(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979122
(24)【登録日】2021年11月16日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】軟組織移植片を調製するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/04 20060101AFI20211125BHJP
A61F 2/08 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
A61B17/04
A61F2/08
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-511790(P2020-511790)
(86)(22)【出願日】2018年8月28日
(65)【公表番号】特表2020-531179(P2020-531179A)
(43)【公表日】2020年11月5日
(86)【国際出願番号】US2018048214
(87)【国際公開番号】WO2019046220
(87)【国際公開日】20190307
【審査請求日】2020年4月16日
(31)【優先権主張番号】62/560,379
(32)【優先日】2017年9月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/550,840
(32)【優先日】2017年8月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/718,715
(32)【優先日】2018年8月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500103074
【氏名又は名称】コンメッド コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カム アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ロンバード ジュゼッペ
【審査官】
槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0156891(US,A1)
【文献】
特開2017−113555(JP,A)
【文献】
特表2004−512897(JP,A)
【文献】
特開2016−016330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/04
A61F 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移植片組立品であって、
近位端及び遠位端を有するフレームであって、第一の縁部、前記第一の縁部から延びる第一の側部、第二の縁部、及び前記第二の縁部から延びる第二の側部を有する壁と、前記第一の縁部及び前記第二の縁部の間において前記近位端と前記遠位端との間に延びる開口部と、前記第一の側部及び前記第二の側部の間において前記近位端から前記遠位端に延びる内腔と、を有するフレームと、
前記第一の縁部と前記第二の縁部との間の前記壁を通って延びる複数のチャネルと、
前記フレームの前記壁を前記近位端から前記遠位端に向かって延びる横断方向の穴と、
前記横断方向の穴に取り外し可能に挿入可能なピンと、を備える、移植片組立品。
【請求項2】
前記フレームの前記内腔内に延びる移植片をさらに備える、請求項1に記載の移植片組立品。
【請求項3】
前記複数のチャネルを通して織られた縫合糸の全長をさらに備える、請求項1に記載の移植片組立品。
【請求項4】
前記縫合糸の全長が、前記壁の前記第一の側部の前記複数のチャネルのうちの一つと、前記壁の前記第二の側部の前記複数のチャネルのうちの一つとの間に延びる、請求項3に記載の移植片組立品。
【請求項5】
前記縫合糸の全長が移植片を囲むように、前記内腔内に延びる前記移植片をさらに備える、請求項4に記載の移植片組立品。
【請求項6】
前記フレームが半円筒形である、請求項1に記載の移植片組立品。
【請求項7】
前記縫合糸の全長が対向する二重螺旋状パターンである、請求項3に記載の移植片組立品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年8月28日出願の、「System for Preparing a Soft Tissue Graft」と題する米国仮特許出願第62/550840号と、2017年9月19日出願の、「Soft Tissue Graft Preparation Suture Construct」と題する米国仮特許出願第62/560379号と、2018年8月14日出願の、「Graft Preparation System」と題する米国仮特許出願第62/718715号との優先権を主張する。
【0002】
技術分野
本発明は一般に、移植片の調製に関し、より具体的には、軟組織移植片上に縫合構築物を装填するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
移植は、ある外科的部位から別の外科的部位へ組織を移す外科手技である。移植は、皮膚の損傷を修復する手技、歯科インプラント、および、例えば膝の靭帯再建といった靭帯再建に使用されうる。このように、様々な組織が、皮膚、骨、腱に移植されてもよく、これらを含むがこれらに限定されない。さらに、移植片は、合成材料から構成されてもよく、または、人(患者またはドナーのいずれか)から得られてもよい。
【0004】
移植片を迅速かつ安全に調製できることにより、外科医には、外科手技の全体時間を削減できるという利点がもたらされる。移植片を調製する従来の方法の一つには、かがり縫いをすることが含まれる。かがり縫いは、ACL手術などの靭帯再建において移植片を調製する方法として一般的に使用される方法である。さらに、軟組織自己移植片を得る工程中に、端に縫い目を通過させて、制御を維持し、且つ、反対牽引力をもたらすことが望ましい。かがり縫い、および、得ている間に縫い目を通すことのどちらにおいても、移植片を縫い付ける作業は、移植片を複数回の穿刺する必要のある、長く、多大な労力を要するプロセスである。穿刺する毎に移植片の調製に必要となる時間が増加し、移植片への外傷を引き起こす。
【0005】
移植片への外傷を減らすため、移植片を調製するその他の方法が開発されてきた。例えば、固定された中央の主要なライン(「脊椎」)を有する縫合構築物が、移植片の周りに配置されてきた。脊椎は、移植片の周りに配置される前に縫合構築物の潰れを防ぐように設計された。しかしながら、脊椎によって移植片上での放射状の圧縮が制限され、移植片と骨トンネルとの間の接触面積が減少する。
【0006】
そのため、移植片の穿刺の回数を減らし、外科手術用移植片を調製するのに必要な時間を減らし、且つ、移植片の骨との接触を改善する、移植片を調製するためのシステムおよび方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、移植片の調製、とりわけ、軟組織移植片上に縫合構築物を装填するためのシステムおよび方法に関する。一態様では、本発明は移植片組立品である。移植片組立品は、近位端と遠位端との間に延びる開口部を備えるフレームを含む。フレームは、第一の縁部に延びる第一の側部と、第二の縁部に延びる第二の側部とを有する壁を有する。内腔が第一の側部と第二の側部との間に延び、複数のチャネルが第一の縁部と第二の縁部との間の壁を通って延びる。移植片組立品はまた、フレームの近位端を通って延びる横断方向の穴と、横断方向の穴に取り外し可能に挿入されたピンとを含む。
【0008】
別の態様では、移植片組立品は、閉端部と開端部とを有し、縫合糸の第一の尾部と縫合糸の第二の尾部が開端部にある、縫合構築物を含む。縫合構築物はまた、閉端部に、縫合糸の第一および第二の尾部から形成された第一の閉ループを有する。第一のスプライスは、閉ループと開端部との間の第二の尾部において、第一の尾部によって形成される。第二の閉ループは、スプライスと開端部との間の縫合糸の第一および第二の尾部から形成され、第二のスプライスは、第二の閉ループと開端部との間の第二の尾部において、第一の尾部によって形成される。
【0009】
さらに別の態様では、移植片組立品は、近位端に第一の側部と、遠位端に第二の側部とを有するフレームを含み、内腔が近位端と遠位端との間のフレームを通って延びる。移植片組立品はまた、内腔に取り外し可能に挿入可能な摺動スペーサーを含む。摺動スペーサーは、その遠位端から延びる少なくとも二つの離間した指部を有する。摺動スペーサーが内腔に挿入される場合、指部の間にチャネルがある。
【0010】
別の態様によれば、本発明は移植片を調製する方法である。方法は、(i)近位端と遠位端とを有するフレームと、フレームを通って近位端から遠位端に延びる内腔と、フレームに沿って延びる複数のチャネルと、フレームの近位端を通って延びる横断方向の穴とを提供することと、(ii)ピンを横断方向の穴内に挿入することと、(iii)移植片をフレームの内腔内に挿入することと、(iv)移植片の上でチャネルを通って縫合糸の全長を織ることと、を備える。
【0011】
別の態様によれば、(iv)移植片の上でチャネルを通って縫合糸の全長を織ることは、(v)縫合糸の全長の第一の尾部および第二の尾部を移植片の近位端に通すことと、を備える。
【0012】
別の態様によれば、方法は、(vi)横断方向の穴からピンを取り除くことを含む。
【0013】
さらに別の態様によれば、方法は、(vii)フレームからの縫合糸の全長が織られた移植片からフレームを取り除くことを含む。
【0014】
別の態様によれば、方法は、(viii)縫合糸の第一および第二の尾部を張らせることを含む。
【0015】
別の態様によれば、縫合糸の第一および第二の尾部を張ることにより、移植片の周りの縫合糸の全長を半径方向に圧縮する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の一つまたは複数の態様は、本明細書の終了時に特許請求の範囲の例として特に指摘され、特定的に特許請求される。本発明の前述およびその他の物体、特徴、および利点は、以下の記述から添付図面と併せて明らかである。
【0017】
【
図1】
図1は、一実施形態による、開かれた、装填されていない構成にある移植片組立品の概略上面斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態による、閉じられ、装填された構成にある移植片組立品の概略上面斜視図である。
【
図3】
図3は、一実施形態による、調製済みの構成にある移植片の概略斜視図である。
【
図4】
図4は、代替的な実施形態による、移植片組立品のトラップの概略側面図である。
【
図5】
図5は、代替的実施形態による、閉じられ、装填されていない構成にある移植片組立品の概略斜視図である。
【
図6】
図6は、代替的実施形態による、閉じられ、装填された構成にある移植片組立品の概略斜視図である。
【
図7】
図7は、代替的実施形態による、調製済みの構成にある移植片の概略斜視図である。
【
図8】
図8は、代替的実施形態による、縫合糸の全長の概略上面斜視図である。
【
図9】
図9は、代替的実施形態による、縫合構築物の概略上面斜視図である。
【
図10】
図10は、代替的実施形態による、閉じられ、装填された構成にある移植片組立品の概略上面斜視図である。
【
図11】
図11は、代替的実施形態による、閉じられ、装填された構成にある移植片組立品の概略底面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の態様および特定の特徴、利点、およびその詳細は、添付図面に図示した非限定的な例を参照しながらより完全に説明される。本発明を不必要に不明瞭にしないよう、周知の構造の説明は省略される。しかしながら、本発明の態様を示しつつ、詳細な説明および特定の非限定的な例は、例示のみによって与えられ、限定されるものではないことが理解されるべきである。本発明の主な概念の精神および/または範囲内で、さまざまな置換、修正、追加、および/または配置は、本開示から当業者に明らかであろう。
【0019】
ここで
図1を参照すると、一実施形態による、開放された装填されていない構成における移植片組立品10の上面斜視図が示されている。図示したように、移植片組立品10は、中央長手方向y−y軸に沿って延びるフレーム12を備える。フレーム12は、中央長手方向y−y軸に沿って延びる開放側部14を有し、近位端16と遠位端18との間に延びる。図示した実施形態では、フレーム12は、フレーム12が第一の縁部22と第二の縁部24との間に延びる壁20を備え、その間に内腔26を画定するように、半円筒形である。内腔26は、フレーム12を通り、第一の縁部22と第二の縁部24との間に延びる。
【0020】
図1に示すように、壁20は、中央長手方向y−y軸の一方の側部上の第一の縁部22に延びる第一の側部28を有し、壁20は中央長手方向y−y軸の反対側にある第二の縁部24に延びる第二の側部30を有する。図示した実施形態では、第一の縁部22および第二の縁部24は平行であるが、フレーム12および縁部22、24のその他の構成が意図されている。また、示されるように、第一の縁部22および第二の縁部24は平坦であり、同一の平面内に延びる。
【0021】
さらに
図1を参照すると、フレーム12の壁20は、第一の縁部22と第二の縁部24との間に延びる複数のチャネル32を備える。図示した実施形態では、チャネル32は、二つのチャネル32が中央長手方向y−y軸の近くで集結し、第一の縁部22および第二の縁部24に向かって分岐するように、一対となる。フレーム12はまた、フレーム12の近位端16上に一つまたは複数の横断方向の穴34を備える。横断方向の穴34は、フレーム12の第一の側部22および第二の側部24を少なくとも部分的に通って延びる。図示した実施形態では、横断方向の穴34は、フレーム12の第一の側部22および第二の側部24を通り、遠位端18に、およびすべてのチャネル32を通って延びる。横断方向の穴34は、ピン36を受けるようにサイズ決めされ、構成される。ピン36が横断方向の穴34に挿入され、それを通って延びる場合、下記に詳細に説明する通り、ピン36が開いた内腔26を保持し、縫合糸の突出部が不本意に外れてしまうのを防止する。一つまたは複数のピン36は、様々な配列および構成で連結されて、縫合糸がフレーム12から外れるのを制御することができる。
【0022】
ここで
図2を参照すると、一実施形態による、閉じられ、装填された構成にある移植片組立品10の上面斜視図の略図が示されている。
図2に示す、閉じられ、装填された構成を達成するには、ピン36が最初にフレーム12の近位端16上の横断方向の穴34に挿入され、それを通って延ばす。次に、移植片100を、フレーム12の内腔26に装填する。
図2に示すように、移植片100の少なくとも近位端102がフレーム12の近位端16の壁20を超えて延びるように、移植片100が内腔26内に装填される。
【0023】
さらに
図2を参照すると、移植片100が内腔26に挿入された後、ニードル38がフレーム12の近位端16に結合される。図示した実施形態では、ニードル38は、縫合糸40でフレーム12の近位端16に固定される。次いで、ニードル38を使用して、移植片100を穿刺し、それを通って縫合糸40(ニードル38に接続される)の第一の尾部42と第二の尾部44を通過させる。縫合糸40は、移植片100を通過し、チャネル32を通過する。チャネル32の配置または構成は、縫合糸40を対向する二重螺旋状パターンに受け入れ、トラップ46を形成する。トラップ46が形成されると、
図2に示すように、縫合糸40の第一の尾部42および第二の尾部44は切断されて、ニードル38を取り除く。
【0024】
トラップ46を移植片100の周りに配置するため、横断方向のピン36以外はすべてフレーム12から取り除かれる。縫合糸40の第一の尾部42および第二の尾部44に張力が与えられるにつれ、トラップ46が移植片100上で折り畳まれる。横断方向のピン36以外をすべて取り除くことにより、トラップ46は移植片100上で折り畳まれるが、(対向する二重螺旋状パターンによる)間隙または空間を維持する。トラップ46が移植片100上に配置されると、最後の横断方向のピン36は取り外されて、フレーム12から調製済みの構成で、移植片100を遊離させる。
【0025】
ここで
図3を参照すると、一実施形態による、調製済みの構成における移植片100が示されている。示されるように、トラップ46は、移植片100上に、対向する二重螺旋状パターンで形成される。張力が縫合糸40の第一の尾部42および第二の尾部44に印加されて、トラップ46と移植片100との間の残りのスラックを除去する。調製済みの構成では、縫合糸40の第一の尾部42および第二の尾部44にさらに張力が加わると、移植片100上で径方向の圧縮(トラップ46による)を引き起こす。
【0026】
ここで
図4〜
図7を参照すると、代替的実施形態による移植片組立品50の斜視図の略図が示されている。ここで
図4を参照すると、一実施形態による、移植片組立品50のトラップ(例えば、縫合構築物)64の斜視図の略図が示されている。
図4に示すトラップ64は、縫合糸56の単一の撚糸から構成された縫合構築物である。図示した実施形態では、縫合糸56は、縫合糸56のほぼ中点61で折り畳まれて、第一の尾部68および第二の尾部70に延びる閉端部63を形成する。第一の尾部68は、第二の尾部70内、スプライス62内、第一の長さLの上へと継ぎ合わされ、閉端部63において閉ループ60を作出する。
【0027】
さらに
図4を参照すると、図示するように、追加的なスプライス62は、第一の尾部68によって、第二の尾部70に沿って、第二の尾部70内に連続して形成される。第二の尾部70に形成されるスプライス62の数は、例えば、移植片100のサイズ、移植片100を埋め込む外科的部位といった、様々な要因による。図示した実施形態では、スプライス62の間に間隙65があり、それぞれが閉ループ60を形成する。よって、移植片100の全長に沿った複数の閉ループ60がありうる。
【0028】
ここで
図5を参照すると、代替的実施形態による、閉じられた、装填されていない構成における移植片組立品50の斜視図が示されている。
図5の移植片組立品50は、中央長手方向y−y軸に沿って延び、内側内腔54を有する中空管52を含む。閉じられた、装填されていない構成では、トラップ64(
図4)は、中空管52の外面58に装填される。図示された実施形態では、中空管52は、閉ループ60のそれぞれを通って挿入され、スプライス62がトラップ64の中空管52の全長に沿って延びる。閉ループ60を複数のスプライス62を通して形成することは、閉ループ60の空間を維持するために機能する。スプライス52は、移植片100の周りに張力をかけたときにトラップ64の潰れを防ぎ、その他の移植片の調製方法と比較して、移植片100と骨との間の接触を改善できる。スプライス52により、従来のトラップの全長に沿って延びる脊椎が静止または固定されている必要がなくなる。
図5〜
図7に図示した実施形態では、トラップ64が中空管52に装填されると、縫合糸56の第一の尾部68および第二の尾部70は、スプライス52から中空管52の近位端72に向かって延びる。
【0029】
ここで
図6を参照すると、一実施形態による、閉じられ、装填された構成にある移植片組立品50の斜視図の略図が示されている。
図6に示すように、移植片100は、その遠位端74を通して中空管54の内側内腔54内に挿入される。移植片100は、
図3に示し上述した軟組織移植片100を含むが、これに限定されない、任意のタイプの移植片100であってよい。トラップ64を移植片100の周りに配置するために、中空管52は、トラップ64の閉ループ60を通してそれを引き戻すことによって取り除かれる。
【0030】
ここで
図7を参照すると、代替的実施形態による、調製済みの構成にある移植片100の斜視図の略図を示されている。図示した実施形態では、中空管52は、トラップ64の閉ループ60から引き出されており、トラップ64が移植片を囲んでいる。トラップ64が移植片100の周りにあると、縫合糸56の第一の尾部68および第二の尾部70が引き出されて、移植片100の周りでトラップ64を締め付けるか、またはその他の方法で圧縮して、
図7に示した調製済みの構成となる。第一の尾部68および第二の尾部70が張力を受けると、スプライス62が締め付けられる。スプライス62のスラックが減少するにつれ、スプライス62は、
図7に示すように、移植片100の周りを回転(少なくとも部分的に)しうる。
【0031】
ここで
図8〜
図11を参照すると、代替的実施形態による、移植片組立品80の斜視図の略図が示されている。ここで
図8を参照すると、代替的実施形態による、移植片組立品80のトラップ(例えば、縫合構築物)84(
図9に示す)を作出するのに使用される縫合糸82の連続した全長の上面斜視図の略図が示されている。
図8に示すように、トラップ84(
図9)は、縫合糸82の全長を折り畳むことによって作出され(すなわち、「U」形状になる)、二つの突出部86を形成する。二つの突出部86には、ポストの、第一の突出部86Aと、摺動する、第二の突出部86Bとがある。摺動する、第二の突出部86Bは、一連の通過位置88でポストの、第一の突出部86Aを穿刺して通過し、ポストの、第一の突出部86Aに沿って調整可能な一連のループ90を作出する。
図9に示すように、最後の通過位置88’に隣接して、摺動する、第二の突出部86Bは、ポストの、第一の突出部86Aにおいてスプライス92を通過する。図示した実施形態では、摺動する、第二の突出部86Bは、スプライス92から延びるループ端85を備える。
【0032】
図10〜
図11は、代替的実施形態による、移植片組立品80に装填されたトラップ84(
図9)の上面および底面斜視図の略図を示す。
図1〜
図2の移植片組立品10の実施形態と同様に、
図10〜
図11の移植片組立品80は、中央長手方向y−y軸に沿って、近位端16と遠位端18との間に延びるフレーム12を備える。図示した実施形態では、フレーム12は、近位端16における第一の側部22と、遠位端18における第二の側部24とを有する実質的な長方形である。スロット26は、第二の側部24からフレーム12内の内腔34に延びる。図示した実施形態では、内腔34は、フレーム12の上側部81および底側部83を通って延びる。内腔34は、
図1に示す移植片組立品100の実施形態のピン36に相当する摺動スペーサー36を受けるようにサイズ決めされる、または別の方法で構成される。
【0033】
さらに
図10〜
図11を参照すると、摺動スペーサー36は、フレーム12の内腔34内に摺動可能である。図示した実施形態では、摺動スペーサー36はハンドル端部87を備え、ハンドル端部87によって内腔34内の摺動スペーサー36の適切な配置が容易となるように、ハンドル端部87が内腔34よりも幅広い。摺動スペーサー36はまた、プロング遠位端を備え、複数の指部(例えば、ロッドまたはプロング)91がそれに接続されている。
図10〜
図11に示すように、移植片組立品80が閉じられ、装填された構成にある場合、指部91が内腔34を横切って延びるよう、摺動スペーサー36が内腔26内に挿入され、指部91の間にチャネル32を作出する。図示した実施形態では、指部91は、内腔34内の中央長手方向y−y軸に平行に延びる。
【0034】
移植片組立品80を装填するには、ポストの、第一の突出部86Aがフレーム12の底側部83上に延び、トラップ84のピッチ89を維持するように、トラップ84の各ループ90がチャネル32を通して挿入される。
図10〜
図11に示すように、ループ90はチャネル32を通って延び、中空管52はフレーム12の上側部81上のループ90を通過する。トラップ84が中空管52に装填される場合、トラップ84は折り畳み可能な螺旋形状である。示すように、中空管52は、チャネル32の上で(中央長手方向y−y軸に垂直な)横断方向に延在する。
【0035】
図4〜
図7に示す実施形態と類似して、移植片(図示せず)は、所望の距離で中空管52に挿入される。図示した実施形態では、移植片組立品80の上側部81は、移植片(図示せず)が中空管52内で移動した距離を示すインジケータ93を有する目盛り95を有する。移植片(図示せず)が中空管52内の所望の位置にあると、中空管52が取り除かれ、移植片(図示せず)がフレーム12の上側部81のトラップ84内に残る。次に、摺動する、第二の突出部86Bのループ端85に牽引力が加えられる。牽引力により、螺旋形状のトラップ84が移植片(図示せず)の周りに径方向に折り畳まれる。トラップ84が径方向に折り畳まれた後、摺動スペーサー36は内腔34(およびフレーム12)から取り除かれ、トラップ84を解放する。次に、移植片(図示せず)上のトラップ84を完全に折り畳むため、さらなる張力が加えられてもよい。
図9に示すトラップ84は、移植片(図示せず)上のトラップ84を潰す行為の間に摩擦抵抗を減少させた。摩擦抵抗の低減は、摺動する、第二の突出部86Bが、通過位置88において、ポストの、第一の突出部86Aを通過する低摺動抵抗によるものである。端子スプライス92は、摺動する、第二の突出部86Bへの張力が解放された後、緩みに抵抗し、トラップ84上の残留張力を維持する。
【0036】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためであり、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことが意図される。用語「含む(comprise)」(および「含む(comprises)」や「含む(comprising)」などのcompriseの任意の形式)、「有する(have)」(および「有する(has)」や「有する(having)」などのhaveの任意の形式)、「含む(include)」(および「含む(includes)」や「含む(including)」などのincludeの任意の形式)、および「包含する(contain)」(および「包含する(contains)」や「包含する(containing)」などのcontainの任意の形式)は、オープンエンドのリンク動詞であることがさらに理解されるだろう。結果として、一つまたは複数のステップまたは要素を「含む(comprise)」、「有する(have)」、「含む(include)」または「包含する(contain)」方法または装置。同様に、一つまたは複数の特徴を「含む(comprise)」、「有する(have)」、「含む(include)」または「包含する(contain)」方法のステップ、または装置の要素は、それら一つまたは複数の特徴を有するが、それらの一つまたは複数の特徴のみを保持することに限定されない。さらに、特定の方法で構成される装置または構造は、少なくともそのように構成されるが、リストされていない方法で構成することもできる。
【0037】
以下の特許請求の範囲の全ての手段またはステッププラス機能要素の対応する構造、材料、行為および同等物は、もしあれば、具体的に請求される他の特許請求の要素と組み合わせて、機能を実行するための構造、材料または行為を含むことを意図している。本発明の説明は、例示および説明の目的で提示されてきたが、本発明に開示された形態で網羅的または限定されるものではない。多くの修正および変形は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。実施形態は、本発明の一つまたは複数の態様の原理および実際の応用を最もよく説明し、当業者が、考えられる特定の用途に適したさまざまな修正を有するさまざまな実施形態について本発明の一つまたは複数の態様を理解できるように選択および説明された。