特許第6978098号(P6978098)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6978098選択的JAK阻害剤としての化合物、該化合物の塩類および治療への使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6978098
(24)【登録日】2021年11月15日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】選択的JAK阻害剤としての化合物、該化合物の塩類および治療への使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20211125BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20211125BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   C07D471/04 101
   A61P37/06
   A61P29/00 101
   A61P19/02
   A61P17/00
   A61P25/00
   A61P17/06
   A61P1/04
   A61P21/04
   A61K31/437
   C07D471/04CSP
   A61P43/00 111
【請求項の数】3
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2019-504825(P2019-504825)
(86)(22)【出願日】2017年7月25日
(65)【公表番号】特表2019-532914(P2019-532914A)
(43)【公表日】2019年11月14日
(86)【国際出願番号】CN2017094254
(87)【国際公開番号】WO2018019223
(87)【国際公開日】20180201
【審査請求日】2020年6月29日
(31)【優先権主張番号】201610590791.7
(32)【優先日】2016年7月26日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201710037675.7
(32)【優先日】2017年1月19日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520211535
【氏名又は名称】スーヂョウ ロングバイオテック ファーマシューティカルズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU LONGBIOTECH PHARMACEUTICALS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ウェンヤン
【審査官】 谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−529032(JP,A)
【文献】 特表2014−512405(JP,A)
【文献】 特表2009−523812(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/010186(WO,A1)
【文献】 特表2012−530766(JP,A)
【文献】 特表2012−528886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/04
A61K 31/519
A61K 31/437
A61K 31/541
A61K 31/5377
A61K 31/4545
A61K 31/496
A61P 43/00
C07D 487/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化合物群から選択された化合物、その異性体、その溶媒和物またはその薬学的に許容される塩。
【化1】
【請求項2】
請求項1に記載の化合物、その異性体、その溶媒和物またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物、その異性体、その溶媒和物またはその薬学的に許容される塩の、JAKキナーゼ関連疾患を治療する薬物を調製するための使用であって、
前記疾患が、自己免疫疾患、関節リウマチ、皮膚疾患、多発性硬化症、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患、重症筋無力症または乾癬から選択される、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的JAK阻害剤としての化合物及びその異性体、溶媒和物、該化合物の塩類、該化合物またはその塩類を活性成分とする薬物、および免疫系疾患、関節リウマチ、腫瘍などのJAK関連標的疾患を治療する薬物を調製するための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
JAK−STATシグナル伝達経路は、近年発見されたサイトカインによって刺激されるシグナル伝達経路である。JAKがサイトカインシグナル伝達において重要な役割を果たし、JAKキナーゼファミリーの下流の基質は、転写タンパク質のシグナル伝達及び転写活性化因子(STAT)を含む。JAKタンパクはこの経路の重要なメンバーであり、その活性の異常な向上が疾患につながることが多い。自己免疫疾患、炎症性疾患、骨疾患、代謝性疾患、神経和神経変性疾患、癌、心臓血管性疾患、アレルギーと喘息、アルツハイマー病を含む多い疾病は、JAK−STATシグナル伝達経路の異常な細胞応答に関連する。
【0003】
関節リウマチ(rheumatoid arthritis,RA)は、主に関節腫脹、痛み、硬直、奇形および重度な機能障害などを特徴とする臨床でよく見られる慢性自己免疫疾患であり、罹患率が0.5%〜1.0%である。RAの発症機構がまだ明確ではないため、その病理過程を制御しにくく、障害率が高く、患者の心身健康をひどく損ない、患者の生活の質を低下させる。従来、RAの治療に使用されている薬物は、主に非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、病状を改善する抗リウマチ薬(DMARD)、および抗体系薬物である。長い間に、RA治療の第一線薬はDMARDsである。1988年、最初のDMARD薬物であるメトトレキサート(MTX)がRA治療に用いられることは、FDAによって承認され、MTXがRA治療史上の重要なマイルストーンとなった。この薬は、有効性、耐性、安全性などの利点により広く応用されているが、吐き気、嘔吐、胃の不快感、肝毒性などの有害反応がある。それに対し、新たに開発された抗体系薬物は、中等度から重度のRAに対して良好な有効性および安全性の指標を有するが、その特定の標的サイトカインによって、受益者は大幅に制限されるとともに、治療費用と注射による投与もこのような薬物の普及を制限している。
【0004】
過去20年間の開発過程において、RA治療はすでに大きな進歩を遂げており、患者の病状を既知の治療法によって効果的に制御することができる。それにもかかわらず、RAの患者に、疾患の再発、治療効果の不十分、長期耐性の低下、およびいくつかの有害反応などの問題がまだ存在している。さらに重要なのは、関節などの器官機能を含むRA患者の生活の質は、現在の治療手段で実質的に改善されていないため、患者の正常な機能を回復させる観点から、該当分野において大きな臨床ニーズがまだ満たされていない。
【0005】
研究によると、RAにおける肝要な治療作用を果たすのは、RA滑膜組織と細胞に浸潤した単核細胞/マクロファージ、リンパ球などが自己分泌によって大量のサイトカインを生成することであり、これらのサイトカインは相互作用して、異なる経路を介してJAK/STATシグナル伝達経路(Janus kinase/Signal transducer and activators of transcription signaling pathway)を活性化し、特異的にJAK/STATシグナル伝達経路を阻害することで、前記したサイトカインのカスケード増幅作用を遮断し、RA患者の損傷した関節の症状を改善できるため、JAK/STATシグナル伝達経路がRA治療の潜在的な標的となる。2012年11月、経口投与のJAK阻害剤Toffacitinibが関節リウマチ(rheumatoid arthritis、RA)の治療に用いることは、FDAによって承認され、この分野で初めて成功したキナーゼ阻害剤となった。
【0006】
JAK−STATシグナル伝達経路は近年発見され、サイトカインによって刺激されるシグナル伝達経路であり、JAKはサイトカインシグナル伝達において重要な役割を果たす。JAKキナーゼ(Janus kinase、単に「JAKs」とも呼ばれ、JAK1、JAK2、JAK3及びTYK2の四つの既知のメンバーを含む)は細胞内に存在する非受容体チロシンプロテインキナーゼスーパーファミリーの中の一つのファミリーである。JAK3は骨髄およびリンパ系に分布し、JAK1、TYK2、JAK2は多種の組織細胞に広く分布している。JAKsが細胞表面のサイトカイン受容体に結合すると、受容体結合JAKsを活性化し、さらに受容体をリン酸化することにより、細胞質シグナル伝達及び転写活性化因子STATタンパク質(Signal Transducers and ActivatorsOf Transcription,STAT1−4、STAT5a、STAT5b、STAT6)にリクルート反応部位を提供し、また、JAKsはSTATタンパク質をリン酸化し、後者が二量体化された後、細胞核内に転移して遺伝子発現を制御する。この経路はJAK/STATシグナル伝達経路である(非特許文献1)。
【0007】
JAK/STATシグナル伝達経路は複数のサイトカインと成長因子受容体によって刺激されるシグナル伝達経路である。これらの因子は、インターロイキン類、インターフェロン類(IFN-a、IFN-β、IFN-γ)、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球及び単球コロニー刺激因子(GM-CSF)、成長ホルモン(GH)、プロラクチン(PRL)、およびトロンボポエチン(TPO)などを含み、免疫細胞および造血幹細胞の増殖、免疫調節に関与する生物学的過程において重要な役割を果たしている(非特許文献2)。
【0008】
JAK1は、IL−10、IL−19、IL−20、IL−22、IL−26、IL−28、IFN−a、IFN−γ、gp130のファミリー中のIL−6およびγcを含む他の受容体などと結合できる(非特許文献3)。マウスモデルにおけるJAK1遺伝子ノックアウト実験は、この酵素が上記の複数のサイトカイン受容体の生物学的効果を調節する上で重要な役割を果たしていることを示した(非特許文献4)。JAK1は免疫関連疾患、炎症および癌などの疾患の分野における新しい標的となる。JAK1阻害剤は、白血病、リンパ腫、メラノーマ、関節炎、乾癬、クローン病、紅斑性狼瘡、後天性免疫不全症候群(非特許文献5)などの自己免疫性疾患および炎症(非特許文献6)の治療/予防に用いることができる。
【0009】
JAK2はIL-3、IFN-γ、EPO、GHなどを含む複数の受容体シグナルの調節過程において重要な役割を果たしている(非特許文献7)。マウスモデルにおいて、JAK2のノックアウトは貧血動物の死亡に繋がれる(非特許文献8)。ヒトのJAK2遺伝子における一つの塩基変異であるJAK2V617Fは、骨髄増殖性疾患における真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板血症(ET)などの発生と密接に関連している(非特許文献9)。
【0010】
JAK3は、IL−2、IL−4、IL−7、IL−9、IL−15、IL−21などのサイトカイン受容体複合体中のガンマ共鎖(γc)に結合することによって、細胞シグナル伝達を調節する。JAK3またはγc変異はいずれも重症複合免疫不全症(SCID)を引き起すことができる(非特許文献10)。JAK3の活性異常は、T細胞とNK細胞が大幅に減少し、B細胞の機能が失われ、免疫系などの正常な生物学的機能に大きく影響を及ぼすことを特徴とする。JAK3は、その機能の特徴および特別な組織分布に基づいて、免疫系関連疾患に対する注目の薬物標的となり、その阻害剤は、関節リウマチ(RA)、クローン病、全身性紅斑性狼瘡、多発性硬化症、I型糖尿病、乾癬、アレルギー性疾患、喘息、慢性閉塞性肺疾患、白血病、リンパ腫、臓器移植および他の疾患の治療/予防において重要な臨床応用価値を有する(非特許文献11)。
【0011】
TYK2は、JAKファミリーの最初のメンバーで、インターフェロン(IFNs)、IL−10、IL−12、IL−23、IL−27などの複数の受容体によって活性化される。マウスでは、TYK2機能の喪失は、複数のサイトカイン受容体のシグナル伝達経路に欠陥を引き起こし、ウイルス感染、抗菌免疫機能の低下および肺感染の可能性の増加をもたらす(非特許文献12)。さらに、LarnerA.Cチームの研究は、TYK2が乳癌の増殖および転移を阻害するのに役立つことを示唆している(非特許文献13)。
【0012】
JAKキナーゼは体内の様々な重要な生理過程に関与しているため、異なるサブタイプに対する広範な阻害は有害反応を起こす可能性がある。Tofacitinibは、MTX応答不足や不耐性の中等度から重度のRA患者に用いられるが、臨床試験では感染、結核、腫瘍、貧血、肝障害およびコレステロールの増加などの有害反応を伴うことがみられた。Tofacitinibは、JAK1、JAK2およびJAK3サブタイプに対して有意な阻害活性を有する。JAK2活性は赤血球分化および脂質代謝に関連するので、上記の有害反応の一部はこの薬物の非選択的阻害の特性に関連すると考えられる。したがって、選択的JAK1および/またはJAK3阻害剤を見出すことは、RA薬物研究の新たな方向になる。
現在、JAK阻害剤は、血液系疾患、腫瘍、関節リウマチおよび乾癬などの治療薬に用いられることが実証されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】0’Shea J.J.,et al.,N.Engl.J.Med.,2013,368:161−170
【非特許文献2】Ghoreschi K.,et al.Immunol.Rev.,2009,228:273−287
【非特許文献3】Rodig S.J.,et al.Cell,1998,93:373−383
【非特許文献4】Kisseleva T.,et al.,Gene,2002,285:1−24
【非特許文献5】Hou S.,et al.,Hum.Genet.,2013,132:1049−1058
【非特許文献6】Hornakova T.,et al.,Blood,2010,115:3287−3295
【非特許文献7】Levy D.E.,et al.,Nat.Rev.Mol.Cell Biol.,2002,3:651−662;
【非特許文献8】Schindler C.,et al.,J.Biol.Chem.,2007,282:20059−20063
【非特許文献9】Ghoreschi K.,et al.,Immunol.Rev.,2009,228:273−287
【非特許文献10】Villa A.,et al.,Blood,1996,88:817−823
【非特許文献11】Papageorgiou A.C.,et al.,2004,Trends Pharm.Sci.,2004,25:558−562
【非特許文献12】Kisseleva T.,et al.,2002,Gene,285:1−24
【非特許文献13】Zhang Q.,et al.,2011,J.Interferon Cytokine Res.,31:671−677
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の第1の目的は、選択的JAK阻害剤化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
具体的には、本発明は、式(I)
【0016】
【化1】
【0017】
(式中、Aは
【0018】
【化2】
【0019】
からなる群より選択され、
Rは
【0020】
【化3】
【0021】
から選択され、
C’は、炭素原子がO、Sまたは−SO−で置換されていてもよい4−10員の窒素含有複素環を表し、
は、水素、C−Cアルキル基、またはハロゲン原子を表し、
は、水素、またはC−Cアルキル基を表し、
は、水素、C−Cアルキル基、またはC−Cアルキルスルホニル基を表し、
nは、0、1、2から選択され、
また、
Aは
【0022】
【化4】
【0023】
からなる群より選択され、
C’は、
【0024】
【化5】
【0025】
から選択され、
は、水素、C−Cアルキル基、またはハロゲン原子を表し、
は、水素、C−Cアルカノイル基、C−Cシクロアルカノイル基、またはC−Cアルキルスルホニル基を表し、該Rは、C−Cアルコキシ基、C−Cアルキルスルホニル基、またはハロゲンで置換されていてもよく、
は、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基からなる群より選択され、該Rはハロゲン原子で置換されていてもよく、
nは、0、1、2から選択される)
で示される構造を有する選択的JAK阻害剤化合物、及びその異性体、溶媒和物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0026】
より好ましくは、本発明の式(I)で示される構造を有する好ましい化合物は、
N−(5−(4−((3−(メチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]シクロプロパンカルボキサミド、
N−(5−(3−フルオロ−4−((3−(メチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]シクロプロパンカルボキサミド、
N−(5−(3,5−ジフルオロ−4−((3−(メチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]シクロプロパンカルボキサミド、
N−(5−(4−((3−(メチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]イソブチルアミド、
N−(5−(4−((3−(シクロプロパンスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]イソブチルアミド、
N−(5−(4−((3−(エチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]イソブチルアミド、
N−(5−(4−((3−(エチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]シクロプロパンカルボキサミド、
5−(4−((3−(メチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−アミノ、
N−(8−(4−((3−(メチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]シクロプロパンカルボキサミド、
N−(8−(4−((3−(シクロプロパンスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]シクロプロパンカルボキサミド、
N−(8−(4−((3−(エチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]シクロプロパンカルボキサミド、
N−(8−(4−((3−(メチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]シクロプロパンカルボキサミド、
N−(8−(4−((3−(シクロプロパンスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]イソブチルアミド、
N−(8−(4−((3−(エチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]イソブチルアミド、
N−(8−(3−フルオロ−4−((3−(メチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]シクロプロパンカルボキサミド、
N−(8−(3,5−ジフルオロ−4−((3−(メチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]シクロプロパンカルボキサミド、
8−(4−((3−(メチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミン、
8−(4−((3−(エチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミン、
4−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ベンジル)チオモルホリン1,1−ジオキシド、
4−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ベンジル)モルホリン、
4−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)フェニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン、
1−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ベンジル)ピペリジン−4−オン、
4−(4−(ピロール−1−イルメチル)フェニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン、
4−(4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)ベンジル)チオモルホリン1,1−ジオキシド、
4−(4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)ベンジル)チオモルホリン1,1−ジオキシド、
4−(4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)ベンジル)モルホリン、
3−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)フェニル)−7H−ピロロ[2,3−b]ピリジン、
4−(4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)ベンジル)ピペリジン−4−オン、または
3−(4−(ピロール−1−イルメチル)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン、
およびその異性体、溶媒和物またはその薬学的に許容される塩である。
【0027】
また、本発明は、上記の化合物、異性体、溶媒和物またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
さらに、本発明は、JAKキナーゼ関連疾患を治療する薬物を調製するための上記化合物の使用を提供する。
好ましくは、この使用は、自己免疫疾患、関節リウマチ、皮膚疾患、多発性硬化症、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患、重症筋無力症、乾癬を治療する薬物を調製するための使用である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
専門用語
「アルキル」という用語は、鎖中に1〜12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味し、アルキルの例として、メチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル(t−Bu)、ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、および当業者や本文による教示により上記の例のいずれかに相当すると考えられるものなどが挙げられる。
「アルコキシ」という用語は、酸素原子に結合している上記のように定義されたアルキル基を意味する。アルコキシ基は、酸素原子を介して母体構造に結合している。
「アミノ」という用語は、−NH基、またはモノ或いはジアルキルアミノ基を意味する。
「シクロアルキル」という用語は、環に当たり3〜12個の炭素原子を有する、飽和および部分飽和の、単環式、縮合多環式、架橋多環式、またはスピロ多環の炭素環を意味する。シクロアルキルの例示的な例としては、
【0029】
【化6】
【0030】
を適切に結合したものが挙げられる。
【0031】
「アリール」という用語は、ベンゼンなどの5〜6員の芳香族炭素環;ナフタレン、インデンおよび1,2,3,4−テトラヒドロキノリンなどの少なくとも1つの環が芳香族炭素環である二環式化合物;ならびに、フルオレンなどの少なくとも1つの環が芳香族炭素環である三環式化合物を意味する。
【0032】
例えば、5〜6員の芳香族炭素環と5〜7員のヘテロ環を含むアリール基において、このヘテロ環には窒素、酸素、硫黄からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を有し、且つ結合部位が芳香族炭素環にある。置換ベンゼンの誘導体および環原子が自由原子価状態を持つことにより二価のラジカルが形成され、それが置換フェニレン基ラジカルと命名される。命名が「基」で終わる1価の多環炭化水素ラジカルは、自由原子価状態の水素原子を1つ減らすことで2価のラジカルに誘導される。その2価のラジカルの命名は、対応する1価のラジカルの後ろに「ene」を付加することであり、例えば、2つの連結点を持つナフチル基はナフチレン基と呼ばれる。ただし、アリール基は、以下にそれぞれ定義されるヘテロアリール基を含有しておらず、何らかの方式でそれと重なることもない。したがって、ここでは、1つ以上の芳香族炭素環が芳香族複素環と並置される場合、得られる環系はアリール基ではなく、芳香族複素環基であると定義する。
【0033】
「ヘテロアリール基」という用語とは、
N、OおよびSから選択される1個以上、例えば1〜4個のヘテロ原子を含み、一部の実施形態では、1〜3個のヘテロ原子を含み、且つ環上の他の原子は炭素原子である5〜8員の単環式芳香族炭化水素、
N、OおよびSから選択される1個以上、例えば1〜4個のヘテロ原子を含み、一部の実施形態では、1〜3個のヘテロ原子を含み、且つ環上の他の原子は炭素原子であり、そのうちの少なくとも1つの環は芳香環である8〜12員の二環式芳香族炭化水素、および
【0034】
【化7】
【0035】
を指す。
【0036】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、飽和または部分不飽和の単環式または多環式の環状炭化水素置換基を意味する。該ヘテロシクロアルキルは3〜20個の環原子を含み、そのうち、1つ以上の環原子が窒素、酸素、またはS(O)m(mは0〜2の整数)から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素である。好ましくは、3〜12個の環原子を含み、そのうち、1〜4個のヘテロ原子を含み、より好ましくは、ヘテロシクロアルキル環は、3〜10個の環原子を含み、更に好ましくは、ヘテロシクロアルキル環は、5〜6個の環原子を含む。単環式のヘテロシクロアルキルの例は、ピロリジニル基、ピペリジニル基、モルホリニル基、テトラヒドロフラニル基などを含むが、これらに限定されない。多環式ヘテロシクロアルキルには、スピロ環、縮合環、架橋環のヘテロシクロアルキルが含まれる。ヘテロ環は置換されていてもよく、置換されていなくてもよく、置換されている場合、置換基は、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ハロゲン、水酸基、アミノ基、オキソ基、アルキルアミノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、又はカルボン酸エステル基からなる群から独立に選択される1つ以上の基であることが好ましい。
【0037】
「ハロゲン」という用語は、塩素、フッ素、臭素、またはヨウ素を意味する。「ハロゲン化」という用語は、塩素化、フッ素化、臭素化、またはヨウ素化を意味する。「ハロアルキル基」という用語は、上記で定義されたアルキル基を意味し、1つ以上のハロゲン原子で置換されている。
【0038】
「ハロゲン化アルキル基」という用語は、1つ以上のハロゲン原子で置換された上記のように定義されたアルキル基を意味する。
【0039】
「ハロゲン化アルコキシ基」という用語は、1つ以上のハロゲン原子で置換された上記のように定義されたアルコキシ基を意味する。
【0040】
「アシル基」という用語は、炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状或いは環状の立体配置、またはそれらの組み合わせの基であるR−C(O)−を意味し、このアシル基はカルボニル官能基を介して母体構造に結合する。このような基は飽和であってもよく、不飽和であってもよく、且つエステル式であってもよく、芳香族であってもよい。
【0041】
本発明が提供する実施形態では、本発明の化合物は塩基性基を含む場合、酸で塩になることができ、当業者に周知の方法でピリミジン類誘導体の塩を調製することができる。
【0042】
一般的な塩には、有機酸塩、無機酸塩などがある。通常、より一般的に使われる有機酸塩としては、クエン酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、スルホン酸塩(例えば、樟脳スルホン酸塩、p‐トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩など)など;無機酸塩としては、ハロゲン化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩などが挙げられる。
【0043】
例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などの低級アルキルスルホン酸で、メタンスルホン酸塩またはトリフルオロメタンスルホン酸塩を形成することができる;ベンゼンスルホン酸やp‐トルエンスルホン酸などのアリールスルホン酸で、p‐トルエンスルホン酸塩やベンゼンスルホン酸塩を形成することができる;酢酸、フマル酸、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸またはクエン酸などの有機カルボン酸で、対応する塩を形成することができる;グルタミン酸やアスパラギン酸などのアミノ酸で、グルタミン酸塩やアスパラギン酸塩を形成することができる。ハロゲン化水素酸(フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、塩素酸)、硝酸、炭酸、硫酸またはリン酸などの無機酸でも、対応する塩を形成することができる。
【0044】
本発明の第二の局面において、本発明は、本発明の式(I)のJAK阻害剤化合物、異性体、またはその薬学的に許容される塩あるいは溶媒和物を活性成分として利用する薬物を提供する。上記薬物には、1種以上の薬学的に許容される担体がさらに含まれてもよく、この担体には、薬学分野における通常の希釈剤、賦形剤、充填剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、吸収促進剤、界面活性剤、吸着担体、潤滑剤などを含み、必要に応じて着香剤、甘味料などを添加してもよい。本発明の薬物は、錠剤、粉剤、顆粒剤、カプセル、経口液及び注射剤などの様々な形態にすることができ、上記各剤形の薬物は薬学分野における常法に従って調製することができる。
【0045】
本発明の第三の局面において、本発明が提供する式(I)のJAK阻害剤化合物およびその薬学的に許容できる塩は、人や動物の自己免疫疾患、関節リウマチ、皮膚疾患、多発性硬化症、関節リウマチ、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患、重症筋無力症、乾癬を治療する薬物、特にJAKキナーゼ関連疾患を治療する薬物に応用することができる。
【0046】
本発明者らは実験により、本発明がJAKキナーゼ、特にJAK1やJAK3に対する良好な阻害作用を持ち、且つJAK2に対する阻害活性が低いことを実証し、本発明は選択的JAK阻害剤であり、式(I)の化合物、異性体やその薬学的に許容できる塩を用いて自己免疫疾患、関節リウマチ、皮膚疾患、多発性硬化症、関節リウマチ、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患、重症筋無力症、乾癬を治療する薬物において、より低い毒性を有することを示唆する。
【実施例】
【0047】
以下、実施例によって本発明の実施形態を説明するが、当業者は、従来技術の教示に基づいて対応する技術的特徴を変更または置換しても、本発明の特許請求の範囲に属することを理解すべきである。
【0048】
実施例1 N−(5−(4−((3−(メチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]シクロプロパンカルボキサミド
【0049】
【化8】
【0050】
工程1:1−(6−ブロモピリジン−2−イル)−3−エトキシカルボニル−チオ尿素
ジクロロメタン100mlを加えて、10gの2−アミノ−6−ブロモピリジンを溶解し、氷浴で5℃に冷却し、エトキシカルボニルイソチオシアナート6.8mlを加えて、室温20℃まで徐々に昇温し、10時間撹拌した。ろ過した後に、石油エーテルで洗浄し、乾燥させて固体12gを得た。
【0051】
工程2:5−ブロモ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5a]ピリジン−2−イルアミン
【0052】
【化9】
【0053】
ヒドロキシルアミン塩酸塩10.0gをエタノール100mlに溶解し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン14.5mlを加え、室温で1時間撹拌し反応させた後、工程1の生成物9gを加えて、混合物を加熱還流し、3時間後、冷却し固体を析出させた。濾過し、洗浄し、乾燥させて目的物6gを得た。
【0054】
工程3:N−(5−ブロモ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5a]ピリジン−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【0055】
【化10】
【0056】
工程2の生成物5gに、ジクロロメタン100ml、ジイソプロピルエチルアミン9gを加え、氷浴を0℃に冷却し、6.1gのシクロプロパンカルボニルクロリドを滴下し、1時間後、反応液が清澄になり、引き続き4時間反応した後、反応系を乾燥まで濃縮して、油状の固体を得た。その後、氷塩浴(ice−salt bath)で冷却しながら、アンモニア水7mlとメタノール43mlとの混合溶液を加え、約3時間攪拌した後、反応系が茶色の混濁液になり、吸引濾過し、固体を水で洗浄し、乾燥させて目的物4gを得た。
【0057】
工程4:N−(5−(4−((3−(メチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]シクロプロパンカルボキサミド
ジオキサン/水(5:1)30mlに、N−(5−ブロモ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド1g、3−(メチルスルホニル)−1−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンジル)アゼチジン1.25g、炭酸カリウム1.0g、およびPd(dppf)Cl 0.14gを加え、100℃に加熱し2時間反応させた。濾過して、濾液を回転乾燥させ、ジオキサンを除去し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、カラムクロマトグラフィーにより目的物0.86gを得た。
HNMR(400MHz,DMSO−D6)δ9.21(s,1H),7.94(m,2H),7.56−7.62(m,2H),7.44(m,2H),7.26(s,1H),7.07(d,1H),3.94(m,1H),3.77(s,2H),3.60−3.73(m,4H),2.93(s,3H),1.79(s,1H),1.18(m,2H),0.91(m,2H).
MS(ESI):426.16(M+1)
【0058】
実施例2 N−(5−(3−フルオロ−4−((3−(メチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]シクロプロパンカルボキサミド
【0059】
【化11】
【0060】
実施例1の方法を参照して調製した。
MS(ESI):443.15(M+1)
【0061】
実施例3 N−(5−(3,5−ジフルオロ−4−((3−(メチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]シクロプロパンカルボキサミド
【0062】
【化12】
【0063】
実施例1の方法を参照して調製した。
MS(ESI):462.14(M+1)
【0064】
実施例4 N−(5−(4−((3−(メチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]イソブチルアミド
【0065】
【化13】
【0066】
実施例1の方法を参照して調製した。
MS(ESI):428.17(M+1)
【0067】
実施例5 N−(5−(4−((3−(シクロプロパンスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]イソブチルアミド
【0068】
【化14】
【0069】
実施例1の方法を参照して調製した。
MS(ESI):454.18(M+1)
【0070】
実施例6 N−(5−(4−((3−(エチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]イソブチルアミド
【0071】
【化15】
【0072】
実施例1の方法を参照して調製した。
MS(ESI):442.18(M+1)
【0073】
実施例7 N−(5−(4−((3−(エチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]シクロプロパンカルボキサミド
【0074】
【化16】
【0075】
実施例1の方法を参照して調製した。
MS(ESI):440.17(M+1)
【0076】
実施例8 5−(4−((3−(メチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミン
【0077】
【化17】
【0078】
ジオキサン/水(5:1)30mlに、5−ブロモ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5a]ピリジン−2−イルアミン1g、3−(メチルスルホニル)−1−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンジル)アゼチジン1.5g、炭酸カリウム1.0g、およびPd(dppf)Cl 0.2gを加え、100℃に加熱し2時間反応させた。濾過して、濾液を回転乾燥させ、ジオキサンを除去し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、カラムクロマトグラフィーにより目的物0.86gを得た。
MS(ESI):358.13(M+1)
【0079】
実施例9 N−(8−(4−((3−(メチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]シクロプロパンカルボキサミド
【0080】
【化18】
【0081】
実施例1の方法を参照して調製した。
MS(ESI):426.16(M+1)
【0082】
実施例10 N−(8−(4−((3−(シクロプロパンスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]シクロプロパンカルボキサミド
【0083】
【化19】
【0084】
実施例1の方法を参照して調製した。
MS(ESI):452.17(M+1)
【0085】
実施例11 N−(8−(4−((3−(エチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]シクロプロパンカルボキサミド
【0086】
【化20】
【0087】
実施例1の方法を参照して調製した。
MS(ESI):440.17(M+1)
【0088】
実施例12
N−(8−(4−((3−(メチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]イソブチルアミド
【0089】
【化21】
【0090】
実施例1の方法を参照して調製した。
MS(ESI):428.17(M+1)
【0091】
実施例13 N−(8−(4−((3−(シクロプロパンスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]イソブチルアミド
【0092】
【化22】
【0093】
実施例1の方法を参照して調製した。
MS(ESI):454.18(M+1)
【0094】
実施例14 N−(8−(4−((3−(エチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]イソブチルアミド
【0095】
【化23】
【0096】
実施例1の方法を参照して調製した。
MS(ESI):442.18(M+1)
【0097】
実施例15 N−(8−(3−フルオロ−4−((3−(メチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]シクロプロパンカルボキサミド
【0098】
【化24】
【0099】
実施例1の方法を参照して調製した。
MS(ESI):443.15(M+1)
【0100】
実施例16 N−(8−(3,5−ジフルオロ−4−((3−(メチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]シクロプロパンカルボキサミド
【0101】
【化25】
【0102】
実施例1の方法を参照して調製した。
MS(ESI):462.14(M+1)
【0103】
実施例17、8−(4−((3−(メチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミン
【0104】
【化26】
【0105】
実施例1の方法を参照して調製した。
MS(ESI):358.13(M+1)
【0106】
実施例18 8−(4−((3−(エチルスルホニル)アゼチジン−1−イル)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミン
【0107】
【化27】
【0108】
実施例1の方法を参照して調製した。
MS(ESI):372.14(M+1)
【0109】
実施例19 4−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ベンジル)チオモルホリン1,1−ジオキシド
【0110】
【化28】
【0111】
工程1:4−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンジル)チオモルホリン1,1−ジオキシド
【0112】
【化29】
【0113】
100mlの3つ口丸底ガラス瓶に、2−(4−(ブロモメチル)フェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン5gを加え、N,N−ジメチルホルムアミド10mlで溶解した後、炭酸カリウム5.8g、塩酸チオモルホリン1,1−ジオキシド4gを加え、窒素保護下、室温で2時間反応させ、薄層クロマトグラフィーにより反応の終了をモニタリングした。反応混合物に氷水を加えて、酢酸エチルで抽出し(25ml×3)、有機層を水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)させ、濾過し、濃縮して目的物6gを得た。
【0114】
工程2:4−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ベンジル)チオモルホリン1,1−ジオキシド
【0115】
【化30】
【0116】
ジオキサン/水(5:1)30mlに、4−クロロ−7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン2g、工程1の生成物2.7g、炭酸カリウム1.0g、Pd(dppf)Cl 0.3gを加え、100℃に加熱し2時間反応させた。濾過して、濾液を回転乾燥させ、ジオキサンを除去し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、カラムクロマトグラフィーにより目的物1.8gを得た。
【0117】
工程3:4−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ベンジル)チオモルホリン1,1−ジオキシド
ジクロロメタン15mlで工程2の生成物3gを溶解し、氷浴で0Cに冷却し、トリフルオロ酢酸5mlを反応混合物に加えた後、氷浴を撤去し、室温に戻して反応を行い、5時間後、薄層クロマトグラフィーにより反応の終了をモニタリングした。溶媒を減圧濃縮し、ジクロロメタンを加え、回転蒸発によって残留トリフルオロ酢酸を除去し、黄色油状物を得た。メタノール15mlを加えて溶解し、氷塩浴で0Cに冷却し、反応混合物に無水エチレンジアミン3mlを滴下した後、氷浴を撤去し、室温で一晩反応させ、翌日、反応を完了させた。固体を析出し、濾過し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して目的物1.6gを得た。
HNMR(400MHz,DMSO−D6)δ12.06(s,1H),8.83(s,1H),8.17(d,2H),7.66(d,1H),755(d,2H),6.90(s,1H),3.78(s,2H),3.15(m,4H),2.93(m,4H).
MS(ESI):343.12(M+1)
【0118】
実施例20 4−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ベンジル)モルホリン
【0119】
【化31】
【0120】
実施例19の方法を参照して調製した。
HNMR(400MHz,DMSO−D6)δ12.21(s,1H),8.84(s,1H),8.15(d,2H),7.66(d,1H),753(d,2H),6.90(d,1H),3.62−3.58(m,4H),3.56(s,2H),2.41(s,4H).
MS(ESI):343.12(M+1)
【0121】
実施例21 4−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)フェニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
【0122】
【化32】
【0123】
実施例19の方法を参照して調製した。
HNMR(400MHz,CDCl)δ12.31(s,1H),9.01(s,1H),8.11(d,2H),7.52(d,2H),7.43(d,1H),753(d,2H),6.85(d,1H),3.62(s,4H),2.55(m,8H),2.33(s,3H).
【0124】
実施例22 1−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ベンジル)ピペリジン−4−オン
【0125】
【化33】
【0126】
実施例19の方法を参照して調製した。
HNMR(400MHz,DMSO−D6)δ12.32(s,1H),8.19(d,2H),7.15(d,1H),7.66(d,1H),758(d,2H),6.90(d,1H),3.72(s,2H),2.74(t,4H),2.40(t,4H).
【0127】
実施例23 4−(4−(ピロール−1−イルメチル)フェニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
【0128】
【化34】
【0129】
実施例19の方法を参照して調製した。
HNMR(400MHz,DMSO−D6)δ12.27(s,1H),8.83(s,1H),8.15(d,1H),7.66(d,1H),753(d,2H),6.90(m,1H),3.69(s,2H),2.50−2.47(m,4H),1.72(s,4H).
【0130】
実施例24 4−(4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)ベンジル)チオモルホリン1,1−ジオキシド
【0131】
【化35】
【0132】
実施例19の方法を参照して調製した。
MS(ESI):342.12(M+1)
【0133】
実施例25 4−(4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)ベンジル)チオモルホリン1,1−ジオキシド
【0134】
【化36】
【0135】
実施例19の方法を参照して調製した。
MS(ESI):342.12(M+1)
【0136】
実施例26 4−(4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)ベンジル)モルホリン
【0137】
【化37】
【0138】
実施例19の方法を参照して調製した。
HNMR(400MHz,DMSO−D6)δ11.93(s,1H),8.32−8.24(m,1H),7.85(s,1H),7.69(d,2H),7.36(d,2H),7.15(m,1H),3.64−3.52(m,4H),2.50−2.47(m,4H),3.48(s,2H),2.38(s,4H).
【0139】
実施例27 3−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)フェニル)−7H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
【0140】
【化38】
【0141】
実施例19の方法を参照して調製した。
HNMR(400MHz,DMSO−D6)δ11.93(s,1H),8.28(m,2H),7.85(s,1H),7.68(d,2H),7.35(d,2H),7.15(m,1H),3.46(s,2H),2.36(brs,8H),2.15(s,3H).
【0142】
実施例28 4−(4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)ベンジル)ピペリジン−4−オン
【0143】
【化39】
【0144】
実施例19の方法を参照して調製した。
HNMR(400MHz,DMSO−D6)δ12.05(s,1H),8.41(m,2H),7.99(d,1H),7.82(d,2H),7.53(d,2H),7.26(dd,1H),3.72(s,2H),2.81(t,4H),2.47(t,4H).
【0145】
実施例29 3−(4−(ピロール−1−イルメチル)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
【0146】
【化40】
【0147】
実施例19の方法を参照して調製した。
HNMR(400MHz,DMSO−D6)δ11.92(s,1H),8.27(m,2H),7.84(s,1H),7.65(m,2H),7.35(d,2H),7.15(dd,1H),3.57(s,2H),2.42(dd,4H),1.69(m,4H).
【0148】
実施例30 JAKに対する阻害作用
化合物が精製された組換えJAK活性に及ぼす影響を研究するのは、酵素レベルでJAKに対する化合物の阻害活性を研究することである。その実験の原理は、JAKと基質であるPoly(4:1Glu、Tyr)ペプチドとの反応によって生成されるADP含有量を検出するための発光法キナーゼアッセイを使用することである。ADPがATPに変換されると、ATPはUltra−GLOルシフェラーゼ触媒反応の基質として発光シグナルを発生する。発光シグナルはADPの量およびキナーゼの活性と正の相関がある。したがって、化合物がJAKと基質との反応で発生する発光シグナルを観察することで、組換えJAKに対する化合物の阻害効果を判定し、IC50で表した。
実験方法:10種類の異なる濃度の化合物を37℃でJAK1、JAK2、JAK3とそれぞれ60分間インキュベートした後、基質とATPを加えて混合し、37℃で50分間反応させた後、25μlADP-GloTMを加えて2分間混合し、室温で50分間反応させた。さらに、50μlの検出試薬を加えて2分間混合し、室温で50分間インキュベートし、化学発光器で測定した。結果を表1に示す。
【0149】
【表1】
【0150】
(注)1.(a)20nM以下;
2.(b)>20nM、50nM以下;
3.(c)>50nM
【0151】
その中で、実施例1を例として、同じ実験条件下での従来のJAK阻害剤の実験結果と比較し、その結果を表2に示す。
【0152】
【表2】
【0153】
その結果、実施例1の化合物のJAK1に対する阻害活性は、JAK2に対する阻害活性の10倍であることに対して、本実験では、filgotinib(CN104262337に開示された化合物)のJAK1及びJAK2に対する阻害活性は同等であり、本発明に開示された化合物の方が、JAK1に対してより優れた選択性を有し、したがってより低い毒性を有することが示唆された。