(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記通信状況特定手段は、前記無人航空機と前記遠隔操作端末との間で一方から他方に前記第一の通信方式によって所定のパケットを送信し、前記所定のパケットに対する応答の受信有無または応答時間に基づいて通信状況を特定し、
前記通信方式決定手段は、前記通信状況特定手段において、前記応答が無い、あるいは所定時間が経過した場合に、第二の通信方式に決定することを特徴とする請求項1または2に記載の無人航空機制御システム。
前記通信状況特定手段は、前記無人航空機と前記遠隔操作端末との間で一方から他方に前記第一の通信方式によって所定のパケットを送信し、前記所定のパケットに対する応答の受信有無または応答時間に基づいて通信状況を特定し、
前記通信方式決定手段は、前記通信状況特定手段において、所定時間が経過する前に前記応答を受信した場合に、第一の通信方式に決定することを特徴とする請求項1乃至3に記載の無人航空機制御システム。
前記第一の通信方式は、無線LANまたはRC通信であって、前記第二の通信方式は、移動体通信網を介した通信方式であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の無人航空機制御システム。
前記第一の通信方式は、無線LANまたはRC通信であって、前記第二の通信方式は、移動体通信網を介した通信方式であることを特徴とする請求項8に記載の無人航空機制御システムの制御方法。
前記第一の通信方式は、無線LANまたはRC通信であって、前記第二の通信方式は、移動体通信網を介した通信方式であることを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。まず、第一の実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態における無人航空機制御システムのシステム構成を示す図である。本実施形態の無人航空機制御システムは、無人航空機101及びプロポ102を含み、これらが無線LAN(Local Area Network)または移動体通信網等のネットワークを介して、相互にデータ通信可能に接続されている。第一の実施形態では、無人航空機101とプロポ102との間で無線LAN(第一の通信方式)と移動体通信網(第二の通信方式)とを通信状況に応じて切り替える仕組みについて説明を行うが、これらの通信方式に限らない。従来のラジオコントロールで用いていた周波数帯(例えば、27MHz帯、40MHz帯、72MHz帯、2.4GHz帯等)の電波を用いてもよいし、マイクロ波帯の電波を用いる衛星通信網を用いてもよい。無人航空機101とプロポ102との間で複数の通信方式によって通信可能であればよい。この場合、無人航空機101とプロポ102とは、対応する通信方式に応じたハードウェアを備えればよい。尚、
図1のシステム構成は一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例がある。
【0016】
無人航空機101は、プロポ102により遠隔操縦が可能な無人の航空機である。プロポ102からの指示に応じて、複数の回転翼を動作させて飛行する。この回転翼の回転数を増減させることで、無人航空機の前進・後退・旋回・ホバリング等を行う。尚、
図1に示す無人航空機101の回転翼は4枚であるが、これに限らない。3枚であっても、6枚であっても、8枚であってもよい。
【0017】
プロポ102は、無人航空機101を操縦するための送信機(遠隔操作端末)である。プロポーショナル・システム(比例制御システム)であるので、プロポ102が有する操作部の移動量に比例して、無人航空機101の回転翼の回転数を制御することができる。尚、プロポ102は、いわゆるスマートフォンやタブレット端末といった携帯端末であってもよい。携帯端末をプロポ102の代わりに用いる場合、後述する操作ユニット310が存在しないので、タッチパネルに対するタッチ操作や携帯端末の位置・姿勢を用いて操作する形態が望ましい。その他、携帯端末が備えるボタンによって操作できてもよい。
【0018】
図2は、無人航空機101のハードウェア構成を示す図である。尚、
図2に示す無人航空機101のハードウェア構成は一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例がある。
【0019】
フライトコントローラ200は無人航空機101の飛行制御を行うためのマイクロコントローラであり、CPU201、ROM202、RAM203、周辺バスインタフェース204(以下、周辺バスI/F204という。)を備えている。
【0020】
CPU201は、システムバスに接続される各デバイスを統括的に制御する。また、ROM202あるいは周辺バスI/F304に接続される外部メモリ280には、CPU201の制御プログラムであるBIOS(Basic Input/Output System)やオペレーティングシステムプログラムが記憶されている。
【0021】
また外部メモリ280(記憶手段)には、無人航空機101の実行する機能を実現するために必要な各種プログラム等が記憶されている。RAM203(記憶手段)は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
【0022】
CPU201は、処理の実行に際して必要なプログラム等をRAM203にロードして、プログラムを実行することで各種動作を実現するものである。
【0023】
周辺バスI/F204は、各種周辺デバイスと接続するためのインタフェースである。周辺バスI/F204には、PMU210、SIMアダプタ220、無線LAN用BBユニット230、移動体通信用BBユニット240、GPSユニット250、センサ260、GCU270、外部メモリ280が接続されている。
【0024】
PMU210はパワーマネジメントユニットであり、無人航空機101が備えるバッテリからESC211への電源供給を制御することができる。ESC211は、エレクトロニックスピードコントローラであり、ESC211に接続されるモータ212の回転数を制御することができる。ESC211によってモータ212を回転させることで、モータ212に接続されるプロペラ213(回転翼)を回転させる。尚、ESC211、モータ212、プロペラ213のセットは、プロペラ213の数に応じて複数備えられている。例えば、クアッドコプターであれば、プロペラ213の数は4枚であるので、このセットが4つ必要となる。
【0025】
SIMアダプタ220は、SIMカード221を挿入するためのカードアダプタである。SIMカード221の種類は特に問わない。移動体通信網を提供する通信事業者に応じたSIMカード221であればよい。
【0026】
無線LAN用BBユニット230は、無線LANを介して通信を行うためのベースバンドユニットである。無線LAN用BBユニット230は、送信したいデータや信号からベースバンド信号を生成して変復調回路へ送出することができる。更に、受信したベースバンド信号から元のデータや信号を得ることができる。
【0027】
また、無線LAN用RFユニット231は、無線LANを介して通信を行うためのRF(Radio Frequency)ユニットである。無線LAN用RFユニット231は、無線LAN用BBユニット230から送出されたベースバンド信号を無線LANの周波数帯に変調してアンテナから送信することができる。更に、無線LANの周波数帯の信号を受信すると、これをベースバンド信号に復調することができる。
【0028】
移動体通信用BBユニット240は、移動体通信網を介して通信を行うためのベースバンドユニットである。移動体通信用BBユニット240は、送信したいデータや信号からベースバンド信号を生成して変復調回路へ送出することができる。更に、受信したベースバンド信号から元のデータや信号を得ることができる。
【0029】
また、移動体通信用RFユニット241は、移動体通信網を介して通信を行うためのRF(Radio Frequency)ユニットである。移動体通信用RFユニット241は、移動体通信用BBユニット240から送出されたベースバンド信号を移動体通信網の周波数帯に変調してアンテナから送信することができる。更に、移動体通信網の周波数帯の信号を受信すると、これをベースバンド信号に復調することができる。
【0030】
GPSユニット250は、グローバルポジショニングシステムにより、無人航空機101の現在位置を取得することの可能な受信機である。GPSユニット250は、GPS衛星からの信号を受信し、現在位置を推定することができる。
【0031】
センサ260は、無人航空機101の傾き、向き、速度や周りの環境を計測するためのセンサである。無人航空機101はセンサ260として、ジャイロセンサ、加速度センサ、気圧センサ、磁気センサ、超音波センサ等を備えている。これらのセンサから取得したデータに基づいて、CPU201が無人航空機101の姿勢や移動を制御する。
【0032】
GCU270はジンバルコントロールユニットであり、カメラ271とジンバル272の動作を制御するためのユニットである。無人航空機101が飛行することにより機体に振動が発生したり、機体が不安定になったりするため、カメラ271で撮像した際にブレが発生しないよう、ジンバル272によって無人航空機101の振動を吸収し水平を維持する。また、ジンバル272によってカメラ271の遠隔操作を行うことも可能である。
【0033】
本発明の無人航空機101が後述する各種処理を実行するために用いられる各種プログラム等は外部メモリ280に記録されており、必要に応じてRAM203にロードされることによりCPU201によって実行されるものである。さらに、本発明に係わるプログラムが用いる定義ファイルや各種情報テーブルは外部メモリ280に格納されている。
【0034】
図3は、プロポ102のハードウェア構成を示す図である。尚、
図3に示すプロポ102のハードウェア構成は一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例がある。
【0035】
マイコン300はプロポ102の制御を行うためのマイクロコントローラであり、CPU301、ROM302、RAM303、周辺バスインタフェース304(以下、周辺バスI/F304という。)を備えている。
【0036】
CPU301は、システムバスに接続される各デバイスを統括的に制御する。また、ROM302あるいは周辺バスI/F304に接続される外部メモリ350には、CPU301の制御プログラムであるBIOS(Basic Input/Output System)やオペレーティングシステムプログラムが記憶されている。
【0037】
また外部メモリ350(記憶手段)には、プロポ102の実行する機能を実現するために必要な各種プログラム等が記憶されている。RAM303(記憶手段)は、CPU301の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
【0038】
CPU301は、処理の実行に際して必要なプログラム等をRAM303にロードして、プログラムを実行することで各種動作を実現するものである。
【0039】
周辺バスI/F304は、各種周辺デバイスと接続するためのインタフェースである。周辺バスI/F304には、操作ユニット310、SIMアダプタ320、無線LAN用BBユニット330、移動体通信用BBユニット340、外部メモリ350が接続されている。
【0040】
操作ユニット310は、無人航空機101に対して飛行動作の指示を行うためのスティック状の部品からなるユニット(操作部)である。操作ユニット310の移動量に比例して、無人航空機101の回転翼の回転数を制御することができる。
【0041】
SIMアダプタ320は、SIMカード321を挿入するためのカードアダプタである。SIMカード321の種類は特に問わない。移動体通信網を提供する通信事業者に応じたSIMカード321であればよい。
【0042】
無線LAN用BBユニット330は、無線LANを介して通信を行うためのベースバンドユニットである。無線LAN用BBユニット330は、送信したいデータや信号からベースバンド信号を生成して変復調回路へ送出することができる。更に、受信したベースバンド信号から元のデータや信号を得ることができる。
【0043】
また、無線LAN用RFユニット331は、無線LANを介して通信を行うためのRF(Radio Frequency)ユニットである。無線LAN用RFユニット331は、無線LAN用BBユニット330から送出されたベースバンド信号を無線LANの周波数帯に変調してアンテナから送信することができる。更に、無線LANの周波数帯の信号を受信すると、これをベースバンド信号に復調することができる。
【0044】
移動体通信用BBユニット340は、移動体通信網を介して通信を行うためのベースバンドユニットである。移動体通信用BBユニット340は、送信したいデータや信号からベースバンド信号を生成して変復調回路へ送出することができる。更に、受信したベースバンド信号から元のデータや信号を得ることができる。
【0045】
また、移動体通信用RFユニット341は、移動体通信網を介して通信を行うためのRF(Radio Frequency)ユニットである。移動体通信用RFユニット341は、移動体通信用BBユニット340から送出されたベースバンド信号を移動体通信網の周波数帯に変調してアンテナから送信することができる。更に、移動体通信網の周波数帯の信号を受信すると、これをベースバンド信号に復調することができる。
【0046】
本発明のプロポ102が後述する各種処理を実行するために用いられる各種プログラム等は外部メモリ350に記録されており、必要に応じてRAM303にロードされることによりCPU301によって実行されるものである。さらに、本発明に係わるプログラムが用いる定義ファイルや各種情報テーブルは外部メモリ350に格納されている。
【0047】
図4は、無人航空機101及びプロポ102の機能構成の一例を示す図である。尚、
図4に示す無人航空機101及びプロポ102の機能構成は一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例がある。
【0048】
無人航空機101は機能部として、飛行制御部411、無線LAN通信制御部412、移動体通信制御部413、GPS制御部414、センサ制御部415、撮像制御部416を備える。
【0049】
飛行制御部411は、無人航空機101の飛行を制御するための機能部である。無人航空機101が備える複数の回転翼を、プロポ102からの指示に応じて回転させ、前進・後退・旋回・ホバリング等を行う。
【0050】
無線LAN通信制御部412は、プロポ102との間で無線LANを介した通信を行うための機能部である。無線LAN通信制御部412は、無線LAN用BBユニット230及び無線LAN用RFユニット231を制御し、無線LANの周波数帯に変調して信号を送信、また無線LANの周波数帯の信号を受信するとこれを復調する。更に、無人航空機101は、自身をアクセスポイントとしてプロポ102からの接続を受ける。本実施形態では、無人航空機101をアクセスポイントとするが、プロポ102をアクセスポイントとする形態であってもよい。
【0051】
移動体通信制御部413は、プロポ102との間で移動体通信網を介した通信を行うための機能部である。移動体通信制御部413は、移動体通信用BBユニット240及び移動体通信用RFユニット241を制御し、移動体通信網の周波数帯に変調して信号を送信、また移動体通信網の周波数帯の信号を受信するとこれを復調する。
【0052】
GPS制御部414は、無人航空機101の現在位置を取得するための機能部である。GPS制御部414は、GPSユニット250を制御してGPS衛星からの信号を受信し、無人航空機101の現在位置を推定する。
【0053】
センサ制御部415は、センサ260で検出した情報を取得するための機能部である。無人航空機101が備える、ジャイロセンサ、加速度センサ、気圧センサ、磁気センサ、超音波センサ等の各種センサが検出した情報を常時取得し、飛行制御部411の飛行制御に用いる。
【0054】
撮像制御部416は、GCU270を介してカメラ271に撮像動作を行わせ、画像データを得るための機能部である。プロポ102からの指示に応じてカメラ271で撮像を行い、生成された画像データを外部メモリ280等に記憶する。または、生成された画像データをプロポ102に送信してもよい。また、撮像制御部416は、プロポ102からの指示に応じて、GCU270を介してジンバル272の動作制御を行い、カメラ271の撮像方向を制御することも可能である。
【0055】
またプロポ102は機能部として、飛行操作受付部421、無線LAN通信制御部422、移動体通信制御部423、通信設定部424を備える。
【0056】
飛行操作受付部421は、プロポ102の操作部に対する操作を受け付けるための機能部である。飛行操作受付部421が、プロポ102が備えるスティック状やボタン状の操作部に対して行われる飛行制御の指示を受け付けて、その指示を無線LAN通信制御部422または移動体通信制御部423によって無人航空機101に送信する。
【0057】
無線LAN通信制御部422は、無人航空機101との間で無線LANを介した通信を行うための機能部である。無線LAN通信制御部422は、無線LAN用BBユニット330及び無線LAN用RFユニット331を制御し、無線LANの周波数帯に変調して信号を送信、また無線LANの周波数帯の信号を受信するとこれを復調する。更に、プロポ102は、アクセスポイントとして動作中の無人航空機101に対して接続を行う。前述した通り、本実施形態では無人航空機101をアクセスポイントとするが、プロポ102をアクセスポイントとする形態であってもよい。
【0058】
移動体通信制御部423は、無人航空機101との間で移動体通信網を介した通信を行うための機能部である。移動体通信制御部423は、移動体通信用BBユニット340及び移動体通信用RFユニット341を制御し、移動体通信網の周波数帯に変調して信号を送信、また移動体通信網の周波数帯の信号を受信するとこれを復調する。
【0059】
通信設定部424は、プロポ102と無人航空機101との間の通信方式(通信方法)の設定を行うための機能部である。プロポ102から送信する指示は、通信設定部424で設定された通信方式で送信される。本実施形態では、無線LANを介した通信方式と移動体通信網を介した通信方式の2つが存在するが、前述したように、プロポ102と無人航空機101との間で通信が可能であれば、他の通信方式であってもよい。
【0060】
図5は、無人航空機101とプロポ102との間で行われる事前設定の流れを示すフローチャートである。
図5のフローチャートでは、無人航空機101及びプロポ102の処理の流れを実線の矢印で示している。また、破線の矢印は無人航空機101とプロポ102との間のデータの流れを示している。尚、
図5に示すフローチャートは一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例がある。
【0061】
以下説明するS501乃至S503の各ステップは、無人航空機101のCPU201が各機能部を動作することにより実行される処理である。また、S504、S505の各ステップは、プロポ102のCPU301が各機能部を動作することにより実行される処理である。
【0062】
ステップS501では、無人航空機101の移動体通信制御部413は、移動体通信網におけるグローバルIPアドレスを取得する。グローバルIPアドレスを取得する方法は特に問わない。無人航空機101に挿入されているSIMカード221に対応する通信事業者のグローバルIPアドレスが取得できればよい。
【0063】
ステップS502では、無人航空機101の無線LAN通信制御部412は、無線LANにおけるプライベートIPアドレスを取得する。ステップS501と同様に、プライベートIPアドレスを取得する方法は特に問わない。無人航空機101がアクセスポイントとなっているため、自身の無線LANにおけるプライベートIPアドレスを取得する。
【0064】
ステップS503では、無人航空機101の無線LAN通信制御部412は、ステップS501及びステップS502で取得した、無人航空機101のグローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスとを、プロポ102に対して送信する。この送信は、無線LANを介した通信である。事前設定の際には無人航空機101とプロポ102とが近くに存在するはずであるので、通信料金を抑えるために無線LANを介した通信で情報を送信する。また、送信先であるプロポ102は、あらかじめ無人航空機101とペアリングがなされており、無人航空機101はプロポ102のプライベートIPアドレスを外部メモリ280に記憶している。よって、この外部メモリ280に記憶されたプライベートIPアドレスを用いて、プロポ102と通信する。前述した通信料金を考慮する必要がない場合には、移動体通信網を介して送信してもよい。この場合には、プロポ102のグローバルIPアドレスを無人航空機101に記憶しておく必要がある。ペアリング時にプロポ102のグローバルIPアドレスを無人航空機101に送信しておくことが望ましい。無人航空機101のプライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスの送信が完了したら、無人航空機101における事前設定を終了する。
【0065】
ステップS504では、プロポ102の無線LAN通信制御部422は、無人航空機101から送信された、無人航空機101のグローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスとを、無線LANを介して受信する。
【0066】
ステップS505では、プロポ102の無線LAN通信制御部422は、ステップS504で受信した各IPアドレスをプロポ102の外部メモリ350に記憶する。
図6のグローバルIPアドレス600(第2の通信先情報)とプライベートIPアドレス610(第1の通信先情報)は、ステップS505で外部メモリ350に格納された各IPアドレスの一例を示す。このようにして、プロポ102は、無人航空機101のグローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスとを取得する。
【0067】
図7は、プロポ102から無人航空機101に対して通信状況の確認を行う流れを示すフローチャートである。尚、
図7に示すフローチャートは一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例がある。
【0068】
以下説明するS701乃至S706の各ステップは、プロポ102のCPU301が各機能部を動作することにより実行される処理である。
【0069】
プロポ102からの指示に応じて無人航空機101が飛行動作を開始すると、
図7に示す一連の処理を繰り返し実行する。こうすることにより、プロポ102は逐一、無人航空機101との通信状況の確認を行う。
【0070】
ステップS701では、プロポ102の無線LAN通信制御部422は、無人航空機101に対してpingコマンドを実行する。ここでいうpingコマンドは、通信相手までネットワークが接続できているか、または通信相手が通信できる状態であるかを確認するためのコマンドである。本実施形態ではpingコマンドを用いるが、特にこれに限らない。
【0071】
ステップS702では、プロポ102の無線LAN通信制御部422は、pingコマンドの実行に応じて、外部メモリ350に記憶されたプライベートIPアドレス610を用いて、無線LANを介して無人航空機101にパケットを送信する。具体的には、ICMPパケットとしてエコー要求を行う。
【0072】
ステップS703では、プロポ102の無線LAN通信制御部422は、ステップS702で実行されたパケット送信に対して、無人航空機101から応答があったか否かを判定する。具体的には、無人航空機101からエコー応答を受信したか否かを判定する。無人航空機101から応答があったと判定した場合には、ステップS704に処理を進める。無人航空機101から応答がないと判定した場合には、ステップS705に処理を進める。こうすることで、無人航空機101とプロポ102との間の通信状況を特定する(通信状況特定手段)。
【0073】
ステップS704では、プロポ102の通信設定部424は、プロポ102と無人航空機101との間で用いる通信方式を、無線LANを介した通信を行う通信方式に設定する。具体的には、プロポ102のRAM303に
図6の通信設定620に示すような設定情報を保持させ、これを書き換えることによって設定を行う。無線LANを介して無人航空機101から応答があったということは、無線LANを介した通信が可能である(通信状況が良い)ということである。無線LANであれば通信速度を安定させることができ、更には通信料金を安く抑えることができるので、無線LANを介した通信が可能なのであれば優先的に無線LANを用いる。このように、通信状況に応じて無線LANを介して通信する通信方式に決定する(通信方式決定手段)。
【0074】
ステップS705では、プロポ102の無線LAN通信制御部422は、ステップS702でパケットを送信してから所定時間経過したか否か、すなわちタイムアウトであるか否かを判定する。所定時間経過したと判定した場合には、ステップS706に処理を進める。所定時間経過していないと判定した場合には、ステップS703に処理を戻し、再度応答があったか否かを判定する。
【0075】
ステップS706では、プロポ102の通信設定部424は、プロポ102と無人航空機101との間で用いる通信方式を、移動体通信網を介した通信を行う通信方式に設定する。設定方法は、ステップS704と同様である。無線LANを介して無人航空機101から応答がなかったということは、無線LANを介した通信は不可能である(通信状況が悪い)ということである。すなわち、無人航空機101とプロポ102との距離が離れすぎて通信可能圏外に移動してしまったり、建物等によってプロポ102からの信号が届かなかったりする場合である。こうした場合には、無人航空機101が落下する危険性があるので、移動体通信に切り替える。別の実施形態としては、通信の感度が悪い場合や応答が遅い場合(例えば、所定回数、タイムアウトか否かを判定した場合等)には、通信状況が悪いと判断できるので、こうした場合にも移動体通信網を介した通信に切り替える実施形態が考えられる。すなわち、完全に通信できない場合に移動体通信に切り替えるのではなく、通信状況が悪化した場合にあらかじめ移動体通信に切り替えておくことにより、無人航空機101が落下する危険性をより抑止することが可能となる。通信料金がかかってしまうものの、こうした落下の危険性を抑止できる効果がある。このように、通信状況に応じて移動体通信網を介して通信する通信方式に決定する(通信方式決定手段)。
【0076】
ステップS704及びステップS706の処理が完了したら、ステップS701に処理を戻す。すなわち、ステップS701乃至ステップS706を繰り返し実行する。プロポ102の電源が切られたり、その他本一連の処理の終了指示があったりした場合にこの繰り返し処理を終了する。
【0077】
図8は、プロポ102から無人航空機101に対して動作指示を送信する流れを示すフローチャートである。
図8のフローチャートでは、無人航空機101及びプロポ102の処理の流れを実線の矢印で示している。また、破線の矢印は無人航空機101とプロポ102との間のデータの流れを示している。尚、
図8に示すフローチャートは一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例がある。
【0078】
以下説明するS803、S804の各ステップは、無人航空機101のCPU201が各機能部を動作することにより実行される処理である。また、S801、S802の各ステップは、プロポ102のCPU301が各機能部を動作することにより実行される処理である。
【0079】
ステップS801では、プロポ102の飛行操作受付部421は、プロポ102の操作部に対する操作(動作指示)を受け付けたか否かを判定する。プロポ102の操作部に対する操作を受け付けたと判定した場合には、ステップS802に処理を進める。そうでない場合には、繰り返しステップS801を実行し、操作を受け付けるまで待機する。
【0080】
ステップS802では、プロポ102の通信設定部424は、RAM303に記憶された通信設定620を参照し、受け付けた動作指示を送信するための通信方式を特定する。そして、無線LANを介して通信する通信方式の場合には、プロポ102の無線LAN通信制御部422がプライベートIPアドレス610を用いて、無線LANを介して無人航空機101に動作指示を送信する(通信制御手段)。ステップS803では、無人航空機101の無線LAN通信制御部412は、プロポ102から無線LANを介して送信された動作指示を受信し、ステップS804では、無人航空機101の飛行制御部411は、動作指示に応じた飛行制御を実行する。
【0081】
一方、ステップS802で特定した通信方式が移動体通信網を介して通信する通信方式の場合には、プロポ102の移動体通信制御部423がグローバルIPアドレス600を用いて、移動体通信網を介して無人航空機101に動作指示を送信する(通信制御手段)。ステップS803では、無人航空機101の移動体通信制御部413は、プロポ102から移動体通信網を介して送信された動作指示を受信し、ステップS804では、無人航空機101の飛行制御部411は、動作指示に応じた飛行制御を実行する。
【0082】
このように、現在の通信設定に応じてプロポ102から無人航空機101に対する通信方式を変更することができるので、ステップS704及びステップS706で通信設定が変更されると、それに応じた通信方式で随時通信することが可能となる。
【0083】
本実施形態では、プロポ102から通信状況を確認するものであったが、無人航空機101がプロポ102との通信状況を確認する形態であってもよい。すなわち、
図5及び
図7で説明した無人航空機101の処理とプロポ102の処理を入れ替えることによっても、実現可能である。この場合には、決定した通信方式を無人航空機101から当該通信方式でプロポ102に通知し、プロポ102が通信設定620に当該通信方式を記憶すればよい。第二の実施形態では、無人航空機101がプロポ102との通信状況を確認する形態の詳細について説明を行う。
【0084】
第二の実施形態におけるシステム構成は、前述した第一の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0085】
図9は、無人航空機101のハードウェア構成を示す図である。尚、
図9に示す無人航空機101のハードウェア構成は一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例がある。
【0086】
第二の実施形態における無人航空機101のハードウェア構成のうち、第一の実施形態と同様なものについては、第一の実施形態で用いた符合と同じ符号を付してある。よって、第一の実施形態と同様の構成については説明を省略し、第一の実施形態とは異なる構成について説明を行う。
【0087】
RC通信用BBユニット900は、特定の周波数帯の電波を用いた無線通信を行うためのベースバンドユニットである。尚、移動体通信用BBユニット240及び移動体通信用RFユニット241も無線通信であるが、周波数帯や通信プロトコルが異なる。また、第二の実施形態でいう特定の周波数帯とは、例えば、27MHz帯、40MHz帯、72MHz帯、2.4GHz帯等の、日本国の電波法等で利用が許可されている周波数帯である。以下、この周波数帯の電波を用いた無線通信をラジオコントロール通信(RC通信)と称する。一方、通信事業者が提供する移動体通信サービスを利用する通信を、移動体通信と称する。RC通信用BBユニット900は、送信したいデータや信号からベースバンド信号を生成して変復調回路へ送出することができる。更に、受信したベースバンド信号から元のデータや信号を得ることができる。
【0088】
また、RC通信用RFユニット901は、RC通信を行うためのRF(Radio Frequency)ユニットである。RC通信用RFユニット901は、RC通信用BBユニット900から送出されたベースバンド信号を特定の周波数帯の電波に変調してアンテナから送信することができる。更に、特定の周波数帯の電波の信号を受信すると、これをベースバンド信号に復調することができる。
【0089】
図10は、プロポ102のハードウェア構成を示す図である。尚、
図10に示すプロポ102のハードウェア構成は一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例がある。
【0090】
第二の実施形態におけるプロポ102のハードウェア構成のうち、第一の実施形態と同様なものについては、第一の実施形態で用いた符合と同じ符号を付してある。よって、第一の実施形態と同様の構成については説明を省略し、第一の実施形態とは異なる構成について説明を行う。
【0091】
RC通信用BBユニット1000は、RC通信を行うためのベースバンドユニットである。RC通信用BBユニット900は、送信したいデータや信号からベースバンド信号を生成して変復調回路へ送出することができる。更に、受信したベースバンド信号から元のデータや信号を得ることができる。
【0092】
また、RC通信用RFユニット1001は、RC通信を行うためのRF(Radio Frequency)ユニットである。RC通信用RFユニット1001は、RC通信用BBユニット1000から送出されたベースバンド信号を特定の周波数帯の電波に変調してアンテナから送信することができる。更に、特定の周波数帯の電波の信号を受信すると、これをベースバンド信号に復調することができる。
【0093】
図11は、無人航空機101及びプロポ102の機能構成の一例を示す図である。尚、
図11に示す無人航空機101及びプロポ102の機能構成は一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例がある。
【0094】
第二の実施形態における無人航空機101及びプロポ102の機能構成のうち、第一の実施形態と同様なものについては、第一の実施形態で用いた符合と同じ符号を付してある。よって、第一の実施形態と同様の構成については説明を省略し、第一の実施形態とは異なる構成について説明を行う。
【0095】
無人航空機101は機能部として、飛行制御部411、RC通信制御部1112、移動体通信制御部413、GPS制御部414、センサ制御部415、撮像制御部416、通信設定部1117、電波強度測定部1118を備える。
【0096】
RC通信制御部1112は、プロポ102との間で特定の周波数帯の電波を用いたRC通信を行うための機能部である。RC通信制御部1112は、RC通信用BBユニット900及びRC通信用RFユニット901を制御し、特定の周波数帯に変調して信号を送信、また特定の周波数帯の信号を受信するとこれを復調する。
【0097】
通信設定部1117は、無人航空機101とプロポ102との間の通信方式(通信方法)の設定を行うための機能部である。無人航空機101から送信する指示は、通信設定部1117で設定された通信方式で送信される。本実施形態では、RC通信方式と移動体通信方式の2つが存在するが、無人航空機101とプロポ102との間で通信が可能であれば、他の通信方式であってもよい。例えば、第一の実施形態と同様に、無線LAN通信や衛星通信といった通信方式であってもよい。
【0098】
電波強度測定部1118は、プロポ102から発信された電波の強度を測定するための機能部である。具体的には、プロポ102のRC通信用RFユニット1001または移動体通信用RFユニット341から発信された電波を、RC通信用RFユニット901または移動体通信用RFユニット241で受信するとその受信した電波の強度を測定する機能部である。電波の強度を測定する方法は従来技術を用いるものとし、詳細な説明は省略する。
【0099】
またプロポ102は機能部として、飛行操作受付部421、RC通信制御部1122、移動体通信制御部423、通信設定部424を備える。
【0100】
RC通信制御部1122は、無人航空機101との間で特定の周波数帯の電波を用いたRC通信を行うための機能部である。RC通信制御部1122は、RC通信用BBユニット1000及びRC通信用RFユニット1001を制御し、特定の周波数帯の電波に変調して信号を送信、また特定の周波数帯の信号を受信するとこれを復調する。
【0101】
図12は、無人航空機101とプロポ102との間で行われる事前設定の流れを示すフローチャートである。
図12のフローチャートでは、無人航空機101及びプロポ102の処理の流れを実線の矢印で示している。また、破線の矢印は無人航空機101とプロポ102との間のデータの流れを示している。尚、
図12に示すフローチャートは一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例がある。
【0102】
以下説明するS1201、S1202、S1205乃至S1207の各ステップは、無人航空機101のCPU201が各機能部を動作することにより実行される処理である。また、S1203、S1204、S1208、S1209の各ステップは、プロポ102のCPU301が各機能部を動作することにより実行される処理である。
【0103】
ステップS1201では、無人航空機101の移動体通信制御部413は、移動体通信網におけるグローバルIPアドレスを取得する。グローバルIPアドレスを取得する方法は特に問わない。無人航空機101に挿入されているSIMカード221に対応する通信事業者のグローバルIPアドレスが取得できればよい。尚、プロポ102に何度もグローバルIPアドレスを通知しなくてもよいように、固定IPアドレスであることが望ましい。
【0104】
グローバルIPアドレスを取得したら、無人航空機101の通信設定部1117は、無人航空機101の外部メモリ280に記憶された設定情報1300(
図13参照)の無人航空機通信先1301に、取得したグローバルIPアドレスを格納する。
【0105】
設定情報1300は、無人航空機101及びプロポ102のそれぞれが、各自の設定を記憶する情報である。無人航空機通信先1301は、無人航空機101のグローバルIPアドレスを格納する設定項目である。プロポ通信先1302は、プロポ102のグローバルIPアドレスを格納する設定項目である。ペアリング情報1303は、無人航空機101とプロポ102とがペアリングする際に用いる情報を格納する設定項目である。通信設定1304は、無人航空機101及びプロポ102がどのような通信方式で相手先と通信するのかを示す情報を格納する設定項目である。初期値は“RC通信”である。
【0106】
ステップS1202では、無人航空機101の通信設定部1117は、無人航空機101を操縦するプロポ102からペアリングの要求があるまで受付状態とする。
【0107】
一方、ステップS1203では、プロポ102の移動体通信制御部423は、移動体通信網におけるグローバルIPアドレスを取得する。ステップS1201と同様に、グローバルIPアドレスを取得する方法は特に問わない。プロポ102に挿入されているSIMカード221に対応する通信事業者のグローバルIPアドレスが取得できればよい。尚、無人航空機101に何度もグローバルIPアドレスを通知しなくてもよいように、固定IPアドレスであることが望ましい。
【0108】
グローバルIPアドレスを取得したら、プロポ102の通信設定部424は、プロポ102の外部メモリ350に記憶された設定情報1300のプロポ通信先1302に、取得したグローバルIPアドレスを格納する。
【0109】
ステップS1204では、プロポ102の通信設定部424は、無人航空機101とペアリングを実行するべく、プロポ102にあらかじめ記憶されているペアリング情報1303(
図13参照)を取得する。ペアリング情報1303は、プロポ102の外部メモリ350にあらかじめ記憶された情報であり、本実施形態では設定情報1300の1つとして記憶されている。ペアリング情報1303はプロポ102を一意に識別可能な情報であれば、どのような情報であってもよい。そして、ステップS1203で取得したプロポ102のグローバルIPアドレスと、取得したペアリング情報とをRC通信制御部1122の機能によって無人航空機101に送信する。すなわち、ペアリング要求を送信する。
【0110】
ステップS1205では、無人航空機101のRC通信制御部1112は、プロポ102のRC通信制御部1122が送信したペアリング要求を検知し、これを受信する。すなわち、プロポ102が送信したプロポ102のグローバルIPアドレスとペアリング情報とを受信する。
【0111】
ステップS1206では、無人航空機101の通信設定部1117は、ステップS1205で受信したプロポ102のグローバルIPアドレスとペアリング情報とを、それぞれ無人航空機101の設定情報1300に格納する。すなわち、無人航空機101の外部メモリ280に記憶されたプロポ通信先1302にプロポ102のグローバルIPアドレスを格納し、ペアリング情報1303に受信したペアリング情報を格納する。
【0112】
ステップS1207では、無人航空機101の移動体通信制御部413は、無人航空機101に記憶された設定情報1300を参照し、無人航空機通信先1301に格納されたグローバルIPアドレスを取得する。そして、これをプロポ通信先1302が示すグローバルIPアドレスに向けて送信する。本実施形態では、ペアリング要求のあったプロポ102に対して移動体通信網を介して無人航空機101のグローバルIPアドレスを送信しているが、これはプロポ102から受信したグローバルIPアドレスで通信可能か否かを確認するために送信している。つまり、この確認が不要であれば、RC通信制御部1112の機能によって送信してもよい。無人航空機101のグローバルIPアドレスの送信が完了したら、無人航空機101における事前設定を終了する。
【0113】
ステップS1208では、プロポ102の移動体通信制御部423は、無人航空機101から送信された無人航空機101のグローバルIPアドレスを受信する。そして、ステップS1209では、プロポ102に通信設定部424は、受信した無人航空機101のグローバルIPアドレスを、プロポ102の設定情報1300に格納する。すなわち、設定情報1300の無人航空機通信先1301に、受信したグローバルIPアドレスを格納する。
【0114】
以上のようにすることで、無人航空機101とプロポ102との間でペアリングが完了し、更にお互いのグローバルIPアドレスを交換することが可能となる。
【0115】
図14は、無人航空機101からプロポ102に対して通信状況の確認を行う流れを示すフローチャートである。尚、
図14に示すフローチャートは一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例がある。
【0116】
以下説明するS1401乃至S1413の各ステップは、プロポ102のCPU301が各機能部を動作することにより実行される処理である。
【0117】
プロポ102からの指示に応じて無人航空機101が飛行動作を開始すると、
図14に示す一連の処理を繰り返し実行する。こうすることにより、無人航空機101は逐一、プロポ102との通信状況の確認を行う。
【0118】
ステップS1401では、無人航空機101のRC通信制御部1112または移動体通信制御部413は、プロポ102から無人航空機101の動作指示を受信する。この動作指示には、発信側のプロポ102が保持するペアリング情報が含まれている。更に、プロポ102からの動作指示は、無人航空機101の通信設定1304が示す通信方式で受け付けるものとする。例えば、通信設定1304が“RC通信(第一の通信方式)”である場合には、RC通信制御部1112の機能によりプロポ102からの動作指示を受け付ける。また、通信設定1304が“移動体通信(第二の通信方式)”である場合には、移動体通信制御部413の機能によりプロポ102からの動作指示を受け付ける。
【0119】
ステップS1402では、無人航空機101の通信設定部1117は、ステップS1401で受信した動作指示に含まれるペアリング情報と、無人航空機101が記憶するペアリング情報1303とを比較し、これが一致するか否かを判定する。ペアリング情報が一致すると判定した場合には、ステップS1403に処理を進める。ペアリング情報が一致しないと判定した場合には、ステップS1401に処理を戻す。こうすることで、ペアリングされていないプロポ102から無人航空機101を操縦できないように制御できる。
【0120】
ステップS1403では、無人航空機101の飛行制御部411は、プロポ102から受信した動作指示に応じた飛行制御を実行する。
【0121】
ステップS1404では、無人航空機101の飛行制御部411は、ステップS1403で実行した飛行制御によって、無人航空機101のプロペラ213の動作が停止したか否かを判定する。すなわち、モータ212が停止したか否かを判定する。これにより、無人航空機101が着陸しているか否かを判別する。更に無人航空機101のセンサ260を用いて無人航空機101の高度を取得し、着陸しているか否かを判定してもよいし、カメラ271から取得した画像を処理することで着陸しているか否かを判定してもよい。プロペラ213の動作が停止した、すなわち着陸したと判定した場合には、ステップS1410に処理を進める。プロペラ213の動作が停止していない、すなわち着陸していないと判定した場合には、ステップS1405に処理を進める。
【0122】
着陸した場合よりも先に着陸していない場合について説明する。ステップS1405では、無人航空機101の電波強度測定部1118は、ステップS1401で受信した電波の強度を測定する。ここで測定する電波は、無人航空機101の通信設定1304が“RC通信”であればプロポ102から発信された電波であり、“移動体通信”であれば通信事業者の基地局から発信された電波である。
【0123】
ステップS1406では、無人航空機101の電波強度測定部1118は、ステップS1405で測定した電波強度が、所定の閾値以下であるか否かを判定する。閾値は通信状況が悪いと判断するための閾値である。あらかじめ通信方式ごとに閾値を設定しておくものとし、現在の通信方式に対応する閾値を用いて判定を行う。すなわち、本実施形態であれば通信設定1304が“RC通信”の場合の閾値と、通信設定1304が“移動体通信”の場合の閾値とを設ける。尚、前述した判定の方法はあくまで一例であり、所定の閾値より小さいか否かを判定してもよいし、逆に所定の閾値以上であるか否か、所定の閾値より大きいか否かを判定してもよい。電波強度が所定の閾値以下である、すなわち通信状況が悪いと判定した場合には、ステップS1408に処理を進める。そうでない場合、すなわち通信状況がよいと判定した場合には、ステップS1401に処理を戻す。
【0124】
ステップS1407では、無人航空機101の飛行制御部411は、無人航空機101がホバリングするように、プロペラ213の回転を制御する。後述するステップS1408及びステップS1409を経て、ステップS1401で動作指示を受信するまでホバリングしておく。こうすることで、通信方式の切り替えによって一時的にプロポ102からの動作指示が中断されたとしても、無人航空機101が墜落しないように制御することができる。
【0125】
ステップS1408では、無人航空機101の通信設定部1117は、無人航空機101とプロポ102との間で用いる通信方式を、現在の通信方式とは異なる通信方式に切り替える。具体的には、無人航空機101の通信設定1304に格納された通信方式を別の通信方式に変更する。通信設定1304に“RC通信”と格納されているのであれば、これを“移動体通信”に切り替えたり、通信設定1304に“移動体通信”と格納されているのであれば、これを“RC通信”に切り替えたりする。
【0126】
ステップS1409では、無人航空機101の移動体通信制御部413は、プロポ102に対して通信方式を切り替えるよう指示を送信する。具体的には、無人航空機101のプロポ通信先1302に格納されたプロポ102のグローバルIPアドレスに向けて通信方式の切り替え指示を送信する。本実施形態では、移動体通信制御部413によって切り替え指示を送信するが、RC通信制御部1112によって送信してもよい。切り替え指示を送信したら、ステップS1401に処理を戻す。この切り替え指示により、プロポ102の通信設定1304も変更されるので、以後の動作指示は切り替え後の通信方式で送信されてくる。つまり、通信状況の悪い通信方式とは異なる通信方式に切り替えて、動作指示の送信・受信を行うことが可能となる。
【0127】
一方、ステップS1404でプロペラ213の回転が停止した、つまり無人航空機101が着陸したと判定した場合には、ステップS1410では、無人航空機101の通信設定部1117は、現在の通信方式が移動体通信であるか否かを判定する。すなわち、無人航空機101の通信設定1304を参照し、“移動体通信”と格納されているか否かを判定する。現在の通信方式が移動体通信であると判定した場合には、ステップS1411に処理を進める。現在の通信方式が移動体通信でないと判定した場合には、ステップS1401に処理を進める。
【0128】
ステップS1411では、無人航空機101の通信設定部1117は、無人航空機101とプロポ102との間で用いる通信方式を、特定の周波数帯の電波を用いた通信に切り替える。具体的には、無人航空機101の通信設定1304に格納された通信方式を“RC通信”に変更する。
【0129】
そして、ステップS1412では、無人航空機101の移動体通信制御部413は、プロポ102に対してRC通信方式に切り替えるよう指示を送信する。具体的には、無人航空機101のプロポ通信先1302に格納されたプロポ102のグローバルIPアドレスに向けてRC通信方式に切り替えるよう指示を送信する。このようにすることで、離陸時には、特定の周波数帯の電波を用いた通信、つまりRC通信によって動作指示の送受信を行うことが可能となるので、常に移動体通信網を利用するよりも通信料を安く抑えることができる。また、ユーザがRC通信に切り替え忘れることがなくなる。ステップS1412が完了したら、ステップS1401に処理を戻す。無人航空機101の電源が切られたり、その他本一連の処理の終了指示があったりした場合にこの繰り返し処理を終了する。
【0130】
図15は、プロポ102から無人航空機101に対して動作指示を送信する流れを示すフローチャートである。尚、
図15に示すフローチャートは一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例がある。
【0131】
以下説明するS1501乃至S1504の各ステップは、プロポ102のCPU301が各機能部を動作することにより実行される処理である。
【0132】
ステップS1501では、プロポ102の飛行操作受付部421は、プロポ102の操作部に対する操作(動作指示)を受け付けたか否かを判定する。プロポ102の操作部に対する操作を受け付けたと判定した場合には、ステップS1502に処理を進める。そうでない場合には、ステップS1503に処理を進める。
【0133】
ステップS1502では、プロポ102の通信設定部424は、プロポ102の通信設定1304を参照し、受け付けた動作指示を送信するための通信方式を特定する。そして、通信設定1304が“RC通信”である場合には、プロポ102のRC通信制御部1122がペアリング情報1303を用いて、RC通信で無人航空機101に動作指示を送信する(通信制御手段)。一方、通信設定1304が“移動体通信”である場合には、プロポ102の移動体通信制御部423が無人航空機通信先1301に格納されたグローバルIPアドレスを用いて、移動体通信で無人航空機101に動作指示を送信する(通信制御手段)。
【0134】
ステップS1503では、プロポ102の移動体通信制御部423は、無人航空機101からの通信方式の切り替え指示を受信したか否かを判定する。前述したステップS1409またはステップS1413において送信された切り替え指示をプロポ102が受信したか否かを判定すればよい。通信方式の切り替え指示を受信したと判定した場合には、ステップS1504に処理を進める。そうでない場合には、ステップS1501に処理を戻す。
【0135】
ステップS1504では、プロポ102の通信設定部424は、無人航空機101とプロポ102との間で用いる通信方式を、現在の通信方式とは異なる通信方式に切り替える。具体的には、プロポ102の通信設定1304に格納された通信方式を別の通信方式に変更する。通信設定1304に“RC通信”と格納されているのであれば、これを“移動体通信”に切り替えたり、通信設定1304に“移動体通信”と格納されているのであれば、これを“RC通信”に切り替えたりする。このようにして、ステップS1502で動作指示を送信する際の通信方式を決定する。ステップS1504が完了したら、ステップS1501に処理を戻す。プロポ102の電源が切られたり、その他本一連の処理の終了指示があったりした場合にこの繰り返し処理を終了する。
【0136】
このように、無人航空機101がプロポ102との通信状況を確認することによって、通信方式を切り替える実施形態であってもよい。
【0137】
以上説明したように、本実施形態によれば、無人航空機と遠隔操作端末との間の通信方式を、通信状況に応じて決定することが可能となる。
【0138】
本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0139】
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システム或いは装置に直接、或いは遠隔から供給するものを含む。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合も本発明に含まれる。
【0140】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現(実行可能と)するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0141】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0142】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどがある。また、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などもある。
【0143】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、若しくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0144】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0145】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、ダウンロードした鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0146】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0147】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【0148】
なお、前述した実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。