【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトのアドレス https://www.fxc.jp/news/20160127.html http://www.fxc.jp/products/mediaconverter/LEX1881−1F.html http://www.fxc.jp/products/mediaconverter/data_sheet/LEX1881−1F_DS_R1.1.pdf http://www.fxc.jp/products/fxc/product_manual/LEX1881−1F_IG_R1.1.pdf http://www.fxc.jp/products/fxc/product_manual/LEX1881−1F_A3−E11−0025−01_outside.pdf ウェブサイトの掲載日 平成28年1月27日 〔刊行物等〕 販売した場所 NTTアドバンステクノロジ株式会社 販売日 平成28年3月17日 〔刊行物等〕 販売した場所 サンテレホン株式会社 札幌営業所 販売日 平成28年3月31日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
筐体内にて第二熱源の上面に近接して配置される第二ヒートシンクを有し、この第二ヒートシンクの上面が前記穴が設けられている前記上面から離間するように配置した請求項1に記載の電子デバイス。
前記筐体の体積は100立法センチメートル以下であり、前記第一熱源の発熱量は1.0ワットから2.5ワットの範囲であり、前記第二熱源の発熱量は5.0ワットから7.0ワットの範囲である請求項1又は2に記載の電子デバイス。
植設されているチップ部品が埋め込まれる様に放熱シートが底面と接触して配置されている請求項1又は2に記載の電子デバイス。
前記第二熱源の配置されるプリント基板の裏面側はチップ部品が植設されており、植設されているチップ部品が埋め込まれる様に放熱シートが底面と接触して配置されている請求項1から6のいずれか一に記載の電子デバイス。
筐体内にて第二熱源の上面に近接して配置される第二ヒートシンクを有する放熱構造であって、この第二ヒートシンクの上面が前記穴が設けられている前記上面から離間して配置するように構成された請求項8に記載の電子デバイスの放熱構造。
前記筐体の体積は100立法センチメートル以下であり、前記第一熱源の発熱量は1.0ワットから2.5ワットの範囲であり、前記第二熱源の発熱量は5.0ワットから7.0ワットの範囲である請求項8又は9に記載の電子デバイスの放熱構造。
前記第二熱源の配置されるプリント基板の裏面側はチップ部品を植設するように構成されるとともに、植設されているチップ部品が埋め込まれる様に放熱シートが底面と接触して配置するように構成される請求項8から13のいずれか一に記載の電子デバイスの放熱構造。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、各発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる形態で実施しうる。なお、以下の実施例と請求項の関係は次の通りである。実施例1は、主に請求項1と9などについて説明する。実施例2は、主に請求項2と10などについて、実施例3は、主に請求項3と11などについて、実施例4は、主に請求項4と12などについて、実施例5は、主に請求項5と13などについて、実施例6は、主に請求項6と14などについて、実施例7は、主に請求項7と15などについて、実施例8は、主に請求項8と16などについて、説明する。
【実施例1】
【0020】
<実施例1の概念>
【0021】
実施例1における電子デバイスとして、メディアコンバータ装置を例に挙げて説明するが、他の電子機器にも適用可能である。本実施例におけるメディアコンバータ装置は、
図1の概念図に示すように筐体内のプリント基板(0143)の上にパワーアンプを含む外部入出力端子回路構造体モジュール(0141)と通信用LSI(0142)を備えている。外部入出力端子回路構造体モジュールは、スロット(0145)に収められている。筐体の前面右側からSFP+ケーブルの挿入口(0147)、筐体の前面左側からUTPまたはSTPケーブルの挿入口(0148)を有している。
図1において破線で示した筐体(0110)は、底面(0111)、上面(0112)と側面(0113)から構成される。
図1では記載を簡素化しているがプリント基板の上面及び下面には、外部入出力端子回路構造体モジュールと通信用LSIの他にも集積回路、チップ部品等の電子部品が多数設置されている。
【0022】
図2は、実施例1における電子デバイス及びその放熱構造の一例を示す全面斜視分解図であり、本発明における電子デバイスの部品をプリント基板に設置する場合の一例を示した概念図である。筐体の底面上方のプリント基板の上に外部入出力端子回路構造体モジュールである第一熱源(0221)と通信用LSIである第二熱源(0222)が隣接して設置されている。
図2において、第一熱源は、外部入出力端子回路構造体モジュールを収納するスロット(0245)を指しているように描かれているが、実際には内部の外部入出力端子回路構造体モジュールを指すものである。筐体の上面は、第一ヒートシンク(0223)としてのフィン(0224)が設けられるとともに筐体内に通じる穴(0214)が設けられる。
図2では、筐体上面の第一ヒートシンクを網掛け模様で示しているが、ヒートシンクは土台となるプレート部とフィンから構成されている。また、
図2では、第一ヒートシンクの穴が設けられていない領域(0217)と穴(0214)が存する領域(0218)をそれぞれ破線で囲って示している。
【0023】
図3A〜Cは、実施例1における電子デバイス及びその放熱構造の一例を示す概念図である。
図3A(a)は、電子デバイスの平面図であり、
図3A(b)は、電子デバイスのA−A´断面図であり、実施例1における第一熱源と第二熱源で生じた熱が移動する方向を矢印で示している。第一熱源(0321)は、筐体内で上面を第一ヒートシンク(0323)の穴が設けられていない領域領域(0317)に近接して配置される。
図3A(b)では、第一熱源である外部入出力端子回路構造体モジュールがスロット(0345)に収納されている例を示している。第一ヒートシンクとしての上面の部分は一体成型品を使用することが望ましく、例えば、
図3A(a)に示したようにネジ1(0319)とネジ2(0320)で第一ヒートシンク以外の上面の部分に固定され、両者で筐体の上面を構成することができる。
【0024】
第一熱源で生じた熱は、筐体の上面の第一ヒートシンク(0323)のフィン(0324)表面から筐体外部へ直接自然放熱される。
図3A(b)では、第一ヒートシンクのプレート部分(0330)を波線で覆って示しているが、一般に、このようなフィンを有するヒートシンクでは、熱源から伝達される熱をヒートシンクのプレート部で受け取り、表面積の広いフィン表面から放出することで、冷却を行う構成となっている。
【0025】
第一ヒートシンクを筐体内に配置するとその容積分の空間が筐体内に必要となるが、本発明では、第一熱源と接する第一ヒートシンクは筐体上面の一部であるため、筐体内に大きな空間を必要としない。そのため筐体の高さを低くすることができ、結果として電子デバイスの小型化が可能となる。本実施例では、熱伝達を向上させるために第一ヒートシンクと第一熱源と間に放熱シート1(0331)を配し、第一ヒートシンクと第一熱源を密着させる例を示しているが、このように放熱シートを設置することが好ましい。
【0026】
図3Bは、
図3Aの実施例の上面の穴が存する領域の厚みを肉厚とした例であり、他の構成は、
図3Aと同様である。第一ヒートシンクとしての上面の部分と穴が存する部分を含む部品として、例えば両者を一体成型したものを使用することができる。
図3Cにその固定方法の一例を示した。
図3C(a)の網掛けで示した部分は、第一ヒートシンクを含めた一体成部品の上面からは見えない部分である。
図3C(b)は、A−A´断面図であり、
図3C(c)は、B−B´断面図を示したものであるが、第一ヒートシンクを含む一体成型部品は、例えば図で示したようにネジ1(0319)とネジ2(0320)で固定され得る。但し、第一ヒートシンクを含む一体成型部品と他の筐体上面部分との接合方法として溶接、接着剤の利用などの方法を用いることも可能で、ネジ止めに限定されるものではない。
【0027】
第二熱源(0322)は、筐体内で第一熱源に隣接して配置され上部空間に穴が存する領域(0318)に配置される。
図3A及びBの(b)で示したように、第二熱源で生じた熱は、第二熱源の上面空間に自然放熱され、さらに第二熱源の上面空間から第二熱源に対向する位置に設けられた筐体上部の穴を通って筐体の外部へ自然放熱される。第二熱源は、第一熱源にくらべ、その構造上、高さの低い電子部品である。したがって、第一熱源に隣接して配置される第二熱源と筐体上部との間には、空間を設けることができる。暖められた空気は密度が低いため上昇する性質があるので、第二熱源から排出された熱は筐体内部を上昇し、さらに筐体上面に設けられた穴を通って筐体外部へと上昇する。この空気の流れにより第二熱源は自然放熱され得るのである。
【0028】
<実施例1の構成>
再び、
図2を用いて、本実施例の構成を説明する。本発明の「電子デバイス」は、底面(0211)と、第一ヒートシンク(0223)としてのフィン(0224)が設けられるとともに筐体内に通じる穴(0214)を設けた上面(0212)と、側面(0213)と、を有する筐体と、筐体内で上面を第一ヒートシンクの穴が設けられていない領域(0217)に近接して配置される第一熱源(0221)と、筐体内で第一熱源に隣接して配置され上部空間に穴が存する領域(0218)に配置される第二熱源(0222)と、からなる。
【0029】
また、本発明の「電子デバイスの放熱構造」を
図2を用いて説明する。底面(0211)と、第一ヒートシンク(0223)としてのフィン(0224)が設けられるとともに筐体内に通じる穴(0214)を設けた上面(0212)と、側面(0213)と、を有する筐体からなる放熱構造であって、第一熱源(0221)を筐体内で上面を第一ヒートシンクの穴が設けられていない領域(0217)に近接して配置し、筐体内にて第二熱源(0222)を第一熱源に隣接して配置され上部空間に穴が存する領域(0218)に配置するように構成される。以下、それぞれの構成について説明する。
【0030】
「筐体」は、底面と、第一ヒートシンクとしてのフィンが設けられるとともに筐体内に通じる穴を設けた上面と、側面と、を有する。筐体は、電子デバイスの外殻となる箱であり、内部に基板を収納可能に構成される。
図2の筐体は長方形の側面及び底面を有する箱であるが、これに限られない。但し、小型化という目的にそぐわない形状は好ましくない。筐体を形成する素材は、錆びにくいSECC(電気亜鉛めっき鋼板)やアルミニウムが多用されるが、その他の金属や樹脂などでもよい。本実施例では、SECC及びアルミニウムを使用している。
「底面」の上部に、プリント基板が配置される。プリント基板は多数の電子部品を搭載するための電子基板であって、それら電子部品により構成される様々な電子回路を実装するものである。「側面」は、上面及び底面に接している面であり、上面を支える役割を有する。
【0031】
「上面」は、第一ヒートシンクとしてのフィンが設けられるとともに筐体内に通じる穴を設けられる。「フィン」は、第一ヒートシンクとして設けられる。フィンは、土台となるプレートとともに第一ヒートシンクを構成し、プレートから筐体上面に向かって突出している。プレートの形状は長尺状である限り特に限定されるものではなく、楕円状などであってもよい。ヒートシンクは、一般にプレート部分で発熱体から熱の伝達を受け、フィン表面から放熱する。
【0032】
第一ヒートシンクのプレートの占める領域は、第一熱源の上面の領域より広いことが望ましい。但し、広すぎると電子デバイスの小型化を妨げることになる。したがって、少なくとも第一熱源の上面の領域と同サイズ以上であることが好ましい。また、第一熱源とプレートの接触面は水平面である必要はなく、第一熱源に接していれば、傾斜があってもよい。
【0033】
本実施例では、プレートは、厚さが2mm程度、幅が17mm程度、長さが67mm程度、フィンの高さは、3mm程度である。第一ヒートシンクとしての上面部分は、実施例5で詳しく示すが、筐体の他の構成部分より肉厚であることが好ましい。
図2示すように、本実施例において第一ヒートシンクの領域は、第一熱源の上面より長手方向後方に広く構成されている。
【0034】
図1〜
図15では、フィンとして板状のストレートフィンが示されており、フィンが互いに平行に第一熱源の長手方向に配列されている。第一ヒートシンクの形状は、板状のストレートフィンに限られるものではなく、放熱性を高める観点から、例えば円柱状の複数のピンフィンであってもよい。ピンフィンを使用する場合は、第一熱源の長手方向だけでなく、マトリクス状または千鳥状に配置することもできる。フィンおよびプレートは、押出加工によりプレートと同一の素材で一体成型することができる。また、フィンおよびプレートは、切削加工、引抜加工などで形成されてもよく、加工方法を限定するものではない。
【0035】
ヒートシンクを構成する材料には、アルミニウム及びアルミニウム合金を用いることが好ましいが、銅、鉄などの他の熱伝導率の高い金属材料を用いることも可能である。さらに放熱効果、耐食性を向上左折ためにアルマイト処理、塗装などを行うことが好ましい。本実施例では、プレートとフィンを一体成型したアルミニウム製のヒートシンクでアルマイト処理を施したものを第一ヒートシンクとして使用している。
【0036】
「第一熱源」は、筐体内で上面を第一ヒートシンクの領域に近接して配置される。また、本発明の電子デバイスの放熱構造は、第一熱源を、筐体内で上面を第一ヒートシンクの領域に近接して配置するように構成される。「近接して配置されている」とは、第一熱源の占める領域と第一ヒートシンクの領域が互いに接近していること、もしくは互いに影響しあう程度に接している状態をいい、接触した状態を除外するものではない。「配置」とは、所定の位置に配して固定することをいう。
図2を用いて説明すると、第一熱源(0221)は、例えばスロット(0245)などのケースに挿入して配置された外部入出力端子回路構造体モジュールである。スロットに収める目的は内部の回路基板を電磁波等の影響から遮蔽したり、振動に弱い部品を衝撃等から守ったりするためである。スロットの長手方向の前方部分は、外部入出力端子を差し込めるように空間が構成されている。また、本実施例では、スロットの上面には直径2mm程度の略円形の穴(0246)が12個設けられている。
【0037】
図4Aは、実施例1における電子デバイス及びその放熱構造の一例を示す概念図である。
図4A(a)は、電子デバイスの平面図であり、
図4A(b)は、電子デバイスのA−A´断面図で、
図4A(c)は、電子デバイスのB−B´断面図である。図中の矢印は、実施例1において、熱が伝わる方向の一例を示している。第一熱源で生じた熱はスロット(0445)の上面を介して、スロットと接している放熱シート(0431)に伝達する経路と、スロットの上面の略円形の穴(0446)から放熱された熱が放熱シートに伝達する経路の2通りがある。そして、放熱シートから第一ヒートシンクのプレート部分(0430)に熱が伝達し、フィン表面から筐体外に放熱される。
【0038】
図4Aでは、第一熱源はスロットと接触していない例を示しているが、第一熱源はスロットと接触していてもよい。また、放熱シートは弾力性があるので、放熱シートがスロットの上面の略円形の穴に埋め込まれる様に第一熱源及び第一熱源を収納するスロットと接触させて配置することもできる。第一熱源の前方はSFP+ケーブルの挿入口(0447)が配されている。
【0039】
図4A(b)に示すように上面の第一ヒートシンクの領域のうち、
図4A(a)及び(b)において破線で囲んで示した部分は、第一熱源の上方より長手方向後方に広い面積を占めていて、第一熱源に近接しない領域にも設けている。第一熱源が発する熱の大部分は、第一熱源上方のプレートに伝達後、上部のフィン表面から筐体外部に放出される。そして
図4A(b)に示すようにプレートに伝達した熱の一部は、プレートの長手方向後方にも伝わりその上部のフィンから筐体外に放出されため、より効率的に放熱され得る。また、
図4A(b)では詳細に示してはいないが、筐体内には、第一熱源及び第二熱源以外にもそれほど発熱量は高くないものの、熱源となり得る電子部品を配している。例えば、
図4A(b)で示したように、電子部品1(0461)及び電子部品2(0462)が発する熱は、第一ヒートシンクに伝達し、筐体外に放出され得る。
【0040】
第一ヒートシンクと第一熱源又は第一ヒートシンクと第一熱源及び第一熱源を収納するケース等(例えばスロット)とは、放熱シートなどで密着させ、熱伝達を向上させることが好ましい。第一ヒートシンクと第一熱源又は第一ヒートシンクと第一熱源及び第一熱源を収納するケース等(例えばスロット)の間の熱伝達の効率を上げる方法はさまざまである。放熱シート自体の粘着力で間接的に両者の熱伝達抵抗を小さくする方法もあれば、放熱シートと第一ヒートシンク及び第一熱源の圧着面にグリース、両面接着テープ及び接着剤を利用する方法もある。熱伝達効率の高いグリース、熱伝達効率の高い両面接着テープ及び熱伝達効率の高い接着剤を利用する場合には、さらにこれらの熱伝導性にも注意を要する。つまり伝達又は熱伝導のいずれかが他のボトルネックにならないように材料を選択する。また、第一ヒートシンクからプリント基板上に足をおろしてビス止めする方法もある。本実施例では、
図3A、B(0331)及び
図4(0431)に示すように第一ヒートシンクと第一熱源と間にアクリル系素材の粘着性のある放熱シートを配し、熱伝達を向上させている。
【0041】
放熱シートは、放熱が必要な第一熱源と第一ヒートシンクの間に圧着して設置するものである。第一ヒートシンクを第一熱源及び第一熱源を収納するケース等(例えばスロット)の上に直接載置しない理由はいくつかある。第一に、硬いもの同士を密着させても完全に密着することはなく、電子部品である第一熱源と第一ヒートシンクとの間で熱伝達が効率よく行われにくい。しかし、両者の間に柔らかい素材を挟めば両者を間接的に密着させて熱伝達を高めることができる。第二に、第一ヒートシンク(筐体上面)が受けた衝撃が電子部品に伝わって電子部品を毀損させる事態を避けなければならないが、両者の間に柔らかい素材を挟めば第一ヒートシンクが受けた衝撃が直接電子部品に伝わることがなく、電子部品を衝撃から守ることができる。
【0042】
放熱シートの素材は柔らかく、粘着性があり、かつ、熱伝導性の高いものが好適である。一般的にはアクリル系やシリコン系の素材が多用される。その他、グラファイトなどを使用することができる。本実施例では、横幅14mm、奥行41mmで、アクリル系の素材の1.5mm厚の放熱シートを使用している例を示した。
【0043】
再度、
図2を用いて説明すると、「第二熱源」(0222)は、筐体内で第一熱源(0221)に隣接して配置され上部空間に穴(0214)が存する領域(0218)に配置する。
図2では、穴が存する領域を破線で囲って示している。
また、本発明の電子デバイスの放熱構造は、筐体内にて第二熱源を第一熱源に隣接して配置され上部空間に前記穴が存する領域に配置するように構成される。本発明では第一熱源と第二熱源とが隣接して配置されている点に特徴がある。
「隣接して配置されている」とは、第一熱源の占める領域と第二熱源が占める領域が近づいて配置されているが、両領域の間に他の電子部品が配置されていることを除外するものではなく、両領域の間に他の電子部品が配置されていることを含むものとする。また、本発明では、具体的には、互いに熱の影響を受けあう位置に配置されること、すなわち筐体の幅の10%以内の距離をもって、筐体内の空間に配置されることを「隣接して配置されている」というものとする。
【0044】
図4Bは、実施例1における電子デバイス及びその放熱構造の一例を示す概念図である。
図4B(b)は、電子デバイスの平面図である。
図4A(a)は、電子デバイスのA−A´断面図であり、
図4A(c)は、電子デバイスのB−B´断面図である。図中の矢印は、実施例1におけて、熱が伝わる方向の一例を示している。第二熱源(0422)の熱源となるのは、例えば、第二熱源は通信用LSIをケースに収めた電子部品であり、その特性から端部より中央部分の発熱量が高くなる。ケースに収める目的は第一熱源の外部入出力端子回路構造体モジュールをスロットに収めた理由と同じである。また、第二熱源に隣接してUTPまたはSTPケーブルの挿入口(0448)が配されている。
【0045】
「穴」(0414)は筐体内に通じる。穴は、筐体に形成された開口部である。第二熱源は上部空間に穴が存する領域に配置されるため、第二熱源が排出する熱は、第二熱源の上部空間に存する穴から放出される。
図4(a)及び(b)に示すように第二熱源と対向する筐体の上面に配される穴の領域は、第二熱源の占める領域と垂直方向で重なることが好ましく、第二熱源の占める領域より広いことが望ましい。しかし、あまり広いと小型化が図れない点に留意が必要である。穴の大きさは、空気の流通が阻害されない程度の大きさであることが好ましい。但し、あまり大きいと筐体の強度が下がり、さらに埃などのごみが侵入しやすくなるので好ましくない。したがって、筐体の上部の穴の大きさは幅1〜3mm、長さは5mm〜15mmが好ましい。穴と穴の間隔は、穴の幅と同程度〜2倍の間隔で設けることが好ましい。穴の形状は、略長方形や楕円形が好ましいが、略正方形や略円形など形状が限定されるものではない。
【0046】
本実施例では、
図4B(a)に示すように第二熱源と対向する筐体の上面の位置に、幅2mm、長さ10mmの略長方形の穴を、横手方向に2mm間隔をおいて5列、長手方向に2mm間隔をおいて3列配置している。筐体の上面の穴の存する領域のうち、長手方向前方の領域(0451)は、第二熱源の占める領域と垂直方向でほぼ一致しているので、第二熱源の発する熱の大部分はこの領域から放出される。一方で、長手方向後方に配置される電子部品も第一熱源及び第二熱源にくらべるとわずかであるが、熱源となり得る。長手方向後方の領域(0452)は、第二熱源の一部の放熱にも寄与しているが、長手方向後方に配置された電子部品3(0463)及び電子部品4(0464)の放熱にも役立つものである。
【0047】
<実施例1の効果>
実施例1によれば、
図4A及びBで示したように、第一に、第一熱源(0421)で生じた熱は、第一ヒートシンクとしてのフィン(0424)が設けられた筐体の上面からフィンを通じて筐体の外部へ直接自然放熱される。第二に、第二熱源で発生した熱は、第二熱源(0422)の上部へ上昇し、第二熱源に対向する位置に設けられた筐体上面の穴(0414)から外部へ放出される。ここで、各々の熱源から熱が放出される空間は、第一熱源は筐体外であり、第二熱源は筐体内であり、熱が放出される空間が異なっている。第一ヒートシンクのフィンは筐体外の空気と接しており、第一熱源で発生した熱の大部分は、放熱シート1(0431)を介して第一ヒートシンクのプレート部分に伝わり、さらにフィン表面から放出され、第一熱源は、筐体内の空間にほとんど熱を排出しない。
【0048】
第二熱源で発生した熱の放出は、第二熱源の上部で生じる空気の温度差により発生する上昇気流により行われるので、わずかな空気の流れにも影響を受けやすい。しかし、第一熱源からの筐体内部への放熱はほとんどなく、他の熱源による気流が生じにくい構造となっている。このような放熱構造をとることにより、第一熱源と第二熱源で発生するそれぞれの熱を狭い筐体から外部へ放熱することが可能となっているのである。
【0049】
実施例1の電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造は、第一熱源と第二熱源で発生するそれぞれの熱を狭い空間で放熱することを可能とし、冷却用のファンなどの装置を使用せずに放熱が実現でき、電子デバイスの小型化を図ることができる。
【実施例2】
【0050】
<実施例2の概念>
図5は、本発明の実施例2における電子デバイス及びその放熱構造の一例を示す全面斜視分解図であり、実施例2における電子デバイスの部品をプリント基板に設置する場合の一例を示す概念図である。実施例2の電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造は、実施例1の電子デバイス及び電子デバイスを基本とし、第二ヒートシンク(0525)と放熱シート2(0532)を設けた点で実施例1と異なっている。すなわち、実施例2は、第二熱源の上面に近接して配置される第二ヒートシンクを穴が設けられている筐体の上面から離間するように配置したことに特徴がある。
【0051】
例えば、第二熱源で生じた熱を、第一熱源と同様に筐体上面に設けたヒートシンクを利用して放熱するという方法も考えられる。しかし、第二熱源はその性質上、高さの低い部品であるため、筐体上面のヒートシンクまでその熱を伝達させるためには、何らかの媒体が必要となる。熱伝導性の高い銅板などの金属板や放熱シートを媒体とすることは可能ではあるが、それらの媒体は、筐体内である程度の高さが必要となり、電子デバイスの重量が重くなったり、コストが上がってしまうという問題も生じ得る。そこで、本実施例では、第二熱源に第二ヒートシンクを近接して配置し、第二熱源で生じた熱を、第二ヒートシンクを介して第二熱源の上面に自然放熱させ、さらに筐体上面の穴から放出するという構成とした。本発明は、異なる空間に2つのヒートシンクを配し、2つの放熱経路を有していることに特徴があるのである。以下、
図6を用いて説明する。
【0052】
図6Aは、実施例1における電子デバイス及びその放熱構造の一例を示す概念図である。
図6A(b)は、電子デバイスの平面図であり、
図6A(a)は、電子デバイスのA−A´断面図で、
図6A(c)は、電子デバイスのB−B´断面図である。図中の矢印は、実施例において、熱が伝わる方向の一例を示している。実施例2では、第二ヒートシンク(0625)を設けているので、実施例1と第二熱源で発生した熱の放熱経路が異なっている。第二熱源で発生した熱は、放熱シート2(0632)を介して、第二熱源と近接する第二ヒートシンクのプレートを介して、フィン表面から第二熱源の上部空間へ放出され、さらに第二熱源に対向する位置に設けられた筐体上部の穴(0614)を通って筐体の外部へ自然放熱される。
【0053】
本実施例では、
図6B(a)に示すように第二熱源及び第二ヒートシンクと対向する筐体の上面の位置に、幅2mm、長さ10mmの略長方形の穴を、横手方向に2mm間隔をおいて5列、長手方向に2mm間隔をおいて3列配置している。筐体の上面の穴の存する領域のうち、長手方向前方の領域(0651)は、第二熱源及び第二ヒートシンクの占める領域と垂直方向でほぼ一致しているので、第二熱源の発する熱の大部分はこの領域から放出される。長手方向後方の領域(0652)については、実施例1と同様な構成であるので省略する。
【0054】
<実施例2の構成>
実施例2の電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造は、「第二ヒートシンク」が、筐体内にて第二熱源の上面に近接して配置され、第二ヒートシンクは、第二ヒートシンクの上面が、穴が設けられている筐体上面から離間するように配置される。
【0055】
第二熱源に近接して配置される第二ヒートシンクは、第二熱源より第二ヒートシンクのプレートに熱が伝達され、さらにフィン表面から放出される。第二ヒートシンクでは、空気の自然対流が起こる。自然対流はファンなどの流れを生じさせる要因がない状態で、流体の温度差で生じる浮力によってのみ生じる流れである。
【0056】
本実施例では、第二ヒートシンクと筐体を離間するように配置しているため、第二ヒートシンクで生じた自然対流により、第二ヒートシンクの上面の穴が設けられている筐体上面から自然放熱される。例えば、本実施例における第二ヒートシンクのフィンの先端部と筐体との距離は6mm程度である。第二ヒートシンクと筐体が接している状態では、自然対流の発生を妨げるため好ましくない。また、接触部分でフィンから筐体上面の第一ヒートシンクへの熱移動が生じ、第一ヒートシンクで放熱しなければならない総熱量が過多となり、十分に第一熱源と第二熱源が発生する熱を処理できなくなるため好ましくない。
【0057】
実施例2では、2つのヒートシンクを構成するが、第二ヒートシンクは筐体内に配置されているのに対し、第一ヒートシンクのフィンは筐体の外の空気と接しているため、
図6で示すように自然対流が生じる空間が異なり、それぞれの気流が互いに影響を受けることがない。自然空冷の場合、わずかな空気の流れが対流に影響し冷却を困難にするが、第二ヒートシンクは筐体内でフィン表面から放熱し、第一ヒートシンクのフィンは筐体外で放熱をおこなう本実施例の電子デバイスの放熱構造は、第一熱源と第二熱源で生じる熱を狭い空間で処理することを可能としている。
【0058】
第二ヒートシンクの構成は、実施例1の第一ヒートシンクと同様であるため、その説明を省略する。但し、フィンピッチが狭すぎると自然対流が起きにくく、熱がこもってしまうため、フィンピッチは熱移動が起きやすい広さにすることが好ましい。本実施例では、第二ヒートシンクとして、6×6のピンフィンを使用し、プレートは幅と奥行が21mm程度、厚さが1.5mm程度、フィンの高さは3.5mm程度であり、アルミニウム製でアルマイト処理を施したものを使用している。
【0059】
第二ヒートシンクと第二熱源とは、実施例1の第一ヒートシンクと第一熱源と同様に放熱シートなどで密着させ、熱伝達を向上させることが好ましい。本実施例では、横幅21mm、奥行21mmで、アクリル系の素材の1mm厚の放熱シートを使用している例を示した。放熱シートを含む他の構成は実施例1と同様のため省略する。
【0060】
<実施例2の効果>
第二ヒートシンクを筐体内にて第二熱源の上面に近接して配置し、第二ヒートシンクの上面が穴が設けられている筐体の上面から離間するように配置したことにより、
図6に示したように第二熱源で発生した熱は第二熱源と近接する第二ヒートシンクのプレートに伝わり、プレートの熱はフィン表面から第二熱源の上部空間へ放出され、さらに第二熱源に対向する位置に設けられた筐体上部の穴を通って筐体の外部へ自然放熱される。第二ヒートシンクの配置により、第二熱源で生じた熱を第二熱源の上部への熱移動が促され、その結果、筐体外部への放熱が促進される。
【実施例3】
【0061】
<実施例3の概念>
実施例3の電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造は、実施例1または実施例2の電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造を基本とし、筐体の体積は100立法センチメートル以下であり、第一熱源は1.0ワットから2.5ワットの範囲であり、第二熱源は5.0ワットから7.0ワットの範囲であることを特徴とする。
【0062】
<実施例3の構成>
実施例3の電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造は、筐体の体積は100立法センチメートル以下であり、第一熱源は1.0ワットから2.5ワットの範囲であり、第二熱源は5.0ワットから7.0ワットの範囲であることを特徴とする。体積は、100立法センチメートル以下が好ましい。さらに好ましくは、75立法センチメートル以下であることが望ましい。実施例3の筐体のサイズは、例えば、幅50mm、長さ74mm、高さ20mmであり、体積は74立法センチメートルである。
【0063】
第一熱源の最大消費電力が2.5Wであり、第二熱源の最大消費電力は7.0ワットである。このような構成で、実施例1及び実施例2の電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造を実施することが可能である。
【0064】
<実施例3の効果>
筐体が小さいとしても熱源が十分に小さければ特殊な放熱構造は不要である。一方で、ある程度の熱源が大きくとも筐体を大きして、熱源を十分に離間すれば熱障害は起きにくくなる。実施例1または実施例2の電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造を基本とする実施例3によれば、第一熱源の最大消費電力が2.5Wで、第二熱源の最大消費電力は7.0ワットというある程度大きな熱源があっても、74立法センチメートルという小さなサイズで熱障害が起きない電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造を構成することが可能である。
【実施例4】
【0065】
<実施例4の概念>
図7は、実施例4における電子デバイス及びその放熱構造の一例を示す全面斜視分解図を表す概念図である。実施例4の電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造は、実施例1から実施例3の電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造を基本とし、筐体の側面及び/または底面に、自然空冷のための筐体内に通じる穴を設けたことを特徴とする。
図6に示したように筐体の側面の穴(0715)と底面の穴(0716)を自然空冷のために設けている。
【0066】
図8は、実施例4における電子デバイス及びその放熱構造の一例を示す全面斜視全体図(a)と断面図(b)の概念図である。実施例4における第一熱源と第二熱源で生じた熱が伝わる方向を矢印で示している。
図8に示したように、筐体の側面の穴(0815)から相対的に温度の低い空気が流入し、熱源により暖められた空気は筐体上面に設けられた穴(0814)から外部へ排出されるという流れが生じるので、より効率的に電子デバイスの自然放熱をおこなうことが出来る。
る。
【0067】
図9は、実施例4における電子デバイス及びその放熱構造の一例を示す筐体の全面斜視全体図と電子デバイスの断面図の概念図である。実施例4における熱の伝わる方向を矢印で示している。
図9(a)は、筐体底面の穴(0916)の配置の一例を示したものである。
図9(b)は、底面の穴がある部分の断面図である、
図9(a)及び(b)に示したように底面の穴を通してプリント基板の裏面側に相対的に温度の低い空気が流入し、プリント基板の裏面側を冷却する。さらに、この底面の穴から流入した空気は、プリント基板と筐体側面の隙間を通って上昇し、筐体上面の穴から筐体外部に排出されるという流れが生じ、電子デバイスの自然放熱をより効率的におこなうことが出来る。
【0068】
図10は、実施例4における電子デバイス及びその放熱構造の一例を示す断面図の概念図である。実施例4における測面及び底面に穴を設けた場合の熱が伝わる方向を矢印で示している。側面の穴(1015)と底面の穴(1016)を設けることにより
図10に示すように、底面の穴をから空気が流入し、プリント基板と筐体側面の隙間を通って上昇するが、ここで側面の穴から流入する空気の流れと合流し、筐体上面の穴から筐体外部に流出するという良好な流れが生じ、より効率的な自然放熱を行うことが可能となる。
【0069】
<実施例4の構成>
実施例4の電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造は筐体の側面及び/または底面に、自然空冷のための筐体内に通じる穴を設けている。「自然空冷」とは他から強制的に風を受けない無風状態での冷却をいい、ファンなどを用いた強制的な風を利用した冷却は強制空冷と呼ばれている。
【0070】
側面は、上面の重さや上面からの衝撃にもある程度耐える強度を保つ機能を有するため、あまり大きすぎる形状や穴の占める領域が広すぎることは好ましくない。
図8及び
図10で示したような空気の流れを生じさせることが好ましいので、側面の穴は縦長の略長方形又は長楕円形とすることが好ましく、幅は0.5〜2mm程度、長さは10〜15mm程度が好ましい。また、外部から埃など異物が侵入しにくくするためには、1mm以下とすることが好ましい。穴の間隔は、強度保持の観点から幅の2〜5倍程度で設けることが好ましい。さらに、放熱を促進させるためには、第一熱源および第二熱源に近接した位置に設けることが望ましい。
【0071】
底面は、上面の重量などの負荷はかからず、ほこりなども入り込みにくいため、側面と比較して穴の形、大きさ、数などに制約を受けずに設けることができる。しかし、筐体と全体としての強度を保持することは不可欠なため、縦長の略長方形又は略楕円形であれば幅は1〜3mm程度、長さは8〜15mm程度とすることが好ましい。
【0072】
<実施例4の効果>
筐体の側面及び/または底面に、自然空冷のための筐体内に通じる穴を設けることにより、第一熱源および第二熱源で発生した熱は、実施例1から3で示した筐体上面からの放熱に加え、底面の穴及び底面の穴から相対的に温度の低い空気が流入し、筐体上面の穴から筐体外部に流出するという良好な空気の流れが生じ、自然空冷による放熱が促進され、さらに放熱作用が高まる。
【実施例5】
【0073】
<実施例5の概念>
実施例5の電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造は、実施例1から4の電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造を基本とし、第一ヒートシンクとしての上面の部分は、筐体の他の構成部分よりも厚肉で熱容量を相対的に大きくしていることを特徴とする。
【0074】
<実施例5の構成>
図11は、実施例5における電子デバイス及びその放熱構造の筐体の一例を示す概念図である。
図11(a)は、電子デバイスの平面図であり、
図11(b)は、電子デバイスのA−A´断面図であり、
図11(c)は、電子デバイスのB−B´断面図である。
図13及に示すように、本実施例にかかる電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造は、第一ヒートシンク(1123)としての上面の部分は、筐体の他の構成部分(
図11(b)及び(c)で網掛けで示した部分)よりも厚肉で熱容量を相対的に大きくしていることを特徴とする。
【0075】
図11では、第一ヒートシンクとしての上面の部分の肉厚は例えば、5mm程度であり、筐体の他の構成部分は、1mm程度である。第一ヒートシンクはプレートとフィンから構成されるが、プレート部分の肉厚は2mm程度である。フィンの部分を除くプレート部分と筐体の他の構成部分とを比較しても、肉厚が2倍なので、同じ材質であれば、熱容量は2倍となる。第一ヒートシンクとしての上面の部分が、筐体の他の構成部分よりも厚肉で熱容量を相対的に大きくすることで、プレート部分が第一熱源から多くの熱量を受け取ることが可能となり、プレート部分が第一熱源から受け取った熱は、フィンから筐体外部へ放出されるので、放熱が促進され得る。
【0076】
<実施例5の効果>
第一ヒートシンクとしての上面の部分は、筐体の他の構成部分よりも厚肉で熱容量を相対的に大きくしていることにより、上著したように効率的な放熱がされ得る。また、筐体の上面の部分は、筐体の他の構成部分よりも熱容量が相対的に大きいため、筐体の上面の部分が多くの熱を保持し得るため、上面からの放熱が主流となり、筐体内部に熱がこもることを防止でき、筐体内の電子部品の熱による与える影響を軽減することができる。そのため、小さなサイズで熱障害が起きない電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造を提供することができる。
【実施例6】
【0077】
<実施例6の概念>
実施例6の電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造は、実施例5の電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造を基本とし、肉厚の構成部分は全体に第一ヒートシンクとしてのフィンが設けられ、その一部に穴が設けられていることを特徴とする。
【0078】
<実施例6の構成>
図12は、実施例6における電子デバイス及びその放熱構造の一例を示す全面斜視全体図の概念図である。
図12に示すように、本実施例にかかる電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造は、他の構成部分より肉厚である第一ヒートシンクとしての上面部分の一部に穴(1214)が設けられている。すなわち、肉厚の構成部分は、全体に第一ヒートシンクとしてのフィン(1224)が設けられ、その一部に穴が設けられている。
【0079】
図13は、実施例6における電子デバイス及びその放熱構造の一例を示す断面図の概念図であり、
図13(a)は、穴が設けられている部分の断面図で、
図13(b)は、穴が設けられていない部分の断面図である。実施例6における熱が伝わる方向を矢印で示している。
図13(a)に示されるように、第一熱源で発生した熱の大部分は、第一熱源の上面に位置する第一ヒートシンクのフィン表面から放熱される。また、第二熱源で発生した熱は、主に第一ヒートシンクの一部に設けられた穴(1314)から自然放熱される。一方で、
図13(b)に示されるように、第二熱源で生じた熱の一部は、第二熱源に対向する位置の上面であって、穴が設けられていない上面部分にも伝わり、第一ヒートシンクのフィン表面から放熱され得る。
【0080】
第一ヒートシンクの穴の設けられていない部分では、次のような放熱も想定される。すなわち、第一熱源で発生した熱の一部は第一ヒートシンクのプレートを介して第二熱源の上方である横手方向に伝わり、さらにフィンから放熱され得る。また、第二熱源で発生した熱の一部は、第一ヒートシンクのプレートに伝わり、さらにフィンから放熱され得る。
【0081】
<実施例6の効果>
実施例6の電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造は、実施例5の電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造を基本とし、肉厚の構成部分は全体に第一ヒートシンクとしてのフィンが設けられているので、フィン表面からの放熱が加わり、効率的な放熱が行われ得る。
【実施例7】
【0082】
<実施例7の概念>
実施例7の電子デバイスは及び電子デバイスの放熱構造は、実施例1から6の電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造を基本とし、第一熱源はパワーアンプを含む外部入出力端子回路構造体モジュールであり、第二熱源は通信用LSIであることを特徴とする。
【0083】
<実施例7の構成>
図1を再び用いて実施例7を説明する。
図1に示すように、本実施例にかかる電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造は、第一熱源はパワーアンプを含む外部入出力端子回路構造体モジュール(0141)であり、第二熱源は通信用LSI(0142)である。
【0084】
「外部入出力端子回路構造体モジュール」は、出入力端子は外部から送られた情報を受け取り、あるいは、外部へ情報を送るための出入力端子を構成するためのモジュールであって、回路を含む構造体である。「通信用LSI」は、多数のトランジスタやダイオード、抵抗、コンデンサなどの電子部品(素子)を、一つの半導体チップに組み込んだ通信用の集積回路のことであり、箱型部品として構成される。
【0085】
電子デバイスは、基板上に多数の電子部品が配置されていることが一般的であるが、個々の電子部品が熱を発しても筐体が十分に大きければ、特殊な放熱構造は不要である。しかし、筐体を大きくすることは、電子デバイスに一般的に求められる小型化と相反するもので、電子デバイスの市場に受け入れられにくい。電子部品を箱型化したり、モジュール化してスロットなどのケースに収納する構成は、個々の部品を基板上に配置するより、製品全体として小型化を図ることができる。さらに製造工程においても、製造が容易になるという利点がある。
【0086】
しかし、電子部品の箱型化やモジュール化は、電子部品が狭い領域に集積化され、その内部に熱量が集約されることとなり、ある部分に集中した大きな熱量を冷却しなくてはいけないというが課題がある。その一方で、モジュール化されていない個々の電子部品を冷却するとなると、大きさや形状、発する熱量の異なるそれぞれの電子部品に対応する放熱構造を構築しなければならないため、電子デバイスの構造が複雑化するという問題が生じる。その点、本発明は、箱型化やモジュール化により集約された熱の放熱構造を構築することで効率的に放熱を行い、電子デバイス全体として小型化を可能とするものである。
【0087】
<実施例7の効果>
本実施例にかかる第一熱源はパワーアンプを含む外部入出力端子回路構造体モジュールであり、第二熱源は通信用LSIである電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造は、実施例1から6の電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造を基本とすることで、小さなサイズで熱障害が起きない電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造を構成することができる。
【実施例8】
【0088】
<実施例8の概念>
実施例8の電子デバイスは及び電子デバイスの放熱構造は、実施例1から7の電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造を基本とし、第二熱源の配置されるプリント基板の裏面側はチップ部品が植設されており、植設されているチップ部品が埋め込まれる様に放熱シートが底面と接触して配置されていることを特徴とする。
【0089】
<実施例8の構成>
図14は、実施例8における電子デバイス及びその放熱構造の一例を示す断面図の概念図である。実施例8における熱が伝わる方向を矢印で示している。
図14(b)は、プリント基板の裏面側に植設されているチップ部品を含む
図14(a)の一部分を拡大して示している。
図14に示すように、第二熱源(1422)の配置されるプリント基板(1443)の裏面側はチップ部品(1444)が植設されており、植設されているチップ部品が埋め込まれる様に放熱シート3(1433)が底面(1411)と接触して配置され、熱伝達を向上させている。放熱シートの構成は実施例1と同様のため省略する。第二熱源の配置されるプリント基板の裏面側はチップ部品が植設されており、チップ部品も熱源となり得る。また、第二熱源からプリント基板を介して伝達する熱を筐体外に放出する必要がある。第二熱源の配置されるプリント基板の裏面と底面と間にプリント基板の裏面に植設されているチップ部品が埋め込まれる様に放熱シートを配置することで、チップ部品と第二熱源からプリント基板を介して伝達する熱を放熱シートを媒体として底面に伝達することができる。
【0090】
放熱シートを配置すると、チップ部品の発する熱は、放熱シートと接触している筐体底面にすみやかに伝達する。
図14(a)に底面に伝達した熱の放熱経路を破線の矢印で示したが、筐体内を伝導しながら筐体表面から放熱される。また、その一部は筐体から第一ヒートシンクに伝達し、フィン表面から放熱される。
【0091】
一方、放熱シートを配置しない場合は、チップ部品の発する熱は、2通りの経路で排出される。ひとつは、放射又はプリント基板裏面側の狭い空間で起こるわずかな自然対流により筐体底面に伝達した熱が、筐体内を伝導し、筐体表面から放出される。その一部は、筐体上面の第一ヒートシンクからも放熱され得る。他方は、筐体側面とプリント基板の隙間から上部へ上昇する空気の流れとともに放出される経路である。このどちらの経路も熱伝導性の低い空気を媒体としているので、放熱シートを配した場合にくらべ、熱の伝達及び伝導の速度が遅く、プリント基板下部に熱が滞留しやすくなる。本実施例で示したように放熱シートを配置することにより、プリント基板裏面側の熱の滞留が解消される。
【0092】
放熱シートの構成は、実施例1と同様であるため省略するが、本実施例では、横幅13mm、奥行17mmで、アクリル系素材の2mm厚の放熱シートを使用している例を示した。第二熱源は、中央部分の発熱が集中するので、プリント基板を介した第二熱源中央部の垂直下の位置で放熱シートとプリント基板の裏面側を接触させている。
【0093】
図15は、実施例8における電子デバイス及びその放熱構造の一例を示す全面斜視分解図であり、本発明における構成の一例を示す概念図である。筐体は、底面(1511)と、上面(1512)と、側面(1513)を有している。筐体の上面は、第一ヒートシンク(1523)としてのフィン(1524)が設けられている。図には示していないが、第一ヒートシンクとしての上面部分は、筐体の他の構成部分よりも肉厚であり、その一部に穴(1514)が設けられている。
【0094】
筐体の底面上方のプリント基板の表面側に第一熱源(1521)と第二熱源(1522)が隣接して設置されている。第一熱源は、筐体内で第一ヒートシンクの穴が設けられていない領域に近接して配置されている。第一ヒートシンクと第一熱源又は第一ヒートシンクと第一熱源及び第一熱源を収納するケース等(例えばスロット)との間には放熱シート1(1531)が設けられることが好ましい。
図15において、第一熱源は、外部入出力端子回路構造体モジュールを収納するスロット(1545)を指しているように描かれているが、実際には内部の外部入出力端子回路構造体モジュールを指すものである。
【0095】
第二熱源は、上部空間に穴が存する領域に配置されるが、第二熱源の上面に近接して配置される第二ヒートシンク(1525)を有している。この第二ヒートシンクは、穴が設けられている上面から離間するように配置されている。第二熱源と第二ヒートシンクの間には放熱シート2(1532)が設けられることが好ましい。第二熱源の配置されるプリント基板の裏面側は図示してはいないが、チップ部品が植設されている。放熱シート3(1533)が、植設されているチップ部品と埋め込まれる様に接するために放熱シート3が底面と接触して配置されている。
【0096】
<実施例8の効果>
実施例1から7の電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造を基本とし、第二熱源の配置されるプリント基板の裏面側に植設されているチップ部品に対して、チップ部品が埋め込まれる様に放熱シートを底面と接触して配置することで、チップ部品からの放熱を効率的に排出することができるので、小さなサイズで熱障害が起きない電子デバイス及び電子デバイスの放熱構造を構成することができる。また、プリント基板と底面との間に柔らかい素材である放熱シートを挟むことで、筐体が受けた衝撃が直接電子部品に伝わることがなく、電子部品を衝撃から守ることができるという効果もある。