特許第6978876号(P6978876)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6978876
(24)【登録日】2021年11月16日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】受信器
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/16 20060101AFI20211125BHJP
【FI】
   H04B1/16 Z
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-165275(P2017-165275)
(22)【出願日】2017年8月30日
(65)【公開番号】特開2019-47181(P2019-47181A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】中島 義人
(72)【発明者】
【氏名】森木 大樹
(72)【発明者】
【氏名】島 裕史
【審査官】 対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−015700(JP,A)
【文献】 特開平08−084052(JP,A)
【文献】 特開2010−233058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/06
H04B 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周波数でセンサ情報を送信する送信器の送信信号を受信し、所定の占有周波数帯域内に受信周波数帯域を設定して信号を受信する受信器であって、
前記受信周波数帯域を所定の狭帯域に設定し、受信待機状態で前記受信周波数帯域の中心周波数をずらしながら前記占有周波数帯域の全域を走査して最も受信信号強度の高い最適中心周波数に前記受信周波数帯域を設定して信号を受信する受信制御部を備え、
前記受信制御部は、前記送信信号の先頭に配置された所定期間のプリアンブルコード全体の時間よりも短い間隔毎に、前記占有周波数帯域の全域を走査することを特徴とする受信器。
【請求項2】
請求項1記載の受信器に於いて、前記受信制御部は、前記受信周波数帯域の中心周波数を所定の開始中心周波数から所定の周波数ずつ増加又は減少しながら前記占有周波数帯域の全域を繰り返し走査することを特徴とする受信器。
【請求項3】
請求項2記載の受信器に於いて、前記受信制御部は、前記受信周波数帯域の中心周波数を前記最適中心周波数に設定後、受信中の信号周波数と前記最適中心周波数の誤差をフィードバックして前記最適中心周波数を前記受信中の信号周波数に合わせることを特徴とする受信器。
【請求項4】
請求項2記載の受信器に於いて、前記受信制御部は、前記増加又は減少させる前記所定の周波数を、前記受信周波数帯域の帯域幅と前記送信信号の帯域幅との差分以下とすることを特徴とする受信器。
【請求項5】
請求項1記載の受信器に於いて、前記受信制御部は、前記信号の先頭に配置されたプリアンブル信号の受信時間に対応した所定の時間毎に、前記受信周波数帯域の中心周波数をずらしながらの前記占有周波数帯域の全域走査を繰り返すことを特徴とする受信器。
【請求項6】
請求項1記載の受信器に於いて、前記受信制御部は、前記受信周波数帯域を前記最適中心周波数に固定した状態での信号の受信中に、前記信号の受信終了を検出した場合、前記受信周波数帯域の前記最適中心周波数での固定を解除して前記占有周波数帯域内での走査を再開させることを特徴とする受信器。
【請求項7】
請求項記載の受信器に於いて、前記受信制御部は、受信した信号に信号長が含まれている場合、前記信号長に対応した受信時間の経過により前記信号の受信終了を検出することを特徴とする受信器。
【請求項8】
請求項記載の受信器に於いて、前記受信制御部は、前記信号受信中に所定周期で前記受信信号強度を検出し、前記受信信号強度が所定の閾値以下となった場合に、前記信号の受信終了を検出することを特徴とする受信器。
【請求項9】
請求項1記載の受信器に於いて、前記受信制御部は前記走査中に信号受信強度が所定の閾値を超えたときに信号有とみなし、受信中の信号周波数と前記最適中心周波数の誤差をフィードバックして前記最適中心周波数を前記受信中の信号周波数に合わせることを特徴とする受信器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャンネル周波数に対応した占有周波数帯域内に受信周波数帯域を設定して信号を受信する受信器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チャンネル周波数に対応した占有周波数帯域内に受信周波数帯域を設定して信号を受信する受信器にあっては、受信器の感度を上げるため受信周波数の帯域幅を狭くすることが知られている。
【0003】
図7は従来の受信感度を高めるための受信周波数帯域の狭帯域の設定を示した説明図である。図7は426MHz帯の特定小電力無線局設備における12.5kHz幅のチャンネル周波数帯域100を例にとっており、チャンネル周波数帯域100の中に8.5kHz幅の占有周波数帯域102が配置され、送信電波の受信による送信周波数帯域104の中心周波数fsと受信周波数帯域106の中心周波数foが略一致しており、送信周波数帯域104の帯域幅を4kHzとすると、通常の受信周波数帯域は占有周波数帯域102の全体をカバーするように帯域幅が8.5kHzに設定される。
【0004】
これに対し占有周波数帯域102の中に、例えば帯域幅を4.5kHzとした狭帯域の受信周波数帯域106を設定することで、受信感度を高めることができる。
【0005】
これは感度を求めようとする感度回路の動作が信頼できる状態の下で、感度回路が検出可能な最小の信号(通信に必要な受信品質を確保できる最小の信号)を感度とするとき、感度を示す最小信号強度Siは、出力雑音電力のM倍の出力信号電力を生ずる場合の受信器回路の入力端での最小信号の強度を表す。
【0006】
ここで、感度を示す最小信号強度Siと雑音指数の関係は次の(式1)で与えられる。
Si=MkToBF (式1)
Siは最小信号強度(感度)
kはボルツマン定数
Toは信号源温度
Bは雑音帯域幅[Hz]
Fはノイズファクタ[dB]
Mは雑音指数
【0007】
このとき、M=1とし、To=290Kとし、(式1)をdBm単位で表すと次の(式2)となる。
Si=−174dBm+F(dB)+10・logB+10・logM (式2)
【0008】
この(式2)より、受信周波数帯域幅を広くすると、雑音帯域幅Bが広がることによって10・logBが大きくなり、最小信号強度Siが増加し、受信感度が低下する。一方、受信周波数帯域幅を狭くすると、雑音帯域幅Bが狭まることによって10・logBが小さくなり、最小信号強度Siが低下し、受信感度が上がる。
【0009】
例えば、受信周波数帯域の帯域幅を占有周波数帯域102の帯域幅と同じ8.5kHzの場合と狭帯域にした方の最小信号強度が約3[dBm]低くなり、受信感度が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2012−105103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、受信器の感度を上げるために受信周波数帯域の帯域幅を狭くすると、送信側の送信周波数帯域の中心周波数が受信側の受信周波数帯域の中心周波数からずれた場合に受信できなくなる問題がある。
【0012】
図8は受信周波数帯域を狭帯域に設定した場合の送信側と受信側の中心周波数のずれを示した説明図である。図8に示すように、占有周波数帯域102の中に中心周波数foとして狭帯域の受信周波数帯域106を設定した場合、送信周波数帯域104の中心周波数fsがずれる場合がある。
【0013】
このような送信側の中心周波数のずれは、送信側の中心周波数が水晶発振器又は温度補償水晶発振器の発信周波数で決まっており、温度特性や経年変化で水晶発振器の発信周波数は、数ppm〜数十ppm(2kHz〜3kHz)程度ずれる場合があり、送信側の中心周波数fsが受信側の中心周波数foからずれて受信できなくなる場合がある。
【0014】
このような中心周波数のずれの一般的な解決策としては自動周波数制御(AFC)が知られている。しかし、自動周波数制御は受信周波数帯域幅を広帯域(感度の低い状態)に設定し、その受信周波数帯域内に飛び込んできた電波の受信信号の中心周波数に追従するように受信周波数帯域の中心周波数を制御するが、微弱な電波の受信信号に対しては、そもそも受信感度が低い状態なため、電波が飛び込んできたかどうかが分からず、受信できない。
【0015】
このように自動周波数制御を使用した場合、受信周波数帯域幅が狭帯域の状態(感度が高い状態)に比べ感度が落ち、受信感度が高いまま広い受信周波数帯域幅による受信を両立させるは困難であった。
【0016】
本発明は、受信周波数帯域幅が狭帯域の場合に高い受信感度が得られることに着目して受信周波数帯域を狭帯域に設定し、占有周波数帯域内で中心周波数がずれても確実に受信可能として、高い受信感度と占有周波数帯域内の全域での受信を両立可能とする受信器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(受信器)
本発明は、所定の周波数でセンサ情報を送信する送信器の送信信号を受信し、所定の占有周波数帯域内に受信周波数帯域を設定して信号を受信する受信器であって、
受信周波数帯域を所定の狭帯域に設定し、受信待機状態で受信周波数帯域の中心周波数をずらしながら占有周波数帯域の全域を走査して最も受信信号強度の高い最適中心周波数に受信周波数帯域を固定して信号を受信する受信制御部を備え、
受信制御部は、送信信号の先頭に配置された所定期間のプリアンブルコード全体の時間よりも短い間隔毎に、占有周波数帯域の全域を走査することを特徴とする。
【0018】
(増加又は減少による中心周波数の受信周波数帯域走査)
受信制御部は、受信周波数帯域の中心周波数を所定の開始中心周波数から所定周波数ずつ増加又は減少しながら占有周波数帯域の全域を繰り返し走査する。
【0019】
(周波数自動制御)
受信制御部は、受信周波数帯域の中心周波数を最適中心周波数に設定後、受信中の信号周波数と最適中心周波数の誤差をフィードバックして最適中心周波数を受信中の信号周波数に合わせる。
【0020】
(最適中心周波数の設定)
受信制御部は、増加又は減少させる所定の周波数を、受信周波数帯域の帯域幅と送信信号の帯域幅との差分以下とする。
【0021】
(プリアンブル受信時間に対応した受信周波数帯域走査)
受信制御部は、信号の先頭に配置されたプリアンブル信号の受信時間に対応した所定の時間毎に、受信周波数帯域の中心周波数をずらしながらの占有周波数帯域の全域走査を繰り返す。
【0022】
(中心周波数の固定解除と受信周波数帯域走査の再開)
受信制御部は、受信周波数帯域を最適中心周波数に固定した状態での信号の受信中に、信号の受信終了を検出した場合、受信周波数帯域の最適中心周波数での固定を解除して占有周波数帯域内での走査を再開させる。
【0023】
(信号長による送信終了の検出)
受信制御部は、受信した信号に信号長が含まれている場合、信号長に対応した受信時間の経過により信号の受信終了を検出する。
【0024】
(受信信号強度による送信終了の検出)
受信制御部は、信号受信中に所定周期で受信信号強度を検出し、受信信号強度が所定の閾値以下となった場合に、信号の受信終了を検出する。
【0025】
(周波数走査による最適中心周波数の設定)
受信制御部は、走査中に信号受信強度が所定の閾値を超えたときに信号有とみなし、受信中の信号周波数と最適中心周波数の誤差をフィードバックして最適中心周波数を受信中の信号周波数に合わせる
【発明の効果】
【0026】
(基本的な効果)
本発明は、所定の占有周波数帯域内に受信周波数帯域を設定して信号を受信する受信器に於いて、受信周波数帯域を所定の狭帯域に設定し、受信待機状態で受信周波数帯域の中心周波数をずらしながら占有周波数帯域の全域を走査して最も受信信号強度の高い最適中心周波数に受信周波数帯域を固定して信号を受信する受信制御部を備え、受信制御部は、送信信号の先頭に配置された所定期間のプリアンブルコード全体の時間よりも短い間隔毎に、占有周波数帯域の全域を走査するため、受信周波数帯域を狭帯域に設定して受信感度を高めた状態で、占有周波数帯域の全域を網羅するように受信周波数帯域の中心周波数を走査して受信待機することで、送信周波数帯域の中心周波数と受信周波数帯域の中心周波数にずれが生じても、中心周波数の走査により受信信号強度が最大となる最適中心周波数を検出して固定することで、中心周波数がずれても狭帯域とした受信周波数帯域による信号の受信を確実に行うことができ、狭帯域の設定による高い受信感度と占有周波数帯域の全域での受信を両立させることができる。
【0027】
(増加又は減少による中心周波数の受信周波数帯域走査の効果)
また、受信制御部は、受信周波数帯域の中心周波数を所定の開始中心周波数から所定周波数ずつ増加又は減少しながら占有周波数帯域の全域を繰り返し走査するようにしたため、水晶発振器の温度特性や経年変化等に起因して送信周波数帯域の中心周波数及び又は受信周波数帯域の中心周波数とのあいだにずれが生じても、受信周波数帯域の中心周波数を所定の開始中心周波数から所定周波数ずつ増加又は減少しながら占有周波数帯域の全域を繰り返し走査することで、中心周波数がずれても確実に信号を受信することができる。
【0028】
(周波数自動制御による効果)
また、受信制御部は、受信周波数帯域の中心周波数を最適中心周波数に設定後、受信中の信号周波数と最適中心周波数の誤差をフィードバックして最適中心周波数を受信中の信号周波数に合わせるようにしたため、受信周波数帯域の中心周波数を大まかに最適中心周波数に設定した後に、自動周波数制御により受信中の信号周波数に最適中心周波数を精度よく合わせることができる。また、信号待機中の信号有無確認における1回の走査内の信号確認回数が減じられるため、待機電力を減じる効果がある。
【0029】
(最適中心周波数の設定による効果)
また、受信制御部は、増加又は減少させる所定の周波数を、受信周波数帯域の帯域幅と送信信号の帯域幅との差分以下としたため、細かく最適中心周波数を設定することができる。また、最適中心周波数を設定した場合に受信帯域周波数内に送信帯域周波数が全て含まれることになるため、フィードバック制御が不要となるので回路・制御が簡易に構成することが可能となる。上述した周波数自動制御による手法とするか、最適中心周波数を細かく設定する手法とするかは、いずれの効果を重視するかで選択可能である。
【0030】
(プリアンブル受信時間に対応した受信周波数帯域走査の効果)
また、受信制御部は、信号の先頭に配置されたプリアンブル信号の受信時間に対応した所定の時間毎に、受信周波数帯域の中心周波数をずらしながらの占有周波数帯域の全域走査を繰り返すようにしたため、プリアンブル信号に続くデータ信号を受信する前に、占有周波数帯域内における受信周波数帯域の中心周波数の走査により受信信号強度が最大となる中心周波数に固定され、プリアンブル信号に続くデータ信号を高感度で確実に受信できる。
【0031】
(中心周波数の固定解除と受信周波数帯域走査の再開による効果)
また、受信制御部は、受信周波数帯域を最適中心周波数に固定した状態での信号の受信中に、信号の受信終了を検出した場合、受信周波数帯域の最適中心周波数での固定を解除して占有周波数帯域内での走査を再開させるようにしたため、複数の送信器から中心周波数のずれ具合が異なる信号が送信されてくるような場合、ある送信器からの信号の受信が終了してから中心周波数の走査を再開して受信待機に入るまでの時間が長くなると、その間に別の送信器から送信された信号の受信ができにくなるが、信号の受信終了を実際に検出して受信待機状態に切り替えて中心周波数の走査を再開することで、異なる送信器からの信号を確実に受信可能とする。
【0032】
(信号長による送信終了の検出による効果)
また、受信制御部は、受信した信号に信号長が含まれている場合、信号長に対応した受信時間の経過により信号の受信終了を検出するようにしたため、信号受信の終了時点を正確に検出し、時間遅れを生ずることなく受信待機状態として、別の送信器からの受信に備えることができる。
【0033】
(受信信号強度による送信終了の検出による効果)
また、受信制御部は、信号受信中に所定周期で受信信号強度を検出し、受信信号強度が所定の閾値以下となった場合に、信号の受信終了を検出するようにしたため、受信した信号に信号長が含まれていなくとも、周期的に受信信号強度を検出することで、信号受信の終了時点の検出遅れを最小限に抑えることで、別の送信器からの受信に備えることができる。
【0034】
(周波数走査による最適中心周波数の設定による効果)
受信制御部は、走査中に信号受信強度が所定の閾値を超えたときに信号有とみなし、受信中の信号周波数と最適中心周波数の誤差をフィードバックして最適中心周波数を受信中の信号周波数に合わせるようにしたため、走査中に所定の閾値を超える信号受信強度が得られた場合に設定中の受信周波数を自動周波数制御(AFC)により受信中の信号周波数に合わせることで、受信周波数帯域の全域を走査することなく迅速に中心周波数がずれても狭帯域とした受信周波数帯域による信号の受信を確実に行うことができ、狭帯域の設定による高い受信感度と占有周波数帯域の全域での受信を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の受信器の機能が用いられる警報システムを示した説明図
図2】住警器の外観を示したブロック図
図3】本発明による受信器機能を備えた住警器の機能構成を示したブロック図
図4】占有周波数帯域の全域に対する狭帯域に設定した受信周波数帯域の走査を示した説明図
図5】信号電波に対する受信周波数帯域の走査による受信動作を示したタイムチャート
図6図3の受信制御部による制御動作を示したフローチャート
図7】従来の受信感度を高める受信周波数帯域の狭帯域の設定を示した説明図
図8】受信周波数帯域の狭帯域に設定した場合の送信側と受信側の中心周波数のずれを示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0036】
[警報システムの概要]
図1は本発明の受信器の機能が用いられる警報システムを示した説明図であり、住宅に設置される無線式の住警器(住宅用火災警報器)により構成される警報システムを例にとっている。
【0037】
図1の例にあっては、住宅12の台所、居間、主寝室、子供部屋のそれぞれに、火災を検出して警報する住警器10−1〜10−4が設置され、更に屋外に建てられたガレージ14にも住警器10−5が設置されている。住警器10−1〜10−5は、火災等の連動信号を無線により相互に送受信する機能を備え、住宅全体の火災監視を行っている。また。住警器10−1〜10−5は、同じチャンネル周波数を使用することにより連動グループを形成している。
【0038】
いま住宅12の子供部屋で火災が発生したとすると、住警器10−4が火災を検出し、警報音と警報表示により連動元を示す火災警報を出力する。また火災を検出した住警器10−4は他の住警器10−1〜10−3,10−5に対し、点線で示す信号電波11の経路により、火災発生を示す火災連動信号を無線により送信する。他の住警器10−1〜10−3,10−5は連動元の住警器10−4からの火災連動信号を受信した場合に、警報音と警報表示により連動先を示す火災警報を出力する。
【0039】
住警器10−1〜10−5は火災警報の出力中に警報停止操作を行うと、自身の警報を停止すると共に警報停止連動信号を他の住警器に送信して警報停止動作を行わせる。また、火災を検出した住警器10−4で火災復旧が検出されると、自身の警報を停止すると共に火災復旧連動信号を他の住警器に送信して警報停止動作を行わせる。
【0040】
図2は無線式の住警器の外観を示した説明図であり、図2(A)に正面図を示し、図2(B)に側面図を示している。
【0041】
図2に示すように、住警器10は本体16とカバー18で構成され、カバー18の中央には煙流入口を開口し、内部には検煙部26が配置され、火災による煙が所定濃度に達したときに火災を検出する。カバー18の左下側には音響孔24が設けられ、この背後にスピーカを内蔵し、警報音や音声メッセージを出力できるようにしている。
【0042】
検煙部26の下側には警報停止スイッチ20が設けられている。警報停止スイッチ20は住警器の機能点検を指示する点検スイッチとしての機能を兼ねており、火災警報時に警報停止スイッチ20が操作されると警報を停止し、通常状態で警報停止スイッチ20が操作されると機能点検を開始して結果を報知する。警報停止スイッチ20の内部には、点線で示すように警報表示を行うLED22が配置され、警報停止スイッチ20を介して内部のLED22の点灯、点滅等を視認可能としている。
【0043】
[住警器の機能構成]
(機能構成の概要)
図3は本発明による受信器機能を備えた住警器の機能構成を示したブロック図である。図3に示すように、住警器10は制御プロセッサ30を備え、制御プロセッサ30に対しては検煙部26、警報停止スイッチ20、LED22、スピーカ34、及びアンテナ42を接続した通信部32が設けられている。
【0044】
制御プロセッサ30には、CPU46が設けられ、CPU46からのバス54に、制御ロジック48、ROM50、RAM52、AD変換ポート58、入力ポート60、出力ポート62、音声出力ポート64及び通信ポート56が接続されている。なお、制御ロジック48はCPU46の制御処理に伴うバス制御などの各種のハードウェア機能を実現する。
【0045】
AD変換ポート58には検煙部26が接続され、入力ポート60には警報停止スイッチ20が接続され、出力ポート62にはLED22が接続され、音声出力ポート64にはスピーカ34が接続され、通信ポート56には通信部32が接続されている。
【0046】
検煙部26は、公知の散乱光式検煙構造をもち、所定周期で赤外LEDを用いた発光部を間欠的に発光駆動し、フォトダイオードなどの受光部で受光した散乱光の受光信号を増幅し、煙濃度検出信号を出力する。なお、検煙部26に代えて温度検出部を設ける場合もあり、温度検出部は、温度検出素子として例えばサーミスタを使用し、この場合、温度による抵抗値の変化に対応した電圧信号となる温度検出信号を出力する。
【0047】
(火災制御機能)
CPU46にはプログラムの実行により実現される火災制御部47の機能が設けられる。火災制御部47による制御は次のようになる。火災制御部47は、検煙部26から出力された煙濃度の検出信号をAD変換ポート58から読み込み、煙濃度が所定の閾値以上の場合に火災を検出し、連動元の火災を示す火災警報を出力させる制御を行う。
【0048】
火災制御部47は、火災警報を出力させた場合、火災連動信号を生成し、通信部32に指示し、他の住戸の住警器へ火災連動信号を送信させる制御を行い、当該火災連動信号を受信した他の住戸の住警器で連動先を示す火災警報を出力させる。
【0049】
また、火災制御部47は、同じ連動グループとなる住戸内の他の住警器が送信した火災連動信号を受信した場合、連動先を示す火災を出力させる制御を行う。
【0050】
また、火災制御部47は、警報停止スイッチ20の操作による警報停止制御、検煙部26の煙濃度が閾値以下に下がる火災復旧制御についても、火災連動信号の場合と同様に、警報停止連動信号及び火災復旧連動信号の送信を行う。
【0051】
[通信部の機能構成]
通信部32は、他の住警器との間で所定の通信プロトコルに従って火災等の連動信号を送受信する。この通信プロトコルは、日本国内の場合には、例えば426MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(特定小電力セキュリティシステム無線局の無線設備標準規格)に準拠する。
【0052】
426MHz帯の特定小電力セキュリティシステム無線局設備では、426.2500MHz〜426.8375MHzの間に12.5kHzの周波数帯域幅を持つ48チャンネルが割り当てられており、何れかのチャンネル周波数を複数の住警器で構成する連動グルーブに割り当てて使用する。
【0053】
通信部32には通信プロセッサ36が設けられ、通信プロセッサ36に対しては送信部38と受信部40が設けられている。通信プロセッサ36には、CPUが設けられ、CPUによるプログラムの実行により実現される送信制御部78と受信制御部80の機能が設けられている。
【0054】
通信プロセッサ36は送信ポート66と送信制御ポート68を送信部38に接続し、受信制御ポート70、受信ポート72及び受信信号強度ポート74を受信部40に接続し、更に、通信ポート76を制御プロセッサ30の通信ポート56に接続している。
【0055】
送信部38は通信プロセッサ36から出力された火災連動信号等のデータ信号をMSK変調した後にFM変調してアンテナ42から426MHz帯の割当チャンネル周波数の信号電波として送信する。
【0056】
受信部40は、アンテナ42による他の住警器が送信した信号電波を受信し、FM復調した後に、MSK復調を行い、更にビット判定を行って火災連動信号等のデータ信号を復調する。
【0057】
(通信制御部の機能)
本実施形態の受信部40にあっては、426MHz帯の割当チャンネルにおける12.5kHzのチャンネル周波数帯域に設定された8.5kHzの占有周波数帯域内に、例えば4.5kHzの狭帯域の受信周波数帯域を設定することで、受信感度を高めている。
【0058】
更に、通信プロセッサ36に設けられた受信制御部80は、受信待機状態で受信部40に設定している狭帯域の受信周波数帯域の中心周波数を、所定の開始中心周波数から所定の周波数ずつ増加又は減少しながら、8.5kHzの占有周波数帯域の全域を走査しており、他の住警器からの送信電波の受信により、受信信号強度ポート74により検出された受信信号強度が最も高い中心周波数を最適中心周波数として受信周波数帯域を固定し、信号電波を受信する制御を行う。
【0059】
ここで、受信制御部80は、受信信号帯域の中心周波数をおおまかに最適受信周波数帯域の中心周波数を設定した後、自動周波数制御(AFC)で受信中の信号周波数に最適中心周波数を一致させる制御を行う。
【0060】
図4は占有周波数帯域の全域に対する狭帯域に設定した受信周波数帯域の走査を示した説明図である。
【0061】
図4に示すように、426MHz帯の所定のチャンネル周波数の割当による12.5kHzのチャンネル周波数帯域100には、8.5kHzの占有周波数帯域102が設定されており、受信部40による受信周波数帯域は例えば4.5kHzといった狭帯域に設定されることで、受信感度を高くしている。
【0062】
8.5kHzの占有周波数帯域102に対しては、4.5kHzの狭帯域の受信周波数帯域により占有周波数帯域102の全体がカバーできるように、受信周波数帯域106−1,106−2,106−3を走査するための中心周波数f01,f02,f03が予め設定され、例えば開始中心周波数をf01とし、中心周波数f02,f03の順番に受信周波数帯域106−1,106−2,106−3を順次切替え、これを繰り返すようにしている。
【0063】
また、受信制御部80は、中心周波数f01,f02,f03の順番に受信周波数帯域106−1,106−2,106−3を切り替える毎に、その時の受信信号強度Si1,Si2,Si3を検出して保持しており、1回の走査で検出された受信信号強度Si1,Si2,Si3が所定の閾値を超えることで信号電波が到来している状態を判別し、更に、受信信号強度Si1,Si2,Si3の中の最大となった中心周波数を最適中心周波数として検出する。
【0064】
図4の場合には、送信周波数帯域104の中心周波数fsは占有周波数帯域102の低周波数側にずれており、中心周波数f01,f02,f03の順番に受信周波数帯域106−1,106−2,106−3を切り替えた場合、中心周波数f01の受信周波数帯域106−1に走査したときに最大となる受信信号強度Si1が得られ、このため最適中心周波数f01の最適受信周波数帯域106−1に設定することで、中心周波数fsがずれた送信周波数帯域104の送信電波を高感度で受信することができる。
【0065】
このような中心周波数の切替えによる狭帯域に設定した受信周波数帯域による占有周波数帯域の走査は、受信部40には高周波増幅器に続いて混合器が設けられ、VCOを用いた局部発振器から送信側の変調チャンネル周波数に同期した周波数の局部発信信号を受信信号に乗算してベースハンド信号に変換していることから、高周波増幅器に設けられた中心周波数f01,f02,f03で帯域幅が4.5kHzの帯域通過フィルタを切替え、この切替えに同期して局部発振器から周波数f01,f02,f03の局部発信信号を混合器に切替え出力する制御を行えば良い。
【0066】
なお、占有周波数帯域102内における狭帯域に設定した受信周波数帯域の中心周波数の切替え数は、必要に応じて任意の回数とすることができる。
【0067】
さらに、受信周波数帯域の中心周波数を最適受信周波数帯域106−1の中心周波数f01に設定した後、受信中の信号周波数fs(送信周波数帯域104の中心周波数fs)と最適中心周波数f01の誤差をフィードバックして受信中の信号周波数fsに最適中心周波数f01を合わせる自動周波数制御(AFC)を行う。これにより、送信側と受信側の周波数を合わせることが可能となる。
【0068】
また、狭帯域の受信周波数帯域の中心周波数を増加又は減少させる所定の周波数は、受信周波数帯域の帯域幅4.5KHzと送信周波数帯域の帯域幅4.0KHzとの差分となる0.5KHz以下し、最適中心周波数を細かく設定できるようにしても良い。この場合は、自動周波数制御処理は不要となる。
【0069】
(受信信号帯域の走査開始と走査終了)
図5は信号電波に対する受信周波数帯域の走査による受信動作を示したタイムチャートであり、図5(A)は信号電波11を示し、図5(B)は受信動作を示す。
【0070】
通信プロセッサ36の送信制御部78は、例えば図5(A)に示す形式の信号電波11を送信する。信号電波11は、先頭に所定ビット長のプリアンブルコード84が配置され、続いて、住警器等の機器に固有な識別コードとしてシンクワード86が配置される。シンクワード86に続いては、これに続くデータ部分の長さを示す信号長88が配置され、その後がデータ90となり、最後に誤り検出用のCRCコード92が配置されている。
【0071】
図5(B)に示す受信動作として、受信制御部80は、信号電波11のないときには受信待機状態94にあり、受信待機状態94では、図4に示したように、狭帯域に設定した受信周波数帯域106−1,106−2,106−3の中心周波数f01,f02,f03の切替えにより、占有周波数帯域102の全域の走査を繰り返している。占有周波数帯域102の全域の走査は所定のプリアンブルコード84全体の時間よりも短い間隔毎に行われる。これにより、プリアンブルコード送信中のいずれかのタイミングで中心周波数を固定でき、常時全域走査するよりも電池消耗を抑えながら信号の内容が通信される前に通信環境を整えることが出来る。また、間隔毎の全域走査の回数は1以上の任意の数とすることが出来る。
【0072】
このような受信待機状態94で時刻t1から信号電波11の受信が開始されたとすると、狭帯域とした受信周波数帯域の中心周波数による占有周波数帯域の1回の走査による信号電11の受信により、受信信号強度が最も高い受信周波数帯域の中心周波数が最適中心周波数として検出されて固定される検出制御96が行われ、時刻t2から狭帯域の受信周波数帯域の設定による信号電波11の受信復調が開始される。
【0073】
このような電波信号11の受信復調中に、ビット長として設定された信号長88が復調されると、受信制御部80はビット長さと例えば1200bpsのデータ通信速度から信号電波11が終了するまでの残り時間Trを求め、時刻t3から残り時間Trが経過した時刻t5で最適中心周波数での固定を解除して受信待機状態94とし、中心周波数f01,f02,f03の切替えによる占有周波数帯域102の全域の走査を再開する。
【0074】
このため時刻t4で信号電波11の送信が終了した場合、信号長88に基づき残り時間Trを求めていることから、時刻t4で信号電波11が終了してから時刻t5で受信待機状態94に切り替わるまでの時間を短くすることができ、時刻t4で信号電波11が終了した後にすぐに他の住警器から信号電波が出されても、狭帯域に設定した受信周波数帯域による占有周波数帯域の全体の走査により、他の住警器から引き続き送信された信号電波を確実に受信復調することができる。
【0075】
なお、本実施形態では、信号電波11に含まれる信号長88に基づき、信号電波11の受信終了を検出して、狭帯域に設定した受信周波数帯域による占有周波数帯域内での走査を再開させているが、信号電波に信号長が含まれていない場合には、受信制御部80は、信号受信中に所定周期で受信部40からの受信信号強度を検出し、所定の閾値を超える受信信号強度が得られた場合に、狭帯域に設定した受信周波数帯域による占有周波数帯域の全体の走査を再開させる制御を行うようにしても良い。
【0076】
(受信制御部による制御動作)
図6図3の受信制御部による制御動作を示したフローチャートである。図6に示すように、受信制御部80はステップS1で例えば図4の開始中心周波数f01を設定し、続いてステップS2に進み、受信信号強度ポート74から受信部40で信号電波の受信による受信信号強度を読み込んでメモリに保持し、受信周波数帯域の走査終了でなければステップS4に進んで次の中心周波数f02に切替え、ステップS3で走査終了が判別されるまでステップS2からの処理を繰り返す。
【0077】
受信制御部80は、ステップS3で走査終了を判別するとステップS5に進み、所定の閾値以上の受信信号強度がメモリに保持されていればステップS6に進み、保持されている複数の受信信号強度の中の最大の受信信号強度が検出された中心周波数の受信周波数帯域に固定し、ステップS7で信号電波の受信復調を行って制御プロセッサ30に復調された信号を出力する。
【0078】
受信制御部80はステップS7の信号受信の処理中にステップS8で現在受信中の信号電波信号の終了の有無を、受信した信号電波に含まれていた信号長等に基づく受信終了までの経過時間から判別しており、信号電波の終了を判別するとステップS1に戻り、狭帯域に設定した受信周波数帯域による占有周波数帯域の走査を再開する。
【0079】
〔本発明の変形例〕
(受信帯域制御)
上記の実施形態は、占有周波数帯域の全域を走査して最も受信信号強度の高い最適中心周波数に受信周波数帯域を固定して信号を受信するようにしているが、走査中に信号受信強度が所定の閾値を超えたときに信号有とみなし、受信中の信号周波数と設定中の受信中心周波数の誤差をフィードバックして受信中心周波数を受信中の信号周波数に合わせるようにしても良い。
【0080】
(親子方式)
上記の実施形態は、住戸内に複数の警報器を設置する場合、親機/子機の区別が無くそれぞれの警報器が相互に通信するものであるが、親機と複数の子機を設け、親機に中継器の機能を持たせ、異なる住戸の親機同士の間で連動警報のための通信を行うようにしても良い。
【0081】
(警報器)
上記の実施形態は、火災を検知して警報する無線式の住警器を例にとるものであったが、住警器以外の無線式の火災警報器、ガス漏れ警報器、CO警報器、各種の防犯用警報器を配置した警報システムやそれら警報器を複合的に含むシステムについても同様に適用できる。
【0082】
また、上記の実施形態は無線式の警報器にセンサ部と警報出力処理部を一体に設けた場合を例にとるが、他の実施形態として、センサ部と警報出力処理部を別体とした無線式の警報器であっても良い。
【0083】
(その他)
また、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0084】
10,10−1〜10−5:住警器
11:信号電波
12:住宅
16:本体
18:カバー
20:警報停止スイッチ
22:LED
26:検煙部
30:制御プロセッサ
32:通信部
34:スピーカ
36:通信プロセッサ
38:送信部
40:受信部
42:アンテナ
47:火災制御部
78:送信制御部
80:受信制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8