(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記緩衝スペースが、前記第1出入口と前記第2出入口との間において該第1出入口から空気の流出方向へ延びているとともに、前記空気の流出方向と交差する方向へ延びている請求項1または請求項2に記載のクリーンブース。
前記建造物が、前記クリーンブースの外側に設置されて空調設備によって生成された空調空気を該建造物内に給気する空調空気給気口を備え、前記クリーンブースでは、前記空調空気給気口から給気された空調空気による気流の乱れ(外乱)が前記第2出入口に作用した場合、前記第2出入口に作用する外乱による影響が前記緩衝スペースによって緩和され、前記作業ブース内の空気が前記第1出入口から前記緩衝スペースに流出する請求項1ないし請求項7いずれかに記載のクリーンブース。
前記クリーンブースが、前記建造物内に着脱可能に施設される天井パネルと、前記建造物の床と前記天井パネルとの間に着脱可能に施設されて前記作業ブースを囲繞する第1壁パネルと、前記建造物の床と前記天井パネルとの間に着脱可能に施設され、前記第1壁パネルに連結されて前記緩衝スペースを囲繞する第2壁パネルとを含み、前記第1出入口が、前記第1壁パネルの間に開口し、前記第2出入口が、前記第2壁パネルの間に開口している請求項1ないし請求項8いずれかに記載のクリーンブース。
前記給気手段が、前記天井パネルに設置されたファンフィルターユニットであり、前記クリーンブースでは、前記外部空気給気口から前記作業ブースに給気される外部空気によって該外部空気給気口から前記第1出入口に向かって一方向へ流れる気流が該作業ブース内に発生するように、前記ファンフィルターユニットの給気風量が調節される請求項9に記載のクリーンブース。
前記実験設備が、安全キャビネット、クリーンベンチ、グローブボックス、アイソレータ、ドラフトチャンバのうちの少なくとも1つであり、前記クリーンブースでは、前記外部空気給気口から前記作業ブースに給気される外部空気によって該外部空気給気口から前記第1出入口に向かって一方向へ流れる気流が該作業ブース内に発生するように、稼働した前記安全キャビネット、前記クリーンベンチ、前記グローブボックス、前記アイソレータ、前記ドラフトチャンバの排気風量に対応させて前記ファンフィルターユニットの給気風量が調節される請求項9または請求項10に記載のクリーンブース。
前記クリーンブースが、イオン化空気を生成しつつ生成したイオン化空気を前記作業ブースと前記緩衝スペースとのうちの少なくとも一方に給気する除電用空気発生装置を含み、前記除電用空気発生装置によって給気されるイオン化空気のイオン化空気給気口が、前記安全キャビネット、前記クリーンベンチ、前記グローブボックス、前記アイソレータ、前記ドラフトチャンバで作業する作業者の直上に位置する前記天井パネルと、前記第1出入口から前記第2出入口に向かって前記緩衝スペースを一方向へ通流する空気の気流を逆流させることがない該緩衝スペースの天井パネルとのうちの少なくとも一方に設置されている請求項11に記載のクリーンブース。
前記クリーンブースでは、前記外部空気給気口から前記作業ブースに給気される外部空気によって該外部空気給気口から前記第1出入口に向かって一方向へ流れる気流が該作業ブース内に発生するように、前記実験設備の排気風量と前記除電用空気発生装置から給気されたイオン化空気の給気風量とに対応させて前記ファンフィルターユニットの給気風量が調節される請求項12に記載のクリーンブース。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に開示のクリーンブースは、作業者がその内部への入室時やその内部からの退室時にメカニカルファスナを操作して天井部被覆材と周囲側面部被覆材との連結を手作業で解除するとともに、天井部被覆材と周囲側面部被覆材とを連結しなければならず、入退室が煩雑になって入退室に手間を要するのみならず、入退室時に天井部被覆材や周囲側面部被覆材に体が接触することにより、塵埃や雑菌等の不純物がそれら被覆材や作業者の更衣に付着するリスクがある。
【0006】
前記特許文献2に開示の安全キャビネットの排気還流ユニットには、排気還流ユニットを安全キャビネット本体の天井板上に配置して支持する4本の支持脚と、左側前後の支持脚間および右側前後の支持脚間に両支持脚に沿った間仕切りとが設置されている(特許文献1の
図5参照)。排気還流ユニットでは、その排気吹出口から吹き出される空気がクリーンルーム内に漏れ出すのを両間仕切りによって防いでいる。この安全キャビネットでは、安全キャビネット本体の作業空間に安全キャビネット本体の前面から吸引・導入されるバリア空気の量が排気用HEPAフィルタを通過する風量であり、その風量が排気吹出口から安全キャビネット本体の前面を下降する気流となって、着座作業エリアに給気される。
【0007】
排気還流ユニット(安全キャビネット本体)を施設したクリーンルーム内に空調装置(エアー・コンディショナー)が設置され、クリーンルームの壁に出入用のドア(扉)が設置される。作業者はハンズフリーで安全キャビネットにアクセスすることができる反面、その空調装置が稼働し、または、ドアが開閉されることで、クリーンルーム内の気流が乱れ(外乱)、気流の乱れが排気還流ユニットの開口域(出入口)に作用した場合、クリーンルーム内の空気が排気還流ユニットの開口域から排気還流ユニットの内部に流入(逆流)する。クリーンルーム内の空気が排気還流ユニットの内部に流入すると、クリーンルーム内の空気が排気還流ユニットの内部の清浄空気に混入するコンタミネーションを起こし、排気還流ユニットの内部(安全キャビネット本体)の清浄状態を保持することができない場合がある。
【0008】
本発明の目的は、作業ブースの内部に手間を要せず手を触れずに容易に入ることができるとともに、作業ブースの内部から手間を要せず手を触れずに容易に出ることができ、作業ブースの内部への入退出時における作業者への塵埃や雑菌の付着を防ぐことができるクリーンブースを提供することにある。本発明の他の目的は、建造物内の空気の作業ブースの内部への流入を防ぐことができるクリーンブースを提供することにある。本発明の他の目的は、所定の要因によって建造物内に気流の乱れ(外乱)が発生し、建造物内に発生した気流の乱れが作用したとしても、建造物内の空気が作業ブース内の清浄空気に混入するコンタミネーションを起こすことはなく、作業ブース内の清浄状態を保持することができるクリーンブースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための本発明の前提は、建造物の所定の箇所に施設されるクリーンブースである。
【0010】
前記前提における本発明の特徴としては、クリーンブースが、各種の実験設備を収容可能であって所定の作業スペースを有する所定容積の作業ブースと、作業ブースに出入するために施設されて
作業者が通行可能な開口面積を有して開口し、作業ブース内の空気が流出する第1出入口と、作業ブースに外部空気を給気する外部空気給気口を備え、外部空気給気口から第1出入口に向かって一方向へ流れる気流を発生させる給気手段と、第1出入口につながって作業ブースから流出した空気が流入する所定容積の緩衝スペースと、緩衝スペースに出入するために施設されて
作業者が通行可能な開口面積を有して開口し、緩衝スペース内の空気が流出する第2出入口とを有し、クリーンブースでは、外部空気給気口から作業ブースに給気される外部空気によって外部空気給気口から第1出入口に向かって一方向へ流れる気流が作業ブース内に発生するように、給気手段の給気風量が調節され、
クリーンブースの外側における建造物内の気流の乱れ(外乱)が第2出入口に作用した場合、第2出入口に作用する外乱による影響が緩衝スペースによって緩和され、第1出入口から第2出入口に向かって緩衝スペースを通流する空気が第1出入口から作業ブース内に逆流することなく、作業ブース内の空気が第1出入口から緩衝スペースに流出することにある。
【0011】
本発明の一例としては、
第1出入口の平面形状が、縦方向へ長い四角形を呈し、第2出入口の平面形状が、縦方向へ長い四角形を呈し、作業ブースから第1出入口を通って緩衝スペースに流入した空気が、緩衝スペースを通流した後、緩衝スペースから第2出入口を通って建造物の内部に流入する。
【0012】
本発明の他の一例としては、緩衝スペースが、第1出入口と第2出入口との間において第1出入口から空気の流出方向へ延びている。
【0013】
本発明の他の一例としては、緩衝スペースが、第1出入口と第2出入口との間において第1出入口から空気の流出方向へ延びているとともに、空気の流出方向と交差する方向へ延びている。
【0014】
本発明の他の一例としては、第2出入口が、第1出入口に対向し、緩衝スペースを挟んで第1出入口に対して一列に並んだ状態で施設されている。
【0015】
本発明の他の一例としては、第2出入口が、第1出入口に対向せず、緩衝スペースを挟んで第1出入口に対して所定の角度傾斜した位置に施設されている。
【0016】
本発明の他の一例としては、第2出入口が、第1出入口に対向せず、緩衝スペースの介在下に第1出入口に対して略直交した位置に施設されている。
【0017】
本発明の他の一例としては、建造物が、クリーンブースの外側に設置されて空調設備によって生成された空調空気を建造物内に給気する空調空気給気口を備え、クリーンブースでは、空調空気給気口から給気された空調空気による気流の乱れ(外乱)が第2出入口に作用した場合、第2出入口に作用する外乱による影響が緩衝スペースによって緩和され、作業ブース内の空気が第1出入口から前記緩衝スペースに流出する。
【0018】
本発明の他の一例としては、クリーンブースが、建造物内に着脱可能に施設される天井パネルと、建造物の床と天井パネルとの間に着脱可能に施設されて作業ブースを囲繞する第1壁パネルと、建造物の床と天井パネルとの間に着脱可能に施設され、第1壁パネルに連結されて緩衝スペースを囲繞する第2壁パネルとを含み、第1出入口が第1壁パネルの間に開口し、第2出入口が第2壁パネルの間に開口している。
【0019】
本発明の他の一例としては、給気手段が天井パネルに設置されたファンフィルターユニットであり、クリーンブースでは、外部空気給気口から作業ブースに給気される外部空気によって外部空気給気口から第1出入口に向かって一方向へ流れる気流が作業ブース内に発生するように、ファンフィルターユニットの給気風量が調節される。
【0020】
本発明の他の一例としては、実験設備が安全キャビネット、クリーンベンチ、グローブボックス、アイソレータ、ドラフトチャンバのうちの少なくとも1つであり、クリーンブースでは、外部空気給気口から作業ブースに給気される外部空気によって外部空気給気口から第1出入口に向かって一方向へ流れる気流が作業ブース内に発生するように、稼働した安全キャビネット、クリーンベンチ、グローブボックス、アイソレータ、ドラフトチャンバの排気風量に対応させてファンフィルターユニットの給気風量が調節される。
【0021】
本発明の他の一例としては、クリーンブースが、イオン化空気を生成しつつ生成したイオン化空気を作業ブースと緩衝スペースとのうちの少なくとも一方に給気する除電用空気発生装置を含み、除電用空気発生装置によって給気されるイオン化空気のイオン化空気給気口が、安全キャビネット、クリーンベンチ、グローブボックス、アイソレータ、ドラフトチャンバで作業する作業者の直上に位置する天井パネルと、第1出入口から第2出入口に向かって緩衝スペースを一方向へ通流する空気の気流を逆流させることがない緩衝スペースの天井パネルとのうちの少なくとも一方に設置されている。
【0022】
本発明の他の一例として、クリーンブースでは、外部空気給気口から作業ブースに給気される外部空気によって外部空気給気口から第1出入口に向かって一方向へ流れる気流が作業ブース内に発生するように、実験設備の排気風量と除電用空気発生装置から給気されたイオン化空気の給気風量とに対応させてファンフィルターユニットの給気風量が調節される。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るクリーンブースによれば、それに第1出入口や第2出入口が作られ、それら出入口が扉やカーテンによって遮蔽されることはないから、第2出入口を通って緩衝スペースに手を触れずに容易に入ることや緩衝スペースから手を触れずに容易に出ることができるとともに、第1出入口を通って作業ブースに手を触れずに容易に入ることや作業ブースから手を触れずに容易に出ることができ、緩衝スペースや作業ブースへ手間を要せず手を触れずに容易に入退出することができる。クリーンブースは、それに対する入退出時にクリーンブースに作業者が接触することはなく、緩衝スペースや作業ブースの内部への入退出時において緩衝スペースや作業ブースへの塵埃や雑菌の付着を防ぐことができ、クリーンブースの清潔状態を保持することができるとともに、緩衝スペースや作業ブースの内部への入退出時において作業者への塵埃や雑菌の付着を防ぐことができる。クリーンブースは、各種の実験設備を収容可能であって所定の作業スペースを有する所定容積の作業ブースと、作業ブースに出入するために施設されて作業ブース内の空気が流出する第1出入口と、作業ブースに外部空気を給気する外部空気給気口を備え、外部空気給気口から第1出入口に向かって一方向へ流れる気流を発生させる給気手段と、第1出入口につながって作業ブースから流出した空気が流入する所定容積の緩衝スペースと、緩衝スペースに出入するために施設されて緩衝スペース内の空気が流出する第2出入口とを有し、外部空気給気口から作業ブースに給気される外部空気によって外部空気給気口から第1出入口に向かって一方向へ流れる気流が作業ブース内に発生するように、給気手段の給気風量が調節され、第1出入口から第2出入口に向かって緩衝スペースを通流する空気が第1出入口から作業ブース内に逆流することなく、作業ブース内の空気が第1出入口から緩衝スペースに流出するから、作業ブース内の空気が第1出入口から緩衝スペースに流出するとともに緩衝スペースを通流して第2出入口から流出する空気の流れ(気流)を作ることができ、第1出入口から作業ブース内への空気の逆流を防ぐことができるとともに、建造物内の空気の作業ブース内への逆流を防ぐことができる。クリーンブースは、それを施設した建造物内の気流が所定の要因によって乱れ、建造物内の気流の乱れ(外乱)が第2出入口に作用したとしても、その外乱による影響が緩衝スペースの空気層によって緩和・消滅し、作業ブース内の空気の第1出入口から流出する流れが維持されるから、外乱を原因とした建造物内の空気の作業ブース内への逆流(流入)を防ぐことができ、建造物内の空気が作業ブース内の清浄空気に混入するコンタミネーションを起こすことはなく、作業ブース内の清浄状態を保持することができる。
【0024】
緩衝スペースが第1出入口と第2出入口との間において第1出入口から空気の流出方向へ延びているクリーンブースは、緩衝スペースが第1出入口と第2出入口との間で第1出入口から空気の流出方向へ延びることで、緩衝スペースが空気の流出方向へ所定の容積を有し、第2出入口に向かって緩衝スペースを流通する空気層が第2出入口から緩衝スペースに向かって逆流する空気の抵抗となり、作業ブース内の空気が第1出入口から緩衝スペースに流出するとともに緩衝スペースを通流して第2出入口から流出する空気の流れ(気流)を作ることができ、第1出入口から作業ブース内への空気の逆流を防ぐことができるとともに、建造物内の空気の作業ブース内への逆流を防ぐことができる。クリーンブースは、それを施設した建造物内の気流が所定の要因によって乱れ、建造物内の気流の乱れ(外乱)が第2出入口に作用したとしても、第1出入口と第2出入口との間で第1出入口から空気の流出方向へ延びる緩衝スペースの空気層によってその外乱による影響が緩和・消滅し、作業ブース内の空気の第1出入口から流出する流れが維持されるから、外乱を原因とした建造物内の空気の作業ブース内への逆流(流入)を防ぐことができ、建造物内の空気が作業ブース内の清浄空気に混入するコンタミネーションを起こすことはなく、作業ブース内の清浄状態を保持することができる。
【0025】
緩衝スペースが第1出入口と第2出入口との間において第1出入口から空気の流出方向へ延びているとともに、空気の流出方向と交差する方向へ延びているクリーンブースは、緩衝スペースが第1出入口と第2出入口との間で第1出入口から空気の流出方向へ延びるとともに空気の流出方向と交差する方向へ延びることで、緩衝スペースが空気の流出方向および流出方向と交差する方向へ所定の容積を有し、第2出入口に向かって緩衝スペースを流通する空気層が第2出入口から緩衝スペースに向かって逆流する空気の抵抗となり、作業ブース内の空気が第1出入口から緩衝スペースに流出するとともに緩衝スペースを通流して第2出入口から流出する空気の流れ(気流)を作ることができ、第1出入口から作業ブース内への空気の逆流を防ぐことができるとともに、建造物内の空気の作業ブース内への逆流を防ぐことができる。クリーンブースは、それを施設した建造物内の気流が所定の要因によって乱れ、建造物内の気流の乱れ(外乱)が第2出入口に作用したとしても、第1出入口と第2出入口との間で第1出入口から空気の流出方向へ延びるとともに空気の流出方向と交差する方向へ延びる緩衝スペースの空気層によってその外乱による影響が緩和・消滅し、作業ブース内の空気の第1出入口から流出する流れが維持されるから、外乱を原因とした建造物内の空気の作業ブース内への逆流(流入)を防ぐことができ、建造物内の空気が作業ブース内の清浄空気に混入するコンタミネーションを起こすことはなく、作業ブース内の清浄状態を保持することができる。
【0026】
第2出入口が第1出入口に対向し、緩衝スペースを挟んで第1出入口に対して一列に並んだ状態で施設されているクリーンブースは、第1出入口と第1出入口に対向する第2出入口との間に位置する緩衝スペースの空気層が第2出入口から緩衝スペースに向かって逆流する空気の抵抗となり、第1出入口から緩衝スペースに流出するとともに緩衝スペースを通流して第2出入口から流出する空気の流れ(気流)を作ることができ、第1出入口から作業ブース内への空気の逆流を防ぐことができるとともに、建造物内の空気の作業ブース内への逆流を防ぐことができる。クリーンブースは、それを施設した建造物内の気流が所定の要因によって乱れ、建造物内の気流の乱れ(外乱)が第2出入口に作用したとしても、第1出入口と第1出入口に対向する第2出入口との間に位置する緩衝スペースの空気層によってその外乱による影響が緩和・消滅し、作業ブース内の空気の第1出入口から流出する流れが維持されるから、外乱を原因とした建造物内の空気の作業ブース内への逆流(流入)を防ぐことができ、建造物内の空気が作業ブース内の清浄空気に混入するコンタミネーションを起こすことはなく、作業ブース内の清浄状態を保持することができる。
【0027】
第2出入口が第1出入口に対向せず、緩衝スペースを挟んで第1出入口に対して所定の角度傾斜した位置に施設されているクリーンブースは、第1出入口と第1出入口に対して所定角度傾斜する第2出入口との間に位置する緩衝スペースの空気層が第2出入口から緩衝スペースに向かって逆流する空気の抵抗となり、第1出入口から緩衝スペースに流出するとともに緩衝スペースを通流して第2出入口から流出する空気の流れ(気流)を作ることができ、第1出入口から作業ブース内への空気の逆流を防ぐことができるとともに、建造物内の空気の作業ブース内への逆流を防ぐことができる。クリーンブースは、それを施設した建造物内の気流が所定の要因によって乱れ、建造物内の気流の乱れ(外乱)が第2出入口に作用したとしても、第1出入口と第1出入口に対して所定角度傾斜する第2出入口との間に位置する緩衝スペースの空気層によってその外乱による影響が緩和・消滅し、作業ブース内の空気の第1出入口から流出する流れが維持されるとともに、さらに、第2出入口が第1出入口に対して所定角度傾斜して位置することで、第2出入口から逆流する空気が第1出入口に直接向かうことができないから、外乱を原因とした建造物内の空気の作業ブース内への逆流(流入)を確実に防ぐことができ、建造物内の空気が作業ブース内の清浄空気に混入するコンタミネーションを起こすことはなく、作業ブース内の清浄状態を保持することができる。クリーンブースは、第2出入口を第1出入口に対して所定角度傾斜して位置させることで、緩衝スペースに載置する各種の機材の配置に応じて第1および第2出入口の位置を自由に決定することができ、緩衝スペースの利便性を向上させることができる。
【0028】
第2出入口が第1出入口に対向せず、緩衝スペースの介在下に第1出入口に対して略直交した位置に施設されているクリーンブースは、第1出入口と第1出入口に対して略直交する第2出入口との間に位置する緩衝スペースの空気層が第2出入口から緩衝スペースに向かって逆流する空気の抵抗となり、第1出入口から緩衝スペースに流出するとともに緩衝スペースを通流して第2出入口から流出する空気の流れ(気流)を作ることができ、第1出入口から作業ブース内への空気の逆流を防ぐことができるとともに、建造物内の空気の作業ブース内への逆流を防ぐことができる。クリーンブースは、それを施設した建造物内の気流が所定の要因によって乱れ、建造物内の気流の乱れ(外乱)が第2出入口に作用したとしても、第1出入口と第1出入口に対して略直交する第2出入口との間に位置する緩衝スペースの空気層によってその外乱による影響が緩和・消滅し、作業ブース内の空気の第1出入口から流出する流れが維持されるとともに、さらに、第2出入口が第1出入口に対して略直交することで、第2出入口から逆流する空気が第1出入口に直接向かうことができないから、外乱を原因とした建造物内の空気の作業ブース内への逆流(流入)を確実に防ぐことができ、建造物内の空気が作業ブース内の清浄空気に混入するコンタミネーションを起こすことはなく、作業ブース内の清浄状態を保持することができる。クリーンブースは、第2出入口を第1出入口に対して略直交させることで、緩衝スペースに載置する各種の機材の配置に応じて第1および第2出入口の位置を自由に決定することができ、緩衝スペースの利便性を向上させることができる。
【0029】
クリーンブースの外側における建造物内の気流の乱れ(外乱)が第2出入口に作用した場合、第2出入口に作用する外乱による影響が緩衝スペースによって緩和され、作業ブース内の空気が第1出入口から緩衝スペースに流出するクリーンブースは、それを施設した建造物内の気流が所定の要因によって乱れ、建造物内の気流の乱れ(外乱)が第2出入口に作用したとしても、第2出入口に作用する外乱による影響が緩衝スペースの空気層によって緩和・消滅し、作業ブース内の空気の第1出入口から流出する流れが維持されるから、外乱を原因とした建造物内の空気の作業ブース内への逆流(流入)を防ぐことができ、建造物内の空気が作業ブース内の清浄空気に混入するコンタミネーションを起こすことはなく、作業ブース内の清浄状態を保持することができる。
【0030】
建造物がクリーンブースの外側に設置されて空調設備によって生成された空調空気を建造物内に給気する空調空気給気口を備え、空調空気給気口から給気された空調空気による気流の乱れ(外乱)が第2出入口に作用した場合、第2出入口に作用する外乱による影響が緩衝スペースによって緩和され、作業ブース内の空気が第1出入口から緩衝スペースに流出するクリーンブースは、それを施設した建造物内の気流が空調空気給気口から給気された空調空気によって乱れ、空調空気による気流の乱れ(外乱)が第2出入口に作用したとしても、第2出入口に作用する外乱による影響が緩衝スペースの空気層によって緩和・消滅し、作業ブース内の空気の第1出入口から流出する流れが維持されるから、外乱を原因とした建造物内の空気の作業ブース内への逆流(流入)を防ぐことができ、建造物内の空気が作業ブース内の清浄空気に混入するコンタミネーションを起こすことはなく、作業ブース内の清浄状態を保持することができる。
【0031】
建造物内に着脱可能に施設される天井パネルと、建造物の床と天井パネルとの間に着脱可能に施設されて作業ブースを囲繞する第1壁パネルと、建造物の床と天井パネルとの間に着脱可能に施設され、第1壁パネルに連結されて緩衝スペースを囲繞する第2壁パネルとを含み、第1出入口が第1壁パネルの間に開口し、第2出入口が第2壁パネルの間に開口しているクリーンブースは、天井パネルや第1壁パネル、第2壁パネルを建造物内に着脱可能に施設することで、各種の実験設備を収容可能な所定容積の作業ブースと緩衝スペースとを有するクリーンブースを作ることができ、作業ブース内の空気の第1出入口からの流出を維持することが可能であって、作業ブース内の清浄状態を保持することが可能なクリーンブースを手間や時間を要せずに建造物内に容易に施設することができる。クリーンブースは、それが不要になった場合、天井パネルや第1壁パネル、第2壁パネルを建造物から取り外すことでクリーンブースを容易に解体することできるから、手間や時間を要せずに建造物内からクリーンブースを速やかに撤去することができる。
【0032】
給気手段が天井パネルに設置されたファンフィルターユニットであり、外部空気給気口から作業ブースに給気される外部空気によって外部空気給気口から第1出入口に向かって一方向へ流れる気流が作業ブース内に発生するように、ファンフィルターユニットの給気風量が調節されるクリーンブースは、外部空気給気口から第1出入口に向かって一方向へ流れる気流が作業ブース内に発生するようにファンフィルターユニットの給気風量を調節することで、外部空気によって外部空気給気口から第1出入口に向かって一方向へ流れる気流が作業ブース内に発生し、第2出入口に作用した外乱による影響が緩衝スペースの空気層によって緩和・消滅するから、作業ブース内の空気の第1出入口から流出する流れが維持され、建造物内の空気の作業ブース内への逆流(流入)を防ぐことができ、建造物内の空気が作業ブース内の清浄空気に混入するコンタミネーションを起こすことはなく、作業ブース内の清浄状態を保持することができる。
【0033】
実験設備が安全キャビネット、クリーンベンチ、グローブボックス、アイソレータ、ドラフトチャンバのうちの少なくとも1つであり、外部空気給気口から作業ブースに給気される外部空気によって外部空気給気口から第1出入口に向かって一方向へ流れる気流が作業ブース内に発生するように、稼働した安全キャビネット、クリーンベンチ、グローブボックス、アイソレータ、ドラフトチャンバの排気風量に対応させてファンフィルターユニットの給気風量が調節されるクリーンブースは、安全キャビネット、クリーンベンチ、グローブボックス、アイソレータ、ドラフトチャンバを通流した空気を外部に排気した場合、外部に排気した空気の風量を補充する必要があるが、外部空気給気口から第1出入口に向かって一方向へ流れる気流が作業ブース内に発生するように、稼働した安全キャビネット、クリーンベンチ、グローブボックス、アイソレータ、ドラフトチャンバの排気風量に対応させてファンフィルターユニットの給気風量を調節することで、外部空気によって外部空気給気口から第1出入口に向かって一方向へ流れる気流が作業ブース内に発生し、第2出入口に作用した外乱による影響が緩衝スペースの空気層によって緩和・消滅するから、作業ブース内の空気が第1出入口から流出する流れが維持され、建造物内の空気の作業ブース内への逆流(流入)を防ぐことができ、建造物内の空気が作業ブース内の清浄空気に混入するコンタミネーションを起こすことはなく、作業ブース内の清浄状態を保持することができる。
【0034】
イオン化空気を生成しつつ生成したイオン化空気を作業ブースと緩衝スペースとのうちの少なくとも一方に給気する除電用空気発生装置を含み、除電用空気発生装置によって給気されるイオン化空気のイオン化空気給気口が安全キャビネット、クリーンベンチ、グローブボックス、アイソレータ、ドラフトチャンバで作業する作業者の直上に位置する天井パネルと、第1出入口から第2出入口に向かって緩衝スペースを一方向へ通流する空気の気流を逆流させることがない緩衝スペースの天井パネルとのうちの少なくとも一方に設置されているクリーンブースは、除電用空気発生装置によって生成されたイオン化空気が作業ブースや緩衝スペースの天井パネルから作業者に向かって給気されるから、作業者の着衣に帯電した電荷をイオン化空気によって除電(中和)することができ、作業者における静電気の発生を防ぐことができるとともに、作業者の着衣への静電気による塵埃の付着を防ぐことができる。クリーンブースは、イオン化空気を給気することによって作業中に発生した静電気による着衣や機材の帯電を防ぐことができるとともに、イオン化空気によって作業者の着衣や機材が帯電することがないから、着衣や機材に塵埃が付着したとしてもその塵埃を容易に除去することができる。クリーンブースは、イオン化空気給気口が第1出入口から第2出入口に向かって緩衝スペースを一方向へ通流する空気の気流を逆流させることがない緩衝スペースの天井パネルに設置されることで、緩衝スペースに発生した一方向へ流れる気流が除電用空気発生装置から給気されたイオン化空気によって乱れることや逆流することはなく、緩衝スペースの気流の乱れによって生じる第1出入口から作業ブースの内部への空気の逆流を防ぐことができ、作業ブースの内部の清浄状態を保持することができる。
【0035】
外部空気給気口から作業ブースに給気される外部空気によって外部空気給気口から第1出入口に向かって一方向へ流れる気流が作業ブース内に発生するように、実験設備の排気風量と除電用空気発生装置から給気されたイオン化空気の給気風量とに対応させてファンフィルターユニットの給気風量が調節されるクリーンブースは、外部空気給気口から第1出入口に向かって一方向へ流れる気流が作業ブース内に発生するように、稼働した実験設備の排気風量と稼働した除電用空気発生装置のイオン化空気の給気風量とに対応させてファンフィルターユニットの給気風量を調節することで、外部空気給気口から第1出入口に向かって一方向へ流れる気流が作業ブース内に発生するとともに、第2出入口に作用した外乱による影響が緩衝スペースの空気層によって緩和・消滅するから、作業ブース内の空気の第1出入口から流出する流れが維持され、建造物内の空気の作業ブース内への逆流(流入)を防ぐことができ、建造物内の空気が作業ブース内の清浄空気に混入するコンタミネーションを起こすことはなく、作業ブース内の清浄状態を保持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
一例として示すクリーンブース10Aの前方斜視図である
図1等の添付の図面を参照し、本発明に係るクリーンブースの詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、
図2は、クリーンブース10Aの上面図であり、
図3は、一例として示す安全キャビネット31の側面図である。
図4は、クリーンブース10Aにおける空気の流れの一例を示す上面図であり、
図5は、クリーンブース10Aにおける空気の流れの一例を示す側面図ある。
図2,
図4,
図5では、ファンフィルターユニット16(給気手段)や安全キャビネット31、空調設備の空調空気給気口18(エアーコンディショナーの空調空気給気口)を模式的に示す。
図2,
図4,
図5では、前後方向を矢印A、横方向を矢印Bで示し、上下方向を矢印Cで示す。
【0038】
クリーンブース10A(クリーンブース10B,10C,10Dを含む)は、研究棟や実験棟、医療棟、製造工場等の建造物11の内部(作業室)の所定の箇所に施設され、各種の実験や研究、開発、培養等に利用される。クリーンブース10A(クリーンブース10B,10C,10Dを含む)は、その内部(作業ブース12、緩衝スペース15)が微陽圧に保持されている。クリーンブース10Aは、作業ブース12、第1出入口13、第2出入口14、緩衝スペース15(緩衝空間)、ファンフィルターユニット16(給気手段)を有する。
【0039】
建造物11には、その内部(室内)に空調空気を給気する空調設備(図示せず)が施設されている。建造物11の内部におけるクリーンブース10Aの外側(共用部分)の天井17(天井面)には、空調設備(エアーコンディショナー)によって生成された空調空気を建造物11の内部に給気する空調空気給気口18(吹き出し口)が設置されている。空調空気給気口18からは、建造物11の内部に向かって所定風量の空調空気が給気され、建造物11の内部が設定温度および設定湿度に保持される(クリーンブース10B,10C,10Dも同様)。
【0040】
クリーンブース10Aは、建造物11の内部(室内)に設置された複数枚の天井パネル19と、建造物11の床20と天井パネル19との間に設置された複数枚の第1壁パネル21と、第1壁パネル21に隣接して建造物11の床20と天井パネル19との間に設置された複数枚の第2壁パネル22とから作られている。天井パネル19には、平面形状が四角形のアルミパネルまたは鋼材パネルが利用されている。天井パネル19は、複数枚の側面パネル19aと複数枚の天面パネル19bとから形成されている。
【0041】
天井パネル19では、それら側面パネル19aを横方向と前後方向とへ連結することで天井囲いが作られ、それら天面パネル19bを横方向と前後方向とへ連結することで天井が作られている。天井パネル19では、側面パネル19aの上端縁が建造物11の天井17に気密に連結され、天面パネル19bから作られた天井の外周縁が側面パネル19aの下端縁に気密に連結されている。建造物11の天井17と天面パネル19b(仮天井)との間には、側面パネル19aに囲繞された天井空間23が形成されている。
【0042】
側面パネル19aには、作業ブース12へ給気するための空気取り入れ用ガラリ24が取り付けられているとともに、作業ブース12から排気するための空気排気用ガラリ25が取り付けられている。天面パネル19bには、天井用照明器具(LEDや蛍光灯)が設置されている。天井パネル19(側面パネル19aおよび天面パネル19b)は、建造物11の内部(室内)において着脱可能であり、複数枚のそれらを所定のマニュアル(手順)にしたがって建造物11の内部に容易かつ迅速に取り付けることができ、建造物11の内部から容易かつ迅速に取り外すことができるとともに、複数枚のパネル19a,19bに容易に分解することができる。
【0043】
第1壁パネル21および第2壁パネル22は、アルミフレームまたは鋼材フレームと、アルミフレームや鋼材フレームに嵌め込まれた透明なプラスチック板(アクリルボードやポリカーボネートボード、塩ビボード等)または透明なガラス板とから作られ、その平面形状が四角形に成形されている。それら第1壁パネル21は、横方向へ連結されてクリーンブース10Aの第1正面壁26と背面壁27とを形成し、前後方向へ連結されてクリーンブース10Aの第1側面壁28を形成している。
【0044】
それら第1壁パネル21は、その上端縁が天井(天面パネル19b)の外周縁に気密に連結され、その下端縁が建造物11の床20(床面)に気密に連結されている。第1壁パネル21は、建造物11の内部(室内)において着脱可能であり、複数枚のそれらを所定のマニュアル(手順)にしたがって建造物11の内部に容易かつ迅速に取り付けることができ、建造物11の内部から容易かつ迅速に取り外すことができるとともに、複数枚のパネル21に容易に分解することができる。
【0045】
それら第2壁パネル22は、横方向へ連結されてクリーンブース10Aの第2正面壁29を形成し、前後方向へ連結されてクリーンブース10Aの第2側面壁30を形成している。それら第2壁パネル22は、その上端縁が天井(天面パネル19b)の外周縁に気密に連結され、その側縁が第1壁パネル21の側縁に気密に連結されているとともに、その下端縁が建造物11の床20(床面)に気密に連結されている。第2壁パネル22は、建造物11の内部において着脱可能であり、複数枚のそれらを所定のマニュアル(手順)にしたがって建造物11の内部に容易かつ迅速に取り付けることができ、建造物11の内部かつ迅速から容易に取り外すことができるとともに、複数枚のパネル22に容易に分解することができる。
【0046】
クリーンブース10Aには、天井パネル19と第1壁パネル21(第1正面壁26、第1側面壁28、背面壁27)とに囲繞された所定容積および所定の床面積の作業ブース12が画成され、天井パネル19と第1および第2壁パネル21,22(第1正面壁26、第2正面壁29、第2側面壁30)とに囲繞された所定容積および所定の床面積の緩衝スペース15が画成されている。
【0047】
作業ブース12は、所定容積の作業スペースを有し、各種の実験設備を収容可能である。図示の作業ブース12の内部には、安全キャビネット31が収容されている。作業ブース12には、安全キャビネット31の他に、クリーンベンチ、グローブボックス、アイソレータ、ドラフトチャンバを収容することができ、細胞培養装置や遠心分離器、冷凍機等の各種の実験装置、机や棚、コンピュータ(サーバ)等を収容することができる。作業ブース12の容積や床面積に特に制限はなく、作業ブース12で行われる作業内容や収容する実験設備の大きさ、実験設備の数等によってその容積や床面積が決定される。
【0048】
第1出入口13は、作業ブース12に出入するために施設され、第1壁パネル21によって形成された第1正面壁26の間(第1正面壁26の中央)に開口している。第1出入口13は、その平面形状が縦方向へ長い四角形を呈し、作業者が通行可能な開口面積を有する。第1出入口13からは、作業ブース12の内部の空気が流出する。
【0049】
第2出入口14は、緩衝スペース15に出入するために施設され、第2壁パネル22によって形成された第2正面壁29の間(第2正面壁29の中央)に開口している。第2出入口14は、その平面形状が縦方向へ長い四角形を呈し、作業者が通行可能な開口面積を有する。第2出入口14からは、緩衝スペース15内の空気が流出する。第1出入口13と第2出入口14とは、同形同大であり、第2出入口14が第1出入口13に対向し、緩衝スペース15を挟んで第1出入口13と第2出入口14とが前後方向へ一列に並んだ状態で施設されている。
【0050】
緩衝スペース15は、第1出入口13と第2出入口14との間に位置し、第1出入口13と第2出入口14とにつながっている。緩衝スペース15は、第1出入口13から第2出入口14に向かって前後方向(空気の流出方向)へ延びているとともに、第1出入口13と第2出入口14との間において横方向(空気の流出方向と交差する方向)へ延びている。緩衝スペース15には、作業ブース12から流出した空気が流入し、第1出入口13から第2出入口14に向かってスペース15を通流する空気によって空気層が形成される。
【0051】
緩衝スペース15には、机や棚、コンピュータ(サーバ)等を設置することができる他、作業者の更衣を行う場所として使用することができる。緩衝スペース15の容積や床面積に特に制限はなく、作業ブース12の容積や床面積によってその容積や床面積が決定される。なお、図示はしていないが、緩衝スペース15が横方向(空気の流出方向と交差する方向)へ延在することなく、第1出入口13から第2出入口14に向かって前後方向(空気の流出方向)のみへ延びていてもよい。
【0052】
ファンフィルターユニット16(給気手段)は、前後方向へ並ぶ2台のそれが天井空間23に設置されている。ファンフィルターユニット16には、HEPAフィルタ32(
図5参照)が設置されている。ファンフィルターユニット16は、作業ブース12に外部空気(清浄空気)を給気する外部空気給気口33(外気空気吹き出し口)を有する。それらファンフィルターユニット16の外部空気の外部空気給気口33は、作業ブース12の略中央部における天井パネル19(天面パネル19b)に設置され、前後方向へ並んでいる。ファンフィルターユニット16は、その空気取り入れ口34が天井空間23に位置している。
【0053】
ファンフィルターユニット16は、天井空間23から建造物11の内部の外部空気を取り入れ、外部空気をHEPAフィルタ32によって濾過した後、外部空気給気口33(仮天井)から作業ブース12の内部の床面に向かって所定風量の外気空気(清浄空気)を給気する。ファンフィルターユニット16は、作業ブース12の内部気圧を微陽圧に保持しつつ、外部空気給気口33から第1出入口13に向かって一方向(前後方向)へ流れる気流(外部空気給気口33から第1出入口13に向かうとともに第1出入口13から第2出入口14に向かって一方向へ流れる気流)を発生させる。
【0054】
ファンフィルターユニット16では、作業ブース12の容積や安全キャビネット31から排気される空気の排気風量に対応しつつ、作業ブース12の内部気圧を微陽圧に保持し得るとともに、給気する外部空気(清浄空気)によって外部空気給気口33から第1出入口13に向かって一方向(前後方向)へ流れる気流が作業ブース12の内部に発生するように、その給気風量(たとえば、0.3〜0.4m/s)や給気方向が調節されている。具体的には、ファンフィルターユニット16の給気風量=安全キャビネット31から排気される空気の排気風量+クリーンブース10A(第2出入口14)から排気される空気の排気風量である。
【0055】
クリーンブース10A(クリーンブース10B,10C,10Dを含む)におけるファンフィルターユニット16の給気風量の調節は、クリーンブース10A(クリーンブース10B,10C,10Dを含む)の施設時の設計風量により微陽圧が保持される条件のもと、クリーンブース10Aの運転開始時に作業者が作業ブース12の外側のリモコンスイッチで調節する場合、または、または、クリーンブース10A(クリーンブース10B,10C,10Dを含む)の施設後にコンピュータ(制御装置)および室圧センサ等を利用して自動調節(フィードバック制御等)によって調節される場合がある。
【0056】
安全キャビネット31は、
図3に示すように、作業用チャンバ35と作業用チャンバ35を載せた架台36とを備えている。安全キャビネット31には、空気流入開口37および空気流路38が形成され、送風機39(給気および排気用ファン)と第1および第2HEPAフィルタ40,41とが設置されている。作業用チャンバ35は、頂面板、底面板、前面板、背面板、側面板から形成された六面体の箱である。前面板は、透明なプラスチック板(アクリルボードやポリカーボネートボード、塩ビボード等)または透明なガラス板が使用されている。前面板には、開閉可能な前面シャッターが取り付けられている。前面板の下方には前面開口42が作られ、前面シャッターによって前面開口42が開閉される。
【0057】
空気流入開口37は、作業用チャンバ35の下方であって前面開口42の近傍に開口している。空気流路38は、空気流入開口37につながり、空気流入開口37から流入した空気が通流する。チャンバ35の直上に延びる空気流路38には、排気用ダクト43(
図5参照)が連結されている。排気用ダクト43は、安全キャビネット31から天井空間23に進入し、天井パネル19(側面パネル19a)に取り付けられた空気排気用ガラリ25に連結されている。
【0058】
送風機39は、作業用チャンバ35の直上に延びる空気流路38に設置され、空気流路38に流入した空気を作業用チャンバ35の上方から下方に向かって流動させるとともに、空気を空気流路35から排気用ダクト43に流入させる。第1HEPAフィルタ40は、作業用チャンバ35(頂面板)の直上に設置されている。第2HEPAフィルタ41は、作業用チャンバ38の直上に延びる空気流路38の上方に設置されている。
【0059】
安全キャビネット31は、
図3に矢印L1で示すように、送風機39が起動すると、作業ブース12の内部の空気を取り込み、その空気の一部を第1HEPAフィルタ40で濾過しつつ、清浄な空気を作業用チャンバ35に給気し、作業用チャンバ35に清浄なエアー空間を作る。さらに、残余の空気を第2HEPAフィルタ41で濾過しつつ、残余の空気を外部(建造物11の室内)に排気する。
【0060】
安全キャビネット31を利用して各種の作業を行う場合、作業者が第2出入口14および第1出入口13を通って作業ブース12に入室し、ファンフィルターユニット16および安全キャビネット31(送風機39)を起動させる。なお、ファンフィルターユニット16や安全キャビネット31(送風機39)のON/OFFスイッチは、クリーンブース10Aの内部に設置されている。また、建造物11の空調設備が稼働し、所定風量の空調空気が空調空気給気口18から建造物11の内部に給気されている。
【0061】
クリーンブース10A(クリーンブース10B,10Cを含む)を利用して各種の実験や研究、開発、培養等を行う実験者や研究者、開発者等の作業者は、ファンフィルターユニット16や安全キャビネット31のON/OFFスイッチをONにしてファンフィルターユニット16や安全キャビネット31(送風機39)を起動させるとともに、無塵衣を着用した状態で作業ブース12に入る。
【0062】
ファンフィルターユニット16を起動させると、
図4,5に矢印L2で示すように、建造物11の内部の空気(外部空気)が空気取り入れ用ガラリ24から天井空間23に流入し、天井空間23に位置する空気取り入れ口34からファンフィルターユニット16に流入する。外部空気は、ファンフィルターユニット16のHEPAフィルタ32を通流して清浄空気となり、外部空気給気口33から作業ブース12の内部の床面に向かって給気される。
【0063】
ファンフィルターユニット16から給気される清浄空気の風量が作業ブース12の内部気圧を微陽圧に保持するそれに調節されているから、ファンフィルターユニット16や安全キャビネット31(送風機39)の起動によって作業ブース12の内部が微陽圧になるとともに、ファンフィルターユニット16の外部空気給気口33から第1出入口13に向かって一方向(前後方向)へ流れる気流(外部空気給気口33から第1出入口13に向かうとともに第1出入口13から第2出入口14に向かって一方向へ流れる気流)が発生する。
【0064】
作業ブース12の内部に給気された清浄空気の一部は、安全キャビネット31の空気流入開口37から空気流路38に流入し、空気流路38を通って第1HEPAフィルタ40を通流した後、作業用チャンバ35に流入するとともに、第2HEPAフィルタ41を通流した後、排気用ダクト43を通って空気排気用ガラリ25から建造物11の内部(室内)に排気される。したがって、ファンフィルターユニット16から給気された空気は、その一部がクリーンブース10A(作業ブース12)の外側(建造物11の室内)に排気される。
【0065】
作業ブース12の内部に給気された清浄空気のうちの安全キャビネット31の前面開口42に流入した空気を除く残余の空気は、
図4,5に矢印L3で示すように、第1出入口13を通って緩衝スペース15に流入し、緩衝スペース15を通流した後、緩衝スペース15から第2出入口14を通って建造物11の内部(室内)に流入する。建造物11の内部に流出した空気(建造物11の内部(作業室)の外部空気)は、ファンフィルターユニット16によって再び作業ブース12の内部に給気される。
【0066】
クリーンブース10Aでは、空調設備の空調空気給気口18から所定風量の空調空気が建造物11の内部(室内)に給気されることで、建造物11の内部に気流の乱れ(外乱)が生じ、その外乱が第2正面壁29の中央に開口する第2出入口14に作用する場合がある。空調空気の給気によって生じた気流の乱れ(外乱)が第2出入口14に作用すると、
図4,5に矢印L4で示すように、建造物11の内部(室内)の外部空気の一部が第2出入口14から緩衝スペース15に流入(逆流)する場合がある。
【0067】
しかし、クリーンブース10Aでは、空調空気の給気によって生じた気流の乱れ(建造物11の内部の外乱)が第2出入口14に作用したとしても、第1出入口13と第2出入口14との間で第1出入口13から前後方向(空気の流出方向)へ延びるとともに横方向(空気の流出方向と交差する方向)へ延びる緩衝スペース15の空気層(ファンフィルターユニット16から給気された気流)が逆流する空気の抵抗となり、緩衝スペース15の空気層によってその外乱による影響が緩和・消滅し、
図4,5に矢印L2で示すように、作業ブース12の内部の空気の第1出入口13から流出する流れ(気流)が維持される。
【0068】
クリーンブース10Aは、それを施設した建造物11の内部(作業室)の気流が空調設備の空調空気給気口18から給気された空調空気によって乱れ、空調空気の給気を要因とする気流の乱れ(建造物11の内部の外乱)が第2出入口14に作用したとしても、緩衝スペース15が第1出入口13と第2出入口14との間で第1出入口13から前後方向(空気の流出方向)へ延びるとともに横方向(空気の流出方向と交差する方向)へ延びることで、緩衝スペース15が前後方向および横方向へ所定の容積を有し、作業ブース12から第1出入口13を通って緩衝スペース15に流出するとともに緩衝スペース15を通流して第2出入口14から流出する空気の流れ(気流)が作られ、第1出入口13から第2出入口14に向かって緩衝スペース15を流通する空気層(作業ブース12から流出する空気)が第2出入口14から緩衝スペース15に向かって逆流する空気の抵抗となり、第2出入口14から緩衝スペース15に向かって逆流する空気が緩衝スペース14を流通する空気層によって押し戻される。したがって、クリーンブース10Aは、空調空気の給気によって建造物11の内部に外乱が生じたとしても、第1出入口13から作業ブース12の内部への空気の逆流を防ぐことができるとともに、建造物11の内部の空気の作業ブース12の内部への流入を防ぐことができる。
【0069】
クリーンブース10Aは、空調空気の給気を要因とする気流の乱れ(外乱)が第2正面壁29の中央に開口する第2出入口14に作用したとしても、第2出入口14に作用する外乱による影響が第1出入口13から前後方向(空気の流出方向)へ延びるとともに横方向(空気の流出方向と交差する方向)へ延びる緩衝スペース15の空気層によって緩和・消滅し、作業ブース12の内部の空気が第1出入口13から流出する流れ(気流)が維持されるから、外乱を原因とした建造物11の内部(室内)の空気の作業ブース12の内部への流入(逆流)を防ぐことができ、建造物11の内部の空気が作業ブース12の内部の清浄空気に混入するコンタミネーションを起こすことはなく、作業ブース12の内部の清浄状態を保持することができる。
【0070】
クリーンブース10Aは、それに第1出入口13や第2出入口14が作られ、それら出入口13,14が扉やカーテンによって遮蔽されることはないから、第2出入口14を通って緩衝スペース15に手を触れずに容易に入ることや緩衝スペース15から手を触れずに容易に出ることができるとともに、第1出入口13を通って作業ブース12に手を触れずに容易に入ることや作業ブース12から手を触れずに容易に出ることができ、緩衝スペース15や作業ブース12へ手間を要せず手を触れずに容易に入退出することができる(クリーンブース10B,10C,10Dも同様)。クリーンブース10Aは、それに対する入退出時にクリーンブース10Aに作業者が接触することはなく、緩衝スペース15や作業ブース12の内部への入退出時において緩衝スペース15や作業ブース12への塵埃や雑菌の付着を防ぐことができ、クリーンブース10Aの清潔状態を保持することができるとともに、緩衝スペース15や作業ブース12の内部への入退出時において作業者への塵埃や雑菌の付着を防ぐことができる(クリーンブース10B,10C,10Dも同様)。
【0071】
図6は、クリーンブース10Aにおける空気の流れの他の一例を示す上面図である。
図6では、前後方向を矢印Aで示し、横方向を矢印Bで示す。
図6に示すクリーンブース10Aが
図4のそれと異なるところは、空調設備の空調空気給気口18から給気された空調空気によって生じる気流の乱れ(外乱)に加え、建造物11のドア44(扉)の開閉による気流の乱れ(外乱)が発生している点にある。
【0072】
クリーンブース10Aでは、空調設備の空調空気給気口18から所定風量の空調空気が建造物11の内部(室内)に給気されるとともに、建造物11のドア44(扉)が開閉されることで、
図6に矢印L5で示すように、建造物11の内部に気流の乱れ(外乱)が生じ、気流の乱れが第2正面壁29の中央に開口する第2出入口14に作用する場合がある。なお、ドア44の開閉のみによっても建造物11の内部に気流の乱れ(外乱)が生じ、気流の乱れが第2出入口14に作用する場合がある。空調空気によって生じた気流の乱れやドア44の開閉によって生じた気流の乱れが第2出入口14に作用すると、建造物11の内部(室内)の外部空気の一部が第2出入口14から緩衝スペース15に流入(逆流)する場合がある。
【0073】
しかし、クリーンブース10Aでは、空調空気の給気やドア44の開閉によって生じた気流の乱れ(外乱)が第2出入口14に作用したとしても、第1出入口13と第2出入口14との間で第1出入口13から前後方向(空気の流出方向)へ延びるとともに横方向(空気の流出方向と交差する方向)へ延びる緩衝スペース15の空気層(ファンフィルターユニット16から給気された気流)が逆流する空気の抵抗となり、緩衝スペース15の空気層によってその外乱による影響が緩和・消滅し、
図6に矢印L3で示すように、作業ブース12の内部の空気の第1出入口13から流出する流れ(気流)が維持される。
【0074】
クリーンブース10Aは、それを施設した建造物11の内部(室内)の気流が空調設備の空調空気給気口18から給気された空調空気およびドア44の開閉によって乱れ、空調空気の給気やドア44の開閉によって生じた気流の乱れ(外乱)が第2出入口14に作用したとしても、緩衝スペース15が第1出入口13と第2出入口14との間で第1出入口13から前後方向(空気の流出方向)へ延びるとともに横方向(空気の流出方向と交差する方向)へ延びることで、緩衝スペース15が前後方向および横方向へ所定の容積を有し、作業ブース12から第1出入口13を通って緩衝スペース13に流出するとともに緩衝スペース15を通流して第2出入口14から流出する空気の流れ(気流)が作られ、第1出入口13から第2出入口14に向かって緩衝スペース15を流通する空気層(作業ブース12から流出する空気)が第2出入口14から緩衝スペース15に向かって逆流する空気の抵抗となり、第2出入口14から緩衝スペース15に向かって逆流する空気が緩衝スペース15を流通する空気層によって押し戻される。したがって、クリーンブース10Aは、空調空気の給気やドア44の開閉によって建造物11の内部に外乱が生じたとしても、第1出入口13から作業ブース12の内部への空気の逆流を防ぐことができるとともに、建造物11の内部の空気の作業ブース12の内部への流入を防ぐことができる。
【0075】
クリーンブース10Aは、空調空気の給気およびドア44の開閉を要因とする気流の乱れ(建造物11の内部の外乱)が第2正面壁29の中央に開口する第2出入口14に作用したとしても、第2出入口14に作用する外乱による影響が第1出入口13から前後方向(空気の流出方向)へ延びるとともに横方向(空気の流出方向と交差する方向)へ延びる緩衝スペース15の空気層によって緩和・消滅し、作業ブース12の内部の空気の第1出入口13から流出する流れ(気流)が維持されるから、外乱を原因とした建造物11の内部(室内)の空気の作業ブース12の内部への流入(逆流)を防ぐことができ、建造物11の内部の空気が作業ブース12の内部の清浄空気に混入するコンタミネーションを起こすことはなく、作業ブース12の内部の清浄状態を保持することができる。
【0076】
図7は、他の一例として示すクリーンブース10Bの上面図であり、
図8は、
図7のクリーンブース10Bにおける空気の流れの一例を示す上面図である。
図7では、前後方向を矢印Aで示し、横方向を矢印Bで示す。
【0077】
図7に示すクリーンブース10Bが
図1のそれと異なるところは、第2出入口14が第1出入口13に対して前後方向へ一直線に対向せず、緩衝スペース15を挟んで(緩衝スペース15の介在下に)第2出入口14が第1出入口13に対して所定の角度傾斜した位置に施設されている点にある。このクリーンブース10Bのその他の構成は
図1のクリーンブース10Aのそれらと同一であるから、
図1のクリーンブース10Aの説明を援用するとともに、
図1と同一の符号を付すことで、このクリーンブース10Bのその他の構成の詳細な説明は省略する。
【0078】
クリーンブース10Bは、作業ブース12、第1出入口13、第2出入口14、緩衝スペース15(緩衝空間)、ファンフィルターユニット16(給気手段)を有する。作業ブース12やファンフィルターユニット16(給気手段)、建造物11に施設された空調設備は、
図1のクリーンブース10Aのそれらと同一である。作業ブース12には、安全キャビネット31(
図3参照)が収容されている。
【0079】
第1出入口13は、第1壁パネル21によって形成された第1正面壁26の間(第1正面壁26の中央)に開口し、作業ブース12の内部の空気が流出する。第2出入口14は、第2壁パネル22によって形成された第2正面壁29の左端(中央に対して左側)に開口し、緩衝スペース15内の空気が流出する。第1出入口13と第2出入口14とは、同形同大であってその平面形状が縦方向へ長い四角形を呈する。第2出入口14は、第1出入口13に対して一列に対向せず、緩衝スペース15を挟んで(緩衝スペース15の介在下に)第1出入口13に対して斜め右前方に開口し、第1出入口13に対して所定の角度傾斜した位置に施設されている。
【0080】
なお、第1出入口13が第1正面壁26の中央ではなく、第1正面壁26の右端(中央に対して右側)または左端(中央に対して左側)に開口し、第2出入口14が第1出入口13に対して斜め前方へ所定角度傾斜して位置するように、第2正面壁29の中央や第2正面壁29の右端(中央に対して右側)、第2正面壁29の左端(中央に対して左側)に開口していてもよい。
【0081】
緩衝スペース15は、第1出入口13と第2出入口14との間に位置し、第1出入口13から斜め前方に位置する第2出入口14につながっている。緩衝スペース15は、第1出入口13から第2出入口14に向かって前後方向(空気の流出方向)へ延びているとともに、第1出入口13と第2出入口14との間において横方向(空気の流出方向と交差する方向)へ延びている。緩衝スペース15には、作業ブース12から流出した空気が流入し、第1出入口13から第2出入口14に向かってスペース15を通流する空気によって空気層が形成される。
【0082】
クリーンブース10Bでは、空調設備の空調空気給気口18から所定風量の空調空気が建造物11の内部(作業室)に給気されることで、建造物11の内部に気流の乱れが生じ、気流の乱れ(外乱)が第2正面壁29の左端(第1出入口13に対して斜め前方へ所定角度傾斜した位置)に開口する第2出入口14に作用する場合がある。空調空気の給気によって生じた気流の乱れ(外乱)が第2出入口14に作用すると、建造物11の内部の外部空気の一部が第2出入口14から緩衝スペース15に流入(逆流)する場合がある。
【0083】
しかし、クリーンブース10Bでは、空調空気の給気を要因とする気流の乱れ(建造物11の内部の外乱)が第2出入口14に作用したとしても、第1出入口13と第1出入口13に対して斜め前方へ所定角度傾斜した第2出入口14との間において第1出入口13から前後方向(空気の流出方向)へ延びるとともに横方向(空気の流出方向と交差する方向)へ延びる緩衝スペース15の空気層(ファンフィルターユニット16から給気された気流)が逆流する空気の抵抗となり、緩衝スペース15の空気層によってその外乱が緩和・消滅し、
図8に矢印L3で示すように、作業ブース12の内部の空気の第1出入口13から流出する流れ(気流)が維持される。
【0084】
なお、クリーンブース10Bでは、空調空気の給気およびドア44の開閉を要因とする気流の乱れ(建造物11の内部の外乱)またはドア44の開閉のみを要因とする気流の乱れ(建造物11の内部の外乱)が第1出入口13に対して斜め前方へ所定角度傾斜した第2出入口14に作用したとしても、緩衝スペース15の空気層が逆流する空気の抵抗となり、緩衝スペース15の空気層によってその外乱による影響が緩和・消滅し、作業ブース12の内部の空気の第1出入口13から流出する流れ(気流)が維持される(
図6参照)。
【0085】
クリーンブース10Bは、それを施設した建造物11の内部(室内)の気流が空調設備の空調空気給気口18から給気された空調空気(および/またはドア44の開閉)によって乱れ、空調空気の給気(および/またはドア44の開閉)によって生じた気流の乱れ(外乱)が第2出入口14に作用したとしても、第1出入口13と第1出入口13に対して斜め前方へ所定角度傾斜した第2出入口14との間において緩衝スペース15が第1出入口13から前後方向(空気の流出方向)へ延びるとともに横方向(空気の流出方向と交差する方向)へ延びることで、緩衝スペース15が前後方向(空気の流出方向)および横方向(空気の流出方向と交差する方向)へ所定の容積を有し、作業ブース15から第1出入口13を通って緩衝スペース15に流出するとともに緩衝スペース15を通流して第2出入口14から流出する空気の流れ(気流)が作られ、第1出入口13から第2出入口14に向かって緩衝スペース15を流通する空気層(作業ブース12から流出する空気)が第2出入口14から緩衝スペース15に向かって逆流する空気の抵抗となり、第2出入口14から緩衝スペース15に向かって逆流する空気が緩衝スペース15を流通する空気層によって押し戻される。したがって、クリーンブース10Bは、空調空気の給気(および/またはドア44の開閉)によって建造物11の内部に外乱が生じたとしても、第1出入口13から作業ブース12の内部への空気の逆流を防ぐことができるとともに、建造物11の内部の空気の作業ブース12の内部への流入を防ぐことができる。
【0086】
クリーンブース10Bは、空調空気の給気(および/またはドア44の開閉)を要因とする気流の乱れ(建造物11の内部の外乱)が第2正面壁29の左端に開口する第2出入口14に作用したとしても、第2出入口14に作用する外乱による影響が第1出入口13から前後方向(空気の流出方向)へ延びるとともに横方向(空気の流出方向と交差する方向)へ延びる緩衝スペース15の空気層によって緩和・消滅し、作業ブース12の内部の空気が第1出入口13から流出する流れ(気流)が維持されるとともに、さらに、第2出入口14が第1出入口13に対して所定角度傾斜して位置することで、第2出入口14から逆流する空気が第1出入口13に直接向かうことができないから、外乱を原因とした建造物11の内部(室内)の空気の作業ブース12の内部への流入(逆流)を防ぐことができ、建造物11の内部の空気が作業ブース12の内部の清浄空気に混入するコンタミネーションを起こすことはなく、作業ブース12の内部の清浄状態を保持することができる。クリーンブース10Bは、第2出入口14を第1出入口13に対して所定角度傾斜して位置させることで、緩衝スペース15に載置する各種の機材の配置に応じて第1および第2出入口13,14の位置を自由に決定することができ、緩衝スペース15の利便性を向上させることができる。
【0087】
図9は、他の一例として示すクリーンブース10Cの上面図であり、
図10は、
図9のクリーンブース10Cにおける空気の流れの一例を示す上面図である。
図9では、前後方向を矢印Aで示し、横方向を矢印Bで示す。
【0088】
図9に示すクリーンブース10Cが
図1のそれと異なるところは、第2出入口14が第1出入口13に対して一直線に対向せず、緩衝スペース15を挟んで(緩衝スペース15の介在下に)第2出入口14が第1出入口13に対して略直交した位置に施設されている点にある。このクリーンブース10Cのその他の構成は
図1のクリーンブース10Aのそれらと同一であるから、
図1の説明を援用するとともに、
図1と同一の符号を付すことで、このクリーンブース10Cのその他の構成の詳細な説明は省略する。
【0089】
クリーンブース10Cは、作業ブース12、第1出入口13、第2出入口14、緩衝スペース15(緩衝空間)、ファンフィルターユニット16(給気手段)を有する。作業ブース12やファンフィルターユニット16(給気手段)、建造物11に施設された空調設備は、
図1のクリーンブース10Aのそれらと同一である。作業ブース12には、安全キャビネット31(
図3参照)が収容されている。
【0090】
第1出入口13は、第1壁パネル21によって形成された第1正面壁26の間(第1正面壁26の中央)に開口し、作業ブース12の内部の空気が流出する。第2出入口14は、第2壁パネル22によって形成された第2側面壁30(第1正面壁26の右側に位置する第2側面壁30)に開口し、緩衝スペース15の内部の空気が流出する。第1出入口13と第2出入口14とは、同形同大であってその平面形状が縦方向へ長い四角形を呈する。第2出入口14は、第1出入口13に対して前後方向へ一直線に対向せず、緩衝スペース15を挟んで(緩衝スペース15の介在下に)第1出入口13に対して略直交した位置(略90°曲がった位置)に開口し、第1出入口13(第1正面壁26)に直交する第2側面壁30に施設されている。なお、第1出入口13が第1正面壁26の中央ではなく、第1正面壁26の右端(中央に対して右側)または左端(中央に対して左側)に開口し、第2出入口14が第1出入口13に対して略直交して位置するように、第1正面壁26の右側または左側に位置する第2側面壁30に開口していてもよい。
【0091】
緩衝スペース16は、第1出入口13と第2出入口14との間に位置し、第1出入口13から略直交して位置する第2出入口14につながっている。緩衝スペース15は、第1出入口13から第2出入口14に向かって前後方向(空気の流出方向)へ延びているとともに、第1出入口13と第2出入口14との間において横方向(空気の流出方向と交差する方向)へ延びている。緩衝スペース15には、作業ブース12から流出した空気が流入し、第1出入口13から第2出入口14に向かってスペース15を通流する空気によって空気層が形成される。
【0092】
クリーンブース10Cでは、空調設備の空調空気給気口18から所定風量の空調空気が建造物11の内部(室内)に給気されることで、建造物11の内部に気流の乱れが生じ、気流の乱れ(外乱)が第2側面壁30(第1出入口13に対して略直交した位置)に開口する第2出入口14に作用する場合がある。空調空気によって生じた気流の乱れ(外乱)が第2出入口14に作用すると、建造物11の内部(作業室)の外部空気の一部が第2出入口14から緩衝スペース15に流入(逆流)する場合がある。
【0093】
しかし、クリーンブース10Cでは、空調空気の給気を要因とする気流の乱れ(建造物11の内部の外乱)が第2出入口14に作用したとしても、第1出入口13と第1出入口13に対して略直交して位置する第2出入口14との間において第1出入口13から前後方向(空気の流出方向)へ延びるとともに横方向(空気の流出方向と交差する方向)へ延びる緩衝スペース15の空気層(ファンフィルターユニット16から給気された気流)が逆流する空気の抵抗となり、緩衝スペース15の空気層によってその外乱が緩和・消滅し、
図10に矢印L3で示すように、作業ブース12の内部の空気の第1出入口13から流出する流れ(気流)が維持される。
【0094】
なお、クリーンブース10Cでは、空調空気の給気およびドア44の開閉を要因とする気流の乱れ(建造物11の内部の外乱)またはドア44の開閉のみを要因とする気流の乱れ(建造物11の内部の外乱)が第1出入口13に対して略直交して位置する第2出入口14に作用したとしても、緩衝スペース15の空気層が逆流する空気の抵抗となり、緩衝スペース15の空気層によってその外乱による影響が緩和・消滅し、作業ブース12の内部の空気の第1出入口13から流出する流れ(気流)が維持される(
図6参照)。
【0095】
クリーンブース10Cは、それを施設した建造物11の内部(室内)の気流が空調設備の空調空気給気口18から給気された空調空気(および/またはドア44の開閉)によって乱れ、空調空気の給気(および/またはドア44の開閉)によって生じた気流の乱れによる外乱が第2出入口14に作用したとしても、第1出入口13と第1出入口13に対して略直交して位置する第2出入口14との間において緩衝スペース15が第1出入口13から前後方向(空気の流出方向)へ延びるとともに横方向(空気の流出方向と交差する方向)へ延びることで、緩衝スペース15が前後方向(空気の流出方向)および横方向(空気の流出方向と交差する方向)へ所定の容積を有し、作業ブース15から第1出入口13を通って緩衝スペース15に流出するとともに緩衝スペース15を通流して第2出入口14から流出する空気の流れ(気流)が作られ、第1出入口13から第2出入口14に向かって緩衝スペース15を流通する空気層(作業ブース12から流出する空気)が第2出入口14から緩衝スペース15に向かって逆流する空気の抵抗となり、第2出入口14から緩衝スペース15に向かって逆流する空気が緩衝スペース15を流通する空気層によって押し戻される。したがって、クリーンブース10Cは、空調空気の給気(および/またはドア44の開閉)によって建造物11の内部に外乱が生じたとしても、第1出入口13から作業ブース12の内部への空気の逆流を防ぐことができるとともに、建造物11の内部の空気の作業ブース12の内部への流入を防ぐことができる。
【0096】
クリーンブース10Cは、空調空気の給気(および/またはドア44の開閉)を要因とする気流の乱れ(建造物11の内部の外乱)が第2側面壁30に開口する第2出入口14に作用したとしても、第2出入口14に作用する外乱による影響第1出入口13から前後方向(空気の流出方向)へ延びるとともに横方向(空気の流出方向と交差する方向)へ延びる緩衝スペース15の空気層によって緩和・消滅し、作業ブース12の内部の空気の第1出入口13から流出する流れ(気流)が維持されるとともに、さらに、第2出入口14が第1出入口13に対して略直交して位置することで、第2出入口14から逆流する空気が第1出入口13に直接向かうことができないから、外乱を原因とした建造物11の内部(室内)の空気の作業ブース12の内部への流入(逆流)を防ぐことができ、建造物11の内部の空気が作業ブース12の内部の清浄空気に混入するコンタミネーションを起こすことはなく、作業ブース12の内部の清浄状態を保持することができる。クリーンブース10Cは、第2出入口14を第1出入口13に対して略直交して位置させることで、緩衝スペース15に載置する各種の機材の配置に応じて第1および第2出入口13,14の位置を自由に決定することができ、緩衝スペース15の利便性を向上させることができる。
【0097】
図11は、他の一例として示すクリーンブース10Dの上面図であり、
図12は、除電用空気発生システム45の概略構成図である。
図13は、
図11のクリーンブース10Dにおける空気の流れの一例を示す上面図であり、
図14は、
図11のクリーンブース10Dにおける空気の流れの一例を示す側面図である。
図11,
図13,
図14では、前後方向を矢印A、横方向を矢印Bで示し、上下方向を矢印Cで示す。
【0098】
図11に示すクリーンブース10Dが
図1のそれと異なるところは、イオン化空気を生成しつつ生成したイオン化空気を作業ブース12に給気する除電用空気発生装置48を含む点、除電用空気発生装置48によって作業ブース12に給気されるイオン化空気のイオン化空気給気口49が安全キャビネット31で作業する作業者の直上に位置する天井パネル19(天面パネル19b)に設置されている点にある。このクリーンブース10Dのその他の構成は
図1のクリーンブース10Aのそれらと同一であるから、
図1の説明を援用するとともに、
図1と同一の符号を付すことで、このクリーンブース10Dのその他の構成の詳細な説明は省略する。
【0099】
クリーンブース10Dは、作業ブース12、第1出入口13、第2出入口14、緩衝スペース15(緩衝空間)、ファンフィルターユニット16(給気手段)、除電用空気発生システム45を有する。作業ブース12や第1出入口13、第2出入口14、緩衝スペース15、ファンフィルターユニット16(給気手段)、建造物11に施設された空調設備は、
図1のクリーンブース10Aのそれらと同一である。作業ブース12には、安全キャビネット31(
図3参照)が収容されている。
【0100】
除電用空気発生システム45は、
図12に示すように、送風機47(送風ファン)、HEPAフィルタ46、除電用空気発生装置48、イオン化空気給気口49、イオン化空気給気ダクト50から形成されている。送風機47は、イオン化空気給気ダクト50に設置され、HEPAフィルタ46によって濾過された清浄空気を除電用空気発生装置48に送る。HEPAフィルタ46は、送風機47の後流側に延びるイオン化空気給気ダクト50に設置され、外部空気を濾過して清浄空気を作る。
【0101】
除電用空気発生装置48は、HEPAフィルタ46の後流側に延びるイオン化空気給気ダクト50に設置されている。除電用空気発生装置48は、高電圧によって空気を電離し、清浄空気から正イオン・負イオンを有するイオン化空気を生成する。除電用空気発生装置48から生成されたイオン化空気によって帯電物の電荷が中和(除電)される。除電用空気発生装置48には、イオンエンジン型やDC型、AC型、フェイズドアレイ型、高周波型、パルスDC型、パルスAC型、プラズマ型、プラズマDCパルス型のいずれかを使用することができる。
【0102】
イオン化空気給気口49は、イオン化空気給気ダクト50に連結され、安全キャビネット31で作業する作業者の直上に位置する作業ブース12の天井パネル19(天面パネル19b)に設置されている。イオン化空気給気ダクト50は、天井空間23に設置され、天井パネル19(側面パネル19a)に取り付けられた空気取り入れ用ガラリ51に連結されている。なお、作業ブース12にクリーンベンチやグローブボックス、アイソレータ、ドラフトチャンバのいずれかが収容される場合、イオン化空気給気口49がそれら実験設備で作業する作業者の直上に位置する天井パネル19(天面パネル19b)に設置される。
【0103】
クリーンブース10Dでは、イオン化空気給気口49が作業ブース12の天井パネル19に設置されているが、イオン化空気給気口49が安全キャビネット31で作業する作業者の直上に位置する作業ブース12の天井パネル19(天面パネル19b)と、緩衝スペース15の天井パネル19(天面パネル19b)とのうちの少なくとも一方に設置されていればよい。イオン化空気給気口49が緩衝スペース15の天井パネル19に設置される場合は、第1出入口13から第2出入口14に向かって緩衝スペース15を一方向(前後方向)へ通流する空気の気流を逆流させることがない緩衝スペース15の天井パネル19の所定の箇所に設置される。
【0104】
除電用空気発生システム45が起動すると、送風機47によって建造物11の内部(室内)の外部空気が空気取り入れ用ガラリ51からイオン化空気給気ダクト50に流入し、外部空気がHEPAフィルタ46を通流して除電用空気発生装置48に流入し、除電用空気発生装置48によってイオン化空気が生成された後、所定風量のイオン化空気がイオン化空気給気口49から作業ブース12の内部の床面に向かってを給気される。なお、除電用空気発生システム45のON/OFFスイッチは、クリーンブース10Dの内部に設置されている。
【0105】
クリーンブース10Dでは、作業ブース12の容積や安全キャビネット31から排気される空気の排気風量、除電用空気発生装置48から給気されたイオン化空気の給気風量に対応しつつ、作業ブース12の内部気圧を微陽圧に保持し得るとともに、給気する外部空気によって外部空気給気口33から第1出入口13に向かって一方向(前後方向)へ流れる気流が作業ブース12の内部に発生するように、ファンフィルターユニット16の給気風量や給気方向が調節されている。具体的には、ファンフィルターユニット16の給気風量=(安全キャビネット31から排気される空気の排気風量+クリーンブース10D(第2出入口14)から排気される空気の排気風量)−除電用空気発生装置48から給気されるイオン化空気の給気風量である。
【0106】
クリーンブース10Dを利用して各種の実験や研究、開発、培養等を行う作業者は、ファンフィルターユニット16や安全キャビネット31(送風機39)、除電用空気発生システム45のON/OFFスイッチをONにしてファンフィルターユニット16や安全キャビネット31、除電用空気発生システム45を起動させるとともに、無塵衣を着用した状態で作業ブース12に入る。
【0107】
ファンフィルターユニット16や安全キャビネット31(送風機39)、除電用空気発生システム45を起動させると、建造物11の内部の空気(外部空気)が空気取り入れ用ガラリ24,51から天井空間23およびイオン化空気給気ダクト50に流入し、天井空間23からファンフィルターユニット16に流入するとともに、イオン化空気給気ダクト50からHEPAフィルタ46を通流して除電用空気発生装置48に流入する。外部空気がファンフィルターユニット16のHEPAフィルタ32を通流して外部空気給気口33から作業ブース12の内部の床面に向かって給気され、イオン化空気がイオン化空気給気口49から作業ブース12の内部の床面に向かって給気される。
【0108】
ファンフィルターユニット16から給気される外部空気(清浄空気)の風量が作業ブース12の内部気圧を微陽圧に保持するそれに調節されているから、ファンフィルターユニット16や安全キャビネット31(送風機39)、除電用空気発生システム45の起動によって作業ブース12の内部が微陽圧になるとともに、ファンフィルターユニット16の外部空気給気口33から第1出入口13に向かって一方向(前後方向)へ流れる気流が発生する。
【0109】
作業ブース12の内部に給気されたイオン化空気は、
図14,15に矢印L6で示すように、安全キャビネット31で作業する作業者の上方から作業者に向かって給気される。作業者が装着した無塵衣が帯電している場合、イオン化空気によって無塵衣(帯電物)の電荷が中和(除電)される。作業ブース12の内部に給気された外部空気(清浄空気)およびイオン化空気の一部は、安全キャビネット31の空気流入開口37から空気流路38に流入し、空気流路38を通って第1HEPAフィルタ40を通流した後、作業用チャンバ35に流入するとともに、第2HEPAフィルタ41を通流した後、排気用ダクト43を通って空気排気用ガラリ25から建造物11の内部(室内)に排気される(
図3参照)。したがって、ファンフィルターユニット16から給気された外部空気や除電用空気発生装置48から給気されたイオン化空気は、その一部がクリーンブース10D(作業ブース12)の外側(建造物11の室内)に排気される。
【0110】
作業ブース12の内部に給気された清浄空気やイオン化空気のうちの安全キャビネット31に流入した空気を除く残余の空気(清浄空気およびイオン化空気)は、
図13,14に矢印L3で示すように、第1出入口13を通って緩衝スペース14に流入し、緩衝スペース15を通流した後、緩衝スペース15から第2出入口14を通ってクリーンブース10Dの外側(建造物11の内部(室内))に流出する。建造物11の内部に流出した空気(建造物11の内部の外部空気)は、ファンフィルターユニット16や除電用空気発生システム45によって再び作業ブース12の内部に給気される。
【0111】
クリーンブース10Dでは、空調設備の空調空気給気口18から所定風量の空調空気が建造物11の内部(室内)に給気されることで、建造物11の内部に気流の乱れ(外乱)が生じ、気流の乱れが第2正面壁26の中央に開口する第2出入口14に作用する場合がある。空調空気によって生じた気流の乱れ(外乱)が第2出入口14に作用すると、建造物11の内部(室内)の外部空気の一部が第2出入口14から緩衝スペース15に流入(逆流)する場合がある。
【0112】
しかし、クリーンブース10Dでは、空調空気の給気によって生じた気流の乱れ(建造物11の内部の外乱)が第2出入口14に作用したとしても、第1出入口13と第2出入口14との間で第1出入口13から前後方向(空気の流出方向)へ延びるとともに横方向(空気の流出方向と交差する方向)へ延びる緩衝スペース15の空気層(ファンフィルターユニット16および除電用空気発生システム45から給気された気流)が逆流する空気の抵抗となり、緩衝スペース15の空気層によってその外乱による影響が緩和・消滅し、作業ブース12の内部の空気の第1出入口13から流出する流れ(気流)が維持される。
【0113】
なお、クリーンブース10Dでは、空調空気の給気およびドア44の開閉を要因とする気流の乱れ(建造物11の内部の外乱)またはドア44の開閉のみを要因とする気流の乱れ(建造物11の内部の外乱)が第2正面壁26の中央に開口する第2出入口14に作用したとしても、緩衝スペース15の空気層が逆流する空気の抵抗となり、緩衝スペース15の空気層によってその外乱による影響が緩和・消滅し、作業ブース12の内部の空気の第1出入口13から流出する流れ(気流)が維持される(
図6参照)。
【0114】
クリーンブース10Dは、それを施設した建造物11の内部(作業室))の気流が空調設備の空調空気給気口18から給気された空調空気(および/またはドア44の開閉)によって乱れ、空調空気の給気(および/またはドア44の開閉)を要因とする気流の乱れ(建造物11の内部の外乱)が第2出入口14に作用したとしても、緩衝スペース15が第1出入口13と第2出入口14との間で第1出入口13から前後方向(空気の流出方向)へ延びるとともに横方向(空気の流出方向と交差する方向)へ延びることで、緩衝スペース15が前後方向(空気の流出方向)および横方向(空気の流出方向と交差する方向)へ所定の容積を有し、作業ブース12から第1出入口13を通って緩衝スペース15に流出するとともに緩衝スペース15を通流して第2出入口14から流出する空気の流れ(気流)が作られ、第1出入口13から第2出入口14に向かって緩衝スペース15を流通する空気層(作業ブース12から流出する空気)が第2出入口14から緩衝スペース15に向かって逆流する空気の抵抗となり、第2出入口14から緩衝スペース15に向かって逆流する空気が緩衝スペース15を流通する空気層によって押し戻される。したがって、クリーンブース10Dは、空調空気の給気(および/またはドア44の開閉)によって建造物11の内部に外乱が生じたとしても、第1出入口13から作業ブース12の内部への空気の逆流を防ぐことができるとともに、建造物11の内部の空気の作業ブース12の内部への流入を防ぐことができる。
【0115】
クリーンブース10Dは、空調空気の給気(および/またはドア44の開閉)を要因とする気流の乱れ(外乱)が第2正面壁26の中央に開口する第2出入口14に作用したとしても、第2出入口14に作用する外乱による影響が第1出入口13から前後方向(空気の流出方向)へ延びるとともに横方向(空気の流出方向と交差する方向)へ延びる緩衝スペース15の空気層によって緩和・消滅し、作業ブース12の内部の空気の第1出入口13から流出する流れ(気流)が維持されるから、外乱を原因とした建造物11の内部(室内)の空気の作業ブース12の内部への流入(逆流)を防ぐことができ、建造物11の内部の空気が作業ブース12の内部の清浄空気に混入するコンタミネーションを起こすことはなく、作業ブース12の内部の清浄状態を保持することができる。
【0116】
クリーンブース10Dは、除電用空気発生装置48(除電用空気発生システム45)によって生成されたイオン化空気が作業ブース12の天井パネル19から作業者に向かって給気されるから、作業者の着衣(無塵衣)に帯電した電荷をイオン化空気によって除電(中和)することができ、作業者における静電気の発生を防ぐことができるとともに、作業者の着衣への静電気による塵埃の付着を防ぐことができる。クリーンブース10Dは、イオン化空気を給気することによって作業中に発生した静電気による着衣や機材の帯電を防ぐことができるとともに、イオン化空気によって作業者の着衣や機材が帯電することがないから、着衣や機材に塵埃が付着したとしてもその塵埃を容易に除去することができる。
【0117】
クリーンブース10Dは、イオン化空気給気口49が第1出入口13から第2出入口14に向かって緩衝スペース15を一方向(前後方向)へ通流する空気の気流を逆流させることがない緩衝スペース15の天井パネル19に設置される場合、緩衝スペース15に発生した一方向へ流れる気流が除電用空気発生装置48から給気されたイオン化空気によって乱れることや逆流することはなく、緩衝スペース15の気流の乱れによって生じる第1出入口13から作業ブース12の内部への空気の逆流を防ぐことができ、作業ブース12の内部の清浄状態を保持することができる。
【0118】
なお、建造物11の内部に外乱が発生する他の要因としては、第2出入口14の近傍における人や物の往来、建造物11の内部における局所給気装置や局所排気装置の稼働、建造物11の内部とクリーンブース10A〜10Dの内部との急激な温度差の発生がある。クリーンブース10A〜10Dでは、それらの外乱が発生したとしても、緩衝スペース15の存在によってそれら外乱を原因とした建造物11の内部(室内)の空気の作業ブース12の内部への流入(逆流)を防ぐことができ、建造物11の内部の空気が作業ブース12の内部の清浄空気に混入するコンタミネーションを起こすことはなく、作業ブース12の内部の清浄状態を保持することができる。