(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記主スイッチ部は、前記電荷除去部と、前記電源部および前記誘電エラストマー駆動部を繋ぐ配線経路と、の接続を開閉する、請求項2に記載の誘電エラストマー駆動システム。
前記主スイッチ部は、前記誘電エラストマー駆動部が前記電源部に接続する状態と、前記誘電エラストマー駆動部が前記電荷除去部に接続する状態と、を切り替える、請求項2に記載の誘電エラストマー駆動システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、応答性を高めることが可能な誘電エラストマー駆動システムおよび誘電エラストマー駆動方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供される誘電エラストマー駆動システムは、誘電エラストマー層および当該誘電エラストマー層を挟む一対の電極層を有する誘電エラストマー駆動部と、前記誘電エラストマー駆動部に電圧を印加する電源部と、を備える誘電エラストマー駆動システムであって、前記誘電エラストマー駆動部に蓄えられた電荷を除去する電荷除去部を備えることを特徴としている。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記誘電エラストマー駆動部と前記電荷除去部との接続を開閉する主スイッチ部をさらに備える。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記誘電エラストマー駆動部と前記電源部との接続を開閉する電源側スイッチ部をさらに備える。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記電荷除去部は、前記誘電エラストマー駆動部に蓄えられた電荷を熱エネルギーに変換する。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記主スイッチ部は、前記電荷除去部と、前記電源部および前記誘電エラストマー駆動部を繋ぐ配線経路と、の接続を開閉する。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記主スイッチ部は、前記誘電エラストマー駆動部が前記電源部に接続する状態と、前記誘電エラストマー駆動部が前記電荷除去部に接続する状態と、を切り替える。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記電荷除去部は、前記誘電エラストマー駆動部に蓄えられた電荷を一時的に蓄える。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記電荷除去部に一時的に蓄えられた電荷を蓄電する蓄電部をさらに備える。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記電荷除去部と前記蓄電部との接続を開閉する副スイッチ部をさらに備える。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記誘電エラストマー駆動部の伸長および伸縮により、前記主スイッチ部の状態が変更され、前記誘電エラストマー駆動部が電圧印加により伸長すると、前記主スイッチ部は、前記誘電エラストマー駆動部と前記電圧除去部とを接続し、前記誘電エラストマー駆動部が電圧印加されないことにより収縮すると、前記スイッチ部は、前記誘電エラストマー駆動部と前記電源部とを接続する。
【0016】
本発明の第2の側面によって提供される誘電エラストマー駆動方法は、誘電エラストマー層および当該誘電エラストマー層を挟む一対の電極層を有する誘電エラストマー駆動部に電圧を印加する工程と、前記誘電エラストマー駆動部への電圧の印加を停止する工程と、前記誘電エラストマー駆動部に蓄えられた電荷を電荷除去部で除去する工程と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、誘電エラストマー駆動部に電荷除去部が接続されている。電荷除去部は、誘電エラストマー駆動部に蓄えられた電荷を除去する機能を果たす。このため、電源部からの電圧印加を停止するとともに、電荷除去部によって誘電エラストマー駆動部の電荷を除去すると、誘電エラストマー駆動部を伸長状態から収縮状態へとより速やかに移行させることが可能である。したがって、誘電エラストマー駆動システムの応答性を高めることができる。
【0018】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る誘電エラストマー駆動システムを示している。本実施形態の誘電エラストマー駆動システムA1は、誘電エラストマー駆動部1、電荷除去部2、主スイッチ部31、スイッチ部33、電源部5および制御部6を備えている。
【0022】
誘電エラストマー駆動部1は、誘電エラストマー駆動システムA1において駆動力を出力する部位である。誘電エラストマー駆動部1は、誘電エラストマー層11および一対の電極層12を有する。
【0023】
誘電エラストマー層11は、弾性変形が可能であるとともに、絶縁強度が高いことが求められる。このような誘電エラストマー層11の材質は特に限定されないが、好ましい例として、たとえばシリコーンエラストマーやアクリルエラストマーが挙げられる。
【0024】
一対の電極層12は、誘電エラストマー層11を挟んでおり、電源部5によって電圧が印加されるものである。電極層12は、導電性を有するとともに、誘電エラストマー層11の弾性変形に追従しうる弾性変形が可能な材質によって形成される。このような材質としては、弾性変形可能な主材に導電性を付与するフィラーが混入された材質が挙げられる。前記フィラーの好ましい例として、たとえばカーボンナノチューブが挙げられる。
【0025】
誘電エラストマー駆動部1は、外部からの外力や拘束を受けていない場合、電源部5からの電圧が印加されていない状態においては、自発的な伸長や伸縮を生じていない自然長状態であり、外力が付与された場合に、誘電エラストマー層11の弾性変形が許容されている。電源部5から電圧が付与されると、一対の電極層12には、誘電エラストマー層11を挟んで正負の電荷が蓄えられる。これらの電荷のクーロン力により、一対の電極層12が互いに引き合い、誘電エラストマー層11が厚さ方向に圧縮される。この厚さ方向の圧縮に応じて、誘電エラストマー層11の面方向の寸法が伸長する。このように、誘電エラストマー駆動部1は、電圧が印加されることにより、面方向の寸法が伸長する挙動をとりうる。
【0026】
また、電圧の印加による伸長状態と対となる状態である収縮状態とを交互に且つ任意にとらせる手法として、誘電エラストマー駆動部1の誘電エラストマー層11は、たとえば予め予備伸長を付与された構成であってもよい。誘電エラストマー駆動部1は、このような予備伸長を維持するための支持機構(図示略)を適宜採用してもよい。あるいは、誘電エラストマー駆動部1は、誘電エラストマー層11を伸長させる弾性部材(図示略)を適宜採用してもよい。
【0027】
電荷除去部2は、誘電エラストマー駆動部1の一対の電極層12に蓄えられた電荷を除去するためのものであり、図示された例においては、一対の電極層12に対して並列に接続されている。電荷除去部2は、電荷を除去する機能を発揮可能な構成であれば特に限定されず、本実施形態においては、抵抗器によって構成されている。
【0028】
電源部5は、誘電エラストマー駆動部1を駆動させるための電圧を一対の電極層12に印加するものである。電源部5の具体的構成は特に限定されず、制御部6の指令によって所定の時間に所定の電圧を一対の電極層12に印加しうる構成であればよい。
【0029】
主スイッチ部31は、一対の電極層12(誘電エラストマー駆動部1)と電荷除去部2との導通経路に設けられており、一対の電極層12(誘電エラストマー駆動部1)と電荷除去部2との接続を開閉するものである。主スイッチ部31の具体的構成は特に限定されず、機械的に動作するスイッチ機構や、トランジスタ等の半導体素子を適宜採用すればよい。本実施形態においては、主スイッチ部31の開閉は、制御部6からの指令によってなされる。本実施形態においては、主スイッチ部31は、電荷除去部2と、電源部5および誘電エラストマー駆動部1を繋ぐ配線経路と、の接続を開閉する構成とされている。
【0030】
スイッチ部33は、一対の電極層12(誘電エラストマー駆動部1)と電源部5との導通経路に設けられており、一対の電極層12(誘電エラストマー駆動部1)と電源部5との接続を開閉するものである。スイッチ部33は、電源側スイッチ部に相当する。また、本実施形態においては、スイッチ部33は、電荷除去部2と電源部5との接続を開閉する機能を果たす。スイッチ部33の具体的構成は特に限定されず、機械的に動作するスイッチ機構や、トランジスタ等の半導体素子を適宜採用すればよい。本実施形態においては、スイッチ部33の開閉は、制御部6からの指令によってなされる。
【0031】
制御部6は、誘電エラストマー駆動システムA1を所望の態様で駆動しうるように、電源部5による電圧印加や主スイッチ部31およびスイッチ部33の開閉動作を制御するものである。制御部6の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUやメモリ等を含む。
【0032】
なお、電荷除去部2、電源部5、制御部6、主スイッチ部31およびスイッチ部33は、それぞれが独立した機器として構成されたものに限定されず、それぞれの機能を果たす態様であれば、いずれか同士が一体の機器として構成されていてもよい。たとえば、電源部5および制御部6が一体的な電源装置を構成していてもよい。あるいは、電源部5と電荷除去部2とが、一体の機器として構成されていてもよい。
【0033】
次に、誘電エラストマー駆動システムA1の動作例について、
図1〜
図3を参照しつつ、以下に説明する。
【0034】
図1に示す状態においては、制御部6の指令により、主スイッチ部31およびスイッチ部33が開状態とされている。このため、誘電エラストマー駆動部1、電荷除去部2および電源部5は、互いに接続されておらず、誘電エラストマー駆動部1には電圧が印加されていない。この状態においては、一対の電極層12を互いに引き合わせるクーロン力は発生しておらず、誘電エラストマー駆動部1は、収縮状態をとっている。
【0035】
図2は、制御部6の指令により、誘電エラストマー駆動部1に伸長状態をとらせた場合の誘電エラストマー駆動システムA1を示している。制御部6の指令により、スイッチ部33が閉状態とされ、一対の電極層12(誘電エラストマー駆動部1)と電源部5とが接続される。一方、主スイッチ部31は、開状態に維持されており、一対の電極層12(誘電エラストマー駆動部1)と電荷除去部2とは接続されていない。この状態で、制御部6からの指令により、電源部5から一対の電極層12に電圧が印加される。これにより、一対の電極層12に電荷q1が蓄えられクーロン力が生じる。この結果、誘電エラストマー層11が厚さ方向に収縮し面方向に伸長することとなり、誘電エラストマー駆動部1が伸長状態をとる。
【0036】
図3は、制御部6の指令により、
図2に示した伸長状態をとった誘電エラストマー駆動部1に再び収縮状態をとらせた状態の誘電エラストマー駆動システムA1を示している。制御部6の指令により、電源部5による電圧印加が停止される。また、制御部6の指令により、スイッチ部33が開状態とされ、主スイッチ部31が閉状態とされる。このため、誘電エラストマー駆動部1と電源部5とが切断され、誘電エラストマー駆動部1と電荷除去部2とが接続される。これにより、一対の電極層12に蓄えられていた電荷q1が、電流と成って電荷除去部2へと流れる。本実施形態においては、電荷除去部2は、抵抗器によって構成されているため、電流となった電荷q1は、電荷除去部2において熱エネルギーh1に変換される。この結果、誘電エラストマー駆動部1の一対の電極層12に蓄えられていた電荷q1が、電荷除去部2によって除去される。これにより、誘電エラストマー駆動部1は、電圧が印加されていない状態に速やかに復帰し、再び収縮状態をとる。
【0037】
このように、制御部6の指令によって
図2および
図3に示す伸長状態と収縮状態を適宜繰り返すことにより、誘電エラストマー駆動システムA1の誘電エラストマー駆動部1から駆動力が出力される。
【0038】
次に、誘電エラストマー駆動システムA1の作用について説明する。
【0039】
図2に示す伸長状態をとらせるべく誘電エラストマー駆動部1に電圧を印加した際には、一対の電極層12に電荷q1が蓄えられる。誘電エラストマー駆動部1は、コンデンサを構成するため、一対の電極層12に蓄えられた電荷q1は、自然に消失することはない。この電荷q1が残存していると、一対の電極層12を引き合うクーロン力が作用し、誘電エラストマー駆動部1は伸長状態を継続しうる。このため、誘電エラストマー駆動部1を伸長状態から収縮状態とするために、電源部5による電圧印加を停止しても、電荷q1の残存によって速やかな収縮状態への移行が阻害されてしまう。
【0040】
本実施形態においては、誘電エラストマー駆動部1に電荷除去部2が接続されている。電荷除去部2は、誘電エラストマー駆動部1に蓄えられた電荷q1を除去する機能を果たす。このため、
図3に示すように、電源部5からの電圧印加を停止するとともに、電荷除去部2によって誘電エラストマー駆動部1の電荷q1を除去すると、誘電エラストマー駆動部1を伸長状態から収縮状態へとより速やかに移行させることが可能である。したがって、誘電エラストマー駆動システムA1の応答性を高めることができる。
【0041】
また、誘電エラストマー駆動システムA1は、主スイッチ部31を備える。
図2に示す伸長状態への移行において、主スイッチ部31を開状態とすることにより、誘電エラストマー駆動部1に印加する電圧が、電荷除去部2に印加されてしまうことを回避することができる。また、
図3に示す収縮状態への移行においては、主スイッチ部31を閉状態とすることにより、誘電エラストマー駆動部1と電荷除去部2とを接続し、誘電エラストマー駆動部1に蓄えられた電荷q1を電荷除去部2によって除去することができる。これは、誘電エラストマー駆動システムA1の応答性を高めるとともに、無駄な損失を抑制するのに好ましい。
【0042】
本実施形態においては、電荷除去部2は、抵抗器によって構成されている。抵抗器によって構成された電荷除去部2は、通電された電流(電荷q1)を熱エネルギーh1へと遅滞なく変換する。このため、電荷除去部2による誘電エラストマー駆動部1の電荷q1の除去を速やかに行うのに適している。
【0043】
図4〜
図10は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0044】
<第2実施形態>
図4は、本発明の第2実施形態に係る誘電エラストマー駆動システムを示している。本実施形態の誘電エラストマー駆動システムA2は、電荷除去部2の構成が上述した誘電エラストマー駆動システムA1と異なり、副スイッチ部32および蓄電部4をさらに備える。
【0045】
本実施形態においては、電荷除去部2は、コンデンサによって構成されており、誘電エラストマー駆動部1から除去した電荷を一時的に蓄える機能を果たす。電荷除去部2を構成するコンデンサの具体的構成は特に限定されない。ただし、誘電エラストマー駆動部1の一対の電極層12に蓄えられた電荷を効果的に除去する観点から、電荷除去部2を構成するコンデンサの静電容量は、誘電エラストマー駆動部1の静電容量よりも十分に大きいことが好ましい。
【0046】
蓄電部4は、電荷除去部2に一時的に蓄えられた電荷を、電気エネルギーとして蓄電するものであり、たとえばリチウムイオン電池等の二次電池によって構成される。蓄電部4は、電荷除去部2に接続される。なお、本実施形態においては、電荷除去部2は、誘電エラストマー駆動部1から電荷を蓄える際の電圧に対して、蓄電部4への蓄電における電圧を降圧する降圧回路として機能させてもよい。この場合、蓄電部4への電圧が所望の値となるように、電荷除去部2を構成するコンデンサの静電容量を選択すればよい。
【0047】
副スイッチ部32は、電荷除去部2と蓄電部4との導通経路に設けられており、電荷除去部2と蓄電部4との接続を開閉するものである。副スイッチ部32の具体的構成は特に限定されず、機械的に動作するスイッチ機構や、トランジスタ等の半導体素子を適宜採用すればよい。本実施形態においては、副スイッチ部32の開閉は、制御部6からの指令によってなされる。
【0048】
次に、誘電エラストマー駆動システムA2の動作例について、
図4〜
図8を参照しつつ、以下に説明する。
【0049】
図4に示す状態においては、制御部6の指令により、主スイッチ部31、副スイッチ部32およびスイッチ部33が開状態とされている。このため、誘電エラストマー駆動部1、電荷除去部2、蓄電部4および電源部5は、互いに接続されておらず、誘電エラストマー駆動部1には電圧が印加されていない。この状態においては、一対の電極層12を互いに引き合わせるクーロン力は発生しておらず、誘電エラストマー駆動部1は、収縮状態をとっている。
【0050】
図5は、制御部6の指令により、誘電エラストマー駆動部1に伸長状態をとらせた場合の誘電エラストマー駆動システムA2を示している。制御部6の指令により、スイッチ部33が閉状態とされ、一対の電極層12(誘電エラストマー駆動部1)と電源部5とが接続される。一方、主スイッチ部31および副スイッチ部32は、開状態に維持されている。この状態で、制御部6からの指令により、電源部5から一対の電極層12に電圧が印加される。これにより、一対の電極層12に電荷q1が蓄えられクーロン力が生じる。この結果、誘電エラストマー層11が厚さ方向に収縮し面方向に伸長することとなり、誘電エラストマー駆動部1が伸長状態をとる。
【0051】
図6は、制御部6の指令により、
図5に示した伸長状態をとった誘電エラストマー駆動部1に再び収縮状態をとらせた状態の誘電エラストマー駆動システムA2を示している。制御部6の指令により、電源部5による電圧印加が停止される。また、制御部6の指令により、スイッチ部33が開状態とされ、主スイッチ部31が閉状態とされる。このため、誘電エラストマー駆動部1と電源部5とが切断され、誘電エラストマー駆動部1と電荷除去部2とが接続される。これにより、一対の電極層12に蓄えられていた電荷q1が、電流と成って電荷除去部2へと流れる。なお、副スイッチ部32は、開状態が維持されており、電荷除去部2と蓄電部4とは接続されていない。本実施形態においては、電荷除去部2は、コンデンサによって構成されているため、電流となった電荷q1は、電荷除去部2に電荷q2として蓄えられる。誘電エラストマー駆動部1から電荷除去部2への導通経路における損失が無視できる程度ある場合、電荷q1と電荷q2とは、同程度の電荷量である。この結果、誘電エラストマー駆動部1の一対の電極層12に蓄えられていた電荷q1が、電荷除去部2によって除去される。これにより、誘電エラストマー駆動部1は、電圧が印加されていない状態に速やかに復帰し、再び収縮状態をとる。
【0052】
図7は、制御部6の指令により、電荷除去部2に蓄えられた電荷q2を蓄電部4に蓄電する状態の誘電エラストマー駆動システムA2を示している。制御部6の指令により、主スイッチ部31が開状態とされ、副スイッチ部32が閉状態とされる。これにより、電荷除去部2に蓄えられていた電荷q2が電流となって、蓄電部4へと流れる。これにより、蓄電部4においては、電荷q3に相当する電気エネルギーが蓄電される。なお、電荷q3は、電荷除去部2から蓄電部4への導通経路における損失や蓄電部4における内部損失、および蓄電部4の蓄電反応に起因する損失等に相当する電荷量だけ、電荷q2よりも小さくなる。この後は、誘電エラストマー駆動システムA2に求められる駆動力の出力要請に応じて、再び
図5に示す伸長状態と
図6および
図7に示す収縮状態とを適宜繰り返す。
【0053】
図8は、電荷除去部2から蓄電部4への蓄電の他の例を示している。本例においては、制御部6の指令により、副スイッチ部32およびスイッチ部33が閉状態とされ、主スイッチ部31が開状態とされている。また、制御部6の指令により、電源部5から誘電エラストマー駆動部1に電圧が印加されている。これにより、電荷除去部2から蓄電部4への蓄電処理と、誘電エラストマー駆動部1の伸長動作とが並行して実行される。すなわち、電荷除去部2から蓄電部4への蓄電は、誘電エラストマー駆動部1の電圧印加状態が変化しない停止状態に行ってもよいし、誘電エラストマー駆動部1の電圧印加状態が変化する動作状態に行ってもよい。
【0054】
このような実施形態によっても、誘電エラストマー駆動システムA2の応答性を高めることができる。コンデンサからなる電荷除去部2は、抵抗器からなる電荷除去部2と同様に、誘電エラストマー駆動部1の電荷q1を速やかに除去するのに適している。また、電荷除去部2は、たとえば電荷q1を熱エネルギーh1に変換して放出するのではなく、電荷q2として蓄える機能を果たす。このため、誘電エラストマー駆動部1を伸長させるために投入された電荷q1を電荷q2として再利用することが可能であり、省電力に寄与しうる。
【0055】
図7に示すように、本実施形態においては、副スイッチ部32を介して電荷除去部2と蓄電部4とが接続されている。電荷除去部2に電荷q2が蓄えられている状態で、副スイッチ部32を閉状態とすると、電荷除去部2の電荷q2を蓄電部4に蓄電することができる。一般的に、二次電池からなる蓄電部4は、電荷除去部2よりも蓄電量が顕著に大である。一方、このような蓄電部4の蓄電速度は、コンデンサからなる電荷除去部2の蓄電速度よりも顕著に遅い。したがって、誘電エラストマー駆動部1からの電荷q1の除去を電荷除去部2によって行うことにより、誘電エラストマー駆動部1の収縮状態への移行速度を高速で維持するとともに、回収された電荷q2を余すことなく蓄電部4に蓄電することが可能であり、応答性の向上と省電力化とを両立するのに好ましい。
【0056】
<第3実施形態>
図9は、本発明の第3実施形態に基づく誘電エラストマー駆動システムを示している。本実施形態の誘電エラストマー駆動システムA3は、主スイッチ部31の構成とスイッチ部33を有さない点とが誘電エラストマー駆動システムA1と異なり、その他の構成は、誘電エラストマー駆動システムA1と類似している。
【0057】
本実施形態においては、主スイッチ部31は、誘電エラストマー駆動部1が電源部5に接続する状態と、誘電エラストマー駆動部1が電荷除去部2に接続する状態と、を切り替える構成とされている。すなわち、図示された状態においては、主スイッチ部31は、誘電エラストマー駆動部1と電源部5とを接続させており、誘電エラストマー駆動部1と電荷除去部2との接続を遮断している。一方、制御部6の指令により、主スイッチ部31の状態を図示された状態から切り替えると、主スイッチ部31は、誘電エラストマー駆動部1と電荷除去部2とを接続させ、誘電エラストマー駆動部1と電源部5との接続を遮断する。なお、主スイッチ部31は、誘電エラストマー駆動部1が電源部5に接続する状態と、誘電エラストマー駆動部1が電荷除去部2に接続する状態と、のいずれかに切り替える構成とされているが、両者の切り替えに加え、誘電エラストマー駆動部1が電源部5及び電荷除去部2のいずれにも接続しない状態となるように構成されてもよい。
【0058】
このような実施形態によっても、誘電エラストマー駆動システムA3の応答性を高めることができる。また、誘電エラストマー駆動システムA1におけるスイッチ部33が不要であるという利点がある。
【0059】
図10は、本発明の第4実施形態に基づく誘電エラストマー駆動システムを示している。
【0060】
本実施形態においては、誘電エラストマー駆動部1は、一対の支持部材71に取付けられている。一対の支持部材71は、たとえば円形の板状部材であり、それぞれの大きさが異なっている。誘電エラストマー駆動部1は、一対の支持部材71に取付けられることにより円錐台の筒状とされている。一対の支持部材71の間には、ばね72が設けられている。ばね72は、誘電エラストマー駆動部1を軸方向に伸長させる弾性力を発揮している。このため、電源部5からの電圧が印加されていない状態において、誘電エラストマー駆動部1には、軸方向に伸長させる張力が発生している。
【0061】
上側の支持部材71には、連結ロッド73が取付けられている。連結ロッド73は、誘電エラストマー駆動部1の伸縮に伴い、上側の支持部材71とともに上下動し、誘電エラストマー駆動部1の伸縮による動作を主スイッチ部31に伝えるためのものである。
【0062】
主スイッチ部31は、可動子310および固定子311,312を有する。可動子310には、連結ロッド73の一端が固定されている。このため、可動子310は、連結ロッド73の上下動に伴って上下動する。また、可動子310は、誘電エラストマー駆動部1の内側の電極層12と電気的に接続されている。固定子311,312は、可動子310を挟むように互いに離間配置されている。固定子311は、電源部5に接続されており、固定子312は、電荷除去部2に接続されている。
【0063】
図示された状態においては、可動子310が固定子311に接しており、誘電エラストマー駆動部1に電源部5が接続されている。電源部5からの電圧印加により誘電エラストマー駆動部1が軸方向に伸長すると、上側の支持部材71、連結ロッド73および可動子310が上昇する。これにより、可動子310が固定子311から離間し、固定子312に接する。この結果、誘電エラストマー駆動部1は、電源部5と非接続となり(電源部5から電気的に切り離されて)、電荷除去部2に接続される。すると、誘電エラストマー駆動部1の電荷が電荷除去部2によって除去され、誘電エラストマー駆動部1が収縮する。これにより、上側の支持部材71、連結ロッド73および可動子310が下降する。これにより、可動子310が固定子312から離間し、固定子311に再び接する。この後は、上側の支持部材71、連結ロッド73および可動子310の上昇と下降とが繰り返される。
【0064】
本実施形態によっても、誘電エラストマー駆動システムA4の応答性を高めることができる。また、誘電エラストマー駆動部1の伸長および伸縮により、主スイッチ部31の状態が変更される構成であることにより、誘電エラストマー駆動システムA4は、上述した実施形態の制御部6や発振器等を用いることなく、誘電エラストマー駆動部1に伸長と収縮とを繰り返す振動動作を生じさせることができる。
【0065】
本発明に係る誘電エラストマー駆動システムは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る誘電エラストマー駆動システムの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。