(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6978794
(24)【登録日】2021年11月16日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】粉粒体移送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 33/32 20060101AFI20211125BHJP
B65G 65/48 20060101ALI20211125BHJP
B65G 65/46 20060101ALI20211125BHJP
F16C 32/06 20060101ALN20211125BHJP
F16D 7/02 20060101ALN20211125BHJP
【FI】
B65G33/32
B65G65/48 G
B65G65/46 B
!F16C32/06 Z
!F16D7/02 C
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-207491(P2019-207491)
(22)【出願日】2019年11月15日
(65)【公開番号】特開2021-80045(P2021-80045A)
(43)【公開日】2021年5月27日
【審査請求日】2020年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】598040639
【氏名又は名称】株式会社 ワイ・エム・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100129207
【弁理士】
【氏名又は名称】中越 貴宣
(72)【発明者】
【氏名】荒井 竹志
【審査官】
福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−202322(JP,A)
【文献】
特開平07−243445(JP,A)
【文献】
特開平07−217655(JP,A)
【文献】
特開平06−159366(JP,A)
【文献】
特開2012−136319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/46
B65G 33/32
B65G 65/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉ケース内に配設されたスクリューやローター等の回転体を回転させることによって粉粒体を定量移送する粉粒体移送装置であって、
駆動用モータと、
駆動用モータの出力軸と一体回転する駆動側マグネット部と、
マグネットカバーで仕切られた前記密閉ケース内に配設される前記回転体と、
前記回転体の回転軸の後端に配設され、前記駆動側マグネット部との間で吸引力が作用する従動側マグネット部と、
前記密閉ケース内に配設され、前記回転軸の後端側及び前端側を軸支するラジアル静圧気体軸受と、
前記密閉ケース内に配設され、前記回転軸の前端部、または前記従動側マグネット部と前記回転軸の後端側に配設された前記ラジアル静圧気体軸受との間に位置する前記回転軸を軸支するスラスト荷重軸受と、
を備えることを特徴とする粉粒体移送装置。
【請求項2】
前記スラスト荷重軸受がスラスト静圧気体軸受であることを特徴とする請求項1に記載の粉粒体移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体を定量移送する粉粒体移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒体を定量移送するための手段として、スクリューフィーダやロータリーバルブが使用されている。例えば一般的なスクリューフィーダは、スクリューケース内に配設されたスクリューのスクリュー軸を駆動用モータの出力軸に連結し、軸受によって軸支されたスクリュー軸を回転駆動することによって粉粒体が定量移送される。
【0003】
上記の一般的なスクリューフィーダにおいては、粉粒体が軸受に進入するのを防止するため、軸受のスクリュー側にリップシール型のダストシールが配設される。しかしながら、軸受やダストシールを定期的に交換しているにも拘わらず、軸受が早期に焼き付いたり固着したりするという問題がある。スクリュー軸とダストシールのリップとの間に粉粒体が進入すると、ダストシールのリップが摩耗し、ダストシールのシール機能が失われると粉粒体が軸受に進入し、軸受の焼き付きや固着を招くこととなる。この現象は、ロータリーバルブにおいても同様で、ダストシールのシール機能が失われると、粉粒体がローターシャフトと軸受との間に進入し、軸受の焼き付きや固着を招くこととなる。
【0004】
そこで、本願発明者は、流動化手段を備えたスクリューフィーダにおいて、ダストシールの機能が低下してもその下流に配置した軸受の焼き付きや固着が生じることのないスクリューフィーダを開示している(特許文献1参照。)。特許文献1に開示したスクリューフィーダは、ホッパーに収容された粉粒体に対してエアレーションを行うことにより粉粒体を流動化させるための流動化手段を備えたスクリューフィーダにおいて、スクリュー軸を軸支するための軸受をスペーサ手段によって軸受用ダストシールから軸方向外側に離間させると共に、前記軸受とダストシールとの間の領域を外部雰囲気に開放させることにより、ダストシールを通過した粉粒体が外部雰囲気へ排出されるのを可能にし、もって、ダストシールを通過した粉粒体が軸受に到達するのを防止するようにしたことを特徴とする。
【0005】
上記の構成を備える特許文献1に係るスクリューフィーダによると、ダストシールを通過した粉粒体が軸受に到達する前に外部へ排出させるようにしたので、万一、ダストシールの摩耗によりシール機能が低下し或いは失われた場合でも、ダストシールを通過した粉粒体が軸受に達するのが防止され、軸受の焼き付きや固着を防止することができる。
【0006】
一方、液漏れの心配が全くないことから、クリーンルームや食品・薬液移送用ポンプなどにおいて、磁力を利用して動力伝達が可能なマグネットカップリングが使用されており、電動モータの回転力をマグネットカップリングを介してローターやインペラなどの回転体に伝達する方式のマグネットカップリング型ポンプが開示されている(例えば特許文献2参照。)。特許文献2に開示されたマグネットカップリング型ポンプは、モータ出力軸と一体回転する駆動外側マグネット部から磁力を介して隔壁部材により仕切られたポンプハウジング内の従動内側マグネット部へ回転力を伝達し、該従動内側マグネット部と一体回転するシャフトに接続されるローターやインペラや羽根車などの回転体を回転させることにより搬送力を発生するマグネットカップリング型ポンプにおいて、後端が前記従動内側マグネット部とシャフトの空間部に延設された円筒部を備えたベアリングハウジングを、前記シャフトの周囲を囲繞するように前記ポンプハウジングに一体に固設し、先端に外向きフランジ部を備えた前部スリーブベアリングを前記ベアリングハウジングの内周面と前記シャフト外周面間に、先端に外向きフランジ部を備えた後部スリーブベアリングを前記ベアリングハウジングの後部外周面と前記従動内側マグネット部の前部内周面間に、それぞれ介設するとともに、前記前部スリーブベアリングと前記後部スリーブベアリングの少なくとも一部が前記ポンプの前後方向で重なり合うように配置したことを特徴とする。
【0007】
上記の構成を備える特許文献2に係るマグネットカップリング型ポンプによると、隔壁部材によって液漏れの心配がないことはもちろんであるが、更に前記ベアリングハウジングを挟んで前方内側と後方外側との2箇所で二重のスリーブベアリングにより前記シャフトと前記従動内側マグネットカップリングとを回転自在に支持し、従来の隔壁部材側のスリーブベアリングを省いて片持ち支持構造にしたので、許容可能なラジアル荷重を従来の片持ち支持構造に比べて増大でき、同時に従来の両端支持構造に比べて構造を単純化して簡略にでき、小型軽量化が図れる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−228911号公報
【特許文献2】特許第3983749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明者が特許文献1に開示したスクリューフィーダによると、ダストシールを通過した粉粒体が軸受に到達する前に外部へ排出させるようにしたので、ダストシールを通過した粉粒体が軸受に達するのが防止され、軸受の焼き付きや固着を防止することができる。しかしながら、ダストシールを通過した粉粒体は外部へ排出されるため、スクリューフィーダの使用環境によっては粉粒体の外部への排出が好ましくない場合がある。
【0010】
その点、特許文献2に開示されたマグネットカップリング型ポンプなどを使用することによって粉粒体の外部への排出は防止できるが、ポンプハウジング内に配設されるシャフトはスリーブベアリングによって軸支されるため、薬液などの液体移送であれば問題はないが、粉粒体の移送に使用した場合は、粉粒体がシャフトとスリーブベアリングとの間に進入し、スリーブベアリングの焼き付きや固着を招くおそれがある。
【0011】
そこで本願発明者は、上記の問題点に鑑み、マグネットカップリングを使用することによって粉粒体がケース外部へ排出されることを防止しつつ、シールレスとしながらも回転軸の軸受への粉粒体の進入を防止することが可能な粉粒体移送装置を提供するべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に至ったのである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
即ち、本発明の粉粒体移送装置は、密閉ケース内に配設されたスクリューやローター等の回転体を回転させることによって粉粒体を定量移送する粉粒体移送装置であって、駆動用モータと、前記駆動用モータの出力軸と一体回転する駆動側マグネット部と、
マグネットカバーで仕切られた前記密閉ケース内に配設される前記回転体と、前記回転体の回転軸の後端に配設され、前記駆動側マグネット部との間で吸引力が作用する従動側マグネット部と、前記密閉ケース内に配設され、前記回転軸の後端側及び前端側を軸支するラジアル静圧気体軸受と、前記密閉ケース内に配設され、前記回転軸の前端部、または前記従動側マグネット部と前記回転軸の後端側に配設された前記ラジアル静圧気体軸受との間に位置する前記回転軸を軸支するスラスト荷重軸受と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の粉粒体移送装置において、前記スラスト荷重軸受がスラスト静圧気体軸受であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の粉粒体移送装置によると、マグネットカップリングを使用することによって密閉ケース外部への粉粒体の排出を防止することができるとともに、密閉ケース内において回転軸の後端側及び前端側をラジアル静圧気体軸受で軸支することによって、回転軸の軸受面への粉粒体の進入を防止することができる。
【0015】
特に、回転軸の軸受にラジアル静圧気体軸受を適用することによって、回転体の停止時に回転軸と軸受面との隙間に粉粒体が進入しても、回転軸の駆動時に加圧された気体を軸受面に導入することによって、隙間に進入した粉粒体を外部へ排出することができ、ダストシールを不要とすることが可能となる。従って、ダストシールの劣化という問題が生じず、メンテナンス性の向上が図られる。
【0016】
また、本発明の粉粒体移送装置において、回転軸の前端部、または従動側マグネット部と回転軸の後端側に配設されたラジアル静圧気体軸受との間に位置する回転軸をスラスト荷重軸受で軸受することによって、回転軸に作用するスラスト荷重を受けることができるとともに、ダストシールを用いなくても回転軸の軸受面に粉粒体が進入するのを防止することができ、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0017】
また、本発明の粉粒体移送装置において、密閉ケース内に配設されるスラスト荷重軸受をスラスト静圧気体軸受とすることによって、万が一、ラジアル静圧気体軸受を通過した粉粒体がスラスト静圧気体軸受の軸受面に進入しても、回転軸の駆動時に加圧された気体を軸受面に導入することによって、隙間に進入した粉粒体を外部へ排出することができ、ダストシールを不要とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るスクリューフィーダの全体構成を示す概略側面図である。
【
図2】
図1における駆動部及びマグネットカップリング部の拡大側面図である。
【
図3】
図1における駆動部及びマグネットカップリング部の分解図である。
【
図4】
図1に示したスクリューフィーダの模式断面図である。
【
図5】(a)は
図4におけるA部分の拡大図、(b)は
図4におけるB部分の拡大図である。
【
図6】本発明の他の実施形態に係るスクリューフィーダの模式断面図である。
【
図7】(a)は
図6におけるC部分の拡大図、(b)は
図6におけるD部分の拡大図である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係るロータリーバルブの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の粉粒体移送装置がスクリューフィーダの場合の一実施形態について、図面に基づいて詳述する。
図1は本発明の粉粒体移送装置の一実施形態に係るスクリューフィーダ10の全体構成を示す概略側面図、
図2は
図1における駆動部20及びマグネットカップリング部30の拡大側面図、
図3は
図2に示した部分の分解図、
図4は
図1に示したスクリューフィーダ10の模式断面図である。これらの図に示すように、本実施形態のスクリューフィーダ10(粉粒体移送装置)は、密閉ケースであるスクリューケース11内に配設されたスクリュー12(回転体)を回転駆動させることによって粉粒体を定量移送する構成となっている。
【0020】
スクリューケース11は、ホッパー(不図示)等に貯留された粉粒体が供給される供給口13と、スクリューケース11内をスクリュー12によって移送された粉粒体が排出される排出口14とを備える。また、スクリューケース11内における両側部には、スクリューケース11内に配設されたスクリュー12のスクリュー軸15(回転軸)を軸支する軸受部16及び軸受部17がそれぞれ配設されている。なお、軸受部16、17の具体的な構成については後述する。
【0021】
本実施形態のスクリューフィーダ10に係る駆動部20は、
図2及び
図3に示すように、駆動用モータ21と、駆動用モータ21を取り付けるための駆動用モータ側ブラケット22と、駆動用モータ21の出力軸23に連結される駆動シャフト24と、駆動用モータ21の出力軸23及び駆動シャフト24を軸支する軸受アッセンブリ25とを含んで構成されている。この軸受アッセンブリ25は、ベアリング26、スペーサー27、ベアリング28及びベアリングケース29によって構成されている。
【0022】
本実施形態のスクリューフィーダ10に係るマグネットカップリング部30は、主に駆動側マグネット部31と、従動側マグネット部32と、駆動側マグネット部31と従動側マグネット部32とを仕切るための隔壁として機能するマグネットカバー33と、マグネットカバー33が取り付けられるとともに、上記の駆動部20をスクリューケース11が備える軸受部16に取り付けるためのケース側ブラケット34とを含んで構成されている。そして、駆動用モータ側ブラケット22とケース側ブラケット34とをスペーサーボルト35で連結固定することによって、駆動部20及びマグネットカップリング部30がスクリューケース11に取り付けられるとともに、マグネットカップリング部30の設置スペースが確保されることとなる。
【0023】
駆動側マグネット部31は、駆動シャフト24に連結され、駆動用モータ21の出力軸23と一体回転する。駆動側マグネット部31に係る先端側には開口部31aを備え、この開口部31aの内周面に沿って駆動側マグネット(不図示)が配設されている。
【0024】
駆動側マグネット部31に対向して配設される従動側マグネット部32は、スクリューケース11に配設されたスクリュー12のスクリュー軸15の後端に連結固定されている。本実施形態に係る従動側マグネット部32は円筒状をなし、その外周面に沿って、従動側マグネット(不図示)が配設されている。
【0025】
マグネットカバー33は有底円筒状をなし、駆動側マグネット部31に係る開口部31a内にマグネットカバー33が挿入され、マグネットカバー33が備える開口部33aに従動側マグネット部32が挿入されることによって、駆動側マグネット部31と従動側マグネット部32とを仕切るための隔壁として機能する。そして、駆動用モータ21の駆動力が出力軸23及び駆動シャフト24を介して駆動側マグネット部31に伝達されると、駆動側マグネット部31と従動側マグネット部32との間で吸引力が作用することによって駆動側マグネット部31の回転力がマグネットカバー33で仕切られた従動側マグネット部32に伝達される。駆動側マグネット部31の回転力が従動側マグネット部32に伝達されることによって従動側マグネット部32が回転駆動され、従動側マグネット部32の回転に伴ってスクリュー軸15が回転駆動されることとなる。
【0026】
次に、本実施形態のスクリューフィーダ10に係る軸受部16及び軸受部17について詳述する。
図4及び
図5に示すように、スクリューケース11内における両側部には、少なくともスクリューケース11内に配設されたスクリュー12のスクリュー軸15の後端側及び前端側を軸支する軸受部16がそれぞれ配設されている。
【0027】
そして、本実施形態に係る軸受部16には、ラジアル静圧気体軸受が適用されることを特徴とする。本実施形態のスクリューフィーダ10は粉粒体の定量移送に適用される。ラジアル静圧気体軸受は、スクリュー軸15に作用するラジアル荷重を受けるとともに、潤滑剤として気体を利用し、外部からの気体圧力を利用してスクリュー軸15と軸受面との間に気体膜を形成することによってスクリュー軸15を軸支する。なお、スクリュー軸15の後端には、上述した従動側マグネット部32が連結固定されているため、スクリュー軸15の後端側においては、この従動側マグネット部32を避けた位置でラジアル静圧気体軸受によって軸支される。
【0028】
従来の一般的な軸受構造では、スクリュー軸15と軸受面との間への粉粒体の進入を防止するために、スクリュー12側にダストシールが使用されるが、ダストシールが劣化してくると粉粒体が進入し、スクリュー軸15が摩耗することとなる。しかし、本実施形態に係る軸受部16にラジアル静圧気体軸受を適用することによって、
図5に示すように、粉粒体の移送時には気体供給口16aから気体排出口16bに向かって加圧気体が供給され、スクリュー軸15と軸受面との間に形成される気体膜でスクリュー軸15が軸支されるため、スクリュー軸15と軸受面との隙間への粉粒体の進入を容易に防止できる。
【0029】
また、仮にスクリュー12の停止時にスクリュー軸15と軸受面との隙間に粉粒体が進入しても、スクリュー軸15を再駆動する際に加圧気体を供給することによって、隙間に進入した粉粒体を隙間から外部へ排出することができる。従って、軸受部16においてダストシールを不要とすることが可能となり、ダストシールの劣化という問題が生じず、メンテナンス性の向上が図られる。
【0030】
以上のとおり、本発明の粉粒体移送装置の実施形態に係るスクリューフィーダ10によると、駆動部20からの回転駆動力を、マグネットカップリング部30を介してスクリューケース11内のスクリュー軸15に伝達することができるため、スクリュー12を密閉されたスクリューケース11内に配設することができ、粉粒体の外部への排出を防止することができる。
【0031】
また、スクリューケース11内において、スクリュー軸15の前端側及び後端側をラジアル静圧気体軸受によって軸支することによって、スクリュー軸15と軸受面との間への粉粒体の進入を防止することが容易にでき、密閉されたスクリューケース11内に軸受部16を配設しても、ダストシールを不要とすることができる。
【0032】
なお、本実施形態のスクリューフィーダ10では、スクリューケース11内の両側部において、スクリュー軸15の後端側及び前端側を軸受部16、16で軸支するのみならず、スクリュー軸15の前端部をスラスト荷重軸受の軸受部17によって軸支している。スクリュー軸15(回転軸)にはラジアル荷重のみならずスラスト荷重も掛かるため、スクリュー軸15のスラスト荷重を受けるスラスト荷重軸受が必要となる。但し、軸受部17の構造、すなわちスラスト荷重軸受の構造は特に限定されず、公知のスラスト荷重軸受が適用できる。これは、
図4に示すように、スクリュー12と軸受部17との間にラジアル静圧気体軸受である軸受部16が介在しているため、軸受部17におけるスクリュー軸15と軸受面との間に粉粒体が進入するおそれが殆どないため、公知の種々のスラスト荷重軸受をシールレスで適用することができ、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0033】
また、スラスト荷重軸受である軸受部17の配設位置は
図4に示したスクリュー軸15の前端部に限定されない。例えば、
図6に示した本実施形態に係るスクリューフィーダ10aのように、従動側マグネット部32と、スクリュー軸15(回転軸)の後端側に配設されたラジアル静圧気体軸受である軸受部16との間に軸受部17を配設してもよい。従動側マグネット部32と、スクリュー軸15の後端側に配設されたラジアル静圧気体軸受である軸受部16との間に位置するスクリュー軸15を軸受部17(スラスト荷重軸受)で軸受することによって、スクリュー軸15に作用するスラスト荷重を受けることができるとともに、スクリュー12と軸受部17との間にラジアル静圧気体軸受である軸受部16が介在しているため、ダストシールを用いなくてもスクリュー軸15と軸受面との間に粉粒体が進入するのを防止することができ、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0034】
更に、本実施形態のスクリューフィーダ10、10aに係る軸受部17のスラスト荷重軸受の構造は特に限定されないが、本実施形態に係る軸受部17にはスラスト静圧気体軸受が適用されることがより好ましい。本実施形態に係る軸受部17にスラスト静圧気体軸受を適用することによって、
図5及び
図7に示すように、粉粒体の移送時には気体供給口17aから気体排出口16b、17bに向かって加圧気体が供給され、スクリュー軸15と軸受面との間に形成される気体膜でスクリュー軸15の前端部、或いは従動側マグネット部32と、スクリュー軸15の後端側に配設された軸受部16(ラジアル静圧気体軸受)との間に位置するスクリュー軸15が軸支されるため、より安定してスクリュー軸15を軸支することができる。
【0035】
また、万が一、軸受部16のラジアル静圧気体軸受を通過した粉粒体が、スクリュー12の停止時に軸受部17におけるスクリュー軸15と軸受面との隙間に粉粒体が進入しても、スクリュー軸15を再駆動する際に加圧気体を供給することによって、隙間に進入した粉粒体を隙間から外部へ排出することができる。従って、軸受部16においてダストシールを不要とすることが可能となり、ダストシールの劣化という問題が生じず、メンテナンス性の向上が図られる。
【0036】
以上、本発明の粉粒体移送装置の実施形態として、スクリューフィーダ10、10aの態様について詳述したが、本発明の粉粒体移送装置はスクリューフィーダに限定されるものではない。例えば、本発明の粉粒体移送装置の他の実施形態として、本発明の粉粒体移送装置がロータリーバルブの場合の実施形態について説明する。
【0037】
図8は、本発明の粉粒体移送装置の他の実施形態に係るロータリーバルブ10bの全体構成を示す断面模式図である。同図に示すように、本実施形態に係るロータリーバルブ10bは、基本的な構成は上記の実施形態に係るスクリューフィーダ10、10aと同様であって、密閉ケースであるロータリーバルブケース11a内に配設されたローター12a(回転体)を回転駆動させることによって粉粒体を定量移送する構成となっている。
【0038】
ロータリーバルブケース11aは、ホッパー(不図示)等に貯留された粉粒体が供給される供給口13と、ローター12aによって移送された粉粒体が定量排出される排出口14とを備え、ロータリーバルブケース11a内における両側部には、ローター12aのローターシャフト15a(回転軸)を軸支する軸受部16及び軸受部17がそれぞれ配設されている。
【0039】
本実施形態のロータリーバルブ10bにおいても、駆動用モータ21の駆動力が駆動シャフト24を介して駆動側マグネット部31に伝達されると、駆動側マグネット部31と従動側マグネット部32との間で吸引力が作用することによって駆動側マグネット部31の回転力がマグネットカバー33で仕切られた従動側マグネット部32に伝達される。駆動側マグネット部31の回転力が従動側マグネット部32に伝達されることによって従動側マグネット部32が回転駆動され、従動側マグネット部32の回転に伴ってローターシャフト15aが回転駆動されることとなる。
【0040】
そして、本実施形態のロータリーバルブ10bに係る軸受部16、16に、それぞれラジアル静圧気体軸受が適用されることによって、粉粒体の移送時には加圧気体が供給され、ローターシャフト15aと軸受面との間に形成される気体膜でローターシャフト15aが軸支されるため、ローターシャフト15aと軸受面との隙間への粉粒体の進入を容易に防止できる。従って、軸受部16においてダストシールを不要とすることが可能となり、ロータリーバルブ10bにおいてもダストシールの劣化という問題が生じず、メンテナンス性の向上が図られる。
【0041】
また、軸受部16、16にラジアル静圧気体軸受が適用されることによって、ローターシャフト15aと軸受面との隙間への粉粒体の進入を容易に防止できるため、本実施形態のロータリーバルブ10bに係る軸受部17の構造も特に限定されず、スラスト荷重を受けることができる公知のスラスト荷重軸受をシールレスで適用できる。但し、上記の実施形態に係るスクリューフィーダ10、10aと同様に、軸受部17にはスラスト静圧気体軸受が適用されることがより好ましい。
【0042】
更に、本実施形態のロータリーバルブ10bに係る軸受部17の配設位置も
図8の態様に限定されず、
図6に示したスクリューフィーダ10aと同様に、従動側マグネット部32と、ローターシャフト15aの後端側に配設された軸受部16(ラジアル静圧気体軸受)との間に位置するローターシャフト15aを軸支する位置に配設されてもよい。
【0043】
以上、本発明の粉粒体移送装置の種々の実施形態について詳述したが、本発明の粉粒体移送装置の技術的思想を実質的に限定するものと解してはならない。例えば、ラジアル静圧気体軸受やスラスト静圧気体軸受に使用される気体は特に限定されず、移送する粉粒体の種類に応じて、空気、窒素等の不活性ガス等、適宜選択される。本発明はその要旨を逸脱しない範囲で、当業者の創意と工夫により、適宜に改良、変更又は追加をしながら実施できる。
【符号の説明】
【0044】
10、10a:スクリューフィーダ(粉粒体移送装置)
10b:ロータリーバルブ(粉粒体移送装置)
11:スクリューケース(密閉ケース)
11a:ロータリーバルブケース(密閉ケース)
12:スクリュー(回転体)
12a:ローター(回転体)
13:供給口
14:排出口
15:スクリュー軸(回転軸)
15a:ローターシャフト(回転軸)
16:軸受部(ラジアル静圧気体軸受)
17:軸受部(スラスト静圧気体軸受)
20:駆動部
21:駆動用モータ
22:駆動用モータ側ブラケット
23:出力軸
24:駆動シャフト
25:軸受アッセンブリ
26、28:ベアリング
27:スペーサー
29:ベアリングケース
30:マグネットカップリング部
31:駆動側マグネット部
32:従動側マグネット部
33:マグネットカバー
34:ケース側ブラケット
35:スペーサーボルト