特許第6978587号(P6978587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6978587
(24)【登録日】2021年11月15日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 45/41 20200101AFI20211125BHJP
   B62J 6/055 20200101ALI20211125BHJP
   G01S 15/93 20200101ALI20211125BHJP
【FI】
   B62J45/41
   B62J6/055
   G01S15/93
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-508741(P2020-508741)
(86)(22)【出願日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】JP2018013420
(87)【国際公開番号】WO2019186945
(87)【国際公開日】20191003
【審査請求日】2020年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100166648
【弁理士】
【氏名又は名称】鎗田 伸宜
(72)【発明者】
【氏名】片桐 潔
(72)【発明者】
【氏名】黒羽 由幸
(72)【発明者】
【氏名】熊坂 剛志
(72)【発明者】
【氏名】前田 拡
【審査官】 中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−202809(JP,A)
【文献】 特開2001−151016(JP,A)
【文献】 特開2010−30471(JP,A)
【文献】 特開2015−67239(JP,A)
【文献】 特開2010−71417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 45/41
B62J 6/055
G01S 15/93
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向外側に突出して形成され、車両の進行方向を提示する方向指示部(34)と、
超音波を用いて車両周辺の障害物を検知するセンシング装置(50)と、を備える鞍乗型車両(1)であって、
前記センシング装置(50)が前記方向指示部(34)の先端部(343)に配置され、
前記方向指示部(34)の前記先端部(343)は、車幅方向外側または車両前後方向後側に開口した凹部(344)を有し、
前記センシング装置(50)の少なくとも一部が前記凹部(344)の内部に設けられ、
前記方向指示部(34)は、光源(346)を収容する空洞部(349)を有する、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項2】
前記凹部(344)の内壁(345)の少なくとも一部が、前記センシング装置(50)よりも車幅方向外側または車両前後方向後側に延びていることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記鞍乗型車両は、車両本体側の固定部(91)と、
前記方向指示部(34)前記固定部(91)との間に介在する弾性部材(36)と、を含み、
前記弾性部材(36)は、前記方向指示部(34)の内部と外部とを連通する連通部(361)を有する、
ことを特徴とする請求項1又はに記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記先端部(343)と前記センシング装置(50)との間に介在する振動減衰部材(54)を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記方向指示部(34)は車幅方向外側に突出する棒状の本体(341)を有し、前記本体(341)の内部に光源(346)を有する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両周辺の障害物を検知するセンシング装置を備える鞍乗型車両として、車両本体の側方にセンシング装置を備える鞍乗型車両が知られている。(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2016−503503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
センシング装置を車両本体の側方に設けた場合、センシング装置よりも車幅方向外側にあるミラーやハンドル、運転者の腕や衣服等によって検知範囲が遮られてしまう場合がある。検知範囲が遮られると、センシング装置の検知精度が低下する。
【0005】
本発明の目的は、センシング装置の検知精度を向上できる鞍乗型車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、車幅方向外側に突出して形成され、車両の進行方向を提示する方向指示部(34)と、
超音波を用いて車両周辺の障害物を検知するセンシング装置(50)と、を備える鞍乗型車両(1)であって、
前記センシング装置(50)が前記方向指示部(34)の先端部(343)に配置され、
前記方向指示部(34)の前記先端部(343)は、車幅方向外側または車両前後方向後側に開口した凹部(344)を有し、
前記センシング装置(50)の少なくとも一部が前記凹部(344)の内部に設けられ、
前記方向指示部(34)は、光源(346)を収容する空洞部(349)を有する、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、前記凹部(344)の内壁(345)の少なくとも一部が、前記センシング装置(50)よりも車幅方向外側または車両前後方向後側に延びていることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、前記鞍乗型車両は、車両本体側の固定部(91)と、
前記方向指示部(34)を前記固定部(91)に弾性的に支持する弾性部材(36)と、を含み、
前記弾性部材(36)は、前記方向指示部(34)の内部と外部とを連通する連通部(361)を有する、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、前記先端部(343)と前記センシング装置(50)の間に介在する振動減衰部材(54)を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、前記方向指示部(34)は車幅方向外側に突出する棒状の本体(341)を有し、前記本体(341)の内部に光源(346)を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の本発明によれば、前記センシング装置が前記車両本体の側面よりも外側に設置されるので、前記運転者や前記車両の部品によって超音波の照射が遮られることを抑制することができる。したがって、前記センシング装置の検知精度を向上できる鞍乗型車両を提供することができる。
【0013】
また、請求項1の本発明によれば、前記センシング装置の少なくとも一部が凹部の内部に配置されることで前記センシング装置50の露出範囲を小さくなるので、センシング装置50を保護することができる。
【0014】
請求項3の本発明によれば、前記センシング装置から照射された超音波が内壁に反射するので、狙った検知範囲に超音波を照射することができる。また、前記内壁によって超音波の照射角度が小さくなるので、超音波が増幅され前記センシング装置のセンシング性能を向上することができる。
【0015】
請求項4の本発明によれば、弾性部材が連通孔部を有することにより前記方向指示部の光源および前記センシング装置の排熱性を向上できる。したがって、高温によるセンシング装置50の検知精度の低下を防ぐことができる。
【0016】
請求項5の本発明によれば、前記センシング装置は振動減衰部材を介して前記方向指示部に設けられるので、前記方向指示部の振動が前記センシング装置に伝達するのを抑制することができる。したがって、振動による前記センシング装置の検知精度の低下を防ぐことができる。
【0017】
請求項6の本発明によれば、棒状の前記方向指示部の前記先端部に前記センシング装置が設けられるので、より車幅方向外側に前記センシング装置を配置することができ、前記運転者や前記車両の部品によって超音波の照射が遮られることを抑制することができる。したがって、前記センシング装置の検知精度を向上できる
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態に係る鞍乗型車両の左側面図。
図2図1の鞍乗型車両の平面図。
図3図2の右側前方の方向指示部の拡大図。
図4図3の方向指示部を上面から視た断面図。
図5】一実施形態に係る鞍乗型車両の制御系のブロック図。
図6】他の実施形態に係るセンシング装置の配置を示す平面図。
図7図6の右側後方の方向指示部を上面から視た断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を参照して本発明の実施形態に係る鞍乗型車両について説明する。各図において、矢印X、Y、Zは互いに直交する方向を示し、X方向は鞍乗型車両の前後方向、Y方向は鞍乗型車両の車幅方向(左右方向)、Z方向は上下方向を示す。以下、鞍乗型車両の前後方向の前方または後方のことを単に前方または後方と、鞍乗型車両の車幅方向(左右方向)の内側または外側のことを単に内側または外側と呼ぶことがある。また、左右一対で設けられるものにおいて、左右のいずれかで説明したものは他方については不図示もしくは説明を省略する場合がある。
【0020】
<鞍乗型車両の概要>
図1は本発明の一実施形態に係る鞍乗型車両1の左側面図、図2は鞍乗型車両1の平面図である。鞍乗型車両1はオフロード系の自動二輪車であるが、本発明は他の形式の自動二輪車を含む各種の鞍乗型車両に適用可能であり、また、内燃機関を駆動源とする車両のほか、モータを駆動源とする電動車両にも適用可能である。以下、鞍乗型車両1のことを車両1と呼ぶ場合がある。
【0021】
車両1は車体フレームとして、車両前部に設けられるヘッドパイプ11、左右一対のメインフレーム12、ダウンフレーム13、左右一対のロアフレーム14及び延出部17とを含む。ヘッドパイプ11及びダウンフレーム13は車体中心に沿って1本で設けられている。
【0022】
メインフレーム12とダウンフレーム13とロアフレーム14とをループ状に連結し、これらによって囲まれる領域の内側にパワーユニット2が配置されている。パワーユニット2はエンジンと変速機とを含む。パワーユニット2の前部には、エンジンの排気を排気マフラー5へ導くエキゾーストパイプ6が設けられている。
【0023】
メインフレーム12は左右に別れた部分を有しており、ヘッドパイプ11の上部に取り付けられ、パワーユニット2の上方で左右に湾曲して斜め下後方へ延びている。ダウンフレーム13はヘッドパイプ11の下部に取り付けられ、パワーユニット2の前方で車体中心を直線状に斜めに下がり下方へ延び、その下端部で左右一対のロアフレーム14の前端部に連結されている。左右一対のロアフレーム14のそれぞれはパワーユニット2の前側下部からパワーユニット2の下方へ湾曲して略直線状に後方へ延び、後端部が左右一対のメインフレーム12のそれぞれの下端部に連結されている。
【0024】
パワーユニット2の上方には、メインフレーム12に支持された燃料タンク3が配置されている。燃料タンク3の直ぐ後方にはシート4が配置されている。シート4は、運転者が着座するシート前部4a及び同乗者が着座するシート後部4bを含み、左右一対のシートフレーム15上に支持されている。左右一対のシートフレーム15はそれぞれの前端が左右一対のメインフレーム12に取り付けられ、後方に延設されている。シートフレーム15とメインフレーム12とには左右一対のリアフレーム16が接続されている。
【0025】
シートフレーム15の後方には後輪RWの泥や雨水等の跳ね上げを防止するリアフェンダ27が支持されている。このリアフェンダ27には、車体後部側の照明部品としてブレーキランプ28および左右一対の方向指示部29L、29Rが取り付けられており、運転者の操作に基づき灯火動作が行われる。本実施形態では、方向指示部29L、29Rは、左右の側方に突出するバータイプのウインカである。
【0026】
シート後部4bの側方から後方にかけて、同乗者が把持する把持部40が設けられる。把持部40は、シートフレーム15に支持される。把持部40の側方及び後端には、荷物等を収納するためのキャリア(不図示)を取り付け可能である。
【0027】
ヘッドパイプ11にはステアリングステム20が回動可能に支持され、ステアリングステム20の上端部にトップブリッジ21が取り付けられている。ステアリングステム20の下端部にはボトムブリッジ23が設けられている。
【0028】
トップブリッジ21の左右端部のフォーク挿入孔(不図示)に左右一対のフロントフォーク22L、22Rが支持されている。一対のフロントフォーク22L、22Rはまた、ボトムブリッジ23により支持されている。
【0029】
一対のフロントフォーク22L、22Rを単にフロントフォーク22と呼ぶ場合がある(以下、左右一対で設けられるものについて同じ)。フロントフォーク22の下端部には前輪FWが回転自在に支持されており、トップブリッジ21に取り付けられたハンドルバー24で操舵される。ハンドルバー24の左右の各端部には乗員が把持するグリップ241L、241Rが設けられている。また、グリップ241L、241Rに隣接してブレーキレバー30L、30Rとブレーキレバー30L、30Rに連係したブレーキマスタシリンダ31L、31Rが設けられている。さらに、ハンドルバー24には、グリップ241L、241Rよりも内側の部位に車幅方向外側に延びるミラー26L、26Rが設けられている。図2で示すように、運転者は、ミラー26L、26Rによって側方から後方の視認範囲MAを視認することができる。
【0030】
ヘッドパイプ11から前方に延びるように延出部17が設けられ、延出部17にメータパネルMPが支持される。メータパネルMPは、車速、エンジン回転数等の車両の状態のほか、運転者への報知等、各種の情報を表示する表示装置である。また、延出部17にはその車幅方向外側に位置するように左右一対のカウルサポートステー9が設けられる。カウルサポートステー9には、メータパネルMPおよびフロントフォーク22等の前方から側方にかけて、これらを覆うように配置されているフロントカウル7が支持されている。また、カウルサポートステー9の側方から車幅方向外側に突出するように左右一対の方向指示部34L、34Rが設けられる。本実施形態では、方向指示部34L、34Rは車体後部側の方向指示部29L、29Rと同様にバータイプのウインカである。
【0031】
メインフレーム12L、12Rにはピボット軸121によりリアスイングアーム19の前端部が揺動自在に支持されている。リアスイングアーム19の後端部には後輪RWが支持され、パワーユニット2のドライブスプロケット(不図示)と後輪RWの従動スプロケット(不図示)とに巻きかけられるチェーン(不図示)によって後輪RWが回転駆動される。
【0032】
<センシング装置の詳細>
次に、本実施形態に係るセンシング装置50Rの詳細について図1ないし図を用いて説明する。図3は鞍乗型車両1の右側の方向指示部34R周辺の拡大図であり、図4は方向指示部34Rの上面視での断面図である。なお、ここでは方向指示部34Rを例に説明するが、方向指示部34Lについても同様の構成を備えることができる。
【0033】
センシング装置50Rは、方向指示部34Rの先端部343に配置されている。センシング装置50は車両1周辺の障害物を検知可能であり、本実施形態では送受信一体型の超音波センサ(ソナー)である。
【0034】
図2で示すように、方向指示部34Rの先端部343は、燃料タンク3やフロントカウル7を含む車両本体8よりも車幅方向外側に位置する。したがって、センシング装置50Rは、車両本体8よりも車幅方向外側に位置している。
【0035】
センシング装置50Rは、検知範囲SA内周辺車両等の障害物を検知可能である。検知範囲SAは、例えばミラー26の視認範囲MAとの関係で規定してもよい。検知範囲SAをミラーの視認範囲MAの範囲外に規定することで、運転者の死角になる範囲の周辺車両を検知することができる。
【0036】
センシング装置50Rが配置される方向指示部34Rは、カウルサポートステー9から車幅方向外側に突出するように設けられている。本実施形態では、方向指示部34Rは、カウルサポートステー9の固定部91に弾性部材36を介して支持されている。
【0037】
また、方向指示部34Rは、本体341と、本体341の空洞部349に収容される光源346と、本体341の前方に配置され、光源346から出た光を通すレンズ342とを含む。本実施形態では、光源346は基板347上に1または複数のLED素子(不図示)が配置されて構成されている。基板347は、電装ハーネス348を介して後述の制御ユニット64と接続している。
【0038】
本体341は、その先端部343に車幅方向外側または車両前後方向後側に開口した凹部344を有しており、センシング装置50Rは凹部344の内部に設けられている。本実施形態では、センシング装置50Rの全体が凹部344の内部に設けられているが、センシング装置50Rの一部が凹部344の内部に配置されている構成も採用可能である。
【0039】
また、凹部344の内部にセンシング装置50を配置する際は、例えば防振ゴムのような弾性部材等の振動減衰部材54を介在させてもよい。振動減衰部材54を介在させることでセンシング装置50に伝わる振動を抑制でき、センシング装置50の検知精度の低下を防ぐことができる。
【0040】
本実施形態において、凹部344の内面を形成する内壁345は全周にわたってセンシング装置50Rよりも車幅方向外側に延びるように形成されている。しかしながら、内壁345の構成はこれに限らず、その一部が車幅方向外側に延びるように形成されていてもよい。また、内壁345は、センシング装置50Rの検知範囲に応じて、センシング装置50Rの車幅方向外側のみならず車両前後方向後側に延びるように形成されてもよい。センシング装置50Rの検知範囲と内壁345の延出方向を合わせることにより、検知範囲外の方向に照射された超音波が内壁345に反射するので、検知範囲のみに超音波を照射することができる。
【0041】
車両1は、センシング装置50と制御ユニット64とを接続する電装ハーネス52をさらに含む。電装ハーネス52は、センシング装置50から空洞部349を通って制御ユニット64まで延びている。本体341及び振動減衰部材54には凹部344から空洞部349につながるように孔341aおよび54aが形成されている。この孔341aおよび54aを通過してセンシング装置50に接続された電装ハーネス52が空洞部349へ延びている。このように、電装ハーネス52が空洞部349を通るので、基板347の電装ハーネス348と配策を共通化することができる。
【0042】
弾性部材36は、衝突時や転倒時に方向指示部34Rの折損を防ぐために固定部91と方向指示部34Rとの間に介在している。弾性部材36は、方向指示部34Rの本体341内部と外部とを連通する連通部361を有する。本実施形態では、連通部361は本体341内部とカウルサポートステー9内部とを連通する連通孔である。連通部361から光源346の熱が放出されるので、センシング装置50R周辺の温度上昇を防ぐことができ、センシング装置50Rの検知精度の低下を防ぐことができる。また、弾性部材36は、基板347およびセンシング装置50Rと接続する電装ハーネス348および52をカウルサポートステー9内部に導くハーネス通路(不図示)を有しており、連通部361とハーネス通路(不図示)共通化してもよい。なお、連通部361は空洞部349と外部との連通がなされていればよく、例えば弾性部材36と本体341とが接する箇所に切り欠き等を設け、空洞部349と外部とを連通させてもよい。
【0043】
図5は、車両1の制御系のブロック図であり、特に、センシング装置50とメータパネルMPの制御に関わる制御ユニット64のブロック図である。制御ユニット64は、メータパネルMPを車両周辺の情報を表示する報知ユニットとしても機能させ、センシング装置50の検知結果に基づいてその表示を制御する。制御ユニット64は、処理部641と、RAM、ROM等の記憶部642と、外部デバイスと処理部641との信号の送受信を中継するインタフェース部643と、を含む。処理部641は、CPUに代表されるプロセッサであり、記憶部642に記憶されたプログラムを実行する。記憶部642には、処理部641が実行するプログラムの他、各種のデータが格納される。インタフェース部643には、センシング装置50の検知結果が不図示の信号処理回路を介して入力される。
【0044】
処理部641が実行する処理の例について説明する。処理部641は、基本の処理として、入力されたセンシング装置50の検知結果に基づき周辺車両等の障害物の有無を判定する。処理部641は、周囲に障害物があると判定すると、メータパネルMPにその旨を表示させて運転者に報知する。例えば、メータパネルMPは、周辺車両が接近していることを示すインジケータランプを点灯したり、メータパネルMPの表示面に車両の接近を知らせる文字を表示したりする。
【0045】
一方で、処理部641は、入力されたセンシング装置50の検知結果が異常値である、もしくは所定の距離内に障害物がある、と判定されると、運転者に対して、同乗者がセンシング装置50を覆わないように促す報知を行う。ここで、所定の距離は、例えば同乗者の手や衣服によってセンシング装置50が覆われ得る距離に設定してもよい。このとき、処理部641は、メータパネルMPに上述の基本の処理と異なる態様で表示を行わせる。メータパネルMPは、例えば、基本の処理と異なるインジケータランプを点灯したり、同乗者がセンシング装置50を覆わないように促す文字を表示したりする。このように、センシング装置50の検知範囲Aが同乗者の手や衣服等によって遮られた際に運転者に報知されるので、運転者に検知領域Aを塞がないように促すことができる。
【0046】
また、運転者への報知の態様としては、例えば車両1がスピーカー(不図示)等をさらに備え、スピーカー等が制御ユニット64からの指示により警告音を発することで報知してもよく、インジケータと警告音の組み合わせも採用可能である。スピーカー等によって警告音を発することにより、運転者ではなく同乗者に対し、センシング装置50が覆われていることを直接報知することができる。
【0047】
<本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態によれば、センシング装置50が車両本体8の側面よりも車幅方向外側に設置されるので、運転者や車両の部品によって超音波の照射が遮られることを抑制することができる。また、車両本体の側面に配置する場合と比べて配置位置が路面に対して高さを有するので路面反射によるノイズを抑制することができる。さらに、方向指示部の光源とセンシング装置のハーネスの経路を共通化することができる。
【0048】
また、センシング装置50が凹部344の内部に配置されるので、センシング装置50の露出範囲を小さくなり、センシング装置50を保護することができる。また、センシング装置50から照射された超音波が内壁に反射するので、狙った検知範囲に超音波を照射することができる。また、内壁によって超音波の照射角度が小さくなるので、超音波が増幅されセンシング性能を向上することができる。
【0049】
また、弾性部材36は、連通部361を有するので、方向指示部内における光源およびセンシング装置50の排熱性を向上することができる。したがって高温によるセンシング装置50の検知精度の低下を防ぐことができる。また、センシング装置50は振動減衰部材54を介して方向指示部34に設けられるので、方向指示部34の振動がセンシング装置50に伝達するのを抑制することができる。
【0050】
<他の実施形態>
上記実施形態では、前方の方向指示部にセンシング装置50Rを配置する構成について説明したが、後方の方向指示部にセンシング装置50Rを配置する構成も採用可能である。図6は、他の実施形態に係るセンシング装置50の配置を示す平面図である。このときのセンシング装置50の検知範囲をSA2で示す。後方の方向指示部29にセンシング装置50を配置することで、車両側方から後方にかけての周辺車両の有無等を検知することができる。
【0051】
図7は方向指示部29Rの上面から見た断面図である。センシング装置50Rは方向指示部29Rの先端部293に配置されている。方向指示部29Rは、本体291と、本体291の空洞部299に収容される光源296と、本体291の前方に配置され、光源296から出た光を通すレンズ292とを含み、弾性部材36を介してリアフェンダ27に支持されている。本実施形態では、光源296は基板297上に1または複数のLED素子(不図示)が配置されて構成されている。基板297は、電装ハーネス298を介して後述の制御ユニット64と接続している。
【0052】
本体291は、その先端部293に車幅方向外側または車両前後方向後側に開口した凹部294を有しており、センシング装置50Rは凹部294の内部に設けられている。本実施形態では、センシング装置50振動減衰部材54を介して凹部294に設けられている。振動減衰部材54を介在させることでセンシング装置50に伝わる振動を抑制でき、センシング装置50Rの検知精度の低下を防ぐことができる。
【0053】
凹部294の内面を形成する内壁295は全周にわたってセンシング装置50Rよりも後方に延びるように形成されている。センシング装置50Rが凹部294の内部に配置されるので、センシング装置50Rの露出範囲を小さくなり、センシング装置50Rを保護することができる。また、センシング装置50Rから照射された超音波が内壁295に反射するので、狙った検知範囲に超音波を照射することができる。また、内壁295によって超音波の照射角度が小さくなるので、超音波が増幅されセンシング性能を向上することができる。
【0054】
弾性部材36は、方向指示部29Rの本体291内部と外部とを連通する連通部361を有する。本実施形態では、連通部361は本体291内部とリアフェンダ27内部とを連通する連通孔である。連通部361から光源296の熱が放出されるので、センシング装置50R周辺の温度上昇を防ぐことができ、センシング装置50Rの検知精度の低下を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0055】
1 鞍乗型車両、34 方向指示部、50 センシング装置
図1
図2
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図5
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図7