【実施例】
【0117】
[実施例1]
〔ビオチン標識率13.3%のBACプローブの調製〕
CellBiochemBiophys.2006;45(1)59の記載の方法に従って、以下のように核酸分子を調製した。GSP社から購入したHER2−DNAクローン(約150kbp)1μg(5μL)に対して、ニックトランスレーション用のキット(製品名「GSP−ニックトランスレーションキット」K−015、GSP社製)のプロトコールに従い、以下のようにニックトランスレーション法により、HER2のDNAクローン(核酸分子)のdTTPをビオチン標識dUTPで置換した。
【0118】
〔ニックトランスレーションによる標準的なビオチン標識方法〕
まず、下記の試薬を遠心チューブ内で混合した。
・10×NickBuffer(Tris−HCl[pH7.2]、MgSO
4、DTT)・・・2.5μL
・BSA(Nuclease−free BSA)・・・1.5μL
・dNTP mix(dATP、dCTP、dCTP)・・・5μL
・dTTP・・・0.5μL、
・Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)・・・1.5μL
・純水(Nuclease free water)・・・3μL
・上記HER2−DNAクローン約150kbp 1μgの水溶液・・・5μL
・DNA PоlymeraseI(Tris−HCl[pH7.5]、EDTA、DTT、glycerоl)・・・1μL
・DNaseI・・・5μL
【0119】
次に、15℃で4時間反応させ、70℃で10分間加熱して反応を停止させた。反応後の遠心チューブに25μLの蒸留水を添加した。ビオチン標識済みのBACプローブの反応溶液を核酸精製用マイクロスピンカラム(GEヘルスケア社製「MicroSpin S−200HR Column」、製品番号「#27−5120−01」)により精製した。
【0120】
この溶液に対して、3M酢酸ナトリウム溶液(pH5.2)を約5.56μL、100%エタノールを150μL添加し、−20℃で1時間以上静置した。4℃で16000rpmで10分間遠心して沈殿を形成した。さらに、70%エタノールを500μL添加して、4℃、16000rpmで1分間遠心し上澄みを除去した。沈殿物に5〜10μLの蒸留水を添加して完全に溶解させ、最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたBACプローブの溶液を得た。
【0121】
〔蛍光粒子Q−dоtと、ビオチン標識率13.3%の上記BACプローブとが結合したDNAプローブ調製〕
上記ニックトランスレーションによりビオチン標識したBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)、ストレプトアビジンで表面修飾された平均粒子径15nmのQdot(登録商標、Quantum Dot Corporation社製)を1.0μL(50nmol/50μL)含む溶液を混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬A)を得た。
【0122】
また、BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、Q−dоtのストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:20000であった。
【0123】
〔DNAプローブの確認〕
このDNAプローブの確認は、0.5%のTBEを含む2%アガロースゲルで0.5%の変性バッファーTris−Borate−EDTA(TBE)中で電気泳動を行う電気泳動シフトアッセイにより行った。一本鎖のDNAを、SYBR GreenII(Molecular Probes, Eugene,OR)によりカウンター染色した。そして、Q−dоtとDNAの移動パターンを、「MultiImager FX System」(Bio−Rad,Hercules,CA)を使用して、以下のように決定した。
【0124】
すなわち、泳動したゲルに存在するQ−dоtについては、波長532nmの緑色レーザー光の励起光と波長640nmバンドパスのエミッションフィルターを用いて確認した。SYBR GreenIIで染色したDNAについては、波長488nmの青色レーザー光の励起光と波長530nm緑色バンドパスのエミッションフィルターを用いて確認した。
【0125】
〔DNAプローブの保存〕
上述のように得られたDNAプローブをハイブリダイゼーション緩衝液(25%脱イオン化したホルムアミド、2×SSC、200ng/μLサケ精子DNA、5×デンハルト溶液、50mMのリン酸ナトリウム、pH7.0、1mMEDTA)に終濃度1〜5ng/μLとなるように希釈した。必要に応じて、S300サイズのスピンカラム(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ)により遊離のリガンド(遊離しているストレプトアビジン、ビオチン、およびdATPの基質)を除去した。直ぐに使用しない場合、DNAプローブを−20℃で冷凍保存した。
【0126】
〔FISH〕
FISHによりHER2遺伝子のコピー数を測定した。FISHは以下に示すように、脱パラフィン処理、検体スライドの前処理、酵素処理、検体の固定処理、プローブの準備、検体スライドのDNAの変性処理、ハイブリダイゼーション処理、スライドグラスの洗浄処理、およびDAPI染色処理をこの順で行うことで実施した。
【0127】
〔脱パラフィン処理〕
HER2陽性染色対照標本の検体スライド(パソロジー研究所社製「HER2−FISHコントロールスライド Code PS−09006」)を、以下の(1)〜(4)の順で処理することで脱パラフィン処理を行った。(1)ヘモディー(Hemo−De)に常温で10分間浸漬する。(2)検体スライドを新しいHemo−Deに常温10分間浸漬する。同じ操作を3回繰り返す。(3)検体スライドを100%エタノールで常温で5分間浸漬し、2回洗浄し、脱水処理を行う。(4)検体スライドを風乾または45〜50℃のスライドウォーマー上で乾燥させる。
【0128】
〔検体スライドの前処理〕
DNAプローブの到達性を向上させるために、上記検体スライドに対し以下の(1)〜(6)の順で前処理を行い、細胞膜及び核膜の蛋白質の除去を行った。(1)検体スライドを0.2mоl/L HClで室温、20分間処理する。(2)検体スライドを精製水に3分間浸漬する。(3)検体スライドを洗浄緩衝液(2xSSC:standard sailine citrate)に3分間浸漬する。(4)検体スライドを80℃の前処理溶液(1N NaSCN)に30分間浸漬する。(5)検体スライドを精製水に1分間浸漬する。(6)検体スライドを洗浄緩衝液(2xSSC)に5分間浸漬し、この浸漬操作を2回繰り返す。
【0129】
〔酵素処理〕
前処理を行った検体スライドに対して、以下の(1)〜(4)の処理をこの順で行うことで酵素処理を行った。(1)前処理した検体スライドを取り出し、ペーパータオルにスライドグラスの下端をつけて余分な洗浄緩衝液を取り除く。(2)検体スライドを37℃に加温したプロテアーゼ溶液に10〜60分間浸漬する。この浸漬処理は、細胞膜及び核膜のタンパク質、特にコラーゲンの分解をするために、25mg プロテアーゼ(2500−3000Units/mg)[ペプシン]/1M NaCl[pH2.0]50mLで37℃、60分間)で処理することが望ましい。(3)検体スライドを洗浄緩衝液に5分間浸漬する。この操作を2回繰り返す。(4)検体スライドを風乾または45〜50℃のスライドウォーマー上で2〜5分間乾燥させる。
【0130】
〔検体の固定〕
検体の固定処理として、前処理を行った検体スライドに対して以下の(1)〜(3)の処理を行った。(1)検体スライドを10%中性緩衝ホルマリン(和光純薬社製「4%パラホルムアルデヒド・リン酸緩衝液」、製品番号163−20145)に常温で10分間浸漬する。(2)検体スライドを洗浄緩衝液に5分間浸漬する。これと同じ操作を2回繰り返す。(3)検体スライドを風乾または45〜50℃のスライドウォーマー上で2〜5分間乾燥させる。
【0131】
〔プローブの準備〕
冷凍保存しておいたDNAプローブ(プローブ試薬A)の溶液を室温に戻し、正確な容量を採液可能なピペッティング操作ができる程度まで溶液の粘度を十分にさげて、ボルテックスミキサー等で溶液を混和した。
【0132】
〔検体スライドのDNAの変性〕
検体スライド上のDNAの変性処理として、検体の固定処理を行った検体スライドに対して以下の(1)〜(8)の処理を行った。(1)検体スライドの作成前に水で湿らせたペーパータオルを底に敷いた湿潤箱(気密性の容器であり、その側面をペーパータオルでテーピングしたもの)を37℃インキュベータ内に載置して予備加熱する。(2)変性溶液(70% ホルムアミド/SSC[150mM NaCl、15mMクエン酸ナトリウム])のpHが常温でpH7.0〜8.0であることを確かめる。変性溶液をコプリンジャーに入れ、溶液が72℃±1℃になるまで温浴槽で加温する(72±1℃の温浴槽に少なくとも30分間置く)。(3)ハイブリダイゼーション領域がどの部分か分かるように、検体スライドの裏側に領域を囲むようにダイアモンドペン等でマークする。(4)検体スライドを72±1℃の変性溶液の入ったコプリンジャー中に浸漬し、検体スライドのDNAを変性する。(5)ピンセットを使って、検体スライドを変性溶液から取り出し、すぐに常温の70%エタノール中に入れる。ホルムアミドを除くためにスライドを振盪する。検体スライドを1分間浸漬する。(6)検体スライドを70%エタノールから取り出し、85%エタノール中に入れ、ホルムアミドを除くためにスライドを振盪する。検体を1分間浸漬する。100%エタノールで同じ操作を2回繰り返す。(7)ペーパータオルに検体スライドグラスの下端をつけてエタノールを取り除き、ペーパータオルでスライドグラスの裏側を拭く。(8)検体スライドをドライヤーで風乾または45〜50℃のスライドウォーマーで2〜5分間乾燥させる。
【0133】
〔ハイブリダイゼーション〕
上記変性処理を行った検体スライドに対して以下の(1)〜(3)の処理をこの順で行うことで、検体スライドに対して上述したように調製したDNAプローブ10μL(10〜50ng)を用いてハイブリダイゼーション処理を行った。(1)検体スライドのハイブリダイゼーション領域に調製した上記DNAプローブを10μL添加し、すぐに、22mm×22mmのカバーグラスをプローブの上に被せ均一にプローブを広げる。ハイブリダイゼーション領域に気泡が入らないようにする。(2)ペーパーボンドでカバーグラスをシールする。(3)前もって加温した湿潤箱に検体スライドを入れて蓋をして37℃のインキュベータで14〜18時間ハイブリダイゼーションを行う。
【0134】
〔スライドグラスの洗浄〕
上記ハイブリダイゼーション処理を行った検体スライドに対して以下の(1)〜(6)の処理をこの順で行うことで、検体スライドの洗浄処理を行った。(1)ポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液(2×SSC/0.3%NP−40)をコプリンジャーに入れる。ポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液が72℃±1℃になるまで温浴槽で予備加熱をする(72℃±1℃の温浴槽に少なくとも30分間置く)。(2)ポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液を入れたコプリンジャーをもうひとつ用意し、常温に維持する。(3)ピンセットでペーパーボンドのシールを取り除く。(4)検体スライドをポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液の中に入れる。カバーグラスは自然に溶液中で剥がれるのを待つ。(5)溶液から検体スライドを取り出し、余分な溶液を取り去り、72±1℃に加温したポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液に2分間浸す。ここで、73℃を超える温度や処理時間として2分を超えないようにするのが望ましい。(6)コプリンジャーから検体スライドを取り出し、遮光下(締め切った引出や締め切ったキャビネットの棚等)で風乾する。
【0135】
〔DAPI染色〕
DAPI染色は以下のように行った。まず、10μLのDAPI対比染色液を検体スライドのハイブリダイゼーション領域に添加した。次に、ハイブリダイゼーション処理した後、細胞数をカウントするためにDAPI染色(2μg/mLPBS)を25℃、10分間行うことで細胞核を染色し、カバーガラスを被せて、シグナルの計測まで検体スライドを遮光して保存した。DAPI (4',6−Diamidino−2−Phenylindole, Dihydrochloride) はMolecular Probes社(D1306)を使用した。
【0136】
〔観察〕
<明視野観察>
上記で作製した検体スライドについて、光学顕微鏡(カールツァイス社製「Imager」)を用いて第一の免疫染色の染色画像を取得した。
【0137】
<共焦点蛍光顕微鏡観察>
上記作製しFISHを行った検体スライドについて、共焦点顕微鏡Zeiss LSM780(カールツァイスマイクロスコピー GmbH社製)を用いてハイブリダイズしたDNAプローブのQ−dоtを励起し、Q−dоtからの蛍光を測定波長655nmで検出して、蛍光の測定、蛍光画像(蛍光静止画像)および輝点数の計測を取得した。なお、焦点深度を3.6μm、3.15μm、および2.7μmと変更してそれぞれ撮像を行った。
【0138】
<蛍光顕微鏡観察>
蛍光顕微鏡観察は、上述のようにFISHを行った切片を、蛍光顕微鏡Zeiss imager(Camera:MRmモノクロ・冷却機能付、対物レンズ×60油浸)を用いて、蛍光顕微鏡観察(600倍)を行い、蛍光の測定、蛍光画像(蛍光静止画像)および輝点数の計測を行った。
【0139】
なお、Q−dоtには、Q−dоt特有の現象であるブリンキング(明滅)が起こるために、蛍光顕微鏡観察で撮像したある瞬間(例えば1/60秒)にすべてのQ−dоtが蛍光を発しているとは限らない。蛍光測定の仕方により蛍光強度が変わってしまうと、本来であれば共焦点顕微鏡を用いない蛍光顕微鏡のみで測定される蛍光が測定されない場合も起こりうる。1粒子のQ−dоtであれば、20秒間の照射時間においてoff−state(滅状態)は約4秒になる。そこで、上述のように励起光を照射した後に200〜400ミリ秒の分解能で100枚の連続した蛍光静止画像を690nm〜730nmのバンドパスフィルタを用いて取得し、蛍光動画像(200〜400ms/frame×100枚)を得たのち、蛍光動画像の全タイムラインを通して輝点数を計測した。この計測方法は、共焦点ユニットを用いた顕微鏡観察においても同様に行った。
【0140】
<結果考察>
蛍光顕微鏡観察において、検体スライドの断面に対する深さ方向にピントを合わせていくことで、深い位置の輝点が確認された。
【0141】
[参考例1]
〔ビオチン標識率13.3%のBACプローブの調製〕
上述した実施例1と同様の手順で、最終濃度1μg/250μLのビオチン標識された塩基数15万のBACプローブ(核酸分子)の溶液を得た。
【0142】
<蛍光色素とビオチン標識率13.3%の上記BACプローブとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)、FITC修飾ストレプトアビジン(Streptavidin,FITC Conjugate(1mgフナコシ SA−5001)を1.0μL(50nmol/50μL)含む溶液を混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬B)を得た。
【0143】
<DNAプローブの確認>
このDNAプローブの確認は、0.5%のTBEを含む2%アガロースゲルで0.5%の変性バッファーTris−Borate−EDTA(TBE)中で電気泳動を行う電気泳動シフトアッセイにより行った。一本鎖のDNAを、SYBR GreenII(Molecular Probes, Eugene,OR)によりカウンター染色した。そして、DNAの移動パターンを、「MultiImager FX System」(Bio−Rad,Hercules,CA)を使用して、以下のように決定した。
【0144】
すなわち、泳動したゲルに存在するFITCについては、波長488nmのレーザー光の励起光と波長530nmバンドパスのエミッションフィルターを用いて確認した。
また、BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、FITCのストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:20000であった。
【0145】
〔その他の観察等〕
<FISH>
実施例1と同様にFISHを行った。
【0146】
<明視野観察>
上記で作製した検体スライドについて、光学顕微鏡(カールツァイス社製「Imager」)を用いて第一の免疫染色の染色画像を取得した。
【0147】
<共焦点蛍光顕微鏡観察>
上記作製しFISHを行った検体スライドについて、共焦点顕微鏡Zeiss LSM780(カールツァイスマイクロスコピー GmbH社製)を用いてハイブリダイズしたDNAプローブのFITCを488nmで励起し、FITCからの蛍光を測定波長530nmで検出して、蛍光の測定、蛍光画像(蛍光静止画像)および輝点数の計測を取得した。なお、焦点深度を5.95μm、4.95μm、および4.5μmと変更してそれぞれ撮像を行った。
【0148】
<蛍光顕微鏡観察>
蛍光顕微鏡観察は、実施例1と同様に行った。
<結果考察>
蛍光顕微鏡観察において輝点が確認された。
【0149】
[比較例1]
〔ビオチン標識率1.33%のBACプローブの調製〕
ニックトランスレーションによるビオチン標識でdTTPの使用量を0.5μLから1.5μLに変更し、Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)の使用量を1.5μLから0.2μLに変更したこと以外は、実施例1と同様に最終濃度1μg/250μLのビオチン標識された塩基数15万のBACプローブ(核酸分子)の溶液を得た。
【0150】
<蛍光粒子とビオチン標識率1.33%の上記BACプローブとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)、ストレプトアビジンで表面が標識された平均粒子径15nmのQdot(登録商標、Quantum Dot Corporation社製)を1.0μL(50nmol/50μL)含む溶液を混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬C)を得た。
【0151】
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例1と同様に行った。なお、BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、Q−dоtのストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:2000であった。
<結果考察>
蛍光顕微鏡観察において、輝点が観察されなかった。
【0152】
[比較例2]
〔ビオチン標識率1.33%のBACプローブの調製〕
dTTPの使用量を0.5μLから1.5μLに変更し、Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)の使用量を1.5μLから0.2μLに変更したこと以外は、実施例1と同様に最終濃度1μg/250μLのビオチン標識された塩基数15万のBACプローブ(核酸分子)の溶液を得た。
【0153】
<蛍光色素とビオチン標識率1.33%の上記BACプローブとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)、FITC修飾ストレプトアビジン(フナコシ社製「Streptavidin,FITC Conjugate(1mg、SA−5001)」)を1.0μL(50nmol/50μL)含む溶液を混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬D)を得た。
【0154】
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例1と同様に行った。
【0155】
なお、DNAプローブの確認におけるBACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、FITCのストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:2000であった。
<結果考察>
蛍光顕微鏡観察において、輝点が観察されなかった。
【0156】
[実施例2]
〔ビオチン標識率1.33%のBACプローブの調製〕
実施例1のニックトランスレーションによるビオチン標識でdTTPの使用量を0.5μLから1.5μLに変更し、Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)の使用量を1.5μLから0.2μLに変更したこと以外は、実施例1と同様に最終濃度1μg/250μLのビオチン標識された塩基数15万のBACプローブ(核酸分子)の溶液を得た。
【0157】
<Texas Red色素内包シリカナノ粒子の作製>
Texas Red色素3.4mgと3−アミノプロピルトリメトキシシラン(3−aminopropyltrimetoxysilane、信越シリコーン社製、KBM903)3μLとをDMF中で混合し、オルガノアルコキシシラン化合物を得た。得られたオルガノアルコキシシラン化合物0.6mLを、48mLのエタノール、0.6mLのTEOS(テトラエトキシシラン)、2mLの水、1.4mLの28%アンモニア水と3時間混合した。上記工程で作製した混合液を10000Gで20分遠心分離を行い、上澄みを除去した。エタノールを加え、沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順でエタノールと純水による洗浄を2回ずつ行なった。これらの操作により、Texas Red色素シリカナノ粒子を得た。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径50nmであった。
【0158】
得られた蛍光体集積ナノ粒子を、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)を2mM含有したPBS(リン酸緩衝液生理的食塩水)を用いて3nMに調整し、この溶液に最終濃度10mMとなるようSM(PEG)
12(サーモサイエンティフィック社製、succinimidyl−[(N−maleomidopropionamid)−dodecaethyleneglycol]ester)を混合し、1時間反応させた。この混合液を10,000Gで20分遠心分離を行い、上澄みを除去した後、EDTAを2mM含有したPBSを加え、沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順による洗浄を3回行うことで末端にマレイミド基が付いた蛍光体集積ナノ粒子を得た。
【0159】
一方、ストレプトアビジン(和光純薬社製)をN−succinimidyl S−acetylthioacetate(SATA)を用いてチオール基付加処理を行ったのち、ゲルろ過カラムによるろ過を行い、蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジン溶液を得た。
【0160】
上記の蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンとを、EDTAを2mM含有したPBS中で混合し、1時間反応させた。10mMメルカプトエタノールを添加し、反応を停止させた。得られた溶液を遠心フィルターで濃縮後、精製用ゲルろ過カラムを用いて未反応ストレプトアビジン等を除去し、ストレプトアビジンが結合しTexas Red色素を内包した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
【0161】
<蛍光体集積ナノ粒子(50nm、シリカ粒子)とビオチン標識率1.33%の上記BACプローブとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)と、上記ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を含む溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬E)を得た。
【0162】
〔その他の観察等]
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例1と同様に行った。なお、BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:2000であった。
【0163】
<結果考察>
蛍光顕微鏡観察において、深さ方向にピントを合わせることなく、深い位置の輝点が視認することができた。
【0164】
[実施例3]
〔ビオチン標識率1.33%のBACプローブの調製〕
実施例1のニックトランスレーションによるビオチン標識でdTTPの使用量を0.5μLから1.5μLに変更し、Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)の使用量を1.5μLから0.2μLに変更したこと以外は、実施例1と同様に最終濃度1μg/250μLのビオチン標識された塩基数15万のBACプローブ(核酸分子)の溶液を得た。
【0165】
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)20.3mgを水22mLに加えて溶解した。その後、この溶液に乳化重合用乳化剤のエマルゲン(登録商標)430(ポリオキシエチレンオレイルエーテル、花王社製)の5%水溶液を2mL加えた。この溶液をホットスターラー上で撹拌しながら70℃まで昇温させた後、この溶液にメラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)を0.81g加えた。
【0166】
さらに、この溶液に界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸(関東化学社製)の10%水溶液を1000μL加え、70℃で50分間加熱撹拌した。その後、90℃に昇温して20分間加熱撹拌した。得られた蛍光体集積ナノ粒子の分散液から、余剰の樹脂原料や蛍光色素等の不純物を除くため、純水による洗浄を行った。
【0167】
具体的には、遠心分離機(久保田商事株式会社製マイクロ冷却遠心機3740)にて20000Gで15分間、遠心分離し、上澄み除去後、超純水を加えて超音波照射して再分散した。遠心分離、上澄み除去および超純水への再分散による洗浄を5回繰り返した。得られたメラミン粒子はメラミン樹脂自体が骨格に多くのアミノ基を含む。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径280nmであった。
【0168】
得られた蛍光体集積ナノ粒子0.1mgをエタノール1.5mL中に分散し、アミノプロピルトリメトキシシラン(LS−3150、信越化学工業社製)2μLを加え、8時間反応させることにより、樹脂粒子の樹脂表面に存在するヒドロキシル基をアミノ基に変換する表面アミノ化処理を行った。
【0169】
2mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含有したリン酸緩衝液生理的食塩水(PBS)を用いて、得られた蛍光体集積ナノ粒子の濃度を3nMに調整した。濃度調整した蛍光体集積ナノ粒子の分散液に対して、終濃度10mMとなるように、SM(PEG)
12(Succinimidyl−[(N−maleоmidopropionamid)−dodecaethyleneglycol]ester、サーモサイエンティフィック社製)を混合し、20℃1時間反応させて、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。
【0170】
この混合液を10000Gで20分間遠心分離を行い、上澄みを除去した後、2mMのEDTAを含有したPBSを加えて沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順による上記洗浄を3回行った。
【0171】
(ストレプトアビジンの調製)
一方、ストレプトアビジン(和光純薬工業社製)とN−スクシミジル Sアセチルチオ酢酸(N−succinimidyl S−acetylthioacetate、略称:SATA)を用いて、ストレプトアビジンに対してチオール基の付加処理を行い、ゲル濾過を行って蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジンを別途用意した。
【0172】
(樹脂粒子とストレプトアビジンの結合)
上記蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンを、2mMのEDTAを含有したPBS中で混合後、室温で1時間反応させて、両者を結合させる反応を行った。反応後、10mMメルカプトエタノールを添加して反応を停止させた。得られた溶液をφ=0.65μmの遠心フィルターで濃縮後、精製用ゲル濾過カラムを用いて未反応のストレプトアビジン等を除去し、ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
【0173】
<蛍光体集積ナノ粒子(280nm、メラミン粒子)とビオチン標識率1.33%の上記BACプローブとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したBACプローブ(核酸分子)25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬F)を得た。
【0174】
〔その他の観察等]
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例1と同様に行った。なお、BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:2000であった。
【0175】
<結果考察>
蛍光顕微鏡観察において、深さ方向にピントを合わせることなく、深い位置の輝点が視認することができた。
【0176】
[実施例4]
〔ビオチン標識率1.33%のBACプローブの調製〕
実施例1のニックトランスレーションによるビオチン標識でdTTPの使用量を0.5μLから1.5μLに変更し、Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)の使用量を1.5μLから0.2μLに変更したこと以外は、実施例1と同様に最終濃度1μg/250μLのビオチン標識された塩基数15万のBACプローブ(核酸分子)の溶液を得た。
【0177】
<Texas Red色素内包シリカナノ粒子の作製>
28%アンモニア水の使用量を1.4mLから2.6mLに変更したこと以外は、実施例2と同様にして、Texas Red色素シリカナノ粒子を得た。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径320nmであった。
【0178】
得られた色素内包ナノ粒子から実施例2と同様にマレイミド基が付いた蛍光色素内包粒子を得る一方で、実施例2と同様にストレプトアビジン溶液の調製を行い、両者から実施例2と同様にストレプトアビジン結合Texas Red色素内包シリカナノ粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を得た。
【0179】
<蛍光体集積ナノ粒子(320nm、シリカ粒子)とビオチン標識率1.33%の上記BACプローブとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したBACプローブ(核酸分子)25μL(濃度1μg/250μL)、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液を混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬G)を得た。
【0180】
〔その他の観察等]
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例1と同様に行った。なお、上記BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:2000であった。
【0181】
<結果考察>
蛍光顕微鏡観察において、深さ方向にピントを合わせることなく、深い位置の輝点が視認することができた。
【0182】
[参考例2]
〔ビオチン標識率9.62%のBACプローブの調製〕
GSP社から購入したBACプローブとしてのHER2−DNAクローン(CEN17q11.2/520kb、塩基数約520kbp)1μg(5μL)に対して、ニックトランスレーション用のキット(製品名「GSP−ニックトランスレーションキット」K−015、GSP社製)のプロトコールに従い、ニックトランスレーション法により、実施例1と同様にBACプローブ(核酸分子)のdTTPをビオチン標識した。
【0183】
<蛍光色素とビオチン標識率9.62%の上記BACプローブとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)、FITC修飾ストレプトアビジン(Streptavidin,FITC Conjugate(1mgフナコシ SA−5001))を1.0μL(50nmol/50μL)含む溶液を混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬H)を得た。
【0184】
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例1と同様に行った。なお、BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、FITCのストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:50000であった。
<結果考察>
蛍光顕微鏡観察において、深さ方向にピントを合わせることで、深い位置の輝点が観察された。
【0185】
[参考例3]
〔ビオチン標識率0.96%のBACプローブの調製〕
GSP社から購入したBACプローブとしてのHER2−DNAクローン(CEN17q11.2/520kb、塩基数約520kbp)1μg(5μL)に対して、ニックトランスレーション用のキット(製品名「GSP−ニックトランスレーションキット」K−015、GSP社製)のプロトコールに従い、以下のようにニックトランスレーション法により、BACプローブ(核酸分子)のdTTPをビオチン標識した。
【0186】
実施例1のニックトランスレーションによるビオチン標識で、dTTPの使用量を0.5μLから1.5μLに変更し、Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)の使用量を1.5μLから0.2μLに変更したこと以外は実施例1と同様に最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたBACプローブの溶液を得た。
【0187】
<蛍光色素とビオチン標識率0.96%の上記BACプローブとが結合したDNAプローブの調製>
上述のようにビオチン標識したBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)、FITC修飾ストレプトアビジン(Streptavidin,FITC Conjugate(1mgフナコシ SA−5001))を1.0μL(50nmol/50μL)含む溶液を混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬I)を得た。
【0188】
〔その他の観察等]
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例1と同様に行った。なお、BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、FITCのストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:5000であった。
<結果考察>
蛍光顕微鏡観察において、輝点が観察できなかった。
【0189】
[実施例5]
〔ビオチン標識率0.96%のBACプローブの調製〕
GSP社から購入したBACプローブとしてのHER2−DNAクローン(CEN17q11.2/520kb、塩基数約520kbp)1μg(5μL)に対して、ニックトランスレーション用のキット(製品名「GSP−ニックトランスレーションキット」K−015、GSP社製)のプロトコールに従い、以下のようにニックトランスレーション法により、BACプローブ(核酸分子)のdTTPをビオチン標識した。
【0190】
実施例1のニックトランスレーションによるビオチン標識で、dTTPの使用量を0.5μLから1.5μLに変更し、Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)の使用量を1.5μLから0.2μLに変更したこと以外は実施例1と同様に、最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたBACプローブの溶液を得た。
【0191】
<蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
実施例3の蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製で、SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を、14.4mgから5.25mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.65gから0.21gに変更したこと以外は同様にして蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。作製した粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径40nmであった。
【0192】
得られた蛍光体集積ナノ粒子0.1mgを用いて、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。また、洗浄等は実施例3と同様に行った。
【0193】
<ストレプトアビジンの調製/樹脂粒子とストレプトアビジンの結合>
ストレプトアビジンの調製および樹脂粒子とストレプトアビジンの結合は、実施例3と同様に行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬J)を得た。
【0194】
〔その他の観察等]
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例1と同様に行った。なお、BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:5000であった。
【0195】
<結果考察>
蛍光顕微鏡観察において、深さ方向にピントを合わせることなく、深い位置の輝点が視認することができた。
《総合結果・考察》
【0196】
【表1】
表1に示したように、公知例、実施例1,参考例1では、高いビオチン標識率(13.33%)のプローブ試薬を用いているため、光学顕微鏡でも輝点を観察できたが、比較例1、比較例2では、低いビオチン標識率(1.33%)のプローブ試薬を用いているため、共焦点顕微鏡では輝点観察できたものの、光学顕微鏡では輝点を観察できなかった。
【0197】
これに対して、実施例2、実施例3のプローブ試薬によれば、低いビオチン標識率(1.33%)であっても、共焦点顕微鏡だけでなく光学顕微鏡でも輝点を観察することができた。これは、蛍光体集積ナノ粒子1つの輝度が高いために、実施例2、実施例3は輝点を観察できたと考えられる。
【0198】
なお、表1〜5の「標識体」とは、核酸分子と結合可能な蛍光体の分子(例えば、核酸分子がビオチン標識されているものであれば、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子)を意味する。
【0199】
[比較例3]
〔ビオチン標識率1.33%のBACプローブの調製〕
ニックトランスレーションによるビオチン標識でdTTPの使用量を0.5μLから1.5μLに変更し、Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)の使用量を1.5μLから0.2μLに変更したこと以外は、実施例1と同様に最終濃度1μg/250μLのビオチン標識された塩基数15万のBACプローブ(核酸分子)の溶液を得た。
【0200】
<蛍光粒子とビオチン標識率1.33%の上記BACプローブとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンで表面修飾された平均粒子径15nmのQdot(登録商標、Quantum Dot Corporation社製)を1.0μL(50nmol/50μL)含む溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬K)を得た。
【0201】
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例1と同様に行った。なお、BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、Q−dоtのストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:2000であった。
<結果考察>
蛍光顕微鏡観察において、輝点が観察されなかった。
【0202】
[比較例4]
〔ビオチン標識率13.33%のDNAプローブの調製〕
Applied Biosystems 392 DNA/RNA synthesizer(Foster City,CA)を用いてプライマー(フォワード:5'−CGGGAGATCCCTGACCTGCTGGAA−3'、リバース:5'−CTGCTGGGGTACCAGATACTCCTC−3')を作製した。
【0203】
次に、上記プライマーのセット、Invitrogen社製「SuperScript(登録商標) II Reverse Transcriptase」、および一般的な市販のPCR試薬を用い、この逆転写酵素の製品説明書にあるプロトコールに従って、TRG細胞から抽出したtotal RNAを鋳型として逆転写反応することにより、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した。なお、上記total RNAは、「横浜医学,56,111−119(2005)」の方法IVに記載のように、TRIzol Reagent(Invitrоgen Corp.,Carlsbad,CA)を用いて、TRG細胞から抽出したtotal RNAである。
得られたcDNA1μgを用いて、実施例1と同様にニックトランスレーションを行い、最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたcDNAの溶液を得た。
【0204】
<蛍光粒子とビオチン標識率13.33%の上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識した上記cDNA25μL(終濃度1μg/250μL)、ストレプトアビジンで表面修飾された平均粒子径15nmのQdot(登録商標、Quantum Dot Corporation社製)を1.0μL(50nmol/50μL)含む溶液を調製混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用の塩基数300bpのDNAプローブ(プローブ試薬L)を得た。
【0205】
<DNAプローブの確認>
このDNAプローブの確認は、実施例1で0.5%のTBEを含む2%アガロースゲルの代わりに0.5%のTBEを含む10%ポリアクリルアミドゲルを用いたこと以外は実施例1と同様にDNAプローブの確認を行った。
【0206】
〔その他の観察等〕
FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例1と同様に行った。この際に、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において、それぞれ培養細胞MCF7の染色像について輝点数を計測した。なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、Q−dоtのストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:40であった。
【0207】
また、このときの輝点の計測は、共焦点顕微鏡Zeiss LSM780(カールツァイスマイクロスコピー GmbH社製)に対物レンズ×60(油侵)で撮影した画像そのもの(1600ピクセル×1200ピクセル)に含まれる細胞について行った。なお、培養細胞MCF7は、HER2低発現として知られている細胞で、正常細胞とほぼ同等であり、したがって、ひとつの核に2つ輝点が見えるのが普通である。
【0208】
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が20個、輝点数2の細胞が29個、輝点数3の細胞が1個、輝点数4の細胞は0個であった。また、蛍光顕微鏡観察において、輝点が観察できなかった。
【0209】
[実施例6]
〔ビオチン標識率13.33%のDNAプローブの調製〕
Applied Biosystems 392 DNA/RNA synthesizer(Foster City,CA)を用いてプライマー(フォワード:5'−CGGGAGATCCCTGACCTGCTGGAA−3'、リバース:5'−CTGCTGGGGTACCAGATACTCCTC−3')を作製した。
【0210】
次に、上記プライマーのセット、Invitrogen社製「SuperScript(登録商標) II Reverse Transcriptase」、および一般的な市販のPCR試薬を用い、この逆転写酵素の製品説明書にあるプロトコールに従って、TRG細胞から抽出したtotal RNAを鋳型として逆転写反応することにより、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した。なお、total RNAの抽出は比較例4と同様に行った。
得られたcDNA1μgを用いて、実施例1と同様にニックトランスレーションを行い、最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたcDNAの溶液を得た。
【0211】
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから5.25mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径40nmであった。また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
【0212】
<ストレプトアビジンの調製/粒子とストレプトアビジンの結合>
一方、実施例3と同様に蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジンの調製、および、蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンとの結合を行い、ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
【0213】
<蛍光体集積ナノ粒子(40nm、メラミン粒子)とビオチン標識率13.33%の上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したcDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジン修飾の蛍光体集積ナノ粒子を含む溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬M)を得た。
【0214】
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:40であった。
【0215】
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が21個、輝点数2の細胞が29個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。また、蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が21個、輝点数2の細胞が29個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。
【0216】
すなわち、実施例6に係るプローブ試薬によれば、輝点の検出感度が低い蛍光顕微鏡観察においても、輝点の検出感度が高い共焦点蛍光顕微鏡観察と同程度の精度で輝点検出することができた。
【0217】
[実施例7]
〔ビオチン標識率13.33%のDNAプローブの調製〕
実施例6と同様にして、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した。このcDNA1μgを、実施例1でのニックトランスレーションと同様にして最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたcDNA溶液を得た。
【0218】
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。
また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
【0219】
<ストレプトアビジンの調製/粒子とストレプトアビジンの結合>
一方、実施例3と同様に蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジンの調製、および、蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンとの結合を行い、ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
【0220】
<蛍光体集積ナノ粒子(158nm、メラミン粒子)とビオチン標識率13.33%の上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したcDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬N)を得た。
【0221】
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:40であった。
【0222】
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が19個、輝点数2の細胞が29個、輝点数3の細胞が2個、輝点数4の細胞は0個であった。また、蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が21個、輝点数2の細胞が29個、輝点数3の細胞が1個、輝点数4の細胞は0個であった。
【0223】
すなわち、本実施例7に係るプローブ試薬によれば、実施例2よりやや大径の平均粒子径158nmであるが、輝点の検出感度が低い蛍光顕微鏡観察においても、輝点の検出感度が高い共焦点蛍光顕微鏡観察と同程度の精度で輝点検出することができた。
【0224】
[実施例8]
〔ビオチン標識率13.33%のDNAプローブの調製〕
実施例6と同様にして、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300cDNA(核酸分子)を調製した。このcDNA1μgを、実施例1でのニックトランスレーションと同様にして最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたcDNAの溶液を得た。
【0225】
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径280nmであった。
また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
【0226】
<ストレプトアビジンの調製/粒子とストレプトアビジンの結合>
一方、実施例3と同様に蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジンの調製、および、蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンとの結合を行い、ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
【0227】
<蛍光体集積ナノ粒子(280nm、メラミン粒子)とビオチン標識率13.3%の上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したcDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬O)を得た。
【0228】
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。
【0229】
なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:40であった。
【0230】
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が21個、輝点数2の細胞が29個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。また、蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が21個、輝点数2の細胞が29個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。
【0231】
すなわち、本実施例8に係るプローブ試薬によれば、実施例6,実施例7より大径の平均粒子径280nmであるが、輝点の検出感度が低い蛍光顕微鏡観察においても、輝点の検出感度が高い共焦点蛍光顕微鏡観察と同程度の精度で輝点検出することができた。
【0232】
[実施例9]
〔ビオチン標識率13.33%のプローブの調製〕
実施例6と同様にして、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した。このcDNA1μgを、実施例1でのニックトランスレーションと同様にして最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたcDNAの溶液を得た。
【0233】
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから21.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.86gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径320nmであった。
また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
【0234】
<ストレプトアビジンの調製/粒子とストレプトアビジンの結合>
一方、実施例3と同様に蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジンの調製、および、蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンとの結合を行い、ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
【0235】
<蛍光体集積ナノ粒子(320nm、メラミン粒子)とビオチン標識率13.33%の上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したcDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬P)を得た。
【0236】
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:40であった。
【0237】
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が43個、輝点数2の細胞が7個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。また、蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が44個、輝点数2の細胞が6個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。
【0238】
すなわち、本実施例9に係るプローブ試薬によれば、実施例6,実施例7および実施例7より大径の平均粒子径320nmであるが、輝点の検出感度が低い蛍光顕微鏡観察においても、輝点の検出感度が高い共焦点蛍光顕微鏡観察と同程度の精度で輝点検出することができた。
【0239】
[実施例10]
〔ビオチン標識率1.67%のプローブの調製〕
実施例6と同様にして、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した。
【0240】
このcDNA1μgを用いて、実施例1でのニックトランスレーションで、dTTPの使用量を0.5μLから1.5μLに変更し、Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)の使用量を1.5μLから0.2μLに変更したこと以外は実施例1と同様に、最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたcDNAを得た。
【0241】
<ストレプトアビジン標識されたTexas Red色素内包シリカナノ粒子の作製>
28%アンモニア水の使用量を1.4mLから2.0mLに変更したこと以外は、実施例2と同様にTexas Red色素内包シリカナノ粒子の調製を行った。得られた粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径160nmであった。
【0242】
得られた色素内包ナノ粒子から実施例2と同様にマレイミド基が付いた蛍光色素内包粒子を得る一方で、実施例2と同様にストレプトアビジン溶液の調製を行い、両者から実施例2と同様にストレプトアビジン結合Texas Red色素内包シリカナノ粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を得た。
【0243】
<蛍光体集積ナノ粒子(160nm、シリカ粒子)とビオチン標識率1.67%の上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したcDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬Q)を得た。
【0244】
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:5であった。
【0245】
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が19個、輝点数2の細胞が29個、輝点数3の細胞が2個、輝点数4の細胞は0個であった。また、蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が20個、輝点数2の細胞が29個、輝点数3の細胞が1個、輝点数4の細胞は0個であった。
【0246】
すなわち、本実施例10に係るプローブ試薬によれば、cDNA:ビオチン(cDNA:蛍光体集積ナノ粒子)の結合モル比が非常に小さい1:5であるが、輝点の検出感度が低い蛍光顕微鏡観察においても、輝点の検出感度が高い共焦点蛍光顕微鏡観察と同程度の精度で輝点検出することができた。
【0247】
[実施例11]
〔ビオチン標識率1.67%のプローブの調製〕
実施例6と同様に、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した。
【0248】
このcDNA1μgを用いて、実施例1でのニックトランスレーションで、dTTPの使用量を0.5μLから1.5μLに変更し、Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)の使用量を1.5μLから0.2μLに変更したこと以外は実施例1と同様に、最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたcDNAを得た。
【0249】
<ストレプトアビジン標識されたTexas Red色素内包シリカナノ粒子の作製>
28%アンモニア水の使用量を1.4mLから2.6mLに変更したこと以外は、実施例2と同様にTexas Red色素内包シリカナノ粒子の調製を行った。得られた粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径320nmであった。
【0250】
得られた色素内包ナノ粒子から実施例2と同様にマレイミド基が付いた蛍光色素内包粒子を得る一方で、実施例2と同様にストレプトアビジン溶液の調製を行い、両者から実施例2と同様にストレプトアビジン結合Texas Red色素内包シリカナノ粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を得た。
【0251】
<蛍光体集積ナノ粒子(320nm、シリカ粒子)とビオチン標識率1.67%の上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識した上記cDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬R)を得た。
【0252】
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:5であった。
【0253】
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が40個、輝点数2の細胞が10個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。また、蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が44個、輝点数2の細胞が6個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。
【0254】
すなわち、本実施例11に係るプローブ試薬によれば、輝点の検出感度が低い蛍光顕微鏡観察においても、輝点の検出感度が高い共焦点蛍光顕微鏡観察と同程度の精度で輝点検出することができる。
【0255】
[実施例12]
〔ビオチン標識率0.33%のBACプローブの調製〕
比較例3と同様に、HER2遺伝子関連の配列を有するBACクローンを用いて、NickTransration反応を実施して、BACプローブを作成した。ただし、比較例3と異なり、Biotin−d−UTPは添加せずに調製した。得られたBACクローン由来のDNA(核酸分子)に対して、以下のビオチン標識を行った。
【0256】
<5'末端のビオチン標識>
上記のように調製したDNA2μgを、VECTOR LABORATORIES社製の「5'EndTag(TM) Nucleic Acid Labeling System、(カタログNo.MB−9001)」のキットおよびプロトコールを用いて、以下のようにBACクローン由来のDNAの5'末端をビオチン標識した。
【0257】
以下のものを遠心チューブで混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・上記DNA2μg(/超純水8μL)
・Universal reaction buffer・・・1μL
・アルカリフォスファターゼ・・・1μL
さらに、上記混合液中に以下のものを混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・Universal reaction buffer・・・2μL
・ATPγS・・・1μL
・T4 polynucleotide kinase・・・2μL
【0258】
次に、VECTOR LABORATORIES社製の「Biotin maleimide(カタログ番号SP−1501)」を312μLのDMSOに溶解させたものを、インキュベートした反応溶液に添加して混合した。この混合液を65℃で30分間(又は、室温で2時間)インキュベートした。
【0259】
次に、インキュベートした混合液に対してヌクレアーゼフリーの水70μLと、平衡化したフェノール100μLを添加してボルテックスに数秒かけて混合した。上澄みの水の層を新しい遠心チューブに移した。この3Mの酢酸ナトリウムを5μLと、95%エタノールを270μL添加して混合した。これを13000×gで30分間遠心し、生じた沈殿を70%のエタノールでリンスして、さらに13000×gで3分間遠心した。沈殿を乾燥してTE緩衝液(10mM Tris、1mM EDTA、pH8)に溶解させ、5'末端がビオチンで標識されたDNAを得た。
【0260】
<ストレプトアビジン標識されたTexas Red色素内包シリカナノ粒子の作製>
28%アンモニア水の使用量を1.4mLから2.0mLに変更したこと以外は、実施例2と同様にTexas Red色素内包シリカナノ粒子の調製を行った。得られた粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径160nmであった。
【0261】
得られた色素内包ナノ粒子から実施例2と同様にマレイミド基が付いた蛍光色素内包粒子を得る一方で、実施例2と同様にストレプトアビジン溶液の調製を行い、両者から実施例2と同様にストレプトアビジン結合Texas Red色素内包シリカナノ粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を得た。
【0262】
<蛍光体集積ナノ粒子(160nm、シリカ粒子)が上記DNAの5'末端に結合したDNAプローブ調製>
上述のように5'末端をビオチン標識したBACクローン由来のDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬S)を得た。
【0263】
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記DNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記DNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:50であった。
【0264】
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が19個、輝点数2の細胞が29個、輝点数3の細胞が2個、輝点数4の細胞は0個であった。また、蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が25個、輝点数2の細胞が24個、輝点数3の細胞が1個、輝点数4の細胞は0個であった。
【0265】
すなわち、本実施例12に係るプローブ試薬によれば、BACクローン由来の上記DNAとビオチン(DNA:蛍光体集積ナノ粒子)の結合モル比が1:50であるが、輝点の検出感度が低い蛍光顕微鏡観察において、輝点の検出感度が高い共焦点蛍光顕微鏡観察と同程度の精度で輝点検出することができた。
【0266】
[比較例5]
〔ビオチン標識率6.67E−3%のBACプローブの調製〕
実施例1と同じGSP社から購入したHER2−DNAクローン(約150kbp)について実施例12と同様に5'末端をビオチン標識した。
<蛍光粒子と上記BACプローブとが結合したDNAプローブ調製>
上述のように5’末端をビオチン標識したBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンで表面修飾された平均粒子径15nmのQdot(登録商標、Quantum Dot Corporation社製)を1.0μL(50nmol/50μL)含む溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬Ad1)を得た。
【0267】
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例1と同様に行った。なお、BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、Q−dоtのストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:1であった。
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が12個、輝点数2の細胞が13個、輝点数3の細胞が15個、輝点数4の細胞は10個であった。蛍光顕微鏡観察において、輝点が観察されなかった。
【0268】
[比較例6]
〔ビオチン標識率0.33%のプローブの調製〕
比較例4と同様にHER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した後、実施例12と同様に前記cDNAの5'末端をビオチン標識した。
【0269】
<蛍光粒子と上記BACプローブとが結合したDNAプローブ調製>
上述のように5’末端をビオチン標識したcDNAのプローブ25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンで表面修飾された平均粒子径15nmのQdot(登録商標、Quantum Dot Corporation社製)を1.0μL(50nmol/50μL)含む溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬Ad2)を得た。
【0270】
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例1と同様に行った。なお、BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、Q−dоtのストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:1であった。
【0271】
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が21個、輝点数2の細胞が27個、輝点数3の細胞が2個、輝点数4の細胞は0個であった。蛍光顕微鏡観察において、輝点が観察されなかった。
【0272】
[実施例13]
〔ビオチン標識率6.67E−3%のBACプローブの調製〕
実施例1と同じGSP社から購入したHER2−DNAクローン(約150kbp)について実施例12と同様に5'末端をビオチン標識した。
【0273】
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子(蛍光体集積ナノ粒子を)の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。
さらに、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
【0274】
<蛍光体集積ナノ粒子と上記HER−2DNAクローンとの直接結合(5'末端標識)>
上記のように調製したDNA2μgを、VECTOR LABORATORIES社製の「5'EndTag(TM) Nucleic Acid Labeling System、(カタログNo.MB−9001)」のキットおよびプロトコールを用いて、以下のように核酸分子の5'末端をリン酸からチオリン酸に変換した。
以下のものを遠心チューブで混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・上記核酸分子2μg(/超純水8μL)
・Universal reaction buffer・・・1μL
・アルカリフォスファターゼ・・・1μL
さらに、上記混合液中に以下のものを混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・Universal reaction buffer・・・2μL
・ATPγS・・・1μL
・T4 polynucleotide kinase・・・2μL
次に、上記で得られた末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を反応して、5'末端に直接蛍光体集積ナノ粒子が結合したプローブを作成した。
このプローブの反応溶液を核酸精製用マイクロスピンカラム(GEヘルスケア社製「MicroSpin S−200HR Column」、製品番号「#27−5120−01」)により精製した。
この溶液に対して、3M酢酸ナトリウム溶液(pH5.2)を約5.56μL、100%エタノールを150μL添加し、−20℃で1時間以上静置した。4℃で16000rpmで10分間遠心して沈殿を形成した。さらに、70%エタノールを500μL添加して、4℃、16000rpmで1分間遠心し上澄みを除去した。沈殿物に5〜10μLの蒸留水を添加して完全に溶解させ、蛍光体集積ナノ粒子で標識されたDNA(プローブ試薬Ad3)の溶液(最終濃度1μg/250μL)を得た。
【0275】
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を同様に行った。
なお、DNAプローブの確認において、5'末端にのみ標識されたので、1:1であった。また、検体スライドとしてHER2陽性染色対照標本の検体スライド(パソロジー研究所社製「HER2−FISHコントロールスライド Code PS−09006」)を用いた。また、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が21個、輝点数2の細胞が26個、輝点数3の細胞が9個、輝点数4の細胞は4個であった。蛍光顕微鏡観察において、輝点が観察することができた。
【0276】
[実施例14]
〔ビオチン標識率0.33%のプローブの調製〕
比較例6でビオチン標識した塩基数300の核酸分子を用いたこと以外は、実施例13と同様にして蛍光体集積ナノ粒子で標識されたDNA(プローブ試薬Ad4)の溶液(最終濃度1μg/250μL)を得た。
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を同様に行った。
なお、DNAプローブの確認において、5'末端にのみ標識されたので、1:1であった。また、検体スライドとしてHER2陽性染色対照標本の検体スライド(パソロジー研究所社製「HER2−FISHコントロールスライド Code PS−09006」)を用いた。また、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が19個、輝点数2の細胞が28個、輝点数3の細胞が2個、輝点数4の細胞は1個であった。蛍光顕微鏡観察において、輝点が観察することができた。
【0277】
【表2】
【0278】
[実施例15]
〔ビオチン標識率0.33%の短鎖長のDNAプローブの調製〕
実施例10と同様に、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した。
<5’末端のビオチン標識>
上記のように調製したcDNA2μgを、実施例12と同様にして、5’末端がビオチンで標識されたcDNAを得た。
【0279】
<ストレプトアビジン標識されたTexas Red色素内包シリカナノ粒子の作製>
28%アンモニア水の使用量を1.4mLから2.6mLに変更したこと以外は、実施例2と同様にTexas Red色素内包シリカナノ粒子の調製を行った。得られた粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径320nmであった。
得られた色素内包ナノ粒子から実施例2と同様にマレイミド基が付いた蛍光体集積ナノ粒子を得る一方で、実施例2と同様にストレプトアビジン溶液の調製を行い、両者から実施例2と同様にストレプトアビジン結合Texas Red色素内包シリカナノ粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を得た。
<蛍光体集積ナノ粒子(320nm、シリカ粒子)が核酸分子の5’末端に結合したDNAプローブ調製>
上述のように5’末端をビオチン標識したcDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬T)を得た。
【0280】
<その他の観察等>
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、約1:1であった。
。
【0281】
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が40個、輝点数2の細胞が10個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。また、蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が44個、輝点数2の細胞が6個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。
すなわち、本実施例15に係るプローブ試薬によれば、DNAと蛍光体集積ナノ粒子の結合モル比が1:1であり、平均粒子径320mと実施例12より大径であるが、輝点の検出感度が低い蛍光顕微鏡観察において、輝点の検出感度が高い共焦点蛍光顕微鏡観察と同程度の精度で輝点検出することができた。しかし、非特異的な検出が多くみられた。
【0282】
[実施例16]
〔ビオチン標識率5%の短鎖長のDNAプローブの調製〕
プローブ検索サイト「HD−FISH」(URL:http://www.hdfish.eu/Find#probes.php)で、ヒト第17番目の染色体の特定の領域(第37844400番目〜第37885107番目)を指定してユニークな配列を検索し、該特定の領域に存在する第37844479番目〜第37844696番目の次のユニークな配列を検索して入手した。この配列データを元にして核酸合成の依頼をしてHER−2遺伝子関連の配列(5’−ACGCCTGATGGGTTAATGAG−3’)の塩基数20のDNA(核酸分子)を調製した。
【0283】
<5’末端のビオチン標識>
上記のように調製したDNA4μgを用いて、実施例12と同様に、5’末端がビオチンで標識されたDNAを得た。
【0284】
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから5.25mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径40nmであった。また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
【0285】
<ストレプトアビジンの調製/粒子とストレプトアビジンの結合>
一方、実施例3と同様に蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジンの調製、および、蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンとの結合を行い、ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
【0286】
<蛍光体集積ナノ粒子(40nm、メラミン粒子)とビオチン標識率5%の上記DNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のように5’末端をビオチン標識した上記DNA25μL(濃度1μg/250μL)、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬U)を得た。
【0287】
<その他の観察等>
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共え点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記DNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記DNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、約1:1であった。
【0288】
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が18個、輝点数2の細胞が31個、輝点数3の細胞が1個、輝点数4の細胞は0個であった。また、蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が20個、輝点数2の細胞が30個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。
すなわち、本実施例16に係るプローブ試薬によれば、20塩基という非常に短い核酸分子であり、かつ、DNA:ビオチン(DNA:蛍光体集積ナノ粒子)の結合モル比が1:1であり輝点が検出できないと予測される条件であるのにもかかわらず、驚くべきことに、輝点の検出感度が低い蛍光顕微鏡観察においても、輝点の検出感度が高い共焦点蛍光顕微鏡観察と同程度の精度で輝点検出することができた。
【0289】
[実施例17]
〔ビオチン標識率5%のDNAプローブの調製〕
実施例16と同様に塩基数20のDNA(核酸分子)を調製した。
<5’末端のビオチン標識>
上記のように調製したDNA2μgを用いて、実施例12と同様に、5’末端がビオチンで標識されたDNAを得た。
【0290】
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
スルホローダミン101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.65gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジンで標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
【0291】
<ストレプトアビジンの調製/粒子とストレプトアビジンの結合>
一方、実施例3と同様に蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジンの調製、および、蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンとの結合を行い、ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
【0292】
<蛍光体集積ナノ粒子(158nm、メラミン粒子)とビオチン標識率5%の上記DNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のように5’末端をビオチン標識した上記DNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬V)を得た。
【0293】
<その他の観察等>
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記DNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記DNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、約1:1であった。
【0294】
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が20個、輝点数2の細胞が29個、輝点数3の細胞が1個、輝点数4の細胞は0個であった。また、蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が29個、輝点数2の細胞が21個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。
すなわち、本実施例17に係るプローブ試薬によれば、平均粒子径が実施例16より大径であるが、実施例16と同様、輝点の検出感度が低い蛍光顕微鏡観察においても、輝点の検出感度が高い共焦点蛍光顕微鏡観察と同程度の精度で輝点検出することができた。
【0295】
[実施例18]
〔ビオチン標識率5%のDNAプローブの調製〕
実施例16と同様に塩基数20のDNA(核酸分子)を調製した。
【0296】
《5’末端のビオチン標識》
上記のように調製したDNA2μgを用いて、実施例12と同様に、5’末端がビオチンで標識されたDNAを得た。
【0297】
《ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製》
実施例7と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径280nmであった。また、実施例7と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例7と同様に行った。
【0298】
(ストレプトアビジンの調製/粒子とストレプトアビジンの結合)
一方、実施例7と同様に蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジンの調製、および、蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンとの結合を行い、ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
【0299】
《蛍光体集積ナノ粒子(280nm、メラミン粒子)とビオチン標識率5%の上記DNAとが結合したDNAプローブ調製》
上述のように5’末端をビオチン標識した上記DNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬W)を得た。
【0300】
<その他の観察等>
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記DNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記DNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、約1:1であった。
【0301】
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が21個、輝点数2の細胞が29個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。また、蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が20個、輝点数2の細胞が30個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。
すなわち、本実施例18に係るプローブ試薬によれば、平均粒子径が実施例16,17より大径であるが、実施例16等と同様に、輝点の検出感度が低い蛍光顕微鏡観察においても、輝点の検出感度が高い共焦点蛍光顕微鏡観察と同程度の精度で輝点検出することができた。
【0302】
【表3】
【0303】
[参考例4]
参考例1で得られたプローブ試薬を用いて、蛍光顕微鏡観察において、染色の直後、染色からそれぞれ1週間後、1か月後、2か月後に輝点観察を行い、それら時点ごとに検体スライドの細胞(培養細胞SKBR3)の平均輝点数を調べた。この平均輝点数は、前記細胞の核50個に含まれる輝点数を計測し、核1個当たりの輝点数の平均値として算出したものである。
【0304】
<結果考察>
染色後の平均輝点数は、染色直後では18個、染色から1週間後では15個、染色から1か月後では8個、染色から2箇月後では2個であった。すなわち、参考例1に係るプローブ試薬によれば、染色直後に計測可能な輝点数が、時間の経過とともに減少していき、耐色素退行性が低いものであった(表4参照)。
【0305】
[参考例5]
〔ビオチン標識率13.33%のBACプローブの調製〕
上述した実施例1と同様の手順で、最終濃度1μg/250μLのビオチン標識された塩基数15万のBACプローブ(核酸分子)の溶液を得た。購入したストレプトアビジン化TXR(フナコシ社製「Streptavidin, Texas Red Conjugate(製品番号SA-5006)」)を1.0μL(50nmol/50μL)含む溶液を混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬X)を得た。
【0306】
<DNAプローブの確認>
このDNAプローブの確認は、0.5%のTBEを含む2%アガロースゲルで0.5%の変性バッファーTris−Borate−EDTA(TBE)中で電気泳動を行う電気泳動シフトアッセイにより行った。一本鎖のDNAを、SYBR GreenII(Molecular Probes, Eugene,OR)によりカウンター染色した。そして、DNAの移動パターンを、「MultiImager FX System」(Bio−Rad,Hercules,CA)を使用して、以下のように決定した。
【0307】
すなわち、泳動したゲルに存在するTXRについては、波長590nmのレーザー光の励起光と波長615nmバンドパスのエミッションフィルターを用いて確認した。また、上記BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、TXRのストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記DNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:20000であった。
【0308】
〔その他の観察等〕
DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察で、輝点を観察することができた。
【0309】
<色素退行評価>
上述した蛍光顕微鏡観察において、参考例4と同様に色素退行評価を行った。
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において輝点を観察することができた。また、染色後の平均輝点数は、染色直後では20個、染色から1週間後では15個、染色から1か月後では9個、染色から2箇月後では3個であった。
すなわち、参考例5に係るプローブ試薬によれば、染色直後に計測可能な輝点数が、時間の経過とともに減少していき、耐色素退行性が低いものであった(表4参照)。
【0310】
[実施例19]
〔ビオチン標識率1.67%のDNAプローブの調製〕
実施例6と同様にして、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した。このcDNAに対して、蛍光体集積ナノ粒子を以下の方法で作製した上で直接結合させた。
【0311】
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから5.25mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径40nmであった。
【0312】
<蛍光体集積ナノ粒子と上記cDNAとの直接結合>
ルミプローブ社製「Amino−11−dUTP」1μLと、N−succinimidyl S−acetylthioacetate(SATA)とを混合してチオール基付加処理として5℃で1時間インキュベートして反応を行った後、ゲルろ過カラムによるろ過を行い、蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なThiol−11−dUTP溶液を得た。
【0313】
次に、末端にマレイミド基が付いた上記蛍光体集積ナノ粒子とThiol−11−dUTP溶液とを、EDTAを2mM含有したPBS中で混合し、5℃で1時間反応させた。10mMメルカプトエタノールを添加し、反応を停止させた。得られた溶液を遠心フィルターで濃縮後、精製用ゲルろ過カラムを用いて未反応物を除去し、蛍光体集積ナノ粒子としてのdUTP結合Texas Red色素内包メラミン樹脂粒子溶液1.0μLを得た。
【0314】
<ニックトランスレーションによる標識方法>
まず、下記の試薬を遠心チューブ内で混合した。
・10×NickBuffer(Tris−HCl[pH7.2]、MgSO
4、DTT)
・・・2.5μL、
・BSA(Nuclease−free BSA)・・・1.5μL
・dNTP mix(dATP、dCTP、dCTP)・・・5μL
・dTTP・・・1.5μL、
・dUTP結合Texas Red色素内包メラミン樹脂粒子・・0.2μL
・純水(Nuclease free water)・・・3μL
・上記cDNA1μgの水溶液・・・5μL
・DNA PоlymeraseI(Tris−HCl[pH7.5]、EDTA、DTT、glycerоl)・・・1μL
・DNaseI・・・5μL
【0315】
次に、15℃で4時間反応させ、70℃で10分間加熱して反応を停止させた。反応後の遠心チューブに25μLの蒸留水を添加した。ビオチン標識済みのBACプローブの反応溶液を核酸精製用マイクロスピンカラム(GEヘルスケア社製「MicroSpin S−200HR Column」、製品番号「#27−5120−01」)により精製した。
【0316】
この溶液に対して、3M酢酸ナトリウム溶液(pH5.2)を約5.56μL、100%エタノールを150μL添加し、−20℃で1時間以上静置した。4℃で16000rpmで10分間遠心して沈殿を形成した。さらに、70%エタノールを500μL添加して、4℃、16000rpmで1分間遠心し上澄みを除去した。沈殿物に5〜10μLの蒸留水を添加して完全に溶解させ、蛍光体集積ナノ粒子と結合したcDNA(プローブ試薬Y)の溶液(最終濃度1μg/250μL)を得た。
【0317】
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。
【0318】
なお、DNAプローブの確認において、cDNAと蛍光体集積ナノ粒子との結合モル比については、HABA−アビジン法で確認することはできず、評価系がないが、実施例10と同じ材料と反応条件で実施していることから1:5であると推定される。
【0319】
<色素退行評価>
上述した蛍光顕微鏡観察において、参考例4と同様に色素退行評価を行った。
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において輝点を観察することができた。また、染色後の平均輝点数は、染色直後では26個、染色から1週間後では27個、染色から1か月後では24個、染色から2箇月後では24個であった。すなわち、実施例19に係るプローブ試薬によれば、染色直後に計測可能な輝点数が、時間の経過とともに減少せずに、耐色素退行性が高いものであった(表4参照)。
【0320】
[実施例20]
実施例8で得られたプローブ試薬を用いて、蛍光顕微鏡観察において、参考例4と同様に色素退行評価を行った。
【0321】
<結果考察>
染色後の平均輝点数は、染色直後では25個、染色から1週間後では25個、染色から1か月後では26個、染色から2箇月後では24個であった。すなわち、実施例20に係るプローブ試薬によれば、染色直後に計測可能な輝点数が、時間の経過とともに減少せずに、耐色素退行性が高いものであった(表4参照)。
【0322】
[実施例21]
実施例9で得られたプローブ試薬を用いて、蛍光顕微鏡観察において、参考例4と同様に色素退行評価を行った。
【0323】
<結果考察>
染色後の平均輝点数は、染色直後では11個、染色から1週間後では11個、染色から1か月後では11個、染色から2箇月後では10個であった。すなわち、実施例21に係るプローブ試薬によれば、染色直後に計測可能な輝点数が、時間の経過とともに減少せずに、耐色素退行性が高いものであった(表4参照)。
【0324】
[実施例22]
〔ビオチン標識率13.33%のDNAプローブの調製〕
実施例6と同様に、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した。
【0325】
<ニックトランスレーションによるビオチン標識>
上記のように調製したcDNA1μgを、実施例1と同様にしてニックトランスレーションを行い、最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたcDNAの溶液を得た。
【0326】
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
FITC(コードP76012 タカラバイオ社製)4.1mgを水22mLに加えて溶解した。その後、この溶液に乳化重合用乳化剤のエマルゲン(登録商標)430(ポリオキシエチレンオレイルエーテル、花王社製)の5%水溶液を2mL加えた。この溶液をホットスターラー上で撹拌しながら70℃まで昇温させた後、この溶液にメラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)を0.15g加えた。
【0327】
さらに、この溶液に界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸(関東化学社製)の10%水溶液を1000μL加え、70℃で50分間加熱撹拌した。その後、90℃に昇温して20分間加熱撹拌した。得られた蛍光体集積ナノ粒子の分散液から、余剰の樹脂原料や蛍光色素等の不純物を除くため、純水による洗浄を行った。
【0328】
具体的には、遠心分離機(久保田商事株式会社製マイクロ冷却遠心機3740)にて20000Gで15分間、遠心分離し、上澄み除去後、超純水を加えて超音波照射して再分散した。遠心分離、上澄み除去および超純水への再分散による洗浄を5回繰り返した。得られたメラミン粒子はメラミン樹脂自体が骨格に多くのアミノ基を含む。得られた蛍光体集積ナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径35nmであった。
【0329】
得られた蛍光体集積ナノ粒子0.1mgをエタノール1.5mL中に分散し、アミノプロピルトリメトキシシラン(LS−3150、信越化学工業社製)2μLを加え、8時間反応させることにより、蛍光体集積ナノ粒子の樹脂粒子の樹脂表面に存在するヒドロキシル基をアミノ基に変換する表面アミノ化処理を行った。
【0330】
2mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含有したリン酸緩衝液生理的食塩水(PBS)を用いて、得られた蛍光体集積ナノ粒子の濃度を3nMに調整した。濃度調整した蛍光体集積ナノ粒子の分散液に対して、終濃度10mMとなるように、SM(PEG)
12(Succinimidyl−[(N−maleоmidopropionamid)−dodecaethyleneglycol]ester、サーモサイエンティフィック社製)を混合し、20℃1時間反応させて、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。
【0331】
この混合液を10000Gで20分間遠心分離を行い、上澄みを除去した後、2mMのEDTAを含有したPBSを加えて沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順による上記洗浄を3回行った。
【0332】
<ストレプトアビジンの調製>
一方、ストレプトアビジン(和光純薬工業社製)とN−スクシミジル Sアセチルチオ酢酸(N−succinimidyl S−acetylthioacetate、略称:SATA)を用いて、ストレプトアビジンに対してチオール基の付加処理を行い、ゲル濾過を行って蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジンを別途用意した。
【0333】
<蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンの結合>
上記蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンを、2mMのEDTAを含有したPBS中で混合後、室温で1時間反応させて、両者を結合させる反応を行った。反応後、10mMメルカプトエタノールを添加して反応を停止させた。得られた溶液をφ=0.65μmの遠心フィルターで濃縮後、精製用ゲル濾過カラムを用いて未反応のストレプトアビジン等を除去し、ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
【0334】
<蛍光体集積ナノ粒子(35nm、メラミン粒子)とビオチン標識率13.33%の上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したcDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬Z)を得た。
【0335】
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:40であった。
【0336】
<色素退行評価>
上述した蛍光顕微鏡観察において、染色の直後、染色からそれぞれ1週間後、1か月後、2か月後に輝点観察を行い、それら時点ごとに検体スライドの細胞(培養細胞SKBR3)の平均輝点数を調べた。この平均輝点数は、前記細胞の核50個に含まれる輝点数を計測し、核1個当たりの輝点数の平均値として算出して得たものである。
【0337】
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において輝点を観察することができた。また、染色後の平均輝点数は、染色直後では15個、染色から1週間後では16個、染色から1か月後では15個、染色から2箇月後では13個であった。すなわち、実施例22に係るプローブ試薬によれば、染色直後に計測可能な輝点数が、時間の経過とともに減少せず、耐色素退行性が高いものであった(表4参照)。
【0338】
[実施例23]
〔ビオチン標識率13.33%のDNAプローブの調製〕
実施例6と同様に、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した。
【0339】
<ニックトランスレーションによるビオチン標識>
上記のように調製したcDNAのcDNA1μgを、実施例1と同様に、ニックトランスレーション法によりビオチン標識した。
【0340】
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
FITC(コードP76012 タカラバイオ社製)の使用量を5.25mg、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.21gに変更したことを除いて、実施例22と同様に蛍光色素内包ポリメラミン粒子を作製した。得られたメラミン粒子はメラミン樹脂自体が骨格に多くのアミノ基を含む。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径40nmであった。
【0341】
得られた色素内包ナノ粒子から実施例22と同様にマレイミド基が付いた蛍光色素内包粒子を得る一方で、実施例22と同様にストレプトアビジン溶液の調製を行い、両者から実施例22と同様にストレプトアビジン結合FITC色素内包メラミン粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を得た。
【0342】
<蛍光体集積ナノ粒子(平均粒子径40nm、メラミン粒子)とビオチン標識率13.33%の上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識した上記cDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬A1)を得た。
【0343】
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。
【0344】
なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:40であった。
【0345】
<色素退行評価>
上述した蛍光顕微鏡観察において、参考例4と同様に色素退行評価を行った。
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において輝点を観察することができた。また、染色後の平均輝点数は、染色直後では26個、染色から1週間後では25個、染色から1か月後では26個、染色から2箇月後では25個であった。
【0346】
すなわち、実施例23に係るプローブ試薬によれば、染色直後に計測可能な輝点数が、時間の経過とともに減少せず、耐色素退行性が高いものであった(表3)。
【0347】
[実施例24]
〔ビオチン標識率1.67%のDNAプローブの調製〕
実施例6と同様に、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した。
【0348】
実施例1のニックトランスレーションによるビオチン標識で、dTTPの使用量を0.5μLから1.5μLに変更し、Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)の使用量を1.5μLから0.2μLに変更したこと以外は実施例1と同様に最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたcDNAの溶液を得た。
【0349】
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
FITC(コード P76012 タカラバイオ社製)の使用量を14.4mg、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.65gに変更したことを除いて、実施例22と同様に蛍光色素内包ポリメラミン粒子を作製した。得られたメラミン粒子はメラミン樹脂自体が骨格に多くのアミノ基を含む。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。
【0350】
得られた色素内包ナノ粒子から実施例22と同様にマレイミド基が付いた蛍光色素内包粒子を得る一方で、実施例22と同様にストレプトアビジン溶液の調製を行い、両者から実施例22と同様にストレプトアビジン結合FITC色素内包メラミン粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を得た。
【0351】
<蛍光体集積ナノ粒子(平均粒子径158nm、メラミン粒子)とビオチン標識率1.67%の上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識した上記cDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液を混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬A2)を得た。
【0352】
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:5であった。
【0353】
<色素退行評価>
上述した蛍光顕微鏡観察において、参考例4と同様に色素退行評価を行った。
(結果考察)
共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において輝点を観察することができた。また、染色後の平均輝点数は、染色直後では27個、染色から1週間後では24個、染色から1か月後では25個、染色から2箇月後では25個であった。
【0354】
すなわち、実施例24に係るプローブ試薬によれば、染色直後に計測可能な輝点数が、時間の経過とともに減少せず、耐色素退行性が高いものであった(表3参照)。
【0355】
[実施例25]
〔ビオチン標識率13.33%の短鎖長のDNAプローブの調製〕
実施例6と同様に、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した。
【0356】
上記のように調製したcDNA1μgを、実施例1と同様に、ニックトランスレーション法によりビオチン標識した。最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたcDNA溶液を得た。
【0357】
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
FITC(コード P76012 タカラバイオ社製)の使用量を20.3mg、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gに変更したことを除いて、実施例22と同様に蛍光色素内包ポリメラミン粒子を作製した。得られたメラミン粒子はメラミン樹脂自体が骨格に多くのアミノ基を含む。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径280nmであった。
【0358】
得られた色素内包ナノ粒子から実施例22と同様にマレイミド基が付いた蛍光色素内包粒子を得る一方で、実施例22と同様にストレプトアビジン溶液の調製を行い、両者から実施例22と同様にストレプトアビジン結合FITC色素内包メラミン粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を得た。
【0359】
<蛍光体集積ナノ粒子(280nm、メラミン粒子)とビオチン標識率13.33%の上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識した上記cDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンで修飾された蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬A3)を得た。
【0360】
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:40であった。
【0361】
<色素退行評価>
上述した蛍光顕微鏡観察において、参考例4と同様に色素退行評価を行った。
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において輝点を観察することができた。また、染色後の平均輝点数は、染色直後では24個、染色から1週間後では24個、染色から1か月後では22個、染色から2箇月後では21個であった。すなわち、実施例25に係るプローブ試薬によれば、染色直後に計測可能な輝点数が、時間の経過とともに減少せず、耐色素退行性が高いものであった(表3参照)。
【0362】
[実施例26]
〔ビオチン標識率0.5%のDNAプローブの調製〕
Bienko M_Nat Method 2013に記載の方法で、塩基数200のHER2−DNAクローンを作成した。すなわちデータベース検索によりHER2選択的な配列を見つけ出し、Forword primer(5’−ACGCCTGATGGGTTAATGAG−3’)およびReverse primer(5’−aagtagaggcagggagagcc−3’)から塩基数200のcDNA(核酸分子)を調製した。
【0363】
<5’末端のビオチン標識>
上記のように調製したcDNA2μgを、実施例12と同様にして処理することで、5’末端がビオチンで標識されたcDNAを得た。
【0364】
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。
また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
【0365】
(ストレプトアビジンの調製/粒子とストレプトアビジンの結合)
一方、実施例3と同様に蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジンの調製、および、蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンとの結合を行い、ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
【0366】
<蛍光体集積ナノ粒子(158nm、メラミン粒子)とビオチン標識率0.5%の上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のように5’末端をビオチン標識したcDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬A4)を得た。
【0367】
<その他の観察等>
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、約1:1であった。
【0368】
<色素退行評価>
上述した蛍光顕微鏡観察において、参考例4と同様に色素退行評価を行った。
(結果考察)共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において輝点を観察することができた。また、染色後の平均輝点数は、染色直後では27個、染色から1週間後では27個、染色から1か月後では25個、染色から2箇月後では25個であった。すなわち、実施例26に係るプローブ試薬によれば、染色直後に計測可能な輝点数が、時間の経過とともに減少せず、耐色素退行性が高いものであった(表4参照)。
【0369】
[実施例27]
〔ビオチン標識率5%のDNAプローブの調製〕
実施例16と同様に塩基数20のDNA(核酸分子)を調製した。
<5’末端のビオチン標識>
上記のように調製したDNA2μgを、実施例12と同様に、5’末端がビオチンで標識されたDNAを得た。
【0370】
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。
また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
【0371】
(ストレプトアビジンの調製/粒子とストレプトアビジンの結合)
一方、実施例3と同様に蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジンの調製、および、蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンとの結合を行い、ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
【0372】
<蛍光体集積ナノ粒子(158nm、メラミン粒子)とビオチン標識率5%の上記DNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のように5’末端をビオチン標識した上記DNA25μL(濃度1μg/250μL)、蛍光体集積ナノ粒子修飾ストレプトアビジンを含む溶液を混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬A5)を得た。
【0373】
<その他の観察等>
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記DNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、約1:1であった。
<色素退行評価>
上述した蛍光顕微鏡観察において、参考例4と同様に色素退行評価を行った。
【0374】
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において輝点を観察することができた。また、染色後の平均輝点数は、染色直後では26個、染色から1週間後では25個、染色から1か月後では26個、染色から2箇月後では26個であった。すなわち、実施例27に係るプローブ試薬によれば、染色直後に計測可能な輝点数が、時間の経過とともに減少せず、耐色素退行性が高いものであった(表4参照)。
【0375】
[実施例28]
〔ビオチン標識率0.5%のDNAプローブの調製〕
実施例26と同様に、塩基数200のcDNA(核酸分子)を作成した。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
(粒子の調製)
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。
また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
【0376】
<蛍光体集積ナノ粒子と上記cDNAの直接結合(5’末端標識)>
上記のように調製したcDNAの核酸分子2μgを、VECTOR LABORATORIES社製の「5’EndTag(TM) Nucleic Acid Labeling System、(カタログNo.MB−9001)」のキットおよびプロトコールを用いて、以下のように核酸分子の5’末端をリン酸からチオリン酸に変換して、
以下のものを遠心チューブで混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・cDNAの核酸分子2μg(/超純水8μL)
・Universal reaction buffer・・・1μL
・アルカリフォスファターゼ・・・1μL
さらに、上記混合液中に以下のものを混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・Universal reaction buffer・・・2μL
・ATPγS・・・1μL
・T4 polynucleotide kinase・・・2μL
次に、上記で得られた末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を反応して、5’末端に直接蛍光体集積ナノ粒子が結合したプローブを作成した。
このプローブの反応溶液を核酸精製用マイクロスピンカラム(GEヘルスケア社製「MicroSpin S−200HR Column」、製品番号「#27−5120−01」)により精製した。
この溶液に対して、3M酢酸ナトリウム溶液(pH5.2)を約5.56μL、100%エタノールを150μL添加し、−20℃で1時間以上静置した。4℃で16000rpmで10分間遠心して沈殿を形成した。さらに、70%エタノールを500μL添加して、4℃、16000rpmで1分間遠心し上澄みを除去した。沈殿物に5〜10μLの蒸留水を添加して完全に溶解させ、蛍光体集積ナノ粒子で標識されたcDNA(プローブ試薬A6)の溶液(最終濃度1μg/250μL)を得た。
【0377】
<色素退行評価>
上述した蛍光顕微鏡観察において、参考例4と同様に色素退行評価を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において輝点を観察することができた。また、染色後の平均輝点数は、染色直後では24個、染色から1週間後では24個、染色から1か月後では24個、染色から2箇月後では22個であった。すなわち、実施例28に係るプローブ試薬によれば、染色直後に計測可能な輝点数が、時間の経過とともに減少せず、耐色素退行性が高いものであった。
【0378】
[実施例29]
実施例28で作成した5’末端がビオチン標識されたcDNA(蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンと結合する前もの)を用いて、FISHにおいて、実施例1と同様にハイブリダイゼーションを行い、さらに、同実施例12で作成したストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子50μgを反応系に加えて、ハイブリダイゼーション後の反応系内の上記cDNAを蛍光標識した。それ以外は、実施例12と同様にFISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
【0379】
<色素退行評価>
上述した蛍光顕微鏡観察において、参考例4と同様に色素退行評価を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において輝点を観察することができた。また、染色後の平均輝点数は、染色直後では26個、染色から1週間後では25個、染色から1か月後では24個、染色から2箇月後では25個であった。すなわち、ハイブリダイゼーション後に蛍光体集積ナノ粒子を反応系に添加して、ハイブリダイゼーション後の反応系内で蛍光標識する方法をとっても、染色することが可能であり、また、同様に色素退行の防止効果が得られた(表4参照)。
【0380】
【表4】
【0381】
[実施例30]
検体スライドとしてHER陽性染色対照標本の検体スライド(パソロジー研究所社製「HER2−FISHコントロールスライド Code PS−09006」)の代わりに、健常人の組織アレイ(USBiomax社製「FDA normal organ tissue microarray of human」製品番号FDA999b)を用い、実施例24で得られたプローブ試薬でもって実施例24と同様にFISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
【0382】
<結果考察>
共焦点顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において、輝点数2個の細胞のみが観察され、共焦点顕微鏡観察より検出感度の低い蛍光顕微鏡観察においてもHER2遺伝子が適正に検出された。
【0383】
[実施例31]
〔ビオチン標識率8.46%のDNAプローブ調製〕
Applied Biosystems 392 DNA/RNA synthesizer(Foster City,CA)を用いてプライマーA(5'−TCTCAGCAACATGTCGATGG−3')と、プライマーB(5'−TCGCACTTCTTACACTTGCG−3')を作製した(Clin.Cancer Res.2000;6:1439−1444参照)。
【0384】
次に、上記プライマーのセット、Invitrogen社製「SuperScript(登録商標) II Reverse Transcriptase」、および一般的な市販のPCR試薬を用い、この逆転写酵素の製品説明書にあるプロトコールに従って、HT−29細胞から抽出したtotal RNAを鋳型として逆転写反応することにより、EGFR遺伝子関連の配列を有する塩基数473のcDNA(核酸分子)を調製した。
得られたcDNA1μgを用いて、実施例1と同様にニックトランスレーションを行い、最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたDNAの溶液を得た。
【0385】
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
FITC(コード P76012 タカラバイオ社製)の使用量を5.25mg、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.21gに変更したことを除いて、実施例22と同様に蛍光色素FITCを内包したポリメラミン粒子を作製した。得られたポリメラミン粒子はメラミン樹脂自体が骨格に多くのアミノ基を含む。得られたポリメラミン粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径40nmであった。
【0386】
得られたポリメラミン粒子から実施例2と同様にマレイミド基が付いたポリメラミン粒子を得る一方で、実施例2と同様にストレプトアビジン溶液の調製を行い、両者から実施例2と同様にストレプトアビジン結合FITC色素内包メラミン粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を得た。
【0387】
<蛍光体集積ナノ粒子(40nm、メラミン粒子)とビオチン標識率8,46%の上記DNAとが結合したDNAプローブ調製>
上記のようにビオチン標識したDNA25μL(濃度1μg/250μL)、蛍光体集積ナノ粒子修飾ストレプトアビジンを含む溶液を混合して、室温で30分間結合反応を行い、EGFR検出用のDNAプローブ(プローブ試薬A7)を得た。
【0388】
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。
【0389】
なお、DNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記DNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:40であった。
【0390】
また、検体スライドとして健常人の組織アレイ(USBiomax社製「FDA normal organ tissue microarray of human」製品番号FDA999b)を用いた。実施例30と同様に共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
【0391】
<結果考察>
共焦点顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において、輝点数2個の細胞のみが観察され、共焦点顕微鏡観察より検出感度の低い蛍光顕微鏡観察においてもEGFR遺伝子が適正に検出された。
【0392】
[実施例32]
〔ビオチン標識率0.21%のDNAプローブ調製〕
EGFR遺伝子関連の配列を有する塩基数473のcDNA(核酸分子)を実施例31と同様に調製し、実施例31と同様にNickTranslationを実施した。ただし、Biotin−d−UTPは添加しないでNickTranslationを行い、得られたDNAに対して実施例12と同様に5’末端をビオチン化した。
【0393】
《ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製》
(粒子の調製)
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例1と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子(蛍光体集積ナノ粒子を)の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。
さらに、実施例1と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例1と同様に行った。
【0394】
《蛍光体集積ナノ粒子と上記DNAとの直接結合》(5’末端標識)》
上記のように調製したDNA2μgを、VECTOR LABORATORIES社製の「5’EndTag(TM) Nucleic Acid Labeling System、(カタログNo.MB−9001)」のキットおよびプロトコールを用いて、以下のように核酸分子の5’末端をリン酸からチオリン酸に変換した。
以下のものを遠心チューブで混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・cDNAの核酸分子2μg(/超純水8μL)
・Universal reaction buffer・・・1μL
・アルカリフォスファターゼ・・・1μL
さらに、上記混合液中に以下のものを混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・Universal reaction buffer・・・2μL
・ATPγS・・・1μL
・T4 polynucleotide kinase・・・2μL
【0395】
次に、上記で得られた末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を反応して、5’末端に直接蛍光体集積ナノ粒子が結合したプローブを作成した。
このプローブの反応溶液を核酸精製用マイクロスピンカラム(GEヘルスケア社製「MicroSpin S−200HR Column」、製品番号「#27−5120−01」)により精製した。
この溶液に対して、3M酢酸ナトリウム溶液(pH5.2)を約5.56μL、100%エタノールを150μL添加し、−20℃で1時間以上静置した。4℃で16000rpmで10分間遠心して沈殿を形成した。さらに、70%エタノールを500μL添加して、4℃、16000rpmで1分間遠心し上澄みを除去した。沈殿物に5〜10μLの蒸留水を添加して完全に溶解させ、蛍光体集積ナノ粒子で標識されたDNA(プローブ試薬A8)の溶液(最終濃度1μg/250μL)を得た。
【0396】
<その他の観察等>
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例20と同様に行った。
なお、DNAプローブの確認において、5'末端にのみ標識されたので、1:1であった。また、検体スライドとして健常人の組織アレイ(USBiomax社製「FDA normal organ tissue microarray of human」製品番号FDA999b)を用いた。実施例31と同様に共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
【0397】
(結果考察)
共焦点顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において、輝点数2個の細胞のみが観察され、共焦点顕微鏡観察より検出感度の低い蛍光顕微鏡観察においてもEGFR遺伝子が適正に検出された。
【0398】
[実施例33]
〔標識率0.5%のDNAプローブの調製〕
遺伝子データベース「e!Ensembl
ASIA」(http://asia.ensembl.org/index.html)の検索で得られたEGFRの遺伝子配列番号(Chromosome 7: 55,086,714-55,324,313)を、プローブ検索サイト「HD−FISH」(URL:http://www.hdfish.eu/Find#probes.php)で入力・検索して、Bienko M_Nat Method 2013に記載の方法に従いEGFRのプライマーペアを610組、見出した。
EGFR選択的な配列の中から、Forword primer(5’−CGGAGTCCAAGTGTCCTTTC−3’)および Reverse primer(5’−CCTTCTATGCAAAGGGCAAA−3’)のプライマーのセット、Invitrogen社製「SuperScript(登録商標) II Reverse Transcriptase」、および一般的な市販のPCR試薬を用い、この逆転写酵素の製品説明書にあるプロトコールに従って、HT−29細胞から抽出したtotal RNAを鋳型として逆転写反応することにより、EGFR遺伝子関連の配列を有する塩基数473bpのcDNA(核酸分子)を作成した。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例7と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子(蛍光体集積ナノ粒子を)の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。
さらに、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
【0399】
<蛍光体集積ナノ粒子と上記cDNAとの直接結合》(5’末端標識)>
上記のように調製したcDNAの核酸分子2μgを、VECTOR LABORATORIES社製の「5’EndTag(TM) Nucleic Acid Labeling System、(カタログNo.MB−9001)」のキットおよびプロトコールを用いて、以下のように核酸分子の5’末端をリン酸からチオリン酸に変換して、
以下のものを遠心チューブで混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・cDNAの核酸分子2μg(/超純水8μL)
・Universal reaction buffer・・・1μL
・アルカリフォスファターゼ・・・1μL
さらに、上記混合液中に以下のものを混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・Universal reaction buffer・・・2μL
・ATPγS・・・1μL
・T4 polynucleotide kinase・・・2μL
次に、上記で得られた末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を反応して、5’末端に直接蛍光体集積ナノ粒子が結合したプローブを作成した。
このプローブの反応溶液を核酸精製用マイクロスピンカラム(GEヘルスケア社製「MicroSpin S−200HR Column」、製品番号「#27−5120−01」)により精製した。
この溶液に対して、3M酢酸ナトリウム溶液(pH5.2)を約5.56μL、100%エタノールを150μL添加し、−20℃で1時間以上静置した。4℃で16000rpmで10分間遠心して沈殿を形成した。さらに、70%エタノールを500μL添加して、4℃、16000rpmで1分間遠心し上澄みを除去した。沈殿物に5〜10μLの蒸留水を添加して完全に溶解させ、蛍光体集積ナノ粒子で標識されたcDNA(プローブ試薬A8)の溶液(最終濃度1μg/250μL)を得た。
【0400】
<その他の観察等>
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例4と同様に行った。
なお、DNAプローブの確認において、5'末端にのみ標識されたので、約1:1であった。また、検体スライドとして健常人の組織アレイ(USBiomax社製「FDA normal organ tissue microarray of human」製品番号FDA999b)を用いた。実施例30と同様に共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において、輝点数2個の細胞のみが観察され、共焦点顕微鏡観察より検出感度の低い蛍光顕微鏡観察においてもEGFR遺伝子が適正に検出された。
【0401】
[実施例34]
<ビオチン標識率5%のDNAプローブの調製>
プローブ検索サイト「HD−FISH」(URL:http://www.hdfish.eu/Find#probes.php)で、ヒト第7番目の染色体の特定の領域(第55086714番目〜第55324313番目)を指定してユニークな配列を検索し、該特定の領域に存在する第55091671番目〜第55091880番目の次のユニークな配列を検索して入手した。この配列データを元にして核酸合成の依頼をしてHER−2遺伝子関連の配列(5’−AGCTGGCCAGTTTGAATTTG−3’)の塩基数20のDNA(核酸分子)を調製した。
上記のように調製したDNA4μgを、実施例12と同様にして、5’末端がビオチンで標識されたDNAを得た。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例7と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。
また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
【0402】
(ストレプトアビジンの調製/粒子とストレプトアビジンの結合)
一方、実施例3と同様に蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジンの調製、および、蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンとの結合を行い、ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
【0403】
<蛍光体集積ナノ粒子(158nm、メラミン粒子)と上記DNAとが結合したDNAプローブ調製>
上記のようにビオチン標識したDNA溶液25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンで修飾した蛍光体集積ナノ粒子を含む溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、EGFR検出用のDNAプローブ(プローブ試薬A9)を得た。
【0404】
<その他の観察等>
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例4と同様に行った。
なお、上記DNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記DNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、約1:1であった。
また、検体スライドとして健常人の組織アレイ(USBiomax社製「FDA normal organ tissue microarray of human」製品番号FDA999b)を用いた。実施例30と同様に共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において、輝点数2個の細胞のみが観察され、共焦点顕微鏡観察より検出感度の低い蛍光顕微鏡観察においてもEGFR遺伝子が適正に検出された。
【0405】
[実施例35]
〔標識率0.5%のDNAプローブの調製〕
遺伝子データベース「e!Ensembl
ASIA」(http://asia.ensembl.org/index.html)の検索で得られたRETの遺伝子配列番号(Chromosome 10: 43584007- 43585055)を、プローブ検索サイト「HD−FISH」(http://www.hdfish.eu/Find#probes.php)に入力・検索して、Bienko M_Nat Method 2013に記載の方法に従いRETのプライマーペアを146組、見出した。
検索して得られたRET選択的な配列の組み合わせの中から、Forword primer(5’−TTCTGTGAGCATTTGCTTGG−3’)および Reverse primer(5’−CTCTTGACAATGTCCCCTGG−3’)のプライマーのセット、Invitrogen社製「SuperScript(登録商標) II Reverse Transcriptase」、および一般的な市販のPCR試薬を用い、この逆転写酵素の製品説明書にあるプロトコールに従って、HT−29細胞から抽出したtotal RNAを鋳型として逆転写反応することにより、RET遺伝子関連の配列を有する塩基数1048のcDNA(核酸分子)を作成した。
【0406】
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。
また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
【0407】
<5’末端のビオチン標識>
上記のように調製したcDNA40μgを、実施例12と同様にして、5’末端がビオチンで標識されたcDNAを得た。
<蛍光体集積ナノ粒子と上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上記のようにビオチン標識したcDNAの溶液25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンで修飾した蛍光体集積ナノ粒子を含む溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、RET検出用のDNAプローブ(プローブ試薬A10)を得た。
【0408】
<その他の観察等>
なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、約1:1であった。
また、検体スライドとして健常人の組織アレイ(USBiomax社製「FDA normal organ tissue microarray of human」製品番号FDA999b)を用いた。実施例30と同様に共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において、輝点数2個の細胞のみが観察され、共焦点顕微鏡観察より検出感度の低い蛍光顕微鏡観察においてもRET遺伝子が適正に検出された。
【0409】
[実施例36]
〔標識率0.49%のDNAプローブの調製〕
遺伝子データベース「e!Ensembl
ASIA」(http://asia.ensembl.org/index.html)の検索で得られたMETの遺伝子配列番号(Chromosome 7: 116,312,444-116,438,440)を、プローブ検索サイト「HD−FISH」(http://www.hdfish.eu/Find#probes.php)に入力して、Bienko M_Nat Method 2013に記載の方法に従いmet proto−oncogene MET(MET)のプライマーのペアを295組、見出した。
METに選択的な配列の中から、Forword primer(5’−TCACAGCAGCAATTCCCATA−3’)および Reverse primer(5’−CCAGCATTTCAGAAGAGGTTTT−3’)のプライマーのセット、Invitrogen社製「SuperScript(登録商標) II Reverse Transcriptase」、および一般的な市販のPCR試薬を用い、この逆転写酵素の製品説明書にあるプロトコールに従って、HT−29細胞から抽出したtotal RNAを鋳型として逆転写反応することにより、MET遺伝子関連の配列を有する塩基数205のcDNA(核酸分子)を作成した。
【0410】
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。
また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
【0411】
<蛍光体集積ナノ粒子と核酸分子との直接結合》(5’末端標識)>
上記のように調製したcDNAの核酸分子2μgから、実施例34と同様にして得られた5'末端チオリン酸プローブと、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液とを反応して、5’末端に直接蛍光体集積ナノ粒子が結合したプローブを作成した。
以下のものを遠心チューブで混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・cDNAの核酸分子2μg(/超純水8μL)
・Universal reaction buffer・・・1μL
・アルカリフォスファターゼ・・・1μL
さらに、上記混合液中に以下のものを混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・Universal reaction buffer・・・2μL
・ATPγS・・・1μL
・T4 polynucleotide kinase・・・2μL
次に、上記で得られた末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を反応して、5’末端に直接蛍光体集積ナノ粒子が結合したプローブを作成した。
そのプローブの反応溶液を核酸精製用マイクロスピンカラム(GEヘルスケア社製「MicroSpin S−200HR Column」、製品番号「#27−5120−01」)により精製した。
この溶液に対して、3M酢酸ナトリウム溶液(pH5.2)を約5.56μL、100%エタノールを150μL添加し、−20℃で1時間以上静置した。4℃で16000rpmで10分間遠心して沈殿を形成した。さらに、70%エタノールを500μL添加して、4℃、16000rpmで1分間遠心し上澄みを除去した。沈殿物に5〜10μLの蒸留水を添加して完全に溶解させ、蛍光体集積ナノ粒子で標識されたcDNA(プローブ試薬A11)の溶液(最終濃度1μg/250μL)を得た。
【0412】
<その他の観察等>
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例4と同様に行った。
なお、DNAプローブの確認において、cDNAと蛍光体集積ナノ粒子との結合モル比については、5'末端にのみ標識されたので、約1:1であった。また、検体スライドとして健常人の組織アレイ(USBiomax社製「FDA normal organ tissue microarray of human」製品番号FDA999b)を用いた。実施例30と同様に共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において、輝点数2個の細胞のみが観察され、共焦点顕微鏡観察より検出感度の低い蛍光顕微鏡観察においてもMET遺伝子が適正に検出された。
【0413】
[実施例37]
<標識率0.46%のDNAプローブの調製>
遺伝子データベース「e!Ensembl
ASIA」(http://asia.ensembl.org/index.html)の検索で得られたFGFR2の遺伝子配列番号(Chromosome 7: 55,086,714-55,324,313)を、プローブ検索サイト「HD−FISH」(http://www.hdfish.eu/Find#probes.php)に入力して、Bienko M_Nat Method 2013に記載の方法に従いFGFR2のプライマーペアを280組、見出した。
FGFR2選択的な配列の中から、フォワードプライマー(5’−ATGAGTCACTGCACACAGCC−3’)および リバースプライマー(5’−TGAGTGAGATGTGGTCCAGG−3’)のプライマーのセット、Invitrogen社製「SuperScript(登録商標) II Reverse Transcriptase」、および一般的な市販のPCR試薬を用い、この逆転写酵素の製品説明書にあるプロトコールに従って、HT−29細胞から抽出したtotal RNAを鋳型として逆転写反応することにより、MET遺伝子関連の配列を有する塩基数217のcDNAを作成した。
【0414】
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
実施例7と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径280nmであった。
また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
【0415】
<5’末端のビオチン標識>
上記のように調製したcDNAの核酸分子2μgを、実施例12と同様にして、5’末端がビオチンで標識された核酸分子を得た後、DNAプローブ(プローブ試薬A12)を得た。
<その他の観察等>
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、DNAプローブの確認において、HABA−アビジン法を用いて確認したところ、約1:1であった。また、検体スライドとして健常人の組織アレイ(USBiomax社製「FDA normal organ tissue microarray of human」製品番号FDA999b)を用いた。実施例30と同様に共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において、輝点数2個の細胞のみが観察され、共焦点顕微鏡観察より検出感度の低い蛍光顕微鏡観察においてもFGFR2遺伝子が適正に検出された
【0416】
[実施例38]
〔ビオチン標識率0.21%のDNAプローブ調製〕
EGFR遺伝子関連の配列を有する塩基数473のcDNA(核酸分子)を実施例31と同様に調製し、実施例31と同様にNickTranslationを実施した。ただし、Biotin−d−UTPは添加しないでNickTranslationを行い、得られたDNAに対して実施例12と同様に5'末端をビオチン化した。
【0417】
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例7と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子(蛍光体集積ナノ粒子を)の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。
さらに、実施例7と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例7と同様に行った。
【0418】
<蛍光体集積ナノ粒子と上記DNAとの直接結合》(5'末端標識)>
上記のように調製したDNA2μgを、VECTOR LABORATORIES社製の「5'EndTag(TM) Nucleic Acid Labeling System、(カタログNo.MB−9001)」のキットおよびプロトコールを用いて、以下のように核酸分子の5'末端をリン酸からチオリン酸に変換した。
【0419】
以下のものを遠心チューブで混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・cDNAの核酸分子2μg(/超純水8μL)
・Universal reaction buffer・・・1μL
・アルカリフォスファターゼ・・・1μL
さらに、上記混合液中に以下のものを混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・Universal reaction buffer・・・2μL
・ATPγS・・・1μL
・T4 polynucleotide kinase・・・2μL
【0420】
次に、上記で得られた末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を反応して、5'末端に直接蛍光体集積ナノ粒子が結合したプローブを作成した。
【0421】
このプローブの反応溶液を核酸精製用マイクロスピンカラム(GEヘルスケア社製「MicroSpin S−200HR Column」、製品番号「#27−5120−01」)により精製した。
【0422】
この溶液に対して、3M酢酸ナトリウム溶液(pH5.2)を約5.56μL、100%エタノールを150μL添加し、−20℃で1時間以上静置した。4℃で16000rpmで10分間遠心して沈殿を形成した。さらに、70%エタノールを500μL添加して、4℃、16000rpmで1分間遠心し上澄みを除去した。沈殿物に5〜10μLの蒸留水を添加して完全に溶解させ、蛍光体集積ナノ粒子で標識されたDNA(プローブ試薬A8)の溶液(最終濃度1μg/250μL)を得た。
【0423】
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例31と同様に行った。
【0424】
なお、DNAプローブの確認において、5'末端にのみ標識されたので、1:1であった。また、検体スライドとして健常人の組織アレイ(USBiomax社製「FDA normal organ tissue microarray of human」製品番号FDA999b)を用いた。実施例31と同様に共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
【0425】
<結果考察>
共焦点顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において、輝点数2個の細胞のみが観察され、共焦点顕微鏡観察より検出感度の低い蛍光顕微鏡観察においてもEGFR遺伝子が適正に検出された。
【0426】
【表5】
【0427】
[実施例38]
実施例3で作製したプローブ試薬FのFISHにおける終濃度を5μg/μLにしたこと以外は、実施例3と同様にDNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は77であった(表6)。
【0428】
[実施例39]
実施例3で作製したプローブ試薬FのFISHにおける終濃度を1μg/μLにしたこと以外は、実施例3と同様にDNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は74であった(表6)。
【0429】
[実施例40]
実施例3で作製したプローブ試薬FのFISHにおける終濃度を0.2μg/μLにしたこと以外は、実施例3と同様にDNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は62であった(表6)。
【0430】
[実施例41]
文献(Bienko M., Nat Method 2013, 122)に記載されている方法(PCR)に従って、プローブを作成した。具体的には、文献に記載されているデータベース(www.hdfish.eu.)にアクセスし、HER2にハイブリダイズ可能なプライマー配列を表示させた。forwardプライマー(5'-biotin-ACGCCTGATGGGTTAATGAG-3')とreverseプライマー(5'-aagtagaggcagggagagcc-3')とを用いて上記文献に従ってPCRを行い、塩基数217のDNA断片を回収した。
上記PCRに得られた5’末端がビオチン標識されたDNA断片に対して、実施例17で製造したストレプトアビジン標識されたスルホローダミン101内包メラミン樹脂粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を実施例17と同様に結合させることにより、5’末端に蛍光体集積ナノ粒子が結合したHER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬X)を得た。
【0431】
<その他の観察等>
比較例4と同様に上記DNAプローブ(プローブ試薬X)の確認を行い、作製したプローブ試薬XのFISHにおける終濃度を1.0μg/μLにしたこと以外は、実施例38と同様に、FISH、DNAプローブの保存、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
なお、上記DNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記DNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、約1:1であった。
【0432】
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は78であった(表6)。
【0433】
[実施例42]
実施例41で作製したプローブ試薬XのFISHにおける終濃度を0.2μg/μLにしたこと以外は、実施例41と同様に、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は77であった(表6)。
【0434】
[実施例43]
実施例41で作製したプローブ試薬XのFISHにおける終濃度を0.04μg/μLにしたこと以外は、実施例41と同様に、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は78であった(表6)。
【0435】
[実施例44]
文献(Bienko M., Nat Method 2013, 122)に記載されている方法(PCR)に従って、プローブを作成した。具体的には、文献に記載されているデータベース(www.hdfish.eu.)にアクセスし、HER2にハイブリダイズ可能なプライマー配列を表示させた。forwardプライマー(5'biotin-TGCTTCCaaccttggttttt)とreverseプライマー(TGCAAGTGCaatacctgctc)を用いて上記文献に従ってPCRを行い、塩基数3347のDNA断片を回収した。
上記PCRに得られた5’末端がビオチン標識されたDNA断片に対して、実施例17で製造したストレプトアビジン標識されたスルホローダミン101内包メラミン樹脂粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を実施例17と同様に結合させることにより、5’末端に蛍光体集積ナノ粒子が結合したHER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬Y)を得た。
【0436】
<その他の観察等>
実施例1と同様に上記DNAプローブ(プローブ試薬Y)の確認を行い、作製したプローブ試薬YのFISHにおける終濃度を1.0μg/μLにしたこと以外は、実施例38と同様に、FISH、DNAプローブの保存、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
なお、上記DNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記DNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、約1:1であった。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は80であった(表6)。
【0437】
[実施例45]
実施例44で作製したプローブ試薬YのFISHにおける終濃度を0.2μg/μLにしたこと以外は、実施例44と同様に、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は77であった(表6)。
【0438】
[実施例46]
実施例46で作製したプローブ試薬YのFISHにおける終濃度を0.04μg/μLにしたこと以外は、実施例44と同様に、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は79であった(表6)。
【0439】
[実施例47]
実施例16と同様にして製造することにより、塩基数20のDNA断片を得た後、DNA断片の5’を実施例16と同様にしてビオチン標識を行った。
次に、5’末端がビオチン標識されたDNA断片に対して、実施例17で製造したストレプトアビジン標識されたスルホローダミン101内包メラミン樹脂粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を実施例17と同様に結合させることにより、5’末端に蛍光体集積ナノ粒子が結合したHER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬Z)を得た。
【0440】
<その他の観察等>
比較例4と同様に上記DNAプローブ(プローブ試薬Z)の確認を行い、作製したプローブ試薬Z−1のFISHにおける終濃度を1.0μg/μLにしたこと以外は、実施例38と同様に、FISH、DNAプローブの保存、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
なお、上記DNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記DNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、約1:1であった。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は73であった(表6)。
【0441】
[実施例48]
実施例47で作製したプローブ試薬ZのFISHにおける終濃度を0.2μg/μLにしたこと以外は、実施例47と同様に、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は73であった(表6)。
【0442】
[実施例49]
実施例47で作製したプローブ試薬ZのFISHにおける終濃度を0.04μg/μLにしたこと以外は、実施例47と同様に、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は73であった(表6)。
【0443】
[実施例50]
実施例16と同様にして製造することにより、塩基数20のDNA断片を得た後、DNA断片の5’を実施例16と同様にしてビオチン標識を行った。
次に、5’末端がビオチン標識されたDNA断片に対して、実施例17で製造したストレプトアビジン標識されたスルホローダミン101内包メラミン樹脂粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を実施例17と同様に結合させることにより、5’末端に蛍光体集積ナノ粒子が結合したHER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬ZZ)を得た。
<その他の観察等>
実施例27と同様に上記DNAプローブ(プローブ試薬ZZ)の確認を行い、作製したプローブ試薬ZZ−1のFISHにおける終濃度を1.0μg/μLにしたこと以外は、実施例38と同様に、FISH、DNAプローブの保存、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
なお、上記DNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記DNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、約1:1であった。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は62であった(表6)。
【0444】
[実施例51]
実施例50で作製したプローブ試薬ZZのFISHにおける終濃度を0.2μg/μLにしたこと以外は、実施例50と同様に、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は60であった(表6)。
[実施例52]
実施例50で作製したプローブ試薬ZZのFISHにおける終濃度を0.04μg/μLにしたこと以外は、実施例50と同様に、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は48であった(表6)。
【0445】
【表6】
【0446】
以上、本発明について実施の形態おび実施例に基づき詳細に説明してきたが、本発明は特許請求の範囲に記載された本発明の要旨を逸脱しない限り設計変更は許容される。