特許第6978151号(P6978151)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6978151
(24)【登録日】2021年11月15日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法および半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20211125BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20211125BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20211125BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20211125BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   H01L29/80 F
   H01L29/80 H
   H01L21/28 E
   H01L21/28 301B
   H01L29/44 Y
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-188461(P2017-188461)
(22)【出願日】2017年9月28日
(65)【公開番号】特開2019-67800(P2019-67800A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2020年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】中野 拓真
【審査官】 杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/027722(WO,A1)
【文献】 特開2012−028423(JP,A)
【文献】 特開2015−195288(JP,A)
【文献】 特開2005−277027(JP,A)
【文献】 特開2010−263022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/778
H01L 29/812
H01L 21/338
H01L 29/41
H01L 21/304
H01L 21/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化物半導体層に、第1の活性領域と、前記第1の活性領域に対し不活性領域により互いに電気的に分離された第2の活性領域と、を形成する工程と、
前記第2の活性領域上にソース電極、ドレイン電極を形成するとともに、前記第2の活性領域を横切るように前記窒化物半導体層上にゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極を覆う部分を含む絶縁膜を前記窒化物半導体層上に形成する工程と、
前記絶縁膜に開口を形成して前記窒化物半導体層を露出させる工程と、
リフトオフ法を用いて前記絶縁膜上にフィールドプレートを形成する工程と、
を含み、
前記開口は、前記第1の活性領域上に形成され、
前記フィールドプレートを形成する工程は、前記フィールドプレートに接続されるとともに前記開口を介して前記第1の活性領域に接触する配線を形成する工程を含み、
前記フィールドプレートの面積と前記配線の面積との総和に対する前記第1の活性領域の面積の割合は、0.3よりも大きい、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記割合は、0.5よりも大きく2.0よりも小さい、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記フィールドプレートを形成する工程では、前記リフトオフ法で用いたマスクを高圧洗浄によって除去する、請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記高圧洗浄は、洗浄液を5MPa以上50MPa以下の圧力で吹き掛け、前記マスクを除去する工程である、請求項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
第1の活性領域と、前記第1の活性領域に対し不活性領域により互いに電気的に分離された第2の活性領域と、を含む窒化物半導体層と、
前記第2の活性領域上に設けられたソース電極、ドレイン電極、及び前記第2の活性領域を横切るように前記窒化物半導体層上に設けられたゲート電極と、
前記窒化物半導体層上に設けられ、前記ゲート電極を覆う部分を含み、前記第1の活性領域上に開口を有する絶縁膜と、
前記絶縁膜上に設けられたフィールドプレートと、
前記フィールドプレートと接続されている配線と、
を備え、
前記配線は、前記開口を介して前記第1の活性領域に接触しており
前記フィールドプレートの面積と前記配線の面積との総和に対する前記第1の活性領域の面積の割合は、0.3よりも大きい、半導体装置。
【請求項6】
前記割合は、0.5よりも大きく2.0よりも小さい、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記絶縁膜の前記ゲート電極を覆う部分の厚さが100nm以上500nm以下である、請求項5又は請求項6に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ソースフィールドプレート電極を有する半導体装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−107942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
窒化物半導体を主な構成材料とする電界効果トランジスタ等の半導体装置においては、ゲート端等に加わる電界を緩和するため、ゲート電極を覆う絶縁膜上にフィールドプレートが設けられることがある。フィールドプレートを設けることにより、電流コラプス現象によるドレイン電流の減少等が抑制される。また、フィールドプレートは、ドレイン電極とゲート電極との間のカップリングを遮蔽する効果も有する。
【0005】
フィールドプレートは、リフトオフ法により形成される。すなわち、絶縁膜上に開口を有するマスクを形成し、フィールドプレートのための金属を蒸着したのち、マスク上に堆積した金属をマスクと共に除去する。こうして形成されるフィールドプレートは、その形成直後においては絶縁膜上に単独で存在し、いずれの導電性部分にも接続されない。したがって、摩擦等により生じる静電気によってフィールドプレートが帯電し易い状態となる。例えば、上記のマスクを除去してリフトオフを行う際にマスク除去のための洗浄液を吹き掛けると、その洗浄液との摩擦によってフィールドプレートが帯電する。そして、フィールドプレートが過度に帯電した場合、フィールドプレートとゲート電極との間の放電(アーキング)による絶縁膜の静電破壊が生じ、フィールドプレートとゲート電極とが短絡することがある。これにより、フィールドプレートによる上述した効果が失われてしまう。また、フィールドプレートがソース電極に接続される場合、フィールドプレートとゲート電極とが短絡すると、ソース電極とゲート電極とが短絡し、半導体装置が動作できなくなる。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、静電破壊によるフィールドプレートとゲート電極との短絡を低減することができる半導体装置の製造方法および半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、一実施形態に係る半導体装置の製造方法は、窒化物半導体層上にソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極を形成する工程と、ゲート電極を覆う部分を含む絶縁膜を窒化物半導体層上に形成する工程と、絶縁膜に開口を形成して窒化物半導体層を露出させる工程と、リフトオフ法を用いて絶縁膜上にフィールドプレートを形成する工程と、を含む。開口は、ソース電極の長手方向の端部外方に形成される。フィールドプレートを形成する工程では、フィールドプレートの配線は開口を介して窒化物半導体層に接触した状態で形成される。
【0008】
また、一実施形態に係る半導体装置は、窒化物半導体層と、窒化物半導体層上に設けられたソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極と、窒化物半導体層上に設けられ、ゲート電極を覆う部分を含み、窒化物半導体層上に開口を有する絶縁膜と、絶縁膜上に設けられたフィールドプレートと、を備える。開口は、ソース電極の長手方向の端部外方に形成される。フィールドプレートの配線は、開口を介して窒化物半導体層に接触する。
【発明の効果】
【0009】
本発明による半導体装置の製造方法および半導体装置によれば、静電破壊によるフィールドプレートとゲート電極との短絡を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置としてのトランジスタを示す平面図である。
図2図2は、図1に示されたトランジスタのII−II線に沿った断面図である。
図3図3は、活性領域付近を拡大して示す平面図である。
図4図4は、図3のIV−IV線に沿った断面図である。
図5図5の(a)〜(c)は、トランジスタの製造工程を示す断面図である。
図6図6は、トランジスタの製造工程を示す断面図である。
図7図7は、トランジスタの製造工程を示す断面図である。
図8図8は、トランジスタの製造工程を示す断面図である。
図9図9は、トランジスタの製造工程を示す断面図である。
図10図10の(a),(b)は、トランジスタの活性領域付近の製造工程を示す断面図である。
図11図11の(a),(b)は、トランジスタの活性領域付近の製造工程を示す断面図である。
図12図12は、フィールドプレートの全面積に対する活性領域の面積の比と、トランジスタの故障率の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。一実施形態に係る半導体装置の製造方法は、窒化物半導体層上にソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極を形成する工程と、ゲート電極を覆う部分を含む絶縁膜を窒化物半導体層上に形成する工程と、絶縁膜に開口を形成して窒化物半導体層を露出させる工程と、リフトオフ法を用いて絶縁膜上にフィールドプレートを形成する工程と、を含む。開口は、ソース電極の長手方向の端部外方に形成される。フィールドプレートを形成する工程では、フィールドプレートの配線は開口を介して窒化物半導体層に接触した状態で形成される。
【0012】
この製造方法では、フィールドプレートを形成する際にその配線を窒化物半導体層に接触させるので、フィールドプレートに帯電した電荷を窒化物半導体層に逃がすことができる。従って、帯電可能な電荷の量が窒化物半導体層の体積分だけ大幅に増えることとなるので、絶縁膜を静電破壊に至らしめる帯電量の閾値をより高くして、絶縁膜の静電破壊を低減することができる。故に、この製造方法によれば、静電破壊によるフィールドプレートとゲート電極との短絡を低減することができる。
【0013】
上記のフィールドプレートを形成する工程では、リフトオフ法で用いたマスクを高圧洗浄によって除去してもよい。この場合、高圧で吹き掛けられる洗浄液とフィールドプレートとの間の摩擦によってフィールドプレートが帯電するが、上記の製造方法によれば、帯電した電荷を窒化物半導体層に逃がすことができるので、洗浄液とフィールドプレートとの間の摩擦による絶縁膜の静電破壊を効果的に低減することができる。また、この場合、高圧洗浄において洗浄液を5MPa以上50MPa以下といった高い圧力で吹き掛けることができる。
【0014】
また、一実施形態に係る半導体装置は、窒化物半導体層と、窒化物半導体層上に設けられたソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極と、窒化物半導体層上に設けられ、ゲート電極を覆う部分を含み、窒化物半導体層上に開口を有する絶縁膜と、絶縁膜上に設けられたフィールドプレートと、を備える。開口は、ソース電極の長手方向の端部外方に形成される。フィールドプレートの配線は、開口を介して窒化物半導体層に接触する。
【0015】
この半導体装置では、フィールドプレートの配線が窒化物半導体層に接触しているので、この半導体装置を製造する際、フィールドプレートの形成後に帯電した電荷を窒化物半導体層に逃がすことができる。これにより、絶縁膜の静電破壊によるフィールドプレートとゲート電極との短絡を低減することができる。従って、フィールドプレートによる前述した効果を十分に発揮させることができ、半導体装置の動作特性を向上させることができる。また、フィールドプレートがソース電極に接続される場合、ソース電極とゲート電極との短絡を抑制し、半導体装置を好適に動作させることができる。
【0016】
上記の絶縁膜のゲート電極を覆う部分の厚さは、100nm以上500nm以下であってもよい。フィールドプレートによる上述した効果の程度は、フィールドプレートとゲート電極との距離に応じて変化する。上記の半導体装置によれば、絶縁膜の静電破壊によるフィールドプレートとゲート電極との短絡を低減できるので、このように薄い絶縁膜を挟んでフィールドプレートをゲート電極上に設けることができる。
【0017】
上記のフィールドプレートと接触する窒化物半導体層の領域と、ソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極が配置される窒化物半導体層の領域とは、不活性領域により互いに分離されてもよい。これにより、フィールドプレートと窒化物半導体層との接触による、半導体装置の動作への影響を低減することができる。
【0018】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法および半導体装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置としてのトランジスタ1Aを示す平面図である。図2は、図1に示されたトランジスタ1AのII−II線に沿った断面図である。なお、説明のため、図2においては絶縁膜21,22の図示が省略されている。
【0020】
図1及び図2に示されるように、本実施形態のトランジスタ1Aは、基板11と、基板11上に設けられた窒化物半導体層18と、窒化物半導体層18上に設けられたドレイン電極31、ソース電極32、及びゲート電極33とを備える。本実施形態のトランジスタ1Aは、高電子移動度トランジスタ(HEMT)である。すなわち、窒化物半導体層18は、チャネル層12、電子供給層13、及びキャップ層14を有する。チャネル層12と電子供給層13との界面に2次元電子ガス(2DEG)が生じることにより、チャネル領域が形成される。また、トランジスタ1Aは、窒化物半導体層18、ドレイン電極31、ソース電極32、及びゲート電極33を覆う絶縁膜20と、絶縁膜20上に設けられたフィールドプレート34とを更に備える。図2に示されるように、絶縁膜20は、窒化物半導体層18、ドレイン電極31、ソース電極32、及びゲート電極33を保護する。本実施形態の絶縁膜20は、絶縁膜21と、絶縁膜21上に設けられた絶縁膜22とを含む。
【0021】
基板11は、平坦な表面を有する結晶成長用の基板である。基板11として、例えばSi基板、SiC基板、サファイア基板、又はダイヤモンド基板が挙げられる。基板11の厚さは、例えば500μmである。
【0022】
チャネル層12は、基板11の表面からエピタキシャル成長した層である。チャネル層12における電子供給層13との界面近傍の領域は、チャネル領域として機能する。チャネル層12は、例えばGaN層である。チャネル層12の厚さは、例えば500nmである。
【0023】
電子供給層13は、チャネル層12上にエピタキシャル成長した層である。電子供給層13の厚さは、例えば20nmである。電子供給層13は、例えばAlGaN層、InAlN層、又はInAlGaN層等である。電子供給層13は、n型化していてもよい。
【0024】
キャップ層14は、電子供給層13上にエピタキシャル成長した層である。キャップ層14の厚さは、例えば5nmである。キャップ層14は、例えばGaN層である。キャップ層14は、n型化していてもよい。
【0025】
図1に示されるように、窒化物半導体層18は、活性領域A1,A2と不活性領域B1とを有する。活性領域A1は、トランジスタとして動作する領域である。不活性領域B1は、窒化物半導体層18に例えばアルゴン(Ar)等のイオンが注入されることによって不活性化された領域である。不活性領域B1は、互いに隣り合うトランジスタ1A同士の電気的な分離のために設けられる。
【0026】
ドレイン電極31及びソース電極32は、窒化物半導体層18の活性領域A1上に設けられている。本実施形態では、2つのドレイン電極31と、1つのソース電極32とが、1つの活性領域A1上に設けられる。一方のドレイン電極31、ソース電極32、及び他方のドレイン電極31は、窒化物半導体層18の表面に沿った方向D1においてこの順に並んでおり、方向D1と交差する方向D2を長手方向とする長方形状といった平面形状をそれぞれ有する。ドレイン電極31及びソース電極32は、オーミック電極であり、例えばタンタル(Ta)層とアルミニウム(Al)層との積層構造を有する。Al層は、窒化物半導体層18の厚さ方向において、Ti層によって挟まれていてもよい。この積層構造は、熱処理により合金化されている。2つのドレイン電極31は、基板11上に設けられる複数のトランジスタ1Aにわたって配設される共通のドレイン配線と電気的に接続される。ソース電極32は、基板11上に設けられる複数のトランジスタ1Aにわたって配設される共通のソース配線と電気的に接続される。
【0027】
本実施形態のドレイン電極31及びソース電極32はキャップ層14と接触しているが、ドレイン電極31及びソース電極32は、キャップ層14の一部が除去されることにより露出した電子供給層13上に設けられて電子供給層13と接触してもよい。或いは、ドレイン電極31及びソース電極32は、キャップ層14及び電子供給層13の一部が除去されることにより露出したチャネル層12上に設けられ、電子供給層13とチャネル層12との界面付近と接触してもよい。ドレイン電極31及びソース電極32は、絶縁膜21及び22によって覆われている。なお、ドレイン電極31及びソース電極32は、絶縁膜22のみによって覆われ、絶縁膜21に形成された開口を介して窒化物半導体層18に接触してもよい。ドレイン電極31及びソース電極32の厚さは、例えば300nmである。
【0028】
図1に示されるように、ゲート電極33は、窒化物半導体層18の活性領域A1上に設けられている。本実施形態では、2つのゲート電極33が、窒化物半導体層18の活性領域A1上に設けられる。一方のゲート電極33は、一方のドレイン電極31とソース電極32との間に位置する。他方のゲート電極33は、他方のドレイン電極31とソース電極32との間に位置する。ゲート電極33もまた、ドレイン電極31及びソース電極32と同様に、方向D2を長手方向とする長方形状といった平面形状を有する。ゲート電極33は、例えばニッケル(Ni)層と金(Au)層との積層構造を有する。ニッケル(Ni)層は、窒化物半導体層18とオーミック接触をなす。ゲート電極33は、絶縁膜21上に設けられ、絶縁膜21の開口を介して窒化物半導体層18と接している。ゲート電極33は、絶縁膜22によって覆われている。ゲート電極33の厚さ(高さ)は、例えば350nmである。
【0029】
2つのゲート電極33は、ゲート配線36によって相互に接続されている。ゲート配線36は、窒化物半導体層18の不活性領域B1上に設けられ、基板11上に設けられる複数のトランジスタ1Aにわたって配設され、複数のトランジスタ1Aのゲート電極33に接続されている。
【0030】
絶縁膜21は、窒化物半導体層18と接しており、ドレイン電極31、ソース電極32、及びゲート電極33から露出した窒化物半導体層18の表面を少なくとも覆う。上述したように、絶縁膜21には窒化物半導体層18を露出させる開口が設けられており、該開口内にはゲート電極33の一部が埋め込まれている。絶縁膜21は、例えば絶縁性のSi化合物膜であり、一例ではSiN膜である。絶縁膜21の厚さは例えば60nmである。
【0031】
絶縁膜22は、絶縁膜21に接しており、絶縁膜21、ドレイン電極31、ソース電極32、及びゲート電極33を覆う。具体的には、絶縁膜22は、ゲート電極33の上面33a及び側面33bを覆うように設けられる。したがって、絶縁膜22の表面には、ゲート電極33の形状を反映した段差22aと、段差22aからドレイン電極31までの間に位置する平坦部22bとが含まれる。絶縁膜22は、例えば絶縁性のSi化合物膜であり、一例ではSiN膜である。絶縁膜22の厚さ(特に、ゲート電極33を覆う部分の厚さ)は、例えば100nm〜500nmの範囲内であり、一例では400nmである。
【0032】
フィールドプレート34は、例えば、基板11側からNi層とAu層との積層構造、又は基板11側からTi層とAu層との積層構造を有する金属膜である。本実施形態では、2つのフィールドプレート34が設けられる。一方のフィールドプレート34は、一方のゲート電極33上から該ゲート電極33と一方のドレイン電極31との間にわたって、絶縁膜22上に設けられる。他方のフィールドプレート34は、他方のゲート電極33上から該ゲート電極33と他方のドレイン電極31との間にわたって、絶縁膜22上に設けられる。
【0033】
図2に示されるように、各フィールドプレート34は、ゲート電極33とドレイン電極31との間における絶縁膜22の段差22aから平坦部22bにわたって設けられ、ドレイン電極31に向けて延在している。このフィールドプレート34が設けられることによって、ゲート電極33とドレイン電極31との間のカップリングを遮蔽し、ゲート電極33の端部における電界集中を緩和することができる。フィールドプレート34の厚さは、例えば100nm〜600nmの範囲内であり、一例では300nmである。
【0034】
本実施形態の2つのフィールドプレート34とソース電極32とは、前述したソース配線を介して電気的に接続されている。つまり、フィールドプレート34は、ソース電極32と同じ電位を有する。なお、フィールドプレート34は、ソース電極32と接続されずに電気的に浮遊していてもよい。
【0035】
図3は、活性領域A2付近を拡大して示す平面図である。図4は、図3のIV−IV線に沿った断面図である。図3に示されるように、活性領域A2は、例えば、ソース電極32の長手方向(方向D2)において、ソース電極32と並んで設けられる。活性領域A1と活性領域A2とは、不活性領域B1を挟んで分離されている。なお、活性領域A1と活性領域A2とは、不活性領域B1を挟まずに一体化されてもよい。
【0036】
活性領域A2の平面形状は、例えば方向D1を長手方向とする長方形状である。方向D1における活性領域A2の長さは例えば30μmであり、方向D2における活性領域A2の幅は例えば11μmである。活性領域A2の面積は、活性領域A1の面積よりも小さい。活性領域A2の面積は、フィールドプレート34の全面積(2つのフィールドプレート34の面積と配線部分37及び幅広部37aの面積との総和)に応じて決定され、フィールドプレート34の全面積1μm2当たりの活性領域A2の面積は例えば0.5μm2〜2.0μm2の範囲内である。活性領域A2の比抵抗は、例えば10-2Ωcm以下である。
【0037】
また、図4に示されるように、活性領域A2上の絶縁膜20には開口20aが形成され、該開口20aを介して活性領域A2の窒化物半導体層18が露出している。開口20aは、ソース電極32の長手方向(方向D2)の端部外方に設けられている。なお、図2に示されたキャップ層14が露出してもよく、電子供給層13が露出してもよく、チャネル層12が露出してもよい。窒化物半導体層18の厚さ方向から見て、開口20aの外縁は活性領域A2の内側に収まっている。開口20aの平面形状は、例えば方向D1を長手方向とする長方形状である。
【0038】
図3に示されるように、2つのフィールドプレート34は、配線部分37を介して互いに接続されている。配線部分37は、各フィールドプレート34と同じ金属材料によって構成され、不活性領域B1上から活性領域A2上にわたって設けられている。不活性領域B1上では、配線部分37は絶縁膜20上に設けられる。活性領域A2上では、配線部分37は絶縁膜20に形成された開口20a内に入り込み、絶縁膜20から露出した窒化物半導体層18に接触する。配線部分37は、キャップ層14と接触してもよく、電子供給層13と接触してもよく、チャネル層12と接触してもよい。また、配線部分37のNi層(或いはTi層)が窒化物半導体層18に接触してもよく、配線部分37のAu層が窒化物半導体層18と接触してもよい。配線部分37の厚さは、フィールドプレート34の厚さと同じである。
【0039】
配線部分37における窒化物半導体層18との接触部分は、延在方向である方向D1と交差する方向D2における幅が拡大された幅広部37aとなっており、より広い面積で窒化物半導体層18と接触する。方向D1の幅広部37aの長さは、例えば5μmである。配線部分37と窒化物半導体層18との接触面積は、フィールドプレート34の全面積に応じて決定される。フィールドプレート34の全面積1μm2当たりの接触面積は例えば0.04μm2〜0.6μm2の範囲内である。
【0040】
ここで、上述した本実施形態のトランジスタ1Aを製造する方法について説明する。図5の(a)〜(c)、及び図6図9は、トランジスタ1Aの製造工程を示す断面図である。なお、活性領域A2付近の製造工程については後述する。
【0041】
まず、図5の(a)に示されるように、チャネル層12、電子供給層13及びキャップ層14を基板11上に順にエピタキシャル成長させることにより、窒化物半導体層18を形成する。この成長は、例えば有機金属気相成長法(Organometallic Vapor Phase Epitaxy;OMVPE)によって行われる。次に、活性領域A1(図1を参照)となる窒化物半導体層18の領域上にレジストマスクを形成し、該レジストマスクから露出した窒化物半導体層18の領域にイオン(例えばArイオン)を注入することにより、活性領域A1の周囲に不活性領域B1(図1を参照)を形成する。
【0042】
続いて、図5の(b)に示されるように、ドレイン電極31及びソース電極32をキャップ層14上(窒化物半導体層18上)に形成する。ドレイン電極31及びソース電極32の形成は、例えば真空蒸着法及び選択めっき法により行われる。続いて、図5の(c)に示されるように、ドレイン電極31及びソース電極32を含む窒化物半導体層18上の全面を覆うように、絶縁膜21を形成する。絶縁膜21の形成は、例えば化学気相成長(Chemical Vapor Deposition;CVD)法によって行われる。なお、先に絶縁膜21を形成し、絶縁膜21に一対の開口を形成したのち、該一対の開口を埋め込むようにドレイン電極31及びソース電極32を形成してもよい。その後、フォトリソグラフィ技術若しくは電子ビーム露光技術を用いて形成されたレジストマスクを介して絶縁膜21をエッチングすることにより、絶縁膜21にゲート開口21aを形成する。
【0043】
続いて、図6に示されるように、ゲート開口21aを塞ぐゲート電極33を絶縁膜21上に形成する。ゲート電極33の形成は、例えば真空蒸着法及び選択めっき法により行われる。その後、ドレイン電極31、ソース電極32、及びゲート電極33を含む窒化物半導体層18上の全面を覆うように、絶縁膜22を形成する。絶縁膜22の形成は、例えばCVD法によって行われる。
【0044】
続いて、図7に示されるように、レジストマスクである第1マスクM1及び第2マスクM2を、絶縁膜22上に順に形成する。第1マスクM1は、第2マスクM2よりも厚く形成される。第1マスクM1の厚さは、少なくともゲート電極33の厚さ(高さ)とフィールドプレート34の厚さとの合計よりも大きければよい。第1マスクM1及び第2マスクM2がポジ型のレジストマスクである場合、第2マスクM2の感光性が第1マスクM1の感光性よりも低くなるように、第1マスクM1及び第2マスクM2を構成する材料が選択される。
【0045】
第1マスクM1は、開口部M1aを有する。第2マスクM2は、開口部M2aを有する。これらの開口部M1a,M2aは、例えばフォトリソグラフィによって形成される。第1マスクM1と第2マスクM2との感光性の違いによって、開口部M1aの幅は、開口部M2aの幅よりも広く形成される。従って、第2マスクM2の開口部M2aの縁は、開口部M1aに対して庇状にせり出す。開口部M1a,M2aは、絶縁膜22の厚さ方向に連通する。開口部M2aは、ドレイン電極31とゲート電極33との間における絶縁膜22の段差22a上から、平坦部22b上にわたって設けられる。
【0046】
続いて、図8に示されるように、絶縁膜22上の全面に金属材料を蒸着する。これにより、絶縁膜22上の段差22aから平坦部22bにかけて延在するフィールドプレート34が形成される。例えば真空蒸着法によって蒸着源である金属材料を蒸発させ、絶縁膜22上に被着させることにより、フィールドプレート34が形成される。金属35は、第2マスクM2上にも堆積する。
【0047】
続いて、図9に示されるように、第1マスクM1及び第2マスクM2を除去する。この際、第1マスクM1及び第2マスクM2を残渣無くきれいに除去するために、例えば高圧洗浄によって第1マスクM1及び第2マスクM2を除去する。高圧洗浄では、洗浄液を例えば5MPa以上50MPa以下の圧力で吹き掛ける。洗浄液としては、例えばイソプロピルアルコール(IPA)といった有機溶剤が用いられる。この工程により、第2マスクM2上に堆積された金属35は、第1マスクM1及び第2マスクM2と共に除去(リフトオフ)される。
【0048】
ここで、活性領域A2付近の製造工程について説明する。図10の(a),(b)及び図11の(a),(b)は、トランジスタ1Aの活性領域A2付近の製造工程を示す断面図である。まず、図10の(a)に示されるように、活性領域A2となる窒化物半導体層18の領域上にレジストマスクM3を形成する。そして、レジストマスクM3から露出した窒化物半導体層18の領域にイオン(例えばArイオン)IONを注入することにより、活性領域A2の周囲に不活性領域B1を形成する。この工程は、前述した活性領域A1の周囲に不活性領域B1を形成する工程と同時に行われる。
【0049】
次に、図10の(b)に示されるように、絶縁膜21,22を含む絶縁膜20を窒化物半導体層18上に形成する。絶縁膜21を形成する工程は図5の(c)に示された工程と同時に行われ、絶縁膜22を形成する工程は図6に示された工程と同時に行われる。
【0050】
続いて、図11の(a)に示されるように、開口M4aを有するレジストマスクM4を絶縁膜20上に形成する。開口M4aは、例えばフォトリソグラフィによって形成される。そして、レジストマスクM4の開口M4aから露出した絶縁膜20の部分をエッチングにより除去して、開口20aをソース電極32の長手方向の端部外方に形成する。このエッチングは、例えばプラズマエッチングである。このようなレジストマスクM4の形成及び開口20aの形成は、図6に示された工程(絶縁膜22を形成する工程)と、図7に示された工程(第1マスクM1及び第2マスクM2を形成する工程)との間に行われる。
【0051】
続いて、図11の(b)に示されるように、幅広部37aを含む配線部分37を蒸着によって形成する。この工程は、図7図9に示された工程(フィールドプレート34を形成する工程)と同時に行われる。すなわち、図7に示された第1マスクM1及び第2マスクM2に、配線部分37に対応する開口部を更に形成する。そして、図8に示された工程において、金属材料を蒸着することにより、配線部分37を、窒化物半導体層18に接触した状態で、フィールドプレート34とともに形成する。そして、図9に示された工程において、第1マスクM1及び第2マスクM2を除去することにより、配線部分37を形成しない金属を第1マスクM1及び第2マスクM2と共に除去(リフトオフ)する。なお、フィールドプレート34及び配線部分37の形成後、これらを覆う絶縁膜(例えばSiN膜)を更に形成してもよい。これにより、フィールドプレート34及び配線部分37の短絡及び酸化等が抑制される。
【0052】
最後に、絶縁膜20の一部を除去することによって露出したドレイン電極31上及びソース電極32上のそれぞれに、配線を設ける。この配線は、例えばAuめっきにより形成される。このとき、ソース電極32の配線が配線部分37を覆うように形成されて配線部分37と接触することにより、ソース電極32とフィールドプレート34とが電気的に接続される。以上の工程を経て、トランジスタ1Aが作製される。
【0053】
以上に説明した本実施形態によるトランジスタ1A及びその製造方法によって得られる効果について説明する。前述したように、フィールドプレート34は、リフトオフ法により形成される。すなわち、絶縁膜20上に開口部M1a,M2aを有するマスクM1,M2を形成し、フィールドプレート34のための金属を蒸着したのち、マスクM1,M2上に堆積した金属35をマスクM1,M2と共に除去する。従来、こうして形成されるフィールドプレート34は、その形成直後においては絶縁膜20上に単独で存在し、いずれの導電性部分にも接続されなかった。したがって、摩擦等により生じる静電気によってフィールドプレート34が帯電し易い状態となる。例えば、マスクM1,M2を除去してリフトオフを行う際にマスクM1,M2除去のための洗浄液を吹き掛けると、その洗浄液との摩擦によってフィールドプレート34が帯電する。そして、フィールドプレート34が過度に帯電した場合、フィールドプレート34とゲート電極33との間で絶縁膜22の静電破壊が生じ、フィールドプレート34とゲート電極33とが短絡することがある。これにより、フィールドプレート34による効果が失われてしまう。また、フィールドプレート34がソース電極32に接続される場合、フィールドプレート34とゲート電極33とが短絡すると、ソース電極32とゲート電極33とが短絡し、トランジスタ1Aが動作できなくなる。
【0054】
なお、絶縁膜22をより厚くすれば静電破壊を低減できるが、絶縁膜22の厚さはフィールドプレート34とゲート電極33との距離を規定し、フィールドプレート34による電界緩和効果に影響を及ぼす。従って、所望の厚さの絶縁膜22において静電破壊を低減することが求められる。
【0055】
このような課題に対し、本実施形態の製造方法では、フィールドプレート34を形成する際にその配線(配線部分37)を窒化物半導体層18に接触させるので、フィールドプレート34に帯電した電荷を窒化物半導体層18に逃がすことができる。従って、帯電可能な電荷の量が窒化物半導体層18の体積分(本実施形態では、不活性領域B1により囲まれた活性領域A2の体積分)だけ大幅に増えることとなるので、絶縁膜22を静電破壊に至らしめる帯電量の閾値をより高くして、絶縁膜22の静電破壊を低減することができる。故に、本実施形態の製造方法によれば、静電破壊によるフィールドプレート34とゲート電極33との短絡を低減することができる。
【0056】
また、本実施形態のトランジスタ1Aでは、フィールドプレート34の配線(配線部分37)が窒化物半導体層18に接触しているので、このトランジスタ1Aを製造する際、フィールドプレート34の形成後に帯電した電荷を窒化物半導体層18に逃がすことができる。これにより、絶縁膜22の静電破壊によるフィールドプレート34とゲート電極33との短絡を低減することができる。従って、フィールドプレート34による効果を十分に発揮させることができ、トランジスタ1Aの動作特性を向上させることができる。また、フィールドプレート34がソース電極32に接続される場合、ソース電極32とゲート電極33との短絡を抑制し、トランジスタ1Aを好適に動作させることができる。
【0057】
図12は、活性領域A2の面積SA2とフィールドプレート34の全面積SFPとの比(SA2/SFP)と、トランジスタ1Aの故障率との関係を示すグラフである。全面積SFPは、図1の2つのフィールドプレート34、配線部分37および幅広部37aの総和である。横軸は比(SA2/SFP)を示し、縦軸は故障率を示す。このグラフを参照すると、比(SA2/SFP)が大きいほど故障率が低下していることがわかる。そして、比(SA2/SFP)が0.6を超えると、故障率が目標である0.5%よりも低くなり、配線部分37を窒化物半導体層18に接触させない場合(比(SA2/SFP)が0、すなわち従来のトランジスタ)に対して1/10以下となる。比(SA2/SFP)が大きいということは、活性領域A2の面積SA2がフィールドプレート34の面積SFPよりも大きいことを意味し、フィールドプレート34の帯電量と比較して相対的に窒化物半導体層18に蓄積できる電荷量が大きいことを意味する。従って、このグラフから、配線部分37が窒化物半導体層18に接触することによる上述した効果が理解される。
【0058】
また、本実施形態のように、フィールドプレート34を形成する工程において、リフトオフのためのマスクM1,M2を高圧洗浄によって除去してもよい。この場合、高圧で吹き掛けられる洗浄液とフィールドプレート34との間の摩擦によってフィールドプレート34が帯電するが、本実施形態によれば、帯電した電荷を窒化物半導体層18の活性領域A2に逃がすことができるので、洗浄液とフィールドプレート34との間の摩擦による絶縁膜22の静電破壊を効果的に低減することができる。また、この場合、高圧洗浄において洗浄液を5MPa以上50MPa以下といった高い圧力で吹き掛けることができる。洗浄液の圧力を5MPa以上とすることにより、不要な金属を十分に除去することができる。また、洗浄液の圧力を50MPa以下とすることにより、フィールドプレート34及び配線部分37の剥離を防ぐことができる。
【0059】
また、本実施形態のように、絶縁膜22のゲート電極33を覆う部分の厚さは、100nm以上500nm以下であってもよい。フィールドプレート34による上述した効果の程度は、フィールドプレート34とゲート電極33との距離に応じて変化する。このトランジスタ1Aによれば、絶縁膜22の静電破壊によるフィールドプレート34とゲート電極33との短絡を低減できるので、厚さ500nm以下といった薄い絶縁膜22を挟んでフィールドプレート34をゲート電極33上に設けることができる。絶縁膜22の厚さが500nm以下であることにより、フィールドプレート34を低い位置に配置してゲート電極33とドレイン電極31との間のカップリングを効果的に遮蔽することができる。また、絶縁膜22の厚さが100nm以上であることにより、フィールドプレート34とゲート電極33との距離を十分に遠ざけて、フィールドプレート34とゲート電極33との間のリーク電流を抑制できる。
【0060】
また、本実施形態のように、フィールドプレート34と接触する窒化物半導体層18の領域(活性領域A2)と、ソース電極32、ドレイン電極31、及びゲート電極33が配置される窒化物半導体層18の領域(活性領域A1)とは、不活性領域B1により互いに分離されてもよい。これにより、フィールドプレート34と窒化物半導体層18との接触による、トランジスタ1Aの動作への影響を低減することができる。
【0061】
本発明による半導体装置の製造方法および半導体装置は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上述した実施形態では半導体装置としてHEMTを例示したが、本発明による半導体装置はHEMT以外の電界効果トランジスタにも適用され得る。また、上述した実施形態では、配線部分37と窒化物半導体層18との接触領域を、ソース電極32に対して該ソース電極32の長手方向に並んで設けているが、これらの接触領域は、当該半導体装置の動作領域の外部であればいずれの位置に設けられてもよい。また、上述した実施形態では、配線部分37と窒化物半導体層18との接触領域が複数のフィールドプレート34に対して共通に設けられているが、個々のフィールドプレート34毎に配線部分37と窒化物半導体層18との接触領域が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1A…トランジスタ、11…基板、12…チャネル層、13…電子供給層、14…キャップ層、18…窒化物半導体層、20…絶縁膜、20a…開口、21,22…絶縁膜、21a…ゲート開口、22a…段差、22b…平坦部、31…ドレイン電極、32…ソース電極、33…ゲート電極、33a…上面、33b…側面、34…フィールドプレート、35…金属、36…ゲート配線、37…配線部分、37a…幅広部、A1,A2…活性領域、B1…不活性領域、D1,D2…方向、M1,M2…マスク、M1a,M2a…開口部、M3,M4…レジストマスク、M4a…開口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12