(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術の発想では、ユーザは規則的かつ合理的に体操を行えていない恐れがある。すなわち、体操時間の長短や体操内容の複雑さに関わらず、ユーザが正しい仕方を理解せずに体操してしまうと、かえって負担がかかり身体に対して逆効果になることもある。その点に鑑みると、ロボットがユーザの状況に応じて体操計画情報を変更しても、本質的に規則的かつ合理的な体操の仕方を伝える技術を備えていることにはならない。
【0006】
一般的に、身体への健康を考慮すると、正しい指導の元、長めの時間で複数の動きを取り入れた体操が効果的と考えられている。一方、体操の目的(例えば、アンチエイジング、リフレッシュ、肩こり解消、足腰強化など)のみならず、ユーザの属性(例えば、性別、年齢、身体的特徴等)や環境(例えば、室内の温度や照明等)に応じて、体操の内容[例えば、単一の体操でのポーズ(身体の部位の角度含む。)や動きの速度・回数、複数の体操の組合せ等]を適宜調整すべきである。しかしながら、ユーザの増加(特に、シニア層の増加)に対し、体操の指導員数が不足しているため、ユーザに対して本質的に規則的かつ合理的な体操を提供する他の手段が必要となる。
【0007】
その点、技術の進歩に伴い、人型や会話可能型のロボットも一般化してきたため、体操の指導員数の不足分をロボットで補うことも有効と考えられている。一方、上述のとおり、体操の内容によっては身体の柔軟性や細部の動きも取り入れられているため、ロボット単体の能力(例えば、稼動部分の稼動領域や駆動時間等)が、ユーザに対して規則的かつ合理的な体操の提供に至っていない点も否めない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、ロボット単体の能力に依存せず、ロボットが接続可能な他の手段を用いて、規則的かつ合理的な体操内容を演出してユーザを支援する体操支援方法、体操支援システム、及び体操支援プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、体操内容を表現する体操情報の出力手段を少なくとも二つ以上有するロボットによる体操支援方法であって、体操内容を選択し、ユーザ情報、環境情報、ロボット情報のうち少なくとも一つに基づいて上記体操内容を表現する体操情報を変更するか否か判断し、上記体操情報を変更した場合、変更後の体操情報の出力手段を発動することを特徴とする。
【0010】
また、上記ロボットが、少なくとも人型の頭部及び上半身部を構成し、上記出力手段が、上記頭部、上記上半身、音楽又は声を発する音声部、動画及び/又は静止画を表示する画面部、通信接続可能なコンピュータ又はロボットに指示する通信部の少なくとも二つ以上であることが望ましい。
【0011】
また、上記ユーザ情報が、体操中のユーザの身体に接している身体情報取得手段により取得される身体状況を含み、上記ロボット情報が、上記体操情報の出力中に取得される上記出力手段の出力状況を含み、取得直後の上記身体状況及び/又は上記出力状況に基づいて上記体操情報を変更するか否か判断することが望ましい。
【0012】
さらに、本発明は、体操内容を表現する体操情報の出力手段を少なくとも二つ以上有するロボットによる体操支援システムであって、上記体操内容を選択する選択手段と、上記ユーザ情報、上記環境情報、上記ロボット情報のうち少なくとも一つに基づいて上記体操内容を表現する体操情報を変更するか否か判断する判断手段と、上記体操情報を変更した場合、変更後の体操情報の出力手段を発動する制御手段とを少なくとも備えていることを特徴とする。
【0013】
また、上記ロボットが、少なくとも人型の頭部及び上半身部を構成し、上記出力手段が、上記頭部、上記上半身、音楽又は声を発する音声部、動画及び/又は静止画を表示する画面部、通信接続可能なコンピュータ又はロボットに指示する通信部の少なくとも二つ以上であることが望ましい。
【0014】
また、上記ユーザ情報が、体操中のユーザの身体に接している身体情報取得手段により取得される身体状況を含み、上記ロボット情報が、上記体操情報の出力中に取得される上記出力手段の出力状況を含み、上記判断手段が、取得直後の上記身体状況及び/又は上記出力状況に基づいて上記体操情報を変更するか否か判断することが望ましい。
【0015】
さらに、本発明は、体操内容を表現する体操情報の出力手段を少なくとも二つ以上有するロボットによる体操支援プログラムであって、体操内容の選択を処理し、ユーザ情報、環境情報、ロボット情報のうち少なくとも一つに基づいて上記体操内容を表現する体操情報を変更するか否かの判断を処理し、上記体操情報を変更した場合、変更後の体操情報の出力手段の発動を処理することを特徴とする。
【0016】
また、上記ロボットが、少なくとも人型の頭部及び上半身部を構成し、上記出力手段が、上記頭部、上記上半身、音楽又は声を発する音声部、動画及び/又は静止画を表示する画面部、通信接続可能なコンピュータ又はロボットに指示する通信部の少なくとも二つ以上であることが望ましい。
【0017】
また、上記ユーザ情報が、体操中のユーザの身体に接している身体情報取得手段により取得される身体状況を含み、上記ロボット情報が、上記体操情報の出力中に取得される上記出力手段の出力状況を含み、上記判断手段が、取得直後の上記身体状況及び/又は上記出力状況に基づいて上記体操情報を変更するか否かの判断を処理することが望ましい。
【0018】
以下に、本発明を構成する各要件の定義、意味、又は具体例を示す。
【0019】
「体操内容」とは、例えば、ユーザやロボットが表現する体操のメニューやコースのみならず、体操中の水分補給や休憩に関する情報が該当してもよい。
なお、「体操のメニュー」とは、ユーザが選択可能な体操の種類が該当し、例えば、体幹のメニュー(例えば、上体の前倒し、片尻乗り、ゴマすり、腰のストレッチ等)や下肢のメニュー(例えば、股関節の持ち上げ、股間節の床なで、足踏み・もも上等)も含み、メニューの各々に所要時間(数分程度)が設定されていてもよい。「体操のコース」とは、体操のメニューを数種類組み合わせた体操のセット(オリジナルで作成された体操のセットを含む。)が該当し、例えば、アンチエイジング、心身のリフレッシュ、肩こりの解消、足腰の強化等をテーマとしたセットを含み、コースの各々に所定時間(数十分程度)が設定されていてもよい。「体操内容」には、体操のメニューに関する基礎知識(例えば、意図、筋肉動作の仕組み、効果等)が含まれてもよい。
【0020】
「体操情報」とは、上記体操内容を動作や音声でロボットに表現させるためのプログラムや「体操内容」を説明するための音声・動画・静止画のデータが該当してもよい。
なお、「体操内容」を説明するための動画・静止画としては、専門の体操指導員が行う体操を撮影したものや3Dモデル化されたヒトやロボットの2Dや3Dアニメーションが該当してもよい。
【0021】
「出力手段」とは、ユーザが上記体操内容を確認できるよう上記体操情報に基づいて外部に出力するものが該当し、例えば、ロボットの一部(例えば、頭部や上半身)、音声を出力するための装置(例えば、DAコンバータやスピーカー)、動画・静止画を出力するための装置(例えば、コーデックや画面)、コンピュータネットワークを介して接続している他のロボットや各種装置が該当してもよい。
【0022】
「ロボット」とは、コンピュータ(自己学習機能搭載型を含む。)により制御されて上記体操内容を表現するものであれば限定はなく、例えば、少なくとも頭部及び上半身部を有すタイプ、二足歩行タイプ、又は会話専用タイプでもよく、コンピュータネットワーク通信機能、データ蓄積機能、各種センサー機能を有していてもよい。
【0023】
「ユーザ情報」とは、体操予定又は体操中のユーザに関する情報が該当し、例えば、体操を表現するユーザ毎の固有情報[例えば、氏名、性別、年齢、血液型、身長体重、利き腕、ADL(Activities of Daily Living)に関する値、参加回数等]、体操中のユーザの身体状況(例えば、脈拍、心拍数、体温、発汗量等)、体操に参加しているユーザ群の情報(例えば、人数、平均年齢、存在検知等)が該当してもよい。
なお、体操中のユーザの身体情報を測定するために、身体情報取得手段として、例えば、リストバンド等のウェアラブル端末やユーザが着座する部分に圧力センサー等を取り付けた椅子を用いてもよい。
【0024】
「環境情報」とは、体操予定又は体操中のロボットやユーザを取り巻く環境に関する情報を意味し、例えば、室内外の温度・湿度、室内の空調・照明・利用可能な通信ネットワーク環境・ロボットによる稼動可能領域、室外の天候・季節、その他地域に関する情報が該当してもよい。
なお、「環境情報」は、インターネット上で公開されている情報を適宜収集したものでもよく、例えば、予め登録してある地域情報に基づく天気予報サイトから適時データを取得して、体操支援に活かしてもよい。
【0025】
「ロボット情報」とは、体操予定又は体操中のロボットのスペックに関する情報を意味し、例えば、稼動部位のアクチュエータ能力(例えば、加熱による温度上昇や過電流の上限等、機内センサーにて計測)、関節数、可動範囲(測距センサー・人感センサーにて計測)、上記出力手段の有無、バッテリー容量値及び残量、稼動可能時間、又はこれらの出力状況が該当してもよい。
なお、「ロボット情報」には、音声に関する情報(音声辞書や韻律辞書)がデータベース化されたものも含まれてもよい。
【0026】
なお、「ユーザ情報」、「環境情報」、「ロボット情報」のうち、ロボットの稼動部位のアクチュエータ能力やバッテリー容量値といった制限値を有する情報に関する条件を「静的条件」、ユーザのADLに関する値や参加回数、室内の通信ネットワーク環境やロボットによる稼動可能領域といった体操時の状況に応じて変化する情報に関する条件を「動的条件」と定義してもよい。「静的条件」は、体操前に予めロボットRに記憶させてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の体操支援方法によれば、体操内容を選択し、ユーザ情報、環境情報、ロボット情報のうち少なくとも一つに基づいて上記体操内容を表現する体操情報を変更するか否か判断し、上記体操情報を変更した場合、変更後の体操情報の出力手段を発動することにより、ユーザ及び/又はロボットにとって適した体操内容を常時提供することができる。すなわち、体操情報及び出力手段を変更し、ロボットの不適切な誘導や許容範囲外の稼動や急停止を回避することで、ユーザの心身及びロボットのスペックに負担をかけ過ぎることなく、双方所望の状態を維持することができる。したがって、指導、体得、又はポージングが難しい体操内容であっても、ロボットを活用して適した体操情報にてユーザは体操内容に楽しく取り組むことができる。
【0028】
また、ロボットが少なくとも人型の頭部及び上半身部を構成し、上記出力手段が、上記頭部、上記上半身、音楽又は声を発する音声部、動画及び/又は静止画を表示する画面部、通信接続可能なコンピュータ又はロボットに指示する通信部の少なくとも二つ以上であることで、ユーザにとって理解しにくく体操内容やロボットのスペックのみでは表現しにくい体操内容であっても、好適な出力手段を二つ以上組み合わせて適した体操内容を提供することができる。すなわち、ロボットの頭部や上半身及び音声にて体操内容を表現することで、実際に指導員が間近で体操しているような状況を演出したり、画面部上の動画や静止画及び通信接続可能なコンピュータ又はロボットにて体操内容を表現することで、実際に指導員が間近で説明しているような状況を演出したりすることができる。したがって、ロボットにより選択された二つ以上の出力手段によっては、実際の指導員より優れた体操内容の提供も期待できる。
【0029】
また、上記ユーザ情報が、体操中のユーザの身体に接している身体情報取得手段により取得される身体状況を含み、上記ロボット情報が、上記体操情報の出力中に取得される上記出力手段の出力状況を含み、取得直後の上記身体状況及び/又は上記出力状況に基づいて上記体操情報を変更するか否か判断することにより、ユーザ及びロボットにとって適した体操内容か否かを適宜判断して最適な指導を提供することができる。すなわち、体操中のユーザが自覚していない心身の負担による疲労のみならず、体操中のロボットがオーバーヒートにより急停止する恐れを未然に回避することができるため、所望の体操内容を消化しやすく、ユーザは心身共に充実感を得ることができる。
【0030】
総じて、従来までのロボットによる体操支援においては、動作再現性に限界が生じた場合、利用者の適正に応じた再現性の補完ができなかったが、本発明により、利用者や利用環境に応じた適正な指導が可能となるため、専門の体操指導員が体操に常駐する必要が無くなる効果や、体操指導員が参加者個別指導に専念することができる効果も期待できる。さらに、従来、体操指導員が状況判断により体操の項目を臨機応変に変更したり、休憩をとったり、水分補給を促したりするなどのプログラム運営を行っているが、本発明により、データ解析による科学的な根拠に基づいたプログラムの変更が期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、
図1〜
図4を参照しつつ、本発明による体操支援システムの特徴を説明する。
【0033】
まず、
図1を用いて、ロボットRを動作させる基本的なハードウェア構成及びソフトウェア構成について説明する。
【0034】
図1に示すロボットRは、ヒトに代わり(又はヒトと共に)所定の動作を自律的に行う装置全般(例えば、ヒューマノイド)でもよい。ロボットRの仕組みとしては、例えば、このロボットの動作を制御する各種ソフトウェア[例えば、OS(Operating System)や各種アプリケーション]の実行を演算処理するCPU(Central Processing Unit)、このロボットの動作に関連する各種プログラムや各種データ(例えば、音声、動画、静止画)を格納するROM(Read Only Memory)、各種プログラムや各種データをロードするRAM(Random Access Memory)が、バスを介して相互に接続されており、このバスには、入出力インターフェース、電源機器(例えば、バッテリー等)、稼動機器(例えば、モーター等)が接続されていてもよい。入出力インターフェースには、入力機器(例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、カメラ、音声認識アプリケーション又はこのアプリケーションを搭載した機器)、出力機器(例えば、モニター、音声出力スピーカー)、記憶機器(例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ)、通信機器、センサー各種(例えば、イメージセンサー、タッチセンサー、3Dセンサー、RGBセンサー、ジャイロセンサー、ソナーセンサー、赤外線センサー、レーザーセンサー、バンパーセンサー、バッテリー監視センサー、温度・湿度センサー、加速度センサー)が接続されていてもよい。入出力インターフェースには、ドライブが接続されていてもよく、リムーバブルメディア(例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ)が適宜装着され、所定の情報の書き込みや読み出しが行われてもよい。これらのハードウェアが、少なくとも頭及び上半身を有する人型の筐体内に搭載されていてもよい。
【0035】
ロボットRと他のロボット又はコンピュータ端末(例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット)は、所定の通信ネットワークを介してシステム的に構成されてもよい。通信ネットワークは、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、CATV通信網、VPN、電話回線、移動体通信網、衛星通信網でもよい。通信ネットワークの全部又は一部を構成する伝送媒体は、有線(例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、電話線)や無線(例えば、IrDA、ブルートゥース(登録商標)、IEEE802.11無線(wifi等)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網)でも利用可能である。各コンピュータ間では、通信機器を介してデータやプログラムのアップロードやダウンロードが行われたり、リムーバブルメディアを介してデータやプログラムの受け渡しが行われたりしてもよい。
【0036】
ロボットRは、所定のアプリケーションプログラムにより起動及び動作してもよい。ロボットRには、電源をオン・オフする電源ボタン、音声の大きさを調節する音量調節ボタン、動作を選択する選択ボタン等が設けられていてもよく、これらのボタンが所定のアプリケーションプログラムによりタッチパネル上に電気的に表示されてもよい。ロボットRでは、通信ネットワークを介して所定のアプリケーションプログラムをダウンロード及びインストールしてもよい。ロボットRは、同一又は関連のあるアプリケーションプログラムがインストールされたコンピュータ端末にて通信ネットワークを介して遠隔操作及び制御されてもよい。ロボットRとコンピュータ端末とは、通信ネットワークを介してアクセス可能なハードウェア(クラウドサーバ等)で各種データを共有し、所定のアプリケーションプログラムにより同期してもよい。
【0037】
次に、
図2を用いて、ロボットRが有する各機能とハードウェアとの関係を説明する。
【0038】
図2に示すとおり、ロボットRは、各種情報の入力及び出力(ネットワーク通信を介した受送信含む。)や各種プログラム・各種出力部の発動及び停止等をコントロールする制御部1と、この制御部に応じて各種プログラム・各種データを記憶する記憶部2と、この記憶部に記憶された各種プログラム・各種データに基づく内容・手段を選択する選択部3と、この選択部に選択された各種プログラム・各種データに基づいて所定の動作を実行する出力部4と、この出力部に伴う各種情報を計測する計側部5と、この計側部が計測した各種情報に基づいて所定の動作の適否を判断する判断部6とを備えていてもよい。
【0039】
制御部1は、例えば、ロボットRに関する所定の動作を演算処理するCPU又はこのCPUに搭載されたプログラムでもよい。制御部1は、記憶部2に対して各種プログラムや各種データの格納・抽出を行う記憶処理制御、選択部3に対して各種プログラム・各種データの提供・決定を行う選択処理制御、出力部4に対して動作の実行・停止を行う出力処理制御、計側部5に対して計測の開始・終了を行う計測処理制御、判断部6に対して判断の開始・終了を行う判断処理制御に関する機能を備えていてもよい。
【0040】
記憶部2は、例えば、ロボットRの動作に必要な各種プログラムや各種データを記憶するROMや記憶機器が該当し、データベース機能を有していてもよい。記憶部2には、上述したユーザ情報、環境情報、ロボット情報、及び体操情報や、体操内容を支援する担当スタッフに関する情報が記憶されていてもよい。記憶部2からの各種プログラムや各種データの格納・抽出は、制御部1に応じて常時又は随時行ってもよい。
【0041】
選択部3は、例えば、ロボットRの起動・停止のスイッチや各種プログラムの開始・停止の選択肢の表示・選択を可能とするタッチパネル等の画面状の入出力機器が該当してよく、ロボットの胴体に外付けされていてもよく、ネットワーク通信を介して接続可能なものでもよい。選択部3に表示される選択肢の配列、種類、及び決定までの流れは、各種プログラム、各種アプリケーション、又は各種データに応じて決まってもよい。
【0042】
出力部4は、ロボットRが体操内容を実際に表現する手段が該当し、例えば、このロボットを構成する部位の一部である稼動部41(例えば、頭部41a、上半身部41b)、体操内容を音声で発する音声部42、体操内容を動画や静止画で表示する画面部43、及び他のロボットの稼動部での表現及び/又は他のコンピュータ端末の音声部や画面部での表現を実行するためにネットワーク通信を介してこれらに接続する通信部44でもよい。
【0043】
稼動部41は、ロボットRの筐体・シリンダー・ジョイント等で形成された部分がモーター及びバッテリーの駆動により稼動する部位で、例えば、頭部41aでは、首の回転・前後左右への折り曲げ、上半身部41bでは、肩部を支点とする腕部全体の回転、肘部を支点とする前腕部の前後左右への折り曲げ、手首部を支点とする手部の回転・前後左右への折り曲げ、手部の開閉、指部の折り曲げ、胸部の張り出し、腰部の回転・前屈等の稼動を実行してもよい。
【0044】
音声部42は、音声として体操情報を出力する部位で、例えば、所定のプログラムで生成された音声データ、音声データベースに記録されている音声情報や韻律情報に基づいて所望の音声を随時生成するソフトウェア、この音声を発するスピーカー等が該当してもよい。
なお、音声部42には、音声認識機能及びこの機能に付随するハードウェアが搭載されていてもよく、ヒトとの会話が実行可能であってもよい。
【0045】
画面部43は、動画や静止画で体操情報を出力する部位で、例えば、ロボットRに搭載されているモニター、通信部44を経由してネットワーク回線を介して接続している外部モニター、スクリーン、液晶ディスプレー、プロジェクタ、スマートフォンやタブレットを含むコンピュータ端末のタッチパネルが該当してもよい。
なお、画面部43は、選択部3と兼用でもよく、画面上に映し出される情報は、制御部1でコントロールしてもよい。
【0046】
通信部44は、ロボットR以外で体操情報を出力するために通信を実行する部位で、上述した通信ネットワークの全部又は一部を構成する伝送媒体が該当してもよい。
なお、通信部44は、通信ネットワークを介して接続されている他のロボットや他のコンピュータ端末から発信される情報を受信する機能を有していてもよい。
【0047】
計側部5は、動作中のロボットR及びユーザに関する情報を計測する部位で、例えば、稼動部41の稼動状況(例えば、時間、角度、回数等)、この稼動部を稼動させるモーターの駆動状況(例えば、温度、回転数、時間等)やバッテリーの駆動状況(例えば、残量、時間等)、又は上述した体操中のユーザの身体状況に関する数値データを収集するセンサー各種やこのセンサーで収集した数値データに基づいて新たな数値データを演算するプログラムがインストールされたCPUや組み込まれたチップ等が該当してもよい。
なお、計側部5で計測・演算された数値データは、制御部1によって常時記憶部2に格納されてもよい。
【0048】
判断部6は、動作前後又は動作中のロボットR及び/又はユーザにとって、このロボットが体操情報を出力している(又は出力予定の)出力部4やこの出力部が出力している体操内容及び/又は体操情報の適否を判断する部位で、例えば、計側部5が計測・演算した数値データと所定のプログラムで設定した閾値との比較や計測・演算前後の数値データの比較、及びこの比較に基づく可否判断に関する情報を生成するプログラムがインストールされたCPUや組み込まれたチップ等が該当してもよい。
なお、判断部6は、予め記憶部2に記憶されている各種情報や計側部5で計測・演算されこの記憶部に常時格納される数値データに基づき、上記可否判断前の状態への回復条件[例えば、各種センサーの回復センシング(ポーリング)、予め設定された時間計測に因る回復等]を所定の機械学習技術に関するプログラムにより導出してもよい。さらに、判断部6は、上述した記憶部5に格納されている各種情報及び数値データに基づき、上述した機械学習技術のための特徴抽出点として、例えば、可否判断の要因の再発可能性予測、新たな可否判断の要因の発生予測、可否判断後のユーザの追従性や活性度等を優先順位として、学習機能に反映させてもよい。
【0049】
次に、
図3及び
図4を参照しつつ、体操支援システムの流れの一例を説明する。
なお、これらの図には、
図1又は
図2で用いた符号を使って説明している部位があってもよい。
【0050】
図3に示すとおり、まず、ステップS110にて、ユーザがロボットRを選択部3から起動してもよい。ロボットRの起動後、選択部3には体操内容の選択画面が表示されてもよい。ユーザは、希望の体操内容を選択部3から決定してもよい。体操内容の決定後、制御部1が出力部4の動作準備に関する処理を行ってもよい。出力部4の稼動部41は、電源機器や稼動機器と通電してもよい。
なお、体操内容の選択後、ユーザは選択した体操内容を支援する担当スタッフを選択してもよい。ロボットRは、音声部42を介してユーザや担当スタッフと音声でコミュニケーションを図ってもよい。ロボットRとのコミュニケーションの内容は、上述したユーザ情報や環境情報によって変化してもよく、選択した担当スタッフの会話が含まれてもよい。
【0051】
次に、ステップS120にて、体操中のロボットRは、例えば、計側部5にて稼働部41を稼働させるバッテリーの駆動状況を計測してもよい。計側部5による計測結果に基づいて、判断部6が稼働中の出力部4がロボットRにとって適しているか否かを判断してもよい。例えば、計側部5がバッテリー残量を計測し、このバッテリー残量に対して判断部6が稼働部41の稼働に適している(例えば、所定時間内はバッテリー残量が続くためロボットRの稼働に影響はない等)と判断した場合、この稼働部は稼働を継続してもよく、並行して制御部1は画面部43(例えば、外付けのスクリーン等)を稼働して動画を再生してもよい。
なお、計側部5は、バッテリーの駆動状況のみならず、上述したユーザ情報、環境情報、及びロボット情報のうち、いわゆる動的条件を計測してもよく、判断部6はこの計側部の計測結果に基づいて稼働中の出力部4の適否を判断してもよい。出力部4としては、画面部3のみならず、音声部42での音声再生又は通信部44でのネットワーク接続による別のロボットR1の稼動や室内の気温・証明の変更、又はこれらの組合せでもよい。
【0052】
一方、ステップS130にて、所定時間経過後、計側部5が再びバッテリーの駆動状況を計測し、このバッテリー残量に対して判断部6が稼働部41の稼働に適していない(例えば、このまま稼働を続けるとロボットRの稼働に影響がある等)と判断した場合、制御部1はこの稼働部の稼働を停止してもよく、画面部3のみ稼働して動画を再生してもよい。
【0053】
ここで、計側部5及び判断部6によるバッテリー残量の計測及び出力の適否を判断するプログラムの一例を以下に示す。
def onInput_onStart(self,menuId):
nowbattery = self.battery.getBatteryCharge()
if nowbattery < 10:
self.motion.setStiffnesses('Body', 0)
self.motion.setStiffnesses('Head', 1)
else:
self.motion.setStiffnesses('Body', 1)
#start next application
self.onRunProgram(menuId)
このとき、計側部5は、所定の動作(例えば、プログラムやアプリケーション)の開始毎に、上記プログラムにて計測してもよい。そのうち、判断部6は、3行目「if nowbattery < 10」と6行目「else」にて、所定の閾値と計側部5の計測結果とを比較して出力部4の稼動の適否を判断すると共に、8行目「#start next application」以降で別の出力部での出力(例えば、画面部43での動画再生等)に関する情報を生成してもよい。
【0054】
したがって、本体操支援システムには、以下の効果が期待できる。
【0055】
すなわち、体操内容を表現する体操情報の出力部4を少なくとも二つ以上(稼動部41、音声部42、画面部43、通信部44)を有するロボットRによる体操支援システムであって、体操内容を選択する選択部3と、ユーザ情報、環境情報、ロボット情報のうち少なくとも一つに基づいて体操内容を表現する体操情報を変更するか否か判断する判断部6と、この体操情報を変更した場合、変更後の体操情報の出力部を発動する制御部1とを少なくとも備えていることにより、ユーザ及び/又はロボットRにとって適した体操内容を常時提供することができる。すなわち、体操情報及び出力部4を変更し、ロボットRの不適切な誘導や許容範囲外の稼動や急停止を回避することで、ユーザの心身及びロボットのスペックに負担をかけ過ぎることなく、双方所望の状態を維持することができる。したがって、指導、体得、又はポージングが難しい体操内容であっても、ロボットを活用して適した体操情報にてユーザは体操内容に楽しく取り組むことができる。
【0056】
また、ロボットRが少なくとも人型の頭部41a及び上半身部41bを構成し、出力部4が、この頭部、この上半身、音楽又は声を発する音声部42、動画及び/又は静止画を表示する画面部43、通信接続可能なコンピュータ又はロボットに指示する通信部44の少なくとも二つ以上であることで、ユーザにとって理解しにくく体操内容やロボットのスペックのみでは表現しにくい体操内容であっても、好適な出力部を二つ以上組み合わせて適した体操内容を提供することができる。すなわち、ロボットの頭部41aや上半身41b及び音声にて体操内容を表現することで、実際に指導員が間近で体操している状況を演出したり、画面部43上の動画や静止画及び通信接続可能なコンピュータ又はロボットR1にて体操内容を表現することで、実際に指導員が間近で説明している状況を演出したりすることができる。したがって、ロボットRにより選択された二つ以上の出力部4によっては、実際の指導員より優れた体操内容の提供も期待できる。
【0057】
また、ユーザ情報が、体操中のユーザの身体に接している端末式リストバンドや端末式椅子により取得される身体状況を含み、ロボット情報が、体操情報の出力中に取得される出力部4の出力状況を含み、取得直後の身体状況及び/又は出力状況に基づいて体操情報を変更するか否か判断することにより、ユーザ及びロボットRにとって適した体操内容か否かを適宜判断して最適な指導を提供することができる。すなわち、体操中のユーザが自覚していない心身の負担による疲労のみならず、体操中のロボットRがオーバーヒートにより急停止する恐れを未然に回避することができるため、所望の体操内容を消化しやすく、ユーザは心身共に充実感を得ることができる。
【0058】
以下に、
図4を参照しつつ体操支援システムの支援状況を説明する。
ここで、ロボットRは、ユーザ情報、環境情報、ロボット情報のうち少なくとも一つに基づいて体操内容を表現する体操情報を変更するか否かを判断する。
【0059】
例えば、ユーザ情報として、車いす利用者がいることの情報があれば、そのユーザに対して体操情報を変更するか否かの判断を行い、変更後の体操情報として、「○○さんは、上半身だけを動かしてください」といった音声による出力手段、あるいは「上半身だけの体操」を映像出力するといった出力手段を発動する。
【0060】
環境情報としては、ネット等を通じて、現位置の気象情報を入手したり、室温等を入手することで、環境情報に対して体操情報を変更するか否かの判断を行い、変更後の体操情報として、「気温が高いのでこまめに水分補給しましょう」といった音声による出力手段、あるいは、体操の速度を緩めるといった体操情報の変更出力手段を発動する。
【0061】
ロボット情報に関しては、例えば、アクチュエータの能力やバッテリー残量等の把握により、体操情報を変更するか否かの判断を行い、「ここからは映像をみながら体操しましょう」という音声出力手段とともに体操情報を音声と映像のみに切り替えるなどの出力手段を発動する。
【0062】
これら、ユーザ情報、環境情報、ロボット情報の取得は一つに限らないが、少なくとも一つに基づいて体操内容を表現する体操情報を変更するか否かの判断を行い支援することで、体操指導を行う専門のスタッフがいなくても、補助的なスタッフによって体操情報をユーザに的確に伝達できる。
【0063】
さらには、ユーザの端末式リストバンドや端末式椅子(車いすにセンサーを取り付ける場合を含む)によりユーザ情報をより詳細に把握すれば、より細かく体操情報を変更するか否かの判断ができ、支援の枠が広がることになる。
【0064】
尚、体操情報を変更するか否かの判断は、ロボットRにインストールされたソフトウェア(プログラム)によって判断するものであっても良いが、ロボットRがネットを通じてサーバにアクセスし、別途取得したユーザ情報や環境情報、ロボット情報に基づきサーバ側にて判断し、ロボットR等を通じて出力手段を発動するものであっても良い。