【実施例】
【0022】
実施例1:N−(5−(4−((1,1−ジオキシドチオモルホリノ)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)シクロプロパンカルボキサミドマレイン酸塩(フィルゴチニブマレイン酸塩)形態Iの調製および特性評価
N−(5−(4−((1,1−ジオキシドチオモルホリノ)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)シクロプロパンカルボキサミドを2.1mol当量のマレイン酸と共にアセトン/水(95:5 v/v)中、約50℃で約16時間加熱することにより、フィルゴチニブマレイン酸塩形態Iを調製した。その後、反応内容物を約1.5時間かけて約20℃に冷却し、約20℃で約2時間維持した。次に、反応内容物を濾過した。ウェットケーキをアセトンで洗浄し、撹拌しながら真空下、約50℃で乾燥させた。
【0023】
また、N−(5−(4−((1,1−ジオキシドチオモルホリノ)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)シクロプロパンカルボキサミドを2.1mol当量のマレイン酸とアセトニトリル/水(3:1容量)中、約55℃で混合することにより、フィルゴチニブマレイン酸塩形態Iを生成した。次に、少量のN−(5−(4−((1,1−ジオキシドチオモルホリノ)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)シクロプロパンカルボキサミドマレイン酸塩形態Iを種晶として添加した。反応内容物を同じ温度で約4時間維持した。その後、反応内容物を約0.1℃/分で約0℃〜約5℃に冷却し、一晩維持した。次いで、固体を濾過し、琥珀色ボトルに保存した。
【0024】
また、N−(5−(4−((1,1−ジオキシドチオモルホリノ)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)シクロプロパンカルボキサミドを約1.1mol当量のマレイン酸と共にアセトニトリル/水に約72℃で溶解させることにより、N−(5−(4−((1,1−ジオキシドチオモルホリノ)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)シクロプロパンカルボキサミドマレイン酸塩形態Iを生成した。次に、約25mLのアセトニトリル/水に溶解させた約1.0mol当量のマレイン酸からなる溶液を入れた。次いで、反応内容物を約65℃に冷却し、少量のN−(5−(4−((1,1−ジオキシドチオモルホリノ)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)シクロプロパンカルボキサミドマレイン酸塩形態Iを種晶として加え、撹拌しながら同じ温度で約4時間維持した。その後、反応内容物を約0.1℃/分で約0℃に冷却した。次に、反応内容物に対して2回加熱サイクルを行った。各加熱サイクルは、反応内容物を約1℃/分で約50℃に加熱し、次いで、約0.1℃/分で約0℃に冷却することからなっていた。最後の冷却段階の後、反応内容物を撹拌しながら約0℃で約24時間維持した。次に、反応内容物を濾過し、アセトニトリル/水で2回洗浄した。次いで、単離固体をN
2パージしながら真空オーブン中、約50℃で乾燥させた。
【0025】
また、N−(5−(4−((1,1−ジオキシドチオモルホリノ)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド、約1mol当量のマレイン酸およびTHFを反応器に入れることにより、N−(5−(4−((1,1−ジオキシドチオモルホリノ)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)シクロプロパンカルボキサミドマレイン酸塩形態Iを生成した。反応内容物を約55℃に加熱した。次に、高純度水を反応容器に入れた。次いで、反応内容物を約65℃に加熱した。次に、THFを反応器に入れた。反応内容物を約63℃に加熱し、透明溶液が観察された。次いで、マレイン酸溶液(約1.1mol当量の酸を含む水)、続いて水を反応容器に入れた。反応内容物を約65℃で約1時間熟成させた。次に、反応内容物を約45℃に冷却し、少量のN−(5−(4−((1,1−ジオキシドチオモルホリノ)メチル)フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)シクロプロパンカルボキサミドマレイン酸塩形態Iを種晶として添加した。次いで、反応内容物を約3時間かけて約5℃に冷却し、約5℃で一晩熟成させた。次いで、反応内容物を濾過し、約5℃のTHFで洗浄した。次いで、固体を約50℃で乾燥させた。
【0026】
フィルゴチニブマレイン酸塩形態IのX線粉末回折(XRPD)パターンは、
図1に示されている。XRPDパターンの主なピークを、表1に要約する。
【0027】
【表1】
【0028】
フィルゴチニブマレイン酸塩形態Iは、8.2、11.9、16.4および18.9°2θ±0.2°2θにおけるXRPDピークに特徴付けられ得る。
【0029】
フィルゴチニブマレイン酸塩形態Iの示差走査熱量測定(DSC)曲線および熱重量分析(TGA)は、
図2に示されている。DSC曲線はグラフ中の上の曲線であり、TGA曲線はグラフ中の下の曲線である。
【0030】
フィルゴチニブマレイン酸塩形態Iのプロトン核磁気共鳴スペクトル(
1H NMR)は
図3に示されており、このプロトン核磁気共鳴スペクトルにより、フィルゴチニブ1分子当たり1分子のマレイン酸が存在することが実証されている。
【0031】
以下の実験設定:45kV、40mA、Kα1=1.5406Å、スキャン範囲2〜40°2θ、ステップサイズ0.0167°2θ、カウント時間:15.875秒または48.260秒を使用してPANalytical X’Pert PRO MPD回折計により、フィルゴチニブマレイン酸塩形態IのXRPDパターンを収集した。約2〜3mgの材料を使用して、(−30℃)〜300℃または20℃〜350℃の典型的な範囲にわたって10℃/分の加熱速度でTA Instruments Q2000示差走査熱量計により、DSC分析を行った。約2〜5mgの材料を使用して、25℃〜350℃の典型的な範囲にわたって10℃/分の加熱速度でTA Instruments 2950およびQ5000熱重量分析装置により、TGAデータを得た。
【0032】
実施例2:ファモチジン前処置イヌへの、フマル酸と共におよびフマル酸なしでフィルゴチニブマレイン酸塩形態Iを含む医薬組成物の経口投与後の薬物動態パラメータ
制酸剤(ARA)の同時投与の効果を評価するために、ファモチジン前処置イヌにおいて、フィルゴチニブマレイン酸塩形態Iを含む様々な製剤の薬物動態パラメータを試験した。フィルゴチニブマレイン酸塩形態Iを含む医薬組成物へのフマル酸の添加は、フマル酸を含有しない対照製剤と比較して、ファモチジン前処置イヌにおけるフィルゴチニブの曝露の増加をもたらすことが見出された。同様の結果がクエン酸で得られた。さらに、フマル酸およびフィルゴチニブマレイン酸塩形態Iを含む医薬組成物は、国際公開第2015/117980号に記載されている製剤(「参照製剤」)と比べて、ファモチジン前処置イヌにおけるフィルゴチニブの優れた曝露をもたらした。結果を、表2に要約する。100mg用量のフィルゴチニブを各製剤にて投与した。
【0033】
【表2】
平均値が報告されており、標準偏差がカッコ内である。
【0034】
実施例3:フィルゴチニブマレイン酸塩形態Iを含む医薬組成物
実施例2に示されているデータを考慮して臨床試験において使用するために、フィルゴチニブマレイン酸塩形態Iおよびフマル酸を含む医薬組成物を開発した。医薬組成物(「試験製剤」)中の成分および成分量は、表3に記載されている。
【0035】
【表3】
【0036】
実施例4:第一相研究
試験製剤を用いて第一相単一施設非盲検複数コホート研究を行って、ヒトにおける参照製剤と比較した試験製剤の相対的バイオアベイラビリティと、ヒトにおけるフィルゴチニブの薬物動態に対する制酸剤(ARA)の同時投与の効果とを評価した。研究設計は、以下に記載されている。
【0037】
相対的バイオアベイラビリティ
スクリーニングの完了後、適格被験体をコホート内で処置シーケンスに無作為化した。施した処置は、以下のとおりであった:
処置A:絶食でAMに単回200mg用量のフィルゴチニブを含む参照製剤(2×100mgの錠剤)を投与する
処置B:絶食でAMに単回200mg用量のフィルゴチニブを含む試験製剤(1×200mgの錠剤)を投与する
処置C:絶食でAMに単回100mg用量のフィルゴチニブを含む参照製剤(1×100mgの錠剤)を投与する
処置D:絶食でAMに単回100mg用量のフィルゴチニブ試験製剤(1×100mgの錠剤)を投与する
【0038】
【表4】
【0039】
処置A〜D:一晩絶食(水を除き、少なくとも8時間にわたって食物も飲料もなし)後の午前中に、研究処置を施した。治験薬投与に対して、4時間PKサンプルの収集後まで、被験体は引き続き絶食した。加えて、研究処置と共に与えた240mLの水を除いて、投与の1時間前から投与の2時間後まで、被験体は水消費を制限された。
【0040】
研究センターにおいて、午前中のほぼ同じ時間に毎日、240mLの炭酸抜きの(無炭酸)水を用いてすべての研究処置を経口で施した。
【0041】
以下の、1日目および10日目:0(投与前)、投与後0.5、1、2、3、4、6、8、12、18、24、36、48、72、96および120時間の時点で、フィルゴチニブの午前投与に対して、集中的なPKサンプリングを行った。
【0042】
有効なLC−MS/MS法を使用して、フィルゴチニブの血漿濃度を決定した。Phoenix WinNonlin(登録商標)(Phoenix WinNonlin Professional, version 6.4;Pharsight Corporation, Mountain View, California)を使用してフィルゴチニブの非コンパートメントPKパラメータを推定し、各コホートについて処置別に記述統計学を使用して要約した。固定効果として処置、期間およびシーケンス、ならびに変量効果として被験体を用いた混合効果モデルを使用したパラメトリック(正規理論)分散分析(ANOVA)を、フィルゴチニブのPKパラメータ(AUC
infおよびC
max)の自然対数変換にフィッティングした。試験製剤対参照製剤間の比較におけるPKパラメータの幾何最小二乗平均(GLSM)の比と、比の両側90%信頼区間(CI)とを計算した。
【0043】
フィルゴチニブPKパラメータ、および試験製剤と参照製剤との間の関連統計比較を、以下の表に要約する。データは、試験製剤および参照製剤が、100mgおよび200mgの両方においてフィルゴチニブの同程度の血漿曝露(AUC
infおよびC
max)をもたらしたこと、ならびにGLSM比の90%CIが、70%〜143%の事前指定された同程度の境界内に含まれることを実証している。フィルゴチニブの90%CI(200mgにおけるAUC
infおよびC
max;100mgにおけるAUC
inf)も80%〜125%の生物学的同等性境界内であった。両方の用量レベルにおいて試験製剤および参照製剤について、フィルゴチニブのT
maxおよびt
1/2も同程度であった。
【0044】
【表5】
AUC
inf=0から無限までの血漿濃度対時間曲線下面積;C
max=最大血漿濃度;T
max=C
maxの時間;t
1/2=最終消失半減期;GLSM=幾何最小二乗平均;CI=信頼区間;
a中央値(Q1、Q3)
【0045】
ARA効果
スクリーニングの完了後、以下の処置を適格被験体に投与した:
処置M:絶食でAMに単回200mg用量のフィルゴチニブを含む試験製剤(1×200mgの錠剤)を投与する
処置N:ファモチジン40mg(1×40mgの錠剤)を約12時間あけて1日2回投与する
処置O:絶食状態でAMにファモチジン40mg(1×40mgの錠剤)を投与し、続いて、ファモチジンのAM投与の2時間後に単回用量のフィルゴチニブを含む試験製剤(1×200mgの錠剤)を投与し、フィルゴチニブのAM投与の約12時間後に午後用量のファモチジン40mg(1×40mgの錠剤)を投与する
【0046】
【表6】
【0047】
処置M:一晩絶食(水を除き、少なくとも8時間にわたって食物も飲料もなし)後に、フィルゴチニブを投与した。治験薬投与に対して、4時間PKサンプルの収集後まで、被験体は引き続き絶食した。加えて、研究処置と共に与えた240mLの水を除いて、投与の1時間前から投与の2時間後まで、被験体は水消費を制限された。
【0048】
処置N:食物に関係なくファモチジンを投与した。
【0049】
処置O:一晩絶食(水を除き、少なくとも8時間にわたって食物も飲料もなし)後に、AM用量のファモチジンを投与し、続いて、ファモチジンのAM投与の2時間後に、単回用量のフィルゴチニブを投与した。フィルゴチニブ投与に対して、4時間PKサンプルの収集後まで、被験体は引き続き絶食した。加えて、研究処置と共に与えた240mLの水を除いて、ファモチジンのAM投与の1時間前からフィルゴチニブ投与の2時間後まで、被験体は水消費を制限された。食物に関係なく午後用量のファモチジンを投与した。
【0050】
研究センターにおいて、午前中のほぼ同じ時間に毎日、240mLの炭酸抜きの(無炭酸)水を用いてすべての研究処置を経口で施した。
【0051】
被験体が臨床研究施設に滞在する間に被験体に与えたすべての食事および/または間食は、すべての被験体について標準化されており、カロリーおよび脂肪含有量が同様であり、ほぼ同じ時間に毎日摂取された(例えば、07:30、12:00および18:00)。承認された食事スケジュールにしたがって個別の割当て(例えば、大さじ1杯)単位で、食事成分(例えば、マーガリン、ゼリー、パン)を被験体に与えた。一括による食事成分の提供(例えば、被験体によるゼリー瓶の共用)は実施されなかった。
【0052】
以下の、1日目および10日目:0(投与前)、投与後0.5、1、2、3、4、6、8、12、18、24、36、48、72、96および120時間の時点で、フィルゴチニブの午前投与に対して、集中的なPKサンプリングを行った。6日目の治験薬投与前に、1日目のフィルゴチニブ処置後の120時間PKサンプルを収集した。
【0053】
有効なLC−MS/MS法を使用して、血漿フィルゴチニブ濃度を決定した。Phoenix WinNonlin(登録商標)(Phoenix WinNonlin Professional, version 6.4;Pharsight Corporation, Mountain View, California)を使用してフィルゴチニブの非コンパートメントPKパラメータを推定し、各コホートについて処置別に記述統計学を使用して要約した。固定効果として処置、および変量効果として被験体を用いた混合効果モデルを使用したANOVAを、フィルゴチニブのPKパラメータ(AUC
infおよびC
max)の自然対数変換にフィッティングする。ファモチジンと組み合わせて投与したフィルゴチニブと、単独で投与したフィルゴチニブとの間の比較におけるPKパラメータのGLSMの比と、比の両側90%CIとを計算した。
【0054】
試験製剤の投与後のフィルゴチニブPKに対するファモチジンの効果を、以下の表に要約する。データは、(2時間ずらした)ファモチジンと試験製剤との共投与が、フィルゴチニブPKに対する臨床関連効果をもたらさなかったことを実証している。
【0055】
【表7】
C
maxおよびAUC
infは平均(%CV)で示されている;T
maxおよびt
1/2は中央値(Q1、Q3)で示されている。