特許第6978312号(P6978312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6978312膨張可能な防護装置を備える防護服及び関連する膨張方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6978312
(24)【登録日】2021年11月15日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】膨張可能な防護装置を備える防護服及び関連する膨張方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/018 20060101AFI20211125BHJP
   B62J 27/00 20200101ALI20211125BHJP
【FI】
   A41D13/018
   B62J27/00
【請求項の数】18
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-503907(P2017-503907)
(86)(22)【出願日】2015年7月17日
(65)【公表番号】特表2017-526825(P2017-526825A)
(43)【公表日】2017年9月14日
(86)【国際出願番号】EP2015066395
(87)【国際公開番号】WO2016012359
(87)【国際公開日】20160128
【審査請求日】2018年5月30日
(31)【優先権主張番号】TV2014A000109
(32)【優先日】2014年7月22日
(33)【優先権主張国】IT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502016471
【氏名又は名称】アルパインスターズ リサーチ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョヴァンニ マッツァローロ
(72)【発明者】
【氏名】コリン バランタイン
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/001189(WO,A1)
【文献】 特開2011−201358(JP,A)
【文献】 特開2011−207359(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/171674(WO,A1)
【文献】 特開平10−310919(JP,A)
【文献】 特開2012−101734(JP,A)
【文献】 特開2009−149212(JP,A)
【文献】 特開2010−149747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/018
B62J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収縮状態である休止状態と膨張状態である動作状態との間で移動させるのに適した少なくとも一つの膨張可能なバッグ(12)と、
当該少なくとも一つの膨張可能なバッグ(12)に結合された膨張器装置(14)であって、膨張器装置(14)がトリガされると、当該少なくとも一つの膨張可能なバッグ(12)を膨張させるべく設計されている膨張器装置(14)と、
防護服(10、110)が受ける加速度を検出するのに適した少なくとも一つの加速度センサ(16)と、
当該少なくとも一つの加速度センサ(16)により検出された加速度データを処理し、そして衝突状況が識別されたとき、膨張器装置(14)にトリガ信号を送信するべく設計された制御ユニット(18)と、を備えている膨張可能な防護装置が設けられている防護服(10、110)であって、
トリガ信号が制御ユニット(18)によって生成されたとき、防護服(10、110)の外部に作動信号(15)を送信するべく設計されている送信ユニット(20、120)、及び
防護服(10、110)の外部からの信号(15)を受信し、受信された信号(15)が作動信号として認識されたとき、膨張器装置(14)のトリガ信号を生成するのに適した受信ユニット(21、121)、をさらに備えており、
前記防護服(10、110)は第1の防護服(10)および第2の防護服(110)を有し、前記第1の防護服(10)における送信ユニット(20)は前記第2の防護服(110)における受信ユニット(121)に作動信号(15)を送信し、前記第2の防護服(110)を膨張させることを特徴とする防護服(10、110)。
【請求項2】
送信ユニット(20、120)及び受信ユニット(21、121)は、無線の送信ユニット及び無線の受信ユニットであることを特徴とする請求項1に記載の防護服(10、110)。
【請求項3】
無線の送信ユニット(20,120)及び無線の受信ユニット(21、121)は、
Bluetoothプロトコル、又はWiFiプロトコル、又は赤外線プロトコル、又は近距離通信(NFC)プロトコルの中から選択された無線通信プロトコルを用いて、それぞれ、防護服(10、110)の外部に送信し、防護服(10、110)の外部から作動信号(15)を受信するべく設計されていることを特徴とする請求項2に記載の防護服(10、110)。
【請求項4】
送信ユニット(20、120)及び受信ユニット(21、121)は、それぞれ、有線通信リンクを介して、防護服(10、110)の外部に送信し、防護服(10、110)の外部から作動信号(15)を受信するべく設計されていることを特徴とする請求項1に記載の防護服(10、110)。
【請求項5】
送信ユニット(20、120)及び受信ユニット(21、121)は、各々、制御ユニット(18)の別個の構成要素として供給されていることを特徴とする請求項1に記載の防護服(10、110)。
【請求項6】
送信ユニット(20、120)及び受信ユニット(21、121)は、拡張ボード(22)に組み込まれ、当該拡張ボード(22)は、制御ユニット(18)に設けられた座部内に挿入されるのに適していることを特徴とする請求項5に記載の防護服(10、110)。
【請求項7】
識別コードを格納するための記憶メモリをさらに備え、且つ、送信ユニット(20,120)は、作動信号において、当該記憶メモリに格納された識別コードを送信するのに適していることを特徴とする請求項1に記載の防護服(10、110)。
【請求項8】
識別コードを格納するための記憶メモリをさらに備え、且つ、受信ユニット(21、1
21)は、当該記憶メモリに格納された識別コードを含む受信信号を作動信号と認識するのに適していることを特徴とする請求項1に記載の防護服(10、110)。
【請求項9】
ディスプレイ(6)をさらに備え、当該ディスプレイ(6)は、
防護服(10、110)の膨張可能な防護装置の状態に関する情報を提供することができることを特徴とする請求項1に記載の防護服(10、110)。
【請求項10】
第2の防護服(10、110)と対にされるべく設計されていることを特徴とする請求項1に記載の防護服(10、110)。
【請求項11】
防護服(10、110)の使用者によって使用されているオートバイに設けられた受信ユニット(36)と対にされるべく設計されていることを特徴とする請求項10に記載の防護服(10、110)。
【請求項12】
前記受信ユニット(36)は、防護服(10、110)についての診断情報を示すべく設計されたディスプレイであることを特徴とする請求項11に記載の防護服(10、110)。
【請求項13】
防護服(10、110)の膨張可能な防護装置(12)を膨張させる方法であって、
防護服(10、110)が受ける加速度を検出するステップ、
防護服(10、110)の使用者に対しての危険な状態を識別するべく、検出された加速度データを処理するステップ、
危険な状況が識別されたとき、防護服(10、110)の膨張可能な防護装置(12)を膨張させるようにトリガ信号を生成するステップ、を備え、
トリガ信号が生成されたとき、防護服(10、110)の外部に作動信号を送信するステップ、そして、
作動信号が受信されたとき、膨張可能な防護装置(12)のトリガ信号を生成するべく防護服(10、110)の外部から受信される信号を自動的に監視するステップをさらに備えており、
前記防護服(10、110)は第1の防護服(10)および第2の防護服(110)を有し、前記第1の防護服(10)における送信ユニット(20)は前記第2の防護服(110)における受信ユニット(121)に作動信号(15)を送信し、前記第2の防護服(110)を膨張させることを特徴とする方法。
【請求項14】
防護服(10、110)に、識別コードを提供するステップをさらに備えていることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
トリガ信号は、防護服(10、110)の外部から受信された信号が防護服(10、110)の識別コードと互換性がある場合にのみ、生成されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
防護服(10、110)をさらなる防護服(10、110)と対にするステップをさらに備えていることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
防護服(10、110)の使用者が搭載された車両が受ける加速度を検出するステップをさらに備えている、及び/又は、防護服(10、110)の加速度データに加えて、危険な状況を識別するべく、前記車両の加速度データをもまた検出するステップをさらに備えていることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記受信ユニット(36)は、オートバイのダッシュボードに配置されていることを特徴とする請求項11に記載の防護服(10、110)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張可能な防護装置を備える防護服に関する。特に、本発明は、モーターサイクリストによって着用されるのに適した、膨張可能な防護装置を備える防護服に、たとえ非排他的な方法であるにしても、言及する。
【0002】
また、本発明は、防護服の膨張可能な防護装置を膨張させるための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
モーターサイクリストの安全性は、進行中の関心事であることがよく知られている。長年に亘り、事故での負傷の危険性を低減するべく作成された多くの製品が、市場に導入されている。
【0004】
負傷の危険性を低減するために、モーターサイクリストは、通常、革や合成材料などの、耐摩耗性材料で作られた防護服を着用している。このような衣服には、ある領域、例えば、肩、膝、及び背中の領域において、衝撃力を制限するように設計された剛性又は半剛性の保護要素が設けられていてもよい。
【0005】
最近、前記防護服によって提供される保護は、耐摩耗性衣服の構造内に膨張可能な防護装置を一体化させることによって改善されている。
【0006】
このような膨張可能な防護装置は、衝突状況が検出されるやいなや、モーターサイクリストに追加の保護を提供するように膨張するべく設計されている。
【0007】
現在、二つの方法が、衣服に一体化されている膨張可能な防護装置を速やかに膨張させるべく衝突状況を検出するために、主に使用されている。
【0008】
第1の方法は、特許文献1(PCT特許出願WO 02/054895)に開示され、そこでは、使用者に着用される衣服をオートバイに接続するケーブルによってトリガされる、膨張可能な防護装置が開示されている。モーターサイクリストがオートバイから投げ出される、又は落下すると、トリガ用ケーブルに加えられた結果の力が、保護嚢を膨張させるガスを放出する、防護装置の膨張カートリッジに伝達される。
【0009】
第2の方法は、特許文献2(米国特許第8,348,304号)に開示されている。この特許文献2は、オートバイ及びオートバイのライダーに着用されるエアバッグジャケットを含むエアバッグジャケット作動システムを示している。
【0010】
当該システムは、オートバイの後部に取付けられ、ジャケットに設けられた膨張可能なエアチャンバ膨張器を制御するのに適したECU(電子制御ユニット)を備えている。
【0011】
当該ECUは、オートバイに搭載された加速度センサにより検出される加速度に基づいて、使用者に着用されているエアバッグジャケットが展開されるべきか否かを判断することができる。続いて、ECUは、膨張器の作動装置を作動させるように、エアバッグジャケットに取り付けられたトランシーバに点火信号を送信する。
【0012】
第3の方法は、近年提案されている。特許文献3(PCT特許出願WO2014/001189)に開示されているこの方法によれば、衣服には、衣服に直接に取り付けられてトリガ装置が設けられている。トリガ装置は、トリガ用ケーブルを必要とせず、オートバイ上の電子センサの設置を必要としない。有利なことに、この場合には、モーターサイクリストの動きの自由度が、トリガ用ケーブルの存在によって妨げられない。同時に、モーターサイクリストは、自身のオートバイに事前に任意の機器をインストールする必要がなく、保護システムをより安価でより簡単にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】PCT特許出願WO02/054895
【特許文献2】米国特許第8,348,304号明細書
【特許文献3】PCT特許出願WO2014/001189
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記の特許文献1乃至3の全ては、オートバイで走行する2人がいるときに、対応するシステムが統合されるべきかという問題に直面していない。
【0015】
上に開示された第1及び第3の方法は、ライダーとパッセンジャーが、重複するシステムを購入し、着用することを前提としている。これは、事故の際に、衝撃に最も近い人が、彼の衣服を最初に膨張させることを意味する。例えば、仮に、オートバイが前方で車に衝突した場合には、ライダーのエアバッグが最初に膨張し、パッセンジャーは2番目である。しかしながら、オートバイが仮に後ろから車に衝突された場合には、その後に、パッセンジャーエアバッグが最初に膨張され、そして、ライダーのエアバッグは2番目に膨張される。
【0016】
上に開示されている第2の方法は、理論的に、1つの信号のみで、ライダーの衣服及びパッセンジャーの衣服を同時に作動させるのに適した、ECUの使用を想定してもよい。しかしながら、この方法の欠点は、加速度センサが、オートバイに配置されることである。したがって、ライダーとパッセンジャーの衣服は、異なるオートバイと連携して使用されるのに適した、独立型の装置ではあり得ない。
【0017】
さらにこの方法は、オートバイの後部に配置された単一の加速度センサの使用を開示している。オートバイに単一の加速度センサを配置するのは、仮に、オートバイが前部分で衝突した場合には、保護システムの遅延展開を与えることになろう。
【0018】
また、パッセンジャーとライダーはオートバイ上で堅く結ばれていないので、オートバイに取り付けられているセンサによって検出された加速度が、防護服内のエアバッグを膨張させる必要性を十分に示すものであること、すなわち、パッセンジャー又はライダーの真の加速度が危険であることは保証されない。
【0019】
本発明の目的は、少なくとも部分的に、上述の問題及び欠点を解決する膨張可能な防護装置を備える防護服を提供することである。
【0020】
特に、本発明の目的は、衝突が検出されたとき、低減されたトリガ時間を有して膨張可能な防護装置を備える防護服を提供することである。
【0021】
また、本発明の目的は、如何なる外部装置に接続される必要もなく、使用者に対してより高い保護を提供することができる膨張可能な防護装置を備える防護服を提供することである。
【0022】
本発明のさらなる目的は、使用者の移動の自由度を低下させない構造を有する膨張可能な防護装置を備える防護服を提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、ライダーによって、及び/又はオートバイのパッセンジャーによって、調整なしで着用されるのに適した膨張可能な防護装置を備える防護服を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
これらの及び他の目的及び狙いは、請求項1に記載の防護服及び請求項13に記載の方法によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の利点及び特徴は、添付の図面を参照しての、防護服の好ましいが排他的ではない、実施形態の以下の説明からより明確に明らかになるであろう。
図1図1は、本発明による防護服の概略背面図を示す。
図2図2は、図1の防護服が設置され得る外部ジャケットの概略正面図を示す。
図3図3は、本発明による衣服の電子ユニットの概略図を示す。
図4図4は、前部衝撃を受けている2人乗車のオートバイの概略図を示す。
図5図5は、後部衝撃を受けている2人乗車のオートバイの模式図を示す。
図6図6は、衣服の防護装置の作動の基本ロジックのフローチャートの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係る衣服10の可能な実施形態が、図1に示されている。図1には、たとえベスト式の衣服が示されているにしても、本発明の衣服は、一続きのボディスーツ、ジャケット、ズボン、又は他の同様の衣服であってもよいことに留意すべきである。
【0027】
図2に示すように、衣服10は、さらなる防護服11の下に着用されることがある。あるいは、衣服10は、さらなる防護服の上に着用されることがある。有利には、当技術分野において周知であるように、衣服10には、単独で着用されるのに適するように、添付の図面には示されていない、例えば、肘プロテクタ、肩プロテクタ、背中プロテクタのような追加の保護要素が設けられてもよい。
【0028】
防護服10は、特にモーターサイクリストによって使用されるべく設計されている。それにもかかわらず、以下の説明からより明確に現れるように、防護服10はまた、サイクリストによって、又は使用者の身体の効果的な保護が得られなければならない他の分野において、有利に使用することができる。
【0029】
本発明によれば、衣服10は少なくとも一つの膨張可能なバッグ12を備え、それは、それが収縮状態にある休止状態とそれが膨張状態にある動作状態の間での移動に適している。
【0030】
図1に示された実施形態では、防護服10には、使用者の胸部、背部、肩部を保護するべく設計された単一の膨張可能なバッグ12が設けられている。しかしながら、衣服10には、単一の膨張可能なバッグ又は使用者の身体の異なる領域をカバーするのに適した複数の膨張可能なバッグが設けられてもよい。
【0031】
衣服10はまた、膨張可能なバッグ12に結合された膨張器装置14を備えている。
【0032】
膨張器装置14は、それが一旦トリガされると、膨張可能なバッグ12を膨張させるべく設計されている。好ましくは、膨張器装置14は火薬技術的に作動される冷却ガス膨張器である。代わりに、膨張器装置14は、高温ガス、ハイブリッド、又は純粋に冷却ガス膨張器であってもよい。
【0033】
衣服10は、衣服が受ける加速度を検出するのに適した少なくとも一つの加速度センサ16をさらに備えている。
【0034】
図1の実施形態では、肩領域に位置された2つの加速度センサ16が示されている。明らかに、任意の数の加速度センサ16が使用されてもよい。また、加速度センサ16は、衣服の異なる領域に配置されてもよい。
【0035】
好ましくは、加速度センサ16は、通常、衣服を損傷することなしにはセンサ16を除去することが不可能である場所に、衣服10に一体化されている。代替的に、センサ16は、例えば、クリップ又は他の適切な解放可能な固定手段によって、衣服に取り外し可能に固定されてもよい。
【0036】
衣服10はまた、加速度センサ16によって検出された加速度データを処理するべく設計された制御ユニット18を備えている。制御ユニット18は、衝突/危険な状況が検出された場合に、膨張器装置14にトリガ信号を送信するのに適している。
【0037】
衝突/危険な状況として、防護服10が急激な加速度や減速度を受けたときの状況が意図されるべきである。具体的には、衣服10の使用者が例えばオートバイのような車両上にあるときに、衣服10が受ける急激な加速度又は減速度は、例えば、オートバイが障害物に衝突していることや、使用者がオートバイのコントロールを失いサドルから投げ出されたことを特定する。
【0038】
加速度センサ16は、有線及び/又は無線接続を介して制御ユニット18に接続されてもよい。
【0039】
制御ユニット18は、使用者の動きや衣服に作用する力についての情報を得るために、加速度センサ16によって受信されたデータを一定時間間隔(例えば、2ms)で処理するべく設計されている。
【0040】
制御ユニット18が、制御装置に実装されているアルゴリズムに基づいて、衝突状況が発生していることを検出すると、トリガ信号が制御ユニット18から膨張器装置14に送信され、膨張可能なバッグ12を膨張させることができる。
【0041】
このようにして、事故の場合には、膨張したバッグ12が、使用者に対して追加の保護を提供することができる。
【0042】
本発明によれば、衣服10は、送信ユニット20及び受信ユニット21をさらに備えている。
【0043】
送信ユニット20は、トリガ信号が制御ユニット18によって生成されたときに、作動信号15を防護服10の外部に送信するべく設計されている。好ましくは、作動信号はより高い安全作動が確保されるため、以下に明らかにされるように、コード化された作動信号であることができる。
【0044】
受信ユニット21は、防護服10の外部からの作動信号15を受信し、そして、作動信号15が受信されたとき、膨張器装置14のトリガ信号を生成するのに適している(図1図4及び図5を参照)。送信ユニットによって送信される作動信号がコード化されている場合は、以下に明らかにされるように、受信ユニットは、受信された信号を復号するように構成されている。
【0045】
以下により詳細に説明されるように、上述の送信ユニット20を設けたおかげで、衝突状況が制御ユニット18により検出された場合、衣服10の近傍に位置されている第2の膨脹可能な防護装置をトリガすることが可能である。実際の問題として、そのような第2の膨張可能な装置には、トリガ信号を生成するためにコード化された又はコード化されていない作動信号15を処理することができ、それによって、第2の膨張可能な防護装置の膨張を可能にする受信ユニットが備えられていることのみが必要である。
【0046】
これと同時に、受信ユニット21を設けることのおかげで、制御ユニット18により生成されるトリガ信号に基づいてだけでなく、例えば、衣服10に近接して着用されている第2の防護装置から受信される有効な作動信号15に基づいて、膨張器装置14をトリガすることが可能となる。通常、受信された信号は、それが膨張可能な防護装置を作動させるように適合された信号として、受信防護服によって認識されるとき、有効な作動信号である。
【0047】
有利には、衣服の送信ユニット20が作動信号15を発するとき、衣服の受信ユニット21は不活性化されるか、又は受信された作動信号が自身のものとして認識され、且つ送信ユニット20によって発された信号が防護服自体の作動に干渉することができないように無視される。
【0048】
図1及び図2に模式的に示すように、制御ユニット18、送信ユニット20、受信ユニット21及び膨張器装置14は、背部プロテクタ23の内部に収容されてもよい。また、一つ以上の加速度センサ16を背部プロテクタ23内に収容することができる。
【0049】
背部プロテクタ23は、衣服10の使用中に、使用者の背中部分を保護するべく設計されている。背部プロテクタ23は、衣服10に統合することができる。あるいは、背部プロテクタ23は、例えば、腹部ストラップによる、ストラップによって、衣服10に着脱可能に固定されることができる。このような固定手段は、当業者によく知られており、添付の図面には示されていない。
【0050】
図2に示されるように、衣服10がさらなる衣服11の下に着用される場合、後者(衣服11)には、ディスプレイ6が設けられてもよい。好ましくは、このようなディスプレイ6は、さらなる衣服11の腕部に取り付けられている。また、防護服10が単独で着用されるべく設計されている場合には、それにディスプレイ6が設けられてもよい。好ましくは、このようなディスプレイ6は、衣服10の腕部に配置されてもよい(図4参照)。
【0051】
ディスプレイ6を通して、使用者は衣服10の膨張可能な防護装置の状態に関する情報を受け取ることができる。
【0052】
また、内側の衣服10が外側の衣服11に接続されるべき場合には、使用者はまた、内側の衣服10が外側の衣服11に正しく接続されているかどうかを、ディスプレイ6を介して確認することができる。
【0053】
送信ユニット20及び受信ユニット21は、それぞれ、無線伝送を介して、衣服10の外部に送信し、且つ衣服10の外部からコード化された作動信号を受信すべく設計されてもよい。例えば、無線伝送は、無線伝搬又は光伝搬のような電磁波の伝搬を用いることによって行うことができる。
【0054】
また、適切な周知の通信プロトコルを使用することができる。
【0055】
例えば、送信ユニット20及び受信ユニット21は、Bluetoothプロトコル又はWIFIプロトコル又は他の同様のプロトコルなどの無線通信プロトコルを使用して、外部装置と通信することができる。有利には、また、赤外線通信プロトコルが、IrDAプロトコルとして、使用され得る。
【0056】
あるいは、以下に説明するように、本発明の目的が、オートバイのライダーにより着用されている衣服の膨張可能な防護装置と、同じオートバイのパッセンジャーにより着用されている衣服の膨張可能な防護装置とのペアリングを可能にすることであることを考慮して、例えば、近距離無線通信(NFC)のような、より短い距離で動作させるのに適した無線プロトコルがまた、使用されてもよい。
【0057】
代替的に、送信ユニット20と受信ユニット21は、有線通信リンク、すなわち、送信ユニット20と受信ユニット21とを物理的接続を介して外部装置に接続することによって、外部機器と通信してもよい。
【0058】
この場合、送信ユニット20及び受信ユニット21には、好ましくは、接続ケーブルを受容するための接続スロットが設けられている。
【0059】
図3に模式的に示されるように、送信ユニット20及び受信ユニット21は、制御ユニット18の別個の構成要素として、個々に供給されてもよい。好ましくは、送信ユニット20及び受信ユニット21は、拡張ボード22に組み込まれてもよい。例えば、かかる拡張ボード22は、制御ユニット18に設けられた座部に挿入することができる。
【0060】
送信ユニット20と受信ユニット21が制御ユニット18に挿入された拡張ボード22に組み込まれる場合には、好ましくは、接続ケーブルを受容する接続スロットが、制御ユニット18に設けられる。かかるスロットが参照番号32によって示されている、例えば、図3を見よ。
【0061】
代替的に、拡張ボード22は、直接的に衣服に固定されてもよい。このようにして、送信ユニット20及び受信ユニット21は、孤立して購入され、そしてそれらの追加機能を提供するべく、後日、互換性のある衣服に設置されてもよい。
【0062】
別の実施形態では、送信ユニット20と受信ユニット21とは、制御ユニット18に直接に組み込まれてもよい。
【0063】
送信ユニット20及び受信ユニット21には、使用者によって操作されるのに適したオン・オフスイッチが設けられてもよい。それ故に、衣服10が、外部装置とペアリングされる必要がない場合には、送信ユニット20及び受信ユニット21は、前記オン・オフスイッチをオフに切り替えることによって、オフにされてもよい。この場合には、衝突状況が制御ユニット18によって検出されても、送信ユニット20によっては、衣服10の外部に作動信号は全く送信されない。同時に、受信ユニット21は、衣服10の外部から発された作動信号を受信することができない。
【0064】
有利には、衣服10が外部装置とペアリングされる必要がない場合には、送信ユニット及び受信ユニットをオフにすることによって、衣服の電子部品のエネルギー消費量が削減されるであろう。そのような動作モードは、ライダーがオートバイ上に単独でいるときに使用することができる。実際の問題として、制御ユニット18は、送信ユニットと受信ユニットとは独立して動作してもよい。したがって、制御ユニット18は、依然として衝突状況を識別し、衣服10によって使用者に提供される保護を低下させることなく、膨張器装置14にトリガ信号を送信することが可能である。
【0065】
同様に、制御ユニット18にも、オン・オフスイッチ33(図3参照)が設けられてもよい。有利には、この場合には、衣服10が使用されていないとき、制御ユニット18がオフにされてもよい。
【0066】
有利なことに、本発明によれば、オートバイのライダーにより着用される防護服10の膨張可能な防護装置は、対にされた防護服のみが互いを作動させることができるように、オートバイのパッセンジャーにより着用される防護服の膨張可能な防護装置と対に、又はその逆にされてもよい。
【0067】
例えば、送信ユニット20と受信ユニット21は、それぞれ、第2の衣服110(図1参照)に設けられた受信ユニット121及び送信ユニット120と対にされるのに適切であり得る。
【0068】
安全モードでペアリング動作を実行するために、防護服10は、衣服に取り付けられた膨張可能な防護装置の識別コードを格納する記憶メモリを含むことができる。有利には、識別コードは、各衣服又は衣服の各対について一義的であってもよい。
【0069】
衣服10は、同じ識別コードを有するか、又は対応する記憶された識別コードを有する外部装置のみとペアにされる。
【0070】
このようにして、衣服10の膨張可能な防護装置の偶発的な作動が防止されるであろう。
【0071】
2つの防護服の間でのペアリング動作は、使用される特定の伝送プロトコルによって画定されるように、2つの装置間のペアリング動作と同様とすることができる。
【0072】
外部機器とのペアリング動作は、自動的に初期化されてもよい。
【0073】
この場合には、衣服は、同じ識別コードを有する、又はユニットが以前の機会にペアになるべく指示された異なるコードを備える、送信及び受信ユニットの動作範囲内に位置されている、互換性のある外部機器と自動的にペアにされる。
【0074】
代替的に、ペアリング動作は手動で初期化されてもよい。
【0075】
例えば、使用者は、ディスプレイ6上のアイコン又はメニューを選択すること、又は衣服に設けられている特定のボタン又はキーを押すことによって、ペアリング動作を開始することができる。あるいは、使用者は、外部装置と通信するのに適したスマートフォンの特定のアプリケーションを使用することによって、ペアリング動作を開始してもよい。
【0076】
好ましくは、この場合には、衣服10の使用者のスマートフォンは、外部機器及び制御ユニット18と同時に通信することができるであろう。
【0077】
一方の防護服を他方の防護服に結合させる方法は、「ティーチング手順」によるものである。2つの衣服が互いに隣接して配置され、そして、ティーチング手順は、第1の防護服のティーチングボタン及び第2の防護服の学習ボタンを押すことにより、開始される。「ティーチング」の衣服は、送信ユニットによって識別コードを送信し、「学習」の衣服は、コードを受信しペアの識別コードとして内部メモリ内に格納する。通常の動作では、各衣服は、ティーチング手順で交換された識別コードを含む信号のみを、有効な作動信号として受け付ける。
【0078】
有利なことに、各衣服のティーチングボタン及び学習ボタンは、唯一の「ペアリング」ボタンであることができる。この場合には、ペアリングボタンが押されたとき、衣服の制御ユニットは、事前に決められた時間の間、受信ユニットのための信号を聴取する。識別コードを備える信号がこの時間内に検出されない場合には、当該制御ユニットは、他の衣服にティーチングのための識別コードを発するように送信ユニットに指示する。しかしながら、識別コードを備える信号が上記時間中に受信された場合には、ペアの識別コードとしてメモリに格納する。
【0079】
このようにして、2つの衣服が結合されねばならないときは、ペアリングボタンが押下された衣服が、まず、他の衣服に識別コードを教示し、そして、任意の他のボタンを押す必要はない。
【0080】
衣服10に外部ディスプレイが設けられている場合、又は衣服10が、外部ディスプレイ6が設けられているさらなる衣服の下に着用された場合の、いずれの場合においても、ディスプレイ上に提供されたLEDやアイコンが、有利には、ペアリング動作が正常に完了されたことを使用者に通知することができる。
【0081】
有利には、衣服10又は衣服10の送信ユニット20及び受信ユニット21は、複数の外部装置とペアにされ得る。
【0082】
例えば、衣服10(又は送信ユニット20)は、衣服10の近傍において、第2衣服110(又は第2の衣服110の受信ユニット121)、及び取り付けられた又は使用者のスマートフォン内に備えられた受信ユニットと対にされ得る。
【0083】
あるいは、防護服10の使用者がオートバイに乗っている場合、衣服10は、第2の衣服110に加えて、衣服の使用者によって使用されているオートバイに設けられた受信ユニット36と対にされてもよい。例えば、オートバイに設けられた受信ユニット36は、オートバイのダッシュボードに搭載されたディスプレイであってもよい。
【0084】
さらなる実施形態では、衣服は、スマートフォン及びオートバイに、それぞれ、取り付けられた受信ユニットと、同時に、対にされてもよい。
【0085】
同じことが、例えば、スマートフォン及び/又はオートバイに設けられた対応する送信ユニットと対にすることができる、衣服10に適用される。
【0086】
有利には、衣服10を対応する外部機器とペアリングすることによって、そのような外部装置に、通常、衣服のディスプレイ6で伝えられる防護服10の状態に関する診断情報を複製することが可能となろう。
【0087】
例えば、衣服10の診断情報を、使用者がより容易に見ることができるオートバイのダッシュボードに搭載される受信ユニット36に直接に複製することが可能となろう。このようにして、衣服についての診断情報をオートバイ上で見ることが可能となるであろう。
【0088】
識別コードは、「双方向」のコード、すなわち、対の衣服の両方が同じ識別コードを送る、又は「一方向」コード、すなわち、対の衣服の各々がその識別コードを送る、のいずれでもよく、「一方向」の識別コードは、受信されたときに識別コードが認識されるように、ティーチング手順中に対の他の衣服の記憶メモリで交換され、記憶される。
【0089】
また、識別コードは、例えば、対の他の衣服によって送られていない信号によって引き起こされる誤作動に対する保護を増大させるべく、作動信号でコード化又は暗号化されてもよい。
【0090】
予想されるように、本発明はまた、防護服10、110の膨張可能な防護装置12、例えば、膨張可能なバッグ12を膨張させるための方法に関する。
【0091】
方法は、以下のステップを備える。防護服10、110が受ける加速度を検出し、防護服10、110の使用者に対しての危険又は衝突状況を識別するべく、検出された加速度データを処理し、危険又は衝突状況が識別されたとき、防護服10、110の膨張可能な防護装置12を膨張させるように、トリガ信号を生成する。
【0092】
本発明によれば、当該方法は、以下のステップをさらに備える。トリガ信号が生成されたとき、防護服10、110の外部に作動信号を送信し、そして、作動信号が受信されたとき、膨張可能な防護装置12のトリガ信号を生成するべく、防護服10、110の外部から受信される信号を自動的に監視する。
【0093】
好ましくは、本発明による方法はまた、防護服10、110に、識別コードを提供するステップをさらに備えている。上記を考慮して、トリガ信号は、防護服10、110の外部から受信された信号が防護服10、110の識別コードと互換性がある場合にのみ、生成される。
【0094】
さらにまた、本発明による方法は、防護服10を近傍で着用されているさらなる防護服110と対にするステップを、さらに備えている。
【0095】
有利には、防護服10をさらなる防護服110と対にするステップは、自動的に初期化され得る。
【0096】
あるいは、かかる防護服10をさらなる防護服110と対にするステップは、手動で初期化され得る。
【0097】
好ましくは、本発明による方法はまた、防護服10、110の使用者が搭載された車両が受ける加速度を検出するステップを、さらに備えている。このようにして、危険な状況を識別するべく、衣服の加速度データに加えて、車両、例えば、オートバイの加速度データをもまた処理されよう。
【0098】
図4-6を特に参照して、防護服10の動作が開示されるであろう。防護服10は、オートバイのライダーによって着用されており、送信ユニット20及び受信ユニット21は、無線通信プロトコルを介して外部の装置と通信するのに適していると仮定する。
【0099】
制御ユニット18にオン・オフスイッチ33が設けられている場合には、ライダーは、予め制御ユニット18の電源をオンにすべきである。
【0100】
防護服10が、任意の外部機器とペアリングされるべきではない場合、すなわち、例えば、ライダーがオートバイに一人だけである場合には、防護服10の動作は、膨張可能な防護装置が備えられた既知の防護服と同様である。
【0101】
したがって、制御ユニット18は、加速度センサ16によって検出されたデータを処理することにより、ライダーの状態を監視するであろう。衝突状況が検出された場合には、制御ユニット18は、膨張可能なバッグ12をその順番に膨らませるべく、膨張器装置14にトリガ信号を直ちに送る。
【0102】
オートバイ上に走行している二人がおり、ライダーとパッセンジャーの両方が本発明の防護服を着ている場合、有利には、ライダー25により着用されている防護服10をパッセンジャー26により着用されている防護服110とペアリングすることが可能である。
【0103】
上述のように、実際の問題として、ライダーの衣服10(又はライダーの衣服10の送信ユニット20)をパッセンジャーの衣服110(又はパッセンジャーの衣服110の受信ユニット121)と、及びそれらの逆に、ペアリングすることが可能である。
【0104】
このようなペアリング動作は、ライダー25に着用されている防護服10の識別コードが、パッセンジャー26により着用されている防護服110の識別コードに対応している場合にのみ、確定されることに留意すべきである。
【0105】
オートバイは、多様な事故を受ける可能性があることがよく知られている。
【0106】
図4に示されるように、第1に可能な衝突の状況は、オートバイが前方に移動し、そして、路側のバリア又は他の車両などの障害物24に、フロントタイヤでもってそれに対して突き当たることにより、衝突したとき発生する。このような衝突による減速度はフロントタイヤに由来し、その後、オートバイのテールに向かっての伝播が開始する。ライダー25の衣服10は、最初にこの減速度を検知し、これは、膨張器装置14の制御ユニット18によってのトリガを発生させるであろう。
【0107】
また、図6に示されるように、ライダー25の衣服10がパッセンジャー26の衣服110と対になっている場合には、有効な作動信号15が、衣服10の送信ユニット20によって衣服110の受信ユニット121に送られるであろう。受信ユニット121は、その順で、結合されている膨張器装置のためのトリガ信号を生成し、パッセンジャー26によって着用されている衣服110に設けられている膨張可能なバッグの、ほぼ同時の膨張を引き起こさせる。
【0108】
したがって、パッセンジャーの衣服26の膨張可能なバッグは、対応する制御ユニットが衝突状況を検出する前に膨張させられるであろう。
【0109】
同様に、図5に示されるように、オートバイについての異なる可能な衝突状況は、オートバイが、車やオートバイのような他の車両28によって、後ろから衝突される場合である。
【0110】
この場合には、加速度パルスが車両の後方から前方に伝播するであろう。かくて、この場合、パッセンジャー26に着用されている衣服110の制御ユニットは、最初にこの減速度を検出し、結合されている膨張器装置にトリガ信号を送ることにより、パッセンジャーに着用されている衣服110の膨張可能なバッグを膨張させる。
【0111】
同時に、衣服110の送信ユニット120は、ライダー25に着用されている衣服10の受信ユニット21に有効な作動信号15を送るであろう。このような作動信号15に続き、受信ユニット21は、膨張可能なバッグ12を直ちに膨張させるように、膨張器装置14のためのトリガ信号を生成するであろう(図6参照)。
【0112】
上述のように動作させることにより、本発明の衣服は、ライダー25及びパッセンジャー26によって、それぞれ、着用されている衣服に設けられている膨張可能な防護装置の展開時間を実質的に等しくすることを可能にしている。
【0113】
このようにして、通常、一瞬の間に作動されるであろう膨張可能な防護装置の作動を、20〜50msの間の時間間隔と予測することが可能である。
【0114】
上を考慮すると、如何にして本発明が上記目的を達成することが可能かは、今や明らかである。
【0115】
実際の問題として、オートバイの前方事故の場合には、パッセンジャーにより着用されている衣服の膨張可能な防護装置のトリガ時間が低減されるであろう。これと同時に、後衝突の場合には、ライダーにより着用されている衣服の膨張可能な防護装置のトリガ時間が低減されるであろう。
【0116】
結果として、低減された時間で膨張させることができるという本発明の衣服は、如何なる外部装置にも接続されるべきことを必要とせずに、使用者に、より高い保護を提供する。実際のところ、全ての電子部品は、衣服に設けられている。送信ユニット及び受信ユニットが、有線通信プロトコルを介して外部の装置と通信するべく設計されている場合にのみ、それらの間に物理的な接続が存在する。しかしながら、ライダーとパッセンジャーは、彼らがオートバイのサドルにいるときには互いに近接していることを考慮すると、このような接続ケーブルは彼らの動きを妨げない。
【0117】
また、送信ユニット及び受信ユニットを衣服に設けることは、後者(衣服)を嵩張らせないので、使用者の動きの自由度を減少させることはない。
【0118】
また、本発明の衣服は、調整なしで、オートバイのライダー及び/又はパッセンジャーにより着用されてもよい。実際には、動作ロジックは、両方の場合で同じである。
【0119】
明らかに、本発明の革新的原理を適用している実施形態の上記の説明は、これらの革新的な原理の一例として提供され、したがって、本明細書に記載の権利の範囲を限定するものと見なしてはならない。
【0120】
例えば、加速度センサ16はまた、オートバイに設けられてもよい。この場合、かかるセンサによって検出されたデータは、既に衣服及び/又は背部プロテクタに設けられている加速度センサから検出されたデータを補完するために制御ユニット18に送られてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6