(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シートクッションの骨格を形成するクッションフレームと、下端部が前記シートクッションに支持されるシートバックの骨格を形成するシートバックフレームと、を備えたシートフレームが、設置用部材を介して車体に設置されており、
前記設置用部材は、前記車体に対して前記クッションフレームよりも車体幅方向に狭い範囲で設けられ、前記シートフレームは、前記設置用部材よりも車体幅方向外側に突き出てオーバーハングした状態となっており、
前記クッションフレームと前記設置用部材との間のうち、前記クッションフレームにおけるオーバーハングしている箇所に対して変形抑制部が設けられており、
前記変形抑制部は、
前記クッションフレームの前端側と後端側に間隔を空けて、かつ互いに対向して配置されるとともに前記クッションフレームに固定された一対の第一ブラケットと、
前記設置用部材に取り付けられるとともに前記一対の第一ブラケットの双方に固定された固定部と、
前記一対の第一ブラケット間に架け渡されて固定された少なくとも一つの連結部と、を備えており、
前記少なくとも一つの連結部には、前記固定部よりも前記シートクッションの外側に寄って配置された連結部が含まれていることを特徴とするシートフレームの補強構造。
前記少なくとも一つの連結部には、前記固定部よりも前記シートクッションの中央側に寄って配置された第一連結部と、前記固定部よりも前記シートクッションの外側に寄って配置された第二連結部と、が含まれていることを特徴とする請求項1に記載のシートフレームの補強構造。
前記第一連結部及び前記第二連結部は、棒状に形成され、略等しい径寸法又は異なる径寸法に設定されていることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載のシートフレームの補強構造。
前記第一連結部及び前記第二連結部はパイプ材であり、略等しい肉厚寸法又は異なる肉厚寸法に設定されていることを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載のシートフレームの補強構造。
前記第一連結部と前記第二連結部との間に、これら第一連結部と第二連結部とを連結して補強する連結補強部が設けられていることを特徴とする請求項2〜9のいずれか一項に記載のシートフレームの補強構造。
前記クッションフレームと前記設置用部材との間のうち、前記クッションフレームにおけるオーバーハングしていない箇所に、前記クッションフレームの前端側と後端側に間隔を空けて、かつ互いに対向して配置されるとともに前記クッションフレームに固定された一対の第二ブラケットが設けられており、
前記一対の第一ブラケット及び前記一対の第二ブラケットの、前側に位置するブラケット同士又は後側に位置するブラケット同士の少なくとも一方が一体に形成されていることを特徴とする請求項11に記載のシートフレームの補強構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両用シートは、車体の幅方向に間隔を空けて配置されたスライドレールやその他の設置用部材を介して車体のフロアに対して設置されるが、その間隔が、車両用シートが設置される車体の大きさや種類によって、車両用シートのシートクッションよりも狭い場合がある。この場合、シートクッションの幅方向一端部若しくは両端部が、スライドレール等の位置よりも外側に突き出て、オーバーハングしたような状態となる。
このようにシートクッションがオーバーハングした状態の車両用シートに対してシートベルトアンカレッジ試験を行うと、シートクッションの幅方向一端部若しくは両端部がオーバーハングしているため、車体前方向にかかる力によって、シートクッションの後端部が釣り上がるようにして、さらに前端部が沈み込むようにして変形する場合がある。シートベルトの引き出し口が、シートバックの上端部片側に設けられている場合は、さらに捩れ方向に力が加わって変形する場合がある(
図10参照。)。
図10は、シートクッションがシート支持部30によってオーバーハングするように支持された状態において、シートベルトに対して車体前方向の力がかかり、これによって、シートクッションを構成する後端部側のフレーム材31が釣り上がるようにして、前端部側のフレーム材32が沈み込むようにして変形している状態を示す背面面である。
すなわち、シートクッションが車体との連結部に対してオーバーハングし、尚且つシートバックの上端部片側にシートベルトの引き出し口が設けられた状態の車両用シートに対して車体前方向に力がかかるような状況下においては、車両用シート自体が大きく変形してしまう場合があり、乗員の安全性の向上を図るために車両用シートの変形を抑えることが求められていた。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、車体前方向に力がかかった場合の車両用シートの変形を抑え、乗員の安全性の向上を図ることが可能なシートフレームの補強構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、シートフレームの補強構造であって、シートクッションの骨格を形成するクッションフレームと、下端部が前記シートクッションに支持されるシートバックの骨格を形成するシートバックフレームと、を備えたシートフレームが、設置用部材を介して車体に設置されており、
前記設置用部材は、前記車体に対して前記クッションフレームよりも車体幅方向に狭い範囲で設けられ、前記シートフレームは、前記設置用部材よりも車体幅方向外側に突き出てオーバーハングした状態となっており、
前記クッションフレームと前記設置用部材との間のうち、前記クッションフレームにおけるオーバーハングしている箇所に対して変形抑制部が設けられており、
前記変形抑制部は、
前記クッションフレームの前端側と後端側に間隔を空けて、かつ互いに対向して配置されるとともに前記クッションフレームに固定された一対の第一ブラケットと、
前記設置用部材に取り付けられるとともに前記一対の第一ブラケットの双方に固定された固定部と、
前記一対の第一ブラケット間に架け渡されて固定された少なくとも一つの連結部と、を備えており、
前記少なくとも一つの連結部には、前記固定部よりも前記シートクッションの外側に寄って配置された連結部が含まれていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシートフレームの補強構造において、
前記少なくとも一つの連結部には、前記固定部よりも前記シートクッションの中央側に寄って配置された第一連結部と、前記固定部よりも前記シートクッションの外側に寄って配置された第二連結部と、が含まれていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のシートフレームの補強構造において、
前記第一連結部及び前記第二連結部は、前記固定部よりも上方に配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載のシートフレームの補強構造において、
前記一対の第一ブラケットは、正面視において略逆三角形状に形成されており、
前記固定部は、前記一対の第一ブラケットにおける下端部の頂点付近に配置され、
前記第一連結部及び前記第二連結部は、前記一対の第一ブラケットにおける上側両端部の頂点付近にそれぞれ配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載のシートフレームの補強構造において、
前記一対の第一ブラケットのそれぞれは、前側板部と、後側板部と、これら前側板部と後側板部とを連結する連結板部とを有しており、
前記第一連結部及び前記第二連結部は、前記一対の第一ブラケットにおける前記前側板部と前記後側板部の双方を貫通していることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項2〜5のいずれか一項に記載のシートフレームの補強構造において、
前記第一連結部及び前記第二連結部は、同一の材質又は異なる材質に設定されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項2〜6のいずれか一項に記載のシートフレームの補強構造において、
前記第一連結部及び前記第二連結部は、棒状に形成され、略等しい径寸法又は異なる径寸法に設定されていることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項2〜7のいずれか一項に記載のシートフレームの補強構造において、
前記第一連結部及び前記第二連結部はパイプ材であり、略等しい肉厚寸法又は異なる肉厚寸法に設定されていることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項2〜8のいずれか一項に記載のシートフレームの補強構造において、
前記第一連結部及び前記第二連結部は、平行又は非平行に配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項2〜9のいずれか一項に記載のシートフレームの補強構造において、
前記第一連結部と前記第二連結部との間に、これら第一連結部と第二連結部とを連結して補強する連結補強部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載のシートフレームの補強構造において、
前記シートフレームは、その幅方向一端部側が前記設置用部材よりも車体幅方向外側に突き出てオーバーハングした状態となっており、
シートベルトの引き出し口が、前記シートバックフレームの上端部のうち前記設置用部材よりもオーバーハングしている側に設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載のシートフレームの補強構造において、
前記クッションフレームと前記設置用部材との間のうち、前記クッションフレームにおけるオーバーハングしていない箇所に、前記クッションフレームの前端側と後端側に間隔を空けて、かつ互いに対向して配置されるとともに前記クッションフレームに固定された一対の第二ブラケットが設けられており、
前記一対の第一ブラケット及び前記一対の第二ブラケットの、前側に位置するブラケット同士又は後側に位置するブラケット同士の少なくとも一方が一体に形成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項13に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載のシートフレームの補強構造において、
前記シートフレームは、その幅方向両端部が前記設置用部材よりも車体幅方向外側に突き出てオーバーハングした状態となっており、
前記クッションフレームと前記設置用部材との間のうち、前記クッションフレームにおけるオーバーハングしている箇所の双方に対して前記変形抑制部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、シートフレームに対して車体前方向に力がかかり、設置用部材よりも車体幅方向外側に突き出てオーバーハングした箇所を変形させる力が生じた場合に、一対の第一ブラケットに対して互いに一定の距離を持って配置固定された固定部と少なくとも一つの連結部とが互いに作用し合い、オーバーハングした箇所にかかる変形力を吸収することができるので、オーバーハングした箇所の変形を抑えることができる。これにより、シートフレームに対して車体前方向に力がかかる場合の乗員の安全性の向上を図ることができる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、少なくとも一つの連結部には、固定部よりもシートクッションの中央側に寄って配置された第一連結部と、固定部よりもシートクッションの外側に寄って配置された第二連結部と、が含まれているので、一対の第一ブラケットに対して互いに一定の距離を持って配置固定された固定部と第一連結部と第二連結部とが互いに作用し合い、オーバーハングした箇所にかかる変形力を吸収することができるので、オーバーハングした箇所の変形をより効果的に抑えることができる。これにより、シートフレームに対して車体前方向に力がかかる場合の乗員の安全性の向上を図ることができる。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、第一連結部及び第二連結部は、固定部よりも上方に配置されているので、第一連結部及び第二連結部を、固定部に対して高さ方向にも間隔を空けて配置することができる。これにより、オーバーハングした箇所にかかる変形力を分散させて吸収しやすくなる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、固定部が、略逆三角形状の一対の第一ブラケットにおける下端部の頂点付近に配置され、第一連結部及び第二連結部が、略逆三角形状の一対の第一ブラケットにおける上側両端部の頂点付近にそれぞれ配置されているので、オーバーハングした箇所にかかる変形力を吸収する効果を発揮しつつ、固定部と第一連結部と第二連結部とを効率良く配置することができる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、第一連結部及び第二連結部は、一対の第一ブラケットにおける前側板部と後側板部の双方を貫通しているので、オーバーハングした箇所にかかる変形力をより一層分散させやすくなるとともに、一対の第一ブラケットと第一連結部及び第二連結部の両端部とを強固に結合しやすくなる。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、第一連結部及び第二連結部は、同一の材質又は異なる材質に設定されているので、同一の材質とした場合には、オーバーハングした箇所にかかる変形力を均等に分散でき、異なる材質とした場合には、オーバーハングした箇所にかかる変形力を偏りが出るように分散できる。すなわち、オーバーハングした箇所にかかる変形力を想定して、同一の材質の第一連結部及び第二連結部を選択したり、異なる材質の第一連結部及び第二連結部を選択したりすることができるので、例えば車種に応じてオーバーハングした箇所の寸法等が異なる場合であっても、第一連結部及び第二連結部の好ましい材質を選択して対応することができる。
【0025】
請求項7に記載の発明によれば、第一連結部及び第二連結部は、棒状に形成され、略等しい径寸法又は異なる径寸法に設定されているので、略等しい径寸法とした場合には、オーバーハングした箇所にかかる変形力を均等に分散でき、異なる径寸法にした場合には、オーバーハングした箇所にかかる変形力を偏りが出るように分散できる。すなわち、オーバーハングした箇所にかかる変形力を想定して、略等しい径寸法の第一連結部及び第二連結部を選択したり、異なる径寸法の第一連結部及び第二連結部を選択したりすることができるので、例えば車種に応じてオーバーハングした箇所の寸法等が異なる場合であっても、第一連結部及び第二連結部の好ましい径寸法を選択して対応することができる。
【0026】
請求項8に記載の発明によれば、第一連結部及び第二連結部はパイプ材であり、略等しい肉厚寸法又は異なる肉厚寸法に設定されているので、略等しい肉厚寸法とした場合には、オーバーハングした箇所にかかる変形力を均等に分散でき、異なる肉厚寸法にした場合には、オーバーハングした箇所にかかる変形力を偏りが出るように分散できる。すなわち、オーバーハングした箇所にかかる変形力を想定して、略等しい肉厚寸法の第一連結部及び第二連結部を選択したり、異なる肉厚寸法の第一連結部及び第二連結部を選択したりすることができるので、例えば車種に応じてオーバーハングした箇所の寸法等が異なる場合であっても、パイプ材である第一連結部及び第二連結部の好ましい肉厚寸法を選択して対応することができる。
【0027】
請求項9に記載の発明によれば、第一連結部及び第二連結部は、平行又は非平行に配置されているので、平行に配置した場合には、オーバーハングした箇所にかかる変形力を均等に分散でき、非平行に配置した場合には、オーバーハングした箇所にかかる変形力を偏りが出るように分散できる。すなわち、オーバーハングした箇所にかかる変形力を想定して、第一連結部及び第二連結部を平行に配置することを選択したり、第一連結部及び第二連結部を非平行に配置することを選択したりすることができるので、例えば車種に応じてオーバーハングした箇所の寸法等が異なる場合であっても、第一連結部及び第二連結部の好ましい配置を選択して対応することができる。
また、例えば変形抑制部が、シートフレームや車体の他の部材に干渉する場合に、第一連結部及び第二連結部を非平行に配置することで、他の部材への干渉を防ぐことができるので、シートフレームや車体の他の部材に干渉しにくくなり、変形抑制部を設けやすくなる。
【0028】
請求項10に記載の発明によれば、第一連結部及び第二連結部との間に、これら第一連結部及び第二連結部とを連結して補強する連結補強部が設けられているので、第一連結部及び第二連結部を含む変形抑制部全体の一体性を高めることができ、オーバーハングした箇所にかかる変形力をより一層分散させやすくなる。
【0029】
請求項11に記載の発明によれば、シートベルトの引き出し口が、シートバックフレームの上端部のうち設置用部材よりもオーバーハングしている側に設けられているので、シートフレームに対して車体前方向に力がかかった際に、オーバーハングした箇所には、オーバーハングした箇所を変形させるようとする、より強い力が生じることになるが、このような箇所に対して変形抑制部が設けられるため、シートフレームの変形を効果的に抑制することができる。
【0030】
請求項12に記載の発明によれば、オーバーハングしている箇所に設けられた一対の第一ブラケットと、オーバーハングしていない箇所に設けられた一対の第二ブラケットと、を一体に形成することができるので、オーバーハングした箇所にかかる変形力を、一対の第二ブラケット側に分散でき、オーバーハングした箇所の変形を抑えやすくなる。
【0031】
請求項13に記載の発明によれば、シートフレームの幅方向両端部がオーバーハングした箇所となり、これら双方のオーバーハングした箇所に対して変形抑制部が設けられているので、シートフレームの幅方向両端部の変形を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態および図示例に限定するものではない。
【0034】
図1において符号1は、人が着座するシートのシートフレームを示す。このシートフレーム1は、人の大腿部及び臀部を支持するシートクッションの骨格を形成するクッションフレーム2と、下端部がシートクッションに支持される背凭れであるシートバックの骨格を形成するシートバックフレーム3と、を備える。
このようなシートフレーム1は、図示はしないが、クッションフレーム2とシートバックフレーム3にクッションパッドが設けられ、当該クッションパッドが表皮によって覆われることでシートを構成している。
また、このように構成されるシートは、自動車(車両)の室内に設けられる車両用シートとして、後述するように、設置用部材20を介して車体のフロアFに設置されている。
【0035】
クッションフレーム2は、互いに間隔を空けて配置された左右一対のクッションサイドフレーム2a,2aと、左右一対のクッションサイドフレーム2a,2a間に配置されてクッションパッド(図示せず)を支持するパンフレーム2bと、左右一対のクッションサイドフレーム2a,2aの後端部に設けられてシートバックフレーム3を傾動自在に支持するリクライニング機構2cと、前後のレール部材2d,2dと、を有する。
【0036】
前後のレール部材2d,2dはそれぞれ、ロアレール2d1と、このロアレール2d1に対して長さ方向にスライド可能に設けられたアッパーレール2d2と、を有しており、シートフレーム1を左右方向に位置調整できるようになっている。
このようなレール部材2d,2dは、クッションフレーム2の前端側と後端側に間隔を空けて配置されるとともに、アッパーレール2d2,2d2がクッションフレーム2の前端部と後端部にそれぞれ固定されている。
なお、本実施形態においては、以上のようなレール部材2d,2dが採用されているが、左右方向に位置調整可能としない車両用シートの場合は、レール部材2d,2dの代わりに左右方向に延在する棒状部材(図示せず)を採用してもよい。
【0037】
シートバックフレーム3は、互いに間隔を空けて配置された左右一対のサイドフレーム3a,3aと、左右一対のサイドフレーム3a,3aの上端部間に設けられた上部フレーム3bと、を有する。
そして、シートバックフレーム3の上端部のうち右側端部に、シートベルトの引き出し口を構成するベルトガイドブラケット4が設けられている。なお、ベルトガイドブラケット4は、車体に対する車両用シートの位置によって設けられる場所が異なる。例えば車両用シートが車体の右側にある場合には、上述のようにシートバックフレーム3の上端部のうち右側端部に設けられることが好ましいが、車両用シートが車体の左側にある場合は、シートバックフレーム3の上端部のうち左側端部に設けられることが好ましい。
【0038】
車両用シートは、
図2,
図3に示すように、さらにシートフレーム1を支持するシート支持部6を備えている。このシート支持部6は、シートフレーム1を車体のフロアFから所定の高さに支持するものであり、設置用部材20に取り付けられ、当該設置用部材20を介して車体のフロアFに固定されている。換言すれば、設置用部材20は、シート支持部6と車体のフロアFとを連結する連結部として機能している。
設置用部材20は、車体の前後方向に長く形成され、車体に対してクッションフレーム2よりも車体幅方向に狭い範囲で設けられた一対のスライドレールであって、車体の前後方向に長尺なロアレール21と、ロアレール21に沿ってスライド移動するアッパーレール22と、左右のアッパーレール22,22同士を連結するレール連結部23と、を有する。
そして、シートフレーム1は、一対のスライドレール20,20である設置用部材よりも車体幅方向外側に突き出てオーバーハングした状態となっている(オーバーハングしている箇所OH)。本実施形態において、シートフレーム1は、車体の右側に突き出てオーバーハングした状態となっている。すなわち、シートフレーム1がオーバーハングする方向と、ベルトガイドブラケット4が設けられる方向が揃った状態となっている。
【0039】
なお、設置用部材(スライドレール20,20)が、クッションフレーム2よりも車体幅方向に狭い範囲で設けられる理由としては、車体の幅寸法と車両用シートの幅寸法との兼ね合いや、オーバーハングしている箇所OHに、例えばホイールハウス等の設備が位置する場合等が挙げられる。
また、本実施形態においては設置用部材として、一対のスライドレール20,20を採用したが、これに限られるものではなく、シートフレーム1を車体のフロアFに設置するためのものであればよい。また、どのような設置用部材を採用した場合であっても、クッションフレーム2よりも車体幅方向に狭い範囲で設けられているものとする。
【0040】
シート支持部6は、変形抑制部7と、一対の第二ブラケット8,8と、を有する。
変形抑制部7は、クッションフレーム2と設置用部材であるスライドレール20,20との間のうち、クッションフレーム2におけるオーバーハングしている箇所OHに対して設けられており、オーバーハングしている箇所OH及びシートフレーム1(クッションフレーム2)の変形を抑制することができる。
このような変形抑制部7は、一対の第一ブラケット10,10と、固定部11と、第一連結部12と、第二連結部13と、を備えている。
【0041】
一対の第一ブラケット10,10は、クッションフレーム2の前端側と後端側に間隔を空けて、かつ互いに対向して配置されるとともにクッションフレーム2に対して固定状態とされている。すなわち、これら一対の第一ブラケット10,10は、クッションフレーム2が備えるレール部材2d,2dのロアレール2d1,2d1にそれぞれ固定されている。
これら一対の第一ブラケット10,10のそれぞれは、前側板部10aと、後側板部10bと、これら前側板部10aと後側板部10bとを連結する連結板部10cとを有している。
前側板部10a及び後側板部10bは、正面視(背面視)において略逆三角形状に形成されている。このように前側板部10a及び後側板部10bのそれぞれが、正面視(背面視)において略逆三角形状に形成されていれば、オーバーハングしている箇所OHに形成されたスペースを潰すことがないので好適である。そして、これら前側板部10a及び後側板部10bには、第一連結部12及び第二連結部13がそれぞれ挿通される挿通孔が形成されている。また、前側の第一ブラケット10における前側板部10aと、後側の第一ブラケット10における後側板部10bのそれぞれには、固定部11が挿通される挿通孔が形成されている。
連結板部10cは、前側板部10aの上端縁と後側板部10bの上端縁との間に設けられて、前側板部10aと後側板部10bとを連結している。また、この連結板部10cの上面に、レール部材2dのロアレール2d1が固定されている。
なお、前側板部10a及び後側板部10bは、正面視(背面視)において略逆三角形状に形成されているものとしたが、三角形の態様としては、二等辺三角形や正三角形を採用してもよいし、不等辺の三角形を採用してもよい。
【0042】
固定部11は、設置用部材(スライドレール20)に取り付けられるとともに前後一対の第一ブラケット10,10の双方に固定されている。換言すれば、この固定部11は、変形抑制部7自体を、設置用部材(スライドレール20)に固定するためのものであり、変形抑制部7の前端部と後端部の双方に設けられている。また、上述のように、一対の第一ブラケット10,10は正面視において略逆三角形状に形成されており、この固定部11は、一対の第一ブラケット10,10における下端部の頂点付近に配置されている。
より具体的には、固定部11は、前側の第一ブラケット10における前側板部10aと、後側の第一ブラケット10における後側板部10bのそれぞれに形成された挿通孔に挿通されるボルト部材であり、前側の第一ブラケット10における前側板部10aと、後側の第一ブラケット10における後側板部10bのそれぞれの裏側には、ボルト部材である固定部11を受ける雌ネジが形成された受部11aが設けられている。この受部11aは、設置用部材であるスライドレール20のアッパーレール22の長さ方向両端部に固定されている。
【0043】
第一連結部12及び第二連結部13は、本実施形態においてはパイプ材である。ただし、これに限られるものではなく、芯材(中実棒部材)であってもよい。また、これら第一連結部12及び第二連結部13が、パイプ材や芯材からなる棒状部材である場合、その断面形状は丸型(丸パイプ・丸棒)でもよいし、角型(角パイプ・角棒・角材)でもよい。さらに、これら第一連結部12及び第二連結部13は、パイプ材や芯材からなる棒状部材ではなく、棒状部材よりも平板な板状部材であってもよい。
そして、これら第一連結部12及び第二連結部13は、前後一対の第一ブラケット10,10間に架け渡されて固定されている。
より詳細に説明すると、第一連結部12は、固定部11よりもシートクッションの中央側に寄って配置され、第二連結部13は、固定部11よりもシートクッションの外側(すなわち、オーバーハングしている箇所OH側)に寄って配置されている。さらに、第一連結部12及び第二連結部13は、
図2に示す仮想線Lを中心に線対称となる配置となっており、仮想線Lから第一連結部12までの最短距離と、仮想線Lから第二連結部13までの最短距離が等しくなるように設定されている。
また、上述のように、一対の第一ブラケット10,10は正面視において略逆三角形状に形成されており、第一連結部12及び第二連結部13は、一対の第一ブラケット10,10における上側両端部の頂点付近にそれぞれ配置されている。換言すれば、これら第一連結部12及び第二連結部13は、固定部11よりも上方に配置されていることになる。
さらに、第一連結部12及び第二連結部13は、一対の第一ブラケット10,10における前側板部10aと後側板部10bの双方を貫通している。すなわち、前側板部10a及び後側板部10bに形成された上述の挿通孔に対して挿通されている。そして、第一連結部12及び第二連結部13の両端部は、一対の第一ブラケット10,10における前側板部10aと後側板部10bの双方に対し、例えば溶接等によって接合されている。
【0044】
また、第一連結部12及び第二連結部13は、同一の材質に設定されている。換言すれば、これら第一連結部12及び第二連結部13は、同一の材料をもとに製造されている。
ただし、これに限られるものではなく、第一連結部12及び第二連結部13は、異なる材質に設定されていてもよい。すなわち、オーバーハングしている箇所OHに配置される第二連結部13と、オーバーハングしている箇所OHとは反対側に設けられる第一連結部12は、必ずしも同一の材質でなくてもよく、例えば一方をアルミニウム合金製とし、他方をステンレス鋼製とするなど、シートフレーム1及びオーバーハングしている箇所OHにかかる変形力に応じて適宜変更してもよい。
【0045】
また、第一連結部12及び第二連結部13は、
図4(a)に示すように、略等しい径寸法D1に設定されている。
ただし、これに限られるものではなく、
図4(b)に示すように、第一連結部12及び第二連結部13は、異なる径寸法D1,D2に設定されていてもよい。すなわち、オーバーハングしている箇所OHに配置される第二連結部13と、オーバーハングしている箇所OHとは反対側に設けられる第一連結部12は、必ずしも略等しい径寸法D1でなくてもよく、シートフレーム1及びオーバーハングしている箇所OHにかかる変形力に応じて適宜変更してもよい。
なお、
図4(b)では、第二連結部13が、第一連結部12よりも大径に形成されているが、第一連結部12が、第二連結部13よりも大径に形成されていてもよい。
【0046】
また、パイプ材である第一連結部12及び第二連結部13は、
図2に示すように、略等しい肉厚寸法に設定されている。
ただし、これに限られるものではなく、
図5に示すように、パイプ材である第一連結部12及び第二連結部13は、異なる肉厚寸法T1,T2に設定されていてもよい。すなわち、オーバーハングしている箇所OHに配置される第二連結部13と、オーバーハングしている箇所OHとは反対側に設けられる第一連結部12は、必ずしも略等しい肉厚寸法T1でなくてもよく、シートフレーム1及びオーバーハングしている箇所OHにかかる変形力に応じて適宜変更してもよい。
なお、
図5では、第二連結部13が、第一連結部12よりも肉厚寸法T2が厚く形成されているが、第一連結部12が、第二連結部13よりも肉厚に形成されていてもよい。
【0047】
第一連結部12及び第二連結部13は、
図6(a)に示すように、平面視において平行に配置されている。
ただし、これに限られるものではなく、
図6(b)に示すように、第一連結部12及び第二連結部13は、平面視において非平行に配置されていてもよい。すなわち、オーバーハングしている箇所OHに配置される第二連結部13と、オーバーハングしている箇所OHとは反対側に設けられる第一連結部12は、必ずしも平行に配置されていなくてもよく、シートフレーム1及びオーバーハングしている箇所OHにかかる変形力に応じて、どちらかが平面視において傾いた状態になっていてもよい。また、例えば変形抑制部7が、シートフレーム1や車体の他の部材(図示せず)に干渉する場合に、第一連結部12及び第二連結部13を非平行に配置することで、他の部材への干渉を防ぐことができるという利点もある。
なお、
図6(b)では、第一連結部12が、車体の前後方向に対して傾いて配置された状態となっているが、第二連結部13が傾いて配置されてもよい。また、
図6(b)では、前方に向かうにつれて第一連結部12と第二連結部13との間の間隔が狭まるように配置されているが、前方に向かうにつれて第一連結部12と第二連結部13との間の間隔が広がるように配置されてもよい。
さらに、本実施形態においては、第一連結部12及び第二連結部13は、平面視において平行又は非平行に配置されているものとしたが、側面視において平行又は非平行に配置されてもよい。つまり、第一連結部12及び第二連結部13は、側面視において高さ位置が異なるように配置されてもよいし、側面視において交差するように配置されてもよい。
【0048】
また、本実施形態においては、変形抑制部7が備える連結部は、上述の第一連結部12及び第二連結部13の二つであるが、一つの連結部が一対の第一ブラケット10,10間に架け渡されて設けられるものとしてもよいし、三つ以上の連結部が一対の第一ブラケット10,10間に架け渡されて設けられるものとしてもよい。
連結部を一つとした場合、この連結部は、一対の第一ブラケット10,10のうち、固定部11よりもシートクッションの外側に寄った位置に設けられる(すなわち、第二連結部13が設けられる位置と同一である。)。
また、連結部が三つ以上設けられる場合の位置としては、上述の第一連結部12と第二連結部13が設けられる位置の他には、例えば、一対の第一ブラケット10,10の前側板部10aにおける中心部や、第一連結部12と第二連結部13との中間地点、第一連結部12と固定部11との中間地点、第二連結部13と固定部11との中間地点等、様々な箇所が挙げられる。
【0049】
続いて、シート支持部6における一対の第二ブラケット8,8は、
図2に示すように、車体幅方向において、一対の第一ブラケット10,10とは反対側に設けられたものであり、一対の第一ブラケット10,10と共にシートフレーム1を設置用部材(スライドレール20,20)上に支持している。
一対の第二ブラケット8,8のそれぞれは、一対の第一ブラケット10,10と同様に、前側板部と、後側板部と、これら前側板部と後側板部とを連結する連結板部とを有している。前側板部及び後側板部は、正面視(背面視)において略逆L字状に形成されている。また、連結板部は、前側板部の上端縁と後側板部の上端縁との間に設けられて、前側板部と後側板部とを連結しており、上面に、レール部材2dのロアレール2d1が固定されている。
さらに、前側の第二ブラケット8における前側板部と、後側の第二ブラケット8における後側板部のそれぞれには、固定部8aが挿通される挿通孔が形成されている。固定部8aは、一対の第一ブラケット10,10と同様に、設置用部材(スライドレール20)に取り付けられるとともに前後一対の第二ブラケット8,8の双方に固定されている。
このような一対の第二ブラケット8,8における上下寸法は、変形抑制部7における一対の第一ブラケット10,10の上下寸法と略等しく設定されている。また、互いの固定部8a,11の高さ位置も略等しく設定されているため、設置用部材であるスライドレール20,20のスライド動作に支障が出にくくなっている。
【0050】
以上のような構成の車両用シートにおいて変形抑制部7は、クッションフレーム2の前端部と後端部との間に亘って設けられ、かつ、オーバーハングしている箇所OHに対して設けられているので、オーバーハングしている箇所OHの剛性を向上させた状態となっている。このように構成された車両用シートに対して、シートベルトアンカレッジ試験を行うと、変形抑制部7がオーバーハングしている箇所OHの変形を抑制するので、良好な試験結果を得ることが可能となっている。
【0051】
本実施の形態によれば、シートフレーム1に対して車体前方向に力がかかり、設置用部材であるスライドレール20よりも車体幅方向外側に突き出てオーバーハングした箇所OHを変形させる力が生じた場合に、一対の第一ブラケット10,10に対して互いに一定の距離を持って配置固定された固定部11と第一連結部12と第二連結部13とが互いに作用し合い、オーバーハングした箇所OHにかかる変形力を吸収することができるので、オーバーハングした箇所OHの変形を抑えることができる。これにより、シートフレーム1に対して車体前方向に力がかかる場合の乗員の安全性の向上を図ることができる。
【0052】
また、第一連結部12及び第二連結部13は、固定部11よりも上方に配置されているので、第一連結部12及び第二連結部13を、固定部11に対して高さ方向にも間隔を空けて配置することができる。これにより、オーバーハングした箇所OHにかかる変形力を分散させて吸収しやすくなる。
【0053】
また、固定部11が、略逆三角形状の一対の第一ブラケット10,10における下端部の頂点付近に配置され、第一連結部12及び第二連結部13が、略逆三角形状の一対の第一ブラケット10,10における上側両端部の頂点付近にそれぞれ配置されているので、オーバーハングした箇所OHにかかる変形力を吸収する効果を発揮しつつ、固定部11と第一連結部12及び第二連結部13とを効率良く配置することができる。
【0054】
また、第一連結部12及び第二連結部13は、一対の第一ブラケット10,10における前側板部10aと後側板部10bの双方を貫通しているので、オーバーハングした箇所OHにかかる変形力をより一層分散させやすくなるとともに、一対の第一ブラケット10,10と第一連結部12及び第二連結部13の両端部とを強固に結合しやすくなる。
【0055】
また、第一連結部12及び第二連結部13は、同一の材質又は異なる材質に設定されているので、同一の材質とした場合には、オーバーハングした箇所OHにかかる変形力を均等に分散でき、異なる材質とした場合には、オーバーハングした箇所OHにかかる変形力を偏りが出るように分散できる。すなわち、オーバーハングした箇所OHにかかる変形力を想定して、同一の材質の第一連結部12及び第二連結部13を選択したり、異なる材質の第一連結部12及び第二連結部13を選択したりすることができるので、例えば車種に応じてオーバーハングした箇所OHの寸法等が異なる場合であっても、第一連結部12及び第二連結部13の好ましい材質を選択して対応することができる。
【0056】
また、第一連結部12及び第二連結部13は、略等しい径寸法D1,D1又は異なる径寸法D1,D2に設定されているので、略等しい径寸法D1,D1とした場合には、オーバーハングした箇所OHにかかる変形力を均等に分散でき、異なる径寸法D1,D2にした場合には、オーバーハングした箇所OHにかかる変形力を偏りが出るように分散できる。すなわち、オーバーハングした箇所OHにかかる変形力を想定して、略等しい径寸法D1,D1の第一連結部12及び第二連結部13を選択したり、異なる径寸法D1,D2の第一連結部12及び第二連結部13を選択したりすることができるので、例えば車種に応じてオーバーハングした箇所OHの寸法等が異なる場合であっても、第一連結部12及び第二連結部13の好ましい径寸法D1,D2を選択して対応することができる。
【0057】
また、第一連結部12及び第二連結部13はパイプ材であり、略等しい肉厚寸法T1,T1又は異なる肉厚寸法T1,T2に設定されているので、略等しい肉厚寸法T1,T1とした場合には、オーバーハングした箇所OHにかかる変形力を均等に分散でき、異なる肉厚寸法T1,T2にした場合には、オーバーハングした箇所OHにかかる変形力を偏りが出るように分散できる。すなわち、オーバーハングした箇所OHにかかる変形力を想定して、略等しい肉厚寸法T1,T1の第一連結部12及び第二連結部13を選択したり、異なる肉厚寸法T1,T2の第一連結部12及び第二連結部13を選択したりすることができるので、例えば車種に応じてオーバーハングした箇所OHの寸法等が異なる場合であっても、パイプ材である第一連結部12及び第二連結部13の好ましい肉厚寸法T1,T2を選択して対応することができる。
【0058】
また、第一連結部12及び第二連結部13は、平行又は非平行に配置されているので、平行に配置した場合には、オーバーハングした箇所OHにかかる変形力を均等に分散でき、非平行に配置した場合には、オーバーハングした箇所OHにかかる変形力を偏りが出るように分散できる。すなわち、オーバーハングした箇所OHにかかる変形力を想定して、第一連結部12及び第二連結部13を平行に配置することを選択したり、第一連結部12及び第二連結部13を非平行に配置することを選択したりすることができるので、例えば車種に応じてオーバーハングした箇所OHの寸法等が異なる場合であっても、第一連結部12及び第二連結部13の好ましい配置を選択して対応することができる。
さらに、例えば変形抑制部7が、シートフレーム1や車体の他の部材に干渉する場合に、第一連結部12及び第二連結部13を非平行に配置することで、他の部材への干渉を防ぐことができるので、シートフレーム1や車体の他の部材に干渉しにくくなり、変形抑制部7を設けやすくなる。
【0059】
また、シートベルトの引き出し口を構成するベルトガイドブラケット4が、シートバックフレーム3の上端部のうち設置用部材であるスライドレール20よりもオーバーハングしている側に設けられているので、シートフレーム1に対して車体前方向に力がかかった際に、オーバーハングした箇所OHには、オーバーハングした箇所OHを変形させるようとする、より強い力が生じることになるが、このような箇所OHに対して変形抑制部7が設けられるため、シートフレーム1の変形を効果的に抑制することができる。
【0060】
〔変形例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。
【0061】
〔変形例1〕
本変形例においては、
図7に示すように、第一連結部12と第二連結部13との間に、これら第一連結部12と第二連結部13とを連結して補強する連結補強部14が設けられている。
本変形例における連結補強部14は、パイプ材や芯材(中実棒部材)からなる棒状部材であり、いわゆる筋交い(ブレースとも言う)のように第一連結部12の後端部から第二連結部13の前端部にかけて設けられている。このように連結補強部14が設けられた場合は、オーバーハングしている箇所OH側に位置する第二連結部13の前端部が沈み込むようにして変形するのを、連結補強部14によって好適に防ぐことができる。
また、図示はしないが、連結補強部14が、第一連結部12の前端部から第二連結部13の後端部にかけて筋交い状に設けられた場合は、オーバーハングしている箇所OH側に位置する第二連結部13の後端部が釣り上がるようにして変形するのを、連結補強部14によって好適に防ぐことができる。
また、図示はしないが、二本の棒状部材を交差させて第一連結部12と第二連結部13との間に設けるようにしてもよい。
さらに、本変形例における連結補強部14は、パイプ材や芯材からなる棒状部材であるとしたが、これに限られるものではなく、板状・パネル状の連結補強部であってもよいし、
第一連結部12及び第二連結部13を覆い、かつ第一連結部12と第二連結部13とを接続するようにして外板を設けて一対の第一ブラケット10,10間にモノコック構造を形成し、これを連結補強部としてもよい。
【0062】
本変形例によれば、第一連結部12と第二連結部13との間に、これら第一連結部12と第二連結部13とを連結して補強する連結補強部14が設けられているので、第一連結部12及び第二連結部13を含む変形抑制部7全体の一体性を高めることができ、オーバーハングした箇所OHにかかる変形力をより一層分散させやすくなる。
【0063】
〔変形例2〕
上述の実施形態では、一対の第一ブラケット10,10と一対の第二ブラケット8,8とが、車体幅方向の左側端部と右側端部に分けて設けられていたが、本変形例においては、
図8に示すように、第一ブラケットと第二ブラケットとが一体形成された一対の一体型ブラケット15,15が、クッションフレーム2の前端側と後端側に間隔を空けて、かつ互いに対向して設けられている。つまり、一体型ブラケット15は、車体幅方向の一方に配置された第一ブラケット10と他方に配置された第二ブラケット8との、左右一体型ブラケットとして構成されている。
一対の一体型ブラケット15,15は、オーバーハングしている箇所OH側に位置する第一ブラケット部16と、オーバーハングしている箇所OHとは反対側に位置する第二ブラケット部17と、を備える。
第一ブラケット部16と第二ブラケット部17は、それぞれ固定部16a,17aを介して設置用部材であるスライドレール20(アッパーレール22)に取り付けられている。
さらに、オーバーハングしている箇所OH側に位置する第一ブラケット部16のうち、固定部16aよりもよりもシートクッションの中央側には第一連結部12が設けられ、固定部16aよりもシートクッションの外側には第二連結部13が設けられている。
【0064】
なお、一対の一体型ブラケット15,15は、上述の実施形態における第一ブラケット10と第二ブラケット8と同様に、それぞれ前側板部(図示せず)と後側板部15bと連結板部(図示せず)とを有している。
この場合、前側板部と後側板部15bと連結板部のどれもが左右一体型である必要はなく、連結板部と前側板部とが左右一体型、又は連結板部と後側板部15bとが左右一体型であればよいものとする。本変形例においては、少なくともクッションフレーム2の後端側に位置する一体型ブラケット15の、連結板部と後側板部15bとが左右一体型とされている。
また、本変形例における一体型ブラケット15と、上述の実施形態における第一ブラケット10及び第二ブラケット8を併用してもよい。すなわち、クッションフレーム2の後端側に一体型ブラケット15を配置し、クッションフレーム2の前端側には、一体ではない第一ブラケット10と第二ブラケット8とを配置するようにしてもよい。
【0065】
本変形例によれば、上述の実施形態で説明したオーバーハングしている箇所OHに設けられた一対の第一ブラケット10,10と、オーバーハングしていない箇所に設けられた一対の第二ブラケット8,8と、を一体に形成した形態の一体型ブラケット15,15を用いることができるので、オーバーハングした箇所OHにかかる変形力を、第二ブラケット部17側に分散でき、オーバーハングした箇所OHの変形を抑えやすくなる。
【0066】
〔変形例3〕
上述の実施形態おいて、シートフレーム1は、その幅方向一端部側が設置用部材であるスライドレール20よりも車体幅方向外側に突き出てオーバーハングした状態となっていたが、本変形例においては、
図9に示すように、シートフレーム1の幅方向両端部が設置用部材であるスライドレール20よりも車体幅方向外側に突き出てオーバーハングした状態となっている。つまり、本変形例におけるシートフレーム1の場合、幅方向両端部側がオーバーハングしている箇所OH,OHとなっている。
そして、本変形例では、クッションフレーム2と設置用部材であるスライドレール20,20との間のうち、クッションフレーム2におけるオーバーハングしている箇所OH,OHの双方に対して変形抑制部7が設けられている。
また、この場合、双方の変形抑制部7における第一連結部12及び第二連結部13の配置は、第二連結部13が、固定部11よりもシートクッションの外側寄りになっている。
【0067】
本変形例によれば、シートフレーム1の幅方向両端部がオーバーハングした箇所OH,OHとなり、これら双方のオーバーハングした箇所OH,OHに対して変形抑制部7が設けられているので、シートフレーム1の幅方向両端部の変形を抑制することができる。
さらに、このように双方のオーバーハングした箇所OH,OHに対して変形抑制部7が設けられれば、車両用シート全体として左右対称に構成することが可能となるので、当該車両用シートが車体の右側に設けられるものであっても、左側に設けられるものであっても対応することができる。シートベルトの引き出し口を構成するベルトガイドブラケット4についても、シートバックフレーム3の上端部における左側端部と右側端部のどちらにでも設けることができる。