【実施例】
【0013】
図1(a)は、実施例に係るコイル部品100の平面図、
図1(b)は、
図1(a)のA−A間の断面図である。なお、
図1(a)は実装面とは反対側から見た平面図であり、
図1(a)及び
図1(b)においては後述する固定部の図示を省略している。
図1(a)及び
図1(b)のように、実施例のコイル部品100は、ドラムコア10と、導線20と、リングコア30と、1対の端子電極50a、50bと、を備えるインダクタ素子である。
【0014】
ドラムコア10は、巻軸12と、巻軸12の軸方向の両端にそれぞれ設けられた1対の鍔部14a、14bと、を有する。巻軸12は円柱形状をしている。鍔部14a、14bは巻軸12の軸方向に厚みを有する円盤形状をしている。したがって、巻軸12及び鍔部14a、14bは、巻軸12の軸方向に直交する方向における断面形状が円形状となっている。巻軸12の直径は例えば4mm程度、高さは例えば3.8mm程度である。鍔部14a、14bの直径は例えば7.4mm程度、厚さは例えば1mm程度である。ドラムコア10は、磁性体で形成され、例えばニッケル(Ni)−亜鉛(Zn)系のフェライトで形成されているが、その他のスピネルフェライトや六方晶フェライト、Fe−Si−Cr系又はFe−Si−Al系等の軟磁性合金、あるいはアモルファス金属等で形成されていてもよく、これら粒子もしくは鉄系粒子に絶縁処理が施されたもので形成されていてもよい。
【0015】
導線20は、ドラムコア10の巻軸12に巻回された巻回部22と、巻回部22から引き出された引出部24と、を有する。導線20は絶縁被膜付きの導線からなる。導線20の絶縁被膜を耐熱温度が200℃以上の材質とすることで、後述する空隙82の発生状態をより好ましくすることができる。例えば、導線20はポリアミドイミド被膜付きの銅(Cu)線からなる。導線20の直径は例えば0.4mm程度である。
【0016】
リングコア30は、貫通孔32を有する円筒形状をしている。リングコア30の内径(貫通孔32の直径)は例えば7.6mm程度、外径は例えば10mm程度、高さは例えば5mm程度である。このように、貫通孔32の直径はドラムコア10の鍔部14a、14bの直径よりも大きく、貫通孔32にドラムコア10がリングコア30と略同軸に収納されている。リングコア30は、磁性体で形成され、例えばドラムコア10と同じ材料で形成されている。また、リングコア30は、ドラムコア10と異なる材質で形成されていてもよい。好ましくは、リングコア30の材料には、ドラムコア10よりも磁気的飽和し易い、透磁率の高い材質が用いられる。この構造により、ドラムコア10における磁気的な飽和を防止したコイル部品とすることができる。
【0017】
1対の端子電極50a、50bは、リングコア30に装着されている。端子電極50a、50bは、金属で形成されていて、例えばニッケル(Ni)と錫(Sn)のめっきが施されたCuで形成されている。端子電極50a、50bの厚さは例えば0.15mm程度である。
【0018】
ここで、
図2(a)及び
図2(b)を用いて端子電極50a、50bについて説明する。
図2(a)は、端子電極50a、50bが装着される前のリングコア30の平面図、
図2(b)は、端子電極50a、50bが装着された後のリングコア30の斜視図である。
図2(a)のように、リングコア30は、内周面34は全体が円形状となっているが、外周面36は円形の一部が削除されてリングコア30の軸方向に略平行な平坦面42a、42bが形成された形状となっている。平坦面42a、42bは、リングコア30の中心を挟んで対向する位置に設けられている。
【0019】
図2(a)及び
図2(b)のように、リングコア30の上面38には、平坦面42a、42bの位置に溝44a、44bが設けられている。したがって、溝44a、44bは、リングコア30の中心を挟んで対向する位置に設けられている。また、リングコア30の上面38には、溝44a、44bよりも大きな深さの溝46a、46bが設けられている。溝46a、46bは、リングコア30の中心を挟んで対向する位置に設けられている。
【0020】
端子電極50a、50bは、リングコア30の平坦面42a、42bから外周面36に延在してリングコア30に取り付けられている。端子電極50a、50bは、側面部52がリングコア30の平坦面42a、42bに位置し、上面部54がリングコア30の上面38に設けられた溝44a、44bに位置し、下面部56がリングコア30の下面40に位置し、爪部60がリングコア30の内周面34に位置することで、リングコア30に取り付けられている。端子電極50a、50bは、側面部52から側方に延びてリングコア30の上面38に設けられた溝46a、46bの下方に到達した延長部58を有する。延長部58は、導線接続部62と導線固定部64を有する。端子電極50a、50bは、例えば側面部52、上面部54、下面部56、延長部58、爪部60、導線接続部62、及び導線固定部64からなる1枚の金属プレートを所定の位置で曲げ加工し、かしめることで、リングコア30に装着される。なお、導線固定部64は、すでに折り曲げた状態で図示しているが、実際は、後述する
図6(b)及び
図6(c)のように、導線20の引出部24を導線接続部62上に引き出してから折り曲げ加工をするものである。
【0021】
図1(a)のように、導線20の引出部24と端子電極50a、50bの導線接続部62とは溶接接合されており、引出部24と導線接続部62との溶接部80が形成されている。ここで、引出部24と導線接続部62の接合部分について説明する。
図3(a)は、導線20の引出部24と端子電極50a、50bの導線接続部62との接合部分を示す斜視図、
図3(b)は、
図3(a)のA方向から見た側面図、
図3(c)は、
図3(a)のB−B間の断面図である。
【0022】
図3(a)から
図3(c)のように、引出部24と導線接続部62は、互いに並んで配置され、互いに接している。導線固定部64は、引出部24の一部を覆うようにして引出部24を導線接続部62に位置決め固定している。引出部24と導線接続部62は例えばレーザ溶接によって接合されている。このため、溶接部80が形成されている。溶接部80は、導線接続部62に対して引出部24とは反対側に隆起して導線接続部62の端面66と導線接続部62の引出部24とは反対側の面68とを覆って形成されている。すなわち、溶接部80は、引出部24に接合すると共に、導線接続部62の端面66と反対側の面68とに接合している。溶接部80は、例えば導線接続部62の反対側の面68から導線接続部62の厚さよりも大きく隆起している。
【0023】
溶接部80内には複数の空隙82が形成されている。溶接部80内に空隙82が形成されるメカニズムについては後述する。なお、溶接部80内には大小様々な空隙が形成されるが、ここでは直径が1μm以上のものを空隙82とする。
図3(c)のような導線接続部62の厚み方向の断面視において、導線接続部62の引出部24側の面70の端と溶接部80との接触部84から引出部24が延伸する第1方向に延ばした線86上での溶接部80に占める空隙82の割合は、接触部84から第1方向に交差する第2方向であって引出部24側に延ばした線88上での溶接部80に占める空隙82の割合よりも大きくなっている。例えば線86上の空隙82の数が線88上の空隙82の数よりも多くなっている。例えば線86上の単位長さあたりに占める空隙82の割合が線88上の単位長さあたりに占める空隙82の割合よりも大きくなっている。
【0024】
次に、実施例に係るコイル部品100の製造方法について説明する。
図4(a)から
図4(c)及び
図5(a)から
図5(c)は、実施例に係るコイル部品100の製造方法を示す平面図である。
図4(a)のように、上述したドラムコア10とリングコア30を準備する。
図4(b)のように、リングコア30に端子電極50a、50bを曲げ加工及びかしめ等によって組み付ける。
【0025】
図4(c)のように、ドラムコア10の巻軸12に、巻軸12に沿って重なるようにして、導線20を巻回しする。巻軸12の周りに巻回した巻回部22から導線20の両端部を引き出して引出部24とする。そして、引出部24が端子電極50a、50bとの接続位置に合うようにフォーミング加工(曲げ加工)する。例えば、導線20の両端における引出部24が、ドラムコア10の鍔部14aからの高さが互いに等しく且つドラムコア10に対して反対側に延伸するようにフォーミング加工(曲げ加工)する。この場合、導線20の両端における引出部24は一直線上に位置して形成される。
【0026】
図5(a)のように、導線20が巻回されたドラムコア10をリングコア30の貫通孔32に収納し、それぞれの中心軸が一致するように位置決めをする。位置決めは、ドラムコア10とリングコア30の外周面を画像認識することで行う。この状態で、ドラムコア10の上面側(すなわち、実装面とは反対側)からドラムコア10の鍔部14aの外周面とリングコア30の内周面との間にUV接着剤をディスペンサによって2点塗布し、その後、UVランプで硬化させる。UV接着剤は、例えば端子電極50a、50bの一部に掛かるように塗布するが、端子電極50a、50bに掛からなくてもよい。
【0027】
硬化したUV接着剤によって、ドラムコア10とリングコア30とを位置決めした位置に固定する固定部90a、90bが形成される。これにより、以後の製造工程等によってドラムコア10とリングコア30の相対位置が変わることを抑制できる。固定部90a、90bはドラムコア10の中心軸に対して対向した位置に設けることが好ましい。これにより、リングコア30に掛かる応力を均等にすることができる。なお、ドラムコア10とリングコア30の相対位置が変化することを抑制する点から、固定部90a、90bとなる接着剤は硬化後の硬度が高い材料を用いることが好ましい。例えば、固定部90a、90bは50N/cm
2以上のショア硬度を有することが好ましい。
【0028】
次に、導線20の絶縁被膜を剥離した後、導線20を端子電極50a、50bに接合する工程を実施する。この工程を
図6(a)から
図6(f)及び
図7(a)から
図7(d)を用いて説明する。
図6(a)から
図6(c)、
図7(a)、及び
図7(b)は、導線20と端子電極50a、50bとの接合工程を示す斜視図、
図6(d)から
図6(f)、
図7(c)、及び
図7(d)は、接合工程を示す側面図である。
【0029】
図6(a)及び
図6(d)のように、導線20の引出部24と端子電極50a、50bの導線接続部62とが互いに並んで接触するように、導線接続部62に対する引出部24の位置を位置決めする。引出部24は周囲に絶縁被膜26が形成された導線である。この際、引出部24の先端側が所定の長さだけ導線接続部62の端面から突出するように位置決めする。
【0030】
図6(b)及び
図6(e)のように、引出部24の一部を覆うように導線固定部64に折り曲げ加工を施し、引出部24と導線接続部62の位置がずれないように、引出部24を導線接続部62に固定する。
【0031】
図6(c)及び
図6(f)のように、引出部24の導線接続部62から突出した先端部分のうちの導線接続部62側の絶縁被膜26を剥離する。絶縁被膜26の剥離は、例えば導線接続部62側からグリーンレーザ光25を引出部24に照射することで行う。これにより、引出部24の周囲を覆う絶縁被膜26のうちの導線接続部62側の半分程度の絶縁被膜26が剥離される。なお、絶縁被膜26の剥離量は、引出部24の周囲を覆う絶縁被膜26のうちの半分程度の場合に限られず、1/3程度や1/4程度等のその他の場合でもよい。詳しくは後述するが、絶縁被膜26の残存量によって溶接部80内に形成される空隙82の量が変化することから、溶接部80内に形成する空隙82の量に応じて、絶縁被膜26の剥離量を適宜設定すればよい。
【0032】
図7(a)及び
図7(c)のように、導線接続部62側から絶縁被膜26を剥離した部分を含む引出部24と導線接続部62の引出部24とは反対側の面68の一部分とに、例えばYAGレーザを用いてレーザ光27を照射する。これにより、
図7(b)及び
図7(d)のように、引出部24と導線接続部62とが溶接接合されて、溶接部80が形成される。溶接部80はレーザ光27を照射した側に向かって隆起して形成される。このため、溶接部80は、導線接続部62に対して引出部24とは反対側に隆起して導線接続部62の端面66と導線接続部62の引出部24とは反対側の面68とを覆って形成される。溶接部80内には、
図3(c)のような複数の空隙82が形成される。
【0033】
溶接部80内に空隙82が形成されるメカニズムは以下によるものと考えられる。すなわち、
図6(c)及び
図6(f)で説明したように、引出部24の導線接続部62から突出した先端部分のうちの導線接続部62側の絶縁被膜26を剥離し、導線接続部62とは反対側には絶縁被膜26を残存させている。この状態で、
図7(a)及び
図7(c)で説明したように、引出部24の絶縁被膜26を剥離した部分と導線接続部62の引出部24とは反対側の面68の一部分とにレーザ光27を照射すると、引出部24の先端部分が溶融し、溶融した金属はレーザ光27が照射されている側へ移動して玉のような形状になると共に、残存している絶縁被膜26が熱により分解し、その分解物が断片となって溶融した金属中に取り込まれ移動するようになり、さらには、この分解物は熱によりガス化していくと考えられる。このガスにより溶接部80内に空隙82が形成されるようになると考えられる。
【0034】
また、溶接部80内の空隙82は、
図3(c)のように、接触部84から引出部24が延伸する第1方向に延ばした線86上における割合が、接触部84から第2方向であって引出部24側に延ばした線88上における割合よりも大きくなる。これは、以下のためと考えられる。すなわち、引出部24のレーザ光27が照射される側は十分に溶融が進むために金属の流動が起こり易く、多くの空隙82がそれに伴い移動すると考えられる。また、複数の空隙82が合わさり大きな空隙82になり易いと考えられる。したがって、接触部84から第1方向に延ばした線86上での溶接部80に占める空隙82の割合は大きくなり、接触部84から第2方向であって引出部24側に延ばした線88上での溶接部80に占める空隙82の割合は小さくなると考えられる。
【0035】
図6(a)から
図6(f)及び
図7(a)から
図7(d)で説明した工程を行うことで、
図5(b)のように、導線20と端子電極50a、50bとが溶接接合され、溶接部80が形成される。
【0036】
図5(c)のように、ドラムコア10とリングコア30の間のギャップに、固定部90a、90bの上面を覆うように熱硬化性接着剤をディスペンサによって塗布し、その後、例えば150℃で硬化させる。硬化後の熱硬化性接着剤は固定部92a、92bとなる。このように、固定部92a、92bが固定部90a、90bを覆うことで、固定部92a、92bが固定部90a、90bとは重ならずにドラムコア10の外周面と接する部分では、固定部92a、92bの高さ方向の厚みを確保できる。また、固定部92a、92bのドラムコア10の外周面と接する部分の長さを長く取ることで、この厚みを確保した部分を長くでき、剥離等の欠陥を抑制できる。
【0037】
なお、固定部92a、92bとなる接着剤は硬化後の線膨張係数が小さい材料を用いることが好ましい。例えば、固定部92a、92bは2×10
−5/K以下の線膨張係数を有する場合が好ましく、このような固定部92a、92bを形成する接着剤として低UV接着剤や熱硬化接着剤等が挙げられる。また、接着剤の線膨張係数以外の条件として、例えばガラス転移点が150℃以上であること、硬化前の粘度が80000mPa・s以上である場合が好ましい。これにより、1度の塗布でも接着剤の厚みが得られ易く、150℃の高温下の用途にも適用できる。
【0038】
以上のように、実施例によれば、
図3(b)及び
図3(c)のように、溶接部80は、導線接続部62に対して引出部24とは反対側に隆起して導線接続部62の端面66と引出部24とは反対側の面68とを覆って形成されている。溶接部80が導線接続部62の端面66と引出部24とは反対側の面68とを覆って形成されることにより、溶接部80は大きな面積で導線接続部62に接合し、且つ、導線接続部62は引出部24と溶接部80とで挟まれた形状となる。よって、導線接続部62から垂直方向に引出部24を剥離しようとする応力に対して両方の面を合わせた大きな面積が対抗することでより強固となるため、導線20と端子電極50a、50bとの接合強度を向上させることができる。
【0039】
また、
図3(b)及び
図3(c)のように、溶接部80は、導線接続部62の引出部24とは反対側の面68から導線接続部62の厚さよりも大きく隆起している。これによっても、引出部24と溶接部80とで導線接続部62をしっかりと挟むことになり、導線接続部62から垂直方向に引出部24を剥離しようとする応力に対して片側からではなく上下両方向から対抗する形となるため、導線20と端子電極50a、50bとの接合強度をより向上させることができる。
【0040】
また、
図3(c)のように、溶接部80内に空隙82が形成されている。これにより、コイル部品100の温度変化によって溶接部80に熱応力が生じた場合でも、空隙82によって応力が緩和され、引出部24と導線接続部62とが剥離することを抑制できる。
【0041】
ここで、金属結晶について行った測定について説明する。
図8(a)から
図8(d)は、
図3(c)の領域A〜Dでの金属結晶を測定した測定結果である。
図8(a)は、接触部84から第1方向に延ばした線86上を含む溶接部80の領域Aの測定結果、
図8(b)は、接触部84から第2方向に延ばした線88上を含む溶接部80の領域Bの測定結果、
図8(c)は、導線20の引出部24である領域Cの測定結果、
図8(d)は、端子電極50a、50bの導線接続部62である領域Dの測定結果である。なお、測定は、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM:Field-Emission Scanning Electron Microscope)による電子線後方散乱解析法(EBSD:Electron BackScattered Diffraction)法を用いて行った。測定条件は、加速電圧:15kV、測定間隔:1μm、測定領域:300μm×200μmで行った。また、金属結晶の平均粒径はNumber法により算出した。また、測定試料は、接合部を切断し、断面部分に研磨及びイオンミリング処理を行った後、導電性付与のためにオスミウム(Os)コーティングを施した。
【0042】
図8(a)から
図8(d)において、金属結晶の粒界を実線で表すとともに、空隙82をクロスハッチで表している。
図8(a)から
図8(d)のように、溶接部80での金属結晶の粒径は、導線20及び端子電極50a、50bに比べて大きくなっていることが分かる。例えば、
図8(a)の線86上を含む溶接部80での金属結晶の平均粒径は30μm程度、
図8(b)の線88上を含む溶接部80での金属結晶の平均粒径は8μm程度であるのに対し、
図8(c)の引出部24での金属結晶の平均粒径は3.1μm程度、
図8(d)の導線接続部62での金属結晶の平均粒径は1.8μm程度であった。なお、溶接部80において、導線接続部62に対して引出部24とは反対側に隆起した部分では最大で100μm程度の粒径の金属結晶があったのに対し、導線接続部62に対して引出部24側の部分では最大でも50μm程度であり、溶接部80全体での平均粒径は4.1μm程度であった。
【0043】
このように、溶接部80での金属結晶の粒径が大きいのは以下の理由によるものと考えられる。すなわち、溶接部80はレーザ光を照射することにより形成されることから、溶接部80は熱が加わることになる。このため、溶接部80では、結晶化が進行し易くなり、その結果、結晶粒径が大きくなると考えられる。このことは、導線接続部62に対して引出部24とは反対側に隆起した溶接部80の部分では、導線接続部62に対して引出部24側の溶接部80の部分よりも結晶粒径が大きかったこととも整合する。溶接部80において結晶化が進行するときに、溶接部80内に空隙82が形成されていると、空隙82によって結晶化の進行が抑制される。つまり、溶接部80内に空隙82が形成されていると、結晶粒径が大きくなることが抑制される。結晶粒径が大きいほど結晶粒界で構造欠陥が起こり易くなることから、溶接部80内に空隙82が形成されていることで、結晶粒界に起因した構造欠陥の発生を抑制することができる。
【0044】
溶接部80全体での金属結晶の平均粒径は、構造欠陥を抑制する点から、20μm以下の場合が好ましく、10μm以下の場合がより好ましい。一方、溶接部80での金属結晶の平均粒径が小さくなることは空隙82が多くなることであり、空隙82が多くなると溶接部80が大きくなる。したがって、溶接部80の大きさの点からは、溶接部80全体での金属結晶の平均粒径は、4μm以上の場合が好ましく、8μm以上の場合がより好ましい。
【0045】
また、実施例によれば、
図3(c)のように、接触部84から第1方向に延ばした線86上での溶接部80に占める空隙82の割合は、接触部84から第2方向であって引出部24側に延ばした線88上での溶接部80に占める空隙82の割合よりも大きい。コイル部品100の温度が変化した場合、導線20及び端子電極50a、50bは線膨張係数に応じた伸び縮みをする。この伸び縮みによって引出部24と導線接続部62とが離れる方向(第2方向)に動こうとする力が生じる場合がある。この場合、溶接部80に対して、接触部84から第1方向に向かって、金属結晶の結晶粒界に力が掛かることがある。このときに、接触部84から第1方向に延ばした線86上での空隙82の割合が大きいことで、結晶粒界に掛かる力を空隙82で効果的に止めることができる。これにより、結晶粒界に起因した構造欠陥の発生を抑制できる。
【0046】
また、接触部84から引出部24側に延ばした線88上での溶接部80に占める空隙82の割合が小さいことで、溶接部80が大きくなることや溶接部80による接続抵抗が高くなることを抑制できる。
【0047】
また、実施例によれば、導線20はCu線であり、端子電極50a、50bはNiとSnのめっきが施されたCuで形成されている。このように、導線20と端子電極50a、50bを同じ材料を用いて形成することで、レーザ溶接する際の融解に要するエネルギーを低くでき、溶接部80以外の周囲への影響を抑えることができる。
【0048】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。