特許第6978412号(P6978412)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロッテ ケミカル コーポレイションの特許一覧

特許6978412ゴム変性ビニル系グラフト共重合体及びそれを含む熱可塑性樹脂組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6978412
(24)【登録日】2021年11月15日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】ゴム変性ビニル系グラフト共重合体及びそれを含む熱可塑性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 279/02 20060101AFI20211125BHJP
   C08L 25/04 20060101ALI20211125BHJP
   C08L 51/04 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   C08F279/02
   C08L25/04
   C08L51/04
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-517795(P2018-517795)
(86)(22)【出願日】2016年12月13日
(65)【公表番号】特表2019-500434(P2019-500434A)
(43)【公表日】2019年1月10日
(86)【国際出願番号】KR2016014602
(87)【国際公開番号】WO2017116042
(87)【国際公開日】20170706
【審査請求日】2019年8月13日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0191439
(32)【優先日】2015年12月31日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520087103
【氏名又は名称】ロッテ ケミカル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ジョ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,ユ ジン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,キ ボ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン テ
(72)【発明者】
【氏名】パク,カン ソ
【審査官】 佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−228422(JP,A)
【文献】 特開昭60−258217(JP,A)
【文献】 特開2002−317015(JP,A)
【文献】 特表2003−502469(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2003−0056475(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 279/00−279/06
C08F 290/00−290/14
C08L 51/00−51/10
C08L 25/00−25/18
C08K 3/00−13/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム質重合体を含むコアに単量体混合物がグラフト重合されてシェルを形成したコア−シェル構造を有し、
前記単量体混合物は下記式1で表されるα位が置換された芳香族ビニル系単量体及び前記α位が置換された芳香族ビニル系単量体を除いた芳香族ビニル系単量体を含む芳香族単量体30重量%〜80重量%;シアン化ビニル系単量体10重量%〜30重量%;並びにマレイミド系単量体10重量%〜30重量%;を含み、
前記α位が置換された芳香族ビニル系単量体及び前記α位が置換された芳香族ビニル系単量体を除いた芳香族ビニル系単量体の重量比は、0.5:1〜5:1であることを特徴とする、ゴム変性ビニル系グラフト共重合体:
【化1】

前記式1において、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Arは置換若しくは非置
換の炭素数6〜20のアリール基、又は置換若しくは非置換の炭素数7〜20のアルキルアリール基である。
【請求項2】
前記ゴム変性ビニル系グラフト共重合体は、前記コア100重量部に対して、前記シェル成分60重量部〜160重量部がグラフト共重合されたことを特徴とする、請求項1に記載のゴム変性ビニル系グラフト共重合体。
【請求項3】
前記ゴム質重合体の平均粒径は、200nm〜400nmであることを特徴とする、請求項1に記載のゴム変性ビニル系グラフト共重合体。
【請求項4】
前記マレイミド系単量体は、下記式2で表される化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載のゴム変性ビニル系グラフト共重合体:
【化2】

前記式2において、Rは炭素数1〜20の炭化水素基である。
【請求項5】
ゴム質重合体を含むコアに記式1で表されるα位が置換された芳香族ビニル系単量体及び前記α位が置換された芳香族ビニル系単量体を除いた芳香族ビニル系単量体を含む芳香族単量体30重量%〜80重量%、シアン化ビニル系単量体10重量%〜30重量%並びにマレイミド系単量体10重量%〜30重量%を含む単量体混合物をグラフト重合させる段階を含み、
前記α位が置換された芳香族ビニル系単量体及び前記α位が置換された芳香族ビニル系単量体を除いた芳香族ビニル系単量体の重量比は、0.5:1〜5:1であることを特徴とする、ゴム変性ビニル系グラフト共重合体の製造方法:
【化3】

前記式1において、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Arは置換若しくは非置
換の炭素数6〜20のアリール基、又は置換若しくは非置換の炭素数7〜20のアルキルアリール基である
【請求項6】
前記コアは、前記ゴム質重合体に芳香族単量体及びシアン化ビニル系単量体と重合開始剤とを混合して投入した後、乳化剤、分子量調節剤及び水を投入して攪拌し、前記芳香族単量体及びシアン化ビニル系単量体がゴム質重合体内部に膨潤されるようにし;それを重合させて製造したことを特徴とする、請求項に記載のゴム変性ビニル系グラフト共重合体の製造方法。
【請求項7】
前記コアの製造において、前記ゴム質重合体100重量部に対して、前記芳香族単量体及び前記シアン化ビニル系単量体は10重量部〜110重量部であり、前記芳香族単量体及び前記シアン化ビニル系単量体の重量比は1.5:1〜4:1であることを特徴とする、請求項に記載のゴム変性ビニル系グラフト共重合体の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜のいずれかに記載のゴム変性ビニル系グラフト共重合体;及び
芳香族ビニル系共重合体樹脂を含むことを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物。
【請求項9】
前記熱可塑性樹脂組成物は、前記ゴム変性ビニル系グラフト共重合体10重量%〜40重量%、及び前記芳香族ビニル系共重合体樹脂60重量%〜90重量%を含むことを特徴とする、請求項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項10】
前記芳香族ビニル系共重合体樹脂は、芳香族単量体及びシアン化ビニル系単量体の共重合体;α位が置換された芳香族ビニル系単量体及び前記α位が置換された芳香族ビニル系単量体を除いた芳香族ビニル系単量体を含む芳香族単量体並びにシアン化ビニル系単量体の共重合体;並びに芳香族単量体、シアン化ビニル系単量体及びマレイミド系単量体の共重合体;のうち1種以上を含むことを特徴とする、請求項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項11】
前記熱可塑性樹脂組成物は、ASTM D256によって測定した1/4”厚の試片のアイゾット衝撃強度が20kgf・cm/cm〜40kgf・cm/cmであり、ISO
1133によって200℃、10kgの荷重条件で測定した溶融流れ指数が3g/10分〜5g/10分であり、ASTM D1525によって5kgの荷重条件で測定したビカット(Vicat)軟化温度(VST)が110℃〜130℃であることを特徴とする、請求項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム変性ビニル系グラフト共重合体及びそれを含む熱可塑性樹脂組成物に関する。より具体的には、本発明は、耐衝撃性、耐熱性、外観特性等に優れたゴム変性ビニル系グラフト共重合体、その製造方法及びそれを含む熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂等のゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂は、耐衝撃性、成形加工性、外観特性等に優れるため、自動車部品、電気電子製品、事務機器等の多様な用途に広く使用されている。
【0003】
このようなゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂を、自動車部品、電気電子製品の内外装材等として使用するためには、優れた耐熱特性を具現できなければならない。ゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂の耐熱性を向上させるために、ゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂を構成する成分の一部を耐熱性共重合体に代替する方法が開発された。例えば、α−メチルスチレン−スチレン−アクリロニトリル(AMS−SAN)共重合体、N−フェニルマレイミド−スチレン−アクリロニトリル(PMI−SAN)共重合体等の耐熱性共重合体をg−ABS等のゴム変性ビニル系グラフト共重合体と溶融押出して製造したものが使用されている。
【0004】
しかし、前記耐熱性共重合体は、α−メチルスチレン等の解重合によるガスの発生、N−フェニルマレイミドの未溶融による外観特性の低下等の問題が発生するおそれがあり、且つg−ABS等のゴム変性ビニル系グラフト共重合体との相溶性が低いため、耐衝撃性等の物性の低下及びムラの発生の原因になり得る。
【0005】
よって、耐熱性共重合体の使用による問題点を解決できる耐衝撃性、耐熱性、外観特性等に優れたゴム変性ビニル系グラフト共重合体及びそれを含む熱可塑性樹脂組成物の開発が要求されている。
【0006】
本発明の背景技術は、米国特許第4,757,109号等に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、優れた耐衝撃性、耐熱性、外観特性等を具現できるゴム変性ビニル系グラフト共重合体及びその製造方法を提供するためのものである。
【0008】
本発明の他の目的は、前記ゴム変性ビニル系グラフト共重合体を含む耐衝撃性、耐熱性、外観特性等に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供するためのものである。
【0009】
本発明の前記及びその他の目的は、下記で説明する本発明によって全て達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一つの観点は、ゴム変性ビニル系グラフト共重合体に関するものである。前記ゴム変性ビニル系グラフト共重合体は、ゴム質重合体を含むコアに単量体混合物がグラフト重合されてシェルを形成したコア−シェル構造を有し、前記単量体混合物は下記式1で表されるα位が置換された芳香族ビニル系単量体及び前記α位が置換された芳香族ビニル系単量体を除いた芳香族ビニル系単量体を含む芳香族単量体;シアン化ビニル系単量体;及びマレイミド系単量体;を含む:
【0011】
【化1】
【0012】
前記式1において、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Arは置換若しくは非置換の炭素数6〜20のアリール基、又は置換若しくは非置換の炭素数7〜20のアルキルアリール基である。
【0013】
具体例において、前記ゴム変性ビニル系グラフト共重合体は、前記コア約100重量部に対して、前記シェル成分約60重量部〜約160重量部がグラフト共重合されたものであり得る。
【0014】
具体例において、前記単量体混合物は、前記芳香族単量体約30重量%〜約80重量%、前記シアン化ビニル系単量体約10重量%〜約30重量%、及び前記マレイミド系単量体約10重量%〜約30重量%を含み得る。
【0015】
具体例において、前記α位が置換された芳香族ビニル系単量体及び前記α位が置換された芳香族ビニル系単量体を除いた芳香族ビニル系単量体の重量比は、約0.5:約1〜約5:約1であり得る。
【0016】
具体例において、前記ゴム質重合体の平均粒径は、約200nm〜約400nmであり得る。
【0017】
具体例において、前記コアは、前記ゴム質重合体内に芳香族単量体及びシアン化ビニル系単量体が膨潤して重合されたものであり得る。
【0018】
具体例において、前記コアは、前記ゴム質重合体約100重量部に対して、前記芳香族単量体及びシアン化ビニル系単量体約10重量部〜約110重量部が重合されたものであり、前記芳香族単量体及び前記シアン化ビニル系単量体の重量比は約1.5:約1〜約4:約1であり得る。
【0019】
具体例において、前記マレイミド系単量体は、下記式2で表される化合物を含み得る:
【0020】
【化2】
【0021】
前記式2において、Rは炭素数1〜20の炭化水素基である。
【0022】
本発明の別の観点は、前記ゴム変性ビニル系グラフト共重合体の製造方法に関するものである。前記製造方法は、ゴム質重合体を含むコアに前記式1で表されるα位が置換された芳香族ビニル系単量体及び前記α位が置換された芳香族ビニル系単量体を除いた芳香族ビニル系単量体を含む芳香族単量体、シアン化ビニル系単量体並びにマレイミド系単量体を含む単量体混合物をグラフト重合させる段階を含む。
【0023】
具体例において、前記コアは、前記ゴム質重合体に芳香族単量体及びシアン化ビニル系単量体と重合開始剤とを混合して投入した後、乳化剤、分子量調節剤及び水を投入して攪拌し、前記芳香族単量体及びシアン化ビニル系単量体がゴム質重合体内部に膨潤されるようにし;それを重合させて製造したものであり得る。
【0024】
本発明のまた別の観点は、熱可塑性樹脂組成物に関するものである。前記熱可塑性樹脂組成物は、前記ゴム変性ビニル系グラフト共重合体;及び芳香族ビニル系共重合体樹脂を含む。
【0025】
具体例において、熱可塑性樹脂組成物は、前記ゴム変性ビニル系グラフト共重合体約10重量%〜約40重量%、及び前記芳香族ビニル系共重合体樹脂約60重量%〜約90重量%を含み得る。
【0026】
具体例において、前記芳香族ビニル系共重合体樹脂は、芳香族単量体及びシアン化ビニル系単量体の共重合体;α位が置換された芳香族ビニル系単量体及び前記α位が置換された芳香族ビニル系単量体を除いた芳香族ビニル系単量体を含む芳香族単量体並びにシアン化ビニル系単量体の共重合体;並びに芳香族単量体、シアン化ビニル系単量体及びマレイミド系単量体の共重合体;のうち1種以上を含み得る。
【0027】
具体例において、前記熱可塑性樹脂組成物は、ASTM D256によって測定した1/4”厚の試片のアイゾット衝撃強度が約20kgf・cm/cm〜約40kgf・cm/cmであり、ISO 1133によって200℃、10kgの荷重条件で測定した溶融流れ指数が約3g/10分〜約5g/10分であり、ASTM D1525によって5kgの荷重条件で測定したビカット(Vicat)軟化温度(VST)が約110℃〜約130℃であり得る。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、優れた耐衝撃性、耐熱性、外観特性等を具現できるゴム変性ビニル系グラフト共重合体、その製造方法、前記ゴム変性ビニル系グラフト共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物を提供し、耐衝撃性、耐熱性、外観特性等の観点から優れた物性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[発明を実施するための最善の形態]
以下、本発明を詳しく説明する。
【0030】
本発明にかかるゴム変性ビニル系グラフト共重合体は、(a1)ゴム質重合体を含む(A)コアに、(b1)α位が置換された芳香族ビニル系単量体、及び(b2)前記α位が置換された芳香族ビニル系単量体を除いた芳香族ビニル系単量体を含む(b)芳香族単量体;(c)シアン化ビニル系単量体;並びに(d)マレイミド系単量体;を含む単量体混合物がグラフト重合して(B)シェルを形成したコア−シェル(core−shell)構造共重合体である。
【0031】
(A)コア
本発明の一具体例にかかるコア(core)は、通常のゴム変性ビニル系グラフト共重合体に使用される(a1)ゴム質重合体を含み得る。
【0032】
具体例において、前記ゴム質重合体として(a1)は、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及び前記ジエン系ゴムに水素を添加した飽和ゴム、イソプレンゴム、ポリブチルアクリル酸等のアクリル系ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン単量体三元共重合体(EPDM)等を例示することができる。これらは単独又は2種以上混合して適用することができる。例えば、ポリブタジエン(PBD,ブタジエン系ゴム)等を使用できる。
【0033】
具体例において、前記ゴム質重合体の平均粒径(Z−平均)は、約200nm〜約400nm、例えば約230nm〜約350nmであり得る。前記範囲で、グラフト重合時の重合効率が優れ、優れた耐衝撃性、外観特性を発現できるゴム変性ビニル系グラフト共重合体を得ることができる。
【0034】
具体例において、前記コア(A)としては、前記ゴム質重合体(a1)を単独使用したり、前記ゴム質重合体(a1)内に(a2)芳香族単量体(芳香族ビニル系単量体)及び(a3)シアン化ビニル系単量体が膨潤して重合されたものを使用できる。前記ゴム質重合体内に芳香族単量体及びシアン化ビニル系単量体が膨潤して重合されたコアは、例えば、前記ゴム質重合体に芳香族単量体及びシアン化ビニル系単量体と重合開始剤とを混合して投入した後、乳化剤、分子量調節剤及び水を投入し攪拌して、前記芳香族単量体及びシアン化ビニル系単量体がゴム質重合体内部に膨潤されるようにした後、これを重合させて製造したものを使用できるが、これに制限されない。このようなコアの製造方法は公知のものであり、当業者が容易に行うことができる。
【0035】
前記芳香族単量体として(a2)は、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、ビニルナフタレン等が使用できるが、これに制限されない。これらは単独又は2種以上混合して適用することができる。好ましくは、スチレンを使用することができる。
【0036】
前記シアン化ビニル系単量体(a3)としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル等が使用できるが、これに制限されない。これらは単独又は2種以上混合して適用することができる。好ましくは、アクリロニトリルを使用することができる。
【0037】
具体例において、前記コア(A)が、ゴム質重合体(a1)内に芳香族単量体(a2)及びシアン化ビニル系単量体(a3)が膨潤して重合されたものである場合、前記ゴム質重合体(a1)約100重量部に対して、前記芳香族単量体(a2)及びシアン化ビニル系単量体(a3)が約10重量部〜約110重量部、例えば、約15重量部〜約106重量部で重合されたものでもよい。また、前記芳香族単量体(a2)及び前記シアン化ビニル系単量体(a3)の重量比(a2:a3)は、約1.5:約1〜約4:約1、例えば約2:約1〜約3.5:約1であり得る。前記範囲で、優れた耐衝撃性等を具現できるゴム変性ビニル系グラフト共重合体を得ることができる。
【0038】
(B)シェル
本発明のシェル(shell)は、前記コア(A)に、(b1)α位が置換された芳香族ビニル系単量体、及び(b2)前記α位が置換された芳香族ビニル系単量体を除いた芳香族ビニル単量体を含む(b)芳香族単量体;(c)シアン化ビニル系単量体;並びに(d)マレイミド系単量体;を含む単量体混合物がグラフト重合されて形成されたものである。本発明のゴム変性ビニル系グラフト共重合体は、シェルを前記4成分(b1,b2,c,d)以上で形成することにより、耐熱性共重合体(マトリックス樹脂)の使用による物性の低下等の問題を解決し、熱可塑性樹脂組成物に適用すると、優れた耐衝撃性、耐熱性、外観特性等を具現できるものである。
【0039】
具体例において、前記α位が置換された芳香族ビニル系単量体(b1)は、下記式1で表すことができる。
【0040】
【化3】
【0041】
前記式1において、Rは炭素数1〜5のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等であり、Arは置換若しくは非置換の炭素数6〜20のアリール基又は置換若しくは非置換の炭素数7〜20のアルキルアリール基である。ここで、「置換」は水素原子が炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数3〜10のヘテロシクロアルキル基、炭素数4〜10のヘテロアリール基、これらの組合せ等の置換基で置換されることを意味する。前記Arの具体的な例としては、フェニル基、ベンジル基、ハロフェニル基、ナフチル基等を例示することができる。前記α位が置換された芳香族ビニル系単量体としては、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン等を例示することができるが、これに制限されない。
【0042】
具体例において、前記α位が置換された芳香族ビニル系単量体を除いた芳香族ビニル系単量体(b2)としては、通常のゴム変性ビニル系グラフト共重合体に使用される芳香族ビニル系単量体中の前記α位が置換された芳香族ビニル系単量体を除いた残りを使用することができる。例えば、スチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、ビニルナフタレン等が使用できるが、これに制限されない。これらは単独又は2種以上混合して適用することができる。具体的には、スチレン等が使用できる。
【0043】
具体例において、前記芳香族単量体(b)は、単量体混合物100重量%中、約30重量%〜約80重量%、例えば約35重量%〜約75重量%で含むことができる。また、前記α位が置換された芳香族ビニル系単量体(b1)及び前記α位が置換された芳香族ビニル系単量体を除いた芳香族ビニル系単量体(b2)の重量比(b1:b2)は、約0.5:約1〜約5:約1、例えば約1:約1〜約3:約1であり得る。前記範囲で優れた耐衝撃性、耐熱性、外観特性等を具現できるゴム変性ビニル系グラフト共重合体を経済的に得ることができる。
【0044】
具体例において、前記シアン化ビニル系単量体(c)としては、通常のゴム変性ビニル系グラフト共重合体に使用されるシアン化ビニル系単量体を使用することができる。例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フェニルアクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、フマロニトリル等を使用できるが、これに制限されない。これらは、単独又は2種以上混合して適用することができる。具体的には、アクリロニトリル等が使用できる。
【0045】
具体例において、前記シアン化ビニル系単量体(c)は、単量体混合物100重量%中、約10重量%〜約30重量%、例えば約15重量%〜約25重量%で含まれ得る。前記範囲で、優れた耐熱性、耐衝撃性、外観特性等を具現できるゴム変性ビニル系グラフト共重合体を得ることができる。
【0046】
具体例において、前記マレイミド系単量体(d)は、下記式2で表されるN−置換マレイミド化合物を含むことができる。
【0047】
【化4】
【0048】
前記式2において、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、例えば炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、フェニル基等である。前記マレイミド系単量体としては、N−フェニルマレイミド(N−phenyl maleimide:PMI)、N−メチルマレイミド(N−methyl maleimide)等を例示できるが、これに制限されない。
【0049】
具体例において、前記マレイミド系単量体(d)は、単量体混合物100重量%中、約10重量%〜約30重量%、例えば約15重量%〜約25重量%で含まれ得る。前記範囲で、シェル成分のグラフト重合速度、効率等が高くなり得、優れた耐熱性、耐衝撃性、外観特性等を具現できるゴム変性ビニル系グラフト共重合体を得ることができる。
【0050】
具体例において、前記ゴム変性ビニル系グラフト共重合体は、前記コア約100重量部に対して、前記シェル成分(b1,b2,c及びdを含む)約60重量部〜約160重量部、例えば約65重量部〜約150重量部がグラフト共重合されたものであり得る。前記範囲で、優れた耐衝撃性、耐熱性、外観特性等を具現できるゴム変性ビニル系グラフト共重合体を得ることができる。
【0051】
本発明の一具体例にかかるゴム変性ビニル系グラフト共重合体の製造方法は、前記コア(A)に前記芳香族単量体(b)、前記シアン化ビニル系単量体(c)及び前記マレイミド系単量体(d)を含む単量体混合物をグラフト重合させる段階を含み得る。前記重合は、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合等の公知の重合方法によって行うことができる。
【0052】
具体例において、前記重合は、公知の乳化重合法によって、水(イオン交換水等)、重合開始剤、乳化剤、分子量調節剤等の存在下で、約45℃〜約80℃の温度で約1時間〜約10時間、例えば約1時間〜約5時間行うことができる。本発明のゴム変性ビニル系グラフト共重合体は、前記シェル成分を適用し、重合効率が高いため、通常のゴム変性ビニル系グラフト共重合体の製造方法に比べて短い重合時間でも高収率でゴム変性ビニル系グラフト共重合体を製造することができる。
【0053】
前記重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロキシパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシプロピルカポネート等の過酸化物開始剤;酸化−還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤;これらの組合せ等を用いることができるが、これに制限されない。
【0054】
前記乳化剤としては、脂肪酸の石鹸系化合物、ロジン酸の石鹸系化合物、水酸化ナトリウムで鹸化させたアクリレートのアクリル酸共重合体、ポリオキシエチレンアリルグリシジルノニルフェニルエーテルのサルフェート塩、アルキルアリールスルホネート、アルカリメチルアルキルサルフェート、スルホネート化されたアルキルエステル、これらの組合せ等を用いることができるが、これに制限されない。
【0055】
前記分子量調節剤としては、tert−ドデシルメルカプタン、ビス(イソプロポキシチオカルボニル)ジスルフィド、p−メトキシフェニルジアゾチオ−2−ナフチルエーテル、これらの組合せ等を用いることができるが、これに制限されない。
【0056】
具体例において、前記コア(A)がゴム質重合体(a1)内に芳香族単量体(a2)及びシアン化ビニル系単量体(a3)が膨潤して重合したものである場合、前記ゴム質重合体(a1)に芳香族単量体(a2)及びシアン化ビニル系単量体(a3)と重合開始剤とを混合して投入した後、乳化剤、分子量調節剤及び水を投入して攪拌し、前記芳香族単量体及びシアン化ビニル系単量体がゴム質重合体内部に膨潤するようにした後、これを重合(膨潤重合)させてコアを製造し;ここに、前記単量体混合物(b1,b2,c及びdを含む)、及び必要に応じて、重合開始剤、分子量調節剤等を投入し、コアに単量体混合物をグラフト重合させる段階を含んでもよい。
【0057】
具体例において、前記ゴム変性ビニル系グラフト共重合体は、グラフト重合完了後、硫酸溶液等に投入してラテックス(latex)状態の重合物を破壊し、これを水洗い及び乾燥してパウダー形態の重合体として得ることができる。
【0058】
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物は、前記ゴム変性ビニル系グラフト共重合体;及び芳香族ビニル系共重合体樹脂を含むことを特徴とする。前記熱可塑性樹脂組成物において、前記ゴム変性ビニル系グラフト共重合体は、前記芳香族ビニル系共重合体樹脂(マトリックス樹脂)に分散された形態で存在し得る。
【0059】
具体例において、前記芳香族ビニル系共重合体樹脂は、通常のゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂に使用される芳香族ビニル系共重合体樹脂でもよい。例えば、前記芳香族ビニル系共重合体樹脂は、芳香族ビニル系単量体及びシアン化ビニル系単量体等の芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体を含む単量体混合物の重合体であってもよい。
【0060】
具体例において、前記芳香族ビニル系共重合体樹脂は、芳香族ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体等を混合した後、それを重合して得ることができ、前記重合は、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等の公知の重合方法によって行うことができる。
【0061】
具体例において、前記芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、ビニルナフタレン等が使用できるが、これに制限されない。これらは、単独又は2種以上混合して適用することができる。前記芳香族ビニル系単量体の含量は、芳香族ビニル系共重合体樹脂全体100重量%中、約20重量%〜約90重量%、例えば約30重量%〜約80重量%であり得る。前記範囲で、熱可塑性樹脂組成物は優れた耐衝撃性、流動性等を示しうる。
【0062】
具体例において、前記芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フェニルアクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、フマロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、N−フェニルマレイミド(N−phenyl maleimide:PMI)、N−メチルマレイミド(N−methyl maleimide)等のマレイミド系単量体等を使用でき、単独又は2種以上混合して使用することができる。前記芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体の含量は、芳香族ビニル系共重合体樹脂全体100重量%中、約10重量%〜約80重量%、例えば約20重量%〜約70重量%であり得る。前記範囲で、熱可塑性樹脂組成物は優れた耐衝撃性、流動性等を示しうる。
【0063】
具体例において、前記芳香族ビニル系共重合体樹脂は、芳香族ビニル系単量体(b)約20重量%〜約90重量%、例えば約30重量%〜約80重量%及びシアン化ビニル系単量体(c)約10重量%〜約80重量%、例えば約20重量%〜約70重量%の共重合体(2元共重合体);α位が置換された芳香族ビニル系単量体(b1)約15重量%〜約55重量%、例えば約20重量%〜約50重量%及び前記α位が置換された芳香族ビニル系単量体を除いた芳香族ビニル系単量体(b2)約5重量%〜約35重量%、例えば約10重量%〜約30重量%並びにシアン化ビニル系単量体(c)約10重量%〜約80重量%、例えば約20重量%〜約70重量%の共重合体(3元共重合体);並びに芳香族ビニル系単量体(b)約20重量%〜約90重量%、例えば約30重量%〜約80重量%、シアン化ビニル系単量体(c)約5重量%〜約70重量%、例えば約10重量%〜約60重量%及びマレイミド系単量体(d)約5重量%〜約70重量%、例えば約10重量%〜約60重量%の共重合体(3元共重合体);のうち1種以上を含むことができる。例えばスチレン−アクリロニトリル(SAN)共重合体約10重量%〜約90重量%、例えば約20重量%〜約80重量%、α−メチルスチレン−スチレン−アクリロニトリル(AMS−SAN)共重合体約5重量%〜約50重量%、例えば約10重量%〜約40重量%及びN−フェニルマレイミド−スチレン−アクリロニトリル(PMI−SAN)共重合体約5重量%〜約50重量%、例えば約10重量%〜約40重量%を含む芳香族ビニル系共重合体樹脂を用いることができる。前記範囲で、耐衝撃性、耐熱性、流動性(加工性)、外観特性等に優れた熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
【0064】
具体例において、前記芳香族ビニル系共重合体樹脂は、GPC(gel permeation chromatography)で測定した重量平均分子量(Mw)が約10,000g/mol〜約300,000g/mol、例えば約15,000g/mol〜約160,000g/molであり得る。前記範囲で、熱可塑性樹脂組成物は優れた耐衝撃性、耐熱性、流動性(加工性)、外観特性等を示しうる。
【0065】
具体例にて、前記熱可塑性樹脂組成物は前記ゴム変性ビニル系グラフト共重合体約10重量%〜約40重量%、例えば約15重量%〜約35重量%及び前記芳香族ビニル系共重合体樹脂約60重量%〜約90重量%、例えば約65重量%〜約85重量%を含むことができる。前記範囲で、熱可塑性樹脂組成物は優れた耐衝撃性、耐熱性、流動性(加工性)、外観特性等を示しうる。
【0066】
本発明の一具体例にかかる熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、通常の添加剤をさらに含むことができる。前記添加剤としては、難燃剤、酸化防止剤、滴下防止剤、滑剤、離型剤、核剤、帯電防止剤、安定剤、顔料、染料、これらの混合物等があるが、これに制限されない。前記添加剤使用時、その含量は、ゴム変性ビニル系グラフト共重合体及び芳香族ビニル系共重合体樹脂を含むベース樹脂約100重量部に対して、約0.001重量部〜約20重量部であり得るが、これに制限されない。
【0067】
具体例において、前記熱可塑性樹脂組成物は、公知の熱可塑性樹脂組成物の製造方法によって製造できる。例えば、前記構成成分と、必要に応じてその他の添加剤を混合した後、押出機で溶融押出してペレット形態に製造することができる。また、製造されたペレットは、射出成形、押出成形、真空成形、キャスティング成形等の多様な成形方法によって多様な成形品(製品)に製造することができる。このような成形方法は、本発明の属する技術分野の通常の知識を有する者によってよく知られている。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性、耐熱性、流動性(加工性)、外観特性等に優れるため、自動車部品、電気電子製品の内外装材等として有用である。
【0068】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ASTM D256によって測定した1/4”厚の試片のアイゾット衝撃強度が約20kgf・cm/cm〜約40kgf・cm/cm、例えば約20kgf・cm/cm〜約35kgf・cm/cmであり得、ISO 1133によって200℃、10kgの荷重条件で測定した溶融流れ指数が約3g/10分〜約5g/10分、例えば、約3.5g/10分〜約4.5g/10分であり得、ASTM D1525によって5kgの荷重条件で測定したビカット(Vicat)軟化温度(VST)が約110℃〜約130℃、例えば約112℃〜約125℃であり得る。
【0069】
[発明を実施するための形態]
以下、本発明の好ましい実施例を通じて本発明の構成及び作用をより詳しく説明する。但し、これは本発明の好ましい例示として提示するものであり、如何なる意味でもこれによって本発明が制限されると解釈してはならない。
【実施例】
【0070】
製造例1〜8:ゴム変性ビニル系グラフト共重合体の製造
下記表1の組成及び含量に従い、ガラス反応器に、(a1)ブタジエンゴム(PBD)、(a2)スチレン(SM)及び(a3)アクリロニトリル(AN)を投入し、ブタジエンゴム100重量部に対して、イオン交換水150重量部、過酸化物開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド0.1重量部、還元剤としてデキストロースモノハイドレート0.2重量部、乳化剤としてロジン石鹸0.5重量部、分子量調節剤としてtert−ドデシルメルカプタン0.1重量部を投入した。次に、反応器の温度を60℃に上昇させた後、レドックス系開始剤として、酸化第2鉄水和物及びソジウムピロホスフェートデカハイドレートを投入し、ブタジエンゴム内に膨潤されているスチレン及びアクリロニトリルを1時間重合してコアを製造した。
【0071】
次に、下記表1の組成及び含量に従い、前記ガラス反応器に、(b1)α−メチルスチレン(AMS)、(b2)スチレン(SM)、(b3)アクリロニトリル(AN)及び(b4)N−フェニルマレイミド(PMI)を、前記コア100重量部に対して、重合開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド0.2重量部、分子量調節剤としてtert−ドデシルメルカプタン0.2重量部と共に徐々に投入し、60℃で3時間グラフト重合した。重合完了後、これを75℃硫酸1%溶液に投入してラテックス状態の重合物を破壊し、水洗い及び乾燥過程を通じてパウダー形態の重合体(コア−シェル構造のゴム変性ビニル系グラフト共重合体)を得た。
【0072】
【表1】
【0073】
下記の実施例及び比較例で使用した各成分の仕様は次の通りである。
【0074】
(A)ゴム変性ビニル系グラフト共重合体樹脂
(A1)製造例1のゴム変性ビニル系グラフト共重合体樹脂を使用した。
(A2)製造例2のゴム変性ビニル系グラフト共重合体樹脂を使用した。
(A3)製造例3のゴム変性ビニル系グラフト共重合体樹脂を使用した。
(A4)製造例4のゴム変性ビニル系グラフト共重合体樹脂を使用した。
(A5)製造例5のゴム変性ビニル系グラフト共重合体樹脂を使用した。
(A6)製造例6のゴム変性ビニル系グラフト共重合体樹脂を使用した。
(A7)製造例7のゴム変性ビニル系グラフト共重合体樹脂を使用した。
(A8)製造例8のゴム変性ビニル系グラフト共重合体樹脂を使用した。
【0075】
(B)芳香族ビニル系共重合体樹脂
(B1)スチレン74重量%及びアクリロニトリル26重量%の単量体混合物を懸濁重合して製造された重量平均分子量150,000g/molの芳香族ビニル系共重合体樹脂(SAN)を使用した。
(B2)α−メチルスチレン(AMS)54重量%、スチレン19重量%及びアクリロニトリル27重量%の単量体混合物を懸濁重合して製造された重量平均分子量140,000g/molの芳香族ビニル系共重合体樹脂(AMS−SAN)を使用した。
(B3)N−フェニルマレイミド(PMI)、スチレン及びアクリロニトリルの共重合体である芳香族ビニル系共重合体樹脂(PMI−SAN,製造社:DENKA社,製品名:MS−TI)を使用した。
【0076】
実施例1〜4及び比較例1〜3
下記表2の組成及び含量に従い、前記構成成分((A)及び(B))100重量部及び酸化防止剤(製造社:Ciba,製品名:Irganox1076)0.1重量部、安定剤(マグネシウムステアレート)0.3重量部をタンブラーミキサーで10分間混合した後、L/D=32、直径45mmの二軸(twin screw type)押出機に添加し、バレル(barrel)温度250℃及び攪拌速度250rpmの条件で溶融及び押出してペレットを製造した。製造されたペレットは、80℃で2時間以上乾燥した後、シリンダー温度230℃の条件の射出機(製造社:LG電線,製品名:LGH−140N)で射出して試片を製造した。製造された試片に対して下記の方法で物性を評価し、その結果を下記表2に表した。
【0077】
物性の測定方法
(1)ノッチアイゾット(Notch IZOD)衝撃強度(単位:kgf・cm/cm):ASTM D256に規定されている評価方法によって、1/4”厚の試片のノッチアイゾット衝撃強度を測定した。
【0078】
(2)溶融流れ指数(melt−flow index:MI,単位:g/10分):ISO1133に規定されている評価方法によって、220℃,10kgの荷重条件で測定した。
【0079】
(3)ビカット軟化温度(Vicat Softening Temperature:VST,単位:℃):ASTM D1525によって5kgの荷重条件で測定した。
【0080】
(4)黄色指数(ΔYI)差:実施例及び比較例で製造されたペレット形態の熱可塑性樹脂組成物を型締力が100トン、シリンダーの温度が250℃の射出機に投入して射出した成形品の黄色指数(YI)をASTM D1925に準じて測定し(日本のSuga Instrument社のカラーコンピュータ測定機器で測定)、この黄色指数と、前記のペレット形態の熱可塑性樹脂組成物を前記射出機に10分間滞留させた後、射出した成形品のASTM D1925に準じて測定した黄色指数(YI)を測定し、その差(ΔYI=YI−YI)を算出した。
【0081】
(5)射出試片の外観の評価:成形温度320℃、金型温度70℃、冷却時間120秒で100mm×100mm×3.2mm規格の試片5個を射出した後、試片に発生した不良(銀線(silver streak)、ピンホール(pinhole)、サンド(sand))を肉眼で観察した。評価基準は次の通りである。
【0082】
◎:外観優秀(ピンホール等が観察されなかった)、○:外観良好(ピンホール等の発生が5個未満)、△:外観不良(ピンホール等の発生が5個以上)、×:外観が非常に不良(銀線等が観察された)
【0083】
【表2】
【0084】
前記結果から、本発明にかかるゴム変性ビニル系グラフト共重合体(製造例1〜5)を含む熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性、流動性(成形加工性)、耐熱性、耐変色性(耐候性)、外観特性等にいずれも優れることが分かった。
【0085】
一方、シェル成分としてα位が置換された芳香族ビニル系単量体及びマレイミド系単量体を含まないゴム変性ビニル系グラフト共重合体(製造例6)を含む熱可塑性樹脂組成物(比較例1)の場合は、耐衝撃性、外観特性等が低下することが分かり、シェル成分としてマレイミド系単量体を含まないゴム変性ビニル系グラフト共重合体(製造例7)を含む熱可塑性樹脂組成物(比較例2)の場合は、耐衝撃性、耐熱性、耐変色性、外観特性等が低下することが分かり、シェル成分としてα位が置換された芳香族ビニル系単量体を含まないゴム変性ビニル系グラフト共重合体(製造例8)を含む熱可塑性樹脂組成物(比較例3)の場合は、耐衝撃性、耐変色性、外観特性等が低下することが分かった。
【0086】
本発明の単純な変形あるいは変更は、本分野の通常の知識を有する者によって容易に実施され、このような変形や変更は共に本発明の領域に含まれるものであると見なすことができる。