(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の電子写真感光体の中間層は、下記式(1)で示される化合物および下記式(2)で示される化合物から選択される少なくとも1種の化合物Xを含有することを特徴とする電子写真感光体に関する。
【化3】
【化4】
式(1)中、R
1〜R
10は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アルコキシ基、およびアリールオキシ基のいずれかを示す。該アルキル基の主鎖中の炭素原子の1つは、OまたはNに置き換わってもよい。該アルキル基、該アルコキシ基、および該アリールオキシ基は、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、またはカルボニル基で置換されていてもよい。
また、式(2)中、A
1は、酸素原子を示す。A
2は、炭素原子を示す。R
11〜R
15は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アルコキシ基、およびアリール基のいずれかを示す。但し、R
14は、ヒドロキシ基またはカルボキシ基に限られる。該アルキル基の主鎖中の炭素原子の1つは、OまたはNに置き換わってもよい。該アリール基は、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、またはカルボキシ基で置換されていてもよい。
【0014】
さらに、本発明は、化合物Xが下記式(2´)で示される化合物であることを特徴とする電子写真感光体に関する。
【化5】
式(2´)中、B
1は酸素原子を示す。B
2は炭素原子を示す。R
21〜R
29は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アルコキシ基、およびアリール基のいずれかを示す。但し、R
24は、ヒドロキシ基またはカルボキシ基に限られる。該アリール基は、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、またはカルボキシ基で置換されていてもよい。
【0015】
前記R
1〜R
13、R
15、R
21〜R
23、およびR
26〜R
28としてのアルキル基は、いかなるアルキル基であってもよいが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基などが挙げられる。これらアルキル基の主鎖中の炭素原子の1つがOまたはNに置き換わってもよい。このような基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−メトキシエチル基、2−メトキシエチル基、N−メチルアミノメチル基、N−エチルアミノメチル基、1−(N−メチルアミノ)エチル基、2−(N−メチルアミノ)エチル基、N,N−ジメチルアミノメチル基などが挙げられる。
【0016】
前記R
1〜R
13、R
15、R
21〜R
23、およびR
26〜R
28としてのアルコキシ基は、いかなるアルコキシ基であってもよいが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、イソブトキシ基などが挙げられる。
【0017】
前記R
1〜R
13、R
15、R
21〜R
23、およびR
26〜R
28としてのアリールオキシ基は、いかなるアリールオキシ基であってもよいが、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基などが挙げられる。
【0018】
前記アルキル基、前記アルコキシ基、および前記アリールオキシ基の置換基としては、前述のアルキル基や、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、およびカルボニル基が挙げられる。置換基としてのカルボニル基を有する前記アルキル基および前記アルコキシ基とは、前記アルキル基および前記アルコキシ基の炭素原子の1または2以上がカルボニル基(C=O)となった基である。ここで、置換基としてのアルキル基は、置換基としてのアリール基またはハロゲン原子で置換されていても良く、置換基としてのアリール基は、置換基としてのアルキル基またはハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0019】
本願発明の電子写真感光体の中間層に金属酸化物並びに式(1)で示される化合物および式(2)で示される化合物から選択される少なくとも1種の化合物Xを含有させることで優れたゴースト現象の抑制効果を示す。本発明者らは、このメカニズムを以下のように推定している。
【0020】
式(1)で示される化合物は、極性が高く、共役が広く、かつ化合物同士がスタックしにくい構造を有している。特に、窒素原子を有する5員環である、1,3,4−オキサジアゾール構造を含むため、電荷を引き渡し易いと考えられる。また、式(2)で示される化合物は、対称軸からずれた位置に窒素原子を有するため、極性が高く、化合物同士がスタックしにくい構造を有している。そしてその構造に由来して、式(2)で示される化合物は、感光層から電子を受け取った際、化合物中への電子の滞留が起きにくい性質を有している。そのため、感光層から電子を受け取った際、式(1)で示される化合物および式(2)で示される化合物中への電子の滞留が起きにくく、その結果、式(1)で示される化合物および式(2)で示される化合物から選択される少なくとも1種の化合物Xを中間層に用いることで、感光層から中間層への電子の流れがスムーズとなり、ゴーストの原因となる感光層中の電荷の滞留を抑制することができる。
【0021】
また、本発明の電子写真感光体の中間層において、式(1)で示される化合物および式(2)で示される化合物から選択される少なくとも1種の化合物Xは、金属酸化物と錯体を形成していることが好ましい。式(1)で示される化合物および式(2)で示される化合物は、金属酸化物と錯体を形成することにより、錯体形成部の剛直性が増すことで、化合物の剛直性が増し、化合物が酸化される際のエネルギーが小さくなる。その結果、式(1)で示される化合物および式(2)で示される化合物中への電子の滞留を防ぐことができるようになる。また、式(1)で示される化合物および式(2)で示される化合物は、金属酸化物に対して錯体を作ることで、化合物と金属酸化物の距離が接近する。そのことによって、感光層からの電子の受け取りや金属酸化物間の電子の授受がスムーズとなる。その結果、ゴーストの原因となる感光層中の電荷の滞留を抑制することができる。
【0022】
式(1)で示される化合物および式(2)で示される化合物が金属酸化物と錯体を形成しているかどうかは、以下の方法で確認することができる。例えば、式(1)で示される化合物および式(2)で示される化合物が金属酸化物と錯体を形成すると、式(1)で示される化合物および式(2)で示される化合物のUVスペクトルは深色効果により、高波長側へシフトする。したがって、深色効果の有無から、式(1)で示される化合物および式(2)で示される化合物が金属酸化物と錯体を形成しているかを判断することができる。
【0023】
以下の表1に式(1)で示される化合物の具体的な例示化合物を、表2に式(2)で示される化合物の具体的な例示化合物を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
表1に示された式(1)で示される化合物の中でも、式(1)中のR
1〜R
10の少なくとも1つがヒドロキシ基またはカルボキシ基である化合物は、双極子モーメントが大きくなる点から好ましい。中でも、特にR
1、R
5、R
6、およびR
10の少なくとも一つがヒドロキシ基またはカルボキシ基である化合物は、さらに金属酸化物と錯体を形成しやすいという点からより好ましい。
【0027】
表2に示された式(2)で示される化合物の中でも、R
15がフェニル基である化合物は、立体障害の点からより好ましい。より好ましくは、式(2)中のR
11〜R
14の少なくとも1つ、または式(2´)中のR
21〜R
29の少なくとも一つがヒドロキシ基、カルボキシ基である化合物は、双極子モーメントの点から好ましく、特にR
14、およびR
24、R
25またはR
29の少なくとも一つがヒドロキシ基、カルボキシ基である化合物は金属酸化物への錯体形成の点からより好ましい。
【0028】
また、式(1)で示される化合物および式(2)で示される化合物から選択される少なくとも1種の化合物Xの中間層における含有量は、中間層中の金属酸化物に対して、0.05質量%以上20質量%以下含有することが好ましい。0.05質量%以上であれば、式(1)で示される化合物または式(2)で示される化合物と金属酸化物粒子とが十分に相互作用し、電位変動抑制効果はより高いものとなることで、ゴーストを抑制する効果に優れる。
【0029】
本発明において、中間層に含有される金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムがあり、これらを含有することが導電性の点から好ましい。より好ましくは、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズを含有することである。また、金属酸化物は、金属酸化物の表面がシランカップリング剤などの表面処理剤で処理されているものであってもよい。
【0030】
本発明において、中間層は、金属酸化物と、式(1)で示される化合物および式(2)で示される化合物から選択される少なくとも1種の化合物Xの他に結着樹脂を含有してもよい。結着樹脂としては、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エチルセルロース樹脂、エチレン−アクリル酸コポリマー、エポキシ樹脂、カゼイン樹脂、シリコーン樹脂、ゼラチン樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリレート、ポリアセタール、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリアリルエーテル、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリブタジエン、ポリプロピレンなどが挙げられる。これらの中でも、ブチラール樹脂およびポリウレタンが好ましい。
【0031】
中間層における結着樹脂の含有量は、金属酸化物に対して10質量%以上50質量%以下であることが好ましい。係る範囲とすることで、中間層の塗膜の均一性が良好となる。
【0032】
本発明の電子写真感光体は、例えば
図2に示すように、支持体、中間層、および電荷発生層と電荷輸送層を含む感光層をこの順に有する。
図2中、101は支持体であり、102は中間層であり、103は電荷発生層であり、104は電荷輸送層である。
【0033】
感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質とを単一の層に含有する単層型感光層(不図示)と、電荷発生物質を含有する電荷発生層103と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層104とに分離した積層型(機能分離型)感光層とが挙げられる。本発明においては、電荷発生層103、電荷発生層103上に電荷輸送層104を有する機能分離型(積層型)が好ましい。また、感光層上にさらに保護層(不図示)を形成してもよい。
以下、各層について説明する。
【0034】
〔支持体〕
本発明で用いられる支持体としては、導電性支持体であることが好ましい。導電性支持体としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス、ニッケル、銅、亜鉛、金などの金属またはそれらの合金で形成される支持体や、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ガラスなどの絶縁性支持体上に、アルミニウム、クロム、銀、金などの金属の薄膜;酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性材料を真空蒸着により被膜成形した薄膜;銀ナノワイヤーを加えた導電性インクの薄膜を形成した支持体を用いることもできる。アルミニウムやアルミニウム合金性の支持体の場合は、ED管、EI管や、これらを切削、電解複合研磨(電解作用を有する電極と電解質溶液による電解および研磨作用を有する砥石による研磨)、湿式または乾式ホーニング処理したものを用いることもできる。また、金属支持体、樹脂支持体上にアルミニウム、アルミニウム合金、または酸化インジウム−酸化スズ合金などの導電性材料の薄膜を形成したものも挙げられる。また、支持体の形状としては、円筒状やベルト状が挙げられるが、円筒状が好ましい。
【0035】
支持体の表面には、電気的特性の改善やレーザー光の散乱による干渉縞の抑制を目的として、陽極酸化などの電気化学的な処理や、湿式ホーニング処理、ブラスト処理、切削処理、粗面化処理、またはアルマイト処理を施してもよい。
【0036】
(導電層)
本発明において、支持体と後述する中間層との間には、レーザー光の散乱による干渉縞の抑制や、支持体の傷の被覆などを目的として、導電層を設けてもよい。導電層は、カーボンブラック、導電性粒子を結着樹脂および溶剤とともに分散して得られる導電層用塗布液を塗布し、これを加熱乾燥(熱硬化)させることによって形成することができる。
【0037】
導電層は、カーボンブラック、導電性粒子を結着樹脂および溶剤とともに分散して得られる導電層用塗布液を塗布し、これを加熱乾燥(熱硬化)させることによって形成することができる。導電性粒子としては、例えば、酸化亜鉛、鉛白、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物粒子が挙げられる。これらの中でも、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズを含有する金属酸化物粒子が好ましい。また、金属酸化物粒子の分散性を向上させるために、金属酸化物粒子の表面をシランカップリング剤などで処理してもよい。さらに、導電層の抵抗を制御するために、金属酸化物粒子に別の金属または金属酸化物をドープしてもよい。
【0038】
導電層に用いられる結着樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
【0039】
導電層用塗布液の溶剤としては、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素溶剤などが挙げられる。導電層用塗布液中で金属酸化物粒子を分散させるための分散方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
【0040】
導電層の平均膜厚は5μm以上40μm以下であることが好ましく、10μm以上30μm以下であることがより好ましい。
【0041】
〔中間層〕
支持体、または導電層と感光層との間には、金属酸化物および式(1)で示される化合物および式(2)で示される化合物から選択される少なくとも1種の化合物Xを含有する中間層が設けられる。
【0042】
本発明において、中間層に含有される金属酸化物は、中間層に導電性を付与する目的で用いられるものであれば特に限定されない。中でも、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムなどの金属酸化物が、適切な導電性の付与の観点から好ましい。中でも、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズが特に好ましい。
【0043】
また、本発明においては、金属酸化物として金属酸化物粒子を用いることが好ましい。金属酸化物粒子の平均一次粒径は、50nm以上500nm以下が好ましく、50nm以上300nm以下がより好ましい。なお、金属酸化物粒子の平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)などで断面を観察し、任意の粒子100個の粒径を測定し、その平均値を求めることで得られる。
【0044】
金属酸化物粒子は、金属酸化物粒子の表面が表面処理剤で処理されていてもよい。表面処理方法は公知の方法であればいかなる方法でもよく、乾式法または湿式法が用いられる。
【0045】
表面処理材としては、有機化合物では、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性材などが挙げられる。これらの中でも、シランカップリング剤が好ましく、特にアミノ基を有するシランカップリング剤が好ましい。
【0046】
アミノ基を有するシランカップリング剤の具体的例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、(フェニルアミノメチル)メチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルメチルジエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、(フェニルアミノメチル)トリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノイソブチルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。また、2種以上を混合して使用してもよい。
【0047】
乾式法にて表面処理を行う場合には、金属酸化物粒子をせん断力の大きなミキサなどで攪拌しながら、直接若しくは有機溶媒に溶解させた表面処理剤を滴下、または乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって処理される。添加または噴霧する際には溶剤の沸点以下の温度で行われることが望ましい。添加または噴霧した後、さらに100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けの温度、時間は任意の範囲で実施される。
【0048】
湿式法としては、金属酸化物粒子を溶剤中で攪拌、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミルなどを用いて分散し、表面処理剤を添加し攪拌または分散した後、溶剤除去することで処理される。溶剤除去方法はろ過または蒸留により留去される。溶剤除去後にはさらに100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に限定されない。
【0049】
中間層における、表面処理剤の含有量は、電子写真特性の観点から、金属酸化物粒子に対して0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
【0050】
また、金属酸化物粒子は、金属酸化物種の異なるもの、表面処理の異なるもの、または粒子径の異なるものなどを2種類以上混合して用いることもできる。
【0051】
さらに、金属酸化物粒子は、アルミナおよびシリカの少なくとも一方でコートされている粒子であってもよい。アルミナおよびシリカの少なくとも一方でコートすることで、中間層の結着樹脂との相溶性を向上させ、黒ポチ抑制効果を高めることができる。
【0052】
また、中間層には、さらに、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、シリコーン粒子などの疎水性有機樹脂粒子や、架橋型ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)粒子などの親水性有機樹脂粒子;レベリング剤などが挙げられる。特に、PMMA粒子を用いることにより、中間層の表面粗さを適正な範囲に調整することができ、膜を均一にできることから好ましい。
【0053】
本発明において、中間層は、金属酸化物並びに式(1)で示される化合物および式(2)で示される化合物から選択される少なくとも1種の化合物X、および結着樹脂を含有する中間層用塗布液を調製する工程と、中間層用塗布液の塗膜を形成する工程と、塗膜を乾燥させて中間層を形成する工程と、を経て形成される。中間層用塗布液は、中間層の構成成分に応じて調製すればよい。
【0054】
中間層用塗布液は、式(1)で示される化合物および式(2)で示される化合物から選択される少なくとも1種の化合物Xを溶剤に溶解し、結着樹脂を溶解させた液と金属酸化物を加えて調製する。また、中間層用塗布液は、金属酸化物と式(1)示される化合物および式(2)で示される化合物から選択される少なくとも1種の化合物Xを溶剤とともに分散処理して得られる分散液に、結着樹脂を溶解させた液を加え、さらに分散処理して調製してもよい。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、アトライター、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
【0055】
中間層は、まず上記の方法で調整した中間層用塗布液の塗膜を支持体または導電層上に塗布することにより形成する工程、この塗膜を乾燥させる工程により中間層を形成することができる。この塗膜の乾燥方法としては、加熱乾燥または送風乾燥が用いられ、樹脂の硬化温度、硬化時間を考慮の上、所望の電子写真感光体の特性を得られる範囲で任意に設定できる。
【0056】
中間層の塗布方法としては、浸漬塗布法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法などの塗布方法が挙げられる。
【0057】
中間層用塗布液に用いられる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、脂肪族ハロゲン化炭化水素系溶剤、芳香族化合物などの有機溶剤が挙げられる。例えば、メチラール、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、メチルセロソルブ、メトキシプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどが適宜用いられる。また、これらの中間層用塗布液に用いる溶剤は、単独、あるいは2種以上のものを混合して用いることができる。
【0058】
中間層の平均膜厚は、0.5μm以上40μm以下であることが好ましく、1μm以上30μm以下であることがより好ましい。
【0059】
〔感光層〕
中間層上には、感光層(電荷発生層103、電荷輸送層104)が形成される。
【0060】
(電荷発生層)
本発明に用いられる電荷発生物質としてはアゾ顔料、フタロシアニン顔料、インジゴ誘導体、ペリレン顔料、アントラキノン誘導体、ジベンズピレンキノン誘導体、スクワリリウム色素、チアピリリウム塩、トリフェニルメタン色素、キナクリドン顔料や、アズレニウム塩顔料、シアニン染料、アントアントロン誘導体、ピラントロン誘導体、ビオラントロン誘導体、イソビオラントロン誘導体、インジゴ誘導体、チオインジゴ誘導体、ビスベンズイミダゾール誘導体、キサンテン色素、キノンイミン色素、スチリル色素などが挙げられる。これら電荷発生物質の中でも、感度の観点から、フタロシアニン顔料やアゾ顔料が好ましく、フタロシアニン顔料がより好ましい。これら電荷発生物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
【0061】
フタロシアニン顔料の中でも、特にオキシチタニウムフタロシアニン、またはクロロガリウムフタロシアニン若しくはヒドロキシガリウムフタロシアニンが優れた電荷発生効率を示す。さらに、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの中でも、感度および電位特性の観点から、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θが7.4°±0.3°および28.2°±0.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶がより好ましい。
【0062】
電荷発生層103に用いられる結着樹脂としては、エチレン、ブタジエン、プロピレン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、スチレン−ブタジエンコポリマー、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーなどのビニル化合物の重合体および共重合体や、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ブチラール樹脂、ベンザール樹脂、ポリアセタール、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリアリルエーテル、ポリアリレート、ポリイミド、ポリウレタン、ユリア樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が好ましくポリビニルアセタール樹脂がより好ましい。特に、ブチラール樹脂が好ましい。これらは、単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0063】
電荷発生層103中の電荷発生物質と結着樹脂との割合は、結着樹脂1質量部に対して電荷発生物質が0.3質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
【0064】
電荷発生層103は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤とともに分散処理して得られる電荷発生層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。また、電荷発生層103は、電荷発生物質の蒸着膜としてもよい。
【0065】
電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤は、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、脂肪族ハロゲン化炭化水素系溶剤、芳香族化合物などが挙げられる。電荷発生物質、結着樹脂、および溶剤の分散方法としては、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、アトライター、液衝突型高速分散機などを用いた方法が挙げられる。
【0066】
また、電荷発生層103には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤を必要に応じて添加することもできる。
【0067】
電荷発生層103の平均膜厚は、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。
【0068】
(電荷輸送層)
積層型感光層を有する電子写真感光体において、電荷発生層103上には、電荷輸送層104が形成される。
【0069】
本発明で用いられる電荷輸送物質としては、多環芳香族化合物、複素環化合物、トリフェニルアミンなどのトリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などが挙げられる。また、電荷輸送物質としては、これらの化合物から誘導される基を主鎖または側鎖に有するポリマーも挙げられる。これらの中でも、電荷の移動度および繰り返し使用時の電位安定性の観点から、トリアリールアミン化合物およびベンジジン化合物が好ましい。これら電荷輸送物質は、1種のみを用いてもよく、2種以上を共に用いてもよい。
【0070】
電荷輸送層104に用いられる結着樹脂としては、ポリエステル、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリスルホン、ポリアリレート、アクリロニトリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリルアミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリアリルエーテル、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリプロピレン、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。これらの中でも、ポリアリレート、ポリカーボネートが好ましい。これらは、単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0071】
電荷輸送層104中の電荷輸送物質と結着樹脂との割合は、結着樹脂1質量部に対して電荷輸送物質が0.3質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
【0072】
電荷輸送層104は、電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解させて得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。また、電荷輸送層104を積層構成とする場合、電荷輸送層104は、電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解させて得られる電荷輸送層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、塗膜を乾燥させることによって形成することができる。また、電荷輸送層104のクラックを抑制する観点から、乾燥温度は60℃以上150℃以下が好ましく、80℃以上120℃以下がより好ましい。また、乾燥時間は10分以上60分以下が好ましい。
【0073】
電荷輸送層用塗布液に用いられる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、脂肪族ハロゲン化炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
【0074】
また、電荷輸送層104には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
【0075】
電子写真感光体の電荷輸送層104が1層である場合、その電荷輸送層104の平均膜厚は5μm以上40μm以下であることが好ましく、8μm以上30μm以下であることがより好ましい。電荷輸送層104を2層以上の積層構成とした場合、支持体側の電荷輸送層の平均膜厚は、5μm以上30μm以下であることが好ましく、表面側の電荷輸送層の平均膜厚は、1μm以上10μm以下であることが好ましい。
【0076】
(保護層)
また、本発明においては、感光層(電荷輸送層104)上に、該感光層を保護し、耐摩耗性やクリーニング性の向上などを目的として、保護層(第2電荷輸送層)を設けてもよい。
【0077】
保護層は、結着樹脂を有機溶剤に溶解させて得られる保護層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。保護層に用いられる樹脂としては、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリル酸コポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマーなどが挙げられる。
【0078】
また、保護層に電荷輸送能を持たせるために、電荷輸送能を有するモノマー材料や高分子型の電荷輸送物質を種々の架橋反応を用いて硬化させることによって保護層を形成してもよい。好ましくは、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を重合または架橋させることによって硬化させた層を形成することである。連鎖重合性官能基としては、アクリル基、メタクリル基、アルコキシシリル基、エポキシ基などが挙げられる。硬化させる反応としては、例えば、ラジカル重合、イオン重合、熱重合、光重合、放射線重合(電子線重合)、プラズマCVD法、光CVD法などが挙げられる。
【0079】
保護層の平均膜厚は0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上7μm以下であることがより好ましい。また、保護層には、導電性粒子などを必要に応じて添加することもできる。
【0080】
電子写真感光体の最表面層(電荷輸送層104または保護層)には、シリコーンオイル、ワックス、ポリテトラフルオロエチレン粒子などのフッ素原子含有樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素などの潤滑剤を含有させてもよい。
【0081】
上記各層の塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
【0082】
〔プロセスカートリッジ、電子写真装置〕
本発明のプロセスカートリッジは、これまで述べてきた電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とする。
【0083】
また、本発明の電子写真装置は、これまで述べてきた電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有することを特徴とする。
【0084】
図1に本発明の電子写真感光体1を有するプロセスカートリッジ9を備えた電子写真装置の概略構成を示す。
【0085】
図1において、円筒状の電子写真感光体1は、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度をもって回転駆動される。回転駆動される電子写真感光体1の表面は、回転過程において、帯電手段(一次帯電手段:帯電ローラーなど)3により、正または負の所定電位に均一に帯電される。次いで、帯電された電子写真感光体1の表面は、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。帯電手段3に印加する電圧は、直流電圧のみであってもよいし、交流電圧を重畳した直流電圧であってもよい。
【0086】
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5の現像剤に含まれるトナーで現像(正規現像または反転現像)され、電子写真感光体1の表面にはトナー像が形成される。次いで、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー像が、転写手段(転写ローラーなど)6からの転写バイアスによって、転写材(紙など)Pに順次転写されていく。なお、転写材Pは、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に給送される。また、転写手段6には、バイアス電源(不図示)からトナーの保有電荷とは逆極性のバイアス電圧が印加される。
【0087】
電子写真感光体1からトナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の表面から分離されて定着手段8へ搬入されてトナー像の定着処理を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へ搬送される。
【0088】
転写材Pにトナー像を転写した後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段(クリーニングブレードなど)7によって転写残りの現像剤(転写残トナー)の除去を受けて清浄面化される。近年、クリーナレスシステムも開発され、転写残りトナーを直接、現像手段5などで除去することもできる。次いで、前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、
図1に示すように、帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0089】
本発明においては、上記の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5、転写手段6、およびクリーニング手段7などの構成要素の中から複数のものを選択し、これらを容器に納めてプロセスカートリッジ9として一体に支持して構成してもよい。そして、このプロセスカートリッジ9を複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。
図1では、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5、およびクリーニング手段7とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
【0090】
さらにまた、露光光4は、例えば、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光であってもよい。あるいは、露光光4は、センサーで原稿を読み取り、信号化し、この信号にしたがって行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動または液晶シャッターアレイの駆動などにより照射される光である。
【実施例】
【0091】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「%」および「部」は其々「質量%」および「質量部」を意味する。
また、化合物15〜25は参考化合物であり、実施例22〜32および34〜38は参考例である。
【0092】
[中間層用塗布液1の作製]
酸化亜鉛粒子(個数平均一次粒子径:50nm,比表面積(以下、BET値):19.2m
2/g、粉体抵抗:3.0×10
7Ω・cm)100部をトルエン500部と攪拌混合し、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM603、信越化学工業(株)製)1.0部を添加し、2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、表面処理された酸化亜鉛粒子M1を得た。
【0093】
次に、ポリビニルブチラール(商品名:BM−1,積水化学工業(株)製)1.88部および、ブロック化イソシアネート(商品名:スミジュールBL3175、住化コベストロウレタン(株)(旧:住化バイエルウレタン社)製)4.74部をメチルエチルケトン42.5部と1−ブタノール42.5部の混合溶媒に溶解させた。この液に前記酸化亜鉛粒子M1を50.0部、表1に示す構造を有する化合物1を1.0部加え、これを直径0.9mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で23±3℃雰囲気下で3時間分散した。分散後、樹脂微粒子としてシリコーン粒子(トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)を3.4部、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)(旧:東レ・ダウコーニング・シリコーン社)製)0.007部を加えて攪拌し、回転数60rpmのロール架台で23±3℃雰囲気下で1日放置し、中間層用塗布液1を作製した。
【0094】
[中間層用塗布液2〜19および31〜46の作成]
中間層用塗布液1において、金属酸化物粒子、結着樹脂、溶媒、化合物を表3に示すように変更した以外は、中間層用塗布液1と同様にして塗布液を作製した。
【0095】
[中間層用塗布液20の作成]
ルチル型酸化チタン粒子(商品名:PT−401M、石原産業社製、個数平均一次粒子径70nm,BET値:20.5m
2/g、粉体抵抗:7.0×10
3Ω・cm)と、酸化チタン粒子100質量部に対して3質量部のメチルジメトキシシラン(商品名:TSL8117、東芝シリコーン社製)とを、高速流動式混合混練機(装置名:SMG300、株式会社カワタ社製)に投入し、回転周速34.5m/秒で2時間で高速混合し、疎水化処理酸化チタンを得た。疎水化処理酸化チタンをメタノール87.5部と1−プロパノール12.5部との混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーを得た。
この分散スラリーに、さらに、メタノール、1−プロパノール、およびトルエン、並びにN−メトキシメチル化ナイロン粉末(商品名:トレジンF−30K、ナガセケミテックス(株)製、メトキシメチル化度:約30%)および前記化合物10を添加し、60℃に加温しながら攪拌混合を行い、N−メトキシメチル化ナイロンを溶解した。その後、超音波分散処理を行い、メタノール/1−プロパノール/トルエンの質量比が7/1/2であって、疎水化処理酸化チタン/N−メトキシメチル化ナイロン/化合物10を質量比3/1/0.06で含有する、固形分を18質量%含む分散液を調整し、中間層用塗布液20を作製した。
【0096】
[中間層用塗布液21の作成]
中間層用塗布液20において、ルチル型酸化チタン粒子を個数平均一次粒子径が130nmであるルチル型酸化チタン粒子(商品名:PT−401L、石原産業社製、BET値:11.2m
2/g、粉体抵抗:1.8×10
3Ω・cm)に変更した以外は、中間層用塗布液20と同様にして塗布液を作製した。
【0097】
[中間層用塗布液47の作製]
ルチル型酸化チタン(商品名:PT−401L、石原産業社製、平均一次粒子径130nm)と、酸化チタン粒子100質量部に対して3質量部のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機(株式会社カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンT−1を、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。
ここで得られた分散スラリーに、さらに、メタノール、1−プロパノール、トルエン、およびN−メトキシメチル化ナイロン(ナガセケミテックス(株)製、商品名:トレジンF−30K、メトキシメチル化度:約30%)粉末および前記化合物1を添加し、加温しながら攪拌混合を行い、ナイロン粉末を溶解し、その後、超音波分散処理を行うことにより、最終的に、メタノール/1−プロパノール/トルエンの重量比が7/1/2であって、疎水化処理酸化チタン/N−メトキシメチル化ナイロン/化合物1を重量比3/1/0.06で含有する、固形分濃度18重量%の分散液を調整し、これを中間層用塗布液57とした。
【0098】
[中間層用塗布液51の作成]
中間層用塗布液1において、前記化合物1を用いなかった以外は中間層用塗布液1と同様に塗布液を作製した。
【0099】
[中間層用塗布液52の作成]
中間層用塗布液1において、前記化合物1を2,5−ビス(3−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールに変更した以外は中間層用塗布液1と同様に塗布液を作製した。
【0100】
[中間層用塗布液53の作製]
前記化合物1を2,3−ジヒドロキシアントラキノンに変更した以外は中間層用塗布液1の作製法と同様にして中間層用塗布液53を作製した。
【0101】
[中間層用塗布液54の作製]
金属酸化物を用いなかった以外は中間層用塗布液1の作製法と同様にして中間層用塗布液54を作製した。
【0102】
[中間層用塗布液における錯体形成の検証方法]
式(1)で示される化合物および式(2)で示される化合物が金属酸化物と錯体を形成していることの検証は以下の方法で行った。
前記したように中間層用塗布液を調製し、中間層用の分散溶剤を用いて、中間層用塗布液の濃度を1/100に希釈した。中間層用の分散溶剤を用いて式(1)で示される化合物または式(2)で示される化合物を溶解した溶液を測定したUVスペクトルと中間層を希釈した溶液を測定したUVスペクトルとを比較した。その結果、中間層用塗布液を希釈した溶液のUVスペクトルが長波長側にシフトしていることから、式(1)で示される化合物および式(2)で示される化合物と金属酸化物とが錯体を形成していることを確認した。
【0103】
〔実施例1〕
直径24mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金、長さ257.5mm)を支持体(導電性支持体)とした。
次に、中間層用塗布液1を上記支持体に浸漬塗布し、得られた塗膜を20分間170℃で乾燥させることによって、平均膜厚が30μmの中間層を形成した。
【0104】
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°にピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)を用意した。このヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶10部、式(3)で示される化合物0.1部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部およびシクロヘキサノン250部を、直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、1.5時間分散処理した。次に、これに酢酸エチル250部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
【化6】
この電荷発生層用塗布液を、中間層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を10分間100℃で乾燥させることによって、平均膜厚が0.15μmの電荷発生層を形成した。
【0105】
次に、式(CTM−1)示されるトリアリールアミン化合物および式(CTM−2)で示されるベンジジン化合物をそれぞれ4部ずつ、並びにビスフェノールZ型のポリカーボネート(商品名:PCZ−400、三菱ガス化学(株)製)10部を、ジメトキシメタン40部およびクロロベンゼン60部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間120℃で乾燥させることによって、平均膜厚が17μmの電荷輸送層を形成した。
【化7】
このようにして、実施例1の電子写真感光体を製造した。
【0106】
〔実施例2〜38および比較例1〜5〕
実施例1において、中間層用塗布液を表4のように変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜38および比較例1〜5の感光体を作製した。
【0107】
(電子写真感光体の中間層における錯体形成の検証方法)
電子写真感光体の中間層において式(1)で示される化合物および式(2)で示される化合物が金属酸化物と錯体を形成していることの検証は以下の方法で行った。
前記作製した電子写真感光体における中間層から、幅1cm、高さ3cm、厚さ0.3μmの膜を切り出した。式(1)で示される化合物または式(2)で示される化合物のUVスペクトルと切り出した膜のUVスペクトルを比較した。その結果、切り出した膜のUVスペクトルが長波長側にシフトしていることから、式(1)で示される化合物および式(2)で示される化合物と金属酸化物とが中間層においても錯体を形成していることを確認した。
【0108】
(ゴースト評価)
製造した評価用の電子写真感光体を、日本ヒューレットパッカード(株)製レーザービームプリンター(商品名:CP3525dn)の改造機(実施例1〜21並びに比較例1および2)またはキヤノン製レーザービームプリンター(商品名:LBP7700C)の改造機(実施例22〜38および比較例3〜5)に装着して評価を行った。詳しくは以下の通りである。
改造点としては、前露光を点灯させず、帯電条件とレーザー露光量は可変で作動するようにした。また、シアン色用のプロセスカートリッジに製造した電子写真感光体を装着してシアン色のプロセスカートリッジのステーションに取り付けた。
【0109】
実施例1〜21並びに比較例1および2において、ゴースト評価は、以下の条件で行った。
温度23℃湿度60%RHの環境下の元で、ドラム表面電位は、初期暗部電位が−600V、初期明部電位が−140Vになるように設定した。電位設定の際の表面電位測定は、カートリッジを改造し、現像位置に電位プローブ(商品名:model6000B−8、トレック・ジャパン(株)製)を装着し、ドラム中央部の電位を表面電位計(商品名:model344、トレック・ジャパン(株)製)を使用して測定した。
【0110】
実施例22〜38および比較例3〜5において、ゴースト評価は、以下の条件で行った。
温度22℃湿度35%RHの環境下の元で、ドラム表面電位は、初期暗部電位が−5200V、初期明部電位が−100Vになるように設定した。電位設定の際の表面電位測定は、カートリッジを改造し、現像位置に電位プローブ(商品名:model6000B−8、トレック・ジャパン(株)製)を装着し、ドラム中央部の電位を表面電位計(商品名:model344、トレック・ジャパン(株)製)を使用して測定した。
【0111】
ゴースト画像評価は、
図3に示すようなゴースト評価用画像(画像の先頭部に白地(白画像)中に四角のベタ画像を出した後、1ドット桂馬パターン画像を作製)を用いた。なお、
図3中、「ゴースト」と記載されている部分は、ベタ画像に起因するゴーストの出現の有無を評価するゴースト部である。ゴーストが出現する場合は、
図3中の「ゴースト」と記載されている部分に出現する。ゴーストの評価の順番は、1枚目に白画像を出力し、その後、上記ゴースト評価用画像を連続5枚出力し評価を行った。ゴースト評価用画像の評価は、1ドット桂馬パターン画像の画像濃度とゴースト部の画像濃度との濃度差を、分光濃度計(商品名:X−Rite504/508、X−Rite(株)製)で、1枚のゴースト評価用画像で5点測定した。そして、それら5点の平均をとり1枚の結果とし、前述の5枚のゴースト評価用画像全てを同様に測定し、それらの平均値を求めた。結果を表4に示す。この濃度差は、値が小さいほど、ゴーストの抑制に優れていることを意味する。濃度差の値が0.05以上の場合はゴーストの抑制が十分ではなく、本発明の効果が得られていないレベルであると判断した。また、濃度差の値が0.025以下の場合は、ゴーストの抑制がきわめて優れていることを意味する。
【0112】
(感度評価)
製造した評価用の電子写真感光体を、ゴースト評価と同様の改造を行った日本ヒューレットパッカード(株)製レーザービームプリンター(商品名:CP3525dn)の改造機(実施例1〜21並びに比較例1および2)またはキヤノン製レーザービームプリンター(商品名:LBP7700C)の改造機(実施例22〜38および比較例3〜5)に装着して評価を行った。詳しくは以下の通りである。
【0113】
実施例1〜21並びに比較例1および2において、感度評価は、以下の条件で行った。
温度23℃湿度50%RHの環境下の元で、ドラム表面電位は初期暗部電位が−600Vになるように設定した。電位設定の際の表面電位測定は、カートリッジを改造し、現像位置に電位プローブ(商品名:model6000B−8、トレック・ジャパン(株)製)を装着し、ドラム中央部の電位を表面電位計(商品名:model344、トレック・ジャパン(株)製)を使用して測定した。
【0114】
実施例22〜38および比較例3〜5において、感度評価は、以下の条件で行った。
温度22℃湿度35%RHの環境下の元で、ドラム表面電位は初期暗部電位が−520Vになるように設定した。電位設定の際の表面電位測定は、カートリッジを改造し、現像位置に電位プローブ(商品名:model6000B−8、トレック・ジャパン(株)製)を装着し、ドラム中央部の電位を表面電位計(商品名:model344、トレック・ジャパン(株)製)を使用して測定した。
【0115】
感度評価は露光光量0.35μJ/cm
2を用いてベタ画像を印刷した際のドラム表面電位を測定した。結果を表4に示す。この電位の値の絶対値が小さいほど感度に優れていることを意味する。
【0116】
【表3】
【0117】
【表4】