(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1金型と第2金型とうちのいずれか一方の金型が、前記第1金型と第2金型の対向方向に対して交差する方向に2分割されて、第1分割型と第2分割型とによって構成されており、
前記プレス工程において、前記第1の締結具によって第1金型と第2金型を締め付けるとともに、前記第1分割型と第2分割型を、それらの間に第3のスペーサを挟んだ状態で、第2の締結具によって第1分割型と第2分割型が前記交差する方向に沿って近接するように締め付け、
前記乾燥工程において、前記第1の締結具によって第1金型と第2金型を締め付けるとともに、前記第3のスペーサに代えて、第3のスペーサと厚みが異なる第4のスペーサを前記第1分割型と第2分割型との間に挟んだ状態で、第2の締結具によって第1分割型と第2分割型が前記交差する方向に沿って近接するように締め付け、その状態でスラリー含浸シートを加熱して乾燥させ、前記第4のスペーサとしてその厚みが前記第3のスペーサの厚みより大きいものを用いることを特徴とする請求項1に記載のセラミック基複合材料部材の製造方法。
中央板面部とその中央板面部の両端部分から中央板面部の面に対して交差する方向に突出する側板部を有するセラミック基複合材料部材を製造する過程において、酸化物系セラミック粉末を分散媒に分散させたスラリーを無機繊維からなるシートに含浸させたスラリー含浸シートを加圧するための金型装置であって、
相互に対向して前記スラリー含浸シートを挟む第1金型と第2金型とを有し、
前記第2金型が、前記中央板面部に対応する天盤分割型と、前記側板部に対応する一端側分割型及び他端側分割型とに3分割されており、
さらに第2金型の天盤分割型を第1金型に接近させる方向に締め付けるための第1の締結具と、第2金型の一端側分割型及び他端側分割型を第1金型に接近させる方向に締め付けるための第2の締結具とを有し、
さらに、前記第2金型の天盤分割型と第1金型との間に介挿するための、厚みが異なる第1のスペーサおよび第2のスペーサを備えるとともに、前記第1金型と第2金型の一端側分割型及び他端側分割型との間に介挿するための、厚みが異なる第5のスペーサおよび第6のスペーサを備えることを特徴とするセラミック基複合材料部材製造用金型装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の方法では、高価で且つ大型のオートクレーブを必要とするため、設備コストが嵩む問題がある。また、セラミック粉末のスラリーを繊維に含浸させたスラリー含浸シート(プリプレグ材)を加圧した後の乾燥時には、シートが膨張して寸法や形状、特に厚みが大きくなり、製品の寸法精度、形状精度に大きな影響を及ぼすが、特許文献1の提案では、その点について十分な考慮が払われておらず、そのため製品の寸法精度、形状精度が低下することが懸念される。
【0006】
本発明は以上の事情を背景としてなされたもので、高価な設備を要さずに、簡単かつ安価に製造することが出来、しかも寸法精度、形状精度が優れたセラミック基複合材料部材を製造し得る方法、及びその方法に使用するに適した金型装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
具体的には、本発明の基本的な態様(第1の態様)のセラミック基複合材料部材の製造方法は、酸化物系セラミック粉末を分散媒に分散させたスラリーを調製するスラリー調整工程と、前記スラリーを無機繊維からなるシートに含浸させて、スラリー含浸シートを形成する含浸工程と、前記スラリー含浸シートを、相互に対向する第1金型の型面と第2金型の型面との間に配置し、第1金型と第2金型との間における、前記スラリー含浸シートが位置しない箇所に所定の厚みを有する第1のスペーサを挟んだ状態で、第1の締結具によって第1金型と第2金型を、それらの対向方向に沿って近接するように締め付けて、前記スラリー含浸シートに圧力を加えるプレス工程と、前記プレス工程終了後、前記第1のスペーサに代えて、第1のスペーサと厚みが異なる第2のスペーサを第1金型と第2金型との間におけるスラリー含浸シートが位置しない箇所に挟んだ状態で、前記第1の締結具によって第1金型と第2金型をそれらの対向方向に沿って近接するように締め付け、その状態でスラリー含浸シートを加熱して乾燥させる乾燥工程と、乾燥後のシートを焼成する焼成工程とを有
し、前記乾燥工程において、前記第2のスペーサの厚みが前記第1のスペーサの厚みより大きいものを用いることを特徴とする。
【0009】
また本発明の第2の態様のセラミック基複合材料部材の製造方法材は、前記第1の態様のセラミック基複合材料部材の製造方法において、前記第1金型と第2金型とうちのいずれか一方の金型が、前記第1金型と第2金型の対向方向に対して交差する方向に2分割されて、第1分割型と第2分割型とによって構成されており、前記プレス工程において、前記第1の締結具によって第1金型と第2金型を締め付けるとともに、前記第1分割型と第2分割型を、それらの間に第3のスペーサを挟んだ状態で、第2の締結具によって第1分割型と第2分割型が前記交差
する方向に沿って近接するように締め付け、前記乾燥工程において、前記第1の締結具によって第1金型と第2金型を締め付けるとともに、前記第3のスペーサに代えて、第3のスペーサと厚みが異なる第4のスペーサを前記第1分割型と第2分割型との間に挟んだ状態で、第2の締結具によって第1分割型と第2分割型が前記交差
する方向に沿って近接するように締め付け、その状態でスラリー含浸シートを加熱して乾燥させ
、前記第4のスペーサとしてその厚みが前記第3のスペーサの厚みより大きいものを用いることを特徴とする。
【0011】
また本発明の
第3の態様のセラミック基複合材料部材の製造方法は、前記第1の態様のセラミック基複合材料部材の製造方法において、製造対象となるセラミック基複合材料部材が、中央板面部と、その中央板面部の両端部分から中央板面部の面に対して交差する方向に突出する側板部を有する部材であり、前記第2金型が、前記中央板面部に対応する天盤分割型と、前記側板部に対応する一端側分割型及び他端側分割型とに3分割されており、前記プレス工程において、第2の締結具によって第1金型と第2金型の一端側分割型及び他端側分割型との間をそれらの間に第5のスペーサを挟んだ状態で締め付けるとともに、前記第1の締結具によって、前記第2金型の天盤分割型と第1金型との間を、それらの間に一端側分割型もしくは他端側分割型と第1のスペーサを介在させた状態で締め付け、前記乾燥工程において、前記第2の締結具によって第1金型と第2金型の一端側分割型及び他端側分割型との間を、それらの間に前記第5のスペーサの厚みと異なる厚みの第6のスペーサを挟んだ状態で締め付けるとともに、前記第1の締結具によって、前記第2金型の天盤分割型と第1金型との間を、それらの間に一端側分割型もしくは他端側分割型と前記第1のスペーサよりも厚みの厚い第2のスペーサを介在させた状態で締め付け、その状態でスラリー含浸シートを加熱して乾燥させ
、前記第6のスペーサとしてその厚みが前記第5のスペーサの厚みより大きいものを用いることを特徴とする。
【0013】
また本発明の
第4の態様のセラミック基複合材料部材の製造方法は、前記第1〜
第3のいずれかの態様のセラミック基複合材料部材の製造方法において、前記各締結具が、ボルトであることを特徴とする。
【0014】
また本発明の
第5の態様のセラミック基複合材料部材の製造方法は、前記第1〜
第4のいずれかの態様のセラミック基複合材料部材の製造方法において、ガスタービン部品に使用される部材の製造方法であることを特徴とする。
【0015】
また本発明の
第6の態様のセラミック基複合材料部材の製造用金型は、中央板面部とその中央板面部の両端部分から中央板面部の面に対して交差する方向に突出する側板部を有するセラミック基複合材料部材を製造する過程において、酸化物系セラミック粉末を分散媒に分散させたスラリーを無機繊維からなるシートに含浸させたスラリー含浸シートを加圧するための金型装置であって、相互に対向して前記スラリー含浸シートを挟む第1金型と第2金型とを有し、前記第2金型が、前記中央板面部に対応する天盤分割型と、前記側板部に対応する一端側分割型及び他端側分割型とに3分割されており、さらに第2金型の天盤分割型を第1金型に接近させる方向に締め付けるための第1の締結具と、第2金型の一端側分割型及び他端側分割型を第1金型に接近させる方向に締め付けるための第2の締結具とを有し、さら
に、前記第2金型の天盤分割型と第1金型との間に介挿するための、厚みが異なる第1のスペーサおよび第2のスペーサを備えるとともに、前記第1金型と第2金型の一端側分割型及び他端側分割型との間に介挿するための、厚みが異なる第5のスペーサおよび第6のスペーサを備えることを特徴とする。
【0017】
また本発明の
第7の態様のセラミック基複合材料部材の製造用金型は、前記
第6の態様のセラミック基複合材料部材の製造用金型において、前記各締結具として、ボルトを備えていることを特徴とする。
【0018】
また本発明の
第8の態様のセラミック基複合材料部材の製造用金型は、前記
第6、第7のいずれかの態様のセラミック基複合材料部材の製造用金型において、ガスタービン部品に使用されるセラミック基複合材料部材を製造するための金型装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、簡単な設備構成によって低コストで簡便にセラミック基複合材料部材を製造することが出来、しかも寸法精度、形状精度に優れたセラミック基複合材料部材を容易に得ることが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のセラミック基複合材料部材の製造方法は、基本的には、次のA〜Eの工程を有している。
A:酸化物系セラミック粉末を分散媒に分散させたスラリーを調製するスラリー調整工程。このスラリー調整工程Aには、公知の一般的な手法を適用することが出来る。
B:スラリーを無機質繊維からなるシートに含浸させて、スラリー含浸シートを形成する含浸工程。この含浸工程Bには、公知の一般的な手法を適用することが出来る。
C:スペーサを介挿した金型を用い、ボルトなどの締結具によって締め付けることによって、スラリー含浸シートに圧力を加えるプレス工程。このプレス工程Cで、スペーサを使用しながらボルトなどの締結具によって締め付けて加圧する手法は、本発明の特有のものであり、その詳細は後述する。
D:プレス工程終了後、スラリー含浸シートを加熱して乾燥させる乾燥工程。この乾燥工程でも、スペーサを介挿した金型を用い、ボルトなどの締結具によって締め付けた状態で加熱して乾燥させる。ここで、乾燥工程で使用するスペーサは、プレス工程で使用するスペーサと厚みが異なるものとすればよく、具体的には。乾燥工程で使用するスペーサの厚みはプレス工程で使用するスペーサよりも厚みが大きいものを使用することが好ましい。このように乾燥工程で、プレス工程のスペーサとは異なる厚みのスペーサを介挿した金型を用い、ボルトなどの締結具によって締め付けた状態で乾燥させることも、本発明の特有の手法であり、その詳細は後述する。
E:乾燥後のシートを焼成する焼成工程。この焼成工程Aには、公知の一般的な手法を適用することが出来る。
【0022】
上記のようなA〜Eの工程からなる本発明のセラミック基複合材料部材の製造方法の第1の実施形態について、
図1〜
図5を参照して説明する。なお
図1は、第1の実施形態の製造方法の全体的な工程の流れを模式的に示しており、
図2は第1の実施形態で製造する製品部材の形状を示し、
図3は、第1の実施形態で使用する金型装置を分解して示し、
図4はプレス工程Cにおける金型装置の状況を模式的に示し、
図5は乾燥工程Dにおける金型装置の状況を模式的に示している。
【0023】
本実施形態の製造方法においては、
図1に示しているように、予め、無機繊維からなるシート1と、酸化物系セラミック粉末2とを準備しておく。無機繊維からなるシート1としては、例えばアルミナ繊維、あるいはムライト繊維などのセラミック繊維を織った織布(ファブリック)や、これらのセラミック繊維をランダムに絡みあわせた不織布(フェルト)などを使用することが出来る。酸化物系セラミック粉末2としては、例えばアルミナ粉末、あるいはムライト粉末などを使用することが出来る。セラミック粉末の粒径は特に限定しないが、通常は平均で0.1〜0.2μm程度の粒径のものが使用される。
【0024】
セラミック粉末2は、撹拌装置3に投入して、分散媒としての水に懸濁させ、スラリー4とする。これが前述のスラリー調整工程Aに相当する。ここでスラリー化のための分散媒としては一般には水を使用すればよいが、場合によってはセラミック前駆体溶液、例えばアルミナ前駆体溶液などを用いてもよい。
【0025】
得られたスラリー4を、例えば第1浸漬浴5に注入し、前述の無機繊維からなるシート1を第1浸漬浴5中のスラリー4に浸漬させる。そして一旦シート1を第1浸漬浴5から取り出す。この段階では、シート1の繊維間に未だスラリーが充分に浸透されていないことが多い。そこで、通常は、さらに次のようなステップを実施する。
【0026】
すなわち、第1の転動ローラー6を用いて、第1浸漬浴5から取り出したシート1の表面にローラー掛けを行った後、乾燥装置7によって一旦乾燥させる。その後、前記と同様のスラリー4が注入された第2の浸漬浴8のスラリー4中にシート1を浸漬させる。そして第2の浸漬浴8からシート1を取り出した後、第2の転動ローラー9を用いて、シート1の表面に再度ローラー掛けを行なう。このようにして、スラリーが含浸されたシートが得られる。なおここではスラリー中へのシートの浸漬を2回行うものとしたが、3回以上繰り返してもよく、また場合によっては浸漬とローラー掛けを1回だけ実施することもある。
【0027】
ここまでは、一枚のスラリー含浸シートを作製する工程として説明したが、実操業上は、同様な工程を複数回実施して、複数枚のスラリー含浸シートを作製する。そして得られた複数枚、例えば7枚のスラリー含浸シートを積層し、その積層シートの表面に、第3の転動ローラー11を用いてローラー掛けを行う。なお積層枚数は、最終製品に要求される厚みに応じて適宜選択すればよい。以下では、積層されたスラリー含浸シートを、積層含浸シートと称し、符号10で示す。
【0028】
上記のようにして得られた積層含浸シート10は、次いで金型装置20によるプレス工程C、さらに乾燥工程Dに付される。プレス工程Cおよび乾燥工程Dでは、後述するように、スペーサの厚みが異なる点以外は、同じ構成の金型装置を用いる。
第1の実施形態における金型装置20の一例の
図3に分解して示し、その金型装置20を使用して成型された製品のセラミック基複合材料部材30の形状を
図2に示す。また
図4には、第1の実施形態におけるプレス工程Cでの金型装置20の状況を示し、
図5には、第1の実施形態における乾燥工程Dでの金型装置20の状況を示している。
【0029】
本実施形態では、製品のセラミック基複合材料部材30として、
図2に示しているように、水平な中央板面部31の両端に、中央板面部31から連続してほぼ直角に立ち下がる側板部32A、32Bを形成した形状、言い換えれば垂直断面で見て下方向きに開放されたコの字状の断面をなす形状を有する部材30を製造するものとしている。そして金型装置20の型形状も、その製品部材形状に対応する形状としている。
【0030】
すなわち本実施形態における金型装置20は、
図3〜
図5に示しているように、下型(凸型)としての第1金型21と、上型(凹型)としての第2金型22と、これらの間の2箇所に配設される第1のスペーサ23A、23B(または第2のスペーサ23A´、23B´)と、金型間を締め付けるための第1の締結具としての複数本(本実施形態では2本)のボルト24A,24Bとによって構成されている。なお第1金型21、第2金型22、スペーサ23A、23B(23A´、23B´)は、例えば工具鋼等の硬質な鋼材によって作られるのが一般的であり、また適宜その表面にCrめっき等の硬質めっきが施されていてもよい。
【0031】
第1金型21は、水平な基盤部21Aと、その基盤部21Aの中央部から上方に突出する凸部21Bが一体に形成されており、その凸部21Bの上面21Baは水平面とされ、凸部21Bの両側の側面21Bb、21Bcはそれぞれ垂直面とされている。なお第1金型21の基盤部21Aにおける凸部21Bよりも外側に延出している部分21Aa、21Abの上面は、水平面とされており、これらの面は、後述するように受圧面21Ac、21Adとなる。
【0032】
第2金型22は、その下面側に、第1金型21の凸部21Bの形状に対応する形状を有し且つ凸部21Bの外形寸法よりも若干大きい内形寸法を有する凹部22Dが形成されている。より詳細には、第2金型22は、水平な天盤部22Aの両端から下方に向かって(したがって第1金型21に向かって)側壁部22B、22Cが一体に突出する形状とされ、その両側の側壁部22B、22Cの間に、天盤部22Aの下面を内底面22Daとする上記の凹部22Dが形成されている。ここで、第2金型22の凹部22Dの内底面22Daは水平面とされ、側壁部22B、22Cにおける凹部22Dの両側の内側面22Db、22Dcは垂直面とされている。
【0033】
第2金型22における両側の側壁部22B、22Cの下端面22Ba、22Bbは、それぞれ第1金型21における基盤部21Aの両側の受圧面21Ac、21Adに対向する。そしてこれら受圧面21Ac、21Adと第2金型22の両側の側壁部22B、22Cの下端面22Ba、22Caとの間に、それぞれ平板状の第1のスペーサ23A、23B(もしくは第2のスペーサ23A´、23B´)が介挿される。ここで、スペーサとしては、後に改めて説明するように、プレス工程Cと乾燥工程Dとでその厚みが異なるものを使用する。ここで本実施形態の場合は、スペーサの厚みをT1、T2(但しT1<T2)とすれば、プレス工程Cでは小さい厚みT1の第1のスペーサ23A、23Bを使用し、乾燥工程Dでは大きい厚みT2の第2のスペーサ23A´、23B´を使用する。
【0034】
さらに第2金型22の両側の側壁部22B、22Cには、垂直に貫通するボルト挿通孔25A、25Bが形成され、また第1金型21における両側の受圧面21Ac、21Adには、ボルト挿通孔25A、25Bの下方延長位置に、垂直方向に沿って螺子孔26A、26Bが形成されている。また各スペーサ23A、23Bには、ボルト挿通孔25A.25Bおよび螺子孔26A、26Bに対応して、垂直方向に沿う貫通孔27A、27Bが形成されている。
【0035】
このような金型装置20によってプレス工程を実施するにあたっては、前述の積層含浸シート10を、第1金型21における凸部21Bに被せ、第2金型22を降下させて積層含浸シート10を、第1金型21の凸部21Bと第2金型22の凹部22Dとの間に挟み込む。なお第1金型21と第2金型22との間に積層含浸シート10を挟み込むより以前の段階で、第1金型21の受圧面21Ac、21Adの上にそれぞれ小さい厚みT1の第1のスペーサ23A、23Bを配置しておく、したがって第1のスペーサ23A、23Bは、第1金型21の受圧面21Ac、21Adと第2金型22の側壁部22B、22Cの下端面22Ba、22Caとの間に介挿されることになる。
【0036】
この状態で、第1の締結具としてのボルト24A、24Bを、第2金型22の上方からのボルト挿通孔25A、25Bに挿入し、第1のスペーサ23A、23Bの貫通孔27A、27Bを貫通させ、第1金型21の螺子孔26A、26Bに捻じ込んで締め込む。すなわち、積層含浸シート10を間に挟んだ状態で、第2金型22を第1金型21に締め付ける。その段階での状況を
図4に示している。
【0037】
このように小さい厚みT1の第1のスペーサ23A、23Bを介在させた状態でボルト24A、24Bを締め付けることによって、積層含浸シート10が大きな圧力で加圧されて、大きく圧縮され、これによりスラリー中のセラミック粉末がシートの繊維間に密に充填されるとともに、同時に余分なスラリーが排出される。
ここまでが前述のプレス工程Cである。
【0038】
その後、ボルト24A、24Bを緩めて一旦金型装置20を分解して、第1のスペーサ23A、23Bを大きい厚みT2の第2のスペーサ23A´、23B´に交換する。そして前述のプレス工程Cと同様に、ボルト24A、24Bを絞め込んで、積層含浸シート10を間に挟んだ状態で、再び第2金型22を第1金型21に締め付ける。その段階での状況を
図5に示している。そしてその状態を保ったまま、シート乾燥のための加熱を行う。これが前述の乾燥工程Dである。
【0039】
ここで、乾燥工程Dでの加熱手段は特に限定されないが、例えば金型装置20の全体を、ヒータを備えた図示しない乾燥室に装入したり、あるいは第1金型21と第2金型22とのうち少なくとも一方にヒータを埋め込んでおいたりすればよい。加熱温度は通常は60〜150℃程度とすればよく、また加熱時間は、例えば0.5〜15時間程度とすればよい。
【0040】
乾燥工程Dは、スラリー中の水を飛ばす(蒸発させる)ための工程であるが、同時に、最終製品の部材に近い形状、寸法に仕上げる工程でもある。この乾燥工程Dでは、積層含浸シート10は加熱の開始に伴って内部のスラリー中の水分が蒸発を開始し、これに伴ってシートが膨張する。この際、第1金型21と第2金型22が、シートを挟んだ状態で締め付けられているため、シートはその膨張が制限され、その制限された寸法(厚み)、形状のまま、乾燥が進行する。したがって最終的に所定の形状、寸法を有する乾燥されたシートとなる。
【0041】
ここで、仮に乾燥工程Dでも、プレス工程Cで用いた薄い厚みT1の第1のスペーサ23A、23Bのままで加熱乾燥を行えば、乾燥工程Dでもスラリーが押出されてしまい、それに伴ってセラミック粉末粒子もシートから流出して、乾燥後のシートの繊維間におけるセラミック粉末粒子が充填されていない部分の割合が大きくなってしまう。すなわち乾燥後のシートの空隙率が大きくなってしまう。そこで、シートを所定の寸法、形状に仕上ると同時に、乾燥工程でのスラリーの流出を防止して、乾燥後のシートの空隙率を小さく抑えるために、乾燥工程Dでは、プレス工程Cで用いた薄い厚みT1の第1のスペーサ23A、23Bに代えて、より厚い厚みT2の第2のスペーサ23A´、23B´を使用することとしている。
【0042】
図1に戻れば、乾燥工程Dによって乾燥されたシートは、その後、焼成工程Eに付される。すなわち、乾燥後のシート10を、電気炉等の焼成炉12に挿入し、高温に加熱して焼成する。焼成温度は、無機繊維およびセラミック粉末の種類によっても異なるが、一般には1100〜1300℃程度であり、無機繊維としてアルミナ繊維を用い、セラミック粉末としてアルミナを用いている場合、1200℃程度とすることが好ましい。
このようにして焼成すれば、セラミック粉末粒子同士が焼結結合されるとともに、セラミック繊維にセラミック粉末粒子が焼結結合され、所定の形状、寸法を有するセラミック基複合材料部材が得られる。すなわち、セラミック粉末に由来するセラミックをマトリックスとし、無機繊維によって繊維強化された複合材料からなる部材が得られる。
【0043】
なお以上の第1の実施形態では、製品のセラミック基複合材料部材30として、
図2に示しているような断面が下向きコ字状の部材、すなわち水平な中央板面部31の両端に、中央板面部31から連続してほぼ直角に立ち下がる側板部32A、32Bを形成した形状を有する部材30を製造するものとしているが、このような形状に限らず、平板状の部材を製造する場合にも本発明法を適用することが出来る。
その場合の例を第2の実施形態として、その金型装置20を
図6、
図7に示す。
【0044】
図6、
図7に示す金型装置20が、
図3〜
図5に示した第1の実施形態で使用する金型装置と異なる点は、第1金型21および第2金型22が平板状とされている点である。それ以外は、
図3〜
図5に示した第1の実施形態で使用する金型装置と同様であればよく、その詳細は省略する。なおこの第2実施形態の金型装置を用いてプレス工程C及び乾燥工程Dを実施するにあたっては、第1の実施形態の場合と同様に、プレス工程Cでは薄いスペーサ23A、23Bを用い、乾燥工程Dでは厚いスペーサを23A´、23B´を用いる。
【0045】
また前述の第1の実施形態においては、製品のセラミック基複合材料部材30の中央板面部31を水平な面としているが、湾曲した面であってもよい。また側板部32A、32Bは、中央板面部31に対して必ずしも直角な面でなくてもよく、水平面もしくは中央板面部31に対して、所定角度だけ傾斜した面であってもよい。そしてこれらの場合、第1金型21の凸部21B、第2金型22の凹部22Dも、製品の部材形状(各部の角度)に見合った形状としておけばよい。
【0046】
図8、
図9には、第3の実施形態に使用する金型装置20を示す。
第3の実施形態で使用する金型装置20が、第1の実施形態で使用する金型装置と異なる主な点は、第2金型22が2分割されている点である。
すなわち第2金型22は、第1金型21と第2金型22の対向方向に対して交差する方向、したがって水平方向に2分割されて、第1分割型221と第2分割型222とによって構成されている。そして第1分割型221と第2分割型222との分割された箇所に、スペーサ23Cが介挿される。なおこのスペーサ23Cとしては、プレス工程途乾燥工程とで異なる厚みのものを使用する。本実施形態では、スペーサ23Cとして、プレス工程では厚みの小さいスペーサ(第3のスペーサ)を使用し、乾燥工程では厚みの大きいスペーサ(第4のスペーサ)を使用する。
【0047】
さらに、第1分割型221と第2分割型221に、水平方向に沿った貫通孔25C、25Dが形成され、また第1金型21の凸部21Bの両側の側面21Bb、21Bcには、水平方向に沿う螺子孔26C,26Dが形成されている。そして第1分割型221の側方から締結具としてのボルト24Cを、前記貫通孔25Cに挿入して、螺子孔26Cに捻じ込むとともに、第2分割型222の側方から締結具としてのボルト24Dを、前記貫通孔25Dに挿入して、螺子孔26Dに捻じ込むように構成されている。なおこれらのボルト24C、24Dは、第2の締結具に相当する。
【0048】
そのほかの部分の構成は、
図3〜
図5に示した第1実施形態で使用する金型装置と同様である。なお、第2金型22(第1分割型221および第2分割型222)と第1金型21との間に介挿するスペーサとしても、プレス工程用の小さい厚みの第1のスペーサ23A、23Bと、乾燥工程用の大きい厚みの第2のスペーサ23A´、23B´とを用意しておくことは、第1の実施形態の金型装置と同様である。
【0049】
このような金型装置を用いた第3の実施形態では、プレス工程Cもしくは乾燥工程Dを実施するにあたっては、積層含浸シート10を、第1金型21における凸部21Bに被せ、第1分割型221と第2分割型222との間にスペーサ23Cを挟み込みながら、第2金型22を構成する第1分割型221と第2分割型222を降下させ、積層含浸シート10を、第1金型21の凸部21Bと第2金型22との間に挟み込む。なお第1金型21と第2金型22との間に積層含浸シート10を挟み込むより以前の段階で、第1金型21の受圧面21Ac、21Adの上にそれぞれ小さい厚みのスペーサ23A、23Bを配置しておく。
【0050】
この状態で、第1の締結具としてのボルト24A、24Bを、第2金型22を構成する第1分割型221と第2分割型222の上方からボルト挿通孔25A、25Bに挿入し、スペーサ23A、23Bの貫通孔27A、27Bを貫通させ、第1金型21の螺子孔26A、26Bに捻じ込んで締め込む。すなわち、積層含浸シート10を間に挟んだ状態で、第2金型22を構成する第1分割型221と第2分割型222を第1金型21に締め付ける。これによって、積層含浸シート10における水平部分10Aが圧縮される。
【0051】
またそれと同時に、又は前後して、第2の締結具としての両側のボルト24C,24Dを、それぞれボルト挿通孔25C、25Dに挿入し、第1金型21の螺子孔26C、26Dに捻じ込んで締め込む。これによって第1分割型221と第2分割型222は、その間に第2のスペーサ(厚みの小さいもの)27Cを挟んで、水平方向に沿って近接する方向に締め付けられることになる。このとき、積層含浸シート10における両側の垂直部分10B,10Cが、その厚み方向に圧縮される。
【0052】
そして乾燥工程では、スペーサ23A、23Bを厚みの大きいスペーサ23A´、23B´に換え、またスペーサ23Cも厚みの小さいものから大きいものに換え、上記と同様に各ボルト24A、24B、24C、24Dを締めこむ。
【0053】
このような第3の実施形態では、ボルト24A、24Bの締め込みによって積層含浸シート10における水平部分10Aが圧縮されるだけではなく、積層含浸シート10における両側の垂直部分10B、10Cも圧縮される。またスペーサ23Cとして、プレス工程で薄いものを使用することによって、プレス工程で垂直部分10B、10Cからもスラリーの排出を効果的に行うことができ、また乾燥工程で厚いスペーサを使用することによって、乾燥工程での形状凍結効果を向上させることが出来る。その結果、乾燥工程後の積層含浸シートにおける、両側の垂直部分10B,10C(製品であるセラミック基複合材料部材30の側板部32A、32Bの相当する部分)の寸法精度が、第1の実施形態の場合よりも向上する。
【0054】
なお
図8、
図9では、第2の締結具としての両側のボルト24C,24Dとしてそれぞれ1本のボルトのみを示しているが、実際上は締め付け時のバランスを良好にするため、それぞれ平行な2本以上のボルトによって締め付けることが望ましい(次に説明する
図10、
図11参照)。
【0055】
第3の実施形態の金型装置20における、第1分割型221、スペーサ23C、第2分割型222の平面視の形状の一例を
図10、別の例を
図11に示す。
これらの例では、第1分割型221におけるスペーサ23Cを挟んで第2分割型222に対向する端面221a、および第2分割型222におけるスペーサ23Cを挟んで第1分割型221に対向する端面222aは、
図10もしくは
図11に示しているように、平坦な面とはせずに、折り曲げた面としている。そしてこれらの端面221a、222a間のスペーサ23Cも同様に折り曲げた形状とされている。これらの例では、ボルト24C,24Dを締めこんでスペーサ23Cを挟んで第1分割型221と第2分割型222を締め付ける際に、第1分割型221と第2分割型222の相対的な位置がずれることなく、正確に位置決めすることが出来る。なおこれらの例では、
図10、
図11に示しているように、ボルト24C,24Dは、それぞれ2本としている。
【0056】
さらに
図12、
図13には、本発明の第4の実施形態で使用する金型装置20を示す。
第3実施形態で使用する金型装置20が、第1の実施形態で使用する金型装置と異なる主な点は、第2金型22が3分割されている点である。すなわち第2金型22は、第1の実施形態(特に
図3参照)における側壁部22Bに相当する一端側分割型223と、第1の実施形態における天盤部22Aに相当する天盤分割型224と、第1の実施形態における側壁部22Cに相当する他端側分割型225とによって構成されている。したがって天盤分割型224は、第1金型21における凸部21Bに対向する部分であって、その下面が第2金型22の凹部22Dの内底面22Da(
図3参照)に相当する。一端側分割型223および他端分割型225の内側面は、凹部22Dの両側の内側面22Db、22Dc(
図3参照)に相当する。
【0057】
また第2金型22の一端側分割型223および他端側分割型225の内側面と第2金型21の凸部21Bの側面との間には、スペーサ23D,23Eが介挿される。ここで、スペーサ23D,23Eも、プレス工程と乾燥工程とでその厚みを異ならせる。本実施形態では、スペーサ23D,23Eとして、プレス工程では厚みの小さいスペーサ(第5のスペーサ)を用い、乾燥工程では厚みの大きいスペーサ(第6のスペーサ)を使用する。
【0058】
このような
図12に示される第4の実施形態の管型装置20を用いてプレス工程Cを実施するにあたっては、第1金型21の凸部21Bにスラリー含浸シート10を被せ、且つ各スペーサ(厚みの小さいもの)をそれぞれの所定位置に配置した状態で、第2金型22の一端側分割型223および他端側分割型225を、ボルト24C、24Dによって第1金型21の凸部21Bの側面に向けて(すなわち水平方向に)締め付け、また天盤分割型224を、ボルト24A、24Bによって第1金型21の凸部21Bの上面に向けて(すなわち鉛直方向に)締め付け、スラリー含浸シート10を圧縮する(プレスする)。
【0059】
次いで、一旦金型装置20を分解し、各スペーサをそれぞれ厚みの大きいものに交換し、乾燥工程Dとして、上記のプレス工程と同様な各ボルトによる締め付けを行い、加熱してスラリー含浸シート10を乾燥させる。
【0060】
このような第4の実施形態においては、
図8、
図9に示した金型装置を用いての第3の実施形態の場合よりも、両側のボルト24C、24Dによる締め込み時において、第2金型22の天盤部分が変形してしまうことを有効に防止できる。すなわち、ボルト24C、24Dによる締め込み時においては、その締め込みによる力は、一端側分割型223および他端側分割型225を第1金型21の凸部21Bに近接させる方向に作用するだけであり、天盤分割型224に対しては、ボルト24C、24Dの締め込みによる力が実質的に作用しない。そのため、第2金型22の天盤部分(本実施形態における天盤分割型224)が変形してしまうことを有効に回避することができる。
また本実施形態では、一端側分割型223および他端側分割型225と第1金型21の凸部21Bとの間にもスペーサ23D、23Eを介挿しているため、スラリー含浸シート10の垂直部分10B、10C(製品であるセラミック基複合材料部材30の側板部32A、32Bに相当する部分)の寸法精度(主として厚み精度)も向上させることが出来る。
【0061】
なお
図12、
図13に示す金型装置20、すなわち第2金型22を3分割した構成の金型は、
図2に示したような、水平な中央板面部31の両端に、中央板面部31から連続してほぼ直角に立ち下がる側板部32A、32Bを形成した形状、すなわち垂直断面で見て下方向きに開放されたコの字状の断面をなす形状を有する部材30を製造する場合に有効である。但し、それに限らず、中央板面部31の両端部から、その中央板面部31の面に対して交差する方向に曲がる(あるいは突出する)側板部を有する部材の製造には、全て適用可能である。また、中央板面部31が平面である場合に限らず、湾曲している面である場合にも適用可能である。
【0062】
なお以上の各実施形態では、各スペーサとして、プレス工程のスペーサよりも乾燥工程のスペーサの厚みを大きくするものとして説明した。しかしながら、製品部材の各部の要求厚みの相違等によっては、逆にプレス工程のスペーサよりも乾燥工程のスペーサの厚みを小さくすることも許容される。
【0063】
本発明の製造方法によって得られるセラミック基複合材料部材は、高温で運転される各種装置における遮熱性、断熱性が要求される部品、例えば大型の産業用ガスタービンにおける静翼側の分割環やシール部材、ガスケット等に好適に使用することが出来る。
【0064】
以上、本発明の好ましい実施形態、実施例について説明したが、これらの実施形態、実施例は、あくまで本発明の要旨の範囲内の一つの例に過ぎず、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。すなわち本発明は、前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲内で適宜変更可能であることはもちろんである。