(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、よりセキュリティを高めることが可能なセキュリティサーバおよびセキュリティシステム、および、そのために利用され得る開閉装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、サッシまたは窓枠に囲われた窓、あるいは、サッシまたはドア枠に囲まれたドアである開閉装置であって、当該開閉装置に導線を組み込み、当該開閉装置に設置される電子機器に給電可能とした開閉装置が提供される。
【0006】
前記窓あるいはドアに組み込まれ、前記導線を介して給電される電熱線を備えるのが望ましい。
【0007】
前記導線を介して給電され、前記サッシ、前記窓枠、前記ドア枠および前記ドアの少なくとも1つに設置された1以上のセンサを備えるのが望ましい。
【0008】
本発明の別の態様によれば、上記開閉装置における導線を介して給電され、前記窓あるいはドアに設置された1以上のセンサからの情報を取得するセンサ情報取得部と、取得した情報に基づいてセキュリティに関する処理を行う処理部と、前記処理部の処理結果を示す情報をユーザ端末および/または警備会社サーバに送信する情報送信部と、を備える、セキュリティサーバが提供される。
【0009】
前記1以上のセンサは、カメラを含むのが望ましい。
【0010】
前記処理部は、前記取得した情報に基づいて不正を検出し、不正が検出された時に前記カメラから取得された画像を特定し、前記情報送信部は、不正が検出された旨と、該特定された画像とを前記ユーザ端末および/または前記警備会社サーバに送信するのが望ましい。
【0011】
前記処理部は、前記カメラから取得された画像からペットを検出するのが望ましい。
【0012】
前記処理部は、前記カメラから取得した画像から天候の変化を検出するのが望ましい。
【0013】
前記処理部は、前記カメラから取得した画像の色温度の変化に基づいて火災を検出するのが望ましい。
【0014】
前記処理部は、前記カメラから取得した画像から人物を検出するのが望ましい。
【0015】
前記処理部は、検出された人物が予め登録された人であるか否かを判断するのが望ましい。
【0016】
前記処理部は、前記取得した情報に基づいて不正を検出するのが望ましい。
【0017】
不正が検出された場合、前記情報送信部は、警報を発するための信号を警報装置に送信するのが望ましい。
【0018】
前記警報装置は、上記開閉装置における導線を介して給電され、前記窓あるいはドアに設置されたスピーカおよび/または警報音発生装置であるのが望ましい。警告の音声は、携帯電話を通じた本サービス契約者個人あるいは警備会社の担当者からも発せられる。
【0019】
前記情報送信部は、不正が検出された旨を、前記警備会社サーバおよび/または所定範囲内に設置された他のセキュリティサーバおよび本サービス契約者の携帯電話・スマートフォンに送信するのが望ましい。
【0020】
前記1以上のセンサは、カメラを含み、前記処理部は、前記カメラから取得された画像から不審者を特定し、前記情報送信部は、不正が検出された旨と、前記不審者の情報を送信するのが望ましい。
【0021】
前記1以上のセンサは、人感センサ、加速度センサ、位置センサおよび/または振動センサを含み、前記処理部は、前記加速度センサ、位置センサおよび/または振動センサから取得した情報に基づいて災害を検出するのが望ましい。
【0022】
前記処理部は、当該セキュリティサーバに接続された家電製品の通電状況を取得し、ユーザに異常が発生したか否かを検知するのが望ましい。
【0023】
本発明の別の態様によれば、上記開閉装置と、上記開閉装置における導線を介して給電され、前記窓あるいはドアに設置された1以上のセンサと、上記セキュリティサーバと、を備えるセキュリティシステムが提供される。
【0024】
前記セキュリティサーバと通信可能なインターフォンシステム、火災報知器および室内カメラをさらに備えるのが望ましい。
【0025】
本発明の別の態様によれば、上記開閉装置と、上記開閉装置における導線を介して給電され、ユーザ端末からの制御によって前記窓あるいはドアを施錠する電子錠と、を備えるセキュリティシステムが提供される。
【0026】
前記電子錠は、前記窓あるいはドアが施錠されているか否かの情報を前記ユーザ端末に送信するのが望ましい。
【0027】
前記電子錠は、予期せず前記窓あるいは前記ドアの開錠された場合、その旨を前記ユーザ端末に送信するのが望ましい。
【発明の効果】
【0028】
セキュリティの向上が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0031】
まず前提として、特殊な開閉装置を準備する。開閉装置とは、典型的にはアルミ製または樹脂製のサッシに囲われた窓やドアであり、建築物の開口部を開閉するものである。なお、開閉装置は、窓枠に囲われた窓であってもよいし、ドア枠に囲われたドアであってもよい(ドア枠、窓枠を含む)。本開閉装置には、銅やステンレス鋼などの導線が組み込まれており、開閉装置に設置される1以上の電子機器に給電可能となっている。開閉装置が電子機器を備えるとも言える。電子機器とは、例えば後述するカメラ、各種センサ、スピーカである。電子機器に給電される電源としては、電池、太陽光発電、非接触型蓄電池などを単独または組み合わせで適用できる。
【0032】
図1Aは、開閉装置の一例を模式的に示す図である。この開閉装置は、ドア枠81と、ドア枠81に囲われたドア82と、カギ機構83とを有する。カギ機構83は、ドア枠81に取り付けられたケーシング84と、ロック85とを有する。
【0033】
ロック85は閉状態と開状態とを取り得る。閉状態では、ロック85の一部がケーシング84からドア82に向かって突出し、これによってドア82が実質的に開かないようになっている。これにより、ドア82に既設のロック(不図示)と合わせて二重ロックが構成される。一方、開状態では、ロック85がケーシング84内に収まり、ドア82が開く妨げとならない。そして、ドア枠81に沿い、一部がケーシング84内を通る配線86が設けられる。この配線86は、上記導線に電気的に接続されて電子機器87に給電を行う配線や、通信用の配線である。
【0034】
図1Aでは、1つのカギ機構83がドア枠81の上部に設けられているが、ドア枠81の下部などにさらなるカギ機構83をドア枠に設けてもよい。なお、カギ機構83をドア82に設けてもよいが、固定されているドア枠81に設けるのがより好ましい。設置が簡易であるためである。
【0035】
図1Bは、開閉装置の別の例を模式的に示す図である。この開閉装置は、窓枠91と、窓枠91に囲われた窓92と、カギ機構93とを有する。カギ機構93は、窓枠91に取り付けられたケーシング94と、ロック95とを有する。
【0036】
ロック95は閉状態と開状態とを取り得る。閉状態では、ロック95の一部がケーシング94から窓92に向かって突出し、これによって窓92が実質的に開かないようになっている。これにより、窓92に既設のロック(不図示)と合わせて二重ロックが構成される。なお、必要に応じて、窓92に受け口92aを設けてもよい。一方、開状態では、ロック95がケーシング94内に収まり、窓92が開く妨げとならない。そして、窓枠91に沿い、一部がケーシング94内を通る配線96が設けられる。この配線96は、上記導線に電気的に接続されて電子機器97に給電を行う配線や、通信用の配線である。
【0037】
図1Bでは、1つのカギ機構93が窓枠91の上部に設けられているが、窓枠91の下部などにさらなるカギ機構93をドア枠に設けてもよい。なお、カギ機構93を窓92に設けてもよいが、固定されている窓枠91に設けるのがより好ましい。設置が簡易であるためである。
【0038】
電子機器の1つとして、細い電熱線を開閉装置に設置し、開閉装置あるいはその周囲を加熱できてもよい。電熱線は、サッシあるいはドアに通したり、窓ガラスの下半分に通したりすることが考えられる。望ましい態様としては、二重窓ガラス(二重サッシ)構造の場合に、サッシの内側部分や窓ガラスの内側下半分に電熱線を通し、電熱線に通電することで結露を防止できる。また、キッチンに隣接した勝手口のドアは結露がカビの原因になることもあるが、このような電熱線つきのドアとすることで、カビの発生を抑えることができ衛生的である。しかも、開閉装置近傍を暖かくすることができ、暮らしやすくなる。
【0039】
図2Aは、一実施形態に係るセキュリティシステムの概略構成を示すブロック図である。また、
図2Bは、
図2Aの変形例であるセキュリティシステムの概略構成を示すブロック図である。セキュリティシステムは、ホームサーバ5(セキュリティサーバ)と、ユーザ端末6とを備え得る。ホームサーバ5の詳細は後述する。ユーザ端末6は、典型的にはスマートフォンやタブレットであり、本セキュリティシステムを利用するためのアプリをインストール可能である。このようなアプリがインストールされたユーザ端末6は、ホームサーバ5と連携し、後述するような制御が可能となる。
【0040】
セキュリティシステムは建築物の上記開閉装置に設置される各種センサを備え得る。センサは、例えば建築物の外側を撮像するカメラ11、加速度センサ12、位置センサ13、振動センサ14、マイク15、人感センサ16、サーマルカメラ17などであるが、センサの種類や数に特に制限はない。また、マイク15は、通常のマイクと、集音マイクとがあってもよい。各センサには、開閉装置における導線を介して給電される。各センサで取得した情報(検出値そのものでもよいし、検出値を加工した情報でもよい)は無線通信あるいは有線通信によりホームサーバ5(セキュリティサーバ)に送信され、蓄積される。
【0041】
これらセンサの1または複数をひとまとめにして開閉装置に取り付けてもよい。例えば、ドア枠81や窓枠91に取り付けるのが望ましいカメラ11、マイク15、人感センサ16、サーマルカメラ17をまとめてケーシングに収めてドア枠81や窓枠82に取り付けることができる。また、ドア82や窓92に取り付けるのが望ましい加速度センサ12、位置センサ13、振動センサ14をまとめてケーシングに収めてドア82や窓92に取り付けることができる。このようにすることで、配線(電源供給およびホームサーバ5との通信)や管理が容易になる。
【0042】
また、カメラ11は、モーターなどのレンズ角度調整機構(不図示)を設け、レンズの角度を調整することによって撮影範囲を最適化できるのが望ましい。また、2階建て以上の建屋における開閉装置には、下方を撮影するのみならず、上からの侵入に備えて上方をも撮影するのが望ましく、広角レンズを用いるのが好適である。
【0043】
また、セキュリティシステムは建築物の上記開閉装置に設置される電子錠21を備え得る。電子錠21には、開閉装置における導線を介して給電される。電子錠21はホームサーバ5とネットワーク接続されており、電動で窓やドアを施錠したり開錠したりする。具体的には、電子錠21は、ユーザ端末6からの制御に基づき、ホームサーバ5を介して、窓やドアを施錠したり解錠したりすることができる。
【0044】
さらに、電子錠21は窓やドアが施錠されているか否かの情報をホームサーバ5を介してユーザ端末6に送信する。望ましくは、電子錠21は予期せず(例えばユーザ端末6からの制御がないにもかかわらず)窓やドアが開錠された場合、その旨をホームサーバ5を介してユーザ端末6や警備会社サーバ7に送信する。
【0045】
なお、電子錠21は建築物の全開閉装置に設けられ、ユーザ端末6からすべての電子錠21を制御したりモニターできたりするのが望ましいが、一部の開閉装置にのみ電子錠21を設けてもよい。また、電子錠21はホームサーバ5を介さずに、直接電子錠21と通信可能であってもよい。さらに、開閉装置には通常の鍵(ロック)も取り付けられており、通常の鍵と電子錠21による二重ロックを構成するのが望ましい。
【0046】
また、セキュリティシステムは建築物の上記開閉装置に設置されるスピーカ22を備え得る。スピーカ22には、開閉装置における導線を介して給電される。また、スピーカ22は、ホームサーバ5とネットワーク接続される。そして、ユーザ端末6を用いてスピーカ22から音声を発することができ、必要に応じて不審者に対して警告を発することもできる。不審者からすると開閉装置から警告が発するように聞こえるため、不審者の撃退に効果的である。
【0047】
また、セキュリティシステムはインターフォンシステム31を備え得る。インターフォンシステム31は、訪問者との対話を可能とすべく、ドア側(訪問者側)のカメラ、マイクおよびスピーカと、室内側のディスプレイ、マイクおよびスピーカを有する。インターフォンシステム31はホームサーバ5とネットワーク接続される。そして、インターフォンシステム31のカメラによる撮影で得られた画像は、室内側のディスプレイに表示されるとともに、ホームサーバ5に送信される。同様に、インターフォンシステム31のドア側のマイクで集音された音声は、室内側のスピーカから発せられるとともに、ホームサーバ5に送信される。
【0048】
そして、これらの画像や音声はホームサーバ5からユーザ端末6に送信される。これにより、ユーザ端末6からカメラで取得された画像を見たり、ドア側のマイクで集音された音声を聞いたり、ドア側のスピーカから音声を発したりすることができる。このようにして、ユーザが不在であっても、ユーザ端末6およびインターフォンシステム31を介して訪問者とコミュニケーションをとることができる。
【0049】
また、セキュリティシステムは屋外用ディスプレイ32を備え得る。屋外用ディスプレイ32は、来訪者が見ることができるよう、ドアに内蔵され、あるいは、ドア付近に設置される。屋外用ディスプレイ32もホームサーバ5とネットワーク接続される。そして、ユーザ端末6から訪問者に対して表示すべき画面を制御できる。
【0050】
また、セキュリティシステムは、屋内に設けられる火災報知器41や、室内カメラ42を備え得る。火災報知器41および室内カメラ42もホームサーバ5とネットワーク接続され、ホームサーバ5によってセキュリティが一括管理される。
【0051】
以下、ホームサーバ5について詳しく説明する。そして、ホームサーバ5は、センサ情報取得部51と、処理部52と、情報送信部53とを有する。これら各部の少なくとも一部は、例えば所定のプログラムをプロセッサが実行することによって実現されてもよいし、ハードウェアで実装されてもよい。
【0052】
センサ情報取得部51は各種センサからの情報を取得する。処理部52は、センサ部からの情報を蓄積するとともに、セキュリティに関する種々の処理を行う。情報送信部53は処理部52による処理結果を示す情報をユーザ端末6および/または警備会社サーバ7にも送信する。
【0053】
続いて、処理部52による処理を例示する。
【0054】
処理部52は、カメラ11、インターフォンシステム31のカメラおよび/または室内カメラ42から得られた静止画あるいは動画(以下、単にカメラ画像という)から人物検出(存否の判定のみ、あるいは、人物の特定)を行ってもよい。処理部52は、人物が存在すると判定された場合に、カメラ画像を静止画として記録してもよい。これにより、訪問者を画像として簡便に再生可能となる。
【0055】
そして、ユーザは各人物を分類する。分類は、例えば大まかに「知人」か「見知らぬ人(stranger)」かの2とおりでもよい。あるいは、「知人」を(1)友人、(2)近所の人や宅配業者といった複数段階に細分化してもよい。また、「見知らぬ人」を(3)単に知らない人、(4)押し売り、詐欺等の恐れがある感じの悪い訪問者などに細分化してもよい。
【0056】
具体的には、各人物がいずれの分類に当てはまるかをユーザが特定し、手動で処理部52に指定する。これに応じて、処理部52は各人物の分類を特定する。
【0057】
また、処理部52が画像(顔)認識を行って自動で各人物の分類を行ってもよい。処理部52が人物の特定を行う場合、特定すべき人物(例えば、知人)を予め登録しておく。具体例として、特定すべき人物の画像の特徴(例えば、その人の顔)をホームサーバ5内あるいはクラウド上の記憶装置(不図示)に記憶しておく。そして、カメラ画像から抽出される特徴と、記憶された特徴との一致具合によって、処理部52はカメラ画像に含まれる人物が登録された人物であるか否かを判断する。
【0058】
処理部52は訪問者を特定して、知人とその他の見知らぬ人に分けてリスト化し、訪問者リストを示す情報を生成してもよい。知人は、友人、近所の人、宅配業者などに細分化してもよい。また、処理部52は、知人のみのリスト、あるいは、知らない人のみのリストを生成してもよい。
【0059】
そして、処理部52は、一定期間(例えば1日)の訪問者リストを警備会社サーバ7に送信する。
【0060】
なお、処理部52は、ホームサーバ5とは異なる場所に設置される警備会社サーバ7をミラーサーバとして(あるいは、別のミラーサーバに)、カメラ画像をミラーリングしてもよい。不審者が侵入した際にホームサーバ5を破壊してしまうことも想定されるが、そのような場合でもカメラ画像が残ることとなる。この場合、警備会社サーバ7にもホームサーバ5の機能の一部または全部を持たせて画像(顔)認識による各人物の分類を行ってもよい。
【0061】
そして警備会社サーバ7は、カメラ画像に含まれる人物と、過去に受信した訪問者リストとを突き合わせ、各人物の訪問回数について自動解析を行う。例えば、上記(4)に分類された人物が頻繁にカメラ画像に現れるが、犯罪等が全く発生しないのであれば、分類を変更することが考えられる。ホームサーバ5から訪問者リストやカメラ画像が送信されることにより、訪問者リストおよびカメラ画像が蓄積され、ユーザの安全のための解析が人工知能を用いて解析される。人工知能の学習機能により、訪問者リストやカメラ画像が送信される度に、解析精度は日々向上する。
【0062】
さらに、処理部52は、マイク15やインターフォンシステム31のマイクから得られた音声を利用して、人物を特定してもよい。特定の手法は画像から特定するのと同様とすることができる。
【0063】
カメラ画像を利用する別の例として、処理部52はカメラ画像を解析し、ペット(飼い猫など)を検出してもよい。例えば、処理部52は、外遊びから帰宅したペットが開閉装置のすぐ外に来た場合にペットを検出し、これに応じて情報送信部53が直ちにペットが開閉装置の外にいることを示す情報をユーザ端末6に送信する。その他、処理部52はカメラ画像を解析し、降雨や降雪といった急激な天候の変化を検出してもよい。さらに、処理部52はカメラ画像から高温部や急激な色温度の変化から火災(放火を含む)を検出してもよい。
【0064】
また、処理部52は、取得される各種情報に基づき、開閉装置の破壊や不能化(例えばカメラにペイントを吹き付けるような行為)、不審者の侵入などの不正や異常を検出してもよい。不正(異常)の発生が検出された場合、処理部52は不正(異常)発生情報を生成し、情報送信部53は不正(異常)発生情報をユーザ端末6に送信する。また、情報送信部53は不正(異常)発生情報を警備会社サーバ7に送信し、必要な対処を警備会社に促してもよい。処理部52は不正(異常)が検出された時点でのカメラ画像を特定し、情報送信部53は当該カメラ画像も合わせてユーザ端末6や警備会社サーバ7に送信するのが望ましい。また、不正(異常)が検出された場合、警報を発するべく、情報送信部53はスピーカ22あるいは警報音発生装置などの警報装置に警報を発するための信号を送信してもよい。
不正や異常検出の具体例は以下のとおりである。
【0065】
処理部52は各種センサの想定される検出値やその変動の範囲を予期している。具体的には、窓やドアの通常の開閉で加速度センサ12によって検出される加速度の大きさや方向、窓やドアの通常の開位置および閉位置で位置センサ13によって検出される位置、窓やドアの通常の開閉で振動センサ14によって検出される振動の大きさなどを予め保持している。
【0066】
そして、処理部52は、各種センサからの検出値やその変動が予期される範囲と異なる場合、不正が発生したと判断する。例えば、処理部52は、窓やドアの位置が通常の位置とは大きく異なる場合、窓が破壊されたと判断し、不正発生情報を生成する。
【0067】
また、処理部52はカメラ画像を解析して不正を検出できる。具体例として、処理部52は画像から人物の存否を判定する。そして、留守であるにもかかわらず室内に人物が存在する場合や、深夜ないし早朝に人物が検出された場合に、処理部52は不正が発生した判断する。処理部52は、このようにして検出された人物や、他の手法によって不正が検知された時のカメラ画像から検出される人物を不審者と認定し、必要に応じて記憶する。なお、ホームサーバ5内に記憶してもよいし、クラウド上の記憶装置に記憶して他のホームサーバ5と共有できるようにしてもよい。
【0068】
さらに、上述した人物の特定手法において、特定すべき人物として不審者を予め登録しておき、処理部52は当該不審者が特定された場合に不正が発生したと判断してもよい。
【0069】
また、本セキュリティシステムは地域セキュリティシステムへ拡張することもできる。地域セキュリティシステムは
図1のホームサーバ5どうしを複数接続して構成される。そして、不正発生情報は不審者を含む画像とともに警備会社サーバ7に送信され、次いで、警備会社サーバ7から他のホームサーバ5(例えば当該不正発生情報を生成したホームサーバ5から半径10km以内にあるホームサーバ5)に送信され、さらには、その他のホームサーバ5と接続されたユーザ端末6に送信される。なお、警備会社サーバ7経由でなく、本セキュリティシステムの運営者経由であってもよいし、所定範囲内にある他のホームサーバ5あるいはユーザ端末6に直接不正発生情報が送信されてもよい。また、警備会社サーバ7からその契約者に、当該地区に発生した不審者の情報として不審者を含む画像が送信され、共有される。
【0070】
なお、上記の不正発生は警備会社サーバ7が検知してもよい。例えば、あるホームサーバ5からの訪問者リストにおける「見知らぬ人」に分類された人が、他のホームサーバ5からのカメラ画像に現れた場合に、警備会社サーバ7は不正が発生したと判断してもよい。
【0071】
また、処理部52は不正のみならず、自然現象や災害など予期しない現象を検出してもよい。具体例として、処理部52は、加速度センサ12や振動センサ14による検出値が急激に変化した場合、地震が発生したと判断し、地震情報を生成する。地震情報は情報送信部53によってユーザ端末6に送信される。
【0072】
さらに、
図2Bに示すように、ホームサーバ5がテレビなどの家電製品8と接続されていてもよい。処理部52は家電製品8の電源のオン・オフが所定時間(例えば48時間)以上切り替えられていない場合、処理部52は警備会社サーバ7へ通報を行う。この際、処理部52は、カメラ画像(ミラーリングされたカメラ画像を含んでもよい)とともに通報するのが望ましい。家電製品が長らく使用されておらず、ユーザに体調不良など何らかの異常が発生している可能性があるためである。なお、ユーザが旅行などによって長期間不在にすることもあるため、本機能をオフできるのが望ましい。
【0073】
また、家電製品8は、オフ時にはほとんど電流が流れず、オンする際には通常の使用時より大きな電流が流れることを利用し、処理部52は、家電製品8の通電状況を取得して、ユーザに異常が発生していないかを検知し、発生していると判断される場合に警備会社サーバ7への通報を行うか否かを判断することができる。
【0074】
具体的な通電状況の取得手法は、例えば、家電製品8がテレビである場合、その画像端子とホームサーバ5とを所定の検出回路(不図示)を介して接続すればよい。そして、検出回路に流れる電流を検出し、無線通信または有線通信で検出結果をホームサーバ5の処理部52に通知する。より具体的には、家電製品8がオンする際に流れる大きな電流を検出回路が検出し、通常の使用時に流れる電流とは区別して、処理部52に通知する。また、電流がほとんど流れていない場合には、検出回路は家電製品8がオフであることを処理部52に通知する。
【0075】
また、家電製品8がテレビである場合、テレビとセキュリティサーバ5とを近接して設置されることが多い。セキュリティサーバ5に送信されるカメラ画像をテレビで再生するためである。この場合、テレビリモコンからのオン・オフの指示(具体的には、赤外線信号)を受信することによって、テレビの通電状況を取得してもよい。この手法であれば、テレビリモコンからの信号を受信することでチャンネル切替も検知でき、ユーザが元気にテレビを見ていることも確認できる。
【0076】
家電製品8としては、テレビの他、電子レンジ、湯沸かし器、玄関や洗面所等に設置された人感センサ付きライトであってよい。これらのオン・オフを処理部52が検知し、これらの作動状況を人工知能を利用して解析することにより、個別のユーザの行動パターンを把握(学習)する。そして、処理部52が異常を検知した場合には、警備会社サーバ7に通報したり、予め登録した連絡先(例えばメールアドレス)に連絡(例えばメール送信)したりするのがよい。
【0077】
一例として、ユーザが老人である場合、連絡先は子供世帯などの親族であってよい。この方式であれば、カメラによる監視と比べて、老人世帯のプライバシーを保護しつつ、見守りを行うことが可能となる。
【0078】
また、処理部52は、1つのセンサからの情報のみならず、2以上のセンサからの情報を用いてセキュリティに関する処理を行うのが望ましい。
【0079】
一例として、処理部52は、加速度センサ12および振動センサ14からの情報を用いて、窓やドアが開いたことを検出する。振動センサ14からの情報のみを用いると、強風によって窓やドアが揺れた場合に、開いたと誤検出されるおそれがある。そこで、加速度センサ12も併用することで、より高精度に開いたことを検出できるようになる。
【0080】
別の例として、処理部52は、カメラ11および人感センサ16からの情報を用いて、人を検出する。人感センサ16のみを用いると、人通りが多い場所にある住宅では、頻繁に人感センサ16が反応してしまう。そこで、カメラ11からの情報を併用することで、より高精度に人を検出できる。画像があれば、画像解析を予め積み重ねることによって、不正行為(侵入や覗きなど)を企図している人の行動を検知できるためである。
【0081】
また、処理部52による処理にAI(人工知能)を導入するのが望ましい。センサによる監視は誤動作が問題となることがあるが、正しく動作したケースと、誤動作のケースとを用いて多くの事例を学習することで、センサ情報に基づく検知精度を向上させることができる。
【0082】
このように、本実施形態では、導線が組み込まれた特殊な開閉装置を用いる。そのため、開閉装置にカメラ11などのセンサを設置可能となり、セキュリティが向上する。
【0083】
なお、以上説明したホームサーバ5の機能の一部をユーザ端末6が行ってもよいし、ユーザ端末6の機能の一部をホームサーバ5が行ってもよい。
【0084】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。