特許第6979051号(P6979051)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979051
(24)【登録日】2021年11月16日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】骨固定のためのねじインプラント
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/86 20060101AFI20211125BHJP
【FI】
   A61B17/86
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-154337(P2019-154337)
(22)【出願日】2019年8月27日
(65)【公開番号】特開2020-32187(P2020-32187A)
(43)【公開日】2020年3月5日
【審査請求日】2019年8月27日
(31)【優先権主張番号】16/112,838
(32)【優先日】2018年8月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】リアーナ マリ
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2018/0042652(US,A1)
【文献】 特表2003−526459(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0296246(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仙腸関節を固定するための固定ねじアセンブリであって、
ヘッド部材と、前記ヘッド部材に結合された骨係合部分と、を含む固定部材であって、前記ヘッド部材が略球状の外面と溝とを有する、固定部材と、
内側環状リップを有するワッシャ部材であって、前記ワッシャ部材が、前記ヘッド部材の周りの前記固定部材に動作可能に結合され、前記ワッシャ部材の内面が略球状であり、前記ヘッド部材の前記略球状外面に対応し、前記ワッシャ部材が、前記固定部材の長軸方向軸に対して多軸移動を可能にする、ワッシャ部材と、を備える固定ねじアセンブリであって、
前記骨係合部分が、第一の生体材料窓と、前記第一の生体材料窓の遠位に配置された第二の生体材料窓と、前記第二の生体材料窓の遠位に配置された第三の生体材料窓とを含み、前記第一の生体材料窓と前記第二の生体材料窓が互いに垂直に構成され、かつ長手方向に重複し、前記第三の生体材料窓は、前記第一の生体材料窓および前記第二の生体材料窓よりも小さな直径を有し、かつ前記第二の生体材料窓に対して90度ずれている、固定ねじアセンブリ。
【請求項2】
前記固定部材が、前記固定部材の近位部分から遠位部分へ延在する開口部でカニューレ状にされる、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記第一、第二、および第三の生体材料窓がそれぞれ、前記カニューレ状にされた開口部と流体連通している、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記第一および第二の生体材料窓が重複し、前記第二および第三の生体材料窓が重複する、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記固定部材が3D印刷される、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記ワッシャ部材が、複数の方向に傾斜し、回転し、または旋回されるように構成された、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記ワッシャ部材が、隣接する骨に係合するように構成された一つまたは複数の係合面を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記係合面が、骨内に嵌めこまれるよう、内向きに先細にされた歯である、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
仙腸関節を固定するための固定ねじアセンブリであって、
ヘッド部材と、前記ヘッド部材に結合された複数のねじ山を含む骨係合部分とを含む固定部材であって、略球状外面を有し、前記骨係合部分が浅いねじ山を有する第一の部分と、深いねじ山を有する第二の部分と含む二重内径を含む、固定部材と、
前記ヘッド部材の周りの前記固定部材に動作可能に連結されたワッシャ部材であって、前記ワッシャ部材の内面が略球状であり、前記ヘッド部材の前記略球状外面に対応し、前記ワッシャ部材が前記固定部材の長軸方向軸に対して多軸移動が可能である、ワッシャ部材と、を備える固定ねじアセンブリであって、
前記骨係合部分が、第一の生体材料窓と、前記第一の生体材料窓の遠位に配置されかつ前記第一の生体材料窓に対して90度ずれた第二の生体材料窓と、前記第二の生体材料窓の遠位に配置されかつ前記第一の生体材料窓および前記第二の生体材料窓よりも小さな直径を有し、かつ前記第二の生体材料窓に対して90度ずれている第三の生体材料窓とを含み、
前記第一の生体材料窓および前記第二の生体材料窓が長手方向に重複する、固定ねじアセンブリ。
【請求項10】
前記固定部材が、前記固定部材の近位部分から遠位部分へ延在する開口部でカニューレ状にされる、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記第一、第二、および第三の生体材料窓がそれぞれ、前記カニューレ状にされた開口部と流体連通している、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記固定部材の前記ヘッド部材が、前記ヘッド部材の最近位端に溝を含み、前記ワッシャ部材が、前記ワッシャ部材の最近位端にリップを含む、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記ワッシャ部材が前記固定部材の前記長軸方向軸に対して十分に傾斜している場合、前記ワッシャ部材の前記リップが前記ヘッド部材の前記溝上で最も低くなる、請求項12に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記固定部材が3D印刷される、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記ワッシャ部材が、複数の方向に傾斜し、回転し、または旋回されるように構成された、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記ワッシャ部材が、隣接する骨に係合するように構成された一つまたは複数の係合面を含む、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記係合面が、骨内に嵌めこまれるよう、内向きに先細にされた歯である、請求項16に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年10月27日に出願の、米国特許出願第15/795,920号の一部継続出願であり、これは、2014年12月8日に出願の、米国特許出願第14/563,697号の一部継続出願であり、これは、2011年7月15日に出願の、米国特許出願第13/184,026号の継続出願であり、現在は放棄されており、すべての目的のため、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は一般に、固定インプラントに関し、特に、ねじインプラントに関する。
【背景技術】
【0003】
脊椎の解剖学的構造では、仙骨は腰椎の底部にある大きな三角骨であり、仙骨は腰椎においてL5椎骨に接続する。仙骨は、右腸骨および左腸骨として知られる、二つの臀部骨に隣接している。仙骨は、仙腸関節(またはSI関節)として知られる関節を介してこれらの骨に接続する。
【0004】
仙腸関節は、脊椎から下肢へ力を伝達するのを支援する。仙腸関節の変性は、変性仙腸骨炎および炎症性仙腸骨炎などの疾患、ならびに、通常の老化および外傷に起因して起こり得る。変性した仙腸関節の一種の治療は、関節を固定することであり、これは最終的に痛みを緩和する。
【0005】
したがって、仙腸関節の固定を支援する、改善されたインプラントが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
骨固定を支援するため、様々な固定インプラントが提供されている。いくつかの実施形態では、仙腸関節を横切って埋め込むインプラントが提供されている。インプラントは、シャフトおよびヘッド部分を備える骨係合部分を含み、シャフトは複数のねじ山を含む。シャフトは、生体材料を受けて、仙腸関節の固定を支援するための生体材料窓を含む。インプラントはさらに、ヘッド部分周りでロック構成にあるように構成された可撓性のワッシャ部材を含み、ワッシャ部材は、ヘッド部分周りでワッシャ部材の拡張に適応する複数のスリットと、骨表面と係合するための一つまたは複数の係合部材とを含む。ワッシャ部材は、骨係合部分の長手方向軸に対して、多軸移動を可能にする。
【0007】
いくつかの実施形態では、仙腸関節を横切って埋め込むためのインプラントは、シャフトおよびヘッド部分を備える骨係合部分を備え、シャフトは複数のねじ山を含む。シャフトは、腸骨、仙腸関節、仙骨の少なくとも一部分を横切って延在するための、約25mm〜110mmの長さを有し得る。インプラントは、ヘッド部分周りのロック構成にあるように構成された可撓性のワッシャ部材をさらに含む。ワッシャ部材は、ヘッド部分周りで拡張可能であり、骨表面を係合するための一つまたは複数の係合部材を含む。ワッシャ部材は、骨係合部分の長手方向軸に対して、多軸移動を可能にする。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、仙腸関節を固定するための固定ねじアセンブリは、固定部材およびワッシャ部材を含む。固定部材は、ヘッド部材と、ヘッド部材に結合された骨係合部分とを含む。ヘッド部材は略球状の外面と溝とを有する。ワッシャ部材は、内側環状リップを有する。ワッシャ部材は、ヘッド部材周りの固定部材に動作可能に結合される。ワッシャ部材の内面は略球状であり、ヘッド部材の略球状の外面に対応する。ワッシャ部材は、固定部材の長手方向軸に対して、多軸移動を可能にする。ワッシャ部材が固定部材の長手方向軸に対して十分に傾斜している場合、ワッシャ部材のリップはヘッド部材の溝上で最も低くなる。
【0009】
さらに他の実施形態によれば、仙腸関節を固定するための固定ねじアセンブリは、固定部材およびワッシャ部材を含む。固定部材は、ヘッド部材と、ヘッド部材に結合された複数のねじ山を含む骨係合部分とを含む。ヘッド部材は略球状の外面を有する。骨係合部分は、浅いねじ山を有する第一の部分と、深いねじ山を有する第二の部分とを含む二重内径を含む。ワッシャ部材は、ヘッド部材周りの固定部材に動作可能に結合される。ワッシャ部材の内面は略球状であり、ヘッド部材の略球状の外面に対応する。ワッシャ部材は、固定部材の長手方向軸に対して、多軸移動を可能にする。
【0010】
いくつかの実施形態では、仙腸関節を固定する方法が提供される。方法は、患者に切開部を形成することと、切開部を通って、腸骨に向かって横方向に固定ねじアセンブリを送達することであって、固定ねじアセンブリがワッシャ部材と、シャフトおよびヘッド部材を備える骨係合部分とを含み、ワッシャ部材がヘッド部材周りで骨係合部分に動作可能に結合され、ワッシャ部材が骨係合部分の長手方向軸に対して多軸移動が可能である、送達することと、ワッシャ部材が腸骨の表面に係合するまで、固定ねじアセンブリを、腸骨を通り、仙腸関節を横切って、仙骨内に駆動させることと、仙腸関節の固定を支援するよう、固定ねじアセンブリを所定位置に維持することと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A図1Aは、いくつかの実施形態による、仙腸関節固定のための固定ねじアセンブリの正面図である。
図1B図1Bは、いくつかの実施形態による、ワッシャがロックされた構成にある、図1Aの固定ねじアセンブリの正面図である。
図2図2は、いくつかの実施形態による、骨係合部分に対して傾斜したワッシャ部材の拡大横断面図である。
図3図3は、いくつかの実施形態による、生体材料窓を有する固定ねじアセンブリの正面図である。
図4図4は、いくつかの実施形態による、仙腸関節固定のためのラグねじアセンブリの正面図である。
図5図5は、いくつかの実施形態による、生体材料窓を有するラグねじアセンブリの正面図である。
図6図6は、いくつかの実施形態による、仙腸関節の固定を支援する、複数の固定ねじアセンブリを示す。
図7図7A図7Fは、固定ねじアセンブリの代替的な実施形態の様々な図を示す。
図8図8Aおよび図8Bは、固定ねじアセンブリの代替的な実施形態を示す。
図9図9A図9Eは、固定ねじアセンブリのシャフト上の生体材料窓の位置付けの様々な実施形態を示す。
図10図10は、酸エッチング処理をしたねじアセンブリを示す。
図11図11A図11Fは、様々な方法で製造されたねじアセンブリを示す。
図12図12A図12Cは、様々な方法を使用して本体内でのねじアセンブリの位置付けを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の詳細な実施形態は本明細書に開示されているが、開示された実施形態は、本発明の単なる例示であり、これは様々な形態で具現化されうることを理解するべきである。したがって、本明細書に開示される特定の構造的および機能的詳細は、限定として解釈されるべきではなく、当業者であれば、実質的に任意の適切な詳細な構造において本発明を様々に用いるための特許請求の範囲として、また代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0013】
本出願は一般に、固定インプラントに関し、特に、ねじインプラントに関する。ねじインプラントを使用して、仙腸関節の固定を支援することができる。いくつかの実施形態では、ねじインプラントは、腸骨を通り、変性した仙腸関節通って仙骨へと導入され得る。埋め込み後、ねじインプラントは所定位置に留まり、仙腸関節の固定を支援する。
【0014】
骨部材へのねじを埋め込む場合に伴う困難の一つは、不慮の後退である。腸骨は翼形状であり、表面が湾曲しているため、固定ねじが不慮に後退する問題が生じる。この問題に対処するために、本出願のねじインプラントは、腸骨から不慮に後退するのを防止またはそのリスクを低減させる機構を有利に提供する。特に、ねじインプラントは、ねじインプラントが不慮に後退するのを防止するのを支援する、簡単に組み立てられたワッシャ部材を含む。ワッシャ部材は有利なことに、ねじインプラントが腸骨に埋め込まれると、腸骨の輪郭に適合する柔軟性を有するように設計されている。
【0015】
図1Aは、いくつかの実施形態による、仙腸関節固定のための固定ねじアセンブリの正面図である。固定ねじアセンブリ5は、ヘッド部材30に動作可能に結合されたシャフト10を備える骨係合部分8を含む。固定ねじアセンブリ5はまた、ヘッド部材30に近接して位置付けられるまで、シャフト10を介して上方に装填されることができるワッシャ部材50を含む。ヘッド部材30に近接すると、ワッシャ部材50は、ヘッド部材30の周りに上向きに押し付けられ得(例えば、器具を使用して)、ヘッド部材30の周りに確実に締結された、ロックされた構成に配置される。ロックされた構成にあると、固定ねじアセンブリ5は、腸骨などの骨部材に挿入され得、それによって固定(例えば、仙腸関節の)を支援することができる。
【0016】
骨係合部分8のシャフト10は、複数のねじ山12を含む。図1Aに示すように、ねじ山12は、シャフト10の長さの少なくとも大部分に沿って延在する。その他の実施形態では、ねじ山12は、シャフト10の少数部分に沿ってのみ延在する。いくつかの実施形態では、シャフト10の骨係合部分8のねじ山12は、二重の主ねじ山であるが、骨係合部分8の骨への挿入を容易にするために任意のタイプのねじ山が使用され得る。
【0017】
骨係合部分8のシャフト10はまた、骨部材への進入のための先端として機能する遠位部分14を含む。遠位部分14は、挿入プロセスを支援するために先細にすることができる。さらに、骨係合部分8が骨組織に埋め込まれるときに生成される粉、粉塵、または破片を除去するために、少なくとも一つのフルートが、遠位部分14上または骨係合部分8の任意の他の部分に沿って提供され得る。さらに、いくつかの実施形態では、シャフト10は、埋め込みを支援するため、ガイドワイヤまたはその他のタイプの器具を受けるようにカニューレ状であってもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、固定ねじアセンブリ5のシャフト10は、固定を支援するために、複数の骨部材を通って(例えば、腸骨および仙骨を通って)挿入される。複数の骨部材を通る挿入に適応するために、シャフト10は有利なことに、約20mm〜約110mm、または、約25mm〜約110mmの長さを有する。いくつかの実施形態では、固定ねじアセンブリ5のシャフト10は、約6mm〜約14mm、または約8mm〜12mmの直径または幅を有する。これらの範囲は有利なことに、以下でより詳細に論じるように、シャフト10の内部内に生物学的材料を詰めることを可能にする。図1Aおよび1Bに示すように、固定ねじアセンブリ5のシャフト10は、アセンブリ5の長さの大部分に沿った直径において概して一定のままであることができ、それによって、有利なことに、骨ねじが骨組織内の所定の領域に挿入されるときの、最適なねじの位置付けを可能にする。しかしながら、その他の実施形態では、シャフト10は、シャフト10の遠位端に向かってその直径が狭くなるように、先細にすることができる。
【0019】
シャフト10は、ヘッド部材30に動作可能に接続される。シャフト10は、ネック部分32を介してヘッド部材30に移動する。いくつかの実施形態では、ネック部分32は、シャフトの直径または幅と等しいかまたは小さい直径または幅を有する。ヘッド部材30の頂部部分34内には、ねじドライバ(図示せず)などの駆動器具を受けるように構成された係合部分がある。ねじドライバを使用して、固定ねじアセンブリ5を、腸骨および/または仙骨などの一つまたは複数の骨部材に駆動することができる。
【0020】
固定ねじアセンブリ5は、骨係合部分8とのロックされた構成に簡単に組み立てられるワッシャ部材50を含む。いくつかの実施形態では、ワッシャ部材50は、固定ねじアセンブリ5のシャフト10の周りに嵌合することができる円形穴を有する、リング形状または環状のカラーと似ている。ワッシャ部材50は、ヘッド部材30の周りにロックされるまで、シャフト10上に摺動可能に上下に移動することができる。ワッシャ部材50は、ヘッド部材30の上でのワッシャ部材50の拡張に適応し得る、一つまたは複数のスリット52を含み、それによってワッシャ部材50を、ヘッド部材30の周りに組み立てられ、ロックされた構成に配置することができる。いくつかの実施形態では、ワッシャ部材50は、固定ねじアセンブリ5のヘッド部材30の周りに、ロックされた構成で予め組み立てられる(図1Bに示す)。スリット52の反対にあるワッシャ部材50の端において、ワッシャ部材50は、固定ねじアセンブリ5が骨内に埋め込まれるとき、骨部材(例えば、腸骨)の表面と係合し得る、一つまたは複数の係合面または歯54を含む。
【0021】
有利なことに、ワッシャ部材50は、骨係合部分8に対して可撓性および多軸である。すなわち、図2に最も良く示されるように、ワッシャ部材50は、複数の方向に傾斜し、回転し、または旋回され得る。いくつかの実施形態では、ワッシャ部材50は、骨係合部分8の長手方向軸に対して、約0度〜約30度の角度、または約0度〜24度の角度で位置付けられた中心軸を有し得る。
【0022】
固定ねじアセンブリ5の構成要素は、様々な生体適合性材料から構成され得る。材料には、ステンレス鋼、合金、チタン、チタン系合金、または高分子材料が含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
動作時、横方向の圧縮力が固定ねじアセンブリ5に印加されると、骨係合部分8は、腸骨といった骨部材を通して駆動される。骨係合部分8が横方向に駆動するにつれて、ワッシャ部材50はまた、骨部材の表面と係合する(図6に示す)。ワッシャ部材50は、骨係合部分8とは異なる角度で骨部材に係合し得る。この相対角度調節により、有利なことに、骨係合部分8が異なる角度である場合でも、ワッシャ部材50が骨部材(例えば、腸骨)の曲面と容易に係合できるようになる。さらに、骨係合部分8のヘッド部材30に対して傾斜したワッシャ部材50の圧縮力はまた、有利なことに、埋め込まれた固定ねじアセンブリ5が後退するのを防止する。
【0024】
図2は、いくつかの実施形態による、骨係合部分に対して傾斜したワッシャ部材の拡大横断面図である。この図から、骨係合部分8のヘッド部材30に対するワッシャ部材50の角度調節が見える。また、ワッシャ部材50とヘッド部材30との間の物理的インターフェース76も示されている。力が印加されると、ワッシャ部材50は、インターフェース76におけるヘッド部材30との圧縮力で配置され、それによって、骨部材から骨係合部分8が不慮に後退するのを防止する。
【0025】
図3は、いくつかの実施形態による、生体材料窓を有する固定ねじアセンブリの正面図である。固定ねじアセンブリ5は、生体材料窓16をも含むこと以外は、図1Aおよび1Bのアセンブリと類似している。天然材料および合成材料を含む生体材料は、生体材料窓16に挿入され、骨の成長および固定を支援することができる。いくつかの実施形態では、例示の実施形態に示されるように、生体材料は長方形の窓を備える。生体材料窓は有利なことに、シャフト10の長さの約1/4〜4/5の長さを有するため、所望の場合、複数の骨部材および/または関節を横切って拡張できる。いくつかの実施形態では、生体材料窓は、シャフト10の長さの約1/3〜1/2の長さを有する。
【0026】
図4は、いくつかの実施形態による、仙腸関節固定のためのラグねじアセンブリの正面図である。ラグねじアセンブリ15は、図1の固定ねじアセンブリ5の特徴の多くを含み、骨係合部分8と、ヘッド部分と、ヘッド部分周りでロックするように構成されたワッシャ50とを含む。ところが、固定ねじアセンブリ5とは異なり、ラグねじアセンブリ15は、骨係合部分8とヘッド部分との間に延在する、実質的に滑らかなねじ山なし部分80をさらに含む。いくつかの実施形態では、ラグねじアセンブリのねじ山部分およびねじ山なし部分は、連続的で頑丈な構成要素を形成する。
【0027】
図5は、いくつかの実施形態による、生体材料窓を有するラグねじアセンブリの正面図である。図示した図に示すように、ラグねじアセンブリ15は、生物学的材料が堆積され得る生体材料窓16を含む。有利なことに、ラグねじアセンブリ15は、生体材料窓16がねじ山部分とねじ山なし部分80の両方にわたって延在するように設計され得る。その他の実施形態では、生体材料窓16は、ねじ山なし部分80内にのみ延在する必要があるため、ラグねじアセンブリのねじ山は元の状態のままである。しかし、当業者であれば、所望の場合、生体材料窓は骨係合部分8のねじ山部分内に延在し得ることも理解するであろう。
【0028】
図7A図7Eは、その他の実施形態による仙腸関節固定のための固定ねじアセンブリ105の代替的な実施形態を示す。固定ねじアセンブリ105は、前述した固定アセンブリと類似している。そのため、同様の特徴が、同様の数字インジケータを参照して説明される。固定ねじアセンブリ105は、仙腸関節固定ねじとして特に好適であり得、また、移動の可能性を減少させつつ、仙腸関節固定で達成される固定を増加させることが意図されている。仙腸関節固定ねじアセンブリ105は、仙腸関節を横切って配置されてもよく、また、仙骨の軟質海綿骨および腸骨稜の硬質皮質骨を含む、変化する骨質を横断する。骨ねじでは、仙骨の海綿骨側においてねじのハローイングを引き起こす、仙骨と腸骨との間の骨質の劇的な変化に対応しないことが多い。二重内径を含む本明細書に記載の固定ねじアセンブリ105は、変化する骨質に対応するための様々なねじ山形態を提供する。さらに、ねじプロファイルは、皮質から海綿への解剖学的構造に配置されると、骨のてこ(purchase)を最大化する。一般に仙腸関節固定を参照して説明されるが、固定ねじアセンブリ105は、他の骨ねじ用途に利用され得ることが理解されるであろう。
【0029】
図7Aは、アセンブリ105の斜視図を提供する。固定ねじアセンブリ105は、固定部材102とワッシャ部材150とを含む。固定部材102は、近位部分104から遠位部分114に延在する。固定部材102は、複数のねじ山112を含む骨係合部分108を含む。固定部材102は、例えば、ネック部分132を通してヘッド部材130に動作可能に結合されるシャンクまたはシャフト110を備える。ヘッド部材30は、係合部分34を含む。係合部分34は、ねじドライバ(図示せず)などの駆動器具を受けるように構成された、雌ねじ山部分および/またはソケット部分(例えば、六角形)を含み得る。ねじドライバを使用して、固定ねじアセンブリ105を、腸骨および/または仙骨などの一つまたは複数の骨部材に駆動することができる。六角形駆動特徴は、特に、固定部材102を硬質の皮質骨を貫通させる際にねじを駆動させるための大きな力を必要とするため、ねじのつぶれや器具のつぶれを防止するのに役立ち得る。
【0030】
この実施形態では、シャフト110は、固定部材102の近位部分104から遠位部分114へ延在する開口部106でカニューレ状にされ、それによって、埋め込みを支援するためのガイドワイヤまたはその他のタイプの器具を受けることができる。カニューレ状にされる場合、固定アセンブリ105は最小限の侵襲的形態で挿入され得る。
【0031】
シャフト110は、一つまたは複数の生体材料スロットまたは窓116、118を含み得る。生体材料窓116、118は、骨移植片で充填され、固定のため、または固定を向上させるため、仙腸関節を横切り、特にねじの長さが長い場合には、ねじの移動を防止する。第一の生体材料窓116は、以前に考察した生体材料窓16と類似している。図7Eに示す横断面図で最も良く見られるように、第二の生体材料窓118は、遠位部分114の近くに提供され、第一の生体材料窓116に対して90度ずれている。生体材料窓116、118は、そのそれぞれの幅よりも大きい装置102の長手方向軸に沿って延在する長さを有して、細長くてもよい。生体材料窓116、118はそれぞれ、カニューレ状の開口部106と流体連通している。生体材料スロットまたは窓116、118は、骨移植片材料で充填されてもよく、また、ねじの長さに沿って配置され、それによって、固定のために仙腸関節を横断する。追加の窓116、118は、骨移植片で充填されて、固定を強化し、特にねじの長さが長い場合には、装置105の移動を防止する。
【0032】
図7Cの拡大斜視図および図7Dの拡大横断面図で最も良く見られるように、固定部材102のシャフト110は、二重内径を含み得る。二重内径ねじ102は、骨ねじシャフト110の二つの領域において、一定のピッチ128と一定の外径とを有する浅いねじ山124および深いねじ山126を提供する。ねじ102の近位部分104におけるねじ山112の一部分(皮質骨を固定することが意図されている)が浅いねじ山124を有する一方、ねじ102の遠位先端にあるねじ112の一部分(海綿骨を固定することを意図する)は深いねじ山126を有する。ピッチ128と一致して組み合わされた深いねじ山126は、浅いねじ山124内よりも多くの骨を深いねじ山126内に配置できるようにし、それによって、骨のてこ(purchase)の増加、引き抜きに対する抵抗の増加、および/または、より軟質で密度の低い骨における移動に対する抵抗の増加をもたらす。二重内径ねじ山は、装置105の固定の増加、移動の減少、引き抜きの減少、およびハローイングの減少を提供し得る。これは、ねじ長さに沿った様々な部品における、骨質の劇的な変化がある場合に有利である。一定の外径を有する、変化する内径の特徴により、近位部分104において浅いねじ山124、および、遠位部分114において深いねじ山126を可能にし、これは皮質骨から海綿骨を横切るには理想的であり得る。
【0033】
固定ねじアセンブリ105はまた、ワッシャ部材150を含む。ワッシャ部材150は、固定ねじアセンブリ105のヘッド部材130の周りに嵌合することができる円形穴を有するリング形状または環状のカラーと似ていてもよい。ワッシャ部材150の内面は、実質的に球状であってもよく、ヘッド部材130の実質的に球状の外面に対応してもよく、それによって、多軸回転を可能にする。腸骨稜の解剖学的構造が傾斜しており、患者によって大幅に異なり得るため、固定部材102を横方向に埋め込む場合は、角度調節が必要となり得る。
【0034】
ワッシャ部材150は、内側環状リップ152を有する。図7Bに示す拡大断面図で最も良く見られるように、ワッシャ部材150が傾斜している場合、ワッシャ部材150の頂部にあるリップ152の一部分は、球状のヘッド部材130の頂部上の溝136上において最も低くなる。ねじヘッド130上の溝136と結合されたワッシャ部材150上のリップ152は、埋め込み中の分解を防止するために、ねじシャンク110の均分円の下でワッシャ部材150の一部分を維持しながら、最大の角度調節を可能にし得る。仙腸関節ねじが横方向に埋め込まれる場合、様々な腸骨稜の解剖学的構造に適応させるために、角度調節が重要であり得る。インプラントによって最小限の角度調節のみが提供された場合、ワッシャの一部分は骨内には着座せず、軟組織では自由に浮遊することになる。
【0035】
ワッシャ部材150は、複数の方向に傾斜し、回転し、または旋回され得る。ワッシャ部材150は、ヘッド部材130の周りにロックされるまで、シャフト110上に摺動可能に上下に移動することができる。ワッシャ部材150は、固定ねじアセンブリ1055が骨内に埋め込まれるとき、骨部材(例えば、腸骨)の表面と係合し得る、一つまたは複数の係合面または歯154を含み得る。歯154は、ワッシャ部材150の底部上に提供されて、骨内に把持され、ユーザに触覚的なフィードバックを提供し得る。ワッシャ部材150の底歯154は、ワッシャ部材150の歯154が骨内に嵌めこまれて、さらに低プロファイルのインプラントを提供し、触覚的なフィードバックを維持できるように、内向きに先細であってもよい。同様に、ワッシャ部材150の外側外面の底部は、ワッシャ部材150の歯154が骨内に嵌めこまれる場合があり、さらに低プロファイルのインプラントを提供するが、触覚的なフィードバックを維持できるように、内側に先細でありうる。ワッシャ部材150の外径は、ワッシャ歯154の一部分が常に骨に接触するように、ヘッド部材130の外径より大きい。ワッシャ部材150は、固定部材102の頂部から固定部材102上に組み立てられ、アセンブリ105が埋め込み後に取り外される場合は、ワッシャ部材150が固定部材から分解されないようにし得る。このように、ワッシャ部材150は、ワッシャ部材150が頂部からねじシャンク110上に組み立てられるため、取り外し中にねじシャンク110から分解することはできない。
【0036】
図7Fは、横断面図のワッシャ部材151の別の実施形態を示す。ワッシャ部材151は、ヘッド部材131の周りにロックされるまで、シャフト111上に摺動可能に上下に移動することができる。ワッシャ部材151は、固定ねじアセンブリが骨内に埋め込まれるとき、骨部材(例えば、腸骨)の表面と係合し得る、一つまたは複数の係合面または歯153を含み得る。歯153は、ワッシャ部材151の底部上に提供されて、骨内に把持され、ユーザに触覚的なフィードバックを提供し得る。ワッシャ部材150の底歯153は、ワッシャ部材151の歯153が骨内に嵌めこまれて、さらに低プロファイルのインプラントを提供し、触覚的なフィードバックを維持できるように、内向きに先細であってもよい。同様に、ワッシャ部材151の外側外面の底部は、ワッシャ部材151の歯153が骨内に嵌めこまれ、さらに低プロファイルのインプラントを提供するが、触覚的なフィードバックを維持できるように、内向きに先細でありうる。ワッシャ部材151の構成によって、極端な角度調節が可能となる。ワッシャ部材の一部分は、埋め込み中の分解を防止するために、最大の角度調節が達成されると、常にねじヘッドの均分円下に留まるように構成される。ワッシャ部材151の底面上の歯153はまた、ユーザに触覚的なフィードバックを提供する。ワッシャ部材の外径は、ワッシャ歯153の一部分が常に骨に接触するように、ねじの外径より大きい。
【0037】
アセンブリ105と同様に、固定ねじアセンブリ105の構成要素は、様々な生体適合性材料から構成され得る。材料には、ステンレス鋼、合金、チタン、チタン系合金、または高分子材料が含まれるが、これらに限定されない。固定ねじアセンブリ105の構成要素は、オッセオインテグレーションを改善するために、コーティングされ、粗化され、またはその他の方法で処理され得る。インプラントは、従来の方法、画像ガイド方法、またはその他最小限の侵襲的手順を使用して、駆動および挿入され得る。固定ねじアセンブリ105は、例えば、仙腸関節固定を達成するために、横方向または後方に埋め込まれてもよい。
【0038】
図8Aに示す別の実施形態では、ねじアセンブリ160は、一つまたは複数の生体材料スロットまたは窓162、164、166を含み得る。生体材料窓162、164、166は、骨移植片で充填され、固定のために仙腸関節を横切り、または、固定を向上させ、特にねじの長さが長い場合には、ねじの移動を防止する。図8Aに示す横断面図で最も良く見られるように、第二の生体材料窓164は、遠位部分の近くに提供され、第一の生体材料窓162に対して90度ずれている。第三の生体材料窓166は、シャフトの遠位端により近くても提供され、第一および第二の生体材料窓よりも小さな直径を持つように構成される。生体材料窓162、164、166は、そのそれぞれの幅よりも大きい装置の長手方向軸に沿って延在する長さを有して、細長くてもよい。生体材料窓162、164、166はそれぞれ、カニューレ状の開口部と流体連通している。生体材料スロットまたは窓162、164、166は、骨移植片材料で充填されてもよく、また、ねじの長さに沿って配置され、それによって、固定のために仙腸関節を横断する。生体材料窓の幾何学形状は、隣接する固定領域の間に間隙がないように構成される。仙腸関節はすべての患者において極端に可変であり、幅が最小限であるため、関節を横切る固定領域が、隣接する固定領域の間に間隙を必要としないことを確実にする。ねじ強度を損なわないために、隣接する生体材料窓は互いに垂直に配置され、可能な限り多くの断面積を維持するよう、重複するセクション内において先細になっている。
【0039】
図8Bは、ねじアセンブリ168のさらに別の実施形態を示す。この実施形態では、シャフトに二つの生体材料窓170、172が提供されている。第一の生体材料窓170はねじヘッド174のより近くに位置付けられ、第二の生体材料窓172はシャフト176の遠位端により近く位置付けられる。第一および第二の生体材料窓は、互いに垂直であり、重複する。ねじアセンブリのシャフトもカニューレ状である。図9A〜9Eは、ねじアセンブリのシャフト上の生体材料窓の様々な構成を示す。図9Aは、三つの生体材料窓を有するねじアセンブリのシャフトを示し、生体材料窓のうちの二つが第一の平面にあり、且つ、第三の生体材料窓は90度ずれており、第一および第二の生体材料窓と重複するように構成されている。図9Bは、ねじアセンブリのシャフトに第一の平面において一つの細長い生体材料窓と、二つのより小さな円形または楕円形の窓を備える実施形態を示す。この実施形態はまた、第一の平面から90度ずらされた、さらに三つの円形または楕円形の窓を提供し、第一の平面の二つの円形の窓に重複するよう構成される。図9Cは、第一の平面に先端が第一のビュレットである生体材料窓と、90度ずらされた第二の平面に先端が第二のビュレットである生体材料窓とを有するねじアセンブリのシャフトを示す。先端が第一のビュレットである生体材料窓および先端が第二のビュレットである生体材料窓は、互いに重複するように構成される。図9Dおよび図9Eは、第一および第二の生体材料窓が90度ずらされて重複しているねじアセンブリのシャフトの追加的実施形態である。より具体的には、図9A図9C、および図9Eに示すように、生体材料窓は先細であってもよい。生体材料窓は、骨の成長を可能にする任意の形状で形成され得ることに留意すべきである。
【0040】
生体材料窓の重複する幾何学的形状は、挿入点または軌道に関係なく、固定領域が関節を横切ることを確実にする。複数の固定領域は、ねじの長さに沿った固定の可能性を増加させて、ねじの移動を減少させることを目的としている。これは、様々な患者の解剖学的構造、様々な骨質、および様々な軌道に適応するのに有利である。ねじアセンブリのシャフトはまた、骨移植片で充填され、固定のために、または、固定を向上させるために仙腸関節を横切り、特にねじの長さが長い場合には、ねじの移動を防止することが意図された、いくつかの重複する垂直スロットを含み得る。図8Aおよび図8Bに示したねじアセンブリもカニューレ状である。
【0041】
図10は、レーザー彫り出し処理で構成されたねじアセンブリを示す。ねじにナノチューブ処理を加えて、オッセオインテグレーションおよび抗菌特性を改善し得る。また、減算処置は、ねじの構造完全性を損なわないように、ねじ山の小径に適用されてもよい。この処置は、ひび割れが伝播する可能性を低減するために、生体材料窓の鋭い端からずらされてもよい。減算処置は、ねじの全長に沿って、または仙骨と接触するねじの部分にのみ、適用され得る。減算処置は、ねじの穴のある部分の近くでは省略されてもよい。
【0042】
図11A図11Fは、様々な方法で製造されたねじアセンブリを示す。具体的には、図11Aは、ねじアセンブリが機械加工され、組み立てられたねじであることを示す。図11Bは、酸エッチング加工されたねじである。図11Cは、レーザー彫り出しのある、機械加工されたねじである。図11Dは、生体材料窓内に位置付けられた、3D印刷された骨プラグを含む、機械加工されたねじである。図11Eは、3D印刷されたねじである。図11Fは、生体材料窓内に位置付けられた、3D印刷された多孔性プラグを有する3D印刷されたダボである。
【0043】
[方法]
上述の固定ねじアセンブリおよび/またはラグねじアセンブリは、さまざまな外科手術方法、特に仙腸関節の固定に関わるものに使用され得る。ねじアセンブリは、最小限の侵襲で挿入され、一つまたは複数の経皮的送達器具を使用して挿入され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、用途には、
a.患者に切開部を形成することであって、切開部が約7mm〜33mmの幅を有する、形成することと、
b.固定ねじアセンブリを挿入するための横方向のアプローチを提供するよう、切開部を通してガイドスリーブを経皮的に挿入することと、
c.ガイドスリーブを通して固定ねじアセンブリを挿入することであって、固定ねじアセンブリが可撓性のワッシャ部材と、シャフトおよびヘッド部分とを備える骨係合部分を含み、ワッシャ部材がヘッド部分周りにロックされた構成で予め組み立てられており、ワッシャ部材がシャフトおよびヘッド部分に対して多軸に移動するよう構成された、挿入することと、
d.腸骨、仙腸関節、および仙骨を通して固定ねじアセンブリを駆動させるようねじドライバを使用することと、
e.ワッシャ部材が腸骨の表面に対して圧縮されるまで、骨部材を通して固定ねじアセンブリを駆動することであって、それによって固定ねじの後退を防止するのに役立つ、駆動することと、
f.仙腸関節の固定を支援するよう、固定ねじを所定の位置に維持することと、を含む外科的方法が含まれる。
【0045】
上述のプロセスは、二つ、三つ、またはそれ以上の固定ねじアセンブリが仙腸関節を横切って配置されるまで、複数回繰り返すことができる。有利なことに、いくつかの実施形態では、仙腸関節の固定を安定させ、且つ、支援するために、少なくとも二つの固定ねじアセンブリが提供される。いくつかの実施形態では、図6に示すように、少なくとも三つの固定ねじアセンブリが提供されている。図示した実施形態に示すように、固定ねじアセンブリ5a、5b、および5cは、可変長さのシャフト10を有する骨係合部分8を含み得る。例えば、固定ねじアセンブリ5aおよび5cは、腸骨7、仙腸関節11、および仙骨9の一部分を通って埋め込まれるのに十分長いシャフト10を有する一方、固定ねじアセンブリ5bは、腸骨7の一部分を通過するのみの、相対的に短いシャフトを有する。
【0046】
上述のプロセスは横方向のアプローチを説明しているが、当業者であれば、固定ねじアセンブリおよび/またはラグねじアセンブリの挿入を、前方および後方になど、その他のアプローチを介して実施することができることを理解するであろう。例えば、図12A図12B、および図12Cは、ねじアセンブリを位置付けるための様々なアプローチを示す。図12Aは、ねじアセンブリが横方向のアプローチで位置付けられる方法を示す。図12Bは、ねじアセンブリが、ねじアセンブリを中央から横方向に配置する後方アプローチに位置付けられる方法を示し、図12Cは、ねじアセンブリが、ねじアセンブリを横方向から中央に配置する後方アプローチに位置付けられる方法を示す。さらに、本出願に包含されるプロセスは、上述のステップに限定されない。例えば、生物学的材料が固定ねじアセンブリに導入され(例えば、生体材料窓を介して)、それによって仙腸関節の固定を助ける、追加的なステップを提供することができる。
【0047】
当業者には、本開示の範囲または精神から逸脱することなく、修正および変形が本開示でなされ得ることが明らかであろう。さらに、改善されたインプラントおよび関連する使用方法は、上述の物体、利点、特徴および態様のすべてを特徴とする必要はない。よって、例えば、当業者は、本明細書に教示または推奨され得る他の物体または利点を必ずしも達成することなく、本明細書に教示されるように、一つの利点または利点の群を達成または最適化する方法で本発明を具現化または実行できることを認識するであろう。さらに、本発明の多数の変形が示され、詳細に記述されてきたが、本発明の範囲内である他の修正および使用方法は、本開示に基づいて当業者にとって容易に明らかであろう。これらの特定の特徴および実施形態の態様の様々な組み合わせまたはサブ組み合わせが作製され、まだ本発明の範囲内にあることが意図されている。従って、開示された実施形態の様々な特徴および態様を、考察したスペーサインプラントの様々なモードを形成するために、互いに組み合わせるかまたは置換できることを理解すべきである。よって、添付の特許請求の範囲またはそれらの等価物の範囲内にあるという条件で、本発明は、この発明の改変例および変形例を含むことを企図している。

図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7-1】
図7-2】
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12