(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可動連結部は、一方が前記第1侵入防止柵ユニットに接続され、他方が前記第2侵入防止柵ユニットに接続された紐状部材であることを特徴とする請求項1に記載の動物侵入防止柵。
前記侵入防止柵ユニットの断面角部に取り付けられ、前記侵入防止柵ユニットを構成する部材に対して回転可能であるローラと、を更に具備することを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の動物侵入防止柵。
【背景技術】
【0002】
近年、猪や鹿などの野生動物による農業被害は深刻化している。このような被害の対策の一環として、野生動物の圃場への侵入を阻止するべく、圃場を柵で囲むことが行われている。
【0003】
このような柵として、例えば、以下の特許文献1ないし特許文献4に記載された発明がある。
【0004】
特許文献1では、動物侵入防止柵を、動物侵入防止区画の境界線に沿った地面上に立設される第一パネルと、第一パネルとは別体から構成している。また、第一パネルにおける境界線よりも手前側で傾斜配置される網状の第二パネルとで構成されている。更に、第一パネルを突破するために第一パネルの手前側から第一パネルに近づいてきた動物の足元が、第二パネルの網の目に嵌まるように構成されている。このようにすることで、その動物が第一パネルに近づく意欲を喪失することができる。
【0005】
特許文献2では、第1の金網枠と第2の金網枠との接合端縁を第1のコイル状連結材で転回自在に連結し、第2の金網枠の高さ方向中間部の金網と第3の金網枠の一方端縁を第2のコイル状連結材で連結されている。さらに、第3の金網枠の他方端縁にスライドリングを設け、このスライドリングに第1の金網枠の中の金網を構成するスライド棒を挿通している。これにより、第1の金網枠と第2の金網枠の開き角度を調整し、動物侵入を防止する効果を発揮できる。
【0006】
特許文献3では、地面に対して前方に向かって上向きに傾く状態となる柵本体部と、柵本体部を傾く状態に支える柵支持部とを有し、柵本体部及び柵支持部は、左右方向に間隔をおいた複数の縦線材と、前後方向に間隔をおいた複数の横線材とを格子状に固定した金網から形成される。金網は、複数の縦線材が前後方向途中位置に最高位置となるように屈曲された状態であり、金網のうち、前後方向途中位置よりも後方側部分が柵本体部とされ、柵本体部以外の残余部分が柵支持部とされる。
【0007】
特許文献4では、二重柵において、外側柵手段に物理的進入阻害資材を採用し、内側柵手段に視覚阻害資材を採用している。更に、外側柵手段と内側柵手段を逆V字構造に連結した。また、外側および内側柵手段おける支柱に導電性素材を採用し、地表部には導電性抑草シートを敷設した。このようにすることで、外側の柵手段に張設された物理的行動阻害資材の効果が発揮される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した引用文献1ないし引用文献4に記載された侵入防止柵では、動物の侵入を防止する効果、柵を作成および設置するためのコスト性、および、メンテナンス性等の観点から、改善の余地があった。
【0010】
本発明は、このような問題点を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、動物の侵入を防止する効果等が向上された動物侵入防止柵を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
野生動物の所定領域への侵入を防止するために設置される動物侵入防止柵であり、侵入防止柵ユニットと、可動連結部と、を具備し、前記侵入防止柵ユニットは、多角形断面を有しており、且つ、互いに隣接された第1侵入防止柵ユニットおよび第2侵入防止柵ユニットを有し、前記可動連結部は、前記第1侵入防止柵ユニットおよび前記第2侵入防止柵ユニットを回転可能な状態で連結することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の動物侵入防止柵では、前記可動連結部は、一方が前記第1侵入防止柵ユニットに接続され、他方が前記第2侵入防止柵ユニットに接続された紐状部材であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の動物侵入防止柵では、前記侵入防止柵ユニットは、略三角形の断面を有していることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の動物侵入防止柵では、上下方向に沿って伸びる案内部材と、を更に具備し、前記案内部材は、前記第1侵入防止柵ユニットと前記第2侵入防止柵ユニットとの間に設置され、前記可動連結部は、前記案内部材に対して上下方向に案内されるように配設されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の動物侵入防止柵では、錘部材、を更に具備し、前記錘部材は、侵入防止柵ユニットに移動可能に収納されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の動物侵入防止柵では、前記錘部材は、侵入防止柵ユニットの長さ方向において、一端側から他端側に至るまで伸びる長尺部材であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の動物侵入防止柵では、前記侵入防止柵ユニットの断面角部に取り付けられ、前記侵入防止柵ユニットを構成する部材に対して回転可能であるローラと、を更に具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、
野生動物の所定領域への侵入を防止するために設置される動物侵入防止柵であり、侵入防止柵ユニットと、可動連結部と、を具備し、前記侵入防止柵ユニットは、多角形断面を有しており、且つ、互いに隣接された第1侵入防止柵ユニットおよび第2侵入防止柵ユニットを有し、前記可動連結部は、前記第1侵入防止柵ユニットおよび前記第2侵入防止柵ユニットを回転可能な状態で連結することを特徴とする。本願発明の動物侵入防止柵によれば、可動連結部により第1侵入防止柵ユニットと第2侵入防止柵ユニットとが回転可能に連結されることで、動物の持ち上げにより第1侵入防止柵ユニットが回転したとしても、当該持ち上げに伴い、動物が動物侵入防止柵を突破して所定領域に侵入することを防止できる。よって、圃場への動物の侵入を防止し、圃場において動物が作物を食い荒らすことを防止し、農家の収益性を向上することができる。
【0019】
また、本発明の動物侵入防止柵では、前記可動連結部は、一方が前記第1侵入防止柵ユニットに接続され、他方が前記第2侵入防止柵ユニットに接続された紐状部材であることを特徴とする。本願発明の動物侵入防止柵によれば、可動連結部として紐状部材を採用することで、容易に可動連結部を構成でき、更に、コストを低減することができる。
【0020】
また、本発明の動物侵入防止柵では、前記侵入防止柵ユニットは、略三角形の断面を有していることを特徴とする。本願発明の動物侵入防止柵によれば、侵入防止柵ユニットが略三角形の断面を有していることで、動物が侵入防止柵ユニットを持ち上げた際における、侵入防止柵ユニットの破損を抑制し、且つ、侵入防止柵ユニットの回転を許容できる。
【0021】
また、本発明の動物侵入防止柵では、上下方向に沿って伸びる案内部材と、を更に具備し、前記案内部材は、前記第1侵入防止柵ユニットと前記第2侵入防止柵ユニットとの間に設置され、前記可動連結部は、前記案内部材に対して上下方向に案内されるように配設されることを特徴とする。本願発明の動物侵入防止柵によれば、例えば、動物が第1侵入防止柵ユニットを持ち上げたとしても、可動連結部が案内部材に沿って上方に移動することで、第1侵入防止柵ユニットが上方に移動しつつ回転し、その後、元の回転位置に戻る。よって、動物の侵入を防止すると共に、動物から与えられる外力により、侵入防止柵ユニットが破壊されることを防止できる。
【0022】
また、本発明の動物侵入防止柵では、錘部材、を更に具備し、前記錘部材は、侵入防止柵ユニットに移動可能に収納されることを特徴とする。本願発明の動物侵入防止柵によれば、動物が侵入防止柵ユニットを持ち上げようとすると、侵入防止柵ユニットの外側端が上昇し、その後に侵入防止柵ユニットは回転する。その際、錘部材は侵入防止柵ユニットの内部を移動し、元の位置、例えば、侵入防止柵ユニットの内部における外側に戻る。よって、錘部材に作用する重力により、侵入防止柵ユニットと地面との間に大きな間隙が形成することが抑制され、当該間隙を経由して動物が畑等に進入することを抑制できる。
【0023】
また、本発明の動物侵入防止柵では、前記錘部材は、侵入防止柵ユニットの長さ方向において、一端側から他端側に至るまで伸びる長尺部材であることを特徴とする。本願発明の動物侵入防止柵によれば、錘部材が長尺部材であることで、侵入防止柵ユニットの長さ方向全域において錘部材による荷重を発生させることができ、侵入防止柵ユニットと地面との間に大きな間隙が形成することを抑制し、当該間隙から動物が侵入することを防止できる。
【0024】
また、本発明の動物侵入防止柵では、前記侵入防止柵ユニットの断面角部に取り付けられ、前記侵入防止柵ユニットを構成する部材に対して回転可能であるローラと、を更に具備することを特徴とする。本願発明の動物侵入防止柵によれば、ローラが地面に接して回転することで、侵入防止柵ユニットの回転を容易にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部材には原則的に同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、以下の説明に於いて、内側とは圃場10に向かう方向であり、外側とは圃場10から離れる方向である。また、左右方向とは動物侵入防止柵11を構成する侵入防止柵ユニット121等が並ぶ方向である。
【0027】
図1は、動物侵入防止柵11を示す上面概念図である。
【0028】
圃場10は、例えば、イモ、ジャガイモ、タマネギなどの根菜類を栽培する畑である。
【0029】
動物侵入防止柵11は、所定領域である圃場10に動物18が侵入すること防止するために、圃場10の全周を囲むように設置される。このようにすることで、後述するように、猪などの動物18が、圃場10に侵入することを防止し、圃場10で栽培された根菜類等を食い荒らすことを防止できる。
【0030】
図2は、動物侵入防止柵11の連結構成を示す図である。
図2は、
図1に示した動物侵入防止柵11の一部分を示している。
【0031】
動物侵入防止柵11は、左方側から、侵入防止柵ユニット121、侵入防止柵ユニット122、侵入防止柵ユニット123および侵入防止柵ユニット124を有している。また、侵入防止柵ユニット121と侵入防止柵ユニット122とは可動連結部131により接続され、侵入防止柵ユニット122と侵入防止柵ユニット123とは可動連結部132により接続され、侵入防止柵ユニット123と侵入防止柵ユニット124とは可動連結部133により接続されている。
【0032】
侵入防止柵ユニット121ないし侵入防止柵ユニット124の各々には、左端部に接続部19が形成され、右端部に接続部20が形成されている。接続部19および接続部20は、侵入防止柵ユニット121等どうしを互いに連結するための部位である。
【0033】
案内部材161は、可動連結部131に挿通されることで、可動連結部131を上下方向に案内している。案内部材162は、可動連結部132に挿通されることで、可動連結部132を上下方向に案内している。案内部材163は、可動連結部133に挿通されることで、可動連結部133を上下方向に案内している。また、案内部材161ないし案内部材163は、可動連結部131ないし可動連結部133に挿通されることで、可動連結部131ないし可動連結部133が接続された侵入防止柵ユニット121ないし侵入防止柵ユニット124が過度に移動することを防止している。
【0034】
可動連結部131は、侵入防止柵ユニット121の接続部20と、侵入防止柵ユニット122の接続部19と、を互いに回転可能な状態で連結する。可動連結部131としては、例えば、化学合成繊維やゴム等の良伸縮性材料から成る紐状部材を採用できる。例えば、可動連結部131の左端側は侵入防止柵ユニット121の接続部20に絡げられ、可動連結部131の右端側は侵入防止柵ユニット122の接続部19に絡げられる。係る構成は、可動連結部132および可動連結部133に関しても同様である。
【0035】
案内部材161は、例えば、地面に挿入された支柱状の部材であり、可動連結部131を上下方向に案内するべく挿通する。案内部材161の上端は、侵入防止柵ユニット121の上端と同等以上の高さに設定されている。係る構成は、案内部材162および案内部材163に関しても、同様である。
【0036】
図3(A)は侵入防止柵ユニット122を示す斜視図であり、
図3(B)は侵入防止柵ユニット122を示す分解斜視図である。
【0037】
図3(A)を参照して、侵入防止柵ユニット122は、多角形断面の一例としての略正三角形断面を有する略三角柱形状を呈している。ここでは、一例として、侵入防止柵ユニット122は略正三角形の断面を有している。侵入防止柵ユニット122が略正三角形断面を呈していることで、断面形状を安定化させ、侵入防止柵ユニット122の強度を向上することができ、更に、侵入防止柵ユニット122を地面に対して安定して設置することができる。また、後述するように、動物18からの外力が作用した際に、動物18の侵入を防止するべく、侵入防止柵ユニット122を回転させることができる。
【0038】
図3(B)を参照して、侵入防止柵ユニット122は、矩形面部141、矩形面部142、矩形面部143、三角面部151および三角面部152を有している。ここで、矩形面部141、矩形面部142および矩形面部143は、後述する動物18が接触する部位であり、三角面部151および三角面部152は、侵入防止柵ユニット122の端面であり、妻部または妻面とも称される。
【0039】
矩形面部141、矩形面部142および矩形面部143は、数mm程度の太さを有する棒状鋼材をメッシュ状に交差および結合させた部材である。メッシュの大きさは、例えば、一辺の長さが13cmないし17cmの略正方形とされている。矩形面部141の上辺部は、矩形面部142の上辺部と接続される。この接続では、ヒモや結束バンド等により、矩形面部141の上辺部と矩形面部142の上辺部とが互いに大きく変位しないように、強く結束される。同様に、矩形面部142の下辺部と、矩形面部143の外辺部とが、接続される。また、矩形面部141の下辺部と、矩形面部143の内辺部とが接続される。
【0040】
三角面部151および三角面部152は、矩形面部141等と同様の部材から構成される。三角面部151の各側辺は、矩形面部141、矩形面部142および矩形面部143の左側辺と接続される。三角面部152の各側辺は、矩形面部141、矩形面部142および矩形面部143の右側辺と接続される。
【0041】
三角面部151の重心に相当する位置に、接続部19が形成される。同様に、三角面部152の重心に相当する位置に、接続部20が形成される。接続部19および接続部20は、
図2に示した可動連結部131等が接続される部位である。
【0042】
図4(A)ないし
図4(D)は、侵入防止柵ユニット123が変位する状況を示す上面図である。
【0043】
図4(A)を参照して、上記したように、侵入防止柵ユニット122の右端に形成された接続部19と、侵入防止柵ユニット123の左端に形成された接続部20とは、可動連結部132により接続される。また、案内部材162は、可動連結部132を挿通している。可動連結部132は、侵入防止柵ユニット122と侵入防止柵ユニット123との相対回転を許容するように、所定の長さを有している。
【0044】
図4(B)を参照して、侵入防止柵ユニット123が右方に移動した場合、可動連結部132が伸びる範囲で、侵入防止柵ユニット122と侵入防止柵ユニット123との間に間隙が形成される。この間隙の長さL2は、動物18が侵入できない幅とされ、例えば15cm以下、更に好適には10cm以下とされている。
【0045】
図4(C)を参照して、ここでは、侵入防止柵ユニット123が内側に移動している。このような場合であっても、侵入防止柵ユニット122の接続部19と、侵入防止柵ユニット123の接続部20とは、可動連結部132により接続されている。よって、侵入防止柵ユニット122と侵入防止柵ユニット123との間隙から、動物18は侵入することはできない。
【0046】
図4(D)を参照して、ここでは、侵入防止柵ユニット123が外側に移動している。係る場合であっても、上記と同様に、侵入防止柵ユニット122と侵入防止柵ユニット123とは可動連結部132により接続されている。よって、侵入防止柵ユニット122と侵入防止柵ユニット123との間から、動物18は侵入することはできない。
【0047】
図5ないし
図7は、圃場10への侵入を試みる動物18が、侵入防止柵ユニット123を回転させる状況を経時的に示す図である。
図5ないし
図7において、(A)は動物18が侵入防止柵ユニット123を回転させる況を左方側から見た図であり、(B)は当該部分の動物侵入防止柵11を外側から見た図である。ここでは、動物18として猪を例示している。また、侵入防止柵ユニット123の断面における各頂点を、頂点A、頂点Bおよび頂点Cとしている。更に、
図5ないし
図7において、接続部19から頂点Bまでの距離をL1としている。
【0048】
図5(A)を参照して、侵入防止柵ユニット123には、錘部材17が移動可能に収納される。
【0049】
錘部材17は、侵入防止柵ユニット123の長さ方向、即ち、左右方向において、一端側から他端側に至るまで伸びる長尺部材である。錘部材17の断面形状としては、侵入防止柵ユニット123と相似な形状、即ち略正三角形状を採用することができる。具体的な錘部材17としては、比重が比較的大きい部材を採用することができ、具体的には、束状にされた鉄筋、水タンク等を採用することができる。錘部材17は、侵入防止柵ユニット123の内部であって、外側端部側に配置されている。
【0050】
動物18が圃場10への侵入を試みるとき、動物18は、侵入防止柵ユニット123を突破するべく、侵入防止柵ユニット123の頂点Aを、下方から上方に向かって持ち上げる。動物18が猪であれば、動物18は、その鼻や牙等を、侵入防止柵ユニット123の格子部分に挿入し、上方に向かって持ち上げる。ここで、侵入防止柵ユニット123の重心である接続部19は、可動連結部132が接続しており、可動連結部132は案内部材162により上下方向に可動に案内されている。更に、
図5(B)に示すように、侵入防止柵ユニット123は、隣接された侵入防止柵ユニット122および侵入防止柵ユニット124に対して相対回転可能に接続されている。係る接続構造により、侵入防止柵ユニット122および侵入防止柵ユニット124を元の状態にしたまま、侵入防止柵ユニット123のみを回転させることができる。
【0051】
図5(B)を参照して、動物18が侵入防止柵ユニット123を持ち上げていない段階では、侵入防止柵ユニット123の上辺は、隣接する侵入防止柵ユニット122および侵入防止柵ユニット124の上辺と同様の高さである。
【0052】
図6(A)を参照して、動物18が、侵入防止柵ユニット123の頂点Aを、上方に向かって持ち上げると、侵入防止柵ユニット123は、接続部19および可動連結部132を回転中心として、紙面上反時計回りに回転する。この図では、時系列に、動物18の持ち上げにより、頂点Cが最上部に達した際の侵入防止柵ユニット123を実線で示し、頂点Aおよび頂点Cが同レベルに達した際の侵入防止柵ユニット123を一点鎖線で示し、頂点Aが最上部に達した際の侵入防止柵ユニット123を点線で示している。
【0053】
頂点Cが最上部に達した際、錘部材17は、侵入防止柵ユニット123の内部で後方側である頂点Bの近傍まで移動する。更にこの際、頂点Aは地面から離間するものの、頂点Bは、錘部材17の自重により地面に押しつけられている状態が維持され、動物18の圃場10への侵入が防止されている。
【0054】
頂点Aおよび頂点Cが同レベルに達した際であっても、錘部材17の自重により、頂点Bは依然として地面に接している。この際、可動連結部132は、案内部材162に対して移動可能に案内されていることから、接続部19および可動連結部132は、案内部材162に沿って上方に移動する。ここで、接続部19と地面との距離がL1となるものの、案内部材162の突出長さは、L1よりも長く設定されているため、可動連結部132が案内部材162から外れることはない。
【0055】
頂点Aが最上部に達した際においても、同様に、錘部材17の自重により、頂点Bは依然として地面に接している。
上記した各状態に於いて、侵入防止柵ユニット123の頂点Bが一時的に地面から離れたとしても、侵入防止柵ユニット123と地面との間に形成される間隙は僅かであるため、この間隙を経由して動物18は圃場10の側に侵入することはできない。
図6(B)を参照して、侵入防止柵ユニット123の接続部20は、侵入防止柵ユニット123を介して、侵入防止柵ユニット122の接続部19と接続されている。また、侵入防止柵ユニット123の接続部19は、可動連結部133を介して、侵入防止柵ユニット124の接続部20と接続されている。よって、動物18が侵入防止柵ユニット123を持ち上げようとしても、侵入防止柵ユニット122および侵入防止柵ユニット124が、所謂アンカーのように作用し、侵入防止柵ユニット123が地面から離れることを防止できる。
【0056】
図7(A)および
図7(B)を参照して、動物18が、侵入防止柵ユニット123を更に回転させることで、侵入防止柵ユニット123は頂点Cおよび頂点Bが地面に接し、頂点Aが上方側に配置されるようになる。このとき、錘部材17は、頂点Bの近傍、即ち、侵入防止柵ユニット123の前方側に配置される。
【0057】
係る状況は、
図5に示した状態と同様である。このようにすることで、動物18の立場にしてみれば、自らが侵入防止柵ユニット123を持ち上げたにも関わらず、侵入防止柵ユニット123の状況は何ら変わっていない。よって、動物18が、圃場10への侵入を諦める効果が期待される。
【0058】
図8は他の形態に係る侵入防止柵ユニット123の構成を示す図であり、(A)は侵入防止柵ユニット123を左方側から見た側面図で有り、(B)は侵入防止柵ユニット123を外側から見た図であり、(C)はローラ22を左方側から見た図であり、(D)はローラ22を外側から見た図である。ここでは、錘部材17およびローラ22の形態が、上記した侵入防止柵ユニット123とは異なる。
先ず、錘部材17に関して説明する。
【0059】
図8(A)を参照して、ここでは、錘部材17として、鉄などの比重が大きい素材から成る物体、例えば砲丸などの鋼球を採用している。また、錘部材17は、接続紐21を介して頂点Aと接続されている。接続紐21の長さは、断面視に於いて、頂点A、頂点Bないし頂点Cの間で、錘部材17の移動を許容しつつ、侵入防止柵ユニット123の長手方向において、錘部材17の過度な移動を抑制し得る長さとされている。
【0060】
図8(B)を参照して、錘部材17および接続紐21は、左右方向において複数が配置されている。このようにすることで、左右方向において錘部材17の自重により、侵入防止柵ユニット123が全体的に持ち上げられてしまうことを防止する効果を奏しつつ、動物18の力により侵入防止柵ユニット123が回転したとしても、侵入防止柵ユニット123の内部に於いて錘部材17が偏在してしまうことを抑制できる。
次に、ローラ22に関して説明する。
【0061】
図8(A)を参照して、断面角部である頂点A、頂点Bおよび頂点Cの夫々に、ローラ22が取り付けられている。ローラ22は、略円柱状を呈し、頂点A、頂点Bおよび頂点Cの夫々に、回転可能に取り付けられている。
【0062】
図8(B)を参照して、左右方向において、ローラ22は、左端部、中央部および右端部に配設されている。
【0063】
ローラ22を侵入防止柵ユニット123に設置することで、ローラ22が地面と接して回転するので、動物18が侵入防止柵ユニット123を持ち上げようとした際における侵入防止柵ユニット123の回転を容易にすることができる。
【0064】
図8(C)および
図8(D)を参照して、ローラ22は、左右方向に沿って伸びる中心軸23を有する略円柱状を呈する部材であり、その周囲には突部24が形成されている。ローラ22の半径は、例えば5cmである。ローラ22の左右方向における長さは、侵入防止柵ユニット123を構成するメッシュ格子枠に収まる程度であり、例えば、15cm未満とされている。
【0065】
突部24は、ローラ22の側面を部分的に半径方向外側に向かって突起させた部位である。突部24は、ローラ22の略全面に形成されている。突部24をローラ22に設けることで、突部24が地面に食い込み、ローラ22の回転を促進させ、更には、侵入防止柵ユニット123の回転を容易にする効果が奏される。ここで、突部24の代わりに、ローラ22の側面を部分的に窪ませた溝部が形成されても良い。
【0066】
前述した本実施形態により、以下のような主要な効果を奏することができる。
【0067】
図2を参照して、可動連結部132により、第1侵入防止柵ユニットとしての侵入防止柵ユニット122と、第2侵入防止柵ユニットとしての侵入防止柵ユニット123とが回転可能に連結されることで、動物18の持ち上げにより侵入防止柵ユニット123が回転したとしても、当該持ち上げに伴う破損を抑制でき、動物18が動物侵入防止柵11を突破して圃場に侵入することを防止できる。
【0068】
図2を参照して、可動連結部131等として紐状部材を採用することで、容易に可動連結部131を構成でき、更に、コストを低減することができる。更には、侵入防止柵ユニット123が回転すると、可動連結部132および可動連結部133が捻れるので、その捻れを確認することで、動物18が侵入を試みたことを確認することができる。
【0069】
図3(A)を参照して、侵入防止柵ユニット122が略三角形の断面を有していることで、動物18が侵入防止柵ユニット122等を持ち上げようとした際における破損を抑制でき。更には、
図6等に示したように、動物18が侵入しようとした際に、侵入防止柵ユニット123を回転させることで、当該侵入を阻止することもできる。
【0070】
図6(A)等を参照して、動物18が侵入防止柵ユニット123を持ち上げたとしても、可動連結部131等が案内部材161等に沿って上方に移動することで、侵入防止柵ユニット123等が上方に移動しつつ回転し、その後、元の位置に戻り、動物18は動物侵入防止柵11を突破することはできない。
【0071】
図6を参照して、動物18が侵入防止柵ユニット123を持ち上げようとすると、錘部材17は侵入防止柵ユニット123の内部を移動し、元の位置、例えば、侵入防止柵ユニット123の内部における外側に戻る。よって、侵入防止柵ユニット123と地面との間に大きな間隙が形成することが抑制され、当該間隙を経由して動物18が圃場10に進入することを抑制できる。
【0072】
図7を参照して、錘部材17が長尺部材であることで、侵入防止柵ユニット123の長さ方向全域に渡って錘部材17による荷重を発生させることができ、侵入防止柵ユニット123と地面との間に大きな間隙が形成することを抑制できる。
【0073】
図3(B)を参照して、矩形面部141等を紐等で結束することで侵入防止柵ユニット122を形成できるため、侵入防止柵ユニット122の製造、分解および再設置が容易である。よって、動物侵入防止柵11で圃場10を囲った場合でも、侵入防止柵ユニット122等を一時的に分解し、その箇所から耕運機等の農業用機械の出し入れを行うことができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、前述した各形態は相互に組み合わせることが可能である。
【0075】
例えば、
図1に示した動物侵入防止柵11は、圃場10を完全に囲むように設置されていたが、動物侵入防止柵11は圃場10を不完全に囲むように設置されても良い。
【0076】
図3を参照して、侵入防止柵ユニット122の断面形状として三角形を例示したが、侵入防止柵ユニット122の断面形状としては、四角形以上の多角形形状を採用することもできる。
【0077】
図2に示した動物侵入防止柵11では、全ての侵入防止柵ユニット121等どうしの間に、案内部材161等が設置されていたが、侵入防止柵ユニット121等どうしの間において、離散的に案内部材161等を配置することもできる。
【0078】
図5を参照して、錘部材17の断面形状として、正三角形以外の形状を採用することができる。例えば、錘部材17の断面形状として、三角形以外の多角形形状、円形状、楕円形状等を採用することもできる。
【0079】
図3(B)を参照して、三角面部151および三角面部152として、他の構成を採用することができる。具体的には、三角面部151および三角面部152の構成としては、侵入防止柵ユニット122等どうしを、妻部の重心で連結することができ、且つ、内蔵される錘部材17が侵入防止柵ユニット122から外部に移動するのを防止できる構成であれば良い。具体的には、三角面部151および三角面部152の代わりに、星形状を呈する部材、または、各頂点から重心に向かって伸びる線状部材、等を採用することができる。
【解決手段】本発明は、動物18の所定領域への侵入を防止するために設置される動物侵入防止柵11であり、侵入防止柵ユニット121等と、可動連結部131等と、を具備する。侵入防止柵ユニットは、多角形断面を有しており、且つ、互いに隣接された第1侵入防止柵ユニット121等および第2侵入防止柵ユニット121等を有する。可動連結部131等は、第1侵入防止柵ユニット121と第2侵入防止柵ユニット121とを回転可能な状態で連結する。