(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の放射素子の各放射素子(123)が複数の表面波チャネルを含み、前記複数の表面波チャネルの各表面波チャネル(125)が表面波の経路を制限するように構成された、複数の放射素子であって、
複数のスイッチ素子(2100)、および
複数のインピーダンス素子(126)を含む、
複数の放射素子と、
複数の表面波フィード(130)のうちの1つの表面波フィードが、前記複数の放射素子のうちの1つの放射素子(123)の前記複数の表面波チャネルのうちの1つの表面波チャネル(125)を、高周波信号(154)を運ぶように構成された伝送線に接続するように構成された、複数の表面波フィード(130)と、
を備え、
前記複数のスイッチ素子(2100)がオン状態及びオフ状態のみを有し、
前記複数のスイッチ素子(2100)がオン状態のとき、動作周波数において前記複数のスイッチ素子(2100)がRL直列回路として働き、前記各表面波チャネル(125)の高い表面インピーダンスに対応し、
前記複数のスイッチ素子(2100)がオフ状態のとき、動作周波数において前記複数のスイッチ素子(2100)がRC並列回路として働き、前記各表面波チャネル(125)の低い表面インピーダンスに対応し、
前記複数のスイッチ素子(2100)が、前記インピーダンス素子間の静電容量結合を変化させるように構成され、
隣り合う前記インピーダンス素子(126)間の距離が、前記スイッチ素子(2100)が配置される位置において最も小さくなるように、各放射素子(123)の前記複数のインピーダンス素子(126)が配置された、
装置。
前記複数の放射素子および前記複数の表面波フィード(130)が、シータ方向およびファイ方向に電子的に操向されるように構成された人工インピーダンス表面アンテナ(110)を形成する、請求項1に記載の装置。
前記複数の表面波チャネルの各表面波チャネル(125)の前記複数のスイッチ素子(2100)が、前記各表面波チャネル(125)のための高い表面インピーダンスと低い表面インピーダンスの表面インピーダンスプロファイル(2114)を作成することを可能にする、請求項2に記載の装置。
前記複数のスイッチ素子(2100)の各スイッチ素子(2101)が、インダクタンス状態(2105)および静電容量状態(2107)を有するPINダイオードである、請求項1または2に記載の装置。
前記複数のスイッチ素子(2100)の各スイッチ素子(2101)が、単に2つの状態(2102)を有する、ショットキーダイオード、半導体スイッチ、微小電気機械システムスイッチダイオード、または相変化材料スイッチである、請求項1、2または4に記載の装置。
前記複数のスイッチ素子(2100)の各スイッチ素子(2101)が、単に2つの状態(2102)を有する高周波ダイオードである、請求項1、2、4または5に記載の装置。
前記複数のインピーダンス素子(126)のうちの1つのインピーダンス素子が、一連の同じ形状によって形成されたパターンを有する、請求項1、2、4、5または6に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、図面を参照すると、特に、
図1を参照して、ブロック図の形態でのアンテナシステムの例が、例示的な実施形態により示されている。アンテナシステム100は、アンテナ102、電圧コントローラー104、位相シフタ106、および高周波モジュール108を含むことができる。この例示的な例では、アンテナ102は、人工インピーダンス表面アンテナ(AISA)110の形態をとっている。
【0019】
アンテナ102は、放射パターン112を送信および/または受信するように構成されている。放射パターン112は、方向の関数としてのアンテナ102の利得のプロットである。アンテナ102の利得を、アンテナ102のための性能パラメータと見なすことができる。場合によっては、「利得」は利得のピーク値であると考えられる。
【0020】
アンテナ102は、放射パターン112を電子的に制御するように構成されている。アンテナ102が送信のために使用される場合、放射パターン112は、方向の関数としてアンテナ102から送信された電波の強さであってもよい。アンテナ102が送信のために使用される場合、放射パターン112を、送信パターンと呼ぶことができる。アンテナ102の利得は、送信時に、どの程度、アンテナ102が、電力を電波などの電磁放射に変換し、指定された方向に電磁放射を伝送するかを説明することができる。
【0021】
アンテナ102が受信のために使用される場合、放射パターン112は、方向の関数としての電波に対するアンテナ102の感度であってもよい。アンテナ102が受信のために使用される場合、放射パターン112を、受信パターンと呼ぶことができる。アンテナ102の利得は、受信時に、どの程度、アンテナ102が、電波などの電磁放射を変換し、指定された方向から電力に到達するかを説明することができる。
【0022】
アンテナ102の送信パターンと受信パターンが同一であってもよい。したがって、アンテナ102の送信パターン及び受信パターンを、単に放射パターン112と呼ぶことができる。
【0023】
放射パターン112は、メインローブ116および1つまたは複数のサイドローブを含むことができる。メインローブ116を、アンテナ102が向けられている方向でのローブとすることができる。アンテナ102が送信のために使用される場合、メインローブ116は、高周波ビームを形成するために、アンテナ102が最も強い電波を送信する方向に位置している。アンテナ102が送信ために使用される場合、メインローブ116を、放射パターン112の主利得ローブと呼ぶこともできる。アンテナ102が受信のために使用される場合、メインローブ116は、アンテナ102が受信電波に最も敏感である方向に位置している。
【0024】
この例示的な例では、アンテナ102は、所望の方向114に放射パターン112のメインローブ116を電子的に操向するように構成されている。放射パターン112のメインローブ116を、メインローブ116が方向付けされたファイ操向角118およびシータ操向角120を制御することによって電子的に操向することができる。ファイ操向角118およびシータ操向角120は、球面座標である。アンテナ102がX−Y平面内で動作しているとき、ファイ操向角118は、X−Y平面でX軸に対するメインローブ116の角度である。また、シータ操向角120は、X−Y平面に直交するZ軸に対するメインローブ116の角度である。
【0025】
アンテナ102は、X−Y平面内に置かれた放射素子のアレイ122を有することにより、X−Y平面内で動作することができる。本明細書で使用される場合、アイテムの「アレイ」は、行および/または列に配置された1つまたは複数のアイテムを含むことができる。この例示的な例では、放射素子のアレイ122は、単一の放射素子であっても、複数の放射素子であってもよい。例示的な一例では、放射素子のアレイ122内の各放射素子は、人工インピーダンス表面の、表面波の導波路構造の形態をとることができる。
【0026】
放射素子123を、放射素子のアレイ122内の1つの放射素子の例とすることができる。放射素子123は、放射パターン112に寄与する放射を放出するように構成され得る。
【0027】
図示のように、放射素子123は、誘電体基板124を用いて実装されている。誘電体基板124を、誘電体材料の層として実装することができる。誘電体材料は、印加電界によって分極可能な電気絶縁体である。
【0028】
放射素子123は、誘電体基板124上に形成された1つまたは複数の表面波チャネルを含むことができる。例えば、放射素子123は、表面波チャネル125を含むことができる。表面波チャネル125は、誘電体基板124、および特に表面波チャネル125に沿って伝搬する表面波の経路を制限するように構成されている。
【0029】
例示的な一例では、放射素子のアレイ122は、X軸に略平行に位置決めされて配置され、Y軸に沿って離間され得る。また、複数の表面波チャネルが誘電体基板上に形成されている場合、これらの表面波チャネルは、X軸に略平行に形成されて配置され、軸に沿って離間され得る。
【0030】
この例示的な例では、誘電体基板に配置されたインピーダンス素子とチューナブル素子を、放射素子のアレイ122内の放射素子の各表面波チャネルを形成するために使用することができる。例えば、表面波チャネル125は、誘電体基板124の表面上に配置された複数のインピーダンス素子126と複数のチューナブル素子128から構成され得る。複数のインピーダンス素子126と、複数のチューナブル素子128と、誘電体基板124とが一緒に、人工インピーダンス表面を形成し、そこから放射が生成される。
【0031】
複数のインピーダンス素子126のうちの1つのインピーダンス素子を、複数の異なる方法で実装することができる。例示的な一例では、インピーダンス素子は、共振素子として実装されてもよい。例示的な一例では、インピーダンス素子は、導電性材料からなる素子として実装されてもよい。導電性材料は、例えば、金属材料であってもよいが、これに限定されるものではない。実装に応じて、インピーダンス素子は、金属ストリップ、導電性塗料のパッチ、金属メッシュ材料、金属膜、金属基板の堆積物、またはいくつかの他のタイプの導電性素子として実装されてもよい。場合によっては、インピーダンス素子は、例えば、スプリットリング共振器(SRR)、電気的に接続された共振器(ECR)、1つまたは複数のメタマテリアルからなる構造、またはいくつかの他のタイプの構造や素子のような、共振構造として実装されてもよい。
【0032】
本明細書で使用される場合、メタマテリアルを、自然界に見出されないかもしれない特性を有するように操作された人工材料とすることができる。メタマテリアルは、従来の顕微鏡の材料から形成された多様な個々の要素の集合体であってもよい。これらの従来の材料は、例えば、金属、金属合金、プラスチック材料、および他のタイプの材料を含むことができるが、これに限定されるものではない。ただし、これらの従来の材料は、繰り返しパターンで配置され得る。メタマテリアルの特性は、メタマテリアルの組成に基づくものではないが、メタマテリアルの厳格に設計された構造に基づいている。特に、正確な形状、幾何学形状、サイズ、向き、配置、またはこれらの組み合わせが、自然界に見出されないまたは容易には見出されないかもしれない特定の特性を有するメタマテリアルを生成するように正確に設計され得る。
【0033】
複数のチューナブル素子128の各々を、放射素子123に沿って伝搬される1つまたは複数の表面波の角度を変更するために、制御、すなわち調整することができる素子とすることができる。この例示的な例では、複数のチューナブル素子128の各々は、チューナブル素子に印加される電圧に基づいて変化させることができる静電容量を有する素子であってもよい。
【0034】
例示的な一例では、複数のインピーダンス素子126は複数の金属ストリップ132の形態を取り、複数のチューナブル素子128は複数のバラクタ134の形態をとる。複数のバラクタ134の各々は、半導体素子のダイオードに印加される電圧に依存する静電容量を有する半導体素子のダイオードであってもよい。
【0035】
例示的な一例では、複数の金属ストリップ132を、X軸に沿って延伸する列に配置することができる。例えば、複数の金属ストリップ132は、X軸に沿った誘電体基板124上に周期的に分散されていてもよい。複数のバラクタ134を、誘電体基板124の表面上の複数の金属ストリップ132に電気的に接続することができる。具体的には、複数のバラクタ134のうちの少なくとも1つのバラクタを、複数の金属ストリップ132のうちの隣接する一対の金属ストリップの各金属ストリップの間に配置することができる。また、複数のバラクタ134を、各金属ストリップ上のバラクタ接続のすべてが同じ極性を有するように整列させることができる。
【0036】
誘電体基板124、複数のインピーダンス素子126、および複数のチューナブル素子128は、表面波チャネル125、および特に放射素子123のために選択された設計構成136に対して構成され得る。実装に応じて、放射素子のアレイ122内の各放射素子は、同一または異なる選択された設計構成を有してもよい。
【0037】
図示のように、選択された設計構成136は、インピーダンス素子の幅138、インピーダンス素子の間隔140、チューナブル素子の間隔142、および基板の厚さ144などの複数の設計パラメータ含み得るが、これらに限定されるものではない。インピーダンス素子の幅138を、複数のインピーダンス素子126のうちの1つのインピーダンス素子の幅とすることができる。インピーダンス素子の幅138を、実装に応じて、複数のインピーダンス素子126のそれぞれについて、同じまたは異なるように選択することができる。
【0038】
インピーダンス素子の間隔140を、X軸に対する複数のインピーダンス素子126の間隔とすることができる。チューナブル素子の間隔142を、X軸に対する複数のチューナブル素子128の間隔とすることができる。また、基板の厚さ144を、特定の導波路が実装された誘電体基板124の厚さとすることができる。
【0039】
選択された設計構成136の異なるパラメータの値は、例えば、アンテナ102が動作するように構成された放射周波数に基づいて選択され得るが、これに限定されるものではない。その他の考慮事項には、例えば、アンテナ102のための所望のインピーダンス変調が含まれる。
【0040】
複数のインピーダンス素子126が複数のチューナブル素子128に電気的に接続され得るため、電圧は、複数のインピーダンス素子126に電圧を印加することによって、複数のチューナブル素子128に適用され得る。具体的には、複数のインピーダンス素子126に印加された電圧と、これにより複数のチューナブル素子128に印加された電圧は、複数のチューナブル素子128の静電容量を変更することができる。複数のチューナブル素子128の静電容量を変更することにより、順に、アンテナ102の表面インピーダンスを変更することができる。アンテナ102の表面インピーダンスを変更すると、生成される放射パターン112が変更される。
【0041】
つまり、複数のインピーダンス素子126に印加された電圧を制御することによって、複数のチューナブル素子128の静電容量を変化させることができる。複数のチューナブル素子128の静電容量を変化させることにより、複数のインピーダンス素子126間の静電容量結合とインピーダンスを変化させる、すなわち変調することができる。複数のインピーダンス素子126間の静電容量結合とインピーダンスを変化させる、すなわち変調することにより、シータ操向角120を変更することができる。
【0042】
電圧コントローラー104を用いて、電圧を、複数のインピーダンス素子126に印加することができる。電圧コントローラー104は、複数の電圧源146、複数の接地148、複数の電圧線150、および/または複数の他のタイプの構成要素を含むことができる。場合によっては、電圧コントローラー104を、電圧制御ネットワークと呼ぶことができる。本明細書で使用される場合、「複数の(“number of”)」アイテムは、1つまたは複数のアイテムを含むことができる。例えば、複数の電圧源146は1つまたは複数の電圧源を含むことができ、複数の接地148は1つまたは複数の接地を含むことができ、複数の電圧線150は1つまたは複数の電圧線を含むことができる。
【0043】
複数の電圧源146のうちの1つの電圧源は、例えば、デジタル/アナログ変換器(DAC)、可変電圧源、またはいくつかの他のタイプの電圧源の形態を取り得るが、これらに限定されるものではない。複数の接地148を、複数のインピーダンス素子126の少なくとも一部を接地するために使用することができる。複数の電圧線150を、複数の電圧源146および/または複数の接地148からの電圧を複数のインピーダンス素子126に送信するために使用することができる。場合によっては、複数の電圧線150の各々を、ビアと呼ぶことができる。例示的な一例では、複数の電圧線150は、複数の金属ビアの形態をとることができる。
【0044】
例示的な一例では、複数のインピーダンス素子126の各々は、複数の電圧源146のうちの1つから電圧を受け取ることができる。別の例示的な例において、複数のインピーダンス素子126の一部は、複数の電圧線150の対応部分を介して複数の電圧源146から電圧を受け取ることができ、一方で、複数のインピーダンス素子126の他の部分は、複数の電圧線150の対応部分を介して複数の接地148に電気的に接続され得る。
【0045】
場合によっては、コントローラー151を、複数の電圧源146を制御するために使用することができる。コントローラー151を、実装に応じて、アンテナシステム100の一部またはアンテナシステム100と別のものとして見なすことができる。コントローラー151は、マイクロプロセッサ、集積回路、コンピューター、中央処理装置、相互に通信する複数のコンピューター、またはいくつかの他のタイプのコンピューターもしくはプロセッサを使用して実装されてもよい。
【0046】
放射素子のアレイ122に沿って伝播された表面波152は、誘電体基板124上に配置された複数の表面波フィード130によって、複数の伝送線156に接続され得る。複数の表面波フィード130のうちの1つの表面波フィードは、表面波を高周波信号に、および/または高周波信号を表面波に変換することができる任意のデバイスであってもよい。例示的な一例では、複数の表面波フィード130のうちの1つの表面波フィードは、誘電体基板124上の放射素子のアレイ122内の各導波路の端部に配置されている。
【0047】
例えば、アンテナ102が受信モードにある場合、放射素子123に沿って伝播している1つまたは複数の表面波は、複数の表面波フィード130の対応する表面波フィードで受信され、対応する高周波信号154に変換され得る。高周波信号154は、複数の伝送線156の1つまたは複数を通じて高周波モジュール108に送信され得る。次いで、高周波モジュール108は、それに応じて受信および処理の高周波信号154として機能することができる。
【0048】
実装に応じて、高周波モジュール108は、送信機、受信機、またはその両方の組み合わせとして機能することができる。いくつかの例示的な例では、高周波モジュール108を、送信/受信モジュール158と呼ぶことができる。場合によっては、送信のために構成されている場合、高周波モジュール108を、高周波源と呼ぶことができる。
【0049】
場合によっては、高周波信号154は、高周波モジュール108に送信される前に位相シフタ106を通過することができる。位相シフタ106は、任意の数の、位相シフタ、電力分配器、伝送線、および/または高周波信号154の位相をシフトするように構成された他の構成要素を含むことができる。場合によっては、位相シフタ106を、位相シフトネットワークと呼ぶことができる。
【0050】
アンテナ102が送信モードにある場合、高周波信号154は、複数の伝送線156を通じて高周波モジュール108からアンテナ102に送信され得る。具体的には、高周波信号154は、複数の表面波フィード130のうちの1つで受信され、その後、放射素子のアレイ122の対応する導波路に沿って伝搬される1つまたは複数の表面波に変換され得る。
【0051】
この例示的な例では、複数の表面波フィード130間の相対位相差は、送信または受信された放射パターン112の、ファイ操向角118を変更するために変更されることができる。したがって、複数の表面波フィード130間の相対位相差を制御すること、および放射素子のアレイ122の各導波路のチューナブル素子に印加される電圧を制御することにより、ファイ操向角118およびシータ操向角120をそれぞれ制御することができる。つまり、アンテナ102を、2次元で電子的に操向することができる。
【0052】
実装に応じて、放射素子123は、直線偏波放射または円偏波放射を放出するように構成され得る。直線偏波放射を放出するように構成した場合、放射素子123上の各表面波チャネルに使用される複数の金属ストリップはX軸と同じ方向に傾斜していてもよく、そのX軸に沿って複数の金属ストリップが分散されている。一般に、単一の表面波チャネルのみが、各放射素子123に必要とされる。
【0053】
ただし、放射素子123が円偏波放射を生成するように構成されている場合、表面波チャネル125は第1の表面波チャネルであってもよく、また、第2の表面波チャネル145が放射素子123内にあってもよい。表面波チャネル125と第2の表面波チャネル145は、互いに位相が約90度ずれていてもよい。これらの2つの接続された表面波チャネルからの放射間の相互作用により、円偏波放射を生成することができる。
【0054】
表面波チャネル125を形成する複数のインピーダンス素子126は、表面波の電界の偏波に対して角度を有した偏波で放射する第1の複数のインピーダンス素子であってもよい。第2の表面波チャネル145を形成する第2の複数のインピーダンス素子は、表面波チャネル125と比較して約90度オフセットした角度で偏波を放射し得る。
【0055】
例えば、表面波チャネル125の第1の複数のインピーダンス素子の各インピーダンス素子は、主角に伴うテンソルインピーダンスを有することができ、これは、放射素子123のX軸に対して第1の角度で傾斜している。また、第2の表面波チャネル145の第2の複数のインピーダンス素子の各インピーダンス素子は、テンソルインピーダンスを有することができ、これは、対応する放射素子のX軸に対して第2の角度で傾斜している。第1の角度と第2の角度との差を、約90度とすることができる。
【0056】
第1の複数のインピーダンス素子間の静電容量は、第1の複数のチューナブル素子とすることができる複数のチューナブル素子128を用いて制御され得る。第2の複数のインピーダンス素子間の静電容量は、第2の複数のチューナブル素子を用いて制御され得る。
【0057】
より具体的な例として、表面波チャネル125上の複数の金属ストリップ132は、X軸に対して約45度の正の角度をなすことができ、そのX軸に沿って複数の金属ストリップ132が分散されている。ただし、第2の表面波チャネル145に使用される複数の金属ストリップは、X軸に対して約45度の負の角度をなすことができ、そのX軸に沿って複数の金属ストリップが分散されている。傾斜角におけるこの変化は、異なる直線偏波の放射を生成し、90度の位相シフトと組み合わせた場合に、円偏波放射を生成することができる。
【0058】
図1のアンテナシステム100の図は、例示的な実施形態を実施することができる方法に対して、物理的または構造的限定を意味するものではない。図示のものに加えて、またはその代わりに、他の構成要素が使用されてもよい。いくつかの構成要素は、任意であってもよい。また、ブロックは、いくつかの機能的な構成要素を例示するために提示されている。これらのブロックの1つまたは複数は、例示的な実施形態において実装されるとき、組み合わされてもよく、分割されてもよく、または組み合わさってから異なるブロックに分割されてもよい。
【0059】
例えば、他の例示的な例では、位相シフタ106は、アンテナシステム100に含まれていなくてもよい。代わりに、複数の伝送線156が、複数の表面波フィード130を複数の電力分配器および/または他のタイプの構成要素に、ならびにこれらの異なる構成要素を高周波モジュール108に接続するために使用されてもよい。いくつかの例では、複数の伝送線156は、複数の表面波フィード130を高周波モジュール108に直結させることができる。
【0060】
いくつかの例示的な例では、複数のチューナブル素子128のうちの1つのチューナブル素子は、誘電体基板124に埋め込まれた可変材料のポケットとして実装されてもよい。本明細書で使用される場合、「可変材料」を、変化させることができる誘電率を有する任意の材料とすることができる。可変材料の誘電率を、例えば、可変材料がその間に配置されている2つのインピーダンス素子間の静電容量を変えるように変化させることができる。可変材料は、電圧可変材料であってもよく、または、例えば、液晶材料またはチタン酸バリウムストロンチウム(BST)などの任意の電気的可変材料であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0061】
他の例示的な例では、複数のチューナブル素子128のうちの1つのチューナブル素子は、複数のインピーダンス素子126の対応するインピーダンス素子の一部であってもよい。例えば、チューナブル素子を有する共振構造を使用することができる。共振構造は、例えば、スプリットリング共振器、電気的に接続された共振器、またはいくつかの他のタイプの共振構造であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0062】
次に
図2を参照すると、アンテナシステムの図が、例示的な実施形態にしたがって示されている。アンテナシステム200を、
図1のアンテナシステム100のための一実施例とすることができる。図示のように、アンテナシステム200は、チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ(AISA)201を含み、これを、
図1の人工インピーダンス表面アンテナ110のための一実施例とすることができる。さらに、アンテナシステム200はまた、電圧コントローラー202と位相シフタ203を含むことができる。電圧コントローラー202と位相シフタ203を、それぞれ、
図1の電圧コントローラー104と位相シフタ106の実施例とすることができる。
【0063】
この例示的な例では、チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201は、シータθおよびファイφの両方向に電子的に操向されることが可能な比較的低いコストのアンテナである。チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201がX−Y平面内で動作しているとき、シータ方向を、X−Y平面に直交するZ軸に直交する方向とすることができ、一方で、ファイ方向を、X−Y平面に平行な方向とすることができる。
【0064】
図示のように、チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201は、誘電体基板206、金属ストリップ207、バラクタ209、および高周波(RF)表面波フィード208を含んでいる。金属ストリップ207を、誘電体基板206の一方の面に配置された金属ストリップ207の周期的アレイとすることができる。バラクタ209を、金属ストリップ207間に配置することができる。誘電体基板206は、金属ストリップ207が配置されている面と反対側の誘電体基板206の表面上の接地面(この図には示されていない)を有していてもいなくてもよい。
【0065】
シータ方向でのチューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201のメインローブの操向は、チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201の表面波インピーダンスを変化させる、すなわち変調することによって制御される。例えば、チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201のインピーダンスを、誘電体基板206の表面上に配置された金属ストリップ207に印加される電圧を制御することによって、変化させる、すなわち変調することができる。金属ストリップ207間にバラクタ209が存在することにより、バラクタ209に印加される電圧を、金属ストリップ207を用いて制御することができる。バラクタ209の各々は、ダイオードの端子間に印加される電圧の関数として変化する静電容量を有するタイプのダイオードである。
【0066】
金属ストリップ207に印加される電圧は、順に、チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201のインピーダンスを変更することができる金属ストリップ207間のバラクタ209の静電容量を変更することができる。つまり、金属ストリップ207に印加される電圧を制御することにより、バラクタ209の静電容量を変化させることができる。バラクタ209の静電容量を変化させることにより、シータ方向にアンテナシステム200によって生成されるビームを操向するために、金属ストリップ207間の静電容量結合とインピーダンスを変化させる、すなわち変調することができる。
【0067】
この例示的な例では、高周波表面波フィード208を、高周波表面波フィードの2次元アレイとすることができる。ファイ方向でのチューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201のメインローブの操向は、高周波表面波フィード208間の相対位相差を変更することにより制御される。
【0068】
電圧コントローラー202は、直流(DC)電圧をチューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201の構造上の金属ストリップ207に印加するために使用される。電圧コントローラー202を、制御バス205を介して受信したコマンドに基づいて制御することができる。このように、制御バス205は、電圧コントローラー202のための制御を提供する。さらに、制御バス204は、位相シフタ203のための制御を提供することができる。制御バス204および制御バス205の各々は、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、1つまたは複数のコンピューター、またはいくつかの他のタイプのコンピューターまたはプロセッサからのバスであってもよい。
【0069】
この例示的な例では、バラクタ209の極性を、金属ストリップ207のいずれか1つへのすべてのバラクタ接続が同じ極性で接続され得るように整列させることができる。バラクタの一方の端子をアノードと呼ぶことができ、他方の端子を、カソードと呼ぶことができる。このように、金属ストリップ207のいくつかはバラクタ209のアノードに接続されているだけであり、一方で、他の金属ストリップ207はバラクタ209のアノードに接続されているだけである。また、図示のように、隣接する金属ストリップ207は、バラクタ209のアノードに接続されているもの、およびバラクタ209のカソードに接続されているものに関して交互にすることができる。
【0070】
X方向とすることができるチューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201の1次元での金属ストリップ207の間隔は、高周波表面波フィード208からチューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201を渡って伝播する高周波の高周波表面波の波長の分数であってもよい。例示的な一例では、金属ストリップ207の間隔を、最大で、高周波の高周波表面波の波長の2/5とすることができる。別の例示的な例では、この分数を、高周波の高周波表面波の波長の約2/10だけとすることができる。実装に応じて、Y方向とすることができるチューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201の2次元で金属ストリップ207に接続されたバラクタ209の間隔は、金属ストリップ207の間隔と略同じであってもよい。
【0071】
高周波表面波フィード208は、フェーズドアレイ共同フィード構造を形成することができ、またはチューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201に統合されている共形の表面波フィードの形態をとることができる。表面波フィードを、例えば、マイクロストリップを用いて、チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201に統合することができる。Y方向での高周波表面波フィード208の間隔は、その間隔が送信または受信される最も高い周波数信号のための自由空間波長と然程離れていないことを示す選択された規則に基づくことができる。
【0072】
この例示的な例では、誘電体基板206の厚さを、誘電体基板206の誘電率と、送信または受信される放射の周波数によって決定することができる。誘電率が高いほど、誘電体基板206は薄くもてよい。
【0073】
放射のさまざまな角度を得るために、チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201のための所望のインピーダンス変調に必要とされる範囲によって、バラクタ209の静電容量値を決定することができる。また、誘電体基板206に使用される特定の基板を、チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201の動作周波数、すなわち無線周波数に基づいて選択することができる。
【0074】
例えば、チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201が約20ギガヘルツで動作しているとき、誘電体基板206は、ロジャース社から入手可能な、約50ミリメートル(mm)の厚さを有する基板を使用して実装され得るが、これに限定されるものではない。この例では、誘電体基板206は、約12.2に等しい相対的な誘電率を有することができる。金属ストリップ207を、誘電体基板206上で約2ミリメートルから約3ミリメートル離間することができる。さらに、この例では、高周波表面波フィード208を、約2.5センチメートル離間することができ、バラクタ209を、約2ミリメートルから約3ミリメートル離間することができる。バラクタ209は、約0.2ピコファラッド(pF)から約2.0ピコファラッドに静電容量を変化させることができる。当然、他の仕様が、異なる放射周波数についてチューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201のために使用され得る。
【0075】
チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201を使用して高周波信号を送信または受信するために、送信/受信モジュール210が、位相シフタ203に接続されている。位相シフタ203を、この例示的な例では、1次元の位相シフタとすることができる。位相シフタ203は、フェーズドアレイアンテナに使用されるものを含む、一般に利用可能な位相シフタの任意のタイプを使用して実装され得る。
【0076】
この例示的な例では、位相シフタ203は、送信/受信モジュール210、電力分配器212、および位相シフタ213に接続された高周波伝送線211を含んでいる。位相シフタ213は、デジタル/アナログ変換器(DAC)214に接続された電圧制御線216によって制御される。デジタル/アナログ変換器214は、ファイ方向での操向を制御するために、制御バス204からデジタル制御信号を受信する。
【0077】
チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201のメインローブは、高周波表面波フィード208の各々の間の位相シフトを行うために、位相シフタ203を使用して、ファイ方向に操向され得る。高周波表面波フィード208が均一に離間されている場合、隣接する高周波表面波フィード208間の位相シフトを、実質的に一定とすることができる。ファイ(φ)の操向角と位相シフトとの間の関係を、以下の式に従って、標準的なフェーズドアレイ法を用いて計算することができる。
φ=sin
−1(λΔψ/2πd) (1)
ここで、λは放射波長であり、dは高周波表面波フィード208の間隔であり、Δψはこれらの表面波フィード間の位相シフトである。場合によっては、これらの表面波フィードは、非均一に離間されてもよく、位相シフトは、それに応じて調整される。
【0078】
前述のように、チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201が表面波インピーダンスZ
SWを有するように、チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201のメインローブを、バラクタ209に電圧を印加することにより、シータ(θ)の方向に操向することができ、このインピーダンスZ
SWは、以下の式に従って、高周波表面波フィード208からの距離(x)で周期的に変調されすなわち変化する。
Z
sw=X+Mcos(2πx/p) (2)
ここで、XおよびMは、それぞれ、チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201の平均インピーダンスおよび振幅であり、pは変調周期である。表面波インピーダンスZ
SWの変化は、正弦曲線状に変調され得る。
【0079】
シータ操向角θは、以下の式によるインピーダンス変調に関連し:
θ=sin
−1(n
sw−λ/p) (3)
ここで、λは放射の波長であり、n
swは以下の通りであり、平均の表面波インデックスである。
【0081】
ビームは、バラクタ209に印加される電圧を調整することによって、シータ方向に操向され、その結果、X、M、およびpは、所望のシータ操向角θとなる。バラクタ静電容量に基づく表面波インピーダンスの依存性は、横軸の共振法から生じる超越方程式を用いて、または全波数値シミュレーションを用いて算出される。
【0082】
電圧制御線218を介して接地220に交互の金属ストリップ207を接地し、残りの金属ストリップ207に電圧制御線219を介してチューナブル電圧を印加することによって、バラクタ209に電圧を印加することができる。それぞれの電圧制御線219に印加される電圧は、所望のシータ操向角の関数であってもよいし、それぞれの電圧制御線219について異なっていてもよい。電圧は、シータ方向に操向するためのコントローラーにより、制御バス205からのデジタル制御を受信するデジタル/アナログ変換器(DAC)217から印加され得る。コントローラーは、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、または任意のコンピューター、プロセッサ、もしくはコントローラーであってもよい。
【0083】
金属ストリップ207の半分を接地することの1つの利点は、金属ストリップ207が存在するために、電圧制御線219の半分だけが必要とされることである。ただし、場合によっては、電圧制御の空間分解能、したがって、インピーダンス変調は、金属ストリップ207の間隔の2倍に制限され得る。
【0084】
次に
図3を参照すると、
図2のチューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201の一部の側面図が、例示的な実施形態にしたがって示されている。この例示的な例では、誘電体基板206は接地面300を有する。
【0085】
次に
図4を参照すると、アンテナシステムの異なる構成の図が、例示的な実施形態にしたがって示されている。アンテナシステム400を、
図1のアンテナシステム100のための一実施例とすることができる。アンテナシステム400は、チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ(AISA)401を含み、これを、
図1の人工インピーダンス表面アンテナ110のための一実施例とすることができる。
【0086】
アンテナシステム400およびチューナブル人工インピーダンス表面アンテナ401は、それぞれ、
図2のアンテナシステム200およびチューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201と同様の方法で実装され得る。図示のように、アンテナシステム400は、チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ401、電圧コントローラー402、および位相シフタ403を含んでいる。チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ401は、誘電体基板406、金属ストリップ407、バラクタ409、および高周波表面波フィード408を含んでいる。さらに、アンテナシステム400は、送信/受信モジュール410を含むことができる。
【0087】
ただし、この例示的な例では、電圧コントローラー402は、電圧コントローラー202が
図2で実装される方法とは異なる方法で実装され得る。
図4において、電圧コントローラー402は、電圧をデジタル/アナログ変換器412から金属ストリップ407の各々に印加することを可能にする電圧線411を含むことができる。金属ストリップ407を交互にすることにより、
図2でのように接地されない。デジタル/アナログ変換器412は、シータ方向に操向するための、例えば、コントローラー414により、
図2の制御バス205からのデジタル制御を受信することができる。コントローラー414は、マイクロプロセッサ、中央処理装置、またはいくつかの他のタイプのコンピューターもしくはプロセッサを使用して実装され得る。ファイ方向の操向を、位相シフタ203が
図2で使用される方法と同様に、位相シフタ403を用いて行うことができる。
【0088】
金属ストリップ407のすべてに電圧を印加する電圧線411を用いると、
図2のアンテナシステム200と比較して2倍の制御電圧が必要とされる。ただし、チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ401のインピーダンス変調の空間分解能が倍になる。この例示的な例では、それぞれの電圧線411に印加される電圧は、所望のシータ操向角の関数であり、それぞれの電圧線411について異なっていてもよい。
【0089】
次に
図5を参照すると、アンテナシステムの別の構成の図が、例示的な実施形態にしたがって示されている。アンテナシステム500を、
図1のアンテナシステム100のための一実施例とすることができる。アンテナシステム500は、チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ(AISA)501を含み、これを、
図1の人工インピーダンス表面アンテナ110のための一実施例とすることができる。
【0090】
アンテナシステム500およびチューナブル人工インピーダンス表面アンテナ501は、それぞれ、
図2のアンテナシステム200およびチューナブル人工インピーダンス表面アンテナ201と同様の方法で実装され得る。さらに、アンテナシステム500およびチューナブル人工インピーダンス表面アンテナ501は、それぞれ、
図4のアンテナシステム400およびチューナブル人工インピーダンス表面アンテナ401と同様の方法で実装され得る。
【0091】
図示のように、アンテナシステム500は、チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ501、電圧コントローラー502、および位相シフタ503を含んでいる。チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ501は、誘電体基板506、金属ストリップ507、バラクタ509、および高周波表面波フィード508を含んでいる。さらに、アンテナシステム500は、送信/受信モジュール510を含むことができる。
【0092】
ただし、この例示的な例では、電圧コントローラー502は、電圧コントローラー202が
図2で実装される方法とは異なる方法で、および電圧コントローラー402が
図4で実装される方法とは異なる方法で実装され得る。
図5では、
図2および
図4のデジタル/アナログ変換器は、可変電圧源512によって置き換えられている。
【0093】
可変電圧源512の電圧が変化するにつれて、チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ501によって生成されるビームの放射角は、最小シータ操向角と最大シータ操向角との間で変化する。シータ操向角に対するこの範囲は、チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ501の設計構成の詳細によって決定され得る。
【0094】
電圧は、電圧制御線514と電圧制御線516を介して金属ストリップ507に印加される。電圧制御線516は、金属ストリップ507のための接地を提供することができ、一方で、電圧制御線514は、可変電圧を有する金属ストリップ507を提供することができる。X次元にわたって、金属ストリップ507は、電圧制御線514または電圧制御線516に交互に接続されている。つまり、金属ストリップ507を交互にすることにより、接地されている。
【0095】
金属ストリップ507は、周期(p)518で周期的に変化する金属ストリップ507の幅で、X次元に均等に離間された中心を有することができる。周期518中の金属ストリップ507の数は、任意の数であってもよい。例えば、金属ストリップ507を、周期518ごとに10個から20個の金属ストリップとすることができる。周期518ごとの幅の変化は、周期518でX方向に周期的変調を有する表面波インピーダンスを生成するように構成されてもよく、この変化は、例えば、上記式(3)の正弦曲線状の変化である。
【0096】
チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ501上の各地点における表面波インピーダンスは、金属ストリップ507の各々の幅とバラクタ509に印加される電圧によって決定される。バラクタ509の静電容量は、変化する印加電圧により変化し得る。電圧が約0ボルトであるとき、バラクタの静電容量を、C
maxの最大値とすることができる。電圧が増加するにつれて、静電容量がC
minの最小値に達するまで、静電容量は減少する。静電容量が変化するにつれて、インピーダンス変調パラメータXおよびMは、上記式(2)で説明したように、X
minとM
minのそれぞれの最小値からX
maxとM
maxのそれぞれの最大値まで変化することができる。
【0097】
さらに、上記式4の平均の表面波インデックスは、以下の範囲において変化する。
【0099】
さらに、上記式3で説明したように、チューナブル人工インピーダンス表面アンテナ501の放射角を走査することができる範囲は、単一の制御電圧の変化により、
θ
min=sin
−1(n
min−λ/p) (5)
の最小値から
θ
max=sin
−1(n
max−λ/p) (6)
の最大値まで、変化することができる。
【0100】
次に
図6を参照すると、誘電体基板の側面図が、例示的な実施形態にしたがって示されている。この例示的な例では、誘電体基板601は、
図2による誘電体基板206、
図4による誘電体基板406、および/または
図5による誘電体基板506を実装するために使用され得る。誘電体基板601は、電界の印加によって変化する誘電率を有することができる。
【0101】
金属ストリップ602は、誘電体基板601の一方の面に配置されて示されている。図示のように、バラクタは、この例示的な例では使用されていない。電圧が金属ストリップ602に印加されると、電界は、隣接する金属ストリップ602間、および金属ストリップ602と接地面603との間にも生成される。電界は、隣接する金属ストリップ602間の静電容量の変化をもたらす誘電体基板601の誘電率を変更する。隣接する金属ストリップ602間の静電容量は、誘電体基板601を使用するチューナブル人工インピーダンス表面アンテナの表面波インピーダンスを決定する。
【0102】
次に
図7を参照すると、材料の埋め込みポケットを有する
図6の誘電体基板601の図が、例示的な実施形態にしたがって示されている。この例示的な例では、誘電体基板601は、不活性基板700の形態をとることができる。電圧差を隣接する金属ストリップ602に印加することができ、これにより、金属ストリップ602間に電界を生成し、金属ストリップ602間に位置する可変材料702のポケットにおける誘電率の変化を生成することができる。
【0103】
可変材料702のポケットを、
図1の複数のチューナブル素子128を実装することができる1つの方法の例とすることができる。可変材料702のポケットの可変材料は、例えば、液晶材料またはチタン酸バリウムストロンチウム(BST)などの任意の電気的可変材料であってもよいが、これに限定されるものではない。具体的には、可変材料702は、金属ストリップ602間の誘電体基板601内のポケットに埋め込まれている。
【0104】
次に
図8を参照すると、アンテナシステムの図が、例示的な実施形態にしたがって示されている。この例示的な例では、アンテナシステム800を、
図1のアンテナシステム100のための一実施例とすることができる。アンテナシステム800は、アンテナ802、電圧コントローラー803、位相シフタ804、および高周波モジュール806を含んでいる。アンテナ802、電圧コントローラー803、位相シフタ804、および高周波モジュール806を、それぞれ、
図1の、アンテナ102、電圧コントローラー104、位相シフタ106、および高周波モジュール108の実施例とすることができる。
【0105】
アンテナ802は、電圧コントローラー803によって電圧が供給される。電圧コントローラー803は、デジタル/アナログ変換器(DAC)808および電圧線811を含んでいる。デジタル/アナログ変換器808を、
図1の複数の電圧源146における1つの電圧源のための一実施例とすることができる。電圧線811を、
図1の複数の電圧線150のための一実施例とすることができる。
【0106】
電圧線811を介してデジタル/アナログ変換器808からアンテナ802に、電圧を印加することができる。コントローラー810は、デジタル/アナログ変換器808からアンテナ802に送信された電圧信号を制御するために使用され得る。コントローラー810を、
図1のコントローラー151のための一実施例とすることができる。この例示的な例では、コントローラー810を、アンテナシステム800の一部と見なすことができる。
【0107】
図示のように、アンテナ802は、放射素子のアレイ813によって形成された放射構造812を含むことができる。放射素子のアレイ813を、
図1の放射素子のアレイ122の一実施例とすることができる。この例示的な例では、放射素子のアレイ813内の各放射素子は、人工インピーダンス表面の、表面波の導波路として実装され得る。
【0108】
放射素子のアレイ813は、放射素子814、815、816、818、820、822、824、および826を含むことができる。これらの放射素子の各々は、誘電体基板を使用して実装され得る。また、これらの誘電体基板の各々は、対応する放射素子のための表面波チャネルを形成する誘電体基板の表面上に位置する、複数の金属ストリップ、複数のバラクタ、および表面波フィードを有することができる。
【0109】
例示的な一例として、放射素子814を、誘電体基板827により形成することができる。複数の金属ストリップ828および複数のバラクタ830は、表面波チャネル831を形成するために誘電体基板827の表面上に配置され得る。また、表面波フィード832は、誘電体基板827の表面上に配置され得る。複数の金属ストリップ828と複数のバラクタ830を、それぞれ、
図1の、複数の金属ストリップ132と複数のバラクタ134の実施例とすることができる。
【0110】
送信モードでは、表面波フィード832は、放射素子814の表面波チャネル831に表面波を送り込む。表面波チャネル831は、複数の金属ストリップ828にわたる限られた経路に沿って直線的に伝播するように表面波を制限する。具体的には、表面波チャネル831は、設定された経路に表面波を制限するために、低い表面波インデックスの領域に囲まれた高い表面波インデックスの領域を作成する。表面波インデックスは、光の速度と表面波の伝播速度との比である。
【0111】
高い表面波インデックスの領域は、複数の金属ストリップ828および複数のバラクタ830によって作成され、一方で、低い表面波インデックスの領域は、誘電体基板827の露出面によって作成される。高い表面波インデックスの領域の幅を、表面波の波長の長さに対して50%から約100%とすることができる。表面波の波長は以下の通りである。
【0113】
ここで、λ
swは表面波の波長であり、fは表面波の周波数であり、cは光の速度であり、n
swは表面波インデックスである。
【0114】
誘電体基板827上に位置する複数の金属ストリップ828の各々は、同じ幅を有することができる。また、これらの金属ストリップを、誘電体基板827に沿って均等に離間することができる。さらに、複数のバラクタ830もまた、誘電体基板827に沿って均等に離間することができる。つまり、複数の金属ストリップ828および複数のバラクタ830は、誘電体基板827上に周期的に分散され得る。また、複数のバラクタ830を、複数の金属ストリップ828のバラクタ接続のすべてが同じ極性を有するように整列させることができる。
【0115】
誘電体基板827の厚さを、その誘電率と、送信または受信される放射の周波数によって決定することができる。誘電率が高いほど、誘電体基板827は薄くもてよい。
【0116】
放射のさまざまな角度のための所望のインピーダンス変調に必要とされる範囲によって、複数のバラクタ830の静電容量値を決定することができる。アンテナ802によって生成される放射パターンのメインローブは、放射素子のアレイ813内のさまざまなバラクタに電圧を印加することによってシータ方向に電子的に操向され得る。アンテナ802が、異なる誘電体基板上の表面波フィードからの距離xで正弦曲線状に変化する表面波インピーダンスを有するように、電圧をこれらのバラクタに印加することができる。
【0117】
デジタル/アナログ変換器808からの電圧を、電圧線811を介して放射素子のアレイ813上の金属ストリップに印加することができる。この例示的な例では、放射素子のアレイ813にわたって伝播される表面波は、放射素子のアレイ813上の表面波フィードによって、位相シフタ804に接続され得る。位相シフタ804は、複数の位相シフトデバイス834を含んでいる。
【0118】
アンテナ802のメインローブは、放射素子のアレイ813上のそれぞれの表面波フィード間に位相シフトを与えることによって、ファイ方向に電子的に操向され得る。表面波フィードが均一に離間されている場合、隣接する表面波フィード間の位相シフトを、実質的に一定とすることができる。ファイ操向角とこの位相シフトとの間の関係を、次のように計算することができる。
【0120】
他の例示的な例では、高周波モジュール、位相シフタ、および複数の表面波フィードは、高周波モジュール806に対してアンテナ802の反対側に存在してもよい。この構成は、負のシータ方向の操向を容易にするために使用されてもよい。
【0121】
次に
図9を参照すると、アンテナシステムの別の図が、例示的な実施形態にしたがって示されている。この例示的な例では、アンテナシステム900を、
図1のアンテナシステム100のための一実施例とすることができる。アンテナシステム900は、アンテナ902、電圧コントローラー903、位相シフタ904、および高周波モジュール906を含んでいる。
【0122】
電圧コントローラー903は、アンテナ902に電圧を供給するように構成されている。電圧コントローラー903は、可変電圧源908を含んでいる。電圧線911はアンテナ902に電圧を印加し、一方で、電圧線913はアンテナ902のための接地を提供する。
【0123】
アンテナ902は、放射素子912、914、916、918、920、922、924、および926を含み得る放射素子のアレイ915を含むことができる。これらの放射素子の各々は、誘電体基板を使用して実装され得る。表面波チャネルは、複数の金属ストリップ、複数のバラクタ、および誘電体基板によって、各放射素子上に形成され得る。
【0124】
例えば、放射素子912を、誘電体基板927を使用して形成することができる。誘電体基板927の表面上に位置する第1の複数の金属ストリップ928、第2の複数の金属ストリップ930、および複数のバラクタ932は、表面波チャネル931を形成することができる。また、表面波フィード933は、誘電体基板927の表面上に配置され、表面波チャネル931に沿って伝搬する表面波を位相シフタ904に接続する。
【0125】
放射素子のアレイ915上に位置する第1の複数の金属ストリップ928の各々は、同じ幅を有することができる。さらに、放射素子のアレイ915上に位置する第2の複数の金属ストリップ930の各々はまた、同じ幅を有することができる。第1の複数の金属ストリップ928および第2の複数の金属ストリップ930の両方での金属ストリップの幅が、周期p934で誘電体基板927に沿って周期的に変化する。この周期を、金属ストリップのサイズ、放射周波数、シータ操向角、ならびに誘電体基板927の特性および厚さによって決定することができる。
【0126】
金属ストリップのための2つだけの幅が1周期内に示されているが、任意の数の金属ストリップが1周期内に含まれていてもよい。また、任意の数の異なる幅が、1周期内に含まれていてもよい。
【0127】
可変電圧源908からの電圧は、電圧線911を介して第1の複数の金属ストリップ928に印加され得る。第2の複数の金属ストリップ930は、電圧線913を介して接地され得る。
【0128】
この例示的な例では、放射素子のアレイ915上で伝播される表面波は、放射素子のアレイ915上の表面波フィードによって、高周波信号として位相シフタ904に送信され得る。図示のように、位相シフタ904は、複数の位相シフトデバイス936を備えている。
【0129】
伝送線938は、表面波フィードを複数の位相シフトデバイス936に接続し、複数の位相シフトデバイス936を高周波モジュール906に接続する。高周波モジュール906は、送信機、受信機、またはその両方の組み合わせとして機能するように構成され得る。
【0130】
次に
図10を参照すると、異なる電圧コントローラーを有する
図9のアンテナシステム900の図が、例示的な実施形態にしたがって示されている。この例示的な例では、
図9の電圧コントローラー903は、電圧コントローラー1000に置き換えられている。電圧コントローラー1000は、接地1002、デジタル/アナログ変換器1004、電圧線1006、および電圧線1008を含んでいる。
【0131】
電圧線1006により、第2の複数の金属ストリップ930を接地1002に接地することができる。電圧線1008は、デジタル/アナログ変換器1004から第1の複数の金属ストリップ928に電圧を供給する。コントローラー1010は、デジタル/アナログ変換器1004を制御するために使用される。この例示的な例では、異なる電圧が、放射素子のアレイ915内の各放射素子に送られる。
【0132】
また、図示のように、位相シフタ904は、アンテナシステム900のためのこの構成には含まれていない。伝送線1012は、高周波モジュール906を放射素子のアレイ915上の表面波フィードに直結する。
【0133】
この例示的な例では、アンテナ902によって作成された放射パターンは、放射素子のアレイ915内の異なるバラクタに印加される電圧を制御することにより、シータ方向に操向される。アンテナ902によって作成された放射パターンは、隣接する放射素子間の表面波インデックスのわずかな変化によって、ファイ方向に操向される。この変化は、ファイ方向に操向をもたらすこれらの放射素子に沿って伝搬する表面波間に位相シフトをもたらす。
【0134】
次に
図11Aおよび
図11Bを参照すると、アンテナシステム900のさらに別の構成の図が、例示的な実施形態にしたがって示されている。この例示的な例では、
図9の位相シフタ904は、位相シフタ1100に置き換えられている。
【0135】
位相シフタ1100は、アンテナシステム900のためのファイ操向角を制御するために使用され得る。位相シフタ1100は、導波路1102、1104、1106、1108、1110、1112、1114、および1116を含んでいる。これらの導波路の各々は、複数の金属ストリップおよび誘電体基板上に位置する複数のバラクタによって形成される表面波の導波路である。ファイ操向角に向かって放射を操向するために、これらの導波路に沿って伝搬する表面波の位相を制御するために、異なる誘電体基板上の金属ストリップの少なくとも一部に、電圧を印加することができる。
【0136】
表面波の位相は、隣接する導波路の端部における表面波の位相シフトがΔψとなるように制御され得る。それぞれの導波路の端部における表面波の位相は、表面波の伝播速度を制御することによって変化する。表面波の伝播速度は、誘電体基板上のバラクタに印加される電圧を制御することによって制御され得る。
【0137】
電圧コントローラー1118は、誘電体基板の金属ストリップの少なくとも一部と、それによって、誘電体基板上のバラクタの少なくとも一部に電圧を印加するために使用され得る。電圧コントローラー1118は、デジタル/アナログ変換器1120、電圧線1122、および接地1121を含んでいる。電圧は、電圧線1122によってデジタル/アナログ変換器1120から誘電体基板上の金属ストリップの少なくとも一部に印加され得る。金属ストリップの他の部分は、接地1121に接地され得る。コントローラー1123は、デジタル/アナログ変換器1120を制御するために使用され得る。
【0138】
導波路の端部における表面波の位相を、次式で与えることができる。
ψ(V)=2πn
sw(V)f/c (9)
ここで、n
sw(V)は、表面波インデックスであり、電圧に依存している。各導波路は、導波路上の表面波フィードで位相差を生成するために、電圧コントローラー1118からの異なる電圧で制御され得る。高周波信号は、伝送線1124を通じて表面波フィードと高周波モジュール906との間で送信され得る。
【0139】
次に
図12を参照すると、アンテナシステムの一部の図が、例示的な実施形態にしたがって示されている。この例示的な例では、アンテナシステム1200の一部分が示されている。アンテナシステム1200は、
図1のアンテナシステム100のための一実施例である。図示のように、アンテナシステム1200は、放射素子1201と高周波アセンブリ1202を含んでいる。
【0140】
放射素子1201は、
図1の放射素子123のための一実施例である。また、放射素子1201は、単一の放射素子のみを含む
図1の放射素子のアレイ122の一実施例である。放射素子1201の一部のみが、この例示的な例に示されている。この例では、アンテナシステム1200によって生成される放射パターンを、X−Z平面内で電子的に走査することができる。
【0141】
この例示的な例では、高周波アセンブリ1202は、高周波モジュール1203、位相シフトデバイス1204、伝送線1206、伝送線1208、表面波フィード1210、および表面波フィード1211を含んでいる。高周波モジュール1203は、送信機、受信機、またはその両方の組み合わせとして機能するように構成され得る。位相シフトデバイス1204は、この例では、ハイブリッドパワースプリッタの形態をとる。具体的には、ハイブリッドパワースプリッタは、伝送線1206に沿って移動する高周波信号と伝送線1208に沿って移動する高周波信号との間の位相差を変化させる際に使用するために構成されている。この例示的な例では、ハイブリッドパワースプリッタを、約0度から約90度の間で、これらの2つの伝送線間の位相差を変化させるために使用することができる。
【0142】
当然、他の例示的な例では、高周波モジュール1203および位相シフトデバイス1204は、他の方法で実装されてもよい。例えば、高周波モジュール1203は、4つのポートの位相可変パワースプリッタの形態をとる位相シフトデバイス1204を用いて、二重偏波を可能にするように構成され得る。
【0143】
放射素子1201は、誘電体基板1205を用いて実装されている。表面波チャネル1212と表面波チャネル1213は、誘電体基板1205上に形成されている。表面波フィード1210は、伝送線1206を表面波チャネル1212に接続している。表面波フィード1211は、伝送線1208を表面波チャネル1213に接続している。表面波チャネル1212と表面波チャネル1213を、
図1の表面波チャネル125と第2の表面波チャネル145のための一実施例とすることができる。
【0144】
図示のように、表面波チャネル1212は、複数の金属ストリップ1214および複数のバラクタ1215によって形成されている。この例示的な例では、複数の金属ストリップ1214は、X軸1216に対して正の約45度の角度で周期的に配置されている。X軸1216は、放射素子1201に沿った長手方向軸である。複数のバラクタ1215は、複数の金属ストリップ1214に電気的に接続されている。電圧線1218は、複数のバラクタ1215に電圧を印加するために使用される。ピン1220は、1つまたは複数の電圧源および/または1つまたは複数の接地に電圧線1218を接続するために使用され得る。
【0145】
また、図示のように、表面波チャネル1213は、複数の金属ストリップ1224および複数のバラクタ1226によって形成されている。図示のように、複数の金属ストリップ1224は、X軸1216に対して負の約45度の角度で周期的に配置されている。電圧線1228は、複数のバラクタ1226に電圧を印加するために使用される。ピン1230は、1つまたは複数の電圧源および/または1つまたは複数の接地に電圧線1228を接続するために使用される。
【0146】
放射素子1201によって形成される放射パターンを、複数のバラクタ1215に印加される電圧を変更することにより、X−Z平面内で走査することができ、その結果、所望の放射角度での表面波インピーダンス変調パターンをもたらす。表面波チャネル1212および表面波チャネル1213は、これら2つの表面波チャネルからの放射が互いに直交することができるように構成されている。これら2つの表面波チャネルの組み合わせによる最終的な放射は、円偏波される。0°〜90°のハイブリッドスプリッタの形態での位相シフトデバイス1204によって供給される場合、表面波チャネル1212および表面波チャネル1213は、右偏波または左偏波のいずれかで、受信または送信する円偏波放射に固定されている。当然、他の例示的な例では、位相シフトデバイス1204は、放射を左円偏波(LHCP)と右円偏波(RHCP)との間で切り替えることができるようないくつかの他の方法で実装されてもよい。
【0147】
複数の金属ストリップ1214と複数の金属ストリップ1224がそれぞれ、X軸1216に対して傾斜している角度により、表面波チャネル1212および表面波チャネル1213からの放射は偏波される。複数の金属ストリップ1214と複数の金属ストリップ1224は、金属ストリップの長辺に直交する長い主軸と、この辺に沿った短軸とを有するテンソルインピーダンス素子である。この主軸の座標フレーム内の各表面波チャネルのローカル・テンソル・アドミタンスを、次式で与えることができる。
【0149】
ここで、Y
swは、ローカル・テンソル・アドミタンスであり、位置xで金属ストリップに印加される電圧によって決定される。
【0150】
長い主軸に沿った表面波電流は、次の通りである。
【0152】
ここで、J
swは表面波の電流であり、E
swは表面波の電界である。
【0153】
放射は、以下の式にしたがって表面波電流により駆動される。
【0155】
したがって、金属ストリップ間のギャップを横切る方向に偏波される。E
radは、放射の電界である。
【0156】
次に
図13を参照すると、2つの高周波アセンブリを有する
図12のアンテナシステム1200の図が、例示的な実施形態にしたがって示されている。この例示的な例では、高周波アセンブリ1202は、放射素子1201の端部1300に配置され、一方で、高周波アセンブリ1301は、放射素子1201の端部1303に配置されている。
【0157】
高周波アセンブリ1301は、高周波モジュール1302、位相シフトデバイス1304、伝送線1306、伝送線1308、表面波フィード1310、および表面波フィード1312を含んでいる。表面波フィード1310は、表面波チャネル1212に流れ込む。また、表面波フィード1312は、表面波チャネル1213に流れ込む。
【0158】
高周波アセンブリ1301または高周波アセンブリ1202のいずれかが、放散されていない任意の表面波エネルギーのためのシンクとして機能することができる。これにより、表面波は、放射パターンの望ましくない歪みにつながる可能性がある放射素子1201の端部からの反射を妨げることができる。
【0159】
また、2つの高周波アセンブリを有することにより、放射パターンを、より大きな角度範囲にわたってより効果的に調整することができる。したがって、放射がX軸1216の正の部分に向かって傾斜される場合、高周波アセンブリ1202が、放射素子1201に高周波信号を送り込むために使用され得る。放射がX軸1216の負の部分に向かって傾斜される場合、高周波アセンブリ1301が、放射素子1201に高周波信号を送り込むために使用され得る。このように、放射パターンにより形成された高周波ビームが角度をつけて走査されるため、正のシータと負のシータの角度で向けられたビームは、互いの鏡像であり得る。
【0160】
次に
図14を参照すると、別のアンテナシステムの図が、例示的な実施形態にしたがって示されている。この例示的な例では、アンテナシステム1400は、
図1のアンテナシステム100のための別の一実施例である。アンテナシステム1400は、アンテナ1401、位相シフタ1402、および高周波モジュール1404を含んでいる。また、アンテナシステム1400は、電圧コントローラーを含んでもよい(この例では図示されていない)。
【0161】
アンテナ1401は、放射素子のアレイ1406および複数の表面波フィード1407を含んでいる。放射素子のアレイ1406は、放射素子1408、1410、1412、1414、1416、1418、1420、および1422を含んでいる。これらの放射素子の各々を、
図12の放射素子1201と同様に実装することができる。
【0162】
複数の表面波フィード1407は、放射素子のアレイ1406を位相シフタ1402に接続する。位相シフタ1402は、複数の位相シフトデバイス1424を含んでいる。伝送線1426は、表面波フィード1407を複数の位相シフトデバイス1424に接続し、複数の位相シフトデバイス1424を高周波モジュール1404に接続する。高周波モジュール1404は、送信機、受信機、またはその両方の組み合わせとして機能するように構成され得る。
【0163】
複数の位相シフトデバイス1424は、この例では可変位相シフタである。この例示的な例では、複数の表面波フィード1407の各々における最終的な位相シフトが、定数Δφによって隣接する表面波フィードの位相と異なるように、複数の位相シフトデバイス1424を調整することができる。この定数が変化するため、形成される放射パターンは、Y−Z平面内で走査され得る。
【0164】
図2から
図14の図は、例示的な実施形態を実施することができる方法に対して、物理的または構造的限定を意味するものではない。図示のものに加えて、またはその代わりに、他の構成要素が使用されてもよい。いくつかの構成要素は、任意であってもよい。
【0165】
図2から
図14に示される異なる構成要素を、
図1にブロック形式で示される構成要素が物理的構造として実装され得る方法の例示的な例とすることができる。また、
図2から
図14の構成要素の一部は、
図1の構成要素と組み合わされてもよく、
図1の構成要素と一緒に使用されてもよく、あるいはこの2つの組み合わせであってもよい。
【0166】
場合によっては、
図1における人工インピーダンス表面アンテナ110のようなアンテナの利得を改善することが望ましいかもしれない。人工インピーダンス表面アンテナが利得の低下を低減するために電子的に操向される精度を改善することにより、人工インピーダンス表面アンテナの利得を改善することができる。例示的な実施形態は、表面波チャネルの実質的に半径方向に対称的な配置を、人工インピーダンス表面アンテナのより正確な電子的操向を可能にし得ることを認識し考慮している。また、このタイプの配置を用いて、表面波チャネルを形成するために使用されるインピーダンス素子を、半波長より大きく離間することができる。さらに、このタイプの配置を、任意の偏波の放射を生成するために使用することができる。
【0167】
次に
図15を参照すると、
図1のアンテナシステム100における人工インピーダンス表面アンテナ110の異なる構成の図が、例示的な実施形態したがってブロック図の形態で示されている。
図1のアンテナシステム100は、放射状構成1500を有する人工インピーダンス表面アンテナ110で示されている。
【0168】
人工インピーダンス表面アンテナ110が放射状構成1500を有する場合、人工インピーダンス表面アンテナ110は、誘電体基板1501、複数の放射スポーク1502、および複数の表面波フィード1504を含む。誘電体基板1501は、
図1の誘電体基板124と同様の方法で実装され得る。ただし、放射状構成1500では、誘電体基板1501を、使用される唯一の誘電体基板とすることができる。誘電体基板1501を、誘電体材料の任意の数の層から構成することができる。
【0169】
例示的な一例では、誘電体基板1501は、調整可能な電気的特性を有する材料から構成され得る。例えば、誘電体基板1501は液晶材料から構成されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0170】
この例示的な例では、誘電体基板1501は、中心点1508を有する円形1506を有する。つまり、誘電体基板1501を、中心点1508に対して実質的に対称とすることができる。他の例示的な例では、誘電体基板1501は、いくつかの他の形状を有してもよい。例えば、誘電体基板1501は、楕円形、四角形、六角形、八角形、またはいくつかの他のタイプの形状を有することができるが、これらに限定されるものではない。ただし、誘電体基板1501が中心点1508に対して実質的に対称でない場合には、生成される放射パターン112は、異なる操向角度で同じ利得を有していない可能性がある。
【0171】
複数の放射スポーク1502を、誘電体基板1501を使用して実装することができる。具体的には、複数の放射スポーク1502を、誘電体基板1501上に形成することができる。
【0172】
複数の放射スポーク1502は、誘電体基板1501の中心点1508に対して放射状に配置され得る。これらの例示的な例では、中心点1508に対して放射状に配置されることは、複数の放射スポーク1502の各々が、誘電体基板1501の外周に向かって中心点1508から延伸し得ることを意味している。複数の放射スポーク1502の各々は、誘電体基板1501の中心点1508を介して中心軸に略垂直に配置され得る。さらに、複数の放射スポーク1502の各々は、各放射スポークが中心点1508に対して実質的に対称であるように配置され得る。
【0173】
複数の放射スポーク1502の各々を、
図1の放射素子123と同様に実装することができる。放射スポーク1510を、複数の放射スポーク1502の各放射スポークの一実施例とすることができる。放射スポーク1510は、表面波チャネル1512を形成するように構成されている。このように、複数の放射スポーク1502は、複数の表面波チャネルを形成することができる。表面波チャネル1512は、表面波の経路を制限するように構成されている。
【0174】
図示のように、放射スポーク1510は、複数のインピーダンス素子1514と複数のチューナブル素子1516を含むことができる。複数のインピーダンス素子1514と複数のチューナブル素子1516は、それぞれ、
図1の複数のインピーダンス素子126と複数のチューナブル素子128と同様の方法で実装され得る。
【0175】
この例示的な例では、複数のインピーダンス素子1514と複数のチューナブル素子1516を、誘電体基板1501の表面1513上に配置することができる。具体的には、複数のインピーダンス素子1514と複数のチューナブル素子1516を、誘電体基板1501の対応部分1515の表面1513上に配置することができる。
【0176】
複数のインピーダンス素子1514、複数のチューナブル素子1516、および誘電体基板1501の対応部分1515が、人工インピーダンス表面を形成することができ、そこから放射が生成され得る。この例示的な例では、誘電体基板1501の対応部分1515を、放射スポーク1510の一部と考えることができる。ただし、他の例示的な例では、誘電体基板1501を、複数の放射スポーク1502とは別のものと考えることができる。
【0177】
複数のインピーダンス素子1514のうちの1つのインピーダンス素子を、複数の異なる方法で実装することができる。例示的な一例では、インピーダンス素子は、共振素子として実装されてもよい。例示的な一例では、インピーダンス素子は、導電性材料からなる素子として実装されてもよい。導電性材料は、例えば、金属材料であってもよいが、これに限定されるものではない。実装に応じて、インピーダンス素子は、金属ストリップ、導電性塗料のパッチ、金属メッシュ材料、金属膜、金属基板の堆積物、またはいくつかの他のタイプの導電性素子として実装されてもよい。場合によっては、インピーダンス素子は、例えば、スプリットリング共振器(SRR)、電気的に接続された共振器(ECR)、1つまたは複数のメタマテリアルからなる構造、またはいくつかの他のタイプの構造や素子のような、共振構造として実装されてもよい。
【0178】
複数のチューナブル素子1516の各々は、放射スポーク1510によって生成される放射パターン112の角度を変更するために、制御、すなわち調整することができる素子であり得る。この例示的な例では、複数のチューナブル素子1516の各々を、チューナブル素子に印加される電圧に基づいて変化させることができる静電容量を有する素子とすることができる。
【0179】
例示的な一例では、複数のインピーダンス素子1514は複数の金属ストリップ1518の形態を取り、複数のチューナブル素子1516は複数のバラクタ1520の形態をとる。複数のバラクタ1520の各々は、半導体素子のダイオードに印加される電圧に依存する静電容量を有する半導体素子のダイオードであってもよい。
【0180】
複数の金属ストリップ1518は、誘電体基板1501の中心点1508を介して中心軸に略垂直な平面に対し略平行な誘電体基板1501の対応部分1515上で一列に配置され得る。例えば、複数の金属ストリップ1518は、誘電体基板1501の中心軸に略垂直でありかつこの中心軸を通過する軸に沿って、誘電体基板1501の対応部分1515上で周期的に分散され得る。
【0181】
いくつかの例示的な例では、複数の金属ストリップ1518は、誘電体基板1501上にプリントされ得る。例えば、複数の金属ストリップ1518は、3次元プリント技術、付加的な堆積技術、インクジェット堆積技術、または他のタイプのプリント技術のうちの任意の数を使用して、誘電体基板1501上にプリントされ得る。
【0182】
複数のバラクタ1520は、誘電体基板1501の対応部分1515の表面1513上の複数の金属ストリップ1518に電気的に接続され得る。例示的な一例として、複数のバラクタ1520のうちの少なくとも1つのバラクタを、複数の金属ストリップ1518のうちの隣接する一対の金属ストリップの各金属ストリップの間に配置することができる。また、複数のバラクタ1520を、各金属ストリップ上のバラクタ接続のすべてが同じ極性を有するように整列させることができる。
【0183】
複数のインピーダンス素子1514に電圧を印加することによって、複数のチューナブル素子1516に電圧を印加することができる。具体的には、複数のインピーダンス素子1514に印加される電圧を変化させることによって、複数のチューナブル素子1516の静電容量を変化させる。複数のチューナブル素子1516の静電容量を変化させると、複数のインピーダンス素子1514間の静電容量結合とインピーダンスを変化させる、すなわち変調することができる。
【0184】
誘電体基板1501の対応部分1515、複数のインピーダンス素子1514、および複数のチューナブル素子1516は、放射スポーク1510によって形成される表面波チャネル1512のための選択された設計構成1522に対して構成され得る。実装に応じて、複数の放射スポーク1502の各放射スポークは、同一または異なる選択された設計構成を有してもよい。
【0185】
図示のように、放射スポーク1510のための選択された設計構成1522は、インピーダンス素子の幅1524、インピーダンス素子の間隔1526、チューナブル素子の間隔1528、および基板の厚さ1530などの複数の設計パラメータ含み得るが、これらに限定されるものではない。インピーダンス素子の幅1524を、複数のインピーダンス素子1514におけるインピーダンス素子の幅とすることができる。インピーダンス素子の幅1524を、実装に応じて、複数のインピーダンス素子1514のそれぞれについて、同じまたは異なるように選択することができる。
【0186】
インピーダンス素子の間隔1526を、誘電体基板1501の対応部分1515の表面1513に沿った複数のインピーダンス素子1514の間隔とすることができる。チューナブル素子の間隔1528を、誘電体基板1501の対応部分1515の表面1513に沿った複数のチューナブル素子1516の間隔とすることができる。また、基板の厚さ1530を、誘電体基板1501の対応部分1515の厚さとすることができる。この例示的な例では、誘電体基板1501の全体が、実質的に同じ厚さを有することができる。ただし、他の例示的な例では、複数の放射スポーク1502の異なる放射スポークに対応する誘電体基板1501の異なる部分が、異なる厚さを有していてもよい。
【0187】
選択された設計構成1522の異なるパラメータの値は、例えば、人工インピーダンス表面アンテナ110が動作するように構成された放射周波数に基づいて選択され得るが、これに限定されるものではない。その他の考慮事項には、例えば、人工インピーダンス表面アンテナ110のための所望のインピーダンス変調が含まれる。
【0188】
複数の放射スポーク1502の各々に沿って伝播された表面波は、誘電体基板1501上に配置された複数の表面波フィード1504によって、複数の伝送線156に接続され得る。複数の表面波フィード1504の各々は、複数の放射スポーク1502のうちの少なくとも1つの対応する放射スポークを、例えば複数の伝送線156のうちの1つである、高周波信号を運ぶ伝送線に接続する。
【0189】
複数の表面波フィード1504のうちの1つの表面波フィードは、表面波を高周波信号に、高周波信号を表面波に、またはその両方で変換することができる任意のデバイスであってもよい。例示的な一例では、複数の表面波フィード1504のうちの1つの表面波フィードは、誘電体基板1501の中心点1508に実質的に配置され得る。
【0190】
例示的な一例では、複数の表面波フィード1504は、誘電体基板1501の中心点1508に位置する単一の表面波フィードの形態をとる。中心フィードと呼ぶことができるこの単一の表面波フィードは、複数の放射スポーク1502の各々を複数の伝送線156に接続することができる。この例では、複数の伝送線156は、同軸ケーブルの形態をとることができる。
【0191】
別の例示的な例では、複数の表面波フィード1504は、中心点1508に、またはその近くに配置され、複数の放射スポーク1502を複数の伝送線156に接続するように構成された、複数の表面波フィードの形態をとることができる。この例では、複数の伝送線156は、単一の伝送線または複数の伝送線の形態をとることができる。
【0192】
人工インピーダンス表面にアンテナ110が受信モードにある場合、人工インピーダンス表面アンテナ110で受信された電磁放射は、複数の放射スポーク1502に沿った表面波として伝搬され得る。これらの表面波は、複数の表面波フィード1504によって受信され、複数の高周波信号1532に変換される。複数の高周波信号1532は、1つまたは複数の伝送線156を通じて高周波モジュール108に送信され得る。次いで、高周波モジュール108は、それに応じて、複数の高周波信号1532を処理することができる。
【0193】
人工インピーダンス表面にアンテナ110が送信モードである場合、複数の高周波信号1532は、複数の伝送線156を通じて高周波モジュール108から人工インピーダンス表面アンテナ110に送信され得る。具体的には、複数の高周波信号1532は、複数の表面波フィード1504で受信され、複数の放射スポーク1502に沿って伝播される表面波に変換され得る。
【0194】
人工インピーダンス表面アンテナ110の放射パターン112を、シータ方向およびファイ方向の両方に電子的に操向することができる。放射パターン112を、複数の放射サブパターン1533で形成することができる。複数の放射サブパターン1533を、複数の放射スポーク1502の対応部分によって生成することができる。この対応部分を、1つまたは複数の放射スポーク1502とすることができる。場合によっては、複数の放射サブパターン1533は、複数の放射スポーク1502のすべてによって生成され得る。
【0195】
例えば、複数の放射サブパターン1533を、複数の放射スポーク1502のうちの複数の放射スポークによって生成することができる。複数の放射サブパターン1533の各々は、特定の放射スポークによって生成される放射パターンである。複数の放射サブパターン1533は、放射パターン112を形成する。例えば、複数の放射サブパターン1533が多様な放射スポークに対応する多様な放射サブパターンを含む場合、これらの多様な放射サブパターンの組み合わせと重なりが、放射パターン112を形成する。
【0196】
この例示的な例では、複数の放射サブパターン1533の各々が電子的に操向され得るように、複数の放射スポーク1502の各々を独立して制御することができる。例えば、放射スポーク1510は、放射サブパターン1534を有してもよいが、これに限定されるものではない。放射サブパターン1534を、複数の放射スポーク1502の他の放射スポークによって形成された他の放射サブパターンから独立して制御することができる。
【0197】
例示的な一例として、電圧コントローラー104は、放射サブパターン1534のメインローブのシータおよびファイ操向角の両方を制御するために、複数のチューナブル素子1516に印加される電圧を制御するために使用され得る。同様に、電圧コントローラー104は、複数の放射スポーク1502の各々によって形成される放射サブパターンのメインローブのシータおよびファイ操向角の両方を制御するために、複数の放射スポーク1502の各々で複数のチューナブル素子に印加される電圧を制御するように構成され得る。
【0198】
したがって、複数の放射サブパターン1533の各々を、特定のシータ方向および広いファイ方向に向けることができる。例えば、特定の放射サブパターンを、約45度のシータ操向角に向けることができ、広い範囲のファイ角にわたって広げることができる。このようにして、各放射サブパターンは、例えば、ファンビームを形成することができる。
【0199】
複数の放射サブパターン1533は、特定のファイ方向および特定のシータ方向に向けられたメインローブ116を有する放射パターン112を形成するように重なっている。放射パターン112は、放射のビームを生成するように形成され得る。ビームは、例えば、特定のファイ操向角118と特定のシータ操向角120に向けられるペンシルビームの形態をとることができる。このように、人工インピーダンス表面アンテナ110を、2次元で電子的に操向することができる。
【0200】
実装に応じて、人工インピーダンス表面アンテナ110は、直線偏波放射または円偏波放射を放出するように構成され得る。つまり、人工インピーダンス表面アンテナ110を、直線偏波または円偏波される放射パターン112を生成するために使用することができる。また、複数のチューナブル素子1516に印加される電圧を調整することにより、人工インピーダンス表面アンテナ110の物理的構成を変更することなく、直線偏波と円偏波との間で放射パターン112を切り替えることができる。
【0201】
複数の放射スポーク1502により形成される表面波チャネルによって生成されるインピーダンスサブパターンが、直線偏波される放射パターン112全体を生成するように変調され得る。例えば、複数の放射スポーク1502のそれぞれの対応部分のチューナブル素子に印加される電圧を設定することができるため、各放射スポークによって形成される表面波チャネルに沿って生成されるインピーダンスサブパターンは次式で与えられる。
【0203】
他の例では、複数の放射スポーク1502により形成される表面波チャネルのインピーダンスサブパターンは、円偏波される放射パターン112全体を生成するように変調され得る。複数の放射スポーク1502のそれぞれの対応部分のチューナブル素子に印加される電圧を設定することができるため、各放射スポークによって形成される表面波チャネルに沿って生成されるインピーダンスサブパターンが次式で与えられる。
【0205】
ここで、±の「+」は、左円偏波を生成するインピーダンスパターンを表し、±の「−」は、右円偏波を生成するインピーダンスパターンを表している。
【0206】
次のように式(15)を近似することができる:
Z=X+Msin(γ±φ) (19)
【0207】
他の例示的な例では、インピーダンスサブパターンは、周期関数を含む他のタイプの式によって与えられてもよい。例えば、式(19)の正弦関数sin(γ±φ)、式(15)の正弦関数sin(γ±γ
0)、および式(13)の余弦関数
【0209】
を、それぞれいくつかの他のタイプの周期関数に置き換えることができる。
【0210】
このように、人工インピーダンス表面アンテナ110は、人工インピーダンス表面アンテナ110の物理的構成の変更を必要とすることなく、任意の偏波の放射を生成するために使用され得る。人工インピーダンス表面アンテナ110は、複数の放射スポーク1502のチューナブル素子に印加される電圧を変更することにより直線偏波または円偏波された射線を生成するために使用され得る。
【0211】
実装に応じて、人工インピーダンス表面アンテナ110は、誘電体基板1501の中心点1508に向かって、またはそこから離れるように、表面波を伝搬させることができる。いくつかの例示的な例では、表面波が中心点1508から離れるように伝搬されるときに、人工インピーダンス表面アンテナ110は、吸収材料1536を含んでもよい。吸収材料1536を、誘電体基板1501の縁部にまたはその周りに配置することができる。吸収材料1536は、複数の放射スポーク1502を介して中心点1508から外方に離れるように放射状に伝播する表面波からの過剰なエネルギーを吸収するように構成されている。
【0212】
いくつかの例示的な例では、誘電体基板1501は、接地素子1538を使用して接地されていてもよい。具体的には、接地素子1538を、誘電体基板1501のインピーダンス表面に配置することができる。
【0213】
図1のアンテナシステム100の図は、例示的な実施形態を実施することができる方法に対して、物理的または構造的限定を意味するものではない。図示のものに加えて、またはその代わりに、他の構成要素が使用されてもよい。いくつかの構成要素は、任意であってもよい。また、ブロックは、いくつかの機能的な構成要素を例示するために提示されている。これらのブロックの1つまたは複数は、例示的な実施形態において実装されるとき、組み合わされてもよく、分割されてもよく、または組み合わさってから異なるブロックに分割されてもよい。
【0214】
いくつかの例示的な例では、複数のチューナブル素子1516のうちの1つのチューナブル素子は、誘電体基板1501に埋め込まれた可変材料のポケットとして実装されてもよい。他の例示的な例では、複数のチューナブル素子1516のうちの1つのチューナブル素子は、複数のインピーダンス素子1514の対応するインピーダンス素子の一部であってもよい。例えば、チューナブル素子を有する共振構造を使用することができる。共振構造は、例えば、スプリットリング共振器、電気的に接続された共振器、またはいくつかの他のタイプの共振構造であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0215】
他の例示的な例では、中心点1508は、周りに複数の放射スポーク1502が配置されている中心点であってもよいが、誘電体基板1501の幾何学的中心ではないかもしれない。例えば、中心点1508は、誘電体基板1501の幾何学的中心からずれていてもよい。
【0216】
さらに別の例示的な例では、複数の放射スポーク1502の各々は、表面波チャネルを形成するように構成された独立して制御可能な2つの部分を有していてもよい。例えば、放射スポーク1510は、中心点1508から離れる一方向に延伸する第1部分と、中心点1508から離れる実質的に反対の方向に延伸する第2部分とを有していてもよい。これらの2つの部分は、実装に応じて、同じまたは異なる設計構成を有していてもよい。さらに、場合によっては、これらの2つの部分を、放射スポークまたは放射サブスポークと個々に呼ぶことができる。
【0217】
次に
図16を参照すると、人工インピーダンス表面アンテナの図が、例示的な実施形態にしたがって示されている。この例示的な例では、人工インピーダンス表面アンテナ1600を、
図15の放射状構成1500を有する人工インピーダンス表面アンテナ110のための一実施例とすることができる。人工インピーダンス表面アンテナ1600は、
図15の放射状構成1500のための一実施例とすることができる放射状構成1601を有している。
【0218】
図示のように、人工インピーダンス表面アンテナ1600は、誘電体基板1602、中心表面波フィード1604、および複数の放射スポーク1606を含んでいる。誘電体基板1602、中心表面波フィード1604、および複数の放射スポーク1606を、それぞれ、
図15の、誘電体基板1501、複数の表面波フィード1504、および複数の放射スポーク1502の実施例とすることができる。
【0219】
この例示的な例では、誘電体基板1602は、中心点1605を有する円形を有する。人工インピーダンス表面アンテナ1600が実質的に放射状に対称であるように、複数の放射スポーク1606は中心点1605に対して放射状に配置されている。放射スポーク1608、放射スポーク1610、放射スポーク1612、および放射スポーク1614を、複数の放射スポーク1606のいくつかの例とすることができる。
【0220】
複数の放射スポーク1606は、誘電体基板1602上にプリントされたインピーダンス素子1616により形成される。インピーダンス素子1616は、この例示的な例では、金属ストリップの形態をとる。また、複数の放射スポーク1606は、インピーダンス素子1616間に位置するチューナブル素子(この図には示されていない)を含んでもよい。
【0221】
中心表面波フィード1604は、複数の放射スポーク1606を伝送線(この図には示されていない)に接続することができる。伝送線は、中心表面波フィード1604に、中心表面波フィード1604から、またはその両方で、高周波を運ぶように構成され得る。
【0222】
人工インピーダンス表面アンテナ1600を、所望の精度で、シータ方向およびファイ方向に電子的に操向することができる。ファンビームを生成するために、複数の放射スポーク1606の各々を、特定のシータ方向および広いファイ方向に個別に電子的に操向することができる。例えば、放射スポーク1608、放射スポーク1612、および放射スポーク1614は、それぞれ、ファンビーム1618、ファンビーム1620、およびファンビーム1622を生成するために、電子的に操向され得る。ファンビーム1618、ファンビーム1620、およびファンビーム1622に対応する放射パターンは、ペンシルビーム1624が生成されるように重なることができる。ペンシルビーム1624を、特定のシータ操向角および特定のファイ操向角に向けることができる。
【0223】
図示のように、吸収材料1626は、誘電体基板1602の外側縁部およびその周りに配置されている。吸収材料1626を、
図15の吸収材料1536のための一実施例とすることができる。吸収材料1626は、中心点1605から離れて伝搬する表面波に起因する過剰なエネルギーを吸収するように構成されている。
【0224】
図17を参照すると、
図16の人工インピーダンス表面アンテナ1600の断面側面図が、例示的な実施形態にしたがって示されている。この例示的な例では、
図16の人工インピーダンス表面アンテナ1600の断面側面図は、
図16で切断線17−17に対して切断され示されている。
【0225】
この例示的な例では、接地素子1700を、誘電体基板1602の表面に沿って見ることができる。接地素子1700を、
図15の接地素子1538のための一実施例とすることができる。
【0226】
また、伝送線1702が、この図に示されている。伝送線1702は、中心表面波フィード1604に、中心表面波フィード1604から、またはその両方で、高周波を運ぶことができる。例示的な一例では、伝送線1702は、同軸ケーブルの形態をとる。
【0227】
図示のように、表面波は、誘電体基板1602に略平行かつ誘電体基板1602の中心点1605を通る中心軸1706に対して略垂直な、矢印1704の方向に伝播することが可能である。複数の放射スポーク1606(この図には示されていない)が中心軸1706に対して実質的に対象であるように、複数の放射スポーク1606を配置することができる。
【0228】
図18を参照すると、
図16および
図17の人工インピーダンス表面アンテナ1600のためのインピーダンスパターンの図が、例示的な実施形態にしたがって示されている。この例示的な例では、人工インピーダンス表面アンテナ1600が直線偏波され、約45度のシータ操向角と、約0度のファイ操向角に向けられたメインローブを有する放射パターンを生成するように構成される場合に、インピーダンスパターン1800を生成することができる。
【0229】
インピーダンスパターン1800は、第1の軸1802と第2の軸1804に対して示されている。第1の軸1802と第2の軸1804は、
図16の誘電体基板1602に略平行な面を形成する2つの軸を表すことができる。インピーダンスパターン1800は、
図16の複数の放射スポーク1606によって形成されるインピーダンスサブパターン1806から構成されている。スケール1808が、インピーダンスサブパターン1806とインピーダンス値との相関関係を提供している。インピーダンス値は、jが
【0232】
次に
図19を参照すると、人工インピーダンス表面アンテナの一部の図が、例示的な実施形態にしたがって示されている。この例示的な例では、人工インピーダンス表面アンテナ1900を、
図15の放射状構成1500を有する人工インピーダンス表面アンテナ110のための別の実施例とすることができる。人工インピーダンス表面アンテナ1900は、
図15の放射状構成1500のための一実施例とすることができる放射状構成1901を有している。
【0233】
この例示的な例では、人工インピーダンス表面アンテナ1900は、誘電体基板1902、放射スポーク1904、および中心表面波フィード1906を含んでいる。人工インピーダンス表面アンテナ1900を形成する複数の放射スポーク全体の一部のみが、この図に示されている。
【0234】
放射スポーク1907は、放射スポーク1904のうちの1つの例である。放射スポーク1907の一部のみが示されている。放射スポーク1907は、誘電体基板1902の対応部分1908に配置されている。放射スポーク1907は、複数の金属ストリップ1909と複数のバラクタ1910を含んでいる。複数の金属ストリップ1909と複数のバラクタ1910を、それぞれ、
図15の、複数の金属ストリップ1518と複数のバラクタ1520の一実施例とすることができる。
【0235】
図示のように、電圧は、端子1914で終端する導電線1912を介して、複数の金属ストリップ1909と、それにより複数のバラクタ1910に印加され得る。端子1914を電気ビア(この図には示されていない)に接続することができ、この電気ビアは、誘電体基板1902の厚さを通過し、および電圧コントローラーのようなハードウェアを制御するために接続するコネクタへの接地素子(この図では示されていない)を通過する。
【0236】
図20を参照すると、
図19の人工インピーダンス表面アンテナ1900の断面側面図が、例示的な実施形態にしたがって示されている。この例示的な例では、
図19の人工インピーダンス表面アンテナ1900の断面側面図は、
図19の切断線20−20に対して切断され示されている。
【0237】
この例示的な例では、
図19の端子1914を電圧コントローラー2002に接続する電気ビア2000が示されている。電圧コントローラー2002は、
図19の複数の放射スポーク1904の金属ストリップに印加される電圧を変化させることができる。
【0238】
例示的な実施形態は、
図1の人工インピーダンス表面アンテナ110のための異なるタイプの構成が人工インピーダンス表面アンテナ110の効率を向上させ、それによって、全体的なパフォーマンスを向上させる可能性があることを認め、考慮している。例えば、例示的な実施形態は、場合によっては、
図1の人工インピーダンス表面アンテナ110の各放射素子上に形成された各表面波チャネルにわたる表面インピーダンスの方形波型のプロファイルを提供することが望ましい場合があることを認め、考慮している。
【0239】
例示的な実施形態は、静電容量値の範囲にわたって任意のさまざまな静電容量状態を有するように調整することができるバラクタと比較して2つだけの可能な状態を有するスイッチ素子を使用することにより、表面波チャネルのための表面インピーダンスの方形波型のプロファイルを達成することができる可能性があることを認めている。これらのスイッチ素子は、例えば、PINダイオードの形態をとることができるが、これに限定されるものではない。
【0240】
図21を参照すると、
図1の人工インピーダンス表面アンテナ110の図が、例示的な実施形態にしたがってブロック図の形態で示されている。この例示的な例では、
図21の人工インピーダンス表面アンテナ110の、少なくとも1つの放射素子上の少なくとも1つの表面波チャネルを、
図1で説明した方法と異なるように実装することができる。
【0241】
図示のように、
図1の表面波チャネル125は、
図1の複数のチューナブル素子128を含まなくてもよい。それどころか、この例示的な例では、表面波チャネル125は、
図1の複数のチューナブル素子128の代わりに複数のスイッチ素子2100を含んでいる。複数のスイッチ素子2100の各々は、単に2つの状態2102を有することができる。2つの状態2102は、第1の状態2104と第2の状態2106を含むことができる。場合によっては、第1の状態2104をオン状態と呼ぶことができ、第2の状態2106をオフ状態と呼ぶことができる。
【0242】
例示的な一例では、複数のスイッチ素子2100は、複数のPINダイオード2108の形態をとる。他の例示的な例では、複数のスイッチ素子2100のうちの1つのスイッチ素子は、半導体スイッチ、微小電気機械システム(MEMS)スイッチ、高周波ダイオード、ショットキーダイオード、および相変化材料スイッチから選択されてもよい。
【0243】
スイッチ素子2101を、複数のスイッチ素子2100のうちの1つの例とすることができる。スイッチ素子2101は、複数のインピーダンス素子126の第1のインピーダンス素子2113と、複数のインピーダンス素子126の第2のインピーダンス素子2115との間のギャップ内に配置され得る。また、スイッチ素子2101は、第1のインピーダンス素子2113を第2のインピーダンス素子2115に電気的に接続することができる。スイッチ素子2101の静電容量と、第1のインピーダンス素子2113と第2のインピーダンス素子2115との間のギャップの静電容量とが、第1のインピーダンス素子2113と第2のインピーダンス素子2115との間の全静電容量に寄与する。場合によっては、第1のインピーダンス素子2113と第2のインピーダンス素子2115との間のギャップの静電容量を無視できる。
【0244】
スイッチ素子2101がPINダイオードの形態をとる場合には、第1の状態2104はインダクタンス状態2105の形態をとることができ、第2の状態2106は静電容量状態2107の形態をとることができる。第1レベルの電圧をスイッチ素子2101に印加することにより、スイッチ素子2101をインダクタンス状態2105に置くことができる。第2レベルの電圧をスイッチ素子2101に印加することにより、スイッチ素子2101を静電容量状態2107に置くことができる。
【0245】
スイッチ素子2101がインダクタンス状態2105または静電容量状態2107のどちらにあるかを、スイッチ素子2101のリアクタンスによって決定することができる。例えば、スイッチ素子2101に関連付けられた表面インピーダンスを次のように定義することができ:
Z=R+jX (20)
ここで、Rは抵抗かつ表面インピーダンスの実数部分であり、Xはリアクタンスかつ表面インピーダンスの虚数部分である。抵抗を表面抵抗とも呼ぶことができ、リアクタンスを表面リアクタンスとも呼ぶことができる。リアクタンスが正の場合、リアクタンスは誘導性として説明され、スイッチ素子2101をインダクタンス状態2105と考えることができる。リアクタンスが負の場合、リアクタンスは静電容量性として説明され、スイッチ素子2101を静電容量状態2107と考えることができる。リアクタンスが実質的にゼロである場合、表面インピーダンスを、実質的に完全に抵抗性と考えることができる。
【0246】
インダクタンス状態2105において、スイッチ素子2101は、実質的にゼロの静電容量を有することができるが、寄生インダクタンスを有していてもよい。つまり、スイッチ素子2101がインダクタンス状態2105にあるとき、スイッチ素子2101の静電容量をゼロとするか、または無視できる。このように、インダクタンス状態2105において、スイッチ素子2101を、直列の抵抗−インダクタ回路としてモデル化することができる。静電容量状態2107において、スイッチ素子2101は、いくつかの選択されたゼロでない静電容量値を有することができる。このように、静電容量状態2107において、スイッチ素子2101を、並列の抵抗−コンデンサ回路としてモデル化することができる。
【0247】
複数のスイッチ素子2100の各々が、時間内の任意の所与の時点で2つの状態2102のうちのいずれか一方のみを有することができるため、複数のスイッチ素子2100に印加される電圧を、表面波チャネル125のための表面インピーダンスプロファイル2114を作成するために使用することができる。具体的には、電圧の2つのレベルのうちの一方を、表面インピーダンスプロファイル2114を作成するために複数のスイッチ素子2100の各々に印加することができる。選択された高い表面インピーダンス、選択された低い表面インピーダンス、またはこの2つの何らかの組み合わせだけが形成されるように、表面インピーダンスプロファイル2114を作成することができる。
【0248】
例えば、表面インピーダンスプロファイル2114が高い表面インピーダンスと低い表面インピーダンスの方形波変調2110の形態をとるように、複数のスイッチ素子2100に印加される電圧を制御することができる。方形波変調2110を、方形波型の変調とすることができる。つまり、例示的な一例では、複数のスイッチ素子2100のそれぞれの状態が、正弦波と比較して方形波の形態での高い表面インピーダンスおよび低い表面インピーダンスを変調するように制御され得る。これら2つの表面インピーダンスレベルは、シータ方向、ファイ方向、または両方で、人工インピーダンス表面アンテナ110を電子的に操向するために、人工インピーダンス表面アンテナ110の各放射素子の各表面波チャネル上で変調され得る。
【0249】
例示的な一例では、複数のインピーダンス素子126の各々は、長方形の金属ストリップの形態をとることができる。いくつかの例示的な例では、複数のインピーダンス素子126の各々は、繰り返しパターン2112を有する形状を有してもよい。繰り返しパターン2112を、形状の1つのパターンとすることができる。例えば、複数のインピーダンス素子126のうちの1つの特定のインピーダンス素子は、六角形型の形状、ダイヤモンド型の形状、またはいくつかの他のタイプの形状のうちの1つから選択される同一形状の繰り返しパターンを有することができる。
【0250】
表面波チャネル125のための複数のスイッチ素子2100を使用することにより、人工インピーダンス表面アンテナ110の利得を向上させることができる。また、複数のスイッチ素子2100を使用することにより、人工インピーダンス表面アンテナ110は、所望のレベルの開口率を有してKaバンドの周波数で動作することが可能になり得る。このように、複数のスイッチ素子2100を使用することにより、電力損失を低減することができる。Kaバンドは、約26.5ギガヘルツから約40ギガヘルツの間の周波数を含むことができる。例示的な一例として、複数のPINダイオード2108を使用することにより、人工インピーダンス表面アンテナ110は、約25%より高い開口率を有して約30ギガヘルツの周波数で動作することが可能になり得る。
【0251】
図21の人工インピーダンス表面アンテナ110の図は、例示的な実施形態を実施することができる方法に対して、物理的または構造的限定を意味するものではない。図示のものに加えて、またはその代わりに、他の構成要素が使用されてもよい。いくつかの構成要素は、任意であってもよい。また、ブロックは、いくつかの機能的な構成要素を例示するために提示されている。これらのブロックの1つまたは複数は、例示的な実施形態において実装されるとき、組み合わされてもよく、分割されてもよく、または組み合わさってから異なるブロックに分割されてもよい。
【0252】
次に
図22を参照すると、放射素子の図が、例示的な実施形態にしたがって示されている。この例示的な例では、放射素子2200を、
図21の放射素子123のための一実施例とすることができる。
【0253】
図示のように、放射素子2200は、誘電体基板2202を含んでいる。表面波チャネル2204は、誘電体基板2202上に形成されている。表面波チャネル2204を、
図21の表面波チャネル125のための一実施例とすることができる。
【0254】
この例示的な例では、表面波チャネル2204は、複数のインピーダンス素子2206と複数のスイッチ素子2208を含んでいる。複数のスイッチ素子2208を、
図21の複数のスイッチ素子2100のための一実施例とすることができる。
【0255】
複数のスイッチ素子2208の各々は、この例示的な例において、時間内の任意の所与の時点で2つの状態のいずれか一方のみを有することができる。例えば、複数のスイッチ素子2208のうちの1つがオン状態にあるとき、スイッチ素子は、直列に抵抗とインダクタからなる回路と同様に機能することができる。オン状態は、高い表面インピーダンスに対応する。提供されるインダクタンスは、表面波チャネル2204が周波数のKaバンド内に属する人工表面インピーダンスアンテナの動作を可能にするために重要であり得る。スイッチ素子がオフ状態にあるとき、スイッチ素子は、並列に抵抗とコンデンサからなる回路と同様に機能することができる。オフ状態は、低い表面インピーダンスに対応する。
【0256】
複数のスイッチ素子2208のそれぞれの状態は、表面波チャネル2204のための表面インピーダンスプロファイルを作成するために、高い表面インピーダンスと低表面インピーダンスとの間で変調するように制御され得る。この例示的な例では、この表面インピーダンスプロファイルは、方形波型の変調に類似し得る。表面波チャネル2204の部分2210は、以下の
図23に拡大して示されている。
【0257】
次に
図23を参照すると、
図22の表面波チャネル2204の部分2210の拡大図が、例示的な実施形態にしたがって示されている。図示のように、複数のインピーダンス素子2206は、インピーダンス素子2300とインピーダンス素子2302を含んでいる。インピーダンス素子2300とインピーダンス素子2302を、それぞれ、
図21の第1のインピーダンス素子2113と第2のインピーダンス素子2115のための実施例とすることができる。
【0258】
複数のスイッチ素子2208は、インピーダンス素子2300とインピーダンス素子2302との間のギャップ内に配置されたスイッチ素子のセット2304を含んでいる。スイッチ素子のセット2304の各々は、2つだけ可能な状態を有しており、時間内の任意の所与の時点でこれらの2つの可能な状態のいずれか一方であり得る。例示的な一例では、これらの2つの状態を、インダクタンス状態と静電容量状態とすることができる。
【0259】
図示のように、スイッチ素子のセット2304は、スイッチ素子2306、スイッチ素子2308、およびスイッチ素子2310を含んでいる。スイッチ素子2306、スイッチ素子2308、およびスイッチ素子2310は、インピーダンス素子2300とインピーダンス素子2302を電気的に接続している。
【0260】
図22の複数のインピーダンス素子2206の各々は、繰り返しパターンの形状を有することができる。例えば、インピーダンス素子2302は、繰り返しパターン2312を有する。繰り返しパターン2312は、一連の同じ形状である。この例示的な例では、繰り返しパターン2312は、一連の六角形型の形状である。図示のように、繰り返しパターン2312は、六角形型の形状2314、六角形型の形状2316、および六角形型の形状2318を含んでいる。
【0261】
次に
図24を参照すると、放射素子の別の構成の図が、例示的な実施形態にしたがって示されている。この例示的な例では、放射素子2400を、
図21の放射素子123のための一実施例とすることができる。
【0262】
図示のように、放射素子2400は、誘電体基板2402を含んでいる。表面波チャネル2404は、誘電体基板2402上に形成されている。表面波チャネル2404を、
図21の表面波チャネル125のための一実施例とすることができる。表面波チャネル2404は、複数のインピーダンス素子2406と複数のスイッチ素子2408を含んでいる。
【0263】
複数のインピーダンス素子2406を、
図1の複数のインピーダンス素子126のための一実施例とすることができる。この例示的な例では、複数のインピーダンス素子2406の各々は、長方形の金属ストリップの形態をとることができる。
【0264】
複数のスイッチ素子2408を、
図21の複数のスイッチ素子2100のための一実施例とすることができる。この例示的な例では、複数のスイッチ素子2408の各々は、時間内の任意の所与の時点で2つの状態のいずれか一方のみを有することができる。例示的な一例では、複数のスイッチ素子2408の各々は、PINダイオードの形態で実装され得る。
【0265】
例えば、複数のスイッチ素子2408のうちの1つがオン状態にあるとき、スイッチ素子は、直列に抵抗とインダクタからなる回路と同様に機能することができる。オン状態は、高い表面インピーダンスに対応する。提供されるインダクタンスは、周波数のKaバンド内での動作を可能にするために重要であり得る。スイッチ素子がオフ状態にあるとき、スイッチ素子は、並列に抵抗とコンデンサからなる回路と同様に機能することができる。オフ状態は、低い表面インピーダンスに対応する。
【0266】
図22から
図24の図は、例示的な実施形態を実施することができる方法に対して、物理的または構造的限定を意味するものではない。図示のものに加えて、またはその代わりに、他の構成要素が使用されてもよい。いくつかの構成要素は、任意であってもよい。
【0267】
図22から
図24に示される異なる構成要素を、
図1および
図2にブロック形式で示される構成要素が物理的構造として実装され得る方法の例示的な例とすることができる。また、
図22から
図24の構成要素の一部は、
図1および
図2の構成要素と組み合わされてもよく、
図1および
図2の構成要素と一緒に使用されてもよく、あるいはこの2つの組み合わせであってもよい。
【0268】
次に
図25を参照すると、アンテナシステムを電子的に操向するための工程が、例示的な実施形態によるフロー図の形態で示されている。
図25に示す工程は、
図1のアンテナシステム100を電子的に操向するために実現され得る。
【0269】
工程は、放射パターンを形成するために、複数の放射素子の各々に形成された複数の表面波チャネルの各々に沿って表面波を伝播させることで開始する(動作2500)。複数の放射素子の各放射素子に形成された複数の表面波チャネルの各表面波チャネルは、複数の放射素子に関連した複数の表面波フィードのうちの1つの表面波フィードを用いて、高周波信号を運ぶように構成された伝送線に接続される(動作2502)。
【0270】
その後、放射パターンのメインローブは、複数の放射素子の各放射素子で複数の表面波チャネルに印加される電圧を制御することにより、シータ方向に電子的に操向される(動作2504)。さらに、放射パターンのメインローブは、複数の表面波フィード間の相対位相差を制御することにより、ファイ方向に電子的に操向され(動作2506)、その後、工程は終了する。
【0271】
次に
図26を参照すると、アンテナシステムを電子的に操向するための工程が、例示的な実施形態によるフロー図の形態で示されている。
図26に示す工程は、例えば、
図15の放射状構成1500を有する人工インピーダンス表面アンテナ110を、電子的に操向するために実現され得る。
【0272】
工程は、複数の放射スポークが誘電体基板の中心点に対して放射状に配置されている場合に、複数の放射サブパターンを生成するために、アンテナに複数の放射スポークによって形成された複数の表面波チャネルに沿って表面波を伝搬させることで開始する(動作2600)。次に、アンテナの放射パターンのメインローブは、2次元で電子的に操向され(動作2602)、その後、工程は終了する。
【0273】
次に
図27を参照すると、アンテナシステムを電子的に操向するための工程が、例示的な実施形態によるフロー図の形態で示されている。
図27に示す工程は、例えば、
図21で説明したようなスイッチ素子を有する人工インピーダンス表面アンテナ110を、電子的に操向するために実現され得る。
【0274】
工程は、放射パターンを形成するために、複数の放射素子の各々に形成された複数の表面波チャネルの各々に沿って表面波を伝播させることで開始する(動作2700)。次に、複数の放射素子の各放射素子に形成された複数の表面波チャネルの各表面波チャネルは、複数の放射素子に関連した複数の表面波フィードのうちの1つの表面波フィードを用いて、高周波信号を運ぶように構成された伝送線に接続され得る(動作2702)。
【0275】
放射パターンのメインローブは、複数の表面波チャネルの各々で複数のインピーダンス素子を接続している複数のスイッチ素子に印加される電圧を制御することにより、電子的に操向され得(動作2704)、その後、工程は終了する。
【0276】
異なる図示された実施形態におけるフロー図およびブロック図は、例示的な実施形態での装置および方法のいくつかの可能な実装の、アーキテクチャ、機能性、および動作を示している。この際、フロー図またはブロック図の各ブロックは、モジュール、セグメント、機能、および/または動作すなわちステップの一部を表すことができる。
【0277】
例示的な実施形態のいくつかの代替的な実装では、機能すなわちブロック図に示された機能が、図面に示された順序以外で起こる場合がある。例えば、場合によっては、連続して示される2つのブロックが実質的に同時に実行されてもよく、またはそのブロックが、該当する機能によって逆順に実行される場合があってもよい。また、他のブロックが、フロー図またはブロック図に示されたブロックに加えて追加されてもよい。
【0278】
さらに、本開示は、以下の条項に係る実施形態を含む。
第1項:複数の放射素子の各放射素子が複数の表面波チャネルを含み、複数の表面波チャネルの各表面波チャネルが表面波の経路を制限するように構成された、複数の放射素子であって、複数のスイッチ素子、および複数のインピーダンス素子を含む、複数の放射素子と、複数の表面波フィードのうちの1つの表面波フィードが、複数の放射素子のうちの1つの放射素子の複数の表面波チャネルのうちの1つの表面波チャネルを、高周波信号を運ぶように構成された伝送線に接続するように構成された、複数の表面波フィードと、を備えた装置。
第2項:複数の放射素子および複数の表面波フィードが、シータ方向およびファイ方向に電子的に操向されるように構成された人工インピーダンス表面アンテナを形成する、第1項に記載の装置。
第3項:人工インピーダンス表面アンテナが、約26.5ギガヘルツから約40ギガヘルツの間の周波数で動作する、第2項に記載の装置。
第4項:人工インピーダンス表面アンテナが、約25%より高い開口率を有して約30ギガヘルツの周波数で動作する、第2項に記載の装置。
第5項:複数の表面波チャネルの各表面波チャネルの複数のスイッチ素子が、各表面波チャネルのための高い表面インピーダンスと低い表面インピーダンスの表面インピーダンスプロファイルを作成することを可能にする、第2項に記載の装置。
第6項:表面インピーダンスプロファイルが、方形波型の変調である、第5項に記載の装置。
第7項:高い表面インピーダンスおよび低い表面インピーダンスが、シータ方向およびファイ方向での走査を可能にするように変調される、第5項に記載の装置。
第8項:複数のスイッチ素子の各スイッチ素子が、インダクタンス状態および静電容量状態を有するPINダイオードである、第1項に記載の装置。
第9項:複数のスイッチ素子の各スイッチ素子が、単に2つの状態を有するショットキーダイオードである、第1項に記載の装置。
第10項:複数のスイッチ素子の各スイッチ素子が、単に2つの状態を有する半導体スイッチである、第1項に記載の装置。
第11項:複数のスイッチ素子の各スイッチ素子が、単に2つの状態を有する微小電気機械システムスイッチダイオードである、第1項に記載の装置。
第12項:複数のスイッチ素子の各スイッチ素子が、単に2つの状態を有する相変化材料スイッチである、第1項に記載の装置。
第13項:複数のスイッチ素子の各スイッチ素子が、単に2つの状態を有する高周波ダイオードである、第1項に記載の装置。
第14項:複数のインピーダンス素子のうちの1つのインピーダンス素子が、金属ストリップ、導電性塗料のパッチ、金属メッシュ材料、金属膜、金属基板の堆積物、共振構造、スプリットリング共振器、電気的に接続された共振器、および1つまたは複数のメタマテリアルからなる構造のうちの1つから選択される、第1項に記載の装置。
第15項:複数のインピーダンス素子のうちの1つのインピーダンス素子が、一連の同じ形状によって形成されたパターンを有する、第1項に記載の装置。
第16項:同じ形状が、ダイヤモンド型の形状および六角形型の形状の一方から選択される、第15項に記載の装置。
第17項:複数の放射素子の各放射素子が、複数の表面波チャネルの各表面波チャネルが表面波の経路を制限するように構成された複数の表面波チャネルを含み、また、誘電体基板の表面上に配置された複数のインピーダンス素子、および複数のスイッチ素子の各スイッチ素子が第1の状態と第2の状態を有する、誘電体基板の表面上に配置された複数のスイッチ素子を含む、複数の放射素子と、複数の放射素子の各放射素子の複数の表面波チャネルを複数の伝送線に接続するように構成された複数の表面波フィードとを備えた、人工インピーダンス表面アンテナ。
第18項:アンテナシステムを電子的に操向するための方法であって、この方法が、放射パターンを形成するために複数の放射素子の各放射素子に形成された複数の表面波チャネルの各表面波チャネルに沿って表面波を伝播させるステップと、複数の放射素子の各放射素子に形成された複数の表面波チャネルの各表面波チャネルを、複数の放射素子に関連した複数の表面波フィードのうちの1つの表面波フィードを用いて高周波信号を運ぶように構成された伝送線に接続するステップと、複数の表面波チャネルの各表面波チャネルの複数のインピーダンス素子を接続している複数のスイッチ素子に印加される電圧を制御することによって放射パターンのメインローブを電子的に操向するステップとを含む。
第19項:メインローブを電子的に操向するステップが、複数の表面波チャネルの各表面波チャネルのための表面インピーダンスプロファイルを作成するために、第1レベルの電圧または第2レベルの電圧を、複数のスイッチ素子の各スイッチ素子に印加するステップを含む、第18項に記載の方法。
第20項:メインローブを電子的に操向するステップが、高い表面インピーダンスと低表面インピーダンスとの間で変調するように、第1レベルの電圧または第2レベルの電圧を、複数のスイッチ素子の各スイッチ素子に印加するステップを含む、第18項に記載の方法。
【0279】
別の例示的な実施形態の説明は、例示および説明のために提示されており、開示された形態での実施形態を網羅または限定することを意図するものではない。多くの修正および変形が当業者には明らかとされよう。また、別の例示的な実施形態が、他の望ましい実施形態に比較されるような異なる特徴を提供することができる。実施形態すなわち選択された実施形態は、実施形態の趣旨および実用的な用途を最良に説明するために、選択されかつ記述され、これにより、当業者は、考えられる特定の用途に適しているようなさまざまな修正を加えたさまざまな実施形態のための本開示を理解することができる。