【実施例】
【0012】
次に、本発明の実施例に係る芳香剤噴霧機能を備えた車載装置について図面を参照して説明する。
図2は、本実施例に係る芳香剤噴霧機能を備えた車載装置の構成を示すブロック図である。同図に示すように、本実施例の車載装置100は、ユーザーからの指示を受け取る入力部110、GPS衛星から送信されるGPS信号や自立航法センサ等に基づき自車位置を検出する自車位置検出部120、自車位置周辺の道路案内や目的地までの経路案内を行うナビゲーション部130、記録媒体に記録されたオーディオデータやビデオデータ等を再生するマルチメディア再生部140、外部機器や車内バス等との接続を可能にする外部インターフェース150、外部のネットワーク等との通信を行う通信部160、ナビゲーション部130による案内音声等を出力する音声出力部170、ナビゲーション部130による道路地図等を表示する表示部180、車載装置100に必要なデータやソフトウエア等を記憶する記憶部190、芳香剤噴霧装置として機能するアロマディフューザー200、各部を制御する制御部210を含んで構成される。なお、ここに示す構成は一例であり、車載装置100は、これ以外の機能を備えたり、あるいは
図2に示す機能を全て包含する必要はない。
【0013】
通信部160は、例えば、無線LAN、有線LAN、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、近距離無線通信、公衆無線回線網等を介して外部機器あるいは外部ネットワーク等との通信を可能にする。また、本実施例では、通信部160を介して複数のアロマディフューザー200が接続される。
【0014】
アロマディフューザー200は、芳香剤としてアロマオイルを用い、微粒子のアロマを噴霧または拡散する機能を備える。アロマの効能は、運転者の注意力が低下したときや運転者が眠気を感じたときに、運転者の脳を活性化させ、運転者を覚醒させる。また、アロマの香りは、運転者以外の乗員に対しても香りの快適感を与えることができる。
【0015】
図3に、アロマディフューザー200の構成を示す。同図に示すように、アロマディフューザー200は、通信部160を介して、例えば、USBによる有線接続、或いはBluetooth(登録商標)などの無線接続により制御部210に接続される。一方、アロマディフューザー200は、制御部210と通信を行う通信部202、各部を制御するコントローラ204、制御部210から送信された設定情報を記憶するメモリ206、コントローラ204からの制御信号に従いアルマを噴霧するアロマ噴霧部208を含んで構成される。コントローラ204は、制御部210からの起動命令や停止命令に基づきアロマ噴霧部208の起動または停止を行う。さらにコントローラ204は、制御部210からアロマ噴霧部208の設定情報を受信した場合には、当該設定情報をメモリに格納し、アロマ噴霧部208を起動させるとき、メモリ206に格納された設定情報に基づきアロマ噴霧部208の動作を制御する。
【0016】
アロマ噴霧部208はさらに、モータ駆動部208Aと、ポンプ駆動部208Bとを含む。モータ駆動部208Aは、アロマの噴霧方向を規制するためのフィンを回転させるモータを駆動し、ポンプ駆動部208Bは、アロマの芳香剤を格納する容器内へ供給するエアーの圧力または流量を調整するポンプを駆動する。
【0017】
図4に、アロマディフューザー200の内部構成を示す。アロマディフューザー200は、アロマオイルを格納する容器300と、容器300に供給される空気の量または圧力を調整するエアポンプ310と、容器300から排出されたアロマを外部に噴霧する噴霧口320と、噴霧口320に取り付けられた複数のフィン332を含む噴霧方向調整部材330と、複数のフィン332の角度を可変させるモータ340と、コントローラ204やメモリ206等の電子部品や電子回路等を実装する回路基板(図示省略)とを含む。上記したように、モータ駆動部208Aは、コントローラ204からの制御信号に基づきモータ340を介して複数のフィン332を回転させ、アロマの噴霧方向を制御する。ポンプ駆動部208Bは、コントローラ204からの制御信号に基づきエアポンプ310を介して噴霧口320から噴霧されるアロマの強さを制御する。
【0018】
図5に、アロマディフューザーの車内の設置例を示す。アロマディフューザーは、車内の予め決められた位置に設置され、例えば、運転座席400の右前方200−1、右足下(図示省略)、正面200−2、左前方200−3、左足下(図示省略)、助手席410の左前方200−4、左足下(図示省略)、車室内中心200−5、後部座席420の右200−6、中央200−7、左200−8に設置される。全てのアロマディフューザー200は、通信部160を介して有線または無線により制御部210に接続される。ここで留意すべきは、アロマディフューザー200は、
図4に示すようにそれ自身がアロマ噴霧の方向性を持つ構成であるため、各アロマディフューザー200は、それぞれの設置位置において適切となる方向を向くように配置される。
【0019】
制御部210は、好ましい態様では、ROM、RAMなどを含むマイクロコントローラ等を含み、ROMまたはRAMは、車載装置100の動作を制御するためのプログラムを格納することができる。本実施例では、制御部210は、アロマディフューザー200の動作仕様を設定を行うための設定プログラムを実行する。
【0020】
図6に、本実施例の設定プログラムの機能的な構成を示す。同図に示すように、設定プログラム500は、接続管理部510、設定画面表示部520、設置場所選択部530、噴霧方向設定部540、噴霧強度設定部550、設定完了部560、および設定内容リセット部570、設定情報送信部580を含む。
【0021】
接続管理部510は、車載装置100に接続されているアロマディフューザー200の接続を管理する情報を作成し、保持する。アロマディフューザー200は、例えば
図8に示すように、運転座席400の右前方200−1、右足下(図示省略)、正面200−2、左前方200−3、左足下(図示省略)、助手席410の左前方200−4、左足下(図示省略)、車室内中心200−5、後部座席420の右200−6、中央200−7、左200−8の11の場所に設置されるものと仮定する。11のアロマディフューザー200は、通信部202を介して車載装置100の通信部160と接続される。各アロマディフューザー200は、例えば、Bluetooth(登録商標)によりペアリングされ、接続されると、接続管理部510は、例えば、
図7に示すように、予め決められた11の設置場所と、アロマディフューザーとの関係を規定した接続管理テーブルを作成する。例えば、運転席右前方に設置されたアロマディフューザーは、識別ID#1、通信チャンネルはCH−1であり、運転席右足下に設置されたアロマディフューザーは、識別ID#2、通信チャンネルはCH−2である。また、接続管理部510は、後述するように、各アロマディフューザーの噴霧方向および噴霧強度等の設定情報を保持する。
【0022】
設定画面表示部520は、アロマディフューザーの設置位置、噴霧方向および噴霧強度をユーザー設定するための設定画面を表示部180に表示する。設定画面は、例えば、入力部110を介してユーザーから指示が入力されたときに表示される。
図8に、アロマディフューザーの設置場所(噴霧させたい場所)を選択するときの設定画面の例を示す。設定画面522には、車内の領域を選択するためのボタン523、524、525、526が表示される。例えば、ユーザーがボタンにタッチすると、その対応する領域が識別できるように枠が表示される。図の例では、ユーザーが運転席525を選択したことに応じて、運転席の領域を示す枠527が表示されている。ユーザーは、領域の選択が終了したら、決定ボタン528により選択を確定し、領域の再選択を行う場合には取消ボタン529を押下する。設置場所選択部530は、設定画面522を通じてユーザ−が選択した領域(運転席、助手席、中央、後部座席)を設置場所として選択する。
【0023】
設置場所選択部530により設置場所が選択されると、設定画面表示部520は、設置場所のアロマディフューザーの噴霧方向および噴霧強度を設定するための設定画面を表示する。
図9に、噴霧方向および噴霧強度を設定するときの設定画面の例を示す。設定画面542には、選択された設置場所に配置されたアロマディフューザーの各々の噴霧方向および噴霧強度を調整するための設定項目が表示される。図の例では、運転席の領域に配置された5つのアロマディフューザー(右前方、右足下、正面、左前方、左足下)と、噴霧方向(左、中央、右)および噴霧強度(弱、中、大、OFF)とをマトリックス状にした設定項目が表示されている。ユーザーは、設定項目をタッチすることで、各アロマディフューザーの噴霧方向および噴霧強度を選択し、決定ボタン544により選択を確定させる。さらに別の設置場所を選択したい場合には、戻るボタン546を押下し、設置場所を再選択し、引き続き、再選択された設置場所に配置されるアロマディフューザーの噴霧方向および噴霧強度を設定する。噴霧方向設定部540および噴霧強度設定部550は、設定画面542を通じてユーザーが選択した噴霧方向および噴霧強度に従い各アロマディフューザーの噴霧方向および噴霧強度を決定する。
【0024】
設定完了部560は、設置場所の選択、噴霧方向および噴霧強度が設定されると、その結果を接続管理部510に提供し、接続管理部510は、選択されたアロマディフューザーの設定情報を保持または更新する。設定内容リセット部570は、例えば、ユーザーからの指示により、あるいはアロマディフューザーが新たに接続されたとき等に、接続管理部510に設定情報をリセットさせるための命令を与える。設定情報送信部580は、設定完了部560により設定が完了されると、接続管理部510に管理された情報に従い各アロマディフューザーに設定情報を送信する。なお、ここでは噴霧方向および噴霧強度の設定情報を例示しているが、設定情報は、噴霧時間を含むことができる。
【0025】
制御部210はさらに、通信部160を介して接続された全てのまたは選択的なアロマディフューザー200の起動/停止を行うことができる。例えば、制御部210は、起動命令あるいは停止命令を、接続された全てのアロマディフューザー200に一斉に送信したり、個別のアロマディフューザーに送信することができる。さらに、制御部210は、設置場所選択部530によりアロマディフューザーの設置場所を選択した場合には、当該選択された設置場所のアロマディフューザーに設定情報を送信するとともにアロマディフューザーを起動させる起動命令を送信することも可能である。この場合、設定情報を送信されたアロマディフューザーが起動されることになる。
【0026】
また、制御部210は、設定動作とは無関係に、ユーザーからの指示があったときに、起動命令または停止命令をアロマディフューザーに送信することができる。また、アロマディフューザーにユーザー操作可能なオン/オフのスイッチが搭載されている場合には、そのスイッチのオン/オフの操作によりアロマディフューザーを起動または停止させるようにしてもよい。
【0027】
次に、本実施例の車載装置におけるアロマディフューザーの設定動作を
図10のすフローチャートを参照して説明する。先ず、ユーザーからの指示に応答して、表示部180に設定画面が表示され(S100)、ユーザーは、設定画面(
図8を参照)を介して設定場所を選択し(S102)、次いで、選択された設定場所に配置されるアロマディフューザーの噴霧方向および噴霧強度を設定する(S104)。他の設定場所があれば、ステップS102、S104が繰り返される。設定が完了すると、設定情報送信部580により各アロマディフューザーに設定情報が送信される(S108)。各アロマディフューザー200は、
図3に示すように、通信部202を介して設定情報を受信し、コントローラ204は、設定情報をメモリ206に保存する。
【0028】
アロマディフューザー200のコントローラ204は、車載装置100から起動命令を受信すると、メモリ206に格納された設定情報を読出し、当該設定情報に基づきモータ駆動部208Aおよびポンプ駆動部208Bを制御する。すなわち、モータ駆動部208Aは、モータの回転角を制御し、フィン332の噴霧方向を調整し、ポンプ駆動部208Bは、エアポンプの圧力を制御し、アロマの噴霧の強さを調整する。
【0029】
このように本実施例によれば、アロマディフューザーの設置場所の選択、噴霧方向および噴霧強度を設定可能とすることで、車内のアロマの噴霧範囲を設定することができ、乗員人数や乗員位置に応じたアロマの噴霧が可能なる。例えば、乗員のいない座席まで噴霧させないことで、アロマオイルの消費を節約することができる。また、香らせたい乗員にだけ噴霧し、香りの嫌いな乗員まで香りを届かせない。さらに車載装置と連携することで、操作のしやすい大きな画面でアロマディフューザーの制御をすることができる。アロマディフューザーへの複雑なヒューマンマシンインターフェース(HMI)の搭載を回避し、アロマディフューザーをシンプルなデザインにすることができ、その結果、車内の設置場所の自由度が広がる。
【0030】
さらに以下のような具体的な設定を行うことができる。
(1)運転席のみアロマディフューザーに噴霧をさせることで、運転者のみを覚醒させ、集中力を向上させ、運転者以外はリラックス状態で乗車させることができる。
(2)前方前席のみアロマディフューザーに噴霧をさせることで、例えば、パパ、ママのみを覚醒させ、または香りを楽しませ、後部座席の子供には香りを届かせたくない(覚醒させたくない)。
(3)後部座席のみアロマディフューザーに噴霧をさせることで、例えば、騒がしい子供を落ち着かせる(眠気を誘発させる)ことができる。
(4)車内全体のアロマディフューザーに噴霧させることで、例えば、皆で香りを楽しむことができ、ドライブのワクワク感を引出すことができる。
【0031】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。上記した実施例では、車内の予め決められた場所にアロマディフューザーが全て設置された例を示したが、第2の実施例では、予め決められた場所にセンサを取付け、アロマディフューザーが設置されているか否かを検出する。
【0032】
図11に、第2の実施例の概要を示す。センサ600−1〜600−11は、車内のアロマディフューザーが設置可能な位置に取り付けられる。センサ600−1〜600−11は、例えば、重量を感知するセンサまたは接触を感知するセンサであり、各センサ600−1〜600−11の検出結果は、アロマディフューザーが設置可能な位置に関連付けされている。例えば、センサ600−1は、運転席右前方のアロマディフューザーが設置されているか否かを検出し、センサ600−2は、運転席右足下のアロマディフューザーが設置されているか否かを検出する。センサ600−1〜600−11の検出結果は、通信部160または外部I/F150を介して制御部210へ送信され、制御部210は、各センサの検出結果に基づきどの位置にアロマディフューザーが設置されているのかを認識する。接続管理部510は、この認識結果に基づき接続管理テーブルを作成し、設定画面においても、センサ600−1〜600−11の検出結果に応じたアロマディフューザーの設置場所の選択、噴霧方向および噴霧強度が設定される。
【0033】
さらに制御部210は、センサがアロマディフューザーの未設置を検出した場合には、その旨を知らせるべく警報を、音声出力部170や表示部180から出力させるようにしてもよい。
【0034】
上記実施例では、芳香剤を噴霧する装置としてアロマディフューザーを例示したが、アロマディフューザーと同等の機能を備えているものであれば、必ずしもアロマディフューザーに限定されない。
【0035】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。