的に安定であり得、また、いくつかの市販製剤と比較して眼の組織で長時間にわたり治療及び/又は予防に有効な薬剤レベルを実現し得る。さらに、本明細書に記載の利益は、いくつかの市販製剤と比較して、安全性を高めるため本治療の必要服用量を少なくし、及び/又は、眼の中央部及び眼底の疾患の治療のための局所送達を促進することに繋がり得る。
【0307】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法、粒子、組成物、及び/又は製剤は、対象の眼瞼炎を治療、診断、予防、又は管理するために使用され得る。眼瞼炎は、全年齢に影響を与えるよくみられる眼の障害で、瞼の炎症であり、瞼が、赤く、痒みを持ち、ヒリヒリするようになり、睫毛上にふけのような鱗屑がみられるようになる。この障害は細菌や皮膚疾患(例えば、ふけ又は酒渣)により引き起こされ得る。眼瞼炎の症状としては、ドライアイ、眼のゴロゴロした感覚又は焼けるような感覚、痒み、腫れて赤くなった瞼、過剰な涙、及び固くなった瞼などが挙げられる。より重篤な場合、眼瞼炎は、視界不良や他の眼組織(特に、角膜)の炎症を引き起こしかねない。
【0308】
一実施形態では、エタボン酸ロテプレドノールを含む本明細書に記載の方法、粒子、組成物、及び/又は製剤が、対象の眼瞼炎を治療、診断、予防、又は管理するために使用され得る。
【0309】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法、粒子、組成物、及び/又は製剤は、対象の緑内障を治療、診断、予防、又は管理するために使用され得る。緑内障は、視神経が特徴的なパターンで損傷を受ける眼病である。これは、影響を受けた眼の視覚に恒久的な損傷を与え、治療しない場合、失明に繋がるおそれがある。緑内障は、通常、眼内(房水)の体液圧力の増加と関連している。『高眼圧症』という用語は、付随する視神経損傷がなく、IOPが常に高い人に用いる。一方、『正常眼圧緑内障』又は『低眼圧緑内障』という用語は、視神経損傷と付随する視野欠損があり、IOPが正常又は低い人に用いる。
【0310】
この神経損傷は、特徴的なパターンでの網膜神経節細胞の喪失を伴う。緑内障には数多くの異なるサブタイプが存在するが、これらは全て視神経症の1タイプと考えることができる。眼圧上昇(例えば、21mmHg又は2.8kPa超)は、緑内障で最も重要且つ修正可能な危険因子である。しかし、長年眼圧が高くても損傷があらわれずにすむものもいる一方、比較的低い眼圧でも神経損傷があらわれてしまうものもいる。緑内障を治療しないでいると、視神経の恒久的損傷やその結果としての視野欠損に繋がりかねず、時間が経つと、失明に発展しかねない。
【0311】
現在の緑内障の治療としては、房水排出を増加させるプロスタグランジン類似体(例えば、Xalatan(登録商標)(0.005%ラタノプロスト)、Lumigan(登録商標)(0.03%及び0.01%ビマトプロスト)、Travatan Z(登録商標)(0004%トラボプロスト))、房水産生を減少させるベータブロッカー(例えば、Timoptic(登録商標)(0.5%及び0.25%チモロール))、房水産生を減少させ且つ房水排出を増加させるアルファアゴニスト(例えば、Alphagan(登録商標)(0.1%及び0.15%酒石酸ブリモニジン))、房水産生を減少させる炭酸脱水素酵素阻害薬(例えば、Trusopt(登録商標)(2%ドルゾラミド))、及び房水排出を増加させるコリン作動薬(縮瞳薬)(例えば、Isopto(登録商標)(1%、2%、及び4%ピロカルピン)の使用を挙げることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の粒子、製剤、及び組成物は、上述の課題を、薬剤の適切な組織への効率的送達の促進、及び、医薬品のクリアランスの回避及び/若しくは抑制により解決できる。例えば、本明細書に記載の粒子、組成物、及び/又は製剤は、上述の又は他の、プロスタグランジン類似体、ベータブロッカー、アルファアゴニスト、炭酸脱水素酵素阻害薬、コリン作動薬の1種以上を含んでもよく、また、粘液の浸透を促進する本明細書に記載の被膜を含み、医薬品の効率的送達を可能とするものであってもよい。
【0312】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法、粒子、組成物、及び/又は製剤は、対象のブドウ膜炎を治療、診断、予防、又は管理するために使用され得る。ブドウ膜炎は、網膜と白眼(強膜)の間に挟まれた眼の血管板、ブドウ膜の炎症である。ブドウ膜は、前眼部に向けて延び、虹彩、脈絡膜層、及び毛様体から構成される。最もよくみられるタイプのブドウ膜炎は、虹彩炎(前部ブドウ膜炎)と呼ばれる虹彩の炎症である。また、ブドウ膜炎は後眼部(例えば、脈絡膜)でも生じ得る。ブドウ膜の炎症は、再発する可能性があり、治療をしない場合、失明などの深刻な問題を引き起こしかねない(全世界では失明の原因の10%にのぼる)。ブドウ膜炎の合併症を予防するためには早期の診断と治療が重要である。
【0313】
現在のブドウ膜炎の治療としては、点眼薬(例えば、TobraDex(登録商標)(0.1%デキサメタゾン/0.3%トブラマイシン)及びZylet(登録商標)(0.5%エタボン酸ロテプレドノール/0.3%トブラマイシン))、ヒアルロン酸ナトリウム中の『ゲル懸濁液剤』の硝子体内注射(例えば、Trivaris(登録商標)(8%トリアムシノロンアセトニド))、カルボキシメチルセルロース及びTween80中の『水性懸濁液剤』の硝子体内注射(例えば、Triesence(登録商標)(4%トリアムシノロンアセトニド))、及びインプラント(例えば、Retisert(登録商標)(0.59mgフルオシノロンアセトニド)及びOzurdex(登録商標)(0.7mgデキサメタゾン))が挙げられる。また、経口ステロイド及びNSAIDも用いられる。ブドウ膜炎の新規治療法の開発には、後部ブドウ膜への非侵襲的送達、ブドウ膜の高度な脈管化によるクリアランス、長期のステロイド使用の副作用(IOP上昇や白内障など)など、さまざまな課題がある。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び/又は製剤は、対象に局所的に投与され得るこれらの薬剤の1種以上を含んでもよい。
【0314】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法、粒子、組成物、及び/又は製剤は、対象の加齢性黄斑変性症(AMD)を治療、診断、予防、又は管理するために使用され得る。AMDは、普通高齢者でみられ、網膜の損傷により視野中央(黄斑)の視界欠損に繋がる病状である。AMDには『乾燥型』及び『湿潤型』がある。AMDは高齢者(50歳超)での失明と視力障害の主な原因である。黄斑変性は、表情を読んだり認識したりすることを困難又は不可能にしかねないが、他の活動が可能な程度には十分な周辺視野が維持される。黄斑は、網膜の中心部であり、最も精細な中心視野をもたらす。乾燥型(非滲出型)では、ドルーゼンと呼ばれる細胞残屑が網膜と脈絡膜の間に蓄積し、網膜が剥離してしまう可能性がある。より重篤な湿潤型(滲出型)では、網膜の裏側で脈絡膜から血管が成長し、やはり、網膜が剥離してしまう可能性がある。AMDは、レーザー光凝固や、血管成長を止め、また、時として逆転させる薬により治療できる。若者にみられる黄斑変性も時として『黄斑変性症』と呼ばれるが、この用語は通常加齢性黄斑変性症(AMD又はARMD)のことを指す。
【0315】
加齢性黄斑変性症は、網膜色素上皮とその下の脈絡膜との間にある黄斑内の特徴的な黄色の沈着物(ドルーゼン)とともに始まる。(加齢性黄斑症とも呼ばれる)こうした早期の変化を有する人々の多くの視力は良好である。ドルーゼンを有する人々には、次に、進行性AMDがあらわれる可能性がある。このリスクは、ドルーゼンが大きく数が多いほど顕著に高まり、黄斑の下の色素細胞層の障害と関連している。最近の研究では、大きく柔らかいドルーゼンが、コレステロール沈着の亢進と関連しており、コレステロール降下剤に応答するかもしれないことが示唆されている。
【0316】
AMDの治療法の候補としては、ベルテポルフィン(例えば、Chlorin(登録商標)、Visudyne(登録商標))、サリドマイド(例えば、Ambiodry(登録商標)、Synovir(登録商標)、Thalomid(登録商標))、タラポルフィンナトリウム(例えば、Aptocine(登録商標)、Laserphyrin(登録商標)、Litx(登録商標))、ラニビズマブ(例えば、Lucentis(登録商標))、ペガプタニブ八ナトリウム(例えば、Macugen(登録商標)、Macuverse(登録商標))、イソプロピルウノプロストン(例えば、Ocuseva(登録商標)、Rescula(登録商標))、インターフェロンベータ(例えば、Feron(登録商標))、フルオシノロンアセトニド(例えば、Envision TD(登録商標)、Retisert(登録商標))、エベロリムス(例えば、Afinitor(登録商標)、Certican(登録商標)、Votubia(登録商標)、Zortress(登録商標))、エクリズマブ(例えば、Solaris(登録商標)、Soliris(登録商標))、デキサメタゾン(例えば、Osurdex(登録商標)、Ozurdex(登録商標)、Posurdex(登録商標)、Surodex(登録商標))、カナキヌマブ(例えば、Ilaris (登録商標))、bromfenac(Bromday(登録商標))、オフサルミック(例えば、Bronac(登録商標)、Bronuck(登録商標)、Xibrom(登録商標)、Yellox(登録商標))、ブリモニジン(例えば、Alphagan(登録商標)、Bromoxidine(登録商標)、Enidin(登録商標))、酢酸アネコルタブ(例えば、Retaane(登録商標)、Edex(登録商標)、Prostavasin(登録商標)、Rigidur(登録商標)、Vasoprost(登録商標)、Viridal(登録商標))、アフリベルセプト眼科用液剤(例えば、Eyelea(登録商標)、Eylea(登録商標)、VEGF−Trap−Eye(登録商標))、オクリプラスミン(例えば、Iluvien(登録商標)、Medidur(登録商標)、Medidur FA(登録商標))、シロリムス(例えば、Perceiva(登録商標))、NT−501、KH−902、フォスブレタブリントロメタミン(例えば、Zybrestat(登録商標))、AL−8309、aganirsen(例えば、Norvess(登録商標))、ボロシキシマブ(例えば、Opthotec(登録商標))、トリアムシノロン(例えば、Icon Bioscience)、TRC−105、Burixafor(例えば、TG−0054)、TB−403(例えば、R−7334)、スクアラミン(例えば、Evizon(登録商標))、SB−623、S−646240、RTP−801i−14(例えば、PF−4523655)、RG−7417(例えば、FCFD−4514S)、AL−78898A(例えば、POT−4)、PG−11047(例えば、CGC−11047)、パゾパニブ塩酸塩、sonepcizumab(例えば、Asonep(登録商標)、Sphingomab(登録商標))、パデリポルフィン(例えば、Stakel(登録商標))、OT−551、オンテシズマブ、NOX−A12、hCNS−SC、Neu−2000、NAFB001、MA09−hRPE、LFG−316、iCo−007(例えば、ISIS−13650)、hI−con1、GSK−933776A、GS−6624(例えば、AB−0024)、ESBA−1008、エピタロン、E−10030(例えば、ARC−127)、ダランテルセプト、MP−0112、CNTO−2476、CERE−120、AAV−NTN、CCX−168、ブリモニジン−DDS、ベバシラニブナトリウム(例えば、Cand5)、ベルチリムマブ、AVA−101、ALG−1001、AL−39324、AGN−150998、ACU−4429、A6(例えば、Paralit(登録商標))、TT−30、sFLT−01遺伝子治療、RetinoStat(登録商標)、PRS−050(例えば、Angiocal(登録商標))、PF−4382923、Palomid−529、MC−1101、GW−824575、Dz13(例えば、TRC−093)、D93、CDX−1135(例えば、TP10)、ATL−1103、ARC−1905、XV−615、湿潤型AM抗体(例えば、pSivida)、VEGF/rGel、VAR−10200、VAL−566−620−MULTI、TKI、TK−001、STP−601、乾燥型AMD幹細胞治療(例えば、EyeCyte)、OpRegen、SMT−D004、SAR−397769、RTU−007、RST−001、RGNX−004、RFE−007−CAI、網膜変性プログラム(例えば、Orphagen)、網膜細胞(例えば、ISCO)、ReN003、PRM−167、ProDex、光スイッチ(例えば、Photoswitch Biosciences)、パーキンソン症治療、OMS−721、OC−10X、NVAT.08、NT−503、NAFB002、NADPHオキシダーゼ阻害薬(例えば、Alimera Sciences)、MC−2002、クコ抗血管新生プロテオグリカン、IXSVEGF、インテグリン阻害薬、GW−771806、GBS−007、Eos−013、EC−400、乾燥型AMD治療(例えば、Neuron Systems)、CGEN−25017、CERE−140、AP−202、AMD治療(例えば、Valens Therapeutics)、AMD治療(例えば、Amarna Therapeutics)、AMDのRNAi治療(例えば、RXi)、ALK−001、AMD治療(例えば、Aciont)、AC−301、4−IPP、亜鉛−モノシステイン錯体(例えば、Adeona)、バタラニブ、TG−100−344、プリノマスタット、PMX−53、ネオバスタット、メカミラミン、JSM−6427、JPE−1375、CereCRIB、BA−285、ATX−S10、AG−13958、ベルテポルフィン/αvβ3複合体、VEGF/rGel、VEGF−サポリン、VEGF−R2アンタゴニスト(例えば、Allostera)、VEGF阻害薬(例えば、Santen)、VEGFアンタゴニスト(例えば、Ark)、Vangiolux(登録商標)、トリフェニルメタン(例えば、Alimera)、TG−100−801、TG−100−572、TA−106、T2−TrpRS、SU−0879、幹細胞治療(例えば、Pfizer及びUCL)、SOD模倣薬(例えば、Inotek)、SHEF−1、ロスタポルフィン(例えば、Photrex(登録商標)、Purlytin(登録商標)、SnET2)、RNA干渉(例えば、Idera及びMerck)、rhCFHp(例えば、Optherion)、retino−NPY、網膜色素変性症治療(例えば、Mimetogen)、AMD遺伝子治療(例えば、Novartis)、網膜遺伝子治療(例えば、Genzyme)、AMD遺伝子治療(例えば、Copernicus)、網膜ジストロフィー治療(例えば、Fovea及びGenzyme)、Ramot project No.K−734B、PRS−055、ブタRPE細胞(例えば、GenVec)、PMI−002、PLG−101(例えば、BiCentis(登録商標))、PJ−34、PI3K複合体(例えば、Semafore)、PhotoPoint、Pharmaprojects No. 6526、ペガプタニブナトリウム(例えば、SurModics(登録商標))、PEDF ZFP TF、PEDF遺伝子治療(例えば、GenVec)、PDS−1.0、PAN−90806、Opt−21、OPK−HVB−010、OPK−HVB−004、眼科用薬(例えば、Cell NetwoRx)、眼科用化合物(例えば、AstraZenca及びAlcon)、OcuXan、NTC−200、NT−502、NOVA−21012、Neurosolve(登録商標)、神経保護薬(例えば、BDSI)、MEDI−548、MCT−355、McEye(登録商標)、LentiVue(登録商標)、LYN−002、LX−213、ルテチウムテキサフィリン(例えば、Antrin(登録商標))、LG−339阻害薬(例えば、Lexicon)、KDRキナーゼ阻害薬(例えば、Merck)、ISV−616、INDUS−815C、ICAM−1アプタマー(例えば、Eyetech)、ヘッジホッグアンタゴニスト(例えば、Opthalmo)、GTx−822、GS−102、グランザイムB/VEGF(登録商標)、遺伝子治療(例えば、EyeGate)、GCS−100類似体プログラム、FOV−RD−27、線維芽細胞増殖因子(例えば、Ramot)、フェンレチニド、F−200(例えば、Eos−200−F)、Panzem SR(登録商標)、ETX−6991、ETX−6201、EG−3306、Dz−13、ジスルフィラム(例えば、ORA−102)、ジクロフェナク(例えば、Ophthalmopharma)、ACU−02、CLT−010、CLT−009、CLT−008、CLT−007、CLT−006、CLT−005、CLT−004、CLT−003(例えば、Chirovis(登録商標))、CLT−001、Cethrin(登録商標)(例えば、BA−210)、セレコクシブ、CD91アンタゴニスト(例えば、Ophthalmophar)、CB−42、BNC−4、ベストロフィン、バチマスタット、BA−1049、AVT−2、AVT−1、atu012、Ape1プログラム(例えば、ApeX−2)、抗VEGF(例えば、Gryphon)、AMD ZFPs(例えば、ToolGen)、AMD治療(例えば、Optherion)、AMD治療(例えば、ItherX)、乾燥型AMD治療(例えば、Opko)、AMD治療(例えば、CSL)、AMD治療(例えば、Pharmacopeia及びAllergan)、AMD治療タンパク質(例えば、ItherX)、AMDのRNAi治療(例えば、BioMolecular Therapeutics)、AM−1101、ALN−VEG01、AK−1003、AGN−211745、ACU−XSP−001(例えば、Excellair(登録商標))、ACU−HTR−028、ACU−HHY−011、ACT−MD(例えば、NewNeural)、ABCA4モジュレータ(例えば、Active Pass)、A36(例えば、Angstrom)、267268(例えば、SB−267268)、ベバシズマブ(例えば、Avastin(登録商標))、アフリベルセプト(例えば、Eylea(登録商標))、131−I−TM−601、バンテタニブ(例えば、Caprelsa(登録商標)、Zactima(登録商標)、Zictifa(登録商標))、スニチニブリンゴ酸塩(例えば、Sutene(登録商標)、Sutent(登録商標))、ソラフェニブ(例えば、Nexavar(登録商標))、パゾパニブ(例えば、Armala(登録商標)、Patorma(登録商標)、Votrient(登録商標))、アキシチニブ(例えば、Inlyta(登録商標))、チボザニブ、XL−647、
RAF−265、ペグジネタニブ(例えば、Angiocept(登録商標))、パゾパニブ、MGCD−265、イクルクマブ、ホレチニブ、ENMD−2076、BMS−690514、レゴラフェニブ、ラムシルマブ、プリチデプシン(例えば、Aplidin(登録商標))、オランチニブ、ニンテダニブ(例えば、Vargatef(登録商標))、モテサニブ、ミドスタウリン、リニファニブ、テラチニブ、レンバチニブ、エルパモチド、ドビチニブ、セジラニブ(例えば、Recentin(登録商標))、JI−101、カボザンチニブ、ブリバニブ、アパチニブ、Angiozyme(登録商標)、X−82、SSR−106462、レバスチニブ、PF−337210、IMC−3C5、CYC116、AL−3818、VEGFR2阻害薬(例えば、AB Science)、VEGF/rGel(例えば、Clayton Biotechnologies)、TLK−60596、TLK−60404、R84抗体(例えば、Peregrine)、MG−516、FLT4キナーゼ阻害薬(例えば、Sareum)、flt−4キナーゼ阻害薬、Sareum、DCC−2618、CH−330331、XL−999、XL−820、vatalanib、SU−14813、semaxanib、KRN−633、CEP−7055、CEP−5214、ZK−CDK、ZK−261991、YM−359445、YM−231146、VEGFR2キナーゼ阻害薬(例えば、Takeda)、VEGFR−2キナーゼ阻害薬(例えば、Hanmi)、VEGFR−2 antagonist(例えば、Affymax)、VEGF/rGel(例えば、Targa)、VEGF−TK阻害薬(例えば、AstraZeneca)、チロシンキナーゼ阻害薬(例えば、Abbott)、チロシンキナーゼ阻害薬(例えば、Abbott)、Tie−2キナーゼ阻害薬(例えば、GSK)、SU−0879、SP−5.2、ソラフェニブビーズ(例えば、Nexavar(登録商標) bead)、SAR−131675、Ro−4383596、R−1530、Pharmaprojects No.6059、OSI−930、OSI−817、OSI−632、MED−A300、L−000021649、KM−2550、キナーゼ阻害薬(例えば、MethylGene)、キナーゼ阻害薬(例えば、Amgen)、Ki−8751、KDRキナーゼ阻害薬(例えば、Celltech)、KDRキナーゼ阻害薬(例えば、Merck)、KDRキナーゼ阻害薬(例えば、Amgen)、KDR阻害薬(例えば、Abbott)、KDR阻害薬(例えば、LGLS)、JNJ−17029259、IMC−1C11、Flt 3/4抗癌剤(例えば、Sentinel)、EG−3306、DP−2514、DCC−2157、CDP−791、CB−173、c−kit阻害薬(例えば、Deciphera)、BIW−8556、抗癌剤(例えば、Bracco及びDyax)、anti−Flt−1 MAbs(例えば、ImClone)、AGN−211745、AEE−788、及びAB−434などの医薬品が挙げられる。
【0317】
また、レーザー治療が湿潤型AMDに利用可能である。小分子抗VEGF治療は、調査中ではあるが、現在承認されているものはない。AMDの新規治療法の開発には、治療法の識別、黄斑への送達、副作用、及び硝子体内注射の患者コンプライアンスなど、さまざまな課題がある。
【0318】
本明細書に記載の他の身体的疾患に加えて、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法、粒子、組成物、及び/又は製剤は、対象の黄斑浮腫(例えば、類嚢胞黄斑浮腫(CME)又は糖尿病黄斑浮腫(DME))を治療、診断、予防、又は管理するために使用され得る。CMEは、眼の中央網膜又は黄斑に影響する障害である。この疾患がある場合、多数の嚢胞様の(類嚢胞)流動領域が黄斑にあらわあれ、網膜の膨潤又は浮腫が引き起こされる。CMEは、網膜静脈閉塞症、ブドウ膜炎、及び/又は糖尿病などのさまざまな病気を伴うこともある。CMEは、一般的に、白内障手術の後に生じる。
【0319】
現在のところ、CMEの治療としては、NSAID(例えば、)の投与が挙げられる。NSAIDは、副腎皮質ステロイドと局所的又は硝子体内に共投与され得る。重篤で難治性のCMEの症例は、通常、副腎皮質ステロイドの硝子体内注射により治療されるが、これは侵襲的且つ高価格な手術である。
【0320】
DMEは、糖尿病患者の網膜内の血管が、精細な中央視野に関与する眼の部分である黄斑に漏れ始めたときに生じる。こうした漏出により、黄斑は厚く膨潤し、徐々に鋭敏であった視覚が歪められてゆく。膨潤は失明にまでは繋がらないかもしれないが、その結果として中央視野の重度の喪失が引き起こされるおそれがある。
【0321】
現在のところ、DMEの治療としては、不便で侵襲的なLucentis(登録商標)(ラニビズマブ)の注射が挙げられる。別のDME治療としては、レーザー光凝固術がある。レーザー光凝固術は、レーザーを用いて、漏れている血管を焼灼し、又は、浮腫を減らすためパターン上の焼き付けを施す網膜手術である。この手術は、周辺視野や暗視能力の部分的喪失をはじめとする望ましくない副作用を有する。
【0322】
上述の欠点のため、黄斑浮腫(例えば、CME又はDME)の治療及び/又は予防のための改良された製剤が必要とされている。NSAID(例えば、ブロムフェナクカルシウム)を含む本明細書に記載の粒子、組成物、及び/又は製剤は、眼への局所投与に適したpHで安定であり、黄斑浮腫の現在の治療法に関する上述の課題を解決することができる(例えば、実施例27−28を参照)。同様に、他の医薬品(例えば、エタボン酸ロテプレドノール)を含む本明細書に記載の粒子、組成物、及び/又は製剤も、黄斑浮腫(例えば、CME又はDME)の治療、予防、及び/又は管理に有効であり得る。
【0323】
本明細書に記載の粒子、組成物、及び/又は製剤は、様々な経路で眼に送達できる。こうした経路としては、これらに限定されるものではないが、任意の許容可能な形態での経口投与(例えば、錠剤、液剤、カプセル、粉末など)、任意の許容可能な形態での局所投与(例えば、パッチ、点眼薬、クリーム、ジェル、噴霧、涙点プラグ、薬剤溶出コンタクト、イオントフォレシス、及び軟膏など)、任意の許容可能な形態での注射(例えば、静脈、腹腔、筋肉、皮下、非経口、及び硬膜外注射)、インプラント又はリザーバーの使用(例えば、皮下ポンプ、髄腔内ポンプ、座薬、生分解性送達システム、非生分解性送達システム、及びその他の徐放(extended or slow release)装置又は製剤)などが挙げられる。
【0324】
注射による眼への粒子、組成物、及び/又は製剤の投与は、侵襲的な(患者に不快感を与え、治療目標の病気よりも深刻な合併症を招きかねない)ものであり、また、経口服用は、眼への粒子、組成物、及び/又は製剤の分布が少なくなりがちであることを理由の一つとして、いくつかの実施形態では、局所送達が好まれ得る。局所送達の主要な利点としては、非侵襲的特性、全身暴露の少ない局所的作用、比較的に患者に優しい、そして、投与が簡易といった点が挙げられる。
【0325】
コンプライアンスは、患者が点眼剤の摂取を忘れやすいことから、点眼剤の投与が身体的に困難であったり、不快な副作用があることまで、広範な要因に起因する問題である。他の問題としては、薬剤の急速なクリアランスと全身暴露が挙げられる。
【0326】
本明細書に記載の通り、いくつかの実施形態では、粒子、組成物、及び/又は製剤は、対象の眼に局所的に投与されてもよく、医薬品は、眼後部(例えば、網膜、脈絡膜、硝子体、及び視神経)に送達され得る。粒子、組成物、及び/又は製剤は、加齢性黄斑変性症、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、網膜動脈閉塞症、黄斑浮腫、術後炎症、ブドウ膜炎、網膜炎、増殖性硝子体網膜症、及び緑内障などの障害の治療、診断、予防、又は管理に用いることができる。
【0327】
ある実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び方法は、眼のイメージングに役立つ。ある実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び方法は、眼疾患の診断に役立つ。
【0328】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬品の眼への送達としては、眼表面への送達、涙腺又は導涙系への送達、瞼への送達、前眼部への送達、後眼部への送達、及び/又は、眼周囲空間への送達が挙げられる。ある実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、角膜、虹彩/毛様体、房水、硝子体液、網膜、脈絡膜、及び/又は強膜に送達することができる。本明細書に記載の医薬組成物を送達することによる治療効果は、粘液浸透性として本明細書で識別されていない粒子を送達することによる効果と比較して、改善され得る。
【0329】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び/又は方法により眼に送達される医薬品は、副腎皮質ステロイドであってもよい。ある実施形態では、医薬品はエタボン酸ロテプレドノールである。ある実施形態では、医薬品として、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、チキソコルトール、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、モメタゾン、アムシノニド、ブデソニド、デソニド、フルオシノニド、フルオシノロン、ハルシノニド、ベータメタゾン、デキサメタゾン、フルオコルトロン、アクロメタゾン、プレドニカルベート、クロベタゾン、クロベタゾール、フルプレドニデン、糖質コルチコイド、鉱質コルチコイド、アルドステロン、デオキシコルチコステロン、フルドロコルチゾン、ハロベタゾール、ジフロラゾン、デソキシメタゾン、フルチカゾン、フルランドレノリド、アルクロメタゾン、ジフルコルトロン、フルニソリド、及びベクロメタゾンの1種以上が挙げられる。
【0330】
ある実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び方法は、眼の炎症の治療のために上述のものなどの副腎皮質ステロイドを眼に送達することに役立つ。ある実施形態では、粒子、組成物、及び方法は、黄斑変性、黄斑浮腫、他の網膜障害、又は本明細書に記載の他の疾患の治療のために副腎皮質ステロイドを眼に送達することに役立つ。
【0331】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び方法により眼に送達される医薬品は、非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)であってもよい。ある実施形態では、医薬品はブロムフェナクの二価金属塩(例えば、ブロムフェナクカルシウム)である。ある実施形態では、医薬品はジクロフェナク(例えば、ジクロフェナク遊離酸又はその二価若しくは三価金属塩)である。ある実施形態では、医薬品はケトロラク(例えば、ケトロラク遊離酸又はその二価若しくは三価金属塩)である。ある実施形態では、医薬品はサリチレート(例えば、アスピリン(アセチルサリチル酸)、ジフルサニル、又はサルサレート)である。ある実施形態では、医薬品はプロピオン酸誘導体(例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、デクスケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、及びロキソプロフェン)である。ある実施形態では、医薬品は酢酸誘導体(例えば、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ジクロフェナク、及びナブメトン)である。ある実施形態では、医薬品はエノール酸(オキシカム)誘導体(例えば、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、及びイソオキシカム)である。ある実施形態では、医薬品はフェナム酸誘導体(フェナメート)(例えば、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、及びトルフェナム酸)である。ある実施形態では、医薬品はシクロオキシゲナーゼ(cox)阻害薬(例えば、ブロムフェナクカルシウム)である。ある実施形態では、医薬品は選択的cox−2阻害薬(coxib)(例えば、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、及びフィロコキシブ)である。ある実施形態では、医薬品はスルホンアニリド(例えば、ニメスリド)である。ある実施形態では、医薬品はリコフェロンである。
【0332】
ある実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び方法は、眼の炎症や本明細書に記載の他の疾患の治療のために上述のものなどのNSAIDを眼に送達することに役立つ。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び方法により眼に送達される医薬品は、血管新生阻害薬であってもよい。ある実施形態では、医薬品は内因性血管新生阻害薬(例えば、VEGFR−1(例えば、パゾパニブ(Votrient(登録商標))、セジラニブ(Recentin(登録商標))、チボザニブ(AV−951)、アキシチニブ(Inlyta(登録商標))、セマキシニブ)、HER2(ラパチニブ(Tykerb(登録商標)、Tyverb(登録商標))、リニファニブ(ABT−869)、MGCD−265、及びKRN−633)、VEGFR−2(例えば、レゴラフェニブ(BAY73−4506)、テラチニブ(BAY57−9352)、バタラニブ(PTK787、PTK/ZK)、MGCD−265、OSI−930、及びKRN−633)、NRP−1、アンジオポエチン2、TSP−1、TSP−2、アンギオスタチン、エンドスタチン、バソスタチン、カルレチクリン、血小板第4因子、TIMP、CDAI、Meth−1、Meth−2、IFN−α、IFN−β、IFN−γ、CXCL10、IL−4、IL−12、IL−18、プロトロンビン(クリングルドメイン2)、アンチトロンビンIII断片、プロラクチン、VEGI、SPARC、オステオポンチン、マスピン、カンスタチン、プロリフェリン関連タンパク質、ソラフェニブ(Nexavar(登録商標)))、及びレスチン)である。ある実施形態では、医薬品は外因性血管新生阻害薬(例えば、ベバシズマブ、イトラコナゾール、カルボキシアミドトリアゾール、TNP−470、CM101、IFN−α、IL−12、血小板第4因子、スラミン、SU5416、トロンボスポンジン、VEGFRアンタゴニスト、血管新生抑制ステロイド+ヘパリン、軟骨由来血管新生阻害因子、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害薬、アンギオスタチン、エンドスタチン、2−メトキシエストラジオール、テコガラン、テトラチオモリブデート、サリドマイド、トロンボスポンジン、プロラクチン、αVβ3阻害薬、リノミド、及びタスキニモド)である。
【0333】
ある実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び方法は、黄斑変性や本明細書に記載の他の疾患の治療のために上述のものなどの血管新生阻害薬を眼に送達することに役立つ。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び方法により眼に送達される医薬品は、プロスタグランジン類似体であってもよい。ある実施形態では、医薬品は、ラタノプロスト、トラボプロスト、ウノプロストン、又はビマトプロストである。
【0334】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び/又は製剤中の医薬品はRTK阻害薬である。ある実施形態では、医薬品はソラフェニブである。例えば、実施例21、25、及び29で詳細に記載するように、本明細書に記載の表面改変剤を含むソラフェニブの粒子の投与は、ウサギのさまざまな眼の組織(例えば、眼底の組織)で、適切な表面改変剤を含まない等価量のソラフェニブの粒子と比較して、著しく高いソラフェニブレベルを示した。
【0335】
ある実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び又は製剤中の医薬品はリニファニブである。例えば、実施例29で詳細に記載するように、リニファニブを含有するMPPの投与はウサギの眼底でのリニファニブの暴露を増進する。
【0336】
ある実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び又は製剤中の医薬品はMGCD−265である。例えば、実施例30で詳細に記載するように、MGCD−265を含有するMPPの投与はウサギの眼底で治療に関連する程度のMGCD−265のレベルを示した。
【0337】
ある実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び又は製剤中の医薬品はパゾパニブである。例えば、実施例30で詳細に記載するように、パゾパニブを含有するMPPの投与はウサギの眼底で治療に関連する程度のパゾパニブのレベルを示した。
【0338】
ある実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び又は製剤中の医薬品はセジラニブである。例えば、実施例31で詳細に記載するように、セジラニブMPPの単回局所投与は24時間の間ウサギの眼底で治療に関与する程度のセジラニブのレベルを示した。
【0339】
ある実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び又は製剤中の医薬品はアキシチニブである。例えば、実施例32及び33で詳細に記載するように、アキシチニブMPPの単回局所投与は24時間の間うさ具の眼底で治療に関与する程度のアキシチニブのレベルを示し、また、アキシチニブMPPはウサギVEGF(血管内皮細胞増殖因子受容体)刺激モデルでの血管漏出を減少させた。
【0340】
上述した結果及び本明細書に記載の結果は、本明細書に記載の粒子、組成物、及び/又は製剤を局所投与することで、眼への注射が必須のものなどの市販の製剤と比較して、AMD、他の網膜障害、又は本明細書に記載の他の疾患の治療における治療効果をあげ、それを維持することができるということを示唆している。
【0341】
ある実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び方法は、緑内障や本明細書に記載の他の疾患の治療のために上述のものなどのプロスタグランジン類似体を眼に送達することに役立つ。
【0342】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び方法により眼に送達される医薬品は、ベータブロッカーであってもよい。ある実施形態では、医薬品は非選択的ベータブロッカー(例えば、アルプレノロール、ブシンドロール、カルテオロール、カルベジロール、ラベタロール、ナドロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロプラノロール、ソタロール、チモロール、及び杜仲樹皮)である。ある実施形態では、医薬品はβ1選択的ブロッカー(例えば、アセブトロール、アテノロール、ベタキソール、ビソプロロール、セリプロロール、エスモロール、メトプロロール、及び)である。ある実施形態では、医薬品はβ2選択的ブロッカー(例えば、ブタキサミン及びICI−118551)である。ある実施形態では、医薬品はβ3選択的ブロッカー(例えば、SR59230A)である。
【0343】
ある実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び方法は、緑内障や本明細書に記載の他の疾患の治療のために上述のものなどのベータブロッカーを眼に送達することに役立つ。
【0344】
ある実施形態では、本発明に係る粒子、組成物、及び方法により眼に送達される医薬品は、炭酸脱水素酵素阻害薬であってもよい。ある実施形態では、医薬品はアセタゾラミド、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、及びチモロール又はメタゾラミドである。
【0345】
ある実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び方法は、緑内障や本明細書に記載の他の疾患の治療のために上述のものなどの炭酸脱水素酵素阻害薬を眼に送達することに役立つ。本明細書に記載のように、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び/又は製剤は、既存の粒子、組成物、及び/又は製剤と比較して、対象の眼に局所投与される医薬品の投与後の時間に対する注目する眼組織内の薬剤濃度の曲線下面積(AUC)で定めた眼での生体利用効率を改善し又は増加させることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的には、粒子に粘液浸透性を付与する、医薬品を含む核粒子上の被膜のおかげで、医薬品の眼での生体利用効率は、問題の被覆粒子と同程度の大きさだが被膜を含まない医薬品の粒子と比較して、増加し得る。
【0346】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び/又は製剤は、医薬品の眼での生体利用効率を、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約100%以上、約150%以上、約200%以上、約5倍以上、約10倍以上、約20倍以上、約50倍以上、約100倍以上、約500倍以上、又は約1000倍以上だけ増加させる。ある実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び/又は製剤は、医薬品の眼での生体利用効率を、約1000倍以下、約500倍以下、約100倍以下、約50倍以下、約20倍以下、約10倍以下、約5倍以下、約200%以下、約150%以下、約100%以下、約90%以下、約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、又は約10%以下だけ増加させる。上記の範囲を組み合わせることも可能である(例えば、約10%以上で10倍以下の増加など)。他の範囲も可能である。いくつかの場合、医薬品のAUCは前眼部の組織及び/又は体液で増加する。別の場合、医薬品のAUCは眼底の組織及び/又は体液で増加する。
【0347】
一般的に、眼での生体利用効率の増加は、注目する眼組織で計測したAUCの差を試験組成物と対照組成物との間で取り、対象組成物の生体利用効率で割ることで計算することができる。試験組成物は医薬品を含む粒子を含んでもよく、この粒子は粘液浸透性(例えば、粘液中で約0.5超の相対速度又は本明細書に記載のその他の相対速度を有すること)を特徴とするものであってもよい。対照組成物は試験組成物に存在するのと同じ医薬品を含み、試験組成物のものと実質的に同じ大きさだが粘液浸透性ではない(例えば、粘液中で約0.5以下の相対速度又は本明細書に記載のその他の相対速度を有する)粒子を含んでもよい。
【0348】
医薬品の眼での生体利用効率は適切な動物モデル(例えば、ニュージーランドシロウサギモデル)で計測できる。適切な眼の組織又は体液での医薬品の濃度、及び、適切であれば、その代謝産物の濃度は、投与後の時間に対する関数として計測される。
【0349】
医薬品の眼での生体利用効率を計測は別の方法でも可能である。
【0350】
本明細書に記載の通り、いくつかの実施形態では、眼の組織及び/又は体液での医薬品の濃度は、本明細書に記載の粒子、組成物、及び/又は製剤を用いて医薬品を(例えば、眼への局所投与により)送達する場合に、同じ医薬品を含む既存の粒子、組成物、及び/又は製剤を用いてい薬剤を送達する場合よりも(又は、問題の被覆粒子と同じだが被覆を含まない医薬品(例えば、同サイズのもの)を送達する場合よりも)増加し得る。ある実施形態では、一服の粒子、組成物、及び/又は製剤を投与し、その後、眼の組織及び/又は体液での医薬品の濃度を計測する。比較のため、本明細書に記載の粒子、組成物、及び/又は製剤の投与量に含まれる医薬品の量は、既存の粒子、組成物、及び/又は製剤の投与量に含まれるい薬剤の量と同程度又は実質的に等しいものであってもよい。ある実施形態では、眼の組織及び/又は体液での医薬品の濃度は、本明細書に記載の粒子、組成物、及び/又は製剤又は既存の粒子、組成物、及び/又は製剤の投与後一定の時間(『投与後時間』)を置いて計測される。ある実施形態では、濃度を計測する時間は、投与後、約1分、約10分、約30分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約18時間、約24時間、約36時間、又は約48時間である。
【0351】
いくつかの実施形態では、少なくとも部分的には、粒子に粘液浸透性を付与する、医薬品を含む核粒子上の被膜のおかげで、組織及び/又は体液での医薬品の濃度は、問題の被覆粒子と同じだが被膜を含まない医薬品(例えば、同サイズのもの)の粒子と比較して、増加し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び/又は製剤は、組織及び/又は体液での医薬品の濃度を、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約100%以上、約200%以上、約300%以上、約400%以上、約500%以上、約10倍以上、約20倍以上、約50倍以上、約100倍以上、約1000倍以上、約10
4倍以上、約10
5倍以上、又は約10
6倍以上だけ増加させる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の粒子、組成物、及び/又は製剤は、組織及び/又は体液での医薬品の濃度を、約10
6倍以上、約10
5倍以上、約10
4倍以上、1000倍、約100倍以上、約10倍以上、約500%以上、約400%以上、約300%以上、約200%以上、約100%以上、約90%以上、約80%以上、約70%以上、約60%以上、約50%以上、約40%以上、約30%以上、約20%以上、又は約10%以上だけ増加させる。上記の範囲を組み合わせることも可能である(例えば、約10%以上で90%以下の増加など)。他の範囲も可能である。いくつかの場合、医薬品の濃度は前眼部の組織及び/又は体液で増加する。別の場合、医薬品の濃度は眼底の組織及び/又は体液で増加する。
【0352】
医薬品の目(必要なら、その代謝物で、ふさわしくは目の体液や組織)における濃度は、適切な動物モデルを使って、体内での時間における作用として測定される場合がある。医薬品の目における濃度を決定する一つの方法は、関心事(例えば、患者と同等の動物)の組織を単離するための目の解剖を含む。そして、関心事の組織における医薬品の濃度は、HPLC又はLC/MS分析によって決定される。
【0353】
特定の実施形態において、ここで述べた粒子の投与と濃度又はAUCの測定の為のサンプルを得ることとの間の期間は、約1時間未満であり、約2時間未満又は等しく、約3時間未満又は等しく、約4時間未満又は等しく、約6時間未満又は等しく、約12時間未満又は等しく、約36時間未満又は等しく、又は約48時間未満又は等しい。特定の実施形態において、その期間は、少なくとも約1時間であり、少なくとも約2時間であり、少なくとも約3時間であり、少なくとも約4時間であり、少なくとも約6時間であり、少なくとも約8時間であり、少なくとも約12時間であり、少なくとも約36時間であり、又は少なくとも約48時間である。また、上記で言及した範囲での組み合わせは可能である(例えば、約3時間より多いか等しい連続的な投与と、約12時間未満か同等の連続的な投与の間の期間)。また、他の範囲は可能である。
【0354】
また、患者又は動物モデルの目における医薬品の濃度を測定する他の方法が可能である。いくつかの実施形態では、その医薬品の濃度は、直接的に又は間接的に(例えば、患者の目から硝子体液のような体液のサンプルを取ること)患者の目で測定される場合がある。
【0355】
一般に、目の位置における医薬品の濃度の増加は、それらの検査組成物とコントロール組成物の間で測定された濃度の差異をとり、その差異をコントロール組成物の濃度で割ることで計算される場合がある。検査組成物は、医薬品を構成する粒子を含む場合があり、そして、その粒子は、粘液浸透性(例えば、約0.5より大きい相対速度を持っており、又はここで述べた他の相対速度を持っている)として特徴づけられる場合がある。コントロール組成物は、検査組成物に存在する同じ医薬品を含む粒子であって、検査組成物のそれらと実質上似た大きさを持った粒子であるが、粘液浸透性(例えば、約0.5未満の相対速度を持っており、又はここで述べた他の相対速度を持っている)でない粒子を含む場合がある。
【0356】
ここで述べたように、いくらかの実施形態において、ここで述べた粒子、組成物、及び製剤、又はその成分を含まない目の組織に投与される医薬品と比較して、ここで述べた粒子、組成物、及び/又は製剤、又はその成分は、目の組織において医薬品の生物学的利用能、及び/又は濃度を増加させるのに十分な量が含まれている。
【0357】
その目の組織は、前部の目の組織(例えば、眼瞼結膜、眼球結膜、又は角膜)のようなここで述べた目の組織である場合がある。その医薬品は、コルチコステロイド(例えば、ロテプレドノールエタボネート)、RTK阻害物質(例えば、ソラフェニブ、リニファニブ、MGCD−265、パソパニブ、セジラニブ、そしてアキシチニブ)、NSAID(例えば、ブロムフェナクカルシウム)、又はcox阻害薬(例えば、ブロムフェナクカルシウム)のような、ここで述べたような適切な薬品である場合がある。特定の実施形態において、医薬品を構成する製剤のコア粒子は、目の組織において、その医薬品の生物学的利用能、及び/又は濃度を増加させるのに十分な量が存在する。特定の実施形態において、医薬品を構成する製剤の被覆のコア粒子は、目の組織において、その医薬品の生物学的利用能、及び/又は濃度を増加させるのに十分な量が存在する。特定の実施形態において、医薬品を構成する製剤の被覆のコア粒子は、目の組織に製剤を投与した後、少なくとも10分後、少なくとも20分後、少なくとも30分後、少なくとも1時間後、少なくとも2時間後、少なくとも3時間後、少なくとも4時間後、少なくとも6時間後、少なくとも9時間後、少なくとも12時間後、少なくとも18時間後、又は少なくとも24時間後に、目の組織において、その医薬品の濃度を増加させるのに十分な量が存在する。特定の実施形態において、医薬品を構成する製剤の被覆のコア粒子は、目の組織に製剤を投与した後、24時間未満又は同等後、18時間未満又は同等後、12時間未満又は同等後、9時間未満又は同等後、6時間未満又は同等後、4時間未満又は同等後、3時間未満又は同等後、2時間未満又は同等後、1時間未満又は同等後、30分未満又は同等後、20分未満又は同等後、又は10分未満又は同等後、目の組織において、その医薬品の濃度を増加させるのに十分な量が存在している。また、上記で言及した範囲での組み合わせが可能である(例えば、その医薬品の濃度は、少なくとも10分後であって、2時間未満又は同等後に増加する)。また、他の範囲が可能である。特定の実施形態において、医薬品を構成する製剤の被覆のコア粒子は、目の組織に製剤を投与した後、約30分後に、目の組織において医薬品の濃度を増加させるのに十分な量が存在する。
【0358】
ここで述べたように、いくらかの実施形態において、ここで述べた粒子、組成物、及び/又は製剤は、いろいろな形の服用で患者の目に局所的に投与される場合がある。例えば、ここで述べた粒子、組成物、及び/又は製剤は、一回の服用で投与される場合があり、又は一回の服用を複数回繰り返して投与される場合がある。単位服用は、医薬品のあらかじめ決められた量を構成するここで述べた粒子、組成物、及び/又は製剤の個別的な量である。いくらかの実施形態において、より少しの回数の服用(例えば、1/2、1/3、又は1/4の回数の服用)は、非被覆の粒子の使用の場合と比較して、被覆性の粘液浸透性を持つここで述べた粒子の使用の場合に必要とされる。
【0359】
治療上又は予防上の効果を達成する為に必要なここで述べた粒子、組成物、及び/又は製剤の正確な総量は、例えば、生物種、年齢、そして患者の全身状態、副作用又は障害のひどさ、特定の化合物の同一性、投与の方法など、患者次第で変化する。ここで述べた粒子、組成物、及び/又は製剤は、連続的な服用期間で、繰り返しの投与により送達される場合がある。繰り返しの投与は、治療され、予防され、又は扱われる目の為に十分に長い間、医薬品の総量を治療上又は予防上効果的に目に晒すので有利な場合がある。特定の実施形態において、連続的な服用期間は、約1時間未満又は同等であり、約2時間未満又は同等であり、約3時間未満又は同等であり、約4時間未満又は同等であり、約6時間未満又は同等であり、約12時間未満又は同等であり、約36時間未満又は同等であり、又は約48時間未満又は同等である。特定の実施形態において、連続的な服用期間は、少なくとも約1時間であり、少なくとも約2時間であり、少なくとも約3時間であり、少なくとも約4時間であり、少なくとも約6時間であり、少なくとも約12時間であり、少なくとも約36時間であり、又は 少なくとも約48時間である。また、上記で言及した範囲での組み合わせは可能である(例えば、約3時間より多く又は同等であり、そして約12時間未満又は同等である連続的な服用期間)。また、他の範囲は可能である。
【0360】
目の組織へのここで述べた粒子、組成物、及び/又は製剤の配送は、投与(例えば、局部的な投与又は直接噴射による投与)後の拡大期間において、目の組織において、目に有効な薬剤のレベルを生じさせる場合がある。目に有効な薬剤のレベルは、目の組織の望ましい生物学的反応を引き出す、即ち、目の病気の治療のために十分な総量に関する。当業者による評価として、目に有効な薬剤のレベルは、望ましい生物学的終了点、その薬剤の薬物動態、治療される目の病気、投与の方法、その患者の年齢そして健康状態のような要因によって変化する場合がある。特定の実施形態において、目に有効な薬剤のレベルは、単独で,又は目の状態を治療する治療利益を供給する他の療法と組み合わせた薬剤の総量である。目に有効な薬剤のレベルは、全体的な治療の改良、目の状態の症状又は原因の軽減又は回避、又は他の治療薬の治療効果を高めるレベルを含む場合がある。
【0361】
いくらかの実施形態において、目に有効な薬剤のレベルは、少なくとも一部分における、投与後の目の組織での医薬品の最大濃度(C
max)によって判断される場合がある。場合によっては、目の組織へのここで述べた医薬品を構成する粒子、組成物、及び/又は製剤の送達は、市販の粒子、組成物、そして製剤の同程度の服用と比較して、投与後における目の組織での医薬品のより高いC
maxに帰着する場合がある。特定の実施形態において、ここで述べた粒子、組成物、及び/又は製剤の投与から得たC
maxは、市販の粒子、組成物、及び/又は製剤の投与で得られるC
maxより高く、少なくとも約3%、少なくとも約10%、少なくとも約30%、少なくとも約100%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なくとも約400%、少なくとも約500%、少なくとも約1000%、又は少なくとも約3000%である。特定の実施形態において、ここで述べた粒子、組成物、及び/又は製剤の投与から得たC
maxは、市販の粒子、組成物、及び/又は製剤の投与で得られるC
maxより高く、約3000%未満又は同等であり、約1000%未満又は同等であり、約500%未満又は同等であり、約400%未満又は同等であり、約300%未満又は同等であり、約200%未満又は同等であり、約100%未満又は同等であり、約30%未満又は同等であり、約10%未満又は同等であり、又は約3%未満又は同等である。また、上記で言及した範囲での組み合わせは可能である(例えば、少なくとも約30%であって、約500%未満又は同等のC
maxの増加)。また、他の範囲は可能である。
【0362】
いくらかの実施形態において、目に有効な薬剤のレベルは、少なくとも一部で、その薬剤の最小限有効な濃度、例えばその技術で知られるIC
50又はIC
90で判断される。
【0363】
特定の実施形態で、目に有効な薬剤のレベル(又はC
max、IC
50、又はIC
90)は、数時間から数日であってもよい投与後の拡大期間、目の組織に含まれてる。特定の実施形態において、投与後の拡大期間は、少なくとも1時間であり、少なくとも2時間であり、少なくとも4時間であり、少なくとも6時間であり、少なくとも9時間であり、少なくとも12時間であり、少なくとも1日であり、少なくとも2日であり、少なくとも3日であり、少なくとも4日であり、少なくとも5日であり、少なくとも6日であり、又は少なくとも1週間である。特定の実施形態において、投与後の拡大期間は、1週間未満又は同等であり、6日未満又は同等であり、5日未満又は同等であり、4日未満又は同等であり、3日未満又は同等であり、2日未満又は同等であり、1日未満又は同等であり、12時間未満又は同等であり、9時間未満又は同等であり、6時間未満又は同等であり、4時間未満又は同等であり、2時間未満又は同等であり、1時間未満又は同等である。また、上記で言及した範囲での組み合わせは可能である(例えば、少なくとも4時間であって、約1週間未満又は同等の期間)。また、他の範囲は可能である。
【0364】
特定の実施形態において、ここで述べた粒子、組成物、及び/又は製剤は、望まれる治療効果又は予防効果を得るために、患者の目に医薬品の効果的な総量を届けるのに十分な投薬量である場合がある。特定の実施形態において、適当な目の組織に送達される医薬品の効果的な総量は、組織の重さの少なくとも約10
−3ng/gであり、少なくとも約10
−2ng/gであり、少なくとも約10
−1ng/gであり、少なくとも約1ng/gであり、少なくとも約10
1ng/gであり、少なくとも約10
2ng/gであり、少なくとも約10
3ng/gであり、少なくとも約10
4ng/gであり、少なくとも約10
5ng/gであり、又は少なくとも約10
6ng/gである。特定の実施形態において、その目に送達される医薬品の効果的な総量は、組織の重さの約10
6ng/g未満又は同等であり、約10
5ng/g未満又は同等であり、約10
4ng/g未満又は同等であり、約10
3ng/g未満又は同等であり、約10
2ng/g未満又は同等であり、約10
1ng/g未満又は同等であり、約1ng/g未満又は同等であり、約10
−1ng/g未満又は同等であり、約10
−2ng/g未満又は同等であり、又は 約10
−3ng/g未満又は同等である。また、上記で言及した範囲での組み合わせは可能である(例えば、組織の重さの少なくとも約10
−2ng/gであって、約10
3ng/g未満又は同等である)。また、他の範囲は可能である。特定の実施形態において、ここで述べた粒子、組成物、及び/又は製剤は、望まれる治療効果又は予防効果を得るために、患者の目の後部に医薬品の効果的な総量を送達するのに十分な投薬量の場合がある。
【0365】
ここで述べた服用量の範囲は、大人への粒子、組成物、及び/又は製剤の投与の案内を供給するものと認識される。例えば、投与される量は、子供又は若者の場合は医師や当業者によって決定される場合があり、大人への投薬量と同じ又は少ない場合がある。
【0366】
ここで述べた粒子、化合物、及び/又は製剤は、いくらかの方法、例えば、点滴薬、粉末、軟膏又はクリームにより、局所的に投与される場合がある。また、他の近似した又は種類の投与は可能である。
【0367】
特定の実施形態において、ここで述べた組成物、及び/又は製剤は、安定した懸濁液として使用されるように包装されている。点眼製剤は、慣例上、(標準的な適量の液体が分配された)点滴ボトル、又は(局所的で保存力のある自由量の点滴薬、すなわち1度使用されて、処分される)個々の点滴器に包装される場合がある液体製剤(溶液又は懸濁液)である。これらの製剤は、使用の準備が整えられており、その人自身で投与できる。いくらかの場合、そのボトルは、製剤の均質性を確保するために使用の前に振られるべきだが、他の準備は必要でない場合がある。これは、目に送達するのに最も単純で便利な方法である場合がある。ここで述べた組成物、及び/又は製剤は、慣習上の点眼製剤として同じ方法で包装される場合がある。それらは、懸濁液に保存される場合があり、そして、その粒子が粘液に付着するのを避ける特質を保持する場合がある。
【0368】
その医薬品は、ここで述べたこれらの医薬品の一つである場合がある。特定の実施形態において、その医薬品は、非ステロイド性抗炎症薬、RTK抑制剤、cox阻害剤、コルチコステロイド、血管新生阻害剤、プロスタグランジン類、β遮断薬、又は炭酸脱水酵素阻害薬である。特定の実施形態において、その医薬品は、ロテプレドノールエタボネートである。特定の実施形態において、その医薬品は、ソラフェニブである。特定の実施形態において、その医薬品は、リニファニブである。特定の実施形態において、その医薬品は、MGCD−265である。特定の実施形態において、その医薬品は、パゾパニブである。特定の実施形態において、その医薬品は、セジラニブである。特定の実施形態において、その医薬品は、アキシチニブである。特定の実施形態において、その医薬品は、ブロムフェナク(例えば、ブロムフェナクカルシウム)の2価の金属塩である。特定の実施形態において、その医薬品は、ブロムフェナクベリリウム、ブロムフェナクマグネシウム、ブロムフェナクストロンチウム、又はブロムフェナクバリウム、ブロムフェナク亜鉛、又はブロムフェナク銅(II)である。また、他の医薬品は、可能である。
【0369】
本願発明のこれらの及び他の性質は、特定の実施形態を説明する次の実施例により、さらに認識されるが、本願発明を限定するものではない。
【実施例】
【0370】
(実施例1)
以下に、粘液浸透性の粒子中に非重合固体粒子を形成する方法について述べるが、この方法に限定されるものではない。疎水性の天然の蛍光性化合物であるピレンは、コア粒子として使用され、様々な表面改変剤の存在下での製粉工程により調剤された。その表面活性剤は、そのコア粒子の周りに被覆を形成した。種々の表面改変剤は、浸透する粘液中の被覆粒子の有効性を測定するのに評価された。
【0371】
ピレンは、特定の表面改変剤が1)数百ナノメーターに粒子サイズを減少させるのを促進できるかどうか、2)粘液成分で粒子の相互作用を最小にし、粘液の付着を妨げる粘液不活性な被覆で発生したナノ粒子の表面を物理的に(非共有結合で) 覆うことができるかどうかを決定する為に、様々な表面改変剤の存在下で、水性分散体中で製粉された。これらの実験で、その表面改変剤は、そのコア粒子の周りを被覆して、その生成された粒子は、粘液中での移動性を分析され、他の実施形態ではあるが、その表面改変剤は、粘液中で、その粒子の移動性を増加させる他の表面改変剤に変換される場合がある。その分析された表面改変剤は、(ポリ(エチレンオキシド))−(ポリ(プロピレンオキシド))−(ポリ(エチレンオキシド))ブロック共重合体(Pluronics(登録商標))、ポリビニルピロリドン(Kollidon)、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(メチルセルロース)等のような薬剤的に関連した賦形剤を含む表2に載っている様々なポリマー、オリゴマー、及び低分子を含んだ。
【0372】
表2.典型的な化合物としてピレンとともに検査された表面改変剤
【表6-1】
【表6-2】
【0373】
上述のピレンを含む水性分散体とその表面改変剤の一つは、粒子サイズが500nm未満に減らされるまで製粉媒体で製粉された。表3は、その様々な表面改変剤の存在下で粉砕することで得られたピレン粒子の粒子サイズの特徴を載せている。粒子の大きさは、動的光散乱法によって測定された。Pluronics(登録商標)L101、L81、L44、L31、スパン20、スパン80、又はオクチルグルコシドが表面改変剤として使用された時、安定性のナノ懸濁液は得られなかった。それゆえ、これらの表面改変剤は、効果的に粒子サイズを減少させないので、さらに進んだ研究がされない。
【0374】
表3.様々な表面活性剤とのピレンの粉砕で得たナノ懸濁液中のDLSにより測定された粒子サイズ
【表7】
※Pluronics(登録商標)L101、L81、L44、L31、スパン20、スパン80、オクチルグルコシドでの製粉では、ピレン粒子サイズを効果的に減らして安定性のナノ懸濁液を得られなかった。
【0375】
人間の頸腟部の粘液(CVM)における、生産されたナノ懸濁液からのピレンナノ粒子の流動性と分布は、蛍光顕微鏡と多粒子追跡ソフトウェアを使用して明らかにされた。典型的な実験で、0.5uL以下のナノ懸濁液(必要ならば、〜1%の表面改変剤の濃度に薄められる)は、コントロールとともに、20μlの新鮮なCVMに加えられた。通常のナノ粒子(インビトロゲンからの200nmの黄緑色蛍光のカルボン酸塩(エステル)変性ポリスチレンマイクロスフェア)は、CVMサンプルの遮断性を確認するためのネガティブコントロールとして使用された。共有結合的にPEG5kDaで被覆された赤色蛍光のポリスチレンナノ粒子は、安定したMPP反応でポジティブコントロールとして使用された。CCDカメラを装備した蛍光顕微鏡を使って、15秒の動画が、各々の粒子のサンプル、すなわちサンプル(ピレン)、ネガティブコントロール、そしてポジティブコントロール(ピレンの自然の青蛍光で、コントロールと別にピレンナノ粒子の観測がされた)内のいくつかの場所から100×倍率の下で66.7ms(15枚/秒)の時間分解能で取り込まれた。次に、高度な画像処理ソフトウェアを使用して、多数の粒子の各々の軌道が、少なくとも3.335秒(50枚)の時間の尺度を超えて測定された。輸送データの結果は、軌道平均速度V
mean、すなわち各々の粒子の速度がその軌道に関して平均をとり、及び全体の平均の速さ< V
mean>、すなわちV
meanは粒子全体に関して平均をとる形式で、ここに提供される。種々のサンプル間での簡単な比較を可能にし、CVMサンプルの浸透性の自然可変性を重視した速度データである相対的なサンプル速度< V
mean>
rel の正常化のために、式1で示された公式により決められる。
【0376】
生産されたピレンナノ粒子の移動性の数量化に先立って、粘液サンプル中のそれらの空間分布が、低い倍率(10×、40×) で顕微鏡検査で評価された。ピレン/メチルセルロース懸濁液は、CVM中で均一の分布をせず、その粘液のメッシュサイズ(データで示さず)より大変大きな領域に強く集まった。そのような集合は、粘膜付着性のふるまいを示して粘液の浸透を有効に妨げる。それゆえ、粒子の移動性のさらなる量的な分析は、不要だと思われた。同様にポジティブコントロールでは、全ての他の試験されたピレン/安定剤システムは、CVMでかなり均一の分布を成し遂げた。多数の粒子のトラッキングは、全ての試験されたサンプルにおいて、そのネガティブコントロールは高く抑制される一方、そのポジティブコントロールは、ネガティブコントロールの <V
mean>よりかなり大きいポジティブコントロールの<V
mean>により説明されるように(表4)、高い移動性があると確認された。
【0377】
表4.CVM中のピレン/安定剤ナノ粒子(サンプル)とコントロールの為の全体の平均速度<V
mean>(um/s)と相対的なサンプル速度< V
mean>
rel
【表8】
※安定したナノ懸濁液を生産しなかった、それ故、浸透性粘液でない(CVM中の速度は測定されない)
※※CVM中の集合により、浸透性粘液でない(CVM中の速度は測定されない)
【0378】
特定の(しかし、重大なことに全てではない)表面改変剤の存在下で得られたナノ粒子は、そのポジティブコントロールと同じ割合又はほとんど同じ速度でCVMを通して移動することが発見された。特に、Pluronics(登録商標)F127、F108、P123、及びP103で安定するピレンナノ粒子は、表4及び
図2Aで示すように、ネガティブコントロールの約10倍を超え、及びポジティブコントロールと実験誤差で区別がつかない<V
mean>を表す。これらの例では、
図2Bに示されるように、< V
mean>
rel の値は0.5を超えた。
【0379】
他方で、他の表面改変剤で得られたピレンナノ粒子は、主に又は完全に、0.4以下のそれぞれの< V
mean>
rel の値で示されて固定され、そして、殆どの表面改変剤で0.1以下である(表4及び
図2B)。さらに、
図3A−3Dは、粒子全体のV
meanの分布を示すヒストグラムである。これらのヒストグラムは、Pluronics(登録商標)87及びコリドン25で安定化した粘液粘着性にふるまう粒子(典型的な粘液粘着性のサンプルとして選ばれた)と対比して、Pluronics(登録商標)F127とPluronics(登録商標)F108で安定化した粘液拡散性にふるまう粒子(類似したヒストグラムは、Pluronics(登録商標)P123、P105とP103で安定化したサンプルで得られたが、ここに示していない)を示す。
【0380】
ピレンナノ結晶を粘液浸透性にするPluronics(登録商標)の特徴を確認するために、ピレン/Pluronics(登録商標)ナノ結晶の< V
mean>
rel が、
図4で使われるPPOブロックの分子量と、Pluronics(登録商標)のPEOの重量含有量(%)に関して描かれた。少なくとも3kDaのPPOブロックと少なくとも約30wt%のPEOを持つ少なくともこれらのPluronics(登録商標)は、ナノ結晶を粘液浸透性にすることが決定された。いかなる理論に拘束されることも望むものではないが、もしもそのブロックの分子量が十分であるならば(例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも約3kDa)、その疎水性のPPOブロックは、その核粒子の表面と有効な関連を供給する場合がある。一方では、もしもそのPluronics(登録商標)のPEOが十分であるならば(例えば、いくらかの実施形態では、少なくとも30wt%)、その疎水性のPEOブロックは、その被覆粒子の表面に存在し、ムチン繊維で付着相互作用から被覆粒子を保護する場合がある。ここで述べたように、いくらかの実施形態では、10wt%のPEOの一部はその粒子を粘膜付着性にするので、その表面改変剤のPEOは、約10wt%より大きいか等しく(例えば、少なくとも約15wt%、又は少なくとも約20wt%)なるように選ばれる場合がある。
【0381】
(実施例2)
この例は、様々な非重合固体粒子を使用する粘液浸透性の粒子の構成を述べる。
【0382】
実施例1で述べた技術は、その方法の多様性を示す為に、他の非重合固体粒子に適用された。F127は、コア粒子として使用される様々な有効医薬を被覆するために、その表面改変剤として使用された。ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)は、各々の薬剤が同じ化合物のよく似た大きさのナノ粒子と比較されるので、ネガティブコントロールとして選ばれた。その医薬品とPluronics(登録商標)F127又はSDSを含む水分散液は、粒子サイズが300nm以下に減少するまで製粉媒体で製粉された。表5は、この方法を使用して製粉された薬剤の代表して選択された粒子サイズを載せている。
【0383】
表5.SDSとF127の存在下で製粉された薬剤の代表して選択された粒子サイズ
【表9】
【0384】
粘液に浸透する薬剤のナノ粒子の能力を測定するために、粘液サンプル中の多数のナノ粒子の輸送を測定する新しい測定法が開発された。殆どの薬剤は、自然な発光性がなく、それゆえ粒子を追跡する顕微鏡技術で測定することは難しい。新しく開発されたバルク輸送測定法は、蛍光性又は染料で標識された粒子を必要としない。この方法では、20μLのCVMが毛細管に集められ、一端は粘土で塞がれている。そして、毛細管の開口端は、0.5%w/vの薬剤の水性懸濁液20μLに沈没させる。望ましい時間後、一般的には18時間後、その毛細管を、その懸濁液から移動させて、その外面を綺麗に拭く。その粘液のサンプルを含む毛細管は、超遠心分離機のチューブに位置する。抽出媒体は、そのチューブに加えられ、そして、毛細管から粘液を取り除き、その粘液から薬剤を取り出す調合の間に、1時間の間保温される。そして、そのサンプルは、ムチンと他の非溶解性成分を取り除く為に回転される。そして、抽出したサンプル中の薬剤の量は、HPLCを使用して量られる。これらの実験の結果は、浸透性粘液の粒子と通常の粒子の間の輸送において、明確な区分を示す顕微鏡検査方法によるものと良く一致する。代表して選択された薬剤の輸送の結果は、
図5に示される。これらの結果は、ピレンについて顕微鏡による検査/粒子追跡発見法を実証し、一般の活性医薬品化合物への拡張を説明する。すなわち、F127の非重合固体の被覆ナノ粒子は、粘液の浸透性を高める。
【0385】
実施例1−2,4−6及び10で、頸膣部の粘液(CVM)のサンプルは、18才又はそれ以上の年齢の女性のボランティアから得られた。CVMは、30秒から2分の間、製品カタログに記載のように、膣路に月経の収集カップであるSoftcup(登録商標)を差し込むことで集められた。そして、取り外した後、そのCMVは、50mLの遠心管の中に、〜30xGから〜120xGの緩やかな遠心分離により、Softcup(登録商標)から集められた。実施例1では、CVMは、薄めずに新鮮なもの(冷蔵された状態の下で、長くても7日の間蓄えられた)が使用された。実施例1で使用された全てのCVMサンプルの障害と輸送は、ネガティブコントロール(200nmのカルボキシル化されたポリスチレン粒子)とポジティブコントロール(PEG5Kで改変された200nmのポリスチレン粒子)で確かめられた。実施例2で、CVMは、凍結乾燥されて再構成された。実施例2で、粘液は、−50℃で凍らされて凍結乾燥された。そして、サンプルは、−50℃で蓄えられた。使用の前に、その粘液は、原体積に等しいか、原体積の2倍の体積の水と、乳鉢と乳棒を使用してその固体を微粉末に砕くことで再構成される。それから、その再構成された粘液は、12時間の間、4℃で保温され、実施例2で述べたように使用される。実施例2で使用された全てのCVMサンプルの障害と輸送は、ネガティブコントロール(200nmのカルボキシル化されたポリスチレン粒子)とポジティブコントロール(200nmのポリスチレン粒子で被覆されたF127)で確かめられた。
【0386】
(実施例3)
この実施例は、その薬剤のロテプレドノールエタボネート(LE)を含む核を使用する粘液浸透性の粒子の構成を述べる。
【0387】
非重合固体の配送において、粘液の浸透性を高める価値を説明するために、ロテプレドノールエタボネートのMPPの構成(LE MPP、すなわち、実施例2で述べた方法で作られたPluronic(登録商標)F127で被覆されたLE粒子)は、一般に市場に出された製剤であるLotemax(登録商標)と比較された。Lotemax(登録商標)は、表面の眼炎症の治療の為に認可されたステロイドの点眼剤である。Lotemax(登録商標)のような、ありふれた粒子は、目の抹しょうの明瞭な粘液層によって迅速に広く補捉され、これゆえに、また、迅速に明瞭となる。LE MPPsは、効果的な浸透性を通して、持続性薬物が基礎膜に直接遊離するのを促進する粘液に付着するのを避けることが出来る。標的部位で増強剤にさらすことは、全体的な服用を減らし、患者の適応性と安全性を増加させる。生体内で、ニュージーランドの白ウサギへのLE MPPの単独の局所の点眼は、Lotemax(登録商標)の当量線量(
図6A−6C)と比較して、眼瞼結膜、眼球結膜、及び角膜にかなり高い薬のレベルをもたらした。2時間で、MPPからのLEのレベルは、Lotemax(登録商標)(各々、眼瞼の、眼球の及び角膜)の場合よりも6、3、及び8倍高い。特に、MPPからのLEのレベルは、2時間でのLotemax(登録商標)のレベルよりも、30分で2倍高い。これらの結果は、市販製剤にまさって、MPP技術で達成できることを証明している。
【0388】
(実施例4)
以下は、いくらかのポリ(ビニルアルコール)ポリマー(PVA)の物理吸着によって、前もって作られた高分子粒子から粘液浸透性の粒子を形成する方法を実施例として述べるが、この方法に限定されるものではない。カルボキシル化されたポリスチレンのナノ粒子(PsCOO)は、確立した強い粘膜付着性の振る舞いで、前もって作られた粒子/核粒子として使用された。PVAは、その核粒子の周りの被覆を形成する表面改変剤として振る舞う。様々な分子量(MV)と加水分解度のPVAは、粘液浸透性の被覆粒子の有効性を決定するのに評価される。
【0389】
PSCOO粒子は、いくらかのPVAが、粘液の成分で粒子相互作用を最小にし、粘液への粒子の浸透を早める粘液不活性の被覆で、物理的に(非共有結合で)核粒子を被覆できるかどうか決定するために、様々なPVAポリマーの存在下で水性液剤中に保温された。これらの実験で、そのPVAは、その核粒子の周りを被覆し、その結果として生じた粒子は、粘液中での移動性を検査された。他の実施形態ではあるが、PVAは、粘液中でその粒子の移動性を増加させる他の表面改変剤に交換される場合がある。そのPVAは、平均分子量が2kDaから130kDaまでの範囲と、平均加水分解度75%から99+%までの範囲で検査された。検査されたPVAは、上に示すように、表1に載せている。
【0390】
その粒子の改質方法は、次の通りであった。すなわち、200nmのカルボン酸塩(エステル)変性の赤色蛍光のポリスチレンナノ粒子(PSCOO)は、インビトロゲンから得られた。そのPSCOO粒子(0.4−0.5wt%)は、室温で、少なくとも1時間の間、水性PVA液剤(0.4−0.5wt%)で保温された。
【0391】
人間の頸膣部の粘液(CVM)中で、その変更されたナノ粒子の移動性と分布は、蛍光顕微鏡と多粒子追跡ソフトウェアを使用して明らかにされる。典型的な実験で、0.5μL以下の保温したナノ懸濁液(対応するPVAの0.5wt%の水性液剤で、〜10×に薄めた)は、制御のもとで新鮮な20μlのCVMに加えられた。従来のナノ粒子(インビトロゲンからの200nmの青色蛍光のカルボン酸塩(エステル)変性ポリスチレン微粒子)は、CVMサンプルの障害特性を確認するためのネガティブコントロールとして使用された。2kDのPEGで共有結合的に被覆された黄緑色の蛍光のポリスチレンナノ粒子は、確立したMPPの振る舞いでポジティブコントロールとして使用された。CCDカメラを装備した蛍光顕微鏡を使って、15秒の動画が、各々のサンプルの型の粒子、すなわちサンプル(テキサス赤色フィルタをセットして観察される)、ネガティブコントロール(DAPIフィルタをセットして観察される)、そしてポジティブコントロール(FITCフィルタをセットして観察される)内のいくつかの場所から100×倍率の下で66.7ms(15枚/秒)の時間分解能で取り込まれた。次に、高度な画像処理ソフトウェアを使用して、多数の粒子の各々の軌道が、少なくとも3.335秒(50枚)の時間の尺度を超えて測定された。輸送データの結果は、軌道修正速度 V
mean、すなわち各々の粒子の速度がその軌道に関して平均をとり、及び全体の平均の速さ< V
mean>、すなわちV
meanは粒子全体に関して平均をとる形式で、ここに提供される。種々のサンプル間での簡単な比較を可能にし、CVMサンプルの浸透性の自然可変性を重視した速度データの正常化のために、全体の平均(完全な)速度は、式1で示された公式による相対的なサンプル速度< V
mean>
rel に変えられる。多粒子追跡は、全ての検査されたCVMサンプルでネガティブコントロールが抑制されることを確認した。一方で、ポジティブコントロールは、ポジティブコントロールとネガティブコントロールの<V
mean>の違いにより(表6)証明されたように移動性があった。
【0392】
表6.様々なPVA(サンプル)で保温されたナノ粒子の輸送とCVMの制御、すなわち、全体の平均速度<V
mean>(μm/s)と相対的なサンプル速度< V
mean>
rel
【表10】
【0393】
あるPVAの存在下(しかし、興味深いことに全てではない)で保温されたナノ粒子は、ポジティブコントロールと同じ速度又は同じに近い速度で、CVMを通して輸送することが発見された。特に、PVA2K75、PVA9K80、PVA13K87、PVA85K87、PVA105K80、及びPVA130K87で安定化したその粒子は、ネガティブコントロールのものを著しく超え、ポジティブコントロールのものとは実験誤差であり区別がつかない<V
mean>を示す。その結果は、表6と
図7Aに示される。これらのサンプルで、< V
mean>
rel の値は
図7Bに示すように0.5を超えた。
【0394】
他方では、PVA95K95、PVA13K98、PVA31K98、及びPVA85K99と保温されたナノ粒子は、それぞれの< V
mean>
relの値が0.1以下(表6と
図7B)として説明されるように、主に又は完全に、不動化した。
【0395】
粒子を粘液浸透性にするPVAの特質を確認するために、様々なPVAとの保温により調合されたナノ粒子の< V
mean>
rel は、(
図8)で使用されたPVAのMWと加水分解度を重視して位置づけられた。少なくとも95%未満の加水分解度をもつPVAは、ナノ結晶を粘液浸透性にするという結論が下された。いかなる理論に拘束されることも望むものではないが、PVAの非加水分解性(酢酸ビニル)基は、もしそのPVAのこれらの部分の含有量が十分(例えば、いくらかの実施形態では、5%より大きい)ならば、その核粒子の表面で有効な疎水性会合を供給する場合がある。一方で、そのPVAの疎水性(ビニルアルコール)基は、それらを疎水性にする被覆粒子の表面に存在し、その被覆粒子を粘液の付着相互作用から保護する場合がある。
【0396】
物理吸着によって粘膜付着性粒子を粘液浸透性粒子に変える特定のPVAの能力をさらに確認するために、PSCOOのナノ粒子は、そのバルク輸送検定を使って検査された様々なPVAと保温した。この方法では、20μLのCVMが毛細管に集められた。そして、その一端は粘土で閉じられる。そして、毛細管の開口端は、0.5w/vの薬剤である20μLの粒子の水性懸濁液に沈められる。望ましい時間後、一般的には18時間後、その毛細管は、その懸濁液から移動させて、その外面を綺麗に拭く。その粘液のサンプルを含む毛細管は、超遠心分離機のチューブに位置する。抽出媒体は、そのチューブに加えられ、そして、毛細管から粘液を取り除き、その粘液から薬剤を取り出す間、1時間の間保温される。そして、そのサンプルは、ムチンと他の非溶解性成分を取り除く為に回転される。そして、抽出したサンプル中の薬剤の量は、HPLCを使用して量られる。これらの実験の結果は、ポジティブコントロール(粘液浸透性の粒子)と負制御(通常の粒子)の間の輸送において、明確な区分を示す顕微鏡検査方法によるものと良く一致する。様々なPVAで保温したPSCOOのバルク輸送の結果は、
図9で示される。これらの結果は、様々なPVAと保温されたPSCOOのナノ粒子の顕微鏡検査/粒子追跡結果を確証し、部分的に加水分解されたPVAと保温しているナノ粒子が粘液の浸透性を高めることを証明する。
【0397】
(実施例5)
次に、あるポリ(ビニルアルコール)ポリマー(PVA)の存在下で、乳化方法によって粘液浸透性の粒子を形成する方法を述べるが、この方法に限定されるものではない。生分解性の薬剤的に関連したポリマーであるポリラクチド(PLA)は、水中油の乳化方法によって核粒子を形成する原料として使用された。そのPVAは、乳状液の表面改変剤と、その生産された核粒子の周りを被覆する表面改変剤として行動した。様々な分子量(MW)と加水分解度のPVAは、浸透性の粘液中でその形成された粒子の有効性を決定する為に評価された。
【0398】
ジクロロメタンのPLA溶液は、あるPVAが、粘液中における粒子の早い浸透に導く被覆を含んで発生したナノ粒子の表面を、物理的に(非共有結合で)被覆するか否かを決定するために、様々なPVAの存在中での水溶液中で乳状にされた。これらの実験で、PVAは、凝固に際し、その核粒子を形成する乳化有機層の小滴の周りに安定した被覆を形成する界面改変剤として行動する。結果として生じた粒子は、粘液中でそれらの移動性の検査がされ、他の実施形態であるが、PVAは粘液中でその粒子の移動性を増加させることができる他の表面改変剤に交換される場合がある。PVAは、平均分子量が2kDaから130kDaの範囲であって、平均加水分解度が75%から99%の範囲で検査された。その検査されたPVAは、上記に示すように、表1に示される。
【0399】
乳化溶媒の蒸発工程は、次の通りであった。すなわち、ジクロロメタン中で20−40mg/mlのPLA(サーモディックスから購入した、ポリエクチド等級100DL7A)溶液の約0.5mLが、その対象物の数平均の粒子径が500nm未満で安定なエマルジョンを得るための超音波処理によって、約4mLの水性のPVA溶液(0.5−2wt%)中で乳状にされた。得られたエマルジョンは、有機溶媒を取り除くために、直ちに、室温で、減圧下で、徹底的な回転式の蒸発乾燥に従属させた。得られた懸濁液は、いくらかの凝集体を取り除くために1ミクロンのガラス繊維フィルタを通して濾過された。表7は、様々なPVAとの乳化手順によって得られたナノ懸濁液の粒子サイズの特徴を載せている。いずれの場合も、蛍光有機染料であるナイルレッドが、蛍光性を結果として生じた粒子に付けるために、乳化有機層に加えられた。
【0400】
表7.様々なPVAとの乳化方法によって得られたナノ懸濁液中におけるDLSによって測定された粒子サイズ
【表11】
【0401】
人間の頸膣部の粘液(CVM)中で、その生産されたナノ粒子の移動性と分布は、蛍光顕微鏡と多粒子追跡ソフトウェアを使用して明らかにされる。典型的な実験で、0.5μL以下のナノ懸濁液(もし、〜0.5%のPVAの濃度が必要ならば薄める)は、コントロールのもとで新鮮な20μlのCVMに加えられた。従来のナノ粒子(インビトロゲンからの200nmの青色蛍光のカルボン酸塩(エステル)変性ポリスチレン微粒子)は、CVMサンプルの遮断性を確認するためのネガティブコントロールとして使用された。2kDのPEGで共有結合的に被覆された黄緑色の蛍光のポリスチレンナノ粒子は、確立したMPPの振る舞いでポジティブコントロールとして使用された。CCDカメラを装備した蛍光顕微鏡を使って、15秒の動画が、各々のサンプルの型の粒子、すなわちサンプル(カプセル化されたナイルレッドによるテキサス赤色フィルタをセットして観察される)、ネガティブコントロール(DAPIフィルタをセットして観察される)、そしてポジティブコントロール(FITCフィルタをセットして観察される)内のいくつかの場所から100×倍率の下で66.7ms(15枚/秒)の時間分解能で取り込まれた。次に、高度な画像処理ソフトウェアを使用して、多数の粒子の各々の軌道が、少なくとも3.335秒(50枚)の時間の尺度を超えて測定された。輸送データの結果は、軌道修正速度 V
mean、すなわち各々の粒子の速度がその軌道に関して平均をとり、及び全体の平均の速さ< V
mean>、すなわちV
meanは粒子全体に関して平均をとる形式で、ここに提供される。種々のサンプル間での簡単な比較を可能にし、CVMサンプルの浸透性の自然可変性を重視した速度データの正常化のために、全体の平均(完全な)速度は、式1で示された公式による相対的なサンプル速度< V
mean>
rel に変えられる。多粒子追跡は、全ての検査されたCVMサンプルでネガティブコントロールが抑制されることを確認した。一方で、ポジティブコントロールは、ポジティブコントロールとネガティブコントロールの<V
mean>の違いにより証明されたように移動性があった(表8)。
【0402】
表8.様々なPVA(サンプル)との乳化方法によって得られたPLAナノ粒子の輸送とCVMのコントロール、すなわち、全体の平均速度<V
mean>(μm/s)と相対的なサンプル速度< V
mean>
rel
【表12】
【0403】
あるPVAの存在下(しかし、興味深いことに全てではない)で調剤されたナノ粒子は、ポジティブコントロールと同じ速度又は同じに近い速度で、CVMを通して輸送することが発見された。特に、PVA2K75、PVA9K80、PVA13K87、PVA31K87、PVA85K87、PVA105K80、及びPVA130K87で安定化したその粒子は、表8と
図10Aに示すように、ネガティブコントロールのものを著しく超え、ポジティブコントロールのものとは実験誤差であり区別がつかない<V
mean>を示す。これらのサンプルで、< V
mean>
rel の値は
図10Bに示すように0.5を超えた。
【0404】
他方では、PVA95K95、PVA13K98、PVA31K98、及びPVA85K99で得られたピレンナノ粒子は、それぞれの< V
mean>
relの値が0.4以下(表8と
図10B)として説明されるように、主に又は完全に、不動化した。粒子を粘液浸透性にするPVAの特質を確認するために、様々なPVAと調剤されたナノ粒子の< V
mean>
rel は、表6と
図7Aで使用されたPVAのMWと加水分解度を重視して位置づけられた。少なくとも95%未満の加水分解度をもつPVAは、ナノ結晶を粘液浸透性にするという結論が下された。いかなる理論に拘束されることも望むものではないが、PVAの非加水分解性(酢酸ビニル)基は、もしそのPVAのこれらの部分の含有量が十分(例えば、いくらかの実施形態では、5%より大きい)ならば、その核粒子の表面で有効な疎水性会合供給できる。一方で、そのPVAの疎水性(ビニルアルコール)基は、それらを疎水性にする被覆粒子の表面に存在し、その被覆粒子を粘液の付着相互作用から保護できる。
【0405】
(実施例6)
次に、あるポリ(ビニルアルコール)ポリマー(PVA)の存在下で、製粉によって粘液浸透性の非重合固体粒子を形成する方法を述べるが、この方法に限定されるものではない。典型的な疎水性化合物であるピレンは、製粉によって処理された核粒子として使用された。そのPVAは、核粒子の粒子サイズの縮小を促進する製粉の一助、そして、核粒子の周りに被覆を形成する表面改変剤として行動する。様々な分子量(MV)と加水分解度のPVAは、浸透性の粘液中における製粉した粒子の有効性を決定するのに評価される。
【0406】
ピレンは、特定のMVと加水分解度のPVAが、1)数百ナノメーターに粒子サイズを減少させるのを促進できるかどうか、2)粘液成分で粒子の相互作用を最小にし、粘液の付着を妨げる粘液不活性な被覆で発生したナノ粒子の表面を物理的に(非共有結合で) 覆うことができるかどうかを決定する為の様々なPVAの存在下で、水性分散体に製粉された。これらの実験で、そのPVAは、その核粒子の周りを被覆して、その生成された粒子は、粘液中での移動性を分析された。そのPVAは、平均分子量が2kDaから130KDaの範囲で、そして、平均加水分解度が75%から99+%の範囲で検査された。検査されたPVAは、上記に示すように、表1に載せられる。ポリビニルピロリドン(コリドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ツイーン、スパン等のような薬学的に関連のある賦形剤を含む、表に載せた種々の他のポリマー、オリゴマー、そして低分子は、類似した方法で検査された。
【0407】
表9.典型的な化合物としてピレンで検査された他の表面改変剤
【表13】
【0408】
上記のピレンを含む水分散液と表面改変剤の一つは、粒子のサイズが500nm以下(動的光拡散法で測定される)に減らされるまで、製粉媒体とかき混ぜられた。表10は、様々な表面改変剤の存在下での製粉によって得られたピレン粒子の粒子サイズの特徴を載せている。スパン20、スパン80、又はオクチルグルコシドが表面改変剤として使用された時、安定したナノ懸濁液は得られなかった。それゆえ、これらの表面改変剤は、粒子サイズを減少させるのを効果的に助ける能力がない為に、継続の調査から除外された。
【0409】
表10.様々な表面改変剤とのピレンの製粉によって得られたナノ懸濁液中のDLSによって測定された粒子サイズ
【表14】
※スパン20、スパン80、オクチルグルコシドの製粉では、効果的にピレン粒子のサイズを減らし、そして、安定したナノ懸濁液を生産するのに失敗した。
【0410】
人間の頸膣部の粘液(CVM)中において、生産されたピレンナノ粒子の移動性と分布は、蛍光顕微鏡と多粒子追跡ソフトウェアを使用して明らかにされる。典型的な実験で、0.5μL以下のナノ懸濁液(必要ならば、〜1%の界面改変剤の濃度に薄めた)は、制御のもとで新鮮な20μlのCVMに加えられた。従来のナノ粒子(インビトロゲンからの200nmの黄緑色蛍光のカルボン酸塩(エステル)変性ポリスチレン微粒子)は、CVMサンプルの障害特性を確認するためのネガティブコントロールとして使用された。5kDのPEGで共有結合的に被覆された赤色の蛍光のポリスチレンナノ粒子は、確立したMPPの振る舞いでポジティブコントロールとして使用された。CCDカメラを装備した蛍光顕微鏡を使って、15秒の動画が、各々のサンプルの型の粒子、すなわちサンプル(ピレン)、ネガティブコントロール、そしてポジティブコントロール(その制御とは単独にピレンのナノ粒子の観測が許されたピレンの自然の青色蛍光)内のいくつかの場所から100×倍率の下で66.7ms(15枚/秒)の時間分解能で取り込まれた。次に、高度な画像処理ソフトウェアを使用して、多数の粒子の各々の軌道が、少なくとも3.335秒(50枚)の時間の尺度を超えて測定された。輸送データの結果は、軌道修正速度 V
mean、すなわち各々の粒子の速度がその軌道に関して平均をとり、及び全体の平均の速さ< V
mean>、すなわちV
meanは粒子全体に関して平均をとる形式で、ここに提供される。種々のサンプル間での簡単な比較を可能にし、CVMサンプルの浸透性の自然可変性を重視した速度データの正常化のために、全体の平均(完全な)速度は、式1で示された公式による相対的なサンプル速度< V
mean>
rel に変えられる。
【0411】
ピレン粒子の移動性を定量化する前に、粘液サンプル中のそれらの空間分布が視覚的に評価された。ピレン/メチルセルロースナノ懸濁液は、CVM中において適合した分布を達成せず、その粘液の網目のサイズ(図示せず)より非常に大きな領域に強く凝集した。そのような凝集は、粘膜付着性の振る舞いをし、効果的に粘液浸透性を起こらないようにする。それゆえ、粒子の流動性のさらなる定量分析は、不必要であると考える。ポジティブコントロールと同じく、全ての他の検査されたピレン/安定剤システムは、CVM中において、かなり適合した分布を達成した。多粒子追跡は、全ての検査されたCVMサンプルにおいて、そのネガティブコントロールが抑制され、一方でポジティブコントロールは、ポジティブコントロールとネガティブコントロールの間の< V
mean>の違いによって証明されたように移動性があることを確認した(表)。
【0412】
表11.様々な表面活性剤で得られたピレンナノ粒子(サンプル)の輸送とCVMのコントロール、すなわち、全体の平均速度<V
mean>(μm/s)と相対的なサンプル速度< V
mean>
rel
【表15】
※CVM中に凝集するので、浸透性の粘液でない(CVM中の速さは計測されていない)
【0413】
ある種のPVA(しかし興味深いことにそれらの全てではなく)の存在下で得られたナノ粒子は、CVM中をポジティブコントロールと同じ速度又は同じに近い速度で移送されることが発見された。特に、PVA2K75、PVA9K80、PVA13K87、PVA31K87、PVA85K87、及びPVA130K87により安定化されたピレンナノ粒子は、ネガティブコントロールされたものに対して著しく大きい<V
mean>を示し、表11及び
図12Aに示されるように、実験誤差範囲内で、ポジティブコントロールされたものと区別がつかない。これらの試料についての<V
mean>
relレベルは、
図12Bに示されるように、0.5を超える。
【0414】
これに対して、PVA95K95、PVA13K98、PVA31K98、及びPVA85K99を含む、他の表面改変剤とともに得られるピレンナノ粒子は、圧倒的に又は完全に固定され、それぞれの<V
mean>レベルは0.5以下を示し、ほとんどの表面改変剤について0.4以下であった(表11及び
図12B)。加えて、
図13A−13Fは、粒子の全体におけるV
meanレベルの分布を示すヒストグラムである。これらのヒストグラムは、PVA2K75及びPVA9K80により安定化された試料の粘液拡散性挙動を示しており(PVA13K87、PVA31K87、PVA85K87、及びPVA130K87により安定化された試料についても同様のヒストグラムが得られたが、ここには示されていない)、PVA31K98、PVA85K99、Kollidon25、及びKollicoatIRにより安定化された試料(代表的な粘液付着性の試料として選ばれた)の粘液付着性挙動とは対照的である。
【0415】
ピレンナノ粒子に粘液浸透性を与えるPVAの特性を同定するために、特定の実施形態において、種々のPVAにより安定化されたピレンナノ結晶の<V
mean>
relレベルが、用いられたPVAのMW及び加水分解度との関係についてマッピングされた。少なくとも、95%未満の加水分解度を有するPVAは、ナノ結晶に粘液浸透性を与えることが結論づけられた。いかなる理論に拘束されることも望むものではないが、加水分解されていない(酢酸ビニル)PVAのセグメントは、もしPVA中におけるこれらのセグメント含有量が十分であれば(例えば、いくつかの実施形態では5%を超える)、コア粒子の表面に効果的な疎水性会合を付与することができ、一方、コア粒子の表面に存在する親水性(ビニルアルコール)のPVAのセグメントは、それらに親水性を付与して、粘液との付着性相互作用からコア粒子を保護することができる。
【0416】
[実施例7]
この実施例は、医薬品をカプセル化したポリマーコアからなる粘液浸透性粒子、及びポリマー担体のない薬剤コアからなる粘液浸透性粒子からの、医薬品の眼への送達の促進を示す。
【0417】
医薬品の眼への送達における促進された粘液浸透の価値を実証するために、ニュージーランドシロウサギの網膜におけるエタボン酸ロテプレドノールの濃度が、Lotemax(登録商標)(市販のエタボン酸ロテプレドノール(LE)の眼科用懸濁液であり、網膜炎症の治療のための温和なステロイドとして知られる)、MPP1(カプセル化されたLEのポリマーコアからなる粘液浸透性粒子)、及びMPP2(LEコアからなる粘液浸透性粒子)の単位等量の投与の後に測定された。MPP1粒子は、エタボン酸ロテプレドノールの、ポリ(ラクチド)(Surmodicsの100DL2A)との、アセトン溶液から水溶液へのナノ沈殿により作製された。MPP2粒子は、実施例2に記載された方法により作製された。MPP1及びMPP2粒子の両方が、Pluronic(登録商標)F127によって被覆された。
図17A及び
図17Bに示されるように、MPP1及びMPP2製剤(の形成)は、網膜において、MPP製剤としての同じ粒子濃度を有する市販の目薬と比べて、より高い薬剤レベルをもたらした。いかなる理論に拘束されることも望むものではないが、Lotemax(登録商標)におけるような既存の粒子は、眼の中の周辺迅速除去粘液層に広範囲にわたって捕獲され、それゆえに、迅速に除去されるものと信じられる;その間にMPP粒子は粘液への付着を防止することができ、それゆえに、眼の表面における長期の滞留を達成して、薬剤の皮下組織に対する直接放出を容易にする。
【0418】
[実施例8]
この実施例は、Pluronic(登録商標)F127で被覆された粘液浸透性粒子からの医薬品の、網膜、脈絡膜及び強膜を含む眼の後部への、既存の粒子では見られない送達の改善を示す。角膜及び虹彩への送達もまた、既存の粒子と比較して、Pluronic(登録商標)F127で被覆された粒子により改善された。
【0419】
非高分子固体粒子の送達における促進された粘液浸透の価値を実証するために、エタボン酸ロテプレドノールのMPP製剤(LE MPP;実施例2に記載された方法で作製された、Pluronic(登録商標)F127で被覆されたLE粒子)は、市場に流通している製剤である、Lotemax(登録商標)と比較された。Lotemax(登録商標)は、眼の炎症の治療に推奨されるステロイド点眼薬である。Lotemax(登録商標)中に存在するような既存の粒子は、眼の中の周辺迅速除去粘液層に広範囲にわたって捕獲され、それゆえに、迅速に除去される。LE MPPは、粘液への付着を防止して、効率よく浸透させ、薬剤の直接の皮下組織に対する放出を容易にすることができる。実施例3に記載されたような、眼の表面への送達の促進だけでなく、眼の中間及び後部への送達もまた促進する。生体内での(In vivo)、単一の(1回の)LE MPPのニュージーランドシロウサギへの局所滴下は、同じ投与量のLotemax(登録商標)と比べて、角膜、虹彩/毛様体、眼球水様液、網膜、脈絡膜、及び強膜における顕著な高い薬剤レベルを作り出す(
図18)。市場に流通している点眼薬は、眼の障害の治療に用いられるが、薬剤が眼の後部まで届かないため、眼後部障害の治療には効果的でない。ここで、網膜、脈絡膜、及び強膜が、ヒトの黄斑が存在する箇所での8mmパンチを用いて試料として採取された。眼の後部におけるLE値はLotemax(登録商標)の測定限界未満であり、一方、LE MPPは網膜、脈絡膜、及び強膜へ検出可能な値のLEを送達する。これらの結果は、既存のアプローチを超える、非高分子固体MPPアプローチの有用性を実証している。
【0420】
[実施例9]
この実施例では、医薬品のナノ結晶コアからなる粒子表面の、Pluronic(登録商標)F127の密度の測定について述べる。
【0421】
医薬品及びPluronic(登録商標)F127を含む水性懸濁液が、粒子径が300nmを下回るまで粉砕媒体により粉砕された。粉砕された懸濁液の小部分が、適切な濃度(例えば、〜100μg/mL)まで希釈され、z−平均直径が粒子径の代表的な測定値として採用された。そして、残りの懸濁液は、2つの分割量に分離された。HPLCを用いて、第1の分割量は、薬剤(ここでは、エタボン酸ロテプレドノール又はプロピオン酸フルチカゾン)の合計濃度及び表面改変部分(ここでは、Pluronic(登録商標)F127)の合計濃度についての評価がされた。再びHPLCを用いて第2の分割量は、自由な又は未結合の表面改変部分についての評価がされた。第2の分割分から自由な又は未結合の表面改変部分のみを採取するために、粒子、及びそれゆえに全ての結合した表面改変部分が超遠心分離法により除去された。未結合の表面改変部分の濃度を合計の表面改変部分の濃度から引くことによって、結合の表面改変部分の濃度が算出された。薬剤の合計濃度もまた第1の分割量から算出されたため、コア材料と表面改変部分の間の質量比を算出することができる。表面改変部分の分子量を用いて、コア材料の質量に対する表面改変部分の数値を計算することができる。この数値を表面密度の測定値に変換するためには、コア材料の質量当たり表面積を計算する必要がある。コア材料の質量当たり表面積の計算を可能にするため、粒子の体積はDLSから得られた直径による球の体積で近似した。この方法により表面積当たりの表面改変部分の数が決定された。
図19は、エタボン酸ロテプレドノール及びプロピオン酸フルチカゾンについての表面部分密度の算出結果を示している。
【0422】
[実施例10]
以下では、薬剤エタボン酸ロテプレドノール(LE)を含むコアを用いた、種々のPluronic(登録商標)表面改変剤の存在下における粉砕による、粘液透過粒子の形成方法の限定されない実施例について述べる。
【0423】
LEは粉砕媒体とともに、そして安定剤の存在下で、水性懸濁液として粉砕された。種々の等級のPluronics(表12に一覧が掲載)について、あるPluronicの等級が表面改変剤として、1)LEの粒子径のサブミクロン範囲までの補助的縮小、2)発生したLEナノ粒子の表面を、粘液成分との粒子の相互作用を最小限にして粘液付着を防止する粘液不活性の被膜で、物理的(非共有結合的)被覆、ができるかを判定するために試験された。これらの実験において、Pluronicsはコア粒子の周囲の被膜として働き、得られた粒子は粘液中での移動性について試験され、他の実施形態においては、表面改変剤は粘液中での粒子の移動性を促進することができる他の表面改変剤に交換され得る。
【0424】
粉砕工程は、LE粒子が小さく多分散性が低く(すなわち、z−平均粒子直径が500μm未満、動的光散乱法で測定された多分散係数が<0.20に)なるまで実施された。表12に、種々のPluronics(登録商標)の存在下での粉砕により得られたLE粒子の粒子径特性を一覧として示す。粒子径は動的光散乱法で測定された。Pluronic(登録商標)L31、L35、L44、又はL81の存在下でのLEの粉砕によっては、安定したナノ懸濁液が製造されなかった。したがって、これらのPluronicsは粒子径の縮小を効果的に補助できないことから、さらなる調査から除外された。
【0425】
製造されたナノ懸濁液からの新鮮な無希釈のヒト頸膣部粘液(CVM)中のLEナノ粒子の移動性は、蛍光性及び非蛍光性のナノサイズの物体を可視化できるCytoViva(登録商標)高解像度照明システムを用いた暗視野顕微鏡検査により特性づけられた。典型的な実験では、顕微鏡のスライドグラス上の20μLの穴に予め注入された20μLの無希釈CVMに、0.5μLのナノ懸濁液が加えられた。CCDカメラを用いて、各試料から幾つかのランダムに選択された範囲から、×100の倍率、66.7ミリ秒の時間分解度(15画像/秒)で、15秒の動画が取り込まれた。動画中の粒子の移動性は、別個の観測者による単一ブラインド実験において、移動性が増す順に0から3までの等級で採点された。採点基準は以下のとおりである。0−0.5:移動性なし、0.51−1.5:僅かな移動性、1.51−2.5:中度の移動性、2.51−3.0:高度の移動性。
【0426】
それぞれのLE/Pluronic試料についての平均移動性スコアは、PPOコンポーネントの分子量(MW PPO)と、PluronicポリマーのPEOコンポーネントの質量%(%PEO)の関数として、
図20にプロットされている。Pluronic(登録商標)F87、F108、及びF127の存在下で粉砕されたLEは、CVM中で高度の移動性を有する(移動性スコア>2.51)粒子となることが見出された。これは、MW PPO≧2.3kDa及び%PEO≧70%の物理特性に対応する。Pluronic(登録商標)P103、P105、及びP123の中で粉砕されたLEナノ結晶は、中度の移動性を有する(移動性スコア1.51−2.50)。このPluronic(登録商標)の等級に対応する物理特性は、MWPPO≧3.3kDa及び30%≦%PEO≦70%である。Pluronic(登録商標)L121、P65、F38、及びF68で製造されたものは、移動性を有しない(移動性スコア<0.50)。このPluronic(登録商標)ポリマーの群は、MW PPO≦1.9kDa及び%PEO≦10%のもので構成される。Pluronic(登録商標)L31、L35、L44、又はL81も、前述のMW PPO及び%PEOの範囲に入り、小さく単分散の粒子となり、解析においては移動性を有しない(移動性スコア<0.50)と思われる。
【0427】
いかなる理論に拘束されることも望むものではないが、もしブロックの分子量が十分であれば(例えば、いくつかの実施形態において少なくとも約2.3kDa)、疎水性PPOブロックはLE粒子の表面に効果的な連結を提供できるものと信じられる。一方、親水性PPOブロックは被覆LE粒子の表面に存在し、もしPluronic(登録商標)のPEO含有量が十分であれば(例えば、いくつかの実施形態において少なくとも30重量%)、被覆LE粒子をムチン繊維との付着性相互作用から防護することができる。本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態において表面改変剤のPEO含有量は、約10重量%以上(例えば、少なくとも約15重量%、又は少なくとも約20重量%)となるように、粒子粘液付着性を提供する10重量%のPEO部分として、選択され得る。
【0428】
興味深いことに、LEがコアとして用いられる時には高度の移動性(移動性スコア>2.51)を付与するのに必要なPPOブロックの分子量は少なくとも約2.3kDaであるのに対して、ピレンがコアとして用いられる時には3kDaである。このデータは、表面改変剤(例えば、PPOブロックの分子量)は、被覆されるコアによって、粒子の移動性を適合させるために変化し得ることを示唆している。
【0429】
【表16】
【0430】
[実施例11]
以下では、Pluronic(登録商標)、グリセリン、塩化ナトリウム(NaCl)エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(Na
2EDTA)、及び塩化ベンザルコニウム(BAC)のような、他の成分の存在下における薬剤エタボン酸ロテプレドノール(LE)を含むコアを用いた粘液透過粒子(MPP)の製造方法の限定されない実施例について述べる。
【0431】
エタボン酸ロテプレドノール粘液透過粒子(LE MPP)の形成方法は、2つの連続した工程:粉砕と希釈を含む。粉砕工程では、約2−20%のエタボン酸ロテプレドノール粘液透過粒子(粗い又はミクロ化された結晶)、約0.2−20%のPluronic(登録商標)F127、約0.5−3%のグリセリン、約0.1−1%の塩化ナトリウム(NaCl)、及び約0.001〜0.1%のEDTAを含む粗な水性懸濁液が、粉砕媒体の存在下で粉砕されて、200−300nmの範囲の大きさを有するエタボン酸ロテプレドノール粒子のナノ懸濁液が製造された。
【0432】
続く希釈工程では、粉砕媒体から分離されて得られたナノ結晶懸濁液が、製造容器中で、約0.5−3%のグリセリン、約0.1−1%の塩化ナトリウム、約0.001−0.1%のEDTA、及び約0.001−0.05%のBADを含有する粉砕後希釈物と混合された。この方法により、約0.1−2%のエタボン酸ロテプレドノール、約0.01−2%のPluronic(登録商標)F127、約0.5−3%のグリセリン、約0.1−1%の塩化ナトリウム、約0.001−0.1%のEDTA、及び約0.001−0.05%のBADを含有する組成物が製造された。
【0433】
[実施例12]
以下では、製剤の粘液透過特性におけるPluronic(登録商標)の効果の限定されない実施例について述べる。
【0434】
製剤は、実施例10に記載された方法と同様の方法を用いて形成された。
図21は、以下の製剤の粘液への質量移送データを示す:エタボン酸ロテプレドノール及びPluronic(登録商標)F127を含む粒子(LE F127)、エタボン酸ロテプレドノール及びドデシル硫酸ナトリウムを含むがPluronic(登録商標)F127を含まない粒子(LE SDS)、及び市販の製剤Lotemax(登録商標)。エタボン酸ロテプレドノールのPluronic(登録商標)F127に対する比率は1:1質量%であり、エタボン酸ロテプレドノールのSDSに対する比率は50:1質量%である。質量移送は、実施例2に記載された手順にしたがって測定された。
図21に示される結果は、LE F127の粘液浸透特性はLE SDSと比較して20倍近く大きく、Lotemax(登録商標)と比較して40倍近く大きいことを示している。エタボン酸ロテプレドノールのコアとF127の被膜を含む薬剤の眼科用製剤は、薬剤の眼における露出を促進し得るものと思われる。
【0435】
[実施例13]
この限定されない実施例は、エタボン酸ロテプレドノール(LE)MPPが最終殺菌のためにLE MPPの粒子安定性、化学的安定性、及び薬学キネティックに悪影響を与えることなくガンマ線照射され得ること、及びグリセリンがLE MPPにガンマ線照射に対する化学的な保護を付与することを示す。
【0436】
製剤のガンマ線照射は、化学的崩壊及びフリーラジカルの発生を起こし得るものであり、特に水性製剤において重要である。LEは、加水分解的又は酵素的な2つのエステル結合の分断を介して代謝されてPJ−91及びPJ−90となる穏やかなステロイドである。LEがガンマ線照射に曝されたときには、17α−[(エトキシカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−3−オキソアンドロスタ−4−エン−17−カルボン酸クロロメチルエステル(テトラデカ)及び17α−[(エトキシカルボニル)オキシ]−3,11−ジオキソアンドロスタ−1,4−ジエン−17−カルボン酸クロロメチルエステル(11−ケト)が形成される。LEがガンマ線照射されたとき、11−ケトは少量発生するのみで、これに対してテトラデカの量は速やかに1%を超えるまでに促進する。
【0437】
LE及び異なる濃度のグリセリンを含む製剤が、実施例10−11に記載された方法と同様の方法を用いて作製された。LEの濃縮物及び特定のLE分解物が、2.5kGyのガンマ線放射に曝された。LE分解物の濃度は、ガンマ線照射に曝された後直ちに(ガンマ線照射直後)及びガンマ線照射に曝されてから4週間後に(ガンマ線照射4週間後)、コバルト60ガンマ照射源を25kGyの照射量で用いて測定された。グリセリンを有しないLE MPPでは、テトラデカの量はLE MPPのガンマ線照射後に18倍に促進した。これに対して、1.2%又は2.4%のグリセリンを含むLE MPPでは、LE MPPのガンマ線照射後にテトラデカは殆ど形成されなかった。驚くべきことに、全ての場合にPJ−91及びPJ−90レベルは減少した。11−ケトはガンマ線照射後に観測されたが、11−ケトレベルは0.2%を超えなかった。この結果は、製剤中にグリセリンが存在するとき、ガンマ線照射によるテトラデカの製造量は大きく減少することを示している。異なる濃度のグリセリンが用いられ(例えば、1.2%及び2.4%)、ガンマ放射に曝された後には似たような値のテトラデカを生じた製剤が得られた。これらの結果は予期されなかったもので、等張化剤として一般的に用いられるグリセリンが、ガンマ放射の間、製剤に化学的防御を付与したであろうことを示唆している。
【0438】
【表17】
【0439】
粒子製剤の化学的安定性に加えて、製剤の物理的安定性もまた非常に重要である。
図33Aに示されるように、塩化ナトリウムとグリセリンを含有するLE MPP製剤は、25kGyのガンマ線照射に曝された後、1ヶ月以上にわたって粒子径の変化がみられなかった。
【0440】
LE MPPの薬物動態(PK)における効果もまた、LE MPPの性能がガンマ線照射に影響を受けなかったかどうか調査するために研究された。生体内で、25kGyでガンマ線照射されたLEMPP(製剤1GAMMA、製剤2GAMMA)の、ニュージーランドシロウサギへの1回の局所点眼は、ウサギの網膜においてガンマ線照射に曝されなかったLEMPPによる場合と同じLE値をもたらした(製剤1、製剤2;
図33B)。
図33Bにおいて、製剤1(及び製剤1GAMMA)は、製剤2(及び製剤2GAMMA)よりも高い値のPluronic(登録商標)F127を含有している。これらの結果は、LEMPPがガンマ線照射によってLEMPPの粒子安定性、API(活性医薬成分)の化学的安定性、又はPKに悪影響を及ぼすことなく、最終殺菌され得ることを実証している。
【0441】
[実施例14]
この限定されない実施例は、NaClが本明細書に記載されたLE MPP製剤について、水による製剤の希釈中における安定性に有益であることを示す。
【0442】
LE及び1以上の等張化剤(例えば、NaCl、チロキサポール、グリセリン、及びSSC(クエン酸ナトリウム及び約1%のNaClの水溶液))を含む製剤が、実施例10−11に記載された方法と同様の方法を用いて作製された。エントリー1、4、及び5において、製剤はNaClを含有していないが、粒子径(直径で測定された)は水による製剤の希釈によって2−3倍に促進しており、粒子の凝集による可能性が最も考えられる。エントリー4、及び5においては、PDIもまた2−3倍に促進している。対照的に、エントリー2、3、6、及び7においては、製剤はNaClを含有しており、粒子径は水による製剤の希釈においても比較的一定に保たれている。エントリー2、3、及び7では、また、PDIの促進もない。製剤はNaClを含有しており、粒子径は水による製剤の希釈においても比較的一定に保たれている。これらの結果は、NaCl(等張化剤)の粒子製剤への添加は製剤のイオン強度を促進させて粒子の凝集を起こすことにより粒子製剤を不安定化させることが一般的に知られているので、予期されなかったものである。逆の効果がここでは観測された。
【0443】
【表18】
【0444】
[実施例15]
この限定されない実施例は、LE MPPが眼に局所投与されたとき、同様な粒子径を有する非−MPPに比較して、露出が増加することを示す。
【0445】
LE MPPは、同様な粒子径を有する非−MPPの、LE SDS粒子と比較された(表15)。LE SDS粒子は、粒子がドデシル硫酸ナトリウム(SDS)で被覆されることを除けば、実施例10−11に記載された方法と同様の方法を用いて製造される。SDSで被覆された粒子のような既存の粒子は、眼の中の周辺急速除去粘液層で広範囲に捕捉されて、速やかに除去される。LE MPPは、皮下組織への直接の継続的薬剤放出を容易にするために、粘液への付着を防止し、そして効率的に透過することを可能にする。生体内において、ニュージーランドシロウサギへのLE MPPの1回の局所点眼は、等しい投与量のLE SDSと比較して、両者が同様の大きさを有するナノ粒子であるにも関わらず、角膜におけるLE濃度のAUCの4.4倍の促進をもたらす(
図23A)。加えて、市場で購入できるミクロ粒子であるLE SDS及びLotemax(登録商標)は異なる粒子径であるにも関わらず、LE SDSを投与されたウサギから得られるLEの濃度は、Lotemax(登録商標)を投与されたウサギから得られるLEの濃度と統計学的に等価である(
図23B)。これらの結果は、眼における、MPPとともに作製された薬剤の露出を促進するMPPの特性は、単にMPPの小さい粒子径のみによるものではないことを実証している。
【0446】
【表19】
【0447】
[実施例16]
この限定されない実施例は、LE MPPが眼に局所投与されたときに、Pluronic(登録商標)で被覆されたLotemax(登録商標)に比較して、露出が増加することを示す。
【0448】
LE MPPは、F127(0.5%)がLotemax(登録商標)に添加された製剤の、Lotemax(登録商標)+F127と比較された。生体内において、ニュージーランドシロウサギへのLE MPPの1回の局所点眼は、等しい投与量のLotemax(登録商標)又はLotemax(登録商標)+F127と比較して、角膜におけるLEの際立って高い露出を生じた(
図24)。LE MPPは、Lotemax(登録商標)及びLotemax(登録商標)+F127と比べて、角膜におけるLE濃度のAUCのそれぞれ4.4倍及び2.3倍の強化をもたらす。Lotemax(登録商標)+F127は、Lotemax(登録商標)単独に比べて角膜におけるLE濃度のAUCの2倍の増加をもたらすことから、これらの結果は、眼における、MPPとともに作製された薬剤の露出を強化するMPPの特性は、単にPluronic(登録商標)F127の存在のみによるものではないことを実証している。
【0449】
[実施例17]
この限定されない実施例は、LE MPPを含有する製剤が、眼の前房におけるLEの露出をLotemax(登録商標)に比べて強化することを示す。
【0450】
LE MPPからのLEの促進された露出が、眼の表面だけでなく、眼球中にも浸透することを実証するために、LE MPP及びLotemax(登録商標)から得られた眼房水中のLE値が比較された。生体内において、ニュージーランドシロウサギへのLE MPPの1回の局所点眼は、Lotemax(登録商標)の投与と比較して、Lotemax(登録商標)の投与量が20%多いという事実にもかかわらず、眼房水中の際立って高いLE値を生じた(
図24)。LE MPP(LEを0.4%含有)は、AUC0−3hrにおいてLotemax(登録商標)(LEを0.5%含有)の3倍を超える促進をもたらした。これらの結果は、MPP技術により達成される露出の促進は、眼の表面に限られるものではなく眼の前房中にも拡張されることを実証している。加えて、LE MPP製剤のLE服用量をLotemax(登録商標)に比べて20%低くしても露出の促進を達成することができる。
【0451】
[実施例18]
この限定されない実施例は、20%低いLE含有量のLE MPPを含有する製剤が、Lotemax(登録商標)に比べてウサギの眼及び血漿中における露出の促進を示すことを実証する。
【0452】
LE MPPからの促進された露出が、Lotemax(登録商標)のように市場で流通している製剤よりも低い服用量で維持されることを実証するために、LE MPPがLotemax(登録商標)に比較して20%低い投与量で与えられた。LE MPP及びLotemax(登録商標)からのLE、及びその主な代謝物である、PJ−91及びPJ−90レベルが決定された。生体内において、ニュージーランドシロウサギへの0.4%のLEを含有するLE MPPの1回の局所点眼は、0.5%のLEを含有するLotemax(登録商標)の投与と比較して、Lotemax(登録商標)の服用量がLE MPPの服用量よりも20%多いという事実にもかかわらず、試験された全ての組織/流体(例えば、結膜、角膜、眼球水様液、虹彩及び毛様体(ICE)、中心網膜、及び血漿)において際立って高いLE値を生じた(
図26A−26R)。薬学熱力学係数が表16に一覧として示される。これらの結果は、LE服用量はLE MPP製剤について20%低くすることができ、それでもなおLotemax(登録商標)を超える露出の促進を達成できることを実証している。
【0453】
【表20】
【0454】
[実施例19]
この限定されない実施例は、PEGグリル化コポリマー及び非−PEGグリル化コア形成ポリマーを含有する、フルチカゾン−負荷MPPのフルチカゾン放出プロファイルを実証する。
【0455】
フルチカゾン−負荷MPPは、本明細書に記載されたいずれか(例えば、実施例12に記載された方法)と同様な方法にしたがって、フルチカゾンを主なポリマーとしてのPLA7A(Surmodics100DLA7A、MW=108KDa)及び二次ポリマーとしてのPEGグリル化コポリマー(例えば、100DL9K−PEG2K、又は、8515PLGA54K−PEG2K)との共沈殿によって作製された。試験されたポリマー成分の比は、10/90、20/80、30/70(いずれの場合もPLA7Aを主成分として)であった。種々のPEGグリル化コポリマーが、得られる粒子の特性におけるブロック組成物の影響(すなわち、PEGブロックのMW対疎水性ブロックのMW)を調査するために試験された。特に、得られる粒子の粘液浸透、薬剤放出制御、及び製剤工程を通してのコロイド安定性を維持する特性が評価された。
【0456】
多くの組成物が満足すべき薬剤放出及び粘液浸透を得ているにも関わらず、これらの大部分で良質なコロイド安定性を達成することができないことが見出された(
図27参照)。コロイド安定性は、既存の製剤工程が遠心分離及び再懸濁によるMPPの分離及び精製工程を含んでいることから、特に重要である。多くの組成物の乏しいコロイド安定性は、部分的には、遠心分離工程の後に得られる生成物を再懸濁することができないことで明らかになる。MPPにおいて得られる、良好なコロイド安定性と、同じくらい良好な薬剤放出(例えば、この実施例のように、生体内で24時間にわたる連続的な放出)についての制御性を有する組成物は、粒子中の比較的低い合計PEG含有率(例えば、総ポリマー含有量の約3質量%未満)において、粒子上の比較的高いPEGの表面被覆率(例えば、少なくともnm
2当たり約0.18PEG鎖)を有することが明らかになった。別の言葉で言えば、PLA7Aの、比較的短い疎水性ブロック(例えば、100DL9K−PEG2K)を有するPEGコポリマーとの組合せは、比較的長い疎水性ブロック(例えば、8515PLGA54K−PEG2K)を有するPEGコポリマーとの同様な組合せよりも、コロイド的により安定なMPPが得られる(
図27参照)。
【0457】
[実施例20]
この限定されない実施例は、ソラフェニブを含むMPPが、ヒト頸膣部粘液での捕捉を回避し、粘液を通して拡散することができることを実証する。
【0458】
ソラフェニブを含むMPPは、本明細書に記載された方法(例えば、実施例21及び29に記載された方法)にしたがって調製される。既存のナノ粒子及び本明細書に記載されたMPPのヒト頸膣部粘液中の移動性は、それぞれ実施例2及び10に記載された、バルク輸送測定法及び/又は顕微鏡検査によって特性づけられる。結果を
図28A−28Bに示す。既存のナノ粒子はヒト頸膣部粘液で捕捉され、それに対して本明細書に記載されたMPPは、ヒト頸膣部粘液での捕捉を回避して、粘液を通して拡散することができた。
【0459】
[実施例21]
この限定されない実施例は、MPPとして形成されるソラフェニブ(小分子の受容体型チロシンキナーゼ(RTK)阻害薬)の局所的送達が、眼の網膜及び脈絡膜におけるソラフェニブレベルを大いに促進することを実証する。この実施例は、また、眼の前部の組織におけるソラフェニブ値がMPP放出速度に依存しており、眼の後部でのソラフェニブレベルに著しい影響を与えることなく、低減できることをも示す。
【0460】
比較的速い薬剤放出を伴うソラフェニブ負荷MPP(MPP1)は、粉砕手法によって調製された。すなわち、薬剤及びPluronic F127(F127)を含む水性分散液が、粉砕媒体としての酸化ジルコニウムビーズとともに、動的光散乱法により測定される粒子径が300μm未満に縮小されるまで撹拌された。この方法は、眼科用製品で使用することをFDAにより承認された賦形剤を使っており、MPPの安定した水性ナノ懸濁液を製造する。
【0461】
比較的遅い薬剤放出動力学を伴うソラフェニブ負荷MPP(MPP2)は、ソラフェニブを、本明細書に記載された被膜により装飾された生物分解性ポリマーのナノ粒子中にカプセル化することにより調製された。例えば、テトラヒドロフラン中にソラフェニブのない基質(LCLabs)、PLA(ポリラクチド、100DL7A、Surmodics)、及びPLA−PEG(ポリ(エチレングリコール)−コ−ポリラクチド、100DL−mPEG2K、Surmodics)を含有する溶液が、Pluronic(登録商標)F127の水性溶液の過剰量に対して制御された速度で、撹拌しながら添加された。製造された粒子は、揮発物質を蒸発させ、カプセル化されなかったソラフェニブを晶出させるために、室温で撹拌された。カプセル化されなかったソラフェニブの結晶は、適切な大きさのガラスファイバーフィルターを通して濾過することにより除去された。ナノ粒子は遠心分離法によって濾過液から分離され、水性Pluronic(登録商標)F127により1回洗浄された。ナノ粒子の最終製品はPluronic(登録商標)F127中に再懸濁された。
【0462】
MPP製剤中のソラフェニブの濃度は、HPLCによって確認された。MPPの粒子径は、Zetasizer Nano ZS90(Malvern Instruments)を用いて、動的光散乱法によって測定された。生体内の薬剤放出は、37℃で50mMリン酸緩衝液(pH7.4)中において、十分に飽和可溶性以下にある実験状態のように、沈殿状態を確実にするために、0.5%のTween80の存在下で評価された。
【0463】
MPP又は非MPPコンパレータの1回の局所投与に続くソラフェニブの薬物動態は、開発業務受託機関において、ニュージーランドシロウサギ(NZW)で評価された。ソラフェニブの水性懸濁液が非MPPコンパレータとして用いられた。それぞれの動物は5mg/mLのソラフェニブを含有する50μLの局所点眼を両眼に受けた(n=6)。眼の組織は、角膜及び眼の後部から採取された脈絡膜及び網膜の8mm打ち抜き片を含有し、様々な時点において採取された。打ち抜き片は、眼の後部においてAMD治療のための標的であるヒトの斑点が存在するとされる範囲の標的として用いられた。ソラフェニブレベルはLC/MSによって決定された。
【0464】
上述のように形成されたMPP1及びMPP2は、それぞれ187nm(PDI=0.172)及び222nm(PDI=0.058)のZ−平均直径を有する安定なナノ懸濁液として調製される。MPP1は本質的に純粋な薬剤ソラフェニブの懸濁液であるため、薬剤放出は薬物溶解により大きく制御され、比較的速い。MPP2の場合は、薬剤ソラフェニブがPLAポリマー中にカプセル化されており、薬剤負荷は20%であった。MPP2のポリマー組成物は、PLAの分子量を含み、PLA−PEGに対するPLAの比率、及びPLA−PEGの組成物は、MPP1と十分に区別される放出速度を達成するために、組織的に変化した。MPP2製剤は、生体内での約24時間にわたる連続的薬剤放出を実証した。
【0465】
角膜において、迅速放出MPP1製剤の1回の服用は、コンパレータからのより18倍以上も高いソラフェニブレベルを生み出し、コンパレータの少なくとも7倍の強化を、少なくとも6時間にわたって継続した。対照的に、低速放出MPP2製剤は、コンパレータの3倍程度の強化を6時間にわたって生み出したに過ぎなかった。しかしながら、後方部分組織(例えば、網膜及び脈絡膜)では、MPP1及びMPP2の両方が、同様な高いソラフェニブレベルを生み出し、コンパレータをかなり上回っていた(
図29A−29B)。事実、MPP製剤で生み出されたソラフェニブの網膜でレベルは、報告されたソラフェニブについてのVEGFR−2(37ng/g)及びPDGFR−(14ng/g)に対する細胞IC50値に近接し又は超えており、比較的低い有効性の、第1出現RTK阻害薬である。さらにまた、両方のMPP製剤とも、Draize scoringで評価されるように、十分に通用した。
【0466】
これらの結果は、本明細書に記載されたMPP及びそれらの組成物が医薬品の局所投与により眼の後部への医薬品の送達を大きく強化できることを、実証実験してみせたのみならず、MPPとして形成される小分子RTK阻害薬の局所投与が、幅広い範囲の、AMDのような眼疾患の治療効能を有することをも示唆している。
【0467】
[実施例22]
この限定されない実施例は、LE MPPを含む製剤が、ウサギの眼の眼房水におけるLEの曝露をLotemax(登録商標)ゲルと比べて改善することを実証する。
【0468】
LE MPPからのLEの強化された曝露が、市販の懸濁液製剤のみならず、市販のゲル製剤と比較してもまた低い服用量を維持できることを実証するために、LE MPP(0.4%のLE服用量で)及びLotemax(登録商標)ゲル(0.5%のLE服用量で)が用いられたときのLEレベルが決定された。ゲル及び軟膏製剤は、粘性複合物中のLE送達により眼での露出を増やす試みにおいて一般に使用される。ゲル及び軟膏製剤は、しばしば視野をぼやけさせ、液体点眼薬ほど快適ではなく着けるのが難しい。
【0469】
LE MPPを生成させるために、粉砕工程が本明細書に記載された方法にしたがって実行された。例えば、LE及びPluronic(登録商標)F127(F127)を含む水性分散液が粉砕媒体とともに、動的光散乱法により測定される粒子径が約300μm未満に縮小されるまで粉砕された。粘液移動性は、ヒト頸膣部粘液において既に記載した特定方法に基づいて特性化された。
【0470】
生体内での、LE MPP(KPI−121)のニュージーランドシロウサギへの1回の局所投与は、眼房水中で、Lotemax(登録商標)ゲルの服用量が20%高いという事実にも関わらず、Lotemax(登録商標)ゲルよりも高いLEレベルを生じさせた(
図30)。LE MPPのAUC
0−3は、Lotemax(登録商標)ゲルのそれよりも20%高かった。LE MPPのC
maxは、Lotemax(登録商標)ゲルのそれよりも2.5倍高かった。これらの結果は、本明細書に記載されたMPPがLotemax(登録商標)ゲルで使用された粘性複合物よりも性能が優れており、LEの服用量がLE MPP製剤によって20%低減され、それでもなおLotemax(登録商標)ゲルと比べて同等の、又はより強化された曝露を達成するであろうことを示している。
【0471】
[実施例23]
この限定されない実施例は、LE MPPがニュージーランドシロウサギの眼房水において服用量依存の曝露を示すことを実証する。
【0472】
LE MPP製剤からのLEの曝露が服用量依存であることを示すため、服用量範囲の研究が実施された。LE MPPを生成させるために、本明細書に記載された方法にしたがった粉砕工程が実行された。例えば、薬剤及びPluronic(登録商標)F127(F127)を含む水性分散液が粉砕媒体とともに、動的光散乱法により測定される粒子径が約300μm未満に縮小されるまで粉砕された。粘液移動性は、ヒト頸膣部粘液において既に記載した特定方法に基づいて特性化された。希釈工程が実施されて、0.4%、0.5%、0.6%、又は1%のLEを含むLE MPP懸濁液が作製された。生体内での、LE MPPのニュージーランドシロウサギへの1回の局所投与は、ウサギの眼房水中で、与えられた服用量に依存するLEレベルを生じさせた(
図31A−31B)。これらの結果は、LE MPP製剤が服用量依存性の薬物動態を表わすことを実証している。
【0473】
[実施例24]
この限定されない実施例は、LE MPPが複数の、塩化ナトリウムのようなイオン性化合物の存在下で、安定に形成され得ることを実証する。
【0474】
LE MPPが、イオン性の塩のようなイオン性化合物とともに形成され得ること、及びそのような製剤において物理的に安定に残ることを実証するために、塩化ナトリウムが、よく知られたヒトに安全な性質を有する等張剤として、LE MPP中に導入された。本分野において、イオン化合物は粒子懸濁液を不安定化する傾向があるためイオン化合物を粒子懸濁液に加えるべきでないことは、普通に知られている。驚くべきことに、LE MPPの場合には、そうではない。
【0475】
製剤で約300mOsm/kgの浸透圧を達成するためには、製剤中の塩化ナトリウムの濃度は、典型的には約0.9%であることが知られている。1.2%のグリセリンと0.45%の塩化ナトリウムの混合によっても通常は等張溶液が得られ、塩化ナトリウムの異なる値を比較するために検査された。
【0476】
ナノ粒子を生成させるために、本明細書に記載された方法にしたがった粉砕工程が実行された。例えば、LE及びPluronic(登録商標)F127(F127)を含む水性分散液が粉砕媒体とともに、動的光散乱法により測定される粒子径が約300μm未満に縮小されるまで粉砕された。得られた等張製剤の物理的安定性は、動的光散乱法(DLS)を使用した製剤中の粒子径のモニタリングによって検査された。2つの異なる濃度の塩化ナトリウムを含む製剤中の粒子は、
図32に示されるように、粒子径が非常に安定していることが発見された。
図32において三角形のマークで示されるデータは、円形のマークで示されるデータよりも、製剤中の塩化ナトリウムの濃度が高いパーセンテージを有していた。これらの結果は、LE MPPが、塩化ナトリウムのようなイオン性化合物の存在下で、安定な組成物として製剤となることを実証している。
【0477】
[実施例25]
この限定されない実施例は、Pluronic(登録商標)F127、及びジクロフェナク又はケトロラクを含む粒子が粘液透過性となり得ることを実証する。
【0478】
NSAIDを含むコアと、表面改変剤(例えば、Pluronic(登録商標)F127)とを含有する粒子が粘液透過性となり得ることを実証するために、2つのNSAID、すなわちジクロフェナク及びケトロラクが研究された。
【0479】
ジクロフェナク又はケトロラクを含む粒子を生成させるために、本明細書に記載された方法にしたがった粉砕工程が実行された。1セットの実験においては、Pluronic(登録商標)F127及び、ケトロラクのない酸及びジクロフェナクのない酸のうちの1つを含む水性分散液が、粉砕媒体とともに、動的光散乱法により測定される粒子径が約300μm未満に縮小されるまで粉砕された。同様な粒子径の非−MPPコンパレータを生成させるために、表面改変剤としてPluronic(登録商標)F127の代わりにSDSを使用した以外は同様の粉砕工程が実行された。粘液移動性は、ヒト頸膣部粘液において既に記載した顕微鏡法に基づいて特定された。ジクロフェナクの場合には、粘液移動性は既に記載したバルク変換法によりさらに特定された。結果が
図41に示される。このデータは、Pluronic(登録商標)F127とケトロラク及びジクロフェナクのうちの1つとを含む粒子は粘液浸透性であり、これに対してSDSとケトロラク及びジクロフェナクのうちの1つとを含む粒子は粘液浸透性ではないことを実証している。
【0480】
[実施例26]
この限定されない実施例は、ブロムフェナクカルシウムを含むMPP、及びその組成物及び/又は製剤の形成方法を説明する。
【0481】
コアとしてブロムフェナクカルシウムを含み粘液不活性表面改変剤としてPluronic F127(F127)を含むMPP、及びこれらのMPPを含む組成物及び/又は製剤は、実施例2に記載された方法と同様の方法を用いて調製された。1セットの実験では、ブロムフェナクカルシウム及びPluronic(登録商標)F127を含む水性分散液中で、ブロムフェナクカルシウムが粉砕媒体として酸化ジルコニウムを用いて、動的光散乱法により測定される粒子径が約300μm未満に縮小されるまでナノ粉砕された。得られたナノ粉砕懸濁液は、必要であれば、より低濃度に希釈され得る。いくつかの実験では、ブロムフェナクカルシウムは125mMのCaCl
2、又は50mMのトリス緩衝剤の水溶液中で粉砕され、3つの製剤を与える。3つの製剤中で得られたMPPの粒子径は、動的光散乱法により測定され、結果が
図34に示される。全ての3つの製剤は約200nmのZ−平均粒子径を有し、多分散性指数は<0.2であった。これらのデータは、ブロムフェナクカルシウムMPPは小さく均一な粒子径を有し、そのため眼科応用に適していることを実証している。
【0482】
[実施例27]
この限定されない実施例は、ブロムフェナクカルシウムを含有するMPP、及びその組成物及び/又は製剤が、室温で貯蔵された場合に安定であることを実証する。
【0483】
ブロムフェナクカルシウムを含有するMPP、及びその組成物及び/又は製剤は、実施例26に記載された方法にしたがって調製される。MPP、組成物、及び/又は製剤は、室温で何日か貯蔵され、MPPのZ−平均粒子径及び多分散性係数は動的光散乱法により測定された。結果は
図35A−35Dに示される。これらのデータは、ブロムフェナクカルシウムMPPが室温で保存されたとき、長期間にわたって良好な粒子安定性を維持することを実証している。
【0484】
ヒト頸膣部粘液におけるブロムフェナクカルシウムMPPの促進された粘液移動性が、蛍光顕微鏡法及び高解像度暗視野顕微鏡法により確認された(データ表示せず)。
【0485】
[実施例28]
この限定されない実施例は、ブロムフェナクカルシウムMPPを含有する組成物及び/又は製剤中の賦形剤が、ブロムフェナクカルシウムMPPの化学的安定性を改善することを実証する。
【0486】
MPP中のブロムフェナクカルシウムの化学的安定性を改善するために、異なる賦形剤組成物が、(1)ブロムフェナクの溶解性を低下させるか、それとも(2)ブロムフェナクが最も安定なpH範囲を維持するか、が粉砕工程及び最終製剤について調査された。
図25は、2つの緩衝液(125mM CaCl
2及び50mM トリス)及び、比較のため非緩衝水、におけるブロムフェナクカルシウムMPPのpH及び安定性を示す。薬剤安定性が低減された125mM CaCl
2における、及び溶液のpHが約8に維持された50mM トリスにおけるブロムフェナクカルシウムMPPの化学的安定性は、水におけるそれに比べて著しく強化された。
【0487】
【表21】
【0488】
[実施例29]
この限定されない実施例は、ソラフェニブ又はリニファニブを含有するMPPが、ウサギの眼の後部でのソラフェニブ又はリニファニブの曝露を促進したことを実証する。
【0489】
促進された粘液浸透が眼の前部でのみならず、同様に眼の後部での曝露の促進にも有効であることを実証するために、ソラフェニブ及びリニファニブの、2つのチロキシンキナーゼ受容体阻害薬が、MPPとして形成された。血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)において働く小さい分子のRTK阻害薬は、加齢性黄斑変性症(AMD)の治療法としての可能性を有する。もし、RTK阻害薬の局所的送達が、眼の後部でのRTK阻害薬の十分な値を与えるのであれば、既存の治療法で用いられている繰り返しの硝子体内点眼が避けられ得る。眼の後部へのRTK阻害薬の送達は、後部の組織に影響する他の多数の病変に対してもまた、有益であり得る。
【0490】
RTK阻害薬(例えば、ソラフェニブ及びリニファニブ)を含有するMPPを生成するために、エタボン酸ロテプレドノールに用いられたのと同様の粉砕工程が実行された。すなわち、RTK阻害薬とF127またはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含有する水性分散液が、粉砕媒体とともに、動的光散乱法により測定される粒子径が約300μm未満に縮小されるまで粉砕された。ヒト頸膣部粘液における粘液移動性が、既に記載した特定方法に基づいて特定された。ソラフェニブ及びリニファニブは、F127とともに粉砕されたときはMPPとなり、SDSとともに粉砕されたときは非−MPPとなった。
【0491】
生体内で、0.5%ソラフェニブ−MPPの50μLのニュージーランドシロウサギへの局所点眼は、ウサギの網膜において、2時間の非MPP制御によるソラフェニブ値よりも45倍高く、細胞IC
50上における96倍のソラフェニブ値を生じた(
図36A)。AMD治療の標的とされ得る眼の後部でのソラフェニブ値を測定するため、直径8mmの中央孔が、ヒト黄斑が存在し得る網膜から採取された。ソラフェニブ−MPPは、統計学的に有意な量において、ソラフェニブ非−MPPよりも優れた性能を有する。
【0492】
生体内で、2%リニファニブ−MPPの50μLのニュージーランドシロウサギへの局所点眼は、中央孔網膜において、合計4時間の非−MPP制御によるリニファニブ値よりも2倍高く、細胞IC
50上における777倍のリニファニブ値を生じた(
図36B)。ここでも再び、MPPと非−MPPの差は、統計学的に有意な大きさであった。
【0493】
これらの結果は、促進された粘液浸透が眼の後部における高い薬剤の曝露を可能にすることを実証している。この技術の応用は、眼の表面又は眼の後部のいかなる眼組織での薬剤曝露をも向上させるために用いることができる。
【0494】
[実施例30]
この限定されない実施例は、MGCD−265又はパゾパニブを含有するMPPが、治療に適切なMGCD−265又はパゾパニブレベルをウサギの眼の後部で生成したことを実証する。
【0495】
治療に適切な(例えば、治療に有効な)値での小分子RTK阻害薬の眼の後部への送達についての、MPP技術の広範な応用性を実証するため、2つの添加化合物、すなわちMGCD−265及びパゾパニブが研究された。
【0496】
MPPを生成するために、エタボン酸ロテプレドノールに用いられたのと同様の粉砕工程が実行された。すなわち、MGCD−265又はパゾパニブとF127を含む水性分散液が、粉砕媒体とともに、動的光散乱法により測定される粒子径が約300μm未満に縮小されるまで粉砕された。ヒト頸膣部粘液における粘液移動性が、既に記載した特定方法に基づいて特定された。MGCD−265又はパゾパニブのいずれも、F127とともに粉砕されたときはMPPとなった。
【0497】
生体内で、0.5%パゾパニブ−MPPの50μLのニュージーランドシロウサギへの1回の局所点眼は、中央孔網膜において、4時間の細胞IC
50より9倍高いパゾパニブレベルを生じた(
図37A)。
【0498】
生体内で、2%MGCD−265−MPPの50μLのニュージーランドシロウサギへの1回の局所点眼は、中央孔網膜において、30分間の細胞IC
50より37倍高く4時間の細胞IC
50より116倍高いMGCD−265レベルを生じた(
図37B)。
【0499】
これらの結果は、実施例29とともに、種々のRTK阻害薬をMPPとして形成することができ、局所投与によって眼の後部で達成されるRTK阻害薬のレベルがRTK阻害薬の活性濃度(細胞IC
50)に適切であることを実証している。
【0500】
[実施例31]
この限定されない実施例は、セディラニブ−MPPの1回の局所投与が、治療に適切な薬剤レベルをウサギの眼の後部で24時間にわたって生成したことを実証する。
【0501】
薬剤を含むMPPが治療に適切な薬剤レベルをウサギの眼の後部で24時間にわたって維持する可能性を実証するため、RTK阻害薬、セディラニブが、MPPとして製剤された。仮に、薬剤の局所送達が眼の後部で治療に適切な薬剤レベルを提供できるのであれば、従来のAMD治療で用いられている繰り返しの硝子体内注射を回避することができる。理想的には、この局所治療は眼の後部で薬剤レベルを維持することにより、より少ない服用頻度を提供し得る。
【0502】
MPPを生成するために、エタボン酸ロテプレドノールに用いられたのと同様の粉砕工程が実行された:セディラニブとPluronic F127とを含む水性分散液が粉砕媒体とともに、動的光散乱法により測定される粒子径が約300μm未満に縮小されるまで粉砕された。粘液移動性は、ヒト頸膣部粘液において既に記載した特定方法に基づいて特定された。セディラニブは、F127とともに粉砕されたときはMPPとなった。
【0503】
生体内での、50μLの2%セディラニブ−MPPのHY斑点ウサギへの1回の局所点眼は、ウサギの脈絡膜において24時間の細胞IC
50の4,800倍のセディラニブレベルを生成し(
図38A)、そしてウサギの網膜において24時間の細胞IC
50の1,000倍のセディラニブレベルを生成した(
図38B)。これらの結果は、MPP技術により眼の後部で達成され得る曝露を治療に適切な範囲とすることができ、かつ適切な薬剤曝露を長期間にわたって維持できることを実証している。
【0504】
[実施例32]
この限定されない実施例は、アキシチニブ−MPPの1回の局所投与が、治療に適切なアキシチニブレベルをオランダオビウサギの眼の後部で24時間にわたって生成したことを実証する。
【0505】
治療に適切な薬剤レベルをウサギの眼の後部で24時間にわたって維持するMPPの可能性を実証するため、RTK阻害薬、アキシチニブが、MPPとして製剤された。仮に、薬剤の局所送達が眼の後部で治療に適切な薬剤レベルを提供できるのであれば、従来のAMD治療で用いられている繰り返しの硝子体内注射を、回避することができる。理想的には、この局所治療は眼の後部で薬剤レベルを維持することにより、より少ない服用頻度を提供し得る。
【0506】
ナノ粒子を生成するために、エタボン酸ロテプレドノールに用いられたのと同様の粉砕工程が実行された:アキシチニブとF127とを含む水性分散液が、粉砕媒体とともに、動的光散乱法により測定される粒子径が約300μm未満に縮小されるまで粉砕された。粘液移動性は、ヒト頸膣部粘液において既に記載した特定方法に基づいて特定された。アキシチニブは、F127とともに粉砕されたときはMPPとなった。
【0507】
生体内での、50μLの2%アキシチニブ−MPPのオランダオビウサギへの1回の局所点眼は、ウサギの脈絡膜において24時間の細胞IC
50の1,100倍の治療に適切な薬剤レベルを生成し(
図39A)、そしてウサギの網膜において24時間の細胞IC
50の37倍のレベルを生成した(
図39B)。これらの結果は、MPP技術により眼の後部で達成され得る曝露を治療に適切な範囲とすることができ、かつ適切な薬剤曝露を長期間にわたって(例えば、少なくとも24時間)維持できることを実証している。
【0508】
[実施例33]
この限定されない実施例は、アキシチニブ−MPPがウサギVEGF(血管内皮細胞増殖因子受容体)−挑戦モデルにおける血管漏出を低減することを実証する。
【0509】
眼の後部の眼疾病の治療におけるMPP技術の可能性を実証するため、先鋭なVEGF−挑戦モデルが研究された。このモデルにおいては、脈管成長を刺激するために、「オランダベルトウサギ」にVEGFの硝子体内注射がされた。ウサギの異常な血管及び漏出の程度を特定するために蛍光後部造影が用いられた。媒体、アキシチニブ−MPP、又はAvastin(登録商標)による治療後の蛍光後部造影からの代表的な像が、
図40A−40Cに示される。媒体を服用したウサギは、大量の血管成長、ねじれ、及び漏出を示した。ヒトのAMD治療で一般的に用いられアキシチニブとは異なる活性の機構による、Avastin(登録商標)で治療されたウサギは、網膜血管での変化を示さなかった。アキシチニブ−MPPで治療されたウサギはいくらかの血管成長を見せたが漏出を媒体群よりも著しく減少させた。これらの結果は、MPP技術により眼の後部で達成され得る曝露は先鋭な挑戦モデルにおいて漏出を著しく減少させるのに十分でアあり、AMD及び他の眼の後部の疾病の効果的な治療の可能性を有することを実証している。
【0510】
[実施例34]
この限定されない実施例は、表面改変剤としてPluronic(登録商標)F127、Tween80(登録商標)、又はPVAを含有するLE MPPが、Lotemax(登録商標)と比較してウサギにおけるLEの曝露を向上させることを実証する。
【0511】
LE MPPのLE曝露を強化する能力が、LE MPPにおける表面改変剤としてのF127を含むことに限定されないことを実証するために、2つの追加表面改変剤:Tween80(登録商標)及びポリビニルアルコール(PVA)が研究された。Tween80(登録商標)はFDAの推奨する表面改変剤であり、PEG化されたソルビタン形成物の頭部とアルキル後部からなる。Tween80(登録商標)は他の表面改変剤(例えば、F127及びPVA)の範囲とは異なり、他のものの中ではオリゴマー的であり、それゆえに分子量が著しく低い。PVAは、FDAの推奨する表面改変剤であり、例えば、部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニルで、酢酸ポリビニルのランダムなコポリマー及びポリビニルアルコールを生成する。PVAは他の表面改変剤(例えば、F127及びTween80(登録商標))の範囲とは、他のものの中で異なり、PEGを含有していない。実施例4−6には、幾つかのPVAが粘液透過性であるのに対して、他のPVAはそうでないことが示される。この異なった粘液透過の挙動は、PVAの分子量及び加水分解度により制御され得る。これらの実施例の結果に基づいて、約2kDaの分子量を有し約75%加水分解されたPVAがLE MPPの粘液透過特性の研究のために選ばれた。
【0512】
LE MPPを形成するために、本明細書に記載された粉砕工程が実行された。1セットの実験において、LEと、F127及びTween80(登録商標)から選ばれた表面改変剤と、PVAとを含む水性分散液が、粉砕媒体とともに、動的光散乱法により測定される粒子径が約300μm未満に縮小されるまで粉砕された。粘液移動性は、ヒト頸膣部粘液において既に記載した特定方法に基づいて特定された。全ての3つのLE MPP(すなわち、LE−F127、LE−Tween80、及びLE−PVA)が粘液浸透性を示した(
図42)。
【0513】
生体内での、3つのLE MPPのそれぞれのニュージーランドシロウサギへの1回の局所点眼は、ウサギの脈絡膜において、同様の服用量のLotemax(登録商標)からのLEレベルと比較して著しく高いLEレベルを生成した(
図42)。これらの結果は、薬剤曝露を強化する薬剤を含むMPP、組成物、及び/又は製剤は、粒子の粘液透過性に基づいていることを実証している。
【0514】
[その他の実施形態]
本明細書においては本発明の幾つかの実施形態が記載され例証されたが、本技術分野における通常の知識を有する者は、本明細書に記載された機能を実行するための及び/又は結果及び/又は1以上の長所を得るための他の様々な手段及び/又は構造をたやすく思い描くことができ、そのような変形及び/又は変更は本発明の範囲内におけるものと見做される。より一般的には、本技術分野における通常の知識を有する者は、本明細書に記載された全てのパラメータ、次元、材料、及び形状は典型的なものであることが意味され、実際のパラメータ、次元、材料、及び/又は形状が本発明の教示について用いられた特定の応用に依存することをたやすく認識するであろう。本技術分野における通常の知識を有する者は、通常行われる以上の実験を用いることなく、本明細書に記載されたこの発明の特定の実施形態との多くの等価物を認めることができ確かめることができる。したがって、以上の実施形態は実施例の方法としてのみ提示され、添付された請求の範囲及びその等価物の範囲内において、本発明は特に説明され、また請求の範囲とされたように実施され得るものと理解されるべきである。本発明は、本明細書に記載された個々の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法に向けられたものである。加えて、このような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法の2以上のいかなる組合せも、もしこのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が互いに矛盾していなければ、本発明の範囲に包含される。
【0515】
本明細書及び請求の範囲で用いられる不定冠詞「a」及び「an」は、明示されない限り、「少なくとも1つ」と理解されるべきである。
【0516】
本明細書及び請求の範囲で用いられる語句「及び/又は」は、結合される要素の「いずれか又は両方」、すなわち、要素はある場合には共同で存在し他の場合には分離して存在すると理解されるべきである。「及び/又は」の文節で特に示された要素以外の他の要素も、特に示された要素と関連するかしないかに関わらず、それとは反対の明示がされない限り任意に存在し得る。よって、限定されない実施例として、「A及び/又はB」の言及が「含有する」のような制限のない言葉との結合において用いられたときには、1つの実施形態ではBを伴わないA(任意にB以外の要素を含む)を示し、他の実施形態ではAを伴わないB(任意にA以外の要素を含む)を示し、さらに他の実施形態ではA及びB(任意に他の要素を含む)を示す、等となる。
【0517】
本明細書及び請求の範囲で用いられるように、「又は」は、上記で定義された「及び/又は」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、一覧で項目が分かれているときには、「又は」又は「及び/又は」、すなわち、要素の数又は一覧の少なくとも1つを含み、しかし1以上もまた含み、そして、追加の表示されない項目をも任意に含むものと解釈される。「〜の1つのみ」又は「〜の正確に1つ」のような、用語が反対の明示をし、又は、請求の範囲で「〜からなる」が使われたときにだけ、要素の数又は一覧の正確に1つの要素のみが含まれることを示す。一般に、本明細書で用いられる用語「又は」は、「どちらか」、「〜の1つ」、「〜の1つだけ」又は「〜の正確に1つ」のような、排他的な用語の後に置かれたときには、独占的な選択肢(すなわち、「1つ又はその他しかし両方ではない」)のみを示すと解釈されるべきである。「実質的に〜からなる」は、請求の範囲で用いられたときは、特許法の分野で用いられる普通の意味を有する。
【0518】
本明細書及び請求の範囲で用いられる熟語「少なくとも1つ」は、1以上の要素の一覧を参照して、要素の一覧中の全ての要素から選択された少なくとも1つの要素を意味し、しかし要素の一覧中に特に挙げられたそれぞれの及び全ての要素を含む必要はなく、そして要素の一覧中の要素のいかなる組合せをも排除しないことを意味すると理解されるべきである。この定義は、要素の一覧中で特に規定された要素以外の他の要素が、熟語「少なくとも1つ」で示される要素の一覧中で特に規定された要素と関連するかしないかに関わらず、任意に存在することをも許容する。よって、限定しない例として、「少なくともA及びBのうち1つ」(又は同義に、「少なくともA又はBのうち1つ」又は同義に、「少なくともA及び/又はBのうち1つ」)は、1つの実施形態では、少なくとも1つ、任意に1以上を含む、Bの存在を伴わないA(そして任意にB以外の要素を含む)を示し、他の実施形態では、少なくとも1つ、任意に1以上を含む、Aの存在を伴わないB(任意にA以外の要素を含む)を示し、さらに他の実施形態では、少なくとも1つ、任意に1以上を含むA、そして少なくとも1つ、任意に1以上を含むB(任意に他の要素を含む)を示す、等となる。
【0519】
請求の範囲においては、上述した明細書においてと同様に、「含有する」、「含む」、「運ぶ」、「持つ」、「含有する」、「包含する」、「保持する」及びそのような移行的表現は、制限されない、すなわち含有するが限定されないことを意味する、と理解されるべきである。移行的表現「〜からなる」及び「実質的に〜からなる」のみが、米国特許庁特許審査実務基準、セクション2111.03で規定されるように、それぞれ、限定され又は準限定された移行的表現である。
【0520】
(付記)
(付記1)
眼に投与するための医薬組成物であって、
エタボン酸ロテプレドノールを含むコア粒子と、
前記コア粒子を囲む表面改変剤を含む被覆剤であって、前記表面改変剤は、(ポリ(エチレンオキシド))−(ポリ(プロピレンオキシド))−(ポリ(エチレンオキシド))トリブロックコポリマーを含み、疎水性ブロックは、約3600Daの分子量を有し、親水性ブロックは、前記トリブロックコポリマーの約70wt%を構成する、被覆剤と、を含む、
複数の被覆粒子と、
1以上の眼科的に許容可能な担体、添加剤、及び/又は希釈剤と、を含み、
前記エタボン酸ロテプレドノールは、約0.1重量%から約2重量%のエタボン酸ロテプレドノールの量で当該医薬組成物に存在し、且つ、
前記1以上の表面改変剤は、約0.01重量%から約2重量%の量で当該医薬組成物に存在する、
ことを特徴とする医薬組成物。
【0521】
(付記2)
医薬組成物を患者の眼に投与することを含む、患者の眼における、炎症、黄斑変性、黄斑浮腫、ブドウ膜炎、ドライアイ、眼瞼炎、嚢胞様黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症、後部ブドウ膜炎、糖尿病性黄斑浮腫、及び/又は他の障害を治療する方法であって、
前記医薬組成物は、
エタボン酸ロテプレドノールを含むコア粒子と、
前記コア粒子を囲む表面改変剤を含む被覆剤であって、前記表面改変剤は、(ポリ(エチレンオキシド))−(ポリ(プロピレンオキシド))−(ポリ(エチレンオキシド))トリブロックコポリマーを含み、疎水性ブロックは、約3600Daの分子量を有し、親水性ブロックは、前記トリブロックコポリマーの約70wt%を構成する、被覆剤と、を含む、
複数の被覆粒子と、
1以上の眼科的に許容可能な担体、添加剤、及び/又は希釈剤と、を含み、
前記エタボン酸ロテプレドノールは、約0.1重量%から約2重量%のエタボン酸ロテプレドノールの量で前記医薬組成物に存在し、且つ、
前記1以上の表面改変剤は、約0.01重量%から約2重量%の量で前記医薬組成物に存在する、
ことを特徴とする方法。
【0522】
(付記3)
エタボン酸ロテプレドノールを含むコア粒子と、
前記コア粒子を囲む表面改変剤を含む被覆剤であって、前記表面改変剤は、(ポリ(エチレンオキシド))−(ポリ(プロピレンオキシド))−(ポリ(エチレンオキシド))トリブロックコポリマーを含み、疎水性ブロックは、約3600Daの分子量を有し、親水性ブロックは、前記トリブロックコポリマーの約70wt%を構成する、被覆剤と、を含む、
複数の被覆粒子と、
1以上の眼科的に許容可能な担体、添加剤、及び/又は希釈剤と、を含む、
医薬組成物を製造する方法であって、
前記エタボン酸ロテプレドノールは、約0.1重量%から約2重量%のエタボン酸ロテプレドノールの量で前記医薬組成物に存在し、
前記1以上の表面改変剤は、約0.01重量%から約2重量%の量で前記医薬組成物に存在し、
前記複数の被覆粒子は、約0.2ミクロンから約0.3ミクロンの平均最小断面寸法を有し、
当該方法は、
約200nmから約300nmの範囲の大きさのエタボン酸ロテプレドノール粒子のナノ懸濁液を製造するために、粉砕媒体の存在下で、粗い又は微粉化した結晶の形態の約2〜20%のエタボン酸ロテプレドノール、約0.2〜20%の(ポリ(エチレンオキシド))−(ポリ(プロピレンレンオキシド))−(ポリ(エチレンオキシド))トリブロックコポリマーであって、疎水性ブロックが、約3600Daの分子量を有し、親水性ブロックが、当該トリブロックコポリマーの約70wt%を構成する、トリブロックコポリマー、約0.5〜3%のグリセリン、約0.1〜1%の塩化ナトリウム、及び約0.001〜0.1%のEDTAを含む粗い水性懸濁液を粉砕することと、
前記粉砕媒体からエタボン酸ロテプレドノール粒子の前記ナノ懸濁液を分離することと、
エタボン酸ロテプレドノール粒子の前記ナノ懸濁液を希釈剤と混合することと、を含む、
ことを特徴とする方法。
【0523】
(付記4)
前記1以上の眼科的に許容可能な担体、添加剤、及び/又は希釈剤は、約0.5〜3%のグリセリン、約0.1〜1%の塩化ナトリウム、約0.001〜0.1%のエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、及び約0.001〜0.05%の塩化ベンザルコニウムを含む、
ことを特徴とする付記1に記載の医薬組成物。
【0524】
(付記5)
前記1以上の眼科的に許容可能な担体、添加剤、及び/又は希釈剤は、約0.5〜3%のグリセリン、約0.1〜1%の塩化ナトリウム、約0.001〜0.1%のエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、及び約0.001〜0.05%の塩化ベンザルコニウムを含む、
ことを特徴とする付記2に記載の方法。
【0525】
(付記6)
前記1以上の眼科的に許容可能な担体、添加剤、及び/又は希釈剤は、クエン酸ナトリウム、クエン酸、及び水をさらに含む、
ことを特徴とする付記4に記載の医薬組成物。
【0526】
(付記7)
前記1以上の眼科的に許容可能な担体、添加剤、及び/又は希釈剤は、クエン酸ナトリウム、クエン酸、及び水をさらに含む、
ことを特徴とする付記5に記載の方法。
【0527】
(付記8)
前記医薬組成物に存在する前記表面改変剤の重量に対する前記エタボン酸ロテプレドノールの重量の割合(エタボン酸ロテプレドノール:表面改変剤)は、約1:1以上約3:1以下である、
ことを特徴とする付記1に記載の医薬組成物。
【0528】
(付記9)
前記医薬組成物に存在する前記表面改変剤の重量に対する前記エタボン酸ロテプレドノールの重量の割合(エタボン酸ロテプレドノール:表面改変剤)は、約1:1以上約3:1以下である、
ことを特徴とする付記2に記載の方法。
【0529】
(付記10)
対象の眼の前部にある組織に薬剤を送達することを含む、付記2に記載の方法。
【0530】
(付記11)
対象の眼の後部にある組織に薬剤を送達することを含む、付記2に記載の方法。
【0531】
(付記12)
前記表面改変剤は、前記コア粒子に非共有結合的に吸着される、
ことを特徴とする付記1に記載の医薬組成物。
【0532】
(付記13)
前記表面改変剤は、前記コア粒子に非共有結合的に吸着される、
ことを特徴とする付記2に記載の方法。
【0533】
(付記14)
前記表面改変剤は、Pluronic(登録商標)F127である、
ことを特徴とする付記1に記載の医薬組成物。
【0534】
(付記15)
前記表面改変剤は、Pluronic(登録商標)F127である、
ことを特徴とする付記2に記載の方法。
【0535】
(付記16)
前記複数の被覆粒子は、約200nmから約500nmの平均最小断面寸法を有する、
ことを特徴とする付記1に記載の医薬組成物。
【0536】
(付記17)
前記複数の被覆粒子は、約200nmから約300nmの平均最小断面寸法を有する、
ことを特徴とする付記1に記載の医薬組成物。
【0537】
(付記18)
前記複数の被覆粒子は、約200nmから約500nmの平均最小断面寸法を有する、
ことを特徴とする付記2に記載の方法。
【0538】
(付記19)
前記複数の被覆粒子は、約200nmから約300nmの平均最小断面寸法を有する、
ことを特徴とする付記2に記載の方法。
【0539】
(付記20)
エタボン酸ロテプレドノールを含むコア粒子と、
前記コア粒子を囲む表面改変剤を含む被覆剤であって、前記表面改変剤は、(ポリ(エチレンオキシド))−(ポリ(プロピレンオキシド))−(ポリ(エチレンオキシド))トリブロックコポリマーを含み、疎水性ブロックは、約3600Daの分子量を有し、親水性ブロックは、前記トリブロックコポリマーの約70wt%を構成する、被覆剤と、を含む、
複数の被覆粒子と、
約0.5%から約1%のグリセリンと、
約0.1%から約1%の塩化ナトリウムと、
約0.01%から約0.1%のエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムと、
約0.01%から約0.03%の塩化ベンザルコニウムと、を含む眼に投与するための医薬組成物であって、
前記エタボン酸ロテプレドノールは、約0.1重量%から約1重量%のエタボン酸ロテプレドノールの量で前記医薬組成物に存在し、且つ、
前記表面改変剤の重量に対する前記エタボン酸ロテプレドノールの重量の割合(エタボン酸ロテプレドノール:表面改変剤)は、約2:1である、
ことを特徴とする医薬組成物。
【0540】
(付記21)
クエン酸ナトリウム、クエン酸、及び水をさらに含む、付記20に記載の医薬組成物。
【0541】
(付記22)
前記エタボン酸ロテプレドノールは、約0.25重量%のエタボン酸ロテプレドノールの量で前記医薬組成物に存在する、
ことを特徴とする付記21に記載の医薬組成物。
【0542】
(付記23)
前記エタボン酸ロテプレドノールは、約1重量%のエタボン酸ロテプレドノールの量で前記医薬組成物に存在する、
ことを特徴とする付記22に記載の医薬組成物。
【0543】
(付記24)
前記グリセリンは、約0.6%の量で存在する、
ことを特徴とする付記22に記載の医薬組成物。
【0544】
(付記25)
前記グリセリンは、約0.6%の量で存在する、
ことを特徴とする付記23に記載の医薬組成物。
【0545】
(付記26)
前記希釈剤は、約0.5〜3%のグリセリン、約0.1〜1%の塩化ナトリウム、約0.001〜0.1%のエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、及び約0.001〜0.05%の塩化ベンザルコニウムを含む、
ことを特徴とする付記3に記載の方法。