特許第6979138号(P6979138)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6979138取り外し可能な抽出リザーバによる流体抽出
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979138
(24)【登録日】2021年11月16日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】取り外し可能な抽出リザーバによる流体抽出
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20211125BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20211125BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20211125BHJP
   B41J 2/195 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   B41J2/175 151
   B41J2/175 501
   B41J2/18
   B41J2/01 401
   B41J2/195
   B41J2/175 301
   B41J2/175 175
   B41J2/01 451
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-558537(P2020-558537)
(86)(22)【出願日】2018年7月13日
(65)【公表番号】特表2021-519711(P2021-519711A)
(43)【公表日】2021年8月12日
(86)【国際出願番号】US2018041965
(87)【国際公開番号】WO2020013841
(87)【国際公開日】20200116
【審査請求日】2020年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】シャーク,ウェズレイ,アール
(72)【発明者】
【氏名】アーノルド,クリストファー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】サザーランド,ジェシー
【審査官】 上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/073074(WO,A1)
【文献】 特開2018−134834(JP,A)
【文献】 特開平10−202900(JP,A)
【文献】 特表2005−518526(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0230730(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/175
B41J 2/18
B41J 2/01
B41J 2/195
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体抽出システムであって、
取り外し可能な抽出リザーバを印刷装置に流体的及び電気的に結合するインターフェースであって、前記取り外し可能な抽出リザーバが、前記印刷装置内のリザーバからある量の流体を受け取るものである、インターフェースと、
結合された取り外し可能な抽出リザーバのメモリから受信したデータに基づいて、前記リザーバからの流体を前記取り外し可能な抽出リザーバに受け渡す流体抽出動作を開始するコントローラと
を含む、流体抽出システム。
【請求項2】
前記取り外し可能な抽出リザーバをさらに含む、請求項1に記載の流体抽出システム。
【請求項3】
前記流体抽出動作中に前記リザーバと前記取り外し可能な抽出リザーバとの間に流体経路を確立するバルブと、
前記流体抽出動作中に前記リザーバから前記取り外し可能な抽出リザーバへ流体を移動させるポンプと
をさらに含む、請求項1または請求項2に記載の流体抽出システム。
【請求項4】
前記リザーバの下流側にあるポンプがアイドルであり、前記バルブが閉じており、かつ、前記印刷装置の前記リザーバの上流側にあるポンプがアクティブであるときに、流体が内部に配置された前記取り外し可能な抽出リザーバから前記印刷装置内の前記リザーバへ流体が受け渡され、
前記リザーバの下流側にある前記ポンプがアクティブであり、前記バルブが閉じており、かつ、前記印刷装置の前記リザーバの上流側にある前記ポンプがアイドルであるときに、前記印刷装置内の前記リザーバから前記印刷装置内のプリントヘッドへ流体が受け渡され、
前記リザーバの下流側にある前記ポンプがアクティブであり、前記バルブが開いており、かつ、前記印刷装置の前記リザーバの上流側にある前記ポンプがアクティブであるときに、前記印刷装置内の前記リザーバを通って流体が循環され、
前記リザーバの下流側にある前記ポンプがアクティブであり、前記バルブが開いており、かつ、前記印刷装置の前記リザーバの上流側にある前記ポンプがアイドルであるときに、前記印刷装置内の前記リザーバから前記取り外し可能な抽出リザーバへ流体が受け渡され、
前記リザーバの下流側にある前記ポンプがアクティブであり、前記バルブが閉じており、かつ、前記印刷装置の前記リザーバの上流側にある前記ポンプがアクティブである場合、前記印刷装置内の前記リザーバから前記プリントヘッドへ流体が受け渡され、前記取り外し可能な抽出リザーバから前記リザーバへ流体が受け渡される、請求項3に記載の流体抽出システム。
【請求項5】
前記データは、
前記取り外し可能な抽出リザーバへの許容可能な流体抽出の回数;
前記取り外し可能な抽出リザーバの容量;
前記取り外し可能な抽出リザーバ内に配置された流体の流体経年数;
前記取り外し可能な抽出リザーバ内に配置された流体の量;
流体タイプ;
取り外し可能な抽出リザーバのタイプ;又は
それらの組み合わせ
を示すものである、請求項1〜4の何れか一項に記載の流体抽出システム。
【請求項6】
前記印刷装置の前記リザーバ内に配置され、前記抽出動作をいつ終了するかを決定する流体レベルセンサをさらに含む、請求項1〜5の何れか一項に記載の流体抽出システム。
【請求項7】
流体輸送システムであって、
ある量の流体を保持するための1つのリザーバと、
リザーバごとの流体抽出システムと
を含み、各流体抽出システムが、
取り外し可能な抽出リザーバを対応するリザーバに流体的及び電気的に結合するインターフェースと、
刷装置内の複数回の流体輸送動作を可能にするコントローラであって、前記複数回の流体輸送動作が、前記取り外し可能な抽出リザーバのメモリデバイスから受信したデータに基づいて開始される流体抽出動作を含む、コントローラと、
前記流体抽出動作中に前記対応するリザーバと前記取り外し可能な抽出リザーバとの間に流体経路を確立するバルブと、
前記流体抽出動作中に前記対応するリザーバから前記取り外し可能な抽出リザーバへ流体を移動させる1つのポンプと
を含む、流体輸送システム。
【請求項8】
前記複数回の流体輸送動作は、
リザーバ充填動作;
リザーバ流体再循環動作;
プリントヘッド流体再循環動作;又は
それらの組み合わせ
をさらに含む、請求項7に記載の流体輸送システム。
【請求項9】
前記流体輸送システムは、さらに別のリザーバを含み、
空きのインターフェースに対応するリザーバは、使用中のインターフェースに対応するリザーバが使い果たされた状態で流体を循環させる、請求項7または請求項8に記載の流体輸送システム。
【請求項10】
前記流体抽出動作の状態を表示するための表示装置をさらに含む、請求項7〜9の何れか一項に記載の流体輸送システム。
【請求項11】
各インターフェースは、一致するキー機構を有する取り外し可能な抽出リザーバのみに挿入を制限するキー機構をさらに含む、請求項7〜10の何れか一項に記載の流体輸送システム。
【請求項12】
印刷装置のインターフェースにおいて、取り外し可能な抽出リザーバを受け入れ、
前記取り外し可能な抽出リザーバのメモリデバイスからデータを抽出し、
抽出されたデータに基づいて、前記印刷装置のリザーバ内の流体の前記取り外し可能な抽出リザーバへの抽出動作を初期化すること
を含む方法。
【請求項13】
前記リザーバが空であることを示す指示;
前記取り外し可能な抽出リザーバが満杯であることを示す指示;又は
それらの組み合わせ
に基づいて前記抽出動作を終了することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記抽出されたデータに基づいて、前記取り外し可能な抽出リザーバへの抽出が許容されるか否かを判定すること
をさらに含む、請求項12または請求項13に記載の方法。
【請求項15】
リモートサービスを介して前記抽出動作を許可すること
をさらに含む、請求項12〜14の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
印刷装置は、基板表面に流体を配送するように動作する。例えば、プリンタは、インクのような流体を紙のような表面に所定のパターンで配送するように動作する場合がある。別の例では、積層造形動作の一部として、積層造形流体が配送される。流体は、リザーバ又は他の供給源からそれらの印刷装置に供給される。つまり、リザーバは、印刷装置に渡され、最終的には表面に堆積されることになる大量の流体を保持している。
【図面の簡単な説明】
【0002】
添付の図面は、本明細書に記載された原理の様々な例を示している。図示されている例は、例示のために提供されるものであり、特許請求の範囲を制限するものではない。
図1】本明細書に記載された原理の例による、取り外し可能な抽出リザーバに流体を抽出するための流体抽出システムのブロック図である。
図2】本明細書に記載された原理の例による、取り外し可能な抽出リザーバに流体を抽出するための流体抽出システムを備えた印刷装置の等角図である。
図3】本明細書に記載された原理の例による、取り外し可能な抽出リザーバに流体を抽出するための流体輸送システムの図である。
図4】本明細書に記載された原理の例による、取り外し可能な抽出リザーバに流体を抽出する方法のフロー図である。
図5A】本明細書に記載された原理の例による、様々な流体輸送動作の一例を示す図である。
図5B】本明細書に記載された原理の例による、様々な流体輸送動作の一例を示す図である。
図5C】本明細書に記載された原理の例による、様々な流体輸送動作の一例を示す図である。
図5D】本明細書に記載された原理の例による、様々な流体輸送動作の一例を示す図である。
図5E】本明細書に記載された原理の例による、様々な流体輸送動作の一例を示す図である。
図6】本明細書に記載された原理の例による、取り外し可能な抽出リザーバに流体を抽出するための方法のフロー図である。
【0003】
図面全体を通して、同一の参照符号は、類似しているが必ずしも同一ではない要素を示している。図は必ずしも縮尺どおりではなく、一部の部品のサイズは、図示されている例をより明確に示すために、誇張されている場合がある。さらに、図面は、説明と一致する例及び/又は実施形態を提供するが、説明が図面に提供された例及び/又は実施形態に限定されることはない。
【発明を実施するための形態】
【0004】
[詳細な説明]
上記のように、プリンタ内のインク及び/又は3Dプリンタ内の積層造形液のような流体は、印刷装置から表面に堆積される。流体は、吐出される流体を保持するリザーバを介して供給される。例えば連続流体システムのような一部の例では、リザーバは、プリンタの内部にある。時間の経過により、リザーバから流体が使い果たされると、リザーバは、補充され、すなわち、満杯にされる場合がある。
【0005】
連続流体システムを備えたそのようなプリンタは有益であるかもしれないが、状況によっては、追加の動作から利益が得られる場合がある。例えば、連続流体システムを備えた印刷装置は、契約に基づいて使用されることがあり、その場合、インクのような印刷流体は、契約条件に基づいて供給されることがある。しかしながら、流体がリザーバに残ったまま印刷装置が契約終了日に達した場合、流体供給業者は、リザーバから液体を抽出することを望む場合がある。例えば、契約の終了時に印刷装置が供給業者に返却される場合、流体供給業者は、例えば流体が漏れるのを避けるために、印刷装置が印刷装置供給業者に返却される前にリザーバから流体を抽出することに関心を持つ場合がある。エンドユーザーが印刷装置を購入した場合、流体供給業者は、例えばエンドユーザーが契約上の流体を支払いなしに使用し、及び/又は契約外で使用することを避けるために、契約の終了時にリザーバから流体を抽出することに関心を持つ場合がある。別の例では、印刷装置は、修理するには費用がかかりすぎる故障を有する場合があり、したがって、その印刷装置は、運用から外される場合がある。この例の場合も、流体供給業者は、印刷装置を廃棄する前にリザーバから流体を抽出することを望む可能性がある。
【0006】
リザーバからインクのような流体を取り除くことが望ましい場合の他の例としては、印刷装置の長期保管、及び/又は、印刷装置の輸送が挙げられる。何れの事例においても、インクをリザーバに残しておくことは、望ましくない可能性がある。なぜなら、顔料が沈殿して配送システムが詰まる可能性があり、長期保管中にインクが乾燥する可能性があり、及び/又は、一般に輸送に伴う押し合い中にインクがこぼれる可能性があるからである。
【0007】
さらに別の例として、その特定のリザーバ、別のリザーバ、又はそれらのリザーバが配置されたモジュールのサービス、修理、及び/又は交換イベント中に、リザーバからインクを取り除くことが望ましい場合がある。
【0008】
したがって、本明細書は、リザーバ内に配置された流体の無欠陥性を維持しながら、リザーバ内の流体を安全な方法で抽出することができる流体抽出動作を記載している。そのため、流体を、環境汚染にさらすことなく、他の印刷装置で使用するためにリサイクルすることができる。
【0009】
具体的には、本明細書は、流体抽出システムを記載している。このシステムは、取り外し可能な抽出リザーバを印刷装置に流体的及び電気的に結合するインターフェースを含む。前記取り外し可能な抽出リザーバは、前記印刷装置内のリザーバからある量の流体を受け取るものである。このシステムは、結合された取り外し可能な抽出リザーバのメモリから受信したデータに基づいて、前記リザーバからの流体を前記取り外し可能な抽出リザーバへ受け渡す抽出動作を開始するためのコントローラをさらに含む。
【0010】
本明細書は、流体輸送システムも記載している。前記流体輸送システムは、ある量の流体を保持するためのリザーバを含む。前記流体輸送システムは、インターフェース及びコントローラを備えた前記流体抽出システムをさらに含む。この例では、前記コントローラにより、前記流体輸送システム内の複数回の流体配送動作が可能になる。前記複数回の流体輸送動作は、前記取り外し可能な抽出リザーバのメモリデバイスから受信したデータに基づいて開始される流体抽出動作を含む。この例では、前記流体抽出システムは、前記流体抽出動作中に前記対応するリザーバと前記対応する取り外し可能な抽出リザーバとの間に流体経路を確立するリザーバごとのバルブをさらに含む。前記流体輸送システムは、前記流体抽出動作中に前記対応するリザーバから前記対応する取り外し可能な抽出リザーバへ流体を移動させるリザーバごとのポンプをさらに含む。
【0011】
本明細書は、リザーバから流体を抽出する方法も記載している。この方法によれば、印刷装置のインターフェースにおいて、取り外し可能な抽出リザーバが受け入れられる。前記取り外し可能な抽出リザーバのメモリデバイスからデータが抽出される。前記抽出されたデータに基づいて、リザーバ内の流体の前記取り外し可能な抽出リザーバへの抽出が初期化される。
【0012】
そのような流体抽出システムによれば、次のことが可能になる。(1)契約外/機能していない印刷装置内に配置された通常なら使用可能な流体の廃棄を防止すること。(2)契約外/機能していない印刷装置内の不要になった流体を流体供給業者が回収できるため、流体供給業者の経済的リスクを低減すること。(3)長期保管中にインクの乾燥による印刷装置の故障を防止すること。(4)サービスのコストと複雑さを低減すること。(5)無許可の流体の補充を防止すること。(6)リザーバ内に流体がなくても印刷装置のリサイクルを可能にすること。(7)単一のリザーバからの抽出を可能にすること。(8)インクの安全な回収と補充を可能にすること。
【0013】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「流体輸送動作」という用語は、システムを通して流体を輸送する動作を指している。流体輸送動作の例としては、リザーバを介した再循環、プリントヘッドを介した再循環、リザーバの補充、及びリザーバからの流体の抽出が挙げられる。
【0014】
ここで図面に目を向けると、図1は、本明細書に記載された原理の例による、取り外し可能な抽出リザーバに流体を抽出するための流体抽出システム(100)のブロック図である。具体的には、図1は、インクのような流体を、流体の無欠陥性を維持する形で抽出することにより、その流体を将来、同じプリンタ又は異なるプリンタの充填に使用できるようにする閉ループ流体抽出システム(100)のブロック図である。流体抽出システム(100)は、図2に示されるような印刷装置内に配置される場合がある。この例では、抽出される流体は、インクである。他の例では、抽出される流体は、インク以外のものであってよい。例えば、流体は、積層造形動作で使用される融着剤であってもよい。
【0015】
流体抽出システム(100)は、インターフェース(102)を含む。インターフェース(102)は、取り外し可能な抽出リザーバを受け入れ、その取り外し可能な抽出リザーバを、流体抽出システム(100)が配置された印刷装置に流体的及び電気的に結合する。例えば、インターフェース(102)は、取り外し可能な抽出リザーバの隔壁に穴を空けるための針を有する場合があり、それにより、取り外し可能な抽出リザーバと印刷装置の内部リザーバとの間を流体が流れることが可能となる。
【0016】
インターフェース(102)は、取り外し可能な抽出リザーバの電気的接続と嵌合する電気的接続をさらに有する場合がある。これらの2つの電気的接続の嵌合により、データ伝送経路が確立される。データ伝送経路によれば、様々なデータの伝送が可能となる。例えば、取り外し可能な抽出リザーバ上のメモリデバイスは、取り外し可能な抽出リザーバへの許容可能な流体抽出の回数を示す場合がある。具体例として、流体を取り外し可能な抽出リザーバに抽出することができる回数を制限することが望ましい場合がある。そのような例では、取り外し可能な抽出リザーバのメモリデバイスが、カウンタを有する場合があり、流体抽出は、インターフェース(102)上の電気的接続を介して伝送されたそのカウンタの値に基づいて許可又は禁止される場合がある(例えば、一例として、カウンタは、10回の抽出の閾値を有する場合があり、それを超えると、それ以上の抽出は禁止される場合がある。)。そうすることで、悪意のある第三者等による望ましくない抽出を、防止することができる。一部の例において、この回数は、1であってもよいし、別の限られた量であってもよい。
【0017】
伝送できるデータは、取り外し可能な抽出リザーバの容量をさらに含む場合がある。流体抽出システム(100)のコントローラ(104)は、抽出された流体の量が取り外し可能な抽出リザーバの容量と一致したときに、抽出を終了する場合がある。さらに、このデータは、取り外し可能な抽出リザーバに既に配置された流体の量を含む場合がある。この場合も、このデータは、前記容量が、前記抽出リザーバに配置された流体の量よりも少ない状態に達したときに、流体抽出を終了するために使用される場合がある。別の例では、取り外し可能な抽出リザーバ内に配置された量の流体は、抽出リザーバから印刷装置の内部リザーバへ流体を受け渡す補充動作の際に使用される場合がある。したがって、補充動作は、抽出リザーバからリザーバへ渡された流体の量が、抽出リザーバ内に配置された流体の量に達したときに、終了される場合がある。
【0018】
さらに別の例として、このデータは、流体のタイプ、例えば、インクのタイプを示す場合がある。インクのタイプや流体のタイプは、抽出動作の様々なパラメータに影響を与える場合があり、例えば、抽出が許容されるか否か、抽出速度、及び/又は抽出量などに影響を与える場合がある。他のパラメータも、影響を受ける場合がある。
【0019】
さらに別の例として、このデータは、取り外し可能な抽出リザーバ内に配置された流体の経年数を示す場合がある。流体の経年数も、抽出プロセスの様々なパラメータに影響を与える場合があり、例えば、抽出が許容されるか否か、抽出速度、及び/又は抽出量などに影響を与える場合がある。他のパラメータも、影響を受ける場合がある。
【0020】
さらに別の例では、このデータは、抽出リザーバのタイプを識別する場合がある。例えば、このデータは、供給リザーバを抽出リザーバから区別する場合があり、供給リザーバは、内部リザーバを満杯にするために使用され、抽出リザーバは、とりわけ、内部リザーバから流体を抽出するために使用される場合がある。
【0021】
メモリデバイスに含まれ、インターフェース(102)を介して転送され、流体抽出を制御するいくつかのデータに具体的に言及しているが、他のデータが転送され、使用されてもよい。
【0022】
一部の例において、インターフェース(102)は、データの読み取りだけでなく、書き込みも可能にする場合がある。例えば、取り外し可能な抽出リザーバのメモリデバイスは、書き換え可能であってもよい。上記のように、抽出リザーバは、印刷装置内のリザーバからある量の流体を受け取るものである。したがって、非限定的例として、インターフェース(102)は、印刷装置のリザーバから抽出された流体の量を示すデータの書き込みを可能にする場合がある。
【0023】
流体抽出システム(100)は、抽出動作を開始するコントローラ(104)をさらに含む。具体的には、コントローラ(104)は、インターフェース(102)を介して伝送されたデータを受信し、そのデータに基づいて、印刷装置の内部リザーバからの流体を取り外し可能な抽出リザーバへ受け渡す抽出動作を開始する。具体例として、インターフェース(102)を介して受信したデータは、取り外し可能な抽出リザーバへの抽出の閾値回数に達したため、それ以上の抽出は許可されないことを示す場合がある。別の具体例として、インターフェース(102)を介して受信したデータは、抽出の閾値回数に達していないことを示す場合があり、したがって、コントローラ(104)は、抽出を開始することができる。
【0024】
さらに、このデータは、コントローラ(104)が、流体抽出を調整する際にバルブやポンプ等の動作を制御するために使用する追加情報を含む場合がある。さらに別の例として、コントローラ(104)は、このデータを使用して、取り外し可能な抽出リザーバの互換性を判定する場合がある。受信データがコントローラ(104)において発見された許可されたデータと一致しない場合、抽出動作は、禁止される場合がある。取り外し可能な抽出リザーバから受信したデータに基づいて動作するそのようなコントローラ(104)によれば、抽出プロセス全体にわたる制御を向上させることが可能になる。例えば、単に管を内部リザーバに挿入するのとは違い、本システム(100)によれば、特定の基準が満たされたときにのみ自動抽出を完了させることができ、したがって、悪意がある可能性がある無許可の流体抽出を防止することができる。
【0025】
また、制御を向上させることにより、流体の無欠陥性の信頼度が高まる。例えば、流体が特定の製造業者からのものであることや、流体が特定の品質基準を満たしていることの信頼度が得られる。吐出動作の種々の態様を追跡及び監視する本システム(100)によれば、閉ループ抽出が提供され、プロセス全体にわたるさらなる制御及び操作が可能となる。
【0026】
図2は、本明細書に記載された原理の例による、取り外し可能な抽出リザーバ(208)に流体を抽出するための流体抽出システム(図1、100)を備えた印刷装置(206)の等角図である。この例では、流体抽出システム(図1、100)は、流体を抽出する先である取り外し可能な抽出リザーバ(208)を含む。上記のように、取り外し可能な抽出リザーバ(208)は、流体抽出システム(図1、100)のインターフェース(図1、102)と嵌合する対応するインターフェースを有し、したがって、印刷装置(206)と取り外し可能な抽出リザーバ(208)との間で、流体を移動させることができるように構成されている。
【0027】
取り外し可能な抽出リザーバ(208)は、流体を保持する装置を指している。流体は、2D印刷用のインク及び/又は積層造形製造剤を含む如何なるタイプであってよい。取り外し可能な抽出リザーバ(208)は、種々の形態を有する場合がある。例えば、取り外し可能な抽出リザーバ(208)は、その中に配置された内容物に適合する柔軟なリザーバを含む場合がある。柔軟なリザーバは、取り扱いや操作が難しいため、例えば段ボール箱のような硬い容器内に配置される場合がある。
【0028】
取り外し可能な抽出リザーバ(208)は、流体の抽出を可能にし、例によっては印刷装置(206)への流体の配送をさらに可能にするチャネル及び開口部を含む場合がある。一部の例では、取り外し可能な抽出リザーバ(208)の開口部は、取り外し可能な抽出リザーバ(208)が印刷装置(206)内に配置されていないときにその中の流体が漏れ出さないようなポート又は閉鎖手段を有する場合がある。
【0029】
取り外し可能な抽出リザーバ(208)は、取り外し可能な抽出リザーバ(208)と印刷装置(206)(特に、印刷装置(206)のコントローラ(図1、104))との間にデータ伝送経路を確立するための電気的接続をさらに含む。上記のように、この接続を介して多くの異なるタイプのデータを送信することができる。例えば、インクの配合や、取り外し可能な抽出リザーバ(208)の容量などに関する情報が、取り外し可能な抽出リザーバ(208)のチップに含まれる場合がある。この情報を印刷装置(206)に渡すことにより、取り外し可能な抽出リザーバ(208)を検証し、取り外し可能な抽出リザーバ(208)を認証し、又は、性能を最適化するために流体抽出の動作を調整することができる。特定の情報に言及しているが、さらに別のデータがこの電気的インターフェースを介して転送されてもよい。
【0030】
上記のように、インターフェース(図1、102)は、取り外し可能な抽出リザーバ(208)上のインターフェースと嵌合する。例えば、インターフェース(図1、102)は、取り外し可能な抽出リザーバ(208)に挿入される針を含む場合がある。針は、中空であってもよく、そこを通過して流体が流れることが可能であってもよい。針は、取り外し可能な抽出リザーバ(208)上の隔壁に穴を空けることができ、取り外し可能な抽出リザーバ(208)の中身と流体的に連通することができる。別の例では、バルブやガスケットが、取り外し可能な抽出リザーバ(208)上にあってもよく、針は、バルブ又はガスケットを通過する場合がある。
【0031】
一部の例では、インターフェース(図1、102)は、格納式プレートを含む。格納式プレートには、格納位置と伸長位置の2つの位置がある。ポートが空であるとき、すなわち、取り外し可能な抽出リザーバ(208)が取り付けられていないとき、格納式プレートは、伸長位置にある場合がある。伸長位置にあるとき、格納式プレートは、インターフェースを通過して延在し(図1、102)、様々な構成要素を保護する。つまり、針は、電気的接続を構成する回路と同様に、壊れやすい構成要素である場合がある。そのため、格納式プレートは、それらの構成要素を越えて延在し、機械的な力がそれらの構成要素に損傷を与えることを防止することができる。
【0032】
格納位置にあるとき、すなわち、取り外し可能な抽出リザーバ(208)が挿入されたとき、格納式プレートは、(1)取り外し可能な抽出リザーバ(208)に針を露出し、(2)取り外し可能な抽出リザーバ(208)上の対応する接点に電気的接点を露出する。インターフェース(図1、102)のラッチアセンブリは、格納式プレートの動きを制御し、キー機構によって作動される。例えば、キー機構は、一致するキー機構を有する取り外し可能な抽出リザーバ(208)のみに挿入を制限するキー付きスロットであってもよい。具体例として、キー付きスロットによれば、(1)一致する突起が種々のロッドに作用を及ぼし、格納式プレートを作動させることができ、また、(2)一致しない突起がロッドに作用を及ぼすことを防止することができる。
【0033】
挿入時に、取り外し可能な抽出リザーバ(208)上の突起がキー付きスロットと一致する場合、取り外し可能な抽出リザーバ(208)上の突起は、格納式プレートを押して、インターフェース(図1、102)の種々の構成要素を露出させ、流体輸送を可能にする。
【0034】
一部の例では、取り外し可能な抽出リザーバ(208)上の突起は、インターフェース(図1、102)の特定のキー付きスロットに固有のサイズ及び形状を有する。突起が関連するキー付きスロットのサイズ及び形状と一致する場合、突起は、関連するキー付きスロットを通過して、格納式プレートと結合することができる。スロット及び突起の特定の形状及びサイズは、特定タイプの流体に固有である場合がある。例えば、それらの形状及びサイズは、その特定のポートに挿入されることが意図されているインクの特定の色に関連する場合がある。したがって、特定の色で使用される取り外し可能な抽出リザーバ(208)上のインターフェースは、異なる形状及びサイズの突起を有する場合があり、したがって、関連するキー付きスロットと一致しないため、そのポートに挿入することができないであろう。別の言い方をすれば、キー付きスロットは、取り外し可能な抽出リザーバ(208)の挿入を制限する。例えば、印刷装置(206)は、取り外し可能な抽出リザーバ(208)を内部に配置するための種々のポートを有する場合がある。特定タイプの液体を特定のポートに挿入することが望ましい場合がある。
【0035】
具体例として、流体がインクである場合、特定の色のインクを特定のポートに配置することが望ましい場合がある。そのため、キー付きスロットによれば、確実に、所望の取り外し可能な抽出リザーバ(208)のみが特定のポートに挿入されるようにすることができる。その流体タイプ又は色のインクの取り外し可能な抽出リザーバ(208)は、キー付きスロットの形状に一致する突起を有する場合がある。この例では、こうした類似形状の突起は、キー付きスロットの中にぴったりと収まるため、インターフェース(図1、102)と嵌合することができる。これに比べて、ユーザーが異なるタイプ又は異なる色のインクの取り外し可能な抽出リザーバ(208)をそのポートに挿入しようとした場合、突起がキー付きスロットと一致しないため、その異なる取り外し可能な抽出リザーバ(208)をその特定のポートに挿入することはできないであろう。
【0036】
一部の例では、印刷装置(206)は、複数のインターフェース(図1、102)を含む場合があり、各インターフェース(図1、102)には、上記のように様々な特性を有する取り外し可能な抽出リザーバ(208)に固有のキーが付与される場合がある。説明を簡単にするために、単一の取り外し可能な抽出リザーバ(208)が、印刷装置(206)に結合されるものとして描かれている。しかしながら、流体抽出システム(図1、100)は、複数の内部リザーバから複数の取り外し可能な抽出リザーバ(208)へ流体を抽出することができる場合がある。
【0037】
一部の例では、空きのインターフェース(図1、102)に対応する内部リザーバは、使用中のインターフェース(図1、102)に対応するリザーバが使い果たされた状態で流体輸送システムにより流体を循環させることができる。この例では、各内部リザーバを単一のポンプによって駆動することができる。各内部リザーバを固有のポンプによって駆動する他の例では、空きのインターフェース(図1、102)に対応するポンプは、非アクティブにされる場合がある。
【0038】
一部の例では、印刷装置(206)は、表示装置(210)を含む。他の動作に加えて、表示装置(210)は、流体抽出動作の状態を表示することができる。例えば、表示装置(210)は、内部リザーバ内の流体レベルのリアルタイム表示、及び/又は流体抽出完了までの残り時間の推定値を含む場合がある。
【0039】
図3は、本明細書に記載された原理の例による、取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)に流体を抽出するための流体輸送システムの図である。流体輸送システムは、リザーバ(312)を含む。上記のように、リザーバ(312)は、印刷装置(図2、206)の内部にあってもよく、異なるタイプの流体を保持する場合がある。例えば、リザーバ(312)は、2D印刷で使用されるインクを保持する場合がある。別の例では、リザーバ(312)は、3D印刷プロセスにおける融着剤を保持する場合がある。一部の例では、印刷装置(図2、206)は、複数のリザーバ(312)を有する場合がある。したがって、各リザーバ(312)は、異なる流体輸送システムに対応する場合がある。
【0040】
流体輸送システムは、取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)を受け入れるための上記のようなインターフェース(102)をさらに含む。インターフェース(102)は、取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)に挿入され、流体輸送を可能にする針や、データ伝送を可能にする電気的接続のような、種々の構成要素を含む場合がある。また、上記のように、一部の例では、インターフェース(102)は、特定タイプの取り外し可能な流体リザーバ(図2、208)の挿入を制限するためのキー機構を含む。
【0041】
流体輸送システムは、前述のコントローラ(104)をさらに含む。言い換えれば、流体輸送システムは、流体抽出システム(図1、100)を含む場合があり、流体抽出システム(図1、100)の種々の構成要素、例えば、インターフェース(102)及びコントローラ(104)を有する場合がある。
【0042】
コントローラ(104)は、流体輸送中に様々な構成要素を制御することができる。具体的には、コントローラ(104)は、バルブ(318)及びポンプ(314、316)を制御することができる。各リザーバ(312)は、バルブ(318)を有する場合があり、流体抽出の際に、バルブ(318)は、リザーバ(312)とインターフェース(102)に結合された取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)との間に流体経路を確立する。例えば、バルブ(318)が開かれると、流体は、再循環動作中にリザーバ(312)に渡され、又は、抽出動作によってインターフェース(102)に渡される場合がある。
【0043】
流体輸送システムは、ポンプ(314、316)をさらに含む。図3は、複数のポンプ(314、316)を示しているが、一部の例では、単一のポンプ(314、316)が使用されてもよい。流体抽出の際に、流体は、ポンプ(314、316)によって、リザーバ(312)、取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)、及び他の構成要素の間で相互に移動される。
【0044】
ポンプ(314、316)及びバルブ(318)は、それぞれ異なる状態を有する場合がある。例えば、ポンプ(314、316)は、アクティブ(それが流体を移動させる働きをしていることを意味する)である場合もあれば、又は、アイドル(それが流体を移動させる働きをしていないことを意味する)である場合もある。バルブ(318)は、開いている(流体がそこを通過できることを意味する)場合もあれば、又は、閉じている(流体がそこを通過できないことを意味する)場合もある。これらの異なる構成要素の状態の組み合わせに基づいて、異なる流体輸送動作を実施することができる。別の言い方をすれば、コントローラ(104)は、様々なポンプ(314、316)及びバルブ(318)の状態を制御することにより、流体抽出動作を含む様々な流体輸送動作を実施することができる。実施可能な動作の他の例としては、リザーバ(312)充填動作、リザーバ(312)流体再循環動作、プリントヘッド流体再循環動作、又はそれらの組み合わせが挙げられる。複数の流体輸送動作の概略例については、図5A図5Eに関連して以下で提供される。
【0045】
このように、コントローラ(104)、及び様々なポンプ(314、316)とバルブ(318)の動作により、流体及びそれらの動作自体の無欠陥性及び安全性の信頼度をオペレータに与えながら、任意回数の流体輸送動作を実施することができる。
【0046】
図4は、本明細書に記載された原理の例による、取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)に流体を抽出するための方法(400)のフロー図である。方法(400)によれば、インターフェース(図1、102)において、取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)が受け入れられる(ブロック401)。上記のように、インターフェース(図1、102)は、挿入された取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)と印刷装置(図2、206)のリザーバ(図3、312)との間の機械的、電気的、及び流体的接続を提供する流体吐出システム(図1、100)の構成要素である。インターフェース(図1、102)は、例えばラッチアセンブリにより、取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)を、流体抽出システム(図1、100)が内部に配置された印刷装置(図2、206)に対して機械的に保持することができる。インターフェース(図1、102)は、取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)上の対応する接続と嵌合し、データ伝送経路を確立するように構成された電気的接続をさらに含む。このデータ伝送経路を介して、抽出動作の制御情報を、取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)のメモリデバイスから受信することができる。インターフェース(図1、102)は、隔壁に穴を空け、又は取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)に挿入される針又は他の構成要素をさらに含む。そのような針を通して、取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)内に流体を配置し、又は、取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)から流体を引き出すことができる。
【0047】
一部の例では、取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)を受け入れること(ブロック401)は、取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)の挿入を特定のタイプのものに制限することを含む。例えば、インターフェース(図1、102)上のキー機構及び取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)上の対応するキー機構によれば、これら2つの構成要素の嵌合を、対応する構成要素、すなわち、嵌合する構成要素のみに制限することができる。
【0048】
挿入されると、取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)のメモリデバイスからデータを抽出することができる(ブロック402)。例えば、取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)は、情報を記憶し、読み取り又は書き込みの何れかが可能なアキュメンチップ又は他のハードウェアを含む場合がある。そこに記憶されたデータは、流体抽出の動作を制御することができる。具体的には、このデータは、データ抽出を禁止又は許可することができる。さらに、このデータは、流体輸送システムのパラメータをどのように設定するかを示す場合がある。さらに別の例として、このデータは、抽出リザーバ(図2、208)内に配置された流体又は抽出リザーバ(図2、208)自体の何れかの識別情報を含む場合がある。このような識別情報は、抽出動作の認証及び/又は検証に使用される場合がある。
【0049】
抽出されたデータに基づいて、抽出動作が初期化される(ブロック403)。例えば、コントローラ(図1、104)は、起動データ、パラメータデータ、及び/又は識別データに基づいて、ポンプ(図3、314、316)及び/又はバルブ(図3、318)を様々な状態に設定し、特定の流体輸送動作を実行する。上記のように、図5A図5Eは、様々な流体輸送動作、及び、それらの流体輸送動作を実施するためにコントローラ(図1、104)によって制御されるポンプ(図3、314、316)及びバルブ(図3、318)の状態を示している。このような方法(400)によれば、印刷装置(図2、206)内の流体の印刷装置(図2、206)に対する相互の制御された安全な輸送が可能となる。
【0050】
図5A図5Eは、本明細書に記載された原理の例による、様々な流体輸送動作の図である。図5A図5Eにおいて、ポンプ(314、316)内の記号「→」は、ポンプ(314、316)が流体をアクティブに動かしていることを示しているのに対し、ポンプ(314、316)の記号「X」は、ポンプ(314、316)がアイドルであり、流体を動かしていないことを示している。図5A図5Eにおいて、バルブ(318)内の記号「→」は、バルブ(318)が開いており、流体が通過できることを示しているのに対し、バルブ(318)の記号「X」は、バルブ(318)が非アクティブであり、流体が通過できないことを示している。図5A図5Eにおいて、圧力制御装置(523)の記号「→」は、戻りライン(521)を通って流体が流れていないことを示している。これに対し、記号「→」は、アクティブであるときの戻りライン(521)を通る流体の流れを示している。図5A図5Eは、流体レベルセンサ(520)及び通気口(525)をさらに示している。流体レベルセンサ(520)は、リザーバ(312)上又はその中に配置され、流体供給動作をいつ終了するかを決定する。例えば、流体レベルセンサ(520)は、リザーバ(312)が満杯である状況、したがってリザーバ(312)充填動作を終了してもよいことを示す場合がある。別の例では、流体レベルセンサ(520)は、リザーバ(312)が空である状況、したがって流体抽出動作を終了してもよいことを示す場合がある。一部の例では、リザーバ(312)は、少なくとも1つの通気口(525)を含み、もっと多くの通気口(525)を含んでいてもよい。印刷中、通気口(525)は、空気の流入を可能にすることで、真空の形成を防止する。また、通気口(525)は、補充中に空気の排出を可能にすることで、リザーバ(312)に過剰な圧力がかかることを防止する。また、通気口(525)は、リザーバ(312)に過剰な圧力がかかったときに、圧力解放を可能にするためにも使用される場合がある。
【0051】
図5A図5Eは、流体を吐出するプリントヘッド(522)も示している。例えば、プリントヘッド(522)は、少量の流体を保持するチャンバを含む様々な吐出構成要素を含む場合がある。コントローラ(104)又は別のコントローラは、特定の様々な時点で、所望のパターンを成している開口部を通してチャンバから流体を吐出するように作動する。このようにして、2D印刷、3D印刷、又は別の吐出動作中に、流体は、所望のパターンで基板上に堆積される。図5A図5Eは、戻りライン(521)及び圧力制御装置(523)も示している。
【0052】
図5Aは、取り外し可能な抽出リザーバ(208)から内部リザーバ(312)へ流体を受け渡すリザーバ(312)充填動作を示している。流体補充動作を実施するために、コントローラ(104)は、リザーバ(312)の下流側にあるポンプ(316)を非アクティブにし、流体がリザーバ(312)から流出しないようにする。コントローラ(104)はさらに、バルブ(318)を閉じ、取り外し可能な抽出リザーバ(208)と内部リザーバ(312)との間(例えば、リザーバ(312)の上流側)にあるポンプ(314)を作動させ、取り外し可能な抽出リザーバ(208)からリザーバ(312)へ流体が引き出されるようにする。このような動作は、部分的に、取り外し可能な抽出リザーバ(208)から抽出されたデータによって制御される場合がある。この例では、プリントヘッド(522)に出入りする流体がないので、戻りライン(521)と圧力制御装置(523)は、非アクティブになっている。
【0053】
図5Bは、印刷装置(図2、206)内のリザーバ(312)からプリントヘッド(522)へ流体を受け渡すプリントヘッド(522)流体再循環動作を示している。例えば、一部の例では、プリントヘッド(522)とリザーバ(312)との間で流体を循環させることが望ましい場合がある。そうすることで、プリントヘッド(522)は、新鮮な流体を確実に利用できるようになる。プリントヘッド(522)で新鮮な流体を使用することにより、インクのような新鮮な流体の品質を向上させることができ、印刷の向上につながる特性が得られる場合がある。プリントヘッド(522)流体再循環動作を実施するために、コントローラ(104)は、リザーバ(312)の下流側にあるポンプ(316)を作動させ、流体が通過できるようにする。戻りライン(521)と圧力制御装置(523)も作動され、流体がプリントヘッド(522)に向けて押し出されるが、プリントヘッド(522)から吸い出されないようにする。コントローラ(104)はさらに、バルブ(318)を閉じ、プリントヘッド(522)から流体が引き出されないようにする。コントローラ(104)はさらに、内部リザーバ(312)の上流側にあるポンプ(314)を非アクティブにする。このような動作は、部分的に、取り外し可能な抽出リザーバ(208)から抽出されたデータによって制御される場合がある。
【0054】
図5Cは、印刷装置(図2、206)内のリザーバ(312)から取り外し可能な抽出リザーバ(208)へ流体を受け渡す流体抽出動作を示している。上記のように、リザーバ(312)から流体を抽出することが望ましい理由はいくつかある。流体抽出動作を実施するために、コントローラ(104)は、リザーバ(312)の下流側にあるポンプ(316)を作動させ、流体が通過できるようにする。コントローラ(104)はさらに、バルブ(318)を開き、流体が取り外し可能な抽出リザーバ(208)に向かって通過できるようにする。コントローラ(104)はさらに、内部リザーバ(312)の上流側にあるポンプ(314)を非アクティブにし、流体がリザーバ(312)に引き戻されないようにする。この例では、戻りライン(521)と圧力制御装置(523)を非アクティブにすることで、プリントヘッド(522)から流体が引き出されないようにしている。このようにして、取り外し可能な抽出リザーバ(208)が補充される。このような動作は、部分的に、取り外し可能な抽出リザーバ(208)から抽出されたデータによって制御される場合がある。
【0055】
図5Dは、リザーバ(312)を通して流体を再循環させるリザーバ(312)流体再循環動作を示している。例えば、一部の例では、リザーバ(312)を通して流体を循環させることが望ましい場合がある。例えば、リザーバ(312)の底部に顔料が沈降し、沈降によって印刷欠陥や閉塞が生じるのを防止するためである。リザーバ(312)流体再循環動作を実施するために、コントローラ(104)は、リザーバ(312)の下流側にあるポンプ(316)を作動させ、流体が通過できるようにする。コントローラ(104)はさらに、バルブ(318)を開き、流体を通過させる。コントローラ(104)はさらに、内部リザーバ(312)の上流側にあるポンプ(314)を作動させる。この例では、圧力制御装置(521)と戻りライン(523)をアクティブにすることで、プリントヘッド(522)とリザーバ(312)との間で流体を再循環させることができる。このような動作は、部分的に、取り外し可能な抽出リザーバ(208)から抽出されたデータによって制御される場合がある。
【0056】
図5Eは、リザーバ(312)からプリントヘッド(522)へ流体を受け渡しながら、取り外し可能な抽出リザーバ(208)からリザーバ(312)へ流体を補充する動作を示している。例えば、印刷中に、取り外し可能な抽出リザーバ(208)から補充を行うことができる。印刷を中断しないこのような補充によれば、ユーザーが印刷動作を中断して流体を補充する必要がないので、性能が向上する。印刷中にリザーバ(312)補充動作を実施するために、コントローラ(104)は、リザーバ(312)の下流側にあるポンプ(316)を作動させ、流体が通過できるようにする。コントローラ(104)はさらに、バルブ(318)を閉じ、流体が取り外し可能な抽出リザーバ(208)に向かって引き込まれないようにする。コントローラ(104)はさらに、内部リザーバ(312)の上流側にあるポンプ(314)を作動させ、取り外し可能な抽出リザーバ(208)からリザーバ(312)へ流体が引き込まれるようにする。この例では、プリントヘッド(522)に出入りする流体がないので、戻りライン(521)と圧力制御装置(523)は、非アクティブになっている。このような動作は、部分的に、取り外し可能な抽出リザーバ(208)から抽出されたデータによって制御される場合がある。
【0057】
図6は、本明細書に記載された原理の例による、取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)に流体を抽出するための方法(600)のフロー図である。方法(600)によれば、インターフェース(図1、102)において、取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)が受け入れられ(ブロック601)、そこからデータが抽出される(ブロック602)。一部の例では、これは、図4に関連して上で説明したように実施される場合がある。
【0058】
一部の例では、方法(600)は、抽出されたデータに基づいて、取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)への抽出が許容されるか否かを判定すること(ブロック603)を含む。例えば、一部の事例では、取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)への流体抽出の閾値回数に達している場合があり、取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)若しくはその内容物が許可されていない場合があり、及び/又は、任意数の他の状況から、流体抽出が禁止される場合がある。
【0059】
流体抽出が許容される場合(ブロック603)、抽出動作は、例えば、リモートサービスを介して許可される場合がある(ブロック604)。例えば、印刷装置(図2、206)は、インターネットに結合されていてもよく、流体抽出を初期化するためにウェブサーバーに要求を送信する場合がある。要求は、管理者の承認を含む任意数の方法によって処理される場合がある。そうすることで、さらに別の程度の安全性が追加され、流体及び流体抽出動作の無欠陥性の信頼度がさらに高まる。
【0060】
その後、図4に関連して上で説明したように、抽出動作を初期化することができる(ブロック605)。抽出動作は、任意の動作に基づいて終了させることができる(ブロック606)。例えば、リザーバ(312)内又はリザーバ(312)の近くにある流体レベルセンサ(図5、520)は、リザーバ(図3、312)が空であることを示す場合がある。これに応じて、抽出動作の終了(ブロック606)を行ってもよい。別の例では、取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)が満杯であることを示す指示に応じて、抽出動作の終了(ブロック606)を行ってもよい。取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)が満杯であることを示す指示は、取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)上のデータによって決定される取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)の容量を、流体抽出システム(図1,100)からのフローデータと比較することによって得ることができる。別の例では、取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)自体が、取り外し可能な抽出リザーバ(図2、208)が満杯である状況を示すレベルセンサを有していてもよい。本明細書に記載した方法(600)によれば、抽出動作の安全性及び信頼度がさらに増加する。
【0061】
そのような流体抽出システムによれば、次のことが可能になる。(1)契約外/機能していない印刷装置内に配置された通常なら使用可能な流体の廃棄を防止すること。(2)契約外/機能していない印刷装置内の不要になった流体を流体供給業者が回収できるため、流体供給業者の経済的リスクを低減すること。(3)長期保管中にインクの乾燥による印刷装置の故障を防止すること。(4)サービスのコストと複雑さを低減すること。(5)無許可の流体の補充を防止すること。(6)リザーバ内に流体がなくても印刷装置のリサイクルを可能にすること。(7)単一のリザーバからの抽出を可能にすること。(8)インクの安全な回収と補充を可能にすること。

図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6