特許第6978270号(P6978270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6978270
(24)【登録日】2021年11月15日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】ブロー成形品の開口部の形成装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/48 20060101AFI20211125BHJP
   B29C 49/42 20060101ALI20211125BHJP
   B29L 24/00 20060101ALN20211125BHJP
【FI】
   B29C49/48
   B29C49/42
   B29L24:00
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-200884(P2017-200884)
(22)【出願日】2017年10月17日
(65)【公開番号】特開2019-72930(P2019-72930A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2020年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】坂田 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】清水 祐児
【審査官】 酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−077313(JP,A)
【文献】 特開平03−082522(JP,A)
【文献】 実開平04−079625(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/42,49/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロー成形により形成された合成樹脂の成形品の開口部を形成するブロー成形品の開口部の形成装置において、
該ブロー成形品の開口部の形成装置は、ブロー成形金型と該ブロー成形金型に取付けられるブローピン打分けユニットを有し、
該ブロー成形金型は、上記ブロー成形品の開口部を形成する部分に孔開けピン挿入孔を有し、
上記ブローピン打分けユニットは、上記ブローピン打分けユニットを上記ブロー成形金型に取付けるブローピン取付台と、該ブローピン取付台に取付けられ、且つ、上記孔開けピン挿入孔方向に摺動自在に並行して取り付けられる孔開けブローピンと孔閉じブローピンを有し、
上記孔開けブローピンは、上記ブロー成形金型のキャビティー面に当接したパリソンに孔を開けるように上記ブロー成形金型の上記孔開けピン挿入孔から上記ブロー成形金型のキャビティー内に進退自在に摺動し、
上記孔閉じブローピンは、上記ブロー成形金型のキャビティー面に当接したパリソンが上記ブロー成形金型の上記孔開けピン挿入孔から進入しないように、上記孔開けピン挿入孔を塞いで上記ブロー成形金型の孔開けピン挿入孔で摺動が止まるように取付けられ、
上記孔開けブローピンと上記孔閉じブローピンは、上記孔開けピン挿入孔に対して横方向に移動して、上記孔開けピン挿入孔に対して上記孔開けブローピンと上記孔閉じブローピンのいずれか一方が位置することができるように移動可能に取付けられたことを特徴とするブロー成形品の開口部の形成装置。
【請求項2】
上記孔開けブローピンと上記孔閉じブローピンの上記孔開けピン挿入孔に対して横方向に移動は、上記ブローピン取付台をブローピン切換シリンダにより横方向に移動することにより行う請求項1に記載のブロー成形品の開口部の形成装置。
【請求項3】
上記孔開けブローピンと上記孔閉じブローピンの上記ブロー成形金型の孔開けピン挿入孔方向への摺動は、上記孔開けブローピンと上記孔閉じブローピンの上部に設けられたブローピン打込み用シリンダにより駆動される請求項1または請求項2に記載のブロー成形品の開口部の形成装置。
【請求項4】
上記ブローピン打込み用シリンダは、上記孔開けブローピンと上記孔閉じブローピンの上端を保持するブローピン切換部材が設けられて、該ブローピン切換部材が上記孔開けブローピンの上端と上記孔閉じブローピンの上端を交互に保持する請求項3に記載のブロー成形品の開口部の形成装置。
【請求項5】
上記孔開けブローピンの先端は、切削刃が形成され、上記孔閉じブローピンの先端は平坦面が形成された請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のブロー成形品の開口部の形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー成形により形成された合成樹脂の成形品の開口部を形成するブロー成形品の開口部の形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用等の燃料タンク等の中空体の構造としては、金属製のものが用いられていたが、近年、車両の軽量化や、錆が発生しないこと、所望の形状に成形しやすいことなどによって熱可塑性合成樹脂製のものが用いられるようになってきた。
熱可塑性合成樹脂製の中空体の製造は、中空体を成形することの容易性からブロー成形方法が多く用いられてきた。ブロー成形方法では、溶融した熱可塑性合成樹脂部材のパリソンを円筒状にしてブロー成形機のダイスから押出して、そのパリソンを金型で挟みパリソン中に空気を吹き込み、自動車用燃料タンク等の中空体であるブロー成形品を製造していた。
【0003】
このブロー成形品には、図8に示すように、中空体の内部へ液体や気体を出し入れするためや、中空体の内部に装着する部品の出し入れのために開口部が形成されている。この開口部の形成は、ブロー成形品101をブロー成形で形成すると同時に形成されて、燃料タンクの場合は、ホース取付部6や燃料注入パイプ取付部5等をブロー成形品101の外壁102に形成したり、ポンプ用開口部4を形成していたりしている。
【0004】
この場合において、ホース取付部6や燃料注入パイプ取付部5を設けるためにブロー成形品101の外壁102にブロー成形時に所定の場所に開口部である孔を形成している。その孔の成形方法は、図9に示すように、ブロー成形金型210にブロー成形金型孔開け部材220を取付けて、ブロー成形中に、ブロー成形金型210内のブロー成形品201を形成するパリソンに対して、ブローピン221をシリンダ222により突き刺して孔を形成している(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
しかしながら、この方法では、同じ形状のブロー成形品201において、複数の孔を形成する場合に、ある成形品には孔を形成した場所に、他の成形品にはその場所に孔を形成しないものがある場合には、ブロー成形品201のブロー成形金型孔開け部材220を取り外すような手間がかかる。
【0006】
また、ブロー成形品201のブロー成形金型孔開け部材220を取り外さないで、ブロー成形品を成形した場合には、不要な孔を後加工で塞ぐ必要があった。この場合には、後加工の手間と、孔を塞ぐ部品が必要でありコストの増加となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−125058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そのため、本発明は、ブロー成形により形成された合成樹脂の成形品の開口部を形成するブロー成形品において、開口部の数や位置が異なっても同じブロー成形金型で成形することが可能な合成樹脂のブロー成形品の開口部構造の形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1の本発明は、ブロー成形により形成された合成樹脂の成形品の開口部を形成するブロー成形品の開口部の形成装置において、
ブロー成形品の開口部の形成装置は、ブロー成形金型とブロー成形金型に取付けられるブローピン打分けユニットを有し、
ブロー成形金型は、ブロー成形品の開口部を形成する部分に孔開けピン挿入孔を有し、
ブローピン打分けユニットは、ブローピン打分けユニットをブロー成形金型に取付けるブローピン取付台と、ブローピン取付台に取付けられ、且つ、孔開けピン挿入孔方向に摺動自在に並行して取り付けられる孔開けブローピンと孔閉じブローピンを有し、
孔開けブローピンは、ブロー成形金型のキャビティー面に当接したパリソンに孔を開けるようにブロー成形金型の孔開けピン挿入孔からブロー成形金型のキャビティー内に進退自在に摺動し、
孔閉じブローピンは、ブロー成形金型のキャビティー面に当接したパリソンがブロー成形金型の孔開けピン挿入孔から進入しないように、孔開けピン挿入孔を塞いでブロー成形金型の孔開けピン挿入孔で摺動が止まるように取付けられ、
孔開けブローピンと孔閉じブローピンは、孔開けピン挿入孔に対して横方向に移動して、孔開けピン挿入孔に対して上記孔開けブローピンと孔閉じブローピンのいずれか一方が位置することができるように移動可能に取付けられたことを特徴とするブロー成形品の開口部構造の形成装置である。
【0010】
請求項1の本発明では、ブロー成形により形成された合成樹脂の成形品の開口部を形成するブロー成形品の開口部の形成装置において、ブロー成形品の開口部の形成装置は、ブロー成形金型とブロー成形金型に取付けられるブローピン打分けユニットを有する。このため、ブロー成形金型内で、ブロー成形と同時にブロー成形品にブローピン打分けユニットで孔を開けることができる。
ブロー成形金型は、ブロー成形品の開口部を形成する部分に孔開けピン挿入孔を有しているため、孔開けピン挿入孔から孔開けブローピンを挿入して、ブロー成形品の所定の場所に開口部を形成することができる。
【0011】
ブローピン打分けユニットは、ブローピン打分けユニットをブロー成形金型に取付けるブローピン取付台と、ブローピン取付台に取付けられ、且つ、孔開けピン挿入孔方向に摺動自在に並行して取り付けられる孔開けブローピンと孔閉じブローピンを有している。このため、1個のブロー成形金型を使用して、孔開けブローピンと孔閉じブローピンにより、同じ形状を有するブロー成形品の同一場所において、孔を開けるブロー成形品と開けないブロー成形品を形成することができる。
【0012】
孔開けブローピンは、ブロー成形金型のキャビティー面に当接したパリソンに孔を開けるようにブロー成形金型の孔開けピン挿入孔からブロー成形金型のキャビティー内に進退自在に摺動する。このため、孔開けブローピンを孔開けピン挿入孔からブロー成形金型に挿入して、ブロー成形金型に密着したパリソンに孔を開けることにより、ブロー成形金型内のブロー成形品に孔を開けることができる。
【0013】
孔閉じブローピンは、ブロー成形金型のキャビティー面に当接したパリソンがブロー成形金型の孔開けピン挿入孔から進入しないように、孔開けピン挿入孔を塞いでブロー成形金型の孔開けピン挿入孔で摺動が止まるように取付けられる。このため、ブロー成形品の孔開けピン挿入孔に接する部分で孔を開けない部分は、孔閉じブローピンで孔開けピン挿入孔を塞いで、パリソンに孔を開けなくすることができる。
【0014】
孔開けブローピンと孔閉じブローピンは、孔開けピン挿入孔に対して横方向に移動して、孔開けピン挿入孔に対して上記孔開けブローピンと孔閉じブローピンのいずれか一方が位置することができるように移動可能に取付けられている。このため、同じブロー成形金型を使用して、ブロー成形品で孔を開ける部分と、その部分の孔を開けないものとを、ブロー成形金型を取り換えることなく、孔開けブローピンと孔閉じブローピンを横方向に移動させることのみで、ブロー成形品を成形することができる。
【0015】
請求項2の本発明は、孔開けブローピンと孔閉じブローピンの孔開けピン挿入孔に対して横方向に移動は、ブローピン取付台をブローピン切換シリンダにより横方向に移動することにより行うブロー成形品の開口部の形成装置である。
【0016】
請求項2の本発明では、孔開けブローピンと孔閉じブローピンの孔開けピン挿入孔に対して横方向に移動は、ブローピン取付台をブローピン切換シリンダにより横方向に移動することにより行う。このため、ブローピン切換シリンダのみで、孔開けブローピンと孔閉じブローピンの位置を交替させることができ、ブロー成形品の孔を有する製品とその部分に孔を有しない製品を同じ金型で容易に成形することができる。
【0017】
請求項3の本発明は、孔開けブローピンと孔閉じブローピンのブロー成形金型の孔開けピン挿入孔方向の内部方向への摺動は、孔開けブローピンと孔閉じブローピンの上部に設けられたブローピン打込み用シリンダにより駆動されるブロー成形品の開口部の形成装置である。
【0018】
請求項3の本発明では、孔開けブローピンと孔閉じブローピンのブロー成形金型の孔開けピン挿入孔方向の内部方向への摺動は、孔開けブローピンと孔閉じブローピンの上部に設けられたブローピン打込み用シリンダにより駆動される。このため、孔開けブローピンと孔閉じブローピンを1個のブローピン打込み用シリンダにより駆動することができ、ブローピン打分けユニットをコンパクトにすることができる。
【0019】
請求項4の本発明は、ブローピン打込み用シリンダは、孔開けブローピンと孔閉じブローピンの上端を保持するブローピン切換部材が形成されて、ブローピン切換部材が孔開けブローピンと孔閉じブローピンの上端を交互に保持するブロー成形品の開口部構造の形成装置である。
【0020】
請求項4の本発明では、ブローピン打込み用シリンダは、孔開けブローピンと孔閉じブローピンの上端を保持するブローピン切換部材が形成されて、ブローピン切換部材が孔開けブローピンと孔閉じブローピンの上端を交互に保持する。このため、1個のブローピン打込み用シリンダで確実に孔開けブローピンと孔閉じブローピンの上端を保持することができ、孔開けブローピンと孔閉じブローピンを横方向にスライドさせるのみで、孔開けブローピンから孔閉じブローピンへブローピン打込み用シリンダを取り換える工程も容易に確実に行うことができる。
【0021】
請求項5の本発明は、孔開けブローピンの先端は、切削刃が形成され、孔閉じブローピンの先端は平坦面が形成されたブロー成形品の開口部構造の形成装置である
【0022】
請求項5の本発明では、孔開けブローピンの先端は、切削刃が形成されているため、ブロー成形金型内のブロー成形品に確実に所定の形状の孔を歪なく開けることができる。
孔閉じブローピンの先端は平坦面が形成されたため、ブロー成形金型内の孔開けピン挿入孔に接する部分のブロー成形品の表面を平坦にすることができる。
【発明の効果】
【0023】
ブローピン取付台に取付けられ、且つ摺動自在に並行して取り付けられる孔開けブローピンと孔閉じブローピンを有して、孔開けブローピンと孔閉じブローピンは、孔開けピン挿入孔に対して相互に位置することができるように横方向に移動可能に取付けられている。このため、同じブロー成形金型を使用して、ブロー成形品で孔を開ける部分と、その部分の孔を開けないものとを、ブロー成形金型を取り換えることなく、孔開けブローピンと孔閉じブローピンを横方向に移動させることのみで、成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の形態であるブロー成形品の開口部を成形するブローピン打分けユニットをブロー成形金型に取付けた断面図であり、孔開けブローピンが孔開けピン挿入孔の部分に位置した断面図である。
図2】本発明の実施の形態であるブロー成形品の開口部を成形するブローピン打分けユニットをブロー成形金型に取付けた断面図であり、孔閉じブローピンが孔開けピン挿入孔の部分に位置した断面図である。
図3】本発明の実施の形態であるブローピン打分けユニットの斜め上方から見た斜視図である。
図4】本発明の実施の形態であるブローピン打分けユニットの斜め下方から見た斜視図である。
図5】本発明の実施の形態であるブローピン打分けユニットの正面図である。
図6】本発明の実施の形態であるブローピン打分けユニットの断面図である。
図7】本発明の実施の形態であるブローピン打分けユニットのブロピン切換ユニットの斜め上方から見た斜視図である。
図8】燃料タンクの斜視図である。
図9】従来のブロー成形品の開口部を成形する孔開けユニットをブロー成形金型に取付けた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態であるブロー成形により形成された合成樹脂の成形品の開口部を形成するブロー成形品の開口部の形成装置について、ブロー成形品である自動車用の燃料タンク1の開口部の成型装置を例にとり、図1図8に基づき説明する。まず、図8に基づき、開口部を形成する燃料タンク1を説明し、図1図7に基づき自動車用燃料タンクの開口部の成形を成形する自動車用燃料タンクの開口部の成形装置とその使用方法について説明する。
【0026】
図8は、本発明の実施の形態で形成したタンク開口部を有する燃料タンク1の斜視図である。
本発明の実施の形態では、燃料タンク1は、図8に示すように、その本体にホース等を取り付けるホース取付部6が複数個形成され、燃料を注入する燃料注入パイプ取付部5が形成されている。また、燃料ポンプ(図示せず)等の燃料タンク1の内部に取付ける部品を出し入れするためにポンプ用開口部4が形成されている。
ホース取付部6や燃料注入パイプ取付部5は、燃料タンク1のタンク本体外壁2に開口部である孔が形成され、その孔の部分にホース取付部材等が取り付けられて、燃料タンク1の内部と連通している。
【0027】
燃料タンク1は、ブロー成形で形成され、その外壁は、1層のみ、あるいは、外層、再生材層、内層及び再生材層と内層との間に形成される中間層とその接着層の6層から構成されている。ブロー成形においては、上記の1層又は6層から構成されるパリソン8が使用され、パリソン8は、後述するブロー成形金型10のキャビティー面15に押圧されて、開口部である孔が形成される。
【0028】
5層の場合は、外層と内層は、強度が高く燃料油に対しても強度が維持される熱可塑性合成樹脂から形成され、中間層は、燃料油の透過が極めて少ない熱可塑性合成樹脂から形成され、接着層は、それぞれ外層と中間層及び内層と中間層を接着する熱可塑性合成樹脂から形成されている。
【0029】
次に、本発明の実施の形態である燃料タンク1の開口部を形成する成形装置であるブローピン打分けユニット20とブロー成形金型10について説明する。
図1図2に示すように、燃料タンク1を成形するブロー成形金型10のキャビティー面15には、ブロー成形中にパリソン8が押圧されている。パリソン8は、ブロー成形後には、燃料タンク1のタンク本体外壁2になる。
【0030】
ブロー成形金型10には、後述するブローピン打分けユニット20が取り付けられている。燃料タンク1に複数の開口部である孔を形成する場合には、複数個のブローピン打分けユニット20をブロー成形金型10に取付けることができる。
ブロー成形金型10のブローピン打分けユニット20が取付けられる部分には、後述する孔開けブローピン21と孔閉じブローピン22の先端部分が保持される第1ピン保持室11と第2ピン保持室12が形成されている。第1ピン保持室11と第2ピン保持室12は、連続して形成されている。
【0031】
第1ピン保持室11が第2ピン保持室12よりも深く形成され、ブロー成形金型10のキャビティー面15に近い部分まで形成されて、キャビティー面15との間には第1ピン保持壁14が形成されている。
第1ピン保持壁14には、キャビティー面15と連通する孔開けピン挿入孔13が形成されて、後述する孔開けブローピン21が出入りする。
【0032】
次に、ブローピン打分けユニット20について説明する。
図1図7に示すように、ブローピン打分けユニット20は、ブローピン打分けユニット20をブロー成形金型10に取付けるブローピン取付台24と、ブローピン取付台24に2本が並行して取付けられ、且つ、摺動自在に取り付けられる孔開けブローピン21と孔閉じブローピン22を有している。
【0033】
図3図6に示すように、ブローピン取付台24は、ブロー成形金型10に取付けられるブローピン取付台金型取付部24aと孔開けブローピン21と孔閉じブローピン22の下端側を保持するブローピン取付台ピン保持部24bを有している。図1図2に示すように、ブローピン取付台金型取付部24aは、ブロー成形金型10に固定される。ブローピン取付台ピン保持部24bは、図3図6に示すように、ブローピン切換用シリンダ25により、ブローピン取付台金型取付部24aの上を横方向(図1における横方向)にスライド可能に取り付けられている。
【0034】
図7に示すように、ブローピン切換用シリンダ25は、ブローピン切換用シリンダアーム25aが取付けられ、ブローピン切換用シリンダ25を駆動すると、ブローピン取付台ピン保持部24bがスライドして、それにより、孔開けブローピン21と孔閉じブローピン22を横方向にスライドさせることができる。
【0035】
ブローピン取付台24のブローピン取付台金型取付部24aには、ブローピン切換部材26が取付けられている。ブローピン切換部材26は、図3図4に示すように、4本のブローピン切換保持柱26aにより、ブローピン取付台金型取付部24aに取付けられている。ブローピン切換保持柱26aとブローピン切換保持柱26aの間の下部では、ブローピン取付台ピン保持部24bがスライド可能に取り付けられている。
【0036】
ブローピン切換保持柱26aの上部には、ブローピン打込み用シリンダ23が取付けられている。図6に示すように、ブローピン切換部材26には、ブローピン切換保持部26bが設けられている。ブローピン切換保持部26bは、ブローピン切換用シリンダ25により孔開けブローピン21と孔閉じブローピン22が横方向にスライドすると、孔開けブローピン21と孔閉じブローピン22の上端である孔開けブローピン係合部21aと孔閉じブローピン係合部22aのいずれか一方を保持することができる。
【0037】
図6図7に示すように、孔開けブローピン21上端の孔開けブローピン係合部21aは、孔開けブローピン係合ピン21cにより取付けられ、孔閉じブローピン22の上端の孔閉じブローピン係合部22aは、孔閉じブローピン係合ピン22cにより取付けられている。
【0038】
ブローピン切換保持部26bにより保持された孔開けブローピン係合部21aと孔閉じブローピン係合部22aのいずれか一方は、図6に示すように、ブローピン打込み用シリンダ23と連結されて、ブローピン打込み用シリンダ23で、孔開けブローピン21と孔閉じブローピン22は、上下方向(図1図6に示す上下方向)に摺動することができる。
このため、1個のブロー成形金型10において、孔開けブローピン21と孔閉じブローピン22をスライドさせて、孔開けピン挿入孔13の場所にそれぞれ位置させることができる。
【0039】
図7に示すように、ブローピン取付台24には、孔開けブローピン21と孔閉じブローピン22が取付けられている。
図1に示すように、孔開けピン挿入孔13の場所に位置した孔開けブローピン21は、ブロー成形金型10のキャビティー面15に当接したパリソン8に孔を開けるようにブロー成形金型10の孔開けピン挿入孔13からブロー成形金型10のキャビティー内に進退自在に摺動する。
【0040】
図5に示すように、孔開けブローピン21の先端部21bは、切削刃が形成されている。このため、ブロー成形金型10内のキャビティー面15に当接したパリソン8に、切削刃が孔を開けて、ブロー成形品である燃料タンク1のタンク本体外壁2に孔を開けることができる。
【0041】
図2に示すように、孔閉じブローピン22は、ブロー成形金型10の孔開けピン挿入孔13で摺動が止まるように取付けられる。ブロー成形金型10のキャビティー面15に当接したパリソン8が、ブロー成形金型10の孔開けピン挿入孔13から進入しないように、孔開けピン挿入孔13を塞ぐためにブロー成形金型10の孔開けピン挿入孔13で摺動が止まるように取付けられる。
【0042】
このため、タンク本体外壁2の孔開けピン挿入孔13に接する部分のパリソン8の孔を開けない部分は、孔閉じブローピン22で孔開けピン挿入孔13を閉じて、孔を開けなくすることができる。
孔閉じブローピン22の先端部22bは平坦面が形成されているため、ブロー成形金型19内の孔開けピン挿入孔13に接する部分のタンク本体外壁2の表面を平坦にすることができる。
【0043】
次に、ブローピン打分けユニット20を使用して、燃料タンク1を成形する方法に開口部を成形する形成方法を例にとり説明する。
ブロー成形金型10は、通常、ブロー成形金型10の上部に位置するブロー成形機(図示せず)のノズルから溶融状態で下方へ出される合成樹脂のパリソン8を挟み、ブロー成形して、内部のキャビティーで成形するように、左右2つに分かれたブロー成形金型本体(図示せず)で形成されている。
【0044】
本発明で使用されるブロー成形金型10のタンクの開口部である孔を形成する部分は、図8に示すように、燃料タンク1の上部のホース取付部6であるが、ホース取付部6以外の他の開口部を成形する場合にも使用することができる。
【0045】
ブロー成形金型10の内部にパリソン8が挟持されてブローされると、図1図2に示すように、パリソン8はブロー成形金型10のキャビティー面15に密着する。パリソン8は、ブロー成形後には、燃料タンク1のタンク本体外壁2となる。
パリソン8の開口部を成形する部分では、図1に示すように、孔開けブローピン21がブローピン打込み用シリンダ23により下方(図1に示す下方)摺動して、孔開けブローピン21の先端部21bは、第1ピン保持室11を通り、孔開けピン挿入孔13からブロー成形金型10のキャビティー内部に進入する。
【0046】
孔開けブローピン21の先端部21bには、切削刃が設けられている。これにより、キャビティー面15に密着したパリソン8に孔を開けて、開口部を形成することができる。
この時、孔閉じブローピン22は、第2ピン保持室12の部分に保持されるため、孔開けブローピン21の摺動には妨げとならない。
【0047】
また、パリソン8の開口部を成形しない部分では、図2に示すように、ブローピン切換用シリンダ25が作動して、孔開けブローピン21と孔閉じブローピン22を横方向(図2における左側方向)にスライドさせる。
そうすると、孔開けブローピン21は、第1ピン保持室11の左側に移動して、孔開けブローピン21の先端部21bは、第1ピン保持壁14の部分に保持される。
【0048】
その時、孔閉じブローピン22は、孔開けピン挿入孔13の上方に移動する。孔閉じブローピン22が移動すると、孔閉じブローピン22の上部に形成された孔閉じブローピン係合部22aがブローピン切換保持部26bに保持される。
その後、ブローピン打込み用シリンダ23により孔閉じブローピン22は、下方(図2に示す下方)に摺動して、孔開けピン挿入孔13に進入するが、孔開けピン挿入孔13のキャビティー面15と同一の位置で止まる。
【0049】
これにより、ブロー成形時に、孔開けピン挿入孔13からパリソン8が進入しないように、孔開けピン挿入孔13を塞いで、ブロー成形金型10の孔開けピン挿入孔13付近で摺動が止まる。このようにして、タンク本体外壁2の孔開けピン挿入孔13に接する部分で孔を開けない部分は、孔閉じブローピン22で孔開けピン挿入孔13を塞ぎ、孔を開けなくすることができる。
孔閉じブローピン22の先端部22bは平坦面が形成されているため、ブロー成形金型10内の孔開けピン挿入孔13に接する部分のタンク本体外壁2の表面を平坦にすることができる。
【0050】
このようにして、例えば、ある燃料タンク1に複数個の開口部を形成する場合に、他の燃料タンク1は、外形が同一であるが、開口部の数の少ない製品の場合に、1個のブロー成形金型10で、開口部を形成する燃料タンク1と、その場所に開口部を形成しない燃料タンク1とを成形することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 燃料タンク
2 タンク本体外壁
10 ブロー成形金型
13 孔開けピン挿入孔
20 ブローピン打分けユニット
21 孔開けブローピン
22 孔閉じブローピン
23 ブローピン打込み用シリンダ
24 ブローピン取付台
25 ブローピン切換用シリンダ
26 ブローピン切換部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9