(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
光線は、有効な複屈折が変化しうる材料を利用することによって方向変更または方向付けすることができ、その結果、屈折率の変化をもたらす。光が一つの材料を通って移動し、そして異なる屈折率の別の材料と遭遇する時に、その速度は、他の材料の中へと伝搬するにつれて変化する。光が一つの材料を出て、そして材料間のオーバーレイと直交する角度で次の材料に入る場合、光は速度を変化させるが、伝搬方向は変化しない。しかしながら、光が材料間のオーバーレイに対してある角度で第二の材料に入る場合、光の伝搬方向も変化することになる。この現象は屈折と呼ばれ、スネルの法則によって説明されている。
【0010】
図1は、n
2>n
1である、異なる屈折率n
2およびn
1を有する二つの媒体間の界面/境界での光の屈折を図示する。第二の媒体内での速度(v
2)は、第一の媒体内での速度(v
1)より小さい、すなわち、v
2<v
1であるため、屈折角θ
2は、入射角θ
1より小さい。別の言い方をすれば、屈折率がより高い媒体内の光線/ビームは、表面法線により近い。スネルの法則(スネル−デカルトの法則および屈折の法則としても知られる)は、水、ガラス、または空気などの二つの異なる等方性媒体の間の境界を通過する光または他の波に言及する時に、入射角と屈折率との間の関係を記述するために使用される公式である。光学では、スネルの法則は、入射角または屈折角を計算するための光線追跡で使用され、また実験的光学では、材料の屈折率を見つけるために使用される。
【0011】
スネルの法則は、入射角および屈折角の正弦の比は、二つの媒体内での位相速度の比と等しいか、または屈折率の比の逆数と等しいと述べている。
【0013】
式中、各々θは、境界の法線から測定された角度、vはそれぞれの媒体中での光の速度(SI単位ではメートル毎秒、またはm/s)、λはそれぞれの媒体中での光の波長、そしてnはそれぞれの媒体の屈折率(単位なし)である。
【0014】
本発明のビームステアリング装置の一実施例では、二つの異なる材料が、界面/境界面において互いに当接している。光線、または他の電磁ビームは、ある角度でこの界面に遭遇する。材料のうちの少なくとも一つは、その屈折率を変化させることができる電気活性材料である。この界面において電気活性材料の屈折率の一つの値では、ビームは、その方向の角度を一つの量だけ変化させるが、屈折率の第二の値では、光線は、その方向の角度を第二の量だけ変化させる。屈折率を別個のステップで変化させることができる場合、光線を別個の角度に方向変更することができる。屈折率をアナログ的または連続的な様態で変化させることができる場合、光線の角度もアナログ的/連続的な様態で変化させることができる。
【0015】
電気活性材料、例えば、液晶(LC)は、分子がある特定の方向に向けられたとき、その屈折率を変化させる能力を有し、すなわち、可変屈折率を有する。例えば、分子の長軸がそれらを通って移動する光の方向と直交するように配向された細長い分子を有するネマティック液晶の場合、光の偏光が分子の長軸に平行である場合、屈折率は1.7であってもよい。その後、それらを通って移動する光の方向と長軸が平行になるように分子の配向が変更する場合、屈折率を1.5に変化してもよい。
【0016】
図2A〜
図2Cは、互いに平行に定置され、それらの間に約1μm未満、約1μm〜約10μm、10μm超(それらの間のすべての値およびサブレンジを含む)とすることができる小さい間隙を有する基材205を有する例示的なビームステアリング装置200を図示する。導電性であるが光学的に透過する材料、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)が、互いに面している基材の表面上に被覆される。これらの導電層は、時として電極または電極層210と呼ばれる。これらの電極の上面の外側には、液晶分子を表面に平行に整列させる、または負の誘電体液晶を使用する場合には垂直に整列させる材料の層がある。負の誘電体液晶は、ドイツのダルムシュタットのMerckから入手可能である。こうした配向表面は、プロセスに平行なマイクログルーヴをその表面へと摩擦したポリイミド、または例えば、スイスのバーゼルのRolic(BASF社の一社)によって製造されたUV硬化アライメント材料、もしくは日本の日産化学によって製造されたポリイミドなど、同じ効果を達成するための他の材料およびプロセスであってもよい。これらの表面は、時として配向層215と呼ばれる。電極/電極層およびその配向層の組み合わせは、時としてオーバーレイと呼ぶことができる。
【0017】
図2Aは、電極210の間で回路225によって電界が印加されていない時、配向層15の固着力が、LC分子220のその長軸をビームステアリング装置200の基材205に平行になるように、かつ光軸230と直交するようにどのように整列させるかを図示する。この状態では、LC材料220の屈折率は、第一の値、例えば、n=1.7である。
【0018】
図2Bでは、小さい電界が回路225によって電極210の間に印加され、LC分子220の長軸を、配向層15から離れるように、そして基材205と直交し、かつビームステアリング装置200の光軸230と平行な電界の方向に向かって、部分的に回転させる。電界が比較的低い値、例えば、0.5ボルトである場合、LC分子220に対する配向層215の回転変化力は電界の力よりも大きいため、LC分子220は比較的少ない量だけ回転する。この状態では、LC分子220の長軸は、電界の方向よりも配向層215の平面により向かって(すなわち、基材205に平行ではなく、むしろ直交して)整列される。この状況では、屈折率は、その総許容範囲を少ない量だけ変化させ、例えば、1.7から1.62へと変化してもよい。一般に、本明細書に開示されるビームステアリング装置のいずれかに対する屈折率の例示的な許容範囲は、0.25未満、約0.25〜約0.40、または0.40より大きくすることができる(それらの間のすべての値およびサブレンジを含む)。
【0019】
図2Cでは、
図2Bで印加されたものより高い電圧が回路225によって印加され、これは配向層215によって印加される力よりも大きい回転力をLC分子220に対して作り出す。結果として、LC分子220の長軸は、配向層215の平面(複数可)より、電界の方向と比較的多く、かつ光軸230に平行に整列する。この状況では、屈折率はさらに変化/減少し、例えば、1.55へと変化する場合がある。電界がより低い電圧またはゼロ電圧に戻ると、配向層215の固着力は、LC分子220をその配向を
図2Aに示す当初の状態に戻す。
【0020】
LC分子の、配向層の平面(複数可)と実質的に平行な配向から、電界の方向と実質的に平行な配向への変化率/変化速度は、印加される電圧のレベルによって影響される可能性がある。必要とされるより高い電界が印加される場合、すなわち、LC分子を最大許容回転角度まで回転させるのに必要とされるより高い場合、回転は、最大許容回転角度を実現するために最小必要電圧が印加される場合より速い。一般に、最小必要電圧は、LC分子の回転に影響を与えるために必要とされる電圧とすることができ、かつ約0.5V〜約3Vとすることができる。一部の事例では、最小必要電圧は、0.5V未満とすることができ、または一部のLC材料の場合など、3Vより大きく(例えば、40V以上)することができる。
【0021】
例えば、ビームステアリング装置が、電界を用いて最大許容配向(例えば、90度)までLC分子を完全に回転させるために5Vを必要とする場合、配向層の配向から電界の配向まで回転する時間は、例えば、300msであってもよい。しかしながら、10V(すなわち、5Vの最小必要電圧よりも大きい)が印加された場合、回転の時間は、例えば、100ms程度までより短くなるであろう。20ボルトを印加した場合、回転の時間はさらに短くなることになる。
【0022】
別の実施例では、配向層の配向から二つの状態の間の中間にLC材料を回転させるために必要とされる電圧(すなわち、
図2Bに図示するように、配向層の配向と電界の配向との間)は2.3Vであり、そして2.3Vが印加され、例えば、この回転を完了させるには250msかかる場合がある。しかしながら、5Vなどのより高い電圧が印加された場合、この回転を100msで横断する場合がある。所望するより多くLC分子を回転させることなくこの応答の利点を利用するためには、5Vを100msの間、「スピード」電圧として印加し、次に「保持電圧」として2.3Vに切り換えてもよい。これらの「スピードアップ」方法/アプローチは、時として所望の配向を実現するためにLC材料を過剰駆動することとして知られる。過剰駆動にもかかわらず、配向層の固着力が電気エネルギーよりも弱いため、またLC材料の弾性定数(例えば、弾性率)に起因して、配向層の平面の配向に向かってLC材料が戻る速度は遅い可能性がある。例えば、より高い弾性率を有するより硬性またはより粘性の高い材料の分子は、より低い弾性率を有する材料の分子よりも、配向層の配向を有するようにそれらの配向を変化するのがより遅い可能性が高い。結果として、レンズをオフ位置(すなわち、LC材料が配向層の平面と整列している時)からオン位置(すなわち、LC材料が電界の方向と少なくとも部分的に整列している時)へと切り替える速度は、過剰駆動によって増加する場合があるが、ビームステアリング装置200では、LC材料の向きを変更する唯一の力が、配向層によって印加される比較的弱い力であるため、オンからオフへの切り替えの速度を過剰駆動によって増加させることはできない。
【0023】
[ビームステアリング装置]
本明細書において、液晶分子の配向が両方向で調整される時に、液晶分子(および一般に、用いられてもよい任意の電気活性材料)の配向の変化を速めることができるビームステアリング装置が開示される。これを達成するために、台形状断面を有するLC空洞を形成するように、二つの追加的な類似した基材が
図2A〜
図2Cに示すもののような二つの基材へと取り付けられ、平行な側面は装置の光軸に平行である。配向層は、これらの追加的な基材に対して任意選択的である。面/基材のうちの一つは、その対向する基材と平行ではなく、その代わりに、例えば、約1度未満、約1度〜約60度の間、60度超(それらの間のすべての値およびサブレンジを含む)で、対向する基材に対して、角度を有する、または傾斜している。基材は、それらのそれぞれの電極層が互いに電気的に絶縁されるように組み立てることができる。
【0024】
図3A〜
図3Cは、第一のオーバーレイ330、第二のオーバーレイ335、第三のオーバーレイ340、および第四のオーバーレイ345を含むビームステアリング装置300を図示する。各オーバーレイは、基材に結合されてもよく、また
図2A〜
図2Cに対して説明されるように、電極層360(例えば、導電性でかつ好ましくは光学的に透明な被覆、例えば、ITO、銀ナノワイヤ、PEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)など)と、任意選択の配向層355(例えば、摩擦ポリイミドから構成されるが、電気活性材料の整列に影響を与えることができる任意の好適な材料を用いることができる)と、を含んでもよい。オーバーレイ330、335、340、および345のうちの一つ以上の上にある配向層は、ビームステアリング装置300が無給電状態(すなわち、電界がない場合)であるときに液晶材料を整列し、そして電気活性分子/材料の配設における不連続性を減少する。
【0025】
オーバーレイ330、334、340、345に結合する基材(複数可)は、単一の連続的な基材とすることができ、または複数の不連続な基材から構成することができ、これらの可能な基材レイアウトの各々は、時として集合的に「基材」と呼ばれる。こうした基材はまた、電気活性材料を保持するための封止された内部空洞370を形成するために必要とされる、または形成することが望ましい、基材と同一の材料もしくは基材とは異なる材料で作製された任意の追加的な構成要素(図示せず)も含むことができる。例えば、基材は、オーバーレイ330、335、340および345の電極層を互いから電気的に分離し、かつ液晶材料などの電気活性材料365用の装置300の内側の空洞を封止するために、装置300の四隅の各々に定置されてもよいシール350を包囲するか、またはそれらに結合することができる。各基材自体は、特徴を有することができ、固定された屈折率(例えば、約1.3〜約2.5(それらの間のすべての値およびサブレンジを含む))を有することができ、かつガラス、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、石英、融合シリカ、およびそれらの組み合わせなどの材料から構成することができる。空洞内の例示的な電気活性材料は、液晶(例えば、Merck MLC−2140)である。
【0026】
図3Aに示すように、第一のオーバーレイ330が平面P1を画定し、第二のオーバーレイ335が平面P2を画定し、第三のオーバーレイ340が平面P3を画定し、そして第一のオーバーレイ345が平面P4を画定するように、各オーバーレイは平面を画定する。図示するように、第四のオーバーレイ345の平面P4は、その対向するオーバーレイ340の平面P3と平行ではなく、またそれに対して傾斜している。一方で、第一のオーバーレイ330の平面P1は、その対向するオーバーレイ335の平面P2と実質的に平行である。
図3Aにも図示するように、装置300は、電気活性材料の配向をそれに対して測定することができる光軸375を画定することができる。
【0027】
ビームステアリング装置300の例示的な使用の間に、過剰駆動方法を利用して高速での液晶回転を誘導するために、電界が対向するオーバーレイの任意の組(例えば、オーバーレイ330、335)の間に印加されてもよい。その後、その電界を除去して、別の電界をもう一方の二つの対向するオーバーレイ(例えば、オーバーレイ340、345)に印加して、液晶を新しい電界の軸に沿って整列させてもよい。これは、例えば、単一の電気供給源を使用することによって達成することができ、その出力は、一方の電界の生成またはもう一方の電界の生成に影響を与えるように切り替えられる。一部の事例では、両方の電界が同時に生成される/存在するように、二つの供給源を使用することができる。
【0028】
装置300の構成では、過剰駆動を、二つの異なる方向(すなわち、オーバーレイの両方の組の間)に適用することができ、過剰駆動が一方向にのみ利用可能である
図2A〜
図2Cの装置200と比較して、両方の方向においてより速い回転を可能にする。二つの電界は、同時に両方の方向に、または一時的に重複する様態で、任意の所与の時間において一つずつとなるように存在することができる。二つの電界を、単一の供給源を使用して、または各電界に対して異なる供給源を用いて生成することができる。
【0029】
両方の電界が振幅において実質的に互いに等しい場合、液晶分子を、その利用可能な/許容される総回転内の中間回転において保持することができる。一つの電界がもう一方より大きい場合、液晶分子は回転し、そしてより強い電界の方向により大きい程度に整列する。一方の電界がもう一方よりわずかに大きい場合、整列方向は、より強い電界の方向にわずかにより多く沿う。より強い電界が、より弱い電界に対して強度を増加すると、より強い電界に向かってより多くの回転が生じる。電界の相対的な強度をアナログの様式で変化させることによって、液晶の回転もアナログの様式で調整されてもよい。過剰駆動はまた、上述のアナログ制御で使用されてもよく、この場合、短く必要とされるよりも大きい電圧が印加される。
【0030】
オーバーレイ330および335上に形成された均質な配向層がある場合、液晶材料365は、
図3Aに示すように、オーバーレイ330、335の平面P1、P2に平行に、かつ光軸375に沿って整列することになる。ここで、オーバーレイ340、345の間に電界が印加される場合、液晶分子365は、依然として同じ方向に整列するが、オーバーレイ330、335の配向層によって提供される整列力に加えて、電界が追加されることになる。配向層がオーバーレイ330、335上に存在しない場合、オーバーレイ340、345の間の電界は、整列を実施することになるが、しかしながら一部の不連続性自体が存在する場合がある。
図3Aに示す材料365の配向では、左から右へと(すなわち、オーバーレイ340からオーバーレイ345へと)移動する光によって経験される材料365の屈折率は、適切に偏光された場合に材料365について最小であり、かつ材料365の上から下へと(すなわち、オーバーレイ330、335の間で)移動する同じ光に対する屈折率はその最大である。
【0031】
図3Bは、オーバーレイ340、345の間の電界が除去される一方で、材料365の完全な回転を引き起こすのに十分に強い電界がオーバーレイ330、335にわたって印加され、分子をオーバーレイ340の平面P3に平行に整列させることを図示する。ここでは、左から右へと(すなわち、オーバーレイ340からオーバーレイ345へと)移動する光に対する液晶の屈折率は、適切に偏光された場合に最大であり、一方で、図において上から下へと(すなわち、オーバーレイ330、335の間で)移動する同じ光に対する屈折率は最小となることになる。
【0032】
図3Cは、オーバーレイ340、345の間の電界が除去される一方で、材料365の半回転を引き起こすのに十分に強い電界がオーバーレイ330、335にわたって印加され、材料365の分子を垂直と水平との途中まで整列させる、すなわち、平面P1の角と平面P3の角との間に傾斜させることを図示する。しかしながら、
図3Cはまた、オーバーレイ340と345との間の電界だけでなく、オーバーレイ330と335との間の電界が存在し、かつ図示するように分子を整列させるために相互作用するときの、材料365の分子の状態の例示でもある。水平(すなわち、オーバーレイ340からオーバーレイ345へ)および垂直(すなわち、オーバーレイ330、335の間)の両方を移動する光によって経験される液晶の屈折率は、ほぼ等しい。
図3Bに図示されるように、電源380とコントローラ385との組み合わせは、電界の印加を生成および制御するために使用することができる。コントローラは、ビームステアリング装置300の動作に関連付けられた命令またはコードの組を実施および/または実行するように構成された、任意の好適な処理装置とすることができる。コントローラは、例えば、汎用プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)および/またはこれに類するものとすることができる。
【0033】
図4A〜
図4Cは、装置300と構造的かつ/または機能的に類似している可能性があるビームステアリング装置400を用いて、可変ビームステアリングをどのように達成することができるかを図示する。
図4Aでは、電界は、オーバーレイ440、445の間に印加される、
図3Aに記載されるものと同じ条件/状態にある。チャンバー/空洞420の内側の電気活性材料(例えば、液晶)の屈折率は、入射光線480用のオーバーレイ440での屈折率(基材の屈折率と本質的に同じ)と等しい。光線480は、自由空間結合および光ファイバーなどの結合光学機器の使用を含む、任意の好適な様態でオーバーレイ440の中へと結合することができる。光線480は、その表面と直交してオーバーレイ440に入るか、またはその上に入射するので、オーバーレイ440の外側の媒体(典型的には、1の屈折率を有する空気)の屈折率がオーバーレイ440の屈折率よりも小さくても、基材の上への光の入射角が直角であるため、光の屈折は生じない。光線480は、可視波長(例えば、約400nm〜約700nm(それらの間のすべての値およびサブレンジを含む))、UV波長(例えば、10nm〜約400nm(それらの間のすべての値およびサブレンジを含む))、およびIR波長(例えば、全800nm〜約1mm(それらの間のすべての値およびサブレンジを含む))を含む、一つ以上の波長を含むことができる。
【0034】
次に、光線480は、オーバーレイ440を通って移動し、そして空洞420内の液晶に入る。光線480は、空洞420内の液晶とオーバーレイ440との間の界面に対して依然として直交しているので、液晶の屈折率にかかわらず、屈折は起こらない。光線480は、空洞420内の液晶を通って移動し、そしてオーバーレイ445に入る。オーバーレイ445は、光線480への非垂直の入射角にある(すなわち、図示されるように、オーバーレイ440に対して傾斜角α
1で傾斜している)が、液晶とオーバーレイ445との屈折率が等しいため、屈折は発生しない。光線80がオーバーレイ445を出ると、異なる屈折率(例えば、この場合も空気)に遭遇するため、オーバーレイ445の出口表面と光線との間の角度は、光線を角度495で屈折させる。それ故に、入力光線/入射光線480は、出力光線490へと方向変更される。時として屈折角と呼ばれる角度495は、
図4Bおよび
図4Cで図示するものと比べて、比較的小さい。
【0035】
図4Bでは、電界は、オーバーレイ430、435の間に印加される、
図3Bに記載されるものと同じ条件/状態にある。印加される電界は、液晶分子を電界に完全に整列させるのに十分ではなく、部分的な回転のみが生じる。チャンバー/空洞320の内側の液晶の屈折率は、ここでは光線480に対するオーバーレイ440での屈折率より高い。光線480は、その表面と直交するオーバーレイ440の中へと入るため、オーバーレイ440の外側の媒体の屈折率がオーバーレイ440での屈折率より小さくても、オーバーレイ440上への光の入射角が直角であるため、光の屈折は生じない。次に、入射光線/入力光線480は、オーバーレイ440を通って移動し、空洞420内の液晶に入る。これは、空洞420内の液晶とオーバーレイ440との間のオーバーレイに対して依然として直交しているので、液晶の屈折率にかかわらず、屈折は起こらない。光線80は、空洞420内の液晶を通って移動し、オーバーレイ445に入る。オーバーレイ445は、光線480の方向に対する非垂直の角度にあり、また空洞420内の液晶の屈折率は、ここではオーバーレイ445の屈折率より高いため、結果として液晶とオーバーレイ445との間の界面で上向きの光の屈折がもたらされる。光線480がオーバーレイ445を出ると、この場合もそれが入る新しい媒体(例えば、空気)の異なる屈折率に遭遇するため、オーバーレイ445の出口表面と光線480との間の角度は、光線を角度405によってさらに屈折させる。それ故に、光線480は光線425へと方向変更される。角度405は、ここでは、液晶からオーバーレイ445への境界で生じた光の屈折に、オーバーレイ445から出口媒体への境界で生じた光の屈折を加えたものからの伝搬の変化の合計であり、一方で
図4Aにおける光の屈折は、オーバーレイ445から出口媒体への境界でのみ生じるので、角度405は、
図4Aでの角度495より大きい。
【0036】
図4Cでは、電界は、オーバーレイ430、435に印加される、
図3Cに記載されるものと同じ条件/状態にある。オーバーレイ430、435の間に印加される電界は、ここでは
図4Bで印加される同じ電界より強く、かつ液晶分子をその電界と完全に整列させるのに十分な強度である。チャンバー/空洞420の内側の液晶の屈折率は、ここでは
図4Bに記載される条件における屈折率よりもさらに高く、また入射/入力光線480に対するオーバーレイ430より高い。光線480は、その表面と直交してオーバーレイ440の中へと入るため、オーバーレイ440の外側の媒体の屈折率がオーバーレイ440での屈折率よりも小さくても、基材上への光の入射角が直角であるため、光の屈折は生じない。次に、光線480は、オーバーレイ440を通って移動し、空洞420内の液晶に入る。光線480は、空洞120内の液晶とオーバーレイ440との間の境界に対して依然として直交しているので、液晶の屈折率にかかわらず、屈折は起こらない。光線480は、空洞420内の液晶を通って移動し、オーバーレイ445に入る。基材445は、光線480の方向に対してある角度にあり、また空洞420内の液晶の屈折率は、ここではオーバーレイ445の屈折率よりはるかに高いため、結果として液晶とオーバーレイ445との間の境界で光の屈折がもたらされる。二つの材料の間の屈折率の差がより大きいことに起因して、
図4Bで見られるものより大きい屈折がある。光線480がオーバーレイ445を出ると、この場合もそれが入る新しい媒体の異なる屈折率に遭遇するため、オーバーレイ445の出口表面と光線との間の角度は、光線を角度415で屈折させる。それ故に、入力光線480は、出力光線410へと方向変更/方向付けされる。角度115は、ここでは、液晶からオーバーレイにおいて生じる、より大きい量の光の屈折に加えて、基材から出口への媒体界面で生じる光の屈折の合計であるため、角度115は、
図7Bの角度105より大きい。
【0037】
図4A〜
図4Cは、結果として液晶材料に対して三つの異なる屈折率の値をもたらし、結果として出力ビームの三つの別個の屈折角をもたらす、三つの別個の設定を図示する。しかしながら、オーバーレイのいずれかの組に印加される電界は、アナログ的かつ連続的な様態で変化させることができ、結果として、行うことができる出力ビームステアリングの量のアナログ変化をもたらす。例えば、屈折率が最小値またはより低い値と最大値またはより高い値との間で変化するように、オーバーレイの対の間に印加される電界の一方または両方を掃引することができる。屈折率の対応する変化は、線形または非線形とすることができる。さらに、上述の過剰駆動方法は、
図4A〜
図4Cに記載の電界のいずれかに対しても使用することができ、結果として、過剰駆動方法を使用することなく達成可能であるよりもはるかに速い光線角度変更/ビームステアリングをもたらす。
【0038】
図5Aおよび
図5Bは、3D直角台形として形成されるビームステアリング装置500(装置300、400と構造的および/または機能的に類似とすることができる)の3D斜視図を図示する。装置500は、互いに対して平行な平面を有するオーバーレイ530、535と、その対向するオーバーレイ540の平面に対して傾斜した平面を有するオーバーレイ545と、を含む。使用中、オーバーレイ545は入射光線を受光し、一方でオーバーレイ545は、
図3A〜
図3C、
図4A〜
図4Cに関連して説明したように出力光線を出力する。装置500の内部は、電気活性材料を保持するための空洞570を画定する。
図5Bに図示するように、カバー580は、空洞570を封止するために装置500の両端に配置されてもよく、またカバー580のうちの少なくとも一つは取り外し可能であってもよい。オーバーレイ530、535間の距離、オーバーレイ540、545間の距離、および/またはカバー580間の距離は、独立して、約1μm〜約15μm(それらの間のすべての値およびサブレンジを含む)とすることができる。ビームステアリング装置300、400、500のうちのいずれかに対する屈折度を変化させるための切替え速度は、約1μs〜約5ms(それらの間のすべての値およびサブレンジを含む)とすることができる。
【0039】
比較的な切替え速度の例として、
図2A〜
図2Cにおけるビームステアリング装置200は、LC分子220の配向を、過剰駆動で配向層の向き(
図2A)から電界の向き(
図2C)へと10ms以内に変化させることができる。しかしながら、電界の除去に伴い、LC分子220がそれらの配向を電界の向き(
図2C)から配向層の向き(
図2A)へと戻すように変化させるには、50msの時間がかかる。対照的に、
図3A〜
図3Cにおけるビームステアリング装置300は、装置200と同様に、LC分子365の配向を、過剰駆動で配向層の向き(
図3A)から電界の向き(
図3C)へと10ms以内で変化させることができる場合がある。しかしながら、一方の電界の除去、およびもう一方の(すなわち、もう一方の界面の対の間の)印加に伴い、LC分子365は、ここではその配向を電界の向き(
図3C)から配向層の向き(
図3A)へとより迅速に、また別の電界の印加に起因して類似した速度で戻すように変化させる。そのため、配向層の配向に戻す配向のこの変化も、装置300に対する過剰駆動モードにおいて、約10msで生じさせることができる。
【0040】
[応用]
こうしたビームステアリング装置の例示的な応用は、多軸走査(例えば、2D/XY、または3D、または一般にnD走査)用であり、多軸走査は、これらの装置で達成された改善されたビームステアリング速度から利益を得ることになるさまざまな応用での使用を見いだすことができる。こうした応用では、第一のビームステアリング装置が初期入力光線を受光し、次のビームステアリング装置によって消費するために出力光線を出力するなど、これらのビームステアリング装置のうちの二つ以上を直列/カスケードで使用することができる。各ビームステアリング装置は、その入力光線を、互いのビームステアリング装置の異なる軸に沿って屈折させることができる。例えば、カスケード内の第一のビームステアリング装置は、入力光線を受光し、X軸(例えば)に沿って屈折したものとして光線を出力することができる。第二のビームステアリング装置は、この出力光線をその表面に直交するものとして受光し、Y軸(例えば)に沿って屈折するように位置付けられる。第三のビームステアリング装置は、この出力光線を第二のビームステアリング装置からその表面に直交するものとして受光し、Z軸(例えば)に沿って屈折するように位置付けられる。得られた出力ビームは、次に各軸に対して独立して制御可能な特定のXYZアドレス指定可能性を有することができる。
【0041】
こうしたビームステアリング装置の別の例示的な応用は、例えば、光学的逆多重化アプローチにおけるもののためなどの、多段階ビームステアリング用である。第一の段階は、入射光線を受光し、これを出力光線として、別個の所定の量だけ屈折して出力する(すなわち、第一のビームステアリング装置の電気活性材料の屈折率を選択的に変化させることによって)ことができるように動作できる第一のビームステアリング装置を含むことができる。出力光線が実現することができる各屈折度について、出力光線は、第二の段階の異なるビームステアリング装置に結合され、これは次に、応用に応じて任意の好適な様態で動作することができる(例えば、光線を破棄し、追加的な下流光学構成要素等に結合するために)。
【0042】
こうしたビームステアリング装置のさらに別の例示的な応用または使用は、生成された仮想画像のためのアイウェアにおける構成要素とすることができる。例えば、こうしたビームステアリング装置は、複合現実または拡張現実(AR)においてなど、スキャンされた画像を眼中へと投影するための、スマートコンタクトレンズ、眼鏡、またはヘッドマウントディスプレイで有用である場合がある。AR装置は、現実世界で見られるものに加えて、ユーザーが見る仮想画像を作り出す。従来のAR装置は、典型的には、画像を目に中継するために、反射体または鏡とともに小さいディスプレイ画面を含む。こうしたディスプレイ画面を眼鏡フレームに追加することは、フレームに嵩および重量が追加され、一方でこうしたディスプレイ画面をコンタクトレンズに追加することは不可能である。本発明の装置は、ディスプレイ画面を置き換え、かつこれらの制限を克服する。
【0043】
スマートコンタクトレンズに本発明の技術を使用する事例では、ビームステアリング装置は、全厚(例えば、
図5A〜
図5Bのオーバーレイ540、545の間の距離)がコンタクトレンズの厚さ(典型的には厚さ約0.1mm)未満とすることができるように製作される。この装置は、眼の光軸に沿ったシングルスタックとして、または一部の構成要素がより厚く、装置全体が要求されるより厚い、望ましい場合には鏡の使用を伴う、光源、ビームステアリング装置、および任意の視準光学機器を含むことが可能である。例えば、光源は、光を「横方向」に、すなわち目の光軸と直交してユーザーの網膜上に投影し、その後、目の光軸に沿って、かつビームステアリング装置の中へと方向変更することができる。構成要素のいずれかまたはすべては、目の光軸と直交して配置され、その後、鏡または反射構成要素を用いて目の光軸に方向変更される。
【0044】
図6A〜
図6Bは、スマートコンタクトレンズ600内のこうしたビームステアリング装置の例示的な使用を図示するが、これは、画像を描画/表示するために、ビームを直接的に眼中へと投影するか、またはビームを眼の外側の表面の上へと投影するかのいずれかのために、任意の種類のレンズ(例えば、眼内レンズ)、眼鏡、およびヘッドマウントディスプレイなどの任意の好適なアイウェアに対して適用可能である。ここで、光源670およびビームステアリング装置665(装置300、400、500と構造的および/または機能的に類似したものとすることができる)がその中に埋め込まれたレンズ655は、位置650において埋め込まれたスタック665として、連結され、かつ/または形成される。光源670は、結合光学機器を有して、または有さないで、ユーザーの網膜660上に投影するためのスポット(例えば、画像またはビデオデータの)として光信号を生成するように構成することができる。光信号は、例えば、アンテナコイル、またはレンズ655に埋め込まれたかまたは結合された他のネットワークインターフェースを介してなど、遠隔供給源から受信したデータに基づいて生成することができる。電源とコントローラの組み合わせは、そのいずれかがレンズ655に埋め込まれるか、またはレンズ655に結合されていてもよく、光源670およびビームステアリング装置665の動作を制御するために使用することができ、特に受信したデータに基づいて光信号の生成を制御するために使用することができる。ビームを方向付けするためにコントローラによって制御されるビームステアリング装置に加えて、コントローラはまた、連続的な線を描画するのではなく、個々の光の点を作り出すように、光源をオンおよびオフに切り替えることも可能である。明確にするために、一つのビームステアリング装置が図示されているが、上述のように二つ以上を順番に積み重ねることができる。
【0045】
次いで、ビームステアリング装置665は、
図3A〜
図3C、
図4A〜
図4Cに記載されるように、およびCRTブラウン管がリンスクリーン上に画像を描画する方法と同様に、光源670から光信号を直接的にまたは結合光学機器を介して受信し、かつ網膜660上に画像を描画するため、またはビデオをレンダリングするために、スポットを方向付け/スキャンすることができる。上述のように、二つ以上のビームステアリング装置665を使用して、網膜660の上へと画像/ビデオの2Dスキャンを達成することができる。傾斜した表面の配向は、一方の装置が一方の方向にビームを方向付け、一方でもう一方の装置がもう一方の方向で、かつ一般に互いに直交することができる方向にビームを方向付けるように位置付けられてもよい。電源およびコントローラは、ビームステアリング装置665内の電気活性材料の屈折率を操作するために、ビームステアリング装置665の電界の生成を制御することができる。
【0046】
[結論]
発明に関するさまざまな実施形態を本明細書に記述し、かつ例示してきたが、当業者は、本明細書に記載の機能を実施するための、ならびに/または結果および/もしくは一つ以上の利点を得るための、さまざまな他の手段および/または構造を容易に想定し、またこうした変形および/または修正のそれぞれは、本明細書に記載の発明に関する実施形態の範囲内であるものと見なされる。より一般的に、当業者は、本明細書に記載のすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成が例示であることを意味することと、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が、本発明の教示が使用される特定の適用(複数可)に依存することとを容易に理解するであろう。当業者は、本明細書に記載される特定の発明に関する実施形態の数多くの等価物を、認識するか、または単に定型的な実験を用いて確認することができる。従って、前述の実施形態は、例としてのみ提示されていて、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内で、発明に関する実施形態は、具体的に記述および特許請求される以外の形で実践されてもよいことが理解される。本開示の発明に関する実施形態は、本明細書に記載の各個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象とする。加えて、二つ以上のこうした特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせは、こうした特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0047】
また、さまざまな発明に関する概念が、一つ以上の方法として具現化されてもよく、その例を提供してきた。方法の一部として行われる行為は、任意の好適なやり方で順序付けられてもよい。その結果、行為が例示するものとは異なる順序で実施される実施形態を構築してもよく、それは、例示的な実施形態に連続する行為として示されている場合であってさえも、一部の行為を同時に実施することを含んでもよい。
【0048】
本明細書で定義および使用されるすべての定義は、辞書による定義、参照により組み込まれる文書中の定義、および/または定義された用語の通常の意味を統制するものと理解されるべきである。
【0049】
本明細書および特許請求の範囲で使用する不定冠詞「a」および「an」は、明確にそうでないと示されない限り、「少なくとも一つ」を意味すると理解されるべきである。
【0050】
本明細書および特許請求の範囲で使用する「および/または」という語句は、結合された要素の「いずれかまたは両方」を意味し、すなわち一部の場合において接続的に存在し、他の場合において離接的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。「および/または」で挙げられる複数の要素は、同じ様式、すなわち等位接続される要素のうちの「一つ以上」と解釈されるべきである。具体的に識別される要素に関連するかまたは関連しないかにかかわらず、「および/または」節によって具体的に識別される要素以外に、他の要素が随意に存在しうる。それ故に、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む」などの制限のない語法と連動して使われる時に、一実施形態においてAのみ(任意選択的にB以外の要素を含む)、別の実施形態においてBのみ(任意選択的にA以外の要素を含む)、さらに別の実施形態においてAとBの両方(任意選択的に他の要素を含む)を指すことなどができる。
【0051】
本明細書および特許請求の範囲において使用する場合、「または」は、上で定義した「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を分離する時、「または」または「および/または」は包括的なもの、すなわち多数の要素または要素のリスト、および任意選択的にリストに無い追加の項目のうちの少なくとも一つを含むが、二つ以上も含むと解釈されるものとする。それとは反対であると明確に指示される用語、例えば「のうちの一つのみ」もしくは「のうちのまさに一つ」、または特許請求の範囲において使用する時の「から成る」などの用語のみが、多数のまたは列挙された要素のうちのまさに一つの要素を包含することを指すことになる。一般に、本明細書で使用する場合、「または」という用語は、「いずれか」、「のうちの一つ」、「のうちの一つのみ」、または「のうちのまさに一つ」など、排他的な用語が先行する時に、排他的な選択肢(すなわち「両方ではなく一方または他方」)を示すとのみ解釈されるものとする。「から本質的に成る」は、特許請求の範囲で使用する場合、特許法の分野において使用される通常の意味を有するものとする。
【0052】
本明細書および特許請求の範囲で使用する場合、一つ以上の要素のリストに関連する「少なくとも一つ」という語句は、要素のリストの中の要素のいずれか一つ以上から選択される、少なくとも一つの要素を意味するが、要素のリスト内で具体的に列挙したありとあらゆる要素のうちの、少なくとも一つを必ずしも含むわけではなく、要素のリストのいかなる要素の組み合せも除外するものではないと理解されるべきである。この定義は、「少なくとも一つ」という語句が指す、要素のリスト内で具体的に識別される以外の要素が、具体的に識別される要素に関連するかまたは関連しないかにかかわらず、任意に存在しうることを許容する。それ故に、非限定的な例として、「AおよびBのうち少なくとも一つ」(または等価的に「AまたはBのうちの少なくとも一つ」、もしくは等価的に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも一つ」)は、一実施形態においてBは存在せず、任意選択的に二つ以上のAを含む、少なくとも一つのA(任意選択的にB以外の要素を含む)、別の実施形態においてAは存在せず、任意選択的に二つ以上のBを含む、少なくとも一つのB(任意選択的にA以外の要素を含む)、また別の実施形態において任意選択的に二つ以上のAを含む、少なくとも一つのA、および任意選択的に二つ以上のBを含む、少なくとも一つのB(任意選択的に他の要素を含む)を指すことなどができる。
【0053】
特許請求の範囲、ならびに上記の明細書において、すべての移行句、例えば「含む(comprising)」、「含む(including)」、「持つ(carrying)」、「有する(having)」、「包含する(containing)」、「伴う(involving)」、「保つ(holding)」、「から構成される(composed of)」、およびこれに類するものは制限がないと理解され、すなわち含むがそれに限定はされないということを意味する。「から成る(consisting of)」および「から本質的に成る(consisting essentially of)」という移行句のみが、米国特許局の特許審査手続便覧、セクション2111.03に規定の通り、それぞれ閉鎖的または半閉鎖的な移行句であるものとする。
ビームステアリング装置は、空洞を画定する第一の屈折率を有する基材と、可変屈折率を有する空洞内の電気活性材料と、二組の対向するオーバーレイを含む。対向するオーバーレイの一つの組のオーバーレイは、互いに平行であるが、もう一方の組のオーバーレイは、互いに対して傾斜している。これにより、オーバーレイ間の一つ以上の電界を使用して、電気活性材料を二つの異なる方向に整列させてその屈折率を変化させ、屈折を通して従来のアプローチより速い速度のビームステアリングを可能にする。