(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態に係る浴室洗い場用除菌水吐水装置を例示する模式図である。
図1に表したように、本発明の実施の形態に係る浴室洗い場用除菌水吐水装置(以下、説明の便宜上、単に「除菌水吐水装置」と称する)100は、除菌水吐水部10と、除菌水生成部20と、制御部30と、を備える。除菌水吐水装置100は、浴室に設置され、浴室の洗い場床を除菌する装置である。
【0023】
まず、除菌水吐水装置100が設置される浴室の例について説明する。
図2(a)および
図2(b)は、本実施形態に係る浴室洗い場用除菌水吐水装置が設置された浴室を表す模式的斜視図である。
図2(a)に表したように、除菌水吐水装置100が設置される浴室500には、第1〜第4の壁541〜544、浴槽510、洗い場床520およびカウンタ530が設けられている。さらに、浴室500には、鏡、給水栓、シャワーホースなどが適宜設けられている。
図2(b)は、カウンタ530の近傍を拡大した模式的斜視図である。
【0024】
浴室500は、第1〜第4の壁541〜544を有する。第2の壁542は、第1の壁541と対向する壁である。第4の壁544は、第3の壁543と対向する壁である。第1の壁541と第2の壁542とは、それぞれ、第3の壁543および第4の壁544と接続されている。
【0025】
浴槽510は、洗い場床520からみて第4の壁544側に設けられている。例えば、浴槽510は、第4の壁544と接するように配置される。
【0026】
洗い場床520は、浴槽510と第3の壁543との間に設けられている。例えば、洗い場床520は、第1〜第3の壁541〜543と接する。
【0027】
洗い場床520は、周囲に立設された壁面540に囲まれている。ここで「壁面」とは、第1〜第4の壁541〜544だけでなく、浴槽510の側面も含む。この例では、洗い場床520を囲む壁面540は、第1〜第3の壁541〜543および浴槽510の側面である。なお、第1〜第4の壁541〜544は、浴室のドアなどを含んでいてもよい。
【0028】
本願明細書において、第2の壁542から第1の壁541へ向かう方向を「前方」とし、これと反対の方向を「後方」とする。また、前後方向および上下方向に対して垂直な方向を横方向とする。
【0029】
洗い場床520には、排水口521が設けられている。排水口521は、洗い場床520の前後方向における中央付近であって、洗い場床520の浴槽510側の端に設けられている。洗い場床520には、排水口521へ向かう緩やかな傾斜が設けられている。
【0030】
カウンタ530、鏡、給水栓およびシャワーホースは、第2の壁542に取り付けられている。カウンタ530は、カウンタ本体と、支持材533(
図5を参照)と、を有する。カウンタ本体は、例えば、天板531と下カバー532とを有する。
【0031】
カウンタ530は、洗い場床520から上方に離間して配置されている。支持材533が第2の壁542に取り付けられ、カウンタ本体は、この支持材に取り付けられている。カウンタ530は、上方から見たときに、横方向に長い略矩形状の形状を有する。カウンタ530の横方向における幅は、洗い場床520の横方向における幅と同等である。
【0032】
除菌水吐水部10は、カウンタ530の下部に設けられている。除菌水吐水部10は、洗い場床520から離間した位置に配置されている。除菌水吐水部10は、例えば、カウンタ530の横方向における中央付近に設置されている。すなわち、除菌水吐水部10は、洗い場床520の横方向における中央付近に設置されている。これにより、除菌水を洗い場床520の全体に吐出しやすくなる。
【0033】
図1は、除菌水吐水装置100が設置されたカウンタ530の近傍を側方から見た様子を表している。例えば、除菌水吐水部10は、下カバー532から下方に突出するように設けられる。
【0034】
浴室500の外部(例えば第2の壁542の後方)には、給水管51と、給湯管52と、が設けられている。給水管51は、図示しない水道管と接続されている。給水管51から水道水が除菌水吐水装置100に供給される。
【0035】
カウンタ530の内部(天板531と下カバー532との間)には、止水栓53と、電磁弁54と、調圧弁55と、逆止弁56と、除菌水生成部20と、制御部30と、が設けられている。止水栓53は、給水管51と接続されている。給水管から供給される水道水の流路において、上流側から順に、止水栓53、電磁弁54、調圧弁55、逆止弁56、除菌水生成部20が接続されている。
【0036】
なお、実施形態においては、止水栓53、電磁弁54、調圧弁55、逆止弁56、除菌水生成部20および制御部30の少なくとも一部が、カウンタ530の外部または浴室500の外部に設けられていてもよい。例えば、
図2(a)に表したように、制御部30を浴室500の外部に設けてもよい。
【0037】
止水栓53および電磁弁54の開閉によって、下流側への水道水の供給が制御される。電磁弁54は、水道水の流路を開く動作、または、水道水の流路を閉じる動作を行う。
【0038】
調圧弁55は、供給された水道水の圧力を制御する。これにより、除菌水生成部20に供給される水道水の流量を調整することができる。除菌水生成部20に供給される水道水の流量を調整することで、除菌水吐水部10に供給される除菌水の流量が調整される。なお、電磁弁54を用いて、流量を調整してもよい。
【0039】
除菌水生成部20は、陽極と陰極とを有する電解槽である。除菌水生成部20は、陽極と陰極との間に電圧を印加して、陽極と陰極との間を流れる水道水を電気分解する。これにより、除菌水生成部20は、水道水を変性して除菌水を生成する。
【0040】
除菌水は、例えば、次亜塩素酸を含む水である。水道水は、塩化物イオンを含んでいるため、その塩化物イオンを電気分解することによって、次亜塩素酸が生成される。その結果、電気分解された水は、次亜塩素酸を含む液に変化する。
【0041】
除菌水は、金属イオン水(例えば、銀イオン、銅イオンまたは亜鉛イオンなどの金属イオンを含む水)またはオゾンを含む水であってもよい。例えば、水道水が電気分解される際、陰極においては酸(H+)が消費され、陰極の近傍ではpHが上昇する。すなわち、陰極の近傍では、アルカリ水が生成される。一方、陽極においてはアルカリ(OH−)が消費され、陽極の近傍ではpHが下降する。すなわち、陽極の近傍では、酸性水が生成される。除菌水生成部20における流量を変化させることで、除菌水に含まれる成分の濃度を制御することができる。なお、除菌水生成部20は、電解槽に限定されるわけではない。例えば、除菌水は、除菌剤を水道水に溶解させて生成された除菌水であってもよい。
【0042】
除菌水生成部20において生成された除菌水は、除菌水吐水部10に供給され、除菌水吐水部10から洗い場床520上に吐出される。これにより、洗い場床520を除菌することができる。
【0043】
除菌水吐水部10は、例えばモータ17を有する。モータ17は、例えばステッピングモータである。後述するように、モータ17によって除菌水吐水部10を回転させて、除菌水が吐出される方向を変化させることができる。
【0044】
制御部30は、電磁弁54および除菌水生成部20および除菌水吐水部10(モータ17)と接続されている。制御部30は、電磁弁54、除菌水生成部20および除菌水吐水部10の動作を制御することで、除菌水が吐出される形態(吐水方法、撒き方)を制御することができる。
【0045】
例えば、電磁弁54は、制御部30からの信号に基づいて、水道水の流路の開閉を行う。これにより、下流側に供給される水道水の流量が制御される。また、除菌水生成部20は、制御部30からの信号に基づいて、電解槽のON/OFFを切り替える。除菌水吐水部10は、制御部30からの信号に基づいて、回転角度や回転速度を変化させる。このようにして制御部30は、除菌水の濃度、吐出される除菌水の瞬間流量(単位時間当たりの流量)、吐出される除菌水の総量、および、除菌水の吐出方向などの吐水方法を制御することができる。
【0046】
図2(a)に表したように、制御部30と接続された操作部35が、浴室500の内側または浴室500の外側に設けられる。除菌水吐水装置100の使用者は、この操作部35を用いることにより、除菌水吐水装置の動作を操作することができる。
【0047】
洗い場床520の汚れ易さや除菌水の流れ易さは、洗い場床520の部位によって異なることがある。そこで、制御部30は、除菌水吐水部10が回転した角度(除菌水が吐出される方向)に応じて、除菌水の吐水方法を変化させる。これにより、洗い場床の部位に応じて最適な吐水を行うことができる。これにより、より少ない量の除菌水で効率的に洗い場床を除菌することができる。
【0048】
次に、
図3〜
図5を参照して本実施形態の除菌水吐水部の例について説明する。
【0049】
図3(a)および
図3(b)は、本実施形態の除菌水吐水部を例示する模式図である。
図3(a)は、除菌水吐水部10の模式的斜視図である。
図3(b)は、
図3(a)に示したA−A’切断面における模式的断面図である。
【0050】
図3(a)および
図3(b)に表したように、除菌水吐水部10は、第1の吐水口11と、第2の吐水口12と、貯水部13と、を有する。
【0051】
貯水部13は、例えば、円筒状であり、内部の空間に除菌水生成部20から供給された除菌水を一時的に溜めることができる。第1の吐水口11および第2の吐水口12は、貯水部13の側面に設けられている。第1の吐水口11は、第2の吐水口12の上方に設けられている。
【0052】
貯水部13内の除菌水が溜まる空間は、第1の吐水口11および第2の吐水口12を介して、外部と連通している。これにより、第1の吐水口11および第2の吐水口12は、貯水部13に溜まった除菌水を洗い場床上に吐出する。例えば、第1の吐水口11および第2の吐水口12は、同時に除菌水を吐出する。貯水部13を設けることによって、除菌水を一時的に貯留し、吐水圧力を上昇させることができる。
【0053】
図4(a)および
図4(b)は、本実施形態の除菌水吐水部から除菌水が吐水された状態を例示する模式的側面図である。
図4(b)は、
図4(a)の除菌水吐水部10の近傍を拡大して表している。
【0054】
第1の吐水口11は、第2の吐水口12よりも上方に向けて設けられている。例えば、第1の吐水口11は、水平方向よりも上向きであり、第2の吐水口12は、水平方向よりも下向きである。これにより、第1の吐水口11から吐出された除菌水は、第2の吐水口12から吐出された除菌水よりも、除菌水吐水部10から遠い領域まで届く。第1の吐水口11は、洗い場床520のうち除菌水吐水部10から遠い範囲を受け持つ遠方用吐水口である。第2の吐水口12は、洗い場床520のうち除菌水吐水部10から近い範囲を受け持つ近傍用吐水口である。
【0055】
第1の吐水口11の最大吐水距離(障害物が無いときに除菌水吐水部10から吐出された除菌水が届く位置と除菌水吐水部10との間の最長距離;射程)は、除菌水吐水部10と壁面540との間の最長距離よりも長い。
【0056】
また、この例では、第2の吐水口12から除菌水が吐出される方向は、上方から見たときに、第1の吐水口11から除菌水が吐出される方向に沿った方向である。例えば、第1の吐水口11の吐水方向は、第2の吐水口12の吐水方向と実質的に同じである。なお、本願明細書において「吐水方向」とは、上方から見たときの、除菌水が吐出される方向をいうものとする。上方から見たとき除菌水が複数の方向に広がって吐出される場合には、複数の方向の中央を「吐水方向」とすることができる。
【0057】
第1の吐水口11および第2の吐水口12の径は、小さいため、除菌水は、例えば霧状(ミスト)となって吐出される。このような霧状の除菌水は、洗い場床上に滞留しやすい。滞留性の高い形態で除菌水を吐出することによって、除菌水が洗い場床上の菌に作用する時間を確保することができる。これにより、より少ない量の除菌水で、洗い場床を除菌することができる。
【0058】
図3(a)に表したように、除菌水吐水部10には、第1の吐水口11の近傍に上下方向に沿った溝11gが設けられている。この溝11gによって、第1の吐水口11から除菌水が吐出される方向が制御される。同様に、第2の吐水口12近傍に設けられた上下方向に沿った溝12gによって、第2の吐水口12から除菌水が吐出される方向が制御される。これにより、
図4(b)に表したように、除菌水は、第1の吐水口11および第2の吐水口12から上下方向に広がって、吐出される。
【0059】
図5(a)および
図5(b)は、本実施形態の除菌水吐水部の回転を説明する模式図である。
図5(a)は、除菌水吐水部10が設けられたカウンタ530と、洗い場床520と、を上方から見た模式的平面図である。
図5(b)は、
図5(a)の除菌水吐水部10の近傍を拡大して表した模式的平面図である。
【0060】
除菌水吐水部10は、回転軸10xを中心として回転することができる。回転軸10xは、鉛直方向に延びる軸である。回転軸10xは、上方から見たときに除菌水吐水部10の略中央に位置する。回転軸10xが延びる方向は、完全な鉛直方向から傾いていてもよい。例えば、回転軸10xが延びる方向の鉛直方向成分は、回転軸10xが延びる方向の水平方向成分よりも大きければよい。
【0061】
除菌水吐水部10は、回転の原点10s(回転の開始位置)から回転の終了位置10eまで回転することができる。除菌水吐水部10が回転した角度によって、第1の吐水口11および第2の吐水口12から吐出される除菌水の吐水方向が変化する。除菌水吐水部10が回転しながら除菌水を吐出することにより、洗い場床520の全体に除菌水が吐出される。
【0062】
本実施形態に係る除菌水吐水装置100は、除菌水吐水部10が回転するときの基準となる位置(以下、説明の便宜上「回転基準」という)と、洗い場床520と、の相対的な配置を規定する回転基準規定手段15をさらに備える。例えば、原点10sを回転基準とすることができる。回転基準規定手段15は、回転基準が洗い場床520に対して所定の角度となるように規定する手段である。
【0063】
例えば、
図5(b)に表したように、除菌水吐水装置100には、回転基準部10pと、回転基準規定部534と、が設けられている。また、除菌水吐水部10には、突起部10qが設けられている。回転基準規定手段15として、回転基準部10pと回転基準規定部534とを用いることができる。
【0064】
回転基準規定部534は、カウンタ530に対して、直接的または間接的に位置が固定された部材である。回転基準規定部534は、カウンタ530に設けられている。回転基準規定部534は、例えば、カウンタ530の支持材533に取り付けられている。なお、回転基準規定部534は、カウンタ530とは別の部材であってもよいし、カウンタ530と一体に成形されていてもよい。
【0065】
回転基準部10pは、回転基準規定部534に対して、直接的または間接的に位置が固定された部材である。例えば、回転基準部10pは、回転基準規定部534に取り付けられている。これにより、回転基準部10pは、カウンタ530に対して相対的に固定されている。
【0066】
突起部10qは、除菌水吐水部10の側面に設けられた部材であり、第1の吐水口11および第2の吐水口12の回転とともに回転する。除菌水吐水部10が回転した際に、突起部10qは、回転基準部10pに突き当たるように配置されている。このように、回転基準部10pおよび突起部10qによって、除菌水吐水部10の回転が規制される。これにより、回転基準部10pの位置を回転基準とすることができる。そして、回転基準規定部534によって、回転基準とカウンタ530との相対的配置が規定される。
なお、回転基準部10pは、カウンタ530の一部であってもよく、カウンタ530と一体に成形されていてもよい。この場合、回転基準部10pは、回転基準規定部534を兼ねている。
【0067】
例えば、除菌水吐水部を浴室のカウンタに取り付ける際に、除菌水吐水部の回転基準が所定の位置からずれてしまうおそれがある。除菌水吐水部の回転角度によって除菌水の撒き方を変化させるにあたって、除菌水吐水部の回転基準がずれると、部位に応じた最適な除菌水の撒き方ができなくなるおそれがある。これに対して、実施形態においては、上記のような回転基準規定手段15を設けている。この回転基準規定手段15によって、洗い場床520に対して除菌水吐水部10の回転基準を合わせることができる。このため、回転基準が所定の位置からずれた状態で、除菌水吐水部10がカウンタに取り付けられることを防止することができる。これにより、確実に洗い場床の部位に応じた最適な吐水を行うことができる。
【0068】
一般的に、カウンタは、カウンタの横方向の中央と、洗い場床の短辺の横方向の中央と、が一致するように、浴室に取り付けられる。すなわち、カウンタと洗い場床との相対的配置は、あらかじめ規定されている。そこで、本実施形態においては、除菌水吐水部10の位置を、カウンタ530に対して規定する。具体的には、カウンタ530との相対的な配置が規定された回転基準部10pと回転基準規定部534とが設けられる。これにより、カウンタ530を介して、回転基準と洗い場床520との相対的な配置を規定することができる。これにより、洗い場床の各部位に応じて確実に最適な吐水を行うことができる。
【0069】
カウンタの種類によって除菌水吐水部10がカウンタに取り付けられる位置が変わったとしても、カウンタの中心と除菌水吐水部10が取り付けられる位置との関係を考慮して、カウンタに回転基準規定部534を形成すれば、洗い場床に対応した回転基準を規定することができる。これにより、除菌水吐水部10の取付位置が互いに異なる多種のカウンタに対しても、洗い場床520の各部位に応じた最適な吐水を行うことができる。
【0070】
次に、洗い場床520を除菌する際の除菌水吐水装置100の動作の例について説明する。
【0071】
図6は、本実施形態に係る除菌水吐水装置の動作を例示するフローチャートである。
図7は、本実施形態の除菌水吐水部の動作を例示する模式的平面図である。
図7は、除菌水吐水装置100を用いた除菌方法の各工程における、除菌水吐水部10の回転動作を表している。
図6に表したように、まず、除菌水吐水装置100のスイッチがOFFの状態では、電磁弁54は、閉じており、電解槽(除菌水生成部20)およびモータ17は、OFF状態である。
【0072】
ここで、例えば、使用者によって除菌水吐水装置100のスイッチがONにされると、制御部30に、洗い場除菌モード(後述の除菌水吐水工程)の実行指令が送信される。このとき、制御部30は、洗い場除菌モードを実行する前に、まず原点出しモードS01を実行する。
【0073】
原点出しモードS01において、制御部30は、回転基準規定手段15を用いて除菌水吐水部10の回転の原点出しを行う。ここで、「原点出し」とは、除菌水吐水部10の位置(向き)を回転基準に対応させる動作をいう。具体的には、制御部30は、モータ17をON(動作状態)とし、
図7の矢印A01に表した方向に除菌水吐水部10を回転させる。
【0074】
図8(a)および
図8(b)は、本実施形態における原点出しを説明する模式的平面図である。
図8(a)および
図8(b)は、除菌水吐水部10の動作を表している。
図8(a)に表したように、原点10sから終了位置10eまでの角度(最大回転角度θ1)は、例えば300°程度である。原点出しモードS01において、制御部30は、モータ17に最大回転角度θ1回転するように信号を送る。
【0075】
図8(b)に表したように、例えば、除菌水吐水装置100のスイッチがONにされたときに、除菌水吐水部10が原点10sから回転した角度がθ2であったとする。このとき、除菌水吐水部10は、まず角度θ2だけ回転する。これにより、除菌水吐水部10の突起部10qが回転基準部10pに突き当たる。さらに、この状態でモータ17は、最大回転角度θ1と角度θ2との差(角度θ3)だけ空転する。これにより、除菌水吐水部10の向きが、確実に原点10s(回転基準)に合わせられる。
【0076】
次に、制御部30は、第1除菌水吐水工程S02を実行する。第1除菌水吐水工程S02においては、電磁弁54が開かれ、水道水が電解槽に供給される。そして電解槽は、ON状態とされ、水道水を変性して除菌水を生成する。生成された除菌水は、除菌水吐水部10から洗い場床520に吐出される。このとき、制御部30は、モータ17をONとし、
図7の矢印A02に表したように除菌水吐水部10を原点10sから終了位置10eまで回転させる。除菌水吐水部10は、回転しながら除菌水を洗い場床520上に吐出する。
【0077】
なお、
図7に表した各矢印において、破線で表した方向に除菌水吐水部10が回転するときは、除菌水吐水部10が除菌水を吐出しないことを表す。また、実線で表した方向除菌水吐水部10が回転するときは、除菌水吐水部10が除菌水を吐出することを表す。
【0078】
次に、止水工程S03が実行される。止水工程S03においては、電磁弁54は閉じられ、電解槽はOFF(停止状態)とされる。また、モータ17もOFF(停止状態)とされる。
【0079】
次に、制御部30は、原点出しモードS04を実行する。原点出しモードS04において、制御部30は、除菌水吐水部10の原点出しを行う。制御部30は、モータ17をONとして、
図7の矢印A04に表したように、除菌水吐水部10を終了位置10eから原点10sまで回転させる。このとき、除菌水吐水部10は、除菌水を吐出しない。
【0080】
その後、制御部30は、第2除菌水吐水工程S05を実行する。第2除菌水吐水工程S05において、電磁弁54が開かれ、電解槽がONとされる。制御部30は、モータ17によって除菌水吐水部10を回転させる。除菌水吐水部10は、
図7の矢印A05に表したように原点10sから終了位置10eまで回転しながら、除菌水を吐出する。第2除菌水吐水工程S05における除菌水の吐出方法は、第1除菌水吐水工程S02と異なっていてもよい。例えば、第2除菌水吐水工程S05において吐出される除菌水の成分や濃度は、第1除菌水吐水工程S02において吐出される除菌水の成分や濃度と異なっていても良い。
【0081】
次に、除菌水吐水完了工程S06が実行される。除菌水吐水完了工程S06においては、電磁弁54が閉じられ、電解槽がOFFとされ、モータ17がOFFとされる。
【0082】
次に、制御部30は、残留水排出モードS07を実行する。残留水排出モードS07では、除菌水吐水部10内の除菌水の流路に残留した除菌水の少なくとも一部を排出する。例えば、貯水部13から第1の吐水口11までの流路または貯水部13から第2の吐水口12までの流路に残留した除菌水が排出される。具体的には、制御部30は、モータ17を制御して、除菌水吐水部10を振動させる。除菌水吐水部10は、振動しながら
図7の矢印A07に表したように、終了位置10eから原点10sまで回転する。
【0083】
例えば、除菌水吐水装置100の不使用時に、使用者の体が除菌水吐水部10に当たるなどして、除菌水吐水部10の洗い場床520に対する角度がずれる場合がある。このような場合であっても、実施形態によれば、洗い場除菌モードの前に原点出しが行われるため、角度のずれが矯正された状態で除菌水の吐出が開始される。これにより、長期安定的に洗い場床の部位に応じて最適な吐水を行うことができる。
【0084】
また、除菌水吐水装置を長期間使用すると、除菌水吐水部10の移動抵抗(回転する際の抵抗)が大きくなり、洗い場除菌モードの実行中に、除菌水吐水部10の洗い場床520に対する角度が意図した角度からずれる場合がある。また、除菌水吐水部10の周囲に障害物が置かれていた場合などに、除菌水吐水部10が回転した際に、除菌水吐水部10が障害物に当たることがある。このときにも、除菌水吐水部10の洗い場床520に対する角度が意図した角度からずれる場合がある。
【0085】
これに対して、実施形態においては、第1除菌水吐水工程S02と第2除菌水吐水工程S05との間において原点出しモードS04を実行する。すなわち、制御部30は、洗い場除菌モードの途中で、原点出しモードを実行する。これにより、洗い場除菌モードの途中で、除菌水吐水部10の洗い場床520に対する角度のずれを修正することができる。このため、除菌水吐水部10の洗い場床520に対する角度が大きくずれた状態で、除菌水が吐出されることを防止することができる。これにより、長期安定的に洗い場床520の部位に応じて最適な吐水を行うことができる。
【0086】
次に、第1除菌水吐水工程S02における除菌水吐水装置の動作について、
図9〜
図11を参照して、さらに説明する。
【0087】
図9は、本実施形態における除菌水吐水装置の動作を説明するタイムチャートである。
図9では、第1除菌水吐水工程S02および原点出しモードS04における動作を示す。
図9に表したように、第1除菌水吐水工程S02においては、除菌水吐水部10から除菌水が吐出され続けている。そして、止水工程S03の原点出しモードS04では、除菌水吐水部10から除菌水が吐出されない。
【0088】
タイムチャートの「除菌水吐水部の回転」において、「1」は、除菌水吐水部10が原点10sから終了位置10eへ向かって回転していること(正転動作)を表し、「0」は、除菌水吐水部10が回転を停止していることを表し、「−1」は、除菌水吐水部10が終了位置10eから原点10sへ向かって回転していること(反転動作)を表す。
図9に表したように、除菌水吐水部10は、回転と停止とを繰り返している。第1除菌水吐水工程S02において除菌水吐水部10は、断続的に原点10sから終了位置10eへ向かう方向に回転する。原点出しモードS04において除菌水吐水部10は、断続的に終了位置10eから原点10sへ向かう方向に回転する。
【0089】
図10は、本実施形態の除菌水吐水部の動作を例示する模式的平面図である。
領域A1は、除菌水吐水部10が回転を停止したある期間t1において、除菌水が吐出される領域を表す。領域A2は、期間t1の次に除菌水吐水部10が回転を停止した期間t2において、除菌水が吐出される領域を表す。
図10に表したように、領域A2の一部は、領域A1の一部と重なっている。このように、除菌水吐水部10は、原点10sから終了位置10eまで断続的に回転する。
【0090】
さらに本実施形態において、除菌水吐水装置100は、洗い場床520の部位に応じて、除菌水が吐出される量、および、除菌水吐水部10の回転速度を変化させている。これについて、以下説明する。
【0091】
図11(a)および
図11(b)は、本実施形態の除菌水吐水部の動作を説明する模式的平面図である。
図11(a)は、除菌水吐水部10を例示する模式的平面図であり、
図11(b)は、洗い場床520を例示する模式的平面図である。
【0092】
図11(a)に表したように、この例では、除菌水吐水部10が回転した角度(回転角度)を、互いに異なる5つの範囲D1〜D5に分割している。
図11(b)は、範囲D1〜D5のそれぞれに対応した、洗い場床520の領域R1〜R5を表している。
【0093】
例えば、回転角度が範囲D1内にある状態ST1では、領域R1に除菌水が吐出される。回転角度が範囲D2内にある状態ST2では、領域R2に除菌水が吐出される。
【0094】
状態ST1における吐水方向に沿った除菌水吐水部10から壁面540までの距離は、状態ST2における吐水方向に沿った除菌水吐水部10から壁面540までの距離よりも短い。このとき、
図9に表したように、制御部30は、状態ST1において吐出される除菌水の総量が、状態ST2において吐出される除菌水の総量よりも少なくなるようにする。
【0095】
同様にして、回転角度が範囲D3内にある状態ST3では、領域R3に除菌水が吐出される。状態ST3における吐水方向に沿った除菌水吐水部10から壁面540までの距離は、状態ST2における吐水方向に沿った除菌水吐水部10から壁面540までの距離よりも長い。このときには、制御部30は、状態ST3において吐出される除菌水の総量を、状態ST2において吐出される除菌水の総量よりも多くする。
【0096】
このように、実施形態においては、除菌水吐水部10と壁面540との間の距離が相対的に短い回転角度領域において吐出される除菌水の総量は、除菌水吐水部10と壁面540との間の距離が相対的に長い回転角度領域において吐出される除菌水の総量よりも少なくされる。
【0097】
回転角度が範囲D4内にある状態ST4では、領域R4に除菌水が吐出される。状態ST4における吐水方向に沿った除菌水吐水部10から壁面540までの距離は、状態ST2における吐水方向に沿った除菌水吐水部10から壁面540までの距離と、同じである。また、領域R4と排水口521との間の距離は、領域R2と排水口521との間の距離よりも長い。すなわち、領域R4は、領域R2よりも洗い場床520の上流側に位置する。この場合には、制御部30は、状態ST2において吐出される除菌水の総量が、状態ST4において吐出される除菌水の総量よりも少なくなるようにする。
【0098】
このように、除菌水吐水部10と壁面540との間の距離が同じ場合においては、洗い場床520の排水勾配の下流側に吐出される除菌水の量は、洗い場床520の排水勾配の上流側に吐出される除菌水の量よりも少なくされる。
【0099】
例えば、除菌水吐水部10から吐出される除菌水の瞬間流量は、一定とされる。そして、制御部30は、吐水方向に沿った除菌水吐水部10から壁面540までの距離に応じて、除菌水吐水部10の平均回転速度を変化させる。これにより、洗い場床の部位に応じて、吐出される除菌水の総量を変化させることができる。例えば、状態ST1における除菌水吐水部10の平均回転速度は、状態ST3における除菌水吐水部10の平均回転速度よりも高い。これにより、状態ST1において吐出される除菌水の総量は、状態ST3において吐出される除菌水の総量よりも少なくなる。
【0100】
図9に表したように、除菌水吐水部10が回転と停止とを繰り返す場合、除菌水吐水部10が停止する時間の長さを変化させることで、平均回転速度を変化させることができる。例えば、除菌水吐水部10が一度に回転する角度および時間を一定とし、回転動作が行われる時間的な周期を変化させることで平均回転速度を変化させることができる。例えば、状態ST1における回転動作の周期は、状態ST3における回転動作の周期よりも短い。
【0101】
なお、タイムチャートにおいて「吐水状態」は、回転角度の各範囲において除菌水が吐出される方向を模式的平面図で表している。また、平面図中の矢印は、除菌水吐水部10から吐出された除菌水のうち、壁面540に当たってから洗い場床520上に流れる除菌水の流れを表している。矢印の向きは、除菌水の流れる方向を模式的に表し、矢印の大きさは、除菌水の量を模式的に表している。また、タイムチャートにおいて「床面状態」は、各状態において洗い場床520上に存在する除菌水の量をグレースケールで表している。このグレースケールは、色が濃い(黒に近い)ほど除菌水の量が多いことを表す。
【0102】
既に述べたとおり、除菌水吐水部10が除菌水を吐出する最大吐水距離は、除菌水吐水部10と壁面540との間の最大距離よりも長い。このような除菌水吐水部10を回転させることで、洗い場床520の全体に除菌水を吐出することが可能となり、洗い場床の全体を除菌することができる。
【0103】
しかしながら、除菌水吐水部10を回転させると、吐水方向に沿った除菌水吐水部10と壁面540との間の距離が変化する。このような状態において、全方向に同じように吐水を行うと、吐水方向に沿った除菌水吐水部10と壁面540との間の距離の変化に起因して、洗い場床520上では除菌水が過剰に吐出される領域が発生してしまう。このため、大量の除菌水が必要となってしまう。
【0104】
一方、除菌水吐水部10から洗い場床520上に直接届く除菌水だけでなく、壁面540に当たった後に洗い場床520上を流れる除菌水も除菌効果を有している。そこで、このような壁面540に当たって流れる除菌水も利用して除菌を行うことで、少量の除菌水で洗い場床520の全体を除菌することができる。
【0105】
例えば、状態ST1のように、吐水方向に沿った除菌水吐水部10と壁面540との間の距離が短い場合には、除菌水吐水部10から吐出されて壁面540に当たってから洗い場床520上に流れる除菌水の量が比較的多い。このため、状態ST1において吐出される除菌水の総量を少なくしても、単位面積あたりに供給される除菌水の総量を維持することができる。状態ST1において吐出される除菌水の総量を少なくしても、除菌効果を得ることができる。
【0106】
したがって、実施形態によれば、除菌水の吐出方向に沿った除菌水吐水部10から壁面540までの距離が短いときに、必要以上の除菌水が吐出されることを防ぐことができる。これにより、洗い場床520の全体に吐出される除菌水の総量を少なくすることができる。
【0107】
さらに、実施形態においては、除菌水の吐水方向に沿った除菌水吐水部10から壁面540までの距離が同じときには、洗い場床520の上流側に吐出される除菌水の量を、洗い場床520の下流側に吐出される除菌水の量よりも少なくしている。洗い場床520の上流側に吐出された除菌水は、洗い場床520の下流側に流れる。このため、洗い場床520の上流側に吐出された除菌水を利用して、洗い場床520の下流側も除菌することが可能である。これにより、洗い場床520の下流側に吐出される除菌水の量を少なくしても、洗い場床520の全体を除菌することができる。
【0108】
また、洗い場床520上の部位に応じて吐出される除菌水の量を変化させる際に、除菌水の瞬間流量を変化させる方法が考えられる。除菌水吐水部10から吐出される除菌水の瞬間流量は、除菌水生成部20における瞬間流量に依存する。しかし、除菌水生成部20における瞬間流量を変化させると、除菌水生成部20において生成される除菌水の成分の濃度が変化してしまう。これに対して、実施形態においては、除菌水の瞬間流量を一定として、除菌水吐水部10の平均回転速度を変化させている。これにより、除菌水の濃度を一定の状態として、洗い場床520の所定の範囲に吐出される除菌水の総量を変化させる
ことができる。
【0109】
除菌水吐水部10の平均回転速度を変化させる際に、回転速度を早くしすぎると、トルクが不足して回転に不具合が生じる場合がある。これに対して、実施形態においては、制御部30は、除菌水吐水部10が過程する状態と、除菌水吐水部10が回転を停止する状態と、を切り替える。そして、除菌水吐水部10が回転を停止する時間の長さを変化させることで、平均回転速度を変化させている。これにより、トルク不足などの不具合を防止することができる。
【0110】
次に、残留水排出モードS07における除菌水吐水装置100の動作について、
図12および
図13を参照して、さらに説明する。
【0111】
図12は、本実施形態における除菌水吐水装置の動作を例示するフローチャートである。
図13は、本実施形態における除菌水吐水装置の動作を説明するタイムチャートである。
【0112】
図12および
図13に表したように、残留水排出モードS07は、第1振動工程S17と、第1の振動工程S17の後に実行される第2振動工程S27と、を有する。
【0113】
図13に表したように、第1の振動工程S17においては、除菌水吐水部10は、回転と停止とを繰り返す。除菌水吐水部10は、終了位置10eから原点10sまで断続的に回転する。これにより、除菌水吐水部10が振動する。この振動によって、除菌水吐水部10内に残留した除菌水の表面張力を低減(破壊)することができる。これにより、除菌水吐水部10内の流路に残留した除菌水が排出される。
【0114】
このような残留水排出モードS07は、洗い場除菌モード(第2除菌水吐水工程S05)が実行された直後に実行される。洗い場除菌モードが実行された直後には、洗い場床上には、除菌水によって水膜が形成されている。このため、残留水排出モードS07において排出された除菌水は、水膜の上に落下する。
【0115】
洗い場床520上に吐出された除菌水が少量である場合には、除菌水は水玉状の残留水となり、排水口まで流れにくい。一方、除菌水が膜状である場合には、除菌水は、洗い場床520の排水勾配に沿って排水口まで流れやすい。
【0116】
実施形態においては、除菌水吐水部から排出された除菌水を、水膜の上に落下させている。これにより、除菌水吐水部から排出された除菌水を、水膜を形成している除菌水とともに排水口に流すことができる。したがって、除菌水を滞留性の高い吐水形態で吐出するために吐水口の径を小さくした場合であっても、除菌水吐水装置の運転終了から長時間が
経過した後に、残留水が洗い場床上に発生することを防止することができる。
【0117】
さらに、第1の振動工程S17においては、除菌水吐水部10を、終了位置10eから原点10sまで回転させている。すなわち、除菌水吐水部10内に残留した除菌水が落下する位置を変化させながら、除菌水吐水部10を振動させている。これにより、除菌水が洗い場床520上に落下する領域の平面積を大きくすることができる。このため、除菌水吐水部10から落下した除菌水と、洗い場床520上の膜状の除菌水と、が接触する可能性を高めることができる。これにより、除菌水吐水部10から排出された除菌水を、より確実に、水膜を形成している除菌水とともに排水口に導くことができる。
【0118】
第2の振動工程S27において、制御部30は、第1の振動工程S17において除菌水吐水部10に生じる振動とは異なる振動を除菌水吐水部10に生じさせる。
【0119】
振動が異なることによって、第1の振動工程S17では排出できなかった除菌水を、第2の振動工程S27において排出することができる。これにより、除菌水吐水部10内に残留した除菌水の量をより少なくすることができる。
【0120】
例えば、第2の振動工程S27において、制御部30は、吐水口(第1の吐水口11および第2の吐水口12)の位置を、複数の方向に移動させる。すなわち、
図13に表したように、正転動作と反転動作とを交互に繰り返す。
【0121】
第2の振動工程では、このような正転動作と反転動作との繰り返しを、突起部10qが回転基準部10pに突き当たってから行う。このため、第2の振動工程において、吐水口が移動する範囲は、第1の振動工程において吐水口が移動する範囲よりも狭い。そして、正転動作と反転動作とを繰り返す度に、突起部10qが回転基準部10pに突き当たる。このため、第2振動工程において第1振動工程よりも強い揺れが吐水口に生じる。これにより、除菌水吐水部内に残留した除菌水の量をさらに少なくすることができる。
【0122】
次に、本発明の他の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図14(a)および
図14(b)は、本発明の他の実施の形態に係る除菌水吐水装置を例示する模式的平面図である。
図14(a)は、除菌水吐水部10が設けられたカウンタ530aと、洗い場床520と、を上方から見た模式的平面図である。
図14(b)は、
図14(a)の除菌水吐水部10の近傍を拡大して表した模式的平面図である。
【0123】
この例では、除菌水吐水部10が設けられたカウンタ530aの形状が、前述のカウンタ530の形状と異なる。これに伴い、洗い場床520と除菌水吐水部10との相対的な配置が、例えば
図5に表した例とは、異なる。
【0124】
回転基準規定手段15である回転基準規定部534は、カウンタ530aの横方向の端部に位置する支持材533に取り付けられている。このため、除菌水吐水部10は、カウンタ530aの横方向における中央付近ではなく、端部に位置する。
【0125】
すなわち、この例では除菌水吐水部10は、洗い場床520の横方向における中央付近ではなく、洗い場床520の横方向における端部に設けられている。これ以外については、
図14に表した除菌水吐水装置は、
図1〜
図13において説明した除菌水吐水装置100と同様である。
【0126】
既に述べたように、このように除菌水吐水部10がカウンタに取り付けられる位置が変わっても、カウンタの中心と除菌水吐水部10が取付られる位置との関係を考慮して、カウンタに回転基準規定部534を形成すれば、洗い場床に対応した回転基準を規定することができる。これにより、洗い場床520の各部位に応じた最適な吐水を行うことができる。
【0127】
この場合でも、
図14(a)に表したように、吐水方向に沿った除菌水吐水部10から壁面540までの距離に応じて、除菌水吐水部10の平均回転速度を変化させる。これにより、洗い場床520の部位に応じて、吐出される除菌水の総量を変化させることができる。このようにして、洗い場床520の各部位に応じた最適な吐水を行うことができる。
【0128】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、除菌水吐水部10、除菌水生成部20および制御部30などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや除菌水吐水部10、除菌水生成部20および制御部30の設置形態など、また除菌水吐水装置の用途は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
具体的には、除菌水吐水装置は、浴室の洗い場床以外に、シャワールームの床、キッチンのシンク、洗面台や手洗い器や便器のボウル部などの水まわり設備の受水部に適用しても良く、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。