(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
多段で少なくとも3列の奇数列の格納スペースを備え、前記多段の所定段を乗入階とし、前記乗入階のパレットを列数より1台少なくして該乗入階の前記パレットを横行可能とし、他の段のパレットを同一列で昇降可能とした多段複数列式駐車設備における入出庫制御方法であって、
前記乗入階の横行可能な前記パレットの定位置を、列数の中央列が空スペースとなるようそれぞれの前記横行可能なパレットを配置した位置にそれぞれ定め、
前記乗入階の横行可能な前記パレットのいずれかに入出庫する呼び操作により、該呼び操作が行われたパレットが前記定位置に配置されているか否かを判定し、
前記呼び操作が行われたパレットが前記定位置に配置されていない場合は、該呼び操作が行われたパレットが前記定位置に配置されるように前記パレットを移動させ、前記呼び操作が行われたパレットと該呼び操作が行われたパレットを前記定位置へ配置移動させるために移動させる前記パレットの移動完了により該乗入階の前記呼び操作が行われたパレットに入出庫できるようにする、
ことを特徴とする多段複数列式駐車設備における入出庫制御方法。
多段で少なくとも4列の偶数列の格納スペースを備え、前記多段の所定段を乗入階とし、前記乗入階のパレットを列数より1台少なくして該乗入階の前記パレットを横行可能とし、他の段のパレットを同一列で昇降可能とした多段複数列式駐車設備における入出庫制御方法であって、
前記乗入階の横行可能な前記パレットの定位置を、列数の中央に隣接する列が空スペースとなるようそれぞれの前記横行可能なパレットを配置した位置にそれぞれ定め、
前記乗入階の横行可能な前記パレットのいずれかに入出庫する呼び操作により、該呼び操作が行われたパレットが前記定位置に配置されているか否かを判定し、
前記呼び操作が行われたパレットが前記定位置に配置されていない場合は、該呼び操作が行われたパレットが前記定位置に配置されるように前記パレットを移動させ、前記呼び操作が行われたパレットと該呼び操作が行われたパレットを前記定位置へ配置移動させるために移動させる前記パレットの移動完了により該乗入階の前記呼び操作が行われたパレットに入出庫できるようにする、
ことを特徴とする多段複数列式駐車設備における入出庫制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1では、呼び時に横行パレットが定位置にない場合は、呼びパレットを定位置に移動させるための配置移動が多く発生する。このため、配置移動の動作分だけ呼びの待ち時間が増加する場合が多い。また、配置移動のための機械動作によりエネルギ消費を多く生じる。しかも、機械動作の騒音を多く発する。
【0007】
また、上記特許文献2では、入出庫完了後の復帰動作によって常に「定常状態」として横行パレットの定位置を決めるため、入出庫後に全ての横行パレットを強制的に定位置に復帰動作させる機械動作が行われる。よって、機械動作のためのエネルギ消費を生じる。しかも、機械動作の騒音を多く発する。
【0008】
このように、これらの先行技術では、復帰動作のために呼びの待ち時間が長くなったり、機械動作が多くなることによるエネルギ消費と騒音が多くなる。騒音は、夜間の入出庫が多い場合には近隣の迷惑になる。
【0009】
さらに、上記特許文献1のように構成した場合、左端位置と右端位置とでは呼びの待ち時間に大きな差が出る場合があり、利用者が不公平感を感じることがある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明者は、誤入庫を防止することができ、且つ、横行パレットの定位置への配置移動が発生する確率を低くすることに着目し、呼びの待ち時間の短縮と省エネルギを図れる多段複数列式駐車設備の入出庫制御方法を発明した。
【0011】
本発明に係る多段複数列式駐車設備の入出庫制御方法は、多段で少なくとも3列の格納スペースを備え、前記多段の所定段を乗入階とし、前記乗入階のパレットを列数より1台少なくして該乗入階の前記パレットを横行可能とし、他の段のパレットを同一列で昇降可能とした多段複数列式駐車設備の入出庫制御方法であって、前記乗入階の横行可能な前記パレットの定位置を、列数の中央又はその隣を空スペースとした位置とし、前記乗入階の前記パレットに入出庫する呼び操作により、呼びパレットが前記定位置に配置されているか否かを判定し、前記呼びパレットが前記定位置に配置されていない場合は、該呼びパレットを前記定位置に配置し、前記呼びパレットの前記定位置への配置移動完了により該乗入階の前記パレットに入出庫できるようにする。
【0012】
この構成によれば、少なくとも3列の格納スペースを備える多段複数列式駐車設備において、乗入階のパレットが入出庫時に定位置となっていない場合、列数の中央又はその隣が空スペースとなる定位置への移動動作が行われた後に入出庫が可能となるので、常に定まった列で入出庫を可能とする配置移動が発生する確率が低くなり、待ち時間を削減し、機械動作が少なくなることで配置移動のエネルギ低減と、騒音の低減を図ることができる。しかも、多段複数列式駐車設備において、乗入階において横行するパレットの利用者は、入出庫する列が異なっても呼びの待ち時間で大きな時間差を生じることなく同じ列で入出庫することができる。
【0013】
また、前記格納スペースは、奇数列で備えられており、奇数列の中央部が前記空スペースとなるように前記定位置を定めていてもよい。
【0014】
このように構成すれば、複数列の中央部が空スペースとなるので、空スペースから左右方向の列における入出庫の機械動作、時間などを同じ条件にすることができる。
【0015】
また、前記呼びパレットの前記定位置への配置移動は、前記呼びパレットを前記定位置に配置するのに必要な最小限のパレットのみとしてもよい。
【0016】
このように構成すれば、パレットを配置移動させるエネルギを減らし、発生騒音の低下を図ることができる。
【0017】
また、前記呼びパレットの前記定位置への配置移動は、前記乗入階の全ての前記パレットを前記定位置に配置するようにしてもよい。
【0018】
このように構成すれば、乗入階の全てのパレットが定位置に配置されるため、乗入階における次の入庫時に配置移動が発生する確率を減らすことができる。よって、入出庫時の待ち時間を減らすことができる。
【0019】
また、前記乗入階のパレット前方にフェンスを備え、前記呼びパレットが前記定位置に配置されていない場合に、該呼びパレットの前記定位置への配置移動完了により前記フェンスの開放を許可するようにしてもよい。
【0020】
このように構成すれば、呼びパレットが定位置に配置されていない場合、呼びパレットの定位置配置完了によりフェンスを開放させることができるので、フェンスの開放を呼びパレットの定位置配置を条件にすることができる。
【0021】
一方、本発明に係る多段複数列式駐車設備は、前記いずれかの入出庫制御方法を実行する制御装置を備えている。
【0022】
このように構成すれば、複数列の格納スペースを備える多段複数列式駐車設備において、乗入階におけるパレットの配置移動が発生する確率を減らして、呼びの待ち時間の短縮と機械動作の短縮による省エネルギと騒音低下を図ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、多段複数列式駐車設備における誤入庫対策のための機械動作を低減して、呼びの待ち時間を短縮することが可能となる。しかも、機械動作を低減させることで、省エネルギと騒音の低減を図ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、主に、地上2段、地下1段で、5列の格納スペースを有する多段複数列式駐車設備20を例に説明する。各格納スペースは、契約利用者の車両を格納するようになっている。なお、契約利用者は、以下、単に「利用者」という。また、この明細書及び特許請求の範囲の書類中における上下左右方向の概念は、
図1に示す多段複数列式駐車設備20を正面から見た状態における上下左右方向の概念と一致するものとする。
【0026】
(多段複数列式駐車設備の一例)
図1は、一実施形態に係る多段複数列式駐車設備20を示す正面視の構成図であり、地上2段、地下1段、5列の格納スペースを有している。以下、地上2階を「上段」、地上階を「中段」、地下1階を「下段」ともいう。この実施形態では、上段は高車高車Hの格納が可能な上段格納スペース21、中段は高車高車Hの格納が可能な中段格納スペース22、下段は低車高車Nを格納する下段格納スペース23となっている。多段の所定段である中段格納スペース22が、地上階の乗入階となっている。下段格納スペース23は、地面を掘削して形成されたピット24内に設けられている。これらの格納スペース21,22,23は、支柱と梁を組み合わせた構造枠体(図示略)を骨格として構築される。
【0027】
上段格納スペース21には5台の上段パレット30が配置され、下段格納スペース23には5台の下段パレット32が配置されている。入出庫階である中段格納スペース22には、5列の格納スペース22に対して1台少ない4台の中段パレット31が横行可能なように配置され、中央に1台分の空スペース25が形成されている。
【0028】
中段パレット31は、中段格納スペース22の間で横行駆動部(図示略)によって左右方向に横行可能となっている。上段格納スペース21の上段パレット30及び下段格納スペース23の下段パレット32は、昇降駆動部(図示略)によって駆動される昇降用チェーン(図示略)によって中段格納スペース22との間で昇降可能となっている。中段格納スペース22の空スペース25に、上段パレット30が下降して配置されるか、下段パレット32が上昇して配置される。空スペース25は、中段パレット31を横行させることで左右に移動させることができる。これにより、乗入階である中段格納スペース22に配置された各パレット30〜32に対し、高車高車H及び低車高車Nを入出庫させることができる。
【0029】
図示する状態の多段複数列式駐車設備20は、全ての中段パレット31が定位置に配置された状態を示している。この実施形態における中段パレット31の定位置としては、5列の中央が空スペース25となり、左2列と右2列に中段パレット31が配置された状態となる。この状態において、例えばパレットに対して入出庫が行なわれる際には、上段パレット30または下段パレット32の内1つのパレットが空スペース25に配置され、他の上段パレット30は全て上段格納スペース21に配置され、他の下段パレット32は全て下段格納スペース23に配置されるようにできる。中段パレット31の位置と、このような上段パレット30、下段パレット32の位置を含めたものを、定位置としてもよい。定位置は、制御装置26の記憶部(ROM等)に記憶されている。制御装置26は、後述する入出庫制御方法を実行する制御部を有している。
【0030】
また、この実施形態の多段複数列式駐車設備20は、乗入階40のパレット前方にフェンス41が設けられている。フェンス41は、上下方向に開閉可能となっている。フェンス41の開放動作により、中段格納スペース22の各パレット30〜32に対して道路等の外方空間から入出庫可能となる。フェンス41の閉鎖動作により、中段格納スペース22の前方が遮断される。フェンス41の構造は限定されないが、ジャッキによって開閉させるもの、チェーンによって開閉させるもの等を利用できる。多段複数列式駐車設備20を運転する運転盤は、格納スペース21〜23を形成する支柱等に設けられる。
【0031】
(運転操作の説明)
図2は、
図1に示す多段複数列式駐車設備20の運転操作フローチャートである。このフローチャートでは、「利用者の運転盤操作・作業」と「フェンスの開閉」と「昇降・横行パレットの動き」とを横方向に並べて記載して説明する。なお、この明細書及び特許請求の範囲の書類中では、横行可能な中段パレット31は「横行パレット」ともいい、昇降可能な上段パレット30及び下段パレット32は「昇降パレット」ともいう。
【0032】
まず、利用者が電源「入」操作を行い(S1)、その操作に続いて呼びパレットの「呼び番号」の入力及び「スタート」釦の操作が行われる(S2)。これにより昇降パレット(30)、(32)の呼びかどうかが判断される(S3)。昇降パレット(30)、(32)の呼びの場合、目的の昇降パレット(30)、(32)が乗入階40に着床しているか否かが判断される(S4)。そして、目的の昇降パレット(30)、(32)が乗入階40に着床している場合、フェンス開表示灯が点滅し、フェンス開動作が可能となる(S5)。
【0033】
一方、上記呼びパレットが昇降パレット(30)、(32)か否かの判断(S3)で、昇降パレット(30)、(32)ではないと判定された場合、呼出した横行パレット(31)が定位置に停止しているか否かが判断される(S6)。呼出した横行パレット(31)が定位置に停止していると判定された場合、上記したようにフェンス開表示灯が点滅し、フェンス開動作が可能となる(S5)。
【0034】
上記呼出した横行パレット(31)が定位置に停止しているか否かの判断(S6)で、定位置に停止していないと判定された場合、横行パレット(31)の定位置への配置移動が開始される(S7)。本発明によれば、この定位置への配置移動が発生する確率が後述するように少なくなり、呼びの待ち時間の短縮、省エネルギ、騒音低下、などの効果を奏することができる。
【0035】
そして、横行パレット(31)の定位置への配置移動完了により(S8)、上記したようにフェンス開表示灯が点滅し、フェンス開動作が可能となる(S5)。
【0036】
一方、上記目的の昇降パレット(30)、(32)が乗入階40に着床しているか否かの判断(S4)で、乗入階40に着床していないと判定された場合、目的の昇降パレット(30)、(32)の呼出し動作が開始される(S9)。そして、目的の昇降パレット(30)、(32)が乗入階40に着床して、配置移動が完了すると(S10)、上記したようにフェンス開表示灯が点滅し、フェンス開動作が可能となる(S5)。昇降パレットの呼び出しは、公知の動作とすればよい。
【0037】
利用者は、フェンス「開」表示灯が点滅することでフェンスを開けて入出庫可能であることを知り、フェンスの「開」釦を押す(S11)。フェンス「開」釦が押されると、多段複数列式駐車設備20の電源を操作するキースイッチがロックされた後(S12)、フェンスの開動作が開始される(S13)。そして、フェンスの開動作が完了すると(S14)、フェンス開表示灯が消灯する(S15)。その後、利用者は車両の入出庫を行う(S16)。
【0038】
利用者は、車の入出庫を行った後、フェンスの「閉」釦を押す(S17)。これにより、フェンス「閉」表示灯が点滅し(S18)、フェンスの閉動作が開始される(S19)。フェンスが下降して閉動作が完了すると(S20)、フェンス「閉」表示灯が消灯し(S21)、キースイッチのロックが作動解除される(S22)。そして、電源の「切」操作によって(S23)、終了する。
【0039】
このように入出庫制御される多段複数列式駐車設備20によれば、利用者が「呼び番号」を入力した段階で、目的の横行パレット(31)が定位置に停止いていない場合は、定位置への配置移動が行われる。また、目的の昇降パレット(30)、(32)が乗入階40に着床していない場合は、乗入階40への配置移動が行われる。これにより、利用者は、常に同一の列で自身のパレットに入出庫することになり、他の利用者のパレットに乗入れてしまう誤入庫を防止することができる。
【0040】
そして、本発明によれば、乗入階40における横行パレット(31)の定位置への配置移動が発生する確率を以下のように減らすことができる。
【0041】
(定位置の違いによる配置移動の説明)
図3は、
図1に示す多段複数列式駐車設備20における入出庫制御方法の配置移動が発生する確率の説明図である。5列の乗入階40において、全ての横行パレット(1)〜(4)を左に寄せて右端列を空スペース25とした定位置の場合(以下、「従来配置」という)と、中央部を空スペース25として横行パレット(1)〜(4)を左右均等に配置した定位置の場合(以下、「本発明配置」という)と、の配置移動が発生する確率を説明する。
【0042】
なお、横行パレット31(
図1)には、「1」から連続する番号を付し、空スペース25(
図1)は空白で示す。また、以下に示す配置移動が発生する確率は、呼び操作を行なった利用者が横行パレット31の契約者であり、且つ直前の利用者が昇降パレット30,32(
図1)の契約者の場合とする。また、全ての利用者が同じ頻度で利用するものとする。さらに、列数が奇数列の場合は中央列が空スペース25となる配置を定位置とし、列数が偶数列の場合は中央の左右どちらか隣の列が空スペース25となる配置を定位置として決めるものとする。
【0043】
<5列の場合>
5列の乗入階40について、横行パレット(1)〜(4)を左に寄せた従来配置の場合と、横行パレット(1)〜(4)を左右均等に配置した本発明配置の場合とにおいて、配置移動が発生する確率は以下のようになる。横行初期配置としては、全ての横行パレット(1)〜(4)が左に寄せられて空スペース25が右端となっている状態から、全ての横行パレット(1)〜(4)が右に寄せられて空スペース25が左端となっている状態までの5パターンがある。なお、初期配置のパターン数は列数と同じであり、以下のいずれの例でも同様である。図中、従来配置の場合を(A)、本発明配置の場合を(B)で示す(以下、全ての例で同様)。
【0044】
まず、昇降パレット((30)、(32):(
図1))へ入庫した後の横行パレット(1)〜(4)の呼びパターン数としては、空スペース25の位置が異なっても、4台の各横行パレット(1)〜(4)のそれぞれを呼ぶ4パターンがある。そして、5列において異なる初期配置が5パターンあるため、初期配置と呼びパターンの組み合わせによる合計パターン数は「20」となる。この合計パターン数を「100%」とする。
【0045】
次に、
図3に基づいて、横行初期配置のパターン毎に説明する。全ての横行パレット(1)〜(4)が左に寄せられた初期配置の状態では、従来配置の場合には配置移動が発生せずに「0」となり、本発明配置の場合には右側2台の横行パレット(3)または(4)を呼ぶ2パターンにおいて横行パレット(3)、(4)の両方または(4)のみを右に移動させる「2」の配置移動が発生する。また、右端の1台の横行パレット(4)が右に寄せられた初期配置の状態では、従来配置の場合には右端の横行パレット(4)を呼ぶ1パターンにおいて横行パレット(4)を左に移動させる「1」の配置移動が発生し、本発明配置の場合には中央の横行パレット(3)を呼ぶ1パターンにおいて横行パレット(3)を右に移動させる「1」の配置移動が発生する。また、横行パレット(1)〜(4)が左右均等の初期配置の状態では、従来配置の場合には右側の2台の横行パレット(3)または(4)を呼ぶ2パターンにおいて横行パレット(3)、(4)の両方または(3)のみを左に移動させる「2」の配置移動が発生し、本発明配置では配置移動は発生せずに「0」となる。また、右側に3台の横行パレット(2)〜(4)が寄せられた初期配置の状態では、従来配置の場合には右側に寄せられた横行パレット(2)〜(4)のいずれかを呼ぶ3パターンにおいて横行パレット(2)〜(4)の全てまたは(2)、(3)もしくは(2)のみを左に移動させる「3」の配置移動が発生し、本発明配置では横行パレット(2)を呼ぶ1パターンにおいて中央の1台の横行パレット(2)を左に移動させる「1」の配置移動が発生する。また、右側に全ての横行パレット(1)〜(4)が寄せられた初期配置の状態では、従来配置の場合には4台の横行パレット(1)〜(4)のいずれかを呼ぶ4パターンにおいて横行パレット(1)〜(4)の全て又は(1)〜(3)もしくは(1)、(2)または(1)のみを左に移動させる「4」の配置移動が発生し、本発明配置では横行パレット(1)または(2)を呼ぶ2パターンにおいて2台の横行パレット(1)、(2)の両方または(1)のみを左に移動させる「2」の配置移動が発生する。このように、横行パレット(1)〜(4)が定位置に対して異なる初期配置にある場合に配置移動が発生する。
【0046】
これらの配置移動が発生するパターン数を合計すると、従来配置の場合には「10」の組み合わせパターンにおいて配置移動が発生するのに対して、本発明配置の場合には「6」の組み合わせパターンにおいて配置移動が発生することになる。よって、上記全ての配置移動「20」に対して、従来配置の場合は「50%」、本発明配置の場合は「30%」の確率で配置移動が発生する。したがって、空スペース25を中央に配置して横行パレット(1)〜(4)を左右均等に配置した本発明配置の定位置とすることで、横行パレット(1)〜(4)への入出庫時に配置移動が発生する確率を減らすことができる。
【0047】
<3列の場合>
図4は、3列の多段複数列式駐車設備における入出庫制御方法の配置移動が発生する確率の説明図である。なお、昇降パレット((30)、(32):(
図1))へ入庫した後に横行パレット(1)、(2)を呼ぶパターン数としては、2台の横行パレット(1)、(2)のそれぞれを呼ぶ2パターンがあり、3パターンの初期配置と組み合わせた合計パターン数は「6」となる。この合計パターン数を「100%」とする(図示略)。
【0048】
全ての横行パレット(1)、(2)が左に寄せられた初期配置の状態では、従来配置の場合は配置移動が発生せずに「0」となり、本発明配置の場合には横行パレット(2)を右に移動させる「1」の配置移動が発生する。また、横行パレット(1)、(2)が左右均等の初期配置の状態では、従来配置の場合には右側の横行パレット(2)を左に移動させる「1」の配置移動が発生し、本発明配置では配置移動は発生せずに「0」となる。また、右側に全ての横行パレット(1)、(2)が寄せられた初期配置の状態では、従来配置の場合には2台の横行パレット(1)、(2)のいずれかを呼ぶ2パターンにおいて横行パレット(1)、(2)を左に移動させる「2」の配置移動が発生し、本発明配置の場合には横行パレット(1)を左に移動させる「1」の配置移動が発生する。
【0049】
これらの配置移動が発生するパターン数を合計すると、従来配置の場合には「3」の組み合わせパターンにおいて配置移動が発生するのに対して、本発明配置の場合には「2」の組み合わせパターンにおいて配置移動が発生することになる。よって、上記全ての配置移動「6」に対して、従来配置の場合は「50%」、本発明配置の場合は「33%」の確率で配置移動が発生する。したがって、空スペース25を中央に配置して横行パレット(1)、(2)を左右均等に配置した本発明配置の定位置とすることで、横行パレット(1)、(2)への入出庫時に配置移動が発生する確率を減らすことができる。
【0050】
<6列の場合>
図5は、6列の多段複数列式駐車設備における入出庫制御方法の配置移動が発生する確率の説明図である。なお、昇降パレット((30)、(32):(
図1))へ入庫した後に横行パレット(1)〜(5)を呼ぶパターン数としては、5台の横行パレット(1)〜(5)のそれぞれを呼ぶ5パターンがあり、6パターンの初期配置と組み合わせた合計パターン数は「30」となる。この合計パターン数を「100%」とする(図示略)。この例は偶数列であるため、本発明配置としては、横行パレット(1)〜(5)を左3台、右2台で配置し、列数の中央右隣を空スペース25としている。なお、列数の中央左隣を空スペース25に設定することもできる。
【0051】
全ての横行パレット(1)〜(5)が左に寄せられた初期配置の場合では、従来配置の場合には配置移動が発生せずに「0」となり、本発明配置の場合には右側2台の横行パレット(4)または(5)を呼ぶ2パターンにおいて横行パレット(4)、(5)の両方または(5)のみを右に移動させる「2」の配置移動が発生する。また、右端の1台の横行パレット(5)が右に寄せられた初期配置の状態では、従来配置の場合には右端の横行パレット(5)を呼ぶ1パターンにおいて横行パレット(5)を左に移動させる「1」の配置移動が発生し、本発明配置の場合には中央右側の横行パレット(4)を呼ぶ1パターンにおいて横行パレット(4)を右に移動させる「1」の配置移動が発生する。また、中央の右隣に空スペース25が配置された初期配置の状態では、従来配置の場合には右側の2台の横行パレット(4)または(5)を呼ぶ2パターンにおいて横行パレット(4)、(5)の両方または(4)のみを左に移動させる「2」の配置移動が発生し、本発明配置では配置移動は発生せずに「0」となる。また、右側に3台の横行パレット(3)〜(5)が寄せられた初期配置の状態では、従来配置の場合には右側の全ての横行パレット(3)〜(5)のいずれかを呼ぶ3パターンにおいて横行パレット(3)〜(5)のいずれか((3)〜(5)、(3)〜(4)、(3))を左に移動させる「3」の配置移動が発生し、本発明配置では右側に寄せられている1台の横行パレット(3)を呼ぶ1パターンにおいて横行パレット(3)を左に移動させる「1」の配置移動が発生する。また、右側に4台の横行パレット(2)〜(5)が寄せられた初期配置の状態では、従来配置の場合には右側に寄せられた横行パレット(2)〜(5)のいずれかを呼ぶ4パターンにおいて横行パレット(2)〜(5)のいずれか((2)〜(5)、(2)〜(4)、(2)〜(3)、(2))を左に移動させる「4」の配置移動が発生し、本発明配置では右側に寄せられている2台の横行パレット(2)または(3)を呼ぶ2パターンにおいて横行パレット(2)、(3)の両方または(2)のみを左に移動させる「2」の配置移動が発生する。また、右側に全ての横行パレット(1)〜(5)が寄せられた初期配置の状態では、従来配置の場合には5台の横行パレット(1)〜(5)のいずれかを呼ぶ5パターンにおいて横行パレット(1)〜(5)のいずれか((1)〜(5)、(1)〜(4)、(1)〜(3)、(1)〜(2)、(1))を左に移動させる「5」の配置移動が発生し、本発明配置では3台の横行パレット(1)〜(3)のいずれかを呼ぶ3パターンにおいて横行パレット(1)〜(3)のいずれか((1)〜(3)、(1)〜(2)、(1))を左に移動させる「3」の配置移動が発生する。
【0052】
これらの配置移動が発生するパターン数を合計すると、従来配置の場合には「15」の組み合わせパターンにおいて配置移動が発生するのに対して、本発明配置の場合には「9」の組み合わせパターンにおいて配置移動が発生することになる。よって、上記全ての配置移動「30」に対して、従来配置の場合は「50%」、本発明配置の場合は「30%」の確率で配置移動が発生する。したがって、空スペース25を中央の隣に配置して横行パレット(1〜5)を左右に配置した本発明配置の定位置とすることで、横行パレット(1〜5)への入出庫時に配置移動が発生する確率を減らすことができる。
【0053】
<7列の場合>
図6は、7列の多段複数列式駐車設備における入出庫制御方法の配置移動が発生する確率の説明図である。なお、昇降パレット((30)、(32):(
図1))へ入庫した後に横行パレット(1)〜(6)を呼ぶパターン数としては、6台の横行パレット(1)〜(6)のそれぞれを呼ぶ6パターンがあり、7パターンの初期配置と組み合わせた合計パターン数は「42」となる。この合計パターン数を「100%」とする(図示略)。
【0054】
全ての横行パレット(1)〜(6)が左に寄せられた初期配置の状態では、従来配置の場合には配置移動が発生せずに「0」となり、本発明配置の場合には3台の横行パレット(4)〜(6)のいずれかを呼ぶ3パターンにおいて横行パレット(4)〜(6)のいずれか((4)〜(6)、(5)〜(6)、(6))を右に移動させる「3」の配置移動が発生する。また、右端の1台の横行パレット(6)が右に寄せられた初期配置の状態では、従来配置の場合には右端の横行パレット(6)を呼ぶ1パターンにおいて横行パレット(6)を左に移動させる「1」の配置移動が発生し、本発明配置の場合には中央とその右隣の横行パレット(4)または(5)を呼ぶ2パターンにおいて横行パレット(4)、(5)の両方または(5)を右に移動させる「2」の配置移動が発生する。また、中央の右隣列に空スペース25が配置された初期配置の状態では、従来配置の場合には右側の2台の横行パレット(5)、(6)を呼ぶ2パターンにおいて横行パレット(5)、(6)の両方または(5)を左に移動させる「2」の配置移動が発生し、本発明配置の場合には中央の横行パレット(4)を呼ぶ1パターンにおいて横行パレット(4)を右に移動させる「1」の配置移動が発生する。また、左右均等に横行パレット(1)〜(6)が配置された初期配置の状態では、従来配置の場合には右側の3台の横行パレット(4)〜(6)のいずれかを呼ぶ3パターンにおいて横行パレット(4)〜(6)のいずれか((4)〜(6)、(4)〜(5)、(4))を左に移動させる「3」の配置移動が発生し、本発明配置では配置移動は発生せずに「0」となる。また、右側に4台の横行パレット(3)〜(6)が寄せられた初期配置の状態では、従来配置の場合には右側の全ての横行パレット(3)〜(6)のいずれかを呼ぶ4パターンにおいて横行パレット(3)〜(6)のいずれか((3)〜(6)、(3)〜(5)、(3)〜(4)、(3))を左に移動させる「4」の配置移動が発生し、本発明配置の場合には右側に寄っている1台の横行パレット(3)を呼ぶ1パターンにおいて横行パレット(3)を左に移動させる「1」の配置移動が発生する。また、右側に5台の横行パレット(2)〜(6)が寄せられた初期配置の状態では、従来配置の場合には右側の全ての横行パレット(2)〜(6)のいずれかを呼ぶ5パターンにおいて横行パレット(2)〜(6)のいずれか((2)〜(6)、(2)〜(5)、(2)〜(4)、(2)〜(3)、(2))を左に移動させる「5」の配置移動が発生し、本発明配置の場合には右側に寄っている2台の横行パレット(2)または(3)を呼ぶパターンにおいて横行パレット(2)、(3)の両方または(2)のみを左に移動させる「2」の配置移動が発生する。また、右側に全ての横行パレット(31)が寄っている初期配置の状態では、従来配置の場合には6台の横行パレット(1)〜(6)を呼ぶ6パターンにおいて横行パレット(1)〜(6)のいずれか((1)〜(6)、(1)〜(5)、(1)〜(4)、(1)〜(3)、(1)〜(2)、(1))を左に移動させる「6」の配置移動が発生し、本発明配置では3台の横行パレット(1)〜(3)のいずれかを呼ぶ3パターンにおいて横行パレット(1)〜(3)のいずれか((1)〜(3)、(1)〜(2)、(1))を左に移動させる「3」の配置移動が発生する。
【0055】
これらの配置移動が発生するパターン数を合計すると、従来配置の場合には「21」の組み合わせパターンにおいて配置移動が発生するのに対して、本発明配置の場合には「12」の組み合わせパターンにおいて配置移動が発生することになる。よって、上記全ての配置移動「42」に対して、従来配置の場合は「50%」、本発明配置の場合は「29%」の確率で配置移動が発生する。したがって、空スペース25を中央に配置して横行パレット(1〜6)を左右均等に配置した本発明配置の定位置とすることで、横行パレット(1〜6)への入出庫時に配置移動が発生する確率を減らすことができる。
【0056】
このように、上記多段複数列式駐車設備20の入出庫制御方法は、3列以上の列数において適用することで、配置移動が発生する確率を減らすことができる。3列から7列の多段複数列式駐車設備20において、定位置を全て一方に寄せた場合と、定位置を左右均等に配置した場合の配置移動が発生する確率をまとめると以下の通りとなる。
【0058】
(配置移動例)
上記横行パレット(31)の定位置への配置移動は、呼びパレットを定位置に配置するのに必要な最小限の横行パレット(31)を移動させるようにすれば、横行パレット(31)を配置移動させるエネルギを減らし、発生騒音の低下を図ることができる。さらに、横行パレット(31)の定位置への配置移動を、乗入階40の全ての横行パレット(31)を定位置に配置するようにすれば、乗入階40の全ての横行パレット(31)が定位置に配置されるため、乗入階40における次の入出庫時に配置移動が発生する確率を減らすことができ、入出庫時の待ち時間を減らすことができる。
【0059】
(総括)
以上のように、上記多段複数列式駐車設備20の入出庫制御方法によれば、乗入階40における空スペース25を列数の中央又はその隣に設定して横行パレット(31)の定位置を左右均等にする、もしくは均等に近づけることで、配置移動が発生する確率を大幅に低減することが可能となる。そして、配置移動の動作が減ることで、呼び操作に対する待ち時間が短縮でき、かつ機械動作が減ることで省エネルギと騒音の低減を図ることが可能となる。
【0060】
また、横行パレット(31)を左右一方に寄せた定位置とした場合、横行パレット(31)の呼び時の配置移動が発生する確率は、寄せた側のパレットに対して反対側のパレットで多くなり、呼びの待ち時間に差が出て利用者間で不公平感を生じる。これに対して、左右均等にすれば、パレット間での配置移動の頻度の差が大きく改善され、不公平感を緩和することも可能となる。
【0061】
なお、配置移動時に最低限のパレットだけを復帰させるようにした場合も、定位置を左右均等に設定するほど、配置移動が発生する確率は小さくなる。また、呼び操作を行った利用者が昇降パレット(30,32)の契約者である場合は、定位置の設定に関わらず、入出庫のための横行パレットの配置移動の発生確率は変わらない。
【0062】
(変形例)
多段複数列式駐車設備20としては、例えば、地下1段〜2段、地上1段〜4段の多段複数列式駐車設備、地上2段〜5段の昇降横行式の多段複数列式駐車設備などに適用でき、横行パレット(31)が横行する段があればよく、段数、横行列数などは上記した実施形態に限定されるものではない。