特許第6979002号(P6979002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979002
(24)【登録日】2021年11月16日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】拡張可能な椎間インプラント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20211125BHJP
【FI】
   A61F2/44
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-210509(P2018-210509)
(22)【出願日】2018年11月8日
(65)【公開番号】特開2019-84362(P2019-84362A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2018年11月8日
(31)【優先権主張番号】15/808,180
(32)【優先日】2017年11月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】コルム マクラフリン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン ザッパコスタ
【審査官】 白川 敬寛
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第09750618(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0166396(US,A1)
【文献】 特表2016−508412(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0243982(US,A1)
【文献】 特表2016−523678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節の骨を治療的に分離させるためのインプラントであって、
前端部と後端部との間に延在する第一端板であって、骨係合面を有し、前記骨係合面の裏面側に、少なくとも一つの第一前傾斜面と、少なくとも一つの第一後傾斜面とを有する第一端板と、
前端部と後端部との間に延在する第二端板であって、骨係合面を有し、前記骨係合面の裏面側に、少なくとも一つの第二前傾斜面と、少なくとも一つの第二後傾斜面とを有する第二端板と、
第一端板と第二端板との間に位置付けされた後方アクチュエータであって、前記少なくとも一つの第一後傾斜面に対向して位置決めされるよう構成された、対応する数の第一ガイディング傾斜面と、前記少なくとも一つの第二後傾斜面に対向して位置決めされるよう構成された、対応する数の第二ガイディング傾斜面とを有する後方アクチュエータと、
各第一ガイディング傾斜面に旋回接続され、前記それぞれの少なくとも一つの第一後傾斜面と摺動係合する第一旋回部材と、各第二ガイディング傾斜面に旋回接続され、前記それぞれの少なくとも一つの第二後傾斜面と摺動係合する第二旋回部材と、
前記第一端板と第二端板との間に位置付けされた前方アクチュエータであって、前記少なくとも一つの第一前傾斜面に対向して位置決めされるよう構成された、対応する数の第三ガイディング傾斜面と、前記少なくとも一つの第二前傾斜面に対向して位置決めされるよう構成された、対応する数の第四ガイディング傾斜面とを有する前方アクチュエータと、
各第三ガイディング傾斜面に旋回接続され、前記それぞれの少なくとも一つの第一前傾斜面に摺動係合する第三旋回部材と、各第四ガイディング傾斜面に旋回接続され、前記それぞれの少なくとも一つの第二前傾斜面に摺動係合する第四旋回部材と、
前記後方アクチュエータと前記前方アクチュエータとの間に延在するアクチュエータアセンブリであって、選択的に、前記後方アクチュエータと前記前方アクチュエータを同時に移動させるか、後方アクチュエータを前記前方アクチュエータとは別に移動させるか、または、前記前方アクチュエータを前記後方アクチュエータとは別に移動させるよう構成されたアクチュエータアセンブリと、を備えるインプラント。
【請求項2】
前記第一および第二端板のうちの少なくとも一つが、前記第一端板と第二端板との間の移植片チャンバ内への貫通通路を画定する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記第一および第二端板のうちの少なくとも一つが、前記インプラントを前記関節の骨に固定するために締結具が通過し得る少なくとも一つの貫通穴を含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項4】
前記締結具が骨スクリューまたは骨アンカーである、請求項3に記載のインプラント。
【請求項5】
前記第一および第二端板のうちの少なくとも一つを通り、身体組織内へ至る締結具の後退を予防するよう構成されたブロッキング機構を更に含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項6】
前記第一端板が、前記骨係合面の裏面側に二つの前記第一前傾斜面と二つの前記第一後傾斜面を有し、前記第二端板が、前記骨係合面の裏面側に二つの前記第二前傾斜面と二つの前記第二後傾斜面を有する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項7】
各前傾斜面および後傾斜面がそれぞれ、それに沿って延在する溝を有し、各旋回部材が、それぞれの溝に係合する溝係合フランジを有し、前記それぞれの傾斜面に対して前記各旋回部材の分離を防止する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項8】
前記アクチュエータアセンブリが、
後端部と前端部との間に延在し、第一雄ねじのセット、第二雄ねじのセットおよびフランジを有するアクチュエータスクリューであって、前記第一雄ねじのセットは、前記フランジよりも前記後端部に位置し、前記第二雄ねじのセットは前記フランジよりも前記前端部に位置し、前記第一および第二雄ねじのセットが反対巻き(oppositely handed)であ、前記アクチュエータスクリューの前記後端部が、前記後方アクチュエータの貫通通路を貫通し、螺合するアクチュエータスクリューと、
後端部と前端部との間に延在し、貫通通路が前記後端部から前記前端部まで延在し、前記貫通通路内で雌ねじを画定し、前記雌ねじが前記第二雄ねじのセットに螺合したアクチュエータナットであって、前記アクチュエータナットが前記前方アクチュエータに対して軸方向に固定されるが、それに対して回転可能であるように、前記前方アクチュエータを貫通するアクチュエータナットとを含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項9】
前記アクチュエータスクリューの前記後端部が、前記第一および第二端板に対して軸方向に固定される、請求項8に記載のインプラント。
【請求項10】
前記アクチュエータスクリューの前記後端部が、前記第一および第二端板によって支持された球状ベアリング内で支持されたボールを含む、請求項9に記載のインプラント。
【請求項11】
前記アクチュエータスクリューの前記前端部が、ドライバ受容体を画定する、請求項8に記載のインプラント。
【請求項12】
前記アクチュエータナットが、ラジアルフランジを備える本体を含み、前記ラジアルフランジは、前記本体の前端部と前記本体の後端部との間で外向きに延在し、前記本体の前記前端部が、前記前方アクチュエータにおいて画定される貫通通路に受容される、請求項8に記載のインプラント。
【請求項13】
前記本体の前記前端部が、前記アクチュエータナットの貫通通路を中心にドライバ係合部を画定する、請求項12に記載のインプラント。
【請求項14】
スラストワッシャーが、前記ラジアルフランジと前記前方アクチュエータとの間に位置決めされる、請求項12に記載のインプラント。
【請求項15】
フィンガが前記前方アクチュエータから延在し、前記ラジアルフランジの後方で前記アクチュエータナットの前記本体の溝を係合する、請求項12に記載のインプラント。
【請求項16】
前記アクチュエータアセンブリが、両方の端板の前記後端部および前端部が互いから同じ距離だけ離れて移動するように前記アクチュエータスクリューが回転し、前記アクチュエータナットが回転しない第一モードと、前記前方アクチュエータが単独で移動し、各端板の前記前端部を拡張させ、前弯角を増大させるように前記アクチュエータナットは回転するが前記アクチュエータスクリューは回転しない第二モードと、前記アクチュエータナットとアクチュエータスクリューが同時に回転し、前記後方アクチュエータのみを移動させ、前記端板の前記後端部の拡張となり、それによって前弯症の低減となる第三モードと、を含む三つのモードのうちの一つにおいて動作可能である、請求項8に記載のインプラント。
【請求項17】
インプラントであって、
前端部と後端部との間に延在する第一端板であって、少なくとも一つの第一前傾斜面と、少なくとも一つの第一後傾斜面とを画定する第一端板と、
前端部と後端部との間に延在する第二端板であって、少なくとも一つの第二前傾斜面と、少なくとも一つの第二後傾斜面とを画定する第二端板と、
第一端板と第二端板との間に位置付けされた後方アクチュエータであって、前記少なくとも一つの第一後傾斜面に対向して位置決めされるよう構成された、対応する数の第一ガイディング傾斜面と、前記少なくとも一つの第二後傾斜面に対向して位置決めされるよう構成された、対応する数の第二ガイディング傾斜面とを有する後方アクチュエータと、
各第一ガイディング傾斜面に旋回接続され、前記それぞれの少なくとも一つの第一後傾斜面と摺動係合する第一旋回部材と、各第二ガイディング傾斜面に旋回接続され、前記それぞれの少なくとも一つの第二後傾斜面と摺動係合する第二旋回部材と、
前記第一端板と第二端板との間に位置付けされた前方アクチュエータであって、前記少なくとも一つの第一前傾斜面に対向して位置決めされるよう構成された、対応する数の第三ガイディング傾斜面と、前記少なくとも一つの第二前傾斜面に対向して位置決めされるよう構成された、対応する数の第四ガイディング傾斜面とを有する前方アクチュエータと、
各第三ガイディング傾斜面に旋回接続され、前記それぞれの少なくとも一つの第一前傾斜面に摺動係合する第三旋回部材と、各第四ガイディング傾斜面に旋回接続され、前記それぞれの少なくとも一つの第二前傾斜面に摺動係合する第四旋回部材と、
前記後方アクチュエータと前記前方アクチュエータとの間に延在するアクチュエータアセンブリであって、
後端部と前端部との間に延在し、第一雄ねじのセット、第二雄ねじのセットおよびフランジを有するアクチュエータスクリューであって、前記第一雄ねじのセットは、前記フランジよりも前記後端部に位置し、前記第二雄ねじのセットは前記フランジよりも前記前端部に位置し、前記第一および第二雄ねじのセットが反対巻き(oppositely handed)であ、前記アクチュエータスクリューの前記後端部が、前記後方アクチュエータの貫通通路を貫通し、螺合するアクチュエータスクリューと、
貫通通路がアクチュエータナットの後端部からアクチュエータナットの前端部まで延在して前記貫通通路内に雌ねじを画定し、前記雌ねじが前記第二雄ねじのセットと螺合する、前記アクチュエータナットの後端部と前記アクチュエータナットの前端部との間に延在するアクチュエータナットであって、前記アクチュエータナットが前記前方アクチュエータに対して軸方向に固定されるがそれに対して回転可能であるように、前方アクチュエータを貫通するアクチュエータナットとを含むアクチュエータアセンブリと、を備え、
前記アクチュエータナットは回転しないが前記アクチュエータスクリューが回転すると、前記後方アクチュエータと前記前方アクチュエータを同時に移動させ、前記アクチュエータスクリューと前記アクチュエータナットが一緒に回転すると、前記後方アクチュエータを前記前方アクチュエータとは別に移動させ、前記アクチュエータスクリューは回転しないが前記アクチュエータナットが回転すると、前記前方アクチュエータを前記後方アクチュエータとは別に移動させる、インプラント。
【請求項18】
前記アクチュエータアセンブリが、両方の端板の前記後端部および前端部が互いから同じ距離だけ離れて移動するように前記アクチュエータスクリューが回転し前記アクチュエータナットは回転しない第一モードと、前記前方アクチュエータが単独で移動し、各端板の前記前端部を拡張させ、前弯角を増大させるように前記アクチュエータナットは回転するが前記アクチュエータスクリューは回転しない第二モードと、前記アクチュエータナットとアクチュエータスクリューが同時に回転し、前記後方アクチュエータのみを移動させ、前記端板の前記後端部の拡張となり、それによって前弯症の低減となる第三モードと、を含む三つのモードのうちの一つにおいて動作可能である、請求項17に記載のインプラント。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本開示は、椎間インプラントを挿入することによって脊椎の隣接する椎骨を安定化させることに関し、更に具体的には、高さおよび/または傾斜度が調整可能な椎間インプラントと関連方法とに関する。
[背景技術]
【0002】
骨および骨構造は、支持体および構造を提供するそれらの能力に影響を及ぼし得る様々な弱点に影響されやすい。骨構造の弱点には起こり得る多くの原因があり得るが、その中には、変性疾患、腫瘍、骨折および脱臼を含む。薬剤および工学の進歩は、医師にこれらの弱点を軽減するかまたは治療するための複数のデバイスおよび技術を提供してきた。
【0003】
いくつかの事例では、そのような弱点を解決するために、脊柱にさらなる支持体が要求される。支持体を提供する一つの技術は、隣接する椎骨の間にスペーサーを挿入することである。
[発明の概要]
【0004】
この、およびその他のニーズを満たすため、拡張可能インプラント、システム、および方法が提供される。拡張可能インプラントは、高さおよび/または傾斜度が拡張可能且つ調整可能であってよい。インプラントは、最小の高さで椎間板腔内に挿入され得、更には、椎間における高さ喪失を回復させるよう、軸方向に拡張し得る。インプラントは、伸延をもたらし、同時に、最適な高さの回復を達成する。インプラントはまた、その拡張とは別に、前弯角度を変化させることができる。このように、拡張と前弯角度が独立していることによって、挿入中の過度の埋伏、視界の妨げ、前弯角度が不連続に増加することによる、患者の前弯症との不完全なマッチング、といった、現在遭遇する問題のいくつかを解決することができる。一般には前弯角度に関して説明されているが、インプラントはまた、同様に後弯症を治療するための、脊柱後弯症のための拡張および角度形成を提供するよう構成され得ることが理解されるだろう。
【0005】
少なくとも一つの実施形態では、本開示は、関節の骨を治療的に分離させるためのインプラントを提供する。インプラントは、前端部と後端部との間に延在する第一端板を含む。第一端板は、骨係合面と、骨係合面に対向する側面に、少なくとも一つの前傾斜面と、少なくとも一つの後傾斜面とを有する。第二端板は、前端部と後端部との間に延在する。第二端板は、骨係合面と、骨係合面に対向する側面に、少なくとも一つの前傾斜面と、少なくとも一つの後傾斜面とを有する。後方アクチュエータは、第一端板と第二端板との間に位置付けされ、少なくとも一つの第一端板後傾斜面に対向して位置決めされるよう構成された、対応する数の第一ガイディング傾斜面と、少なくとも一つの第二端板後傾斜面に対向して位置決めされるよう構成された、対応する数の第二ガイディング傾斜面とを有する。旋回部材は、各第一ガイディング傾斜面に旋回接続され、それぞれの少なくとも一つの第一板後傾斜面と摺動係合し、旋回部材は、各第二ガイディング傾斜面に旋回接続され、それぞれの少なくとも一つの第一板後傾斜面と摺動係合する。前方アクチュエータは、第一端板と第二端板との間に位置付けされ、少なくとも一つの第一端板前傾斜面に対向して位置決めされるよう構成された、対応する数の第三ガイディング傾斜面と、少なくとも一つの第二端板前傾斜面に対向して位置決めされるよう構成された、対応する数の第四ガイディング傾斜面とを有する。旋回部材は、各第三ガイディング傾斜面に旋回接続され、それぞれの少なくとも一つの第一板前傾斜面に摺動係合し、旋回部材は、各第四ガイディング傾斜面に旋回接続され、それぞれの少なくとも一つの第一板前傾斜面に摺動係合する。アクチュエータアセンブリが後方アクチュエータと前方アクチュエータとの間に延在し、後方アクチュエータと前方アクチュエータを同時に選択的に移動させるか、後方アクチュエータを前方アクチュエータから分離して移動させるか、または、前方アクチュエータを後方アクチュエータから分離して移動させるよう構成される。
【0006】
少なくとも一つの実施形態では、本発明は、前端部と後端部との間に延在する第一端板を含むインプラントを提供する。第一端板は、少なくとも一つの前傾斜面と少なくとも一つの後傾斜面とを画定する。第二端板は、前端部と後端部との間に延在し、少なくとも一つの前傾斜面と少なくとも一つの後傾斜面とを画定する。後方アクチュエータは、第一端板と第二端板との間に位置付けされ、少なくとも一つの第一端板後傾斜面に対向して位置決めされるよう構成された、対応する数の第一ガイディング傾斜面と、少なくとも一つの第二端板後傾斜面に対向して位置決めされるよう構成された、対応する数の第二ガイディング傾斜面とを有する。旋回部材は、各第一ガイディング傾斜面に旋回接続され、それぞれの少なくとも一つの第一板後傾斜面と摺動係合し、旋回部材は、各第二ガイディング傾斜面に旋回接続され、それぞれの少なくとも一つの第一板後傾斜面と摺動係合する。前方アクチュエータは、第一端板と第二端板との間に位置付けされ、少なくとも一つの第一端板前傾斜面に対向して位置決めされるよう構成された、対応する数の第三ガイディング傾斜面と、少なくとも一つの第二端板前傾斜面に対向して位置決めされるよう構成された、対応する数の第四ガイディング傾斜面とを有する。旋回部材は、各第三ガイディング傾斜面に旋回接続され、それぞれの少なくとも一つの第一板前傾斜面に摺動係合し、旋回部材は、各第四ガイディング傾斜面に旋回接続され、それぞれの少なくとも一つの第一板前傾斜面に摺動係合する。アクチュエータアセンブリは、後方アクチュエータと前方アクチュエータとの間に延在する。アクチュエータアセンブリは、後端部と前端部との間に延在するアクチュエータスクリューを含み、第一雄ねじが後端部の近位にセットされ、第二雄ねじが前端部の近位にセットされ、その第一および第二雄ねじセットは反対巻き(oppositely handed)である。アクチュエータスクリューの後端部は、後方アクチュエータ内の貫通通路を貫通し、後方アクチュエータ内の貫通通路に螺合する。アクチュエータアセンブリは、後端部と前端部との間に延在するアクチュエータナットを更に含み、貫通通路がその後端部から前端部に延在し、貫通通路内で雌ねじを画定する。雌ねじは、雄ねじの第二セットと螺合する。アクチュエータナットは、アクチュエータナットが前方アクチュエータに対して軸方向に固定されるが、それに対して回転可能であるように、前方アクチュエータを貫通する。アクチュエータナットが回転しない一方でアクチュエータスクリューが回転すると、後方アクチュエータと前方アクチュエータを同時に移動させ、アクチュエータスクリューとアクチュエータナットが一緒に回転すると、後方アクチュエータを前方アクチュエータとは別に移動させ、アクチュエータスクリューが回転しない一方でアクチュエータナットが回転すると、前方アクチュエータを後方アクチュエータとは別に移動させる。
【0007】
少なくとも一つの実施形態では、インプラントは一つ以上のベアリングを含み得る。ベアリングは、端板のうちの一つまたは両方をアクチュエータアセンブリに接続し、端板の角度に関わらず、アクチュエータスクリューを回転させることができるよう構成される。例えば、アクチュエータスクリューの後端部は、第一および第二端板によって支持される球状ベアリング内で支持され得るボールを含んでもよい。代替配置では、インプラントは、端板が制約なしに自由に旋回または並進するよう、現状のベアリング無しで提供され得る。
【0008】
少なくとも一つの実施形態では、本開示は、関節の骨の間で、遠位端と近位端との間に延在する長手方向軸を画定するインプラントを挿入することであって、インプラントが前端部と後端部との間に延在する第一端板を含む、挿入することを含む、隣接する椎体を固定する方法を提供する。第一端板は、骨係合面と、骨係合面に対向する側面に、少なくとも一つの前傾斜面と、少なくとも一つの後傾斜面とを有する。第二端板は、前端部と後端部との間に延在する。第二端板は、骨係合面と、骨係合面に対向する側面に、少なくとも一つの前傾斜面と、少なくとも一つの後傾斜面とを有する。後方アクチュエータは、第一端板と第二端板との間に位置付けされ、少なくとも一つの第一端板後傾斜面に対向して位置決めされるよう構成された、対応する数の第一ガイディング傾斜面と、少なくとも一つの第二端板後傾斜面に対向して位置決めされるよう構成された、対応する数の第二ガイディング傾斜面とを有する。旋回部材は、各第一ガイディング傾斜面に旋回接続され、それぞれの少なくとも一つの第一板後傾斜面と摺動係合し、旋回部材は、各第二ガイディング傾斜面に旋回接続され、それぞれの少なくとも一つの第一板後傾斜面と摺動係合する。前方アクチュエータは、第一端板と第二端板との間に位置付けされ、少なくとも一つの第一端板前傾斜面に対向して位置決めされるよう構成された、対応する数の第三ガイディング傾斜面と、少なくとも一つの第二端板前傾斜面に対向して位置決めされるよう構成された、対応する数の第四ガイディング傾斜面とを有する。旋回部材は、各第三ガイディング傾斜面に旋回接続され、それぞれの少なくとも一つの第一板前傾斜面に摺動係合し、旋回部材は、各第四ガイディング傾斜面に旋回接続され、それぞれの少なくとも一つの第一板前傾斜面に摺動係合する。アクチュエータアセンブリが後方アクチュエータと前方アクチュエータとの間に延在し、後方アクチュエータと前方アクチュエータを同時に選択的に移動させるか、後方アクチュエータを前方アクチュエータから分離して移動させるか、または、前方アクチュエータを後方アクチュエータから分離して移動させるよう構成される。本方法は、第一および第二端板を互いに対して移動させ、前弯角を増大または縮小させるか、または、第一および第二端板を更に離れるよう移動させ、関節の骨を分離さるよう、インプラントが挿入された後にアクチュエータアセンブリを作動させることを更に含む。
[図面の簡単な説明]
【0009】
添付の図面は、本開示の更なる理解を得るために含まれ、本明細書に組み入れられて本明細書の一部を構成し、本開示の実施形態を例解し、詳細な記載と共に本開示の原理を説明するためのものである。本開示の構造的細部を、本開示の基本的理解に必要となり得るよりも詳細に、かつ実施され得る様々な方法で示すことを試みるものではない。
【0010】
図1は、本開示の実施形態におけるインプラントの分解斜視図である。
【0011】
図2は、三つの装着された骨スクリューと共に、圧縮されたかまたは低くされた高さ構成における図1のインプラントの斜視図である。
【0012】
図3は、図2に示すようなインプラントの側立面図である。
【0013】
図4は、三つの装着された骨スクリューと共に、拡張されたかまたは増大された高さ構成における図1のインプラントの斜視図である。
【0014】
図5は、図4に示すようなインプラントの側立面図である。
【0015】
図6は、三つの装着された骨アンカーと共に、圧縮されたかまたは低くされた高さ構成における図1のインプラントの斜視図である。
【0016】
図7は、三つの装着された骨アンカーと共に、拡張されたかまたは増大された高さ構成における図1のインプラントの斜視図である。
【0017】
図8は、拡張された後部または増大した前弯角構成における図1のインプラントの斜視図である。
【0018】
図9は、図8に示すようなインプラントの側立面図である。
【0019】
図10は、拡張された上位または縮小した前弯角構成における図1のインプラントの斜視図である。
【0020】
図11は、図10に示すようなインプラントの側立面図である。
【0021】
図12は、図8の線12−12に沿った横断面図である。
【0022】
図13は、図9の線12−12に沿った横断面図である。
【0023】
図14〜16は、代替アクチュエータの、それに対する代替旋回部材の連続装着を示す、一部分の拡張斜視図である。
[発明を実施するための形態]
【0024】
本開示の態様およびその種々の特徴および有利な詳細が、付随の図面に記載および/または例解され、以下の説明に詳述される、非限定的な態様および例を参照して、より完全に説明される。図面に例解された特徴は、必ずしも一定の比率の縮尺で描かれてはいるわけではなく、一態様の特徴は、本明細書において明示的に記述されていなくても当事者が認識するように、その他の態様と共に採用され得ることが留意されるべきである。良く知られている構成部品および加工技術の記述は、本開示の態様を不必要に分かりにくくすることがないように、省略されてもよい。本明細書で使用される例は単に、本開示が実施され得る方法を理解しやすくし、更に、当業者が本開示の態様を実施することを可能にすることを意図している。したがって、本明細書の事例および態様は、本開示の範囲を限定するために構成されるべきではなく、この開示は、添付の請求項および適用可能な法によって単に定義される。更には、類似の参照番号は、図面のいくつかの図にわたって、類似の部品を表わすことが留意される。
【0025】
本明細書で使用される用語「a」または「an」は、一つ以上として定義される。本明細書で使用される複数形の用語は、二つ以上として定義される。本明細書で使用される用語「別の(another)」は、少なくとも第二以上として定義される。本明細書で使用される用語「含む(including)」および「有する(having)」は、備える(comprising)(すなわち、開放型用語)として定義される。
【0026】
本開示のインプラントは、最小の高さでの椎間板腔内への挿入を許可し、更に、椎間内での高さ喪失を回復するよう軸方向の拡張を可能にする。本開示のインプラントは、拡張範囲内での連続的な拡張と後退、および、最適高さの回復を達成することを可能にする。本開示のインプラントはまた、その拡張とは別に前弯角度を変化させ得る。本開示のインプラントは、挿入中の過度の埋伏、視界の妨げ、前弯角度が不連続に増加することによる、患者の前弯症との不完全なマッチングを最小限にするために利用され得る。更に、本開示のインプラントはまた、患者の治療に適応されるように、折り畳まれ、再位置決めされてもよい。
【0027】
図1〜5および図7〜13を参照すると、本開示の実施形態におけるインプラント100が説明される。インプラント100は、例えば椎骨(図示なし)といった、関節の隣接する骨の間に位置付けされるときに、隣接する椎骨によって形成された関節を安定させるよう動作する。インプラント100はまた、前方椎体間スペーサー構成において図示されるが、冠状面変形に遭遇する、例えば直接横方向といった、その他のアプローチにおいても使用され得る。
【0028】
図1〜3に関しては、インプラント100は通常、上側端板110および下側端板130と、前方アクチュエータ150および後方アクチュエータ170と、アクチュエータ旋回部材190、200と、アクチュエータスクリュー210と、アクチュエータナット220と、球状ベアリング240と、スラストワッシャー230とを含む。更に、インプラントは、固定スクリューまたはアンカーの移動を防止するため、端板110、130上に複数のブロッキングスクリュー124を含み得る。
【0029】
上側端板110は、対向する側面レール112と114との間に延在する後方レール111と前方レール113を含む。レール111〜114は、貫通通路115を中心に、インプラント内の移植片チャンバ128内に延在する。通路115は、移植片材料または治療的に有利なその他の材料を、移植片チャンバ128内に詰めるかまたは成長させることができる。上側端板110は、側面レール112、114にそれぞれ沿った後方ガイド傾斜面116と、側面レール112、114にそれぞれ沿った前方ガイド傾斜面118とを画定する。各後方ガイド傾斜面116は、それぞれの旋回部材190の一部を受容するよう構成された溝117を画定し、各前方ガイド傾斜面118は、それぞれの旋回部材190の一部を受容するよう構成された溝117を画定する。本明細書で後述されるように、旋回部材190は、アクチュエータ150、170それぞれに旋回接続され、板110、130が拡張または収縮するにつれ、それぞれの傾斜面116、118に沿って摺動する。
【0030】
前方レール113は、少なくとも一つの骨スクリュー/アンカー貫通穴121を画定し、一つのそのような穴121が、例解された実施形態に示されている。ブロッキングスクリュー穴122は、貫通穴121の隣に位置決めされ、骨スクリュー250または骨アンカー260を貫通穴121内に維持するのに利用され得るブロッキングスクリュー124を受容するよう構成される。骨スクリュー250および骨アンカー260は、それぞれの穴121において互換可能に使用されてもよく、また、その他の任意の好適な締結具で置き換えられてもよいことが理解されるだろう。前方レール113はまた、図2に示すように、ドライバ開口部143の第一半球状部分125を画定する。後方レール111は、本明細書で後述されるように、球状ベアリング240のためのシートの第一半球状部分127を画定する。受容スロット126は、半球状部分127の隣に延在し、球状ベアリング240の一部を画定するベアリング部材241のうちの一つのフランジ246を受容するよう構成する。
【0031】
下側端板130は、対向する側面レール132と134との間に延在する後方レール131と前方レール133を含む。レール131〜134は、貫通通路135を中心に、インプラント内の移植片チャンバ128内に延在する。通路135は、移植片材料または治療的に有利なその他の材料を、移植片チャンバ128内に詰めるかまたは成長させることができる。下側端板130は、側面レール132、134にそれぞれ沿った後方ガイド傾斜面136と、側面レール132、134にそれぞれ沿った前方ガイド傾斜面138とを画定する。傾斜面116、118が傾斜面136、138に重なり得るように、ガイド傾斜体136、138は傾斜面116、118の横方向内向きである。各後方ガイド傾斜面136は、それぞれの旋回部材190の一部を受容するよう構成された溝137を画定し、各前方ガイド傾斜面138は、それぞれの旋回部材200の一部を受容するよう構成された溝137を画定する。本明細書で後述されるように、旋回部材190、200は、アクチュエータ150、170それぞれに旋回接続され、板110、130が拡張または収縮するにつれ、それぞれの傾斜面136、138に沿って摺動する。
【0032】
前方レール133は、少なくとも一つの骨スクリュー/アンカー貫通穴141を画定し、二つのそのような穴141が、例解された実施形態に示されている。ブロッキングスクリュー穴142は、貫通穴141の隣に位置決めされ、骨スクリュー250または骨アンカー260を貫通穴141内に維持するのに利用され得るブロッキングスクリュー124を受容するよう構成される。骨スクリュー250および骨アンカー260は、それぞれの穴141において互換可能に使用されてもよく、また、その他の任意の好適な締結具で置き換えられてもよいことが理解されるだろう。前方レール133はまた、図2に示すように、ドライバ開口部143の第二半球状部分145を画定する。後方レール131は、球状ベアリング240のためのシートの第二半球状部分147を画定する。受容スロット146は、半球状部分127の隣に延在し、球状ベアリング240の別部分を画定するベアリング部材241のうちの他方のフランジ246を受容するよう構成される。
【0033】
前方レール113、133は、それぞれの締結具を受容するよう構成された貫通穴121、141と共に示されているが、孔穴または貫通穴121、141が固定のために好適な任意の数および構成で存在し得ることが当業者によって理解されるだろう。代替では、スタンドアロン装置を提供するよう、孔穴または貫通穴121、141が省略されてもよい。
【0034】
図示されていないが、端板110、130のうちの一つまたは両方は、埋め込み後のインプラント100の移動の可能性を低減させるため、身体組織を貫くことができる歯または他の突出部を備え得る。更に、端板110、130のうちの一つまたは両方は、骨成長、治癒、抗菌性、または、薬剤を含む治療剤で覆われ得るか、または、浸透されてもよく、その治療剤は、当業者には既知の方法を使用して、治療用速度で放出されてもよい。更に、図2〜5は、インプラント100の固定のための貫通穴121、141を貫通する骨スクリュー260を示すが、本開示はそれらに限らない。例えば、図6および7は、貫通穴121、141を貫通する骨アンカー260を例解する。また、その他の固定要素が利用されてもよい。各事例では、貫通穴121、141は、スクリュー250またはアンカー260がインプラント100に対して最適角度で身体組織内に挿入され得、それによって最適てこ(optimal purchase)が得られるかまたは特定の身体組織が回避され得るように、凹面開口部を有してもよい。
【0035】
インプラント100は、図2および3に例解された、折り畳または状態または高さと、図4および5に例解された、拡張状態または高さとを有する。本開示のインプラント100は、折り畳まれた高さで椎間板腔内に差し込まれ得、更には、椎間における高さ喪失を回復させるよう、軸方向(上位/下位)に拡張し得る。インプラントは、伸延をもたらし、同時に、最適な高さの回復を達成する。折り畳まれた状態で挿入されると、インプラント100は、挿入中の、接合空間における組織への埋伏を低減し、視覚を遮りまたは妨害が最も少ないプロファイルを形成する。更に、インプラント100の前弯角は、前弯角が、図8および9に例解されるように増大するか、または、図10および11に例解されるように縮小するよう、調整され得る。
【0036】
前方アクチュエータ150および後方アクチュエータ170は、板110と130との間に位置決めされ、板110と130との間の分離を制御できるよう、板110、130に対して可動である。前方アクチュエータ150は、板110と130との間で、前方レール111、131の近位に位置決めされる。前方アクチュエータ150は、本明細書で後述されるように、アクチュエータスクリュー210に螺合するよう構成された、雌ねじ155を有する中央貫通通路154を有する横方向延在本体152を有する。上側板ガイディング傾斜面156は、本体152の各端部で画定され、上側板110のそれぞれの前傾斜面116に整列するよう構成される。各上側板ガイディング傾斜面156は、対向する前傾斜面116と同一の傾斜角で延在する。同様に、下側板ガイディング傾斜面157は、本体152の各端部の内向きに画定され、下側板130のそれぞれの前傾斜面136に整列するように構成される。各下側板ガイディング傾斜面157は、対向する前傾斜面136と同一の傾斜角で延在する。本体152は、旋回部材190を旋回取付するため、ガイディング傾斜面156、157の隣にそれぞれ、旋回ピン穴158、159を画定する。
【0037】
後方アクチュエータ170は、後方レール113、133の近位で、板110と130との間に位置決めされる。前方アクチュエータ170は、アクチュエータナット220を受容するよう構成された中央非螺刻貫通通路174を有する横方向延在本体172を有する。一連のフィンガ180は、本明細書で後述されるように、貫通通路174を中心に本体172の後側から延在し、アクチュエータナット220を係合し、保持するよう構成される。上側板ガイディング傾斜面176は、本体172の各端部で画定され、上側板110のそれぞれの後傾斜面118に整列するように構成される。各上側板ガイディング傾斜面176は、対向する上位傾斜面118と同一の傾斜角で延在する。同様に、下側板ガイディング傾斜面177は、本体172の各端部の内向きに画定され、下側板130のそれぞれの上位傾斜面138に整列するように構成される。各下側板ガイディング傾斜面177は、対向する上位傾斜面138と同一の傾斜角で延在する。本体172は、旋回部材190、200を旋回取付するため、ガイディング傾斜面176、177の隣にそれぞれ旋回ピン穴178、179を画定する。
【0038】
図1を参照すると、各旋回部材190は、それぞれの傾斜面116、118、136に沿って係合し、摺動するよう構成されるガイド面192を含む。溝係合フランジ194は各ガイド面192から延在し、それぞれの傾斜面116、118、136から分離するのを防止するよう、それぞれの傾斜面溝117、119、137内で係合するよう構成される。各ガイド面192の反対側面は、旋回ピン(図示なし)が各旋回部材190をそれぞれのアクチュエータ150、170に旋回接続するよう、それぞれの旋回ピン穴158、159、178と整列するよう構成された旋回スロット196を画定する。旋回部材200は旋回部材190に類似しており、それぞれの傾斜面138に沿って係合し、摺動するよう構成されたガイド面202を含む。溝係合フランジ204は各ガイド面202から延在し、旋回部材190と比較するとより中央にあり、それぞれの傾斜面138から分離するのを防止するよう、それぞれの傾斜面溝139内で係合するよう構成される。各ガイド面202の反対側面は、旋回ピン(図示なし)が各旋回部材200をそれぞれのアクチュエータ170に旋回接続するよう、それぞれの旋回ピン穴179と整列するよう構成された旋回スロット206を画定する。
【0039】
図14〜16を参照すると、旋回部材をアクチュエータに旋回接続する代替方法が説明される。図は後方アクチュエータ150’を示すが、前方アクチュエータに同様の接続が提供されてもよい。本実施形態では、各傾斜面156、157は、アクチュエータ本体152’の一部の下で横方向に延在する一部分162を有する旋回スロット160を画定する。旋回ピンスロットの代わりに、各旋回部材190’は、延長部分197を有する、丸みをつけられた下面部材198を有する。丸みをつけられた下面部材198は、アクチュエータ本体152’の一部分の下を横方向に延在する部分162に嵌合する延長部分197を有する旋回スロット160内に嵌合する。図16に例解されるように完全に配置されると、旋回部材190’は、アクチュエータ内に保持され、それに対して旋回する。
【0040】
旋回部材190、200は旋回接続され、それによって、上側端板110および下側端板130で溝117、119、137、139に係合されている一方、それぞれのアクチュエータ150、170と共に移動する。したがって、アクチュエータ150、170は、前方または後方に移動され、旋回部材190、200が、傾斜面116、118、136、138に沿って摺動し、端板110、130を互いに向かって、または、互いから離れて移動させる。旋回部材190、200の旋回性質によって、板110と130との間の角が、摺動関係を維持しつつ、変更されることを可能にする。
【0041】
アクチュエータ150、170の移動と、端板110、130の対応する移動は、説明されない。図2および3は、折り畳まれた状態の端板110、130を例解し、アクチュエータ150、170は共に、略中央に位置する。端板110、130を拡張状態まで移動させるには、図4および図5に示すように、前方アクチュエータ150が前方に移動し、後方アクチュエータ170が後方に移動する。アクチュエータ150、170が移動するにつれ、旋回部材190、200は、傾斜面116、118、136、138それぞれに沿って摺動する。そのような拡張作動においては、アクチュエータ150、170は同じ速度で移動しており、そのため、端板110、130はそれらの間で所定の角度を維持し、旋回部材190、200は通常旋回しない。板110と130との間の前弯角を増大することが所望される場合、図8および図9に例解されるように、後方アクチュエータ150は静止したままだが、前方アクチュエータ170は前方に移動される。前方アクチュエータ170が移動するにつれ、旋回部材190、200は、傾斜面118、138それぞれに沿って摺動する。更に、端板110と130との間の角度は変化するため、各旋回部材190、200は、そのそれぞれのアクチュエータ150、170に対して旋回する。反対に、板110と130との間の前弯角を小さくすることが所望される場合、図10および図11に例解されるように、前方アクチュエータ170は静止したままだが、後方アクチュエータ150は後方に移動される。後方アクチュエータ150が移動するにつれ、旋回部材190は、傾斜面116、136それぞれに沿って摺動する。再度となるが、端板110と130との間の角度は変化するため、各旋回部材190、200は、そのそれぞれのアクチュエータ150、170に対して旋回する。
【0042】
アクチュエータ150、170を移動しやすくするため、アクチュエータアセンブリは、アクチュエータ150、170の間に延在する。図1、12、および13を参照すると、本実施形態では、アクチュエータアセンブリは、アクチュエータスクリュー210と、アクチュエータナット220と、球状ベアリング240とを含む。アクチュエータスクリュー210は、後端部211と前端部213との間に延在するシャフトを含む。前端部213がドライバ受容体216を含む一方、スクリュー210の後端部211は、ボール214を有する。アクチュエータスクリュー210は、前端部上に螺合部217の第一セットを、後端部上に螺合部218の第二セットを有し、その間にフランジ215を有する。螺合部217の第一セットおよび螺合部218の第二セットは反対巻き、すなわち、一方のセットは右巻きで、他方のセットが左巻きである。アクチュエータスクリュー210の後端部211は、螺合部217が雌ねじ155に係合した状態で、後方アクチュエータ150の中央貫通通路154を貫通する。
【0043】
アクチュエータスクリュー210のボール214は、後方アクチュエータ150を超えて延在し、球状ベアリング240内に保持される。本実施形態では、球状ベアリング240は、対向するベアリング部材241によって画定される。図1を参照すると、各ベアリング部材241は、略半球状ベアリング面242を有する。アーム244は、ベアリング面242と装着フランジ246との間に延在する。各装着フランジ246は、上側端板110または下側端板130のそれぞれの受容スロット126、146において受容されるよう構成される。ボール214がベアリング面242の間で保持され、フランジ246がそれぞれの端板110、130と係合しており、アクチュエータスクリュー210は、端板110、130に対して軸方向に固定されるが、それに対して自在に旋回する。したがって、後方アクチュエータ150が、アクチュエータスクリュー210の螺合部セット217に沿って移動するにつれ、後方アクチュエータ150は、端板110、130に対して移動する。
【0044】
アクチュエータナット220は、後端部221と前端部223との間に延在する本体222を有する。貫通通路227は、本体222を通って前端部223から後端部221へ延在する。貫通通路227の一部は、アクチュエータスクリュー210の第二螺合部セット218に螺合するよう構成された雌ねじ228を画定する。肩部229は、アクチュエータスクリュー210のための停止部を画定するよう、貫通通路227内に画定される。アクチュエータナット220の前端部223は、貫通通路227を中心にドライバ係合部226を画定し、例解された実施形態では、一連のノッチおよび歯である。
【0045】
アクチュエータナット220の本体222の前端部223は、前方アクチュエータ170の非螺刻貫通通路174内に受容されるよう構成される。本体222から延在するラジアルフランジ224は、アクチュエータナット220が非螺刻貫通通路174内に移動する度合いを制限する。スラストワッシャー230は、フランジ224と前方アクチュエータ170との間に位置決めされ得る。溝225は、フランジ224の後方で、アクチュエータナット本体222において画定される。前方アクチュエータ170から延在するフィンガ180は、アクチュエータナット220が前方アクチュエータ170に接続されるように、溝225を係合するよう構成される。
【0046】
アクチュエータアセンブリは三つの動作モードを提供する。第一動作モードでは、アクチュエータナット220は回されないが、アクチュエータスクリュー210はドライバ受容体216を介して回される。後方アクチュエータ150の雌ねじ155が、回っているアクチュエータスクリュー210の螺合部217の第一セットと係合することによって、後方アクチュエータ150を、例えば後方に移動させる。同時に、回っているアクチュエータスクリュー210の反対巻きの螺合部218は回っていないアクチュエータナット220の雌ねじ218、アクチュエータナット220、したがって前方アクチュエータ170に係合しているため、反対向きに、この事例では前方に、移動させられる。これによって、両アクチュエータ150、170が端板110、130の端部に向かって移動することになり、同距離だけ拡張する両端板110、130と共に直線的な拡張を与える(図4および5)。アクチュエータスクリュー210を反対方向に回すと、端板110、130を互いに向かって移動させることになるだろう。
【0047】
第二動作モードでは、アクチュエータナット220はドライバ係合部226を介して回っているが、アクチュエータスクリュー210は回っていない。アクチュエータスクリュー210が回っていないため、後方アクチュエータ150は移動しない。しかしながら、アクチュエータナット220が、静的アクチュエータスクリュー210の螺合部218に対して回るにつれ、アクチュエータナット220、それによって前方アクチュエータ170が、単独で移動し、各端板の前端部のみを拡張させ、前弯角を増大させることになる。(図8および図9)アクチュエータナット220を反対方向に回すことにより、端板110、130の前端部を互いに向かって移動するだろう。
【0048】
第三動作モードでは、アクチュエータスクリュー210がドライバ受容体216を介して回り、アクチュエータナット220もまた、ドライバ係合部226を介して回る。アクチュエータスクリュー210とアクチュエータナット220が同じ速度で回されるため、アクチュエータナット220とアクチュエータスクリュー210の間の相対運動はない。したがって、前方アクチュエータ170は動かない。しかしながら、アクチュエータスクリュー210を回すことにより、後方アクチュエータ150を単独で移動させ、それによって各端板の後端部のみを拡張し、前弯症の低減となる。(図10および図11)アクチュエータスクリューとアクチュエータナット220を反対方向に同時に回すことによって、端板110、130の後端部を互いに向かって移動させるだろう。
【0049】
本開示の装置は、屈曲/延長、横曲げ、および軸方向回転中に隣接する椎骨が支持されるように提供する。一実施形態では、インプラント100は、変性円板疾患、一時的又は再発性椎間板ヘルニア、脊髄の狭窄、または、腰仙椎における脊椎症(LI−SI)の骨格的には成長した患者を治療する際に脊髄関節形成術について示される。変性円板疾患は、脚(神経根)の痛みを伴っても伴わなくても患者の履歴及び放射線学的検査によって確認された椎間板の変性を伴う椎間板起因の背痛として有利には定義される。例えば、関連するレベルでグレード1までの脊椎すべり症の患者は、有利には治療され得る。手術位置のインプラント100は前部、前外側、後側部、及び/又は、側部のアプローチ法を通じて実施される。様々なインプラント方法が、米国特許第2014/0277489号に開示され、その内容全体がすべての目的のために参照として本明細書に組み込まれる。埋め込み中、ドライバ受容体216およびドライバ係合部226は、アクチュエータアセンブリを作動させるため、別の工具または一体化工具によって係合されてもよい。
【0050】
本開示は例示的態様において説明されてきたが、当業者は、本開示が添付の請求項の精神および範囲において修正とともに実施され得ることを理解するだろう。上記に挙げられたこれらの例は単に例示のためであり、本開示の、可能性のあるすべての設計、態様、用途、または修正の網羅的リストであることを意味しない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1図1は、本開示の実施形態におけるインプラントの分解斜視図である。
図2図2は、三つの装着された骨スクリューと共に、圧縮されたかまたは低くされた高さ構成における図1のインプラントの斜視図である。
図3図3は、図2に示すようなインプラントの側立面図である。
図4図4は、三つの装着された骨スクリューと共に、拡張されたかまたは増大された高さ構成における図1のインプラントの斜視図である。
図5図5は、図4に示すようなインプラントの側立面図である。
図6図6は、三つの装着された骨アンカーと共に、圧縮されたかまたは低くされた高さ構成における図1のインプラントの斜視図である。
図7図7は、三つの装着された骨アンカーと共に、拡張されたかまたは増大された高さ構成における図1のインプラントの斜視図である。
図8図8は、拡張された後部または増大した前弯角構成における図1のインプラントの斜視図である。
図9図9は、図8に示すようなインプラントの側立面図である。
図10図10は、拡張された上位または縮小した前弯角構成における図1のインプラントの斜視図である。
図11図11は、図10に示すようなインプラントの側立面図である。
図12図12は、図8の線12−12に沿った横断面図である。
図13図13は、図9の線12−12に沿った横断面図である。
図14図14は、代替アクチュエータの、それに対する代替旋回部材の連続装着を示す、一部分の拡張斜視図である。
図15図15は、代替アクチュエータの、それに対する代替旋回部材の連続装着を示す、一部分の拡張斜視図である。
図16図16は、代替アクチュエータの、それに対する代替旋回部材の連続装着を示す、一部分の拡張斜視図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16