(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6978892
(24)【登録日】2021年11月16日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】エアレスタイヤ複合体
(51)【国際特許分類】
B60B 7/01 20060101AFI20211125BHJP
B60C 7/00 20060101ALI20211125BHJP
B60C 9/26 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
B60B7/01 A
B60C7/00 H
B60B7/01 C
B60C9/26
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-204613(P2017-204613)
(22)【出願日】2017年10月23日
(65)【公開番号】特開2019-77277(P2019-77277A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2020年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507108313
【氏名又は名称】株式会社TAN−EI−SYA
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】岩村 和光
(72)【発明者】
【氏名】杉谷 信
(72)【発明者】
【氏名】千葉 崇晴
【審査官】
菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/188912(WO,A1)
【文献】
実開昭59−092001(JP,U)
【文献】
実開平06−000802(JP,U)
【文献】
特開2017−081282(JP,A)
【文献】
米国特許第05531508(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 7/01
B60C 7/00
B60C 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地面を有する円筒状のトレッドリング、前記トレッドリングの半径方向内側に同心状に配され、かつ、車軸を固定するためのホイール、及び前記トレッドリングと前記ホイールとを接合する樹脂材料からなるスポークを含むエアレスタイヤ、
並びに、前記ホイールに脱着自在に固着されており、かつ、前記エアレスタイヤの前記ホイールと前記スポークとの接合面の少なくとも一部をタイヤ側面から覆うサイドガードを含み、
前記サイドガードは、半径方向にのびる少なくとも1本のスリットが形成されている、エアレスタイヤ複合体。
【請求項2】
前記サイドガードは、前記ホイールの側面に固着されている、請求項1記載のエアレスタイヤ複合体。
【請求項3】
前記サイドガードは、ネジ部材を用いて前記ホイールに固着されている、請求項1または2に記載のエアレスタイヤ複合体。
【請求項4】
前記ホイールは、前記スポークに接合される外側環状部を含み、前記サイドガードは、前記外側環状部の側面に固着されている、請求項1乃至3のいずれかに記載のエアレスタイヤ複合体。
【請求項5】
前記サイドガードはリング状である、請求項1乃至4のいずれかに記載のエアレスタイヤ複合体。
【請求項6】
前記サイドガードはリング状であり、前記リング状の内周縁は、前記ホイールの前記外側環状部の内周面よりも半径方向内側に位置している請求項4記載のエアレスタイヤ複合体。
【請求項7】
前記スポークは、前記ホイールに接合される内側環状部を含み、
前記リング状の外周縁は、前記スポークの前記内側環状部の外周面よりも半径方向外側に位置している請求項5又は6に記載のエアレスタイヤ複合体。
【請求項8】
前記サイドガードの横断面の厚さは、径方向内側に向かって漸減している、請求項5又は6に記載のエアレスタイヤ複合体。
【請求項9】
前記スリットが複数本設けられている、請求項1乃至8のいずれかに記載のエアレスタイヤ複合体。
【請求項10】
前記スポークは、前記ホイールに接合される内側環状部を含み、前記スリットは、前記内側環状部を半径方向外側に越えて延びている、請求項1乃至9のいずれかに記載のエアレスタイヤ複合体。
【請求項11】
前記ホイールは、前記スポークに接合される外側環状部を含み、前記スリットは、前記外側環状部を半径方向内側に越えて延びている、請求項1乃至10のいずれかに記載のエアレスタイヤ複合体。
【請求項12】
前記スリットは、半径方向に対して傾斜している、請求項1乃至11のいずれかに記載のエアレスタイヤ複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアレスタイヤのホイールとスポークとの接合部を保護してエアレスタイヤの耐久性を向上させたエアレスタイヤ複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、接地面を有する円筒状のトレッドリング、前記トレッドリングの半径方向内側に同心状に配さるホイール、及び前記トレッドリングとホイールとを接合する樹脂材料からなるスポークを含むエアレスタイヤが提案されている(例えば特許文献1参照)。この種のエアレスタイヤでは、トレッドリングとスポークとの間、及びホイールとスポークとの間の接着は、樹脂一体成形法に基づいて或いは接着剤を介在させて一体接合している。
【0003】
しかし、エアレスタイヤを装着して実車走行した場合、例えば、他の車両が跳ねた石、ガラス片、釘などの鋭利な異物がタイヤ側面に衝突する可能性がある。そして、もし異物が前記接合部に衝突した場合、接合部の外端部に傷が付く恐れがある。この傷は、接合部における剥離の起点となりうる。特に前記傷は、水の侵入をもたらし、この水が接合部における剥離を成長させるため、タイヤの耐久性の低下原因となりうる。
【0004】
このような剥離は、剛性差が大となるホイールとスポークとの間の接合部においてより発生しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−217717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、例えば異物の衝突などに起因して、ホイールとスポークとの接合部の外端部で傷が発生するのを抑制でき、エアレスタイヤの耐久性を向上させうるエアレスタイヤ複合体を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、接地面を有する円筒状のトレッドリング、前記トレッドリングの半径方向内側に同心状に配され、かつ、車軸を固定するためのホイール、及び前記トレッドリングとホイールとを接合する樹脂材料からなるスポークを含むエアレスタイヤ、
並びに、前記ホイールに脱着自在に固着されており、かつ、前記エアレスタイヤの前記ホイールと前記スポークとの接合面の少なくとも一部をタイヤ側面から覆うサイドガードを含んでいる。
【0008】
本発明に係る前記エアレスタイヤ複合体では、前記サイドガードは、前記ホイールの側面に固着されているのが好ましい。
【0009】
本発明に係る前記エアレスタイヤ複合体では、前記サイドガードは、ネジ部材を用いて前記ホイールに固着されているのが好ましい。
【0010】
本発明に係る前記エアレスタイヤ複合体では、前記ホイールは、前記スポークに接合される外側環状部を含み、前記サイドガードは、前記外側環状部の側面に固着されているのが好ましい。
【0011】
本発明に係る前記エアレスタイヤ複合体では、前記サイドガードはリング状であるのが好ましい。
【0012】
本発明に係る前記エアレスタイヤ複合体では、前記サイドガードはリング状であり、前記リング状の内周縁は、前記ホイールの前記外側環状部の内周面よりも半径方向内側に位置しているのが好ましい。
【0013】
本発明に係る前記エアレスタイヤ複合体では、前記スポークは、前記ホイールに接合される内側環状部を含み、
前記リング状の外周縁は、前記スポークの前記内側環状部の外周面よりも半径方向外側に位置しているのが好ましい。
【0014】
本発明に係る前記エアレスタイヤ複合体では、前記サイドガードの横断面の厚さは、径方向内側に向かって漸減しているのが好ましい。
【0015】
本発明に係る前記エアレスタイヤ複合体では、前記サイドガードは、半径方向にのびる少なくとも1本のスリットが形成されているのが好ましい。
【0016】
本発明に係る前記エアレスタイヤ複合体では、前記スリットが複数本設けられているのが好ましい。
【0017】
本発明に係る前記エアレスタイヤ複合体では、前記スポークは、前記ホイールに接合される内側環状部を含み、前記スリットは、前記内側環状部を半径方向外側に越えて延びているのが好ましい。
【0018】
本発明に係る前記エアレスタイヤ複合体では、前記ホイールは、前記スポークに接合される外側環状部を含み、前記スリットは、前記外側環状部を半径方向内側に越えて延びているのが好ましい。
【0019】
本発明に係る前記エアレスタイヤ複合体では、前記スリットは、半径方向に対して傾斜しているのが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明は叙上の如く、エアレスタイヤのホイールとスポークとの接合面の少なくとも一部を、サイドガードによりタイヤ側面から覆っている。従って、走行中に石、ガラス片、釘などの鋭利な異物が、接合面の外端部に衝突して傷が付くのを防止することができる。そのため、この傷に起因する剥離を抑えてタイヤの耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明のエアレスタイヤ複合体の一実施例を示す斜視図である。
【
図3】エアレスタイヤ複合体を概念的に示す分解斜視図である。
【
図4】サイドガードの取付き状態を概念的に示す側面図である。
【
図5】サイドガードの取付き状態を示す断面図である。
【
図6】スリットの作用効果を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1、2に示すように、本実施形態のエアレスタイヤ複合体1は、エアレスタイヤ2と、このエアレスタイヤ2のホイール3に脱着自在に固着されるサイドガード4とを含む。本例では、エアレスタイヤ複合体1が、乗用車用のタイヤとして形成される場合が示される。
【0023】
エアレスタイヤ2は、接地面5sを有する円筒状のトレッドリング5、トレッドリング5の半径方向内側に同心状に配されホイール3、及びトレッドリング5とホイール3とを接合する樹脂材料からなるスポーク6を含んで構成される。
【0024】
図2に示すように、前記トレッドリング5は、空気入りタイヤにおけるトレッド部に相当する部位であり、例えばトレッドゴム部5Aと、その内部に埋設される補強コード層5Bとを含む。トレッドゴム部5Aび補強コード層5Bは、例えば、慣例に従って構成される。
【0025】
スポーク6は、トレッドリング5とホイール3との間に設けられ、これらを連結する。本例では、スポーク6は、トレッドリング5に接合される外側環状部6o、ホイール3に接合される内側環状部6i、及び前記外側環状部6oと内側環状部6iとの間を継ぐ複数のスポーク板部6mを具える。
【0026】
スポーク板部6mは、タイヤ赤道面に対して傾斜する板状をなし、タイヤ周方向に間隔を有して配列する。本例では、スポーク板部6mのタイヤ軸方向の両側面は、内側環状部6i及び外側環状部6oのタイヤ軸方向両側面と面一で整一している。但し、スポーク6は、このような態様に限定されるものでは無い。
【0027】
スポーク6は、樹脂成形体であり、本例ではトレッドリング5及びスポーク6と一体成形される。前記樹脂材料として、ゴム、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又はこれらを含む組成物が好適に採用でき、特には、ウレタン樹脂に代表される熱硬化性樹脂がより好適に採用しうる。
【0028】
ホイール3は、空気入りタイヤのタイヤホイールに相当し、例えば、スチール、アルミ合金、マグネシウム合金等の金属材料によって形成される。
【0029】
図2、3に示すように、ホイール3は、エアレスタイヤ複合体1を、車軸(図示省略)に固定するためのディスク部3Aと、スポーク6の前記内側環状部6iに接合される外側環状部3oとを具える。なお
図3では、便宜上、トレッドリング5及びスポーク6を一点鎖線により概念的に示している。
【0030】
本例のディスク部3Aは、ハブ孔10a及びボルト孔10bが形成されるハブ取り付け部10と、このハブ取り付け部10から半径方向外側に向かって放射状にのびる複数のスポーク部11とを具える。
【0031】
外側環状部3oは、ディスク部3Aの半径方向外端部に配される。外側環状部3oは、スポーク6の前記内側環状部6i及び外側環状部6oと同心な円筒状体である。本例では、外側環状部3oのタイヤ軸方向の両側面は、スポーク6のタイヤ軸方向の両側面と面一で形成される。
【0032】
図3、4に示すように、サイドガード4は、ホイール3とスポーク6との接着面Sの少なくとも一部をタイヤ側面から覆って保護する。本例では、サイドガード4がホイール3と同心なリング状をなし、前記接着面Sのタイヤ軸方向外端部Se(
図5に示す)を、全周に亘って被覆保護する。前記接着面Sとは、ホイール3とスポーク6とが接着している面であり、本例では、ホイール3における外側環状部3oの外周面と、スポーク6における内側環状部6iの内周面との界面を意味する。なお外側環状部3oの外周面と内側環状部6iの外周面との間に、接着剤の層(接着層)が介在する場合、外側環状部3oの外周面と接着層との界面、及び内側環状部6iの内周面と接着層との界面が接着面Sとなる。
【0033】
このサイドガード4は、ホイール3の側面に固着される。本例では、サイドガード4が、ホイール3の外側環状部3oの側面に、例えばネジ部材15を用いて脱着自在に固着される場合が示される。
【0034】
そのために、サイドガード4の側面には、ネジ部材15が通るネジ挿通孔16が形成されている。又ホイール3には、前記ネジ部材15が螺着するネジ穴17が形成される。本例では、外側環状部3oは、その内周面3sにタイヤ軸方向にのびるボス部18を具え、このボス部18に、前記ネジ穴17が形成される。
【0035】
図4、5に示すように、サイドガード4の外周縁4Eoは、スポーク6の内側環状部6iの外周面6sよりも半径方向外側に位置する。又サイドガード4の内周縁4Eiは、ホイール3の外側環状部3oの内周面3sよりも半径方向内側に位置する。これにより、接着面Sの外端部Seに加え、内側環状部6iの側面及び外側環状部3oの側面全面を被覆でき、保護効果を高める。又サイドガード4が、前記内周面3s及び外周面6sを半径方向内外に越えた巾広となるため、サイドガード4は、空気入りタイヤのタイヤホイールにおけるリムフランジを連想させる。これにより外観性をも高めうる。特に本例では、サイドガード4の横断面の厚さが、径方向内側に向かって漸減する。言い換えると、サイドガード4の厚さtが、径方向内側に向かって漸減している。これにより、サイドガード4を、リムフランジのイメージにより近づけることができる。
【0036】
なお、前記外周縁4Eoの外周面6sからの半径方向距離L1は、15mm以下が好ましい。また内周縁4Eiの内周面3sからの半径方向距離L2は、15mm以下が好ましい。距離L1が15mmを越えると、接地時に撓むスポーク板部6mがサイドガード4の外周縁4Eoと干渉する恐れを招く。又距離L2が15mmを越えても走行性能上特に問題ないが、不必要な重量増加により燃費性に不利となる。なお前記距離L1、L2は、前記外側環状部3oと内側環状部6iとのトータル厚さTの1.5倍以下が好ましい。
【0037】
図3に示すように、サイドガード4には、本例では、半径方向にのびる少なくとも1本のスリット20が形成される。本例では、複数のスリット20がタイヤ周方向に間隔を有して配列する場合が示される。
【0038】
図4に示すように、スリット20は、ホイール3における外側環状部3oの内周面3sを半径方向内側に越えて延びる。これにより、ホイール3内に溜まった水(雨水)を外部に排出することができる。詳しくは、
図6に誇張して示すように、停車中、タイヤ軸心jよりも下側においては、ホイール3の外側環状部3o内の水Kaが、サイドガード4によって堰き止められて溜まりやすい。しかし
図4に示すように、スリット20が、内周面3sを半径方向内側に越えて延びることで、この水Kaを排出できる。
【0039】
又本例では、スリット20は、スポーク6における内側環状部6iの外周面6sを半径方向外側に越えて延びる。これにより、スポーク6内に溜まった水(雨水)を外部に排出できる。前記
図6に誇張して示すように、停車中、タイヤ軸心jよりも上側においては、スポーク6のスポーク板部6m、6mと内側環状部6iとの間の水Kbが、サイドガード4によって堰き止められて溜まりやすい。しかし
図4に示すように、スリット20が、外周面6sを半径方向外側に越えて延びることで、この水Kbを排出できる。
【0040】
スリット20は、スリット幅20Wが6.0mm以下であるのが好ましい。これにより、排水機能を確保しながら、異物の侵入を防止し、接着面Sへの保護効果を発揮しうる。
【0041】
またスリット20は、半径方向に対して傾斜するのが好ましい。スリット20が傾斜することで、スリットの開口面積を維持しながらスリット幅20Wを減じて保護効果を高めうる。半径方向に対するスリット20の傾斜の角度θは30〜70度の範囲が好ましい。前記角度θは、スリット20の巾中心と接着面Sとが交わる交点Pを通る半径方向線Xに対する角度として定義される。本例では、スリット20が円弧状に湾曲した場合が示される。この場合、前記角度θは円弧の接線の角度で定義される。なおスリット20は、直線状に形成されても良い。
【0042】
前記サイドガード4がホイール3に脱着自在であることにより、ホイール3とトレッドリング5とスポーク6とを一体成形する際、エアレスタイヤ2の成形金型からの取り外しが容易となる。これにより金型構造の簡易化、及び生産性の向上に役立つ。又樹脂成形にともなうサイドガード4の汚損を防止しうる。又サイドガード4のみの交換を可能とするとともに、種々なデザインのサイドガード4を有するエアレスタイヤ複合体1を、エアレスタイヤ2の種類の増加を抑えながら提供することができる。
【0043】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【符号の説明】
【0044】
1 エアレスタイヤ複合体
2 エアレスタイヤ
3 ホイール
3o 外側環状部
3s 内周面
4 サイドガード
4Ei 内周縁
4Eo 外周縁
5 トレッドリング
5s 接地面
6 スポーク
6i 内側環状部
6s 外周面
15 ネジ部材
20 スリット
Se 外端部
S 接着面