(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
モノカルボン酸ビニルモノマー、重合可能な二重結合を有するジカルボン酸モノマー、ビニルスルホン酸モノマー、並びに前述のもののいずれかのアルカリ金属塩に対応する1以上のビニル重合単位を含むアニオン性モノマー単位を含み、かつ第1の20℃での4%水溶液粘度(μ1)を有する第1のPVOHコポリマーと、
ビニルアルコールモノマー単位及び任意に酢酸ビニルモノマー単位から本質的になり、かつ第2の20℃での4%水溶液粘度(μ2)を有する第2のPVOHポリマーと
を含む、ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドを含む、水溶性フィルムであって、
前記第1のPVOHコポリマーと前記第2のPVOHポリマーの絶対粘度差|μ2−μ1|は、0cP〜10cPの範囲であり、
前記第1のPVOHコポリマーは、前記フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち30重量%〜90重量%の範囲の量で存在し、前記アニオン性モノマー単位が、前記フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち1.0モル%〜4.2モル%の範囲の量で前記フィルム中に存在する、
水溶性フィルム。
前記第2のPVOHポリマーが、前記フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち10重量%〜70重量%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の水溶性フィルム。
モノカルボン酸ビニルモノマー、重合可能な二重結合を有するジカルボン酸モノマー、ビニルスルホン酸モノマー、並びに前述のもののいずれかのアルカリ金属塩に対応する1以上のビニル重合単位を含むアニオン性モノマー単位を含み、かつ第1の20℃での4%水溶液粘度(μ1)を有する第1のPVOHコポリマーと、
ビニルアルコールモノマー単位及び任意に酢酸ビニルモノマー単位から本質的になり、かつ第2の20℃での4%水溶液粘度(μ2)を有する第2のPVOHポリマーと
を含む、ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドを含む、水溶性フィルムであって、
前記第1のPVOHコポリマーと前記第2のPVOHポリマーの絶対粘度差|μ2−μ1|は、0cP〜10cPの範囲であり、
前記アニオン性モノマー単位が、前記フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち1.0モル%〜4.2モル%の範囲の量で前記フィルム中に存在する、
水溶性フィルム。
前記アニオン性モノマーが、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸モノメチル、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸モノメチル、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メチルアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチルアクリレート、これらのアルカリ金属塩及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
前記アニオン性モノマーが、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
前記アニオン性モノマー単位が、前記フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち3モル%〜4.2モル%の範囲の量で存在する、請求項8に記載の水溶性フィルム。
前記第1のPVOHコポリマー及び前記第2のPVOHポリマーが、それぞれ独立して、75%〜99%の範囲の加水分解度を有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
前記第3の水溶性ポリマーが、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びその塩、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、デンプン、修飾デンプン、グアーガム、アラビアゴム、キサンタンガム、カラギーナン、ポリアクリレート及びその塩、そのコポリマー、そのブレンド、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項17に記載の水溶性フィルム。
可塑剤、可塑剤相溶化剤、潤滑剤、剥離剤、充填剤、増量剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、粘着性除去剤、消泡剤、ナノ粒子、漂白剤、界面活性剤及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の構成成分を更に含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
モノカルボン酸ビニルモノマー、重合可能な二重結合を有するジカルボン酸モノマー、ビニルスルホン酸モノマー、並びに前述のもののいずれかのアルカリ金属塩に対応する1以上のビニル重合単位を含む第1のアニオン性モノマー単位を含む第1のPVOHコポリマーと、
ビニルアルコールモノマー単位及び任意に酢酸ビニルモノマー単位から本質的になる第2のPVOHポリマーと
を含む、ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドを含む、水溶性フィルムであって、
前記第1のPVOHコポリマーは、前記フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち30重量%〜70重量%の範囲の量で存在し、ここで下記条件(A)がまたPVOH樹脂ブレンドに適用される、水溶性フィルム。
条件(A):
第1のPVOHコポリマー及び第2のPVOHポリマーは、互いに10cP以内離れている20℃での4%水溶液粘度(μ1)及び(μ2)をそれぞれ有し、前記第1のPVOHコポリマーと前記第2のPVOHポリマーの絶対粘度差|μ2−μ1|は、0cP〜10cPの範囲であり、
第1のPVOHコポリマーが、3モル%〜5モル%の範囲の第1のアニオン性モノマー単位の含有率を有し、
第1のアニオン性モノマーが、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記第1のアニオン性モノマーが、前記フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち1モル%〜3モル%の範囲の量で存在し、
前記第1のPVOHコポリマーが、前記フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち40重量%〜60重量%の範囲の量で存在し、
前記第2のPVOHポリマーが、8cP〜16cPの範囲の20℃での4%水溶液粘度の値を有し、かつ
前記第2のPVOHポリマーが、前記フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち40重量%〜60重量%の範囲の量で存在する。
a.モノカルボン酸ビニルモノマー、重合可能な二重結合を有するジカルボン酸モノマー、ビニルスルホン酸モノマー、並びに前述のもののいずれかのアルカリ金属塩に対応する1以上のビニル重合単位を含むアニオン性モノマー単位を含み、かつ第1の20℃での4%水溶液粘度(μ1)を有する第1のPVOHコポリマーと、
ビニルアルコールモノマー単位及び任意に酢酸ビニルモノマー単位から本質的になり、かつ第2の20℃での4%水溶液粘度(μ2)を有する第2のPVOHポリマーと
を含む、ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドを含む、水溶性フィルムであって、
前記第1のPVOHコポリマーと前記第2のPVOHポリマーの絶対粘度差|μ2−μ1|は、0cP〜10cPの範囲であり、
前記第1のPVOHコポリマーは、前記フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち30重量%〜90重量%の範囲の量で存在し、かつ、
前記アニオン性モノマー単位が、前記フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち1.0モル%〜4.2モル%の範囲の量で前記フィルム中に存在する、水溶性フィルムと、
b.前記フィルムに近接した家庭用ケア組成物と
を含む、物品。
a.モノカルボン酸ビニルモノマー、重合可能な二重結合を有するジカルボン酸モノマー、ビニルスルホン酸モノマー、並びに前述のもののいずれかのアルカリ金属塩に対応する1以上のビニル重合単位を含むアニオン性モノマー単位を含み、かつ第1の20℃での4%水溶液粘度(μ1)を有する第1のPVOHコポリマーと、
ビニルアルコールモノマー単位及び任意に酢酸ビニルモノマー単位から本質的になり、かつ第2の20℃での4%水溶液粘度(μ2)を有する第2のPVOHポリマーと
を含む、ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドを含む、水溶性フィルムであって、
前記第1のPVOHコポリマーと前記第2のPVOHポリマーの絶対粘度差|μ2−μ1|は、0cP〜10cPの範囲であり、
前記アニオン性モノマー単位が、前記フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち1.0モル%〜4.2モル%の範囲の量で前記フィルム中に存在する、水溶性フィルムと、
b.前記フィルムに近接した家庭用ケア組成物と
を含む、物品。
前記アニオン性モノマーが、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸モノメチル、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸モノメチル、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メチルアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチルアクリレート、これらのアルカリ金属塩及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項27〜29のいずれか一項に記載の物品。
前記水溶性ポリマーが、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びその塩、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、デンプン、修飾デンプン、グアーガム、アラビアゴム、キサンタンガム、カラギーナン、ポリアクリレート及びその塩、そのコポリマー、そのブレンド、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項43に記載の物品。
前記水溶性フィルムが、可塑剤、可塑剤相溶化剤、潤滑剤、剥離剤、充填剤、増量剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、粘着性除去剤、消泡剤、ナノ粒子、漂白剤、界面活性剤及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の構成成分を更に含む、請求項27〜44のいずれか一項に記載の物品。
a.モノカルボン酸ビニルモノマー、重合可能な二重結合を有するジカルボン酸モノマー、ビニルスルホン酸モノマー、並びに前述のもののいずれかのアルカリ金属塩に対応する1以上のビニル重合単位を含む第1のアニオン性モノマー単位を含む第1のPVOHコポリマーと、
ビニルアルコールモノマー単位及び任意に酢酸ビニルモノマー単位から本質的になる第2のPVOHポリマーと
を含む、ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドを含む、水溶性フィルムであって、
前記第1のPVOHコポリマーは、前記フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち30重量%〜70重量%の範囲の量で存在し、ここで下記条件(A)がまたPVOH樹脂ブレンドに適用される、水溶性フィルムと、
b.前記フィルムに近接した家庭用ケア物品と
を含む、物品。
条件(A):
第1のPVOHコポリマー及び第2のPVOHポリマーは、互いに10cP以内離れている20℃での4%水溶液粘度(μ1)及び(μ2)をそれぞれ有し、前記第1のPVOHコポリマーと前記第2のPVOHポリマーの絶対粘度差|μ2−μ1|は、0cP〜10cPの範囲であり、
第1のPVOHコポリマーが、3モル%〜5モル%の範囲の第1のアニオン性モノマー単位の含有率を有し、
第1のアニオン性モノマーが、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記第1のアニオン性モノマーが、前記フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち1モル%〜3モル%の範囲の量で存在し、
前記第1のPVOHコポリマーが、前記フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち40重量%〜60重量%の範囲の量で存在し、
前記第2のPVOHポリマーが、8cP〜16cPの範囲の20℃での4%水溶液粘度の値を有し、かつ、
前記第2のPVOHポリマーが、前記フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち40重量%〜60重量%の範囲の量で存在する。
前記家庭用ケア組成物が、軽質液体洗剤組成物、重質液体洗剤組成物、硬質表面洗浄組成物、一般に洗濯に使用されるゲル洗剤、漂白剤組成物、洗濯用添加剤、布地向上剤組成物、シャンプー、ボディソープ、他のパーソナルケア組成物及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項27〜58のいずれか一項に記載の物品。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書にて開示されるのは、ポリビニルアルコールポリマーのブレンドを含む水溶性フィルム、及び当該フィルムから形成されるか、又は当該フィルムをいずれにせよ含む送達パウチなどの物品であり、当該物品又はパウチは、家庭用ケア組成物を更に含むことができる。
【0024】
パケットなどの物品(例えば、その中に家庭用ケア組成物を含有することができる物品)の作製に使用される一部の水溶性ポリマーフィルムは、洗濯関連組成物を含有するパケットの通常の使用中、例えば、洗濯洗浄サイクル中に、水に完全に溶解しないことがある(例えば、これにより、洗液中の物品上にフィルム残留物が残る)。
【0025】
PVOHをベースにした水溶性ポリマーフィルムは、溶解度特性の変化を受ける可能性がある。コポリ(酢酸ビニルビニルアルコール)ポリマー中のアセテート基は、酸加水分解又はアルカリ加水分解のいずれによっても加水分解されることが当業者に知られている。PVOHホモポリマー樹脂から作製されたポリマー組成物は、加水分解度が大きくなるにつれ、機械的強度が増大するが、低温での溶解度は低下する(例えば、完全な溶解には温水温度を要する)。したがって、PVOHホモポリマー樹脂がアルカリ環境(例えば、洗濯用漂白添加剤から生じるもの)に曝されると、その樹脂は、所与の水性環境(例えば、冷水媒体)中で急速かつ完全に溶解するものから、水性環境中でゆっくり溶解し、及び/又は完全に溶解しないものに変化することがあり、洗浄サイクルの最後に未溶解ポリマー残留物をもたらす原因になる可能性がある。これは、市販のPVOHホモポリマー樹脂に代表される酢酸ビニル/アルコールコポリマーのみをベースにしたフィルムを使用する際の固有の欠点である。
【0026】
側鎖カルボキシル基を有するPVOHコポリマー樹脂、例えば、ビニルアルコール/加水分解アクリル酸メチルナトリウム塩樹脂などは、隣接する側鎖カルボキシル基とアルコール基との間でラクトン環を形成し得るため、PVOHコポリマー樹脂の水への溶解度が低下する。洗濯用漂白添加剤などの強塩基が存在する場合、ラクトン環は、比較的温暖な状態(周囲温度)及び高湿度条件で、数週間の間に開環し得る(例えば、ラクトン開環反応を介して、対応する側鎖カルボキシル基及びアルコール基が形成され、水への溶解度が上がる)。したがって、このようなPVOHコポリマーフィルムは、PVOHホモポリマーフィルムで観察される作用とは反対に、保管中に、フィルムとパウチ内部のアルカリ組成物との間の化学的相互作用により、可溶性が高くなる可能性があると考えられる。その結果、フィルムが老化するにつれて、パケットは高温洗浄サイクル(基本的に40℃)中に早い段階で溶解する傾向がますます強くなる可能性があり、漂白剤の存在及び結果として生じるpHの影響に起因して、特定の洗濯用活性物質の有効性が低下する可能性がある。
【0027】
本開示は、ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドと、以下に詳述する可塑剤、充填剤、界面活性剤及び他の添加剤などの任意選択の1つ以上の追加構成成分とを含む、水溶性フィルムを含む。本開示は、水溶性フィルムを含み、例えば、家庭用ケア組成物を含有する、物品又はパケットを更に含む。PVOH樹脂ブレンドは、1種以上のアニオン性モノマー単位を含むPVOHコポリマー(「第1のPVOHコポリマー」)(例えば、PVOHターポリマー(又はより多元のコポリマー))である第1のPVOH樹脂と、ビニルアルコールモノマー単位及び(任意に)酢酸ビニルモノマー単位(例えば、完全に加水分解したポリビニルアルコール又は部分的に加水分解したポリ(ビニルアルコール−co−酢酸ビニル)の組み合わせのいずれかであるPVOHホモポリマー)を含むPVOHポリマー(「第2のPVOHポリマー」)である第2のPVOH樹脂とを含む。いくつかの態様において、PVOH樹脂ブレンドは、第1のPVOHコポリマー及び第2のPVOHポリマーのみを含む(例えば、2つのポリマーの二元ブレンド)。代替的に又は追加的に、PVOH樹脂ブレンド、水溶性フィルム又はその両方は、他のポリマー(例えば、通常は他の水溶性ポリマー、特に他のPVOH系ポリマー又はその両方)を含まないか、又は実質的に含まないことを特徴とし得る。他の態様において、水溶性フィルムは、1つ以上の追加の水溶性ポリマーを含み得る。例えば、PVOH樹脂ブレンドは、(第3の)PVOHポリマー、第4のPVOHポリマー、第5のPVOHポリマーなど(例えば、アニオン性モノマー単位含有又は非含有の1つ以上の追加のPVOHホモポリマー又はPVOHコポリマー)を含み得る。例えば、水溶性フィルムは、PVOHポリマー以外(例えば、アニオン性モノマー単位含有又は非含有のPVOHホモポリマー又はPVOHコポリマー以外)の少なくとも第3(又は第4、第5など)の水溶性ポリマーを含み得る。
【0028】
PVOHコポリマーは、ビニルアルコールモノマー単位と、酢酸ビニルモノマー単位(すなわち、完全に加水分解していない場合)と、1種のアニオン性モノマー単位(例えば、1種のモノマー単位がアニオン性モノマー単位の同等の酸形態、塩形態及び任意にエステル形態を含み得る場合)とを含む、PVOHターポリマーであってよい。いくつかの態様において、PVOHコポリマーは、2種以上のアニオン性モノマー単位を含み得る。PVOHコポリマーに使用することができるアニオン性モノマー単位の一般的な種類には、モノカルボン酸ビニルモノマー、それらのエステル及び無水物、重合可能な二重結合を有するジカルボン酸モノマー、それらのエステル及び無水物、ビニルスルホン酸モノマー、並びに前述のもののいずれかのアルカリ金属塩に対応するビニル重合単位が挙げられる。好適なアニオン性モノマー単位の例には、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸無水物、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メチルアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチルアクリレート、前述のもののアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩又は他のアルカリ金属塩)、前述のもののエステル(例えば、メチル、エチル又は他のC
1〜C
4又はC
6アルキルエステル)、及びこれらの組み合わせ(例えば、多数の種類のアニオン性モノマー又は同アニオン性モノマーの同等形態)を含むビニルアニオン性モノマーに対応するビニル重合単位が挙げられる。一態様において、アニオン性モノマーは、1つ以上のアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(例えば、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メチルアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、そのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩)及びこれらの組み合わせであってよい。一態様において、アニオン性モノマーは、マレイン酸モノメチル、そのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩)及びこれらの組み合わせのうちの1つ以上であってよい。
【0029】
PVOHコポリマー(例えば、第1のPVOHコポリマー)中の1つ以上のアニオン性モノマー単位の含有率は、特に限定されない。いくつかの態様において、1つ以上のアニオン性モノマー単位は、個別に又は合計で、第1のPVOHコポリマー中に、約2モル%〜約10モル%又は約3モル%〜約5モル%の範囲(例えば、種々の実施形態において、少なくとも2.0、2.5、3.0、3.5若しくは4.0モル%及び/又は最大約3.0、4.0、4.5、5.0、6.0、8.0若しくは10モル%)の量で存在する。例えば、1つ以上のアニオン性モノマー単位は、個別に又は合計で、第1のPVOHコポリマー中に、約5モル%〜約10モル%の範囲(例えば、種々の実施形態において、少なくとも5.0若しくは6.0モル%及び/又は最大約7.0、8.0若しくは10モル%)の量で存在する。代替的に又は追加的に、1つ以上のアニオン性モノマー単位は、合計で、水溶性フィルム中に、フィルム中のPVOHポリマーとコポリマーの合計のうち約3モル%〜約4.2モル%の範囲(例えば、種々の実施形態において、少なくとも3.0若しくは3.5モル%及び/又は最大約3.7、4.0若しくは4.2モル%)の量で存在し得る。別の態様において、第1のPVOHポリマー中の1つ以上のアニオン性モノマー単位は、合計で、水溶性フィルム中に、フィルム中のPVOHポリマーとコポリマーの合計のうち約1モル%〜約3モル%の範囲の量で存在し得る。例えば、アニオン性PVOHコポリマーは、アニオン性モノマー含有量に対する溶解槽残留物曲線がゼロに近づく領域である約3モル%〜約4.2モル%の範囲のアニオン性モノマー単位の平均ブレンド含有量に達するように、PVOHポリマーとブレンドすることができる(例えば、約40%/60%〜60%/40%(w/w)ブレンド)。一実施形態において、第1のアニオン性モノマーは、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約3モル%未満の量で存在し得る。
【0030】
水溶性フィルムは、少なくとも約50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%若しくは90重量%及び/又は最大約60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、95重量%若しくは99重量%のPVOH樹脂ブレンドを含有することができる。一態様において、第1のPVOHコポリマーは、水溶性フィルム中に、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち(すなわち、PVOH樹脂ブレンドの重量を基準として)約30重量%〜約90重量%(又は約40重量%〜約60重量%、約40重量%〜約70重量%、約30重量%〜約70重量%)の範囲の量で存在する。例えば、第1のPVOHコポリマーは、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち少なくとも30重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%若しくは65重量%及び/又は最大約55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%若しくは90重量%の量で存在し得る。別の態様において、第1のPVOHコポリマーの前述の濃度は、代替的に又は追加的に、PVOH又は他のものであれ、フィルム中の水溶性ポリマーの合計含有量を基準としてもよい。一態様において、第2のPVOHポリマーは、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち(すなわち、PVOH樹脂ブレンドの重量を基準として)約10重量%〜約70重量%(又は約30重量%〜約60重量%、約40重量%〜約60重量%、約30重量%〜約70重量%)の範囲の量で存在する。例えば、第2のPVOHポリマーは、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち少なくとも10重量%、20重量%、30重量%若しくは40重量%及び/又は最大約40重量%、50重量%、60重量%若しくは70重量%の量で存在し得る。別の態様において、第2のPVOHポリマーの前述の濃度は、代替的に又は追加的に、PVOH又は他のものであれ、フィルム中の水溶性ポリマーの合計含有量を基準としてもよい。
【0031】
ポリマー樹脂の相対量に関して代替的に又は追加的に、PVOH又は他のものであれ、水溶性フィルムは、フィルム中のアニオン性モノマー単位のモル含有量に関して(特に、そのポリマー樹脂含有量を基準として)特徴付けることができる。一態様において、1つ以上のアニオン性モノマー単位は、個別に又は合計で、フィルム中に、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約1.0モル%〜約4.2モル%(又は約1モル%〜約3.4モル%、又は約1.4モル%〜約2.6モル%)の範囲の量で存在する。例えば、1つ以上のアニオン性モノマー単位は、個別に又は合計で、フィルム中に、少なくとも1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.5若しくは3.0モル%及び/又は最大約2.5、3.0、3.4、3.6、3.8、4.0若しくは4.2モル%の範囲で存在し得る。アニオン性モノマー単位の含有量は、代替的に又は追加的に、PVOH又は他のものであれ、フィルム中の水溶性ポリマーの合計含有量を基準として表すことができる。
【0032】
以下に詳述するように、PVOHポリマー及びPVOHコポリマー樹脂は、20℃での4%水溶液粘度の値(すなわち、樹脂の分子量と概ね相関する値)に関して特徴付けることができる。参照のため、第1のPVOHコポリマーは、第1の20℃での4%水溶液粘度(μ
1)を有するものとして示し、第2のPVOHポリマーは、第2の20℃での4%水溶液粘度(μ
2)を有するものとして示す。本開示の一態様において、PVOH樹脂ブレンド中の第1のPVOHコポリマーと第2のPVOHポリマーの絶対粘度差|μ
2−μ
1|は、0cP〜約10cPの範囲(例えば、最大約1、2、5、又は10cP;約0cP)である。本開示の別の態様において、第2のPVOHポリマーは、20℃における第2の4%水溶液粘度(μ
2)が約20cP以下(例えば、少なくとも約4、8、10若しくは12cP及び/又は最大約12、16若しくは20cP)であり得る。前述の態様のいずれか又は両方において、第1のPVOHコポリマーと第2のPVOHポリマーの粘度差(μ
2−μ
1)は、約0cP〜約10cPの範囲(例えば、少なくとも約0、0.5、1若しくは2cP及び/又は最大約1、2、5若しくは10cP、例えば約0cP〜約5cP又は約0cP〜約2cP)であり得る。一態様において、第1のPVOHコポリマー及び第2のPVOHポリマーは、20℃での4%水溶液粘度の値が互いに約10cP以内である。別の態様において、第1のPVOHコポリマー及び第2のPVOHポリマーは、20℃での4%水溶液粘度の値が互いに約10cPを超えて離れている。種々の実施形態において、第1の粘度μ
1は、約4cP〜約24cPの範囲(例えば、少なくとも約4、8、10若しくは12cP及び/又は最大約12、16、20若しくは24cP、例えば約10cP〜約16cP又は約10cP〜約20cP)であってよい。代替的に又は追加的に、第2の粘度μ
2は、約4cP〜約24cP、約8cP〜約16cP、又は約20cP〜約30cPの範囲(例えば、少なくとも約4、8、10若しくは12cP及び/又は最大約12、16、20若しくは24cP、例えば約10cP〜約16cP又は約10cP〜約20cP)であってよい。PVOH樹脂ブレンドがPVOHポリマー及びPVOHコポリマー樹脂から選択される3つ以上のPVOH樹脂を含む場合、前述の粘度の値は、個別にそれぞれのPVOHポリマー又はPVOHコポリマーに適用することができ、前述の粘度差は、PVOH樹脂ブレンド及び得られる水溶性フィルム中のそれぞれのPVOHポリマー/PVOHコポリマーペアに適用することができる。
【0033】
本開示の水溶性フィルム、当該フィルムを含む送達パウチなどの物品及び関連方法は、別の指示がない限り、以下に詳述する追加の任意の要素、特徴及び工程(図及び実施例にて示すものを含む)のうちの1つ以上の任意の組み合わせを含む実施形態を含むように企図される。
【0034】
いずれかの実施形態において、水溶性物品又はパウチは、組成物、例えば、家庭用ケア組成物を含有し得る。組成物は、液体、固体又はこれらの組み合わせから選択することができる。本明細書で使用するとき、「液体」とは、易流動性の液体のみならず、ペースト、ゲル、発泡体及びムースを包含する。液体の非限定的な例としては、軽質及び重質の液体洗剤組成物、布地向上剤、一般に洗濯に使用されるゲル洗剤、漂白剤及び洗濯用添加剤が挙げられる。気体(例えば懸濁気泡)又は固体(例えば粒子)が液体中に含まれていてもよい。本明細書で使用する「固体」とは、限定するものではないが、粉末、粒塊及びこれらの混合物を含む。固体の非限定的な例としては、顆粒、マイクロカプセル、ビーズ、ヌードル及びパールボールが挙げられる。固体組成物は、限定するものではないが、洗浄面の利点、前処理の利点及び/又は審美的効果などの技術的利点を提供し得る。
【0035】
洗濯を中心にした実施形態のいずれにおいても、組成物は、例えば、液体軽質及び液体重質の液体洗剤組成物、粉末洗剤組成物、布地向上剤、一般に洗濯に使用されるゲル洗剤並びに漂白剤(例えば、有機又は無機漂白剤)及び洗濯用添加剤からなる群から選択され得る。
【0036】
本明細書で使用するとき、「ホモポリマー」という用語は、一般に、1種類のモノマーの繰り返し単位を有するポリマー(例えば、単一のモノマーの繰り返し単位からなるか、又はこれらから本質的になるポリマー鎖)を包含する。特定のPVOHの場合、「ホモポリマー」(又は「PVOHホモポリマー」又は「PVOHポリマー」)という用語は、加水分解度に応じて、ビニルアルコールモノマー単位及び酢酸ビニルモノマー単位が分布しているコポリマー(例えば、ビニルアルコールモノマー単位及び酢酸ビニルモノマー単位からなるか、又はこれらから本質的になるポリマー鎖)を更に包含する。加水分解100%の限界的な場合において、PVOHホモポリマーは、ビニルアルコール単位のみを有する真のホモポリマーを含むことができる。
【0037】
本明細書で使用するとき、「コポリマー」という用語は、一般に、2種以上のモノマーの繰り返し単位を有するポリマー(例えば、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーなどのいずれかである、2つ以上の異なるモノマーの繰り返し単位からなるか、又はこれらから本質的になるポリマー鎖)を包含する。特定のPVOHの場合、「コポリマー」(又は「PVOHコポリマー」)という用語は、加水分解度に応じて、ビニルアルコールモノマー単位及び酢酸ビニルモノマー単位が分布しており、更に少なくとも1つの他の種類のモノマーの繰り返し単位を有するコポリマー(例えば、ビニルアルコールモノマー単位、酢酸ビニルモノマー単位及び1つ以上の他のモノマー単位、例えばアニオン性モノマー単位からなるか、又はこれらから本質的になるターポリマー鎖(又はより多元のポリマー鎖))を更に包含する。加水分解100%の限界的な場合において、PVOHコポリマーは、ビニルアルコール単位及び1つ以上の他のモノマー単位を有するが、酢酸ビニル単位を有しないコポリマーを含むことができる。
【0038】
本明細書で使用するとき、「含む(comprising)」という用語は、指定されたものに加えて、他の剤、要素、工程又は特徴を含む可能性を示唆する。
【0039】
本明細書で使用するとき、また別の指示がない限り、「重量%(wt.%及びwt%)」という用語は、特定された要素の組成であって、フィルム全体に対する「乾燥」(水を含まない)重量部(適用可能な場合)又はパウチ内に封入された組成物全体に対する重量部(適用可能な場合)を指すことが意図される。本明細書で使用するとき、また別の指示がない限り、「phr」という用語は、特定された要素の組成であって、水溶性フィルム中の可溶性水溶性ポリマー(又は樹脂;PVOH若しくは他のもの)100部に対する部を指すことが意図される。
【0040】
本明細書に記載される全ての範囲は、範囲の全ての可能な部分集合及びこれらの部分集合範囲の任意の組み合わせを含む。基本的に、範囲は、別の指示がない限り、指定の端点を含む。値の範囲が記載される場合、その範囲の上限値と下限値の間にある各値、及びその指定範囲内の任意の他の指定値又は間にある値は、本開示内に包含されることが理解される。これらのより狭い範囲の上限値及び下限値は、指定範囲内の任意の特定の限界値が除外される場合には、より狭い範囲に独立して含まれ得、また本開示内に包含される。指定範囲が限界値の一方又は両方を含む場合、当該含まれる限界値の一方又は両方を除外する範囲もまた、本開示の一部であることが企図される。
【0041】
水溶性フィルム組成物
水溶性フィルム組成物、当該組成物に使用するための任意の成分、及び当該組成物の作製方法は、比較的薄い水溶性フィルム(例えば、パウチ材料)の作製に使用される場合であれそれ以外の場合であれ、当該技術分野においてよく知られている。
【0042】
1つの種類の実施形態において、水溶性フィルムは、ポリビニルアルコール(PVOH)を含み、PVOHは、そのホモポリマー(例えば、実質的にビニルアルコールモノマー単位及び酢酸ビニルモノマー単位のみを含むもの)及びそのコポリマー(例えば、ビニルアルコール単位及び酢酸ビニル単位に加えて1つ以上の他のモノマー単位を含むもの)を含む。PVOHは、通常、ポリ酢酸ビニルの加水分解又は鹸化と一般に呼ばれるアルコール分解によって調製される合成樹脂である。実質的に全てのアセテート基がアルコール基に変換されて完全に加水分解したPVOHは、強い水素結合で結ばれた高結晶性ポリマーであり、約140°F(60℃)を超える熱水中でのみ溶解する。ポリ酢酸ビニルの加水分解後に十分な数のアセテート基が残存している場合、PVOHポリマーは、部分的に加水分解したものとして知られるものになり、水素結合が弱くなり、結晶性が低くなるため、約50°F(10℃)未満の冷水に可溶となる。中間的な冷水又は熱水に可溶であるフィルムには、例えば、中程度に部分的に加水分解したPVOH(例えば、約94%〜約98%の加水分解度)を挙げることができ、温水中でのみ容易に可溶である(例えば、約40℃以上の温度で迅速に溶解する)。完全に加水分解したPVOHと部分的に加水分解したPVOHの両方のタイプが一般にPVOHホモポリマーと呼ばれるが、部分的に加水分解したタイプは、厳密には、ビニルアルコール−酢酸ビニルコポリマーである。
【0043】
本開示の水溶性フィルムに含まれるPVOHポリマー及びPVOHコポリマーの加水分解度(DH)は、約75%〜約99%(例えば、約79%〜約92%、約86.5%〜約89%又は約88%(冷水に可溶な組成物などの場合);約90%〜約99%、約92%〜約99%又は約95%〜約99%)の範囲であってよい。加水分解度が小さくなるにつれ、樹脂から作製されるフィルムの機械的強度は小さくなるが、約20℃未満の温度での溶解はより速くなる。加水分解度が大きくなるにつれ、ポリマーから作製されるフィルムは、機械的に強くなる傾向があり、熱成形性が低くなる傾向がある。PVOHの加水分解度は、ポリマーの水への溶解度が温度依存的になるように選択することができ、そのため、ポリマーから作製されるフィルム、任意の相溶化ポリマー及び追加成分の溶解度も影響を受ける。1つの選択肢において、フィルムは、冷水可溶性である。10℃未満の温度の水に可溶である冷水可溶性フィルムは、加水分解度が約75%〜約90%の範囲、又は約80%〜約90%の範囲、又は約85%〜約90%の範囲のPVOHを含むことができる。別の選択肢において、フィルムは、温水可溶性である。少なくとも約60℃の温度の水に可溶である温水可溶性フィルムは、加水分解度が少なくとも約98%のPVOHを含むことができる。
【0044】
PVOHポリマー及びPVOHコポリマーに加えてブレンド中に使用される他の水溶性ポリマーには、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、水溶性アクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、プルラン、水溶性天然ポリマー、限定するものではないが、グアーガム、アラビアゴム、キサンタンガム、カラギーナン及びデンプンなど、水溶性ポリマー誘導体、限定するものではないが、修飾デンプン、エトキシル化デンプン及びヒドロキシプロピル化デンプンなど、前述のもののコポリマー、並びに前述のもののいずれかの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。更に他の水溶性ポリマーには、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸及びその塩、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリカルボン酸及びその塩、ポリアミノ酸、ポリアミド、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びその塩、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、並びにポリメタクリレートを挙げることができる。このような水溶性ポリマーは、PVOHであれ他のものであれ、種々の供給元から市販されている。前述の水溶性ポリマーのいずれも、フィルム形成ポリマーとしての使用に概して適している。一般に、水溶性フィルムは、前述の樹脂のコポリマー及び/又はブレンドを含み得る。
【0045】
水溶性ポリマー(例えば、PVOH樹脂ブレンド単独又は他の水溶性ポリマーとの組み合わせ)は、フィルム中に、例えば、約30重量%又は50重量%〜約90重量%又は95重量%の範囲の量で含まれ得る。全ての可塑剤、相溶性化剤及び二次添加剤を合わせた量と比較した全ての水溶性ポリマーの量の重量比は、例えば、約0.5〜約18、約0.5〜約15、約0.5〜約9、約0.5〜約5、約1〜3、又は約1〜2の範囲であり得る。可塑剤及び他のポリマー以外の構成成分の具体的な量は、特定の実施形態にて、水溶性フィルムの目的用途に基づき、所望の機械的フィルム特性を考慮して、フィルム可撓性を調整し、かつ加工上の利点を付与するように選択することができる。
【0046】
本明細書に記載のフィルムに使用するための水溶性ポリマー(限定するものではないが、PVOHポリマー及びPVOHコポリマーを含む)は、例えば、約3.0〜約27.0cP、約4.0〜約24.0cP、約4.0〜約23.0cP、約4.0cP〜約15cP、又は約6.0〜約10.0cPの範囲の粘度を特徴とし得る。ポリマーの粘度は、British Standard EN ISO 15023-2:2006 Annex E Brookfield Test methodに記載されているとおりに、ULアダプタを備えるBrookfield LV型粘度計を使用して、調製したばかりの溶液を測定することによって決定される。20℃における4%ポリビニルアルコール水溶液の粘度を記載するのが国際的慣行である。本明細書にてcPの単位で明記されるポリマー粘度は、別の指示がない限り、20℃での4%水溶性ポリマー水溶液の粘度を指すものと理解されるものとする。
【0047】
水溶性ポリマー(PVOH又は他のもの)の粘度が同ポリマーの重量平均分子量
【数1】
と相関関係にあることは、当該技術分野においてよく知られており、粘度が
【数2】
の代わりによく使用される。したがって、水溶性ポリマーの重量平均分子量は、第1のPVOHコポリマー及び第2のPVOHポリマーを含め、例えば、約30,000〜約175,000、又は約30,000〜約100,000、又は約55,000〜約80,000の範囲であり得る。
【0048】
水溶性フィルムは、他の補助剤及び加工剤、例えば、限定するものではないが、可塑剤、可塑剤相溶化剤(plasticizer compatibilizers)、界面活性剤、潤滑剤、剥離剤、充填剤、増量剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、粘着性除去剤、消泡剤、層状シリケートタイプのナノクレイなどのナノ粒子(例えば、ナトリウムモンモリロナイト)、漂白剤(例えば、二硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム又はその他)、苦味剤などの嫌悪剤(例えば、安息香酸デナトニウム、サッカリンデナトニウム及び塩化デナトニウムなどのデナトニウム塩;オクタアセチルスクロース、キニーネ;クエルセチン及びナリンゲニンなどのフラボノイド;クアシン及びブルシンなどのクアシノイド)及び刺激剤(例えば、カプサイシン、ピペリン、アリルイソチオシアネート及びレシニフェラトキシン)、並びに他の機能性成分を使用目的に好適な量で含有できる。可塑剤を含む実施形態が好ましい。このような剤の量は、個別に又は合計で、最大約50重量%、20重量%、15重量%、10重量%、5重量%、4重量%及び/又は少なくとも0.01重量%、0.1重量%、1重量%若しくは5重量%であり得る。
【0049】
可塑剤には、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、400MWまでのポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、ソルビトール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、エタノールアミン及びこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。好ましい可塑剤は、グリセリン、ソルビトール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン又はこれらの組み合わせである。可塑剤の合計量は、フィルムの合計重量を基準として、約10重量%〜約40重量%、又は約15重量%〜約35重量%、又は約20重量%〜約30重量%の範囲、例えば約25重量%であり得る。グリセリン、ジプロピレングリコール及びソルビトールの組み合わせを使用することができる。所望により、グリセリンは、約5重量%〜約30重量%、又は5重量%〜約20重量%、例えば約13重量%の量で使用することができる。所望により、ジプロピレングリコールは、約1重量%〜約20重量%、又は約3重量%〜約10重量%、例えば6重量%の量で使用することができる。所望により、ソルビトールは、約1重量%〜約20重量%、又は約2重量%〜約10重量%、例えば約5重量%の量で使用することができる。特定の実施形態において、可塑剤の具体的な量は、水溶性フィルムの所望のフィルム可撓性及び加工性の特徴に基づいて、選択することができる。可塑剤の濃度が低いと、フィルムは、もろくなるか、加工が難しくなるか、又は壊れやすくなることがある。可塑剤の濃度が高いと、フィルムは、柔らかくなりすぎるか、弱くなりすぎるか、又は所望の使用のための加工が難しくなることがある。
【0050】
好適な界面活性剤には、非イオン性、カチオン性、アニオン性及び双性イオン性の各種類を挙げることができる。好適な界面活性剤には、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、三級アセチレングリコール及びアルカノールアミド(非イオン性)、ポリオキシエチレン化アミン、四級アンモニウム塩及び四級化ポリオキシエチレン化アミン(カチオン性)、並びにアミンオキシド、N−アルキルベタイン及びスルホベタイン(双性イオン)が挙げられるが、これらに限定されない。他の好適な界面活性剤には、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、グリセロール及びプロピレングリコールのラクチル化脂肪酸エステル、脂肪酸のラクチルエステル、アルキル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、レシチン、グリセロール及びプロピレングリコールのアセチル化脂肪酸エステル、並びに脂肪酸のアセチル化エステル並びにこれらの組み合わせが挙げられる。種々の実施形態において、水溶性フィルム中の界面活性剤の量は、約0.1重量%〜2.5重量%、任意に約1.0重量%〜2.0重量%の範囲である。
【0051】
好適な潤滑剤/剥離剤には、脂肪酸及びその塩、脂肪族アルコール、脂肪酸エステル、脂肪族アミン、脂肪族アミンアセテート並びに脂肪族アミドを挙げることができるが、これらに限定されない。好ましい潤滑剤/剥離剤は、脂肪酸、脂肪酸塩及び脂肪族アミンアセテートである。1つの種類の実施形態において、水溶性フィルム中の潤滑剤/剥離剤の量は、約0.02重量%〜約1.5重量%、任意に約0.1重量%〜約1重量%の範囲である。
【0052】
好適な充填剤/増量剤/ブロッキング防止剤/粘着性除去剤には、デンプン、修飾デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶セルロース、シリカ、金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク及びマイカが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい材料は、デンプン、修飾デンプン及びシリカである。1つの種類の実施形態において、水溶性フィルム中の充填剤/増量剤/ブロッキング防止剤/粘着性除去剤の量は、約0.1重量%〜約25重量%、又は約1重量%〜約10重量%、又は約2重量%〜約8重量%、又は約3重量%〜約5重量%の範囲である。デンプンが存在しない場合において、好適な充填剤/増量剤/ブロッキング防止剤/粘着性除去剤の好ましい範囲の1つは、約0.1重量%若しくは1重量%〜約4重量%若しくは6重量%、又は約1重量%〜約4重量%、又は約1重量%〜約2.5重量%である。
【0053】
水溶性フィルムは、カールフィッシャー滴定により測定したとき、少なくとも4重量%、例えば約4〜約10重量%の範囲の残留水分量を更に有し得る。
【0054】
フィルムなどの水溶性ポリマー組成物の他の特徴は、米国特許出願公開第2011/0189413号及び米国特許出願第13/740,053号に認めることができ、この両出願の全体を参考として本明細書に援用する。
【0055】
フィルムの作製方法
企図される1種類の実施形態は、例えば、本明細書に記載される種類及び量に従って第1のPVOHコポリマー及び第2のPVOHポリマーを本明細書に記載の好ましい任意の二次添加剤とともに、混合、共キャスティング又は溶着することによって形成される水溶性フィルムを特徴とする。ポリマーが最初に混合される場合、水溶性フィルムは、その後、好ましくは、得られた混合物を(例えば、他の可塑剤及び他の添加剤とともに)キャスティングしてフィルムを形成することによって形成される。ポリマーが溶着される場合、水溶性フィルムは、例えば、溶剤溶着又は熱溶着によって形成することができる。企図される他の種類の実施形態は、押出成形、例えば、インフレーション成形によって形成される水溶性フィルムを特徴とする。企図される1つの非限定的な実施形態において、PVOHポリマー及びアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸PVOHターポリマーをブレンドしたフィルムは、インフレーション成形によって形成される。
【0056】
フィルムは、任意の好適な厚さを有し得る。例えば、フィルムは、約5〜約200μmの範囲、又は約20〜約100μm、若しくは約40〜約85μmの範囲、例えば76μmの厚さを有し得る。
【0057】
所望により、水溶性フィルムは、単層又は複数の同様の層からなる自立型フィルムであってよい。
【0058】
フィルムは、洗浄活性物質を含む洗剤組成物を収容するためのパケットなどの物品を作り、これによりパウチを成形するのに有用である。洗浄活性物質は、粉末、ゲル、ペースト、液体、タブレット又はこれらの任意の組み合わせなどの任意の形態を取ることができる。フィルムはまた、湿潤状態での取扱いの向上及び少ない冷水残留物が望まれる、任意の他の用途にも有用である。フィルムは、パウチ及び/又はパケットの少なくとも1つの側壁、任意にパウチ及び/又はパケット全体、好ましくは少なくとも1つの側壁の外表面を形成する。
【0059】
本明細書に記載のフィルムはまた、同じフィルム又は他のポリマー材料のフィルムとの組み合わせから作られた2つ以上の区画を有するパケットなどの物品の作製にも使用することができる。追加のフィルムは、例えば、当技術分野において知られているように、同じ又は異なるポリマー材料をキャスティング、ブロー成形、押出成形又はインフレーション成形することによって得ることができる。1つの種類の実施形態において、追加のフィルムとしての使用に好適なポリマー、コポリマー又はその誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリカルボン酸及び塩、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、デンプン及びゼラチンを含む多糖、キサンタンなどの天然ゴム、並びにカラギーナンから選択される。例えば、ポリマーは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート並びにこれらの組み合わせから選択され得、又はポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)並びにこれらの組み合わせから選択され得る。企図される1種類の実施形態は、パケット材料中のポリマー、例えばPVOH樹脂ブレンドの濃度が、上に記載するように、少なくとも60%であることを特徴とする。
【0060】
物品及びパウチ
本開示の物品は、水溶性フィルムを含み、当該フィルムに近接した組成物、典型的には家庭用ケア組成物を含み得る。
【0061】
本開示の物品は、少なくとも1つの密封区画を含むパウチを含み得る。したがって、パウチは、1つの区画又は多数の区画を含み得る。
図1は、境界面30で水溶性ポリマーフィルム10、20を密封することにより形成された水溶性パウチ100である物品を示す。フィルム10、20の一方又は両方は、第1のPVOHコポリマーと第2のPVOHポリマーのPVOH樹脂ブレンドを含む。フィルム10、20は、水性環境へ放出するための任意の所望の組成物50を収容する、パウチ内部容器体積40を画定する。組成物50は、特に限定されないが、例えば、後述される種々の洗浄組成物のいずれかが挙げられる。多区画を備える実施形態(図示せず)において、各区画には、同じ及び/又は異なる組成物が収容されてもよい。また、組成物は、限定するものではないが、液体、固体及びこれらの組み合わせ(例えば、液体中に懸濁した固体)などの任意の好適な形態を取ることができる。いくつかの実施形態において、パウチは、第1、第2及び第3の区画を含み、各区画には、それぞれ第1、第2及び第3の異なる組成物が収容される。
【0062】
多区画パウチの各区画は、大きさ及び/又は体積が同じであっても、異なってもよい。本発明の多区画パウチの各区画は、分離されていてもよいし、任意の好適な手段で結合されてもよい。いくつかの実施形態において、第2及び/又は第3及び/又はそれ以上の区画は、第1の区画の上に重ねられる。一実施形態では、第3の区画を第2の区画の上に重ね、これを更に第1の区画の上に重ねてサンドイッチ構造にすることができる。あるいは、第2及び第3の区画を第1の区画の上に重ねることもできる。一方、第1、第2及び任意に第3及びそれ以上の区画を横並びの関係で互いに結合できることも同様に想定される。各区画を一続きにパックし、各区画をミシン目によって個別に分離できるようにしてもよい。したがって、各区画は、例えば、区画の組成物を用いて布地の前処理又は後処理をするために、エンドユーザにより一続きの残りの区画から個別に切り離され得る。いくつかの実施形態において、第1の区画が少なくとも第2の区画によって取り囲まれる、例えばタイヤ・リム構造、又はパウチ・イン・パウチ構造であってもよい。
【0063】
いくつかの実施形態において、多区画パウチは、第1の区画と、それより小さい2つの区画からなる3つの区画を含む。第2及び第3の小さな区画が第1の大きな区画の上に重ねられる。区画の大きさ及び幾何学的形態は、この配置を達成できるように選択される。区画の幾何学的形態は、同じでもよいし、異なってもよい。いくつかの実施形態において、第2及び任意に第3の区画は、それぞれ第1の区画とは異なる幾何学的形態及び形状を有する。これらの実施形態において、第2及び任意に第3の区画は、デザイン上、第1の区画の上に配置される。このデザインは、例えば、製品のコンセプト若しくは説明を示すために装飾的、教育的若しくは例示的なものであってよく、及び/又は製品の原産を示すために使用され得る。いくつかの実施形態において、第1の区画は、周長にわたって密封された2つの大きな面を有する最も大きな区画であり、第2の区画は、これより小さく、第1の区画の1つの面の表面積の約75%未満又は約50%未満を覆っている。第3の区画が存在する実施形態において、上述の構造は、同じであり得るが、第2及び第3の区画は、第1の区画の1つの面の表面積の約60%未満又は約50%未満又は約45%未満を覆っている。
【0064】
本開示の物品、パウチ及び/又はパケットは、1つ以上の異なるフィルムを含み得る。例えば、単一区画の実施形態において、パケットは、それ自体が折り畳まれ、端部で密封される1つの壁、あるいは端部で一緒に密封される2つの壁から作ることができる。多区画の実施形態において、パケットは、1つ以上のフィルムから作ることができ、任意の所与のパケット区画は、単一のフィルム又は異なる組成物を有する多数のフィルムから作られた壁を含み得る。一実施形態において、多区画パウチは、少なくとも3つの壁:外側上方壁、外側下方壁及び隔壁を含む。外側上方壁及び外側下方壁は、概ね対向しており、パウチの外部を形成する。隔壁は、パウチの内部にあり、密封線に沿って概ね対向した外壁に固定されている。隔壁は、多区画パウチの内部を少なくとも第1の区画と第2の区画とに分ける。
【0065】
パウチ及びパケットなどの物品は、任意の好適な装置及び方法を使用して作製することができる。例えば、単一区画パウチは、当該技術分野において一般的に知られている、垂直形式充填技術、水平形式充填技術又はロータリードラム充填技術を使用して作製することができる。このような工程は、連続的または断続的のいずれであってもよい。フィルムは、その展性を向上させるために、濡らしたり、かつ/又は加熱してもよい。方法はまた、フィルムを好適な型に引き込むための真空の使用を伴ってよい。フィルムを型に引き込む真空は、フィルムがその表面の水平部分の上に置かれてから、約0.2〜約5秒間、又は約0.3〜約3秒間、又は約0.5〜約1.5秒間適用することができる。この真空は、例えば、10ミリバール〜1000ミリバールの範囲、又は100ミリバール〜600ミリバールの範囲の負圧を提供するものであってよい。
【0066】
パケットなどの物品を作製できる型は、パウチに必要な寸法に応じて、任意の形状、長さ、幅及び深さを有することができる。型はまた、所望であれば、サイズ及び形状がそれぞれ互いに異なってもよい。例えば、最終パウチの容量は、約5ml〜約300ml、又は約10〜150ml、又は約20〜約100mlであってよく、型のサイズがそれに応じて調整される。
【0067】
一実施形態において、パケット又は他の物品は、第1及び第2の密封区画を含む。第2の区画は、第1の密封区画と概ね重なった関係にあるため、第2の密封区画及び第1の密封区画は、パウチ内部の隔壁を共有する。
【0068】
一実施形態において、第1及び第2の区画を含むパケット又は他の物品は、第3の密封区画を更に含む。第3の密封区画は、第1の密封区画と概ね重なった関係にあるため、第3の密封区画及び第1の密封区画は、パウチ内部の隔壁を共有する。
【0069】
いくつかの実施形態において、第1の組成物及び第2の組成物は、次の組み合わせ:液体、液体;液体、粉末;粉末、粉末;及び粉末、液体のうちの1つから選択される。
【0070】
いくつかの実施形態において、第1、第2及び第3の組成物は、次の組み合わせ:固体、液体、液体及び液体、液体、液体のうちの1つから選択される。
【0071】
一実施形態において、単一区画又は複数の密封区画には、組成物が収容される。複数の区画には、それぞれ同じ又は異なる組成物が収容される。組成物は、液体、固体又はこれらの組み合わせから選択される。
【0072】
一実施形態において、組成物は、液体軽質及び液体重質の液体洗剤組成物、粉末洗剤組成物、手洗い及び/又は機械洗い用の食器用洗剤;硬質表面洗浄組成物、布地向上剤、一般に洗濯に使用されるゲル洗剤、並びに漂白剤及び洗濯用添加剤、シャンプー及びボディソープからなる群から選択することができる。
【0073】
成形、密封及び熱成形
企図される1種類の実施形態は、本明細書に記載のとおりに作製された水溶性フィルムの熱成形性が良好であることを特徴とする。熱成形可能なフィルムとは、加熱及び加力により成形することができるフィルムである。
【0074】
フィルムを熱成形することは、フィルムを加熱し、これを型で成形し、次いでフィルムを放冷する工程であり、その結果、フィルムが型の形状を保持することになる。熱は、任意の好適な手段を使用して加えることができる。例えば、フィルムは、ある表面上に供給する前、又はある表面上に置いた直後に、加熱要素の下又は熱気中に通すことによって直接加熱することができる。あるいは、例えば、その表面を加熱するか、又はフィルム上に熱い物を当てることによって、間接的に加熱してもよい。いくつかの実施形態において、フィルムは、赤外線を使用して加熱される。フィルムは、約50〜約150℃、約50〜約120℃、約60〜約130℃、約70〜約120℃、又は約60〜約90℃の温度まで加熱され得る。熱成形は、次の工程:熱で柔らかくしたフィルムを手で型全体にかぶせる工程、又は柔らかくしたフィルムを圧力誘導により型で成形する工程(例えば、真空成形)、又は温度が正確にわかっている押し出されたばかりのシートを成形トリミング場に自動高速割出しする工程、又はフィルムの自動配置、プラグ及び/若しくは空気圧での延伸並びに加圧成形する工程のうちのいずれか1つ以上によって実施することができる。
【0075】
あるいは、フィルムは、任意の好適な手段で、例えば、ある表面上に供給する前、又はある表面上に置いた直後に、湿潤剤(水、フィルム組成物の溶液、フィルム組成物のための可塑剤又は前述の任意の組み合わせを含む)をフィルム上に噴霧することによって直接的に、又は当該表面を濡らすか、若しくは湿潤性の物をフィルム上に当てることによって間接的に、濡らすことができる。
【0076】
フィルムが加熱及び/又は湿潤化された時点で、好ましくは真空を使用して、適切な型にフィルムを引き込むことができる。成形されたフィルムの充填は、任意の好適な手段を利用して実施することができる。いくつかの実施形態において、最も好ましい方法は、製品の形態及び所要の充填速度によって異なる。いくつかの実施形態において、成形されたフィルムは、インライン充填技術によって充填される。次いで、充填後の開いたままのパケットを、第2のフィルムを使用して任意の好適な方法で閉じてパウチを形成する。これは、水平位置のまま連続的に一定の動作で実施され得る。この閉じは、開いたパケットの上を覆うように第2のフィルム、好ましくは水溶性フィルムを連続的に供給し、次いで、好ましくは、第1及び第2のフィルムを合わせて、典型的には型と型の間の領域、つまりパケット間を密封することによって実施することができる。
【0077】
パケット及び/又は個々の区画を密封するには、任意の好適な方法を利用することができる。このような手段の非限定的な例としては、ヒートシール、溶剤溶着、溶剤又は湿潤接合及びこれらの組み合わせが挙げられる。典型的には、密封を形成する領域のみを熱又は溶剤で処理する。熱又は溶剤は、任意の方法によって、典型的には封止材料上に、また典型的には密封を形成する領域にのみ適用され得る。溶剤又は湿潤による接合又は溶着が使用される場合、熱を加えることも好ましい場合がある。好ましい湿潤又は溶剤接合/溶着方法は、型と型の間の領域又は封止材料上に溶剤を選択的に塗布すること、例えば、これらの領域に溶剤を噴霧又はプリントすること、次いで、これらの領域に圧力を加えて密封を形成することを含む。例えば、上記のシーリングロール及びベルト(任意に熱も供給する)を使用することができる。
【0078】
形成されたパウチは、次いで、切断装置で切断することができる。切断は、任意の既知の方法を使用して実施することができる。切断は、連続方式にて、好ましくは一定速度で、かつ好ましくは水平位置のまま行われるのが好ましい場合がある。切断装置は、例えば、鋭利な物又は熱い物又はレーザであってよく、後者2つの場合には、熱い物又はレーザがフィルム/接合面を「焼き」切る。
【0079】
多区画パウチの異なる区画は、横並び式で一緒に作製することもでき、この場合、得られる結合したパウチは、切断により分離されてもよいし、分離されなくてもよい。あるいは、区画を別々に作製することもできる。
【0080】
いくつかの実施形態において、パウチは、次のステップを含む工程に従って作製することができる。a)第1の区画を形成するステップ(上述のとおり)、b)ステップ(a)で形成された閉じた区画の一部又は全部の内部にくぼみを形成し、第1の区画上に重なる第2の成形区画を生成するステップ、c)第2の区画を充填し、第3のフィルムを用いて閉じるステップ、d)第1、第2及び第3のフィルムを密封するステップ、及びe)フィルムを切断して多区画パウチを作製するステップ。ステップ(b)で形成されるくぼみは、ステップ(a)で準備された区画に真空を適用することによって得ることができる。
【0081】
いくつかの実施形態において、欧州特許出願第08101442.5号又は国際公開第2009/152031号に記載されているように、第2及び/又は第3の区画(複数可)を個別のステップで作製してから、第1の区画と組み合わせることもできる。
【0082】
いくつかの実施形態において、パウチは、次のステップを含む工程に従って作製することができる。a)第1の成形機上の第1のフィルムを使用し、任意に熱及び/又は真空を用いて、第1の区画を形成するステップ、b)第1の区画に第1の組成物を充填するステップ、c)第2の成形機上で、任意に熱及び真空を用いて第2のフィルムを変形させ、第2及び任意に第3の成形区画を作るステップ、d)第2及び任意に第3の区画を充填するステップ、e)第3のフィルムを使用して、第2及び任意に第3の区画を密封するステップ、f)密封された第2及び任意に第3の区画を第1の区画上に配置するステップ、g)第1、第2及び任意に第3の区画を密封するステップ、並びにh)フィルムを切断して多区画パウチを作製するステップ。
【0083】
第1及び第2の成形機は、上記のプロセスを実施するための適合性に基づいて選択することができる。いくつかの実施形態において、第1の成形機は、好ましくは横型成形機であり、第2の成形機は、好ましくはロータリードラム成形機であり、好ましくは第1の成形機の上方に位置する。
【0084】
適切な供給機構の使用により、多数の異なる若しくは特定の組成物及び/又は異なる若しくは特定の液体、ゲル若しくはペースト組成物を組み込んだ多区画パウチを製造可能であり得ることは、理解されるはずである。
【0085】
いくつかの実施形態において、フィルム及び/又はパウチには、活性物質、潤滑剤、嫌悪剤又はこれらの混合物などの好適な物質を噴霧するか、又は振りかける。いくつかの実施形態において、フィルム及び/又はパウチには、例えば、インク及び/又は活性物質による印刷がなされる。
【0086】
パウチ内容物
本物品(例えば、パウチ又はパケットの形態)は、各種組成物、例えば、家庭用ケア組成物を含有し得る。多区画パウチは、それぞれ別々の区画中に、同じ又は異なる組成物を含有してよい。組成物は、水溶性フィルムに近接する。組成物は、フィルムから約10cm未満、又は約5cm未満、又は約1cm未満にあり得る。典型的に、組成物は、フィルムに隣接するか、又はフィルムと接触する。フィルムは、パウチ又は区画の形態であってよく、その中に組成物を含有する。
【0087】
上記したように、このフィルム及びパウチは、交換可能な水素イオンを有する材料、例えば、アミン−脂肪酸平衡及び/又はアミン−アニオン性界面活性剤酸平衡などの酸/塩基平衡を特徴とする組成物を包装する(例えば、直接接触する状態での包装)に特に有利である。
【0088】
本開示のこの特徴を利用して、相容れない成分を含有する組成物(例えば、漂白剤及び酵素)を互いに物理的に分離又は区分して保持することができる。このような区分により、係る成分の有効寿命の延長及び/又は物理的不安定性の低下が可能であると考えられる。追加的に又は代替的に、このような区分は、欧州特許出願第09161692.0号に記載されているような審美的利点も提供し得る。
【0089】
有用な組成物(例えば、家庭用ケア組成物)の非限定的な例としては、軽質及び重質液体洗剤組成物、硬質表面洗浄組成物、一般に洗濯に使用されるゲル洗剤、漂白剤及び洗濯用添加剤、布地向上剤組成物(布地柔軟剤など)、シャンプー、ボディソープ並びに他のパーソナルケア組成物が挙げられる。本パウチにおける使用の組成物は、液体、固体又は粉末の形態を取り得る。液体組成物は、固体を含んでもよい。固体には、マイクロカプセル、ビーズ、ヌードル若しくは1つ以上のパールボール又はこれらの混合物などの粉末又は粒塊が含まれ得る。このような固体要素は、洗浄面における、又は前処理用の遅延若しくは順次放出成分としての技術的利点を提供することができ、追加的に又は代替的に、審美的効果も提供し得る。
【0090】
本明細書に記載のフィルムで封止される組成物は、配合される成分及び組成物の目的などの要因に応じて、任意の好適な粘度を有し得る。一実施形態において、組成物は、剪断速度20s
-1及び温度20℃での高剪断粘度の値が100〜3,000cP、あるいは300〜2,000cP、あるいは500〜1,000cPであり、剪断速度1s
-1及び温度20℃での低剪断粘度の値が500〜100,000cP、あるいは1000〜10,000cP、あるいは1,300〜5,000cPである。粘度を測定するための方法は、当該技術分野において知られている。本発明に従って、粘度測定は、回転式レオメータ、例えば、TA instruments AR550を使用して実施される。この機器には、等方性液体用の約50〜60μmのギャップを備える40mm 2°若しくは1°のコーン型治具又は粒子含有液体用の1000μmのギャップを備える40mmのフラットスチールプレートが含まれる。測定は、調整ステップ、ピーク保持及び連続ランプステップを含むフロー手順を使用して実施される。調整ステップは、測定温度20℃の設定、剪断速度10s
-1で10秒の前剪断及び選択温度での60秒の平衡化を伴う。ピーク保持は、20℃で0.05s
-1の剪断速度を3分間適用し、その間10秒ごとにサンプリングすることによって行われる。連続ランプステップは、剪断速度0.1〜1200s
-1、3分、20℃で行われ、これにより完全な流動プロファイルが得られる。
【0091】
洗濯組成物、洗濯用添加剤組成物及び/又は布地向上剤組成物を含むパウチ又は他の物品において、組成物は、次の非限定的な成分一覧のうちの1つ以上を含み得る。布地ケア有益剤;洗浄性酵素;沈着補助剤;レオロジー変性剤;ビルダー;ブリーチ;漂白剤;漂白前駆体;漂白増強剤;漂白触媒;香料及び/又は香料マイクロカプセル(例えば、米国特許第5,137,646号参照);香料添加ゼオライト;デンプン封入アコード;ポリグリセロールエステル;白化剤;真珠光沢剤;酵素安定化系;アニオン性染料定着剤、アニオン性界面活性剤の錯化剤及びこれらの混合物を含む捕捉剤;蛍光増白剤又は蛍光剤;汚れ放出ポリマー及び/又は汚れ懸濁ポリマーを含むがこれらに限定されないポリマー;分散剤;消泡剤;非水性溶媒;脂肪酸;泡抑制剤、例えば、シリコーン泡抑制剤(米国特許出願公開第2003/0060390A1号65〜77頁参照);カチオンデンプン(米国特許出願公開第2004/0204337A1号及び米国特許出願公開第2007/0219111A1号参照);スカム分散剤(米国特許出願公開第2003/0126282A1号、89〜90頁参照);直接染料;色調染料(米国特許出願公開第2014/0162929A1号参照);着色剤;乳白剤;酸化防止剤;トルエンスルホン酸塩、クメンスルホン酸塩及びナフタレンスルホン酸塩などのヒドロトロープ;カラースペックル;カラービーズ、スフェア又は押出物;粘土柔軟化剤;抗菌剤。これらの成分のうちのいずれかの1つ以上については、欧州特許出願第09161692.0号、米国特許出願公開第2003/0139312A1号及び米国特許出願第61/229,981号に記載されている。追加的に又は代替的に、組成物は、界面活性剤、四級アンモニウム化合物及び/又は溶媒系を含み得る。四級アンモニウム化合物は、布地柔軟剤などの布地向上剤組成物中に存在し得、構造NR
4+(式中、Rはアルキル基又はアリール基)の正に荷電した多原子イオンである四級アンモニウムカチオンを含む。
【0092】
界面活性剤
洗剤組成物は、約1重量%〜80重量%の界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、特に、第1の組成物の構成成分として好ましい。好ましくは、第1の組成物は、約5重量%〜50重量%の界面活性剤を含む。第2及び第3の組成物は、0.1〜99.9%の濃度で界面活性剤を含み得る。
【0093】
使用される洗浄性界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、双性イオン性、両性又はカチオン性の種類のものであってよく、あるいはこれらの種類の適合性混合物を含んでもよい。より好ましくは、界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性界面活性剤及びこれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、組成物は、ベタイン界面活性剤を実質的に含まない。本明細書にて有用な洗浄界面活性剤は、米国特許第3,664,961号、同第3,919,678号、同第4,222,905号及び同第4,239,659号に記載されている。アニオン性及び非イオン性界面活性剤が好ましい。
【0094】
有用なアニオン性界面活性剤は、それ自体がいくつかの異なる種類のものであってよい。例えば、高級脂肪酸の水溶性塩、すなわち、「石鹸」は、本明細書の組成物において有用なアニオン性界面活性剤である。これには、約8〜約24個の炭素原子、好ましくは約12〜約18個の炭素原子を含有する高級脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩及びアルキルアンモニウム塩などのアルカリ金属石鹸が含まれる。石鹸は、脂肪及び油の直接鹸化によって、又は遊離脂肪酸の中和によって作ることができる。ヤシ油及び獣脂から誘導される脂肪酸の混合物のナトリウム塩及びカリウム塩、すなわち、獣脂及びヤシ油のナトリウム石鹸又はカリウム石鹸が特に有用である。
【0095】
本明細書における使用に好適な石鹸以外の更なるアニオン性界面活性剤には、分子構造中に約10〜約20個の炭素原子を含有するアルキル基及びスルホン酸又は硫酸エステル基を有する有機硫黄反応生成物の水溶性塩、好ましくはアルカリ金属塩及びアンモニウム塩が挙げられる。(「アルキル」という用語には、アシル基のアルキル部分が含まれる。)この群の合成界面活性剤の例は、a)アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、及びアルキル硫酸アンモニウム、特に、獣脂又はココヤシ油のグリセリドの還元によって生成されるような高級アルコール(C
8〜C
18)の硫酸化によって得られるもの;b)アルキルポリエトキシレート硫酸ナトリウム、アルキルポリエトキシレート硫酸カリウム、及びアルキルポリエトキシレート硫酸アンモニウム、特に、アルキル基が10〜22個、好ましくは12〜18個の炭素原子を含有し、ポリエトキシレート鎖が1〜15個、好ましくは1〜6個のエトキシレート部分を含有するもの;並びに、c)アルキル基が直鎖若しくは分枝鎖構造中に約9〜約15個の炭素原子を含有する、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びアルキルベンゼンスルホン酸カリウム、例えば、米国特許第2,220,099号及び米国特許第2,477,383号に記載の種類のものが挙げられる。特に有益なものは、C
11〜C
13 LASと略される、アルキル基中の炭素原子の平均数が約11〜13個である直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩である。
【0096】
本発明のアニオン性界面活性剤及び付加的なアニオン性補助界面活性剤は、酸形態で存在し得、当該酸形態が中和されて、本洗剤組成物で使用するのに望ましい界面活性剤塩を形成し得る。典型的な中和剤には、水酸化物、例えば、NaOH又はKOHなどの金属対イオン塩基が挙げられる。酸形態である本発明のアニオン性界面活性剤及び付加的なアニオン性界面活性剤又は補助界面活性剤を中和するのに更に好ましい剤には、アンモニア、アミン又はアルカノールアミンが挙げられる。アルカノールアミンが好ましい。好適な非限定的な例には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及び当該技術分野において知られている他の直鎖又は分枝鎖アルカノールアミンが挙げられ、例えば、極めて好ましいアルカノールアミンには、2−アミノ−1−プロパノール、1−アミノプロパノール、モノイソプロパノールアミン又は1−アミノ−3−プロパノールが挙げられる。アミンによる中和は、全体的又は部分的な範囲で行うことができ、例えば、アニオン性界面活性剤混合物の一部をナトリウム又はカリウムで中和し、アニオン性界面活性剤混合物の一部をアミン又はアルカノールアミンで中和することもできる。
【0097】
好ましい非イオン性界面活性剤は、式R
1(OC
2H
4)
nOHで表されるものであり、式中、R
1は、C
10〜C
16アルキル基又はC
8〜C
12アルキルフェニル基であり、nは、3〜約80である。特に、好ましいものは、アルコール1モル当たり約5〜約20モルのエチレンオキシドを有するC
12〜C
15アルコールの縮合生成物、例えば、アルコール1モル当たり約6.5モルのエチレンオキシドと縮合したC
12〜C
13アルコールである。
【0098】
溶媒系
本組成物中の溶媒系は、水のみを含有する溶媒系又は有機溶媒と水の混合物を含有する溶媒系であってよい。好ましい有機溶媒には、グリセロール、エチレングリコール、1,3プロパンジオール、1,2プロパンジオール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、2,3−ブタンジオール、1,3ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールホルマールジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル及びこれらの混合物、より好ましくは、1,2−プロパンジオール、エタノール、グリセロール、ジプロピレングリコール、メチルプロパンジオール及びこれらの混合物が挙げられる。他の低級アルコール、モノエタノールアミン及びトリエタノールアミンなどのC
1〜C
4アルカノールアミンも使用することができる。溶媒系は、例えば本開示の無水固体の実施形態のように存在しなくてもよいが、より典型的には、約0.1%〜約98%、好ましくは少なくとも約1%〜約50%、より一般的には約5%〜約25%の範囲の濃度で存在する。典型的に、本組成物は、特に液体形態である場合、組成物の重量に対して、50%未満の水、好ましくは約0.1%〜約20%の水、より好ましくは約0.5%〜約15%又は約5%〜約12%の水を含む。
【0099】
本明細書の組成物は、一般に、成分を一緒に混合することによって調製することができる。真珠光沢材料が使用される場合、混合の後の方の段階で添加する必要がある。レオロジー変性剤が使用される場合、まずプレミックスを作るのが好ましく、この場合、レオロジー変性剤は、組成物を構成するために最終的に使用される水及び任意に他の成分の一部に分散される。このプレミックスは、構造性の液体になるように形成される。次いで、この構造性プレミックスに、界面活性剤(複数可)及び基本的な洗濯用添加物質を、水及び使用される任意のあらゆる洗剤組成物用添加剤とともに、プレミックスを攪拌しながら添加することができる。
【0100】
有用な組成物のpHは、約2〜約12、約4〜約12、約5.5〜約9.5、約6〜約8.5、又は約6.5〜約8.2であり得る。洗濯用洗剤組成物は、約6〜約10、約6.5〜約8.5、約7〜約7.5、又は約8〜約10のpHを有し得る。自動食器洗浄組成物は、約8〜約12のpHを有し得る。洗濯用洗剤の添加組成物は約4〜約8のpHを有し得る。布地向上剤は、約2若しくは4〜約8、又は約2〜約4、又は約2.5〜約3.5、又は約2.7〜約3.3のpHを有し得る。
【0101】
洗剤のpHは、20±2℃における洗剤の10%(重量/体積)水溶液のpHとして定義される。固体及び粉末洗剤の場合は、20±2℃における洗剤の1%(重量/体積)水溶液のpHとして定義される。±0.01pH単位までのpHを測定できる任意の計器が好適である。Orionメーター(Thermo Scientific, Clintinpark - Keppekouter, Ninovesteenweg 198, 9320 Erembodegem - Aalst, Belgium)又は等価物が許容される計器である。pH計は、好適なガラス電極とカロメル又は銀/塩化銀参照とを備えている必要がある。一例には、Mettler DB 115が挙げられる。電極は、製造者推奨の電解溶液中に保管しておく。
【0102】
洗剤の10%水溶液は、次の手順に従って調製される。±0.02グラムまで正確に測定することができる天秤で、10±0.05グラムの試料を量る。試料を100mLメスフラスコに移し、精製水(水の導電率が<5μS/cmであれば脱イオン水及び/又は蒸留水が好適)で容積まで希釈し、完全に混合する。得られた溶液のうち約50mLをビーカー中に注ぎ、温度を20±2℃に調節し、pH計の製造者の標準的手順に従ってpHを測定する(pHアセンブリの設定及び較正も製造者の説明書に従うことが重要である)。
【0103】
固体及び粉末洗剤の場合、洗剤の1%水溶液を次の手順に従って調製する。±0.02グラムまで正確に測定することができる天秤で、10±0.05グラムの試料を量る。試料を1000mLメスフラスコに移し、精製水(水の導電率が<5μS/cmであれば脱イオン水及び/又は蒸留水が好適)で容積まで希釈し、完全に混合する。得られた溶液のうち約50mLをビーカー中に注ぎ、温度を20±2℃に調節し、pH計の製造者の標準的手順に従ってpHを測定する(pHアセンブリの設定及び較正も製造者の説明書に従うことが重要である)。
【0104】
漂白剤
無機及び有機漂白剤は、本明細書における使用に適した洗浄活性物質である。無機漂白剤には、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩及び過ケイ酸塩などの過酸化水素化物塩が挙げられる。無機過酸化水素化物塩は、通常アルカリ金属塩である。無機過酸化水素化物塩は、更なる保護のない結晶性固体として含まれてよい。あるいは、当該塩は、当該技術分野において知られているように、コーティングされてもよい。
【0105】
アルカリ金属の過炭酸塩、特に過炭酸ナトリウムは、本明細書に記載の洗剤組成物における使用に好ましい過酸化水素化物である。過炭酸塩は、最も好ましくは、コーティングされた形態で製品に組み込まれ、これにより、製品内部の安定性を提供する。製品内部の安定性を提供するのに適したコーティング材料は、水溶性アルカリ金属の硫酸塩と炭酸塩の混合塩を含む。このようなコーティングについては、コーティング工程とともに、英国特許第1,466,799号、並びに米国特許第3,975,280号、同第4,075,116号及び同第5,340,496号にすでに記載されており、それぞれを参考として本明細書に援用する。混合塩コーティング材料の過炭酸塩に対する重量比は、1:99〜1:9、好ましくは1:49〜1:19の範囲内である。好ましくは、混合塩は、硫酸ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合塩であり、一般式Na
2SO
4・n・Na
2CO
3を有し、式中、nは0.1〜3、好ましくは0.3〜1.0、より好ましくは0.2〜0.5である。製品内部の安定性を提供する別の好適なコーティング材料は、SiO
2:Na
2Oの比が1.8:1〜3.0:1、好ましくは1.8:1〜2.4:1のケイ酸ナトリウム及び/又はメタケイ酸ナトリウムを含み、ペルオキシ一硫酸カリウムなどの無機過酸化水素化物塩の重量に対して、好ましくは2%〜10%(通常3%〜5%)の濃度でSiO
2が適用される。ケイ酸マグネシウム、ケイ酸塩及びホウ酸塩、ケイ酸塩及びホウ酸、ワックス、油脂並びに脂肪石鹸を含有する他のコーティング材も有利に使用することができる。
【0106】
有機漂白剤には、ジアシルペルオキシド及びテトラアシルペルオキシドを含む有機ペルオキシ酸、特に、ジペルオキシドデカン二酸、ジペルオキシテトラデカン二酸及びジペルオキシヘキサデカン二酸を挙げることができる。ジベンゾイルペルオキシドは、本明細書にて好ましい有機ペルオキシ酸である。ジアシルペルオキシド、特にジベンゾイルペルオキシドは、好ましくは、重量平均径が約0.1〜約100μm、好ましくは約0.5〜約30μm、より好ましくは約1〜約10μmの粒子の形態で存在することができる。好ましくは少なくとも約25%〜100%、より好ましくは少なくとも約50%、更により好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約90%の粒子が10μm未満、好ましくは6μm未満である。
【0107】
他の有機漂白剤にはペルオキシ酸が挙げられ、具体例は、アルキルペルオキシ酸及びアリールペルオキシ酸である。好ましい代表例は、(a)ペルオキシ安息香酸及びその環置換誘導体、例えばアルキルペルオキシ安息香酸類並びにペルオキシ−α−ナフトエ酸及びモノ過フタル酸マグネシウム、(b)脂肪族又は置換脂肪族ペルオキシ酸類、例えばペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、ε−フタルイミノペルオキシカプロン酸(PAP)]、 o−カルボキシベンズアミドペルオキシカプロン酸、N−ノネニルアミドペルアジピン酸及びN−ノネニルアミドペルコハク酸、並びに(c)脂肪族及び芳香脂肪族(araliphatic)ペルオキシジカルボン酸、例えば1,12−ジペルオキシカルボン酸、1,9−ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキシセバシン酸、ジペルオキシブラシル酸、ジペルオキシフタル酸、2−デシルジペルオキシブタン−1,4−二酸、N,N−テレフタロイルジ(6−アミノペルカプロン酸)である。
【0108】
漂白剤活性化剤には、60℃以下の温度での洗浄中に漂白作用を増強する有機過酸前駆体を挙げることができる。本明細書における使用に好適な漂白活性化剤は、過加水分解条件下で、好ましくは1〜10個の炭素原子、特に2〜4個の炭素原子を有する脂肪族ペルオキシカルボン酸及び/又は任意に置換された過安息香酸を与える化合物が挙げられる。好適な物質は、指定の炭素原子数のO−アシル基及び/若しくはN−アシル基、並びに/又は任意に置換されたベンゾイル基を持つ。好ましいものは、ポリアシル化アルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、アシル化トリアジン誘導体、特に1,5−ジアセチル−2,4−ジオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン(DADHT)、アシル化グリコールウリル、特にテトラアセチルグリコールウリル(TAGU)、N−アシルイミド、特にN−ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、アシル化フェノールスルホン酸、特にn−ノナノイル−又はイソノナノイルオキシベンゼンスルホン酸(n−又はiso−NOBS)、カルボン酸無水物、特に無水フタル酸、アシル化多価アルコール、特にトリアセチン、二酢酸エチレングリコール及び2,5−ジアセトキシ−2,5−ジヒドロフラン及びまたクエン酸トリエチルアセチル(TEAC)である。
【0109】
本明細書の洗剤組成物における使用に好ましい漂白触媒には、トリアザシクロノナンマンガン及び関連錯体(米国特許第4,246,612号、米国特許第5,227,084A号);ビスピリジルアミンコバルト、ビスピリジルアミン銅、ビスピリジルアミンマンガン、ビスピリジルアミン鉄及び関連錯体(米国特許第5,114,611号);並びにペンタミンアセテートコバルト(III)及び関連錯体(米国特許第4,810,410号)が挙げられる。本明細書における使用に好適な漂白触媒の完全な記載は、米国特許第6,599,871号に見出すことができ、当該特許を参考として本明細書に援用する。
【0110】
食器洗い用洗剤
自動食器洗い用洗剤に使用するのに好ましい界面活性剤は、それ自体が低起泡性であるか、又は他の構成成分(例えば、泡抑制剤)と組み合わせて低起泡性のものである。本明細書における使用に好ましいものは、低曇点及び高曇点の非イオン性界面活性剤及びこれらの混合物、例えば、非イオン性アルコキシル化界面活性剤(特にC
6〜C
18一級アルコールから誘導されたエトキシレート)、エトキシル化−プロポキシル化アルコール(例えば、Olin社のPoly-Tergent(登録商標)SLF18)、エポキシ末端ポリ(オキシアルキル化)アルコール(例えば、Olin社のPoly-Tergent(登録商標)SLF18B、国際公開第94/22800A号参照)、エーテル末端ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤、及びポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー化合物、例えば、BASF-Wyandotte社(Wyandotte, Michigan)のPLURONIC(登録商標)、REVERSED PLURONIC(登録商標)及びTETRONIC(登録商標);C
12〜C
20アルキルアミンオキシドなどの両性界面活性剤(本明細書における使用に好ましいアミンオキシドにはラウリルジメチルアミンオキシド及びヘキサデシルジメチルアミンオキシドが挙げられる)、及びMiranol(商標)C2Mなどのアルキル両性カルボン酸界面活性剤;及びベタイン及びスルタインなどの双性イオン性界面活性剤;並びにこれらの混合物である。本明細書における使用に好適な界面活性剤は、例えば、米国特許第3,929,678A号、米国特許第4,259,217A号、欧州特許第0414549A号、国際公開第93/08876A号及び国際公開第93/08874A号に開示されている。界面活性剤は、洗剤組成物の約0.2重量%〜約30重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約10重量%、最も好ましくは約1重量%〜約5重量%の濃度で存在し得る。
【0111】
他の組成物及び添加剤
本明細書に記載される洗剤組成物の使用に好適なビルダーには、クエン酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩及びポリリン酸塩、例えば、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム六水和物、トリポリリン酸カリウム及びトリポリリン酸ナトリウムとトリポリリン酸カリウムの混合塩を含む、水溶性ビルダーが挙げられる。
【0112】
家庭用ケア組成物は、酵素を含み得る。好適な酵素の例には、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ及びアミラーゼ、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な組み合わせは、例えば、プロテアーゼ及びリパーゼをアミラーゼとともに含み得る酵素カクテルである。上述の追加酵素は、家庭用ケア組成物に存在する場合、組成物の約0.00001重量%〜約2重量%、約0.0001重量%〜約1重量%、又は更には約0.001重量%〜約0.5重量%の酵素タンパク質の濃度で存在してよい。
【0113】
本明細書に記載される洗剤組成物の使用に好適な酵素には、CAREZYME及びCELLUZYME(Novo Nordisk A/S)を含む細菌性及び真菌性セルラーゼ;ペルオキシダーゼ; AMANO-P(Amano Pharmaceutical Co.)、M1 LIPASE及びLIPOMAX(Gist-Brocades)及びLIPOLASE及びLIPOLASE ULTRA(Novo)を含むリパーゼ;クチナーゼ;ESPERASE、ALCALASE、DURAZYM及びSAVINASE(Novo)及びMAXATASE、MAXACAL、PROPERASE及びMAXAPEM(Gist-Brocades)を含むプロテアーゼ;PURAFECT OX AM(Genencor)及びTERMAMYL、BAN、FUNGAMYL、DURAMYL及びNATALASE(Novo)を含むα及びβアミラーゼ;ペクチナーゼ;並びにこれらの混合物が挙げられる。酵素は、本明細書において、典型的には洗浄組成物の約0.0001重量%〜約2重量%の範囲の純酵素濃度で、小球、顆粒又は共顆粒として添加することができる。
【0114】
家庭用ケア組成物にて使用するための酵素は、各種技術によって安定化することができる。本明細書にて採用される酵素は、最終の布地及び家庭用ケア製品において、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを酵素に与える、当該イオンの水溶性供給源の存在によって安定化することができる。プロテアーゼを含む水性消費者製品の場合、可逆的プロテアーゼ阻害剤、例えば、ペプチドアルデヒド、又はボレート、4−ホルミルフェニルボロン酸、フェニルボロン酸及びその誘導体を含むホウ素化合物、又はギ酸カルシウム、ギ酸ナトリウム及び1,2−プロパンジオールなどの化合物を加えると、更に安定性が改善し得る。
【0115】
組成物は、布地色調剤を含み得る。好適な布地色調剤には、染料、染料粘土複合体及び顔料が挙げられる。適切な染料としては、小分子染料及びポリマー染料が挙げられる。好適な小分子染料には、カラーインデックス(C.I.)分類のダイレクトブルー、ダイレクトレッド、ダイレクトバイオレット、アシッドブルー、アシッドレッド、アシッドバイオレット、ベーシックブルー、ベーシックバイオレット及びベーシックレッドに該当する染料又はこれらの混合物からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。好ましい染料には、アルコキシル化アゾチオフェン、ソルベントバイオレット13、アシッドバイオレット50及びダイレクトバイオレット9が挙げられる。
【0116】
組成物は、封入体を含み得る。一態様において、封入体は、コアと、内表面及び外表面を有するシェアとを含み、当該シェルが当該コアを封入している。コアは、香料を含み得る。シェルは、メラミンホルムアルデヒド及び/又は架橋メラミンホルムアルデヒドを含み得る。シェルは、ポリアクリレートポリマーを含み得る。
【0117】
好適な封入体は、コア材料及びシェルを含み得、当該シェルが当該コア材料を少なくとも部分的に取り囲む。当該封入体の少なくとも75%、85%又は更に90%は、約0.2MPa〜約10MPa、約0.4MPa〜約5MPa、約0.6MPa〜約3.5MPa又は更に約0.7MPa〜約3MPaの破壊強度を有し得、0%〜約30%、0%〜約20%又は更に0%〜約5%の有益剤漏出率を有し得る。一態様において、当該封入体の少なくとも75%、85%又は更に90%は、約1マイクロメートル〜約80マイクロメートル、約5マイクロメートル〜60マイクロメートル、約10マイクロメートル〜約50マイクロメートル、又は更に約15マイクロメートル〜約40マイクロメートルの粒径を有し得る。一態様において、当該封入体の少なくとも75%、85%又は更に90%は、約30nm〜約250nm、約80nm〜約180nm、又は更に約100nm〜約160nmの粒子壁厚を有し得る。
【0118】
一態様において、当該封入体のコア材料は、香料原材料からなる群から選択される材料及び/又は任意に植物油、例えば、ヒマシ油、ヤシ油、綿実油、ブドウ油、菜種油、ダイズ油、コーン油、パーム油、アマニ油、サフラワー油、オリーブ油、ピーナッツ油、ヤシ油、パーム核油、ヒマシ油、レモン油及びこれらの混合物を含む、単独及び/又は混合植物油;植物油のエステル、アジピン酸ジブチル、フタル酸ジブチル、アジピン酸ブチルベンジル、アジピン酸ベンジルオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチルを含むエステル及びこれらの混合物;直鎖又は分枝鎖の炭化水素、例えば、約80℃を超える沸点を有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素;部分水素化テルフェニル、フタル酸ジアルキル、モノイソプロピルビフェニルを含むアルキルビフェニル、ジプロピルナフタレンを含むアルキル化ナフタレン、ケロシンを含むミネラルスピリット、鉱油及びこれらの混合物;ベンゼン、トルエン及びこれらの混合物を含む芳香族溶媒;シリコーン油;並びにこれらの混合物からなる群から選択される材料を含み得る。
【0119】
組成物はまた、沈着補助剤、好ましくは、カチオン性又は非イオン性ポリマーを含む群からなるものを含むことができる。好適なポリマーには、カチオン性デンプン、カチオン性ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルホルムアルデヒド、ローカストビーンガム、マンナン、キシログルカン、タマリンドガム、ポリエチレンテレフタレート並びにジメチルアミノエチルメタクリレートを任意にアクリル酸及びアクリルアミドを含む群から選択される1つ又は複数のモノマーとともに含有するポリマーが挙げられる。
【0120】
本明細書に記載される洗剤組成物の使用に好適な泡抑制剤には、低曇点を有する非イオン性界面活性剤が挙げられる。本明細書で使用する「曇点」とは、温度の上昇に伴って界面活性剤の可溶性が下がることに起因する非イオン性界面活性剤の周知の特性であり、第2相の出現が観察される温度を「曇点」と呼ぶ。本明細書で使用するとき、「低曇点」非イオン性界面活性剤は、30℃未満、好ましくは約20℃未満、更により好ましくは約10℃未満、最も好ましくは約7.5℃未満の曇点を有する非イオン性界面活性剤系成分と定義される。低曇点非イオン性界面活性剤には、非イオン性アルコキシル化界面活性剤、特に、一級アルコールから誘導されたエトキシレート及びポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン(PO/EO/PO)リバースブロックポリマーを挙げることができる。また、このような低曇点非イオン性界面活性剤には、例えば、エトキシル化−プロポキシル化アルコール(例えば、BASF POLY-TERGENT SLF18)及びエポキシ末端ポリ(オキシアルキル化)アルコール(例えば、BASF POLY-TERGENT SLF18Bシリーズの非イオン性界面活性剤、例えば、米国特許第5,576,281A号に記載のとおり)を挙げることができる。
【0121】
本明細書に記載される洗剤又は家庭用ケア組成物の使用に好適な他の構成成分には、再付着防止、汚れ放出又は他の洗浄特性を有する洗浄ポリマーが挙げられる。本明細書において使用される再付着防止ポリマーには、SOKALAN PA30、PA20、PA15、PA10及びSOKALAN CP10(BASF GmbH)、ACUSOL 45N、480N、460N(Rohm and Haas)などのアクリル酸含有ポリマー、SOKALAN CP5などのアクリル酸/マレイン酸コポリマー並びにアクリル酸/メタクリル酸コポリマーが挙げられる。家庭用ケア組成物は、布地及び表面から油脂粒子を取り除くように親水性と疎水性の特性をバランス良く有する両親媒性アルコキシル化油脂洗浄ポリマーを含み得る。本発明の両親媒性アルコキシル化油脂洗浄ポリマーの具体的な実施形態は、コア構造と、そのコア構造に結合した複数のアルコキシレート基とを含む。好適なポリマーには、任意に四級化され得る、アルコキシル化ポリアルキレンイミン(例えば、PEI600 EO20及び/又はエトキシ硫酸化ヘキサメチレンジアミンジメチル第四級アンモニウム化合物)などのアミン系ポリマーが挙げられる。他のポリマーには、内側のポリエチレンオキシドブロックと外側のポリプロピレンオキシドブロックとを有するアルコキシル化ポリアルキレンイミンが挙げられる。他の好適なポリマーには、任意に四級化され得る、アルコキシル化ポリアルキレンイミン(例えば、PEI600 EO20及び/又はエトキシ硫酸化ヘキサメチレンジアミンジメチル第四級アンモニウム化合物)などのアミン系ポリマーが挙げられる。本明細書において使用される汚れ放出ポリマーには、アルキルセルロース及びヒドロキシアルキルセルロース(米国特許第4,000,093A号)、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン及びそのコポリマー、並びにエチレングリコール、プロピレングリコール及びこれらの混合物のテレフタル酸エステルをベースにした非イオン性及びアニオン性ポリマーが挙げられる。
【0122】
構造化液体は、構造が主成分(例えば、界面活性剤材料)によって形成されるように内部的に構造化することができ、かつ/又は二次成分(例えば、ポリマー、粘土及び/又はシリケート物質)を使用して三次元マトリックス構造を与えることによって外部的に構造化することもできる。組成物は、構造化剤を含み得、好ましくは0.01重量%〜5重量%、0.1重量%〜2.0重量%の構造化剤を含み得る。構造化剤は、典型的に、ジグリセリド及びトリグリセリド、エチレングリコールジステアレート、微結晶セルロース、セルロース系材料、マイクロファイバーセルロース、Polygel W30(3VSigma)などの疎水変性アルカリ膨潤性エマルジョン、バイオポリマー、キサンタンガム、ジェランガム及びこれらの混合物からなる群から選択される。好適な構造化剤には、硬化ヒマシ油及びその非エトキシル化誘導体が挙げられる。好適な構造化剤は、米国特許第6,855,680号に開示されている。このような構造化剤は、ある範囲のアスペクト比を有する糸状の構造系を有する。他の好適な構造化剤及びその製造方法は、国際公開第2010/034736号に記載されている。
【0123】
重金属イオン封鎖剤及び結晶成長阻害剤もまた、洗剤での使用に好適であり、例えば、塩及び遊離酸形態のジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、エチレンジホスホン酸、ヒドロキシ−エチレン−1,1−ジホスホネート、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミノ四酢酸、エチレンジアミン−N,N’−ジスクシネートが挙げられる。
【0124】
腐食防止剤もまた、本明細書に記載される洗剤組成物の使用に好適であり、例えば、有機銀コーティング剤(特に、Wintershall(Salzbergen, Germany)から販売されているWINOG 70などのパラフィン)、窒素含有腐食防止剤化合物(例えば、ベンゾトリアゾール及びベンゾイミダゾール、英国特許第1137741A号参照)、及びMn(II)化合物、特に有機配位子のMn(II)塩が挙げられる。
【0125】
本明細書における洗剤組成物の使用に好適な他の構成成分には、酵素安定剤、例えばカルシウムイオン、ホウ酸及びプロピレングリコールが挙げられる。
【0126】
好適なすすぎ用添加剤は、当該技術分野において知られている。市販の食器洗浄用すすぎ補助剤は、典型的に、低発泡性脂肪族アルコールポリエチレン/ポリプロピレングリコールエーテル、可溶化剤(例えばクメンスルホン酸塩)、有機酸(例えばクエン酸)及び溶媒(例えばエタノール)の混合物である。このようなすすぎ補助剤の機能は、水が凝集した薄膜の形態ですすぎ面から流れ出るように水の界面張力に影響を与え、これにより、後続の乾燥工程後で水滴、筋又は膜が残らないようにすることである。欧州特許第0197434B1号は、界面活性剤として混合エーテルを含有するすすぎ補助剤について記載している。布地柔軟剤及び同等物などのすすぎ用添加剤も同様に企図され、本明細書の本開示に係るフィルム中への封入に適している。
【0127】
使用方法
本明細書に記載のフィルム、物品及びその中に収容される組成物は、基材、例えば、布地又は硬質表面の処理に使用することができ、例えば、フィルム、物品及び/又はその中に収容される組成物を基材に接触させることによって行う。接触工程は、手動で行われてもよいし、自動機械、例えば、自動(縦型又はドラム式)洗濯機又は自動食洗機で行われてもよい。接触工程は、水の存在下で行うことができ、水の温度は、最大約80℃、又は最大約60℃、又は最大約40℃、又は最大約30℃、又は最大約20℃、又は最大約15℃、又は最大約10℃、又は最大約5℃であってよい。上述のとおり、本フィルム及び本フィルムから作られた物品は、特に冷水への溶解に適していることから、冷水洗浄(例えば、約1℃〜約30℃、又は約5℃〜約20℃)における利点を提供する。接触工程に続き、すすぎサイクルを複数回行ってもよいし、1回だけでもよい。これは、フィルムの溶解特性が良好であり、フィルムの溶解及び/又はその中に収容された内容物の放出に必要な水が少ないためである。
【0128】
具体的に企図される本開示の態様について、以下の番号を付した段落に記載する。
【0129】
1.アニオン性モノマー単位を含み、かつ第1の20℃での4%水溶液粘度(μ
1)を有する第1のPVOHコポリマーと、ビニルアルコールモノマー単位及び任意に酢酸ビニルモノマー単位から本質的になり、かつ第2の20℃での4%水溶液粘度(μ
2)を有する第2のPVOHポリマーとを含む、ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドを含む、水溶性フィルムであって、第1のPVOHコポリマーと第2のPVOHポリマーの絶対粘度差|μ
2−μ
1|は、0cP〜約10cPの範囲であり、第1のPVOHコポリマーは、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約30重量%〜約90重量%の範囲の量で存在する、水溶性フィルム。
【0130】
2.第2のPVOHポリマーが、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約10重量%〜約70重量%の範囲の量で存在する、段落1に記載の水溶性フィルム。
【0131】
3.アニオン性モノマー単位が、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約1.0モル%〜約4.2モル%の範囲の量でフィルム中に存在する、段落1又は2に記載の水溶性フィルム。
【0132】
4.アニオン性モノマー単位を含み、かつ第1の20℃での4%水溶液粘度(μ
1)を有する第1のPVOHコポリマーと、ビニルアルコールモノマー単位及び任意に酢酸ビニルモノマー単位から本質的になり、かつ第2の20℃での4%水溶液粘度(μ
2)を有する第2のPVOHポリマーとを含む、ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドを含む、水溶性フィルムであって、第1のPVOHコポリマーと第2のPVOHポリマーの絶対粘度差|μ
2−μ
1|は、0cP〜約10cPの範囲であり、アニオン性モノマー単位が、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約1.0モル%〜約4.2モル%の範囲の量でフィルム中に存在する、水溶性フィルム。
【0133】
5.アニオン性モノマーが、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸無水物、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メチルアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチルアクリレート、これらのアルカリ金属塩、これらのエステル及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、前述の段落のいずれかに記載の水溶性フィルム。
【0134】
6.アニオン性モノマーが、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、前述の段落のいずれかに記載の水溶性フィルム。
【0135】
7.アニオン性モノマーが、マレイン酸モノメチル、そのアルカリ金属塩及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、前述の段落のいずれかに記載の水溶性フィルム。
【0136】
8.アニオン性モノマー単位が、約2モル%〜約10モル%の範囲の量で第1のPVOHコポリマー中に存在する、前述の段落のいずれかに記載の水溶性フィルム。
【0137】
9.アニオン性モノマー単位が、約5モル%〜約10モル%の範囲の量で第1のPVOHコポリマー中に存在する、段落8に記載の水溶性フィルム。
【0138】
10.アニオン性モノマー単位が、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約3モル%〜約4.2モル%の範囲の量で存在する、段落9に記載の水溶性フィルム。
【0139】
11.PVOH樹脂ブレンドが第1のPVOHコポリマー及び第2のPVOHポリマーから本質的になる、前述の段落のいずれかに記載の水溶性フィルム。
【0140】
12.第1のPVOHコポリマーと第2のPVOHポリマーの粘度差(μ
2−μ
1)が、約0cP〜約10cPの範囲である、前述の段落のいずれかに記載の水溶性フィルム。
【0141】
13.第1の粘度μ
1が約4cP〜約24cPの範囲である、前述の段落のいずれかに記載の水溶性フィルム。
【0142】
14.第2の粘度μ
2が約4cP〜約24cPの範囲である、前述の段落のいずれかに記載の水溶性フィルム。
【0143】
15.水溶性フィルムの残留値が、溶解槽試験により測定したとき、約45重量%以下である、前述の段落のいずれかに記載の水溶性フィルム。
【0144】
16.第1のPVOHコポリマー及び第2のPVOHポリマーが、それぞれ独立して、約75%〜約99%の範囲の加水分解度を有する、前述の段落のいずれかに記載の水溶性フィルム。
【0145】
17.PVOH樹脂ブレンドが第3のPVOHポリマーを含む、前述の段落のいずれかに記載の水溶性フィルム。
【0146】
18.PVOHポリマー以外の少なくとも第3の水溶性ポリマーを更に含む、前述の段落のいずれかに記載の水溶性フィルム。
【0147】
19.水溶性ポリマーが、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びその塩、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、デンプン、修飾デンプン、グアーガム、アラビアゴム、キサンタンガム、カラギーナン、ポリアクリレート及びその塩、そのコポリマー、そのブレンド、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、段落18に記載の水溶性フィルム。
【0148】
20.可塑剤、可塑剤相溶化剤、潤滑剤、剥離剤、充填剤、増量剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、粘着性除去剤、消泡剤、ナノ粒子、漂白剤、界面活性剤及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の構成成分を更に含む、前述の段落のいずれかに記載の水溶性フィルム。
【0149】
21.フィルムの約1重量%〜約40重量%の範囲の量で、1つ以上の可塑剤を更に含む、前述の段落のいずれかに記載の水溶性フィルム。
【0150】
22.アニオン性モノマー単位を含み、かつ第1の20℃での4%水溶液粘度(μ
1)を有する第1のPVOHコポリマーと、ビニルアルコールモノマー単位及び任意に酢酸ビニルモノマー単位から本質的になり、かつ約20cP以下の第2の20℃での4%水溶液粘度(μ
2)を有する第2のPVOHポリマーとを含む、ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドを含む、水溶性フィルムであって、第1のPVOHコポリマーは、フィルム中のPVOHポリマーとコポリマーの合計のうち(例えば、水溶性フィルム又はその構成成分が前述の段落の改良のいずれかを組み込むことができる場合)約30重量%〜約90重量%の範囲の量で存在する、水溶性フィルム。
【0151】
23.アニオン性モノマー単位を含み、かつ第1の20℃での4%水溶液粘度(μ
1)を有する第1のPVOHコポリマーと、ビニルアルコールモノマー単位及び任意に酢酸ビニルモノマー単位から本質的になり、かつ約20cP以下の第2の20℃での4%水溶液粘度(μ
2)を有する第2のPVOHポリマーとを含む、ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドを含む、水溶性フィルムであって、アニオン性モノマー単位は、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち(例えば、水溶性フィルム又はその構成成分が前述の段落の改良のいずれかを組み込むことができる場合)約1.0モル%〜約4.2モル%の範囲の量でフィルム中に存在する、水溶性フィルム。
【0152】
24.第1のアニオン性モノマー単位を含む第1のPVOHコポリマーと、ビニルアルコールモノマー単位及び任意に酢酸ビニルモノマー単位から本質的になる第2のPVOHポリマーとを含むポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドを含む、水溶性フィルムであって、第1のPVOHコポリマーは、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約30重量%〜約70重量%の範囲の量で存在する、水溶性フィルム。
【0153】
25.第2のPVOHポリマーが、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約30重量%〜約70重量%の範囲の量で存在する、段落24に記載の水溶性フィルム。
【0154】
26.第1のアニオン性モノマーが、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸無水物、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メチルアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチルアクリレート、これらのアルカリ金属塩、これらのエステル及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、段落24又は25に記載の水溶性フィルム。
【0155】
27.第1のアニオン性モノマーが、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、段落24〜26のいずれかに記載の水溶性フィルム。
【0156】
28.第1のアニオン性モノマーが、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約3モル%未満の量で存在する、段落24〜27のいずれかに記載の水溶性フィルム。
【0157】
29.第1のPVOHコポリマー及び第2のPVOHポリマーの20℃での4%水溶液粘度の値が、互いに約10cP以内である、段落24〜28のいずれかに記載の水溶性フィルム。
【0158】
30.第1のPVOHコポリマー及び第2のPVOHポリマーの20℃での4%水溶液粘度の値が、互いに約10cPを超えて離れている、段落24〜29のいずれかに記載の水溶性フィルム。
【0159】
31.第1のPVOHコポリマーが、約3モル%〜約5モル%の範囲の第1のアニオン性モノマー単位の含有率を有し、第1のアニオン性モノマーが、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、第1のアニオン性モノマーが、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約1モル%〜約3モル%の範囲の量で存在し、第1のPVOHコポリマーが、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約40重量%〜約60重量%の範囲の量で存在し、第2のPVOHポリマーが、約8cP〜約16cPの範囲の20℃での4%水溶液粘度の値を有し、第2のPVOHポリマーが、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約40重量%〜約60重量%の範囲の量で存在する、段落24〜30のいずれかに記載の水溶性フィルム。
【0160】
32.第1のPVOHコポリマーが、約3モル%〜約5モル%の範囲の第1のアニオン性モノマー単位の含有率を有し、第1のアニオン性モノマーが、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、第1のアニオン性モノマーが、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約1モル%〜約3モル%の範囲の量で存在し、第1のPVOHコポリマーが、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約30重量%〜約70重量%の範囲の量で存在し、第2のPVOHポリマーが、約20cP〜約30cPの範囲の20℃での4%水溶液粘度の値を有し、第2のPVOHポリマーが、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約30重量%〜約70重量%の範囲の量で存在する、段落24〜30のいずれかに記載の水溶性フィルム。
【0161】
33.水溶性フィルムの残留値が、溶解槽試験により測定したとき、約48重量%以下である、段落24〜32のいずれかに記載の水溶性フィルム。
【0162】
34.水溶性フィルムの引張強度平均値が、引張強度試験により測定したとき、少なくとも約33MPaである、段落24〜33のいずれかに記載の水溶性フィルム。
【0163】
35.水溶性フィルムのモジュラス値が、モジュラス試験により測定したとき、少なくとも約12N/mm
2である、段落24〜34のいずれかに記載の水溶性フィルム。
【0164】
36.前述の段落のいずれかに記載の水溶性フィルムを、パウチ内部体積を画定するパウチの形態で含む、物品。
【0165】
37.パウチ内部体積中に収容された組成物を更に含む、段落24に記載の物品。
【0166】
38.前述の段落のいずれかに記載の水溶性フィルムと、フィルムに近接した家庭用ケア組成物とを含む、物品。
【0167】
1A.水溶性フィルムと、当該フィルムに近接した家庭用ケア組成物とを含む物品であって、当該フィルムは、アニオン性モノマー単位を含み、かつ第1の20℃での4%水溶液粘度(μ
1)を有する第1のPVOHコポリマーと、ビニルアルコールモノマー単位及び任意に酢酸ビニルモノマー単位から本質的になり、かつ第2の20℃での4%水溶液粘度(μ
2)を有する第2のPVOHポリマーとを含む、ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドを含み、第1のPVOHコポリマーと第2のPVOHポリマーの絶対粘度差|μ
2−μ
1|は、0cP〜約10cPの範囲であり、第1のPVOHコポリマーは、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約30重量%〜約90重量%の範囲の量で存在する、物品。
【0168】
2A.第2のPVOHポリマーは、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約10重量%〜約70重量%の範囲の量で存在する、段落1Aに記載の物品。
【0169】
3A.アニオン性モノマー単位が、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約1.0モル%〜約4.2モル%の範囲の量でフィルム中に存在する、段落1A又は2Aに記載の物品。
【0170】
4A.水溶性フィルムと、家庭用ケア組成物とを含む物品であって、当該フィルムは、アニオン性モノマー単位を含み、かつ第1の20℃での4%水溶液粘度(μ
1)を有する第1のPVOHコポリマーと、ビニルアルコールモノマー単位及び任意に酢酸ビニルモノマー単位から本質的になり、かつ第2の20℃での4%水溶液粘度(μ
2)を有する第2のPVOHポリマーとを含む、ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドを含み、第1のPVOHコポリマーと第2のPVOHポリマーの絶対粘度差|μ
2−μ
1|は、0cP〜約10cPの範囲であり、アニオン性モノマー単位が、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約1.0モル%〜約4.2モル%の範囲の量でフィルム中に存在する、物品。
【0171】
5A.アニオン性モノマーが、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸無水物、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メチルアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチルアクリレート、これらのアルカリ金属塩、これらのエステル及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、前述の段落のいずれかに記載の物品。
【0172】
6A.アニオン性モノマーが、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、前述の段落のいずれかに記載の物品。
【0173】
7A.アニオン性モノマーが、マレイン酸モノメチル、そのアルカリ金属塩及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、前述の段落のいずれかに記載の物品。
【0174】
8A.アニオン性モノマー単位が、約2モル%〜約10モル%の範囲の量で第1のPVOHコポリマー中に存在する、前述の段落のいずれかに記載の物品。
【0175】
9A.アニオン性モノマー単位が、約5モル%〜約10モル%の範囲の量で第1のPVOHコポリマー中に存在する、段落8Aに記載の物品。
【0176】
10A.アニオン性モノマー単位が、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約3モル%〜約4.2モル%の範囲の量で存在する、段落9Aに記載の物品。
【0177】
11A.PVOH樹脂ブレンドが第1のPVOHコポリマー及び第2のPVOHポリマーから本質的になる、前述の段落のいずれかに記載の物品。
【0178】
12A.第1のPVOHコポリマーと第2のPVOHポリマーの粘度差(μ
2−μ
1)が、約0cP〜約10cPの範囲である、前述の段落のいずれかに記載の物品。
【0179】
13A.第1の粘度μ
1が約4cP〜約24cPの範囲である、前述の段落のいずれかに記載の物品。
【0180】
14A.第2の粘度μ
2が約4cP〜約24cPの範囲である、前述の段落のいずれかに記載の物品。
【0181】
15A.水溶性フィルムの残留値が、溶解槽試験により測定したとき、約45重量%以下である、前述の段落のいずれかに記載の物品。
【0182】
16A.第1のPVOHコポリマー及び第2のPVOHポリマーが、それぞれ独立して、約75%〜約99%の範囲の加水分解度を有する、前述の段落のいずれかに記載の物品。
【0183】
17A.PVOH樹脂ブレンドが第3のPVOHポリマーを含む、前述の段落のいずれかに記載の物品。
【0184】
18A.水溶性フィルムが、PVOHポリマー以外の少なくとも第3の水溶性ポリマーを更に含む、前述の段落のいずれかに記載の物品。
【0185】
19A.水溶性ポリマーが、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びその塩、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、デンプン、修飾デンプン、グアーガム、アラビアゴム、キサンタンガム、カラギーナン、ポリアクリレート及びその塩、そのコポリマー、そのブレンド、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、段落18Aに記載の物品。
【0186】
20A.水溶性フィルムが、可塑剤、可塑剤相溶化剤、潤滑剤、剥離剤、充填剤、増量剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、粘着性除去剤、消泡剤、ナノ粒子、漂白剤、界面活性剤及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の構成成分を更に含む、前述の段落のいずれかに記載の物品。
【0187】
21A.水溶性フィルムが、フィルムの約1重量%〜約40重量%の範囲の量で、1つ以上の可塑剤を更に含む、前述の段落のいずれかに記載の水溶性フィルム。
【0188】
22A.水溶性フィルムと、当該フィルムに近接した家庭用ケア組成物とを含む物品であって、当該フィルムは、アニオン性モノマー単位を含み、かつ第1の20℃での4%水溶液粘度(μ
1)を有する第1のPVOHコポリマーと、ビニルアルコールモノマー単位及び任意に酢酸ビニルモノマー単位から本質的になり、かつ約20cP以下の第2の20℃での4%水溶液粘度(μ
2)を有する第2のPVOHポリマーとを含む、ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドを含み、第1のPVOHコポリマーは、フィルム中のPVOHポリマーとコポリマーの合計のうち(例えば、水溶性フィルム又はその構成成分が前述の段落の改良のいずれかを組み込むことができる場合)約30重量%〜約90重量%の範囲の量で存在する、物品。
【0189】
23A.水溶性フィルムと、当該フィルムに近接した家庭用ケア組成物とを含む物品であって、当該フィルムは、アニオン性モノマー単位を含み、かつ第1の20℃での4%水溶液粘度(μ
1)を有する第1のPVOHコポリマーと、ビニルアルコールモノマー単位及び任意に酢酸ビニルモノマー単位から本質的になり、かつ約20cP以下の第2の20℃での4%水溶液粘度(μ
2)を有する第2のPVOHポリマーとを含む、ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドを含み、アニオン性モノマー単位は、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち(例えば、水溶性フィルム又はその構成成分が前述の段落の改良のいずれかを組み込むことができる場合)約1.2モル%〜約4.2モル%の範囲の量でフィルム中に存在する、物品。
【0190】
24A.水溶性フィルムと、当該フィルムに近接した家庭用ケア組成物とを含む物品であって、当該フィルムは、第1のアニオン性モノマー単位を含む第1のPVOHコポリマーと、ビニルアルコールモノマー単位及び任意に酢酸ビニルモノマー単位から本質的になる第2のPVOHポリマーとを含むポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドを含み、第1のPVOHコポリマーは、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約30重量%〜約70重量%の範囲の量で存在する、物品。
【0191】
25A.第2のPVOHポリマーは、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約30重量%〜約70重量%の範囲の量で存在する、段落24Aに記載の物品。
【0192】
26A.第1のアニオン性モノマーが、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸無水物、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メチルアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチルアクリレート、これらのアルカリ金属塩、これらのエステル及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、段落24A又は25Aに記載の物品。
【0193】
27A.第1のアニオン性モノマーが、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、段落24A〜26Aのいずれかに記載の物品。
【0194】
28A.第1のアニオン性モノマーが、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約3モル%未満の量で存在する、段落24A〜27Aのいずれかに記載の物品。
【0195】
29A.第1のPVOHコポリマー及び第2のPVOHポリマーの20℃での4%水溶液粘度の値が、互いに約10cP以内である、段落24A〜28Aのいずれかに記載の物品。
【0196】
30A.第1のPVOHコポリマー及び第2のPVOHポリマーの20℃での4%水溶液粘度の値が、互いに約10cPを超えて離れている、段落24A〜29Aのいずれかに記載の物品。
【0197】
31A.第1のPVOHコポリマーが、約3モル%〜約5モル%の範囲の第1のアニオン性モノマー単位の含有率を有し、第1のアニオン性モノマーが、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、第1のアニオン性モノマーが、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約1モル%〜約3モル%の範囲の量で存在し、第1のPVOHコポリマーが、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約40重量%〜約60重量%の範囲の量で存在し、第2のPVOHポリマーが、約8cP〜約16cPの範囲の20℃での4%水溶液粘度の値を有し、第2のPVOHポリマーが、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約40重量%〜約60重量%の範囲の量で存在する、段落24A〜30Aのいずれかに記載の物品。
【0198】
32A.第1のPVOHコポリマーが、約3モル%〜約5モル%の範囲の第1のアニオン性モノマー単位の含有率を有し、第1のアニオン性モノマーが、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、第1のアニオン性モノマーが、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約1モル%〜約3モル%の範囲の量で存在し、第1のPVOHコポリマーが、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約30重量%〜約70重量%の範囲の量で存在し、第2のPVOHポリマーが、約20cP〜約30cPの範囲の20℃での4%水溶液粘度の値を有し、第2のPVOHポリマーが、フィルム中のPVOHポリマーとPVOHコポリマーの合計のうち約30重量%〜約70重量%の範囲の量で存在する、段落24A〜30Aのいずれかに記載の物品。
【0199】
33A.水溶性フィルムの残留値が、溶解槽試験により測定したとき、約48重量%以下である、段落24A〜32Aのいずれかに記載の物品。
【0200】
34A.水溶性フィルムの引張強度平均値が、引張強度試験により測定したとき、少なくとも約33MPaである、段落24A〜33Aのいずれかに記載の物品。
【0201】
35A.水溶性フィルムのモジュラス値が、モジュラス試験により測定したとき、少なくとも約12N/mm
2である、段落24A〜34Aのいずれかに記載の物品。
【0202】
36A.家庭用ケア組成物がフィルムに接触している、段落1A〜35Aのいずれかに記載の物品。
【0203】
37A.少なくとも1つの密封区画を含むパウチの形態である、段落1A〜36Aのいずれかに記載の物品。
【0204】
38A.少なくとも1つの区画が少なくとも1つの壁を含み、少なくとも1つの壁は水溶性フィルムを含む、段落37Aに記載の物品。
【0205】
39A.パウチが少なくとも2つの区画を含む、段落37A又は38Aに記載の物品。
【0206】
40A.第2の区画が第1の区画の上に重ねられた、段落39Aに記載の物品。
【0207】
41A.パウチが少なくとも3つの区画を含む、段落37Aに記載の物品。
【0208】
42A.第2の区画及び第3の区画が第1の区画の上に重ねられた、段落41A記載の物品。
【0209】
43A.家庭用組成物が少なくとも1つの区画中に収容される、段落37A〜42Aのいずれかに記載の物品。
【0210】
44A.家庭用ケア組成物が、軽質液体洗剤組成物、重質液体洗剤組成物、硬質表面洗浄組成物、一般に洗濯に使用されるゲル洗剤、漂白剤組成物、洗濯用添加剤、布地向上剤組成物、シャンプー、ボディソープ、他のパーソナルケア組成物及びこれらの混合物からなる群から選択される、段落1A〜43Aのいずれかに記載の物品。
【0211】
45A.組成物が界面活性剤を含む、段落1A〜44Aのいずれかに記載の物品。
【0212】
46A.組成物が液体、固体、粉末又はこれらの混合物の形態である、段落1A〜45Aのいずれかに記載の物品。
【0213】
47A.フィルムを提供する工程であって、当該フィルムはパウチ内部容器体積を画定する工程と、容器体積に家庭用ケア組成物を充填する工程と、フィルムを密閉して密封区画を形成する工程であって、当該密封区画は組成物を収容する工程とを含む、前述の段落のいずれかに記載の物品を形成する方法。
【0214】
48A.段落1A〜46Aのいずれかに記載の物品又は当該物品中に収容された組成物を、典型的には水の存在下で、基材に接触させる工程を含む、基材を処理する方法。
【0215】
溶解槽残留物試験
溶解槽(DC)試験に従った未溶解残留物について特性決定又は試験される水溶性フィルムは、以下の材料を使用して以下のとおりに分析する。
1.ビーカー(4000ml)
2.ステンレス鋼ワッシャ(OD3.5インチ(88.9mm)、ID1.875インチ(47.6mm)、厚さ0.125インチ(3.18mm))
3.スチレンブタジエンゴムガスケット(OD3.375インチ(85.7mm)、ID1.91インチ(48.5mm)、厚さ0.125インチ(3.18mm))
4.ステンレス鋼製スクリーン(OD3.0インチ(76.2mm)、200×200メッシュ、ワイヤOD0.0021インチ(0.053mm)、304SSステンレス鋼製金網)
5.温度計(0℃〜100℃、精度+/−1℃)
6.切断パンチ(直径1.5インチ(38.1mm))
7.タイマー(秒単位の精度)
8.逆浸透(RO)水
9.バインダークリップ(サイズ#5又は同等)
10.アルミニウム製皿(OD2.0インチ(50.8mm)
11.超音波処理器
【0216】
試験対象の各フィルムについて、切断パンチを使用して、厚さ3.0±0.10mil(又は76.2±2.5μm)を有する選択試験フィルムから3つの試験片を切り出す。フィルムウェブから試験片を切り出す場合、試験片は、ウェブの横方向に沿って一定の間隔を置いたウェブ領域から切り出されるものとする。次いで、以下の手順を使用して各試験片を分析する。
1.フィルム試験片を秤量し、試験全体を通して試験片を追跡する。最初のフィルム重量(F
o)を記録する。
2.各試験片のための超音波処理した清潔で乾燥したスクリーン2枚1組を秤量し、試験全体を通して追跡する。初期スクリーン重量を記録する(2枚の合わせたスクリーンについて総称的にS
oとする)。
3.フィルム試験片を2つのスクリーンの中央に平らに挟み、2つのゴム製ガスケット(スクリーンとワッシャの間に各側面ガスケット1つずつ)と、次いで2つのワッシャを続けることによって試験溶解槽を組み立てる。
4.ワッシャの周りに4つのバインダークリップを等間隔で置き、クリップを折り畳み、溶解槽アセンブリを固定する。
5.実験室の室温(72+/−3°F、22+/−2℃)でビーカーに1,500mlの逆浸透水を入れ、室温を記録する。
6.所定の浸漬時間5分にタイマーをセットする。
7.溶解槽アセンブリをビーカー内に入れ、タイマーを直ちに開始する。溶解槽アセンブリは、およそ45度の進入角度で水面へ入れる。この進入角度は、槽から気泡を取り除くのに役立つ。試験片フィルムがビーカー底部から約10mmで水平配置されるように、溶解槽アセンブリを底部の上に静置する。溶解槽アセンブリの折り畳まれた4つのバインダークリップは、ビーカー底部からの約10mmのフィルムクリアランスを保つのに好適であるが、任意の他の同等の支持手段を使用してもよい。
8.所定の浸漬時間5分が経過した時点で、溶解槽アセンブリをおよそ45度の角度でビーカーからゆっくり取り出す。
9.溶解槽アセンブリをアルミニウム製皿の上に水平に保持し、スクリーンからのあらゆる水滴を受け取り、バインダークリップ、ワッシャ及びガスケットを慎重に取り外す。挟まれたスクリーンは開けない。
10.挟まれたスクリーン(すなわち、スクリーン/未溶解残留フィルム/スクリーン)をアルミニウム製皿の上に置き、100℃のオーブン中に30分間置いて乾燥させる。
11.あらゆる未溶解残留フィルムを中に含む挟まれたスクリーンの乾燥セットを秤量する。溶解槽アセンブリがビーカーから最初に取り出されたとき、また乾燥中にパン中に捕捉され、パンから(例えば、掻き取ることにより)回収された乾燥フィルムのあらゆる滴を測定し、この乾燥スクリーンの重量に加算する。挟まれたスクリーンの最終重量を記録する(乾燥フィルムの滴を含めて総称的にS
fとする)。
12.残されたフィルム試験片の残留率(%)(「DC残留」):DC残留率(%)=100×((S
f−S
o)/F
o)を算出する。
13.挟まれたスクリーンをビーカーのRO水中に約20分間浸すことによって洗浄する。次いで、スクリーンを分解し、超音波処理器(電源を入れ、RO水を満たしたもの)で少なくとも5分間、又はスクリーン上に残留物が認められなくなるまで最終すすぎを行う。
【0217】
本開示に係る水溶性フィルムの好ましい性質は、DC試験によって測定したとき、約45重量%以下又は約48重量%以下のDC残留値によって特徴付けられる。種々の実施形態において、水溶性フィルムは、少なくとも1、2、5、10若しくは20重量%及び/又は最大約15、20、30、40、45重量%若しくは48重量%(例えば、約5重量%〜約48重量%、約10重量%〜約45重量%、約20重量%〜約45重量%、又は約30重量%〜約40重量%)のDC値を有する。
【0218】
引張強度試験及びモジュラス試験
引張強度(TS)試験に従った引張強度及びモジュラス(MOD)試験に従ったモジュラス(又は引張モジュラス)について特性決定又は試験される水溶性フィルムは、以下のとおりに分析する。手順は、ASTM D 882(「Standard Test Method for Tensile Properties of Thin Plastic Sheeting」)又は同等法に従った引張強度の測定及び100%伸び時におけるモジュラスの測定を含む。INSTRON引張試験装置(モデル5544引張試験機又は同等機)をフィルムデータの収集に使用する。寸法安定性及び再現性を確保するために信頼性の高い切断工具を使用して、少なくとも3つの試験片をそれぞれ切り出し、各測定に関して縦方向(MD)(適用可能な場合)で試験を行う。試験は、23±2.0℃及び35±5%相対湿度の標準的な実験室雰囲気下で実施される。引張強度又はモジュラス測定には、厚さ3.0±0.15mil(又は76.2±3.8μm)を有する1枚のフィルムシートから1インチ幅(2.54cm)のサンプルを準備する。次いで、サンプルをINSTRON引張試験機に移し、35%相対湿度環境での暴露を最小限にしつつ試験を続ける。引張試験機は、製造者の説明書に従って準備し、500Nロードセルを装着し、較正する。適切なグリップ及びフェースを取り付ける(型番2702−032のゴムコーティングされた幅25mmのフェースを有するINSTRONグリップ又は同等物)。サンプルを引張試験機に取り付け、伸ばし、分析して、100%モジュラス(すなわち、100%フィルム伸びに達するのに必要な応力)及び引張強度(すなわち、フィルムが破断するのに必要な応力)を特定する。
【0219】
必要に応じて、フィルムは、物品、例えばフィルムパケットへの加工にフィルムが適したものとなるような特定の機械的特性によって特徴付けることができる。
【0220】
本開示に係る水溶性フィルムは、TS試験により測定したとき、少なくとも約24MPa又は約28MPaのTS値によって特徴付けることができる。一般に、より高いTS値が望ましい。これは、フィルムがシールの制限要素又は最も弱い要素である場合、TS値が高ければ、より強いパウチシールになるためである。種々の実施形態において、水溶性フィルムは、少なくとも約24、26、28、30、33若しくは35MPa及び/又は最大約32、34、40、45若しくは50MPa(例えば、約24MPa〜約36MPa又は約28MPa〜約32MPa)のTS値を有する。代替的に又は追加的に、好適なTS値範囲の上限は、PVOH樹脂ブレンド中のPVOHポリマー及びPVOHコポリマーのうちPVOHポリマー又はPVOHコポリマーを1つしか含まない対応する水溶性フィルム(例えば、TS値がより高い、対応する単一樹脂フィルム)のTS値であってもよい。
【0221】
本開示に係る水溶性フィルムは、MOD試験により測定したとき、少なくとも約11N/mm
2又は約12N/mm
2のMOD値によって特徴付けることができる。一般に、より高いMOD値が望ましい。これは、MOD値が高ければ、パウチの剛性がより大きくなり、製造中、又は最終消費者包装において、相互に積み重ねられたときに変形したり、互いに付着する可能性が低下するためである。種々の実施形態において、水溶性フィルムは、少なくとも約11、12若しくは13N/mm
2及び/又は最大約13、14、15若しくは16N/mm
2(例えば、約11N/mm
2〜約15N/mm
2又は約12N/mm
2〜約14N/mm
2)のMOD値を有する。代替的に又は追加的に、好適なMOD値範囲の上限は、PVOH樹脂ブレンド中のPVOHポリマー及びPVOHコポリマーのうちPVOHポリマー又はPVOHコポリマーを1つしか含まない対応する水溶性フィルム(例えば、MOD値がより高い、対応する単一樹脂フィルム)のMOD値であってもよい。
【実施例】
【0222】
実施例1〜5:単一樹脂フィルム
実施例1〜5は、各々が単一のPVOHポリマー又はPVOHコポリマー樹脂A〜Eをそれぞれ含むように形成した水溶性フィルムを示す。樹脂A及びBは、アニオン性コモノマーを含まず、4%水溶液粘度が異なる、部分的に加水分解したPVOHポリマーであった。樹脂Cは、アニオン性マレイン酸モノメチル(ナトリウム塩)コモノマーを1.82モル%の含有率で含む、部分的に加水分解したPVOHコポリマーであった(すなわち、樹脂Cは、ビニルアルコールモノマー単位、酢酸ビニルモノマー単位及びマレイン酸モノメチル(ナトリウム塩)モノマー単位を含むPVOHターポリマーであった)。樹脂D及びEは、アニオン性2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(ナトリウム塩)コモノマーをそれぞれ1.77モル%及び3.70モル%の含有率で含む、部分的に加水分解したPVOHコポリマーであった(すなわち、樹脂D及びEは、ビニルアルコールモノマー単位、酢酸ビニルモノマー単位及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(ナトリウム塩)モノマー単位を含むPVOHターポリマーであった)。フィルムは、(i)それぞれの樹脂(100重量部/樹脂100重量部(phr))、(ii)グリセロール可塑剤(約20〜22phr)、(iii)プロピレングリコール可塑剤(約10〜12phr)、(iv)ソルビトール可塑剤(約5〜6phr)、(v)修飾デンプン充填剤(約2〜4phr)、(vi)界面活性剤及び他の加工助剤(約5〜7phr)、並びに(vii)残留水(約9〜10phr)を含んだ。前述の水性組成物をキャストして3.0±0.15mil(又は76.2±3.8μm)のフィルム試料を作製し、それぞれのDC残留値について、上記方法により試験した。表1は、実施例1〜5の樹脂及びフィルム特性についてまとめたものである。表1中、フィルムのアニオン性コモノマー(AC)含有量は、フィルム中の全てのポリマー樹脂(すなわち、可塑剤及び樹脂以外の他の構成成分は除外される)に対するモル基準で示されている。
【表1】
【0223】
図2は、表1のデータを表すものであり、DC残留(重量%)を、フィルムを形成するPVOH(コ)ポリマー樹脂のAC含有量(モル%)の関数として示している。示されるように、DC残留は、AC含有量と高い相関関係にある。試験したフィルムに関して、DC残留(y)とAC含有量(x)の関係の曲線凸状は、2次曲線(y(x)=−4.491x
2+1.864x+60.38;r
2=0.9996)で
図2に示される。
【0224】
実施例6〜10:2種樹脂ブレンドフィルム
実施例6〜10は、各々がPVOHポリマー又はPVOHコポリマー樹脂A〜Eのうちの2つからなるブレンドを含むように形成した水溶性フィルムを示す。個々のブレンドは、PVOH樹脂AとE(実施例6)、AとC(実施例7)、AとD(実施例8)、BとE(実施例9)、及びAとB(実施例10)を含んだ。ブレンドフィルムは、所定のブレンドを形成する2つの樹脂を、以下の表2〜6に指定する相対重量比の範囲で合計100phr含み、可塑剤及び他の添加剤は、実施例1〜5に関して記載した量及び種類とした。前述のブレンドフィルム組成の水性組成物をキャストして3.0±0.15mil(又は76.2±3.8μm)のフィルム試料を作製し、それぞれのDC残留値、TS値及びMOD値について、上記方法により試験した。表2〜6は、実施例6〜10の樹脂及びフィルム特性についてまとめたものである。表2〜6のそれぞれの最初と最後の項目は、フィルム配合の単一樹脂の限界値を示し、残りの値は、2種樹脂ブレンド配合を示す。表2〜6中、フィルムのアニオン性コモノマー(AC)含有量は、フィルム中の全てのポリマー樹脂(すなわち、存在する両方の樹脂を含むが、可塑剤及び樹脂以外の他の構成成分は除外される)に対するモル基準で示されている。
【表2-1】
【表2-2】
【表3】
【表4-1】
【表4-2】
【表5】
【表6】
【0225】
図3及び4は、表2〜6のデータを表すものであり、DC残留(重量%)を、フィルムを形成するPVOH(コ)ポリマー樹脂ブレンドのAC含有量(モル%)の関数として示している。
図3にて明らかなように、実施例7〜10のDC残留データは、実施例1〜5の単一ポリマー樹脂フィルムに関して
図2に示したDC残留−AC含有量関係と同じ曲線凸状に概ね従っている。一方、実施例1〜5の単一ポリマー樹脂フィルムと実施例7〜10の2種ポリマー樹脂ブレンドフィルムの両方と比較して、実施例6(A/Eブレンド)の2種ポリマー樹脂ブレンドフィルムは、種々のブレンド組成物よりもDC残留の減少における実質的な改善を示している。具体的に、実施例6のA/Eブレンドフィルムは、約1モル%〜約3.4モル%、特に約1.4モル%〜約2.6モル%の範囲のAC含有量で、DC残留の実質的な減少を示す。実施例6の好ましいフィルムに対応するブレンド組成物は、約30重量%〜約90重量%の樹脂E(特に、約40重量%〜約70重量%の樹脂E)及び約10重量%〜約70重量%の樹脂A(特に、約30重量%〜約60重量%の樹脂A)を含む。
【0226】
図4は、
図3のデータのサブセットを示すものであり、実施例6(A/Eブレンド)フィルムと実施例9(B/Eブレンド)フィルムとの比較を提供する。グラフから明らかなように、実施例6と9は両方とも同じ範囲のAC含有値であり、共に同じアニオン性PVOHコポリマー樹脂Eを使用している(すなわち、両方とも2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(ナトリウム塩)コモノマーを同量で有する)にもかかわらず、実施例9(B/Eブレンド)フィルムは、実施例1〜5又は実施例7〜10全体の比較ベースラインのいずれかと比較して、DC残留性能の改善をもたらさない。実施例6と9の主な違いは、実施例9のPVOHポリマー樹脂Bの4%水溶液粘度(約23.5cP)に対する実施例6のPVOHポリマー樹脂Aの4%水溶液粘度(約12.5cP)である。
【0227】
他の実施例との比較でも同様に実施例6(A/Eブレンド)フィルムの利点が示されている。実施例8(A/Dブレンド)フィルムは、実施例6(A/Eブレンド)フィルムと同じPVOHポリマー樹脂A及び同じアニオン性コモノマーを使用している(すなわち、樹脂D及びEは、共に2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(ナトリウム塩)コモノマーを有する)が、実施例8(A/Dブレンド)フィルムは、実施例1〜5又は実施例7〜10全体のいずれかの比較ベースラインと比較して、DC残留性能の改善をもたらさない。したがって、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(ナトリウム塩)コモノマーが存在するだけで、DC残留性能が改善されるわけではない。粘度(すなわち、言い換えれば分子量)が異なる2つのPVOHポリマーを含む実施例10(A/Bブレンド)フィルムは、DC残留値が比較的高い。したがって、実施例6(A/Eブレンド)フィルムの樹脂Aの粘度(又は分子量)が比較的低いことだけが、DC残留性能の改善をもたらすわけではない。
【0228】
実施例11:例示的な組成物
表7〜15は、本明細書に記載の物品と組み合わせることができる例示的な組成物を示す。例えば、非限定的な例であることが意図される以下の組成物は、本明細書に記載の水溶性フィルム中、例えばパウチ中に封入することができる。
【0229】
漂白剤添加剤は、表7に示す成分を含み得る。
【表7】
【0230】
顆粒洗濯用洗剤は、表8に示す成分を含むことができる。
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【0231】
液体洗濯用洗剤は、表9に示す成分を含むことができる。
【表9-1】
【表9-2】
【0232】
洗剤は、表10に示す配合を含み得る。
【表10】
【0233】
組成物は、表11に示す配合を含み得る。
【表11】
【表12-1】
【表12-2】
【0234】
多区画パウチの別の実施形態において、液体及び固体の有益剤を各封入区画に充填することができる。液体を1つの封入区画に充填し、固体を1つの封入区画に充填する2区画パウチの非限定的な例は、表13及び14に示す配合物の組み合わせを含み得る。
【表13】
【表14】
【0235】
専門家によって使用され得る硬質表面洗浄組成物は、表15に示す配合物を含み得る。
【表15】
【0236】
前述の説明は、理解の明瞭性のためにのみ与えられるものであり、当業者には本発明の範囲内の変更が明らかであろうことから、当該説明から不必要な限定が解釈されるものではない。
【0237】
本明細書及び以下の特許請求の範囲全体を通して、文脈上異なる解釈を要する場合を除き、「含む(comprise)」という用語並びに「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」などの変形は、指定された整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群の包含を示すが、任意の他の整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群の排除を示すものではないことが理解される。
【0238】
本明細書全体を通して、組成物が構成成分又は物質を含むものとして記載される場合、その組成物はまた、別の記載がない限り、列挙される構成成分又は物質の任意の組み合わせから本質的になるか、又はこれらからなり得ることが企図される。同様に、方法が特定の工程を含むものとして記載される場合、その方法はまた、別の記載がない限り、列挙される工程の任意の組み合わせから本質的になるか、又はこれらからなり得ることが企図される。本明細書にて例示的に開示される本発明は、本明細書にて具体的に開示されていない任意の要素又は工程がなくても好適に実施することができる。
【0239】
本明細書にて開示される方法及びその個々の工程の実施は、手動で、及び/又は電子機器を使用して、若しくは電子機器から提供される自動化により、行うことができる。特定の実施形態を参照してプロセスを説明してきたが、当業者であれば、本方法に関連する動作の実施に別の手段を使用できることを容易に認識するであろう。例えば、種々の工程の順序は、別の記載がない限り、方法の範囲又は趣旨を逸脱することなく変更することができる。加えて、個々の工程のいくつかを組み合わせるか、省略するか、又は更に追加工程に細分化することもできる。
【0240】
本明細書中に引用される全ての特許、公開物及び参考文献は、参考として本明細書に完全に援用される。本開示と、援用する特許、公開物及び参考文献との間に矛盾が生じる場合には、本開示が優先されるものとする。