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特許6978839エレベータシステムの操作方法、およびエレベータシステムの操作装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6978839
(24)【登録日】2021年11月16日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】エレベータシステムの操作方法、およびエレベータシステムの操作装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/44 20060101AFI20211125BHJP
【FI】
   B66B1/44 Z
【請求項の数】14
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-34245(P2017-34245)
(22)【出願日】2017年2月27日
(65)【公開番号】特開2017-154893(P2017-154893A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2020年2月14日
(31)【優先権主張番号】15/056,158
(32)【優先日】2016年2月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591020353
【氏名又は名称】オーチス エレベータ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Otis Elevator Company
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】プラサンナ ナガラジャン
(72)【発明者】
【氏名】アミール ロトフィ
(72)【発明者】
【氏名】エドワード ピエドラ
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−217112(JP,A)
【文献】 特開2004−043078(JP,A)
【文献】 特開2003−276962(JP,A)
【文献】 特開昭58−089572(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第3138802(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータシステムを操作する方法であって、
制御装置を利用して、外部電源が利用不可能である場合を検出することと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータシステムの複数の構成要素を制御することであって、前記制御することは、エレベータかご、駆動装置、インバータ及びブレーキの少なくとも1つを操作することを含む、前記エレベータシステムの複数の構成要素を制御することと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータかごの元の移動方向を検出することと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータかごのモードを検出することであって、前記モードは、運転モード、近平衡モード、及び回生モードの少なくとも1つを含む、前記エレベータかごのモードを検出することと、
前記制御装置を利用して、目的階を決定することと、
前記制御装置を利用して、検出された前記モードに応じて前記目的階に到着するための前記エレベータかごの速度を調整することと、
を含み、
前記制御装置を利用して、前記運転モードが検出される際に、前記エレベータかごの前記速度がほぼゼロ速度へ低減することを可能にすることと、
前記制御装置を利用して、前記元の移動方向の反対方向において、前記エレベータかごの前記速度が選択されたクリープ速度へ増大することを可能にすることと、
をさらに含む、エレベータシステムの操作方法。
【請求項2】
前記制御装置を利用して、選択された時間の間、前記選択されたクリープ速度を維持することと、
前記制御装置を利用して、前記選択された時間が終了する際に、前記元の移動方向の前記反対方向において、前記エレベータかごの前記速度を低減させることと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータかごが前記目的階に近づくにつれて、前記エレベータかごの前記速度を調整することと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータかごが前記目的階にある際に、前記ブレーキを作動させることと、
をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記制御装置を利用して、前記選択されたクリープ速度が前記元の移動方向の前記反対方向において選択された速度を下回る際に、前記インバータを停止させることと、
前記制御装置を利用して、前記元の移動方向の前記反対方向において、エレベータかごの前記速度を選択された代替クリープ速度へと増大させることと、
前記制御装置を利用して、選択された時間の間、前記選択された代替クリープ速度を維持することと、
前記制御装置を利用して、前記選択された時間が終了する際に、前記元の移動方向の前記反対方向において、前記エレベータかごの前記速度を低減させることと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータかごが前記目的階に近づくにつれて、前記エレベータかごの前記速度を調整することと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータかごが前記目的階にある際に、前記ブレーキを作動させることと、
をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
エレベータシステムを操作する方法であって、
制御装置を利用して、外部電源が利用不可能である場合を検出することと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータシステムの複数の構成要素を制御することであって、前記制御することは、エレベータかご、駆動装置、インバータ及びブレーキの少なくとも1つを操作することを含む、前記エレベータシステムの複数の構成要素を制御することと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータかごの元の移動方向を検出することと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータかごのモードを検出することであって、前記モードは、運転モード、近平衡モード、及び回生モードの少なくとも1つを含む、前記エレベータかごのモードを検出することと、
前記制御装置を利用して、目的階を決定することと、
前記制御装置を利用して、検出された前記モードに応じて前記目的階に到着するための前記エレベータかごの速度を調整することと、
を含み、
前記制御装置を利用して、前記近平衡モードが検出される際に、前記エレベータかごが前記目的階に到着するための減速率を決定することと、
前記制御装置を利用して、決定された前記減速率に応じて前記エレベータかごの前記速度が低減することを可能にすることと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータかごが前記目的階に近づくにつれて、前記エレベータかごの前記速度を調整することと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータかごが前記目的階にある際に、前記ブレーキを作動させることと、
をさらに含む、エレベータシステムの操作方法。
【請求項5】
エレベータシステムを操作する方法であって、
制御装置を利用して、外部電源が利用不可能である場合を検出することと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータシステムの複数の構成要素を制御することであって、前記制御することは、エレベータかご、駆動装置、インバータ及びブレーキの少なくとも1つを操作することを含む、前記エレベータシステムの複数の構成要素を制御することと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータかごの元の移動方向を検出することと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータかごのモードを検出することであって、前記モードは、運転モード、近平衡モード、及び回生モードの少なくとも1つを含む、前記エレベータかごのモードを検出することと、
前記制御装置を利用して、目的階を決定することと、
前記制御装置を利用して、検出された前記モードに応じて前記目的階に到着するための前記エレベータかごの速度を調整することと、
を含み、
前記制御装置を利用して、前記回生モードが検出される際に、前記エレベータかごの前記速度が選択されたクリープ速度へ低減することを可能にすることと、
前記制御装置を利用して、選択された時間の間、前記選択されたクリープ速度を維持することと、
前記制御装置を利用して、前記選択された時間が終了する際に、前記エレベータかごの前記速度をほぼゼロへ低減させることと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータかごが前記目的階に近づくにつれて、前記エレベータかごの前記速度を調整することと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータかごが前記目的階にある際に、前記ブレーキを作動させることと、
をさらに含む、エレベータシステムの操作方法。
【請求項6】
エレベータシステムを操作する方法であって、
制御装置を利用して、外部電源が利用不可能である場合を検出することと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータシステムの複数の構成要素を制御することであって、前記制御することは、エレベータかご、駆動装置、インバータ及びブレーキの少なくとも1つを操作することを含む、前記エレベータシステムの複数の構成要素を制御することと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータかごの元の移動方向を検出することと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータかごのモードを検出することであって、前記モードは、運転モード、近平衡モード、及び回生モードの少なくとも1つを含む、前記エレベータかごのモードを検出することと、
前記制御装置を利用して、目的階を決定することと、
前記制御装置を利用して、検出された前記モードに応じて前記目的階に到着するための前記エレベータかごの速度を調整することと、
を含み、
前記制御装置を利用して、前記回生モードが検出される際に、第1の選択された時間の間、前記エレベータかごの現在の速度を維持することと、
前記制御装置を利用して、前記第1の選択された時間が終了する際に、前記エレベータかごの前記速度が選択されたクリープ速度へ低減することを可能にすることと、
前記制御装置を利用して、第2の選択された時間の間、前記選択されたクリープ速度を維持することと、
前記制御装置を利用して、前記第2の選択された時間が終了する際に、前記エレベータかごの前記速度をほぼゼロへ低減させることと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータかごが前記目的階に近づくにつれて、前記エレベータかごの前記速度を調整することと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータかごが前記目的階にある際に、前記ブレーキを作動させることと、
をさらに含む、エレベータシステムの操作方法。
【請求項7】
エレベータシステムを操作する方法であって、
制御装置を利用して、外部電源が利用不可能である場合を検出することと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータシステムの複数の構成要素を制御することであって、前記制御することは、エレベータかご、駆動装置、インバータ及びブレーキの少なくとも1つを操作することを含む、前記エレベータシステムの複数の構成要素を制御することと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータかごの元の移動方向を検出することと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータかごのモードを検出することであって、前記モードは、運転モード、近平衡モード、及び回生モードの少なくとも1つを含む、前記エレベータかごのモードを検出することと、
前記制御装置を利用して、目的階を決定することと、
前記制御装置を利用して、検出された前記モードに応じて前記目的階に到着するための前記エレベータかごの速度を調整することと、
を含み、
前記制御装置を利用して、前記回生モードが検出される際に、前記エレベータかごが前記目的階に到着するための減速率を決定することと、
前記制御装置を利用して、決定された前記減速率に応じて、前記エレベータかごの前記速度が低減することを可能にすることと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータかごが前記目的階に近づくにつれて、前記エレベータかごの前記速度を調整することと、
前記制御装置を利用して、前記エレベータかごが前記目的階にある際に、前記ブレーキを作動させることと、
をさらに含む、エレベータシステムの操作方法。
【請求項8】
エレベータシステムを操作するための装置であって、
エレベータかごと、
駆動装置と、
インバータと、
ブレーキと、
前記エレベータシステムの複数の構成要素を制御するための制御装置と、
を備え、
前記制御は、前記エレベータかご、前記駆動装置、前記インバータ、及び前記ブレーキの少なくとも1つを操作することを含み、
前記制御装置が、
前記外部電源が利用不可能である場合を検出することと、
前記エレベータかごの元の移動方向を検出することと、
運転モード、近平衡モード、及び回生モードの少なくとも1つを含む、前記エレベータかごのモードを検出することと、
目的階を決定することと、
検出された前記モードに応じて前記目的階に到着するための前記エレベータかごの速度を調整することと、
を備えた操作を実行するように構成され、
前記操作は、さらに、
前記運転モードが検出される際に、前記エレベータかごの前記速度がぼゼロ速度へ低減することを可能にすることと、
前記元の移動方向の反対方向において、前記エレベータかごの前記速度が選択されたクリープ速度へ増大することを可能にすることと、
を含む、エレベータシステムの操作装置。
【請求項9】
前記操作は、さらに、
選択された時間の間、前記選択されたクリープ速度を維持することと、
前記選択された時間が終了する際に、前記元の移動方向の前記反対方向において、前記エレベータかごの前記速度を低減させることと、
前記エレベータかごが前記目的階に近づくにつれて、前記エレベータかごの前記速度を調整することと、
前記エレベータかごが前記目的階にある際に、前記ブレーキを作動させることと、
を含む、請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記操作は、さらに、
前記選択されたクリープ速度が前記元の移動方向の前記反対方向において選択された速度を下回る際に、前記インバータを停止させることと、
前記元の移動方向の前記反対方向において、選択された代替クリープ速度へ前記エレベータかごの前記速度を増大させることと、
選択された時間の間、前記選択された代替クリープ速度を維持することと、
前記選択された時間が終了する際に、前記元の移動方向の前記反対方向において、前記エレベータかごの前記速度を低減させることと、
前記エレベータかごが前記目的階に近づくにつれて、前記エレベータかごの前記速度を調整することと、
前記エレベータかごが前記目的階にある際に、前記ブレーキを作動させることと、
を含む、請求項に記載の装置。
【請求項11】
エレベータシステムを操作するための装置であって、
エレベータかごと、
駆動装置と、
インバータと、
ブレーキと、
前記エレベータシステムの複数の構成要素を制御するための制御装置と、
を備え、
前記制御は、前記エレベータかご、前記駆動装置、前記インバータ、及び前記ブレーキの少なくとも1つを操作することを含み、
前記制御装置が、
前記外部電源が利用不可能である場合を検出することと、
前記エレベータかごの元の移動方向を検出することと、
運転モード、近平衡モード、及び回生モードの少なくとも1つを含む、前記エレベータかごのモードを検出することと、
目的階を決定することと、
検出された前記モードに応じて前記目的階に到着するための前記エレベータかごの速度を調整することと、
を備えた操作を実行するように構成され、
前記操作は、さらに、
前記近平衡モードが検出される際に、前記エレベータかごが前記目的階に到着するための減速率を決定することと、
決定された前記減速率に応じて、前記エレベータかごの前記速度が低減することを可能にすることと、
前記エレベータかごが前記目的階に近づくにつれて、前記エレベータかごの前記速度を調整することと、
前記エレベータかごが前記目的階にある際に、前記ブレーキを作動させることと、
を含む、エレベータシステムの操作装置。
【請求項12】
エレベータシステムを操作するための装置であって、
エレベータかごと、
駆動装置と、
インバータと、
ブレーキと、
前記エレベータシステムの複数の構成要素を制御するための制御装置と、
を備え、
前記制御は、前記エレベータかご、前記駆動装置、前記インバータ、及び前記ブレーキの少なくとも1つを操作することを含み、
前記制御装置が、
前記外部電源が利用不可能である場合を検出することと、
前記エレベータかごの元の移動方向を検出することと、
運転モード、近平衡モード、及び回生モードの少なくとも1つを含む、前記エレベータかごのモードを検出することと、
目的階を決定することと、
検出された前記モードに応じて前記目的階に到着するための前記エレベータかごの速度を調整することと、
を備えた操作を実行するように構成され、
前記操作は、さらに、
前記回生モードが検出される際に、前記エレベータかごの前記速度が選択されたクリープ速度へと低減することを可能にすることと、
選択された時間の間、前記選択されたクリープ速度を維持することと、
前記選択された時間が終了する際に、前記エレベータかごの前記速度をほぼゼロへ低減させることと、
前記エレベータかごが前記目的階に近づくにつれて、前記エレベータかごの前記速度を調整することと、
前記エレベータかごが前記目的階にある際に、前記ブレーキを作動させることと、
を含む、エレベータシステムの操作装置。
【請求項13】
エレベータシステムを操作するための装置であって、
エレベータかごと、
駆動装置と、
インバータと、
ブレーキと、
前記エレベータシステムの複数の構成要素を制御するための制御装置と、
を備え、
前記制御は、前記エレベータかご、前記駆動装置、前記インバータ、及び前記ブレーキの少なくとも1つを操作することを含み、
前記制御装置が、
前記外部電源が利用不可能である場合を検出することと、
前記エレベータかごの元の移動方向を検出することと、
運転モード、近平衡モード、及び回生モードの少なくとも1つを含む、前記エレベータかごのモードを検出することと、
目的階を決定することと、
検出された前記モードに応じて前記目的階に到着するための前記エレベータかごの速度を調整することと、
を備えた操作を実行するように構成され、
前記操作は、さらに、
前記回生モードが検出される際に、第1の選択された時間の間、前記エレベータかごの現在の速度を維持することと、
前記第1の選択された時間が終了する際に、前記エレベータかごの前記速度が選択されたクリープ速度へ低減することを可能にすることと、
第2の選択された時間の間、前記選択されたクリープ速度を維持することと、
前記第2の選択された時間が終了する際に、前記エレベータかごの前記速度をほぼゼロへ低減させることと、
前記エレベータかごが前記目的階に近づくにつれて、前記エレベータかごの前記速度を調整することと、
前記エレベータかごが前記目的階にある際に、前記ブレーキを作動させることと、
を含む、エレベータシステムの操作装置。
【請求項14】
エレベータシステムを操作するための装置であって、
エレベータかごと、
駆動装置と、
インバータと、
ブレーキと、
前記エレベータシステムの複数の構成要素を制御するための制御装置と、
を備え、
前記制御は、前記エレベータかご、前記駆動装置、前記インバータ、及び前記ブレーキの少なくとも1つを操作することを含み、
前記制御装置が、
前記外部電源が利用不可能である場合を検出することと、
前記エレベータかごの元の移動方向を検出することと、
運転モード、近平衡モード、及び回生モードの少なくとも1つを含む、前記エレベータかごのモードを検出することと、
目的階を決定することと、
検出された前記モードに応じて前記目的階に到着するための前記エレベータかごの速度を調整することと、
を備えた操作を実行するように構成され、
前記操作は、さらに、
前記回生モードが検出される際に、前記エレベータかごが前記目的階に到着するための減速率を決定することと、
決定された前記減速率に応じて、前記エレベータかごの前記速度が低減することを可能にすることと、
前記エレベータかごが前記目的階に近づくにつれて、前記エレベータかごの前記速度を調整することと、
前記エレベータかごが前記目的階にある際に、前記ブレーキを作動させることと、
を含む、エレベータシステムの操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は概して、エレベータシステムの分野に関し、より詳細には、外部電源からの電力が利用不可能である場合にエレベータを制御された停止位置へと移動させるための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的なエレベータシステムは、昇降路内に配置されたかご及び釣合い重り、かごと釣合い重りとを接続する複数の張力ロープ、ならびに張力ロープに係合させてかご及び釣合い重りを駆動させる駆動綱車を有する駆動装置を含む。ロープ、ひいてはかご及び釣合い重りは、駆動綱車の回転によって駆動する。駆動装置及びその関連機器は従来、別個の機械室に収容されていた。
【0003】
新しいエレベータシステムは、昇降路に駆動装置を搭載することによって、別個の機械室が不要となる。これらのエレベータシステムは、機械室レスシステムと称される。エレベータシステムは従来、操作が外部電源に依存しており、そのため外部電源が利用不可能である場合の操作が困難になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明は、高度な円滑救援操作を有するエレベータシステムおよびその操作方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態により、エレベータシステムの操作方法が提供される。本方法は、制御装置を利用して、外部電源が利用不可能である場合を検知することを含む。本方法はまた、制御装置を利用してエレベータシステムの複数の構成要素を制御することを含む。制御することは、エレベータかご、駆動装置、インバータ及びブレーキの少なくとも1つを操作することを含む。本方法はさらに、制御装置を利用して、エレベータかごの元の移動方向を検出することを含む。本方法はさらに、制御装置を利用して、エレベータかごのモードを検出することを含み、ここで、モードは運転モード、近平衡モード、及び回生モードの少なくとも1つを含む。本方法は、制御装置を利用して、目的階を検出することを含む。本方法はまた、制御装置を利用して、検出されたモードに応じて目的階に到着するためにエレベータかごの速度を調整することを含む。
【0006】
上述の1つもしくは複数の特徴に加えて、またはその代わりに、本方法のさらなる実施形態は、制御装置を利用して、運転モード検出時に、エレベータかごの速度が、ほぼゼロへ低減することを可能にすることと、制御装置を利用して、元の移動方向の反対方向において、エレベータかごの速度が、選択されたクリープ速度へ増大することを可能にすることを含んでもよい。
【0007】
上述の1つもしくは複数の特徴に加えて、またはその代わりに、本方法のさらなる実施形態は、制御装置を利用して、選択された時間の間に選択されたクリープ速度を維持することと、選択された時間の終了時に、制御装置を利用して、元の移動方向の反対方向において、エレベータかごの速度を低減することと、エレベータかごが目的階に近づくにつれて、制御装置を利用して、エレベータかごの速度を調整することと、制御装置を利用して、エレベータかごが目的階にある際に、ブレーキを作動させることを含んでもよい。
【0008】
上述の1つもしくは複数の特徴に加えて、またはその代わりに、本方法のさらなる実施形態は、制御装置を利用して、選択されたクリープ速度が元の移動方向の反対方向の選択された速度を下回る場合に、インバータを停止させることと、制御装置を利用して、元の移動方向の反対方向において、エレベータかごの速度を選択された代替クリープ速度へ増大させることと、制御装置を利用して、選択された時間の間に、選択された代替クリープ速度を維持することと、制御装置を利用して、選択された時間の終了時に、元の移動方向の反対方向において、エレベータかごの速度を低減させることと、制御装置を利用して、エレベータかごが目的階に近づくにつれて、エレベータかごの速度を調整することと、制御装置を利用して、エレベータかごが目的階にある際に、ブレーキを作動させることを含んでもよい。
【0009】
上述の1つもしくは複数の特徴に加えて、またはその代わりに、本方法のさらなる実施形態は、制御装置を利用して、近平衡モード検出時に、エレベータかごが目的階に到着するための減速率を決定することと、制御装置を利用して、決定された減速率に応じてエレベータかごの速度が低減することを可能にすることと、制御装置を利用して、エレベータかごが目的階に近づくにつれて、エレベータかごの速度を調整することと、制御装置を利用して、エレベータかごが目的階にある際に、ブレーキを作動させることを含んでもよい。
【0010】
上述の1つもしくは複数の特徴に加えて、またはその代わりに、本方法のさらなる実施形態は、制御装置を利用して、回生モード検出時に、エレベータかごの速度が選択されたクリープ速度へ低減することを可能にすることと、制御装置を利用して、選択された時間の間に選択されたクリープ速度を維持することと、制御装置を利用して、選択された時間の終了時に、エレベータかごの速度をほぼゼロへ低減することと、制御装置を利用して、エレベータかごが目的階に近づくにつれて、エレベータかごの速度を調整することと、制御装置を利用して、エレベータかごが目的階にある際に、ブレーキを作動させることを含んでもよい。
【0011】
上述の1つもしくは複数の特徴に加えて、またはその代わりに、本方法のさらなる実施形態は、制御装置を利用して、回生モード検出時に、第1の選択された時間の間にエレベータかごの現在の速度を維持することと、制御装置を利用して、第1の選択された時間の終了時に、エレベータかごの速度が選択されたクリープ速度へ低減することを可能にすることと、制御装置を利用して、第2の選択された時間の間に選択されたクリープ速度を維持することと、制御装置を利用して、第2の選択された時間の終了時に、エレベータかごの速度をほぼゼロへ低減することと、制御装置を利用して、エレベータかごが目的階に近づくにつれて、エレベータかごの速度を調整することと、制御装置を利用して、エレベータかごが目的階にある際に、ブレーキを作動させることを含んでもよい。
【0012】
上述の1つもしくは複数の特徴に加えて、またはその代わりに、本方法のさらなる実施形態は、制御装置を利用して、回生モード検出時に、エレベータかごが目的階に到着するための減速率を決定することと、制御装置を利用して、決定された減速率に応じてエレベータかごの速度が低減することを可能にすることと、制御装置を利用して、エレベータかごが目的階に近づくにつれて、エレベータかごの速度を調整することと、制御装置を利用して、エレベータかごが目的階にある際に、ブレーキを作動させることを含んでもよい。
【0013】
別の実施形態により、エレベータシステムを操作するための装置が提供される。本装置は、エレベータかごと、駆動装置と、インバータと、ブレーキと、エレベータシステムの複数の構成要素を制御するための制御装置、を備える。制御することは、エレベータかご、駆動装置、インバータ及びブレーキの少なくとも1つを操作することを含む。制御装置は、外部電源が利用不可能である場合を検出することと、エレベータかごの元の移動方向を検出することと、エレベータかごのモードを検出することであって、モードは、運転モード、近平衡モード、及び回生モードの少なくとも1つを含む、エレベータかごのモードを検出することと、目的階を決定することと、制御装置を利用して、検出されたモードに応じて目的階に到着するためのエレベータかごの速度を調整することと、を含む操作を実行する。
【0014】
上述の特徴の1つ以上に加えて、またはその代わりに、本装置のさらなる実施形態は、運転モード検出時にエレベータかごの速度が、ほぼゼロへ低減することを可能にすることと、元の移動方向の反対方向において、エレベータかごの速度が、選択されたクリープ速度へ増大することを可能にすることを含んでもよい。
【0015】
上述の特徴の1つ以上に加えて、またはその代わりに、本装置のさらなる実施形態は、選択された時間の間に選択されたクリープ速度を維持することと、選択された時間の終了時に、元の移動方向の反対方向において、エレベータかごの速度を低減することと、エレベータかごが目的階に近づくにつれて、エレベータかごの速度を調整することと、エレベータかごが目的階にある際に、ブレーキを作動させることを含んでもよい。
【0016】
上述の特徴の1つ以上に加えて、またはその代わりに、本装置のさらなる実施形態は、選択されたクリープ速度が元の移動方向の反対方向において選択された速度を下回る場合に、インバータを停止させることと、元の移動方向の反対方向において、エレベータかごの速度を選択された代替クリープ速度へ増大することと、選択された時間の間に選択された代替クリープ速度を維持することと、選択された時間の終了時に、元の移動方向の反対方向において、エレベータかごの速度を低減することと、エレベータかごが目的階に近づくにつれて、エレベータかごの速度を調整することと、エレベータかごが目的階にある際に、ブレーキを作動させることを含んでもよい。
【0017】
上述の特徴の1つ以上に加えて、またはその代わりに、本装置のさらなる実施形態は、近平衡モード検出時に、エレベータかごが目的階に到着するための減速率を決定することと、決定された減速率に応じてエレベータかごの速度が低減することを可能にすることと、エレベータかごが目的階に近づくにつれて、エレベータかごの速度を調整することと、エレベータかごが目的階にある際に、ブレーキを作動させることを含んでもよい。
【0018】
上述の特徴の1つ以上に加えて、またはその代わりに、本装置のさらなる実施形態は、回生モード検出時に、エレベータかごの速度が選択されたクリープ速度へ低減することを可能にすることと、選択された時間の間に選択されたクリープ速度を維持することと、選択された時間の終了時に、エレベータかごの速度をほぼゼロへ低減することと、エレベータかごが目的階に近づくにつれて、エレベータかごの速度を調整することと、エレベータかごが目的階にある際に、ブレーキを作動させることを含んでもよい。
【0019】
上述の特徴の1つ以上に加えて、またはその代わりに、本装置のさらなる実施形態は、回生モード検出時に、第1の選択された時間の間にエレベータかごの現在の速度を維持することと、第1の選択された時間の終了時に、エレベータかごの速度が選択されたクリープ速度へ低減することを可能にすることと、第2の選択された時間の間に選択されたクリープ速度を維持することと、第2の選択された時間の終了時に、エレベータかごの速度をほぼゼロへ低減することと、エレベータかごが目的階に近づくにつれて、エレベータかごの速度を調整することと、エレベータかごが目的階にある際に、ブレーキを作動させることを含んでもよい。
【0020】
上述の特徴の1つ以上に加えて、またはその代わりに、本装置のさらなる実施形態は、回生モード検出時に、エレベータかごが目的階に到着するための減速率を決定することと、決定された減速率に応じてエレベータかごの速度が低減することを可能にすることと、エレベータかごが目的階に近づくにつれて、エレベータかごの速度を調整することと、エレベータかごが目的階にある際に、ブレーキを作動させることを含んでもよい。
【0021】
本開示の実施形態の技術的効果には、エレベータシステムが、外部電源からの電力が利用不可能である場合に、エレベータかごを制御された停止位置へと移動させるための制御装置を有することが含まれる。さらに、技術的効果には、制御装置がエレベータかごの動作モードを検出し、それに応じてかごの速度を調整することが含まれる。
【0022】
上述の特徴及び要素は、特に明示されない限り、様々な組み合わせで非排他的に組み合わせてもよい。これらの特徴及び要素、ならびに操作は、以下の説明及び添付図面を参照することによってより明らかになる。しかし、以下の説明及び図面が本質的に例示及び説明のためのものであり、限定するためのものではないことを理解すべきである。
【0023】
上述及びその他の特徴、ならびに本開示の利点は、以下の詳細な説明を、いくつかの図において同様の要素が同様に番号付けされている添付図面と併せて理解することで明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示の実施形態による、エレベータシステムの概略図を示す。
図2】本開示の実施形態による、図1のエレベータシステムのブロック図である。
図3】本開示の実施形態による運転モードにおける、エレベータかごの減速経路を示す速度−時間グラフである。
図4】本開示の実施形態による近平衡モードにおける、エレベータかごの減速経路を示す速度−時間グラフである。
図5】本開示の実施形態による回生モードにおける、エレベータかごの減速経路を示す速度−時間グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここで図1及び2を参照する。図1は、本開示の実施形態による、エレベータシステム10の概略図を示す。図2は、本開示の実施形態による、図1のエレベータシステム10のブロック図を示す。エレベータシステム10は、昇降路50内で複数のかごガイドレール60に沿って垂直に上方及び下方移動するよう構成されたエレベータかご23を備える。エレベータシステム10はまた、プーリーシステム26によってエレベータかご23に動作可能に接続される釣合い重り28を備える。釣合い重り28は、昇降路50内で垂直に上方及び下方移動するよう構成される。釣合い重り28は、従来のエレベータシステムで公知であるように、エレベータかご23の移動とは概ね反対の方向に移動する。釣合い重り28の移動は、昇降路50内に搭載された釣合い重りのガイドレール70によって誘導される。
【0026】
エレベータシステム10はまた、電気本線(例えば、230ボルト、単相)などの交流(AC)電源12を備える。AC電力はAC電源12から、回路遮断器、メータなどを備えることができるスイッチパネル14へと提供される。スイッチパネル14から、AC電力が充電装置16へと提供され、充電装置16はバッテリ18を充電するためにAC電力を直流(DC)電力へと変換する。バッテリ18は、鉛蓄電池、リチウムイオン、または他の種類のバッテリであってもよい。バッテリ18は、外部電源(例えばAC電源12)が利用不可能である場合にエレベータシステム10に電力供給することができる。バッテリ18は、推進力を提供してもよく、かつ/または、ブレーキ24、エレベータドア、及び位置参照システムを含むがそれに限定されないエレベータシステム10の様々な構成要素へのバックアップ電源としての役割を果たしてもよい。あるいは、バッテリ18はまた、例えばコンデンサ、ガス駆動の発電機、太陽電池、水力発電機、風力発電機または任意の他の類似の発電及び/または蓄電装置などの別の電源であってもよい。DC電力は、制御装置30を介して、バッテリ18からのDC電力をAC駆動信号へと変換するインバータを含む駆動装置20へと流れる。駆動装置20は、機械22を駆動させて、機械22の駆動綱車を介してエレベータかご23を動作させる。AC駆動信号は、機械22の三相モータのための多相(例えば、三相)駆動信号であってもよい。機械22はまた、機械22及びエレベータかご23を停止させるために作動させることができるブレーキ24を備える。
【0027】
駆動装置20内のインバータはバッテリ18からのDC電力を、運転モード(motoring mode)において機械22を駆動させるためのAC電力へと変換する。運転モードは、機械22が駆動装置20から電流を導いている状況を指す。例えば、空のエレベータかごが下方に移動中であるか、または負荷がかかったエレベータかごが上方に移動中である場合に、運転モードが生じ得る。駆動装置20内のインバータはまた、回生モード(regenerative mode)で動作する場合に、機械22からのAC電力を、バッテリ18を充電するためにDC電力へと変換する。回生モードは、駆動装置20が(発電器として作動する)機械22から電流を受け、電流をAC電源12に供給し戻す状況を指す。例えば、空のエレベータかごが上方に移動中である場合か、または負荷がかかったエレベータかごが下方に移動中である場合に、回生モードが生じ得る。エレベータかご23の重量が釣合い重り28の重量とほぼ均衡する、近平衡モード(near balance mode)も存在する。機械22が駆動装置20から電流を引き込んでおり、エレベータかご23を不均衡に移動させるため、近平衡モードは運転モードと同様に動作する。当業者には理解されるように、運転モード、回生モード、及び近平衡モードは、上述のわずかな例以外において生じる場合があり、また、本開示の範囲内のものである。
【0028】
制御装置30は、エレベータシステム10の操作の制御を担う。制御装置30は、エレベータかご23の元の移動方向を検出してもよい。制御装置30はまた、エレベータかご23のモードを検出してもよい。モードは、上述の運転モード、近平衡モード、及び回生モードの少なくとも1つを含んでもよい。制御装置30は、外部電源12が利用不可能である場合を検出してもよい。外部電源12が利用不可能である場合、制御装置30は、目的階を決定し、検出されたモードに応じてエレベータかご23が目的階に到着するための速度の調整を担う。制御装置30は、プロセッサ及び関連記憶装置を備えてもよい。プロセッサは、均一にまたは不均一に配置されたフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、中央処理装置(CPU)、特定用途集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、またはグラフィック処理装置(GPU)ハードウェアを含む、種々の想定されるアーキテクチャのいずれかのシングルプロセッサまたはマルチプロセッサシステムであってもよいが、それに限定されない。記憶装置は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、または他の電子、光学、磁気、もしくは任意の他のコンピュータ可読媒体であってもよいが、それに限定されない。
【0029】
次に、本開示の実施形態による、運転モードにおける、エレベータかご23の減速経路を示す速度−時間グラフ300を示す図3を参照する。図3は、運転モード時に外部電源が利用不可能である場合304に制御装置30がたどる、第1の経路310、及び第2の経路350を含む2つの減速オプションを示す。制御装置30はまず、エレベータかご23のモードを検出するが、それは図3においては運転モードである。外部電源が利用不可能るある場合304に、制御装置30は、第1の経路310において、エレベータかご23の速度が、ほぼゼロ速度へ低減することを可能にしてもよい。制御装置30は、減速を助ける逆起電力による制動及び重力を含むが、それに限定されない様々な方法を利用してもよい。制御装置30はその後、エレベータかご23の速度が、元の移動方向の反対方向において、選択されたクリープ速度318へ増大することを可能にする。例えばエレベータかご23が満員で上昇していた場合、制御装置30は重力によりエレベータかご23を停止する(ゼロ速度)まで移動させ、その後それを下降させてもよい。制御装置30は、選択された時間T1の間、選択されたクリープ速度318を維持する。選択された時間T1の終了時、制御装置30は、元の移動方向の反対方向において、エレベータかご23の速度を低減させる。その後、T320において、制御装置は、エレベータかご23が目的階に近づくにつれてエレベータかご23の速度を調整し、エレベータかご23が目的階に来るとブレーキ24を作動させる。
【0030】
点354において選択されたクリープ速度が元の移動方向の反対方向の選択された速度を下回る場合、制御装置30は、第2の経路350を選択してたどってもよい。第2の経路350に関して、点354において、制御装置30はインバータを停止させ、元の移動方向の反対方向において、エレベータかご23の速度を、選択された代替クリープ速度358へ増大させる。356において、制御装置30は、選択された時間T2の間、選択された代替クリープ速度358を維持し、その後、元の移動方向の反対方向において、エレベータかご23の速度を低減させるように進む。その後360において、制御装置は、エレベータかご23が目的階に近づくにつれてエレベータかご23の速度を調整し、エレベータかご23が目的階に来るとブレーキ24を作動させる。
【0031】
次に、本開示の実施形態による近平衡モードにおける、エレベータかご23の減速経路を示す速度−時間グラフ400を示す図4を参照する。図4は、近平衡モード時に外部電源が利用不可能である場合404に制御装置30がたどる、第1の経路410、及び第2の経路450を含む2つの減速オプションを示す。制御装置はまず、エレベータかご23のモードを検出するが、それは図4においては近平衡モードである。外部電源が利用不可能である場合404に、第1の経路410において制御装置30は、416でエレベータかご23の速度が、ほぼゼロ速度へ低減することを可能にしてもよい。制御装置30は、減速を助ける逆起電力による制動及び重力を含むが、それに限定されない様々な方法を利用してもよい。制御装置30は選択された時間T3の間、ほぼゼロ速度を維持し、制御装置30は、自動救援動作(automatic rescue operation,ARO)速度418に達するまで、元の移動方向において、エレベータかご23の速度を増大させる。制御装置30は、第2の選択された時間T4の間、ARO速度を維持する。その後、420において、制御装置30は、目的階に近づくにつれてエレベータかご23の速度を低減させ、エレベータかご23が目的階に到着する際に、ブレーキ24を作動させる。
【0032】
制御装置30は、近平衡モードにおいて、第2の経路450を選択してたどってよい。第2の経路450においては、404において外部電源が利用不可能となった後に、制御装置30は、エレベータかご23が目的階に到着するための減速率を決定する。制御装置30は、その後、456において決定された減速率に応じて、エレベータかご23の速度が低減することを可能にする。制御装置30は、減速を助ける逆起電力による制動及び重力を含むが、それに限定されない様々な方法を利用してもよい。その後、460において、制御装置30はエレベータかご23が目的階に近づくにつれてエレベータかご23の速度を調整し、エレベータかご23が目的階に来るとブレーキ24を作動させる。
【0033】
次に、本開示の実施形態による回生モードにおける、エレベータかご23の減速経路を示す、速度−時間グラフ500を示す図5を参照する。図5は、404において外部電源が利用不可能である場合に、制御装置30がたどる、第1の経路510、第2の経路550、及び第3の経路580を含む3つの減速オプションを示す。制御装置30はまず、エレベータかご23のモードを検出するが、それは図5においては回生モードである。外部電源が利用不可能である場合504に、第1の経路510において、制御装置30は、回生モードの検出時、エレベータかご23の速度が、選択されたクリープ速度518へ低減することを可能にする。制御装置30は、減速を助ける逆起電力による制動及び重力を含むが、それに限定されない様々な方法を利用してもよい。その後、制御装置30は選択された時間T5の間、選択されたクリープ速度を維持し、その後、選択された時間T5の間、エレベータかご23の速度をほぼゼロへ低減させる。次に520において、制御装置は、エレベータかご23が目的階に近づくにつれてエレベータかご23の速度を調整し、エレベータかご23が目的階に来るとブレーキ24を作動させる。
【0034】
制御装置30は、回生モードにおいて、第2の経路550を選択してたどってよい。第2の経路550では、回生モード検出時に外部電源が利用不可能となった504後に、制御装置30は、554において第1の選択された時間T6の間、エレベータかご23の現在の速度を維持する。制御装置30は、その後、第1の選択された時間T6の終了時に、エレベータかご23の速度が、選択されたクリープ速度へ低減することを可能にする。制御装置30は、減速を助ける逆起電力による制動及び重力を含むがそれに限定されない様々な方法を利用してもよい。次に、制御装置30は、第2の選択された時間T7の間、選択されたクリープ速度を維持し、その後、第2の選択された時間T7の終了時に、エレベータかご23の速度をほぼゼロへ低減させる。その後560において、制御装置30は、エレベータかご23が目的階に近づくにつれてエレベータかご23の速度を調整し、エレベータかご23が目的階に来るとブレーキ24を作動させる。
【0035】
制御装置30は、回生モードにおいて、第3の経路580を選択してたどってよい。第3の経路580においては、外部電源が利用不可能となった504後に、制御装置30は、エレベータかご23が目的階に到着するための減速率を決定する。次に、制御装置30は、584において決定された減速率に応じて、エレベータかご23の速度が低減することを可能にする。制御装置30は、減速を助ける逆起電力による制動及び重力を含むが、それに限定されない様々な方法を利用してもよい。その後590において、制御装置30は、エレベータかご23が目的階に近づくにつれてエレベータかご23の速度を調整し、エレベータかご23が目的階に来るとブレーキ24を作動させる。
【0036】
本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とするものであり、限定することを意図するものではない。例示及び説明目的で記述が示されたが、これは開示する形態の実施形態を包括または限定するものではない。本明細書に記載されていない多数の修正、変形、変更、置き換え、または同等な構成が、本開示の範囲を逸脱することなく、当業者には理解される。さらに、様々な実施形態について説明したが、態様には、記載の実施形態の一部のみが含まれ得ることが当業者に理解される。したがって、本開示は、上述の説明によって限定されるものであるとはみなされず、添付の特許請求の範囲によってのみ、限定される。
【符号の説明】
【0037】
10…エレベータシステム
300…運転モード(motoring mode)における速度−時間グラフ
310…第1の経路
318…クリープ速度
350…第2の経路
358…代替クリープ速度
400…近平衡モード(near balance mode)における速度−時間グラフ
410…第1の経路
418…自動救援動作(ARO)速度
450…第2の経路
500…回生モード(regenerative mode)における速度−時間グラフ
510…第1の経路
518…クリープ速度
550…第2の経路
580…第3の経路
図1
図2
図3
図4
図5