(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記監視機能部は、少なくとも前記携帯端末に対するユーザ操作の有無を周期的に監視し、前記ユーザ操作を検知した場合に、検知した状態を表す情報を自発的に前記監視サーバに対して無線通信により送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の操作監視システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1〜特許文献4のいずれにおいても、運転者が携帯電話等の携帯端末を操作する状態を、カメラで撮影した映像などの情報に基づいて間接的に検出している。したがって、実際に運転者が携帯端末を操作している状態であってもそれを検知できない場合がある。例えば、カメラで撮影できない位置にあるスマートフォンなどの携帯端末を、顔を動かさずに運転者が操作している場合や、電波の送信を伴わないアプリケーションソフトウェアを操作しているような場合には、この操作を監視システムが検出できない。
【0008】
一方、デジタルタコグラフやドライブレコーダのような車載器を搭載した車両においては、車室内の運転者等の運転状況を撮影した画像データを自動的に記録する機能を利用できる場合がある。このような車載器の記録データを車両の運行後に解析すれば、車両の運行中に運転者が携帯端末を操作しながら運転したか否かをある程度は把握できる。しかし、手間のかかる解析作業が必要になる。しかも、リアルタイムの検出が不可能であるため、車両の運行中に警報を出力して携帯端末の操作を中止させることはできない。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両の運転操作に影響を及ぼす運転者による運転中の携帯端末操作を確実に検出することが可能な操作監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明に係る操作監視システムは、下記(1)〜(
4)を特徴としている。
(1) 携帯端末上で動作する監視機能部と、
車両に搭載され無線通信により前記監視機能部と連携して動作可能な車載器、および前記車両外に配置される監視サーバの少なくとも一方と、
を備え、
前記車載器、又は前記監視サーバは、前記監視機能部が送信する情報に基づいて、前記車両が運行状態のときに前記携帯端末が所定の操作状態であることを認識した場合には、
所定の警報イベントを表す信号を前記携帯端末に送信
し、
前記車載器は、前記警報イベントが発生した場合に、前記監視サーバの指示に従って、又は自発的に、前記車両上で撮影された映像の少なくとも一定時間に亘る情報を前記監視サーバに送信し、
前記監視サーバは、前記車載器から送信された前記映像の情報を出力する、
ことを特徴とする操作監視システム。
【0011】
上記(1)の構成の操作監視システムによれば、監視機能部は携帯端末上で動作するので、携帯端末に対する運転者の操作を確実に検出できる。また、車載器又は監視サーバは、監視機能部の検出した操作状態に応じて適切な警報イベントを生成できる。この警報イベントにより、運転者が携帯端末の操作を中止して車両運行の安全を確保するように注意喚起できる。
更に、運転者が前記携帯端末の操作を行う際に、車両上で撮影された映像の情報を監視サーバ側で再生できる。したがって、監視サーバにアクセス可能な管理者は、再生される映像に基づいて運転者の運転状況を正しく把握できる。
【0012】
(2) 前記監視機能部は、少なくとも前記携帯端末に対するユーザ操作の有無を周期的に監視し、前記ユーザ操作を検知した場合に、検知した状態を表す情報を自発的に前記監視サーバに対して無線通信により送信する、
上記(1)に記載の操作監視システム。
【0013】
上記(2)の構成の操作監視システムによれば、車両上に携帯端末との間で通信可能な車載器が存在しない場合であっても、携帯端末に対するユーザ(運転者)の操作状態を監視サーバに知らせることができる。
【0014】
(3) 前記車載器は、前記監視機能部との間で通信する機能を有し、
前記車載器は、少なくとも前記車両が運行状態のときに、所定の監視指示を周期的に前記監視機能部に送信し、
前記監視機能部は、前記車載器から受信した前記監視指示に従って、前記携帯端末の操作状態に関する情報を前記車載器に送信する、
上記(1)に記載の操作監視システム。
【0015】
上記(3)の構成の操作監視システムによれば、監視機能部は、車載器からの指示に従って携帯端末の操作状態に関する情報を送信するので、例えば監視機能部がスリープ状態であったとしても、必要なタイミングで通常の動作を再開して必要な情報を車載器に送ることができる。
【0018】
(
4) 前記監視機能部は、前記携帯端末上で動作可能なアプリケーションソフトウェアである、
上記(1)乃至(
3)のいずれかに記載の操作監視システム。
【0019】
上記(
4)の構成の操作監視システムによれば、監視機能部がアプリケーションソフトウェアであるので、様々な種類の携帯端末に必要に応じて組み込み、動作させることができる。また、これ以外のアプリケーションソフトウェアに特別な変更を加えなくても、携帯端末に備わっている基本ソフト(オペレーティングシステム)の機能を利用することにより、運転者の入力操作を検知できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の操作監視システムによれば、車両の運転操作に影響を及ぼす運転者による運転中の携帯端末操作を確実に検出することが可能である。すなわち、携帯端末上で動作する監視機能部が携帯端末に対する運転者の入力操作を直接的に検出するので、確実な動作が期待できる。
【0021】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0024】
[第1実施形態]
<操作監視システムの構成例>
本発明の第1実施形態における操作監視システムの構成および通信状況の例を
図1に示す。
【0025】
図1に示した操作監視システム100は、スマートフォン10、車載器20、監視サーバ30、および管理者端末40を備えている。なお、スマートフォン10の代わりに一般的な携帯電話端末や、その他の携帯端末を利用してもよい。なお、
図1に示した操作監視システム100においては、車載器20とスマートフォン10との間で直接通信を行うことができない状況を想定している。
【0026】
図1に示したスマートフォン10は、例えばトラック等の業務用車両を運転する乗務員(運転者)個人の所有物であってもよいし、当該車両の運行時に乗務員が使用できるように乗務員に与える企業所有の端末であってもよい。
【0027】
また、詳細については後述するが、スマートフォン10は一般的なアプリケーションソフトウェアの他に、本発明を実施するために必要な監視用のアプリケーションソフトウェア(後述する監視アプリ14)を装備している。スマートフォン10のそれ以外の構成については一般的なスマートフォンと同様である。本発明を実施する場合には、例えば車両の運行を管理している企業が各車両を運行する乗務員に対して、車両運行時の安全確保のために、監視アプリ14を予めスマートフォン10に組み込んだ状態で使用することを義務付けることとする。
【0028】
図1に示した車載器20は、乗務員が運行するトラック等の業務用車両の各々に搭載した状態で使用される。車載器20は、例えばドライブレコーダや、ドライブレコーダの機能を有するデジタルタコグラフのように、車両の運行管理や乗務員の安全運転管理などに役立つ機能を提供するものである。また、操作監視システム100に含まれる車載器20は、本発明を実施するために更に特別な機能を搭載している。これについては後で説明する。
【0029】
監視サーバ30は、各乗務員の車両運行中のスマートフォン10の状態や管理対象の各車両に搭載された車載器20を監視すると共に必要に応じて適切な指示を与える機能を有している。監視サーバ30は、例えば各車両を管理する企業の事務所内、あるいは所定のデータセンタ内に設置される。
【0030】
図1に示した操作監視システム100の構成においては、監視サーバ30と各乗務員のスマートフォン10との間では、広域無線通信を利用することにより、通信S01、S02ができるようになっている。また、監視サーバ30と各車両に搭載された車載器20との間では、広域無線通信を利用することにより、通信S03、S04ができるようになっている。
【0031】
また、各車両を管理している企業の事務所内に、管理者端末40が設置されている。この管理者端末40は、企業内の運行管理者により操作される。管理者端末40は、監視サーバ30との間で通信S05が可能であり、各車両の運行状態をコンピュータの画面上に表示する機能を有している。
【0032】
図1に示したように、通信S01は、スマートフォン10の操作情報をスマートフォン10が監視サーバ30に送るための通信である。また、通信S02は、警報イベント情報を監視サーバ30がスマートフォン10に送るための通信である。通信S03は、ドライブレコーダ(ドラレコ)映像送信を、監視サーバ30が車載器20に要求するための通信である。通信S04は、要求されたドライブレコーダ映像のデータを車載器20が監視サーバ30に送るための通信である。通信S05は、警報イベント情報およびドライブレコーダ映像のデータを、監視サーバ30が管理者端末40に送るための通信である。
【0033】
<通信動作の概要>
図1に示した操作監視システム100の通信動作の概要を
図2に示す。
図2に示したように、スマートフォン10は通信S01により、スマートフォン10における操作情報を監視サーバ30に送る。監視サーバ30は、スマートフォン10から受信した操作情報に基づいて警報イベント情報を生成し、これを通信S02によりスマートフォン10に送る。後述するように、実際には、車両が運行状態であって且つスマートフォン10の操作が行われた場合に、警報イベント情報が発生する。
【0034】
また、監視サーバ30は、通信S03により、車載器20に対して、ドライブレコーダ映像の送信を要求する。車載器20は、監視サーバ30からの要求に従い、通信S04で、ドライブレコーダ映像のデータを監視サーバ30に送る。監視サーバ30は、通信S05により、警報イベント情報およびドライブレコーダ映像のデータを管理者端末40に送る。
【0035】
スマートフォン10においては、通信S02として受信する警報イベント情報により警報が出力されるので、スマートフォン10のユーザである運転者は、運転中のスマートフォン10の操作を中止して運行の安全を確保するように促される。
【0036】
また、管理者端末40を操作する運行管理者は、スマートフォン10のユーザが車両の運行中にスマートフォン10を操作したことを、管理者端末40上で表示される警報イベント情報により把握できる。更に、当該車両における運転者の状況を、管理者端末40上で表示されるドライブレコーダ映像により把握できる。したがって、これらの情報に基づいて運行管理者は、該当する乗務員が安全運転をするように指導することができる。
【0037】
<車載器の構成例>
図1に示した操作監視システム100に含まれる車載器20の構成例を
図3に示す。
図1に示すように、この車載器20はマイクロコンピュータ(CPU)21、カメラインタフェース(I/F)22、通信モジュール23、GPS受信機24、RAM25、不揮発メモリ26、スピーカ27、およびマイク28を備えている。
【0038】
また、カメラインタフェース22の入力に車載カメラ29が接続されている。この車載カメラ29は、自車両の車室内に固定した状態で設置され、自車両を運転する運転者の顔などの状況を撮影できるように撮影方向や視野角が予め調整されている。なお、運転者を撮影する車載カメラ29の他に、車両外側の道路等の情景を撮影する車載カメラをカメラインタフェース22に接続してもよい。
【0039】
マイクロコンピュータ21は、予め組み込まれているプログラムを実行することにより、車載器20に必要とされる機能を実現するための処理を行う。例えば、特定のイベントが発生した場合に、車載カメラ29が撮影した映像の画像データを一定時間だけ取得して記録するドライブレコーダの制御をマイクロコンピュータ21が実行する。また、車載器20と監視サーバ30との間で
図1に示した通信S03、S04を実現するための制御をマイクロコンピュータ21が実行する。
【0040】
カメラインタフェース22は、車載カメラ29が出力する映像等の信号を取り込んで、マイクロコンピュータ21が処理可能な画像データを生成するための信号処理を実行できる。
【0041】
通信モジュール23は、例えば移動体通信事業者が提供する携帯電話等の広域無線通信サービスの無線基地局との間で広域無線通信を行い、車載器20が必要とする無線通信回線を確保するための機能を有している。
【0042】
GPS受信機24は、複数のGPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信し、受信信号の時間に基づいて現在位置を算出する機能を有している。なお、現在位置を算出する機能はマイクロコンピュータ21側で実現してもよい。
【0043】
RAM25は、マイクロコンピュータ21のアクセスによりデータの書き込み及び読み出しが自在な半導体メモリである。RAM25は、マイクロコンピュータ21等が生成した様々な一時データを必要に応じて保持するために利用される。
【0044】
不揮発メモリ26は、マイクロコンピュータ21のアクセスによりデータの読み出しおよび書き換えが可能なメモリである。不揮発メモリ26は、例えば事前に定めたプログラム、定数データ、テーブルなどの固定データを保持するために利用される。
【0045】
スピーカ27は、自車両の運転者等が認識可能な警報や案内用の音響を、音声や音として出力するために利用される。マイク28は、自車両を運転中の運転者の音声や、運転中に発生する様々な音響を車室内で集音するために利用される。
【0046】
<スマートフォン10の構成および動作>
<構成>
本発明の第1実施形態におけるスマートフォン上の監視アプリ14の動作例を
図4に示す。
【0047】
一般的なスマートフォンと同様に、スマートフォン10の内部には、ハードウェア11として様々な電子部品が組み込まれている(
図4参照)。すなわち、マイクロコンピュータ、RAM、ROM、通信デバイス、表示デバイス、タッチパネル、スピーカ、マイク、電源などの回路や部品がハードウェア11に含まれている。
【0048】
また、ハードウェア11内のマイクロコンピュータが標準化された機能としてハードウェア11の他の各要素を制御できるように、オペレーティングシステム(OS:基本ソフト)12がハードウェア11の記憶装置上に予め組み込まれている。
【0049】
スマートフォン10のユーザが使用する様々なアプリケーションソフトウェア(アプリ)13は、オペレーティングシステム12を介して、ハードウェア11の各要素を管理することができる。例えば、ハードウェア11に含まれているタッチパネルに対してユーザ操作15の入力が行われた場合には、この操作をオペレーティングシステム12が検出する。各アプリケーションソフトウェア13は、オペレーティングシステム12の機能を利用することにより、ユーザ操作15の内容を把握できる。
【0050】
また、スマートフォン10は一般的なアプリケーションソフトウェア13の他に、本発明を実施するために特別に組み込まれた監視アプリ14を備えている。この監視アプリ14は、オペレーティングシステム12上で動作し、車両運行中のスマートフォン10のユーザ操作15を検知して警報を出力するために利用される。
【0051】
<監視アプリ14の動作例>
図4に示した監視アプリ14の動作は、ハードウェア11に含まれるマイクロコンピュータにより実行される。
図4に示した監視アプリ14の動作について以下に説明する。なお、本実施形態では監視アプリ14がスマートフォン10上に常駐し、
図4に示す監視動作を常時繰り返し実行する場合を想定している。
【0052】
ステップS11では、スマートフォン10を制御するマイクロコンピュータが、タッチパネル等に対するユーザ操作15に相当する操作情報を、自端末のオペレーティングシステム12から取得する。
【0053】
ステップS12では、スマートフォン10を制御するマイクロコンピュータが、S11で取得した操作情報を、スマートフォン10内部の無線通信機能を利用して、監視サーバ30宛てに送信する。なお、送信先の監視サーバ30を表す情報は事前にスマートフォン10に登録しておくこととする。
【0054】
ステップS13では、スマートフォン10を制御するマイクロコンピュータは、監視サーバ30からの警報イベント情報を受信したか否かを識別する。警報イベント情報を受信した場合に次のS14を実行する。
【0055】
ステップS14では、スマートフォン10を制御するマイクロコンピュータは、自車両を運行しながらのスマートフォン10のユーザ操作15を中止させるために、スマートフォン10上で警報を出力する。例えば、画面上に文字でメッセージを出力したり、スピーカからの音声出力により警告したり、スマートフォン10の機械振動を利用して警報を出力する。
【0056】
<監視サーバの動作例>
本発明の第1実施形態における監視サーバ30の動作例を
図5に示す。すなわち、監視サーバ30内のコンピュータが
図5に示した処理を繰り返し実行する。
図5に示した動作について以下に説明する。
【0057】
ステップS21では、監視サーバ30が監視対象としている各スマートフォン10について、ユーザ操作15の有無を監視サーバ30内のコンピュータが識別する。すなわち、
図1、
図2に示した通信S01で監視サーバ30に入力される操作情報(操作の有無)に基づき、監視サーバ30内のコンピュータが操作ありを検知した場合に、次のS22の処理に進む。
【0058】
ステップS22では、監視サーバ30内のコンピュータは、S21で操作ありを検知したスマートフォン10に対応する運転者が運転している車両が現在走行中か否かを識別し、走行中であれば次のS23の処理に進む。監視サーバ30内のコンピュータは、例えば、予め定めた運行スケジュールと現在時刻とを比較することにより、該当する車両が走行中(運行中)か否かを識別できる。あるいは、監視サーバ30が車載器20等に対して問い合わせを行うことにより、該当する車両が実際に走行しているか否かを表す情報(車速など)を取得できる。
【0059】
ステップS23では、監視サーバ30内のコンピュータは、予め定めた警報イベント情報を、広域無線通信を利用して、S21で検出したスマートフォン10に対して通信S02として送信する。
【0060】
ステップS24では、監視サーバ30内のコンピュータは、ドライブレコーダの映像に関する送信要求(通信S03)を、広域無線通信を利用して、該当する車両に搭載された車載器20に対して送信する。なお、スマートフォン10のユーザ(運転者)、車両、および車両に搭載された車載器20の関係は、例えば所定のデータベースに事前に登録しておくことにより監視サーバ30が把握できる。
【0061】
監視サーバ30内のコンピュータは、車載器20からドライブレコーダの映像のデータを受信(通信S04)すると、S25からS26の処理に進む。そして、管理者端末40に対して警報イベント情報と、ドライブレコーダの映像とを監視サーバ30がS26で通信S05として送信する。
【0062】
[第2実施形態]
<操作監視システムの構成例>
本発明の第2実施形態における操作監視システム100Bの構成および通信状況の例を
図6に示す。
【0063】
図6に示した操作監視システム100Bは、スマートフォン10、車載器20、監視サーバ30、および管理者端末40を備えている。なお、スマートフォン10の代わりに一般的な携帯電話端末や、その他の携帯端末を利用してもよい。
【0064】
図6に示した操作監視システム100Bに含まれているスマートフォン10、車載器20、監視サーバ30、および管理者端末40の基本的な構成は、
図1の操作監視システム100と同様である。但し、
図6の操作監視システム100Bにおいては、車載器20とスマートフォン10との間で、例えばブルートゥース(登録商標)やWiFi(登録商標)のような標準的な無線通信手段を利用して直接通信できる状況を想定している。
【0065】
図6において、通信S01は、スマートフォン10の監視動作を開始するために車載器20が送信する指示(命令)である。また、通信S02は、スマートフォン10の操作情報をスマートフォン10が車載器20に送るための動作である。また、通信S03は、警報イベント情報を車載器20がスマートフォン10に送るための動作である。通信S04は、警報イベント情報およびドライブレコーダの映像を車載器20が監視サーバ30に送るための動作である。通信S05は、警報イベント情報およびドライブレコーダ映像のデータを、監視サーバ30が管理者端末40に送るための通信である。
【0066】
<通信動作の概要>
図6に示した操作監視システム100Bの通信動作の概要を
図7に示す。
図7に示したように、車載器20は、スマートフォン10がユーザ操作の監視動作を開始するように、通信S01により監視指示を送信する。この通信S01は繰り返し行われる。
【0067】
後述するスマートフォン10上の監視アプリ14Bは、通信S01の監視指示に従い、スマートフォン10上のユーザ操作を監視して、その結果を通信S02a、又はS02bとして車載器20に通知する。
【0068】
車載器20は、通信S02bによりスマートフォン10の操作ありを検知し、且つ自車両が運行状態であることを検知した場合には、警報イベント情報を生成し、これを通信S03によりスマートフォン10に送信する。
【0069】
スマートフォン10においては、通信S03として受信する警報イベント情報により警報が出力されるので、スマートフォン10のユーザである運転者は、運転中のスマートフォン10の操作を中止して運行の安全を確保するように促される。
【0070】
また、車載器20は、前記警報イベント情報と、車載カメラ29の撮影により得られたドライブレコーダ映像のデータとを、通信S04により監視サーバ30に送信する。また、監視サーバ30は、車載器20から受信した警報イベント情報、およびドライブレコーダ映像のデータを、通信S05により管理者端末40に送る。
【0071】
したがって、管理者端末40を操作する運行管理者は、スマートフォン10のユーザが車両の運行中にスマートフォン10を操作したことを、管理者端末40上で表示される警報イベント情報により把握できる。更に、当該車両における運転者の状況を、管理者端末40上で表示されるドライブレコーダ映像により把握できる。したがって、これらの情報に基づいて運行管理者は、該当する乗務員が安全運転をするように指導することができる。
【0072】
<監視アプリ14Bの動作例>
本発明の第2実施形態におけるスマートフォン上の監視アプリ14Bの動作例を
図8に示す。
図8に示した監視アプリ14Bの動作は、ハードウェア11に含まれるマイクロコンピュータにより処理される。
図8に示した監視アプリ14Bの動作について以下に説明する。なお、本実施形態では監視アプリ14Bがスマートフォン10上に常駐し、
図8に示す監視動作を車載器20からの指示に従って実行する場合を想定している。
【0073】
車載器20が送出する操作監視指示を通信S01によりスマートフォン10が受信すると、スマートフォン10を制御するマイクロコンピュータの処理はS31からS32に進む。
【0074】
ステップS32では、スマートフォン10のマイクロコンピュータは、スマートフォン10のタッチパネル等に対するユーザ操作15を表す操作情報を、自端末のオペレーティングシステム12から取得する。
【0075】
ステップS33では、スマートフォン10のマイクロコンピュータは、S32で取得した操作情報を、通信S02により車載器20に送信する。すなわち、スマートフォン10上でユーザ操作15が発生したか否かを車載器20に知らせる。
【0076】
また、車載器20が送出する警報イベント情報を通信S03によりスマートフォン10が受信した場合には、スマートフォン10のマイクロコンピュータは、S34からS35の処理に進む。
【0077】
ステップS35では、スマートフォン10を制御するマイクロコンピュータは、自車両を運行しながらのスマートフォン10のユーザ操作15を中止させるために、スマートフォン10上で警報を出力する。例えば、画面上に文字でメッセージを出力したり、スピーカからの音声出力により警告したり、スマートフォン10の機械振動を利用して警報を出力する。
【0078】
<車載器20の動作例>
本発明の第2実施形態における車載器20の動作例を
図9に示す。すなわち、車載器20に内蔵されているマイクロコンピュータ(図示せず)が、
図9に示す動作を実行する。
【0079】
ステップS41では、車載器20のマイクロコンピュータは、例えば自車両の現在の走行速度を事前に定めた閾値と比較することにより、自車両が走行中か否かを識別する。走行中であれば次のS42に進む。
【0080】
ステップS42では、車載器20のマイクロコンピュータは、ユーザ操作15を監視するための事前に定めた指示(命令)を、通信S01によりスマートフォン(スマホ)10に送信する。
【0081】
また、スマートフォン10が送信した操作情報を通信S02により車載器20が受信した場合には、受信した情報の内容に基づいて、スマートフォン10におけるユーザ操作15の有無を、車載器20のマイクロコンピュータがS43で識別する。そして、ユーザ操作15ありの場合は次のS44に進む。
【0082】
ステップS44では、車載器20のマイクロコンピュータは、警報イベント情報を生成し、これを通信S03によりスマートフォン10へ送信する。すなわち、運転しながらのスマートフォン10の操作を中止させるために、車載器20がスマートフォン10に対して警報の出力を指示する。
【0083】
ステップS45では、車載器20のマイクロコンピュータは、警報イベント情報を生成してから一定時間(例えば1分間)以内の車載カメラ29の映像をドライブレコーダの映像データとして取得する。
【0084】
ステップS46では、車載器20のマイクロコンピュータは、S44で生成した警報イベント情報およびS45で取得したドライブレコーダの映像データを、通信S04により監視サーバ30へ送信する。
【0085】
<操作監視システムの利点>
上述の操作監視システム100、100Bにおいては、スマートフォン10上の監視アプリ14、14Bを利用してユーザ操作15を直接監視するので、ユーザ操作15を確実に検出できる。また、監視サーバ30又は車載器20は、運転しながらのユーザ操作15のような危険な状況を検知した場合には、スマートフォン10に対して警報の出力を指示して安全を確保できる。また、生成された警報イベント情報やドライブレコーダの映像を監視サーバ30から管理者端末40へ送信するので、運行管理者は、安全運転の指導が必要な乗務員の情報を管理者端末40から容易に取得できる。
【0086】
また、スマートフォン10のオペレーティングシステム上で動作する1つのアプリケーションソフトウェアとして監視アプリ14、14Bを構成することにより、他のアプリケーションソフトウェアに変更を加えることなく、一般的なスマートフォンをそのまま利用して本発明を実施できる。また、例えば
図9に示したように車載器20がS42でスマートフォン10に対する操作監視指示を繰り返し送信する場合には、例えば監視アプリ14Bが一時的スリープ状態であったとしても、それを必要な時に起動してユーザ操作15を確実に監視することが可能になる。
【0087】
ここで、上述した本発明の実施形態に係る操作監視システムの特徴をそれぞれ以下[1]〜[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 携帯端末(スマートフォン10)上で動作する監視機能部(監視アプリ14)と、
車両に搭載され無線通信により前記監視機能部と連携して動作可能な車載器(20)、および前記車両外に配置される監視サーバ(30)の少なくとも一方と、
を備え、
前記車載器、又は前記監視サーバは、前記監視機能部が送信する情報(
図1中の通信S01又は
図6中の通信S02)に基づいて、前記車両が運行状態のときに前記携帯端末が所定の操作状態であることを認識した場合には、所定の警報イベントを表す信号(
図1中の通信S02又は
図6中の通信S03)を前記携帯端末に送信する、
ことを特徴とする操作監視システム(100、100B)。
【0088】
[2] 前記監視機能部(監視アプリ14)は、少なくとも前記携帯端末に対するユーザ操作(15)の有無を周期的に監視し(S11)、前記ユーザ操作を検知した場合に、検知した状態を表す情報を自発的に前記監視サーバに対して無線通信により送信する(S12)、
ことを特徴とする上記[1]に記載の操作監視システム。
【0089】
[3] 前記車載器(20)は、前記監視機能部との間で通信する機能を有し、
前記車載器は、少なくとも前記車両が運行状態のときに、所定の監視指示を周期的に前記監視機能部に送信し(S41、S42)、
前記監視機能部(監視アプリ14B)は、前記車載器から受信した前記監視指示に従って、前記携帯端末の操作状態に関する情報を前記車載器に送信する(S33)、
ことを特徴とする上記[1]に記載の操作監視システム(100B)。
【0090】
[4] 前記車載器は、前記警報イベントが発生した場合に、前記監視サーバの指示に従って、又は自発的に、前記車両上で撮影された映像の少なくとも一定時間に亘る情報を前記監視サーバに送信し(S45、S46)、
前記監視サーバは、前記車載器から送信された前記映像の情報を出力する(通信S05)、
ことを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の操作監視システム。
【0091】
[5] 前記監視機能部(監視アプリ14、14B)は、前記携帯端末上で動作可能なアプリケーションソフトウェアである、
ことを特徴とする上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の操作監視システム。