(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、トンネルには、トンネルの長さに応じた数の照明装置が設置される。各照明装置には、トンネル内に敷設した電源ケーブルにより、外部の電源から供給された電力が分配される。電源ケーブルは、トンネルに沿って延設される幹線ケーブルと、幹線ケーブルから分岐されて各照明装置にそれぞれ接続される複数の接続ケーブルとを含んで構成される。
【0005】
そこで、トンネル内の複数の照明装置に三相交流電源からの電力を分配する場合は、それらの照明装置を複数のグループに分け、接続ケーブルを介して各グループの照明装置に異なる相の電力を分配することが考えられる。各照明装置に分配する電力の相をグループ毎に異ならせれば、特定の相の電力が偏って照明装置に供給されるのを防ぎ、各相の電力を複数の照明装置に均等に消費させることができる。
【0006】
但し、その場合は、接続相手の照明装置に供給しない電力の相に対応する電線を間引いて接続ケーブルを構成する必要がある。接続する照明装置のグループ毎に接続ケーブルの間引く電線の相が異なる電源ケーブルは、設計や製造に手間がかかり、製造後の通電試験も面倒になる。
【0007】
しかも、照明装置側に仕様変更が生じると、変更後の仕様に合わせた相の電力を照明装置に供給するために、仕様が変わった照明装置に接続する接続ケーブルを含む電源ケーブルの全体をまるごと新しい仕様に合わせたものに交換する必要がある。
【0008】
あるいは、電源ケーブルの全体を交換する代わりに、幹線ケーブルの分岐箇所を分解して、仕様が変わった照明装置に接続する接続ケーブルを新しい仕様の接続ケーブルに交換する必要が生じる。
【0009】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、トンネル等の設備に複数設置した照明装置等の負荷を複数のグループに分けて、各グループの負荷に三相交流電源の異なる相の電力を分配する際に利用できる、設計や製造が容易で負荷の交換による仕様変更にも簡便な作業で対応できる電源ケーブルユニットと、この電源ケーブルユニットに用いて好適なコネクタユニットとを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明の第1の態様によるコネクタユニットは、
三相交流の各相にそれぞれ対応する3つの電源側端子
が端子収容室に配置された電源側コネクタと、
前記電源側コネクタとの嵌合により前記3つの電源側端子のうち接続対象の2つの電源側端子と接続され、前記電源側コネクタとの嵌合方向の周りの回転方向における姿勢に応じて前記接続対象の2つの電源側端子の内訳が変わる2つの負荷側端子
が端子収容室に配置され
、前記3つの電源側端子のうち非接続対象の1つの電源側端子に対応する負荷側端子を有していない負荷側コネクタと、
を備える。
【0011】
本発明の第1の態様によるコネクタユニットによれば、電源側コネクタと嵌合する際の負荷側コネクタの姿勢を変えると、電源側コネクタの3つ電源側端子のうち負荷側コネクタの2つの負荷側端子が接続される2つの端子の内訳が変わる。
【0012】
そこで、設備に設置した複数の負荷を複数のグループに分けて、各グループ毎に三相交流電源の異なる相の電力を負荷に分配する際には、三相交流電源側の電源ケーブルに電源側コネクタを接続し、負荷側の電源ケーブルに負荷側コネクタを接続する。そして、負荷に分配する電力の相に応じた姿勢で、負荷側コネクタを電源側コネクタに嵌合する。
【0013】
このとき、電源側コネクタを接続する三相交流電源側の電源ケーブルは、電源側コネクタの3つの電源側端子に対応して、3つの相の電力の全てに対応する電線を有するケーブルで構成することができる。
【0014】
一方、負荷側コネクタを接続する負荷側の電源ケーブルは、負荷側コネクタの2つの負荷側端子に対応して、負荷に供給する2つの相の電力のみに対応する電線を有するケーブルで構成することができる。
【0015】
そして、嵌合した電源側コネクタと負荷側コネクタとの間では、負荷側コネクタの2つの負荷側端子が、電源側コネクタの3つ電源側端子のうち負荷側コネクタの姿勢に対応する接続対象の2つの電源側端子に接続される。
【0016】
このため、三相交流電源の3つの相のうち、負荷側コネクタの姿勢に応じて2つの負荷側端子が接触する電源側コネクタの接続対象の2つの電源側端子に対応する2つの相の電力が、両コネクタを介して三相交流電源側の電源ケーブルから負荷側の電源ケーブルに分配される。
【0017】
なお、例えば負荷の仕様が変わって負荷に供給する電力の相が変わる場合は、仕様が変わった負荷の電力ケーブルに接続した負荷側コネクタを、変わった仕様に応じた姿勢で電源側コネクタに嵌合すればよい。電源側コネクタに嵌合する際の負荷側コネクタの姿勢を変えることで、両コネクタを介して三相交流電源側の電源ケーブルから負荷側の電源ケーブルに供給される電力の相が、変わった後の負荷の仕様に応じた相に変わる。
【0018】
したがって、設備に設置した複数の負荷を複数のグループに分けて、各グループの負荷に三相交流電源の異なる相の電力を分配する際に、設計や製造が容易で負荷の交換による仕様変更にも簡便な作業で対応できる電源ケーブルを利用できるようにすることができる。
【0019】
また、本発明の第2の態様によるコネクタユニットは、本発明の第1の態様によるコネクタユニットにおいて、
前記電源側コネクタの前記端子収容室には接地用端子がさらに配置されており、
前記負荷側コネクタの前記端子収容室には、前記電源側コネクタとの嵌合により前記接続対象の2つの電源側端子に前記2つの負荷側端子が接続される姿勢において、前記電源側コネクタとの嵌合により該電源側コネクタの前記接地用端子と接続される接地用端子がさらに配置されている。
【0020】
本発明の第2の態様によるコネクタユニットによれば、本発明の第1の態様によるコネクタユニットにおいて、負荷に分配する電力の相に応じた姿勢で、負荷側コネクタを電源側コネクタに嵌合すると、両コネクタの接地用端子同士が接続される。
【0021】
このため、負荷側コネクタを適切な姿勢で電源側コネクタと嵌合させることで、三相交流電源側及び負荷間の電力供給回路と接地回路とを同時に形成させることができる。
【0022】
さらに、本発明の第3の態様によるコネクタユニットは、本発明の第1又は第2の態様によるコネクタユニットにおいて、前記電源側コネクタの前記端子収容室の前記各端子は、前記回転方向における回転対称位置にそれぞれ配置されている。
【0023】
さらに、本発明の第3の態様によるコネクタユニットによれば、本発明の第1又は第2の態様によるコネクタユニットにおいて、電源側コネクタの端子収容室の端子数をnとした場合、電源側コネクタに対する負荷側コネクタの回転方向におけるn回対称の位置に、電源側コネクタの各端子がそれぞれ配置される。
【0024】
このため、電源側コネクタに対する負荷側コネクタの姿勢を回転方向に2π/n(360°のn分の1の角度)ずつ変える簡便な作業で、負荷側コネクタの2つの負荷側端子が接続される電源側コネクタの2つの電源側端子の内訳を変えて、三相交流電源から負荷に分配される電力の相を変えることができる。
【0025】
また、本発明の第4の態様によるコネクタユニットは、本発明の第1、第2又は第3の態様によるコネクタユニットにおいて、
前記負荷側コネクタは、前記電源側コネクタと嵌合する姿勢が互いに異なる複数種類の負荷側コネクタを含んでおり、
各種類の前記負荷側コネクタは、自身の種類に対応する体裁の識別マークを表面にそれぞれ有しており、
前記電源側コネクタは、前記負荷側コネクタの各種類の前記識別マークとそれぞれ体裁が同じ前記負荷側コネクタの種類別の姿勢合わせマークを、表面の互いに異なる位置にそれぞれ有しており、
各種類の前記負荷側コネクタの前記識別マークは、前記負荷側コネクタが正規の姿勢で嵌合した前記電源側コネクタの同じ体裁の前記姿勢合わせマークが配置された表面に連なる表面に配置されている。
【0026】
本発明の第4の態様によるコネクタユニットによれば、本発明の第1、第2又は第3の態様によるコネクタユニットにおいて、各種類の負荷側コネクタが正規の姿勢で電源側コネクタと嵌合すると、負荷側コネクタの識別マークが配置された表面と、この識別マークと体裁が同じ電源側コネクタの姿勢合わせマークが配置された表面とが、連なって配置される。
【0027】
一方、各種類の負荷側コネクタが正規でない姿勢で電源側コネクタと嵌合すると、負荷側コネクタの識別マークが配置された表面と、この識別マークと体裁が同じ電源側コネクタの姿勢合わせマークが配置された表面とが、連なって配置されない。
【0028】
したがって、電源側コネクタに嵌合した負荷側コネクタの識別マークと、この識別マークと体裁が同じ電源側コネクタの姿勢合わせマークとが、電源側コネクタ及び負荷側コネクタの互いに連なる平面にそれぞれ配置されているか否かによって、負荷側コネクタが電源側コネクタに正規の姿勢で嵌合されたか否かを容易に判別することができる。
【0029】
さらに、本発明の第5の態様による電源ケーブルユニットは、
設備に延設されて三相交流電源の各相の電力を送電する幹線ケーブルと、
前記幹線ケーブルから分岐されて前記三相交流電源の各相の電力を送電する複数の分岐ケーブルと、
前記設備に設置される複数の負荷にそれぞれ接続され、三相交流電源の各相の電力のうち前記負荷に供給する2つの相の電力に対応する2つの給電線を有する複数の接続ケーブルと、
前記各分岐ケーブルと前記各接続ケーブルとの接続部にそれぞれ設けられた電源側コネクタ及び負荷側コネクタとを備え、
前記電源側コネクタ及び負荷側コネクタとして、本発明の第1、第2、第3又は第4の態様によるコネクタユニットの電源側コネクタ及び負荷側コネクタを用いたものである。
【0030】
本発明の第5の態様による電源ケーブルユニットによれば、幹線ケーブルから分岐された各分岐ケーブルの電源側コネクタと各接続ケーブルの負荷側コネクタとを嵌合して、各負荷を三相交流電源に接続することで、本発明の第1、第2、第3又は第4の態様によるコネクタユニットによって得られる効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、設備に複数設置した負荷を複数のグループに分けて、各グループの負荷に三相交流電源の異なる相の電力を分配する際に、設計や製造が容易で負荷の交換による仕様変更にも簡便な作業で対応できる電源ケーブルユニットを用いて、各負荷に三相交流電源の電力を分配することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0034】
以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0035】
図1は本発明の一実施形態に係り三相交流電源の各相の電力を複数の負荷に分配する電源ケーブルユニットの概略構成を示す説明図である。
図1に示す本実施形態の電源ケーブルユニット1は、三相交流電源の各相の電力をトンネル100(請求項中の設備に相当)内の照明装置200(請求項中の負荷に相当)に送電するものである。
【0036】
照明装置200は、
図1中では、図面の見やすさのため1つしか図示していないが、トンネル100には、トンネル100の長さに応じて複数の照明装置200が間隔をおいて設置されている。各照明装置200は、例えば高圧ナトリウム灯、蛍光灯、メタルハライド灯、セラミックメタルハライド灯、低圧ナトリウム灯、蛍光水銀灯、発光ダイオード(LED)等の光源や、電源回路を含む光源の駆動回路等をそれぞれ有している。
【0037】
電源ケーブルユニット1は、トンネル100内に敷設された幹線ケーブル3と、幹線ケーブル3の分岐部7から分岐された分岐ケーブル5と、分岐ケーブル5に接続される接続ケーブル9とを有している。
【0038】
幹線ケーブル3の分岐部7は、
図1中では、図面の見やすさのため1つしか図示していないが、幹線ケーブル3には、トンネル100の長さに応じて複数の分岐部7が間隔をおいて設けられている。そして、電源ケーブルユニット1は、各分岐部7において幹線ケーブル3からそれぞれ分岐された複数の分岐ケーブル5と、各分岐ケーブル5にそれぞれ接続される複数の接続ケーブル9とを有している。
【0039】
幹線ケーブル3は、トンネル100の外から三相交流電源の電力をトンネル100内に引き込む電源ケーブルである。幹線ケーブル3は、RSTの各相に対応する給電線3r,3s,3tと接地線3eとの4本の絶縁電線をシース(絶縁被覆)で覆ったケーブルで構成されている。
【0040】
各分岐ケーブル5は、トンネル100内に引き込んだ三相交流電源の電力を各照明装置200に分配する電源ケーブルである。各分岐ケーブル5は、RSTの各相に対応する給電線5r,5s,5tと接地線5eとの4本の絶縁電線をシース(絶縁被覆)で覆ったケーブルで構成されている。
【0041】
各分岐部7は、幹線ケーブル3の途中にそれぞれ設けられている。各分岐部7は絶縁モールド7aでそれぞれ覆われている。各絶縁モールド7a内では、幹線ケーブル3に各分岐ケーブル5の一端が結線されている。
【0042】
具体的には、幹線ケーブル3のシース及び絶縁被覆を剥がして露出させた給電線3r,3s,3t及び接地線3eの芯線と、各分岐ケーブル5のシース及び絶縁被覆を剥がして露出させた給電線5r,5s,5t及び接地線5eの芯線とが、絶縁モールド7a内で結線されている。
【0043】
各接続ケーブル9は、幹線ケーブル3から各分岐ケーブル5に分配した三相交流電源の電力を各照明装置200に送電する電源ケーブルである。本実施形態の電源ケーブルユニット1は、複数の接続ケーブル9として、RS相、ST相及びTR相の3種類の接続ケーブル9a〜9cを複数本ずつ有している。
【0044】
このうち、RS相の各接続ケーブル9aは、RSTの3相のうちRSの2相に対応する2本の給電線9r,9sと接地線9eとの3本の絶縁電線をシースで覆ったケーブルで構成されている。
【0045】
また、ST相の各接続ケーブル9bは、RSTの3相のうちSTの2相に対応する2本の給電線9s,9tと接地線9eとの3本の絶縁電線をシースで覆ったケーブルで構成されている。
【0046】
さらに、TR相の各接続ケーブル9cは、RSTの3相のうちTRの2相に対応する2本の給電線9t,9rと接地線9eとの3本の絶縁電線をシースで覆ったケーブルで構成されている。
【0047】
つまり、各種類の接続ケーブル9a〜9cは、3本の絶縁電線をシースで覆った共通のケーブルで構成することができる。
【0048】
そして、各種類の接続ケーブル9a〜9cの一端は、3つのグループに分けた各グループの複数の照明装置200の駆動回路にそれぞれ接続されている。
【0049】
各分岐ケーブル5の他端と各接続ケーブル9(9a〜9c)の他端との接続には、本発明の一実施形態に係るコネクタユニット10が用いられる。
【0050】
本実施形態のコネクタユニット10は、各分岐ケーブル5の他端にそれぞれ接続される電源側コネクタ11と、各接続ケーブル9(9a〜9c)の他端にそれぞれ接続される負荷側コネクタ13(13a〜13c)とを有している。
【0051】
各電源側コネクタ11は雄コネクタで構成されている。嵌合面側から見た
図2(a)の正面図に示すように、各電源側コネクタ11のコネクタハウジング11aは、コネクタフード11bを有している。コネクタフード11bは、四隅を円弧形状とした正四角形の開口を有している。即ち、コネクタフード11bは、開口からの奥行き方向X(請求項中の嵌合方向に相当)の周りの回転方向Yにおける回転対称形状を有している。
【0052】
コネクタフード11bには、コネクタフード11bの外側に向けて2つの誤嵌合防止キー11cが突設されている。
【0053】
コネクタフード11bの内側には端子収容室11dが形成されている。端子収容室11dには、
図3(a)の説明図に模式的に示すように、RSTの各相に対応する給電用の端子ピン11r,11s,11t(請求項中の電源側端子に相当)と、接地用の端子ピン11e(請求項中の接地用端子に相当)とが配置されている。各端子ピン11r,11s,11t,11eは同じ構造を有している。
【0054】
各端子ピン11r,11s,11t,11eは、奥行き方向Xに沿って、端子収容室11dの奥側から開口側(
図2(a)の紙面における裏面側から表面側)に向けて突設されている。また、各端子ピン11r,11s,11t,11eは、回転方向Yにおける回転対称位置にそれぞれ配置されている。
【0055】
各端子ピン11r,11s,11t,11eには、各分岐ケーブル5の他端のシース及び絶縁被覆を剥がして露出させた給電線5r,5s,5t及び接地線5eの芯線がそれぞれ接続される。
【0056】
図2(a)に示すように、コネクタハウジング11aの上部には、ロックビーク11fが形成されている。また、端子収容室11dの最奥部には、芯出し溝11gが形成されている。芯出し溝11gは、縦溝と横溝とを+型に交差させて構成されている。芯出し溝11gの交差中心は、各端子ピン11r,11s,11t,11eの回転対称中心と同じ位置にある。
【0057】
各負荷側コネクタ13は、RS相、ST相及びTR相の各接続ケーブル9a〜9cにそれぞれ接続されるRS相、ST相及びTR相の3種類の負荷側コネクタ13a〜13cを含んでいる。
【0058】
図1に示す各負荷側コネクタ13(13a〜13c)は、雌コネクタで構成されている。嵌合面側から見た
図2(b)の正面図に示すように、各負荷側コネクタ13(13a〜13c)のコネクタハウジング13dは、コネクタフード13fを有している。コネクタフード13fの内側にはフロントホルダ13gが設けられている。
【0059】
コネクタフード13fとフロントホルダ13gとの間には環状空間13hが形成されている。環状空間13hは、電源側コネクタ11のコネクタフード11bが挿入可能な形状及び大きさを有している。
【0060】
コネクタフード13fには、コネクタフード13fの外側に向けて2つの誤嵌合防止キー溝13iが形成されている。各誤嵌合防止キー溝13iには、環状空間13hにコネクタフード11bを挿入して負荷側コネクタ13(13a〜13c)と嵌合した電源側コネクタ11の各誤嵌合防止キー11cが、コネクタフード13fの開口側から挿入される。
【0061】
なお、電源側コネクタ11の誤嵌合防止キー11cを各負荷側コネクタ13a〜13cの誤嵌合防止キー溝13iに挿入させる構造は、省略してもよい。
【0062】
フロントホルダ13gの前面には、4つのピン挿入孔13j,13k,13l,13mと、芯出し突起13nとが形成されている。
【0063】
各ピン挿入孔13j,13k,13l,13mは、コネクタフード13fの奥行き方向X(請求項中の嵌合方向に相当)の周りの回転方向Yにおける回転対称位置に配置されている。各ピン挿入孔13j,13k,13l,13mには、各負荷側コネクタ13(13a〜13c)と嵌合した電源側コネクタ11の各端子ピン11r,11s,11t,11eがそれぞれ挿入される。
【0064】
芯出し突起13nは、縦片と横片とを+型に交差させて構成されている。芯出し突起13nの交差中心は、各ピン挿入孔13j,13k,13l,13mの回転対称中心と同じ位置にある。芯出し突起13nは、各負荷側コネクタ13(13a〜13c)と嵌合した電源側コネクタ11の芯出し溝11gに嵌合される。芯出し溝11gに嵌合された芯出し突起13nは、各負荷側コネクタ13(13a〜13c)を嵌合した電源側コネクタ11に対して芯出しする。
【0065】
フロントホルダ13gの内部空間には端子収容室13oが形成されている。端子収容室13oには、
図3(b)〜(d)の説明図に模式的に示すように、RSTの各相に対応する給電用の端子スリーブ13r,13s,13t(請求項中の負荷側端子に相当)のうち2つと、接地用の端子スリーブ13e(請求項中の接地用端子に相当)とが配置されている。
【0066】
詳しくは、RS相の各接続ケーブル9aに接続されるRS相の負荷側コネクタ13aの端子収容室13oには、
図3(b)に示すように、RS相の2相に対応する2つの端子スリーブ13r,13sと接地用の端子スリーブ13eとの、3つの端子スリーブが配置されている。
【0067】
また、ST相の各接続ケーブル9aに接続されるST相の負荷側コネクタ13bの端子収容室13oには、
図3(c)に示すように、ST相の2相に対応する2つの端子スリーブ13s,13tと接地用の端子スリーブ13eとの、3つの端子スリーブが配置されている。
【0068】
さらに、TR相の各接続ケーブル9cに接続されるTR相の負荷側コネクタ13cの端子収容室13oには、
図3(d)に示すように、TR相の2相に対応する2つの端子スリーブ13t,13rと接地用の端子スリーブ13eとの、3つの端子スリーブが配置されている。
【0069】
各端子スリーブ13r,13s,13t,13eは同じ構造を有している。端子収容室13oに配置した各端子スリーブ13r,13s,13t,13eの開口は、
図2(b)に示すように、フロントホルダ13gの前面の裏側において、対応するピン挿入孔13j,13k,13l,13mにそれぞれ臨んでいる。
【0070】
つまり、各端子スリーブ13r,13s,13t,13eは、その開口が臨むピン挿入孔13j,13k,13l,13mと同じく、回転方向Yにおける回転対称位置にそれぞれ配置されている。
【0071】
したがって、各種類の負荷側コネクタ13a〜13cは、
図3(b)〜(d)に示すように、端子収容室13oの3つの端子スリーブの配置を回転方向Yにおいて異ならせた、共通の構成のコネクタで構成することができる。
【0072】
そして、RS相の負荷側コネクタ13aの各端子スリーブ13r,13s,13eには、RS相の各接続ケーブル9aの他端のシース及び絶縁被覆を剥がして露出させた給電線9r,9s及び接地線9eの芯線がそれぞれ接続される。
【0073】
また、ST相の負荷側コネクタ13bの各端子スリーブ13s,13t,13eには、ST相の各接続ケーブル9bの他端のシース及び絶縁被覆を剥がして露出させた給電線9s,9t及び接地線9eの芯線がそれぞれ接続される。
【0074】
さらに、TR相の負荷側コネクタ13cの各端子スリーブ13t,13r,13eには、TR相の各接続ケーブル9cの他端のシース及び絶縁被覆を剥がして露出させた給電線9t,9r及び接地線9eの芯線がそれぞれ接続される。
【0075】
図2(b)に示すように、各負荷側コネクタ13a〜13cのコネクタハウジング13dの上部には、ロックアーム13pが形成されている。ロックアーム13pは、各負荷側コネクタ13a〜13cと嵌合した電源側コネクタ11のロックビーク11fに係止される。
【0076】
なお、電源側コネクタ11のロックビーク11fと各負荷側コネクタ13a〜13cのロックアーム13pとの係止構造は、省略してもよい。
【0077】
このように構成された本実施形態の電源ケーブルユニット1では、コネクタユニット10の各電源側コネクタ11と負荷側コネクタ13(13a〜13c)とを嵌合すると、三相交流電源側の各分岐ケーブル5と各照明装置200側の各接続ケーブル9(9a〜9c)とが接続される。
【0078】
このとき、RS相の各接続ケーブル9aの給電線9r,9sには、
図1に示すように、接続ケーブル9aに接続されたRS相の負荷側コネクタ13aがT相に対応する端子スリーブ13tを有していないことから、RS相の電力だけが電源側コネクタ11及び分岐ケーブル5側から送電される。したがって、接続ケーブル9aが接続されたグループの照明装置200には、RS相の電力が分配される。
【0079】
また、ST相の各接続ケーブル9bの給電線9s,9tには、接続ケーブル9bに接続されたST相の負荷側コネクタ13bがR相に対応する端子スリーブ13rを有していないことから、ST相の電力だけが電源側コネクタ11及び分岐ケーブル5側から送電される。したがって、接続ケーブル9bが接続されたグループの照明装置200には、ST相の電力が分配される。
【0080】
さらに、TR相の各接続ケーブル9cの給電線9t,9rには、接続ケーブル9cに接続されたTR相の負荷側コネクタ13cがS相に対応する端子スリーブ13sを有していないことから、TR相の電力だけが電源側コネクタ11及び分岐ケーブル5側から送電される。したがって、接続ケーブル9cが接続されたグループの照明装置200には、TR相の電力が分配される。
【0081】
なお、上述したように、各負荷側コネクタ13a〜13cの端子スリーブ13r,13s,13t,13eは同じ構造を有している。このため、例えば、RS相の負荷側コネクタ13aは、電源側コネクタ11に嵌合する際の姿勢を回転方向Yに90゜変えることで、ST相の負荷側コネクタ13bとして用いることができる。また、姿勢を回転方向Yに180゜変えることで、TR相の負荷側コネクタ13cとして用いることができる。
【0082】
ST相の負荷側コネクタ13bやTR相の負荷側コネクタ13も、電源側コネクタ11に嵌合する際の姿勢を回転方向Yに変えることで、他の負荷側コネクタ13a〜13cとして用いることができる。
【0083】
但し、各負荷側コネクタ13a〜13cを、電源側コネクタ11に嵌合する際の姿勢を回転方向Yに変えて他の負荷側コネクタ13a〜13cとして用いる場合は、ロックビーク11fとロックアーム13pとの係止構造や、誤嵌合防止キー11cの誤嵌合防止キー溝13iへの挿入構造を、省略する必要がある。
【0084】
ところで、本実施形態のコネクタユニット10では、
図2(a)に示すように、電源側コネクタ11の嵌合面側から見える端子収容室11dの各端子ピン11r,11s,11t,11eが、回転対称位置に配置されている。
【0085】
このため、電源側コネクタ11の端子収容室11dを見ただけでは、どれが端子ピン11r,11s,11t,11eであるかを見分けることができない。
【0086】
また、本実施形態のコネクタユニット10では、
図2(b)に示すように、負荷側コネクタ13(13a〜13c)の嵌合面側からフロントホルダ13gで覆われた端子収容室13oの内部を見ることができない。しかも、負荷側コネクタ13(13a〜13c)の嵌合面側から見えるフロントホルダ13gの各ピン挿入孔13j,13k,13l,13mは、回転対称位置に配置されている。
【0087】
このため、負荷側コネクタ13(13a〜13c)の嵌合面側からフロントホルダ13gを見ただけでは、どのピン挿入孔13j,13k,13l,13mがどの端子スリーブ13r,13s,13t,13eに対応しているかを見分けることができない。それどころか、負荷側コネクタ13がRS相、ST相及びTR相のうちどの負荷側コネクタ13a〜13cであるのかさえ、見分けることができない。
【0088】
したがって、電源側コネクタ11と各負荷側コネクタ13a〜13cとを嵌合する際に、電源側コネクタ11や各負荷側コネクタ13a〜13cを嵌合面側から見ただけでは、各負荷側コネクタ13a〜13cが電源側コネクタ11に対して正しい姿勢であるかどうかを判断することができない。
【0089】
そこで、本実施形態のコネクタユニット10では、
図3(a)の説明図に模式的に示すように、電源側コネクタ11に、RS相、ST相及びTR相の姿勢合わせマーク15r,15s,15tを設けた。具体的には、コネクタハウジング11aの4つの表面のうち3つの表面(
図3(a)中の左方、上方及び右方の各表面)に1つずつ、異なる体裁の姿勢合わせマーク15r,15s,15tをそれぞれ取り付けた。
【0090】
また、本実施形態のコネクタユニット10では、
図3(b)〜(d)の説明図に模式的に示すように、RS相、ST相及びTR相の各負荷側コネクタ13a〜13cに、RS相、ST相及びTR相の識別マーク17r,17s,17tをそれぞれ設けた。
【0091】
具体的には、
図3(b)に示すように、RS相の負荷側コネクタ13aの、電源側コネクタ11と嵌合した際にコネクタハウジング11aのRS相の姿勢合わせマーク15rを設けた表面に連なるコネクタハウジング13dの表面(
図3(b)の右方の表面)に、姿勢合わせマーク15rと同じ体裁のRS相の識別マーク17rを取り付けた。
【0092】
また、
図3(c)に示すように、ST相の負荷側コネクタ13bの、電源側コネクタ11と嵌合した際にコネクタハウジング11aのST相の姿勢合わせマーク15sを設けた表面に連なるコネクタハウジング13dの表面(
図3(b)の上方の表面)に、姿勢合わせマーク15sと同じ体裁のST相の識別マーク17sを取り付けた。
【0093】
さらに、
図3(d)に示すように、TS相の負荷側コネクタ13cの、電源側コネクタ11と嵌合した際にコネクタハウジング11aのTR相の姿勢合わせマーク15tを設けた表面に連なるコネクタハウジング13dの表面(
図3(c)の左方の表面)に、姿勢合わせマーク15tと同じ体裁のTR相の識別マーク17tを取り付けた。
【0094】
このため、例えば、
図4の斜視図に示すように、負荷側コネクタ13aを電源側コネクタ11と嵌合する際には、負荷側コネクタ13aの識別マーク17rを取り付けた表面が、電源側コネクタ11の同じ体裁の姿勢合わせマーク15rを取り付けた表面に連なるか否かを確認する。
【0095】
また、負荷側コネクタ13b,13cを電源側コネクタ11と嵌合する際も、負荷側コネクタ13b,13cの識別マーク17s,17tを取り付けた表面が、電源側コネクタ11の同じ体裁の姿勢合わせマーク15s,15tを取り付けた表面に連なるか否かを確認する。
【0096】
この確認を行うことによって、負荷側コネクタ13a〜13cを電源側コネクタ11と嵌合する際に、各負荷側コネクタ13a〜13cが電源側コネクタ11に対して正しい姿勢であるかどうかを判断することができる。
【0097】
なお、各姿勢合わせマーク15r,15s,15tや識別マーク17r,17s,17tの体裁は、例えば、マークの色、柄、形状(三角形、四角形等)の使い分けによって、互いに異ならせることができる。
【0098】
そして、本実施形態の電源ケーブルユニット1によれば、電源側コネクタ11と嵌合する負荷側コネクタ13a〜13cを使い分けることで、負荷側コネクタ13(13a〜13c)の端子スリーブ13r,13s(13s,13t、13t,13r)が接続される端子ピン11r,11s(11s,11t、11t,11r)の内訳が変わる。
【0099】
このため、電源側コネクタ11と嵌合する負荷側コネクタ13a〜13cによって、電源側コネクタ11から負荷側コネクタ13a〜13cに供給される電力の相が、RS相のみ、ST相のみ、TR相のみの3パターンに分かれる。
【0100】
したがって、各負荷側コネクタ13a〜13cに接続する各接続ケーブル9a〜9cを共通のケーブルで構成しても、各接続ケーブル9a〜9cを接続した各照明装置200に分配する三相交流電源の相の内訳を、接続ケーブル9a〜9c毎に異ならせることができる。
【0101】
よって、複数の照明装置200を3つのグループに分けて、各グループの照明装置200に三相交流電源の一部の相の電力を分配する際に、一部の相の電力に偏ることなく各相の電力を均等に分配することができる。
【0102】
また、照明装置200の交換による仕様変更が生じて、交換後の照明装置200に交換前の照明装置200とは異なる相の電力を供給する必要が生じても、接続ケーブル9aに接続する負荷側コネクタ13(13a〜13c)の種類を変える簡便な作業で、照明装置200の仕様変更に対応することができる。
【0103】
その上、ロックビーク11fとロックアーム13pとの係止構造や、誤嵌合防止キー11cの誤嵌合防止キー溝13iへの挿入構造を省略すれば、電源側コネクタ11に嵌合する姿勢を回転方向Yに変えることで、同じ構造の負荷側コネクタ13を用いて各グループの照明装置200に分配する三相交流電源の電力の相を異ならせることができる。
【0104】
本実施形態のコネクタユニット10では、電源側コネクタ11及び負荷側コネクタ13(13a〜13c)の端子収容室11d,13oに、接地用の端子ピン11eや端子スリーブ13eをそれぞれ配置した。しかし、接地用の端子ピン11eや端子スリーブ13eを、電源側コネクタ11及び負荷側コネクタ13(13a〜13c)の端子収容室11d,13oに配置しない構成としてもよい。