(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記X軸駆動用ハルバッハ回路の両端部には、磁束の発散を防止する第3補正磁石及び第4補正磁石が各々配置されていることを特徴とする請求項1記載のブレ補正装置。
上記X軸駆動用ハルバッハ回路は、上記Y軸駆動用ハルバッハ回路を挟んで両側に一体的に結合して配置された、第1X軸駆動用ハルバッハ回路と第2X軸駆動用ハルバッハ回路とから構成されていることを特徴とする請求項1記載のブレ補正装置。
撮像素子を備えた可動部を固定部に対して光軸と直交する第1方向に移動させる第1駆動部、および前記可動部を前記固定部に対して前記光軸と直交し且つ前記第1方向と直交する第2方向に移動させる第2駆動部を有し、
前記第1駆動部が、前記第1方向に磁極を並べて前記固定部に設けた第1磁石、および前記光軸方向に沿って前記第1磁石に対向して前記可動部に設けた第1コイルを有し、
前記第2駆動部が、前記第2方向に磁極を並べて前記固定部に設けた第2磁石、および前記光軸方向に沿って前記第2磁石に対向して前記可動部に設けた第2コイルを有し、
前記第1磁石の1つの磁極が前記第2磁石の同極性の磁極と磁気的に結合し、
前記第1磁石の前記1つの磁極に対して前記第1方向に隣接し、且つ前記第2磁石の前記同極性の磁極に対して前記第1方向に対向して前記固定部に設けた位置検出用磁石、および前記第1磁石の前記1つの磁極と前記位置検出用磁石との間の境界に対向して前記可動部に設けた磁気検出素子をさらに有する、
ことを特徴とするブレ補正装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るブレ補正装置10を備えたカメラ100の概略図である。カメラ100は、その外殻をなす筐体101を有する。ブレ補正装置10は、撮像素子1を備えた可動部2(
図2)を、撮像素子1に入射する光の光軸O(Z軸)と直交する面(XY平面)に沿って移動させることで、カメラ100の手ブレを補正する。
【0012】
以下の説明では、光軸Oに沿った方向をZ方向とし、光軸Oと直交する左右方向(第1方向)をX方向とし、光軸Oと直交し且つX方向と直交する上下方向(第2方向)をY方向とする。また、光軸Oに沿って図示しない被写体に向かう方向を前方または前面側と称し、被写体から撮像素子1に向かう反対方向を後方または背面側と称する。
【0013】
ブレ補正装置10は、
図2に示すように、撮像素子1を前面側に備えた可動部2を有する。可動部2の背面側には、2つのX駆動用コイル11、12、および1つのY駆動用コイル13が固設されている。各コイル11、12、13は、空芯部が光軸Oと平行な姿勢で可動部2に取り付けられている。2つのX駆動用コイル11、12は、図示上下方向(Y方向)に離間して並んで設けられている。Y駆動用コイル13は、Y方向に沿って2つのX駆動用コイル11、12の間に配置されている。
【0014】
ブレ補正装置10は、光軸Oに沿って可動部2の背面側に対向した固定部4を有する。可動部2と固定部4の間には、複数の図示しない転動体が配置されている。可動部2は、複数の図示しないバネにより固定部4に向けて付勢されている。つまり、複数の転動体を間に挟んで、可動部2が、固定部4に対して非接触状態で光軸Oと直交する方向に移動可能に支持されている。
【0015】
固定部4には、可動部2の2つのX駆動用コイル11、12にそれぞれ対向した2つのX駆動用磁石14、15が固設され、可動部2の1つのY駆動用コイル13に対向した1つのY駆動用磁石16(
図3参照)が固設されている。本実施形態では、X駆動用磁石14とY駆動用磁石16が磁気的に結合し、Y駆動用磁石16とX駆動用磁石15が磁気的に結合している。或いは、2つのX駆動用磁石14、15が磁気的に結合してもよい。ここで言う磁気的な結合とは、接触を含む、互いの磁界が影響し合う接続状態を意味する。
【0016】
また、可動部2には、X駆動用磁石14、15にそれぞれ対応して設けたX方向位置検出用のホール素子17、18(X軸ホール素子)が固設され、Y駆動用磁石16に対向したY方向位置検出用のホール素子19(
図3参照)が固設されている。これら3つのホール素子は、磁束の変化を検出することで固定部4に対する可動部2の相対位置を検出する磁気検出素子である。
【0017】
図3は、可動部2に設けた3つのコイル11、12、13と、固定部4に設けた3つの磁石14、15、16と、3つのホール素子17、18、19と、の相対的な位置関係(レイアウト)を示す概略図である。
図3は、各構成要素を光軸に沿った前方(図示しない被写体側)から見た概略図であり、固定部4に対して可動部2をXY平面に沿ったホーム位置に配置した状態を示す。以下、ブレ補正装置10の主要な構成要素11、12、13、14、15、16、17、18、19のレイアウトについて、
図3を参照して詳細に説明する。
【0018】
図示上方にあるX駆動用磁石14(第1磁石)は、ハルバッハ配列を形成するようにX方向に並べた5つの磁石14a、14b、14c、14d、14eを有する。図示左から2つ目の磁石14bは、Z方向の前方(紙面手前側)にS極を有し、Z方向の後方(紙面奥側)にN極を有する。この磁石14bは、Y方向に延設されて固定部4に固定されている。また、図示左から4つ目の磁石14d(端部磁石)は、Z方向の前方にN極を有し、Z方向の後方にS極を有して、Y方向に延設されて固定部4に固定されている。磁石14dのY方向の長さは、磁石14bのY方向の長さより長い。
【0019】
磁石14bと磁石14dの間には、磁石14d側にN極を有し、磁石14b側にS極を有して、Y方向に延設された磁石14cが配置されている。磁石14b、14dは、磁石14cに密着している。磁石14cのY方向の長さは、磁石14bと同じ長さである。一方、磁石14dのY方向の長さは、磁石14b、14cより長く、図示下側、すなわちY駆動用磁石16側の端部が他の磁石14b、14cの端部より突出している。
【0020】
X方向の図示左端にある磁石14aは、磁束の発散を防止する第4補正磁石として機能する。この磁石14aは、磁石14bから離間した側にN極を有し、磁石14b側にS極を有する。また、磁石14aは、Y方向に延設され、磁石14b、14cとY方向の長さが同じ長さである。
【0021】
磁石14dのさらに図示右側にある5つ目の磁石14eは、磁束の発散を防止する第3補正磁石として機能する。この磁石14eは、磁石14dから離間した側にS極を有し、磁石14d側にN極を有する。また、磁石14eは、Y方向に延設され、磁石14dよりさらにY方向の長さが長い。つまり、この磁石14eのY方向に沿った図示下端が、磁石14dの下端よりさらに突出している。
【0022】
上記のようにハルバッハ配列を有するX駆動用磁石14に対し、Z方向に対向するX駆動用コイル11(第1コイル)は、3つの磁石14b、14c、14dに重なる位置に配置されている。つまり、X駆動用コイル11は、磁石14b、14cよりY方向の長さが短く、磁石14b、14c、14dが並んだX方向の幅より短い。言い換えると、X駆動用コイル11は、その可動範囲内において、磁石14a、14eに重なることはない。X駆動用磁石14およびX駆動用コイル11は、第1X軸駆動用ハルバッハ回路(第1駆動部)として機能する。
【0023】
X駆動用磁石14のX方向(図示右側)に隣接して、位置検出用の補助磁石21(位置検出用磁石)が配置されている。補助磁石21は、Z方向の手前側にS極を有し、Z方向の奥側にN極を有する。補助磁石21のY方向の長さは、磁石14eのY方向の長さと同じ長さである。X駆動用コイル11のX方向の位置を検出するためのホール素子17(磁気検出素子)は、補助磁石21と磁石14dの間で、磁石14eに対向する位置に配置されている。
【0024】
X駆動用磁石14の磁石14a、14b、14c、14d、14e、および補助磁石21は、Z方向に沿った同じ厚みを有する。また、X駆動用磁石14の磁石14a、14b、14c、14d、14e、および補助磁石21は、X方向に互いに密着した状態で配置されている。
【0025】
図3で下方にあるX駆動用磁石15(第1磁石)は、ハルバッハ配列を形成するようにX方向に並べた5つの磁石15a、15b、15c、15d、15eを有する。図示左から2つ目の磁石15bは、Z方向の前方(紙面手前側)にN極を有し、Z方向の後方(紙面奥側)にS極を有する。この磁石15bは、Y方向に延設されて固定部4に固定されている。また、図示左から4つ目の磁石15d(端部磁石)は、Z方向の前方にS極を有し、Z方向の後方にN極を有して、Y方向に延設されて固定部4に固定されている。磁石15dのY方向の長さは、磁石15bのY方向の長さより長い。
【0026】
磁石15bと磁石15dの間には、磁石15d側にS極を有し、磁石15b側にN極を有して、Y方向に延設された磁石15cが配置されている。磁石15b、15dは、磁石15cに密着している。磁石15cのY方向の長さは、磁石15bと同じ長さである。一方、磁石15dのY方向の長さは、磁石15b、15cより長く、図示上側、すなわちY駆動用磁石16側の端部が他の磁石15b、15cの端部より突出している。
【0027】
X方向の図示左端にある磁石15aは、磁束の発散を防止する第4補正磁石として機能する。この磁石15aは、磁石15bから離間した側にS極を有し、磁石15b側にN極を有する。また、磁石15aは、Y方向に延設され、磁石15b、15cとY方向の長さが同じ長さである。
【0028】
磁石15dのさらに図示右側にある5つ目の磁石15eは、磁束の発散を防止する第3補正磁石として機能する。この磁石15eは、磁石15dから離間した側にN極を有し、磁石15d側にS極を有する。また、磁石15eは、Y方向に延設され、磁石15dよりさらにY方向の長さが長い。つまり、この磁石15eのY方向に沿った図示上端が、磁石15dの上端よりさらに突出している。
【0029】
上記のようにハルバッハ配列を有するX駆動用磁石15に対し、Z方向に対向するX駆動用コイル12(第1コイル)は、3つの磁石15b、15c、15dに重なる位置に配置されている。つまり、X駆動用コイル12は、磁石15b、15cよりY方向の長さが短く、磁石15b、15c、15dが並んだX方向の幅より短い。言い換えると、X駆動用コイル12は、その可動範囲内において、磁石15a、15eに重なることはない。X駆動用磁石15およびX駆動用コイル12は、第2X軸駆動用ハルバッハ回路(第1駆動部)として機能する。
【0030】
X駆動用磁石15のX方向(図示右側)に隣接して、位置検出用の補助磁石22(位置検出用磁石)が配置されている。補助磁石22は、Z方向の手前側にN極を有し、Z方向の奥側にS極を有する。補助磁石22のY方向の長さは、磁石15eのY方向の長さと同じ長さである。X駆動用コイル12のX方向の位置を検出するためのホール素子18(磁気検出素子)は、補助磁石22と磁石15dの間で、磁石15eに対向する位置に配置されている。
【0031】
X駆動用磁石15の磁石15a、15b、15c、15d、15e、および補助磁石22は、Z方向に沿った同じ厚みを有する。また、X駆動用磁石15の磁石15a、15b、15c、15d、15e、および補助磁石22は、X方向に互いに密着した状態で配置されている。
【0032】
Y駆動用磁石16(第2磁石)は、ハルバッハ配列を形成するようにY方向に並べた5つの磁石16a、16b、16c、16d、16eを有する。図示上から2つ目の磁石16bは、Z方向の前方(紙面手前側)にN極を有し、Z方向の後方(紙面奥側)にS極を有する。この磁石16bは、X方向に延設されて固定部4に固定されている。また、図示上から4つ目の磁石16dは、Z方向の前方にS極を有し、Z方向の後方にN極を有して、X方向に延設されて固定部4に固定されている。
【0033】
磁石16bと磁石16dの間には、磁石16cが配置されている。磁石16cは、磁石16d側にS極を有し、磁石16b側にN極を有する。磁石16cは、X方向に延設されて固定部4に固定されている。3つの磁石16b、16c、16dは、X方向の長さが同じ長さである。磁石16b、16dは、磁石16cに密着している。なお、ホール素子19は、磁石16cのX方向の略中央でZ方向に対向して、Y駆動用コイル13の空芯部内に配置され、可動部2に固定されている。
【0034】
Y方向の図示上端にある磁石16aは、磁束の発散を防止する第1補正磁石(或いは第2補正磁石)として機能する。この磁石16aは、磁石16bから離間したX駆動用磁石14側にS極を有し、磁石16b側にN極を有する。また、磁石16aは、X方向に延設され、磁石16b、16c、16dよりX方向の長さが短い。つまり、磁石16aの図示右端が他の磁石16b、16c、16dの図示右端より凹んでいる。
【0035】
磁石16aは、X駆動用磁石14の3つの磁石14a、14b、14cの図示下端とY駆動用磁石16の磁石16bとの間に位置して、X軸駆動用ハルバッハ回路と磁気的に結合している。なお、X駆動用磁石14の磁石14dの図示下端は、Y駆動用磁石16の磁石16aと磁気的に接触しているとともに磁石16bと磁気的に結合している。本実施形態では、X駆動用磁石14の磁石14dとY駆動用磁石16の磁石16bが接触している。つまり、X駆動用磁石14の磁石14dは、Y軸駆動用ハルバッハ回路と磁気的に結合している。
【0036】
なお、X駆動用磁石14の磁石14dとY駆動用磁石16の磁石16bの磁気的な結合は、同じ磁極同士の結合となる。つまり、磁石14dのZ方向の手前側のN極が磁石16bのZ方向の手前側のN極と磁気的に結合し、磁石14dのZ方向の奥側のS極が磁石16bのZ方向の奥側のS極と磁気的に結合する。X駆動用磁石14の磁石14dとY駆動用磁石16の磁石16bは必ずしも接触していなくてもよく、両者の間に微小な隙間があってもよい。
【0037】
また、X駆動用磁石14の磁石14eと補助磁石21は、Y駆動用磁石16の磁石16aの幅を超えて磁石16bの図示右端に対向する位置まで延びている。磁石14eおよび補助磁石21のY方向の長さは、本実施形態の長さに限らず、少なくとも磁石14dのY方向の長さより長ければよく、Y方向にさらに延長してもよい。
【0038】
Y方向の図示下端にある磁石16eは、磁束の発散を防止する第2補正磁石(或いは第1補正磁石)として機能する。この磁石16eは、磁石16dから離間したX駆動用磁石15側にN極を有し、磁石16d側にS極を有する。また、磁石16eは、X方向に延設され、磁石16b、16c、16dよりX方向の長さが短い。つまり、磁石16eの図示右端が他の磁石16b、16c、16dの図示右端より凹んでいる。
【0039】
磁石16eは、X駆動用磁石15の3つの磁石15a、15b、15cの図示上端とY駆動用磁石16の磁石16dとの間に位置して、X軸駆動用ハルバッハ回路と磁気的に結合している。なお、X駆動用磁石15の磁石15dの図示上端は、Y駆動用磁石16の磁石16eと磁気的に接触しているとともに磁石16dと磁気的に結合している。本実施形態では、X駆動用磁石15の磁石15dとY駆動用磁石16の磁石16dが接触している。つまり、X駆動用磁石15の磁石15dは、Y軸駆動用ハルバッハ回路と磁気的に結合している。
【0040】
なお、X駆動用磁石15の磁石15dとY駆動用磁石16の磁石16dの磁気的な結合は、同じ磁極同士の結合となる。つまり、磁石15dのZ方向の手前側のS極が磁石16dのZ方向の手前側のS極と磁気的に結合し、磁石15dのZ方向の奥側のN極が磁石16dのZ方向の奥側のN極と磁気的に結合する。X駆動用磁石15の磁石15dとY駆動用磁石16の磁石16dは必ずしも接触していなくてもよく、両者の間に微小な隙間があってもよい。
【0041】
また、X駆動用磁石15の磁石15eと補助磁石22は、Y駆動用磁石16の磁石16eの幅を超えて磁石16dの図示右端に対向する位置まで延びている。磁石15eおよび補助磁石22のY方向の長さは、本実施形態の長さに限らず、少なくとも磁石15dのY方向の長さより長ければよく、Y方向にさらに延長してもよい。
【0042】
上記のようにハルバッハ配列を有するY駆動用磁石16に対向するY駆動用コイル13(第2コイル)は、3つの磁石16b、16c、16dに対向する位置に配置されている。つまり、Y駆動用コイル13は、磁石16b、16c、16dよりY方向の長さがわずかに長く、磁石16b、16c、16dが並んだY方向の幅より短い。言い換えると、Y駆動用コイル13は、その可動範囲内において、磁石16a、16eに重なることはない。Y駆動用磁石16およびY駆動用コイル13は、Y軸駆動用ハルバッハ回路(第2駆動部)として機能する。
【0043】
Y駆動用磁石16の磁石16a、16b、16c、16d、16eは、Z方向に沿った同じ厚みを有する。また、Y駆動用磁石16の磁石16a、16b、16c、16d、16eは、Y方向に互いに密着した状態で配置されている。
【0044】
X駆動用磁石14に対向したホール素子17は、ブレ補正装置10の可動部2が固定部4に対して移動したとき、磁石14dのN極から補助磁石21のS極に向かう磁束の変化を検出する。これにより、可動部2の固定部4に対するX方向の位置を検出する。本実施形態では、X駆動用磁石14がハルバッハ配列を有するため、ホール素子17側の磁束が裏面側の磁束より強くなる。このため、ホール素子17で検出する磁束が裏面側より強くなり、位置検出精度を高めることができる。
【0045】
また、本実施形態によると、X駆動用磁石14の磁石14dとY駆動用磁石16の同極性の磁石16bが磁気的に結合している。このため、見かけ上、磁石14dのY方向の長さを長くすることができ、補助磁石21との間で形成される磁束のY方向の安定領域を広げることができる。
【0046】
つまり、磁石14dおよび補助磁石21のY方向の端部近くでは両者の間で形成される磁束の強さが不安定になり易い。言い換えると、磁石14dおよび補助磁石21のY方向の中間部では、磁束の強度が安定する。磁束が安定する領域は、磁石14dおよび補助磁石21のY方向の長さが長くなるにつれて大きくなる。よって、本実施形態のようにX駆動用磁石14の磁石14dとY駆動用磁石16の同極性の磁石16bを磁気的に結合することで、ホール素子17が検出する磁束のY方向の安定領域を広げることができる。
【0047】
可動部2がY方向に移動してホール素子17がY方向にシフトすると、ホール素子17が安定領域から外れる可能性がある。この場合、ホール素子17による位置検出精度が低下する。このため、本実施形態では、X駆動用磁石14の磁石14dのY方向の長さをX駆動用磁石16の同極性の磁石16bによって補うことで、Y方向の安定領域を広げている。これにより、ホール素子17がY方向にシフトした場合であっても、X方向の位置検出精度を高く維持することができる。また、本実施形態によると、ホール素子17のY方向の配置位置に関するレイアウトの自由度を高めることができる。
【0048】
一方、X駆動用磁石15に対向したホール素子18は、ブレ補正装置10の可動部2が固定部4に対して移動したとき、補助磁石
22のN極から磁石15dのS極に向かう磁束の変化を検出する。これにより、可動部2の固定部4に対するX方向の位置を検出する。本実施形態では、X駆動用磁石15がハルバッハ配列を有するため、ホール素子18側の磁束が裏面側の磁束より強くなる。このため、ホール素子18で検出する磁束が裏面側より強くなり、位置検出精度を高めることができる。
【0049】
また、本実施形態によると、X駆動用磁石15の磁石15dとY駆動用磁石16の同極性の磁石16dが磁気的に結合している。このため、見かけ上、磁石15dのY方向の長さを長くすることができ、補助磁石22との間で形成される磁束のY方向の安定領域を広げることができる。
【0050】
つまり、磁石15dおよび補助磁石22のY方向の端部近くでは両者の間で形成される磁束の強さが不安定になり易い。言い換えると、磁石15dおよび補助磁石22のY方向の中間部では、磁束の強度が安定する。磁束が安定する領域は、磁石15dおよび補助磁石22のY方向の長さが長くなるにつれて大きくなる。よって、本実施形態のようにX駆動用磁石15の磁石15dとY駆動用磁石16の同極性の磁石16dを磁気的に結合することで、ホール素子18が検出する磁束のY方向の安定領域を広げることができる。
【0051】
可動部2がY方向に移動してホール素子18がY方向にシフトすると、ホール素子18が安定領域から外れる可能性がある。この場合、ホール素子18による位置検出精度が低下する。このため、本実施形態では、X駆動用磁石15の磁石15dのY方向の長さをX駆動用磁石16の同極性の磁石16dによって補うことで、Y方向の安定領域を広げている。これにより、ホール素子18がY方向にシフトした場合であっても、X方向の位置検出精度を高く維持することができる。また、本実施形態によると、ホール素子18のY方向の配置位置に関するレイアウトの自由度を高めることができる。
【0052】
また、本実施形態によると、2つのX駆動用磁石14、15と1つのY駆動用磁石16を互いに近接して配置しているため、XY平面に沿った装置構成をコンパクトにすることができる。その上、本実施形態では、X駆動用磁石14とX駆動用コイル11を組み合わせてX軸駆動用ハルバッハ回路を構成し、X駆動用磁石15とX駆動用コイル12を組み合わせてX軸駆動用ハルバッハ回路を構成し、且つ、Y駆動用磁石16とY駆動用コイル13を組み合わせてY軸駆動用ハルバッハ回路を構成したため、各コイル11、12、13を通る磁束を強くすることができ、ブレ補正装置10の駆動効率を高めることができる。
【0053】
さらに、本実施形態によると、Y駆動用磁石16の5つの磁石16a、16b、16c、16d、16eに、X駆動用磁石14の磁石14bおよびX駆動用磁石15の磁石15bを加えて、拡張したハルバッハ配列を構成することができる。このため、上述したY駆動用磁石16のみのハルバッハ配列に比べて、Y駆動用コイル13を通る磁束を増やすことができ、ブレ補正装置10における可動部2のY方向への駆動力をより大きくすることができる。
【0054】
つまり、X駆動用磁石14の磁石14bとY駆動用磁石16の磁石16aが磁気的に結合し、且つX駆動用磁石15の磁石15bとY駆動用磁石16の磁石16eが磁気的に結合しているため、上述した拡張したハルバッハ配列を構成することができる。すなわち、本実施形態によると、2つのX駆動用磁石14、15によってY駆動用磁石16による磁束を増やすことができ、その分、Y方向の駆動力を大きくすることができる。
【0055】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係るブレ補正装置の要部の構成を前方から見た概略図である。第2の実施形態のブレ補正装置は、固定部4に設けたX駆動用磁石15、可動部2に設けたX駆動用コイル12、および可動部2に設けたホール素子18を備えていない。これ以外の構成は、上述した第1の実施形態のブレ補正装置10と同じである。よって、ここでは、第1の実施形態と同様に機能する構成要素に同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0056】
本実施形態においても、X駆動用磁石14の磁石14dとY駆動用磁石16の磁石16bを磁気的に結合したため、上述した第1の実施形態と同様の効果を奏することができ、ブレ補正装置を大型化することなく、駆動効率を高めることができる。
【0057】
(第3の実施形態)
図5は、第3の実施形態に係るブレ補正装置の要部の構成を前方から見た概略図である。第3の実施形態のブレ補正装置は、固定部4に設けたX駆動用磁石14’とY駆動用磁石16’がハルバッハ配列を有していない。これ以外の構成は、上述した第2の実施形態のブレ補正装置と同じである。よって、ここでは、第2の実施形態と同様に機能する構成要素に同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0058】
X駆動用磁石14’は、Z方向の手前側にS極を有するとともに奥側にN極を有する磁石31と、Z方向の手前側にN極を有するとともに奥側にS極を有する磁石32をX方向に並べて有する。X駆動用磁石14’のX方向の図示右側には、補助磁石33が配置されている。X駆動用磁石14’のZ方向の前方にはX駆動用コイル11が対向配置され、X駆動用磁石14’の磁石32と補助磁石33との間のZ方向の前方にはホール素子17が配置されている。
【0059】
Y駆動用磁石16’は、Z方向の手前側にN極を有するとともに奥側にS極を有する磁石34と、Z方向の手前側にS極を有するとともに奥側にN極を有する磁石35をY方向に並べて有する。Y駆動用磁石16’のZ方向の前方にはY駆動用コイル13が対向配置され、2つの磁石34、35の間のZ方向の前方にはホール素子19が配置されている。
【0060】
そして、X駆動用磁石14’の磁石32とY駆動用磁石16’の磁石34が磁気的に結合している。このため、第3の実施形態によると、上述した第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。つまり、第3の実施形態によると、Y駆動用磁石16’の磁石34の一部がX駆動用磁石14’の磁石32のY方向の長さを補い、ホール素子17で検出する磁束のY方向の安定領域を十分に長くすることができる。これにより、可動部2が固定部4に対してY方向にシフトしたときであっても、ホール素子17による検出精度が低下することなく、X方向の位置検出精度を高く維持することができる。また、この場合、ホール素子17のY方向の配置位置に関する選択の自由度を高めることができる。
【0061】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0062】
例えば、上述した実施形態では、可動部2にコイルを配置して固定部4に磁石を配置した場合について説明したが、これに限らず、可動部2に磁石を配置して固定部4にコイルを配置してもよい。
【0063】
また、上述した実施形態では、X駆動用磁石14、15、およびY駆動用磁石16の各磁石を密着させて配置した場合について説明したが、これに限らず、各磁石の間に微小な隙間を設けてもよい。