(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記検出部で検出された前記干渉縞から得られた、前記接触領域の外側における前記モールドと前記基板とのなす角度に基づいて、前記押圧方向を制御する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインプリント装置。
前記制御部は、前記接触領域を通る線上の2つの境界について前記角度をそれぞれ求め、前記2つの境界についての前記角度の差に基づいて前記押圧方向を制御する、ことを特徴とする請求項5に記載のインプリント装置。
前記制御部は、前記検出部で検出された前記干渉縞から得られた前記接触領域の中心位置に基づいて、前記相対傾きを制御する、ことを特徴とする請求項7又は8に記載のインプリント装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材ないし要素については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。以下の実施形態では、基板の面と平行な方向(基板の面に沿った方向)をX方向およびY方向とし、基板の面に垂直な方向(基板に入射する光の光軸に沿った方向)をZ方向とする。
【0012】
<第1実施形態>
本発明に係る第1実施形態のインプリント装置100について説明する。インプリント装置100は、基板上に供給されたインプリント材と型とを接触させ、インプリント材に硬化用のエネルギーを与えることにより、型の凹凸パターンが転写された硬化物のパターンを形成する装置である。例えば、インプリント装置100は、基板上にインプリント材3を供給し、凹凸のパターンが形成されたモールド1(型)を基板上のインプリント材3に接触させた状態で当該インプリント材3を硬化する。そして、モールド1と基板2との間隔を広げて、硬化したインプリント材3からモールド1を剥離(離型)することで、インプリント材3のパターンを基板上に形成する。以下では、このようにインプリント装置100で行われる一連の処理を「インプリント処理」と呼ぶことがある。
【0013】
インプリント材3には、硬化用のエネルギーが与えられることにより硬化する硬化性組成物(未硬化状態の樹脂と呼ぶこともある)が用いられる。硬化用のエネルギーとしては、電磁波、熱等が用いられる。電磁波としては、例えば、その波長が10nm以上1mm以下の範囲から選択される、赤外線、可視光線、紫外線などの光である。
【0014】
硬化性組成物は、光の照射により、あるいは、加熱により硬化する組成物である。このうち、光により硬化する光硬化性組成物は、重合成化合物と光重合開始材とを少なくとも含有し、必要に応じて非重合成化合物または溶剤を含有してもよい。非重合成化合物は、増感剤、水素供与体、内添型離型剤、界面活性剤、酸化防止剤、ポリマ成分などの群から選択される少なくとも一種である。
【0015】
インプリント材3は、スピンコータやスリットコータにより基板上に膜状に付与される。あるいは、液体噴射ヘッドにより、液滴状、あるいは複数の液滴が繋がってできた島状または膜状となって基板上に付与されてもよい。インプリント材3の粘度(25℃における粘度)は、例えば、1mPa・s以上100mPa・s以下である。
【0016】
[インプリント装置の構成]
図1は、第1実施形態のインプリント装置100の構成を示す概略図である。インプリント装置100は、例えば、モールド1を保持するインプリントヘッド10と、基板2を保持して移動可能なステージ20(基板ステージ)と、変形部30と、供給部40と、硬化部50と、検出部60と、制御部70とを含みうる。制御部70は、例えばCPUやメモリ(記憶部)などを有するコンピュータによって構成され、インプリント装置100の各部を制御してインプリント処理を制御する。
【0017】
モールド1は、通常、石英など紫外線を透過させることが可能な材料で作製されており、基板側の面(パターン面)における一部の領域(パターン領域1a)には、基板上のインプリント材3に転写するための凹凸のパターンが形成されている。また、モールド1には、基板2に向かって突出した凸形状にモールド1(パターン領域1a)を変形しやすくするため、パターン領域とその周辺の厚みが薄くなるように、パターン面と反対側の面にキャビティ1b(凹部)が形成される。このキャビティ1bは、インプリントヘッド10によってモールド1が保持されることで、略密封された空間となる。キャビティ1bは、後述する変形部30に配管31を介して連通(接続)されている。
【0018】
インプリントヘッド10は、例えば、モールドチャック11とモールド駆動部12とを含みうる。モールドチャック11は、真空吸着などによりモールド1を保持する。また、モールド駆動部12は、例えば矢印Aの方向にそれぞれ力を発生させる複数のアクチュエータ12aを含み、モールド1と基板2との間隔を変更させるようにモールド1(モールドチャック11)を駆動する。即ち、モールド1と基板2とを相対的に駆動する。また、インプリントヘッド10には、モールド1のパターン領域1aと基板2のショット領域(モールド1のパターンを転写すべき領域)との形状差を低減させるように、モールド1の側面に力を加えてパターン領域1aを変形させる加圧部13が設けられる。加圧部13は、例えば矢印Bの方向にそれぞれ力を発生させる複数のアクチュエータを含みうる。
【0019】
ステージ20は、真空吸着などにより基板2を保持し、例えばXY方向に移動可能に構成される。本実施形態のステージ20は、XY方向におけるモールド1と基板2との位置合わせを行うようにXY方向に移動可能に構成されているが、例えば、Z方向やθ方向(Z軸周りの回転方向)に基板2を駆動する機能などを有してもよい。ここで、本実施形態では、モールド1と基板2とを相対的に駆動してそれらの間隔を変更させる動作がインプリントヘッド10によって行われている。しかしながら、それに限られず、ステージ20によって行われてもよいし、インプリントヘッド10およびステージ20の双方によって行われてもよい。
【0020】
変形部30は、インプリントヘッド10によって保持されたモールド1のキャビティ1bの内部圧力を制御することにより、モールド1(パターン面、パターン領域1a)を基板2に向かって突出した凸形状に変形する。例えば、変形部30は、配管31を介してキャビティ1bの内部に圧縮空気を供給し、キャビティ1bの内部圧力をその外部の圧力よりも高くすることにより、モールド1を凸形状に変形させることができる。
【0021】
供給部40は、インクジェット方式などにより基板上にインプリント材3を供給する。本実施形態では、紫外線の照射によって硬化する性質を有する紫外線硬化樹脂がインプリント材3として用いられうる。また。硬化部50(照射部)は、モールド1と基板上のインプリント材3とが接触している状態で、ビームスプリッタ51およびモールド1を介して基板上のインプリント材3に光(例えば紫外線)を照射することにより当該インプリント材3を硬化させる。
【0022】
検出部60は、モールド1を介して基板2に光61を照射し、モールド1からの反射光と基板2からの反射光との干渉縞を検出する。例えば、検出部60は、イメージセンサなどの撮像部を含み、モールド1とインプリント材3との接触領域を拡げていく過程における複数のタイミングの各々で当該撮像部にモールド1のパターン領域1aを撮像させる。
【0023】
具体的には、検出部60(撮像部)は、変形部30により変形させたモールド1を基板上のインプリント材3に接触させた状態において、モールド1を介して基板2に光61を照射する。このとき、接触領域の外側(周り)では、
図2(a)に示すように、モールド1からの反射光61aと基板2からの反射光61bとが干渉し合う。その結果、撮像部により得られた各画像62には、
図2(b)に示すように、接触領域62aとその外側に形成された干渉縞62bと現れる。そのため、検出部60は、撮像部により得られた画像から接触領域62aとその外側の干渉縞62とを検出し、モールド1とインプリント材3との接触状態を観察することができる。ここで、検出部60は、基板上のインプリント材3を硬化させない波長帯域の光61を基板2に照射するように構成されうる。また、以下では、検出部60で検出される「干渉縞」を、接触領域62aと干渉縞62bとを含む用語として用いることがある。
【0024】
[インプリント処理]
次に、第1実施形態のインプリント装置100におけるインプリント処理について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、インプリント処理のフローを示すフローチャートである。以下に示すインプリント処理の各工程は、制御部70によって行われうる。
【0025】
S10では、制御部70は、基板2が供給部40の下に配置されるようにステージ20を制御する。そして、基板上に形成された複数のショット領域のうち、インプリント処理を行う対象のショット領域(以下、対象ショット領域)にインプリント材3を供給するように供給部40を制御する。対象ショット領域にインプリント材が供給された後、制御部70は、対象ショット領域をモールド1(パターン領域1a)の下に配置されるようにステージ20を制御する。
【0026】
S11では、制御部70は、モールド1のパターン面(パターン領域1a)を基板2に向かって突出した凸形状に変形させるように変形部30を制御する。S12では、制御部70は、モールド1と基板2との間隔が狭まるようにインプリントヘッド10を制御し、モールド1と基板上のインプリント材3とを接触させる(押圧処理)。例えば、制御部70は、変形部30によりモールド1のパターン面を変形させた状態でモールド1とインプリント材3との接触を開始させる。そして、モールド1とインプリント材3との接触が開始した後、モールド1と基板2との間隔が狭まるにつれてキャビティ1bの内部圧力が徐々に小さくなるように変形部30を制御する。これにより、モールド1とインプリント材3との接触領域を徐々に拡げることができるとともに、モールド1のパターン領域1aの全体がインプリント材3に接触したときに、パターン領域1aを平坦にすることができる。また、制御部70は、押圧処理中における任意の複数のタイミングの各々において、検出部60にモールド1のパターン面(パターン領域1a)を撮像させ、それにより得られた画像から接触領域62aと干渉縞62bとを検出させる。
【0027】
S13では、制御部70は、モールド1のパターン領域1aの全体とインプリント材3とが接触している状態で、当該インプリント材3に光を照射するように硬化部50を制御し、当該インプリント材3を硬化させる。S14では、制御部70は、モールド1と基板2との間隔が広がるようにインプリントヘッド10を制御し、硬化したインプリント材3からモールド1を剥離(離型)する。これにより、対象ショット領域上のインプリント材3に、モールド1のパターンに倣った三次元形状のパターンを形成することができる。
【0028】
S15では、制御部70は、基板上に引き続きモールド1のパターンを転写すべきショット領域(次のショット領域)があるか否かの判定を行う。次のショット領域がある場合にはS10に戻り、次のショット領域がない場合には終了する。
【0029】
[押圧処理の制御について]
インプリント装置では、一般に、押圧処理においてモールド1と基板上のインプリント材3との接触領域を拡げているときの接触状態が、基板上に形成されたインプリント材3のパターンの良否に影響を与えうる。接触状態としては、モールド1とインプリント材3とを接触させる際のモールド1と基板2との相対傾きや、モールド1とインプリント材3とを接触させる方向(即ち、モールド1とインプリント材3との押圧方向)が挙げられる。例えば、モールド1と基板2とが相対的に傾いた状態でモールド1とインプリント材3とを接触させると、パターン領域1aの全体がインプリント材3に接触したときに当該パターン領域1aと基板2とが平行にならない。その結果、基板上に形成されたインプリント材3のパターンの残膜厚(RLT:residual layer thickness)が不均一になるなど、基板上にモールド1のパターンを精度よく形成することが困難になりうる。また、モールド1とインプリント材3との押圧方向が目標方向(例えば、基板の面に対して垂直となる方向)に対してずれている場合、インプリント材3の粘性に起因して押圧処理中にモールド1のパターンが歪む。その結果、基板上にモールド1のパターンを精度よく形成することが困難になりうる。
【0030】
そこで、本実施形態のインプリント装置100では、検出部60により検出された接触領域62aと干渉縞62bとに基づいて、押圧処理における接触状態を制御する。具体的には、制御部70は、検出部60により得られた画像(接触領域62a、干渉縞62b)から接触領域の中心位置と接触角とを求める。そして、求めた中心位置に基づいてモールド1と基板2との相対傾きを補正(制御)するとともに、求めた接触角に基づいてモールド1とインプリント材3との押圧方向を補正(制御)する。ここで、接触角とは、接触領域の外側におけるモールド1と基板2とのなす角度のことである。
【0031】
まず、検出部60により得られた画像から、接触領域の中心位置と接触角を求める方法について、
図4を参照しながら説明する。
図4(a)は、検出部60(撮像部)で得られた画像62(接触領域62a、干渉縞62b)を示し、
図4(b)は、
図4(a)に示す画像の線A−A上における光強度分布を示している。
【0032】
干渉縞62bにおける光強度の複数のピークは、干渉の原理から、モールド1と基板2との間の距離が、干渉縞62bの検出(接触領域の撮像)に用いられた光の波長の1/4の整数倍となる位置に現れる。したがって、制御部70は、
図4(b)に示す光強度分布における複数のピークをモールド1と基板2との間の距離にそれぞれ換算して近似線を引くことにより、
図4(c)に示すように、モールド1の断面形状を推定することができる。これにより、制御部70は、推定されたモールド1の断面形状から、所定方向(第1方向(例えばX方向))において接触領域62aを通る(横切る)線上の2つの境界63a、63bを求めることができる。
【0033】
そして、制御部70は、所定方向における間隔(即ち、接触領域62aの幅)が最も大きくなる当該2つの境界63a、63bの中心を接触領域62aの中心位置64として推定する。そして、当該2つの境界63a、63bそれぞれについての接触角を推定する。例えば、制御部70は、当該2つの境界63a、63bをそれぞれ頂点としたときのモールド1(パターン面、パターン領域1a)と基板2の面とのなす角度を接触角として求める。以下では、境界63aを頂点としたときの接触角を「第1接触角α」、境界63bを頂点としたときの接触角を「第2接触角β」と表す。また、以下では第1方向について説明するが、第1方向と直交する第2方向(例えばY方向)についても同様の処理が行われうる。
【0034】
図5は、押圧処理におけるモールド1と基板上のインプリント材3との理想的な接触状態を示す図である。理想的な接触状態とは、例えば、モールド1と基板2とが平行であり、且つモールド1とインプリント材3との押圧方向Dが基板2の面に垂直な方向となる状態をいう。
図5(a)〜(c)は、モールド1と基板2(インプリント材3)との間隔を狭めていく様子を示している。
図5(d)は、検出部60で得られた画像62から求められた接触領域62aの中心位置と、当該中心位置が配置されるべき基板上の目標位置との差(中心位置ずれ)の時間変化を示している。また、
図5(e)は、検出部60で得られた画像62から求められた第1接触角αおよび第2接触角βの時間変化を示している。
図5(d)および(e)では、横軸を、モールド1と基板上のインプリント材3との接触が開始してからの経過時間としているが、モールド1と基板2との間隔で表すこともできる。理想的な接触状態では、接触領域62aの中心位置と目標位置との差は、
図5(d)に示すように、ほぼ零であり、時間が経過しても(即ち、モールド1と基板2との間隔が狭くなっても)変化しない。また、第1接触角αと第2接触角βとは、
図5(e)に示すように、時間が経過してもほぼ同じとなる。
【0035】
図6は、
図5に示した理想的な接触状態に対し、モールド1と基板2とが相対的に傾いている状態を示す図である。
図6(a)〜(c)は、モールド1と基板2との相対傾きが理想状態からずれている状態で、モールド1と基板2(インプリント材3)との間隔を狭めていく様子を示している。
図6(d)は、検出部60で得られた画像62から求められた接触領域62aの中心位置と基板上の目標位置との差(中心位置ずれ)の時間変化を示している。また、
図6(e)は、検出部60で得られた画像62から求められた第1接触角αおよび第2接触角βの時間変化を示している。モールド1と基板2との相対傾きが理想状態(目標相対傾き)に対してずれている場合では、
図6(d)に示すように、接触領域62aの中心と目標位置との差が零にならない。一方、第1接触角αと第2接触角βとは、
図6(e)に示すように、時間が経過しても(即ち、モールド1と基板2との間隔が狭くなっても)ほぼ同じとなる。
【0036】
この場合、制御部70は、画像62から求められた接触領域62aの中心位置と基板上の目標位置との差に基づいて、モールド1と基板2との相対傾きに関する誤差(例えば、理想状態に対するモールド1と基板2との相対傾きのずれ量(第2誤差))を求める。そして、制御部70は、求めた相対傾きに関する誤差に基づいて、当該誤差が低減するようにモールド1と基板2との相対傾きを補正する。モールド1と基板2との相対傾きの補正は、例えば、モールド駆動部12における複数のアクチュエータ12によってモールド1を傾けることで行われてもよいし、ステージ20で基板2を傾けることで行われてもよいし、それらの双方で相対的に行われてもよい。即ち、モールド駆動部12およびステージ20の少なくとも一方は、モールド1と基板2との相対傾きを変更する変更部(第2変更部)として機能しうる。
【0037】
ここで、相対傾きに関する誤差の算出(決定)には、例えば、接触領域62aの中心と目標位置との差と、モールド1と基板2との相対傾きに関する誤差との関係を示す情報(以下、相対傾きに関する誤差情報)が用いられうる。相対傾きに関する誤差情報は、例えば関数やテーブルなどによって表わされ、実験やシミュレーションなどにより事前に取得されうる。例えば、制御部70は、モールド1と基板2との相対傾き量θが互いに異なる複数の状態の各々について、モールド1と基板上のインプリント材3とを互いに接触させ、モールド1のパターン領域1aを検出部60に撮像させる。これにより、制御部70は、検出部60により得られた画像62から接触領域62aの中心位置と目標位置との差Aを当該複数の状態の各々について求め、A=Kθ(Kは係数)などで表される関数を、相対傾きに関する誤差情報として得ることができる。
【0038】
図7は、
図5に示した理想的な接触状態に対し、モールド1とインプリント材3との押圧方向Dが傾いている状態を示す図である。
図7(a)〜(c)は、押圧方向Dが理想状態からずれている状態で、モールド1と基板2(インプリント材3)との間隔を狭めていく様子を示している。
図7(d)は、検出部60で得られた画像62から求められた接触領域62aの中心位置と基板上の目標位置との差(中心位置ずれ)の時間変化を示している。また、
図7(e)は、検出部60で得られた画像62から求められた第1接触角αおよび第2接触角βの時間変化を示している。押圧方向が理想状態からずれている場合では、
図7(d)に示すように、ほぼ零であり、時間が経過しても(即ち、モールド1と基板2との間隔が狭くなっても)変化しない。一方、第1接触角αと第2接触角βとでは、
図7(e)に示すように、それらの間で差が生じ、その差は時間の経過とともに大きくなる。
【0039】
この場合、制御部70は、画像62から求められた第1接触角αと第2接触角βとの差に基づいて、押圧方向Dに関する誤差(例えば、理想状態に対するモールド1の押圧方向のずれ量)を求める。そして、制御部70は、求めた押圧方向Dに関する誤差に基づいて、当該誤差が低減するようにモールド1とインプリント材3との押圧方向を補正する。押圧方向の補正は、例えば、インプリントヘッド10(モールド駆動部12)自体の傾きを変更する変更部14を設け、変更部14を制御して、モールド駆動部12によるモールド1の駆動方向を変更することで行われてもよい。また、押圧方向の補正は、モールド1とインプリント材3とを互いに押圧する力のうち、基板の面に垂直な方向成分が補正(低減)されるように、押圧処理中において、加圧部13によりモールド1の側面に加えられる力Eを調整することで行われてもよい。
【0040】
ここで、押圧方向に関する誤差の算出(決定)には、例えば、第1接触角αと第2接触角βとの差と、モールド1とインプリント材3との押圧方向に関する誤差との関係を示す情報(以下、押圧方向に関する誤差情報)が用いられうる。押圧方向に関する誤差情報は、例えば関数やテーブルなどによって表わされ、実験やシミュレーションなどにより事前に取得されうる。例えば、制御部70は、モールド1の押圧方向φが互いに異なる複数の状態の各々について、モールド1と基板上のインプリント材3とを接触させ、モールド1のパターン領域1aを検出部60に撮像させる。これにより、制御部70は、検出部60により得られた画像62から第1接触角αと第2接触角βとの差Bを当該複数の状態の各々について求め、B=Mφ(Mは係数)などで表される関数を、押圧方向に関する誤差情報として得ることができる。
【0041】
図8は、
図5に示した理想的な接触状態に対し、モールド1と基板2とが相対的に傾いており、且つモールド1とインプリント材3との押圧方向Dも傾いている状態を示す図である。
図8(a)〜(c)は、モールド1と基板2との相対傾き、および押圧方向Dが理想状態からずれている状態で、モールド1と基板2(インプリント材3)との間隔を狭めていく様子を示している。
図8(d)は、検出部60で得られた画像62から求められた接触領域62aの中心位置と基板上の目標位置との差(中心位置ずれ)の時間変化を示している。また、
図8(e)は、検出部60で得られた画像62から求められた第1接触角αおよび第2接触角βの時間変化を示している。この場合、
図6を用いて前述したモールド1と基板2との相対傾きの補正と、
図7を用いて前述した押圧方向の補正とが行われうる。
【0042】
上述したように、本実施形態のインプリント装置100は、検出部60により検出された接触領域62aと干渉縞62bとに基づいて、押圧処理におけるモールド1と基板2との相対傾き、および押圧方向を補正する。これにより、基板上にモールド1のパターンを精度よく形成(転写)することができる。
【0043】
ここで、本実施形態では、接触領域の中心位置と目標位置との差の時間変化を示す情報(
図5(d)、
図6(d)、
図7(d)、
図8(d))を取得し、次にインプリント処理を行う際のモールド1と基板2との相対傾きを補正する例について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、例えば、対象ショット領域のインプリント処理中(押圧処理中)に、接触領域の中心位置と目標位置との差が生じたときに、当該差に基づいて逐次的にモールド1と基板2との相対傾きを補正してもよい。
【0044】
同様に、本実施形態では、第1接触角αと第2接触角βとの差の時間変化を示す情報(
図5(e)、
図6(e)、
図7(e)、
図8(e))を取得し、次にインプリント処理を行う際のモールド1とインプリント材3との押圧方向を補正する例について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、例えば、対象ショット領域のインプリント処理中(押圧処理中)に、第1接触角αと第2接触角βとの差が生じたときに、当該差に基づいて逐次的にモールド1とインプリント材3との押圧方向を補正してもよい。
【0045】
また、本実施形態では、第1接触角αと第2接触角βとの差に基づいて、相対傾きに関する誤差を一旦求め、当該誤差が低減するようにモールド1とインプリント材3との押圧方向を補正したが、それに限られるものではない。例えば、第1接触角αと第2接触角βとの差が低減するように、モールド1とインプリント材3との押圧方向を補正してもよい。
【0046】
<物品の製造方法の実施形態>
本発明の実施形態にかかる物品の製造方法は、例えば、半導体デバイス等のマイクロデバイスや微細構造を有する素子等の物品を製造するのに好適である。本実施形態の物品の製造方法は、基板に供給(塗布)されたインプリント材に上記のインプリント装置(インプリント方法)を用いてパターンを形成する工程と、かかる工程でパターンを形成された基板を加工する工程とを含む。更に、かかる製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を含む。本実施形態の物品の製造方法は、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
【0047】
インプリント装置を用いて成形した硬化物のパターンは、各種物品の少なくとも一部に恒久的に、或いは各種物品を製造する際に一時的に、用いられる。物品とは、電気回路素子、光学素子、MEMS、記録素子、センサ、或いは、型等である。電気回路素子としては、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、MRAMのような、揮発性或いは不揮発性の半導体メモリや、LSI、CCD、イメージセンサ、FPGAのような半導体素子等が挙げられる。型としては、インプリント用のモールド等が挙げられる。
【0048】
硬化物のパターンは、上記物品の少なくとも一部の構成部材として、そのまま用いられるか、或いは、レジストマスクとして一時的に用いられる。基板の加工工程においてエッチング又はイオン注入等が行われた後、レジストマスクは除去される。
【0049】
次に、物品の具体的な製造方法について説明する。
図9(a)に示すように、絶縁体等の被加工材2zが表面に形成されたシリコンウェハ等の基板1zを用意し、続いて、インクジェット法等により、被加工材2zの表面にインプリント材3zを付与する。ここでは、複数の液滴状になったインプリント材3zが基板上に付与された様子を示している。
【0050】
図9(b)に示すように、インプリント用の型4zを、その凹凸パターンが形成された側を基板上のインプリント材3zに向け、対向させる。
図9(c)に示すように、インプリント材3zが付与された基板1zと型4zとを接触させ、圧力を加える。インプリント材3zは型4zと被加工材2zとの隙間に充填される。この状態で硬化用のエネルギーとして光を型4zを透して照射すると、インプリント材3zは硬化する。
【0051】
図9(d)に示すように、インプリント材3zを硬化させた後、型4zと基板1zを引き離すと、基板1z上にインプリント材3zの硬化物のパターンが形成される。この硬化物のパターンは、型の凹部が硬化物の凸部に、型の凹部が硬化物の凸部に対応した形状になっており、即ち、インプリント材3zに型4zの凹凸パターンが転写されたことになる。
【0052】
図9(e)に示すように、硬化物のパターンを耐エッチングマスクとしてエッチングを行うと、被加工材2zの表面のうち、硬化物が無いか或いは薄く残存した部分が除去され、溝5zとなる。
図9(f)に示すように、硬化物のパターンを除去すると、被加工材2zの表面に溝5zが形成された物品を得ることができる。ここでは硬化物のパターンを除去したが、加工後も除去せずに、例えば、半導体素子等に含まれる層間絶縁用の膜、つまり、物品の構成部材として利用してもよい。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。