【実施例1】
【0013】
図1に示すように、ドローンを用いたX線検査装置1は、ドローン用X線検査装置2と、ドローン3と、リモコン7と、PC8とからなる。
【0014】
ドローン3は、無人飛行可能なプロペラ、動力を含む本体3aと、本体3aに搭載された枠体、からなる。カメラ(写真機、又は/及びビデオ装置)を備えることもある(図示省略)。リモコン7は、無線7aでドローン3の飛行制御(移動、その速度、ホバリングなど)する装置である。
【0015】
ドローン3は、吊下装置4、ドローン用X線発生装置5及び検出器6等の重量を持ち上げられるものであれば、特に限定されない。リモコン7は、市販のドローンの専用のリモコンを用いることができる。
【0016】
なお、リモコン7は、PC8に接続してPC8の無線機能を用いて、ドローン3の飛行制御をしてもよい。また、PC8に一体に組み込まれていてもよく、他方、リモコン7にPCの機能を備えてもよい。
【0017】
ドローン3は、リモコン7或いはPC8で操作できるが、後述の第一カメラ4k、第二カメラが取得するカメラ画像データ4m、5g(映像)を元に、被検体9に対し、予め定められた、X線源5a、検出器6の特定の位置を維持するよう、また、ドローン3の本体3aが障害物に回避するよう、PC8によって自動飛行制御も可能とする。
【0018】
PC8は、主に、後述のカメラの映像、検出器6が取得したX線画像データ6cを、デジタル表示するモニタ8aを備え、さらに、吊下装置4の駆動制御、ドローン用X線発生装置5の駆動制御及びX線5cの照射制御を行う。
【0019】
ドローン用X線検査装置2は、ドローン3に備えられる吊下装置4と、吊下装置4によって上下移動可能でX線5cを被検体9に照射するドローン用X線発生装置5と、吊下装置4によって上下移動可能で被検体9を透過したX線5cを検出する検出器6とからなる。
【0020】
吊下装置4は、ドローン3に取り付けられる枠4aと、枠4aに備えられる第一モータ4d及び第二モータ4eと、第一モータ4dの駆動で伸縮し端部にドローン用X線発生装置5を備える第一吊具4gと、第二モータ4eの駆動で伸縮し端部に検出器6を備える第二吊具4hとからなる。枠4aを採用することで、異なる形状の市販のドローンへの着脱が容易になり、さらに後述のように、第一カメラ4k、制御装置4i、電源4cを搭載でき、PC8からの制御信号8cで駆動系を容易に無線制御可能であるため、汎用性が高まる。
【0021】
第二モータ4eが、レール4b及び前記レールをスライド可能な可動部4fを介して、枠4aに取り付けられ、検出器6を水平方向にスライドさせ、X線源5aと検出器6の焦点距離を可変にできる。その結果、高精度なX線画像8bを取得することができる。
【0022】
検出器6の方が一般的に軽量であるため、検出器6側をスライスする方が容易である。もちろん、第一モータ4dを第二モータ4e同様にスライドさせてもよい。また、第一モータ4d及び第二モータ4eの双方ともスライド可能にしてもよい。
【0023】
レール4b及びレール4bに沿ってスライド可能な可動部4f(プレートなど)としては、例えば、モータ(図示省略)の駆動をベルトに伝達して可動部4fを左右に移動させる、リニアモータテーブルが採用できる。
【0024】
さらに、枠4aには、吊下装置4の駆動用の電源4cを備えることが望ましい。また、枠4aに、吊下装置4の駆動を制御する制御装置4iを備えるとよい。さらに、第一カメラ4kも枠4aに備える。このようにユニット化することで、市販のドローンへの汎用性が高まる。
第一カメラ4kで取得した画像、映像は、PC8にカメラ画像データ4mとして無線で送られ、リアルタイムにモニタ8aで確認できる。カメラ画像データ4mは、後述の制御装置4iとPC8との制御信号8cを介して送信してもよい。
【0025】
電源4cは、リード線(図示省略)で、第一モータ4d、第二モータ4e、可動部4fの駆動用モータ(図示省略)、制御装置4iに接続し、それらに駆動用の電力を供給する。
【0026】
制御装置4iは、PC8からの制御信号8cに基づき、リード線(図示省略)で接続された第一モータ4dの回転数(第一吊具4gの伸縮、ドローン用X線発生装置5の高さ位置)及び第二モータ4eの回転数(第二吊具4hの伸縮、検出器6の高さ位置)、可動部4fのスライド幅(検出器6の位置、X線5cの焦点距離)を制御する。また、第一カメラ4kの映像のリアルタイム表示も仲介する。もちろん、第一カメラ4kは、制御装置4iから独立した第一カメラ4kの独自の無線機能によって、PC8に映像を送信してもよい。
【0027】
第一吊具4g及び第二吊具4hは、ワイヤー、帯状のベルト、巻き尺のメジャー用素材などが例示される。それらは、第一モータ4d及び第二モータ4eの回転で、巻き取られ、巻き出され、伸縮して、ドローン用X線発生装置5及び検出器6を、それぞれ、ドローン3から所望の位置に位置決めする。第一モータ4dと第二モータ4eは、それぞれ、独立して回転制御され、第一吊具、第二吊具の長さも異なってもよい。
【0028】
ドローン用X線発生装置5は、
図1、2に示すように、筐体内部に収納されX線5cを被検体9に照射するX線管5b、X線管5bに電圧を印加する回路(図示省略)、それらを駆動させる電源(図示省略)を含むX線源5aと、さらに、必要に応じて、被検体9を撮影する第二カメラ5fと、検出器6と連結し、X線源5aと検出器6を、被検体9を挟み対向させ、回転を防止し、位置(距離)保持する固定具(ここでは、上固定具5d、下固定具5eの2種、2本)を含む。
【0029】
X線源5aは、特許文献1のX線源[2]などが使用できる。X線管5bは、同様に、特許文献1のX線管[5](カーボンナノ構造体三極式冷陰極X線管)を用いることができる。その他、三極式冷陰極X線管以外のX線管も利用できる。
【0030】
また、X線源5aは、アンテナ5mを介して、PC8からの制御信号8dにより駆動制御され、第二カメラ5fのからのカメラ画像データ5gもPC8に無線送信される。もちろん、X線源5aから独立した第二カメラ5fの独自の無線機能によって、PC8に映像を送信してもよい。
【0031】
第二カメラ6cは、被検体9に近しい箇所にあり、そのカメラ画像データ5g(映像)を利用して、X線源5a及び検出器6の高精度位置決め、すなわち、リモコン7、PC8の手動操作による手動位置決め、或いはそれらの自動制御による自動位置決めに利用する。
【0032】
上固定具5d及び下固定具5eは、X線源5aと検出器6を連結、着脱することができれば、特に、構造、機構、位置は限定されない。また第一吊具4g、第二吊具4hに渡されてもよい。上固定具5d及び下固定具5eは、
図2のように、X線源5aに備えられ、X線源5aの電源で駆動できるようにすると、容易に着脱を制御できる。
【0033】
例えば、ここでは、上固定具5dは、
図2に示すように、X線源5aの上面に一端が接続した伸縮部5hと他端の先端部5iとからなる。先端部5iは二股になっており、第二吊具4hを挟持することができる。そして、上固定具5dの伸縮、挟持(開閉)動作は、PC8からの制御信号8dによって行うことができる。
【0034】
下固定具5eは、
図2に示すように、X線源5aの底部に一端が接続した伸縮部5kと他端の先端部5lとからなる。先端部5lは電磁石で、検出器6の鉄素材部分に、磁着できる。そして、下固定具5eの伸縮、磁着、脱離動作は、PC8からの制御信号8dによって行うことができる。すなわち、X線源5aの電源の通電のオンオフで、検出器6の鉄素材部に磁着、脱離を制御できる。
【0035】
固定具としては、上固定具5d及び下固定具5eの何れか一方、或いは双方、そして、一方の機構を2種、また側面にそれらを設けることもできる。
【0036】
上固定具5d及び下固定具5eを備えることで、ドローン3の揺れ、風の影響を低減し、X線源5a及び検出器6を所望の位置(距離)に維持し、より鮮明なX線画像8bを取得することができる。
【0037】
検出器6は、被検体9を透過したX線5cを検出する検出面6bと、検出面6bと電気的に接続し、X線画像データ6cを取得、記録、PC8に無線で送信する本体6aとからなり、本体特許文献1のX線検出器[3]などが使用できる。検出器6としては、例えば、シンチレータ、CCD、CMOS、CdTe半導体などが採用できる。