(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の印字パターンと前記第2の印字パターンとの何れか一方又は両方の印字パターンによって、前記欠陥に関する情報を記録することを特徴とする請求項1に記載の欠陥マーキング方法。
前記マークの数、間隔、サイズ、色のうち何れか1つ以上を変更した印字パターンによって、前記欠陥に関する情報を記録することを特徴とする請求項3又は4に記載の欠陥マーキング方法。
前記他の方向において、前記第1の印字パターンと前記第2の印字パターンとの何れか一方又は両方と隣り合う第3の印字パターンを印字することによって、前記欠陥に関する情報を記録することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の欠陥マーキング方法。
前記制御部は、前記選択された何れか一方又は両方の印字部に対して、記録すべき前記欠陥に関する情報に応じて、前記第1の印字パターンと前記第2の印字パターンとの何れか一方又は両方の印字パターンを変更する制御を行うことを特徴とする請求項13に記載の欠陥マーキング装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した従来の欠陥マーキングでは、原反から欠陥部分を切り出したときに、マーキングと欠陥との間で切断されることによって、切断により切り出された側と、切断により切り残された側との何れに欠陥が位置しているのか、切断後に欠陥の位置が不明となることがあった。
【0007】
また、上記特許文献2に記載の発明では、傷マークを付けることによって、欠陥箇所にマーキングを施すことが行われている。しかしながら、傷マークを付けた場合、欠陥検査後に傷マークを消し取ることは不可能である。この場合、マーキング後の目視による検査(検品)によっては、欠陥部分が製品として許容されることもある。しかしながら、傷マークを付けた場合は、製品として使用できなくなってしまう。
【0008】
一方、上述した従来の欠陥マーキングでは、欠陥箇所にマーキングを施すことによって、欠陥の位置のみを表示するものが一般的である。したがって、従来の欠陥マーキングでは、上述した欠陥情報については記録されていない。このため、例えば出荷前に原反ロールを再検品する際に、欠陥情報が必要な場合は、欠陥情報を記録領域等に別途記録しておく必要がある。
【0009】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、欠陥の位置を表示するのに好適な欠陥マーキング方法及び欠陥マーキング装置、原反の製造方法及び原反、並びにシートの製造方法及びシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための手段として、本発明の態様に従えば、被検査物の欠陥箇所にマーキングを施す欠陥マーキング方法であって、前記被検査物の面内における一の方向と交差する他の方向において隣り合う第1の印字パターンと第2の印字パターンとの間に欠陥が位置するように、前記被検査物の表面に前記第1の印字パターン及び前記第2の印字パターンを印字することを特徴とする欠陥マーキング方法が提供される。
【0011】
また、前記態様の欠陥マーキング方法では、前記第1の印字パターンと前記第2の印字パターンとの何れか一方又は両方の印字パターンによって、前記欠陥に関する情報を記録する方法であってもよい。
【0012】
また、前記態様の欠陥マーキング方法では、前記何れか一方又は両方の印字パターンとして、ドット状のマークを少なくとも1つ又は前記一の方向に複数並べて印字する方法であってもよい。
【0013】
また、前記態様の欠陥マーキング方法では、前記何れか一方又は両方の印字パターンとして、線状のマークを少なくとも1つ又は前記一の方向に複数並べて印字する方法であってもよい。
【0014】
また、前記態様の欠陥マーキング方法では、前記マークの数、間隔、サイズ、色のうち何れか1つ以上を変更することによって、前記欠陥に関する情報を記録する方法であってもよい。
【0015】
また、前記態様の欠陥マーキング方法では、前記一の方向に並ぶ複数のマークの少なくとも一部の間隔を変更した印字パターンによって、前記一の方向における前記欠陥の位置を表示する方法であってもよい。
【0016】
また、前記態様の欠陥マーキング方法では、前記一の方向に並ぶ複数のマークの少なくとも一部の間隔を空けた空白を前記欠陥と隣り合う位置に配置することによって、前記一の方向における前記欠陥の位置を表示する方法であってもよい。
【0017】
また、前記態様の欠陥マーキング方法では、前記他の方向において、前記第1の印字パターンと前記第2の印字パターンとの何れか一方又は両方と隣り合う第3の印字パターンを印字することによって、前記欠陥に関する情報を記録する方法であってもよい。
【0018】
また、前記態様の欠陥マーキング方法では、前記何れかの印字パターンによって、前記欠陥以外に関する情報を記録する方法であってもよい。
【0019】
また、前記態様の欠陥マーキング方法では、前記印字パターンを消し取り可能なインクを用いて印字する方法であってもよい。
【0020】
また、前記態様の欠陥マーキング方法では、前記被検査物として、前記一の方向に搬送される長尺帯状の原反の欠陥箇所にマーキングを施す方法であってもよい。
【0021】
また、前記態様の欠陥マーキング方法では、前記被検査物として、長尺帯状の原反を切断することにより得られるシートの欠陥箇所にマーキングを施す方法であってもよい。
【0022】
また、本発明の態様に従えば、一の方向に搬送される長尺帯状の原反に対して欠陥検査を行う工程と、前記何れかの欠陥マーキング方法を用いて、前記原反を前記一の方向に搬送する間に、前記欠陥検査の結果に基づいて前記原反の欠陥箇所にマーキングを施す工程と、を含むことを特徴とする原反の製造方法が提供される。
【0023】
また、本発明の態様に従えば、長尺帯状の原反を切断することにより得られるシートに対して欠陥検査を行う工程と、前記何れかの欠陥マーキング方法を用いて、前記欠陥検査の結果に基づいて前記シートの欠陥箇所にマーキングを施す工程と、を含むことを特徴とするシートの製造方法が提供される。
【0024】
また、本発明の態様に従えば、被検査物の欠陥箇所にマーキングを施す印字装置を備え、前記印字装置が、前記被検査物の面内における一の方向と交差する他の方向に所定の間隔で並んで配置されると共に、前記被検査物の表面に印字パターンを印字する複数の印字部と、前記複数の印字部の駆動を制御する制御部と、を有し、前記制御部が、前記他の方向において隣り合う第1の印字パターンと第2の印字パターンとの間に欠陥が位置するように、前記第1の印字パターン及び前記第2の印字パターンを印字する印字部を選択する制御を行うことを特徴とする欠陥マーキング装置が提供される。
【0025】
また、前記態様の欠陥マーキング装置において、前記制御部は、前記選択された何れか一方又は両方の印字部に対して、記録すべき前記欠陥に関する情報に応じて、前記第1の印字パターンと前記第2の印字パターンとの何れか一方又は両方の印字パターンを変更する制御を行う構成であってもよい。
【0026】
また、前記態様の欠陥マーキング装置では、前記何れか一方又は両方の印字パターンとして、ドット状のマークを少なくとも1つ又は前記一の方向に複数並べて印字する構成であってもよい。
【0027】
また、前記態様の欠陥マーキング装置では、前記何れか一方又は両方の印字パターンとして、線状のマークを少なくとも1つ又は前記一の方向に複数並べて印字する構成であってもよい。
【0028】
また、前記態様の欠陥マーキング装置では、前記マークの数、間隔、サイズ、色のうち何れか1つ以上を変更する構成であってもよい。
【0029】
また、前記態様の欠陥マーキング装置において、前記制御部は、前記選択された何れかの印字部に対して、前記一の方向に並ぶ複数のマークの少なくとも一部の間隔を変更する制御を行う構成であってもよい。
【0030】
また、前記態様の欠陥マーキング装置において、前記制御部は、前記選択された何れかの印字部に対して、前記一の方向に並ぶ複数のマークの少なくとも一部の間隔を空けた空白を前記欠陥と隣り合う位置に配置する制御を行う構成であってもよい。
【0031】
また、前記態様の欠陥マーキング装置において、前記制御部は、前記他の方向において、前記第1の印字パターンと前記第2の印字パターンとの何れか一方又は両方と隣り合う第3の印字パターンを印字する印字部を選択し、当該選択された何れ一方又は両方の印字部に対して、記録すべき前記欠陥に関する情報に応じて、前記第3の印字パターンを変更する制御を行う構成であってもよい。
【0032】
また、前記態様の欠陥マーキング装置において、前記制御部は、前記選択された何れかの印字部に対して、記録すべき前記欠陥以外に関する情報に応じて、前記何れかの印字パターンを変更する制御を行う構成であってもよい。
【0033】
また、本発明の態様に従えば、一の方向に搬送される長尺帯状の原反に対して欠陥検査を行う欠陥検査装置と、前記何れかの欠陥マーキング装置と、を備え、前記原反を前記一の方向に搬送する間に、前記欠陥検査の結果に基づいて前記原反の欠陥箇所にマーキングを施すことを特徴とする原反の製造装置が提供される。
【0034】
また、本発明の態様に従えば、長尺帯状の原反を切断することにより得られるシートに対して欠陥検査を行う欠陥検査装置と、前記何れかの欠陥マーキング装置と、を備え、前記欠陥検査の結果に基づいて前記シートの欠陥箇所にマーキングを施すことを特徴とするシートの製造装置が提供される。
【0035】
また、本発明の態様に従えば、欠陥箇所にマーキングが施された長尺帯状の原反であって、前記マーキングにより表面に印字され、短手方向において隣り合う第1の印字パターン及び前記第2の印字パターンを有し、前記第1の印字パターンと前記第2の印字パターンとの間に欠陥が位置することによって、前記欠陥の位置が表示されていることを特徴とする原反が提供される。
【0036】
また、前記態様の原反では、前記第1の印字パターンと前記第2の印字パターンとの何れか一方又は両方の印字パターンによって、前記欠陥に関する情報が記録されている構成であってもよい。
【0037】
また、前記態様の原反では、前記何れか一方又は両方の印字パターンとして、ドット状のマークが少なくとも1つ又は長手方向に複数並べて印字されている構成であってもよい。
【0038】
また、前記態様の原反では、前記何れか一方又は両方の印字パターンとして、線状のマークが少なくとも1つ又は長手方向に複数並べて印字されている構成であってもよい。
【0039】
また、前記態様の原反では、前記マークの数、間隔、サイズ、色のうち何れか1つ以上が変更されている構成であってもよい。
【0040】
また、前記態様の原反では、前記長手方向に並ぶ複数のマークの少なくとも一部の間隔を変更した印字パターンによって、前記長手方向における前記欠陥の位置が表示されている構成であってもよい。
【0041】
また、前記態様の原反では、前記長手方向に並ぶ複数のマークの少なくとも一部の間隔を空けた空白を前記欠陥と隣り合う位置に配置することによって、前記長手方向における前記欠陥の位置が表示されている構成であってもよい。
【0042】
また、前記態様の原反では、前記短手方向において、前記第1の印字パターンと前記第2の印字パターンとの何れか一方又は両方と隣り合う第3の印字パターンを有し、前記第3の印字パターンによって、前記欠陥に関する情報が記録されている構成であってもよい。
【0043】
また、前記態様の原反では、前記何れかの印字パターンによって、前記欠陥以外に関する情報が記録されている構成であってもよい。
【0044】
また、前記態様の原反では、前記印字パターンが消し取り可能なインクにより印字されている構成であってもよい。
【0045】
また、本発明の態様に従えば、欠陥箇所にマーキングが施されたシートであって、前記マーキングにより表面に印字され、一の方向と交差する他の方向において隣り合う第1の印字パターン及び前記第2の印字パターンを有し、前記第1の印字パターンと前記第2の印字パターンとの間に欠陥が位置することによって、前記欠陥の位置が表示されていることを特徴とするシートが提供される。
【0046】
また、前記態様のシートでは、前記第1の印字パターンと前記第2の印字パターンとの何れか一方又は両方の印字パターンによって、前記欠陥に関する情報が記録されている構成であってもよい。
【0047】
また、前記態様のシートでは、前記何れか一方又は両方の印字パターンとして、ドット状のマークが少なくとも1つ又は前記一の方向に複数並んで印字されている構成であってもよい。
【0048】
また、前記態様のシートでは、前記何れか一方又は両方の印字パターンとして、線状のマークが少なくとも1つ又は前記一の方向に複数並んで印字されている構成であってもよい。
【0049】
また、前記態様のシートでは、前記マークの数、間隔、サイズ、色のうち何れか1つ以上が変更されている構成であってもよい。
【0050】
また、前記態様のシートでは、前記一の方向に並ぶ複数のマークの少なくとも一部の間隔を変更した印字パターンによって、前記一の方向における前記欠陥の位置が表示されている構成であってもよい。
【0051】
また、前記態様のシートでは、前記一の方向に並ぶ複数のマークの少なくとも一部の間隔を空けた空白を前記欠陥と隣り合う位置に配置することによって、前記一の方向における前記欠陥の位置が表示されている構成であってもよい。
【0052】
また、前記態様のシートでは、前記他の方向において、前記第1の印字パターンと前記第2の印字パターンとの何れか一方又は両方と隣り合う第3の印字パターンを有し、前記第3の印字パターンによって、前記欠陥に関する情報が記録されている構成であってもよい。
【0053】
また、前記態様のシートでは、前記何れかの印字パターンによって、前記欠陥以外に関する情報が記録されている構成であってもよい。
【0054】
また、前記態様のシートでは、前記印字パターンが消し取り可能なインクにより印字されている構成であってもよい。
【発明の効果】
【0055】
以上のように、本発明の態様によれば、欠陥の位置を表示するのに好適な欠陥マーキング方法及び欠陥マーキング装置、原反の製造方法及び原反、並びにシートの製造方法及びシートを提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態では、例えば光学表示デバイスの生産システムとして、その一部を構成するフィルム製造装置(原反の製造装置)、並びに、このフィルム製造装置を用いたフィルム製造方法(原反の製造方法)について説明する。
【0058】
フィルム製造装置は、例えば液晶表示パネルや有機EL表示パネルなどのパネル状の光学表示部品(光学表示パネル)に貼合される、例えば偏光フィルムや位相差フィルム、輝度向上フィルムなどのフィルム状の光学部材(光学フィルム)を製造するものである。フィルム製造装置は、このような光学表示部品や光学部材を含む光学表示デバイスを生産する生産システムの一部を構成している。
【0059】
本実施形態では、光学表示デバイスとして透過型の液晶表示装置を例示している。透過型の液晶表示装置は、液晶表示パネルと、バックライトとを概略備えている。この液晶表示装置では、バックライトから出射された照明光を液晶表示パネルの裏面側から入射し、液晶表示パネルにより変調された光を液晶表示パネルの表面側から出射することによって、画像を表示することが可能である。
【0060】
(光学表示デバイス)
先ず、光学表示デバイスとして、
図1及び
図2に示す液晶表示パネルPの構成について説明する。なお、
図1は、液晶表示パネルPの構成を示す平面図である。
図2は、
図1中に示す切断線A−Aによる液晶表示パネルPの断面図である。なお、
図2では、断面を示すハッチングの図示を省略している。
【0061】
液晶表示パネルPは、
図1及び
図2に示すように、第1の基板P1と、第1の基板P1に対向して配置された第2の基板P2と、第1の基板P1と第2の基板P2との間に配置された液晶層P3とを概略備えている。
【0062】
第1の基板P1は、平面視で長方形状を為す透明基板からなる。第2の基板P2は、第1の基板P1よりも比較的小形の長方形状を為す透明基板からなる。液晶層P3は、第1の基板P1と第2の基板P2との間の周囲をシール材(図示せず。)で封止し、シール材によって囲まれた平面視で長方形状を為す領域の内側に配置されている。液晶表示パネルPでは、平面視で液晶層P3の外周の内側に収まる領域を表示領域P4とし、この表示領域P4の周囲を囲む外側の領域を額縁部Gとする。
【0063】
液晶表示パネルPの裏面(バックライト側)には、偏光フィルムとしての第1の光学フィルムF11と、この第1の光学フィルムF11に重ねて輝度向上フィルムとしての第3の光学フィルムF13とが順に積層されて貼合されている。液晶表示パネルPの表面(表示面側)には、偏光フィルムとしての第2の光学フィルムF12が貼合されている。以下、第1、第2及び第3の光学フィルムF11,F12,F13を光学フィルムF1Xと総称することがある。
【0064】
(光学フィルム)
次に、
図3に示す光学フィルムF1Xを構成する光学シートFXの一例について説明する。なお、
図3は、光学シートFXの構成を示す断面図である。なお、
図3では、断面を示すハッチングの図示を省略している。
【0065】
光学フィルムF1Xは、
図3に示す長尺帯状の光学シート(原反)FXから所定の長さのシート片(チップ)を切り出すことによって得られる。具体的に、この光学シートFXは、基材シートF4と、基材シートF4の一方の面(
図3中の上面)に設けられた粘着層F5と、粘着層F5を介して基材シートF4の一方の面に設けられたセパレータシートF6と、基材シートF4の他方の面(
図3中の下面)に設けられた表面保護シートF7とを有する。
【0066】
基材シートF4は、例えば偏光フィルムの場合、偏光子F4aを一対の保護フィルムF4b,F4cが挟み込む構造を有している。粘着層F5は、シート片(光学フィルムF1X)を液晶表示パネルPに貼着させるものである。セパレータシートF6は、粘着層F5を保護するものであり、シート片(光学フィルムF1X)を液晶表示パネルPに貼合する前に粘着層F5から剥離される。なお、光学フィルムF1XからセパレータシートF6を除いた部分は、貼合シートF8とされる。
【0067】
表面保護シートF7は、基材シートF4の表面を保護するものである。表面保護シートF7は、シート片(光学フィルムF1X)が液晶表示パネルPに貼着された後に、シート片(光学フィルムF1X)の表面から剥離される。
【0068】
なお、基材シートF4については、一対の保護フィルムF4b,F4cのうち何れか一方を省略した構成としてもよい。例えば、粘着層F5側の保護フィルムF4bを省略して、偏光子F4aに粘着層F5が直接設けられた構成とすることができる。また、表面保護シートF7側の保護フィルムF4cには、例えば、液晶表示パネルPの最外面を保護するハードコート処理や、防眩効果が得られるアンチグレア処理などの表面処理が施されていてもよい。また、基材シートF4については、上述した積層構造のものに限らず、単層構造のものであってもよい。また、表面保護シートF7については、省略することも可能である。
【0069】
(フィルム製造装置及びフィルム製造方法)
次に、
図4に示すフィルム製造装置100について説明する。なお、
図4は、フィルム製造装置100の構成を示す側面図である。
【0070】
フィルム製造装置100は、
図4に示すように、例えば、偏光フィルムとなる長尺帯状の第1のフィルムF101の一面に、表面保護フィルムとなる長尺帯状の第2のフィルムF102を貼合した後、第1のフィルムF101の他面に表面保護フィルムとなる長尺帯状の第3のフィルムF103を貼合することによって、第1のフィルムF101の両面に第2のフィルムF102及び第3のフィルムF103が貼合された光学フィルムF10Xを製造するものである。
【0071】
具体的に、このフィルム製造装置100は、第1の搬送ライン101と、第2の搬送ライン102と、第3の搬送ライン103と、第4の搬送ライン104と、第5の搬送ライン105と、巻取部106とを概略備えている。
【0072】
このうち、第1の搬送ライン101は、第1のフィルムF101を搬送する搬送経路を形成し、第2の搬送ライン102は、第1の原反ロールR1から巻き出された第2のフィルムF102を搬送する搬送経路を形成し、第3の搬送ライン103は、第1のフィルムF101の一面に第2のフィルムF102が貼合された片面貼合フィルムF104を搬送する搬送経路を形成し、第4の搬送ライン104は、第2の原反ロールR2から巻き出された第3のフィルムF103を搬送する搬送経路を形成し、第5の搬送ライン105は、片面貼合フィルムF104の第1のフィルムF101側の面(第1のフィルムF101の他面)に第3のフィルムF103が貼合された両面貼合フィルムF105(光学フィルムF10X)を搬送する搬送経路を形成している。そして、製造された光学フィルムF10Xは、巻取部106において、第3の原反ロールR3として芯材に巻き取られる。
【0073】
第1の搬送ライン101は、例えば、PVA(Polyvinyl Alcohol)などの偏光子の基材となるフィルムに対して、染色処理や架橋処理、延伸処理などを施した後、その両面にTAC(Triacetylcellulose)などの保護フィルムを貼合することにより得られた長尺帯状の第1のフィルムF101を第3の搬送ライン103に向けて搬送させるものである。
【0074】
具体的に、この第1の搬送ライン101には、第3の搬送ライン103の上流側を挟んだ一方側から第3の搬送ライン103に向けて、一対の第1のニップロール111a,111bと、複数の第1のダンサーロール112a,112bを含む第1のアキュームレーター112と、第1のガイドロール113とが、水平方向に順次並んで配置されている。
【0075】
一対の第1のニップロール111a,111bは、その間に第1のフィルムF101を挟み込みながら、互いに逆向きに回転することによって、
図4中に示す矢印aの方向(右方向)に第1のフィルムF101を引き出すものである。
【0076】
第1のアキュームレーター112は、第1のフィルムF101の送り量の変動による差を吸収すると共に、第1のフィルムF101に加わる張力の変動を低減するためのものである。具体的に、この第1のアキュームレーター112は、第1のニップロール111a,111bと第1のガイドロール113との間で、上部側に位置する複数のダンサーロール112aと、下部側に位置する複数のダンサーロール112bとが交互に並んで配置された構成を有している。
【0077】
第1のアキュームレーター112では、上部側のダンサーロール112aと下部側のダンサーロール112bとに第1のフィルムF101が互い違いに掛け合わされた状態で、第1のフィルムF101を搬送させながら、上部側のダンサーロール112aと下部側のダンサーロール112bとを相対的に上下方向に昇降動作させる。これにより、第1の搬送ライン101を停止することなく、第1のフィルムF101を蓄積することが可能となっている。例えば、第1のアキュームレーター112では、上部側のダンサーロール112aと下部側のダンサーロール112bとの間の距離を広げることよって、第1のフィルムF101の蓄積を増やす一方、上部側のダンサーロール112aと下部側のダンサーロール112bとの間の距離を狭めることよって、第1のフィルムF101の蓄積を減らすことができる。第1のアキュームレーター112は、例えば、原反ロールR1〜R3の芯材を交換した後の紙継ぎなどの作業時に稼働される。
【0078】
第1のガイドロール113は、回転しながら第1のニップロール111a,111bにより引き出された第1のフィルムF101を第3の搬送ライン103の上流側に向けて案内するものである。なお、第1のガイドロール113は、1つだけ配置された構成に限らず複数配置された構成であってもよい。
【0079】
第2の搬送ライン102は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)などの表面保護フィルムとなる長尺帯状の第2のフィルムF102を第1の原反ロールR1から巻き出しつつ、第3の搬送ライン103に向けて搬送させるものである。
【0080】
具体的に、この第2の搬送ライン102には、第3の搬送ライン103の上流側を挟んだ他方側から第3の搬送ライン103に向けて、一対の第2のニップロール121a,121bと、複数の第2のダンサーロール122a,122bを含む第2のアキュームレーター122と、複数の第2のガイドロール123a,123bとが、水平方向に順次並んで配置されている。
【0081】
一対の第2のニップロール121a,121bは、その間に第2のフィルムF102を挟み込みながら、互いに逆向きに回転することによって、
図4中に示す矢印bの方向(左方向)に第2のフィルムF102を引き出すものである。
【0082】
第2のアキュームレーター122は、第2のフィルムF102の送り量の変動による差を吸収すると共に、第2のフィルムF102に加わる張力の変動を低減するためのものである。具体的に、この第2のアキュームレーター122は、第2のニップロール121a,121bと第2のガイドロール123a,123bとの間で、上部側に位置する複数のダンサーロール122aと、下部側に位置する複数のダンサーロール122bとが交互に並んで配置された構成を有している。
【0083】
第2のアキュームレーター122では、上部側のダンサーロール122aと下部側のダンサーロール122bとに第2のフィルムF102が互い違いに掛け合わされた状態で、第2のフィルムF102を搬送させながら、上部側のダンサーロール122aと下部側のダンサーロール122bとを相対的に上下方向に昇降動作させる。これにより、第2の搬送ライン102を停止することなく、第2のフィルムF102を蓄積することが可能となっている。例えば、第2のアキュームレーター122では、上部側のダンサーロール122aと下部側のダンサーロール122bとの間の距離を広げることよって、第2のフィルムF102の蓄積を増やす一方、上部側のダンサーロール122aと下部側のダンサーロール122bとの間の距離を狭めることよって、第2のフィルムF102の蓄積を減らすことができる。第2のアキュームレーター122は、例えば、原反ロールR1〜R3の芯材を交換した後の紙継ぎなどの作業時に稼働される。
【0084】
複数の第2のガイドロール123a,123bは、それぞれ回転しながら第2のニップロール121a,121bにより引き出された第2のフィルムF102を第3の搬送ライン103の上流側に向けて案内するものである。なお、第2のガイドロール123a,123bは、複数配置された構成に限らず1つだけ配置された構成であってもよい。
【0085】
第3の搬送ライン103は、第1のフィルムF101の一面に第2のフィルムF102を貼合した長尺帯状の片面貼合フィルムF104を第5の搬送ライン105に向けて搬送させるものである。
【0086】
具体的に、この第3の搬送ライン103には、一対の第3のニップロール131a,131bが配置されている。一対の第3のニップロール131a,131bは、第1の搬送ライン101の下流側と第2の搬送ライン102の下流側との合流点に位置して、その間に第1のフィルムF101及び第2のフィルムF102を挟み込みながら、互いに逆向きに回転することによって、第1のフィルムF101と第2のフィルムF102とを貼合した片面貼合フィルムF104を
図4中に示す矢印cの方向(下方向)に引き出すものである。
【0087】
第4の搬送ライン104は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)などの表面保護フィルムとなる長尺帯状の第3のフィルムF103を第2の原反ロールR2から巻き出しつつ、第5の搬送ライン105に向けて搬送させるものである。
【0088】
具体的に、この第4の搬送ライン104には、第3の搬送ライン103の下流側を挟んだ一方側から第3の搬送ライン103に向けて、一対の第4のニップロール141a,141bと、複数の第3のダンサーロール142a,142bを含む第3のアキュームレーター142と、複数の第4のガイドロール143a,143bとが、水平方向に順次並んで配置されている。
【0089】
一対の第4のニップロール141a,141bは、その間に第3のフィルムF103を挟み込みながら、互いに逆向きに回転することによって、
図4中に示す矢印dの方向(右方向)に第3のフィルムF103を引き出すものである。
【0090】
第3のアキュームレーター142は、第3のフィルムF103の送り量の変動による差を吸収すると共に、第3のフィルムF103に加わる張力の変動を低減するためのものである。具体的に、この第3のアキュームレーター142は、第4のニップロール141a,141bと第4のガイドロール143a,143bとの間で、上部側に位置する複数のダンサーロール142aと、下部側に位置する複数のダンサーロール142bとが交互に並んで配置された構成を有している。
【0091】
第3のアキュームレーター142では、上部側のダンサーロール142aと下部側のダンサーロール142bとに第3のフィルムF103が互い違いに掛け合わされた状態で、第3のフィルムF103を搬送させながら、上部側のダンサーロール142aと下部側のダンサーロール142bとを相対的に上下方向に昇降動作させる。これにより、第4の搬送ライン104を停止することなく、第3のフィルムF103を蓄積することが可能となっている。例えば、第3のアキュームレーター142では、上部側のダンサーロール142aと下部側のダンサーロール142bとの間の距離を広げることよって、第3のフィルムF103の蓄積を増やす一方、上部側のダンサーロール142aと下部側のダンサーロール142bとの間の距離を狭めることよって、第3のフィルムF103の蓄積を減らすことができる。第3のアキュームレーター142は、例えば、原反ロールR1〜R3の芯材を交換した後の紙継ぎなどの作業時に稼働される。
【0092】
複数の第4のガイドロール143a,143bは、それぞれ回転しながら第4のニップロール141a,141bにより引き出された第3のフィルムF103を第3の搬送ライン103の下流側(第5の搬送ライン105の上流側)に向けて案内するものである。なお、第4のガイドロール143a,143bは、複数配置された構成に限らず1つだけ配置された構成であってもよい。
【0093】
第5の搬送ライン105は、片面貼合フィルムF104の第1のフィルムF101側の面(第1のフィルムF101の他面)に第3のフィルムF103を貼合した長尺帯状の両面貼合フィルムF105(光学フィルムF10X)を第3の原反ロールR3に向けて搬送させるものである。
【0094】
具体的に、この第5の搬送ライン105には、第3の搬送ライン103の下流側を挟んだ他方側から第3の原反ロールR3に向けて、一対の第5のニップロール151a,151bと、第5のガイドロール153aと、一対の第6のニップロール151c,151dと、複数の第4のダンサーロール152a,152bを含む第4のアキュームレーター152と、第6のガイドロール153bとが、水平方向に順次並んで配置されている。
【0095】
一対の第5のニップロール151a,151bは、第3の搬送ライン103の下流側と第5の搬送ライン105の上流側との合流点に位置して、その間に片面貼合フィルムF104及び第3のフィルムF103を挟み込みながら、互いに逆向きに回転することによって、片面貼合フィルムF104と第3のフィルムF103とを貼合した両面貼合フィルムF105を
図4中に示す矢印eの方向(下方向)に引き出すものである。
【0096】
第5のガイドロール153aは、回転しながら第5のニップロール151a,151bにより引き出された両面貼合フィルムF105を第4のアキュームレーター152に向けて案内するものである。なお、第5のガイドロール153aは、1つだけ配置された構成に限らず複数配置された構成であってもよい。
【0097】
一対の第6のニップロール151c,151dは、その間に両面貼合フィルムF105を挟み込みながら、互いに逆向きに回転することによって、
図4中に示す矢印fの方向(右方向)に両面貼合フィルムF105を引き出すものである。
【0098】
第4のアキュームレーター152では、上部側のダンサーロール152aと下部側のダンサーロール152bとに両面貼合フィルムF105が互い違いに掛け合わされた状態で、両面貼合フィルムF105を搬送させながら、上部側のダンサーロール152aと下部側のダンサーロール152bとを相対的に上下方向に昇降動作させる。これにより、第5の搬送ライン105を停止することなく、両面貼合フィルムF105を蓄積することが可能となっている。例えば、第4のアキュームレーター152では、上部側のダンサーロール152aと下部側のダンサーロール152bとの間の距離を広げることよって、両面貼合フィルムF105の蓄積を増やす一方、上部側のダンサーロール152aと下部側のダンサーロール152bとの間の距離を狭めることよって、両面貼合フィルムF105の蓄積を減らすことができる。第4のアキュームレーター152は、例えば、原反ロールR1〜R3の芯材を交換した後の紙継ぎなどの作業時に稼働される。
【0099】
第6のガイドロール153bは、両面貼合フィルムF105を第3の原反ロールR3に向けて案内するものである。なお、第6のガイドロール153bは、1つだけ配置された構成に限らず複数配置された構成であってもよい。
【0100】
両面貼合フィルムF105は、巻取部106において、光学フィルムF10Xの第3の原反ロールR3として芯材に巻き取られた後、次工程へと送られる。
【0101】
(欠陥マーキング装置及び欠陥マーキング方法)
次に、上記フィルム製造装置100が備える欠陥マーキング装置10、並びに、この欠陥マーキング装置10を用いた欠陥マーキング方法について説明する。
【0102】
欠陥マーキング装置10は、
図4に示すように、上記フィルム製造装置100の一部を構成するものであり、搬送ラインLと、第1の欠陥検査装置11及び第2の欠陥検査装置12と、記録装置13と、第1の測長器14及び第2の測長器15と、制御装置16とを概略備えて構成されている。
【0103】
搬送ラインLは、検査対象となるフィルムを搬送する搬送経路を形成するものであり、本実施形態では、上記第1の搬送ライン101、第3の搬送ライン103及び第5の搬送ライン105によって搬送ラインLが構成されている。
【0104】
第1の欠陥検査装置11は、第2のフィルムF102及び第3のフィルムF103が貼合される前の第1のフィルムF101の欠陥検査を行うものである。具体的に、この第1の欠陥検査装置11は、第1のフィルムF101を製造する際や、第1のフィルムF101を搬送する際に生じた異物欠陥、凹凸欠陥、輝点欠陥などの各種欠陥を検出する。第1の欠陥検査装置11は、第1の搬送ライン101で搬送される第1のフィルムF101に対して、例えば、反射検査、透過検査、斜め透過検査、クロスニコル透過検査などの検査処理を実行することにより、第1のフィルムF101の欠陥を検出する。
【0105】
第1の欠陥検査装置11は、第1の搬送ライン101において、第1のニップロール111a,111bよりも上流側に、第1のフィルムF101に照明光を照射する複数の照明部21a,22a,23aと、第1のフィルムF101を透過した光(透過光)又は第1のフィルムF101で反射された光(反射光)を検出する複数の光検出部21b,22b,23bとを有している。
【0106】
本実施形態では、透過光を検出する構成のため、第1のフィルムF101の搬送方向に並ぶ複数の照明部21a,22a,23aと光検出部21b,22b,23bとが、それぞれ第1のフィルムF101を挟んで対向して配置されている。また、第1の欠陥検査装置11では、このような透過光を検出する構成に限らず、反射光を検出する構成、若しくは透過光及び反射光を検出する構成であってもよい。反射光を検出する場合には、光検出部21b,22b,23bを照明部21a,22a,23a側に配置すればよい。
【0107】
照明部21a,22a,23aは、欠陥検査の種類に応じて光強度や波長、偏光状態等が調整された照明光を第1のフィルムF101に照射する。光検出部21b,22b,23bは、CCD等の撮像素子を用いて、第1のフィルムF101の照明光が照射された位置の画像を撮像する。光検出部21b,22b,23bで撮像された画像(欠陥検査の結果)は、制御装置16に出力される。
【0108】
第2の欠陥検査装置12は、第2のフィルムF102及び第3のフィルムF103が貼合された後の第1のフィルムF101、すなわち両面貼合フィルムF105の欠陥検査を行うものである。具体的に、この第2の欠陥検査装置12は、第1のフィルムF101に第2のフィルムF102及び第3のフィルムF103を貼合する際や、片面貼合フィルムF104及び両面貼合フィルムF105を搬送する際に生じた異物欠陥、凹凸欠陥、輝点欠陥などの各種欠陥を検出する。第2の欠陥検査装置12は、第5の搬送ライン105で搬送される両面貼合フィルムF105に対して、例えば、反射検査、透過検査、斜め透過検査、クロスニコル透過検査などの検査処理を実行することにより、両面貼合フィルムF105の欠陥を検出する。
【0109】
第2の欠陥検査装置12は、第5の搬送ライン105において、第5のニップロール151a,151bよりも下流側に、両面貼合フィルムF105に照明光を照射する複数の照明部24a,25aと、両面貼合フィルムF105を透過した光(透過光)又は両面貼合フィルムF105で反射された光(反射光)を検出する複数の光検出部24b,25bとを有している。
【0110】
本実施形態では、透過光を検出する構成のため、両面貼合フィルムF105の搬送方向に並ぶ複数の照明部24a,25aと光検出部24b,25bとが、それぞれ両面貼合フィルムF105を挟んで対向して配置されている。また、第2の欠陥検査装置12では、このような透過光を検出する構成に限らず、反射光を検出する構成、若しくは透過光及び反射光を検出する構成であってもよい。反射光を検出する場合には、光検出部24b,25bを照明部24a,25a側に配置すればよい。
【0111】
照明部24a,25aは、欠陥検査の種類に応じて光強度や波長、偏光状態等が調整された照明光を両面貼合フィルムF105に照射する。光検出部24b,25bは、CCD等の撮像素子を用いて、両面貼合フィルムF105の照明光が照射された位置の画像を撮像する。光検出部24b,25bで撮像された画像(欠陥検査の結果)は、制御装置16に出力される。
【0112】
記録装置13は、第1の欠陥検査装置11及び第2の欠陥検査装置12の欠陥検査の結果に基づいて、欠陥箇所にマーキングを施す印字装置である。記録装置13は、第5の搬送ライン105において、第2の欠陥検査装置12よりも下流側に設けられている。記録装置13は、例えばインクジェット方式を採用した複数の印字ヘッド13aを有している。なお、印字ヘッド13aについては、レーザー方式を採用したものであってもよい。
【0113】
複数の印字ヘッド13aは、
図5に示すように、両面貼合フィルムF105の搬送方向と交差する方向(幅方向)に並んで配置されている。また、各印字ヘッド13aには、インクを吐出するノズル部(印字部)13bが両面貼合フィルムF105の搬送方向と交差する方向(幅方向)に所定の間隔で並んで配置されている。各印字ヘッド13aのノズル部13bは、両面貼合フィルムF105に対向して、両面貼合フィルムF105の幅方向の一端側から他端側に亘って等間隔に並んで配置されている。
【0114】
また、複数の印字ヘッド13aと対向する位置には、両面貼合フィルムF105と接する第7のガイドロール153cが配置されている。そして、各印字ヘッド13aのノズル部13bは、両面貼合フィルムF105の第7のガイドロール153cと接する位置とは反対側から、両面貼合フィルムF105の表面に向かってインクを吐出する。これにより、両面貼合フィルムF105の表面にドット状のマークを印字(マーキング)することが可能となっている。
【0115】
第1の測長器14及び第2の測長器15は、第1のフィルムF101の搬送量を測定するものである。具体的に、本実施形態では、第1の搬送ライン101において、第1のアキュームレーター112よりも上流側にある第1のニップロール111aに第1の測長器14を構成するロータリーエンコーダーと、第1のアキュームレーター112よりも下流側にある第3のニップロール131aに第2の測長器15を構成するロータリーエンコーダーとが配置されている。
【0116】
第1の測長器14及び第2の測長器15は、第1のフィルムF101に接して回転する第1のニップロール111a及び第3のニップロール131aの回転変位量に応じて、ロータリーエンコーダーが第1のフィルムF101の搬送量を測定する。第1の測長器14及び第2の測長器15の測定結果は、制御装置16に出力される。
【0117】
なお、本実施形態では、第1の欠陥検査装置11と記録装置13との間に、アキュームレーターが1つしか存在しないため、このアキュームレーターの上流側と下流側に測長器が1つずつ配置された構成となっている。一方、第1の欠陥検査装置11と記録装置13との間にアキュームレーターが複数存在する場合には、その最も上流側にあるアキュームレーターの上流側と、最も下流側にあるアキュームレーターの下流側に測長器が1つずつ配置された構成とすればよい。
【0118】
制御装置16は、フィルム製造装置100の各部を統括制御するものである。具体的に、この制御装置16は、電子制御装置としてのコンピュータシステムを備えている。コンピュータシステムは、CPU等の演算処理部と、メモリーやハードディスク等の情報記憶部とを概略備えている。
【0119】
制御装置16の情報記憶部には、コンピュータシステムを制御するオペレーティングシステム(OS)や、演算処理部にフィルム製造装置100の各部に各種の処理を実行させるプログラムなどが記録されている。また、制御装置16は、フィルム製造装置100の各部の制御に要する各種処理を実行するASIC等の論理回路を含んでいてもよい。また、制御装置16は、コンピュータシステムの外部装置との入出力を行うためのインターフェースを含む。このインターフェースには、例えはキーボードやマウス等の入力装置や、液晶表示ディスプレイ等の表示装置、通信装置などが接続可能となっている。
【0120】
制御装置16は、上述した第1の欠陥検査装置11及び第2の欠陥検査装置12の欠陥検査の結果に基づいて、複数の印字ヘッド13aのノズル部13bの駆動を制御する制御部として機能する。すなわち、この制御装置16は、光検出部21b,22b,23b及び光検出部24b,25bで撮像された画像を解析して、欠陥の有無(位置)や種類などを判別する。そして、第1のフィルムF101や両面貼合フィルムF105に欠陥が存在すると判定した場合には、該当するノズル部13bの駆動を制御して両面貼合フィルムF105の欠陥箇所にマーキングを施す欠陥マーキングを行う。
【0121】
また、欠陥マーキング装置10では、両面貼合フィルムF105の欠陥検査位置と、欠陥箇所のマーキング位置との間にずれが生じないように、欠陥検査後に所定のタイミングで欠陥マーキングを行う。例えば、本実施形態では、第1の欠陥検査装置11又は第2の欠陥検査装置12による欠陥検査が行われた時刻以降に、搬送ラインL上で搬送されるフィルムの搬送量を算出し、算出された搬送量がオフセット距離と一致したときに、記録装置13により欠陥マーキングが行われる。
【0122】
ここで、オフセット距離は、第1の欠陥検査装置11及び第2の欠陥検査装置12と、記録装置13との間のフィルムの搬送距離を言う。厳密には、オフセット距離は、第1の欠陥検査装置11及び第2の欠陥検査装置12により欠陥検査が行われる位置(欠陥検査位置)と、記録装置13によりマーキングが施される位置(マーキング位置)との間のフィルムの搬送距離として定義される。また、オフセット距離は、第1のアキュームレーター112を稼働させると変動する。
【0123】
第1のアキュームレーター112の非稼働時におけるオフセット距離(以下、第1のオフセット距離という。)は、予め制御装置16の情報記憶部に記憶されている。具体的に、第1の欠陥検査装置11及び第2の欠陥検査装置12には、複数の光検出部21b,22b,23b及び光検出部24b,25bが存在し、光検出部21b,22b,23b,24b,25b毎に欠陥検査が行われる。このため、制御装置16の情報記憶部には、光検出部21b,22b,23b,24b,25b毎に第1のオフセット距離が記憶されている。
【0124】
第1のアキュームレーター112の稼働によってオフセット距離が変動する場合には、第1のアキュームレーター112の上流側と下流側との第1のフィルムF101の搬送量の差に基づいて、オフセット距離の補正値を算出する。すなわち、制御装置16では、第1の測長器14及び第2の測長器15の測定結果から、第1のアキュームレーター112による第1のフィルムF101の蓄積量を算出し、この第1のフィルムF101の蓄積量に基づいてオフセット距離の補正値を算出する。
【0125】
欠陥マーキング装置10では、第1のアキュームレーター112の稼働時に、オフセット距離の補正値に基づいて、記録装置13がマーキングを施すタイミングを補正する。例えば、本実施形態では、第1の測長器14及び第2の測長器15の測定結果に基づいて、オフセット距離の補正値を算出する。制御装置16は、この補正値及び第1のオフセット距離に基づいて、第1のアキュームレーター112の稼働時におけるオフセット距離(以下、第2オフセット距離という。)を算出する。
【0126】
本実施形態では、第1の測長器14又は第2の測長器15の測定結果に基づいて、第1の欠陥検査装置11及び第2の欠陥検査装置12による欠陥検査が行われた時刻以降に、搬送ラインL上で搬送されるフィルムの搬送量を算出し、算出された搬送量が第2のオフセット距離と一致したときに、記録装置13により欠陥マーキングが行われる。
【0127】
また、本実施形態では、第1のアキュームレーター112の稼働時に、欠陥マーキングとは別に、第1のアキュームレーター112が稼働したことを示す情報(以下、アキュームレーター稼働情報という。)を両面貼合フィルムF105に記録してもよい。アキュームレーター稼働情報を記録した場合には、アキュームレーター稼働情報が付された部分の欠陥箇所をオペレーターが入念に検査することにより、マーキング位置のずれなどを検出することができる。これにより、良品部分を誤って欠陥箇所と判定する可能性が少なくなり、歩留りの向上が図られる。
【0128】
ところで、本実施形態の欠陥マーキング装置10では、例えば
図6に示すように、両面貼合フィルムF105の表面に、両面貼合フィルムF105の幅方向において隣り合う第1の印字パターンPT1と第2の印字パターンPT2との間に欠陥Dが位置するように、第1の印字パターンPT1及び第2の印字パターンPT2を印字する。
【0129】
本実施形態では、第1の印字パターンPT1及び第2の印字パターンPT2として、両面貼合フィルムF105の搬送方向(長手方向)にドット状のマークDMを複数並べて印字する。マークDMは、目視観察により視認できる程度の大きさであり、具体的には、その直径が5mm以下(より好ましくは1mm以上且つ3mm以下)である。
【0130】
制御装置16は、両面貼合フィルムF105の幅方向に並ぶ複数のノズル部13bの中から、第1の印字パターンPT1及び第2の印字パターンPT2を印字する2つのノズル部13bを選択する。そして、これら選択された2つのノズル部13bは、欠陥Dを挟んだ両面貼合フィルムF105の幅方向(短手方向)の両側に、第1の印字パターンPT1と第2の印字パターンPT2とを印字する。
【0131】
この場合、第1の印字パターンPT1と第2の印字パターンPT2との間に欠陥Dが位置することによって、その間にある欠陥Dの位置を表示することができる。これにより、マーキング後の目視による検査(検品)において、欠陥Dの位置を容易に把握することが可能である。
【0132】
さらに、第1の印字パターンPT1と第2の印字パターンPT2との間隔によって、その間にある欠陥Dの大きさを認識することができる。したがって、選択される2つのノズル部13bについては、両面貼合フィルムF105の幅方向に並ぶ複数のノズル部13bのうち、必ずしも隣り合うノズル部13bを選択する場合に限らず、欠陥Dの位置及び大きさに合わせて、2つのノズル部13bを適宜選択すればよい。
【0133】
また、第1の印字パターンPT1と第2の印字パターンPT2との間に欠陥Dが位置することによって、両面貼合フィルムF105から欠陥部分を切り出したときに、第1の印字パターンPT1と第2の印字パターンPT2との何れか一方と、欠陥Dとの間で切断されることになる。
【0134】
この場合、切断により切り出された側と、切断により切り残された側とに、第1の印字パターンPT1と第2の印字パターンPT2との何れかが残存することになる。これにより、切断により切り出された側と、切断により切り残された側との何れに欠陥Dが位置しているのか、切断後に残存する第1の印字パターンPT1又は第2の印字パターンPT2によって、欠陥の位置を容易に確認することが可能である。
【0135】
また、第1の印字パターンPT1及び第2の印字パターンPT2については、消し取り可能なインクを用いて印字することが可能である。上述したように、マーキング後の目視による検査(検品)によっては、欠陥部分が製品として許容されることもある。この場合、第1の印字パターンPT1及び第2の印字パターンPT2を消し取ることで、この部分を製品として使用することができ、収率の向上を図ることが可能である。
【0136】
消し取り可能なインクについては、ケトン類(メチルエチルケトン、アセトン等)、エステル類(酢酸エチル、プロピル=アセタートサクサンプロピル等)、アルコール類(エタノール、2−プロパノール等)の中から適宜選択された溶剤に対して、着色剤や造膜用樹脂などを添加した油性インクを用いることができる。さらに、必要に応じて、硬化剤や界面活性剤などを添加してもよい。一方、インクを消し取るための溶剤については、上記溶剤と同じものを用いることができる。なお、トルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素類の使用については、光学フィルム(偏光板)の材質を侵すため好ましくない。
【0137】
また、本実施形態の欠陥マーキング装置10では、第1の印字パターンPT1と第2の印字パターンPT2との何れか一方又は両方の印字パターンによって、欠陥Dに関する情報を記録する。
【0138】
具体的に、制御装置16は、第1の印字パターンPT1及び第2の印字パターンPT2を印字する際に、選択されたノズル部13bに対して、記録すべき欠陥Dに関する情報(欠陥情報)に応じて、第1の印字パターンPT1と第2の印字パターンPT2との何れか一方又は両方の印字パターン(本実施形態では、第1の印字パターンPT1及び第2の印字パターンPT2)を変更する制御を行う。
【0139】
例えば、本実施形態では、記録すべき欠陥情報に応じて、第1の印字パターンPT1及び第2の印字パターンPT2を構成するマークDMの数と間隔を変更する。これにより、欠陥箇所にマーキングを施すと同時に、欠陥情報を記録することができる。
【0140】
欠陥情報は、欠陥Dの位置や種類、サイズ、検査方法(欠陥検査の種類)などの欠陥Dに関する情報である。第1の印字パターンPT1及び第2の印字パターンPT2には、これらの欠陥情報が識別できるように、マークDMの数と間隔が予め設定されている。
【0141】
例えば、
図6に示す第1の印字パターンPT1及び第2の印字パターンPT2では、それぞれ両面貼合フィルムF105の一の方向である搬送方向(長手方向)に5つのマークDMが並んで印字されている。このうち、上流側に2つのマークDMと、下流側に3つマークDMとに別れて配置されている。また、上流側のマークDMと下流側のマークDMとの間にマーク1つ分の空白(間隔を空けた部分)Kが設けられている。
【0142】
空白Kは、両面貼合フィルムF105の他の方向である幅方向(短手方向)において欠陥Dとほぼ同列に配置されている。すなわち、この空白Kは、両面貼合フィルムF105の搬送方向(長手方向)における欠陥Dの位置を表示している。なお、空白Kよりも欠陥Dが大きい場合には、空白Kを欠陥Dの中心と隣り合う位置に配置することが好ましい。
【0143】
この場合、第1の印字パターンPT1と第2の印字パターンPT2との間だけでなく、空白Kによって上流側のマークDMと下流側のマークDMとの間に欠陥Dが位置することを表示できる。これにより、欠陥Dの位置を更に容易に把握することが可能である。さらに、欠陥Dを跨いでチップを切り出した際には、残りのマークDMを見ることで、そのチップに欠陥Dが存在しているかを判別することが可能である。これにより、両面貼合フィルムF105の利用効率を向上させることができる。
【0144】
また、上流側と下流側のマークDMの数の違いから、両面貼合フィルムF105からの切り出された後でも、両面貼合フィルムF105の搬送方向(
図6中の矢印で示す方向)を容易に把握できる。
【0145】
さらに、欠陥Dと空白Kの両面貼合フィルムF105の搬送方向(長手方向)におけるずれ量から、欠陥検査位置とマーキング位置との間のタイミングのずれ量が把握できる。そして、このずれ量に基づいて記録装置13によるマーキングのタイミングを容易に調整することが可能である。
【0146】
空白Kの大きさについては、搬送方向に一定の間隔で並ぶマークDMの間隔(中心間距離)T1よりも、空白Kを挟んだ両側のマークDMの間隔(中心間距離)T2を大きくすることが好ましい。より具体的には、1.2≦T2/T1≦3.0の範囲とすることが好ましく、1.5≦T2/T1≦2.5の範囲とすることがより好ましい。
【0147】
以上のように、本実施形態によれば、上述した第1の印字パターンPT1及び第2の印字パターンPT2によって、欠陥Dの位置を表示すると共に、欠陥情報を記録することが可能である。
【0148】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、第1の印字パターンPT1及び第2の印字パターンPT2については、上述したマークDMの数や間隔を変更する場合に限らず、それ以外にも、例えばサイズ(径)や色(赤、青、黒など。好ましくは黒。)などを変更することが可能である。すなわち、ドット状のマークDMの数、間隔、サイズ(径)、色のうち何れか1つ以上を変更すればよい。これにより、これらの印字パターンPT1,PT2を更に細かく設定し、より多くの情報を記録することが可能である。
【0149】
また、例えば
図7に示すように、第1の印字パターンPT1及び第2の印字パターンPT2については、上述したドット状のマークDMに限らず、両面貼合フィルムF105の搬送方向(長手方向)に線状のマークLMを印字してもよい。
【0150】
この場合、上述したインクジェット方式の印字ヘッド13aだけでなく、例えば両面貼合フィルムF105の搬送方向と交差する方向(幅方向)に並ぶ複数のマーカ(印字部)を用いることができる。マーカについては、例えばペンマーカやレーザーマーカなど特に限定されるものではない。
【0151】
線状のマークLMを印字して欠陥情報を記録する場合は、記録すべき欠陥情報に応じて、両面貼合フィルムF105の搬送方向(長手方向)に少なくとも1つ又は複数のマークLMを並べて配置し、線状のマークLMの数、間隔、サイズ(長さ、太さ)、色のうち何れか1つ以上を変更する。これにより、ドット状のマークDMを印字する場合と同様に、欠陥情報を記録することが可能である。また、線状のマークLMにおいて空白Kを設ける場合は、その空白Kの間隔を3〜5mm程度とすることが好ましい。
【0152】
また、例えば
図8(a),(b),(c)に示すように、両面貼合フィルムF105の幅方向(短手方向)において、第1の印字パターンPT1と第2の印字パターンPT2との何れか一方又は両方と隣り合う第3の印字パターンPT3を印字してもよい。
【0153】
この場合、制御装置16は、上述した第1の印字パターンPT1及び第2の印字パターンPT2を印字する2つのノズル部13bとは別に、第3の印字パターンPT3を印字するノズル部13bを選択する。第3の印字パターンPT3を印字するノズル部13bについては、記録すべき欠陥情報に応じて、少なくとも1つ又は複数のノズル部13bを選択することができる。
【0154】
すなわち、第3の印字パターンPT3については、
図8(a)に示すように、第1の印字パターンPT1と第2の印字パターンPT2との何れか一方と隣接して印字する場合や、
図8(b)に示すように、第1の印字パターンPT1及び第2の印字パターンPT2の両側に隣接して印字する場合、
図8(c)に示すように、両面貼合フィルムF105の幅方向(短手方向)に複数並べて印字する場合など、記録すべき欠陥情報に応じて適宜選択することが可能である。
【0155】
また、第3の印字パターンPT3については、第1の印字パターンPT1と第2の印字パターンPT2との間に印字することも可能である。この場合、欠陥Dを挟んだ両面貼合フィルムF105の搬送方向(長手方向)の上流側又は下流側、若しくは両側に印字することが可能である。
【0156】
また、第3の印字パターンPT3については、第1の印字パターンPT1及び第2の印字パターンPT2と同様に、ドット状のマークDM又は線状のマークLMにより印字することができる。第3の印字パターンPT3を変更する方法も、第1の印字パターンPT1及び第2の印字パターンPT2を変更する場合と同様である。
【0157】
したがって、欠陥情報については、上述した第1の印字パターンPT1、第2の印字パターンPT2及び第3の印字パターンPT3の組み合わせによって、更に多くの情報を記録することが可能である。
【0158】
上述した第1、第2及び第3の印字パターンPT1,PT2,PT3の何れかにより記録される欠陥情報については、例えば欠陥Dの種類などに応じて、どの印字パターンを変更するか、また、その変更される印字パターンを構成するマークDM(LM)の数や間隔、サイズ(径、長さ、太さ)、色のうち何れを変更するかを予め設定しておけばよい。これにより、欠陥Dの種類などを予め設定されたルールに従って識別することが可能である。
【0159】
例えば、欠陥Dの種類については、例えば
図9(a)に示す異物系、
図9(b)に示す気泡系、
図9(c)に示す輝点系、
図9(d)に示す皺系などを挙げることができる。このうち、
図9(a)に示す異物系は、両面貼合フィルムF105に異物が混入したことにより生じる欠陥Dである。一方、
図9(b)に示す気泡系は、両面貼合フィルムF105に気泡が生じたことによる欠陥Dである。このような気泡は、異物が混入したときに異物を中心に噛み込むことがある。一方、
図9(c)に示す輝点系は、偏光フィルムとなる第1のフィルムF101に生じた欠陥Dであり、偏光フィルムに対して検光子をクロスニコルで配置したときに輝点(光抜け)として観察される欠陥Dである。一方、
図9(d)に示す皺系の欠陥Dは、両面貼合フィルムF105に皺が生じたことによる欠陥Dである。
【0160】
本実施形態では、空白Kを挟んだ上流側のマークDMと下流側のマークDMとのうち、上流側に配置されるマークDMの数を欠陥Dの種類に応じて異ならせている。例えば、上流側に配置されるマークDMの数は、
図9(a)に示す異物系で3つ、
図9(b)に示す気泡系で1つ、
図9(c)に示す輝点系で2つ、
図9(d)に示す皺系で4つとなっている。これにより、上流側に配置されるマークDMの数から欠陥Dの種類を容易に識別することができる。
【0161】
また、本発明では、上述した第1、第2及び第3の印字パターンPT1,PT2,PT3のうち何れかの印字パターンを変更することによって、欠陥D以外に関する情報を記録することも可能である。
【0162】
例えば、欠陥D以外に関する情報としては、製造条件や、製造場所、同一種の欠陥の発生頻度及びその周期性の有無などの製造情報を記録することが可能である。また、これらの製造情報を組み合わせることで、欠陥Dの発生原因や場所、工程などを特定することが可能である。これにより、欠陥Dの原因となった設備のメンテナンスを行うなどの対応によって、欠陥Dの発生を低減することが可能となる。
【0163】
ここで、上述した偏光フィルムの製造工程において、偏光子(PVA)の両面に保護フィルム(TAC)を貼合する工程(第1の工程)で欠陥D1が発生した場合を
図10(a)に示す。また、第1の工程の後に、一方の保護フィルム(TAC)の面上に粘着剤とセパレータとを貼合する工程(第2の工程)で欠陥D2が発生した場合を
図10(b)に示す。
【0164】
そして、第1の工程で発生した欠陥D1に対しては、例えば
図11(a)に示すような第1の印字パターンPT1及び第2の印字パターンPT2を印字する。一方、第2の工程で発生した欠陥D2に対しては、例えば
図11(b)に示すような第1の印字パターンPT1及び第2の印字パターンPT2を印字する。
【0165】
この場合、
図11(a),(b)に示す欠陥D1,D2の位置については、それぞれの欠陥D1,D2を挟んだ両側に第1の印字パターンPT1と第2の印字パターンPT2とを印字し、なお且つ、一定の間隔で並ぶマークDMの間に空白Kを設けることによって、その位置を表示することができる。
【0166】
また、欠陥D1,D2に記録された情報については、第1の印字パターンPT1と第2の印字パターンPT2によって、欠陥D1,D2の種類(欠陥情報)と、第1の工程と第2の工程の何れかの工程で発生した欠陥D1,D2であるかの情報(製造情報)とが記録されている。
【0167】
具体的に、欠陥D1,D2の種類については、第1及び第2の印字パターンPT1,PT2を構成するマークDMの色によって区別されている。例えば、透過欠陥(青)、クロス欠陥(赤)、反射欠陥(緑)といったようにマークDMの色の違いによって、欠陥D1,D2の種類を識別することができる。
【0168】
一方、第1及び第2の印字パターンPT1,PT2では、空白Kよりも上流側(マークDMの数が少ない方)のマークDMの数によって、第1の工程と第2の工程の何れかの工程で発生した欠陥D1,D2であるかの情報が記録されている。例えば、第1及び第2の印字パターンPT1,PT2の上流側のマークDMの数が1つの場合は、第1の工程で発生した欠陥D1であることを示し、2つの場合は、第2の工程で発生した欠陥D2であることを示している。
【0169】
また、
図11(b)に示す第1及び第2の印字パターンPT1,PT2に加えて、
図11(c)に示すような第3の印字パターンPT3を印字してもよい。第3の印字パターンPT3については、マークDMの数によって、積層された偏光フィルムのうち何番目の層に欠陥D2が存在しているかの情報(欠陥情報)が記録されている。例えば、
図11(c)に示す第3の印字パターンPT3については、3つのマークDMによって構成されているため、積層順で3番目の層(TAC)に欠陥D2が存在していることを識別することができる。
【0170】
以上のようにして、本発明では、偏光フィルムに対して、上述した第1、第2及び第3の印字パターンPT3を印字することによって、欠陥D1,D2の位置を表示すると共に、その欠陥D1,D2に関する情報等を記録することが可能である。
【0171】
また、本発明では、例えば
図12に示す第1の印字パターンPT1及び第2の印字パターンPT2のように、上述した空白Kを設ける代わりに、マークDMの間隔を狭めることによって、両面貼合フィルムF105の搬送方向(長手方向)における欠陥Dの位置を表示してもよい。
【0172】
さらに、本発明では、両面貼合フィルムF105の搬送方向(長手方向)における欠陥Dの位置を表示するため、上述した空白Kを設ける(マークDMの間隔を変える)代わりに、マークDMの大きさを変えたり、第3の印字パターンPT3を用いて欠陥Dの位置を表示したりすることも可能である。
【0173】
本発明では、上述した第1、第2及び第3の印字パターンPT1,PT2,PT3のうち何れかの印字パターンの組み合わせによって、例えば
図13(a)〜(g)に示すように、欠陥Dの周囲に様々な印字パターンを印字することが可能である。
【0174】
このうち、
図13(a)に示す印字パターンでは、4つのマークDMが欠陥Dの周囲を四方で囲むように、第1、第2及び第3の印字パターンPT1,PT2,PT3が印字されている。一方、
図13(b)に示す印字パターンでは、4つのマークDMが欠陥Dの周囲を三方で囲むように、第1、第2及び第3の印字パターンPT1,PT2,PT3が印字されている。一方、
図13(c)に示す印字パターンでは、5つのマークDMが欠陥Dの周囲を隣接する二辺で囲むように、第1、第2及び第3の印字パターンPT1,PT2,PT3が印字されている。一方、
図13(d)に示す印字パターンでは、6つのマークDMが欠陥Dの周囲を隣接する3辺で囲むように、第1、第2及び第3の印字パターンPT1,PT2,PT3が印字されている。一方、
図13(e)に示す印字パターンでは、14つのマークDMが欠陥Dの周囲を四辺で囲むように、第1、第2及び第3の印字パターンPT1,PT2,PT3が印字されている。一方、
図13(f)に示す印字パターンでは、6つのマークDMが欠陥Dの周囲を斜めに対向する二辺で囲むように、第1、第2及び第3の印字パターンPT1,PT2,PT3が印字されている。一方、
図13(g)に示す印字パターンでは、8つのマークDMが欠陥Dの周囲を四方で囲むように、第1、第2及び第3の印字パターンPT1,PT2,PT3が印字されている。
【0175】
なお、上記記録装置13は、第2の欠陥検査装置12の下流側に配置された構成となっているが、第1の欠陥検査装置11の下流側に配置することも可能である。この場合、第1の欠陥検査装置11による欠陥検査を行った後に、記録装置13による欠陥情報の記録を行うことが可能である。
【0176】
また、上記記録装置13については、上述した欠陥検査後に欠陥情報を記録するものに限定されるものではない。例えば、長距離の搬送ラインでは、記録装置を複数配置し、一定距離毎に距離情報の記録を行い、この記録された距離情報に基づいて距離の補正を行うことがある。このような距離情報の記録を行う記録装置については、例えば、第1の欠陥検査装置11の上流側などに配置されることがある。
【0177】
また、上記記録装置13については、上述した複数のノズル部13bが並んで配置された複数の印字ヘッド13aを備えた構成に限らず、例えば、トラバース式の印字ヘッドを用いた場合には、この印字ヘッドを移動操作することで、フィルムの形状や搬送方向に関係なく、欠陥箇所にマーキングを施すことが可能である。
【0178】
なお、欠陥マーキング装置10は、上記フィルム製造装置100の一部を構成するものに限らず、上記フィルム製造装置100とは独立した欠陥マーキング装置とすることが可能である。具体的には、第3の原反ロールR3から巻き出された両面貼合フィルムF105を搬送する間に、両面貼合フィルムF105の欠陥検査を行い、欠陥検査の結果に基づいて両面貼合フィルムF105の欠陥箇所にマーキングを施した後、再び芯材に巻き取る構成とすることが可能である。
【0179】
また、上記フィルム製造装置100では、欠陥箇所にマーキングを施さず、追加の加工工程において欠陥箇所にマーキングを施してもよい。具体的には、第3の原反ロールR3から巻き出された両面貼合フィルムF105を搬送する間に、両面貼合フィルムF105の一方又は両面に、別のフィルムを貼合した後、欠陥検査を行い、上記フィルム製造装置100の欠陥検査の結果と併せて、欠陥箇所にマーキングを施してもよい。
【0180】
なお、本発明の検査対象(被検査物)となる原反については、上述した偏光フィルムや位相差フィルム、輝度向上フィルムといった光学フィルムに必ずしも限定されるものではなく、欠陥箇所にマーキングが施されるフィルムや紙などの長尺帯状の原反であればよい。
【0181】
また、本発明の検査対象(被検査物)としては、長尺帯状の原反を切断することにより得られるシート(チップ)であってもよい。すなわち、本発明では、上述した原反を搬送する間に、原反の欠陥検査を行い、欠陥検査の結果に基づいて原反の欠陥箇所にマーキングを施す場合に限らず、切断後にシートの欠陥検査を行い、その欠陥検査の結果に基づいてシートの欠陥箇所にマーキングを施してもよい。また、シートの欠陥検査とシートの欠陥箇所へのマーキングを実施する間に、シートに対して加工処理(例えば、別のフィルムの貼合や、シートの表面処理など。)を施してもよい。これにより、被検査物が原反である場合と同様に、被検査物であるシートに対して、本発明の欠陥マーキング方法(装置)を用いて、欠陥の位置を表示すると共に、その欠陥に関する情報等を記録することが可能である。さらに、本発明は、上述した原反やシート以外にも、本発明が適用可能なものに対して幅広く適用することが可能である。