特許第6978834号(P6978834)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6978834
(24)【登録日】2021年11月16日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】積層セラミック電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20211125BHJP
   H01G 4/12 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   H01G4/30 201F
   H01G4/30 201M
   H01G4/12 270
【請求項の数】11
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-248783(P2016-248783)
(22)【出願日】2016年12月22日
(65)【公開番号】特開2018-107159(P2018-107159A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年12月6日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】笹木 隆
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 壮
(72)【発明者】
【氏名】飯島 淑明
【審査官】 北原 昂
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−298755(JP,A)
【文献】 特表2010−518651(JP,A)
【文献】 特開2018−085443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/12
H01G 4/232
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部導体層を有する略直方体状の部品本体に外部電極を設けた積層セラミック電子部品であって、
前記部品本体の6つの面のうち、相対する2つの面の対向方向を第1方向、他の相対する2つの面の対向方向を第2方向、残りの相対する2つの面の対向方向を第3方向としたとき、
前記外部電極は、前記部品本体の第3方向の一面に存する第1部分を有しており、
前記部品本体の第3方向の一面には、前記外部電極の第1部分によって覆われた部分を有する絶縁体層が設けられ、
前記外部電極の第1部分は、下地導体膜と、第2の下地導体膜と、前記下地導体膜および前記第2の下地導体膜を覆う表面導体膜と、を有しており、
前記下地導体膜は、前記部品本体の第3方向の一面において、第1方向の一端部に設けられるとともに前記絶縁体層から第1方向に間隔を空けて設けられ、
前記第2の下地導体膜は、少なくとも前記絶縁体層の第1方向の端部を覆い、
前記絶縁体層の第3方向寸法は、前記外部電極の第1部分における前記下地導体膜の第3方向寸法よりも小さく、第1部分における前記第2の下地導体膜の第3方向寸法よりも小さい、
積層セラミック電子部品。
【請求項2】
前記絶縁体層の第3方向寸法は、前記外部電極の第1部分の第3方向寸法よりも小さい、
請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項3】
前記第2の下地導体膜は、前記下地導体膜の表面を覆う、
請求項1または2に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項4】
前記外部電極は、前記部品本体の第1方向の両端部それぞれに設けられており、
前記絶縁体層は、その第1方向の両端部それぞれに、前記外部電極それぞれの第1部分によって覆われた部分を有している、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項5】
前記絶縁体層の第1方向寸法は、前記部品本体の第1方向寸法よりも小さく、かつ、前記外部電極それぞれの第1部分の第1方向の相互間隔よりも大きい、
請求項4に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項6】
前記外部電極は、前記部品本体の第3方向の他面に存する第2部分を有しており、
前記部品本体の第3方向の他面には、前記外部電極の第2部分によって覆われた部分を有する第2の絶縁体層が設けられている、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項7】
前記第2の絶縁体層の第3方向寸法は、前記外部電極の第2部分の第3方向寸法よりも小さい、
請求項6に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項8】
前記外部電極の第2部分は、下地導体膜と前記下地導体膜を覆う表面導体膜とを有しており、
前記第2の絶縁体層の第3方向寸法は、前記外部電極の第2部分における前記下地導体膜の第3方向寸法よりも小さい、
請求項6または7に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項9】
前記外部電極は、前記部品本体の第1方向の両端部それぞれに設けられており、
前記第2の絶縁体層は、その第1方向の両端部それぞれに、前記外部電極それぞれの第2部分によって覆われた部分を有している、
請求項6〜8のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項10】
前記第2の絶縁体層の第1方向寸法は、前記部品本体の第1方向寸法よりも小さく、かつ、前記外部電極それぞれの第2部分の第1方向の相互間隔よりも大きい、
請求項9に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項11】
前記積層セラミック電子部品は、積層セラミックコンデンサであり、
前記部品本体は、複数の内部電極層が誘電体層を介して積層された容量部を有するコンデンサ本体である、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミックコンデンサや積層セラミックインダクタ等の積層セラミック電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
積層セラミックコンデンサや積層セラミックインダクタ等の積層セラミック電子部品、例えば積層セラミックコンデンサは、一般に、複数の内部電極層が誘電体層を介して積層された容量部を有する略直方体状のコンデンサ本体と、コンデンサ本体に設けられた1対の外部電極とを備えている。外部電極の一方には複数の内部電極層の一部が接続され、外部電極の他方には複数の内部電極層の残部が接続されている。
【0003】
前掲の積層セラミックコンデンサの実装形態には、回路基板の表面に配置して配線に接続する実装形態の他、回路基板の内部に配置して配線に接続する実装形態があり、とりわけ後者の実装形態では薄型の積層セラミックコンデンサが要求されている(後記特許文献1を参照)。ところが、このような薄型の積層セラミックコンデンサであっても求められている静電容量は概して大きい。
【0004】
薄型の積層セラミックコンデンサにおいて極力大きな容量を得る方法としては、コンデンサ本体の容量部を構成する内部電極層の厚さと誘電体層の厚さを極力小さくする方法がある。ところが、この方法には技術的限界があるため、容量部の両側に存する誘電体マージン部の厚さを極力小さくする方法が併用されている場合が多い。
【0005】
しかしながら、前記各誘電体マージン部の厚さを小さくすると、例えば10μm以下にすると、各誘電体マージン部を通じてコンデンサ本体内に湿気が浸入しやすくなるために、この湿気によって内部電極層に腐食を生じて機能障害を生じる懸念が高くなる。すなわち、積層セラミックコンデンサを薄型にする場合には、コンデンサ本体内への湿気浸入を極力防止できる構造的な工夫が必要である。
【0006】
なお、先に述べた湿気による機能障害は、積層セラミックコンデンサに限らず、内部導体層を有する略直方体状の部品本体に外部電極を設けた積層セラミックインダクタ等の他の積層セラミック電子部品、とりわけ薄型の積層セラミック電子部品においても同様に生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016−149487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、積層セラミック電子部品を薄型にした場合でも、部品本体内への湿気浸入を極力防止できる積層セラミック電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明に係る積層セラミック電子部品は、内部導体層を有する略直方体状の部品本体に外部電極を設けた積層セラミック電子部品であって、前記部品本体の6つの面のうち、相対する2つの面の対向方向を第1方向、他の相対する2つの面の対向方向を第2方向、残りの相対する2つの面の対向方向を第3方向としたとき、前記外部電極は、前記部品本体の第3方向の一面に存する第1部分を有しており、前記部品本体の第3方向の一面には、前記外部電極の第1部分によって覆われた部分を有する絶縁体層が設けられ、前記外部電極の第1部分は、下地導体膜と、第2の下地導体膜と、前記下地導体膜および前記第2の下地導体膜を覆う表面導体膜と、を有しており、前記下地導体膜は、前記部品本体の第3方向の一面において、第1方向の一端部に設けられるとともに前記絶縁体層から第1方向に間隔を空けて設けられ、前記第2の下地導体膜は、少なくとも前記絶縁体層の第1方向の端部を覆い、前記絶縁体層の第3方向寸法は、前記外部電極の第1部分における前記下地導体膜の第3方向寸法よりも小さく、第1部分における前記第2の下地導体膜の第3方向寸法よりも小さい
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る積層セラミック電子部品によれば、積層セラミック電子部品を薄型にした場合でも、部品本体内への湿気浸入を極力防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は本発明の第1実施形態に係る積層セラミックコンデンサの平面図である。
図2図2図1に示した積層セラミックコンデンサの側面図である。
図3図3図1のS11−S11線に沿う断面図である。
図4図4図3のS12−S12線に沿う断面図である。
図5図5図3の要部拡大図である。
図6図6(A)〜図6(C)は図1図5に示した積層セラミックコンデンサの製造方法例の説明図である。
図7図7は本発明の第2実施形態に係る積層セラミックコンデンサの平面図である。
図8図8図7に示した積層セラミックコンデンサの側面図である。
図9図9図7のS21−S21線に沿う断面図である。
図10図10図8のS22−S22線に沿う断面図である。
図11図11図9の要部拡大図である。
図12図12(A)〜図12(C)は図7図11に示した積層セラミックコンデンサの製造方法例の説明図である。
図13図13は本発明の第3実施形態に係る積層セラミックコンデンサの図11対応図である。
図14図14(A)〜図14(C)は図13に示した積層セラミックコンデンサの製造方法例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
《第1実施形態》
この第1実施形態は、本発明を積層セラミックコンデンサに適用したものである。まず、図1図5を用いて、本発明の第1実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10の構造について説明する。なお、以下の説明では、便宜上、後述の略直方体状のコンデンサ本体11の6つの面のうち、相対する2つの面の対向方向(図1の左右方向に相当)を第1方向、他の相対する2つの面の対向方向(図1の上下方向に相当)を第2方向、残りの相対する2つの面の対向方向(図2の上下方向に相当)を第3方向と表記するとともに、各方向に沿う寸法を第1方向寸法と第2方向寸法と第3方向寸法と表記する。参考までに、図1図5の基になっている試作品(積層セラミックコンデンサ)の第1方向寸法Lと第2方向寸法Wと第3方向寸法Hは、それぞれ1000μmと500μmと150μmである。
【0013】
この積層セラミックコンデンサ10は、略直方体状のコンデンサ本体11と、コンデンサ本体11の第1方向の両端部(図1図4の左端部および右端部)それぞれに設けられた外部電極12の他に、コンデンサ本体11の第3方向の一面(図2図3および図5の下面)に設けられた第1絶縁体層13-1と、コンデンサ本体11の第3方向の他面(図2図3および図5の上面)に設けられた第2絶縁体層13-2とを備えている。
【0014】
コンデンサ本体11は、複数の内部電極層11a1が誘電体層11a2を介して積層された容量部11aと、容量部11aの第3方向の両側に設けられた誘電体マージン部11bとを有している(図3および図5を参照)。複数の内部電極層11a1の一部(図3の上から奇数番目)は外部電極12の一方(図3の左側の外部電極12)に接続され、複数の内部電極層11a1の残部(図3の上から偶数番目)は外部電極12の他方(図3の右側の外部電極12)に接続されている。なお、図2図3および図5には、図示の便宜上、計6個の内部電極層11a1を描いているが、内部電極層11a1の数に特段の制限はない。
【0015】
各内部電極層11a1は、略矩形状の外形を有している。各内部電極層11a1の第1方向寸法L1aは、コンデンサ本体11の第1方向寸法L1よりも小さい(図3および図5を参照)。各内部電極層11a1の{第1方向寸法L1−第1方向寸法L1a}に該当する第1方向寸法L1bの部分は、隣接する内部電極層11a1が対向しない引出部分である。すなわち、各内部電極層11a1はこの引出部分を介して各外部電極12に接続されている。各内部電極層11a1の第2方向寸法(符号省略)は、コンデンサ本体11の第2方向寸法(符号省略)よりも小さい(図4を参照)。各内部電極層11a1の第3方向寸法(符号省略)は、例えば0.3〜3μmの範囲内で設定されている。
【0016】
各誘電体層11a2は、略矩形状の外形を有している。各誘電体層11a2の第1方向寸法(符号省略)は、コンデンサ本体11の第1方向寸法L1と略同じである(図3および図5を参照)。各誘電体層11a2の第2方向寸法(符号省略)は、コンデンサ本体11の第2方向寸法(符号省略)と略同じである(図4を参照)。各誘電体層11a2の第3方向寸法(符号省略)は、例えば0.3〜3μmの範囲内で設定されている。
【0017】
各誘電体マージン部11bは、略矩形状の外形を有している。各誘電体マージン部11bの第1方向寸法(符号省略)は、コンデンサ本体11の第1方向寸法L1と略同じである(図3および図5を参照)。各誘電体マージン部11bの第2方向寸法(符号省略)は、コンデンサ本体11の第2方向寸法(符号省略)と略同じである。各誘電体マージン部11bの第3方向寸法(符号省略)は、例えば5〜10μmの範囲内で設定されている。
【0018】
各内部電極層11a1の主成分は、例えばニッケル、銅、パラジウム、白金、銀、金、これらの合金等の金属材料である。各誘電体層11a2の主成分と各誘電体マージン部11bの主成分、すなわち、コンデンサ本体11の内部電極層11a1を除く部分の主成分は、例えばチタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸バリウム、酸化チタン等の誘電体材料(誘電体セラミック材料)である。なお、各誘電体層11a2の主成分と各誘電体マージン部11bの主成分は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0019】
各外部電極12は、コンデンサ本体11の第1方向の一面(図3および図4の左面)または第1方向の他面(図3および図4の右面)に存する基礎部分12aと、コンデンサ本体11の第3方向の一面(図3の下面)に存する第1部分12bと、コンデンサ本体11の第3方向の他面(図3の上面)に存する第2部分12cと、コンデンサ本体11の第2方向の一面(図4の下面)に存する第3部分12dと、コンデンサ本体11の第2方向の他面(図4の上面)に存する第4部分12eとを連続して有している(図3図5を参照)。各外部電極12の第1部分12b〜第4部分12eの第1方向寸法L2は、例えば積層セラミックコンデンサ10の第1方向寸法Lの1/5〜2/5の範囲内で設定されている。各外部電極12の基礎部分12aの第1方向寸法(符号省略)と、第1部分12bおよび第2部分12cの第3方向寸法t1と、第3部分12dおよび第4部分12eの第2方向寸法(符号省略)のそれぞれは、例えば3〜30μmの範囲内で設定されている。
【0020】
各外部電極12は、図3図5から分かるように、下地導体膜14と、下地導体膜14を覆う表面導体膜15とから構成されている。
【0021】
各下地導体膜14は、コンデンサ本体11の第1方向の一面(図3および図4の左面)または第1方向の他面(図3および図4の右面)に密着した基礎部分14aと、コンデンサ本体11の第3方向の一面(図3の下面)に密着した第1部分14bと、コンデンサ本体11の第3方向の他面(図3の上面)に密着した第2部分14cと、コンデンサ本体11の第2方向の一面(図4の下面)に密着した第3部分14dと、コンデンサ本体11の第2方向の他面(図4の上面)に密着した第4部分14eとを連続して有している(図3図5を参照)。各下地導体膜14の基礎部分14aの第1方向寸法(符号省略)と、第1部分14bおよび第2部分14cの第3方向寸法t1aと、第3部分14dおよび第4部分14eの第2方向寸法(符号省略)のそれぞれは、例えば2〜15μmの範囲内で設定されている。
【0022】
各表面導体膜15は、各下地導体膜14の基礎部分14aの表面に密着した基礎部分15aと、各下地導体膜14の第1部分14bの表面に密着した第1部分15bと、各下地導体膜14の第2部分14cの表面に密着した第2部分15cと、各下地導体膜14の第3部分14dの表面に密着した第3部分15dと、各下地導体膜14の第4部分14eの表面に密着した第4部分15eとを連続して有している(図3図5を参照)。各表面導体膜15の基礎部分15aの第1方向寸法(符号省略)と、第1部分15bおよび第2部分15cの第3方向寸法t1bと、第3部分15dおよび第4部分15eの第2方向寸法(符号省略)のそれぞれは、例えば1〜15μmの範囲内で設定されている。
【0023】
各下地導体膜14の主成分は、例えばニッケル、銅、パラジウム、白金、銀、金、これらの合金等の金属材料である。また、各表面導体膜15の主成分は、例えば銅、ニッケル、スズ、パラジウム、金、亜鉛、これらの合金等の金属材料である。なお、図3図5には、図示の便宜上、各外部電極12として下地導体膜14と表面導体膜15とから構成されたものを描いたが、下地導体膜14と表面導体膜15との間に主成分が異なる1以上の中間導体膜を介在させた構成を各外部電極12に採用してもよい。また、各外部電極12の第1部分12bの表面および第2部分12cの表面に現れる凹凸を2μm未満になるようにして表面平坦性を高めれば、積層セラミックコンデンサ10を回路基板(図示省略)の内部に配置して配線に接続するときに、配線側のビア導体と各外部電極12の第1部分12bの表面および第2部分12cの表面との接合を良好に行うことができるとともに、回路基板(図示省略)の内部に積層セラミックコンデンサ10を配置した後にレーザー加工によって前記ビア導体用のスルーホールを形成するときに、各外部電極12の第1部分12bの表面および第2部分12cの表面に現れる凹凸の影響を受けることなく、当該スルーホールの形成を良好に行うことができる。
【0024】
第1絶縁体層13-1と第2絶縁体層13-2は、略矩形状の外形を有している。第1絶縁体層13-1の第1方向寸法L3は、コンデンサ本体11の第1方向寸法L1よりも小さく、かつ、各外部電極12の第1部分12bの第1方向の相互間隔INよりも大きい(図3および図5を参照)。第2絶縁体層13-2の第1方向寸法L3は、コンデンサ本体11の第1方向寸法L1よりも小さく、かつ、各外部電極12の第2部分12cの第1方向の相互間隔INよりも大きい(図3および図5を参照)。第1絶縁体層13-1および第2絶縁体層13-2の第2方向寸法(符号省略)それぞれは、コンデンサ本体11の第2方向寸法(符号省略)と略同じである。第1絶縁体層13-1の第3方向寸法t2は、各外部電極12の第1部分12bの第3方向寸法t1、詳しくは各下地導体膜14の第1部分14bの第3方向寸法t1aよりも小さい(図3および図5を参照)。第2絶縁体層13-2の第3方向寸法t2は、各外部電極12の第2部分12cの第3方向寸法t1、詳しくは各下地導体膜14の第2部分14cの第3方向寸法t1aよりも小さい(図3および図5を参照)。第1絶縁体層13-1および第2絶縁体層13-2の第3方向寸法t2それぞれは、例えば1〜6μmの範囲内で設定されている。
【0025】
すなわち、第1絶縁体層13-1は、その第1方向の両端部それぞれに、各外部電極12の第1部分12bによって覆われた部分A1およびA2を有している(図3を参照)。詳しくは、これら部分A1およびA2は、第3方向の他面(図3の上面)をコンデンサ本体11の第3方向の一面(図3の下面)に接し、かつ、第3方向の一面(図3の下面)を各下地導体膜14の第1部分14bに接触状態で覆われている。一方、第2絶縁体層13-2は、その第1方向の両端部それぞれに、各外部電極12の第2部分12cによって覆われた部分A3およびA4を有している(図3を参照)。詳しくは、これら部分A3およびA4は、第3方向の一面(図3の下面)をコンデンサ本体11の第3方向の他面(図3の上面)に接し、かつ、第3方向の他面(図3の上面)を各下地導体膜14の第2部分14cに接触状態で覆われている。
【0026】
部分A1〜A4の第1方向寸法L3aは、例えば5〜15μmの範囲内で設定されている(図5を参照)。部分A1〜A4の第1方向寸法L3aは、全てが同じ寸法であってもよいし、全てが異なる寸法であってもよいし、部分A1〜A4のうちの2つが同じ寸法で残りの2つが同じ寸法または異なる寸法であってもよいし、部分A1〜A4のうちの3つが同じ寸法で残りが異なる寸法であってもよい。
【0027】
第1絶縁体層13-1の主成分と第2絶縁体層13-2の主成分は、例えばチタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸バリウム、酸化チタン等の誘電体材料(誘電体セラミック材料)であり、好ましくはコンデンサ本体11の各誘電体マージン部11bの主成分と同じである。なお、第1絶縁体層13-1の主成分と第2絶縁体層13-2の主成分は、各誘電体マージン部11bの主成分と異なっていてもよい。また、第1絶縁体層13-1の主成分と第2絶縁体層13-2の主成分は同じであってもよいし、異なっていてもよい。さらに、第1絶縁体層13-1の主成分と第2絶縁体層13-2の主成分には、誘電体材料以外の絶縁体材料、例えば合成樹脂材料やガラス材料等を用いてもよい。
【0028】
次に、図6を用い、かつ、図1図5に示した符号を引用して、前記積層セラミックコンデンサ10の製造方法例、詳しくはコンデンサ本体11の内部電極層11a1を除く部分の主成分と第1絶縁体層13-1の主成分と第2絶縁体層13-2の主成分がチタン酸バリウム、各内部電極層11a1の主成分と各下地導体膜14の主成分がニッケル、各表面導体膜15の主成分がスズである場合の製造方法例について説明する。ここで説明する製造方法はあくまでも一例であって、前記積層セラミックコンデンサ10の製造方法を制限するものではない。
【0029】
製造に際しては、まず、チタン酸バリウム粉末と有機溶剤と有機バインダーと分散剤等を含有したセラミックスラリーと、ニッケル粉末と有機溶剤と有機バインダーと分散剤等を含有した電極ペーストとを用意する。
【0030】
続いて、キャリアフィルムの表面にセラミックスラリーを塗工して乾燥することにより、キャリアフィルムの表面にグリーンシートが形成された第1シートを作製する。また、第1シートのグリーンシートの表面に電極ペーストを印刷して乾燥することにより、第1シートのグリーンシートの表面にマトリクス配列または千鳥配列の未焼成の内部電極層パターン群が形成された第2シートを作製する。さらに、第1シートのグリーンシートの表面にセラミックスラリーを印刷して乾燥することにより、第1シートのグリーンシートの表面にストライプ配列の未焼成の絶縁体層パターン群が形成された第3シートを作製する。
【0031】
続いて、第1シートのグリーンシートから取り出した単位シートを所定枚数に達するまで積み重ねて熱圧着する作業を繰り返すことにより、一方の誘電体マージン部11bに対応した部位を形成する。そして、第2シートのグリーンシートから取り出した単位シート(未焼成の内部電極層パターン群を含む)を所定枚数に達するまで積み重ねて熱圧着する作業を繰り返すことにより、容量部11aに対応した部位を形成する。そして、第1シートのグリーンシートから取り出した単位シートを所定枚数に達するまで積み重ねて熱圧着する作業を繰り返すことにより、他方の誘電体マージン部11bに対応した部位を形成する。そして、その積み重ね方向の両面それぞれに、第3シートのグリーンシートから取り出した単位シート(未焼成の絶縁体層パターン群を含む)を積み重ねて熱圧着し、最後に、全体に対して熱圧着を施すことにより、未焼成の積層シートを作製する(図6(A)を参照)。なお、図6(A)には、図示の便宜上、未焼成の積層シートとして前記積層セラミックコンデンサ10の1個に対応したものを描いているが、実際の未焼成の積層シートは多数個取りに対応したサイズを有している。
【0032】
続いて、多数個取りに対応したサイズを有する未焼成の積層シートを格子状に切断することにより、未焼成のコンデンサ本体(11)を作製する(図6(A)を参照)。この未焼成のコンデンサ本体(11)の第3方向の一面(図6(A)の下面)には未焼成の第1絶縁体層(13-1)が設けられ、第3方向の他面(図6(A)の上面)には未焼成の第2絶縁体層(13-2)が設けられている。
【0033】
続いて、未焼成の第1絶縁体層(13-1)と未焼成の第2絶縁体層(13-2)とを有する未焼成のコンデンサ本体(11)の第1方向の両端部それぞれに電極ペーストをディップまたは塗布して乾燥することにより、未焼成の下地導体膜(14)を作製する(図6(B)を参照)。この未焼成の下地導体膜(14)の作製時には、未焼成の下地導体膜(14)それぞれの第1部分(14b)と第2部分(14c)が、未焼成の第1絶縁体層(13-1)の第1方向の両端部と未焼成の第2絶縁体層(13-2)の第1方向の両端部のそれぞれを僅かに覆うようにする。
【0034】
続いて、未焼成の第1絶縁体層(13-1)と未焼成の第2絶縁体層(13-2)と2個の未焼成の下地導体膜(14)とを有する未焼成のコンデンサ本体(11)を焼成炉に投入し、還元雰囲気においてチタン酸バリウムとニッケルに応じた温度プロファイルにて多数個一括で焼成(脱バインダ処理と焼成処理を含む)することにより、第1絶縁体層13-1と第2絶縁体層13-2と2個の下地導体膜14とを有するコンデンサ本体11を作製する(図6(B)を参照)。
【0035】
続いて、湿式めっき法または乾式めっき法によって、各下地導体膜14の表面を覆う表面導体膜15(主成分はスズ)を作製する(図6(C)を参照)。以上で、前記積層セラミックコンデンサ10の製造が完了する。
【0036】
なお、各下地導体膜14は、図6(A)に示した未焼成のコンデンサ本体(11)に焼成を施して、第1絶縁体層13-1と第2絶縁体層13-2とを有するコンデンサ本体11を作製してから、このコンデンサ本体11の第1方向の両端部それぞれに電極ペーストをディップまたは塗布して乾燥し、これらに焼き付け処理を施すこと、によって作製してもよい。
【0037】
次に、前記積層セラミックコンデンサ10によって得られる効果について説明する。
【0038】
[効果1-1]積層セラミックコンデンサ10を薄型にした場合、詳しくは各誘電体マージン部11bの第3方向寸法を小さくした場合でも、コンデンサ本体11の第3方向の一面に設けられ、かつ、各外部電極12の第1部分12bによって覆われた部分A1およびA2を有する第1絶縁体層13-1と、コンデンサ本体11の第3方向の他面に設けられ、かつ、各外部電極12の第2部分12cによって覆われた部分A3およびA4を有する第2絶縁体層13-2とによって、コンデンサ本体11の第3方向の両面からコンデンサ本体11内への湿気侵入を極力防止することができる。しかも、第1絶縁体層13-1の部分A1およびA2は、第3方向の他面をコンデンサ本体11の第3方向の一面に接し、かつ、第3方向の一面を下地導体膜14の第1部分14bに接触状態で覆われており、第2絶縁体層13-2の部分A3およびA4は、第3方向の一面をコンデンサ本体11の第3方向の他面に接し、かつ、第3方向の他面(図3の上面)を下地導体膜14の第2部分14cに接触状態で覆われているため、第1絶縁体層13-1の第1方向の両端付近と第2絶縁体層13-2の第1方向の両端付近からコンデンサ本体11内への湿気侵入をも極力防止することができる。
【0039】
[効果1-2]また、第1絶縁体層13-1の第3方向寸法t2が各外部電極12の第1部分12bの第3方向寸法t1よりも小さく、第2絶縁体層13-2の第3方向寸法t2が各外部電極12の第2部分12cの第3方向寸法t1よりも小さいため、詳しくは、第1絶縁体層13-1の第3方向寸法t2が各下地導体膜14の第1部分14bの第3方向寸法t1aよりも小さく、第2絶縁体層13-2の第3方向寸法t2が各下地導体膜14の第2部分14cの第3方向寸法t1aよりも小さいため、各外部電極12の第1部分12bそれぞれの第3方向寸法t1と第2部分12cそれぞれの第3方向寸法t1が増加すること、換言すれば積層セラミックコンデンサ10の第3方向寸法Hが増加することを確実に抑制することができる。
【0040】
[効果1-3]さらに、コンデンサ本体11の第3方向の一面に設けた第1絶縁体層13-1と第3方向の他面に設けた第2絶縁体層13-2によって、コンデンサ本体11の強度を補う作用も得られるため、積層セラミックコンデンサ10を薄型にするに際してコンデンサ本体11の第3方向寸法を小さくした場合でも、コンデンサ本体11の強度向上を図ることができる。
【0041】
[効果1-4]さらに、第1絶縁体層13-1の部分A1およびA2が各外部電極12の下地導体膜14の第1部分14bによって覆われ、第2絶縁体層13-2の部分A3およびA4が各外部電極12の下地導体膜14の第2部分14cによって覆われているので、各下地導体膜14の表面に表面導体膜15を湿式めっき法または乾式めっき法にて作製する場合でも各表面導体膜15の作製を的確に行うことができる。
【0042】
《第2実施形態》
この第2実施形態は、本発明を積層セラミックコンデンサに適用したものである。まず、図7図11を用いて、本発明の第2実施形態に係る積層セラミックコンデンサ20の構造について説明する。なお、以下の説明では、便宜上、後述の略直方体状のコンデンサ本体11の6つの面のうち、相対する2つの面の対向方向(図7の左右方向に相当)を第1方向、他の相対する2つの面の対向方向(図7の上下方向に相当)を第2方向、残りの相対する2つの面の対向方向(図8の上下方向に相当)を第3方向と表記するとともに、各方向に沿う寸法を第1方向寸法と第2方向寸法と第3方向寸法と表記する。また、図7図11では、前記積層セラミックコンデンサ10と同じ名称部分に同じ符号を用いる。参考までに、図7図11の基になっている試作品(積層セラミックコンデンサ)の第1方向寸法Lと第2方向寸法Wと第3方向寸法Hは、それぞれ1000μmと500μmと150μmである。
【0043】
この積層セラミックコンデンサ20は、略直方体状のコンデンサ本体11と、コンデンサ本体11の第1方向の両端部(図7図10の左端部および右端部)それぞれに設けられた外部電極12の他に、コンデンサ本体11の第3方向の一面(図8図9および図11の下面)に設けられた第1絶縁体層13-1と、コンデンサ本体11の第3方向の他面(図8図9および図11の上面)に設けられた第2絶縁体層13-2とを備えている。
【0044】
コンデンサ本体11の構造は、前記積層セラミックコンデンサ10のコンデンサ本体11の構造と同じであるため、その説明を省略する。
【0045】
各外部電極12は、コンデンサ本体11の第1方向の一面(図9および図10の左面)または第1方向の他面(図9および図10の右面)に存する基礎部分12aと、コンデンサ本体11の第3方向の一面(図9の下面)に存する第1部分12bと、コンデンサ本体11の第3方向の他面(図9の上面)に存する第2部分12cと、コンデンサ本体11の第2方向の一面(図10の下面)に存する第3部分12dと、コンデンサ本体11の第2方向の他面(図10の上面)に存する第4部分12eとを連続して有している(図9図11を参照)。各外部電極12の第1部分12bおよび第2部分12cの第1方向寸法L2は、例えば積層セラミックコンデンサ10の第1方向寸法Lの1/5〜2/5の範囲内で設定されている。各外部電極12の第3部分12dおよび第4部分12eの第1方向寸法(符号省略)は、第1部分12bおよび第2部分12cの第1方向寸法L2よりも小さい。各外部電極12の基礎部分12aの第1方向寸法(符号省略)と、第1部分12bおよび第2部分12cの第3方向寸法t1と、第3部分12dおよび第4部分12eの第2方向寸法(符号省略)のそれぞれは、例えば3〜30μmの範囲内で設定されている。
【0046】
各外部電極12は、図9図11から分かるように、下地導体膜14と、2個の第2の下地導体膜16と、下地導体膜14および2個の第2の下地導体膜16を覆う表面導体膜15とから構成されている。2個の第2の下地導体膜16は、コンデンサ本体11の第3方向の一面(図9および図11の下面)と第3方向の他面(図9および図11の上面)にそれぞれ設けられている。
【0047】
各下地導体膜14は、コンデンサ本体11の第1方向の一面(図9および図10の左面)または第1方向の他面(図9および図10の右面)に密着した基礎部分14aと、コンデンサ本体11の第3方向の一面(図9の下面)に密着した第1部分14bと、コンデンサ本体11の第3方向の他面(図9の上面)に密着した第2部分14cと、コンデンサ本体11の第2方向の一面(図10の下面)に密着した第3部分14dと、コンデンサ本体11の第2方向の他面(図10の上面)に密着した第4部分14eとを連続して有している(図9図11を参照)。各下地導体膜14の第1部分14b〜第4部分14eの第1方向寸法(符号省略)は、例えば各外部電極12の第1部分12bおよび第2部分12cの第1方向寸法L2の1/5〜4/5の範囲内で設定されている。各下地導体膜14の基礎部分14aの第1方向寸法(符号省略)と、第1部分14bおよび第2部分14cの第3方向寸法t1aと、第3部分14dおよび第4部分14eの第2方向寸法(符号省略)のそれぞれは、例えば2〜15μmの範囲内で設定されている。
【0048】
各第2の下地導体膜16は、略矩形状の外形を有している。各外部電極12において、各第2の下地導体膜16は各下地導体膜14の第1部分14bおよび第2部分14cよりも間隔CLだけ内側に離れており、第1絶縁体層13-1および第2絶縁体層13-2の第1方向の両端部それぞれを接触状態で覆っている(図9および図11を参照)。各第2の下地導体膜16の第1方向寸法(符号省略)は、各外部電極12の第1部分12bおよび第2部分12cの第1方向寸法L2よりも小さい。各第2の下地導体膜16の第2方向寸法(符号省略)は、コンデンサ本体11の第2方向寸法(符号省略)と略同じである。間隔CLは、各下地導体膜14の第1部分14bおよび第2部分14cと各第2の下地導体膜16とが接触しない最低限の寸法、例えば4μm前後に設定されている。各第2の下地導体膜16の第3方向寸法t1cは、例えば2〜15μmの範囲内で設定されている。
【0049】
各表面導体膜15は、各下地導体膜14の基礎部分14aの表面に密着した基礎部分15aと、各下地導体膜14の第1部分14bの表面と第2の下地導体膜16(図9および図11の下側の第2の下地導体膜16)の表面とに密着した第1部分15bと、各下地導体膜14の第2部分14cの表面と第2の下地導体膜16(図9および図11の上側の第2の下地導体膜16)の表面に密着した第2部分15cと、各下地導体膜14の第3部分14dの表面に密着した第3部分15dと、各下地導体膜14の第4部分14eの表面に密着した第4部分15eとを連続して有している(図9図11を参照)。各表面導体膜15の基礎部分15aの第1方向寸法(符号省略)と、第1部分15bおよび第2部分15cの第3方向寸法t1bと、第3部分15dおよび第4部分15eの第2方向寸法(符号省略)のそれぞれは、例えば1〜15μmの範囲内で設定されている。
【0050】
先に述べたように、各外部電極12において、各下地導体膜14の第1部分14bおよび第2部分14cと各第2の下地導体膜16との間それぞれには両者を非接触とするための間隔CLが設けられているため、表面導体膜15の作製手法にかかわらず、各表面導体膜15の第1部分15bと第2回部分15cの表面それぞれに間隔CLに基づく溝(符号無し)が現れる。この溝の第3方向寸法は、前記間隔CLを各下地導体膜14の第1部分14bおよび第2部分14cと各第2の下地導体膜16とが接触しない最低限の寸法とすれば、1μm以下にすることもできる。すなわち、積層セラミックコンデンサ20を回路基板(図示省略)の表面や内部に配置して配線に接続するときに、各表面導体膜15の第1部分15bと第2部分15cの表面それぞれに現れる溝が接続の支障となることはない。
【0051】
各下地導体膜14の主成分と各第2の下地導体膜16の主成分は、例えばニッケル、銅、パラジウム、白金、銀、金、これらの合金等の金属材料である。なお、各下地導体膜14の主成分と各第2の下地導体膜16の主成分は同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、各表面導体膜15の主成分は、例えば銅、ニッケル、スズ、パラジウム、金、亜鉛、これらの合金等の金属材料である。なお、図9図11には、図示の便宜上、各外部電極12として下地導体膜14と第2の下地導体膜16と表面導体膜15とから構成されたものを描いたが、下地導体膜14および第2の下地導体膜16と表面導体膜15との間に主成分が異なる1以上の中間導体膜を介在させた構成を各外部電極12に採用してもよい。また、各外部電極12の第1部分12bの表面および第2部分12cの表面に現れる凹凸を2μm未満になるようにして表面平坦性を高めれば、積層セラミックコンデンサ20を回路基板(図示省略)の内部に配置して配線に接続するときに、配線側のビア導体と各外部電極12の第1部分12bの表面および第2部分12cの表面との接合を良好に行うことができるとともに、回路基板(図示省略)の内部に積層セラミックコンデンサ20を配置した後にレーザー加工によって前記ビア導体用のスルーホールを形成するときに、各外部電極12の第1部分12bの表面および第2部分12cの表面に現れる凹凸の影響を受けることなく、当該スルーホールの形成を良好に行うことができる。
【0052】
第1絶縁体層13-1と第2絶縁体層13-2は、略矩形状の外形を有している。第1絶縁体層13-1の第1方向寸法L3は、コンデンサ本体11の第1方向寸法L1よりも小さく、かつ、各外部電極12の第1部分12bの第1方向の相互間隔INよりも大きい(図9および図11を参照)。第2絶縁体層13-2の第1方向寸法L3は、コンデンサ本体11の第1方向寸法L1よりも小さく、かつ、各外部電極12の第2部分12cの第1方向の相互間隔INよりも大きい(図9および図11を参照)。第1絶縁体層13-1および第2絶縁体層13-2の第2方向寸法(符号省略)それぞれは、コンデンサ本体11の第2方向寸法(符号省略)と略同じである。第1絶縁体層13-1の第3方向寸法t2は、各外部電極12の第1部分12bの第3方向寸法t1、詳しくは各第2の下地導体膜16の第3方向寸法t1cよりも小さい(図9および図11を参照)。第2絶縁体層13-2の第3方向寸法t2は、各外部電極12の第2部分12cの第3方向寸法t1、詳しくは各第2の下地導体膜16の第3方向寸法t1cよりも小さい(図9および図11を参照)。第1絶縁体層13-1および第2絶縁体層13-2の第3方向寸法t2それぞれは、例えば1〜6μmの範囲内で設定されている。
【0053】
すなわち、第1絶縁体層13-1は、その第1方向の両端部それぞれに、各外部電極12の第1部分12bによって覆われた部分B1およびB2を有している(図9を参照)。詳しくは、これら部分B1およびB2は、第3方向の他面(図9の上面)をコンデンサ本体11の第3方向の一面(図9の下面)に接し、かつ、第3方向の一面(図9の下面)を各第2の下地導体膜16に接触状態で覆われている。一方、第2絶縁体層13-2は、その第1方向の両端部それぞれに、各外部電極12の第2部分12cによって覆われた部分B3およびB4を有している(図9を参照)。詳しくは、これら部分B3およびB4は、第3方向の一面(図3の下面)をコンデンサ本体11の第3方向の他面(図9の上面)に接し、かつ、第3方向の他面(図9の上面)を各第2の下地導体膜16に接触状態で覆われている。
【0054】
部分B1〜B4の第1方向寸法L3aは、例えば50〜150μmの範囲内で設定されている(図5を参照)。部分B1〜B4の第1方向寸法L3aは、全てが同じ寸法であってもよいし、全てが異なる寸法であってもよいし、部分B1〜B4のうちの2つが同じ寸法で残りの2つが同じ寸法または異なる寸法であってもよいし、部分B1〜B4のうちの3つが同じ寸法で残りが異なる寸法であってもよい。
【0055】
第1絶縁体層13-1の主成分と第2絶縁体層13-2の主成分は、例えばチタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸バリウム、酸化チタン等の誘電体材料(誘電体セラミック材料)であり、好ましくはコンデンサ本体11の各誘電体マージン部11bの主成分と同じである。なお、第1絶縁体層13-1の主成分と第2絶縁体層13-2の主成分は、各誘電体マージン部11bの主成分と異なっていてもよい。また、第1絶縁体層13-1の主成分と第2絶縁体層13-2の主成分は同じであってもよいし、異なっていてもよい。さらに、第1絶縁体層13-1の主成分と第2絶縁体層13-2の主成分には、誘電体材料以外の絶縁体材料、例えば合成樹脂材料やガラス材料等を用いてもよい。
【0056】
次に、図12を用い、かつ、図7図11に示した符号を引用して、前記積層セラミックコンデンサ20の製造方法例、詳しくはコンデンサ本体11の内部電極層11a1を除く部分の主成分と第1絶縁体層13-1の主成分と第2絶縁体層13-2の主成分がチタン酸バリウム、各内部電極層11a1の主成分と各下地導体膜14の主成分と各第2の下地導体膜16の主成分がニッケル、各表面導体膜15の主成分がスズである場合の製造方法例について説明する。ここで説明する製造方法はあくまでも一例であって、前記積層セラミックコンデンサ20の製造方法を制限するものではない。
【0057】
製造に際しては、まず、チタン酸バリウム粉末と有機溶剤と有機バインダーと分散剤等を含有したセラミックスラリーと、ニッケル粉末と有機溶剤と有機バインダーと分散剤等を含有した電極ペーストとを用意する。
【0058】
続いて、キャリアフィルムの表面にセラミックスラリーを塗工して乾燥することにより、キャリアフィルムの表面にグリーンシートが形成された第1シートを作製する。また、第1シートのグリーンシートの表面に電極ペーストを印刷して乾燥することにより、第1シートのグリーンシートの表面にマトリクス配列または千鳥配列の未焼成の内部電極層パターン群が形成された第2シートを作製する。さらに、第1シートのグリーンシートの表面にセラミックスラリーを印刷して乾燥した後、電極ペーストを印刷して乾燥することにより、第1シートのグリーンシートの表面にストライプ配列の未焼成の絶縁体層パターン群が形成され、かつ、各未焼成の絶縁体層パターンの第1方向の両端部が帯状を成す未焼成の第2の下地導体膜パターンで覆われた第3シートを作製する。
【0059】
続いて、第1シートのグリーンシートから取り出した単位シートを所定枚数に達するまで積み重ねて熱圧着する作業を繰り返すことにより、一方の誘電体マージン部11bに対応した部位を形成する。そして、第2シートのグリーンシートから取り出した単位シート(未焼成の内部電極層パターン群を含む)を所定枚数に達するまで積み重ねて熱圧着する作業を繰り返すことにより、容量部11aに対応した部位を形成する。そして、第1シートのグリーンシートから取り出した単位シートを所定枚数に達するまで積み重ねて熱圧着する作業を繰り返すことにより、他方の誘電体マージン部11bに対応した部位を形成する。そして、その積み重ね方向の両面それぞれに、第3シートのグリーンシートから取り出した単位シート(未焼成の絶縁体層パターン群と未焼成の第2の下地導体膜パターン群を含む)を積み重ねて熱圧着し、最後に、全体に対して熱圧着を施すことにより、未焼成の積層シートを作製する(図12(A)を参照)。なお、図12(A)には、図示の便宜上、未焼成の積層シートとして前記積層セラミックコンデンサ20の1個に対応したものを描いているが、実際の未焼成の積層シートは多数個取りに対応したサイズを有している。
【0060】
続いて、多数個取りに対応したサイズを有する未焼成の積層シートを格子状に切断することにより、未焼成のコンデンサ本体(11)を作製する(図12(A)を参照)。この未焼成のコンデンサ本体(11)の第3方向の一面(図12(A)の下面)には未焼成の第1絶縁体層(13-1)とその第1方向の両端部それぞれを覆う未焼成の第2の下地導体膜(16)が設けられ、第3方向の他面(図12(A)の上面)には未焼成の第2絶縁体層(13-2)とその第1方向の両端部それぞれを覆う未焼成の第2の下地導体膜(16)が設けられている。
【0061】
続いて、未焼成の第1絶縁体層(13-1)と未焼成の第2絶縁体層(13-2)と4個の未焼成の第2の下地導体膜(16)とを有する未焼成のコンデンサ本体(11)の第1方向の両端部それぞれに電極ペーストをディップまたは塗布して乾燥することにより、未焼成の下地導体膜(14)を作製する(図12(B)を参照)。この未焼成の下地導体膜(14)の作製時には、未焼成の下地導体膜(14)それぞれの第1部分(14b)の端と第2部分(14c)の端が、未焼成の第2の下地導体膜(16)の端それぞれと接しないようにして図11に示した間隔CLが確保できるようにする。
【0062】
続いて、未焼成の第1絶縁体層(13-1)と未焼成の第2絶縁体層(13-2)と4個の未焼成の第2の下地導体膜(16)と2個の未焼成の下地導体膜(14)とを有する未焼成のコンデンサ本体(11)を焼成炉に投入し、還元雰囲気においてチタン酸バリウムとニッケルに応じた温度プロファイルにて多数個一括で焼成(脱バインダ処理と焼成処理を含む)することにより、第1絶縁体層13-1と第2絶縁体層13-2と4個の第2の下地導体膜16と2個の下地導体膜14とを有するコンデンサ本体11を作製する(図12(B)を参照)。
【0063】
続いて、湿式めっき法または乾式めっき法によって、各下地導体膜14の表面と各第2の下地導体膜16の表面とを連続して覆う表面導体膜15(主成分はスズ)を作製する(図12(C)を参照)。以上で、前記積層セラミックコンデンサ20の製造が完了する。
【0064】
なお、各下地導体膜14は、図12(A)に示した未焼成のコンデンサ本体(11)に焼成を施して、第1絶縁体層13-1と第2絶縁体層13-2と4個の第2の下地導体膜16とを有するコンデンサ本体11を作製してから、このコンデンサ本体11の第1方向の両端部それぞれに電極ペーストをディップまたは塗布して乾燥し、これらに焼き付け処理を施すこと、によって作製してもよい。また、各第2の下地導体膜16は、図12(B)に示したコンデンサ本体11から各第2の下地導体膜16を除いたコンデンサ本体11を作製してから、このコンデンサ本体11の第3方向の両面それぞれに電極ペーストをディップまたは塗布して乾燥し、これらに焼き付け処理を施すこと、あるいは、このコンデンサ本体11の第3方向の両面それぞれに各第2の下地導体膜16となる導体膜を乾式めっき法によって形成すること、によって作製してもよい。
【0065】
次に、前記積層セラミックコンデンサ20によって得られる効果について説明する。
【0066】
[効果2-1]積層セラミックコンデンサ20を薄型にした場合、詳しくは各誘電体マージン部11bの第3方向寸法を小さくした場合でも、コンデンサ本体11の第3方向の一面に設けられ、かつ、各外部電極12の第1部分12bによって覆われた部分B1およびB2を有する第1絶縁体層13-1と、コンデンサ本体11の第3方向の他面に設けられ、かつ、各外部電極12の第2部分12cによって覆われた部分B3およびB4を有する第2絶縁体層13-2とによって、コンデンサ本体11の第3方向の両面からコンデンサ本体11内への湿気侵入を極力防止することができる。しかも、第1絶縁体層13-1の部分B1およびB2は、第3方向の他面をコンデンサ本体11の第3方向の一面に接し、かつ、第3方向の一面を第2の下地導体膜16に接触状態で覆われ、第2絶縁体層13-2の部分B3およびB4は、第3方向の一面をコンデンサ本体11の第3方向の他面に接し、かつ、第3方向の他面を第2の下地導体膜16に接触状態で覆われているため、第1絶縁体層13-1の第1方向の両端付近と第2絶縁体層13-2の第1方向の両端付近からコンデンサ本体11内への湿気侵入をも極力防止することができる。
【0067】
[効果2-2]また、第1絶縁体層13-1の第3方向寸法t2が各外部電極12の第1部分12bの第3方向寸法t1よりも小さく、第2絶縁体層13-2の第3方向寸法t2が各外部電極12の第2部分12cの第3方向寸法t1よりも小さいため、詳しくは、第1絶縁体層13-1の第3方向寸法t2が各第2の下地導体膜16の第3方向寸法t1cよりも小さく、第2絶縁体層13-2の第3方向寸法t2が各第2の下地導体膜16の第3方向寸法t1cよりも小さいため、各外部電極12の第1部分12bそれぞれの第3方向寸法t1と第2部分12cそれぞれの第3方向寸法t1が増加すること、換言すれば積層セラミックコンデンサ10の第3方向寸法Hが増加することを確実に抑制することができる。
【0068】
[効果2-3]さらに、コンデンサ本体11の第3方向の一面に設けた第1絶縁体層13-1と第3方向の他面に設けた第2絶縁体層13-2によって、コンデンサ本体11の強度を補う作用も得られるため、積層セラミックコンデンサ10を薄型にするに際してコンデンサ本体11の第3方向寸法を小さくした場合でも、コンデンサ本体11の強度向上を図ることができる。
【0069】
[効果2-4]さらに、第1絶縁体層13-1の部分B1およびB2が各外部電極12の第2の下地導体膜16によって覆われ、第2絶縁体層13-2の部分B3およびB4が各外部電極12の第2の下地導体膜16によって覆われているので、各第2の下地導体膜16および各下地導体膜14の表面に表面導体膜15を湿式めっき法または乾式めっき法にて作製する場合でも各表面導体膜15の作製を的確に行うことができる。
【0070】
《第3実施形態》
この第3実施形態は、本発明を積層セラミックコンデンサに適用したものである。まず、図13および図14(C)を用いて、本発明の第3実施形態に係る積層セラミックコンデンサ30の構造について説明する。なお、以下の説明では、便宜上、後述の略直方体状のコンデンサ本体11の6つの面のうち、相対する2つの面の対向方向(図14(C)の左右方向に相当)を第1方向、他の相対する2つの面の対向方向(図14(C)の前後方向に相当)を第2方向、残りの相対する2つの面の対向方向(図14(C)の上下方向に相当)を第3方向と表記するとともに、各方向に沿う寸法を第1方向寸法と第2方向寸法と第3方向寸法と表記する。また、図13および図14(C)では、前記積層セラミックコンデンサ20と同じ名称部分に同じ符号を用いる。参考までに、図13および図14(C)の基になっている試作品(積層セラミックコンデンサ)の第1方向寸法Lと第2方向寸法Wと第3方向寸法Hは、それぞれ1000μmと500μmと150μmである。
【0071】
この積層セラミックコンデンサ30は各外部電極12の構造が、前記積層セラミックコンデンサ20の各外部電極12の構造と相違する。他は前記積層セラミックコンデンサ20の構造と同じであるため、同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0072】
積層セラミックコンデンサ30の各外部電極12は、図13および図14(C)から分かるように、下地導体膜14と、第2の下地導体膜16’と、第2の下地導体膜16’を覆う表面導体膜15とから構成されており、
・各外部電極12の下地導体膜14の基礎部分14aの第1方向寸法(符号省略)と、第
1部分14bおよび第2部分14cの第3方向寸法t1aと、第3部分14dおよび第
4部分14eの第2方向寸法(符号省略)のそれぞれを小さくした点
・各外部電極12の第2の下地導体膜16’を延長して、各下地導体膜14の表面をも覆
うようにした点
において、前記積層セラミックコンデンサ20の各外部電極12と構造を相違している。
【0073】
すなわち、各第2の下地導体膜16’は、各下地導体膜14の基礎部分14aの表面に密着した基礎部分(符号省略)と、各下地導体膜14の第1部分14bの表面に密着し、かつ、第1絶縁体層13-1の第1方向の両端部それぞれを接触状態で覆う第1部分(符号省略)と、各下地導体膜14の第2部分14cの表面と密着し、かつ、第2絶縁体層13-2の第1方向の両端部それぞれを接触状態で覆う第2部分(符号省略)と、各下地導体膜14の第3部分14dの表面に密着した第3部分(符号省略)と、各下地導体膜14の第4部分14eの表面に密着した第4部分(符号省略)とを連続して有している。各第2の下地導体膜16’の各下地導体膜14の表面を覆う部分の寸法(第1部分の一部と第2部分の一部の第3方向寸法と、第3部分および第4部分の第2方向寸法)は、各第2の下地導体膜16’の第1部分が第1絶縁体層13-1の第1方向の両端部それぞれを覆う残部の第3方向寸法t1c、ならびに、各第2の下地導体膜16’の第2部分が第2絶縁体層13-2の第1方向の両端部それぞれを覆う残部の第3方向寸法t1cよりも小さい。
【0074】
また、第1絶縁体層13-1は、その第1方向の両端部それぞれに、各外部電極12の第1部分12bによって覆われた部分C1およびC2を有している(図14(C)を参照)。詳しくは、これら部分C1およびC2は、第3方向の他面(図14(C)の上面)をコンデンサ本体11の第3方向の一面(図14(C)の下面)に接し、かつ、第3方向の一面(図14(C))を各第2の下地導体膜16’の第1部分の前記残部に接触状態で覆われている。一方、第2絶縁体層13-2は、その第1方向の両端部それぞれに、各外部電極12の第2部分12cによって覆われた部分C3およびC4を有している(図14(C)を参照)。詳しくは、これら部分C3およびC4は、第3方向の一面(図14(C)の下面)をコンデンサ本体11の第3方向の他面(図14(C)の上面)に接し、かつ、第3方向の他面(図14(C)の上面)を各第2の下地導体膜16’の第2部分の前記残部に接触状態で覆われている。に接触状態で覆われている。さらに、第1絶縁体層13-1の第1方向の両端部それぞれは各下地導体膜14の第1部分14bと離れており、第2絶縁体層13-2の第1方向の両端部それぞれは各下地導体膜14の第2部分14cと離れている。
【0075】
次に、図14を用い、かつ、図13に示した符号を引用して、前記積層セラミックコンデンサ30の製造方法例、詳しくはコンデンサ本体11の内部電極層11a1を除く部分の主成分と第1絶縁体層13-1の主成分と第2絶縁体層13-2の主成分がチタン酸バリウム、各内部電極層11a1の主成分と各下地導体膜14の主成分と各第2の下地導体膜16’の主成分がニッケル、各表面導体膜15の主成分がスズである場合の製造方法例について説明する。ここで説明する製造方法はあくまでも一例であって、前記積層セラミックコンデンサ30の製造方法を制限するものではない。
【0076】
製造に際しては、まず、チタン酸バリウム粉末と有機溶剤と有機バインダーと分散剤等を含有したセラミックスラリーと、ニッケル粉末と有機溶剤と有機バインダーと分散剤等を含有した電極ペーストとを用意する。
【0077】
続いて、キャリアフィルムの表面にセラミックスラリーを塗工して乾燥することにより、キャリアフィルムの表面にグリーンシートが形成された第1シートを作製する。また、第1シートのグリーンシートの表面に電極ペーストを印刷して乾燥することにより、第1シートのグリーンシートの表面にマトリクス配列または千鳥配列の未焼成の内部電極層パターン群が形成された第2シートを作製する。さらに、第1シートのグリーンシートの表面にセラミックスラリーを印刷して乾燥することにより、第1シートのグリーンシートの表面にストライプ配列の未焼成の絶縁体層パターン群が形成された第3シートを作製する。
【0078】
続いて、第1シートのグリーンシートから取り出した単位シートを所定枚数に達するまで積み重ねて熱圧着する作業を繰り返すことにより、一方の誘電体マージン部11bに対応した部位を形成する。そして、第2シートのグリーンシートから取り出した単位シート(未焼成の内部電極層パターン群を含む)を所定枚数に達するまで積み重ねて熱圧着する作業を繰り返すことにより、容量部11aに対応した部位を形成する。そして、第1シートのグリーンシートから取り出した単位シートを所定枚数に達するまで積み重ねて熱圧着する作業を繰り返すことにより、他方の誘電体マージン部11bに対応した部位を形成する。そして、その積み重ね方向の両面それぞれに、第3シートのグリーンシートから取り出した単位シート(未焼成の絶縁体層パターン群を含む)を積み重ねて熱圧着し、最後に、全体に対して熱圧着を施すことにより、未焼成の積層シートを作製する(図14(A)を参照)。なお、図14(A)には、図示の便宜上、未焼成の積層シートとして前記積層セラミックコンデンサ30の1個に対応したものを描いているが、実際の未焼成の積層シートは多数個取りに対応したサイズを有している。
【0079】
続いて、多数個取りに対応したサイズを有する未焼成の積層シートを格子状に切断することにより、未焼成のコンデンサ本体(11)を作製する(図14(A)を参照)。この未焼成のコンデンサ本体(11)の第3方向の一面(図14(A)の下面)には未焼成の第1絶縁体層(13-1)が設けられ、第3方向の他面(図14(A)の上面)には未焼成の第2絶縁体層(13-2)が設けられている。
【0080】
続いて、未焼成の第1絶縁体層(13-1)と未焼成の第2絶縁体層(13-2)とを有する未焼成のコンデンサ本体(11)の第1方向の両端部に電極ペーストをディップまたは塗布して乾燥することにより、未焼成の下地導体膜(14)を作製する(図14(B)を参照)。この未焼成の下地導体膜(14)の作製時には、未焼成の下地導体膜(14)それぞれの第1部分(14b)の端と第2部分(14c)の端が、未焼成の第1絶縁体層(13-1)と未焼成の第2絶縁体層(13-2)のそれぞれと接しないようにする。
【0081】
続いて、未焼成の第1絶縁体層(13-1)と未焼成の第2絶縁体層(13-2)と2個の未焼成の下地導体膜(14)とを有する未焼成のコンデンサ本体(11)の第1方向の両端部に電極ペーストを塗布して乾燥することにより、未焼成の第2の下地導体膜(16’)を作製する(図14(B)を参照)。この未焼成の第2の下地導体膜(16’)の作製時には、未焼成の第2の下地導体膜(16’)それぞれの第1部分の前記残部と第2部分の前記残部が、未焼成の第1絶縁体層(13-1)の第1方向の両端部と未焼成の第2絶縁体層(13-2)の第1方向の両端部のそれぞれを覆うようにする。
【0082】
続いて、未焼成の第1絶縁体層(13-1)と未焼成の第2絶縁体層(13-2)と2個の未焼成の下地導体膜(14)と2個の未焼成の第2の下地導体膜(16’)とを有する未焼成のコンデンサ本体(11)を焼成炉に投入し、還元雰囲気においてチタン酸バリウムとニッケルに応じた温度プロファイルにて多数個一括で焼成(脱バインダ処理と焼成処理を含む)することにより、第1絶縁体層13-1と第2絶縁体層13-2と2個の下地導体膜14と2個の第2の下地導体膜16’とを有するコンデンサ本体11を作製する(図14(B)を参照)。
【0083】
続いて、湿式めっき法または乾式めっき法によって、各第2の下地導体膜16’の表面を覆う表面導体膜15(主成分はスズ)を作製する(図14(C)を参照)。以上で、前記積層セラミックコンデンサ30の製造が完了する。
【0084】
なお、各下地導体膜14と各第2の下地導体膜16’は、図14(A)に示した未焼成のコンデンサ本体(11)に焼成を施して、第1絶縁体層13-1と第2絶縁体層13-2とを有するコンデンサ本体11を作製してから、このコンデンサ本体11の第1方向の両端部それぞれに電極ペーストを塗布して乾燥し、これらに焼き付け処理を施すことによって作製してもよい。また、各第2の下地導体膜16’は、図14(B)に示したコンデンサ本体11から各第2の下地導体膜16’を除いたコンデンサ本体11を作製してから、このコンデンサ本体11の第1方向の両端部それぞれに電極ペーストを塗布して乾燥し、これらに焼き付け処理を施すこと、あるいは、このコンデンサ本体11の第1方向の両端部それぞれに各第2の下地導体膜16’となる導体膜を乾式めっき法によって形成すること、によって作製してもよい。
【0085】
次に、前記積層セラミックコンデンサ30によって得られる効果について説明する。
【0086】
[効果3-1]前記積層セラミックコンデンサ30を薄型にした場合、詳しくは各誘電体マージン部11bの第3方向寸法を小さくした場合でも、コンデンサ本体11の第3方向の一面に設けられ、かつ、各外部電極12の第1部分12bによって覆われた部分C1およびC2(図14(C)を参照)を有する第1絶縁体層13-1と、コンデンサ本体11の第3方向の他面に設けられ、かつ、各外部電極12の第2部分12cによって覆われた部分C3およびC4(図14(C)を参照)を有する第2絶縁体層13-2とによって、コンデンサ本体11の第3方向の両面からコンデンサ本体11内への湿気侵入を極力防止することができる。しかも、第1絶縁体層13-1の部分C1およびC2は、第3方向の他面をコンデンサ本体11の第3方向の一面に接し、かつ、第3方向の一面をコンデンサ本体11の各第2の下地導体膜16’の第1部分の前記残部に接触状態で覆われ、第2絶縁体層13-2の部分C3およびC4は、第3方向の一面をコンデンサ本体11の第3方向の他面に接し、かつ、第3方向の他面を各第2の下地導体膜16’の第2部分の前記残部に接触状態で覆われているため、第1絶縁体層13-1の第1方向の両端付近と第2絶縁体層13-2の第1方向の両端付近からコンデンサ本体11内への湿気侵入をも極力防止することができる。
【0087】
[効果3-2]また、第1絶縁体層13-1の第3方向寸法t2が各外部電極12の第1部分12bの第3方向寸法t1よりも小さく、第2絶縁体層13-2の第3方向寸法t2が各外部電極12の第2部分12cの第3方向寸法t1よりも小さいため、詳しくは、第1絶縁体層13-1の第3方向寸法t2が各第2の下地導体膜16’の第1部分の前記残部の第3方向寸法t1cよりも小さく、第2絶縁体層13-2の第3方向寸法t2が各第2の下地導体膜16’の第1部分の前記残部の第3方向寸法t1cよりも小さいため、各外部電極12の第1部分12bそれぞれの第3方向寸法t1と第2部分12cそれぞれの第3方向寸法t1が増加すること、換言すれば積層セラミックコンデンサ10の第3方向寸法Hが増加することを確実に抑制することができる。
【0088】
[効果3-3]さらに、コンデンサ本体11の第3方向の一面に設けた第1絶縁体層13-1と第3方向の他面に設けた第2絶縁体層13-2によって、コンデンサ本体11の強度を補う作用も得られるため、積層セラミックコンデンサ10を薄型にするに際してコンデンサ本体11の第3方向寸法を小さくした場合でも、コンデンサ本体11の強度向上を図ることができる。
【0089】
[効果3-4]さらに、第1絶縁体層13-1の部分C1およびC2が各外部電極12の第2の下地導体膜16’の第1部分の前記残部によって覆われ、第2絶縁体層13-2の部分C3およびC4が各外部電極12の第2の下地導体膜16’の第2部分の前記残部によってによって覆われているので、各第2の下地導体膜16’および各下地導体膜14の表面に表面導体膜15を湿式めっき法または乾式めっき法にて作製する場合でも各表面導体膜15の作製を的確に行うことができる。
【0090】
《他の実施形態》
(M1)第1実施形態〜第3実施形態では、コンデンサ本体11の第3方向の両面それぞれに第1絶縁体層13-1と第2絶縁体層13-2を設けた積層セラミックコンデンサ10、20および30を示したが、第1絶縁体層13-1と第2絶縁体層13-2の一方を排除した構造としてもよい。
【0091】
(M2)第1実施形態〜第3実施形態では、基礎部12aと第1部分12b〜第4部分12eを連続して有する外部電極12を示したが、積層セラミックコンデンサ10、20および30を回路基板の表面や内部に配置して配線に接続するときに各外部電極12の第1部分12bまたは第2部分12cを利用する場合には、各外部電極12を第3部分12dおよび第4部分12eを有しない形状としてもよい。
【0092】
(M3)第1実施形態〜第3実施形態では、第1方向寸法Lと第2方向寸法Wと第3方向寸法Hがそれぞれ1000μmと500μmと150μmの試作品に基づく積層セラミックコンデンサ10、20および30を示したが、第1方向寸法Lと第2方向寸法Wと第3方向寸法Hをこれら数値以外の数値としてもよい。
【0093】
(M4)第1実施形態〜第3実施形態では、第1方向寸法Lと第2方向寸法Wと第3方向寸法Hがそれぞれ1000μmと500μmと150μmの試作品に基づく積層セラミックコンデンサ10、20および30を示したが、第1方向寸法Lと第2方向寸法Wと第3方向寸法Hの関係を、L>W=H、L>H>W、W>L>H、W>L=H、W>H>L等の関係としてもよい。
【0094】
(M5)第1実施形態〜第3実施形態では、本発明を積層セラミックコンデンサに適用した場合の構造等について説明したが、本発明は、積層セラミックコンデンサに限らず、内部導体層を有する略直方体状の部品本体に外部電極を設けた積層セラミックインダクタ等の他の積層セラミック電子部品にも適用可能である。
【符号の説明】
【0095】
10,20,30…積層セラミックコンデンサ、11…コンデンサ本体、11a…容量部、11a1…内部電極層、11a2…誘電体層、11b…誘電体マージン部、12…外部電極、12a…外部電極の基礎部分、12b…外部電極の第1部分、12c…外部電極の第2部分、12d…外部電極の第3部分、12e…外部電極の第4部分、13-1…第1絶縁体層、A1,A2,B1,B2,C1,C2…第1絶縁体層の外部電極で覆われた部分、13-2…第2絶縁体層、A3,A4,B3,B4,C3,C4…第2絶縁体層の外部電極で覆われた部分、14…外部電極の下地導体膜、14a…下地導体膜の基礎部分、14b…下地導体膜の第1部分、14c…下地導体膜の第2部分、14d…下地導体膜の第3部分、14e…下地導体膜の第4部分、15…外部電極の表面導体膜、15a…表面導体膜の基礎部分、15b…下地導体膜の第1部分、15c…下地導体膜の第2部分、15d…下地導体膜の第3部分、15e…下地導体膜の第4部分、16,16’…外部電極の第2の下地導体膜、16a…第2の下地導体膜の基礎部分、16b…第2の下地導体膜の第1部分、16c…第2の下地導体膜の第2部分、16d…第2の下地導体膜の第3部分、16e…第2の下地導体膜の第4部分。
図1
図2
図3
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図6
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図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14