特許第6978265号(P6978265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6978265
(24)【登録日】2021年11月15日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】表面処理装置及び表面処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20211125BHJP
【FI】
   H01L21/302 101E
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-191278(P2017-191278)
(22)【出願日】2017年9月29日
(65)【公開番号】特開2019-67899(P2019-67899A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2020年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】宮本 栄司
(72)【発明者】
【氏名】真弓 聡
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 政樹
(72)【発明者】
【氏名】宮里 健一郎
【審査官】 堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−129239(JP,A)
【文献】 特開2010−103462(JP,A)
【文献】 特開2004−356557(JP,A)
【文献】 特開2009−246331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/302
H01L 21/3065
H01L 21/461
H05H 1/00−1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン含有物を含む被処理基板を、フッ素系反応成分を含有する反応ガスによって表面処理する表面処理装置であって、
アーク放電を発生させる一対の電極を含み、前記アーク放電によってフッ素系原料成分を含有する原料ガスから前記反応ガスを生成するアーク放電部と、
前記アーク放電部からの反応ガスを前記被処理基板へ向けて吹出すノズル部と、
前記一対の電極間の放電電流に応じた流量のトーチガスを前記アーク放電部に供給するトーチガス供給部と、
前記トーチガスの流量に応じた流量のバランスガスを前記反応ガスに加えるバランスガス供給部と、
を備えたことを特徴とする表面処理装置。
【請求項2】
前記原料ガスに水を添加する添加部を含み、
前記反応ガス中のフッ化水素蒸気及び水蒸気の露点が、前記アーク放電部から前記ノズル部の吹出口までの前記反応ガスの経路の最低温度より低温になるように、前記添加部の水添加量が調節されていることを特徴とする請求項1に記載の表面処理装置。
【請求項3】
シリコン含有物を含む被処理基板を、フッ素系反応成分を含有する反応ガスによって表面処理する表面処理方法であって、
一対の電極を含むアーク放電部においてアーク放電を発生させるとともに、フッ素系原料成分を含有する原料ガスを前記アーク放電部に導入することよって前記反応ガスを生成する工程と、
前記アーク放電部からの反応ガスを前記被処理基板に接触させる工程と、
前記一対の電極間の放電電流に応じた流量のトーチガスを前記アーク放電部に供給する工程と、
前記トーチガスの流量に応じた流量のバランスガスを前記反応ガスに加える工程と、
を備えたことを特徴とする表面処理方法。
【請求項4】
前記原料ガスに水を添加するとともに、
前記反応ガス中のフッ化水素蒸気及び水蒸気の露点が、前記アーク放電部から該アーク放電部に連なるノズル部の吹出口までの前記反応ガスの経路の最低温度より低温になるように、前記水添加量を調節することを特徴とする請求項に記載の表面処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン含有物を含むガラス基板やシリコンウェハなどの被処理基板を表面処理する装置及び方法に関し、特にCF等のフッ素系原料成分を分解して生成したHF等のフッ素系反応成分を被処理基板に接触させてドライエッチング等の表面処理を行なう装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の表面処理装置としては、誘電体バリア放電による大気圧プラズマ表面処理装置が知られている(特許文献1等参照)。該装置は、CFなどのPFCガスを誘電体バリア放電による大気圧プラズマによって分解して、HFを生成し、これを被処理基板に接触させることにより、ドライエッチング等の表面処理を行なう。誘電体バリア放電は、均一性に優れており、かつ非平衡プラズマであるため熱に弱い材料に直接照射可能であるなどの利点がある。
【0003】
使用済みのガスには、未分解の原料成分が含まれている。該使用済みのガスは、PFCガス除害装置に送られる。PFCガス除害装置は、例えばアーク放電やガスの燃焼熱を利用して、CFなどのPFCガスを分解する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2009/044681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
誘電体バリア放電等の熱的非平衡プラズマでは、CFの分解効率が2〜3割程度である。このため、温暖化ガス(CF)の排出に繋がるおそれがあった。また、原料ガスの調達コスト等のランニングコストが上昇する原因にもなっていた。更に、プラズマ発生ユニットの大型化が必要となり、設備コストの上昇の主要因となっていた。
本発明は、かかる事情に鑑み、シリコン含有物を含む被処理基板の表面処理において、CF等のフッ素系原料成分の分解効率を高くして、HF等のフッ素系反応成分の生成効率を高めるとともに、温暖化ガスの排出を抑え、ランニングコストや設備コストを低減可能な表面処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、発明者は鋭意研究考察を行なった。
前述したように、誘電体バリア放電方式による大気圧プラズマ表面処理装置からの使用済みのガスは、アーク放電式などの燃焼式除害装置によって熱分解される。反応式は、例えば下記である。
CF+2HO→4HF+CO (式1)
該燃焼式除害装置は、熱プラズマ(アーク放電)を利用するため、プラズマ温度が1000℃を超え、電気的な分解に加え、熱による分解反応も起き、除害効率は90%程度である。このようなアーク放電による熱分解方式を、原料ガスから反応ガスを生成する工程に適用すれば、生成効率が高まると考えられる。
本発明は、かかる考察に基づいてなされたものであり、本発明装置は、シリコン含有物を含む被処理基板を、フッ素系反応成分を含有する反応ガスによって表面処理する表面処理装置であって、
アーク放電を発生させる一対の電極を含み、前記アーク放電によってフッ素系原料成分を含有する原料ガスから前記反応ガスを生成するアーク放電部と、
前記アーク放電部からの反応ガスを前記被処理基板へ向けて吹出すノズル部と、
を備えたことを特徴とする。
また、本発明方法は、シリコン含有物を含む被処理基板を、フッ素系反応成分を含有する反応ガスによって表面処理する表面処理方法であって、
一対の電極を含むアーク放電部においてアーク放電を発生させるとともに、フッ素系原料成分を含有する原料ガスを前記アーク放電部に導入することよって前記反応ガスを生成する工程と、
前記アーク放電部からの反応ガスを前記被処理基板に接触させる工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
シリコン含有物としては、SiO、SiN、Si、SiC、SiOC等が挙げられる。
フッ素系原料成分としては、CF、C、C、C等のPFC(パーフルオロカーボン)、CHF、CH、CHF等のHFC(ハイドロフルオロカーボン)、SF、NF、XeF、その他のフッ素含有化合物が挙げられる。この種のフッ素含有化合物は、化学的に安定である。
フッ素系反応成分は、前記シリコン含有物と反応可能な化合物であり、HF、COF等が挙げられる。
好ましくは、前記アーク放電は大気圧近傍下で行われる。本明細書において大気圧近傍とは、1.013×10〜50.663×10Paの範囲を言い、圧力調整の容易化や装置構成の簡便化を考慮すると、1.333×10〜10.664×10Paが好ましく、9.331×10〜10.397×10Paがより好ましい。
当該表面処理装置によれば、CF等のフッ素系原料成分をアーク放電によって分解することで、分解効率が高まり、HF等のフッ素系反応成分の生成効率が高まる。したがって、装置を小型化可能である。
【0008】
前記表面処理装置が、前記一対の電極間の放電電流に応じた流量のトーチガスを前記アーク放電部に供給するトーチガス供給部と、
前記トーチガスの流量に応じた流量のバランスガスを前記反応ガスに加えるバランスガス供給部と、
を更に備えていることが好ましい。
前記表面処理方法が、前記一対の電極間の放電電流に応じた流量のトーチガスを前記アーク放電部に供給する工程と、
前記トーチガスの流量に応じた流量のバランスガスを前記反応ガスに加える工程と、
を更に備えていることが好ましい。
放電電流が増大しようとしたらトーチガス流量を減らす。放電電流が減少しようとしたらトーチガス流量を増やす。これによって、放電電流を安定させることができる。
トーチガス流量を減らすときは、バランスガス流量を増やす。トーチガス流量を増やすときは、バランスガス流量を減らす。これによって、反応ガス全体の流量を安定させることができ、ひいては処理性能を安定させることができる。
トーチガス成分としては、窒素、その他の不活性ガスが挙げられる。
バランスガス成分としては、窒素、その他の不活性ガスが挙げられる。
バランスガス成分は、トーチガス成分と同じであることが好ましい。なお、バランスガス成分がトーチガス成分とは異なっていてもよい。
【0009】
前記表面処理装置が、前記原料ガスに水を添加する添加部を含み、
前記反応ガス中のフッ化水素蒸気及び水蒸気の露点が、前記アーク放電部から前記ノズル部の吹出口までの前記反応ガスの経路の最低温度より低温になるように、前記添加部の水添加量が調節されていることが好ましい。
前記表面処理方法において、前記原料ガスに水を添加するとともに、
前記反応ガス中のフッ化水素蒸気及び水蒸気の露点が、前記アーク放電部から前記ノズル部の吹出口までの前記反応ガスの経路の最低温度より低温になるように、前記水添加量を調節することが好ましい。
これによって、前記反応ガスの経路上でフッ酸水が凝縮するのを回避できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、CF等のフッ素系原料成分の分解効率を高くでき、HF等のフッ素系反応成分の生成効率を高くできる。前記分解効率を高めることで、温暖化ガスの排出を抑えることができる。更には、ランニングコストや設備コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る表面処理装置の概略構成を示す解説図である。
図2図2は、実施例1及び比較例1の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1に示すように、本発明形態の被処理基板は、例えば液晶パネル用のガラス基板9である。ガラス基板9は、SiO等のシリコン含有物を含む。該ガラス基板9の表面を表面処理装置1によってドライエッチング(表面処理)する。
なお、被処理基板は、ガラス基板に限られず、シリコンウェハなどであってもよい。
【0013】
表面処理装置1は、アーク放電部10と、ノズル部20を備えている。
アーク放電部10は、一対の電極11,12を含む。電極11,12間には、交流又は直流電力が供給される。該電力供給によって、電極11,12間にアーク放電電流が発生する。アーク放電時の電極11,12の温度は、1000℃以上になる。
【0014】
アーク放電部10の内部に反応流路15が形成されている。各電極11,12が反応流路15に臨んでいる。電極11,12間のアーク放電電流によって、反応流路15内にアーク放電プラズマ13が生成される。好ましくは、反応流路15の内圧は大気圧近傍であり、アーク放電プラズマ13は大気圧近傍で生成される。
【0015】
反応流路15の上流端には、原料供給部2が接続されている。原料供給部2は、フッ素系原料成分を含有する原料ガスをアーク放電部10へ供給する。
原料ガスは、フッ素含有ガスとキャリアガスを含む。
フッ素系原料成分としては、CF、C、C、C等のPFC(パーフルオロカーボン)、CHF、CH、CHF等のHFC(ハイドロフルオロカーボン)、SF、NF、XeF、その他のフッ素含有化合物が挙げられる。ここでは、フッ素系原料成分として、CFが用いられている。
キャリアガスとしては、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガス、窒素、その他の不活性ガスが挙げられる。ここでは、キャリアガスとして、例えば窒素(N)が用いられている。
【0016】
更に、原料供給部2には、添加部2bが設けられている。添加部2bは、例えばバブリング槽によって構成されている。添加部2bにおいて、原料ガスに水(HO)が添加される。添加部2bには、水の添加量の調節機能が設けられている。
【0017】
アーク放電部10には、トーチガス供給部3が接続されている。トーチガス供給部3は、トーチガス(放電維持ガス)を反応流路15におけるアーク放電プラズマ13よりも上流側の部分に供給する。トーチガスとしては、窒素(N)が用いられている。トーチガス供給部3には、トーチガスの供給流量の調節機能が設けられている。トーチガスの供給流量は、前記アーク放電電流に応じて自動制御される。詳しくは、放電電流が増大するときは、トーチガス流量が減らされる。放電電流が減少するときは、トーチガス流量が増やされる。
【0018】
アーク放電部10には、バランスガス供給部4が接続されている。バランスガス供給部4は、バランスガスを反応流路15におけるアーク放電プラズマ13よりも下流側の部分に加える。バランスガスとしては、窒素(N)が用いられている。バランスガス供給部4には、バランスガスの供給流量の調節機能が設けられている。バランスガスの供給流量は、トーチガスの流量に応じて自動制御される。詳しくは、トーチガス流量が増大されたときは、バランスガス流量が減らされる。トーチガス流量が減少されたときは、バランスガス流量が増やされる。
【0019】
反応流路15の下流端には、反応ガス供給路19を介してノズル部20が接続されている。ノズル部20のノズル面20aが、ガラス基板9と面している。ノズル面20aには、吹出口21と吸込口22が設けられている。反応ガス供給路19が吹出口21に連なっている。
吸込口22には、排気路29を介して、真空ポンプなどの吸引手段(図示省略)及び除害設備5が接続されている。除害設備5としては、例えばアルカリスクラバー除害装置が用いられている。
【0020】
表面処理装置1によって、ガラス基板9が次のようにして表面処理される。
<原料ガス供給工程>
原料供給部2において、CFとNの混合ガスに水(HO)を添加することで、原料ガスを生成する。該原料ガスをアーク放電部10の反応流路15に導入する。
<トーチガス供給工程>
併行して、トーチガス供給部3からトーチガス(N)を反応流路15の上流側部分に供給する。トーチガスは、原料ガスと合流される。
【0021】
<アーク放電生成工程>
電極11,12間に電力を供給し、反応流路15内にアーク放電プラズマ13を生成する。該アーク放電プラズマ13の温度は、数千℃に達する。このため、アーク放電プラズマ13内において、原料ガスがプラズマ化されるとともに1000℃〜数千℃に加熱される。これによって、CFが、プラズマ分解及び熱分解されて、フッ素系反応成分であるフッ化水素(HF)を含む反応ガスが生成される。フッ化水素の生成反応式は、例えば下式である。
CF+2HO→4HF+CO (式1)
アーク放電プラズマ13におけるCFの分解効率は、90%程度となる。したがって、例えば誘電体バリア放電を用いるよりもCFの分解効率を格段と高めることができる。ひいては、HFの生成効率を格段と高めることができる。したがって、反応ガスを高HF濃度かつ低CF濃度とすることができる。
<バランスガス供給工程>
さらに、バランスガス供給部4からバランスガス(N)を反応流路15の下流側部分に供給する。バランスガスは、反応ガスと合流される。
【0022】
<表面処理工程>
前記反応ガスを反応ガス供給路19からノズル部20へ送り、吹出口21から吹き出す。該反応ガスが、ガラス基板90に接触する。これによって、ガラス基板90のSiOと反応ガスのHFとの反応が起き、ガラス基板90がエッチングされる。反応式は、例えば下式である。
SiO+4HF+HO→SiF+3HO (式2)
表面処理装置1によれば、反応ガスのHF濃度を高くできるから、エッチング効率(表面処理効率)を高めることができる。
【0023】
<排気処理工程>
未反応のままで吸込口22まで流れて来た反応ガスあるいは反応により生成したガスは、吸込口22に吸い込まれて、除害設備5へ送られる。除害設備5において、CF等の温暖化ガスが分解、除去される。前述したように、アーク放電部10においてCFの大部分が分解され、反応ガスが低CF濃度になっているために、除害設備5における負荷を低減できる。更には、温暖化ガスの排出を最小限に抑制できる。
【0024】
<水添加量調節工程>
ここで、CFの分解時におけるCFと水(HO)の量論比(式1参照)やアーク放電部10における前記分解効率等を考慮して、反応ガス中のHF蒸気及び水蒸気の露点が、アーク放電部10から吹出口21までの反応ガスの経路の最低温度より低温になるように、前記添加部2bにおける水添加量を調節する。これによって、前記経路上でフッ酸水が凝縮して結露するのを回避できる。
反応ガスの水蒸気分圧及びHF分圧の実測値から反応ガスの露点を求め、水添加量の調節にフィードバックしてもよい。
【0025】
<トーチガス流量調節工程>
アーク放電部10におけるアーク放電電流は、不安定になりやすい。
そこで、トーチガス供給部3の流量調節機能によって、アーク放電電流が増大しようとしたらトーチガス流量を減らす。アーク放電電流が減少しようとしたらトーチガス流量を増やす。これによって、アーク放電電流を安定させることができる。
【0026】
<バランスガス流量調節工程>
さらに、バランスガス供給部4の流量調節機能によって、トーチガス流量を減らすときは、バランスガス流量を増やす。トーチガス流量を増やすときは、バランスガス流量を減らす。これによって、反応ガス全体の流量を安定させることができ、ひいては処理性能を安定させることができる。
【0027】
表面処理装置1によれば、前述したように、原料ガス中のCF等のフッ素原料成分の分解効率が高く、原料ガスの利用効率が高まるから、原料ガスの調達コストひいてはランニングコストを大幅に抑えることができる。また、装置1が小型であってもHF生成量を十分に確保でき、装置1の小型化によって設備コストを低減できる。
【0028】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、トーチガス供給部3が、原料供給部2からアーク放電部10までの原料ガス供給路に接続されていてもよい。
バランスガス供給部4が、反応ガス供給路19に接続されていてもよい。
表面処理は、エッチングに限られず、官能基付与処理、撥水化処理などであってもよい。
【実施例1】
【0029】
実施例を説明する。ただし、本発明が以下の実施例に限定されるものではない。
図1に示す表面処理装置1と実質的に同一の構成のアーク放電装置を用いて、原料ガスを分解し、HFの生成流量を測定した。
原料ガスとしては、CF、N、HOの混合ガスを用いた。
トーチガスとしては、Nを用いた。
バランスガスガスとしては、Nを用いた。
各ガスの流量は、表1の通りであった。
供給電力は、4kWとした。
【0030】
また、比較例1として、誘電体バリア放電方式による大気圧プラズマ生成装置を用いて、前記実施例1と同じガス組成及び同じ供給電力で、原料ガスを分解し、HFの生成流量を測定した。なお、該比較例においては、原料ガス流量が48L/minを越えた領域では耐圧限界によりテスト不可であった。
実施例1及び比較例1におけるHF生成流量の測定結果を、表1及び図2に示す。
実施例1のアーク放電方式によれば、誘電体バリア放電方式よりもHF生成効率が数倍高いことが確認された。
【0031】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、例えばフラットパネル用ガラス基板の表面処理に適用できる。
【符号の説明】
【0033】
1 表面処理装置
2 原料供給部
2b 添加部
3 トーチガス供給部
4 バランスガス供給部
5 除害設備
9 ガラス基板(被処理基板)
10 アーク放電部
11 電極
12 電極
13 アーク放電プラズマ
15 反応流路
19 反応ガス供給路
20 ノズル部
20a ノズル面
21 吹出口
22 吸込口
29 排気路
図1
図2