特許第6978246号(P6978246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6978246
(24)【登録日】2021年11月15日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】矯正方法および矯正機
(51)【国際特許分類】
   B21D 3/02 20060101AFI20211125BHJP
   B21D 3/04 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   B21D3/02 Z
   B21D3/04
【請求項の数】15
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2017-147126(P2017-147126)
(22)【出願日】2017年7月28日
(65)【公開番号】特開2019-25517(P2019-25517A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000149505
【氏名又は名称】大同マシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 忠広
(72)【発明者】
【氏名】森 勇夫
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−071423(JP,U)
【文献】 特開平09−295049(JP,A)
【文献】 実開平02−097911(JP,U)
【文献】 特開2006−015375(JP,A)
【文献】 米国特許第03759077(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 3/02
B21D 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に対向すると共に所定の角度で相互に交差するよう配設された一対の矯正ロール(10,11)と、該一対の矯正ロール(10,11)の間の矯正部(R)において前記矯正ロール(10,11)の対向方向と交差する関係で被加工材料(W)の移送経路に沿って対向配置され、被加工材料(W)を案内する一対のガイドバー(12,12)とを備え、前記矯正部(R)に被加工材料(W)を通過させることで、該被加工材料(W)を矯正する矯正機の矯正方法において、
前記矯正部(R)への材料入側に配設されて被加工材料(W)をガイド孔(18,20)で矯正部(R)に案内する入口側の案内手段(16,119)および前記矯正部(R)からの材料出側に配設されてガイド孔(33,35)で矯正部(R)を通過した被加工材料(W)を下流側へ案内する出口側の案内手段(31,126)を被加工材料(W)の先端がガイド孔(18,20,33,35)に進入可能な導入位置に位置付け、
被加工材料(W)の先端が入口側の案内手段(16,119)のガイド孔(18,20)に進入した後に、該入口側の案内手段(16,119)を、入口側の案内手段(16,119)で案内される被加工材料(W)の先端部が矯正部(R)における一対のガイドバー(12,12)の間の適切な位置を通過する予め設定された矯正案内位置に導入位置から移動して、矯正案内位置の案内手段(16,119)で案内される被加工材料(W)を矯正する
ことを特徴とする矯正方法。
【請求項2】
前記矯正案内位置に移動した前記入口側の案内手段(16,119)で案内されて前記矯正部(R)を通過した被加工材料(W)の先端が、前記導入位置の前記出口側の案内手段(31,126)のガイド孔(33,35)に進入した後に、該出口側の案内手段(31,126)を、出口側の案内手段(31,126)および入口側の案内手段(16,119)で案内される被加工材料(W)が矯正部(R)における一対のガイドバー(12,12)の間の適切な位置を通過する予め設定された矯正案内位置に導入位置から移動するようにした請求項1記載の矯正方法。
【請求項3】
前記矯正部(R)を通過する被加工材料(W)の通材位置を監視手段(13,61)で監視し、該監視手段(13,61)での監視結果に基づいて前記矯正案内位置を設定するようにした請求項1または2記載の矯正方法。
【請求項4】
上下に対向すると共に所定の角度で相互に交差するよう配設された一対の矯正ロール(10,11)と、該一対の矯正ロール(10,11)の間の矯正部(R)において前記矯正ロール(10,11)の対向方向と交差する関係で被加工材料(W)の移送経路に沿って対向配置され、被加工材料(W)を案内する一対のガイドバー(12,12)とを備え、前記矯正部(R)に被加工材料(W)を通過させることで、該被加工材料(W)を矯正する矯正機において、
前記矯正部(R)への材料入側に配設され、ガイド孔(18,20)を通過する被加工材料(W)を矯正部(R)に向けて案内すると共に、入口側シフト手段(24,47)によって前記矯正ロール(10,11)の対向方向と交差する方向に沿って移動されて、前工程から送られてくる被加工材料(W)の先端がガイド孔(18,20)に進入可能な導入位置および該ガイド孔(18,20)で案内される被加工材料(W)が前記矯正部(R)における一対のガイドバー(12,12)の間の適切な位置を通過する矯正案内位置に位置付けられる入口側の案内手段(16,119)と、
前記矯正部(R)からの材料出側に配設され、ガイド孔(33,35)を通過する被加工材料(W)を下流側に案内すると共に、出口側シフト手段(39)によって前記矯正ロール(10,11)の対向方向と交差する方向に沿って移動されて、前記矯正部(R)から送られてくる被加工材料(W)の先端がガイド孔(33,35)に進入可能な導入位置および該ガイド孔(33,35)で案内される被加工材料(W)が前記矯正部(R)における一対のガイドバー(12,12)の間の適切な位置を通過する矯正案内位置に位置付けられる出口側の案内手段(31,126)と、
前記矯正部(R)を通過する被加工材料(W)の通材位置を監視する監視手段(13,61)とを備え、
前記監視手段(13,61)での監視結果に基づいて前記矯正案内位置が設定されて、前記導入位置に位置付けられている前記入口側および出口側の案内手段(16,119,31,126)を、被加工材料(W)の先端が対応するガイド孔(18,20,33,35)に進入した後に、対応する前記シフト手段(24,47,39)によって前記矯正案内位置に夫々移動するよう構成した
ことを特徴とする矯正機。
【請求項5】
上下に対向すると共に所定の角度で相互に交差するよう配設された一対の矯正ロール(10,11)と、該一対の矯正ロール(10,11)の間の矯正部(R)において前記矯正ロール(10,11)の対向方向と交差する関係で被加工材料(W)の移送経路に沿って対向配置され、被加工材料(W)を案内する一対のガイドバー(12,12)とを備え、前記矯正部(R)に被加工材料(W)を通過させることで、該被加工材料(W)を矯正する矯正機において、
前記矯正部(R)への材料入側に配設され、ガイド孔(18,20)を通過する被加工材料(W)を矯正部(R)に向けて案内すると共に、前記矯正ロール(10,11)の対向方向と交差する方向に沿って入口側シフト手段(24,47)によって移動可能な入口側の案内手段(16,119)と、
前記矯正部(R)からの材料出側に配設され、ガイド孔(33,35)を通過する被加工材料(W)を下流側に案内すると共に、前記矯正ロール(10,11)の対向方向と交差する方向に沿って出口側シフト手段(39)によって移動可能な出口側の案内手段(31,126)と、
前記矯正部(R)を通過する被加工材料(W)の通材位置を監視する監視手段(13,61)とを備え、
前記監視手段(13,61)での監視結果に基づいて、前記各案内手段(16,119,31,126)で案内される被加工材料(W)が前記矯正部(R)における一対のガイドバー(12,12)の間の適切な位置を通過する矯正案内位置が設定されて、該矯正案内位置に前記案内手段(16,119,31,126)を前記シフト手段(24,47,39)によって移動するよう構成し
前記入口側および出口側の各案内手段(16,31)は、対応する前記シフト手段(24,39,47)により移動されるホルダ(25,27,41,43)に着脱交換可能に取り付けられ、
前記ホルダ(25,27,41,43)に対して対応する案内手段(16,31)を交換可能な交換位置に、該ホルダ(25,27,41,43)を移動するシフト機構を備える
ことを特徴とする矯正機。
【請求項6】
上下に対向すると共に所定の角度で相互に交差するよう配設された一対の矯正ロール(10,11)と、該一対の矯正ロール(10,11)の間の矯正部(R)において前記矯正ロール(10,11)の対向方向と交差する関係で被加工材料(W)の移送経路に沿って対向配置され、被加工材料(W)を案内する一対のガイドバー(12,12)とを備え、前記矯正部(R)に被加工材料(W)を通過させることで、該被加工材料(W)を矯正する矯正機において、
前記矯正部(R)への材料入側に配設され、ガイド孔(18,20)を通過する被加工材料(W)を矯正部(R)に向けて案内すると共に、前記矯正ロール(10,11)の対向方向と交差する方向に沿って入口側シフト手段(24,47,39)によって移動可能な入口側の案内手段(16,119)と、
前記矯正部(R)からの材料出側に配設され、ガイド孔(33,35)を通過する被加工材料(W)を下流側に案内すると共に、前記矯正ロール(10,11)の対向方向と交差する方向に沿って出口側シフト手段(39)によって移動可能な出口側の案内手段(31,126)と、
前記矯正部(R)を通過する被加工材料(W)の通材位置を監視する監視手段(13,61)とを備え、
前記監視手段(13,61)での監視結果に基づいて、前記各案内手段(16,119,31,126)で案内される被加工材料(W)が前記矯正部(R)における一対のガイドバー(12,12)の間の適切な位置を通過する矯正案内位置が設定されて、該矯正案内位置に前記案内手段(16,119,31,126)を前記シフト手段(24,47,39)によって移動するよう構成し
前記入口側の案内手段(16)および出口側の案内手段(31)の夫々は、材料入口側に位置する導入ガイド部(118,126)と、材料出口側に位置する導出ガイド部(119,127)とから構成され、
前記入口側の案内手段(16)の導出ガイド部(119)および出口側の案内手段(31)の導入ガイ部(126)は、対応する前記シフト手段(24,47,39)によって、上流側から送られてくる被加工材料(W)の先端がガイド孔(20,33)に進入可能な導入位置前記矯正案内位置との間を往復移動すると共に、対応する回転手段(122,129)によってガイド孔(20,33)の延在方向の軸回りに回転駆動するよう構成した
ことを特徴とする矯正機。
【請求項7】
前記入口側および出口側の各案内手段(16,31)は、対応する前記シフト手段(24,39,47)により移動されるホルダ(25,27,41,43)に着脱交換可能に取り付けられ、
前記ホルダ(25,27,41,43)に対して対応する案内手段(16,31)を交換可能な交換位置に、該ホルダ(25,27,41,43)を移動するシフト機構を備える請求項6に記載の矯正機。
【請求項8】
前記入口側シフト手段(24,47)は、前記入口側の案内手段(16,119)を、前工程から送られてくる被加工材料(W)の先端がガイド孔(18,20)に進入可能な導入位置と、該入口側の案内手段(16)で案内される被加工材料(W)を矯正部(R)の前記適切な位置に通過させる前記矯正案内位置との間を、駆動シリンダ(24,39)により作動するリンク機構(48)によって往復移動するよう構成され、
前記出口側シフト手段(39)は、前記出口側の案内手段(31,126)を、矯正部(R)から送られてくる被加工材料(W)の先端がガイド孔(33,35)に進入可能な導入位置と、該出口側の案内手段(31,126)で案内される被加工材料(W)を矯正部(R)の前記適切な位置に通過させる前記矯正案内位置との間を、駆動シリンダにより作動するリンク機構によって往復移動するよう構成された請求項4〜7の何れか一項に記載の矯正機。
【請求項9】
上下に対向すると共に所定の角度で相互に交差するよう配設された一対の矯正ロール(10,11)と、該一対の矯正ロール(10,11)の間の矯正部(R)において前記矯正ロール(10,11)の対向方向と交差する関係で被加工材料(W)の移送経路に沿って対向配置され、被加工材料(W)を案内する一対のガイドバー(12,12)とを備え、前記矯正部(R)に被加工材料(W)を通過させることで、該被加工材料(W)を矯正する矯正機において、
前記矯正部(R)への材料入側に配設され、ガイド孔(18,20)を通過する被加工材料(W)を矯正部(R)に向けて案内すると共に、入口側シフト手段(24,47)によって前記矯正ロール(10,11)の対向方向と交差する方向に沿って移動されて、前工程から送られてくる被加工材料(W)の先端がガイド孔(18,20)に進入可能な導入位置および該ガイド孔(18,20)で案内される被加工材料(W)が前記矯正部(R)における一対のガイドバー(12,12)の間の適切な位置を通過する矯正案内位置に位置付けられる入口側の案内手段(16,119)と、
前記矯正部(R)からの材料出側に配設され、ガイド孔(33,35)を通過する被加工材料(W)を下流側に案内する出口側の案内手段(31,126)と、
前記矯正部(R)を通過する被加工材料(W)の通材位置を監視する監視手段(13,61)とを備え、
前記監視手段(13,61)での監視結果に基づいて前記矯正案内位置が設定されて、前記導入位置に位置付けられている前記入口側の案内手段(16,119)を、被加工材料(W)の先端が該入口側の案内手段(16,119)のガイド孔(18,20)に進入した後に、前記入口側シフト手段(24,47)によって前記矯正案内位置に移動するよう構成した
ことを特徴とする矯正機。
【請求項10】
前記入口側の案内手段(16)は、前記入口側シフト手段(24,47)により移動されるホルダ(25,27)に着脱交換可能に取り付けられ、
前記ホルダ(25,27)に対して入口側の案内手段(16)を交換可能な交換位置に、該ホルダ(25,27)を移動するシフト機構を備える請求項9記載の矯正機。
【請求項11】
前記入口側の案内手段(16)は、材料入口側に位置する導入ガイド部(118)と、材料出口側に位置する導出ガイド部(119)とから構成され、
前記入口側の案内手段(16)の導出ガイド部(119)は、前記入口側シフト手段(24)によって前記導入位置と前記矯正案内位置との間を往復移動すると共に、回転手段(122)によってガイド孔(20)の延在方向の軸回りに回転駆動するよう構成した請求項9または10記載の矯正機。
【請求項12】
前記入口側シフト手段(24,47)は、前記入口側の案内手段(16,119)を、駆動シリンダ(24,39)により作動するリンク機構(48)によって前記導入位置と前記矯正案内位置との間で往復移動するよう構成された請求項9〜11の何れか一項に記載の矯正機。
【請求項13】
前記リンク機構は、トグル機構(48)である請求項12記載の矯正機。
【請求項14】
前記一対のガイドバー(12)の少なくとも一方に、一対のガイドバー(12,12)の間を通過する被加工材料(W)の位置を検出する前記監視手段としての位置検出手段(13)を設けた請求項4〜13の何れか一項に記載の矯正機。
【請求項15】
前記一対のガイドバー(12)の少なくとも一方に、対向する他方のガイドバー(12)における被加工材料(W)を案内する案内面の位置を検出する前記監視手段としての位置検出手段(13)を設けた請求項4〜14の何れか一項に記載の矯正機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線ぐせや曲がり等が付いている丸棒や鋼管等の被加工材料を、一対の矯正ロール間に通過させて真直に矯正する矯正方法および矯正機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
丸棒や鋼管等の被加工材料(棒状材料)の加工工程において、被加工材料に発生する線ぐせや曲がり等を好適に矯正する矯正機として、例えば特許文献1には、被加工材料の水平な移送経路を挟んで上下に位置し、該移送経路に対し所要角度で相互に交差するよう配設された一対の矯正ロールを備えた2ロール方式の矯正機が開示されている。この矯正機では、所定方向に回転駆動されている両矯正ロールの間に、被加工材料を強制的に通過させる過程で曲がり等が矯正される。また矯正機では、一対の矯正ロールの矯正部に対応して、前記移送経路を挟んで対向配置した一対のガイドバーや、矯正部に対する材料入口側および材料出口側の夫々に配置したガイドによって被加工材料を案内し、該被加工材料の移送経路がずれるのを防ぐよう構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2−97911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記ガイドバーやガイドは、矯正作業中に被加工材料を正しい移送方向に案内するべく機能するものであるが、特に矯正部に対応して配置した一対のガイドバーは、案内時には被加工材料と接触して大きな負荷が加わるため、その案内面は、被加工材料との接触により経時的に摩耗し、遂には本来の案内機能が損なわれて矯正精度が低下する。このため、ガイドバーの摩耗進行に合わせて、新たなガイドバーと交換する必要があり、ランニングコストが嵩む原因となる。また、ガイドバーを交換するには、その都度多くの時間と手間とを必要とし、しかも交換作業中に矯正機を一旦停止させなければならず、交換が頻繁になれば矯正機自体の稼動効率を大きく低下させる難点を招く。また、材料入口側および材料出口側の各ガイドは、被加工材料をガイドバーおよび矯正機の下流側に配設された後面テーブルへ導入する役割を持っているが、各ガイドによって被加工材料を適切に案内できないと、ガイドバーの案内面が早く摩耗して被加工材料の矯正精度が低下する問題を招く。
【0005】
すなわち本発明は、前述した従来技術に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、一対の矯正ロールの矯正部に被加工材料を適切に案内して矯正精度を安定して維持し得る矯正方法および矯正機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係る矯正方法は、
上下に対向すると共に所定の角度で相互に交差するよう配設された一対の矯正ロールと、該一対の矯正ロールの間の矯正部において前記矯正ロールの対向方向と交差する関係で被加工材料の移送経路に沿って対向配置され、被加工材料を案内する一対のガイドバーとを備え、前記矯正部に被加工材料を通過させることで、該被加工材料を矯正する矯正機の矯正方法において、
前記矯正部への材料入側に配設されて被加工材料をガイド孔で矯正部に案内する入口側の案内手段および前記矯正部からの材料出側に配設されてガイド孔で矯正部を通過した被加工材料を下流側へ案内する出口側の案内手段被加工材料の先端がガイド孔に進入可能な導入位置に位置付け、
被加工材料の先端が入口側の案内手段のガイド孔に進入した後に、該入口側の案内手段を、入口側の案内手段で案内される被加工材料の先端部が矯正部における一対のガイドバーの間の適切な位置を通過する予め設定された矯正案内位置に導入位置から移動して、矯正案内位置の案内手段で案内される被加工材料を矯正することを要旨とする。
請求項1の発明では、案内手段を矯正案内位置に移動して、被加工材料が矯正部の適切な位置を通過するようにしたので、ガイドバーの摩耗を低減し、該ガイドバーによって被加工材料を適正に案内することができ、矯正精度を安定して維持し得る。また、ガイドバーの使用寿命を延ばすことができ、矯正機の稼働効率を向上させ得る。また、入口側の案内手段を適切な時期に矯正案内位置に移動するので、矯正部を通過する被加工材料の矯正精度を向上することができる。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記矯正案内位置に移動した前記入口側の案内手段で案内されて前記矯正部を通過した被加工材料の先端が、前記導入位置の前記出口側の案内手段のガイド孔に進入した後に、該出口側の案内手段を、出口側の案内手段および入口側の案内手段で案内される被加工材料が矯正部における一対のガイドバーの間の適切な位置を通過する予め設定された矯正案内位置に導入位置から移動するようにしたことを要旨とする。
請求項2の発明では、入口側および出口側の各案内手段を適切な時期に矯正案内位置に移動するので、矯正部を通過する被加工材料の矯正精度を向上することができる。
【0008】
請求項3に係る発明は、前記矯正部を通過する被加工材料の通材位置を監視手段で監視し、該監視手段での監視結果に基づいて前記矯正案内位置を設定するようにしたことを要旨とする。
請求項3の発明では、被加工材料の通材位置を監視する監視手段の監視結果に基づいて矯正案内位置を設定するようにしたので、案内手段を適正な矯正案内位置に移動することができ、被加工材料をより精度よく矯正部の適切な位置に通過させて、矯正精度をより向上し得る。
【0009】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項4の発明に係る矯正機は、
上下に対向すると共に所定の角度で相互に交差するよう配設された一対の矯正ロールと、該一対の矯正ロールの間の矯正部において前記矯正ロールの対向方向と交差する関係で被加工材料の移送経路に沿って対向配置され、被加工材料を案内する一対のガイドバーとを備え、前記矯正部に被加工材料を通過させることで、該被加工材料を矯正する矯正機において、
前記矯正部への材料入側に配設され、ガイド孔を通過する被加工材料を矯正部に向けて案内すると共に、入口側シフト手段によって前記矯正ロールの対向方向と交差する方向に沿って移動されて、前工程から送られてくる被加工材料の先端がガイド孔に進入可能な導入位置および該ガイド孔で案内される被加工材料が前記矯正部における一対のガイドバーの間の適切な位置を通過する矯正案内位置に位置付けられる入口側の案内手段と、
前記矯正部からの材料出側に配設され、ガイド孔を通過する被加工材料を下流側に案内すると共に、出口側シフト手段によって前記矯正ロールの対向方向と交差する方向に沿って移動されて、前記矯正部から送られてくる被加工材料の先端がガイド孔に進入可能な導入位置および該ガイド孔で案内される被加工材料が前記矯正部における一対のガイドバーの間の適切な位置を通過する矯正案内位置に位置付けられる出口側の案内手段と、
前記矯正部を通過する被加工材料の通材位置を監視する監視手段とを備え、
前記監視手段での監視結果に基づいて前記矯正案内位置が設定されて、前記導入位置に位置付けられている前記入口側および出口側の案内手段を、被加工材料の先端が対応するガイド孔に進入した後に、対応する前記シフト手段によって前記矯正案内位置に夫々移動するよう構成したことを要旨とする。
請求項4の発明では、入口側および出口側の各案内手段を矯正案内位置に移動して、被加工材料が矯正部の適切な位置を通過する状態で矯正し得るので、矯正精度を安定して維持することができる。また、被加工材料の通材位置を監視する監視手段の監視結果に基づいて設定した矯正案内位置に案内手段を移動するので、被加工材料を精度よく矯正部の適切な位置に通過させることができる。また、入口側および出口側の各案内手段を適切な時期に矯正案内位置に移動して、矯正部を通過する被加工材料の矯正精度を向上することができる。
【0010】
請求項に係る発明は、前記入口側シフト手段は、前記入口側の案内手段を、前工程から送られてくる被加工材料の先端がガイド孔に進入可能な導入位置と、該入口側の案内手段で案内される被加工材料を矯正部の前記適切な位置に通過させる前記矯正案内位置との間を、駆動シリンダにより作動するリンク機構によって往復移動するよう構成され、
前記出口側シフト手段は、前記出口側の案内手段を、矯正部から送られてくる被加工材料の先端がガイド孔に進入可能な導入位置と、該出口側の案内手段で案内される被加工材料を矯正部の前記適切な位置に通過させる前記矯正案内位置との間を、駆動シリンダにより作動するリンク機構によって往復移動するよう構成されたことを要旨とする。
請求項の発明では、簡易な構成で確実に各案内手段を移動させることができ、各案内手段のガイド孔に被加工材料の先端を円滑に導入し得ると共に、被加工材料の矯正精度を向上することができる。
【0011】
請求項13に係る発明は、前記リンク機構は、トグル機構であることを要旨とする。
請求項13の発明では、トグル機構によって案内手段を移動するよう構成したので、被加工材料から受ける負荷によって案内手段が変位するのを小さな力で抑制することができ、被加工材料を適正に案内し得る。
【0012】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項5の発明に係る矯正機は、
上下に対向すると共に所定の角度で相互に交差するよう配設された一対の矯正ロールと、該一対の矯正ロールの間の矯正部において前記矯正ロールの対向方向と交差する関係で被加工材料の移送経路に沿って対向配置され、被加工材料を案内する一対のガイドバーとを備え、前記矯正部に被加工材料を通過させることで、該被加工材料を矯正する矯正機において、
前記矯正部への材料入側に配設され、ガイド孔を通過する被加工材料を矯正部に向けて案内すると共に、前記矯正ロールの対向方向と交差する方向に沿って入口側シフト手段によって移動可能な入口側の案内手段と、
前記矯正部からの材料出側に配設され、ガイド孔を通過する被加工材料を下流側に案内すると共に、前記矯正ロールの対向方向と交差する方向に沿って出口側シフト手段によって移動可能な出口側の案内手段と、
前記矯正部を通過する被加工材料の通材位置を監視する監視手段とを備え、
前記監視手段での監視結果に基づいて、前記各案内手段で案内される被加工材料が前記矯正部における一対のガイドバーの間の適切な位置を通過する矯正案内位置が設定されて、該矯正案内位置に前記案内手段を前記シフト手段によって移動するよう構成し、
前記入口側および出口側の各案内手段は、対応する前記シフト手段により移動されるホルダに着脱交換可能に取り付けられ、
前記ホルダに対して対応する案内手段を交換可能な交換位置に、該ホルダを移動するシフト機構を備えることを要旨とする。
請求項5の発明では、入口側および出口側の各案内手段を矯正案内位置に移動して、被加工材料が矯正部の適切な位置を通過する状態で矯正し得るので、矯正精度を安定して維持することができる。また、被加工材料の通材位置を監視する監視手段の監視結果に基づいて設定した矯正案内位置に案内手段を移動するので、被加工材料を精度よく矯正部の適切な位置に通過させることができる。
請求項7に係る発明は、前記入口側および出口側の各案内手段は、対応する前記シフト手段により移動されるホルダに着脱交換可能に取り付けられ、
前記ホルダに対して対応する案内手段を交換可能な交換位置に、該ホルダを移動するシフト機構を備えることを要旨とする。
請求項5および7の発明では、オーダ変更等に際して各案内手段の交換を簡単に行うことができ、案内手段の交換に必要となる作業時間を短縮して、矯正機の稼働効率を向上することができる。
【0013】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項9の発明に係る矯正機は、
上下に対向すると共に所定の角度で相互に交差するよう配設された一対の矯正ロールと、該一対の矯正ロールの間の矯正部において前記矯正ロールの対向方向と交差する関係で被加工材料の移送経路に沿って対向配置され、被加工材料を案内する一対のガイドバーとを備え、前記矯正部に被加工材料を通過させることで、該被加工材料を矯正する矯正機において、
前記矯正部への材料入側に配設され、ガイド孔を通過する被加工材料を矯正部に向けて案内すると共に、入口側シフト手段によって前記矯正ロールの対向方向と交差する方向に沿って移動されて、前工程から送られてくる被加工材料の先端がガイド孔に進入可能な導入位置および該ガイド孔で案内される被加工材料が前記矯正部における一対のガイドバーの間の適切な位置を通過する矯正案内位置に位置付けられる入口側の案内手段と、
前記矯正部からの材料出側に配設され、ガイド孔を通過する被加工材料を下流側に案内する出口側の案内手段と、
前記矯正部を通過する被加工材料の通材位置を監視する監視手段とを備え、
前記監視手段での監視結果に基づいて前記矯正案内位置が設定されて、前記導入位置に位置付けられている前記入口側の案内手段を、被加工材料の先端が該入口側の案内手段のガイド孔に進入した後に、前記入口側シフト手段によって前記矯正案内位置に移動するよう構成したことを要旨とする。
請求項10に係る発明は、前記入口側の案内手段は、前記入口側シフト手段により移動されるホルダに着脱交換可能に取り付けられ、
前記ホルダに対して入口側の案内手段を交換可能な交換位置に、該ホルダを移動するシフト機構を備えることを要旨とする。
請求項11に係る発明は、前記入口側の案内手段は、材料入口側に位置する導入ガイド部と、材料出口側に位置する導出ガイド部とから構成され、
前記入口側の案内手段の導出ガイド部は、前記入口側シフト手段によって前記導入位置と前記矯正案内位置との間を往復移動すると共に、回転手段によってガイド孔の延在方向の軸回りに回転駆動するよう構成した
請求項12に係る発明は、前記入口側シフト手段は、前記入口側の案内手段を、駆動シリンダにより作動するリンク機構によって前記導入位置と前記矯正案内位置との間で往復移動するよう構成されたことを要旨とする。
請求項14に係る発明は、前記一対のガイドバーの少なくとも一方に、一対のガイドバーの間を通過する被加工材料の位置を検出する前記監視手段としての位置検出手段を設けたことを要旨とする。
請求項14の発明では、ガイドバーに設けた位置検出手段で検出した被加工材料の位置に基づいて設定した矯正案内位置に案内手段を移動するので、被加工材料をより精度よく矯正部の適切な位置に通過させることができ、矯正精度をより向上し得る。
【0014】
請求項15に係る発明は、前記一対のガイドバーの少なくとも一方に、対向する他方のガイドバーにおける被加工材料を案内する案内面の位置を検出する前記監視手段としての位置検出手段を設けたことを要旨とする。
請求項15の発明では、ガイドバーに設けた位置検出手段で検出したガイドバーの案内面の位置に基づいて設定した矯正案内位置に案内手段を移動するので、被加工材料をより精度よく矯正部の適切な位置に通過させることができ、矯正精度をより向上し得る。また、ガイドバーの案内面の位置を検出することで、案内面の摩耗に応じてガイドバーを、被加工材料を適切に案内し得る位置に移動調整して被加工材料を矯正部の適切な位置に通過させることができ、矯正精度を向上し得る。
【0015】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項6の発明に係る矯正機は、
上下に対向すると共に所定の角度で相互に交差するよう配設された一対の矯正ロールと、該一対の矯正ロールの間の矯正部において前記矯正ロールの対向方向と交差する関係で被加工材料の移送経路に沿って対向配置され、被加工材料を案内する一対のガイドバーとを備え、前記矯正部に被加工材料を通過させることで、該被加工材料を矯正する矯正機において、
前記矯正部への材料入側に配設され、ガイド孔を通過する被加工材料を矯正部に向けて案内すると共に、前記矯正ロールの対向方向と交差する方向に沿って入口側シフト手段によって移動可能な入口側の案内手段と、
前記矯正部からの材料出側に配設され、ガイド孔を通過する被加工材料を下流側に案内すると共に、前記矯正ロールの対向方向と交差する方向に沿って出口側シフト手段によって移動可能な出口側の案内手段と、
前記矯正部を通過する被加工材料の通材位置を監視する監視手段とを備え、
前記監視手段での監視結果に基づいて、前記各案内手段で案内される被加工材料が前記矯正部における一対のガイドバーの間の適切な位置を通過する矯正案内位置が設定されて、該矯正案内位置に前記案内手段を前記シフト手段によって移動するよう構成し、
前記入口側の案内手段および出口側の案内手段の夫々は、材料入口側に位置する導入ガイド部と、材料出口側に位置する導出ガイド部とから構成され、
前記入口側の案内手段の導出ガイド部および出口側の案内手段の導入ガイ部は、対応する前記シフト手段によって、上流側から送られてくる被加工材料の先端がガイド孔に進入可能な導入位置前記矯正案内位置との間を往復移動すると共に、対応する回転手段によってガイド孔の延在方向の軸回りに回転駆動するよう構成したことを要旨とする。
請求項の発明では、入口側および出口側の各案内手段を矯正案内位置に移動して、被加工材料が矯正部の適切な位置を通過する状態で矯正し得るので、矯正精度を安定して維持することができる。また、被加工材料の通材位置を監視する監視手段の監視結果に基づいて設定した矯正案内位置に案内手段を移動するので、被加工材料を精度よく矯正部の適切な位置に通過させることができる。また、入口側および出口側の各案内手段を、上流側の導入ガイド部と下流側の導出ガイド部とに分割し、矯正部に近接する側のガイド部を矯正案内位置に移動するようにしたので、被加工材料を精度よく矯正部の適切な位置に通過させることができる。また、矯正案内位置に移動するガイド部を回転駆動するよう構成したので、被加工材料の表面のスケールや傷等を除去して、品質を向上し得る。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る矯正方法および矯正機によれば、矯正精度を安定して維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例1に係る矯正機を一部縦断して示す概略側面図である。
図2】実施例1に係る矯正機を示す概略平面図である。
図3】実施例1に係るガイドバーフェーシング、矯正ロールおよび位置検出手段の関係を材料移送方向の上流側から見た要部概略図である。
図4】実施例1に係る位置検出手段による位置検出の工程を示す説明図であって、(a)は検出棒を原点位置とした状態を示し、(b)は検出棒をガイドバーフェーシングの案内面に接触した状態を示し、(c)は検出棒を被加工材料に接触した状態を示している。
図5】実施例1に係る矯正機の制御ブロック図である。
図6】実施例2に係る矯正機を一部縦断して示す概略側面図である。
図7】実施例2に係る矯正機を示す概略平面図である。
図8】実施例3に係る矯正機を一部縦断して示す概略側面図である。
図9】実施例3に係る矯正機を示す概略平面図である。
図10】実施例3に係る矯正機の第3入口側案内装置における第2入口側導出ガイド部を示す概略正面図である。
図11】別実施例の入口側シフト手段を備えた入口側案内装置における第2入口側導出ガイド部を示す概略正面図である。
図12】別実施例の入口側シフト手段を備えた入口側案内装置を一部横断して示す概略平面図である。
図13】別実施例の位置検出手段を備えた実施例3の矯正機を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る矯正方法および矯正機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例1】
【0019】
実施例1の矯正機は、図1,図2に示すように、被加工材料Wの水平な移送経路を挟む上下において、一対の矯正ロール10,11が配設されている。各矯正ロール10,11は、図2(a)中の斜状1点鎖線Lで略示されるように、被加工材料Wの移送経路に対し、その軸線が所定角度(実施例1では移送経路から30°程度)で夫々交差すると共に、相互にはX状に交差するよう支持される。また実施例1の下矯正ロール11は、その胴部周面が軸線方向に凹状となる鼓形(鼓状)に形成されると共に、上矯正ロール10は、その胴部周面が軸線方向に凹状となる鼓形(鼓状)に形成されている。上下の矯正ロール10,11は、軸線の交差部が移送経路上に位置するように配置され、被加工材料Wを載置する下矯正ロール11の胴部上面が、被加工材料Wを移送する際の水平な基準面となっている。そして、各矯正ロール10,11は、図示しないロール駆動機構により所定方向に回転駆動され、両矯正ロール10,11間における矯正部Rを押圧状態で挿通する被加工材料Wは、該矯正ロール10,11の回転方向に応じて、所定方向に捻転しつつ移送される。なお、下矯正ロール11を基準とした場合において、上矯正ロール10は、被加工材料Wの直径に対応して上下方向へ変位調節可能とされている。
【0020】
前記上下に対向配置された両矯正ロール10,11の間には、移送経路に直交する面において、各矯正ロール10,11の軸線を結んだ線と直交する方向に開放する隙間が形成される。すなわち、前記各矯正ロール10,11は、その軸線が移送経路から離間する側において、該移送経路より他方の矯正ロール11,10側に外周が突出しているから、当該側において両矯正ロール10,11間には被加工材料Wの水平な基準面に対して斜め方向に開放する隙間が形成される。
【0021】
前記矯正機には、前記矯正部Rに対応する被加工材料Wの移送経路を挟んで対称に複数のガイドバーフェーシング(ガイドバー)12が配設されている。ガイドバーフェーシング12は、前記被加工材料Wの移送経路の前後両側において、該移送経路に沿って2組が配設されて、移送経路を挟んで対向する一対のガイドバーフェーシング12,12同士で該被加工材料Wを保持することで、該被加工材料Wの円滑な案内を図っている(図2,図3参照)。なお、ガイドバーフェーシング12は、被加工材料Wを疵付けないよう、該被加工材料Wより柔らかく設定された鋳鉄等から略矩形平板状に形成されている。なお、被加工材料Wの材質等によっては、該被加工材料Wより硬質のガイドバーフェーシング12を採用することもできる。
【0022】
ここで、前記4つのガイドバーフェーシング12について区別する場合は、図2に示す如く、矯正ロール10,11の矯正部Rにおける材料入口側において移送経路を挟んで対向配置されたものを、第1のガイドバーフェーシング12aおよび第2のガイドバーフェーシング12bと指称し、矯正部Rにおける材料出口側において移送経路を挟んで対向配置されたものを、第3のガイドバーフェーシング12cおよび第4のガイドバーフェーシング12dと指称する。すなわち実施例1の矯正機では、前記矯正ロール10,11の矯正部Rにおいて被加工材料Wが通過する領域を、移送経路における入口側と出口側との2つの領域に分割し、夫々の領域において移送経路を挟んで対向配置された一対のガイドバーフェーシング12a,12b/12c,12dで被加工材料Wを夫々案内するよう構成してある。
【0023】
夫々のガイドバーフェーシング12は、前記両矯正ロール10,11と干渉しないよう、前記下矯正ロール11と上矯正ロール10とがなす前記隙間の開放方向に沿って、前記被加工材料Wの水平な基準面に対して、移送経路を軸として夫々所定角度(配置角度)だけ傾斜した状態で配置されると共に、各ガイドバーフェーシング12は隙間の開放方向に沿って該隙間に直線的に挿入されて、該ガイドバーフェーシング12の前端面である案内面が移送経路に平行に臨み、該被加工材料Wを移送経路に沿って案内保持する(図3参照)。また、対となるガイドバーフェーシング12,12同士は、同一の傾斜面上に位置している。すなわち、上下に位置して移送経路に対して交差する矯正ロール10,11において、下矯正ロール11の胴部上面が上矯正ロール10に対して外方(移送経路から離間する方向)に偏在している領域では、前記ガイドバーフェーシング12が斜め上方に延在して配置され、一方、上矯正ロール10の胴部下面が下矯正ロール11に対して外方(移送経路から離間する方向)に偏在している領域では、前記ガイドバーフェーシング12が斜め下方に延在して配置される。
【0024】
実施例1では、図3に示す如く、矯正ロール10,11の材料入口側領域において、右斜め上方向に臨んで開放する両矯正ロール10,11間の隙間に第1のガイドバーフェーシング12aが、移送経路から離間するにつれて右斜め上方に傾斜する状態で挿入され、これと移送経路を挟んで対称に第2のガイドバーフェーシング12bが、左斜め下方向に臨んで開放する両矯正ロール10,11間の隙間に移送経路から離間するにつれて左斜め下方に傾斜した状態で挿入され、両者は同一傾斜面上に配置されている。また、材料出口側領域において、右斜め下方向に臨んで開放する両矯正ロール10,11間の隙間に第3のガイドバーフェーシング12cが、移送経路から離間するにつれて右斜め下方に傾斜する状態で挿入され、これと移送経路を挟んで対称に第4のガイドバーフェーシング12dが、左斜め上方向に臨んで開放する両矯正ロール10,11間の隙間に移送経路から離間するにつれて左斜め上方に傾斜した状態で挿入され、両者は同一傾斜面上に配置される。前記矯正ロール10,11における材料入口側領域に配置された一対のガイドバーフェーシング12a,12bと、材料出口側領域に配置された一対のガイドバーフェーシング12c,12dとは、対称な位置関係にある。
【0025】
(ガイドバーフェーシング12の進退移動手段100について)
前記各ガイドバーフェーシング12は、図3に示す如く、進退移動手段100によって、移送経路と交差する方向に進退移動可能に構成されており、被加工材料Wの直径またはガイドバーフェーシング12の摩耗等に応じて、該ガイドバーフェーシング12の案内面を被加工材料Wに対して適切に位置調整し得るように構成される。実施例1の進退移動手段100は、駆動モータとしてのサーボモータ101と、該サーボモータ101によって正転および逆転するネジ軸102と、該ネジ軸102に螺合し、ガイドバーフェーシング12に連結したナット部103とを備えた、所謂ネジ送り機構が採用されている。すなわち、サーボモータ101によってネジ軸102を回転することで、該ネジ軸102とナット部103との螺合作用下に、ガイドバーフェーシング12が移送経路と交差する方向に進退移動され、該ガイドバーフェーシング12における案内面の移送経路に対する位置を調整し得るよう構成される。各ガイドバーフェーシング12を位置調整するサーボモータ101は、図5に示すように制御装置14に接続されており、該制御装置14は、ガイドバーフェーシング12の予め設定された原点位置からのサーボモータ101の回転量およびガイドバーフェーシング12の進退移動方向の幅寸法から、位置調整されたガイドバーフェーシング12の現在位置を認識し得るよう構成される。なお、制御装置14には、被加工材料Wの直径や、ガイドバーフェーシング12の進退移動方向の幅寸法(摩耗していない初期の幅寸法)や、後述する検出棒105の原点位置から矯正部Rにおける被加工材料Wの適切なパスラインの位置(適切な位置)までの距離等の既知の値等の各種情報は、予め入力されている。
【0026】
(監視手段13について)
図3図4に示す如く、前記各ガイドバーフェーシング12に、前記矯正部Rを通過する被加工材料Wの通材位置を監視する監視手段13が夫々設けられている。実施例1では、監視手段13として、被加工材料Wおよび対向する他方のガイドバーフェーシング12に接触して、該被加工材料Wの位置および他方のガイドバーフェーシング12の案内面の位置を検出可能な接触式の位置検出手段13が用いられている。各ガイドバーフェーシング12に設けられる位置検出手段13の構成は同じであるので、第3のガイドバーフェーシング12cに配設された位置検出手段13を例に挙げて説明する。
【0027】
前記位置検出手段13は、図4に示す如く、前記ネジ軸102、ナット部103および第3のガイドバーフェーシング12cに形成されて該フェーシング12cの進退移動方向に貫通する貫通孔104に進退移動自在に挿通支持された検出棒105と、該検出棒105を進退移動する移動手段106と、検出棒105の移動量を検出する移動量検出手段107とを備える。なお、移動手段106として、実施例1では検出棒105を挟持するピンチローラを回転モータによって正転および逆転することで、検出棒105を貫通孔104に沿って進退移動する機構を採用しているが、その他の各種機構を採用し得る。また、実施例1では、移動量検出手段107として、ワイヤ式エンコーダが用いられている。このワイヤ式エンコーダ107は、検出棒105に接続したワイヤ107aの引き出し量から該検出棒105の移動位置(移動量)を検出するものであって、移動量検出手段107は、前記制御装置14に接続されている。また、位置検出手段13は、検出棒105の先端位置を原点位置に位置決めする原点位置決め手段108を備える。この原点位置決め手段108は、前記貫通孔104に対して直交方向に出没可能なピンを備え、貫通孔104内を後退移動する検出棒105の先端がピンの配設位置を通過して該ピンが貫通孔104内に突出したことを図示しない検出手段で検出したときに、位置検出手段13が検出棒105の後退移動を停止後、該検出棒105を前進して先端をピンに当接することで、該検出棒105の先端を原点位置に位置決めし得るよう構成される。すなわち、矯正中の被加工材料Wに検出棒105を接触する接触式の位置検出手段13では、検出棒105が経時的に摩耗して該検出棒105の長さが変化するので、常に先端を原点位置に位置決めすることで、該原点位置から被加工材料Wまたは対向する他方のガイドバーフェーシング12の案内面に接触するまでの検出棒105の移動量を正確に検出し得るよう構成される。なお、対向するガイドバーフェーシング12,12に対応して設けられる各位置検出手段13における検出棒105が挿通支持される貫通孔104の位置は材料移送方向にずらして設けられる。また、検出棒105は、被加工材料Wを疵付けないよう、該被加工材料Wより柔らかい材質の材料から形成される。
【0028】
図4(a)は、前記位置検出手段13において、前記貫通孔104内にピンが突出して、該ピンに検出棒105の先端が当接した原点位置に検出棒105を位置決めした状態を示している。位置検出手段13は、ピンを貫通孔104から引っ込めた状態で原点位置の検出棒105を前記移動手段106で前進させ、当該検出棒105が配設されている第3のガイドバーフェーシング12cの案内面から検出棒105の先端部を突出させて、図4(b)に示す如く、該先端部を対向する第4のガイドバーフェーシング12dの案内面に接触させる。前記制御装置14は、原点位置の検出棒105の先端が第4のガイドバーフェーシング12dの案内面に接触して移動が停止した位置までの移動量検出手段107で検出された移動量(位置情報)から、該第4のガイドバーフェーシング12dの案内面の位置を認識し得るよう構成される。また、検出棒105の原点位置と、矯正部Rにおける被加工材料Wの適切なパスラインの位置(適切な位置)は、予じめ入力された機械寸法等から得られる既知の値であって、制御装置14は、該既知の値と、位置検出手段13から得られた第4のガイドバーフェーシング12dの案内面の位置から、該案内面の適切なパスラインからの変位量を求めるよう構成される。
【0029】
また前記位置検出手段13は、一対のガイドバーフェーシング12,12の間を被加工材料Wが通過している状態で、前述したと同様に、原点位置の検出棒105を前記移動手段106で前進させ、図4(c)に示す如く、当該検出棒105の先端を被加工材料Wの外周面に接触させて、該被加工材料Wの位置を検出するよう構成される。そして、前記制御装置14は、原点位置の検出棒105の先端が被加工材料Wに接触して移動が停止した位置までの移動量検出手段107で検出された移動量(位置情報)から、矯正部Rを通過している被加工材料Wの位置を認識するよう構成される。なお、検出棒105は、被加工材料Wの直径上の外周面に接触するよう設定されている。また、制御装置14は、既知の値である被加工材料Wの直径と、位置検出手段13から得られた被加工材料Wの外周面の位置から、前記適切なパスラインの位置(適切な位置)に対する被加工材料Wの中心の変位量を求めるよう構成される。そして、制御装置14は、前記適切なパスラインに対するガイドバーフェーシング12の案内面の変位量および被加工材料Wの中心の変位量に基づいて、各ガイドバーフェーシング12の位置調整を行うよう構成される。なお、矯正部Rにおける被加工材料Wの適切なパスラインの位置(適切な位置)とは、一対の矯正ロール10,11の間を通過する被加工材料Wに適正な矯正を施し得る位置であって、被加工材料Wの中心が適切なパスラインに沿って一対の矯正ロール10,11の間を通過することで、該被加工材料Wは適正に矯正される。
【0030】
前記矯正機には、図1に示す如く、前記一対の矯正ロール10,11の矯正部Rに対する材料入側に、前工程から送られてくる被加工材料Wを矯正部Rに向けて案内する入口ガイド(入口側の案内手段)16を備えた第1入口側案内装置15が配設されると共に、矯正部Rに対する材料出側に、矯正部Rを通過した被加工材料Wを下流側の搬出手段(図示せず)に向けて案内する出口ガイド(出口側の案内手段)31を備えた第1出口側案内装置30が配設されている。
【0031】
(第1入口側案内装置15について)
前記第1入口側案内装置15は、前記入口ガイド16と、該入口ガイド16を後述する導入位置と矯正案内位置とに自動で移動(シフト)する入口側シフト手段24と、第1入口側矯正案内位置調整手段109を備える。入口ガイド16は、図1に示す如く、被加工材料Wが通過可能なガイド孔18が形成された第1入口側導入ガイド部(導入ガイド部)17と、被加工材料Wが通過可能なガイド孔20が形成されると共に回転自在に支持された第1入口側導出ガイド部(導出ガイド部)19とを備え、材料移送方向の上流側(材料入口側)に第1入口側導入ガイド部17が配置されると共に材料移送方向の下流側(材料出口側)に第1入口側導出ガイド部19が配置される。第1入口側導入ガイド部17および入口側導出ガイド部19は、各ガイド孔18,20が材料移送方向に整列して配置されて、両ガイド孔18,20を通過する被加工材料Wを前記矯正部Rに向けて案内する。第1入口側導入ガイド部17のガイド孔18は、材料移送方向の上流側から下流側に向けて縮径するテーパ状の孔であって、該ガイド孔18の入口の内径は被加工材料Wの直径より十分に大きな寸法に設定されて、前工程から送られてくる被加工材料Wの先端をガイド孔18内に円滑に導入可能に構成される。また、第1入口側導出ガイド部19のガイド孔20は、材料移送方向の上流側に形成されて上流側から下流側に向けて縮径するテーパ状の導入孔部20aと、該導入孔部20aの下流端から当該ガイド孔20の出口まで等径で延在するように形成された等径孔部20bとから形成されている。そして、各ガイド部17,19におけるガイド孔18,20の各部の内径は、矯正対象となる被加工材料Wの直径に応じて設定される。実施例1では、入口ガイド16を導入位置から矯正案内位置へ移動する際に、被加工材料Wに対して主に第1入口側導出ガイド部19における等径孔部20bの内面が当接するようにガイド孔18,20の各部の内径が設定されており、被加工材料Wの回転に伴って第1入口側導出ガイド部19が回転するよう構成される。なお、前記被加工材料Wが接触する入口ガイド16は、硬質の材料から形成することが好ましい。
【0032】
前記第1入口側案内装置15では、図1および図2に示す如く、前記入口ガイド16(第1入口側導入ガイド部17および第1入口側導出ガイド部19)が配設された入口可動体21が、ガイドレールとスライダとからなるリニアガイド22によって入口基台23に対して一対の矯正ロール10,11の対向方向と交差する被加工材料Wの径方向(実施例1では材料移送方向と直交する水平方向)に沿って移動可能に支持されており、入口ガイド16は、被加工材料Wの径方向に移動可能に構成される。なお、入口基台23に対して入口可動体21(入口ガイド16)が移動する方向について、以後シフト方向と指称する。また、前記入口基台23には、入口側油圧シリンダ24が配設され、該シリンダ24のピストンロッドが入口可動体21に連繋されており、入口側油圧シリンダ24を正逆付勢することにより入口可動体21を前記シフト方向に沿って往復移動して、入口ガイド16(第1入口側導入ガイド部17および第1入口側導出ガイド部19)を被加工材料Wの先端が進入可能な導入位置と、該入口ガイド16で案内される被加工材料Wが前記ガイドバーフェーシング12,12の間の適切な位置(適切なパスライン)を通過する予め設定された矯正案内位置との間を往復移動するよう構成される。実施例1では、入口ガイド16を導入位置と矯正案内位置との間で移動する入口側油圧シリンダ24が、入口ガイド16を矯正ロール10,11の対向方向と交差する方向に沿って移動する入口側シフト手段として構成される。なお、入口ガイド16の導入位置は、前工程から送られてくる被加工材料Wの先端が、当該入口ガイド16におけるガイド孔18に導入可能な位置に設定される。
【0033】
前記入口基台23には、図2に示す如く、前記入口可動体21を挟んで入口側油圧シリンダ24とは反対側に、前記第1入口側矯正案内位置調整手段109が設けられている。第1入口側矯正案内位置調整手段109は、入口基台23に対して複数のネジ111によって位置決め固定されるストッパ110を備え、該ストッパ110は、ネジ111を弛めた状態で入口可動体21の往復移動方向に位置調整可能に構成される。そして、入口側油圧シリンダ24の付勢によって導入位置からシフト方向に沿って移動した入口可動体21がストッパ110に当接することで、該入口可動体21に配設した前記入口ガイド16を前記矯正案内位置に位置決めし得るようになっている。
【0034】
ここで、前記入口ガイド16を前記導入位置から矯正案内位置に移動するシフト量は、前記位置検知手段13から得られるガイドバーフェーシング12の案内面の位置(適正なパスラインに対する変位量)や一対のガイドバーフェーシング12,12の間を通過する被加工材料Wの位置(材料中心の適正なパスラインに対する変位量)等の位置情報(検出情報)に基づいて、前記制御装置14によって求められる。そして、導入位置に対して制御装置14によって求めたシフト量に対応する位置に前記ストッパ110を位置決めすることで、入口側油圧シリンダ24を付勢するだけで入口ガイド16を矯正案内位置に移動して位置決めし得るよう構成される。
【0035】
ここで、前記第1入口側導入ガイド部17および第1入口側導出ガイド部19は、前記入口可動体21に対して着脱交換可能に配設されて、オーダー変更等によって矯正対象となる被加工材料Wの種類(直径等)が変更された場合に、対応する内径のガイド孔18,20が形成された第1入口側導入ガイド部17および第1入口側導出ガイド部19に交換し得るようになっている。すなわち、入口可動体21には、図1および図2に示す如く、材料移送方向の上流側に、筒状の入口側第1ホルダ(ホルダ)25が配設されており、該第1ホルダ25の通孔25aに対して第1入口側導入ガイド部17を材料移送方向の上流側から挿通して、固定ボルト26で位置決め固定し得るよう構成される。また、入口可動体21には、材料移送方向の下流側に、筒状の入口側第2ホルダ27が配設されており、該第2ホルダ27の通孔27aに対して第1入口側導出ガイド部19を材料移送方向の上流側から挿通して、抜止め部材28によって位置決め固定し得るよう構成される。そして、第1入口側導入ガイド部17および第1入口側導出ガイド部19を対応するホルダ25,27に取り付けることで、各ガイド部17,19のガイド孔18,20が材料移送方向に整列する。また、第1入口側導出ガイド部19は、入口側第2ホルダ27に対してベアリング29を介してガイド孔20の延在方向の軸回りに回転可能に支持される。なお、実施例1の第1入口側導出ガイド部19の最大の外径は、前記入口側第1ホルダ25の通孔25aの内径より小さく設定されており、該通孔25aに挿通した第1入口側導出ガイド部19を入口側第2ホルダ27の通孔27aに挿通し得るようになっている。
【0036】
(第1出口側案内装置30について)
前記第1出口側案内装置30は、前記出口ガイド31と、該出口ガイド31を後述する導入位置と矯正案内位置とに自動で移動(シフト)する出口側シフト手段39と、第1出口側矯正案内位置調整手段112を備える。出口ガイド31は、図1に示す如く、被加工材料Wが通過可能なガイド孔33が形成された第1出口側導入ガイド部(導入ガイド部)32と、被加工材料Wが通過可能なガイド孔35が形成されると共に回転自在に支持された第1出口側導出ガイド部(導出ガイド部)34とを備え、材料移送方向の上流側(材料入口側)に第1出口側導入ガイド部32が配置されると共に材料移送方向の下流側(材料出口側)に第1出口側導出ガイド部34が配置される。第1出口側導入ガイド部32および第1出口側導出ガイド部34は、各ガイド孔33,35が材料移送方向に整列して配置されて、両ガイド孔33,35を通過する被加工材料Wを下流側の搬送手段(図示せず)に向けて案内する。第1出口側導入ガイド部32のガイド孔33は、材料移送方向の上流側から下流側に向けて縮径するテーパ状の孔であって、該ガイド孔33の入口の内径は被加工材料Wの直径より十分に大きな寸法に設定されて、矯正部Rを通過してくる被加工材料Wの先端をガイド孔33内に円滑に導入可能に構成される。また、第1出口側導出ガイド部34のガイド孔35は、材料移送方向の上流側に形成されて、上流側から下流側に向けて縮径するテーパ状の導入孔部35aと、該導入孔部35aの下流端から当該ガイド孔35の出口まで等径で延在するように形成された等径孔部35bとから形成されている。そして、各ガイド部32,34におけるガイド孔33,35の各部の内径は、矯正対象となる被加工材料Wの直径に応じて設定される。実施例1では、出口ガイド31を導入位置から矯正案内位置へ移動する際に、被加工材料Wに対して第1出口側導出ガイド部34における等径孔部35bの内面のみが当接するようにガイド孔33,35の各部の内径が設定されており、被加工材料Wの回転に伴って第1出口側導出ガイド部34が回転するよう構成される。なお、前記被加工材料Wが接触する出口ガイド31は、硬質の材料から形成することが好ましい。
【0037】
前記第1出口側案内装置30では、前記出口ガイド31(第1出口側導入ガイド部32および第1出口側導出ガイド部34)が配設された出口可動体36が、ガイドレールとスライダとからなるリニアガイド37によって出口基台38に対して一対の矯正ロール10,11の対向方向と交差する被加工材料Wの径方向(実施例1では材料移送方向と直交する水平方向)に沿って移動可能に支持されており、出口ガイド31は、被加工材料Wの径方向に移動可能に構成される。実施例1では、出口基台38に対して出口可動体36は、前記入口基台23に対して入口可動体21が移動するシフト方向に沿って移動し得るようになっている。すなわち、入口ガイド16および出口ガイド31は、シフト方向に沿って平行移動するよう構成される。また、出口基台38には、出口側油圧シリンダ39が配設され、該シリンダ39のピストンロッドが出口可動体36に連繋されており、出口側油圧シリンダ39を正逆付勢することにより出口可動体36を前記シフト方向に移動して、出口ガイド31(第1出口側導入ガイド部32および第1出口側導出ガイド部34)を被加工材料Wの先端が進入可能な導入位置と、該出口ガイド31およ前記入口ガイド16で案内される被加工材料Wが前記ガイドバーフェーシング12,12の間の適切な位置(適切なパスライン)を通過する予め設定された矯正案内位置との間を往復移動するよう構成される。実施例1では、出口ガイド31を導入位置と矯正案内位置との間で移動する出口側油圧シリンダ39が、出口ガイド31を矯正ロール10,11の対向方向と交差する方向に沿って移動する出口側シフト手段として構成される。なお、出口ガイド31の導入位置は、矯正部Rを通過してくる被加工材料Wの先端が、当該出口ガイド31におけるガイド孔33に導入可能な位置に設定される。
【0038】
前記第1出口側導入ガイド部32および第1出口側導出ガイド部34は、前記出口可動体36に対して着脱交換可能に配設されて、オーダー変更等によって矯正対象となる被加工材料Wの種類(直径等)が変更された場合に、対応する内径のガイド孔33,35が形成された第1出口側導入ガイド部32および第1出口側導出ガイド部34に交換し得るようになっている。すなわち、出口可動体36には、図1に示す如く、材料移送方向の上流側(材料入口側)に、筒状の出口側第1ホルダ(ホルダ)41が配設されており、該第1ホルダ41の通孔41aに対して第1出口側導入ガイド部32を材料移送方向の上流側から挿通して、固定ボルト42で位置決め固定し得るよう構成される。また、出口可動体36には、材料移送方向の下流側(材料出口側)に、筒状の出口側第2ホルダ(ホルダ)43が配設されており、該第2ホルダ43の通孔43aに対して第1出口側導出ガイド部34を材料移送方向の上流側から挿通して、抜止め部材44によって位置決め固定し得るよう構成される。そして、第1出口側導入ガイド部32および第1出口側導出ガイド部34を対応するホルダ41,43に取り付けることで、各ガイド部32,34のガイド孔33,35が材料移送方向に整列する。また、第1出口側導出ガイド部34は、出口側第2ホルダ43に対してベアリング45を介してガイド孔35の延在方向の軸回りに回転可能に支持される。なお、実施例1の第1出口側導出ガイド部34の最大の外径は、前記出口側第1ホルダ41の通孔41aの内径より小さく設定されており、該通孔41aに挿通した第1出口側導出ガイド部34を出口側第2ホルダ43の通孔43aに挿通し得るようになっている。
【0039】
前記出口基台38には、図2に示す如く、前記出口可動体36を挟んで出口側油圧シリンダ39とは反対側に、前記第1出口側矯正案内位置調整手段112が設けられている。第1出口側矯正案内位置調整手段112は、出口基台38に対して複数のネジ114によって位置決め固定されるストッパ113を備え、該ストッパ113は、ネジ114を弛めた状態で出口可動体36の往復移動方向に位置調整可能に構成される。そして、出口側油圧シリンダ39の付勢によって導入位置からシフト方向に沿って移動した出口可動体36がストッパ113に当接することで、該出口可動体36に配設した前記出口ガイド31を前記矯正案内位置に位置決めし得るようになっている。
【0040】
ここで、前記出口ガイド31を前記導入位置から矯正案内位置に移動するシフト量は、前記位置検知手段13から得られるガイドバーフェーシング12の案内面の位置(適正なパスラインに対する変位量)や一対のガイドバーフェーシング12,12の間を通過する被加工材料Wの位置(材料中心の適正なパスラインに対する変位量)等の検出情報に基づいて、前記制御装置14によって求められる。そして、導入位置に対して制御装置14によって求めたシフト量に対応する位置に前記ストッパ113を位置決めすることで、出口側油圧シリンダ39を付勢するだけで出口ガイド31を矯正案内位置に移動して位置決めし得るよう構成される。
【0041】
ここで、前記被加工材料Wは、両矯正ロール10,11間(矯正部R)を移送される際に、該矯正ロール10,11の回転方向に応じて所定方向に捻転し、移送経路と交差する方向へ移動しようとする。実施例1においては、矯正部Rの入口側では、被加工材料Wが捻転により前記第1のガイドバーフェーシング12aに圧接する方向に移動し、矯正部Rの出口側では、被加工材料Wが捻転により前記第4のガイドバーフェーシング12dに圧接する方向に移動する。そこで、実施例1の矯正機では、前記入口ガイド16を入口側油圧シリンダ24によって被加工材料Wが第1のガイドバーフェーシング12aから離間する方向に移動させると共に、前記出口ガイド31を出口側油圧シリンダ39によって被加工材料Wが第4のガイドバーフェーシング12dから離間する方向に移動させることで、矯正部Rにおいてガイドバーフェーシング12に被加工材料Wから加わる負荷を低下させるよう構成される。すなわち、入口ガイド16および出口ガイド31を、被加工材料Wの捻転による移動方向と反対側に移動することで、両ガイド16,31で案内される被加工材料Wを、ガイドバーフェーシング12に過大な負荷を掛けない矯正部Rの適切な位置に通過させて、ガイドバーフェーシング12の摩耗を抑制し得るようになっている。言い替えると、矯正部Rに進入する被加工材料Wを、入口ガイド16によって第1のガイドバーフェーシング12aから離間する側に変位させておくことで、第1および第2のガイドバーフェーシング12a,12bで案内される被加工材料Wから各フェーシング12a,12bが受ける負荷を大幅に減少することができ、また矯正部Rから通出する被加工材料Wを、出口ガイド31によって第4のガイドバーフェーシング12dから離間する側に変位させておくことで、第3および第4のガイドバーフェーシング12c,12dで案内される被加工材料Wから各フェーシング12c,12dが受ける負荷を大幅に減少することができる。
【0042】
ここで、前記第1入口側矯正案内位置調整手段109および第1出口側矯正案内位置調整手段112については、ピストンロッドのストローク量(伸縮量)を可変可能な前記入口側油圧シリンダ24および出口側油圧シリンダ39を用いることができる。すなわち、入口側油圧シリンダ24および出口側油圧シリンダ39の各ピストンロッドのストローク量(伸縮量)を、各ガイド16,31を導入位置と矯正案内位置との間を移動するシフト量に設定する。そして、入口側油圧シリンダ24および出口側油圧シリンダ39のピストンロッドを収縮した位置において、各ガイド16,31を導入位置に保持し、該ピストンロッドを伸長したストロークエンドにおいて、各ガイド16,31を矯正案内位置に保持するようにすれば、矯正中の被加工材料Wからガイド16,31に加わる負荷を、各油圧シリンダ24,39のストロークエンド状態での油圧のクッションによって受けることができ、耐久性を向上することができる。なお、各油圧シリンダ24,39のピストンロッドを収縮した際に、前記可動体21,36に当接するストッパを対応する基台23,38に設け、該ストッパに可動体21,36を当接して各ガイド16,31を導入位置に保持する構成を採用してもよい。
【0043】
図5に示す如く、前記制御装置14に、前記入口側油圧シリンダ24および出口側油圧シリンダ39が接続されると共に、前記各ガイドバーフェーシング12に設けた各位置検出手段13(具体的には移動量検出手段107)が接続されており、各位置検出手段13で検出されたガイドバーフェーシング12の案内面の位置情報および被加工材料Wの位置情報が制御装置14に入力される。また、制御装置14には、前記入口ガイド16に被加工材料Wの先端が導入されたことを検出する導入検出手段115と、前記出口ガイド31から被加工材料Wの先端が通出したことを検出する通過検出手段46とが制御装置14に接続されており、該導入検出手段115および通過検出手段46による検出信号(導入検出信号、通過検出信号)が制御装置14に入力されるようになっている。そして、制御装置14は、前記導入位置に入口ガイド16および出口ガイド31が保持されている状態で、前記導入検出手段115から導入検出信号が入力された際に、前記入口側油圧シリンダ24を作動して入口ガイド16を導入位置から矯正案内位置に移動すると共に、通過検出手段46から通過検出信号が入力された際に、前記出口側油圧シリンダ39を作動して出口ガイド31を導入位置から矯正案内位置に移動するよう設定される。すなわち、実施例1の矯正機では、被加工材料Wの先端が入口ガイド16のガイド孔18,20に進入した後に、前記入口ガイド16および出口ガイド31を矯正案内位置に移動するよう構成される。なお、通過検出手段46としては、被加工材料Wの先端位置を検出可能な各種センサを用いることができるが、被加工材料Wの先端部が矯正ロール10,11で挟持されることで矯正ロール10,11の駆動機構や矯正ロール10,11の間隔を調整する調整機構において負荷(電流値や圧下力)が変化するので、これら駆動機構や調整機構における負荷変動を検出する手段を通過検出手段として用い、該通過検出手段の通過検出信号の入力タイミングと材料速度とから、出口ガイド31から被加工材料Wの先端が通出したことを予測するようにしてもよい。
【0044】
〔実施例1の作用〕
次に、前述のように構成された実施例1の矯正機の作用につき、矯正方法との関係で説明する。
【0045】
前記被加工材料Wの矯正作業に際しては、上下の矯正ロール10,11および各ガイドバーフェーシング12を、被加工材料Wの直径等に応じて所定位置に調整保持すると共に、前記第1入口側案内装置15の入口ガイド16および前記第1出口側案内装置30の出口ガイド31を導入位置に夫々保持する。また、第1入口側案内装置15の前記第1入口側矯正案内位置調整手段109および第1出口側案内装置30の第1出口側矯正案内位置調整手段112については、既に矯正された被加工材料Wの矯正中において前記各位置検出手段13から得られた被加工材料Wの位置情報、および矯正部Rを被加工材料Wが通過していないときに各位置検出手段13から得られた各ガイドバーフェーシング12の案内面の位置情報から制御装置14によって求められたシフト量に基づいて、前記ストッパ110,113を位置調整しておく。
【0046】
前工程から送り込まれる被加工材料Wの先端は、導入位置に保持されている入口ガイド16のガイド孔18,20に進入し、該被加工材料Wの先端のガイド孔18,20への進入を検出した前記導入検出手段115から導入検出信号が入力された前記制御装置14は、前記入口側油圧シリンダ24を作動して入口ガイド16を導入位置から矯正案内位置に自動的に移動する。これにより、入口ガイド16を通過した被加工材料Wの先端部は、矯正案内位置の入口ガイド16で被加工材料Wが案内されることで材料中心が前記適切なパスラインに沿って一対の矯正ロール10,11の間に進入する。すなわち、ガイド孔18,20を通過している被加工材料Wは、入口ガイド16によってシフト方向に移動されて、矯正部Rの材料入口側において被加工材料Wは前記第1のガイドバーフェーシング12aから離間する方向に変位する。これにより、一対の矯正ロール10,11で矯正される被加工材料Wの捻転により第1のガイドバーフェーシング12aに加えられる負荷が低減される。
【0047】
また、前記矯正部Rを通過した被加工材料Wの先端が、導入位置に保持されている前記出口ガイド31のガイド孔33,35に進入し、該ガイド孔33,35を通過した被加工材料Wの先端は前記固定ガイド40を介して下流側の搬出手段に案内される。そして、前記通過検出手段46からの通過検出信号が制御装置14に入力され、被加工材料Wの先端が出口ガイド31を通過したと判断した制御装置14により前記出口側油圧シリンダ39が作動されて、出口ガイド31は導入位置から矯正案内位置に自動的に移動される。すなわち、ガイド孔33,35を通過している被加工材料Wは、出口ガイド31によってシフト方向に移動されて、矯正部Rの材料出口側において被加工材料Wは前記第4のガイドバーフェーシング12dから離間する方向に変位する。これにより、一対の矯正ロール10,11で矯正される被加工材料Wの捻転により第4のガイドバーフェーシング12dに加えられる負荷が低減される。
【0048】
前記被加工材料Wの矯正中において、前記各位置検出手段13の検出棒105を移動して被加工材料Wの位置を検出し、その位置情報が制御装置14に入力されることで、該制御装置14は、矯正中の被加工材料Wの位置を認識する。また、矯正機には、同一オーダの被加工材料Wが所定間隔離間して順次送り込まれるようになっており、前記矯正部Rを被加工材料Wが通過していないタイミングで、前記各位置検出手段13の検出棒105を移動して各ガイドバーフェーシング12の案内面の位置を検出する。そして、各位置検出手段13から制御装置14に入力されるガイドバーフェーシング12の案内面の位置情報によって、該制御装置14はガイドバーフェーシング12の案内面の位置を認識する。
【0049】
実施例1の矯正機および矯正方法では、一対の矯正ロール10,11の矯正部Rに対する材料入側および材料出側に配設した入口ガイド16および出口ガイド31を、矯正ロール10,11の対向方向と交差する方向に移動可能に構成し、各ガイド16,31を導入位置と矯正案内位置との間を移動するようにしたので、導入位置においては上流側から送られてくる被加工材料Wの先端を対応するガイド孔18,20,33,35に円滑に進入させることができる。また、各ガイド16,31を導入位置から矯正案内位置へ移動することで、被加工材料Wが捻転により圧接されるガイドバーフェーシング12a,12dに加えられる負荷を低減する適切な位置を被加工材料Wが通過するように案内することができる。すなわち、被加工材料Wの矯正作業に際し、入口ガイド16および出口ガイド31により被加工材料Wが矯正部Rの適正な位置を通過するよう案内しているので、被加工材料Wを常時適正な位置で矯正でき、品質を向上し得る。また、ガイドバーフェーシング12に加わる負荷を低減することができ、該フェーシング12の摩耗を低減して使用寿命を延ばすことが可能となる。従って、ガイドバーフェーシング12の摩耗に伴う交換期間が長くなって、ランニングコストを低減し得ると共に、交換回数が少なくなることにより矯正機の稼働効率を向上させることができる。
【0050】
また、実施例1の矯正機および矯正方法では、前記入口ガイド16のガイド孔18,20に前記被加工材料Wの先端が進入したときに、該入口ガイド16を導入位置から矯正案内位置に移動すると共に、被加工材料Wの先端が前記出口ガイド31のガイド孔33,35を通過したときに、該出口ガイド31を導入位置から矯正案内位置に移動するので、矯正部Rを通過する被加工材料Wを適切な時期に変位してガイドバーフェーシング12に加わる負荷を低減し得る。すなわち、各ガイド孔18,20,33,35への被加工材料Wの先端の進入を円滑にするもとで、被加工材料Wの矯正精度を向上することができる。
【0051】
実施例1の入口ガイド16および出口ガイド31は、被加工材料Wの先端をガイド孔18,33内に導入する導入ガイド部17,32と、被加工材料Wが通出するガイド孔20,35が形成されて該被加工材料Wを矯正案内位置において変位させると共に被加工材料Wと共に回転可能な導出ガイド部19,34とに分割するようにしたので、被加工材料Wと共に回転する部材の質量を小さくすることができ、案内装置15,30に作用する慣性二次モーメントを低減することができる。また、導出ガイド部19,34の慣性二次モーメントを低減し得るので、該導出ガイド部19,34を支持する構造を簡略化することができ、製造コストを低廉に抑えることができる。更に、矯正案内位置において被加工材料Wに当接する導出ガイド部19,34が被加工材料Wと共に回転するので、被加工材料Wから導出ガイド部19,34に過大な負荷が加わるのを防止することができる。この結果として、被加工材料Wの表面に傷が付くのを防ぐことができる。また、導出ガイド部19,34が偏摩耗することなく均等に摩耗するので、該導出ガイド部19,34で被加工材料Wを適正に案内し得る使用寿命を延ばすこともできる。
【0052】
実施例1の矯正機および矯正方法では、被加工材料Wの通材位置を監視する各位置検出手段13により検出された位置情報(監視結果)に基づいて設定した矯正案内位置に入口ガイド16および出口ガイド31を移動するので、被加工材料Wをより精度よく矯正部Rの適切な位置に通過させることができ、矯正精度をより向上し得る。また、位置検出手段13をガイドバーフェーシング12に設けたので、矯正部Rを通過している被加工材料Wの位置を検出することができ、その位置情報に基づいて設定した矯正案内位置へ入口ガイド16および出口ガイド31を移動することで、被加工材料Wをより精度よく矯正部Rの適切な位置に通過させることができ、更に矯正精度を向上し得る。
【0053】
また、前記各位置検出手段13から入力される被加工材料Wの位置情報およびガイドバーフェーシング12の案内面の位置情報に基づいて、前記制御装置14は、前記各ガイドバーフェーシング12を進退移動手段100を作動して、各ガイドバーフェーシング12の案内面を、前記矯正部Rにおいて被加工材料Wを適正な位置を通過案内し得る位置に調整する。すなわち、制御装置14は、ガイドバーフェーシング12の案内面の摩耗が進行して適正な案内ができなくなると判断した場合(例えばガイドバーフェーシング12の案内面の適正なパスラインに対する変位量が規定値となった場合)に、ガイドバーフェーシング12を位置調整する。これにより、被加工材料Wを長期に亘って適正な位置で矯正でき、品質を向上し得る。すなわち、位置検出手段13から入力されるガイドバーフェーシング12の案内面の位置情報に基づいて、該ガイドバーフェーシング12の摩耗量を検出して、該摩耗量に合せてガイドバーフェーシング12を適正な位置に移動させることができ。
【0054】
また、各案内装置15,30において、ガイド16,31を固定ボルト26,42や抜止め部材28,44を用いて簡単に着脱交換可能に構成したので、オーダ変更に迅速に対応することができ、矯正機の稼働効率を向上することができる。
【実施例2】
【0055】
図6および図7は、実施例2に係る矯正機を示すものであって、実施例1と異なる部分についてのみ説明し、実施例1に既出の同一または同一機能を有する部材には同じ符号を付すものとする。
【0056】
(第2入口側案内装置116について)
実施例2の第2入口側案内装置116における入口ガイド117は、第2入口側導入ガイド部(導入ガイド部)118および第2入口側導出ガイド部(導出ガイド部)119の夫々が、入口基台23に対して入口可動体21を介して夫々シフト方向に沿って移動自在に支持される。また、第2入口側導入ガイド部118は、入口可動体21に対してホルダ120を介して固定されて材料移送方向の上流側(材料入口側)に位置する入口側固定ガイド118aと、入口可動体21に対してホルダ121を介して回転自在に支持されて材料移送方向の下流側(材料出口側)に位置する入口側回転ガイド118bとに分割されている。入口側固定ガイド118aには、材料移送方向の上流側から下流側に向けて縮径するテーパ状のガイド孔18aが形成されると共に、入口側回転ガイド118bには、上流端から下流端まで等径のガイド孔18bが形成されている。
【0057】
前記第2入口側導出ガイド部119は、前記第1入口側導出ガイド部19と同様に、テーパ状の導入孔部20aおよび等径孔部20bからなるガイド孔20が形成されると共に、第2入口側導出ガイド部119は、入口可動体21に対して入口側第2ホルダ27を介して回転自在に支持される。また、第2入口側案内装置116は、第2入口側導出ガイド部119をガイド孔20の延在方向の軸回りに回転駆動する入口側回転手段(回転手段)122を備える。この入口側回転手段122は、入口側第2ホルダ27に配設された回転モータ122aと、該回転モータ122aの回転力を第2入口側導出ガイド部119に伝達する歯付きベルトやチェン等の伝達部材122bとを備え、回転モータ122aを駆動することで伝達部材122bを介して第2入口側導出ガイド部119を積極的に回転するよう構成される。実施例2では、第2入口側導出ガイド部119によって被加工材料Wを案内中に、矯正によって回転する被加工材料Wとの間に所定の周速差が生じるように第2入口側導出ガイド部119を回転駆動することで、被加工材料Wの表面に接触する第2入口側導出ガイド部119によって被加工材料Wの表面のスケールや傷等を除去し得るよう構成される。
【0058】
実施例2の第2入口側案内装置116は、被加工材料Wの矯正に際し、前記第2入口側導入ガイド部118を図示しない固定手段で導入位置に位置決め固定(具体的には入口基台23に対して入口可動体21を固定手段で固定)したもとで、前記第2入口側導出ガイド部119のみを、入口側油圧シリンダ24によって導入位置と矯正案内位置との間を移動するよう構成される。すなわち実施例2では、入口ガイド117を構成する第2入口側導出ガイド部119が、被加工材料Wの矯正に際して矯正部Rへの材料入側において導入位置から矯正案内位置へ移動される案内手段として機能する。また、第2入口側案内装置116には、前記入口基台23に、図7に示す如く、前記第2入口側導出ガイド部119が配設された入口可動体21を挟んで入口側油圧シリンダ24とは反対側に、第2入口側矯正案内位置調整手段123が設けられている。第2入口側矯正案内位置調整手段123は、制御装置14に接続するサーボモータ123aと、該サーボモータ123aにより回転するネジ軸を介して入口可動体21の往復移動方向に移動可能なストッパ123bとを備え、サーボモータ123aを制御してストッパ123bの位置を任意に変更調整可能に構成される。すなわち、入口側油圧シリンダ24の付勢によって導入位置から移動する入口可動体21が当接するストッパ123bの位置を変えることで、該入口可動体21に配設された第2入口側導出ガイド部119の矯正案内位置を調整し得るようになっている。
【0059】
なお、実施例2では、前記第2入口側導入ガイド部118が配設された入口可動体21の前記固定手段による入口基台23に対する固定を解除することで、該入口可動体21を、下流側(第2入口側導出ガイド部側)の前記ホルダ121から入口側回転ガイド118bを着脱交換可能な交換位置まで移動させ得るよう構成される。実施例2では、入口基台23に対して入口可動体21をシフト方向に沿って移動可能に支持する機構が、ホルダ121に対して対応する案内手段としての入口側回転ガイド118bを交換可能な交換位置に移動するシフト機構として機能する。
【0060】
(第2出口側案内装置124について)
実施例2の第2出口側案内装置124における出口ガイド125は、第2出口側導入ガイド部(導入ガイド部)126および第2出口側導出ガイド部(導出ガイド部)127の夫々が、出口基台38に対して出口可動体36を介して夫々シフト方向に沿って移動自在に支持される。また、第2出口側導入ガイド部126は、出口可動体36に対してホルダ128を介して回転自在に支持されて材料移送方向の上流側(材料入口側)に位置する入口側回転ガイド126aと、該ホルダ128に回転自在に支持されて材料移送方向の下流側(材料出口側)に位置する出口側回転ガイド126bとに分割されている。入口側回転ガイド126aには、材料移送方向の上流側から下流側に向けて縮径するテーパ状のガイド孔33aが形成されると共に、出口側回転ガイド126bには、上流端から下流端まで等径のガイド孔33bが形成されている。
【0061】
また、前記第2出口側案内装置124は、第2出口側導入ガイド部126における入口側回転ガイド126aをガイド孔33aの延在方向の軸回りに回転駆動する出口側回転手段(回転手段)129を備える。この出口側回転手段129は、前記ホルダ128に配設された回転モータ129aと、該回転モータ129aの回転力を入口側回転ガイド126aに伝達する歯付きベルトやチェン等の伝達部材129bとを備え、回転モータ129aを駆動することで伝達部材129bを介して入口側回転ガイド126aを積極的に回転するよう構成される。実施例2では、前記第2入口側案内装置116の第2入口側導出ガイド部119と同様に、被加工材料Wを案内中の入口側回転ガイド126aを積極回転することで、該入口側回転ガイド126aによって被加工材料Wの表面のスケールや傷等を除去し得るよう構成される。なお、第2出口側案内装置124の前記第2出口側導出ガイド部127は、前記第1出口側導出ガイド部34と同様に、テーパ状の導入孔部35aおよび等径孔部35bからなるガイド孔35が形成されている。
【0062】
実施例2の第2出口側案内装置124は、被加工材料Wの矯正に際し、前記第2出口側導出ガイド部127を図示しない固定手段で導入位置に位置決め固定(具体的には出口基台38に対して出口可動体36を固定手段で固定)したもとで、前記第2出口側導入ガイド部126のみを、出口側油圧シリンダ39によって導入位置と矯正案内位置との間を移動するよう構成される。すなわち実施例2では、出口ガイド125を構成する第2出口側導入ガイド部126が、被加工材料Wの矯正に際して矯正部Rの材料出側において導入位置から矯正案内位置へ移動される案内手段として機能する。また、第2出口側案内装置124には、前記出口基台38に、図7に示す如く、前記第2出口側導入ガイド部126が配設された出口可動体36を挟んで出口側油圧シリンダ39とは反対側に、第2出口側矯正案内位置調整手段130が設けられている。第2出口側矯正案内位置調整手段130は、前記第2入口側矯正案内位置調整手段123と同様に、制御装置14に接続するサーボモータ130aと、該サーボモータ130aにより回転するネジ軸を介して出口可動体36の往復移動方向に移動可能なストッパ130bとを備え、サーボモータ130aを制御してストッパ130bの位置を任意に変更調整可能に構成される。すなわち、出口側油圧シリンダ39の付勢によって導入位置から移動する出口可動体36が当接するストッパ130bの位置を変えることで、該出口可動体36に配設された第2出口側導入ガイド部126の矯正案内位置を調整し得るようになっている。すなわち、実施例2の矯正機では、第2入口側案内装置116および第2出口側案内装置124において、矯正ロール10,11(矯正部R)に近接する側のガイド部119,126のみを、被加工材料Wの矯正に際して導入位置と矯正案内位置との間を移動するよう構成される。なお、実施例2においても、矯正ロール10,11(矯正部R)を挟んで上流側に位置する第2入口側導出ガイド部119と下流側に位置する第2出口側導入ガイド部126の導入位置から矯正案内位置への移動方向は逆となっている。
【0063】
なお、実施例2では、前記第2出口側導出ガイド部127が配設された出口可動体36の前記固定手段による出口基台38に対する固定を解除することで、該出口可動体36を、前記第2出口側導入ガイド部126の前記ホルダ128から出口側回転ガイド126bを着脱交換可能な交換位置まで移動させ得るよう構成される。実施例2では、出口基台38に対して出口可動体36をシフト方向に沿って移動可能に支持する機構が、ホルダ128に対して対応する案内手段としての出口側回転ガイド126bを交換可能な交換位置に移動するシフト機構として機能する。すなわち、第2出口側導出ガイド部127を導入位置から交換位置に移動することで、第2出口側導入ガイド部126の下流側から第2出口側導出ガイド部127がシフト方向に退避することで、当該第2出口側導入ガイド部126のホルダ128からの出口側回転ガイド126bの着脱交換が可能となる。
【0064】
〔実施例2の作用〕
次に、前述のように構成された実施例2の矯正機の作用につき、実施例1と異なる部分についてのみ説明する。
【0065】
実施例2の矯正機では、前記第2入口側案内装置116の入口ガイド117について、第2入口側導入ガイド部118を導入位置に固定配置すると共に、第2入口側導出ガイド部119のみを導入位置と矯正案内位置との間で移動するよう構成した。また、前記第2出口側案内装置124の出口ガイド125についても同様に、第2出口側導出ガイド部127を導入位置に固定配置すると共に、第2出口側導入ガイド部126のみを導入位置と矯正案内位置との間で移動するよう構成した。このように、入口ガイド117および出口ガイド125の分割した一方のガイド部119,126のみを移動するよう構成することで、該ガイド部119,126を移動するための駆動源としての前記油圧シリンダ24,39を小型化することができ、製造コストを低減し得ると共に装置の小型化を図ることができる。
【0066】
実施例2の矯正機では、第2入口側導出ガイド部119を矯正案内位置へ移動した際に、該第2入口側導出ガイド部119を挟んで矯正部Rと反対側での被加工材料Wの変位を、導入位置に保持されている第2入口側導入ガイド部118で規制することで、第2入口側導出ガイド部119により被加工材料Wを、矯正部Rにおいて第1のガイドバーフェーシング12aに対する負荷を低下させる方向へ効率的に変位させることができる。また、第2出口側導入ガイド部126を矯正案内位置へ移動した際に、該第2出口側導入ガイド部126を挟んで矯正部Rと反対側での被加工材料Wの変位を、導入位置に保持されている第2出口側導出ガイド部127で規制することで、第2出口側導入ガイド部126により被加工材料Wを、矯正部Rにおいて第4のガイドバーフェーシング12dに対する負荷を低下させる方向へ効率的に変位させることができる。更に、実施例2の矯正機では、第2入口側案内装置116および第2出口側案内装置124において、矯正部Rに近接するガイド部119,126を矯正案内位置に移動しているので、両ガイド部119,126により被加工材料Wをより効率的に変位させ得る。
【0067】
実施例2の矯正機では、前記第2入口側導出ガイド部119および入口側回転ガイド126aを、被加工材料Wの案内中に対応する回転手段122,129によって、矯正によって回転する被加工材料Wとの間に所定の周速差が生じるように積極的に回転駆動している。これにより、第2入口側導出ガイド部119および入口側回転ガイド126aに接触する被加工材料Wの表面のスケールや傷等が除去され、品質向上に寄与し得る。また、実施例2の第2入口側矯正案内位置調整手段123および第2出口側矯正案内位置調整手段130は、サーボモータ123a,130aによってストッパ123b,130bの位置調整を自動で行い得るので、前記制御装置14で求められたシフト量に応じて簡単に矯正案内位置を調整し得る。
【0068】
また、実施例2では、前記第2入口側導入ガイド部118および第2出口側導出ガイド部127を交換位置まで移動することで、第2入口側導入ガイド部118のホルダ121に対して入口側回転ガイド118bを着脱交換し得ると共に、第2出口側導入ガイド部126のホルダ128に対して出口側回転ガイド126bを着脱交換し得る。すなわち、第2入口側導入ガイド部118や第2出口側導出ガイド部127をシフト方向に沿って移動させるだけで、入口側回転ガイド118bや出口側回転ガイド126bを簡単に交換することができる。
【実施例3】
【0069】
図8図10は、実施例3に係る矯正機を示すものであって、基本的な構成は前記実施例2と同じであるので、該実施例2と異なる部分についてのみ説明し、実施例2に既出の同一または同一機能を有する部材には同じ符号を付すものとする。具体的に、実施例2では入口基台23および出口基台38に対して入口ガイド117および出口ガイド125をシフト方向に沿ってスライド移動可能に構成しているが、実施例3では、入口基台23および出口基台38に対して入口ガイド117および出口ガイド125を回動可能に構成する点が異なっている。
【0070】
(第3入口側案内装置131について)
実施例3の第3入口側案内装置131は、前記入口基台23に、材料移送方向に沿って延在する入口側支持軸132が配設されており、該入口側支持軸132に、前記第2入口側導入ガイド部118を支持しているホルダ120,121を保持する第1入口側保持部材133の長手方向の一端部が回動自在に支持される。また、前記第2入口側導出ガイド部119を支持している入口側第2ホルダ27を保持する第2入口側保持部材134の長手方向の一端部が、前記入口側支持軸132に回動自在に支持されている。すなわち、第2入口側導入ガイド部118および第2入口側導出ガイド部119は、入口側支持軸132を中心として揺動可能に構成される。また、第1入口側保持部材133は、図示しない固定手段によって、第2入口側導入ガイド部118を導入位置に固定し得るよう構成される。
【0071】
また、前記入口側第2ホルダ27に、前記入口側油圧シリンダ24が回動可能に連繋されており、該入口側油圧シリンダ24を正逆付勢することにより前記第2入口側保持部材134が入口側支持軸132を中心として揺動して、第2入口側導出ガイド部119を導入位置と矯正案内位置とに位置させ得るよう構成される。なお、入口側油圧シリンダ24を付勢して第2入口側保持部材134を揺動した際に、前記第2入口側矯正案内位置調整手段123のストッパ123bに入口側第2ホルダ27が当接することで、前記第2入口側導出ガイド部119が矯正案内位置に位置決めされる(図10参照)。
【0072】
なお、実施例3では、前記第1入口側保持部材133の前記固定手段による固定を解除した状態で、該第1入口側保持部材133と前記第2入口側保持部材134とを相互に反対方向に揺動することで、前記入口側回転ガイド118bの下流側から第2入口側導出ガイド部119が側方に退避し、前記ホルダ121から入口側回転ガイド118bを着脱交換し得るよう構成される。すなわち、実施例3では、入口基台23に配設した入口側支持軸132に対して第2入口側導入ガイド部118および第2入口側導出ガイド部119を揺動可能に支持する機構が、ホルダ121に対して対応する案内手段としての入口側回転ガイド118bを交換可能な交換位置に移動するシフト機構として機能する。
【0073】
(第3出口側案内装置135について)
実施例3の第3出口側案内装置135は、前記出口基台38に、材料移送方向に沿って延在する出口側支持軸136が配設されており、該出口側支持軸136に、前記第2出口側導入ガイド部126を支持しているホルダ128を保持する第1出口側保持部材137の長手方向の一端部が回動自在に支持される。また、前記第2出口側導出ガイド部127を支持している出口側第2ホルダ43を保持する第2出口側保持部材138の長手方向の一端部が、前記出口側支持軸136に回動自在に支持されている。すなわち、第2出口側導入ガイド部126および第2出口側導出ガイド部127は、出口側支持軸136を中心として揺動可能に構成される。また、第2出口側保持部材138は、図示しない固定手段によって、第2出口側導出ガイド部127を導入位置に固定し得るよう構成される。
【0074】
また、前記ホルダ128に、前記出口側油圧シリンダ39が回動可能に連繋されており、該出口側油圧シリンダ39を正逆付勢することにより前記第1出口側保持部材137を出口側支持軸136を中心として揺動して、第2出口側導入ガイド部126を導入位置と矯正案内位置とに位置させ得るよう構成される。なお、出口側油圧シリンダ39を付勢して第1出口側保持部材137を揺動した際に、前記第2出口側矯正案内位置調整手段130のストッパ130bに前記ホルダ128が当接することで、前記第2出口側導入ガイド部126が矯正案内位置に位置決めされる。
【0075】
実施例3では、前記第2出口側保持部材138の前記固定手段による固定を解除した状態で、該第2出口側保持部材138と前記第1出口側保持部材137とを相互に反対方向に揺動することで、前記出口側回転ガイド126bの下流側から第2出口側導出ガイド部127が側方に退避し、前記ホルダ128から出口側回転ガイド126bを着脱交換し得るよう構成される。すなわち、実施例3では、出口基台38に配設した出口側支持軸136に対して第2出口側導入ガイド部126および第2出口側導出ガイド部127を揺動可能に支持する機構が、ホルダ128に対して対応する案内手段としての出口側回転ガイド126bを交換可能な交換位置に移動するシフト機構として機能する。
【0076】
〔実施例3の作用〕
次に、前述のように構成された実施例3の矯正機の作用につき、実施例2と異なる部分についてのみ説明する。
【0077】
実施例3では、前記第3入口側案内装置131や第3出口側案内装置135において、前記第1入口側保持部材133および第2入口側保持部材134や前記第1出口側保持部材137および第2出口側保持部材138を揺動することで、前記ホルダ121,128を、該ホルダ121,128から対応する入口側回転ガイド118bや出口側回転ガイド126bを着脱交換し得る交換位置に移動し得るので、オーダ変更等に際して各ガイド118b,126bの交換を簡単に行うことができ、ガイド118b,126bの交換に必要となる作業時間を短縮して、矯正機の稼働効率を向上することができる。
【0078】
また、実施例3では、前記第3入口側案内装置131において、前記第1入口側保持部材133と前記第2入口側保持部材134とを相互に反対方向に揺動することで、前記ホルダ121を、該ホルダ121から入口側回転ガイド118bを着脱交換し得る交換位置に移動するよう構成した。すなわち、第1入口側保持部材133および第2入口側保持部材134の何れか一方のみを揺動して、ホルダ121から入口側回転ガイド118bを交換し得る状態とするまでの揺動量を半分とすることが可能となり、交換時に必要とするスペースを小さくできる。同様に、前記第3出口側案内装置135においても、前記第1出口側保持部材137と前記第2出口側保持部材138とを相互に反対方向に揺動することで、前記ホルダ128を、該ホルダ128から出口側回転ガイド126bを着脱交換し得る交換位置に移動するよう構成した。すなわち、第1出口側保持部材137および第2出口側保持部材138の何れか一方のみを揺動して、ホルダ128から出口側回転ガイド126bを交換し得る状態とするまでの揺動量を半分とすることができ、交換時に必要とするスペースを小さくできる。
【0079】
〔別実施例〕
図11および図12は、実施例3における前記入口ガイド117および出口ガイド125のシフト手段の別実施例を示すものであって、実施例3と異なる部分についてのみ説明し、実施例3に既出の同一または同一機能を有する部材には同じ符号を付すものとする。またシフト手段の別実施例については、入口ガイド117をシフトする手段を例に挙げて説明する。
【0080】
図11および図12は、別実施例の入口側シフト手段47を採用した第3入口側案内装置131を示すものであって、入口側シフト手段47は、リンク機構としてのトグル機構48と、該トグル機構48を作動させる入口側油圧シリンダ(駆動シリンダ)24とを備える。別実施例の入口側シフト手段47を採用した矯正機では、第3入口側案内装置131を材料移送方向と交差する両側を囲う固定フレーム49における一方の側面に、前記第2入口側導出ガイド部119を支持する入口側第2ホルダ27に当接可能な固定ストッパ50が設けられ、別実施例では、トグル機構48を作動して前記入口側支持軸132を中心に第2入口側保持部材134が揺動して入口側第2ホルダ27が固定ストッパ50に当接した位置が、前記導入位置に設定されている。
【0081】
前記固定フレーム49には、前記固定ストッパ50の配設位置と反対側に、固定ベース51が設けられ、該固定ベース51上に前記トグル機構48や後述する調整手段52等が設けられている。固定ベース51には、前記シフト方向に沿って移動自在に可動フレーム53が支持されている。この可動フレーム53は、シフト方向に離間する一対の支持材54,55を複数のステー56で連結した枠型に構成されている。また、可動フレーム53を構成する一方の支持材54に、前記第2入口側導出ガイド部119(具体的には入口側第2ホルダ27)が回動可能に連繋されており、該可動フレーム53と第2入口側導出ガイド部119とは一体的に移動するよう構成される。前記可動フレーム53を構成する他方の支持材55に、ピストンロッドを下向きにして前記入口側油圧シリンダ24が揺動可能に支持されている。前記トグル機構48は、ピストンロッドの先端に配設した作動部材57と、該作動部材57に一端が回転可能に支持されると共に他端が前記他方の支持材55に回転可能に支持される第1連繋部材58と、該作動部材57に対して第1連繋部材58と同軸で一端が回転可能に支持されると共に他端が前記固定ベース51に固定された固定部材60に回転可能に支持された第2連繋部材59とから構成される。そして、入口側油圧シリンダ24を作動してピストンロッドを伸縮動作することで、作動部材57が上下方向に往復移動するのに伴って一対の連繋部材58,59が傾動して、可動フレーム53が固定ベース51上をシフト方向(図11の左右方向)に沿って移動するよう構成される。すなわち、前記第2入口側導出ガイド部119に連繋した可動フレーム53がシフト方向に沿って移動するのに伴って、前記第2入口側保持部材134が前記入口側支持軸132を中心に揺動するよう構成される。
【0082】
前記固定フレーム49には、図11に示す如く、前記第2入口側導出ガイド部119を挟んで固定ストッパ50と対向する位置に、可動ストッパ52bがシフト方向に沿って移動自在に支持されている。そして、別実施例の入口側シフト手段47では、前記トグル機構48を作動して可動フレーム53を図11の左方向に移動することで、前記入口側第2ホルダ27が前記固定ストッパ50に当接して第2入口側導出ガイド部119が導入位置に位置めされ、該トグル機構48を作動して可動フレーム53を図11の右方向に移動することで、入口側第2ホルダ27が前記可動ストッパ52bに当接して第2入口側導出ガイド部119が矯正案内位置に位置めされるようになっている。
【0083】
ここで、前記トグル機構48は、前記作動部材57に枢支されている一対の連繋部材58,59のなす角度(図11における下側の角度)が180°に近づく程、大きな力が発現するよう構成されたものであり、別実施例では、入口側油圧シリンダ24のピストンロッドを伸長して連繋部材58,59のなす角度が180°に近くなる位置で、前記入口側第2ホルダ27が前記可動ストッパ52bに当接するよう設定される。これにより、第2入口側導出ガイド部119を矯正案内位置に位置決めした状態で、案内している被加工材料Wから受ける負荷によって第2入口側導出ガイド部119が変位するのを防止し得る。
【0084】
別実施例の入口側シフト手段47を採用した第3入口側案内装置131は、前記実施例3と同様に、第2入口側導出ガイド部119の矯正案内位置を調整可能な調整手段(矯正案内位置調整手段)52を備えている。この調整手段52は、制御装置14に接続するサーボモータ52aと、該サーボモータ52aにより回転するネジ軸を介してシフト方向に沿って移動可能な前記可動ストッパ52bとを備え、サーボモータ52aを制御して可動ストッパ52bの位置を任意に変更調整可能に構成される。すなわち、前記トグル機構48の作動によって導入位置から移動する第2入口側導出ガイド部119を支持する入口側第2ホルダ27が当接する可動ストッパ52bの位置を変えることで、該第2入口側導出ガイド部119の矯正案内位置を調整し得るようになっている。
【0085】
別実施例の入口側シフト手段47を用いた矯正機では、リンク機構として簡易で堅牢な構成のトグル機構48の採用によって、第2入口側導出ガイド部119を平行かつ速やかに導入位置から矯正案内位置に移動して確実に位置決めすることができ、ガイドバーフェーシング12に被加工材料Wから加わる負荷を速やかに低減して該フェーシング12の摩耗をより抑制でき、耐久寿命を長くすることができる。また、矯正案内位置において第2入口側導出ガイド部119をトグル機構48によって強固に保持することができるので、被加工材料Wから受ける負荷によって第2入口側導出ガイド部119が変位するのを小さな力で抑制することができ、被加工材料Wを適正に案内して矯正精度を向上し得る。
【0086】
図13は、位置検出手段の別実施例を採用した実施例3の矯正機を示すものであって、該別実施例の位置検出手段として、非接触式の2Dセンサ61,61を用いている。2Dセンサ61,61は、2次元の距離を測定するセンサであって、例えば、LRF(Laser Range Finder)、ミリ波レーダ、レーザレーダ等を採用可能である。図13の別実施例では、前記第3入口側案内装置131と矯正ロール10,11との間、および矯正ロール10,11と前記第3出口側案内装置135との間の夫々に、被加工材料Wの移送経路から側方に離間した位置に2Dセンサ61を配置している。そして、各2Dセンサ61で検出された被加工材料Wの位置情報が制御装置14に入力され、該制御装置14は、位置情報と被加工材料Wの直径とから、前記適切なパスラインの位置(適切な位置)に対する被加工材料Wの中心の変位量を求める。
【0087】
前記非接触式の2Dセンサ61,61を位置検出手段として用いることで、実施例1のような接触式の位置検出手段13のように、経時的に摩耗する検出棒105を原点位置に位置決めするための原点位置決め手段108を省略することができ、機械構成を簡略化し得る。
【0088】
〔変更例〕
本願は、前述した各実施例の構成に限定されるものでなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
1.シフト手段は、油圧シリンダによる直動方式やトグル機構を用いたものに限定されず、例えばボールねじ機構を採用することができる。また、別実施例では、トグル機構によってガイドを直接移動させるよう構成したが、リンク機構によってガイドを移動可能に支持し、該リンク機構をトグル機構によって作動することでガイドを移動させる構成を採用することができる。
2.実施例では、入口ガイドおよび出口ガイドを、導入ガイド部と導出ガイド部とに分割したが、入口ガイドおよび出口ガイドを、導入ガイド部と導出ガイド部とを一体として全体を回転可能に構成したり、または導入ガイド部と導出ガイド部とを一体として全体が回転しない構成を採用することができる。
3.実施例では、リニアガイドによって基台に対して可動体(ガイド)を平行移動可能に成したが、可動体(ガイド)を平行移動し得るものであれば、凹溝と突条等の組み合せ等、その他各種の直線案内手段を採用することができる。
4.実施例では、上下の矯正ロールの間に形成された隙間の開放方向に合わせてガイドバーフェーシングを斜めに進退移動するよう構成したが、ガイドバーフェーシングの形状を、前記隙間に対して矯正ロールと干渉することなく真横から進退可能な形状とすれば、一対のガイドバーフェーシングを水平に進退移動する構成を採用し得る。
5.実施例では、上下の矯正ロールが両方とも胴部周面が軸線方向に凹状となる鼓状に形成したものを組合わせたが、一方の矯正ロールの胴部周面が径方向に凸状となる樽状(太鼓状)に形成された構成を採用することができる。
【0089】
6.非接触式の位置検出手段(監視手段)として、静電容量検出方式、エアマイクロ方式、電気マイクロ方式、レーザ反射光検出方式、透過型距離検出方式等の各種方式を採用することができる。非接触式の位置検出手段の配設位置は、図13に示す位置に限らず、例えば、実施例1に示した検出棒の先端に非接触式の位置検出手段の検出部を設け、検出時に検出部を検出対象であるガイドバーフェーシングの案内面や被加工材料に接近させる構成を採用できる。また、位置検出手段としてカメラ等の撮像手段を用い、該撮像手段によって撮像された被加工材料の位置情報から、適切なパスラインの位置(適切な位置)に対する被加工材料の中心の変位量を求めることもできる。
7.位置検出手段における移動量検出手段は、ワイヤ式エンコーダに限らず、ピンチローラの回転量を検出するエンコーダ等、各種の検出手段を採用し得る。
8.図11に示す別実施例のシフト手段や、図13に示す別実施例の位置検出手段は、他の実施例の矯正機に採用し得る。
9.実施例では、入口側の案内手段(入口ガイド)および出口側の案内手段(出口ガイド)の両方の案内手段を矯正案内位置に移動するよう構成したが、入口側の案内手段(入口ガイド)および出口側の案内手段(出口ガイド)の少なくとも一方の案内手段のみを矯正案内位置に移動する構成を採用し得る。
10.実施例では、 監視手段での監視結果に基づいて設定された矯正案内位置に、案内手段を自動で移動するよう構成したが、監視手段での監視結果に基づいて設定された矯正案内位置(シフト量等の情報)を表示手段等に表示するよう構成し、該表示手段に表示された情報に基づいて作業者が手動で矯正案内位置調整手段を操作して案内手段を矯正案内位置に移動させるようにしてもよい。
11.実施例では、4つのガイドバーフェーシングにより被加工材料を案内するよう構成したが、被加工材料の移送経路を挟んで一対のガイドバーフェーシングを対向配置すると共に、該一対のガイドバーフェーシングより下流側において移送経路の一方側(被加工材料が捻転により移動する側)に1つのガイドバーフェーシングを配置し、3つのガイドバーフェーシングで被加工材料を案内する構成を採用し得る。
【0090】
12.実施例1においてガイドバーフェーシングに設けた位置検出手段および図13に示す別実施例の位置検出手段は、何れか一方を用いたり、両方を併用することができる。
13.実施例1および別実施例の位置検出手段を併用する構成において、別実施例の被加工材料を検出可能な2Dセンサを、導入検出手段および通過検出手段として用いることができる。具体的には、矯正ロールより上流に配置した一方の2Dセンサで被加工材料の先端を検出してからタイマに設定した所定時間後に(材料先端が矯正ロールに噛み込む前のタイミングで)、入口ガイドを導入位置から矯正案内位置に移動し、矯正ロールより下流に配置した他方の2Dセンサで被加工材料の先端を検出してからタイマに設定した所定時間後に(材料先端が出口ガイドを通出したタイミングで)、出口ガイドを導入位置から矯正案内位置に移動するよう構成する。すなわち、2Dセンサを、監視手段と導入検出手段および通過検出手段として用いることができる。
14.出口ガイドを導入位置から矯正案内位置に移動するタイミングを得るための通過検出手段として、被加工材料の先端部が矯正ロールで挟持されることで矯正ロールの駆動機構や調整機構における負荷変動を検出する手段を用いることができることは前述したが、入口ガイドを導入位置から矯正案内位置に移動するタイミングを得るための手段として、前記駆動機構や調整機構における負荷変動を検出する手段を用いることができる。
【符号の説明】
【0091】
10 上矯正ロール(矯正ロール),11 下矯正ロール(矯正ロール)
12 ガイドバーフェーシング(ガイドバー),13 位置検出手段(監視手段)
16 入口ガイド(入口側の案内手段),18 ガイド孔,20 ガイド孔
24 入口側油圧シリンダ(入口側シフト手段,駆動シリンダ)
33 ガイド孔,35 ガイド孔
39 出口側油圧シリンダ(出口側シフト手段,駆動シリンダ)
48 トグル機構(リンク機構),61 2Dセンサ(位置検出手段,監視手段)
118 第2入口側導入ガイド部(導入ガイド部)
119 第2入口側導出ガイド部(入口側の案内手段,導入ガイド部)
122 入口側回転手段(回転手段)
126 第2出口側導入ガイド部(出口側の案内手段,導入ガイド部)
127 第2出口側導出ガイド部(導出ガイド部),129 出口側回転手段(回転手段)
W 被加工材料,R 矯正部
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