特許第6978785号(P6978785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6978785
(24)【登録日】2021年11月16日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】型材穿孔装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 28/34 20060101AFI20211125BHJP
   B26F 1/32 20060101ALI20211125BHJP
   B26D 7/18 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   B21D28/34 G
   B21D28/34 Z
   B26F1/32 R
   B26F1/32 V
   B26D7/18 G
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-42995(P2019-42995)
(22)【出願日】2019年3月8日
(65)【公開番号】特開2020-142295(P2020-142295A)
(43)【公開日】2020年9月10日
【審査請求日】2020年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】591035542
【氏名又は名称】株式会社小山刃物製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100165755
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 典彦
(72)【発明者】
【氏名】小山 和豊
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05099671(US,A)
【文献】 実開昭48−035481(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0229392(US,A1)
【文献】 実開昭52−167677(JP,U)
【文献】 特開平01−092099(JP,A)
【文献】 実開昭52−147499(JP,U)
【文献】 特開2017−030003(JP,A)
【文献】 特開2018−192482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 28/00 − 28/34
B26F 1/32
B26D 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作棒の操作によりパンチをダイに形成するダイ孔に前進させて穿孔対象の型材を穿孔する手動工具であって、
前記パンチを前後動可能に支持するパンチ支持部と、少なくとも前記ダイ孔の排出側を内部に位置させて固定するダイ固定部とを有する本体と、前記操作棒の操作により前記パンチを前後動させる連動機構と、を備えてなり、
前記本体のダイ固定部は、前記ダイ孔の排出側に該ダイ孔よりも広範囲の収容部を備え、打ち抜き片を収容可能とし
前記本体は、前記ダイ固定部と前記パンチ支持部とを連結する連結部を有し、前記連結部の内方を開放する連結部収容部分は、前記収容部の収容部分と連通することを特徴とする型材穿孔装置。
【請求項2】
収容部は、打ち抜き片の打ち抜き方向に対向する対向面を有する外部と遮蔽するものであって、前記打ち抜き方向に加え、該打ち抜き方向よりも下方に延長する収容部分を有することを特徴とする請求項1に記載の型材穿孔装置。
【請求項3】
収容部の打ち抜き片の打ち抜き方向に対向する対向面に、閉鎖状態をロックするロック機構を有する開閉自在の開閉体を備えることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の型材穿孔装置。
【請求項4】
開閉体のロック機構は、開閉扉を押圧するネジ状体による固定具による第一のロック機構と、前記固定具を挿入する被挿入穴に前記開閉扉に形成される鉤状の切欠き部が係合する第二のロック機構と、を有することを特徴とする請求項に記載の型材穿孔装置。
【請求項5】
連動機構は、後方に操作棒の先端を固定しつつ前方にパンチを軸支した伝達体と、本体のパンチ支持部と前方を軸支しつつ後方を前記伝達体と軸支した一対の連結体と、該一対の連結体を架橋して前記伝達体の回動方向に位置する補強軸とからなり、前記操作棒の開き操作により前記伝達体を補強軸に向けて回動して前記パンチを後進させるものであって、
前記補強軸に軸支し、前記伝達体の補強軸側縁に係止して前記操作棒の操作を規制するストッパーを備えることを特徴とする請求項1、2、3またはのいずれかに記載の型材穿孔装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型材等の穿孔対象を打ち抜いて穿孔する手動式の穿孔装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
配管や配線をサポートするレール(型材)を天井や壁などに固定する際のネジやビスなどの固定具を挿通したり、配線コードを挿通する穴を型材に形成する手段として、手動式の型材穿孔具が従来から提案されている。従前の穿孔具はダイから打ち抜いた打ち抜き片が飛び出してくるため、作業場所周辺では打ち抜き片が散乱する状態であり、勢いよく飛び出した打ち抜き片が使用者以外の第三者に当たったりする危険があった。
【0003】
先行技術として特許文献1は、手動ハンドルによりパンチ体を駆動操作して、板材に貫通孔を穿設するための穿孔具を開示している。この穿孔具は、穿孔具本体と、該穿孔具本体に相対移動可能に保持されたパンチ体と、該パンチ体と対向するように穿孔具本体に固定された受け部と、穿孔具本体に支持された手動ハンドルとを備える構成としている。また、空調設備の施工現場などで配管に穴を形成する手段に関する特許文献2は、ダイ穴の下方を押さえ板で塞ぎ、穴を開けた際に発生した切り屑をダイ穴内に保持する穴開け装置を開示している。この穴開け装置は、押さえ板を軸に回動させてダイ穴を開放することによりダイ穴内の切り屑を排出する構成としている。特許文献3は、出願人を同じくする型材穿孔具の意匠であり、操作部を押し下げて操作部の後端部にロックリングを架けて操作部の開閉を規制し、この規制した状態から操作部を押し下げてロックリングを外して規制を解除する構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−30003号公報
【特許文献2】特開2018−192482号公報
【非特許文献1】意匠登録第1580349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、打ち抜いた打ち抜き片が散乱せずに、穿孔装置内に留めておくものが望まれていた。特許文献1に記載の穿孔具や特許文献2に記載の穴開け装置は、穿孔により発生した打ち抜き片がダイ穴に残るため、連続して穿孔すると、ダイ穴内の打ち抜き片に干渉してパンチの打ち込みが不十分になることがあった。そして、第2の課題として、可搬性を向上することが望まれ、打ち抜き片を穿孔具に残すことにより打ち抜き片を保持して搬送できる。また、特許文献3の型材穿孔具はロックリングにより操作部の予期しない開閉を防止しているが、ロックリングの係脱に力と手間を要するとともに、操作部を下げることにより作業中の休憩時などにロックリングの係脱を行うと型材のずれやパンチの前後動を生じることがあった。
【0006】
そこで、打ち抜き片が散乱せず、安定して連続した穿孔作業を行える型材穿孔装置が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の型材穿孔装置は、操作棒の操作によりパンチをダイに形成するダイ孔に前進させて穿孔対象の型材を穿孔する手動工具であって、前記パンチを前後動可能に支持するパンチ支持部と、少なくとも前記ダイ孔の排出側を内部に位置させて固定するダイ固定部とを有する本体と、前記操作棒の操作により前記パンチを前後動させる連動機構と、を備えてなり、前記本体のダイ固定部は、前記ダイ孔の排出側に該ダイ孔よりも広範囲の収容部を備え、打ち抜き片を収容可能とし、前記本体は、前記ダイ固定部と前記パンチ支持部とを連結する連結部を有し、前記連結部の内方を開放する連結部収容部分は、前記収容部の収容部分と連通することを特徴とする。
【0008】
また、収容部は、打ち抜き片の打ち抜き方向に対向する対向面を有する外部と遮蔽するものであって、前記打ち抜き方向に加え、該打ち抜き方向よりも下方に延長する収容部分を有することが好ましい。
【0010】
また、収容部の打ち抜き片の打ち抜き方向に対向する対向面に、閉鎖状態をロックするロック機構を有する開閉自在の開閉体を備えることが好ましい。
【0011】
また、開閉体のロック機構は、開閉扉を押圧するネジ状体による固定具による第一のロック機構と、前記固定具を挿入する被挿入穴に前記開閉扉に形成される鉤状の切欠き部が係合する第二のロック機構と、を有することが好ましい。
【0012】
また、連動機構は、後方に操作棒の先端を固定しつつ前方にパンチを軸支した伝達体と、本体のパンチ支持部と前方を軸支しつつ後方を前記伝達体と軸支した一対の連結体と、該一対の連結体を架橋して前記伝達体の回動方向に位置する補強軸とからなり、前記操作棒の開き操作により前記伝達体を補強軸に向けて回動して前記パンチを後進させるものであって、前記補強軸に軸支し、前記伝達体の補強軸側縁に係止して前記操作棒の操作を規制するストッパーを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明により、収容部に打ち抜き片を収容することで、連続して発生した打ち抜き片をダイ孔に残り難くして、パンチの打ち抜き片への干渉を防止して、安定して連続する穿孔を行うことができる。さらに収容部の収容部分が連結部収容部分と連通した大型の収容空間とすることで、抜き打ち片を多く収容し、連続した使用が可能になる。
【0014】
請求項2に記載の発明により、外部に遮蔽された収容部を有することで、打ち抜き片が穿孔装置から飛び出したり、穿孔装置の周囲に散乱することを防ぎ、打ち抜き片の行方を気にせずに穿孔を継続することができるとともに、搬送や廃棄を行い易くすることができる。
【0016】
請求項に記載の発明により、開閉体を形成することで収容された抜き打ち片を収容し、適宜溜まった状態になると排出することができる。
【0017】
請求項に記載の発明により、開閉体のロック機構がネジによる第1のロック機構と鉤状体による第2のロック機構を備えることにより、穿孔装置の穿孔操作による大きな振動でネジの緩みによる誤作動(誤開放)を防ぐことができ、安易に開閉体が開放することを防ぎ、安全に使用することが可能になる。
【0018】
請求項5に記載の発明により、ストッパーを回動して容易に操作棒の開閉を規制することができて、ストッパーにより予期しない操作棒の開きやパンチの前後動を防止して、連続作業中の休憩や打ち抜き片の廃棄や搬送を安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る型材穿孔装置の全体斜視図である。
図2】型材穿孔装置の側面図である。
図3】型材穿孔装置の本体周辺の側断面拡大図であって、(a)は操作棒を閉じた状態、(b)は操作棒を開いた状態を示す。
図4】型材穿孔装置の正面図であり、(a)が開閉体を閉じた状態で、(b)が開閉体を開けた状態である。
図5】型材穿孔装置の使用状態の側面図である。
図6】ストッパーの拡大斜視図である。
図7】ストッパーの規制状態を示す一部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。本実施例に関し、図1の穿孔装置のダイ3側を前方とする支持棒8の軸方向を前後方向として説明する。
【0021】
本実施形態の穿孔装置は、図1に示すように、穿孔対象を配管材や配線フレーム、下地材等の型材とするものであって、主に天井や壁からボルトで吊り下げるための孔を開けるための穿孔装置である。特に、操作棒8を有し、作業場に携行し、持ち運びが可能なタイプのものである。本実施形態の穿孔装置は、操作棒8を開くように操作してパンチ2を後退させた後(図5参照)、操作棒8を後方に閉じるように押し下げることによりパンチ2をダイ3側に前進させて、ダイ3に配置した型材Mに穴を打ち抜く手動工具である。
【0022】
この穿孔装置は、図1及び図2に示すように、本体1と、前後方向に摺動するパンチ2と、パンチ2を受けて穿孔のためのダイ孔3c(図3参照)を有するダイ3と、開閉自在の操作棒8と、操作棒8の開閉操作をパンチ2の前後動に連動させる連動機構と、本体1を支持する支持棒9とからなる。操作棒8は前後方向に長い円筒部材からなり、その後端部にグリップ部8aを有しているもので、概ね485mm程度の長手方向長さを有する(全体長さは概ね600mm)。支持棒9は操作棒8と同程度に前後方向に長い丸筒部材からなり、その後端部に支持板9aを有し、使用者が支持板9aを踏むなどにより型材穿孔装置を地面などに保持可能としている。
【0023】
本体1は、型材Mを載置する前後に所定の前後方向長さを有する連結部10と、連結部10の後部から上方に突出するパンチ支持部11と、連結部10の前部から上方に突出するダイ固定部12とからなり、型材Mを内側に配置する上向きコの字形状としている。本体1は、パンチ支持部11によりパンチ2を前後に移動可能に支持し、ダイ固定部12によりパンチ2に対向する位置にダイ3を固定している。
【0024】
連結部10はその上面と面一になるように左右に突出するガイド板10a、10aを有し、ガイド板10a、10aの上面に型材Mを載置することにより型材Mを安定して載置することができる。連結部10は、図3(a)、(b)に示すように、前後方向に軸を有した円柱型の連結部収容部分10bを内部に備え、連結部収容部分10bのパンチ支持部11に位置する後端を後方に狭まる円錐形状としている。この連結部収容部分10bは後述のとおり収容部4と連通して収容空間を大型化している。連結部10は連結部収容部分10bの後方に支持棒9の前端部を同軸に並べて固定している。
【0025】
パンチ2は、前後方向を軸とする円柱形状とし、その前端に刃先2aを有している。パンチ2は、パンチ支持部11に貫通して前後方向には移動するが、上下方向には移動しないように支持される。パンチ2の後端部は連動機構の一つの伝達体13に接続されている。これにより、操作棒8の開き操作(図5のA方向)により連動機構を介してパンチ2が後進、すなわち後方に移動し、操作棒8の閉じ操作(図5のB方向)により連動機構を介してパンチ2が前進、すなわち前方に移動する。
【0026】
図3(a)、(b)に示すように、ダイ3は、内部に前後方向にかけてダイ孔3cを有する円筒形状であり、パンチ2が挿入される後側部位3aがダイ固定部12のパンチ支持部11側に突出して露出し、前側部位3bがダイ固定部12の内部に挿入されて固定されている。本実施形態は前側部位3bがダイ固定部12の内部に挿入されているものであるが、ダイ3自体がダイ固定部12のパンチ支持部11側の面に固定されており、ダイ孔3cがダイ固定部12に当接して打ち抜き片Pがダイ固定部12の内部の収容部4に収容されるようにしてもよい。
【0027】
ダイ3は、軸心位置にダイ孔3cを有している。ダイ孔3cは前後方向に貫通した丸穴形状とし、パンチ2と前後方向に対向して位置している。パンチ2側となる後側部位3aのダイ孔3cの半径はパンチ2の半径よりも若干大きく、ダイ孔3c内に前方に移動したパンチ2を同軸に並べて挿入可能としている。前側部位3bのダイ孔3cは後側部位3aのダイ孔3cよりも半径を大きくして、穿孔により生じた打ち抜き片Pをダイ孔3c内に詰まり難くしている。このダイ孔3cの長手方向(前後方向)が打ち抜き方向となる。
【0028】
ダイ固定部12はその内部であって、ダイ3よりも前方位置に収容部4を有している。収容部4は、周囲を外から遮蔽する収容部分を有するもので、抜き打ち方向(ダイ孔3cから前方向)に向けて対向する対向面を開閉体5により覆っている。正面視においては、左右に向けた上下の辺を円弧状とした長方形状としている(図4(b)参照)。収容部4は、ダイ孔3cの前端側に連通し、その打ち抜き方向に所定の打ち抜き片Pを収容できる打ち抜き方向の収容部分と、この打ち抜き方向の主要部分から下方に延長される下方への収容部分とからなる。収容部4の円弧の半径は前側部位3bのダイ孔3cの半径よりも大きい寸法として、この円弧は前側部位3bのダイ孔3cと同軸に並ぶように位置している。
【0029】
収容部4は、下方で本体1の連結部収容部分10bに連通して、収容部4内に導入した打ち抜き片Pを貯留可能としている。すなわち、本体1は、収容部4の収容部分と連結部収容部分10bとにより、打ち抜き片Pを収容する大型の収容空間を形成している。この収容部4の対向面の面積は前側のダイ孔3bの開口面積の3倍以上としている。なお、本実施形態の収容空間は大型の収容空間としているが、これに限定されず収容部4のみの収容部分により形成するものであってもよい。
【0030】
図3(a)、(b)及び図4(a)、(b)に示すように、打ち抜き片Pの打ち抜き方向と対向する対向面であって、ダイ固定部12の前側面は、収容部4と連結部収容部分10bの対向面を覆う開閉自在の開閉体5を備え、収容部4は開閉体5により完全に密閉されている。この密閉状態とは完全な密室状態をさすものでは無く、打ち抜き片Pが穿孔動作により飛び出さずに収容部4に留まる程度のものであればよく、所定の強度を有すれば網目状の壁面等の形態であってもよい。
【0031】
本実施形態の開閉体5は前後方向に板面を有する矩形の平板からなり、図面上の右下位置に回動軸5bを介してダイ固定部12に軸支されている。開閉体5はダイ固定部12の前側面の上側であって、図面上の左上位置に蝶ネジによる固定具5aを配置している。
【0032】
開閉体5は、固定具5aを係止するために配置された係止穴5cの下部に連通するために、その左外方に開口した鉤状の切欠き部5dを有している。開閉体5は回動軸5bを軸支する回動穴5eが上下に長い長穴になっており、回動軸5bに対して上下に摺動可能とし、閉鎖状態では鉤状の切欠き部5dを係止穴5cの下部に連通した状態で固定具5aを締め付けている。このようにして、二重のロック機構により、開閉体の閉鎖状態をロックしている。一方、固定具5a(蝶ネジ)を緩めて開閉体5を回動穴5eにより上方に摺動した状態において、切欠き部5dにより固定具5aの係止を解きながら回動軸5bにより開閉体5を回動可能としている。
【0033】
これにより、開閉体5を固定具5aにより閉じた状態で固定することにより、収容部4と連結部収容部分10bからなる収容空間の前開口を覆う状態に保持される。その一方、固定具5aを回転させて緩め、回動軸5bを支点に開閉体5を回動することにより、収容部4と連結部収容部分10bからなる収容空間の前開口を開放する状態に切り替え可能としている。特に本実施形態の型材穿孔装置は、型材に穿孔する際に大きな振動が装置全体にかかる。一次的なロック機構としては蝶ネジによるネジ固定が好ましいが、穿孔の際の振動によりネジが徐々に緩み、100回程度の穿孔により外れてしまう危険性がある。そこで、蝶ネジによる一次的なロック機構に加え、鉤状の切欠き部5dによる二次的なロック機構を組み合わせることで、閉鎖状態を完全にロックすることができる。
【0034】
次に連動機構及び連動機構のストッパーについて説明する。連動機構は、図1及び図3(a)、(b)に示すように、操作棒8を固定しパンチ2を軸支した伝達体13と、本体1に一端側を軸支しもう一端側を伝達体13に軸支した一対の連結体14、14とからなる。連動部6は、伝達体13と連結体14、14の形態により操作棒8の上下の開閉操作によりパンチ2を前後移動させるカム機構としている。
【0035】
伝達体13は、操作棒8の前端部である先端を後方に固定した上部13aと、一対の連結体14、14を軸支した下部13bと、下部13bの両側面を前方に突出させる側部13c、13cを有する略L字形状のブロック体としている。上部13aは、操作棒8の先端となる前端部を埋め込み、一体として動くように操作棒8をボルト8bにより固定している。下部13bは一対の連結体14、14の間に位置し、両連結体14、14の後方の軸15bにより軸支される。両側部13c、13cはその間にパンチ2の後端部を軸支し、パンチ2の後端部を軸15cにより軸支している。
【0036】
一対の連結体14、14は山形(三角形状)の板状部材からなり、左右の板面を対向して配置している。一対の連結体14、14は前方で軸15aによりパンチ支持部11にパンチ2よりも上方位置で軸支し、上述のとおり後方の軸15bにより伝達体13の下部13bを軸支している。また、後方の軸15bよりも前方上側であって、前方の軸15aの後方上側に補強軸16が掛け渡されている。
【0037】
一対の連結体14、14の上面には、補強軸16の位置から後方にかけて後述するストッパー7を掛け置くために若干ながら凹ませた凹所14aが形成される。補強軸16は、略三角形状の一対の連結体14、14の頂点で架橋して、操作棒8の開閉操作により伝達体13が回動する際の回動方向に位置し、左右方向に捻じれて動作することを防止している。
【0038】
補強軸16には操作棒8の回動を規制するストッパー7を設けている。ストッパー7は、図6及び図7に示すように、対向する二つの円盤型の板状部7b、7bと、二つの板状部7b、7bの上端間を掛け渡すように接続する接続部7cとからなる。二つの板状部7b、7bは軸を通す丸穴が形成されており、この丸穴に補強軸16を通して軸支され、一方の板状部7bと連結体14との間にバネワッシャ16aを配置して回り止めされる。
【0039】
接続部7cは両側の後端部から左右に突出する一対の突出片7a、7aを有している。ストッパー7は、図7に示すように、突出片7a、7aが連結体14、14よりも上方に位置するように回動し、この突出片7a、7aが連結体14、14の上面に形成された凹所14aに載置可能としている。この状態でストッパー7の接続部7cの後側縁が伝達体13の前側縁に当接可能にさせることにより、伝達体13の回動を規制する。
【0040】
ストッパー7の突出片7a、7aを連結体14、14の凹所14a、14aに載置した状態(規制状態)において、操作棒8を前上方に回動するように開き操作を行おうとすると、伝達体13の上部13aの前側縁とストッパー7の接続部7cの後側縁に当接して操作棒8の回動を規制する。これに抗って操作棒8の回動をしようとしても、突出片7a、7aを連結体14、14に押し付けるように動作して、ストッパー7により開き操作(連結体14、14の回動)が阻止される。すなわち、ストッパー7は突出片7a、7aを凹所14aに配置した姿勢とすることにより、操作棒8の開き操作を規制することができる。そして、この規制状態から突出片7a、7aを掴んでストッパー7を補強軸16を支軸に回動して立ち上げ、さらに補強軸16よりも前方に位置するようにさせると、連結体14、14の前上面(補強軸16よりも前側の上面)に当接することにより、この規制を解除して、操作棒8の開閉操作が行える状態に切り替わる。これにより、使用者が型材穿孔装置を携行するときに操作棒8を握って持ち運ぶ場合があるが、不意な操作棒8の開閉を抑えることができる。
【0041】
次に型材穿孔装置による穿孔作業を説明する。図1に示すように、ストッパー7を規制状態にして型材穿孔装置を作業場所に搬送し、作業場所にてストッパー7を回動して規制解除状態に切り替える。図7に示すように、操作棒8を開き操作をしてパンチ2をダイ孔3cから抜き出し、型材Mを穿孔する位置に合わせて連結部10に配置する。配置した後、操作棒8を閉じるために下げ降ろしてパンチ2により型材Mに穴を穿ち、一回目の穿孔作業が完了となる。操作棒8を立ち上げることにより穿孔位置の変更や他の型材Mへの交換が可能となり、以降所望の回数の穿孔作業を繰り返すことができる。
【0042】
この穿孔作業により型材Mから生じた打ち抜き片Pは、図4(b)に示すように、穿孔の衝撃やパンチ2や次の打ち抜き片Pに押されるなどにより収容部4内に導入され、貯留される。型材穿孔装置はダイ孔3cに打ち抜き片Pを詰まらせずに穿孔作業を連続して実施することができる。
【符号の説明】
【0043】
1…本体、2…パンチ、3…ダイ、3c…ダイ孔、4…収容部、5…開閉体、5a…固定具(第1のロック機構)、5d…切欠き部(第2のロック機構)、7…ストッパー、7a…突出片、8…操作棒、9…支持棒、13…伝達体(連結機構)、14…連結体(連結機構)、16…補強軸、M…型材、P…打ち抜き片。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7