特許第6978283号(P6978283)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6978283
(24)【登録日】2021年11月15日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/514 20060101AFI20211125BHJP
【FI】
   H01R13/514
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-214353(P2017-214353)
(22)【出願日】2017年11月7日
(65)【公開番号】特開2019-87391(P2019-87391A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2020年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】沓名 陽二
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 卓也
【審査官】 藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−027701(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0249301(US,A1)
【文献】 特開2008−171626(JP,A)
【文献】 特開2011−040215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/514−13/516
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インナー収容室及び相手側端子用の端子挿通孔を有する角筒状のアウターハウジングと、
前記インナー収容室に収容され、端子収容室を有するインナーハウジングとから成り、
前記アウターハウジングと前記インナーハウジング間の装着面側に反り規制部を設け
前記インナーハウジングの上面側の中央部に相手側コネクタを係止するロックアームを設け、前記ロックアームの前記装着面としての両側面に前記反り規制部としてのリブをそれぞれ設け、
前記アウターハウジングの上面側の中央部に前記ロックアームを収容するアーム収容凹部を設け、前記アーム収容凹部の前記装着面としての両側面に前記各リブが係合される前記反り規制部としての溝をそれぞれ設けたことを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の端子が収容されるインナーハウジングをアウターハウジングに装着して成るコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコネクタとして、特許文献1に開示されたものがある。このコネクタ1は、図8及び図9に示すように、合成樹脂製で筒状のアウターハウジング2と、この筒状のアウターハウジング2の後部開口3から収容される合成樹脂製で板状のインナーハウジング5と、この板状のインナーハウジング5に保持される複数の端子7と、を備えている。
【0003】
筒状のアウターハウジング2の前面には、図示しない相手側端子(雄端子)が挿通する複数の端子挿通孔4が左右方向及び上下方向に多段状となって開口されている。また、筒状のアウターハウジング2の後部開口3には、多段状に重ねられた板状のインナーハウジング5が複数列挿入されるようになっている。さらに、板状のインナーハウジング5には複数の端子収容室6が所定間隔に区画されて形成されていて、各端子収容室6に電線8付き端子7が収容されるようになっている。尚、アウターハウジング2の外部上下面には、図示しない相手側コネクタとの嵌合時に挿入力を低減するためのレバー9が回動自在に付設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−146259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のコネクタ1では、アウターハウジング2をモールド成形する製造過程において、アウターハウジング2の長手方向の両端側が上方或いは下方に向けて変位して、該アウターハウジング2が反るような変形(以下「反り変形」という)が生じ易いため、アウターハウジング2にインナーハウジング5を組み付け時にアウターハウジング2の端子挿通孔4とインナーハウジング5の端子収容室6とに位置ズレが発生して、相手側端子の挿入時にドツキ(ど突き)が発生する虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、アウターハウジングとインナーハウジングの組み付け時に、アウターハウジングの端子挿通孔とインナーハウジングの端子収容室との位置ズレを防止することができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、コネクタにおいて、インナー収容室及び相手側端子用の端子挿通孔を有する角筒状のアウターハウジングと、前記インナー収容室に収容され、端子収容室を有するインナーハウジングとから成り、前記アウターハウジングと前記インナーハウジング間の装着面側に反り規制部を設け、前記インナーハウジングの上面側の中央部に相手側コネクタを係止するロックアームを設け、前記ロックアームの前記装着面としての両側面に前記反り規制部としてのリブをそれぞれ設け、前記アウターハウジングの上面側の中央部に前記ロックアームを収容するアーム収容凹部を設け、前記アーム収容凹部の前記装着面としての両側面に前記各リブが係合される前記反り規制部としての溝をそれぞれ設けたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アウターハウジングとインナーハウジング間の装着面側に設けた反り規制部としての溝及びリブにより、アウターハウジングとインナーハウジングの組み付け時にアウターハウジングとインナーハウジングの反り変形を矯正して、アウターハウジングの端子挿通孔とインナーハウジングの端子収容室との位置ズレを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態のアウターハウジングとインナーハウジングを組み付けたコネクタの正面図である。
図2】(a)は上記コネクタの斜視図、(b)は図(a)中A部分の拡大斜視図である。
図3】上記アウターハウジングの正面図である。
図4】(a)は上記アウターハウジングの斜視図、(b)は図(a)中B部分の拡大斜視図である。
図5】上記インナーハウジングの正面図である。
図6】(a)は上記インナーハウジングの斜視図、(b)は図(a)中C部分の拡大斜視図である。
図7】(a)は上記アウターハウジングの端子挿通孔とインナーハウジングの端子収容室とに位置ズレがない場合を示す要部の説明図、(b)は同アウターハウジングの端子挿通孔とインナーハウジングの端子収容室とに位置ズレがある場合を示す要部の説明図である。
図8】従来のコネクタを前側から見た斜視図である。
図9】上記従来のコネクタの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は本発明の一実施形態のアウターハウジングとインナーハウジングを組み付けたコネクタの正面図、図2(a)は同コネクタの斜視図、図2(b)は図2(a)中A部分の拡大斜視図、図3は同アウターハウジングの正面図、図4(a)は同アウターハウジングの斜視図、図4(b)は図4(a)中B部分の拡大斜視図、図5は同インナーハウジングの正面図、図6(a)は同インナーハウジングの斜視図、図6(b)は図6(a)中C部分の拡大斜視図、図7(a)は同アウターハウジングの端子挿通孔とインナーハウジングの端子収容室とに位置ズレがない場合を示す要部の説明図、図7(b)はアウターハウジングの端子挿通孔とインナーハウジングの端子収容室とに位置ズレがある場合を示す要部の説明図である。
【0012】
図1図6に示すように、コネクタ10は、合成樹脂製で角筒状のアウターハウジング20と、このアウターハウジング20の後部開口27から収容されて装着される合成樹脂製で直方体状のインナーハウジング30と、このインナーハウジング30の端子収容室33に収容されて保持される複数の雌端子(端子)50と、を備えている。
【0013】
図3及び図4(a),(b)に示すように、アウターハウジング20は、段差状に形成された底壁21と、この底壁21の前端に垂直に起立した前壁22と、これら底壁21及び前壁22の両側端に垂直に起立した両側壁23,23と、この両側壁23,23の各上後端に連結ブリッジ状に掛け渡されると共に底壁21の後端から下方に突出する後壁24と、前壁22と後壁24との間の中央部を仕切る一対の仕切壁25,25とを備えていて、これら各壁21〜25により上面側の左右に一対の上部開口26,26と後面側に3つの後部開口27,27,27をそれぞれ形成してある。
【0014】
前壁22には、図示しない相手側コネクタのタブ状の雄端子(相手側端子)40が貫通する端子挿通孔22aを左右方向に所定ピッチで上下2列形成してある。また、各上部開口26に対向する底壁21と前壁22と側壁23及び仕切壁25とで形成される空間が後述するインナーハウジング30のハウジング本体31が収容されるインナー収容室28になっている。また、アウターハウジング20の上面側の中央部には、後述するインナーハウジング30のロックアーム35を収容するアーム収容凹部29を形成してある。このアーム収容凹部29の両側のアウターハウジング20とインナーハウジング30の装着面(嵌合面)である各仕切壁25の側面25aには、矩形板状のリブ25bを一体突出形成してあり、このリブ25bとアーム収容凹部29の底面29aとで、後述するインナーハウジング30の各リブ36cが係合される溝(反り規制部)29bを形成してある。
【0015】
図5及び図6(a),(b)に示すように、インナーハウジング30は、アウターハウジング20の左右の後部開口27,27から左右のインナー収容室28,28に収容され、端子収容室(キャビティ)33を左右方向に所定ピッチで上下2列形成した一対のハウジング本体31,31と、この一対のハウジング本体31,31間(インナーハウジング30の上面側の中央部)に位置する本体連結部32上(インナーハウジング30の上面側の中央部)に一体突出形成されて、図示しない相手側コネクタを係止するロックアーム35とを備えている。
【0016】
図6(a)に示すように、各ハウジング本体31の端子収容室33には、タブ状の雄端子40を挿入して接続する箱状の雌端子(端子)50が収容されるようになっている。この雌端子50は、電線51を圧着接続する圧着端子である。
【0017】
また、ロックアーム35は、アウターハウジング20の後壁24の中央に形成された凹部24aに後ろ側から係合される連結部36aを自由端側に有して弾性変形する平面U字状のアーム本体36と、このアーム本体36の基部両側に一対のスリット37,37を介して弾性変形自在に一体突出形成され、自由端側に図示しない相手側コネクタの係止部に係脱される係止突起38aを有したロック本体38とを備えている。
【0018】
図6(a),(b)に示すように、ロックアーム35のアーム本体36及びロック本体38の基端部側は、本体連結部32の前面より少し前方に一体突出形成されている。そして、アーム本体36の基部のアウターハウジング20とインナーハウジング30間の装着面(嵌合面)としての両側面36b,36bの下側には、アウターハウジング20の一対の溝29b,29bに係合する矩形状で一対のリブ(反り規制部)36c,36cを一体突出形成してある。
【0019】
尚、図5に示すように、インナーハウジング30の一対のハウジング本体31,31間の本体連結部32も端子収容室(キャビティ)33を左右方向に所定ピッチで1列形成した多極構造になっている。また、ハウジング本体31及び本体連結部32の端子収容室33に収容された雌端子50は、端子収容室33に形成された図示しない可撓性ランスにより一次係止され、かつ、図示しないリテーナにより二次係止されるようになっている。また、図2(a)及び図6(a)に示すように、インナーハウジング30の一対のハウジング本体31,31がアウターハウジング20の左右の後部開口27,27から左右のインナー収容室28,28内に収容されると、一対のハウジング本体31,31の各上下面及び本体連結部32の下面の後端側において一体形成された起立壁部31aと係止突起31b間にアウターハウジング20の後壁24が挟持されるようになっている。
【0020】
以上実施形態のコネクタ10によれば、図1及び図2に示すように、アウターハウジング20とインナーハウジング30の組み付け時に、アウターハウジング20の反り規制部としての一対の溝29b,29bにインナーハウジング30の反り規制部としての一対のリブ36c,36cを挿入して係合することにより、アウターハウジング20とインナーハウジング30の反り変形を矯正して、図7(a)に示すように、アウターハウジング20の端子挿通孔22aとインナーハウジング30の端子収容室33との位置ズレを確実に防止することができる。
【0021】
詳述すると、図3に示すように、アウターハウジング20をモールド成形する製造過程において、アウターハウジング20の長手方向の両端側が上方或いは下方に向けて変位する反り変形が発生するため、アウターハウジング20とインナーハウジング30とに反り規制部としての溝29bとリブ36cが形成されていないと、図7(b)に示すように、アウターハウジング20とインナーハウジング30の組み付け時に、部品反りによるクリアランスに起因して、アウターハウジング20の端子挿通孔22aとインナーハウジング30の端子収容室33とに相対的な位置ズレ(ピッチズレ)Hが発生し、相手側コネクタのタブ状の雄端子40をアウターハウジング20の端子挿通孔22aに挿入する時にドツキ(ど突き)が発生するが、この実施形態のコネクタ10では、アウターハウジング20とインナーハウジング30の組み付け時に、アウターハウジング20の反り規制部としての一対の溝29b,29bにインナーハウジング30の反り規制部としての一対のリブ36c,36cを挿入して係合して、アウターハウジング20の中央部とインナーハウジング30の中央部を上下、左右方向で規制することにより、アウターハウジング20とインナーハウジング30の反り変形を矯正でき、図7(a)に示すように、アウターハウジング20の端子挿通孔22aとインナーハウジング30の端子収容室33との相対的な位置ズレを確実に防止することができる。このため、相手側コネクタのタブ状の雄端子40をアウターハウジング20の端子挿通孔22aからインナーハウジング30の端子収容室33に収容された箱状の雌端子50に挿入する時にドツキ(ど突き)が発生することがなく、両端子40,50をスムーズかつ確実に嵌合して接続することができる。
【0022】
また、インナーハウジング30の反り規制部としての一対のリブ36c,36cを、ロックアーム35の第1アーム部36の基端部の両側面36b,36bの下側に一体突出形成して、アウターハウジング20の一対の溝29b,29bに係合するようにしたことにより、ロックアーム35のロック強度をより一段と向上させることができる。
【0023】
尚、前記実施形態によれば、インナーハウジングのロックアームの両側にリブを設け、アウターハウジングのアーム収容凹部の両側にリブが係合される溝を設けたが、ロックアームの両側に溝を設け、アーム収容凹部の両側に溝に係合されるリブを設けても良い。
【符号の説明】
【0024】
10 コネクタ
20 角筒状のアウターハウジング
22a 端子挿通孔
25a 側面(装着面)
28 インナー収容室
29 アーム収容凹部
29b 溝(反り規制部)
30 インナーハウジング
33 端子収容室
35 ロックアーム
36b 側面(装着面)
36c リブ(反り規制部)
40 雄端子(相手側端子)
50 雌端子(端子)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9